説明

有機電界発光表示装置及びその製造方法

【課題】封止特性を極大化させることができると共に、ガラス干渉模様を除去することができる有機電界発光表示装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の有機電界発光表示装置は、基板と、前記基板上に設けられる有機発光素子と、前記有機発光素子が設けられた基板に対向するように設けられる封止基板と、前記有機発光素子の周辺に設けられ、前記封止基板と前記基板を結合するフリットと、前記封止基板と前記有機発光素子との間に設けられるフィルムまたはシール材と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機電界発光表示装置及びその製造方法に関し、より詳細には、有機発光素子を外部の水分や酸素から効果的に遮断することができ、ガラス干渉模様を除去することができると共に、生産効率を向上させることができる有機電界発光表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、有機発光素子は、正の電極層、その上部に正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層が順に設けられ、その上部に負の電極層が設けられている。かかる構造において、電圧を印加すれば、正の電極層から注入された正孔は、正孔輸送層を経て有機発光層に移動し、負の電極層から注入された電子は、電子輸送層を経て有機発光層に移動し、有機発光層の領域で正孔と電子のキャリアが結合して励起子を生成する。このように生成された励起子が励起状態から基底状態に変化しながら放出するエネルギーにより有機発光層で光を形成するようになる。
【0003】
しかしながら、熱抵抗性が低い材料である有機化合物で形成された有機薄膜は、水分により劣化しやすく、有機薄膜上に設けられた負の電極は、酸化によって性能が低下する特性がある。したがって、有機薄膜に水分や酸素などが侵入しないように封止しなければならない。また、有機発光素子を封止する上部基板及び下部基板がガラスよりなる場合、外部から入射された光の反射光の相互の光干渉により楕円状または同心円状のような円形模様が現れるニュートンリング現象が問題になっている。最近、このような問題を解決するための封止方法とニュートンリング現象を除去する技術が注目されている。
【0004】
本発明に関連する従来技術を記載したものとして、特許文献1、特許文献2及び特許文献3が挙げられる。
【0005】
図1は、従来の有機電界発光表示装置を示す断面図である。
【0006】
図1に示すように、基板100上に有機発光素子110を設ける。前記基板100は、半導体層、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極を備える薄膜トランジスタを含む。
【0007】
次に、前記有機発光素子110に対向する封止基板140の一面に、前記有機発光素子110を外部の酸素や水分から保護するための吸湿膜130を形成した後、前記基板100と封止基板140をシール材120で接着し、従来の有機電界発光表示装置を完成する。
【0008】
前述のような従来の有機電界発光表示装置の製造方法は、シール材を使用して封止するので、外部の水分や酸素の侵入を完全に遮断するのに限界がある。また、エッチングされたガラス基板を使用するため、製造コストが上昇する。さらに、ガラス基板を使用するため、入射された光と反射された光の相互の光干渉によるガラス干渉模様が現れるという短所がある。
【0009】
【特許文献1】特開平09−050250号公報
【特許文献2】特開2004−265615号公報
【特許文献3】特開2003−109750号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従って、本発明は、前述のような従来技術の諸問題点を解決するためになされたもので、本発明の目的は、有機発光素子を外部の水分や酸素から効果的に遮断することができ、ガラス干渉模様を除去することができると共に、生産コストを節減することができる有機電界発光表示装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するために、本発明の一態様に係る有機電界発光表示装置は、基板と、前記基板上に設けられた有機発光素子と、前記有機発光素子が設けられた基板に対向するように設けられた封止基板と、前記有機発光素子の周辺に設けられ、前記封止基板と前記基板とを結合するフリットと、前記封止基板と前記有機発光素子との間に設けられたフィルムまたはシール材とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の他の態様に係る有機電界発光表示装置の製造方法は、基板を用意する段階と、前記基板上に有機発光素子を設ける段階と、前記基板上に位置する前記有機発光素子の両側部にフリットを設ける段階と、前記素子に対向する封止基板の一面にフィルムを設ける段階と、前記基板と前記封止基板を結合する段階と、前記フリットを熱硬化させる段階と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明のさらに他の態様に係る有機電界発光表示装置の製造方法は、基板を用意する段階と、前記基板上に有機発光素子を設ける段階と、前記有機発光素子上に無機物層を設ける段階と、前記基板上に設けられた前記有機発光素子の両側部にフリットを設ける段階と、前記有機発光素子に対向する封止基板の一面にシール材を設ける段階と、前記基板と前記封止基板を結合する段階と、前記シール材を光硬化し、硬化部と非硬化部を設ける段階と、前記結合された基板をスクライブし、スクライブラインのシール材を除去する段階と、前記非硬化部を熱硬化させる段階と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る有機電界発光表示装置及びその製造方法は、封止特性に優れていて、外部の衝撃に強くて、ガラス干渉模様を除去することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付の図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。下記の実施形態は、当業者に本発明の思想が十分に伝達され得るようにするために一例として提示されるものである。したがって、本発明は、下記の実施形態に限らず、様々な変形が可能である。なお、図面において、層及び領域の長さや厚みは、明確性を図るために誇張されて表現されることができる。本明細書において、同一の参照番号は、同一の構成要素を示す。
【0016】
一般的に、有機電界発光表示装置は、電流が提供される配列に依存する2つの基本的なタイプでグループを形成することができる。図8Aは、パッシブマトリクス形態の有機電界発光表示装置(Organic Light Emitting Devise:OLED)1000の簡単な構造を概略的に示す斜視図である。また、図8Bは、アクティブマトリクス形態の有機電界発光表示装置1001の簡単な構造を概略的に示す斜視図である。有機電界発光表示装置1000、1001の構成は、基板1002上に形成された有機電界発光画素を含み、有機電界発光画素は、アノード1004、カソード1006及び有機膜層1010を含む。ここで、適切な電流がアノード1004に印加される時、電流は、画素を流れて貫通するようになり、可視光線が有機膜層から放出される。
【0017】
まず、図8Aを参照すれば、パッシブマトリクス有機電界発光表示装置(Passive Matrix Organic Light Emitting Device:PMOLED)は、一般的にストリップ形態のカソード1006とそれと垂直となるように配列されたストリップ形態のアノード1004との間に介在された有機膜層を含む。この際、カソード1006とアノード1004の交差により個々のOLED画素が定義され、アノード1004とカソード1006に該当する適切な励起子により光が生成される。前記パッシブマトリクス有機電界発光表示装置は、簡単に製作できるという利点を提供する。
【0018】
次に、図8Bを参照すれば、アクティブマトリクス有機電界発光表示装置(Active Matrix Organic Light Emitting Device:AMOLED)は、基板1002とOLED画素アレイとの間に駆動回路1012を含む。AMOLEDの個々の画素は、共通のカソード1006と電気的に絶縁された各々のアノード1004により定義される。各駆動回路1012は、OLED画素のアノード1004と結合され、データライン1016とスキャンライン1018に連結される。例えば、スキャンライン1018は、駆動回路の選択された線にスキャン信号を供給し、データライン1016は、特定の駆動回路にデータ信号を供給する。前記データ信号とスキャン信号は、これらの該当画素から光を放出するために、アノード1004を反応させる駆動回路1012に信号を印加する。
【0019】
前述したAMOLEDにおいて駆動回路1012、データライン1016及びスキャンライン1018は、画素アレイと基板1002との間に介在された平坦化膜1014内に覆われる。前記平坦化膜1014は、OLED画素アレイ上に平坦な表面を提供する。前記平坦化膜1014は、有機物または無機物で形成されることができ、単一層または二重層で形成されることができる。前記駆動回路1012は、薄膜トランジスタと一緒に形成され、OLED画素アレイの下部に格子で配列される。前記駆動回路1012は、部分的に有機物質で形成された有機薄膜トランジスタを含む。このようなAMOLEDは、速い応答速度を有するだけでなく、パッシブマトリクスOLEDより消費電力が低いという利点がある。
【0020】
前記PMOLEDとAMOLEDの共通的な特徴を考察すれば、基板1002は、OLED画素及び回路を構造的に支持する。前記基板1002は、プラスチック、ガラスまたは不透明物質を含むことができる。前記OLED画素またはダイオードは、アノード1004と、カソード1006と、前記アノード1004とカソード1006との間に介在される有機膜層1010とから構成される。ここで、適切な電流がアノード1004に印加される場合、カソード1004は、電子を放出し、アノード1004は、正孔を放出する。これとは異なって、基板1002上にカソードが形成され、アノードが反対側に配列される反転された(インバーテッド)構造もあり得る。
【0021】
前記カソード1006とアノード1004との間に少なくとも1つ以上の有機膜層が介在される。より詳細には、カソード1006とアノード1004との間に少なくとも1つ以上の発光層が介在される。発光層は、1つ以上の有機化合物を含むことができる。通常、発光層は、青色、緑色、赤色または白色のような単一色の可視光線を発光する。この際、前記有機膜層1010は、カソード1006とアノード1004との間に形成され、光を放出する役目をする。また、前記カソード1006とアノード1004との間に正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層及び電子注入層をさらに含むことができる。
【0022】
前記正孔輸送層または正孔注入層は、発光層1010とアノード1004との間に位置することができる。また、電子輸送層または電子注入層は、カソード1006と発光層1010との間に位置することができる。前記電子注入層は、カソード1006から電子を注入するための仕事関数を低減し、発光層1010への電子注入を円滑にする。同様に、正孔注入層は、アノード1004から発光層に正孔注入を円滑にする。前記正孔と電子注入層は、各々電極から発光層にキャリアの移動を円滑にする。
【0023】
一実施形態として、1つの層をもって電子注入及び輸送の役割または正孔注入及び輸送の役目を共に行うことができる。また、他の実施形態として、これらの1つまたはそれ以上は、省略されてもよい。また、少なくとも1つ以上の有機膜層は、キャリアの注入または輸送を助ける1つ以上の物質がドープされることもできる。ここで、1つの有機膜層がカソードとアノードとの間に形成される場合には、有機膜層は、有機発光化合物だけでなく、キャリアの注入または輸送を助ける機能性物質を含むことができる。この際、前記発光層を含んでこの層内に使用され得るように開発された数多くの有機物質が含まれることができる。また、前記発光層内に使用できる多くの有機物質が開発されている。一実施形態として、このような有機物質は、オリゴマー重合体を含む高分子物質であってもよい。また、発光層の有機物質は、微細な小さい分子であってもよい。
【0024】
また、前記電気回路は、カソード1006とアノード1004との間に適切なエネルギーを提供する。これは、アノード1004間に介在された有機膜を介してカソード1006に流れる電流の結果である。この際、前記カソード1006は、隣接する有機膜層1010に電子を提供し、アノード1004は、有機膜層1010に正孔を注入する。ここで、正孔と電子は、有機膜層1010で再結合し、“励起子”を生成する。励起子は、有機膜層1010内の有機発光物質にエネルギーを提供し、そのエネルギーは、有機発光物質から光を発光するのに使われる。前記OLED1000、1001により生成され放出される光の特性は、有機膜層内の有機分子の性格及び構成によって変わることができる。
【0025】
前記OLEDは、光の発光方向によって分けられる。前面発光OLEDと呼ばれるタイプは、カソードまたは上部電極1006を介してイメージを表示する。この際、カソード1006は、可視光線を透過させる程度に透明な物質で形成される。また、アノードまたは下部電極1004を介して光の損失を防ぐために、アノードは、光を反射できる物質で形成される。他のタイプのOLEDは、アノードまたは下部電極1004を介して光を放出する背面発光タイプである。前記背面発光OLEDにおいて、アノード1004は、光を透過できる程度に透明な物質で形成される。また、カソード1006は、光を反射できる物質で形成される。さらに他のタイプのOLEDは、アノード1004とカソード1006の両方の方向に光を放出するものであって、基板が透明な物質で形成される。
【0026】
次に、図8Cを参照すれば、多数のOLED画素を含むOLED画素アレイ1021は、基板1002上に形成される。前記アレイ1021の画素は、駆動回路によってオン/オフとされ、画素の大部分は、アレイ1021により全体ディスプレイ情報またはイメージが制御される。また、OLED画素アレイ1021は、発光領域及び非発光領域を定義するための他の構成要素により配列される。すなわち、発光領域は、OLED画素アレイ1021が形成された基板1002上の領域であり、非発光領域は、発光領域以外の領域である。前記非発光領域は、ロジックまたは電力供給回路を含むことができる。また、AMOLEDにおいて、駆動回路と、前記駆動回路と結合されるデータ及びスキャンラインは、AMOLEDの各画素を駆動及び制御するために発光領域に拡張されることができる。
【0027】
前記OLEDは、有機物質層が水分、酸素または他の有害なガスにより損傷または低下することを考慮して製作される。したがって、OLEDは、水分、酸素または他の有害なガスが侵入することを防止できるように接合されたり、封止される。
【0028】
ここで、図8Dは、図8CのD−D線における断面図である。同図を参照すれば、OLED画素アレイ1021を密閉させるために、上部基板1061と下部基板1002とを封止材1071を用いて封止する。一実施形態として、上部基板1061または下部基板1002に1つ以上の層を形成し、上部または下部基板1061、1002を封止材1071で封止する。この際、封止材1071は、OLED画素アレイ1021の周辺に沿って下部または上部基板1002、1061に位置する。
【0029】
この際、前記封止材1071は、後述するフリット物質で形成される。上部または下部基板1061、1002は、酸素または水分による露出からOLED画素アレイ1021を保護するために、プラスチック、ガラス、金属箔などのような物質を含む。例えば、上部基板1061と下部基板1002のうち少なくとも一方は、全体的に透明な物質で形成される。
【0030】
したがって、OLEDの寿命を長くするために、上部基板1061、下部基板1002及び封止材1071は、酸素と水蒸気を遮断する領域1081を提供する。一適用例として、上部と下部基板1061、1002を結合するフリット物質からなる封止材1071は、10−3cc/mdayの酸素遮断能力と10−6g/mdayの水分遮断能力を示す。この際、一部の酸素と湿気は、遮断領域1081内に侵入することができるので、遮断領域1081内に酸素と水分を吸入できる物質を形成する。
【0031】
次に、図8Dに示されたように、封止材1071は、上部または下部基板1061、1002の表面に平行する方向に厚さである幅Wを有する。この際、前記幅Wは、300乃至3000μmの幅を有することができる。好ましくは、500乃至1500μmの幅を有することができる。また、前記幅Wは、封止材1071の他の位置で多様化される。例えば、封止材1071の幅は、下部基板と上部基板1002、1061のうちいずれか一方に当接する領域の封止材1071が最も大きいことができる。
【0032】
また、図8Dに示されたように、前記封止材1071は、上部または下部基板1061、1002の表面に垂直な方向に幅である高さHを有する。この際、前記高さHは、2乃至30μmの高さを有することができる。好ましくは、10乃至15μmである。また、前記封止材1071の位置による高さは多様化されることができる。
【0033】
一実施形態として、前記封止材1071は、一般的な断面を有する。しかし、前記封止材1071は、必要に応じて四角形、台形または円形の多様な断面形態を有することができる。この際、密封力を高めるために、一般的に下部または上部基板1002、1061と直接的に接触する封止材1071の領域を増加させることができる。一実施形態として、封止材の形態は、界面積が増加し得るように形成することができる。
【0034】
前記封止材1071は、OLEDアレイ1021に直ぐに隣接するように位置することができ、OLEDアレイ1021から離隔された空間に位置することができる。一例として、前記封止材1071は、OLEDアレイ1021の周囲を包囲するために一般的に線形で形成される。また、前記封止材1071は、OLEDアレイ1021の境界に平行するように連結されることができる。他の実施形態として、前記封止材1071は、OLEDアレイ1021の境界に平行しないように位置することができる。この際、前記封止材1071の少なくとも一部は、上部基板1061と下部基板1002との間に位置する。
【0035】
前述したように、前記封止材1071は、微細ガラス粒子を含むフリット物質または簡単に“フリット”または“ガラスフリット”で形成される。前記フリット粒子は、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化バリウム(BaO)、酸化リチウム(LiO)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化カリウム(KO)、酸化ホウ素(B)、酸化バナジウム(V)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化テルル(TeO)、酸化アルミニウム(Al)、二酸化シリコン(SiO)、酸化鉛(PbO)、酸化スズ(SnO)、酸化リン(P)、酸化ルテニウム(RuO)、酸化ルビジウム(RbO)、酸化ロジウム(RhO)、酸化フェライト(Fe)、酸化銅(CuO)、酸化チタニウム(TiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化アンチモン(Sb)、ホウ酸鉛ガラス、リン酸スズガラス、バナジン酸ガラス、及びホウケイ酸ガラスよりなる群から選ばれた一種又はそれ以上の物質からなることができる。また、前記粒子サイズは、2乃至30μmであることができ、好ましくは、5乃至10μmであることができる。前記粒子は、前記フリット封止材1071に接触する上部及び下部基板1061、1002間の間隔分たげ大きいこともできる。
【0036】
前記封止材1071を形成するためのフリット物質は、1つ以上の充填物または添加物を含むことができる。前記充填物または添加物は、封止材の熱膨張特性を調整し、選択された周波数による吸収特性を調整するためである。また、充填物または添加物は、フリットの熱膨張系を調整するために添加された充填物をさらに含むことができる。例えば、充填物または添加物は、遷移金属、クロム(Cr)、鉄(Fe)、マンガン(Mn)、コバルト(Co)、銅(Cu)及びバナジウムを含むことができる。また、付加的に充填物または添加物は、ZnSiO、PbTiO、ZrO及びユークリプタイト(eucryptite)をさらに含むことができる。
【0037】
前記フリット物質は、20乃至90wt%のガラス粒子を含み、残りとして充填物または添加物を含む。また、フリットペーストは、10乃至30wt%の有機物質及び70乃至90%の無機物を含む。また、前記フリットペーストは、20wt%の有機物質及び80wt%の無機物質を含むことができる。また、有機物質は、0乃至30wt%のバインダー及び70乃至100wt%のソルベントを含むことができる。また、有機物質は、10wt%のバインダー及び90wt%ソルベントを含むことができる。また、無機物質は、0乃至10wt%添加物と、20乃至40wt%の充填物、及び50乃至80wt%のガラスパウダーを含むことができる。また、無機物質は、0乃至5wt%の添加物、25乃至30wt%の充填物及び65乃至75wt%のガラスパウダーを含むことができる。
【0038】
前記フリット封止材を形成することは、フリットペーストを形成するために乾燥フリット物質に液体物質を追加して形成する。添加物を含むか、含まない有機または無機ソルベントは、液体物質として利用することができる。一実施形態として、ソルベントは、1つ以上の有機化合物を含む。例えば、適用可能な有機化合物は、エチルセルロース(ethylcellulose)、ニトロセルロース(nitro cellulose)、ヒドロキシルプロピルセルロース(hydroxyl propyl cellulose)、ブチルカルビトールアセテート(butyl carbitol acetate)、テルピネオール(terpineol) 、ブチルセルロース(butyl cellusolve)、アクリレート(acrylate)化合物であることができる。また、前記封止材1071は、このように形成したフリットペーストを上部または下部基板1061、1002に適用できる。
【0039】
一実施形態として、前記封止材1071は、最初にフリットペーストを形成し、上部基板1061と下部基板1002との間に形成する。次に、前記封止材1071は、上部及び下部基板1061、1002の一方に前処理または前焼成して形成する。この際、上部基板1061と下部基板1002との間に介在された前記封止材1071は、部分的に加熱され溶融される。次いで、前記OLED画素アレイ1021が酸素または水分に露出されるのを防止するために、前記封止材1071が固体化され、上部基板1061と下部基板1002とを結合する。
【0040】
この際、前記フリット封止材に選択的に熱を加えることは、レーザーまたは赤外線ランプのように光を照射する方法を利用する。上記のように、前記封止材1071を形成するためのフリット物質は、前記封止材1071を形成するためのフリット物質の熱を加えて溶ける特性を改良するために選択された1つ以上の添加剤または充填剤を含むことができる。
【0041】
次に、図8Eを参照すれば、多数の分離されたOLED画素1021は、共通の下部基板1101上に形成される。一実施形態として、各OLEDアレイ1021は、前記形成された封止材1071によって周囲を取り囲まれる。また、共通の上部基板は、OLED画素1021が形成された共通の下部基板1101を覆い、フリットペーストは、共通の下部基板1101と共通の上部基板との間に介在される。したがって、OLEDアレイ1021は、前記に開示された工程により封止され完成される。
【0042】
図2及び図3は、本発明の他の実施形態に係る有機電界発光表示装置を示す断面図である。
【0043】
図2を参照すれば、封止基板200の一面にフリット210を設ける。前記封止基板200は、絶縁ガラス基板を使用し、前記フリット210は、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化バリウム(BaO)、酸化リチウム(LiO)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化カリウム(KO)、酸化ホウ素(B)、酸化バナジウム(V)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化テルル(TeO)、酸化アルミニウム(Al)、二酸化シリコン(SiO)、酸化鉛(PbO)、酸化スズ(SnO)、酸化リン(P)、酸化ルテニウム(RuO)、酸化ルビジウム(RbO)、酸化ロジウム(RhO)、酸化フェライト(Fe)、酸化銅(CuO)、酸化チタニウム(TiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化アンチモン(Sb)、ホウ酸鉛ガラス、リン酸スズガラス、バナジン酸ガラス、及びホウケイ酸ガラスよりなる群から選ばれた一種以上を使用したガラスを、溶融により製造した後、これを粉砕し、微粉化して作ったもので、接着力が非常に強く、且つ機械的強度と化学的な耐久性が非常に優れたガラスフリットを使用する。
【0044】
前記フリット210の間にフィルム220を設ける。前記フィルム220は、光干渉現象を防止できるウレタンアクリルで形成されたフィルムを使用する。素子の内部において屈折により光が反射しないように、ガラス及び有機物の成膜された素子部の屈折率と同じ屈折率を有する前記フィルム220を使用するので、内部の反射光による光干渉現象が無くなり、ガラス干渉模様が除去される。また、前記フィルム220は、ラミネート方式で取り付ける。
【0045】
その後、図3に示されるように、基板240上に有機発光素子230を設ける。前記基板240は、半導体層、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極を備えた薄膜トランジスタを含む。前記有機発光素子230は、正孔注入層、正孔輸送層、有機発光層、電子輸送層、及び電子注入層のうち少なくともいずれか一つを含む。
【0046】
次に、前記封止基板200と整列し、前記フリット210を約180〜350℃で熱硬化する。前記封止基板200と前記基板240の整列に際して、前記封止基板200の一面に設けられたフィルム220は、前記基板240上に設けられた有機発光素子230の上部全面に接触する。前記フィルム220は、前記有機発光素子230の光が放出する一面に接触することによって、干渉模様が生じることを防止することができる。
【0047】
前述のような有機電界発光表示装置は、接着力が非常に強く、且つ機械的強度と化学的な耐久性が非常に優れたガラスフリットで基板を封止することによって、吸湿剤を備えることなく、有機発光素子を保護することができる。また、光干渉現象を防止するためのフィルムを取り付けることで、ガラス干渉模様を除去することができる。
【0048】
次に、図4から図7は、本発明のさらに他の実施形態に係る有機電界発光表示装置を示す断面図である。
【0049】
まず、図4に示されるように、基板300上に第1電極310を設ける。前記基板300は、半導体層、ゲート電極、ソース電極及びドレイン電極を備えた薄膜トランジスタを含み、前記第1電極310は、透明であり、且つ仕事関数が高いITOまたはIZOを使用することができる。
【0050】
前記第1電極310上に有機発光素子360を設ける。前記有機発光素子360は、正孔輸送層320、有機発光層330、電子輸送層340、及び第2電極350を含む。
【0051】
その後、前記有機発光素子360を保護する無機膜370を設ける。前記無機膜370は、シール材から有機発光素子を保護するためのものであって、透明な材料である酸化ケイ素系または窒化ケイ素系のいずれか一つの材料で形成する。
【0052】
次に、前記有機発光素子360の両側部にフリット380を形成する。前記フリット380は、前記実施形態と同様に、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化バリウム(BaO)、酸化リチウム(LiO)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化カリウム(KO)、酸化ホウ素(B)、酸化バナジウム(V)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化テルル(TeO)、酸化アルミニウム(Al)、二酸化シリコン(SiO)、酸化鉛(PbO)、酸化スズ(SnO)、酸化リン(P)、酸化ルテニウム(RuO)、酸化ルビジウム(RbO)、酸化ロジウム(RhO)、酸化フェライト(Fe)、酸化銅(CuO)、酸化チタニウム(TiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化アンチモン(Sb)、ホウ酸鉛ガラス、リン酸スズガラス、バナジン酸ガラス、及びホウケイ酸ガラスよりなる群から選ばれた一種以上の物質で形成されたガラスを、溶融により製造した後、これを粉砕し、微粉化して作ったもので、接着力が非常に強く、且つ機械的強度と化学的な耐久性が非常に優れたガラスフリットを使用する。
【0053】
その後、封止基板400の、前記有機発光素子360と対向する一面に、透明なシール材390を設ける。前記シール材390は、素子の内部において屈折により光が反射しないように、ガラス及び有機物の成膜された素子部の屈折率と同じウレタンアクリルを使用することによって、光干渉現象を防止することができ、ガラス干渉模様を除去することができる。
【0054】
次に、図5を参照すれば、前記基板300と前記封止基板400を整列し、光硬化部420及び非硬化部430を備えたUVマスク410を製作し、光硬化する。
【0055】
その後、図6を参照すれば、UVマスクにより、前記フリット380が設けられた位置のシール材は硬化し、その他の領域は硬化しない。次いで、スクライブライン440をスクライブし、スクライブライン周囲の硬化しないシール材を除去する。
【0056】
次に、図7を参照すれば、前記有機発光素子360上の硬化していないシール材450を熱硬化し、有機電界発光表示装置を完成する。
【0057】
前述のような有機電界発光表示装置は、接着力が非常に強く、且つ機械的強度と化学的な耐久性が非常に優れたガラスフリットで基板を封止することによって、さらに優れた封止効果を示すことができ、光干渉現象を防止するためのシール材を使用して光干渉現象を防止することができ、ガラス干渉模様を除去することができるという利点がある。
【0058】
以上において説明した本発明は、本発明が属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で、様々な置換、変形及び変更が可能であるので、上述した実施形態及び添付された図面に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】従来の有機電界発光表示装置を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る有機電界発光表示装置を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る有機電界発光表示装置を示す断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る有機電界発光表示装置を示す断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係る有機電界発光表示装置を示す断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係る有機電界発光表示装置を示す断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る有機電界発光表示装置を示す断面図である。
【図8A】本発明のさらに他の実施形態に係る有機電界発光表示装置を示す図である。
【図8B】本発明のさらに他の実施形態に係る有機電界発光表示装置を示す図である。
【図8C】本発明のさらに他の実施形態に係る有機電界発光表示装置を示す図である。
【図8D】本発明のさらに他の実施形態に係る有機電界発光表示装置を示す図である。
【図8E】本発明のさらに他の実施形態に係る有機電界発光表示装置を示す図である。
【符号の説明】
【0060】
300 基板
310 第1電極
320 正孔輸送層
330 有機発光層
340 電子輸送層
350 第2電極
360 有機発光素子
370 無機膜
380 フリット
390 シール材
400 封止基板
410 UVマスク
440 スクライブライン
450 シール材
1000、1001 有機電界発光表示装置
1002 基板
1004 アノード
1006 カソード
1010 有機膜層
1012 駆動回路
1014 平坦化膜
1016 データライン
1018 スキャンライン
1071 封止材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられた有機発光素子と、
前記有機発光素子が設けられた基板に対向するように設けられた封止基板と、
前記有機発光素子の周辺に設けられ、前記封止基板と前記基板とを結合するフリットと、
前記封止基板と前記有機発光素子との間に設けられたフィルムまたはシール材と、を備えることを特徴とする有機電界発光表示装置。
【請求項2】
前記フィルムとシール材は、ウレタンアクリルで形成されることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項3】
前記フリットは、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化バリウム(BaO)、酸化リチウム(LiO)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化カリウム(KO)、酸化ホウ素(B)、酸化バナジウム(V)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化テルル(TeO)、酸化アルミニウム(Al)、二酸化シリコン(SiO)、酸化鉛(PbO)、酸化スズ(SnO)、酸化リン(P)、酸化ルテニウム(RuO)、酸化ルビジウム(RbO)、酸化ロジウム(RhO)、酸化フェライト(Fe)、酸化銅(CuO)、酸化チタニウム(TiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化アンチモン(Sb)、ホウ酸鉛ガラス、リン酸スズガラス、バナジン酸ガラス、及びホウケイ酸ガラスよりなる群から選ばれた一種以上を使用することを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項4】
前記フィルムまたはシール材は、前記有機発光素子の上部表面を覆っていることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項5】
前記フィルムまたはシール材は、前記有機発光素子以外の領域と前記封止基板との間に位置しないことを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項6】
前記フィルムまたはシール材は、前記フリットと接触しないことを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項7】
前記フィルムまたはシール材は、前記フリットと接触することを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項8】
前記フィルムまたはシール材は、透明であることを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項9】
前記フィルムまたはシール材は、前記封止基板と反射率が同じか、小さいことを特徴とする請求項1に記載の有機電界発光表示装置。
【請求項10】
基板を用意する段階と、
前記基板上に有機発光素子を設ける段階と、
前記基板上に設けられた前記有機発光素子の両側部にフリットを設ける段階と、
前記素子に対向する封止基板の一面にフィルムを設ける段階と、
前記基板と前記封止基板とを結合する段階と、
前記フリットを熱硬化させる段階と、を備えることを特徴とする有機電界発光表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記フィルムは、ウレタンアクリルで形成されることを特徴とする請求項10に記載の有機電界発光表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記フリットは、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化バリウム(BaO)、酸化リチウム(LiO)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化カリウム(KO)、酸化ホウ素(B)、酸化バナジウム(V)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化テルル(TeO)、酸化アルミニウム(Al)、二酸化シリコン(SiO)、酸化鉛(PbO)、酸化スズ(SnO)、酸化リン(P)、酸化ルテニウム(RuO)、酸化ルビジウム(RbO)、酸化ロジウム(RhO)、酸化フェライト(Fe)、酸化銅(CuO)、酸化チタニウム(TiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化アンチモン(Sb)、ホウ酸鉛ガラス、リン酸スズガラス、バナジン酸ガラス、及びホウケイ酸ガラスよりなる群から選ばれた一種以上を使用することを特徴とする請求項10に記載の有機電界発光表示装置の製造方法。
【請求項13】
基板を用意する段階と、
前記基板上に有機発光素子を設ける段階と、
前記有機発光素子上に無機物層を設ける段階と、
前記基板上に設けられた前記有機発光素子の両側部にフリットを設ける段階と、
前記有機発光素子に対向する封止基板の一面にシール材を設ける段階と、
前記基板と前記封止基板とを結合する段階と、
前記シール材を光硬化し、硬化部と非硬化部を設ける段階と、
前記結合された基板をスクライブし、スクライブラインのシール材を除去する段階と、
前記非硬化部を熱硬化させる段階と、を備えることを特徴とする有機電界発光表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記シール材は、前記フリットが設けられた領域が硬化し、前記有機発光素子が位置する領域及びスクライブライン領域が硬化しないことを特徴とする請求項13に記載の有機電界発光表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記シール材は、ウレタンアクリルで形成されることを特徴とする請求項13に記載の有機電界発光表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記フリットは、酸化マグネシウム(MgO)、酸化カルシウム(CaO)、酸化バリウム(BaO)、酸化リチウム(LiO)、酸化ナトリウム(NaO)、酸化カリウム(KO)、酸化ホウ素(B)、酸化バナジウム(V)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化テルル(TeO)、酸化アルミニウム(Al)、二酸化シリコン(SiO)、酸化鉛(PbO)、酸化スズ(SnO)、酸化リン(P)、酸化ルテニウム(RuO)、酸化ルビジウム(RbO)、酸化ロジウム(RhO)、酸化フェライト(Fe)、酸化銅(CuO)、酸化チタニウム(TiO)、酸化タングステン(WO)、酸化ビスマス(Bi)、酸化アンチモン(Sb)、ホウ酸鉛ガラス、リン酸スズガラス、バナジン酸ガラス、及びホウケイ酸ガラスよりなる群から選ばれた一種以上を使用することを特徴とする請求項13に記載の有機電界発光表示装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【公開番号】特開2007−115692(P2007−115692A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−285143(P2006−285143)
【出願日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】