説明

有機電界発光素子

【課題】本発明の課題は、混合発光によって高い発光効率を有する有機EL素子を提供することである。
【解決手段】陽極及び陰極からなる一対の電極と、少なくとも、前記一対の電極間に配置された発光層、前記陽極と前記発光層との間に配置された正孔輸送層、及び前記陰極と前記発光層との間に配置された電子輸送層を有し、
1)前記発光層が、電子輸送性発光材料及び正孔輸送性ホスト材料を含有し、
2)前記電子輸送性発光材料の前記発光層における濃度が、前記発光層の陰極側から陽極側に向けて漸減し、
3)前記発光層中の前記電子輸送性発光材料濃度が減少した領域で、且つ、発光層総厚の1/100以上1/2以下の厚みの領域に、前記電子輸送性発光材料よりも三重項エネルギー準位が低い発光材料を少なくとも1種含有することを特徴とする有機電界発光素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子(以下、有機EL素子と略記する。)に関する。特に白色発光有機EL素子に関する。
【背景技術】
【0002】
電流を通じることによって励起され発光する薄膜材料を用いた有機電界発光素子が知られている。有機電界発光素子は、低電圧で高輝度の発光が得られるために、携帯電話ディスプレイ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、コンピュータディスプレイ、自動車の情報ディスプレイ、TVモニター、あるいは一般照明を含む広い分野で幅広い潜在用途を有し、それらの分野でデバイスの薄型化、軽量化、小型化、および省電力のなどの利点を有する。このため、将来の電子ディスプレイ市場の主役としての期待が大きい。しかしながら、実用的にこれらの分野で従来ディスプレイに代わって用いられるためには、発光輝度と色調、広い使用環境条件下での耐久性、安価で大量の生産性など多くの技術改良が課題となっている。
【0003】
また、有機EL素子は、複数の発光色を組み合わせる混色によってさまざまな発光色の発光が可能となることも特徴である。
発光色の中で、特に白色発光のニーズは高い。白色発光は、一般照明における省電力、車載ディスプレイ、あるいはバックライトとしても活用できる。さらに、カラーフィルタを用いて青、緑、赤の画素に分けることが可能であり、フルカラー表示装置も可能である。
【0004】
例えば、短波長発光である青色発光層と長波長発光である赤色発光層との2層を積層することにより、両発光層の混色として白色の発光を得るようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかしながら、このような発色の異なる(即ち異なるエネルギー準位の)発光層の積層構成は、各層間の障壁のためにキャリア注入性が低下し、駆動電圧の上昇、耐久性の低下などの性能上の問題の他、製造時の蒸着プロセス(室)の増加などの生産上の課題も生じる。
【特許文献1】特開平7−142169号公報
【特許文献2】特開2008−85363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、特に高い発光効率を有する混合発光による有機EL素子を提供することを課題とするものである。特に、異なる発光ピークを有する3色発光、例えば、青、緑、赤の3色発光がそれぞれ効率良く起こり、低電圧で白色発光が得られる有機EL素子を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の上記課題は、下記の手段によって解決する事を見出された。
<1> 陽極及び陰極からなる一対の電極と、少なくとも、前記一対の電極間に配置された発光層、前記陽極と前記発光層との間に配置された正孔輸送層、及び前記陰極と前記発光層との間に配置された電子輸送層を有し、
1)前記発光層が、電子輸送性発光材料及び正孔輸送性ホスト材料を含有し、
2)前記電子輸送性発光材料の前記発光層における濃度が、前記発光層の陰極側から陽極側に向けて漸減し、
3)前記発光層中の前記電子輸送性発光材料濃度が減少した領域で、且つ、発光層総厚の1/100以上1/2以下の厚みの領域に、前記電子輸送性発光材料よりも三重項エネルギー準位が低い発光材料を少なくとも1種含有することを特徴とする有機電界発光素子。
<2> 前記電子輸送性発光材料が青色発光材料であり、前記電子輸送性発光材料よりも三重項エネルギー準位が低い発光材料が、緑色発光材料及び赤色発光材料の少なくとも一方である<1>に記載の有機電界発光素子。
<3> 前記電子輸送性発光材料よりも三重項エネルギー準位が低い発光材料が、緑色発光材料及び赤色発光材料である<2>に記載の有機電界発光素子。
<4> 前記電子輸送性発光材料よりも三重項エネルギー準位が低い発光材料の濃度が、前記発光層中の前記電子輸送性発光材料よりも三重項エネルギー準位が低い発光材料を含有する領域で、厚み方向で一定である<1>〜<3>に記載の有機電界発光素子。
<5> 前記電子輸送性発光材料よりも三重項エネルギー準位が低い発光材料の濃度が、前記発光層中の前記電子輸送性発光材料よりも三重項エネルギー準位が低い発光材料を含有する領域で、前記発光層の陽極側から陰極側に向けて漸減している<1>〜<3>に記載の有機電界発光素子。
<6> 前記正孔輸送性ホスト材料の前記発光層における濃度が、前記発光層の陽極側から陰極側に向けて漸減していることを特徴とする<1>〜<5>に記載の有機電界発光素子。
<7> 前記電子輸送性発光材料が白金を中心金属とした金属錯体であることを特徴とする<1>〜<6>に記載の有機電界発光素子。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、少なくとも、異なる発光ピークを有する3色発光がそれぞれ効率良く起こり、高効率の白色発光が得られる有機EL素子が提供される。
従来、短波発光層を長波発光層で挟んだ構成、或いは長波発光層を短波発光層で挟んだ構成が知られていて、例えば、長波発光層に、PQ2Ir(acac)やBtp2Ir(acac)などの赤色発光材料を1種ドープした単色で厚み方向に均一な濃度を有する構成であった。また、短波発光層についても、FIrpicを1種ドープした単色で厚み方向に均一な濃度を有する構成であった。
本発明では、前記発光層が電子輸送性発光材料及び正孔輸送性ホスト材料を含有し、該電子輸送性発光材料の濃度が、発光層の陰極側から陽極側に向けて漸減していること、更に、前記電子輸送性発光材料よりも三重項エネルギー準位が低い発光材料を少なくとも1種含有し、該三重項エネルギー準位が低い発光材料は、発光層中の前記電子輸送性発光材料濃度が減少した領域で、且つ、発光層総厚の1/100以上1/2以下の厚みの領域に含有されていることを特徴するものであり、該構成によって、駆動電圧を増加させることなく、各発光材料を効率良く発光させることが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の有機EL素子について詳細に説明する。
【0009】
(構成)
本発明の有機電界発光素子は、少なくとも、一対の電極(陽極と陰極)間に発光層、陽極と該発光層との間に正孔輸送層、陰極と該発光層との間に電子輸送層を有する積層構成よりなる。
発光素子の性質上、前記一対の電極のうち少なくとも一方の電極は、透明であることが好ましい。
【0010】
本発明における有機化合物層の積層の形態としては、好ましくは、更に、正孔輸送層と陽極との間に正孔注入層、及び/又は発光層と電子輸送層との間に、電子輸送性中間層を有する。また、発光層と正孔輸送層との間に正孔輸送性中間層を、同様に陰極と電子輸送層との間に電子注入層を設けても良い。
【0011】
本発明の有機電界発光素子における有機化合物層の好適な態様は、陽極側から順に、少なくとも、(1)正孔注入層、正孔輸送層(正孔注入層と正孔輸送層は兼ねても良い)、正孔輸送性中間層、発光層、電子輸送層、及び電子注入層(電子輸送層と電子注入層は兼ねても良い)、を有する態様、(2)正孔注入層、正孔輸送層(正孔注入層と正孔輸送層は兼ねても良い)、発光層、電子輸送性中間層、電子輸送層、及び電子注入層(電子輸送層と電子注入層は兼ねても良い)、を有する態様、(3)正孔注入層、正孔輸送層(正孔注入層と正孔輸送層は兼ねても良い)、正孔輸送性中間層、発光層、電子輸送性中間層、電子輸送層、及び電子注入層(電子輸送層と電子注入層は兼ねても良い)、を有する態様である。
【0012】
上記正孔輸送性中間層は、発光層への正孔注入を促進する機能及び電子をブロックする機能の少なくとも一方を有することが好ましい。
また、上記電子輸送性中間層は、発光層への電子注入を促進する機能及び正孔をブロックする機能の少なくとも一方を有することが好ましい。
更に、上記正孔輸送性中間層及び上記電子輸送性中間層の少なくとも一方は、発光層で生成する励起子をブロックする機能を有することが好ましい。
上記の正孔注入促進、電子注入促進、正孔ブロック、電子ブロック、励起子ブロックといった機能を有効に発現させるためには、該正孔輸送性中間層および該電子輸送性中間層は、発光層に隣接していることが好ましい。
尚、各層は複数の二次層に分かれていてもよい。
【0013】
次に、本発明の有機EL素子の構成について、詳細に説明する。
【0014】
本発明の有機EL素子は、陽極及び陰極からなる一対の電極と、少なくとも、前記一対の電極間に配置された発光層、前記陽極と前記発光層との間に配置された正孔輸送層、及び前記陰極と前記発光層との間に配置された電子輸送層を有し、
1)前記発光層が、電子輸送性発光材料及び正孔輸送性ホスト材料を含有し、
2)前記電子輸送性発光材料の前記発光層における濃度が、前記発光層の陰極側から陽極側に向けて漸減し、
3)前記発光層中の前記電子輸送性発光材料濃度が減少した領域で、且つ、発光層総厚の1/100以上1/2以下の厚みの領域に、前記電子輸送性発光材料よりも三重項エネルギー準位が低い発光材料を少なくとも1種含有する。
好ましくは、電子輸送性発光材料が青色発光材料であり、前記電子輸送性発光材料よりも三重項エネルギー準位が低い発光材料が、緑色発光材料及び赤色発光材料の少なくとも一方である。より好ましくは、前記電子輸送性発光材料よりも三重項エネルギー準位が低い発光材料が、緑色発光材料の少なくとも1種、及び赤色発光材料の少なくとも1種を含有する。
好ましくは、前記電子輸送性発光材料よりも三重項エネルギー準位が低い発光材料の濃度が、発光層中の前記電子輸送性発光材料よりも三重項エネルギー準位が低い発光材料を含有する領域で、厚み方向で一定である。好ましい別の態様は、前記電子輸送性発光材料よりも三重項エネルギー準位が低い発光材料の濃度が、前記発光層中の前記電子輸送性発光材料よりも三重項エネルギー準位が低い発光材料を含有する領域で、前記発光層の陽極側から陰極側に向けて漸減している構成である。
好ましくは、前記正孔輸送性ホスト材料の前記発光層における濃度が、前記発光層の陽極側から陰極側に向けて漸減している。
好ましくは、前記電子輸送性発光材料が白金を中心金属とした金属錯体である。
【0015】
本発明においては、「漸減」の意味するところは、総体的に減少していることを意味するのであって、連続的に直線的もしくは曲線的に減少しても、階段状あるいは波状に減少しても良い。あるいは、一部で増加している領域があっても総体的に減少していれば本願の意図する範囲内である。
【0016】
本発明においては、「漸減」の意味するところは、例えば、陰極側から陽極側に向けて漸減しているとは、該材料の前記陽極に近接する領域における濃度が、発光層の前記陰極に近接する領域における濃度に対して0質量%以上50質量%以下であることを意味し、また、陽極側から陰極側に向けて漸減しているとは、該材料の前記陰極に近接する領域における濃度が、発光層の前記陽極に近接する領域における濃度に対して0質量%以上50質量%以下であることを意味する。前記0質量%以上50質量%以下の値は濃度傾斜を表す値である。より好ましくは、濃度傾斜が、0質量%以上30質量%以下であり、さらに好ましくは0質量%以上20質量%以下である。
【0017】
本発明においては、「発光層の陰極もしくは陽極に近接する領域」とは発光層の陰極もしくは陽極に近接する側から、発光層厚みの10%の厚み領域を指すものとし、その領域における平均濃度が上記関係を満たすような範囲に設定するものとする。
【0018】
陰極側から陽極側に向けて漸減している電子輸送性発光材料の前記陽極に近接する領域における濃度が、発光層の前記陰極に近接する領域における濃度に対して50%を越えると、電子に対する抜けの抑制が不十分となり発光効率の改善が得られにくくなるため好ましくない。また、同様に、陽極側から陰極側に向けて漸減している正孔輸送性ホスト材料の前記陰極に近接する領域における濃度が、前記発光層の前記陽極に近接する領域における濃度に対して50%を越えると、正孔に対する抜けの抑制が不十分となり発光効率の改善が得られにくくなるため好ましくない。
【0019】
本発明においては、電子輸送性発光材料は、発光層中で陰極側から陽極側に向けて漸減しつつ発光層の全域に含有され、発光層の全域に渉って均一に発光するので、発光効率の向上とともに、発光分布が全体発光に近づき、耐久性が向上する。本発明の傾斜構造により、陰極より発光層に注入された電子が陽極側に進むにつれてその移動にブレーキが掛かる結果、従来、発光層の陰極面側あるいは陽極面側でしか起こっていなかった正孔と電子の再結合が発光層の中央部でも起こるようになったと推定される。
又、電子輸送性発光材料よりも三重項エネルギー準位が低い発光材料は、前記発光層中の前記電子輸送性発光材料濃度が減少した領域で、且つ、発光層総厚の1/100以上1/2以下の厚みの領域に含有されるため、前記電子輸送性発光材料により発生した励起子から三重項エネルギー準位が低い発光材料へのエネルギー移動など、発光材料間での相互作用による非効率化が起こらない。従って、本発明の構成によれば、駆動電圧を上昇させずに、各々の発光材料を効率良く発光させることができる。
【0020】
図1は、本発明有機EL素子の層構成を示す概略図である。基板1上に、陽極2を設け、その上に順に、正孔輸送層3、発光層4、電子輸送層5を積層して有し、その上に陰極6を有する。発光層4は、電子輸送性発光材料及び正孔輸送性ホスト材料を含有する。該発光層中の電子輸送性発光材料の濃度は、陰極側から陽極側に向けて漸減し、且つ、前記電子輸送性発光材料濃度が減少した領域に、前記電子輸送性発光材料よりも三重項エネルギー準位が低い発光材料を含有している。該三重項エネルギー準位が低い発光材料が含有される領域は、発光層総厚の1/100以上1/2以下の厚みに相当する限定された領域である。
【0021】
本発明における有機EL素子は、共振器構造を有しても良い。例えば、透明基板上に、屈折率の異なる複数の積層膜よりなる多層膜ミラー、透明または半透明電極、発光層、および金属電極を重ね合わせて有する。発光層で生じた光は多層膜ミラーと金属電極を反射板としてその間で反射を繰り返し共振する。
別の好ましい態様では、透明基板上に、透明または半透明電極と金属電極がそれぞれ反射板として機能して、発光層で生じた光はその間で反射を繰り返し共振する。
共振構造を形成するためには、2つの反射板の有効屈折率、反射板間の各層の屈折率と厚みから決定される光路長を所望の共振波長を得るのに最適な値となるよう調整される。第一の態様の場合の計算式は特開平9−180883号明細書に記載されている。第2の態様の場合の計算式は特開2004−127795号明細書に記載されている。
【0022】
有機化合物層を構成する各層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法、塗布法、インクジェット法、およびスプレー法等いずれによっても好適に形成することができる。
【0023】
次に、本発明の有機EL素子を構成する要素について詳細に説明する。
【0024】
(発光層)
発光層は、電界印加時に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層または正孔輸送性バッファー層から正孔を受け取り、陰極、電子注入層、電子輸送層または電子輸送性バッファー層から電子を受け取り、正孔と電子の再結合の場を提供して発光させる機能を有する層である。
本発明に於ける発光層は、電子輸送性発光材料及び正孔輸送性ホスト材料を含有し、前記電子輸送性発光材料の前記発光層における濃度が、前記発光層の陰極側から陽極側に向けて漸減し、前記発光層中の前記電子輸送性発光材料濃度が減少した領域で、且つ、発光層総厚の1/100以上1/2以下の厚みの領域に、前記電子輸送性発光材料よりも三重項エネルギー準位が低い発光材料を少なくとも1種含有する。
【0025】
発光層中における全固形分量に対して、発光材料の総量は、0.1質量%〜30質量%含有されるのが好ましく、耐久性、外部量子効率の観点から1質量%〜15質量%含有されることがより好ましい。発光層中における全固形分量に対して、ホスト材料の総量は、70質量%〜99.9質量%含有されるのが好ましく、耐久性、外部量子効率の観点から85質量%〜99質量%含有されることがより好ましい。
【0026】
(電子輸送性発光材料)
【0027】
電子輸送性発光材料としては、好ましくは、その電子親和力(Ea)が2.5eV以上3.5eV以下であり、イオン化ポテンシャル(Ip)が5.7eV以上7.0eV以下の電子輸送性発光材料である。
好ましく用いることのできる材料は、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、及びルテシウム錯体を挙げる事ができる。より好ましくは、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、又は白金錯体であり、最も好ましくは白金錯体である。
具体的白金錯体の例を以下に例示するが、本発明はこれらに限定されものではない。
【0028】
【化1】



【0029】
【化2】

【0030】
【化3】



【0031】
【化4】



【0032】
【化5】

【0033】
【化6】

【0034】
【化7】

【0035】
【化8】

【0036】
【化9】

【0037】
【化10】

【0038】
【化11】



【0039】
(三重項エネルギー準位の小さな発光材料)
本発明に用いられる三重項エネルギー準位の小さな発光材料は、発光層の電子輸送性発光材料の三重項エネルギー準位よりも小さい三重項エネルギー準位を有する燐光発光材料である。好ましくは、本発明に用いられる三重項エネルギー準位の小さな発光材料は、発光層の電子輸送性発光材料の三重項エネルギー準位よりも1.0kcal/mol以上小さく、より好ましくは2.0kcal/mol以上小さく、更に好ましくは4.0kcal/mol以上小さい。
該燐光発光材料としては、三重項エネルギー準位が発光層の電子輸送性発光材料より低い限り、特に限定されず、上記の白金錯体の中から選ぶことも、その他のオルトメタル化金属錯体、又はポルフィリン金属錯体を用いることもできる。
【0040】
オルトメタル化金属錯体とは、例えば山本明夫著「有機金属化学−基礎と応用−」、150頁、232頁、裳華房社(1982年発行)やH.Yersin著「Photochemistry and Photophisics of Coodination Compounds」、71頁〜77頁、135頁〜146頁、Springer−Verlag社(1987年発行)等に記載されている化合物群の総称である。
【0041】
上記オルトメタル化金属錯体を形成する配位子としては、種々のものがあり、上記文献にも記載されているが、その中でも好ましい配位子としては、2−フェニルピリジン誘導体、7,8−ベンゾキノリン誘導体、2−(2−チエニル)ピリジン誘導体、2−(1−ナフチル)ピリジン誘導体、2−フェニルキノリン誘導体等が挙げられる。これらの誘導体は必要に応じて置換基を有してもよい。また、上記オルトメタル化金属錯体は、上記配位子のほかに、他の配位子を有していてもよい。
本発明で用いるオルトメタル化金属錯体は、Inorg Chem.,1991年,30号,1685頁、同1988年,27号,3464頁.、同1994年,33号,545頁、Inorg.Chim.Acta,1991年,181号,245頁、J.Organomet.Chem.,1987年,335号,293頁、J.Am.Chem.Soc.1985年,107号,14頁−31頁等、種々の公知の手法で合成することができる。
【0042】
上記オルトメタル化錯体の中でも、2−フェニルピリジン誘導体を配位子としてもつオルトメタル化金属錯体が好ましい。
本発明に用いられる三重項エネルギー準位の小さな発光材料は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0043】
これらの中でも、三重項エネルギー準位の小さな発光材料の具体例としては例えば下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0044】
【化12】

【0045】
(ホスト材料)
本発明の有機EL素子は、発光層に、正孔輸送性に優れるホスト材料(正孔輸送性ホストと記載する場合がある)を含有する。
【0046】
本発明の有機層に用いられる正孔輸送性ホストとしては、耐久性向上、駆動電圧低下の観点から、イオン化ポテンシャルIpが5.1eV以上6.4eV以下であることが好ましく、5.4eV以上6.3eV以下であることがより好ましく、5.6eV以上6.2eV以下であることが更に好ましい。また、耐久性向上、駆動電圧低下の観点から、電子親和力Eaが1.2eV以上3.1eV以下であることが好ましく、1.4eV以上3.0eV以下であることがより好ましく、1.8eV以上2.8eV以下であることが更に好ましい。
【0047】
このような正孔輸送性ホストとしては、具体的には、例えば、以下の材料を挙げることができる。
ピロール、カルバゾール、アザカルバゾール、ピラゾール、インドール、アザインドール、イミダゾール、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、及びそれらの誘導体等が挙げられる。
【0048】
中でも、カルバゾール誘導体、インドール誘導体、イミダゾール誘導体、芳香族第三級アミン化合物、またはチオフェン誘導体が好ましく、特に分子内にカルバゾール骨格および/またはインドール骨格および/または芳香族第三級アミン骨格を複数個有するものが好ましい。
【0049】
このような正孔輸送性ホストとしての具体的化合物としては、例えば下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0050】
【化13】

【0051】

【化14】



【0052】
【化15】

【0053】
本発明の有機EL素子は、正孔輸送性ホストと共に、電子輸送性ホストを含有しても良い。
本発明に用いられる電子輸送性ホストとしては、耐久性向上、駆動電圧低下の観点から、電子親和力Eaが2.5eV以上3.5eV以下であることが好ましく、2.6eV以上3.4eV以下であることがより好ましく、2.8eV以上3.3eV以下であることが更に好ましい。また、耐久性向上、駆動電圧低下の観点から、イオン化ポテンシャルIpが5.7eV以上7.5eV以下であることが好ましく、5.8eV以上7.0eV以下であることがより好ましく、5.9eV以上6.5eV以下であることが更に好ましい。
【0054】
このような電子輸送性ホストとしては、具体的には、例えば、以下の材料を挙げることができる。
ピリジン、ピリミジン、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾ−ル、オキサゾ−ル、オキサジアゾ−ル、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、フッ素置換芳香族化合物、ナフタレン及びペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン、およびそれらの誘導体(他の環と縮合環を形成してもよい)、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体等を挙げることができる。
【0055】
電子輸送性ホストとして好ましくは、金属錯体、アゾール誘導体(ベンズイミダゾール誘導体、イミダゾピリジン誘導体等)、アジン誘導体(ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、トリアジン誘導体等)であり、中でも、本発明においては耐久性の点から金属錯体化合物が好ましい。金属錯体化合物は、金属に配位する少なくとも1つの窒素原子または酸素原子または硫黄原子を有する配位子をもつ金属錯体がより好ましい。
金属錯体中の金属イオンは特に限定されないが、好ましくはベリリウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、亜鉛イオン、インジウムイオン、錫イオン、白金イオン、またはパラジウムイオンであり、より好ましくはベリリウムイオン、アルミニウムイオン、ガリウムイオン、亜鉛イオン、白金イオン、またはパラジウムイオンであり、更に好ましくはアルミニウムイオン、亜鉛イオン、またはパラジウムイオンである。
【0056】
前記金属錯体中に含まれる配位子としては種々の公知の配位子が有るが、例えば、「Photochemistry and Photophysics of Coordination Compounds」、Springer−Verlag社、H.Yersin著、1987年発行、「有機金属化学−基礎と応用−」、裳華房社、山本明夫著、1982年発行等に記載の配位子が挙げられる。
【0057】
前記配位子として、好ましくは含窒素ヘテロ環配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数2〜20、特に好ましくは炭素数3〜15であり、単座配位子であっても2座以上の配位子であっても良い。好ましくは2座以上6座以下の配位子である。また、2座以上6座以下の配位子と単座の混合配位子も好ましい。
配位子としては、例えばアジン配位子(例えば、ピリジン配位子、ビピリジル配位子、及びターピリジン配位子などが挙げられる。)、ヒドロキシフェニルアゾール配位子(例えば、ヒドロキシフェニルベンズイミダゾール配位子、ヒドロキシフェニルベンズオキサゾール配位子、ヒドロキシフェニルイミダゾール配位子、ヒドロキシフェニルイミダゾピリジン配位子などが挙げられる。)、アルコキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜10であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシ、及び2−エチルヘキシロキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、1−ナフチルオキシ、2−ナフチルオキシ、2,4,6−トリメチルフェニルオキシ、及び4−ビフェニルオキシなどが挙げられる。)、
【0058】
ヘテロアリールオキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルオキシ、ピラジルオキシ、ピリミジルオキシ、およびキノリルオキシなどが挙げられる。)、アルキルチオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、ヘテロアリールチオ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜20、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばピリジルチオ、2−ベンズイミゾリルチオ、2−ベンズオキサゾリルチオ、および2−ベンズチアゾリルチオなどが挙げられる。)、シロキシ配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数3〜25、特に好ましくは炭素数6〜20であり、例えば、トリフェニルシロキシ基、トリエトキシシロキシ基、およびトリイソプロピルシロキシ基などが挙げられる。)、芳香族炭化水素アニオン配位子(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜25、特に好ましくは炭素数6〜20であり、例えばフェニルアニオン、ナフチルアニオン、およびアントラニルアニオンなどが挙げられる。)、芳香族ヘテロ環アニオン配位子(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数2〜25、特に好ましくは炭素数2〜20であり、例えばピロールアニオン、ピラゾールアニオン、ピラゾールアニオン、トリアゾールアニオン、オキサゾールアニオン、ベンゾオキサゾールアニオン、チアゾールアニオン、ベンゾチアゾールアニオン、チオフェンアニオン、およびベンゾチオフェンアニオンなどが挙げられる。)、インドレニンアニオン配位子などが挙げられ、好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、ヘテロアリールオキシ基、またはシロキシ配位子であり、更に好ましくは含窒素ヘテロ環配位子、アリールオキシ配位子、シロキシ配位子、芳香族炭化水素アニオン配位子、または芳香族ヘテロ環アニオン配位子である。
【0059】
金属錯体電子輸送性ホストの例としては、例えば特開2002−235076号公報、特開2004−214179号公報、特開2004−221062号公報、特開2004−221065号公報、特開2004−221068号公報、特開2004−327313号公報等に記載の化合物が挙げられる。
【0060】
このような電子輸送性ホストとしては、具体的には、例えば、以下の材料を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0061】
【化16】

【0062】
【化17】

【0063】
【化18】



【0064】
電子輸送層ホストとしては、E−1〜E−6、E−8、E−9、E−21、またはE−22が好ましく、E−3、E−4、E−6、E−8、E−9、E−10、E−21、またはE−22がより好ましく、E−3、E−4、E−21、またはE−22が更に好ましい。
【0065】
<膜厚>
発光層の膜厚としては、輝度ムラ、駆動電圧、輝度の観点から、5nm以上200nm以下であることが好ましく、10nm以上100nm以下であることが好ましい。発光層の膜厚が薄いと、高輝度で低い電圧での駆動が可能となるが、素子抵抗が小さくなることで、電圧低下による輝度変化の影響を受けやすくなり、輝度ムラの増加を招く結果となる。発光層の膜厚が厚いと、駆動電圧が高くなり、発光効率の低下を招き、用途を限定する原因となってしまう。
【0066】
<層構成>
発光層は1層であっても2層以上であってもよく、それぞれの層が異なる発光色で発光してもよい。また、発光層が積層構造である場合については、積層構造を構成する各層の膜厚は特に限定されないが、各発光層の合計膜厚が前述の範囲になるようにすることが好ましい。
【0067】
(正孔注入層、正孔輸送層)
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。正孔注入層、正孔輸送層は、具体的には、カルバゾール誘導体、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、芳香族ジメチリディン系化合物、ポルフィリン系化合物、有機シラン誘導体、カーボン、等を含有する層であることが好ましい。
正孔注入層、正孔輸送層の厚さは、駆動電圧を下げるという観点から、各々50nm以下であることが好ましい。
正孔輸送層の厚さとしては、5nm〜50nmであることが好ましく、10nm〜40nmであることが更に好ましい。また、正孔注入層の厚さとしては、0.5nm〜300nmであることが好ましく、1nm〜200nmであることが更に好ましい。
正孔注入層、正孔輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0068】
(電子注入層、電子輸送層)
電子注入層、電子輸送層は、陰極又は陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。電子注入層、電子輸送層は、具体的には、トリアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、フルオレノン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フルオレニリデンメタン誘導体、ジスチリルピラジン誘導体、ナフタレン及びペリレン等の芳香環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン誘導体、8−キノリノール誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾールやベンゾチアゾールを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体、有機シラン誘導体、等を含有する層であることが好ましい。
【0069】
電子注入層、電子輸送層の厚さは、駆動電圧を下げるという観点から、各々50nm以下であることが好ましい。
電子輸送層の厚さとしては、5nm〜50nmであることが好ましく、10nm〜50nmであることが更に好ましい。また、電子注入層の厚さとしては、0.1nm〜50nmであることが好ましく、0.5〜20nmであることが更に好ましい。
電子注入層、電子輸送層は、上述した材料の1種又は2種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
電子輸送層が発光層に隣接する層である場合には、耐久性向上の観点から、当該層を構成する材料としては、イオン化ポテンシャルが6.0eV以下のものが用いられる。
【0070】
(基板)
本発明で使用する基板としては、有機化合物層から発せられる光を散乱又は減衰させない基板であることが好ましい。その具体例としては、ジルコニア安定化イットリウム(YSZ)、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の有機材料が挙げられる。
例えば、基板としてガラスを用いる場合、その材質については、ガラスからの溶出イオンを少なくするため、無アルカリガラスを用いることが好ましい。また、ソーダライムガラスを用いる場合には、シリカなどのバリアコートを施したものを使用することが好ましい。有機材料の場合には、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
【0071】
基板の形状、構造、大きさ等については、特に制限はなく、発光素子の用途、目的等に応じて適宜選択することができる。一般的には、基板の形状としては、板状であることが好ましい。基板の構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、また、単一部材で形成されていてもよいし、2以上の部材で形成されていてもよい。
【0072】
基板は、無色透明であっても、有色透明であってもよいが、有機発光層から発せられる光を散乱又は減衰等させることがない点で、無色透明であることが好ましい。
【0073】
基板には、その表面又は裏面に透湿防止層(ガスバリア層)を設けることができる。
透湿防止層(ガスバリア層)の材料としては、窒化珪素、酸化珪素などの無機物が好適に用いられる。透湿防止層(ガスバリア層)は、例えば、高周波スパッタリング法などにより形成することができる。
熱可塑性基板を用いる場合には、更に必要に応じて、ハードコート層、アンダーコート層などを設けてもよい。
【0074】
(電極)
<陽極>
陽極は、通常、有機化合物層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。前述のごとく、陽極は、通常透明陽極として設けられる。
【0075】
陽極の材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、導電性化合物、又はこれらの混合物が好適に挙げられ、仕事関数が4.0eV以上の材料が好ましい。陽極材料の具体例としては、アンチモンやフッ素等をドープした酸化錫(ATO、FTO)、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウム錫(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)等の導電性金属酸化物、金、銀、クロム、ニッケル等の金属、さらにこれらの金属と導電性金属酸化物との混合物又は積層物、ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料、及びこれらとITOとの積層物などが挙げられる。この中で好ましいのは、導電性金属酸化物であり、特に、生産性、高導電性、透明性等の点からはITOが好ましい。
【0076】
陽極は、例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、陽極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って、前記基板上に形成することができる。例えば、陽極の材料として、ITOを選択する場合には、陽極の形成は、直流又は高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法等に従って行うことができる。
【0077】
本発明の有機電界発光素子において、陽極の形成位置としては特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができる。が、前記基板上に形成されるのが好ましい。この場合、陽極は、基板における一方の表面の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
【0078】
なお、陽極を形成する際のパターニングとしては、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、また、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
【0079】
陽極の厚みとしては、陽極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常、10nm〜50μm程度であり、20nm〜20μmが好ましい。
【0080】
陽極の抵抗値としては、103Ω/□以下が好ましく、102Ω/□以下がより好ましい。陽極が透明である場合は、無色透明であっても、有色透明であってもよい。透明陽極側から発光を取り出すためには、その透過率としては、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。
【0081】
なお、透明陽極については、沢田豊監修「透明電極膜の新展開」シーエムシー刊(1999)に詳述があり、ここに記載される事項を本発明に適用することができる。耐熱性の低いプラスティック基材を用いる場合は、ITO又はIZOを使用し、150℃以下の低温で成膜した透明陽極が好ましい。
【0082】
<陰極>
陰極は、通常、有機化合物層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
【0083】
陰極を構成する材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられ、仕事関数が4.5eV以下のものが好ましい。具体例としてはアルカリ金属(たとえば、Li、Na、K、Cs等)、アルカリ土類金属(たとえばMg、Ca等)、金、銀、鉛、アルミニウム、ナトリウム−カリウム合金、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−銀合金、インジウム、イッテルビウム等の希土類金属、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいが、安定性と電子注入性とを両立させる観点からは、2種以上を好適に併用することができる。
【0084】
これらの中でも、陰極を構成する材料としては、電子注入性の点で、アルカリ金属やアルカリ土類金属が好ましく、保存安定性に優れる点で、アルミニウムを主体とする材料が好ましい。
アルミニウムを主体とする材料とは、アルミニウム単独、アルミニウムと0.01〜10質量%のアルカリ金属又はアルカリ土類金属との合金若しくはこれらの混合物(例えば、リチウム−アルミニウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金など)をいう。
【0085】
なお、陰極の材料については、特開平2−15595号公報、特開平5−121172号公報に詳述されており、これらの広報に記載の材料は、本発明においても適用することができる。
【0086】
陰極の形成方法については、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、前記した陰極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って形成することができる。例えば、陰極の材料として、金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って行うことができる。
【0087】
陰極を形成するに際してのパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等をして行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
【0088】
本発明において、陰極形成位置は特に制限はなく、有機化合物層上の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。
また、陰極と前記有機化合物層との間に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物、酸化物等による誘電体層を0.1nm〜5nmの厚みで挿入してもよい。この誘電体層は、一種の電子注入層と見ることもできる。誘電体層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成することができる。
【0089】
陰極の厚みは、陰極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜5μm程度であり、20nm〜1μmが好ましい。
また、陰極は、透明であってもよいし、不透明であってもよい。なお、透明な陰極は、陰極の材料を1nm〜20nmの厚さに薄く成膜し、更にITOやIZO等の透明な導電性材料を積層することにより形成することができる。
【0090】
(保護層)
本発明において、有機EL素子全体は、保護層によって保護されていてもよい。
保護層に含まれる材料としては、水分や酸素等の素子劣化を促進するものが素子内に入ることを抑止する機能を有しているものであればよい。
その具体例としては、In、Sn、Pb、Au、Cu、Ag、Al、Ti、Ni等の金属、MgO、SiO、SiO2、Al23、GeO、NiO、CaO、BaO、Fe23、Y23、TiO2等の金属酸化物、SiNx、SiNxy等の金属窒化物、MgF2、LiF、AlF3、CaF2等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリウレア、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリジクロロジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンとジクロロジフルオロエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンと少なくとも1種のコモノマーとを含むモノマー混合物を共重合させて得られる共重合体、共重合主鎖に環状構造を有する含フッ素共重合体、吸水率1%以上の吸水性物質、吸水率0.1%以下の防湿性物質等が挙げられる。
【0091】
保護層の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、コーティング法、印刷法、転写法を適用できる。
【0092】
(封止)
さらに、本発明の有機電界発光素子は、封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。
また、封止容器と発光素子の間の空間に水分吸収剤又は不活性液体を封入してもよい。水分吸収剤としては、特に限定されることはないが、例えば、酸化バリウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、五酸化燐、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化銅、フッ化セシウム、フッ化ニオブ、臭化カルシウム、臭化バナジウム、モレキュラーシーブ、ゼオライト、酸化マグネシウム等を挙げることができる。不活性液体としては、特に限定されることはないが、例えば、パラフィン類、流動パラフィン類、パーフルオロアルカンやパーフルオロアミン、パーフルオロエーテル等のフッ素系溶剤、塩素系溶剤、シリコーンオイル類が挙げられる。
【0093】
(駆動)
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の有機電界発光素子の駆動方法については、特開平2−148687号公報、同6−301355号公報、同5−29080号公報、同7−134558号公報、同8−234685号公報、同8−241047号公報、特許第2784615号公報、米国特許5828429号公報、同6023308号公報等に記載の駆動方法を適用することができる。
【0094】
(用途)
本発明の有機EL素子の用途は特に限定されないが、携帯電話ディスプレイ、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、コンピュータディスプレイ、自動車の情報ディスプレイ、TVモニター、あるいは一般照明等広い分野に適用できる。
【実施例】
【0095】
以下に、本発明の有機EL素子の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0096】
(燐光発光材料の三重項エネルギー準位の測定)
始めに、実施例に用いた燐光発光材料の三重項エネルギー準位の測定方法および測定結果を説明する。
測定方法:
(1)ホスト材料に燐光発光材料をドープした膜を石英基板上に成膜して測定用試料を作製する。
(2)分光蛍光光度計F7000(日立ハイテク製)を用い、該石英基板を液体窒素にて冷却、励起光を当て、燐光を発光させる。得られる燐光のスペクトルから三重項エネルギー準位を求める。
【0097】
下記材料について測定結果、青色発光材料B1の三重項エネルギー準位が65kcal/molであるのに対して、緑色発光材料G1の三重項エネルギー準位は56kcal/mol、赤色発光材料R1の三重項エネルギー準位は48kcal/molであり、青色発光材料B1に比べて、緑色発光材料G1と赤色発光材料R1の三重項エネルギー準位は、9kcal/mol〜17kcal/mol低い。
【0098】
【化19】

【0099】
実施例1
1.有機EL素子の作製
(本発明の有機EL素子1の作製)
0.5mm厚み、2.5cm角の酸化インジウム錫(ITOと略記)を100nmの厚みに蒸着したガラス基板(ジオマテック(株)製、表面抵抗10Ω/□)を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。この透明陽極上に真空蒸着法にて以下の層を蒸着した。本発明の実施例における蒸着速度は特に断りのない場合は0.2nm/秒である。蒸着速度は水晶振動子を用いて測定した。以下に記載の膜厚も水晶振動子を用いて測定したものである。
【0100】
正孔注入層:4,4',4''−トリス(2−ナフチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(2−TNATAと略記する)と2−TNATAに対して0.3質量%の2,3,5,6−テトラフルオロ−7,7,8,8−テトラシアノキノジメタン(F4−TCNQと略記する)を共蒸着した。厚みは160nmであった。
正孔輸送層:N,N'−ジナフチル−N,N’−ジフェニル−[1,1'−ビフェニル]−4,4'−ジアミン(α−NPDと略記する)と厚み7nmに蒸着し、更に、その上に下記正孔輸送剤1を厚み3nmに蒸着した。
【0101】
発光層:1,3−bis(carbazol−9−yl)benzene(mCPと略記)、電子輸送性発光材料B1、三重項エネルギー準位が低い発光材料G1、及び三重項エネルギー準位が小さな発光材料R1の4元蒸着を行った。mCPに対して、電子輸送性発光材料B1、発光材料G1、及び発光材料R1の共蒸着比率を蒸着進行とともに変更した。発光層の膜厚は60nmとした。
・電子輸送性発光材料B1の混合比率は、蒸着当初の正孔輸送層に近接した領域ではmCPに対して0質量%で、蒸着終了段階の電子輸送層と近接する領域では30質量%となるように蒸着速度を調整した。これらの領域の間では連続的に各成分の混合比率を変化させた。
・発光材料G1は、発光層の正孔輸送層と隣接する側の10nmの領域にmCPに対して15質量%となるように蒸着した。
・発光材料R1は、発光層の正孔輸送層と隣接する側の10nmの領域にmCPに対して15質量%となるように蒸着した。
【0102】
続いて、発光層の上に、下記の電子輸送層、および電子注入層を設けた。
電子輸送層:bis−(2−methyl−8−quinolinolate)−4−(phenylphenolate)aluminium(BAlqと略記する)を厚み40nmに蒸着した。
電子注入層:LiF、厚み1nm。
【0103】
さらに、シャドウマスクによりパターニングして陰極として厚み100nmのAlを設けた。
各層はいずれも抵抗加熱真空蒸着により設けた。
【0104】
作製した積層体を、窒素ガスで置換したグロ−ブボックス内に入れ、ガラス製の封止缶および紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ製)を用いて封止した。
【0105】
(本発明の有機EL素子2の作製)
有機EL素子1において、発光層を下記に変更した。
発光層:mCP、電子輸送性発光材料B1、三重項エネルギー準位が低い発光材料G1、及び三重項エネルギー準位が低い発光材料R1の4元蒸着を行った。mCPに対して、電子輸送性発光材料B1、発光材料G1、及び発光材料R1の共蒸着比率を蒸着進行とともに変更した。発光層の膜厚は60nmとした。
・電子輸送性発光材料B1の混合比率は、蒸着当初の正孔輸送層に近接した領域ではmCPに対して0質量%で、蒸着終了段階の電子輸送層と近接する領域では30質量%となるように蒸着速度を調整した。これらの領域の間では連続的に各成分の混合比率を変化させた。
・発光材料G1は、発光層の正孔輸送層と隣接する側の15nmの領域に、蒸着当初の正孔輸送層に近接した領域ではmCPに対して15質量%で、蒸着終了段階の領域では0質量%となるように蒸着速度を調整した。これらの領域の間では連続的に各成分の混合比率を変化させた。
・発光材料R1は、発光層の正孔輸送層と隣接する側の15nmの領域に、蒸着当初の正孔輸送層に近接した領域ではmCPに対して15質量%で、蒸着終了段階の領域では0質量%となるように蒸着速度を調整した。これらの領域の間では連続的に各成分の混合比率を変化させた。
【0106】
(比較の有機EL素子1の作製)
本発明の有機EL素子1において、発光層を下記に変更した。
発光層:mCP、電子輸送性発光材料B1、三重項エネルギー準位が低い発光材料R1、及び三重項エネルギー準位が小さな発光材料G1の4元蒸着を行った。発光層の全域に渉って、mCPに対する電子輸送性発光材料B1、発光材料G1、及び発光材料R1の共蒸着比率は、それぞれ、15質量%、4質量%、1.5質量%であった。発光層の膜厚は60nmとした。
【0107】
(比較の有機EL素子2の作製)
本発明の有機EL素子1において、発光層を下記に変更した。
発光層:mCP、電子輸送性発光材料B1、三重項エネルギー準位が低い発光材料R1、及び三重項エネルギー準位が小さな発光材料G1の4元蒸着を行った。発光層の全域に渉って、mCPに対する電子輸送性発光材料B1、発光材料G1、及び発光材料R1の共蒸着比率は、それぞれ、15質量%、0.15質量%、0.1質量%であった。発光層の膜厚は60nmとした。
【0108】
(比較の有機EL素子3の作製)
本発明の有機EL素子1において、発光層を下記の2層に変更した。
発光層1:mCP、及びmCPに対して電子輸送性発光材料B1を15質量%を共蒸着した。厚みは30nmとした。
発光層2:mCP、及びmCPに対して発光材料G1を10質量%、発光材料R1を10質量%の共蒸着比率で蒸着した。厚みは30nmとした。
【0109】
実施例に用いた化合物の構造を下記に示す。
【0110】
【化20】

【0111】
2.性能評価結果
得られた比較有機EL素子および本発明の有機EL素子を同一条件で下記の手段によって外部量子効率および駆動耐久性を測定した。
【0112】
《駆動電圧》
輝度1000cd/mに達する直流電圧を駆動電圧とした。
【0113】
《外部量子効率の測定方法》
作製した発光素子をKEITHLEY製ソ−スメジャ−ユニット2400型を用いて、直流電圧を発光素子に印加し、輝度1000cd/mに発光させた。その発光スペクトルと光量をトプコン社製輝度計SR−3を用いて測定し、発光スペクトル、光量と測定時の電流から外部量子効率を計算した。
【0114】
得られた結果を表1に示した。
本発明の素子1,2は、いずれも青色、緑色、赤色の発光が十分に発生し、輝度の高い白色発光を示した。駆動電圧が8.1V,7.9Vと低く、12.4%、12.6%の高い外部量子収率を示した。
一方、比較の素子1は、青色発光が弱く、緑色と赤色の発光からなる黄色〜褐色の発光色であった。また、比較の素子2は、白色発光であったが極めて低い発光効率であった。比較の素子3は、白色発光で発光効率が高いが、駆動電圧が増加した。
【0115】
【表1】

【0116】
実施例2
実施例1において、発光層の電子輸送性発光材料、及び三重項エネルギー準位が低い発光材料として緑色発光材料と赤色発光材料を表2に示す材料に変更し、その他は実施例1と同様にして本発明の素子を作成した。
それぞれの三重項エネルギー準位は、電子輸送性発光材料B2が65kcal/mol、発光材料G2が60kcal/mol、発光材料G3が58kcal/mol、及び発光材料R2が47kcal/molであった。従って、電子輸送性発光材料B1、B2に対して、発光材料G1〜G3、及び発光材料R1〜R2は、いずれもその三重項エネルギー準位が5kcal/mol〜18kcal/mol低い。
【0117】
【化21】

【0118】
【表2】

【0119】
実施例1と同様に性能を評価した結果を表2に示した。本発明の素子は、、いずれも実施例1の本発明の素子と同様に、駆動電圧が低く、高い外部量子効率を示した。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】本発明有機EL素子の層構成を示す概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極及び陰極からなる一対の電極と、少なくとも、前記一対の電極間に配置された発光層、前記陽極と前記発光層との間に配置された正孔輸送層、及び前記陰極と前記発光層との間に配置された電子輸送層を有し、
1)前記発光層が、電子輸送性発光材料及び正孔輸送性ホスト材料を含有し、
2)前記電子輸送性発光材料の前記発光層における濃度が、前記発光層の陰極側から陽極側に向けて漸減し、
3)前記発光層中の前記電子輸送性発光材料濃度が減少した領域で、且つ、発光層総厚の1/100以上1/2以下の厚みの領域に、前記電子輸送性発光材料よりも三重項エネルギー準位が低い発光材料を少なくとも1種含有することを特徴とする有機電界発光素子。
【請求項2】
前記電子輸送性発光材料が青色発光材料であり、前記電子輸送性発光材料よりも三重項エネルギー準位が低い発光材料が、緑色発光材料及び赤色発光材料の少なくとも一方である請求項1に記載の有機電界発光素子。
【請求項3】
前記電子輸送性発光材料よりも三重項エネルギー準位が低い発光材料が、緑色発光材料及び赤色発光材料である請求項2に記載の有機電界発光素子。
【請求項4】
前記電子輸送性発光材料よりも三重項エネルギー準位が低い発光材料の濃度が、前記発光層中の前記電子輸送性発光材料よりも三重項エネルギー準位が低い発光材料を含有する領域で、厚み方向で一定である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項5】
前記電子輸送性発光材料よりも三重項エネルギー準位が低い発光材料の濃度が、前記発光層中の前記電子輸送性発光材料よりも三重項エネルギー準位が低い発光材料を含有する領域で、前記発光層の陽極側から陰極側に向けて漸減している請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項6】
前記正孔輸送性ホスト材料の前記発光層における濃度が、前記発光層の陽極側から陰極側に向けて漸減していることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。
【請求項7】
前記電子輸送性発光材料が白金を中心金属とした金属錯体であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の有機電界発光素子。

【図1】
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【公開番号】特開2010−157606(P2010−157606A)
【公開日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−334928(P2008−334928)
【出願日】平成20年12月26日(2008.12.26)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】