説明

有機電界発光素子

【課題】優れた発光特性を備え、高温駆動時の色変化を抑制し、発光効率に優れた有機電界発光素子の提供。有機電界発光素子に有用な組成物及び発光層の提供。更に、本発明の別の目的は有機電界発光素子に有用な、化合物の成膜方法を提供すること。そして、本発明の別の目的は有機電界発光素子を含む発光装置及び照明装置を提供すること。
【解決手段】基板上に、一対の電極と、該電極間に発光層を有する有機電界発光素子であって、前記発光層に以下の一般式(1)で表される化合物と、特定のイリジウム錯体とを含有することを特徴とする有機電界発光素子。


(一般式(1)中、Czは置換若しくは無置換のアリールカルバゾリル基又はカルバゾリルアリーレン基を表す。Lは単結合、置換若しくは無置換のアリーレン基、置換若しくは無置換のシクロアルキレン基、又は置換若しくは無置換の芳香族へテロ環を表す。Aは置換若しくは無置換の6員の窒素含有芳香族へテロ環であり、p、qはそれぞれ独立に1〜6の整数を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光素子(以下、「素子」、「有機EL素子」ともいう)に関し、特に高輝度での耐久性に優れた有機電界発光素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機電界発光素子は、低電圧駆動で高輝度の発光が得られることから、近年活発な研究開発が行われている。一般に有機電界発光素子は、発光層を含む有機層及び該層を挟んだ一対の電極から構成されており、陰極から注入された電子と陽極から注入された正孔が発光層において再結合し、生成した励起子のエネルギーを発光に利用するものである。
【0003】
近年、燐光発光材料を用いることにより、素子の高効率化が進んでいる。例えば特許文献1には燐光発光材料としてイリジウム錯体や白金錯体などを用い、発光効率及び耐熱性が向上した有機電界発光素子が開示されている。
また、発光材料をホスト材料中にドープした発光層を用いるドープ型素子が広く採用されている。
ホスト材料の開発も盛んに行われており、例えば特許文献2には高効率及び長寿命の素子の作製を目的として、芳香族多環縮環系材料をホスト材料に用いる発明が開示されているが、発光効率、高温駆動時の耐久性は十分ではなく、更に、ディスプレイや照明用途を考えた場合、駆動に伴い色度が変化する問題があり、改善が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第05/085387号
【特許文献2】特開2009−99783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に記載があるように、酸化に弱いカルバゾール基を有する材料を用いることは、素子の耐久性にとって好ましくないことが知られており、本発明の態様はその常識に照らした場合、耐久性の向上に効果があることは期待できなかった。また、イリジウム錯体系の燐光材料においても、錯体材料の宿命である配位子の離脱を契機とする分解、消光材の生成が素子性能を悪化することが推定され、実用に供するには困難が伴うことが知られている。
しかしながら、本発明者らは、カルバゾール基を含む本発明のホスト材料を、特定のイリジウム錯体材料と組み合わせた場合に、耐久性向上効果が発現することを見出した。
また、従来、駆動電圧の上昇や効率の低下と共に駆動に伴う色度の変化は評価項目として挙げられてきた。また、環境温度も室温から(主に加速試験の意味で)高温での評価もなされてきた。しかしながら、高温駆動時に低温よりも色度の変化量が大きくなることは注目されてなかった。近年、ディスプレイやパネル、照明用途など有機電界発光素子の用途が拡大しており、80℃以上の高温にもなりうる車載パネル用途などを考えた場合、高温駆動時の色度の変化は重要な問題になることが予想される。
すなわち、本発明の目的は、優れた発光特性を備え、高温駆動時の色変化を抑制し、発光効率に優れた有機電界発光素子の提供にある。
また、本発明の別の目的は有機電界発光素子に有用な組成物及び発光層を提供することである。更に、本発明の別の目的は有機電界発光素子に有用な、化合物の成膜方法を提供することである。そして、本発明の別の目的は有機電界発光素子を含む発光装置及び照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は下記の手段により達成された。
〔1〕
基板上に、一対の電極と、該電極間に発光層を有する有機電界発光素子であって、前記発光層に以下の一般式(1)で表される化合物と、一般式(T−1)で表される化合物とを含有することを特徴とする有機電界発光素子。
【0007】
【化1】

【0008】
一般式(1)中、Czは置換若しくは無置換のアリールカルバゾリル基又はカルバゾリルアリール基を表す。Lは単結合、置換若しくは無置換のアリーレン基、置換若しくは無置換のシクロアルキレン基、又は置換若しくは無置換の芳香族へテロ環を表す。Aは置換若しくは無置換の窒素含有芳香族へテロ6員環であり、p、qはそれぞれ独立に1〜6の整数である。
【0009】
【化2】

【0010】
(一般式(T−1)中、R’はアルキル基、ヘテロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
はアリール基又はヘテロアリール基を表し、更に非芳香族基により置換されていてもよい。
Qは、Irに対して配位される少なくとも1つの窒素原子を有する芳香族複素環又は縮合芳香族複素環を表し、更に非芳香族基により置換されていてもよい。
、R及びRは、水素原子、アルキル基、−CN、−CF、−C2n+1、−NR、−OR、フッ素原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基を有していてもよい。
とRは互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、シクロへテロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基Zを有していてもよい。
’とRは、−CR−CR−、−CR=CR−、−CR−、−O−、−NR−、−O−CR−、−NR−CR−及びN=CR−から選択される連結基によって連結されて環を形成してもよく、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
Zはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、−R’、−OR’、−N(R’)、−SR’、−C(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)N(R’)、−CN、−NO、−SO、−SOR’、−SOR’、又はSOR’を表し、R’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
(X−Y)は、補助配位子を表す。
mは1〜3の整数。nは0〜2の整数を表す。
m+nは3である。)
〔2〕
一般式(1)で表される化合物が、一般式(2)で表される化合物である〔1〕に記載の有機電界発光素子。
【0011】
【化3】

【0012】
(一般式(2)中、Czは置換若しくは無置換のアリールカルバゾリル基又はカルバゾリルアリール基基を表す。Lは、単結合、置換若しくは無置換のアリール、置換若しくは無置換のシクロアルキレン基又は置換若しくは無置換の芳香族ヘテロ環を表し、Ar、Ar、X、X又はXの炭素原子と連結する。Ar及びArはそれぞれ独立に置換又は無置換のアリール、X、X及びXはそれぞれ独立に窒素原子又は置換基を有してもよい炭素原子を表す。p及びqはそれぞれ独立に1〜6の整数を表す。)
〔3〕
一般式(1)で表される化合物が、一般式(3)で表される化合物である〔2〕に記載の有機電界発光素子。
【0013】
【化4】

【0014】
(一般式(3)中、X及びXはそれぞれ独立に窒素原子又は置換基を有してもよい炭素原子を表し、X及びXのいずいれか一方は窒素であり、他方は置換基を有してもよい炭素原子を表す。L’は、単結合、置換若しくは無置換のアリール、置換若しくは無置換のシクロアルキレン基又は置換若しくは無置換の芳香族ヘテロ環を表す。R〜Rはそれぞれ独立に置換基を表し、n1〜n5はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、p’及びq’はそれぞれ独立に1〜4の整数を表す。)
〔4〕
前記一般式(1)におけるA、前記一般式(2)におけるX〜Xを含む環、又は前記一般式(3)におけるX及びXを含む環がピリジン又はピリミジンを表す〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の有機電界発光素子。
〔5〕
前記一般式(1)におけるA、前記一般式(2)におけるX〜Xを含む環、又は前記一般式(3)におけるX及びXを含む環がピリミジンを表す〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の有機電界発光素子。
〔6〕
前記一般式(T−1)で表される化合物が、下記一般式(T−2)で表される化合物である〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【0015】
【化5】

【0016】
(一般式(T−2)中、R’はアルキル基、ヘテロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
’〜R’は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
’とR’、R’とR’、及びR’とR’はそれぞれ独立に、互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、シクロへテロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基Zを有していてもよい。
’とRは、−CR−CR−、−CR=CR−、−CR−、−O−、−NR−、−O−CR−、−NR−CR−及びN=CR−から選択される連結基によって連結されて環を形成してもよく、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
はアリール基又はヘテロアリール基を表し、更に非芳香族基により置換されていてもよい。
、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、−CN、−CF、−C2n+1、−NR、−OR、フッ素原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
とRは互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、シクロへテロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基Zを有していてもよい。
Zはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、−R’、−OR’、−N(R’)、−SR’、−C(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)N(R’)、−CN、−NO、−SO、−SOR’、−SOR’、又はSOR’を表し、R’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
(X−Y)は、補助配位子を表す。
mは1〜3の整数。nは0〜2の整数を表す。
m+nは3である。)
〔7〕
前記一般式(T−2)が下記一般式(T−3)で表される化合物である〔6〕に記載の有機電界発光素子。
【0017】
【化6】

【0018】
(一般式(T−3)中、R’は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
’’及びR’’は水素原子を表すか、又は互いに結合して縮合4〜7員環式基を形成し、該縮合4〜7員環式基は、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールである。
、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、−CN、−CF、−C2n+1、−NR、−OR、フッ素原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
とRは互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、シクロへテロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基Zを有していてもよい。
Zはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、−R’、−OR’、−N(R’)、−SR’、−C(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)N(R’)、−CN、−NO、−SO、−SOR’、−SOR’、又はSOR’を表し、R’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
(X−Y)は、補助配位子を表す。
mは1〜3の整数。nは0〜2の整数を表す。
m+nは3である。)
〔8〕
前記一般式(T−3)で表される化合物が下記一般式(T−4)で表される化合物である〔7〕に記載の有機電界発光素子。
【0019】
【化7】

【0020】
(一般式(T−4)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−CN、−CF、−C2n+1、トリフルオロビニル基、−COR、−C(O)R、−NR、−NO、−OR、ハロゲン原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
Zはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、−R’、−OR’、−N(R’)、−SR’、−C(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)N(R’)、−CN、−NO、−SO、−SOR’、−SOR’、又はSOR’を表し、R’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
(X−Y)は、補助配位子を表す。
mは1〜3の整数。nは0〜2の整数を表す。
m+nは3である。)
〔9〕
前記(X−Y)がアセチルアセトネート(acac)、ピコリネート(pic)、及びこれらの誘導体のいずれかである〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の有機電界発光素子。〔10〕
〔1〕に記載の一般式(1)で表される化合物と一般式(T−1)で表される化合物とを含有する組成物。
〔11〕
〔1〕に記載の一般式(1)で表される化合物と一般式(T−1)で表される化合物とを含有する発光層。
〔12〕
〔1〕に記載の一般式(1)で表される化合物と一般式(T−1)で表される化合物とを同時に加熱することにより昇華させて成膜することを特徴とする成膜方法。
〔13〕
〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の有機電界発光素子を用いた発光装置。
〔14〕
〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の有機電界発光素子を用いた表示装置。
〔15〕
〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の有機電界発光素子を用いた照明装置。
【発明の効果】
【0021】
本発明の有機電界発光素子は、低い消費電力と高い外部量子効率を有し、かつ耐久性に優れる。また、高温駆動時の色度変化が小さく、車載用途など高温環境での駆動耐久性が求められる用途においても、安定した性能を発揮し得る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る有機EL素子の層構成の一例(第1実施形態)を示す概略図である。
【図2】本発明に係る発光装置の一例(第2実施形態)を示す概略図である。
【図3】本発明に係る照明装置の一例(第3実施形態)を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
下記、一般式(1)〜(3)及び一般式(T-1)〜(T-4)の説明における水素原子は同位体(重水素原子等)も含み、また更に置換基を構成する原子は、その同位体も含んでいることを表す。
本発明において、上記アルキル基等の置換基の「炭素数」とは、アルキル基等の置換基が他の置換基によって置換されてもよい場合も含み、当該他の置換基の炭素数も包含する意味で用いる。
また、「ヘテロアルキル」基とは少なくとも1つの炭素がO、NR、又はSに置き換わ
ったアルキル基をいう。
【0024】
本発明の有機電界発光素子は、基板上に、一対の電極と、該電極間に発光層を有する有機電界発光素子であって、前記発光層に以下の一般式(1)で表される化合物と、一般式(T−1)で表される化合物とを含有する。
【0025】
以下、一般式(1)で表される化合物について説明する。
【0026】
【化8】

【0027】
一般式(1)中、Czは置換若しくは無置換のアリールカルバゾリル基又はカルバゾリルアリール基、Lは単結合、置換若しくは無置換のアリーレン基、置換若しくは無置換のシクロアルキレン基、又は置換若しくは無置換の芳香族へテロ環、Aは置換若しくは無置換の窒素含有芳香族へテロ6員環であり、p、qはそれぞれ独立に1〜6の整数である。
【0028】
一般式(1)について説明する。
Czは、置換若しくは無置換のアリールカルバゾリル基又はカルバゾリルアリール基である。
アリールカルバゾリル基及びカルバゾリルアリール基におけるアリール基は、炭素数6〜30が好ましく、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、ナフタセニル基、ピレニル基、フルオレニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等が挙げられ、これらのうち、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、ターフェニル基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基がより好ましい。
アリールカルバゾリル基及びカルバゾリルアリール基におけるカルバゾール環(カルバゾリル基)上でのアリール基の置換位置は、特に限定されないが、化学的安定性やキャリア輸送性の観点から、アリール基がカルバゾール環の2位、3位、6位、7位又は9位に置換していることが好ましく、カルバゾール環の3位、6位又は9位に置換していることがより好ましく、カルバゾール環の9位(N位)に置換していることが最も好ましい。
Czがアリールカルバゾリル基の場合、特に限定されないが、化学的安定性やキャリア輸送性の観点から、の観点から、アリールカルバゾリル基のカルバゾール環の2位、3位、6位、7位又は9位(N位)でLと連結することが好ましく、カルバゾール環の3位、6位位又は9位(N位)でLと連結することがより好ましく、カルバゾール環の9位(N位)でLと連結することが最も好ましい。
また、Czとしてはカルバゾリルアリール基であることが好ましい。
【0029】
Aは、置換若しくは無置換の窒素含有ヘテロ芳香族6員環であり、好ましくは炭素数2〜40の窒素含有ヘテロ芳香族6員環である。Aは複数の置換基を有してもよく、置換基が互いに結合して環を形成してもよい。
窒素含有ヘテロ芳香族6員環又は窒素含有ヘテロ芳香族6員環を含む窒素含有ヘテロ芳香族環としては、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、アザインドリジン、インドリジン、プリン、プテリジン、β−カルボリン、ナフチリジン、キノキサリン、ターピリジン、ビピリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、イミダゾピリジン等が挙げられ、これらのうち、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジンがより好ましく、ピリジン、ピリミジンが更に好ましく、ピリミジンが最も好ましい。
【0030】
Lは、単結合、置換若しくは無置換のアリーレン基、置換若しくは無置換のシクロアルキレン基、置換若しくは無置換のヘテロ芳香族環である。
アリーレン基としては、炭素数6〜30のアリーレン基が好ましく、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、ナフチレン基、アントラニレン基、フェナンスリレン基、ビレニレン基、クリセニレン基、フルオランテニレン基、パーフルオロアリーレン基等が挙げられ、これらのうちフェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基、パーフルオロアリーレン基が好ましく、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニレン基がより好ましく、フェニレン基、ビフェニレン基が更に好ましい。
シクロアルキレン基としては、炭素数5〜30のシクロアルキレン基が好ましく、例えばシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基などが挙げられ、これらのうちシクロペンチレン基、シクロヘキシレン基が好ましく、シクロへキシレン基がより好ましい。
ヘテロ芳香族環としては、炭素数2〜30のヘテロ芳香族環が好ましく、1−ピロリル基、2−ピロリル基、3−ピロリル基、ピラジニル基、2−ピリジニル基、3−ピリジニル基、4−ピリジニル基、1−インドリル基、2−インドリル基、3−インドリル基、4−インドリル基、5−インドリル基、6−インドリル基、7−インドリル基、1−イソインドリル基、2−イソインドリル基、3−イソインドリル基、4−イソインドリル基、5−イソインドリル基、6−イソインドリル基、7−イソインドリル基、2−フリル基、3−フリル基、2−ベンゾフラニル基、3−ベンゾフラニル基、4−ベンゾフラニル基、5−ベンゾフラニル基、6−ベンゾフラニル基、7−ベンゾフラニル基、1−イソベンゾフラニル基、3−イソベンゾフラニル基、4−イソベンゾフラニル基、5−イソベンゾフラニル基、6−イソベンゾフラニル基、7−イソベンゾフラニル基、2−キノリル基、3−キノリル基、4−キノリル基、5−キノリル基、6−キノリル基、7−キノリル基、8−キノリル基、1−イソキノリル基、3−イソキノリル基、4−イソキノリル基、5−イソキノリル基、6−イソキノリル基、7−イソキノリル基、8−イソキノリル基、2−キノキサリニル基、5−キノキサリニル基、6−キノキサリニル基、1−カルバゾリル基、2−カルバゾリル基、3−カルバゾリル基、4−カルバゾリル基、9−カルバゾリル基、1−フェナンスリジニル基、2−フェナンスリジニル基、3−フェナンスリジニル基、4−フェナンスリジニル基、6−フェナンスリジニル基、7−フェナンスリジニル基、8−フェナンスリジニル基、9−フェナンスリジニル基、10−フェナンスリジニル基、1−アクリジニル基、2−アクリジニル基、3−アクリジニル基、4−アクリジニル基、9−アクリジニル基、1,7−フェナンスロリン−2−イル基、1,7−フェナンスロリン−3−イル基、1,7−フェナンスロリン−4−イル基、1,7−フェナンスロリン−5−イル基、1,7−フェナンスロリン−6−イル基、1,7−フェナンスロリン−8−イル基、1,7−フェナンスロリン−9−イル基、1,7−フェナンスロリン−10−イル基、1,8−フェナンスロリン−2−イル基、1,8−フェナンスロリン−3−イル基、1,8−フェナンスロリン−4−イル基、1,8−フェナンスロリン−5−イル基、1,8−フェナンスロリン−6−イル基、1,8−フェナンスロリン−7−イル基、1,8−フェナンスロリン−9−イル基、1,8−フェナンスロリン−10−イル基、1,9−フェナンスロリン−2−イル基、1,9−フェナンスロリン−3−イル基、1,9−フェナンスロリン−4−イル基、1,9−フェナンスロリン−5−イル基、1,9−フェナンスロリン−6−イル基、1,9−フェナンスロリン−7−イル基、1,9−フェナンスロリン−8−イル基、1,9−フェナンスロリン−10−イル基、1,10−フェナンスロリン−2−イル基、1,10−フェナンスロリン−3−イル基、1,10−フェナンスロリン−4−イル基、1,10−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−1−イル基、2,9−フェナンスロリン−3−イル基、2,9−フェナンスロリン−4−イル基、2,9−フェナンスロリン−5−イル基、2,9−フェナンスロリン−6−イル基、2,9−フェナンスロリン−7−イル基、2,9−フェナンスロリン−8−イル基、2,9−フェナンスロリン−10−イル基、2,8−フェナンスロリン−1−イル基、2,8−フェナンスロリン−3−イル基、2,8−フェナンスロリン−4−イル基、2,8−フェナンスロリン−5−イル基、2,8−フェナンスロリン−6−イル基、2,8−フェナンスロリン−7−イル基、2,8−フェナンスロリン−9−イル基、2,8−フェナンスロリン−10−イル基、2,7−フェナンスロリン−1−イル基、2,7−フェナンスロリン−3−イル基、2,7−フェナンスロリン−4−イル基、2,7−フェナンスロリン−5−イル基、2,7−フェナンスロリン−6−イル基、2,7−フェナンスロリン−8−イル基、2,7−フェナンスロリン−9−イル基、2,7−フェナンスロリン−10−イル基、1−フェナジニル基、2−フェナジニル基、1−フェノチアジニル基、2−フェノチアジニル基、3−フェノチアジニル基、4−フェノチアジニル基、10−フェノチアジニル基、1−フェノキサジニル基、2−フェノキサジニル基、3−フェノキサジニル基、4−フェノキサジニル基、10−フェノキサジニル基、2−オキサゾリル基、4−オキサゾリル基、5−オキサゾリル基、2−オキサジアゾリル基、5−オキサジアゾリル基、3−フラザニル基、2−チエニル基、3−チエニル基、2−メチルピロール−1−イル基、2−メチルピロール−3−イル基、2−メチルピロール−4−イル基、2−メチルピロール−5−イル基、3−メチルピロール−1−イル基、3−メチルピロール−2−イル基、3−メチルピロール−4−イル基、3−メチルピロール−5−イル基、2−t−ブチルピロール−4−イル基、3−(2−フェニルプロピル)ピロール−1−イル基、2−メチル−1−インドリル基、4−メチル−1−インドリル基、2−メチル−3−インドリル基、4−メチル−3−インドリル基、2−t−ブチル−1−インドリル基、4−t−ブチル−1−インドリル基、2−t−ブチル−3−インドリル基、4−t−ブチル−3−インドリル基等が挙げられ、これらのうち、ピリジニル基、キノリル基、インドリル基、カルバゾリル基が好ましく、ピリジニル基、カルバゾリル基がより好ましい。
Lとしては、単結合、フェニレン基、ビフェニレン基、シクロへキシレン基、シクロへキシレン基、ピリジニル基、カルバゾリル基が好ましく、単結合、フェニレン基、ビフェニレン基がより好ましく、単結合、フェニレン基が更に好ましい。
【0031】
また、上記一般式(1)におけるCz、Aの置換基としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素等のハロゲン原子、カルバゾリル基、ヒドロキシル基、置換若しくは無置換のアミノ基、ニトロ基、シアノ基、シリル基、トリフルオロメチル基、カルボニル基、カルボキシル基、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアリールアルキル基、置換若しくは無置換の芳香族基、置換若しくは無置換の芳香族ヘテロ環基、置換若しくは無置換のアリールオキシ基、置換若しくは無置換のアルキルオキシ基等が挙げられる。これらのうち、フッ素原子、メチル基、パーフルオロフェニレン基、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、アダマンチル基、ベンジル基、ニトロ基、シアノ基、シリル基、トリフルオロメチル基、カルバゾリル基及びこれらのみの組み合わせからなる基が好ましく、フッ素原子、メチル基、フェニル基、ピリジル基、ピリミジル基、シアノ基、シリル基、カルバゾリル基、及びこれらのみの組み合わせからなる基がより好ましく、フェニル基、ピリジル基、ピリミジル基、カルバゾリル基、及びこれらのみの組み合わせからなる基が更に好ましく、フェニル基が最も好ましい。また、置換基を複数有する場合、該置換基は互いに結合して環を形成してもよい。
【0032】
p、qは、それぞれ独立に1〜6の整数であり、それぞれ1〜4であることが好ましく、1〜3であることがより好ましく、1〜2であることが更に好ましい。
【0033】
一般式(1)で表される化合物は、以下の一般式(2)で表される化合物であることがより好ましい。
【0034】
【化9】

【0035】
一般式(2)中、式中、Czは置換若しくは無置換のアリールカルバゾリル基又はカルバゾリルアリール基を表す。Lは単結合、置換若しくは無置換のアリーレン基、置換若しくは無置換のシクロアルキレン基、又は置換若しくは無置換の芳香族へテロ環を表し、Ar、Ar、X、X又はXの炭素原子と連結する。Ar及びArはそれぞれ独立に置換又は無置換のアリール、X、X及びXはそれぞれ独立に窒素原子又は置換基を有してもよい炭素原子を表す。p及びqはそれぞれ独立に1〜6の整数を表す。
【0036】
一般式(2)について説明する。
一般式(2)中、Cz、L、p及びqの定義は、一般式(1)におけるCz、L、p及びqと同様であり、好ましいものも同様である。
Ar、Arはそれぞれ独立に置換又は無置換のアリール基、アリーレン基、又は芳香族へテロ環基である。
アリール基は置換又は無置換の炭素数6〜30のものが好ましく、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、フェナンスリル基、ビレニル基、クリセニル基、フルオランテニル基、パーフルオロアリール基等が挙げられ、これらのうちフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、パーフルオロアリール基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基がより好ましく、フェニル基、ビフェニル基が更に好ましい。
アリーレン基としては置換又は無置換の炭素数6〜30のものが好ましく、具体例や好ましい基は前述の一般式(1)におけるLの説明で挙げたものと同様である。芳香族へテロ環基としては、置換又は無置換の炭素数2〜30のものが好ましく、具体例や好ましい基は前述の一般式(1)におけるLの説明で挙げたものと同様である。これらに置換基が結合する場合、置換基の具体例や好ましい基は前述の一般式(1)におけるCz、Aの置換基として挙げたものと同様である。
、X、Xは、それぞれ独立に、窒素原子若しくは置換基を有してもよい炭素原子を表す。X、X、Xのうち、0〜2個が窒素原子である場合が好ましく、0〜1個が窒素原子である場合がより好ましく、1個が窒素原子である場合が最も好ましい。X、X、Xのいずれかに窒素原子が含まれる場合、X及びXのいずれか一方が窒素原子であることが好ましい。一般式(2)におけるX〜Xを含む環がピリジン又はピリミジンを表すことが好ましく、ピリミジンを表すことがより好ましい。炭素原子に結合する置換基の具体例や好ましい基は前述の一般式(1)におけるCz、Aの置換基として挙げたものと同様である。また、一般式(2)においてLの連結位置は特に限定されないが、化学的安定性やキャリア輸送性の観点からArの炭素原子と連結することが好ましい。
【0037】
一般式(1)で表される化合物は、以下の一般式(3)で表される化合物であることがより好ましい。
【0038】
【化10】

【0039】
一般式(3)中、X、Xはそれぞれ独立に窒素原子若しくは置換基を有してもよい炭素原子を表し、X又はXのいずれか一方は窒素原子であり、他方は置換基を有してもよい炭素原子である。L’は単結合、置換若しくは無置換のアリール基若しくはアリーレン基、置換若しくは無置換のシクロアルキレン基、又は置換若しくは無置換の芳香族へテロ環を表す。R〜Rはそれぞれ独立に置換基を表す。n1〜n5はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。p’、q’はそれぞれ独立に1〜4の整数を表す。
【0040】
一般式(3)について説明する。
、Xはそれぞれ独立に窒素原子若しくは置換基を有してもよい炭素原子を表す。X又はXのいずれか一方は窒素原子であり、他方は置換基を有してもより炭素原子であることが好ましい。一般式(3)におけるX及びXを含む環がピリジン又はピリミジンを表すことが好ましく、ピリミジンを表すことがより好ましい。炭素原子に結合する置換基の具定例や好ましい基は前述の一般式(1)におけるCz、Aの置換基として挙げたものと同様である。
L’の定義は、前述の一般式(1)におけるLと同様であり、好ましい基もLと同様である。L’は、一般式(3)中の含窒素ヘテロ芳香族構造においてベンゼン環と連結している。
〜Rはそれぞれ独立に置換基を表す。置換基の具体例や好ましい基は前述の一般式(1)におけるCz、Aの置換基として挙げたものと同様である。R〜Rが複数のとき、複数のR〜Rはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
n1〜n5はそれぞれ独立に0〜5の整数を表す。それぞれ0〜2であることが好ましく、0〜1であることがより好ましく、0であることが更に好ましい。
p’、q’はそれぞれ独立に1〜4の整数を表す。それぞれ1〜3であることが好ましく、1〜2であることがより好ましい。
【0041】
一般式(1)で表される化合物は、炭素原子、水素原子及び窒素原子のみからなる場合が最も好ましい。
【0042】
一般式(1)で表される化合物の分子量は400以上1000以下であることが好ましく、450以上800以下であることがより好ましく、500以上700以下であることが更に好ましい。
【0043】
一般式(1)で表される化合物の膜状態での最低励起三重項(T)エネルギーは2.61eV(62kcal/mol)以上3.51eV(80kcal/mol)以下であることが好ましく、2.69eV(63.5kcal/mol)以上3.51eV(80kcal/mol)以下であることがより好ましく、2.76eV(65kcal/mol)以上3.51eV(80kcal/mol)であることが更に好ましい。
【0044】
一般式(1)で表される化合物のガラス転移温度(Tg)は80℃以上400℃以下であることが好ましく、100℃以上400℃以下であることがより好ましく、120℃以上400℃以下であることが更に好ましい。
【0045】
一般式(1)が水素原子を有する場合、同位体(重水素原子等)も含む。この場合化合物中の全ての水素原子が同位体に置き換わっていてもよく、また一部が同位体を含む化合物である混合物でもよい。
以下に、一般式(1)で表される化合物の具体例を例示するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記具体例中のPhはフェニル基を表す。
【0046】
【化11】

【0047】
【化12】

【0048】
【化13】

【0049】
【化14】

【0050】
【化15】

【0051】
【化16】

【0052】
【化17】

【0053】
【化18】

【0054】
【化19】

【0055】
【化20】

【0056】
上記一般式(1)で表される化合物として例示した化合物は、国際公開第03/080760号パンフレットに記載の方法や、国際公開第03/078541号パンフレットに記載の方法、国際公開第05/085387号パンフレットに記載の方法等、種々の方法で合成できる。
例えば、上記例示化合物4の化合物は、m−ブロモベンゾアルデヒドを出発原料に用い、国際公開第05/085387号パンフレット段落[0074]−[0075](45頁、11行〜46頁、18行)に記載の方法で合成することができる。上記例示化合物45の化合物は、3,5−ジブロモベンゾアルデヒドを出発原料に用い、国際公開第03/080760号パンフレットの46頁、9行〜46頁、12行に記載の方法で合成することができる。また、上記例示化合物68の化合物は、N−フェニルカルバゾールを出発原料に用い、国際公開第05/022962号パンフレットの137頁、10行〜139頁、9行に記載の方法で合成することができる。
【0057】
本発明において、一般式(1)で表される化合物は、発光層以外のいずれの層に更に含有されてもよい。一般式(1)で表される化合物の導入層としては、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、励起子ブロック層、電荷ブロック層のいずれか、若しくは複数に含有されるのが好ましい。
一般式(1)で表される化合物を発光層中含有させる場合、本発明の一般式(1)で表される化合物は発光層の全質量に対して0.1〜99質量%含ませることが好ましく、1〜95質量%含ませることがより好ましく、10〜95質量%含ませることがより好ましい。一般式(1)で表される化合物を発光層以外の層に更に含有させる場合は、70〜100質量%含まれることが好ましく、85〜100質量%含まれることがより好ましい。
【0058】
〔一般式(T−1)で表される化合物〕
一般式(T−1)で表される化合物について説明する。
【0059】
【化21】

【0060】
(一般式(T−1)中、R’はアルキル基、ヘテロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
はアリール基又はヘテロアリール基を表し、更に非芳香族基により置換されていてもよい。
環Qは、Irに対して配位される少なくとも1つの窒素原子を有する芳香族複素環又は縮合芳香族複素環を表し、更に非芳香族基により置換されていてもよい。
、R及びRは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−CN、−CF、−C2n+1、トリフルオロビニル基、−COR、−C(O)R、−NR、−NO、−OR、ハロゲン原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
とRは互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、シクロへテロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基Zを有していてもよい。
’とRは、−CR−CR−、−CR=CR−、−CR−、−O−、−NR−、−O−CR−、−NR−CR−及びN=CR−から選択される連結基によって連結されて環を形成してもよく、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基又はを表し、更に置換基Zを有していてもよい。
Zはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、−R’、−OR’、−N(R’)、−SR’、−C(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)N(R’)、−CN、−NO、−SO、−SOR’、−SOR’、又はSOR’を表し、R’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
(X−Y)は、補助配位子を表す。
mは1〜3の整数。nは0〜2の整数を表す。
m+nは3である。)
【0061】
一般式(T−1)は、金属としてイリジウム(Ir)を有する錯体であり、高い発光量子収率の観点で優れる。
【0062】
’、R〜Rで表されるアルキル基としては、置換基を有していてもよく、飽和であっても不飽和であってもよく、置換してもよい基としては、後述の置換基Zを挙げることができる。Raで表されるアルキル基として、好ましくは総炭素原子数1〜8のアルキル基であり、より好ましくは総炭素原子数1〜6のアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、i−プロピル基、シクロヘキシル基、t−ブチル基等が挙げられる。
【0063】
’で表されるヘテロアルキル基は前記アルキル基の少なくとも1つの炭素がO、N
R、又はSに置き換わった基を挙げることができる。
【0064】
’、R、R〜Rで表されるアリール基としては、好ましくは、炭素数6から30の置換若しくは無置換のアリール基、例えば、フェニル基、トリル基、ナフチル基等が挙げられる。
【0065】
’、R、R〜Rで表されるヘテロアリール基としては、好ましくは、炭素数5〜8のヘテロアリール基であり、より好ましくは、5又は6員の置換若しくは無置換のヘテロアリール基であり、例えば、ピリジル基、ピラジニル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、トリアジニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、ピロリル基、インドリル基、フリル基、ベンゾフリル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ピラゾリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、トリアゾリル基、オキサゾリル基、ベンズオキサゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、イソチアゾリル基、ベンズイソチアゾリル基、チアジアゾリル基、イソオキサゾリル基、ベンズイソオキサゾリル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、イミダゾリジニル基、チアゾリニル基、スルホラニル基などが挙げられる。
’で表されるヘテロ環基の好ましい例としては、ピリジル基、ピリミジニル基、イミダゾリル基、チエニル基であり、より好ましくは、ピリジル基、ピリミジニル基である。
【0066】
’としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が更に好ましい。
【0067】
はアリール又ヘテロアリールを表し、前記アリール又はヘテロアリールは1以上の非芳香族基によって置換されてもよい。
における非芳香族基としては、アルキル基、アルコキシ基、フルオロ基、シアノ基、アルキルアミノ基、ジアリールアミノ基が好ましく、アルキル基、フルオロ基、シアノ基がより好ましく、アルキル基が更に好ましい。
としてはフェニル基、p−トリル基、ナフチル基が好ましく、フェニル基がより好ましい。
【0068】
、R及びRとして好ましくは、水素原子、アルキル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、ペルフルオロアルキル基、ジアルキルアミノ基、フルオロ基、アリール基、ヘテロアリール基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、シアノ基、トリフルオロメチル基、フルオロ基、アリール基であり、更に好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基である。
3、4、における置換基Zとしては、アルキル基、アルコキシ基、フルオロ基、シアノ基、ジアルキルアミノ基が好ましく、水素原子がより好ましい。
【0069】
環Qが表す芳香族複素環としては、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、オキサジアゾール環、チアゾール環、チアジアゾール環、等が挙げられる。好ましくはピリジン環、ピラジン環であり、より好ましくはピリジン環である。
【0070】
環Qが表す縮合芳香族複素環としては、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環等が挙げられる。好ましくはキノリン環、イソキノリン環であり、より好ましくはキノリン環である。
【0071】
環Qにおける非芳香族基としてはアルキル基、アルコキシ基、フルオロ基、シアノ基、アルキルアミノ基、ジアリールアミノ基が好ましく、アルキル基、フルオロ基、シアノ基がより好ましい。
【0072】
mは1〜3であることが好ましく、2〜3であることがより好ましく、2であることが更に好ましい。
nは0〜1であることが好ましく、1であることがより好ましい。
mが2であってnが1であることがより好ましい。
【0073】
(X−Y)は、補助配位子を示す。これらの配位子は、光活性特性に直接寄与するのではなく、分子の光活性特性を変更することができると考えられているので、「補助」と呼ばれる。光活性及び補助の定義は、非限定的な理論を目的とするものである。例えばIrの場合、二座配位子について、nは0、1又は2でありうる。発光材料において使用される補助配位子を、当業界で公知であるものから選択することができる。補助配位子の非限定的な例は、参照により援用するLamanskyらのPCT出願WO02/15645A1の89〜90頁に記載されている。好ましい補助配位子には、アセチルアセトネート(acac)及びピコリネート(pic)、及びこれらの誘導体が含まれる。本発明においては錯体の安定性と高い発光効率が得られる観点から補助配位子はアセチルアセトネートであることが好ましい。
【0074】
【化22】

【0075】
前記一般式(T−1)で表される化合物は、下記一般式(T−2)で表される化合物であることが好ましい。
【0076】
【化23】

【0077】
(一般式(T−2)中、R’はアルキル基、ヘテロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
’〜R’は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基表し、更に置換基Zを有していてもよい。
’とR’、R’とR’、及びR’とR’はそれぞれ独立に、互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、シクロへテロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基Zを有していてもよい。
’とRは、−CR−CR−、−CR=CR−、−CR−、−O−、−NR−、−O−CR−、−NR−CR−及びN=CR−から選択される連結基によって連結されて環を形成してもよく、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
はアリール基又はヘテロアリール基を表し、更に非芳香族基により置換されていてもよい。
、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−CN、−CF、−C2n+1、トリフルオロビニル基、−COR、−C(O)R、−NR、−NO、−OR、ハロゲン原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
とRは互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、シクロへテロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基Zを有していてもよい。
Zはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、−R’、−OR’、−N(R’)、−SR’、−C(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)N(R’)、−CN、−NO、−SO、−SOR’、−SOR’、又はSOR’を表し、R’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
(X−Y)は、補助配位子を表す。
mは1〜3の整数。nは0〜2の整数を表す。
m+nは3である。)
【0078】
一般式(T−2)におけるR’、R〜R、(X−Y)、m及びnは、一般式(T−1)におけるR’、R〜R、(X−Y)、m及びnと同義であり、好ましいものも同様である。
’〜R’は、R’と同義である。
’は水素原子、アルキル基、アリール基、フルオロ基が好ましく、水素原子がより好ましい。
’及びR’は水素原子を表すか、又は互いに結合して縮合4〜7員環式基を形成することが好ましく、該縮合4〜7員環式基は、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであることがより好ましく、アリールであることが更に好ましい。
’〜R’における置換基Zとしてはアルキル基、アルコキシ基、フルオロ基、シアノ基、アルキルアミノ基、ジアリールアミノ基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
【0079】
前記一般式(T−2)で表される化合物は、下記一般式(T−3)で表される化合物であることが好ましい。
【0080】
【化24】

【0081】
(一般式(T−3)中、R’は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
’’及びR’’は水素原子を表すか、又は互いに結合して縮合4〜7員環式基を形成し、該縮合4〜7員環式基は、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールである。
、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、CN、CF、C2n+1、トリフルオロビニル基、COR、C(O)R、NR、NO、OR、ハロゲン原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
とRは互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、シクロへテロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基Zを有していてもよい。
Zはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、−R’、−OR’、−N(R’)、−SR’、−C(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)N(R’)、−CN、−NO、−SO、−SOR’、−SOR’、又はSOR’を表し、R’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
(X−Y)は、補助配位子を表す。
mは1〜3の整数。nは0〜2の整数を表す。
m+nは3である。)
【0082】
一般式(T−3)におけるR’、R、R、R、(X−Y)、m及びnは、一般式(T−2)におけるR’、R、R、R、(X−Y)、m及びnと同義であり、好ましいものも同様である。
【0083】
’’及びR’’は水素原子を表すか、又は互いに結合して縮合4〜7員環式基を形成することが好ましく、該縮合4〜7員環式基は、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールであることがより好ましく、水素原子を表すか、又はアリールを形成することが更に好ましく、アリールを形成することが特に好ましい。
【0084】
前記一般式(T−2)で表される化合物は、下記一般式(T−4)で表される化合物であることが好ましい。
【0085】
【化25】

【0086】
(一般式(T−4)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、−CN、−CF、−C2n+1、トリフルオロビニル基、−COR、−C(O)R、−NR、−NO、−OR、ハロゲン原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
Zはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、−R’、−OR’、−N(R’)、−SR’、−C(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)N(R’)、−CN、−NO、−SO、−SOR’、−SOR’、又はSOR’を表し、R’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
(X−Y)は、補助配位子を表す。
mは1〜3の整数。nは0〜2の整数を表す。
m+nは3である。)
【0087】
一般式(T−4)におけるR、R、R、(X−Y)、m及びnは、一般式(T−1)におけるR、R、R、(X−Y)、m及びnと同義であり、好ましいものも同様である。
【0088】
一般式(T−1)で表される化合物の具体例を以下に列挙するが、以下に限定されるものではない。
【0089】
【化26】

【0090】
【化27】

【0091】
【化28】

【0092】
【化29】

【0093】
【化30】

【0094】
上記一般式(T−1)で表される化合物として例示した化合物は、特開2009−99783号公報に記載の方法や、米国特許7279232号等に記載の種々の方法で合成できる。例えば、TR−1は、2-クロロメチルキノリンを出発原料として、米国特許7279232号のカラム24、1行〜カラム27、33行に記載の方法で合成することができる。また、TG−1は、2-ブロモ−3-メチルピリジンを出発原料として、米国特許7279232号のカラム29、1行〜カラム31、29行に記載の方法で合成することができる。
【0095】
本発明において、一般式(T−1)で表される化合物は、発光層に含有されるが、その用途が限定されることはなく、有機層内のいずれの層に更に含有されてもよい。
本発明では、高温駆動時の色度変化をより抑えるために、一般式(1)で表される化合物と一般式(T−1)で表される化合物とを発光層に含有される。
一般式(T−1)で表される化合物は発光層の全質量に対して0.1〜30質量%含ませる
ことが好ましく、1〜20質量%含ませることがより好ましく、5〜15質量%含ませることがより好ましい。
【0096】
〔一般式(1)で表される化合物と一般式(T−1)で表される化合物とを含有する組成物〕
本発明は前記一般式(1)で表される化合物と前記一般式(T−1)で表される化合物とを含有する組成物にも関する。
本発明の組成物における一般式(1)で表される化合物の含有量は50〜99質量%であることが好ましく、70〜95質量%であることがより好ましい。
本発明の組成物における一般式(T−1)で表される化合物の含有量は1〜30質量%で
あることが好ましく、5〜15質量%であることがより好ましい。
本発明の組成物における他に含有しても良い成分としては、有機物でも無機物でもよく、有機物としては、後述するホスト材料、蛍光発光材料、燐光発光材料、炭化水素材料として挙げた材料が適用でき、好ましくはホスト材料、炭化水素材料であり、より好ましくは一般式(VI)で表される化合物である。
本発明の組成物は蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法等により有機電界発光素子の有機層を形成することができる。
【0097】
〔有機電界発光素子〕
本発明の素子について詳細に説明する。
本発明の有機電界発光素子は、基板上に、一対の電極と、該電極間に発光層を有する有機電界発光素子であって、前記発光層に以下の一般式(1)で表される化合物と、一般式(T−1)で表される化合物とを含有する。
【0098】
本発明の有機電界発光素子において、発光層は有機層であり、更に複数の有機層を有していてもよい。
発光素子の性質上、陽極及び陰極のうち少なくとも一方の電極は、透明若しくは半透明であることが好ましい。
図1は、本発明に係る有機電界発光素子の構成の一例を示している。図1に示される本発明に係る有機電界発光素子10は、支持基板12上において、陽極4と陰極9との間に発光層6が挟まれている。具体的には、陽極4と陰極9との間に正孔注入層4、正孔輸送層5、発光層6、正孔ブロック層7、及び電子輸送層8がこの順に積層されている。
【0099】
<有機層の構成>
前記有機層の層構成としては、特に制限はなく、有機電界発光素子の用途、目的に応じて適宜選択することができるが、前記透明電極上に又は前記背面電極上に形成されるのが好ましい。この場合、有機層は、前記透明電極又は前記背面電極上の前面又は一面に形成される。
有機層の形状、大きさ、及び厚み等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0100】
具体的な層構成として、下記が挙げられるが本発明はこれらの構成に限定されるものではない。
・陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/陰極、
・陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/ブロック層/電子輸送層/電子注入層/陰極。
有機電界発光素子の素子構成、基板、陰極及び陽極については、例えば、特開2008−270736号公報に詳述されており、該公報に記載の事項を本発明に適用することができる。
【0101】
<基板>
本発明で使用する基板としては、有機層から発せられる光を散乱又は減衰させない基板であることが好ましい。有機材料の場合には、耐熱性、寸法安定性、耐溶剤性、電気絶縁性、及び加工性に優れていることが好ましい。
<陽極>
陽極は、通常、有機層に正孔を供給する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。前述のごとく、陽極は、通常透明陽極として設けられる。
<陰極>
陰極は、通常、有機層に電子を注入する電極としての機能を有していればよく、その形状、構造、大きさ等については特に制限はなく、発光素子の用途、目的に応じて、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。
【0102】
基板、陽極、陰極については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0070〕〜〔0089〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
【0103】
<有機層>
本発明における有機層について説明する。
【0104】
−有機層の形成−
本発明の有機電界発光素子において、各有機層は、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法等いずれによっても好適に形成することができる。
【0105】
(発光層)
<発光材料>
本発明における発光材料は、前記一般式(T−1)で表される化合物であることが好ましい。
【0106】
発光層中の発光材料は、発光層中に一般的に発光層を形成する全化合物質量に対して、0.1質量%〜50質量%含有されるが、耐久性、外部量子効率の観点から1質量%〜50質量%含有されることが好ましく、2質量%〜40質量%含有されることがより好ましい。
【0107】
発光層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、2nm〜500nmであるのが好ましく、中でも、外部量子効率の観点で、3nm〜200nmであるのがより好ましく、5nm〜100nmであるのが更に好ましい。
【0108】
本発明の素子における発光層は、発光材料のみで構成されていても良く、ホスト材料と発光材料の混合層とした構成でも良い。発光材料は蛍光発光材料でも燐光発光材料であっても良く、ドーパントは一種であっても二種以上であっても良い。ホスト材料は電荷輸送材料であることが好ましい。ホスト材料は一種であっても二種以上であっても良く、例えば、電子輸送性のホスト材料とホール輸送性のホスト材料を混合した構成が挙げられる。更に、発光層中に電荷輸送性を有さず、発光しない材料を含んでいても良い。本発明の素子における発光層としては、ホスト材料として一般式(1)で表される化合物と発光材料として一般式(T−1)で表される化合物とを用いたものが好ましい。
また、発光層は一層であっても二層以上の多層であってもよい。発光層が複数の場合、一般式(1)で表される化合物及び(T−1)で表される化合物を二層以上の発光層に含んでもよい。また、それぞれの発光層が異なる発光色で発光してもよい。
本発明は一般式(1)で表される化合物と一般式(T−1)で表される化合物とを含む発光層にも関する。本発明の発光層は有機電界発光素子に用いることができる。
【0109】
<ホスト材料>
本発明に用いるホスト材料は、前記一般式(1)で表される化合物が好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、正孔と電子の両電荷を輸送可能な化合物であり、一般式(T−1)で表される化合物と組み合わせることで、発光層内における正孔と電子の輸送能のバランスが温度や電場などの外部環境により変化することを抑止することができる。これにより、カルバゾール基を有する化合物であるにもかかわらず駆動耐久性を向上させることができる。更に、高温駆動時の色変化を抑制することができる。
【0110】
本発明に用いられるホスト材料として、以下の化合物を更に含有していても良い。例えば、ピロール、インドール、カルバゾール(CBP(4,4'−ジ(9−カルバゾイル)
ビフェニル)など)、アザインドール、アザカルバゾール、トリアゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、イミダゾール、チオフェン、ポリアリールアルカン、ピラゾリン、ピラゾロン、フェニレンジアミン、アリールアミン、アミノ置換カルコン、スチリルアントラセン、フルオレノン、ヒドラゾン、スチルベン、シラザン、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン化合物、ポルフィリン系化合物、ポリシラン系化合物、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アニリン系共重合体、チオフェンオリゴマー、ポリチオフェン等の導電性高分子オリゴマー、有機シラン、カーボン膜、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾ−ル、オキサゾ−ル、オキサジアゾ−ル、フルオレノン、アントラキノジメタン、アントロン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フルオレニリデンメタン、ジスチリルピラジン、フッ素置換芳香族化合物、ナフタレンペリレン等の複素環テトラカルボン酸無水物、フタロシアニン、8−キノリノ−ル誘導体の金属錯体やメタルフタロシアニン、ベンゾオキサゾ−ルやベンゾチアゾ−ルを配位子とする金属錯体に代表される各種金属錯体及びそれらの誘導体(置換基や縮環を有していてもよい)等を挙げることができる。
【0111】
本発明における発光層において、前記ホスト材料(一般式(1)で表される化合物も含む)の三重項最低励起エネルギー(Tエネルギー)が、前記燐光発光材料のTエネルギーより高いことが色純度、発光効率、駆動耐久性の点で好ましい。
【0112】
また、本発明におけるホスト化合物の含有量は、特に限定されるものではないが、発光効率、駆動電圧の観点から、発光層を形成する全化合物質量に対して15質量%以上98質量%以下であることが好ましい。一般式(1)で表される化合物は全ホスト化合物中30質量%以上98質量%以下であることが好ましい。
【0113】
一般式(1)で表される化合物を発光層以外の層(例えば電荷輸送層等)に導入する場合には、該層中において10質量%〜100質量%含まれることが好ましく、30質量%〜100質量%含まれることがより好ましい。
【0114】
(蛍光発光材料)
本発明に使用できる蛍光発光材料の例としては、例えば、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、スチリルベンゼン誘導体、ポリフェニル誘導体、ジフェニルブタジエン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、ナフタルイミド誘導体、クマリン誘導体、縮合芳香族化合物、ペリノン誘導体、オキサジアゾール誘導体、オキサジン誘導体、アルダジン誘導体、ピラリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、ビススチリルアントラセン誘導体、キナクリドン誘導体、ピロロピリジン誘導体、チアジアゾロピリジン誘導体、シクロペンタジエン誘導体、スチリルアミン誘導体、ジケトピロロピロール誘導体、芳香族ジメチリディン化合物、8−キノリノール誘導体の錯体やピロメテン誘導体の錯体に代表される各種錯体等、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン誘導体などの化合物等が挙げられる。
【0115】
(燐光発光材料)
本発明に使用できる燐光発光材料としては、一般式(1)で表される化合物の他、例えば、US6303238B1、US6097147、WO00/57676、WO00/70655、WO01/08230、WO01/39234A2、WO01/41512A1、WO02/02714A2、WO02/15645A1、WO02/44189A1、WO05/19373A2、特開2001−247859、特開2002−302671、特開2002−117978、特開2003−133074、特開2002−235076、特開2003−123982、特開2002−170684、EP1211257、特開2002−226495、特開2002−234894、特開2001−247859、特開2001−298470、特開2002−173674、特開2002−203678、特開2002−203679、特開2004−357791、特開2006−256999、特開2007−19462、特開2007−84635、特開2007−96259等の特許文献に記載の燐光発光化合物などが挙げられ、中でも、更に好ましい発光性ドーパントとしては、Ir錯体、Pt錯体、Cu錯体、Re錯体、W錯体、Rh錯体、Ru錯体、Pd錯体、Os錯体、Eu錯体、Tb錯体、Gd錯体、Dy錯体、及びCe錯体が挙げられる。特に好ましくは、Ir錯体、Pt錯体、又はRe錯体であり、中でも金属−炭素結合、金属−窒素結合、金属−酸素結合、金属−硫黄結合の少なくとも一つの配位様式を含むIr錯体、Pt錯体、又はRe錯体が好ましい。更に、発光効率、駆動耐久性、色度等の観点で、3座以上の多座配位子を含むIr錯体、Pt錯体、又はRe錯体が特に好ましい。
【0116】
燐光発光材料の含有量は、発光層中に、発光層の総質量に対して、0.1質量%以上50質量%以下の範囲が好ましく、0.2質量%以上50質量%以下の範囲がより好ましく、0.3質量%以上40質量%以下の範囲が更に好ましく、20質量%以上30質量%以下の範囲が最も好ましい。
【0117】
本発明に用いることのできる燐光発光材料(一般式(T−1)で表される化合物及び/又は併用する燐光発光材料)の含有量は、発光層の総質量に対して、0.1質量%以上50質量%以下の範囲が好ましく、1質量%以上40質量%以下の範囲がより好ましく、5質量%以上30質量%以下の範囲が最も好ましい。特に5質量%以上30質量%以下の範囲では、その有機電界発光素子の発光の色度は、燐光発光材料の添加濃度依存性が小さい。
本発明の有機電界発光素子は、上記化合物(T−1)(一般式(T−1)で表される化合物)の少なくとも一種を該発光層の総質量に対して5〜30質量%含有することが最も好ましい。
【0118】
有機電界発光素子は、更に、炭化水素化合物を含むことが好ましく、発光層に炭化水素化合物を含むことがより好ましい。
また、炭化水素化合物は下記一般式(VI)で表される化合物であることが好ましい。
一般式(VI)で表される化合物を発光材料とともに適切に用いることにより、材料分子間の相互作用を適切に制御し、隣接分子間のエネルギーギャップ相互作用を均一にすることで駆動電圧を更に低下させることが可能となる。
また、有機電界発光素子において用いられる、一般式(VI)で表される化合物は、化学的な安定性に優れ、素子駆動中における材料の分解等の変質が少なく、当該材料の分解物による、有機電界発光素子の効率低下や素子寿命の低下を防ぐことが出来る。
一般式(VI)で表される化合物について説明する。
【0119】
【化31】

【0120】
一般式(VI)中、R、R、R、R10、X〜X15は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表す。
【0121】
一般式(VI)の、R、R、R、R10、X〜X15で表されるアルキル基は、アダマンタン構造、アリール構造で置換されていてもよく、炭素数1〜70が好ましく、炭素数1〜50がより好ましく、炭素数1〜30が更に好ましく、炭素数1〜10がより更に好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数2〜6の直鎖のアルキル基が最も好ましい。
【0122】
一般式(VI)の、R、R、R、R10、X〜X15で表されるアルキル基としては、例えば、n−C50101基、n−C3061基、3−(3,5,7−トリフェニルアダマンタン−1−イル)プロピル基(炭素数31)、トリチル基(炭素数19)、3−(アダマンタン−1−イル)プロピル基(炭素数13)、9−デカリル基(炭素数10)、ベンジル基(炭素数7)、シクロヘキシル基(炭素数6)、n−ヘキシル基(炭素数6)、n−ペンチル基(炭素数5)、n−ブチル基(炭素数4)、n−プロピル基(炭素数3)、シクロプロピル基(炭素数3)、エチル基(炭素数2)、メチル基(炭素数1)などが挙げられる。
【0123】
一般式(VI)の、R、R、R、R10、X〜X15で表されるアリール基は、アダマンタン構造、アルキル構造で置換されていてもよく、炭素数6〜30が好ましく、炭素数6〜20がより好ましく、炭素数6〜15が更に好ましく、炭素数6〜10が特に好ましく、炭素数6が最も好ましい。
【0124】
一般式(VI)の、R、R、R、R10、X〜X15で表されるアリール基としては、例えば、1−ピレニル基(炭素数16)、9−アントラセニル基(炭素数14)、1−ナフチル基(炭素数10)、2−ナフチル基(炭素数10)、p−t−ブチルフェニル基(炭素数10)、2−m−キシリル基(炭素数8)、5−m−キシリル基(炭素数8)、o−トリル基(炭素数7)、m−トリル基(炭素数7)、p−トリル基(炭素数7)、フェニル基(炭素数6)などが挙げられる。
【0125】
一般式(VI)のR、R、R、R10は、水素原子であっても、アルキル基であっても、アリール基であってもよいが、前述の高いガラス転移温度が好ましい観点から、少なくともひとつはアリール基であることが好ましく、少なくともふたつはアリール基であることがより好ましく、3ないし4つがアリール基であることが特に好ましい。
【0126】
一般式(VI)の、X〜X15は、水素原子であっても、アルキル基であっても、アリール基であってもよいが、水素原子、又はアリール基であることが好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
【0127】
本発明における一般式(VI)で表される化合物の分子量は、有機電界発光素子を真空蒸着プロセスや溶液塗布プロセスを用いて作成するので、蒸着適性や溶解性の観点から、2000以下であることが好ましく、1200以下であることがより好ましく、1000以下であることが特に好ましい。また、蒸着適性の観点では、分子量が小さすぎると蒸気圧が小さくなり、気相から固相への変化がおきず、有機層を形成することが困難となるので、250以上が好ましく、350以上がより好ましく、400以上が特に好ましい。
【0128】
一般式(VI)で表される化合物は、室温(25℃)において固体であることが好ましく、室温(25℃)から40℃の範囲において固体であることがより好ましく、室温(25℃)から60℃の範囲において固体であることが特に好ましい。
室温(25℃)において固体を形成しない一般式(VI)で表される化合物を用いる場合は、他の材料と組み合わせることにより、常温で固相を形成させることができる。
【0129】
一般式(VI)で表される化合物は、その用途が限定されることはなく、有機層内のいずれの層に含有されてもよい。本発明における一般式(VI)で表される化合物の導入層としては、後述の発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層、励起子ブロック層、電荷ブロック層のいずれか、若しくは複数に含有されるのが好ましく、発光層、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層のいずれか、若しくは複数に含有されるのがより好ましく、発光層、正孔注入層、正孔輸送層のいずれか、若しくは複数に含有されるのが特に好ましく、発光層に含むことが最も好ましい。
【0130】
一般式(VI)で表される化合物を、有機層中で用いる場合は、一般式(VI)で表される化合物の含量は、電荷輸送性を抑制しない程度の量に制限して用いる必要があり、一般式(VI)で表される化合物は0.1〜70質量%含まれることが好ましく、0.1〜30質量%含まれることがより好ましく、0.1〜25質量%含まれることが特に好ましい。
また、一般式(VI)で表される化合物を、複数の有機層に用いる場合はそれぞれの層において、上記の範囲で含有することが好ましい。
【0131】
一般式(VI)で表される化合物は、いずれかの有機層に、一種類のみを含有していてもよく、複数の一般式(VI)で表される化合物を任意の割合で組み合わせて含有していてもよい。
【0132】
一般式(VI)で表される化合物の具体例を以下に列挙するが、以下に限定されるものではない。
【0133】
【化32】

【0134】
【化33】

【0135】
【化34】

【0136】
【化35】

【0137】
一般式(VI)で表される化合物は、アダマンタン、若しくは、ハロゲン化アダマンタンと、ハロゲン化アルキル若しくは、アルキルマグネシウムハライド(グリニヤー試薬)を適当に組み合わせることによって合成できる。例えば、インジウムを用いて、ハロゲン化アダマンタンと、ハロゲン化アルキルをカップリングすることができる(文献1)。また、ハロゲン化アルキルをアルキル銅試薬に変換し、芳香族化合物のグリニヤー試薬とカップリングすることもできる(文献2)。また、ハロゲン化アルキルを、適当なアリールホウ酸とパラジウム触媒を用いてカップリングすることもできる(文献3)。
文献1:Tetrahedron Lett.39,1998,9557−9558.
文献2:Tetrahedron Lett.39,1998,2095−2096.
文献3:J.Am.Chem.Soc.124,2002,13662−13663.
【0138】
アリール基を有するアダマンタン骨格は、アダマンタン、若しくは、ハロゲン化アダマンタンと、対応するアレーンやアリールハライドを適当に組み合わせることにより合成できる。
【0139】
なお、上記に示した製造方法において、定義された置換基が、ある合成方法の条件下で変化するか、又は該方法を実施するのに不適切な場合、官能基の保護、脱保護(例えば、プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective
Groups in Organic Synthesis)、グリーン(T. W.
Greene)著、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレイテッド(John Wiley & Sons Inc.)(1981年)等)等の手段により容易に製造が可能である。また、必要に応じて適宜置換基導入等の反応工程の順序を変化させることも可能である。
【0140】
発光層の厚さは、特に限定されるものではないが、通常、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
【0141】
−正孔注入層、正孔輸送層−
正孔注入層、正孔輸送層は、陽極又は陽極側から正孔を受け取り陰極側に輸送する機能を有する層である。
−電子注入層、電子輸送層−
電子注入層、電子輸送層は、陰極又は陰極側から電子を受け取り陽極側に輸送する機能を有する層である。
正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0165〕〜〔0167〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
【0142】
−正孔ブロック層−
正孔ブロック層は、陽極側から発光層に輸送された正孔が、陰極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陰極側で隣接する有機層として、正孔ブロック層を設けることができる。
正孔ブロック層を構成する有機化合物の例としては、アルミニウム(III)ビス(2−メチル−8−キノリナト)4−フェニルフェノレート(Aluminum (III)bis(2−methyl−8−quinolinato)4−phenylphenolate(BAlqと略記する))等のアルミニウム錯体、トリアゾール誘導体、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(2,9−Dimethyl−4,7−diphenyl−1,10−phenanthroline(BCPと略記する))等のフェナントロリン誘導体、等が挙げられる。
正孔ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
正孔ブロック層は、上述した材料の一種又は二種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0143】
−電子ブロック層−
電子ブロック層は、陰極側から発光層に輸送された電子が、陽極側に通りぬけることを防止する機能を有する層である。本発明において、発光層と陽極側で隣接する有機層として、電子ブロック層を設けることができる。
電子ブロック層を構成する有機化合物の例としては、例えば前述の正孔輸送材料として挙げたものが適用できる。
電子ブロック層の厚さとしては、1nm〜500nmであるのが好ましく、5nm〜200nmであるのがより好ましく、10nm〜100nmであるのが更に好ましい。
電子ブロック層は、上述した材料の一種又は二種以上からなる単層構造であってもよいし、同一組成又は異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
【0144】
<保護層>
本発明において、有機EL素子全体は、保護層によって保護されていてもよい。
保護層については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0169〕〜〔0170〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
【0145】
<封止容器>
本発明の素子は、封止容器を用いて素子全体を封止してもよい。
封止容器については、特開2008−270736号公報の段落番号〔0171〕に記載の事項を本発明に適用することができる。
【0146】
〔成膜方法〕
更に、本発明は一般式(1)で表される化合物と一般式(T−1)で表される化合物とを同時に加熱することにより昇華させて成膜する成膜方法にも関する。
成膜に際し、一般式(1)で表される化合物と一般式(T−1)で表される化合物とが混合されていることが好ましく、本発明の組成物を用いてもよい。一般式(1)で表される化合物と一般式(T−1)で表される化合物の含有割合は一般式(1)で表される化合物に対して一般式(T−1)で表される化合物が1%〜45%であることが好ましく、1%〜25%であることがより好ましい。
加熱の温度は200℃〜400℃であることが好ましく、250℃〜320℃であることがより好ましい。
加熱の時間は0.1時間〜350時間であることが好ましく、0.1時間〜150時間であることがより好ましい。
本発明の成膜方法によれば高効率、高耐久性、かつ高温駆動時の色変化の少ない発光層膜を容易に作成できるという利点がある。
【0147】
(駆動)
本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極との間に直流(必要に応じて交流成分を含んでもよい)電圧(通常2ボルト〜15ボルト)、又は直流電流を印加することにより、発光を得ることができる。
本発明の有機電界発光素子の駆動方法については、特開平2−148687号、同6−301355号、同5−29080号、同7−134558号、同8−234685号、同8−241047号の各公報、特許第2784615号、米国特許5828429号、同6023308号の各明細書等に記載の駆動方法を適用することができる。
【0148】
本発明の発光素子は、種々の公知の工夫により、光取り出し効率を向上させることができる。例えば、基板表面形状を加工する(例えば微細な凹凸パターンを形成する)、基板・ITO層・有機層の屈折率を制御する、基板・ITO層・有機層の膜厚を制御すること等により、光の取り出し効率を向上させ、外部量子効率を向上させることが可能である。
【0149】
本発明の発光素子は、陽極側から発光を取り出す、いわゆるトップエミッション方式であっても良い。
【0150】
本発明における有機EL素子は、共振器構造を有しても良い。例えば、透明基板上に、屈折率の異なる複数の積層膜よりなる多層膜ミラー、透明又は半透明電極、発光層、及び金属電極を重ね合わせて有する。発光層で生じた光は多層膜ミラーと金属電極を反射板としてその間で反射を繰り返し共振する。
別の好ましい態様では、透明基板上に、透明又は半透明電極と金属電極がそれぞれ反射板として機能して、発光層で生じた光はその間で反射を繰り返し共振する。
共振構造を形成するためには、2つの反射板の有効屈折率、反射板間の各層の屈折率と厚みから決定される光路長を所望の共振波長の得るのに最適な値となるよう調整される。第一の態様の場合の計算式は特開平9−180883号明細書に記載されている。第2の態様の場合の計算式は特開2004−127795号明細書に記載されている。
【0151】
(本発明の発光素子の用途)
本発明の発光素子は、発光装置、ピクセル、表示素子、ディスプレイ、バックライト、電子写真、照明光源、記録光源、露光光源、読み取り光源、標識、看板、インテリア、又は光通信等に好適に利用できる。特に、照明装置、表示装置等の発光輝度が高い領域で駆動されるデバイスに好ましく用いられる。
【0152】
次に、図2を参照して本発明の発光装置について説明する。
本発明の発光装置は、前記有機電界発光素子を用いてなる。
図2は、本発明の発光装置の一例を概略的に示した断面図である。
図2の発光装置20は、透明基板(支持基板)2、有機電界発光素子10、封止容器11等により構成されている。
【0153】
有機電界発光素子10は、基板2上に、陽極(第一電極)3、有機層11、陰極(第二電極)9が順次積層されて構成されている。また、陰極9上には、保護層12が積層されており、更に、保護層12上には接着層14を介して封止容器16が設けられている。なお、各電極3、9の一部、隔壁、絶縁層等は省略されている。
ここで、接着層14としては、エポキシ樹脂等の光硬化型接着剤や熱硬化型接着剤を用いることができ、例えば熱硬化性の接着シートを用いることもできる。
【0154】
本発明の発光装置の用途は特に制限されるものではなく、例えば、照明装置のほか、テレビ、パーソナルコンピュータ、携帯電話、電子ペーパ等の表示装置とすることができる。
【0155】
次に、図3を参照して本発明の実施形態に係る照明装置について説明する。
図3は、本発明の実施形態に係る照明装置の一例を概略的に示した断面図である。
本発明の実施形態にかかる照明装置40は、図3に示すように、前述した有機電界発光素子10と、光散乱部材30とを備えている。より具体的には、照明装置40は、有機電界発光素子10の基板2と光散乱部材30とが接触するように構成されている。
光散乱部材30は、光を散乱できるものであれば特に制限されないが、例えば、ガラス基板を好適に挙げることができる。微粒子32としては、透明樹脂微粒子を好適に挙げることができる。このような照明装置40は、有機電界発光素子10からの発光が光り散乱部材30の光入射面30Aに入射されると、入射光を光散乱部材により散乱させ、散乱光を光出射面30Bから照明光として出射するものである。
【実施例】
【0156】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
【0157】
〔合成例1〕下記の例示化合物1は、米国特許7279232号のEXAMPLE1、EXAMPLE2に記載の方法に従って合成した。
【0158】
〔実施例1〕
0.5mm厚み、2.5cm角の酸化インジウム錫(ITO)膜を有するガラス基板(ジオマテック社製、表面抵抗10Ω/□)を洗浄容器に入れ、2−プロパノール中で超音波洗浄した後、30分間UV−オゾン処理を行った。この透明陽極(ITO膜)上に真空蒸着法にて以下の有機層を順次蒸着した。
第1層:ITO/CuPc(銅フタロシアニン):膜厚10nm
第2層:NPD(N,N’−ジ−α−ナフチル−N,N’−ジフェニル)−ベンジジン):膜厚30nm
第3層:ドーパント(5質量%)、ホスト材料(95質量%):膜厚30nm
第4層:BAlq:膜厚10nm
第5層:Alq(トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム錯体):膜厚40nm
この上に、フッ化リチウム0.2nm及び金属アルミニウム70nmをこの順に蒸着し陰極とした。
得られた積層体を、大気に触れさせること無く、アルゴンガスで置換したグローブボックス内に入れ、ステンレス製の封止缶及び紫外線硬化型の接着剤(XNR5516HV、長瀬チバ(株)製)を用いて封止し、本発明の素子1を得た。
【0159】
〔実施例2〜26及び比較例1〜12〕
第3層の構成材料を、下記表1〜3に示すように、材料を変更する以外は実施例と同様にして各種素子を作製した。
【0160】
【表1】

【0161】
【表2】

【0162】
【表3】

【0163】
(有機電界発光素子の性能評価)
得られた各種素子の性能を評価した。
(a) 外部量子効率
東陽テクニカ製ソースメジャーユニット2400を用いて、直流電圧を各素子に印加し発光させ、その輝度をトプコン社製輝度計BM−8を用いて測定した。発光スペクトルと発光波長は浜松ホトニクス製スペクトルアナライザーPMA−11を用いて測定した。これらを元に輝度が1000cd/m付近の外部量子効率を輝度換算法により算出した。
【0164】
(c) 駆動耐久性
各素子を輝度が1000cd/mになるように直流電圧を印加して発光させ続け、輝度が500cd/mになるまでに要した時間を駆動耐久性の指標とし、比較例1の値を100として相対値で示した。
【0165】
(d) 高温駆動時の色度変化
各素子を輝度が1000cd/mになるように直流電圧を印加して発光させた時の色度と、80℃の恒温槽中で輝度が1000cd/mになるように直流電圧を印加して発光させ続け、輝度が500cd/mになった時の色度のx値、y値の差(Δx,Δy)を高温駆動時の色度変化の指標とした。
【0166】
表1〜3の結果から、一般式(1)で表されるカルバゾール基を含むホスト材料と一般式(T−1)で表される特定のイリジウム錯体とを発光層に用いた本発明の素子は、比較例の素子と比べて、外部量子効率及び駆動耐久性が極めて優れており、高温駆動後の色変化が少ないことが分かる。
【0167】
発光装置、表示装置、照明装置の場合、各画素部で高い電流密度を通じて瞬間的に高輝度発光させる必要があり、本発明の発光素子はそのような場合に発光効率が高くなるように設計されているため、有利に利用することができる。
また、本発明の素子は車載用途などの高温環境で使用する際においても発光効率や耐久性にも優れ、発光装置、表示装置、照明装置に好適である。
【0168】
上記実施例及び比較例で使用した化合物の構造を以下に示す。
【0169】
【化36】

【0170】
【化37】

【0171】
【化38】

【0172】
【化39】

【0173】
【化40】

【符号の説明】
【0174】
2・・・基板
3・・・陽極
4・・・正孔注入層
5・・・正孔輸送層
6・・・発光層
7・・・正孔ブロック層
8・・・電子輸送層
9・・・陰極
10・・・有機電界発光素子(有機EL素子)
11・・・有機層
12・・・保護層
14・・・接着層
16・・・封止容器
20・・・発光装置
30・・・光散乱部材
30A・・・光入射面
30B・・・光出射面
32・・・微粒子
40・・・照明装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、一対の電極と、該電極間に発光層を有する有機電界発光素子であって、前記発光層に以下の一般式(1)で表される化合物と、一般式(T−1)で表される化合物とを含有することを特徴とする有機電界発光素子。
【化1】

一般式(1)中、Czは置換若しくは無置換のアリールカルバゾリル基又はカルバゾリルアリール基を表す。Lは単結合、置換若しくは無置換のアリーレン基、置換若しくは無置換のシクロアルキレン基、又は置換若しくは無置換の芳香族へテロ環を表す。Aは置換若しくは無置換の6員の窒素含有芳香族へテロ環であり、p、qはそれぞれ独立に1〜6の整数である。
【化2】

(一般式(T−1)中、R’はアルキル基、ヘテロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
はアリール基又はヘテロアリール基を表し、更に非芳香族基により置換されていてもよい。
Qは、Irに対して配位される少なくとも1つの窒素原子を有する芳香族複素環又は縮合芳香族複素環を表し、更に非芳香族基により置換されていてもよい。
、R及びRは、水素原子、アルキル基、−CN、−CF、−C2n+1、−NR、−OR、フッ素原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基を有していてもよい。
とRは互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、シクロへテロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基Zを有していてもよい。
’とRは、−CR−CR−、−CR=CR−、−CR−、−O−、−NR−、−O−CR−、−NR−CR−及びN=CR−から選択される連結基によって連結されて環を形成してもよく、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
Zはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、−R’、−OR’、−N(R’)、−SR’、−C(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)N(R’)、−CN、−NO、−SO、−SOR’、−SOR’、又はSOR’を表し、R’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
(X−Y)は、補助配位子を表す。
mは1〜3の整数を表す。nは0〜2の整数を表す。
m+nは3である。)
【請求項2】
一般式(1)で表される化合物が、一般式(2)で表される化合物である請求項1に記載の有機電界発光素子。
【化3】

(一般式(2)中、Czは置換もしくは無置換のアリールカルバゾリル基又はカルバゾリルアリール基を表す。Lは、単結合、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基又は置換もしくは無置換の芳香族ヘテロ環を表し、Ar、Ar、X、X又はXの炭素原子と連結する。Ar及びArはそれぞれ独立に置換又は無置換のアリール、X、X及びXはそれぞれ独立に窒素原子又は置換基を有してもよい炭素原子を表す。p及びqはそれぞれ独立に1〜6の整数を表す。)
【請求項3】
一般式(1)で表される化合物が、一般式(3)で表される化合物である請求項2に記載の有機電界発光素子。
【化4】

(一般式(3)中、X及びXはそれぞれ独立に窒素原子又は置換基を有してもよい炭素原子を表し、X及びXのいずいれか一方は窒素であり、他方は置換基を有してもよい炭素原子を表す。L’は、単結合、置換もしくは無置換のアリール、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基又は置換もしくは無置換の芳香族ヘテロ環を表す。R〜Rはそれぞれ独立に置換基を表し、n1〜n5はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、p’及びq’はそれぞれ独立に1〜4の整数を表す。)
【請求項4】
前記一般式(1)におけるA、前記一般式(2)におけるX〜Xを含む環、又は前記一般式(3)におけるX及びXを含む環がピリジン又はピリミジンを表す請求項1〜3のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【請求項5】
前記一般式(1)におけるA、前記一般式(2)におけるX〜Xを含む環、又は前記一般式(3)におけるX及びXを含む環がピリミジンを表す請求項1〜3のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【請求項6】
前記一般式(T−1)で表される化合物が、下記一般式(T−2)で表される化合物である請求項1〜5のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【化5】

(一般式(T−2)中、R’はアルキル基、ヘテロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
’〜R’は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
’とR’、R’とR’、及びR’とR’はそれぞれ独立に、互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、シクロへテロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基Zを有していてもよい。
’とRは、−CR−CR−、−CR=CR−、−CR−、−O−、−NR−、−O−CR−、−NR−CR−及びN=CR−から選択される連結基によって連結されて環を形成してもよく、Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
はアリール基又はヘテロアリール基を表し、更に非芳香族基により置換されていてもよい。
、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、−CN、−CF、−C2n+1、−NR、−OR、フッ素原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
とRは互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、シクロへテロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基Zを有していてもよい。
Zはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、−R’、−OR’、−N(R’)、−SR’、−C(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)N(R’)、−CN、−NO、−SO、−SOR’、−SOR’、又はSOR’を表し、R’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
(X−Y)は、補助配位子を表す。
mは1〜3の整数。nは0〜2の整数を表す。
m+nは3である。)
【請求項7】
前記一般式(T−2)が下記一般式(T−3)で表される化合物である請求項6に記載の有機電界発光素子。
【化6】

(一般式(T−3)中、R’は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
’’及びR’’は水素原子を表すか、又は互いに結合して縮合4〜7員環式基を形成し、該縮合4〜7員環式基は、シクロアルキル、シクロヘテロアルキル、アリール、又はヘテロアリールである。
、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、−CN、−CF、−C2n+1、−NR、−OR、フッ素原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
とRは互いに結合して縮合4〜7員環を形成してもよく、該縮合4〜7員環は、シクロアルキル、シクロへテロアルキル、アリール又はヘテロアリールであり、該縮合4〜7員環は更に置換基Zを有していてもよい。
Zはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、−R’、−OR’、−N(R’)、−SR’、−C(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)N(R’)、−CN、−NO、−SO、−SOR’、−SOR’、又はSOR’を表し、R’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
(X−Y)は、補助配位子を表す。
mは1〜3の整数。nは0〜2の整数を表す。
m+nは3である。)
【請求項8】
前記一般式(T−3)で表される化合物が下記一般式(T−4)で表される化合物である請求項7に記載の有機電界発光素子。
【化7】

(一般式(T−4)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、−CN、−CF、−C2n+1、−NR、−OR、フッ素原子、アリール基又はヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
Rはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基を表し、更に置換基Zを有していてもよい。
Zはそれぞれ独立に、ハロゲン原子、−R’、−OR’、−N(R’)、−SR’、−C(O)R’、−C(O)OR’、−C(O)N(R’)、−CN、−NO、−SO、−SOR’、−SOR’、又はSOR’を表し、R’はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、ペルハロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ヘテロアルキル基、アリール基又はヘテロアリール基を表す。
(X−Y)は、補助配位子を表す。
mは1〜3の整数。nは0〜2の整数を表す。
m+nは3である。)
【請求項9】
前記(X−Y)がアセチルアセトネート(acac)、ピコリネート(pic)、及びこれらの誘導体のいずれかである請求項1〜8のいずれかに記載の有機電界発光素子。
【請求項10】
請求項1に記載の一般式(1)で表される化合物と一般式(T−1)で表される化合物とを含有する組成物。
【請求項11】
請求項1に記載の一般式(1)で表される化合物と一般式(T−1)で表される化合物とを含有する発光層。
【請求項12】
請求項1に記載の一般式(1)で表される化合物と一般式(T−1)で表される化合物とを同時に加熱することにより昇華させて成膜することを特徴とする成膜方法。
【請求項13】
請求項1〜9のいずれかに記載の有機電界発光素子を用いた発光装置。
【請求項14】
請求項1〜9のいずれかに記載の有機電界発光素子を用いた表示装置。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれかに記載の有機電界発光素子を用いた照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−49512(P2011−49512A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221665(P2009−221665)
【出願日】平成21年9月25日(2009.9.25)
【特許番号】特許第4474493号(P4474493)
【特許公報発行日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】