有機EL照明パネル及び有機EL照明装置
【課題】本発明は、輝度むらを低減することができる有機EL照明パネル及び有機EL照明装置を提供する。
【解決手段】本発明では、少なくとも一方が透光性の一対の第1及び第2電極層12、14によって少なくとも発光層を含む有機発光層13を挟んで成る有機EL層を透光性の基板11上に配設し、基板11と協同して有機EL層を封止する第1及び第2封止部材15、16を備える有機EL照明パネル10において、第1及び第2電極層12、14のうちの一方は、複数の電極121から成り、該複数の電極121における隣接する一対の電極121では外側電極が内側電極を囲む環形状である。
【解決手段】本発明では、少なくとも一方が透光性の一対の第1及び第2電極層12、14によって少なくとも発光層を含む有機発光層13を挟んで成る有機EL層を透光性の基板11上に配設し、基板11と協同して有機EL層を封止する第1及び第2封止部材15、16を備える有機EL照明パネル10において、第1及び第2電極層12、14のうちの一方は、複数の電極121から成り、該複数の電極121における隣接する一対の電極121では外側電極が内側電極を囲む環形状である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(electro luminescence)を利用した有機EL照明パネルに関し、特に、輝度むらを低減することができる有機EL照明パネルに関する。そして、この有機EL照明パネルを用いた有機EL照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、自己発光のために液晶素子に較べて明るく、鮮明な表示が可能であることから、比較的古くから研究開発がされてきた。特に、1987年にコダック社のC.W.Tangらが積層構造の有機EL素子を提案して以来、この素子が消費電力、輝度、応答性及び視野角の諸点で優れていることから注目を浴び、有機ELディスプレイに関する研究開発が活発化している。
【0003】
図5は、特許文献1に記載の有機ELディスプレイの構造を示す斜視図である。図5において、典型的な有機ELディスプレイ500は、例えば特許文献1に開示されているように、ガラス基板501と、ガラス基板501上に形成された短冊状の陽極群502と、陽極群502のほぼ全面に形成された正孔輸送性の有機層503及び電子輸送性と発光機能とを有する有機層504と、有機層504上に前記陽極群502と直交する方向に形成された短冊状の陰極群505とを備えて構成される。陽極群502は、例えばITO等の導電性透明薄膜から成り、陰極群505は、例えば銀マグネシウム合金(AgMg)等の金属薄膜から成っている。
【0004】
このような構造の有機ELディスプレイ500では、それぞれ直交する電極群(陽極群502及び陰極群505)のうちの一方を走査電極として、各走査電極には、時間的に分割された走査信号が順次に供給されると共に、他方を信号電極として、各信号電極には、走査電極と交差する画素を表示すべきか否かに対応する選択信号がそれぞれ供給され、表示すべき画素が発光する。
【0005】
ここで、例えばITO等の導電性透明薄膜は、抵抗率が10−4Ω・cm台であり、金属に較べて、比較的高い抵抗を有するので、電源からの電力の供給を受ける給電端子から遠い表示画素では大きな輝度低下が発生してしまうという不都合がある。
【特許文献1】特開2000−123980号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、短冊状の陰極群505を面状の陰極電極層に代えて有機EL照明パネルを構成した場合でも、有機ELディスプレイ500と同様の不都合が生じる。即ち、例えばITO等の導電性透明薄膜は、比較的高い抵抗を有するので、給電端子から遠い発光面では大きな輝度低下が発生し、輝度むらが発生してしまうという不都合である。特に、照明用では、発光面の面積を比較的広くする必要があることからこの不都合は、重大である。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みて為された発明であり、輝度むらを低減することができる有機EL照明パネルを提供することを目的とする。そして、この有機EL照明パネルを用いた有機EL照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。即ち、本発明に係る一態様では、少なくとも一方が透光性の一対の第1及び第2電極層によって少なくとも発光層を含む有機発光層を挟んで成る有機EL層を透光性の基板上に配設し、前記基板と協同して前記有機EL層を封止する封止部材を備える有機EL照明パネルにおいて、前記第1及び第2電極層のうちの一方は、複数の電極から成り、該複数の電極における隣接する一対の電極では外側電極が内側電極を囲む環形状であることを特徴とする。
【0009】
そして、本発明に係る他の一態様では、上述の有機EL照明パネルにおいて、前記隣接する一対の電極では、互いに対向する端部で電源からの電力が供給されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る他の一態様では、これら上述の有機EL照明パネルにおいて、前記電極は、輪郭が円形であることを特徴とする。
【0011】
そして、本発明の一態様に係る有機EL照明装置は、これら上述の有機EL照明パネルと、前記複数の電極におけるそれぞれの電力供給ラインにそれぞれ介挿され、前記電源からの電力をオンオフする複数のスイッチング素子と、前記複数のスイッチング素子におけるオンオフをそれぞれ制御する調光制御部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
このような構成の有機EL照明パネル及び有機EL照明装置は、背景技術に較べて輝度むらを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る有機EL照明装置の構成を示す図である。図1(A)は、有機EL照明パネルの正面及び駆動部を示し、図1(B)は、図1(A)のAA線における有機EL照明パネルの断面を示す。図2は、実施形態に係る直流電源の構成を示す回路図である。
【0014】
図1において、第1の実施形態に係る有機EL照明装置1Aは、基板11と、基板11の一方面111上に積層された第1電極層12と、第1電極層12上に積層された有機発光層13と、有機発光層13上に積層された第2電極層14と、第1及び第2封止部材15、16とを備える有機EL照明パネル10Aと、複数のスイッチング素子31と、調光制御部32とを備える駆動部30とを備えて構成される。
【0015】
基板11は、少なくとも一方が透光性の一対の第1及び第2電極層12、14によって少なくとも発光層を含む有機発光層13を挟んで成る有機EL層を支持するための矩形の平板状の部材であり、有機発光層13で発光する光の波長に対して透明な材料、例えばガラス等で構成される。
【0016】
第1電極層12は、有機発光層13で発光する光の波長に対して透明な材料から成る導電性の薄膜であり、陽極となる。第1電極層12は、有機発光層13が可視光を発光するので、例えば、可視光を透過するITO(Indium Tin Oxide)等で形成される。
【0017】
ここで、注目すべきは、第1電極層12は、複数の電極121から成り、これら複数の電極121における隣接する一対の電極121では外側電極が内側電極を囲む環形状であることである。図1に示す例では、第1電極層12は、3個の電極121−1〜121−3から成る。最内の第1電極121−1は、矩形である。第1電極121−1に隣接する第2電極121−2は、その内側電極に当たる第1電極121−1を囲む、輪郭が矩形の環形状である。第2電極121−2に隣接する第3電極121−3は、その内側電極に当たる第2電極121−2を囲む、輪郭が矩形の環形状である。なお、第1電極121−1にとっては、第2電極121−2が外側電極に当たり、第2電極121−2にとっては、第3電極121−3が外側電極に当たる。図1に示す例では、第1電極層12の電極121は、3個であるが、その個数は、任意であり、例えば有機EL照明パネル10Aの大きさ及び発光量等を考慮して仕様により適宜に決定される。
【0018】
なお、本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0019】
そして、第1電極層12の電極121は、その一部が第1封止部材15から露出するように形成され、その一部は、直流電源40からの電力の供給を受けるための陽極給電領域122を構成する。図1に示す例では、第1電極121−1は、一端部が第1封止部材15から露出するように形成され、1個の陽極給電領域122−1を構成し、第2及び第3電極121−2、121−3は、その両端部が第1封止部材15から露出するように形成され、それぞれ2個の陽極給電領域122−2、122−3;122−4、122−5を構成している。
【0020】
このように第1電極層12を構成する各電極121は、電力の供給を受けるために、その一部が第1封止部材15から露出するように引き出されている。このため、外側電極は、内側電極の一部が第1封止部材15から露出するように引き出されるために、閉ループではなく、一部が切れている開ループになっている。本明細書における環形状は、閉ループだけでなく、一部が切れている開ループも含む意味である。なお、外側電極と、第1封止部材15から露出するように引き出される内側電極の引き出し部分とが重なる部分におけるそれらの間に絶縁層を設けることによって、外側電極は、閉ループで構成されてもよい。
【0021】
有機発光層13は、蛍光物質の有機材料又は蛍光物質を含む有機材料から成る発光層を少なくとも含んで構成され、必要に応じて、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層等を備える。より具体的には、第1及び第2電極層12、14も記載すると、例えば以下の層構造である。
(1)(第1電極層12;陽極)/発光層/(第2電極層14;陰極)
(2)(第1電極層12;陽極)/正孔輸送層/発光層/(第2電極層14;陰極)
(3)(第1電極層12;陽極)/発光層/電子輸送層/(第2電極層14;陰極)
(4)(第1電極層12;陽極)/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/(第2電極層14;陰極)
(5)(第1電極層12;陽極)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/(第2電極層14;陰極)
【0022】
第2電極層14は、導電性の薄膜であり、陰極となる。第2電極層14は、第1電極層12と同様に有機発光層13で発光する光の波長に対して透明な材料から形成してもよいが、本実施形態では、有機発光層13で発光する光の取り出し効率を高めるために、有機発光層13で発光する光を反射する材料から形成される。第2電極層14は、例えばアルミニウム(Al)、アルミリチウム(Al:Li)及びマグネシウム銀(Mg:Ag)等の金属や合金等で形成される。第2電極層14は、例えば、本実施形態では、導電率、反射率及びコスト等の観点から、例えばアルミニウムで形成される。第2電極層14には、第2電極層14に電気的に接続すると共にその一部が第1封止部材15から露出するように、陰極端子141が配設されている。
【0023】
第1及び第2封止部材15、16は、基板11と協同して有機発光層13を気密に封止するための絶縁性の部材である。例えば接着性を有する樹脂製の第1封止部材15が、陽極給電領域122を除く第1電極層12、有機発光層13及び第2電極層14を覆うように塗布され、例えばガラス製の板状部材から成る第2封止部材16が、第1封止部材15を介して第2電極層14上に載せられて圧力が加えられことによって、第2封止部材16が第1封止部材15によって第2電極層14に接着されると共に、第2封止部材16の周縁部が第1封止部材15によって基板11に気密に接着して接合される。これによって第1及び第2封止部材15、16は、基板11と協同して有機発光層13を気密に封止する。
【0024】
スイッチング素子31は、第1電極層12を構成する複数の電極121におけるそれぞれの電力供給ラインにそれぞれ介挿され、直流電源40からの電力をオンオフするための素子である。図1に示す例では、複数のスイッチング素子31が直流電源40と各電極121との間にそれぞれ介挿されており、これら複数のスイッチング素子31における一方の各端子が直流電源40の陽極に共通に接続されると共に、これら複数のスイッチング素子31における他方の各端子が複数の電極121における端部の陽極給電領域122に接続されている。そして、直流電源40の陰極は、陰極端子141に接続される。
【0025】
スイッチング素子31は、例えば、そのオンオフを切り換えるための制御信号が入力される制御端子付きの素子であり、より具体的には、例えば、MOSトランジスタやバイポーラトランジスタである。図1に示す例では、MOSトランジスタ31−1〜31−3が用いられている。各MOSトランジスタ31−1;31−2;31−3の各ソース電極が直流電源40の陽極に共通に接続されると共に、各MOSトランジスタ31−1;31−2;31−3の各ドレイン電極が各電極121−1;121−2;212−3における端部の陽極給電領域122−1;122−2、122−3;122−4、122−5にそれぞれ接続されている。
【0026】
スイッチング素子31の個数は、第1電極層12を構成する電極121をオンオフするものであるから、電極121の個数と同数である。
【0027】
なお、上述では、スイッチング素子31が第1電極層12の電極121に直接的に接続されて直流電源40からの電力が供給されるように構成されたが、直流電源40から電力の供給を受けるための例えばバンプやパッド等の複数の給電部が複数の電極121における端部に設けられてもよい。給電部にスイッチング素子31が接続されることによって、上述と同様に、直流電源40からの電力が複数の電極121の端部に供給されるように構成され得る。
【0028】
調光制御部32は、スイッチング素子31におけるオンオフをそれぞれ制御する回路であり、制御信号をスイッチング素子31の制御端子に出力する。図1に示す例では、調光制御部32は、各MOSトランジスタ31−1〜31−3の各ゲート電極にそれぞれ接続され、制御信号を各MOSトランジスタ31−1〜31−3の各ゲート電極にそれぞれ出力する。
【0029】
直流電源40は、例えば、図2に示すように、電源スイッチSWと、整流器REと、コンデンサC1、C2と、スイッチング素子Qと、ダイオードDと、コイルLと、出力制御回路41とを備えて構成される。整流器REは、電源スイッチSWを介して交流電源ACに接続される。コンデンサC1は、整流器REの出力陽極端子と出力陰極端子との間に並列に接続され、整流器REの出力電圧を平滑する。スイッチング素子Qの一方端子は、整流器REの出力陽極端子に接続され、スイッチング素子Qの他方端子は、出力制御回路41のモニタ入力、ダイオードDのカソード及びコイルLの一方端に接続される。ダイオードDのアノードは、整流器REの出力陰極端子に接続され、コイルLの他方端は、コンデンサC2を介して整流器REの出力陰極端子に接続される。スイッチング素子Qにおけるオンオフの制御端子は、出力制御回路41の制御出力に接続される。このような構成の直流電源40では、電源スイッチSWがオンされると、交流電源ACの交流は、整流器REで直流に変換され、その電圧がコンデンサC1で平滑される。コンデンサC1で電圧が平滑された直流は、スイッチング素子Q、ダイオードD、コイルL、コンデンサC2及び出力制御回路41から成るDC−DCコンバータにより降圧され、コンデンサC2の両端子から所定の電圧で出力される。
【0030】
このような構成の有機EL照明パネル10Aは、第1電極層12を構成する複数の電極121と第2電極層14との間に直流の電力を供給することによって、有機発光層13が発光する。この有機発光層13で発光した光は、一対の第1及び第2電極層12、14によって有機発光層13を挟んで成る有機EL層を配設している面、即ち、第1電極層12が形成されている一方面111に対向する他方面112(発光面)から、有機EL照明パネル10Aの出力光として射出される。
【0031】
ここで、第1電極層12は、比較的高い抵抗を有する例えばITO等の導電性透明薄膜で構成されているので、陽極給電領域122の端部から遠くなるに従って輝度が徐々に低下する。しかしながら、本実施形態の第1電極層12は、分割されて複数の電極121から構成され、電極121の両端部から給電されているので、第1電極層12が1つの電極で形成された場合に較べて電圧降下に起因する発光面位置の相違による電位差が小さくなり、輝度むらが低減され得る。特に、発光面の面積が比較的広い照明用では効果的に輝度むらが低減され得る。従って、このような有機EL照明パネル10Aを用いた有機EL照明装置1Aも輝度むらが低減され得る。
【0032】
そして、調光する場合には、各電極121の給電を駆動部30によってオンオフ制御することによって、発光面における発光している部分(発光部分)における輝度むらを低減しつつ有機EL照明パネル10Aの発光量を段階的に調整することができる。
【0033】
例えば、図1に示す例では、3個の電極121−1〜121−3によって第1電極層12が構成されているので、全点灯、全点灯より暗い第1部分点灯、第1部分点灯より暗い第2部分点灯、及び全消灯の4段階で有機EL照明パネル10A及び有機EL照明装置1Aは、調光され得る。
【0034】
全点灯する場合には、調光制御部32は、スイッチング素子31をオンする制御信号を全てのスイッチング素子31−1〜31−3の各制御端子にそれぞれ出力する。この制御信号により全てのスイッチング素子31−1〜31−3は、オンし、直流電源40から全ての電極121−1〜121−3に電力が供給される。これによって有機EL照明パネル10A及び有機EL照明装置1Aは、全点灯する。
【0035】
第1部分点灯する場合には、調光制御部32は、制御信号を例えば2個のスイッチング素子31−1、31−2の各制御端子にそれぞれ出力する。この制御信号により2個のスイッチング素子31−1、31−2は、オンし、直流電源40から2個の電極121−1、121−2に電力が供給される。これによって有機EL照明パネル10A及び有機EL照明装置1Aは、第1部分点灯する。
【0036】
ここで、上述では、中央に連続して位置する2個の電極121−1、121−2を発光させるべく2個のスイッチング素子31−1、31−2をオンしたが、オンする2個のスイッチング素子31の組み合わせは、これに限定されるものではない。例えば、外側から連続して位置する2個の電極121−3、121−2を発光させるべく2個のスイッチング素子31−3、31−2をオンしてもよく、オンする電極121を1つ空けて2個の電極121−1、121−3を発光させるべく2個のスイッチング素子31−1、31−3をオンしてもよい。
【0037】
第2部分点灯する場合には、調光制御部32は、制御信号を例えば1個のスイッチング素子31−1の制御端子に出力する。この制御信号により1個のスイッチング素子31−1は、オンし、直流電源40から電極121−1に電力が供給される。これによって有機EL照明パネル10A及び有機EL照明装置1Aは、第2部分点灯する。この場合も発光させる1個の電極121は、電極121−1に限定されるものではなく、例えば、電極121−2や電極121−3でもよい。
【0038】
全消灯する場合には、調光制御部32は、スイッチング素子31をオンする制御信号を全てのスイッチング素子31−1〜31−3の各制御端子に出力しない。これにより全てのスイッチング素子31−1〜31−3は、オフのままであり、直流電源40から全ての電極121−1〜121−3に電力が供給されず、有機EL照明パネル10A及び有機EL照明装置1Aは、全消灯する。
【0039】
有機EL照明パネル10A及び有機EL照明装置1Aは、このように制御されることにより、発光面における発光部分における輝度むらを低減しつつその発光量を段階的に調整することができる。
【0040】
なお、上述の実施形態では、第1電極層12の各電極121にスイッチング素子31を設けたが、何れか1つのスイッチング素子31を省略し、このスイッチング素子31が省略された電極121が直流電源40の電源スイッチSWのオンオフに連動してオンオフするように構成してもよい。このように構成することにより、有機EL照明装置1Aは、電源スイッチSWに連動して点消灯する。
【0041】
このような有機EL照明パネル10Aは、例えば、次の各工程によって製造される。まず、矩形のガラス製の基板11上における略中央部に上記形状の複数の電極121で構成されるITOの第1電極層12を形成する。次に、この第1電極層12のITO薄膜を形成した基板11を、アセトン、イソプロピルアルコール(共に(株)関東化学製)、セミコクリーン(フルウチ科学製)、超純水で、それぞれ超音波洗浄を行った後、イソプロピルアルコールの蒸気で洗浄し、乾燥させる。次に、大気圧プラズマ表面処理装置(松下電工(株)製)で、この第1電極層12のITO薄膜が形成された基板11の表面処理を行う。
【0042】
次に、開口部を有する有機発光層用マスクを用い、4、4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)を堆積し、Alq3にクマリンをドープした層を蒸着する。次に、Alq3を蒸着し、LiFを蒸着する。これによって有機発光層13が形成される。
【0043】
次に、開口部を有する第2電極用マスクを用いて、アルミニウムを蒸着し、アルミニウムの第2電極層14を形成する。
【0044】
次に、第2電極層14に陰極端子141を接続し、第2封止部材16としてガラス板を第1封止部材15としてのエポキシ系接着剤で基板11に貼付することによって気密に封止する。これによって図1に示す有機EL照明パネル10Aが製造される。
【0045】
次に、別の実施形態について説明する。
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態に係る有機EL照明装置の構成を示す図である。図3(A)は、有機EL照明パネルの正面及び駆動部を示し、図3(B)は、図2(A)のBB線における有機EL照明パネルの断面を示す。
【0046】
図3において、第2の実施形態に係る有機EL照明装置1Bは、基板21と、基板21の一方面211上に積層された第1電極層22と、第1電極層22上に積層された有機発光層23と、有機発光層23上に積層された第2電極層24と、第1及び第2封止部材25、26とを備える有機EL照明パネル20Aと、複数のスイッチング素子31と、調光制御部32とを備える駆動部30とを備えて構成される。
【0047】
ここで、第2の実施形態に係る有機EL照明装置1Bは、第1の実施形態ではその有機EL照明パネル10Aが平面視にて矩形であったが、有機EL照明パネル20Aが平面視にて円形である。このため、第2実施形態に係る有機EL照明装置1Bは、有機EL照明パネル20Aにおける基板21の形状、第1電極層22の形状、有機発光層23の形状、第2電極層24の形状、第1及び第2封止部材25、26の形状が第1の実施形態に係る有機EL照明パネル10Aにおける基板11の形状、第1電極層12の形状、有機発光層13の形状、第2電極層14の形状、第1及び第2封止部材15、16の形状が異なるだけで、その他の点は、同様であるのでその説明を省略する。
【0048】
基板21は、円形であり、その一方面211上に複数の電極221から成る第1電極層22が積層されている。第1電極層22における複数の電極221における隣接する一対の電極221では外側電極が内側電極を囲む輪郭が円形の環形状である。図3に示す例では、第1電極層22は、3個の電極221−1〜221−3から成る。最内の第1電極221−1は、輪郭が円形である。第1電極221−1に隣接する第2電極221−2は、その内側電極に当たる第1電極121−1を囲む、輪郭が円形の環形状である。第2電極221−2に隣接する第3電極221−3は、その内側電極に当たる第2電極221−2を囲む、輪郭が円形の環形状である。なお、第1電極221−1にとっては、第2電極221−2が外側電極に当たり、第2電極221−2にとっては、第3電極221−3が外側電極に当たる。
【0049】
そして、第1電極層22の電極221は、その一部が第1封止部材25から露出するように形成され、その一部は、直流電源40からの電力の供給を受けるための陽極給電領域222を構成する。図3に示す例では、第1電極221−1は、一端部が第1封止部材25から露出するように形成され、1個の陽極給電領域222−1を構成し、第2及び第3電極221−2、221−3は、その両端部が第1封止部材25から露出するように形成され、それぞれ2個の陽極給電領域222−2、222−3;222−4、222−5を構成している。
【0050】
有機発光層23は、輪郭が円形の複数の電極221から構成される第1電極層22の形状に合わせて、輪郭が円形であり、第2電極層24も有機発光層23の形状に合わせて、輪郭が円形である。そして、これら第1電極層22、有機発光層23及び第2電極層24の形状に合わせて、円形の第2封止部材26が、第1封止部材25を介して第2電極層24上に載せられて圧力が加えられことによって、第2封止部材26が第1封止部材25によって第2電極層24に接着されると共に、第2封止部材26の円周縁部が第1封止部材25によって基板21に気密に接着して接合される。
【0051】
このように有機EL照明パネル20Aを円形に構成することによって、有機EL照明装置1Bは、ユーザに従来の丸型蛍光灯照明装置と同様の印象を与えることができる。そして、第1電極層22を構成する複数の電極221をその輪郭が円形の環形状とすることによって、有機EL照明装置1Bは、ユーザに大きさの異なる丸形蛍光灯を複数備える装置と同様の印象を与えることができる。このため、従来の丸型蛍光灯照明装置を本実施形態に係る有機EL照明装置1Bに置き換えてもユーザに違和感を与えることが少ない。また、有機EL照明パネル20Aを円形に構成することによって、有機EL照明装置1Bは、ユーザに安心感や柔らかさを与えることができる。
【0052】
次に、別の実施形態について説明する。
(第3の実施形態)
図4は、第3の実施形態に係る有機EL照明パネルの構成を示す正面図である。図4(A)は、矩形の場合を示し、図4(B)は、円形の場合を示す。
【0053】
第1及び第2の実施形態に係る有機EL照明パネル10A、20Aでは、第1電極層12、22を構成する複数の電極121、221は、図1(A)及び図3(A)に示すように、その端部が揃うようにその一部(陽極給電領域122、222)が第1封止部材15、25から露出するように形成され、各端部の陽極給電領域122、222で直流電源40からの電力が供給されるように構成されたが、第3の実施形態に係る有機EL照明パネル10B、20Bでは、図4に示すように、第1電極層12、22を構成する複数の電極126、226における隣接する一対の電極ではその端部が互いに対向するようにその一部(陽極給電領域127、227)が第1封止部材15、25から露出するように形成され、各端部の陽極給電領域127、227で直流電源40からの電力が供給されるように構成される。
【0054】
このため、第3の実施形態に係る有機EL照明パネル10B、20Bは、第1電極層12、22を構成する電極126、226の形状が第1の実施形態に係る有機EL照明パネル10A、20Aにおける第1電極層12、22を構成する電極121、221の形状と異なるだけで、その他の点は、同様であるのでその説明を省略する。
【0055】
まず、図4(A)に示す矩形の有機EL照明パネル10Bについて説明する。図4(A)に示すように、この有機EL照明パネル10Bにおける第1電極層12を構成する複数の電極126は、隣接する一対の電極126では外側電極が内側電極を囲む、輪郭が矩形の環形状であると共に、この隣接する一対の電極126ではその端部が互いに対向するようにその一部が第1封止部材15から露出するように形成されている。そして、この一部は、陽極給電領域127を構成している。
【0056】
図4(A)に示す例では、第1電極層12は、3個の電極126−1〜126−3から成る。最内の第1電極126−1は、矩形であり、その一部が一方側(図4(A)では上側)で第1封止部材15から露出するように形成されており、その一部は、陽極給電領域127−1を構成している。第1電極126−1に隣接する第2電極126−2は、その内側電極に当たる第1電極126−1を囲む、輪郭が矩形の環形状であり、その一部が前記一方側に対向する他方側(図4(A)では下側)で第1封止部材15から露出するように形成されており、その一部は、陽極給電領域127−2、127−3を構成している。第2電極126−2に隣接する第3電極126−3は、その内側電極に当たる第2電極126−2を囲む、輪郭が矩形の環形状であり、その一部が前記他方側に対向する一方側(図4(A)では上側)で第1封止部材15から露出するように形成されており、その一部は、陽極給電領域127−4、127−5を構成している。なお、第1電極126−1にとっては、第2電極126−2が外側電極に当たり、第2電極126−2にとっては、第3電極126−3が外側電極に当たる。
【0057】
次に、図4(B)に示す円形の有機EL照明パネル20Bについて説明する。図4(B)に示すように、この有機EL照明パネル20Bにおける第1電極層22を構成する複数の電極226は、隣接する一対の電極226では外側電極が内側電極を囲む、輪郭が円形の環形状であると共に、この隣接する一対の電極226ではその端部が互いに対向するようにその一部が第1封止部材25から露出するように形成されている。そして、この一部は、陽極給電領域227を構成している。
【0058】
図4(B)に示す例では、第1電極層22は、3個の電極226−1〜226−3から成る。最内の第1電極226−1は、円形であり、その一部が一方側(図4(B)では上側)で第1封止部材25から露出するように形成されており、その一部は、陽極給電領域227−1を構成している。第1電極226−1に隣接する第2電極226−2は、その内側電極に当たる第1電極226−1を囲む、輪郭が円形の環形状であり、その一部が前記一方側に対向する他方側(図4(B)では下側)で第1封止部材25から露出するように形成されており、その一部は、陽極給電領域227−2、227−3を構成している。第2電極226−2に隣接する第3電極226−3は、その内側電極に当たる第2電極226−2を囲む、輪郭が円形の環形状であり、その一部が前記他方側に対向する一方側(図4(B)では上側)で第1封止部材25から露出するように形成されており、その一部は、陽極給電領域227−4、227−5を構成している。なお、第1電極226−1にとっては、第2電極226−2が外側電極に当たり、第2電極226−2にとっては、第3電極226−3が外側電極に当たる。
【0059】
このような構成の有機EL照明パネル10B、20Bでは、第1電極層12、22を構成する複数の電極126、226における隣接する一対の電極126、226では、互いに対向する端部(陽極給電領域127、227)で直流電源40からの電力が供給される。
【0060】
ここで、第1電極層12、22の各電極126、226は、比較的高い抵抗を有する例えばITO等の導電性透明薄膜で構成されているので、陽極給電領域127、227の端部から遠くなる従って輝度が徐々に低下する。しかしながら、隣接する一対の電極126、226では、互いに対向する電極126、226の端部の各陽極給電領域127、227で直流電源40から電力の供給を受けているので、有機EL照明パネル10B、20Bは、一方の電極126、226における輝度低下を他方の電極126、226における輝度で補うことができる。このため、有機EL照明パネル10B、20Bの発光面112、212全体では、輝度が平均化され、輝度むらが低減され得る。従って、このような有機EL照明パネル10B、20Bを用いた有機EL照明装置も輝度むらが低減され得る。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1の実施形態に係る有機EL照明装置の構成を示す図である。
【図2】実施形態に係る直流電源の構成を示す回路図である。
【図3】第2の実施形態に係る有機EL照明装置の構成を示す図である。
【図4】第3の実施形態に係る有機EL照明パネルの構成を示す正面図である。
【図5】特許文献1に記載の有機ELディスプレイの構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0062】
1A、1B 有機EL照明装置
10A、10B、20A、20B 有機EL照明パネル
11、21 基板
12、22 第1電極層
13、23 有機発光層
14、24 第2電極層
15、25 第1封止部材
16、26 第2封止部材
30 駆動部
31 スイッチング素子
32 調光制御部
40 直流電源
121、126、221、226 電極
122、127、222、227 陽極給電領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(electro luminescence)を利用した有機EL照明パネルに関し、特に、輝度むらを低減することができる有機EL照明パネルに関する。そして、この有機EL照明パネルを用いた有機EL照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、自己発光のために液晶素子に較べて明るく、鮮明な表示が可能であることから、比較的古くから研究開発がされてきた。特に、1987年にコダック社のC.W.Tangらが積層構造の有機EL素子を提案して以来、この素子が消費電力、輝度、応答性及び視野角の諸点で優れていることから注目を浴び、有機ELディスプレイに関する研究開発が活発化している。
【0003】
図5は、特許文献1に記載の有機ELディスプレイの構造を示す斜視図である。図5において、典型的な有機ELディスプレイ500は、例えば特許文献1に開示されているように、ガラス基板501と、ガラス基板501上に形成された短冊状の陽極群502と、陽極群502のほぼ全面に形成された正孔輸送性の有機層503及び電子輸送性と発光機能とを有する有機層504と、有機層504上に前記陽極群502と直交する方向に形成された短冊状の陰極群505とを備えて構成される。陽極群502は、例えばITO等の導電性透明薄膜から成り、陰極群505は、例えば銀マグネシウム合金(AgMg)等の金属薄膜から成っている。
【0004】
このような構造の有機ELディスプレイ500では、それぞれ直交する電極群(陽極群502及び陰極群505)のうちの一方を走査電極として、各走査電極には、時間的に分割された走査信号が順次に供給されると共に、他方を信号電極として、各信号電極には、走査電極と交差する画素を表示すべきか否かに対応する選択信号がそれぞれ供給され、表示すべき画素が発光する。
【0005】
ここで、例えばITO等の導電性透明薄膜は、抵抗率が10−4Ω・cm台であり、金属に較べて、比較的高い抵抗を有するので、電源からの電力の供給を受ける給電端子から遠い表示画素では大きな輝度低下が発生してしまうという不都合がある。
【特許文献1】特開2000−123980号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、短冊状の陰極群505を面状の陰極電極層に代えて有機EL照明パネルを構成した場合でも、有機ELディスプレイ500と同様の不都合が生じる。即ち、例えばITO等の導電性透明薄膜は、比較的高い抵抗を有するので、給電端子から遠い発光面では大きな輝度低下が発生し、輝度むらが発生してしまうという不都合である。特に、照明用では、発光面の面積を比較的広くする必要があることからこの不都合は、重大である。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みて為された発明であり、輝度むらを低減することができる有機EL照明パネルを提供することを目的とする。そして、この有機EL照明パネルを用いた有機EL照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。即ち、本発明に係る一態様では、少なくとも一方が透光性の一対の第1及び第2電極層によって少なくとも発光層を含む有機発光層を挟んで成る有機EL層を透光性の基板上に配設し、前記基板と協同して前記有機EL層を封止する封止部材を備える有機EL照明パネルにおいて、前記第1及び第2電極層のうちの一方は、複数の電極から成り、該複数の電極における隣接する一対の電極では外側電極が内側電極を囲む環形状であることを特徴とする。
【0009】
そして、本発明に係る他の一態様では、上述の有機EL照明パネルにおいて、前記隣接する一対の電極では、互いに対向する端部で電源からの電力が供給されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る他の一態様では、これら上述の有機EL照明パネルにおいて、前記電極は、輪郭が円形であることを特徴とする。
【0011】
そして、本発明の一態様に係る有機EL照明装置は、これら上述の有機EL照明パネルと、前記複数の電極におけるそれぞれの電力供給ラインにそれぞれ介挿され、前記電源からの電力をオンオフする複数のスイッチング素子と、前記複数のスイッチング素子におけるオンオフをそれぞれ制御する調光制御部とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
このような構成の有機EL照明パネル及び有機EL照明装置は、背景技術に較べて輝度むらを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る有機EL照明装置の構成を示す図である。図1(A)は、有機EL照明パネルの正面及び駆動部を示し、図1(B)は、図1(A)のAA線における有機EL照明パネルの断面を示す。図2は、実施形態に係る直流電源の構成を示す回路図である。
【0014】
図1において、第1の実施形態に係る有機EL照明装置1Aは、基板11と、基板11の一方面111上に積層された第1電極層12と、第1電極層12上に積層された有機発光層13と、有機発光層13上に積層された第2電極層14と、第1及び第2封止部材15、16とを備える有機EL照明パネル10Aと、複数のスイッチング素子31と、調光制御部32とを備える駆動部30とを備えて構成される。
【0015】
基板11は、少なくとも一方が透光性の一対の第1及び第2電極層12、14によって少なくとも発光層を含む有機発光層13を挟んで成る有機EL層を支持するための矩形の平板状の部材であり、有機発光層13で発光する光の波長に対して透明な材料、例えばガラス等で構成される。
【0016】
第1電極層12は、有機発光層13で発光する光の波長に対して透明な材料から成る導電性の薄膜であり、陽極となる。第1電極層12は、有機発光層13が可視光を発光するので、例えば、可視光を透過するITO(Indium Tin Oxide)等で形成される。
【0017】
ここで、注目すべきは、第1電極層12は、複数の電極121から成り、これら複数の電極121における隣接する一対の電極121では外側電極が内側電極を囲む環形状であることである。図1に示す例では、第1電極層12は、3個の電極121−1〜121−3から成る。最内の第1電極121−1は、矩形である。第1電極121−1に隣接する第2電極121−2は、その内側電極に当たる第1電極121−1を囲む、輪郭が矩形の環形状である。第2電極121−2に隣接する第3電極121−3は、その内側電極に当たる第2電極121−2を囲む、輪郭が矩形の環形状である。なお、第1電極121−1にとっては、第2電極121−2が外側電極に当たり、第2電極121−2にとっては、第3電極121−3が外側電極に当たる。図1に示す例では、第1電極層12の電極121は、3個であるが、その個数は、任意であり、例えば有機EL照明パネル10Aの大きさ及び発光量等を考慮して仕様により適宜に決定される。
【0018】
なお、本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0019】
そして、第1電極層12の電極121は、その一部が第1封止部材15から露出するように形成され、その一部は、直流電源40からの電力の供給を受けるための陽極給電領域122を構成する。図1に示す例では、第1電極121−1は、一端部が第1封止部材15から露出するように形成され、1個の陽極給電領域122−1を構成し、第2及び第3電極121−2、121−3は、その両端部が第1封止部材15から露出するように形成され、それぞれ2個の陽極給電領域122−2、122−3;122−4、122−5を構成している。
【0020】
このように第1電極層12を構成する各電極121は、電力の供給を受けるために、その一部が第1封止部材15から露出するように引き出されている。このため、外側電極は、内側電極の一部が第1封止部材15から露出するように引き出されるために、閉ループではなく、一部が切れている開ループになっている。本明細書における環形状は、閉ループだけでなく、一部が切れている開ループも含む意味である。なお、外側電極と、第1封止部材15から露出するように引き出される内側電極の引き出し部分とが重なる部分におけるそれらの間に絶縁層を設けることによって、外側電極は、閉ループで構成されてもよい。
【0021】
有機発光層13は、蛍光物質の有機材料又は蛍光物質を含む有機材料から成る発光層を少なくとも含んで構成され、必要に応じて、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層等を備える。より具体的には、第1及び第2電極層12、14も記載すると、例えば以下の層構造である。
(1)(第1電極層12;陽極)/発光層/(第2電極層14;陰極)
(2)(第1電極層12;陽極)/正孔輸送層/発光層/(第2電極層14;陰極)
(3)(第1電極層12;陽極)/発光層/電子輸送層/(第2電極層14;陰極)
(4)(第1電極層12;陽極)/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/(第2電極層14;陰極)
(5)(第1電極層12;陽極)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/(第2電極層14;陰極)
【0022】
第2電極層14は、導電性の薄膜であり、陰極となる。第2電極層14は、第1電極層12と同様に有機発光層13で発光する光の波長に対して透明な材料から形成してもよいが、本実施形態では、有機発光層13で発光する光の取り出し効率を高めるために、有機発光層13で発光する光を反射する材料から形成される。第2電極層14は、例えばアルミニウム(Al)、アルミリチウム(Al:Li)及びマグネシウム銀(Mg:Ag)等の金属や合金等で形成される。第2電極層14は、例えば、本実施形態では、導電率、反射率及びコスト等の観点から、例えばアルミニウムで形成される。第2電極層14には、第2電極層14に電気的に接続すると共にその一部が第1封止部材15から露出するように、陰極端子141が配設されている。
【0023】
第1及び第2封止部材15、16は、基板11と協同して有機発光層13を気密に封止するための絶縁性の部材である。例えば接着性を有する樹脂製の第1封止部材15が、陽極給電領域122を除く第1電極層12、有機発光層13及び第2電極層14を覆うように塗布され、例えばガラス製の板状部材から成る第2封止部材16が、第1封止部材15を介して第2電極層14上に載せられて圧力が加えられことによって、第2封止部材16が第1封止部材15によって第2電極層14に接着されると共に、第2封止部材16の周縁部が第1封止部材15によって基板11に気密に接着して接合される。これによって第1及び第2封止部材15、16は、基板11と協同して有機発光層13を気密に封止する。
【0024】
スイッチング素子31は、第1電極層12を構成する複数の電極121におけるそれぞれの電力供給ラインにそれぞれ介挿され、直流電源40からの電力をオンオフするための素子である。図1に示す例では、複数のスイッチング素子31が直流電源40と各電極121との間にそれぞれ介挿されており、これら複数のスイッチング素子31における一方の各端子が直流電源40の陽極に共通に接続されると共に、これら複数のスイッチング素子31における他方の各端子が複数の電極121における端部の陽極給電領域122に接続されている。そして、直流電源40の陰極は、陰極端子141に接続される。
【0025】
スイッチング素子31は、例えば、そのオンオフを切り換えるための制御信号が入力される制御端子付きの素子であり、より具体的には、例えば、MOSトランジスタやバイポーラトランジスタである。図1に示す例では、MOSトランジスタ31−1〜31−3が用いられている。各MOSトランジスタ31−1;31−2;31−3の各ソース電極が直流電源40の陽極に共通に接続されると共に、各MOSトランジスタ31−1;31−2;31−3の各ドレイン電極が各電極121−1;121−2;212−3における端部の陽極給電領域122−1;122−2、122−3;122−4、122−5にそれぞれ接続されている。
【0026】
スイッチング素子31の個数は、第1電極層12を構成する電極121をオンオフするものであるから、電極121の個数と同数である。
【0027】
なお、上述では、スイッチング素子31が第1電極層12の電極121に直接的に接続されて直流電源40からの電力が供給されるように構成されたが、直流電源40から電力の供給を受けるための例えばバンプやパッド等の複数の給電部が複数の電極121における端部に設けられてもよい。給電部にスイッチング素子31が接続されることによって、上述と同様に、直流電源40からの電力が複数の電極121の端部に供給されるように構成され得る。
【0028】
調光制御部32は、スイッチング素子31におけるオンオフをそれぞれ制御する回路であり、制御信号をスイッチング素子31の制御端子に出力する。図1に示す例では、調光制御部32は、各MOSトランジスタ31−1〜31−3の各ゲート電極にそれぞれ接続され、制御信号を各MOSトランジスタ31−1〜31−3の各ゲート電極にそれぞれ出力する。
【0029】
直流電源40は、例えば、図2に示すように、電源スイッチSWと、整流器REと、コンデンサC1、C2と、スイッチング素子Qと、ダイオードDと、コイルLと、出力制御回路41とを備えて構成される。整流器REは、電源スイッチSWを介して交流電源ACに接続される。コンデンサC1は、整流器REの出力陽極端子と出力陰極端子との間に並列に接続され、整流器REの出力電圧を平滑する。スイッチング素子Qの一方端子は、整流器REの出力陽極端子に接続され、スイッチング素子Qの他方端子は、出力制御回路41のモニタ入力、ダイオードDのカソード及びコイルLの一方端に接続される。ダイオードDのアノードは、整流器REの出力陰極端子に接続され、コイルLの他方端は、コンデンサC2を介して整流器REの出力陰極端子に接続される。スイッチング素子Qにおけるオンオフの制御端子は、出力制御回路41の制御出力に接続される。このような構成の直流電源40では、電源スイッチSWがオンされると、交流電源ACの交流は、整流器REで直流に変換され、その電圧がコンデンサC1で平滑される。コンデンサC1で電圧が平滑された直流は、スイッチング素子Q、ダイオードD、コイルL、コンデンサC2及び出力制御回路41から成るDC−DCコンバータにより降圧され、コンデンサC2の両端子から所定の電圧で出力される。
【0030】
このような構成の有機EL照明パネル10Aは、第1電極層12を構成する複数の電極121と第2電極層14との間に直流の電力を供給することによって、有機発光層13が発光する。この有機発光層13で発光した光は、一対の第1及び第2電極層12、14によって有機発光層13を挟んで成る有機EL層を配設している面、即ち、第1電極層12が形成されている一方面111に対向する他方面112(発光面)から、有機EL照明パネル10Aの出力光として射出される。
【0031】
ここで、第1電極層12は、比較的高い抵抗を有する例えばITO等の導電性透明薄膜で構成されているので、陽極給電領域122の端部から遠くなるに従って輝度が徐々に低下する。しかしながら、本実施形態の第1電極層12は、分割されて複数の電極121から構成され、電極121の両端部から給電されているので、第1電極層12が1つの電極で形成された場合に較べて電圧降下に起因する発光面位置の相違による電位差が小さくなり、輝度むらが低減され得る。特に、発光面の面積が比較的広い照明用では効果的に輝度むらが低減され得る。従って、このような有機EL照明パネル10Aを用いた有機EL照明装置1Aも輝度むらが低減され得る。
【0032】
そして、調光する場合には、各電極121の給電を駆動部30によってオンオフ制御することによって、発光面における発光している部分(発光部分)における輝度むらを低減しつつ有機EL照明パネル10Aの発光量を段階的に調整することができる。
【0033】
例えば、図1に示す例では、3個の電極121−1〜121−3によって第1電極層12が構成されているので、全点灯、全点灯より暗い第1部分点灯、第1部分点灯より暗い第2部分点灯、及び全消灯の4段階で有機EL照明パネル10A及び有機EL照明装置1Aは、調光され得る。
【0034】
全点灯する場合には、調光制御部32は、スイッチング素子31をオンする制御信号を全てのスイッチング素子31−1〜31−3の各制御端子にそれぞれ出力する。この制御信号により全てのスイッチング素子31−1〜31−3は、オンし、直流電源40から全ての電極121−1〜121−3に電力が供給される。これによって有機EL照明パネル10A及び有機EL照明装置1Aは、全点灯する。
【0035】
第1部分点灯する場合には、調光制御部32は、制御信号を例えば2個のスイッチング素子31−1、31−2の各制御端子にそれぞれ出力する。この制御信号により2個のスイッチング素子31−1、31−2は、オンし、直流電源40から2個の電極121−1、121−2に電力が供給される。これによって有機EL照明パネル10A及び有機EL照明装置1Aは、第1部分点灯する。
【0036】
ここで、上述では、中央に連続して位置する2個の電極121−1、121−2を発光させるべく2個のスイッチング素子31−1、31−2をオンしたが、オンする2個のスイッチング素子31の組み合わせは、これに限定されるものではない。例えば、外側から連続して位置する2個の電極121−3、121−2を発光させるべく2個のスイッチング素子31−3、31−2をオンしてもよく、オンする電極121を1つ空けて2個の電極121−1、121−3を発光させるべく2個のスイッチング素子31−1、31−3をオンしてもよい。
【0037】
第2部分点灯する場合には、調光制御部32は、制御信号を例えば1個のスイッチング素子31−1の制御端子に出力する。この制御信号により1個のスイッチング素子31−1は、オンし、直流電源40から電極121−1に電力が供給される。これによって有機EL照明パネル10A及び有機EL照明装置1Aは、第2部分点灯する。この場合も発光させる1個の電極121は、電極121−1に限定されるものではなく、例えば、電極121−2や電極121−3でもよい。
【0038】
全消灯する場合には、調光制御部32は、スイッチング素子31をオンする制御信号を全てのスイッチング素子31−1〜31−3の各制御端子に出力しない。これにより全てのスイッチング素子31−1〜31−3は、オフのままであり、直流電源40から全ての電極121−1〜121−3に電力が供給されず、有機EL照明パネル10A及び有機EL照明装置1Aは、全消灯する。
【0039】
有機EL照明パネル10A及び有機EL照明装置1Aは、このように制御されることにより、発光面における発光部分における輝度むらを低減しつつその発光量を段階的に調整することができる。
【0040】
なお、上述の実施形態では、第1電極層12の各電極121にスイッチング素子31を設けたが、何れか1つのスイッチング素子31を省略し、このスイッチング素子31が省略された電極121が直流電源40の電源スイッチSWのオンオフに連動してオンオフするように構成してもよい。このように構成することにより、有機EL照明装置1Aは、電源スイッチSWに連動して点消灯する。
【0041】
このような有機EL照明パネル10Aは、例えば、次の各工程によって製造される。まず、矩形のガラス製の基板11上における略中央部に上記形状の複数の電極121で構成されるITOの第1電極層12を形成する。次に、この第1電極層12のITO薄膜を形成した基板11を、アセトン、イソプロピルアルコール(共に(株)関東化学製)、セミコクリーン(フルウチ科学製)、超純水で、それぞれ超音波洗浄を行った後、イソプロピルアルコールの蒸気で洗浄し、乾燥させる。次に、大気圧プラズマ表面処理装置(松下電工(株)製)で、この第1電極層12のITO薄膜が形成された基板11の表面処理を行う。
【0042】
次に、開口部を有する有機発光層用マスクを用い、4、4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)を堆積し、Alq3にクマリンをドープした層を蒸着する。次に、Alq3を蒸着し、LiFを蒸着する。これによって有機発光層13が形成される。
【0043】
次に、開口部を有する第2電極用マスクを用いて、アルミニウムを蒸着し、アルミニウムの第2電極層14を形成する。
【0044】
次に、第2電極層14に陰極端子141を接続し、第2封止部材16としてガラス板を第1封止部材15としてのエポキシ系接着剤で基板11に貼付することによって気密に封止する。これによって図1に示す有機EL照明パネル10Aが製造される。
【0045】
次に、別の実施形態について説明する。
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態に係る有機EL照明装置の構成を示す図である。図3(A)は、有機EL照明パネルの正面及び駆動部を示し、図3(B)は、図2(A)のBB線における有機EL照明パネルの断面を示す。
【0046】
図3において、第2の実施形態に係る有機EL照明装置1Bは、基板21と、基板21の一方面211上に積層された第1電極層22と、第1電極層22上に積層された有機発光層23と、有機発光層23上に積層された第2電極層24と、第1及び第2封止部材25、26とを備える有機EL照明パネル20Aと、複数のスイッチング素子31と、調光制御部32とを備える駆動部30とを備えて構成される。
【0047】
ここで、第2の実施形態に係る有機EL照明装置1Bは、第1の実施形態ではその有機EL照明パネル10Aが平面視にて矩形であったが、有機EL照明パネル20Aが平面視にて円形である。このため、第2実施形態に係る有機EL照明装置1Bは、有機EL照明パネル20Aにおける基板21の形状、第1電極層22の形状、有機発光層23の形状、第2電極層24の形状、第1及び第2封止部材25、26の形状が第1の実施形態に係る有機EL照明パネル10Aにおける基板11の形状、第1電極層12の形状、有機発光層13の形状、第2電極層14の形状、第1及び第2封止部材15、16の形状が異なるだけで、その他の点は、同様であるのでその説明を省略する。
【0048】
基板21は、円形であり、その一方面211上に複数の電極221から成る第1電極層22が積層されている。第1電極層22における複数の電極221における隣接する一対の電極221では外側電極が内側電極を囲む輪郭が円形の環形状である。図3に示す例では、第1電極層22は、3個の電極221−1〜221−3から成る。最内の第1電極221−1は、輪郭が円形である。第1電極221−1に隣接する第2電極221−2は、その内側電極に当たる第1電極121−1を囲む、輪郭が円形の環形状である。第2電極221−2に隣接する第3電極221−3は、その内側電極に当たる第2電極221−2を囲む、輪郭が円形の環形状である。なお、第1電極221−1にとっては、第2電極221−2が外側電極に当たり、第2電極221−2にとっては、第3電極221−3が外側電極に当たる。
【0049】
そして、第1電極層22の電極221は、その一部が第1封止部材25から露出するように形成され、その一部は、直流電源40からの電力の供給を受けるための陽極給電領域222を構成する。図3に示す例では、第1電極221−1は、一端部が第1封止部材25から露出するように形成され、1個の陽極給電領域222−1を構成し、第2及び第3電極221−2、221−3は、その両端部が第1封止部材25から露出するように形成され、それぞれ2個の陽極給電領域222−2、222−3;222−4、222−5を構成している。
【0050】
有機発光層23は、輪郭が円形の複数の電極221から構成される第1電極層22の形状に合わせて、輪郭が円形であり、第2電極層24も有機発光層23の形状に合わせて、輪郭が円形である。そして、これら第1電極層22、有機発光層23及び第2電極層24の形状に合わせて、円形の第2封止部材26が、第1封止部材25を介して第2電極層24上に載せられて圧力が加えられことによって、第2封止部材26が第1封止部材25によって第2電極層24に接着されると共に、第2封止部材26の円周縁部が第1封止部材25によって基板21に気密に接着して接合される。
【0051】
このように有機EL照明パネル20Aを円形に構成することによって、有機EL照明装置1Bは、ユーザに従来の丸型蛍光灯照明装置と同様の印象を与えることができる。そして、第1電極層22を構成する複数の電極221をその輪郭が円形の環形状とすることによって、有機EL照明装置1Bは、ユーザに大きさの異なる丸形蛍光灯を複数備える装置と同様の印象を与えることができる。このため、従来の丸型蛍光灯照明装置を本実施形態に係る有機EL照明装置1Bに置き換えてもユーザに違和感を与えることが少ない。また、有機EL照明パネル20Aを円形に構成することによって、有機EL照明装置1Bは、ユーザに安心感や柔らかさを与えることができる。
【0052】
次に、別の実施形態について説明する。
(第3の実施形態)
図4は、第3の実施形態に係る有機EL照明パネルの構成を示す正面図である。図4(A)は、矩形の場合を示し、図4(B)は、円形の場合を示す。
【0053】
第1及び第2の実施形態に係る有機EL照明パネル10A、20Aでは、第1電極層12、22を構成する複数の電極121、221は、図1(A)及び図3(A)に示すように、その端部が揃うようにその一部(陽極給電領域122、222)が第1封止部材15、25から露出するように形成され、各端部の陽極給電領域122、222で直流電源40からの電力が供給されるように構成されたが、第3の実施形態に係る有機EL照明パネル10B、20Bでは、図4に示すように、第1電極層12、22を構成する複数の電極126、226における隣接する一対の電極ではその端部が互いに対向するようにその一部(陽極給電領域127、227)が第1封止部材15、25から露出するように形成され、各端部の陽極給電領域127、227で直流電源40からの電力が供給されるように構成される。
【0054】
このため、第3の実施形態に係る有機EL照明パネル10B、20Bは、第1電極層12、22を構成する電極126、226の形状が第1の実施形態に係る有機EL照明パネル10A、20Aにおける第1電極層12、22を構成する電極121、221の形状と異なるだけで、その他の点は、同様であるのでその説明を省略する。
【0055】
まず、図4(A)に示す矩形の有機EL照明パネル10Bについて説明する。図4(A)に示すように、この有機EL照明パネル10Bにおける第1電極層12を構成する複数の電極126は、隣接する一対の電極126では外側電極が内側電極を囲む、輪郭が矩形の環形状であると共に、この隣接する一対の電極126ではその端部が互いに対向するようにその一部が第1封止部材15から露出するように形成されている。そして、この一部は、陽極給電領域127を構成している。
【0056】
図4(A)に示す例では、第1電極層12は、3個の電極126−1〜126−3から成る。最内の第1電極126−1は、矩形であり、その一部が一方側(図4(A)では上側)で第1封止部材15から露出するように形成されており、その一部は、陽極給電領域127−1を構成している。第1電極126−1に隣接する第2電極126−2は、その内側電極に当たる第1電極126−1を囲む、輪郭が矩形の環形状であり、その一部が前記一方側に対向する他方側(図4(A)では下側)で第1封止部材15から露出するように形成されており、その一部は、陽極給電領域127−2、127−3を構成している。第2電極126−2に隣接する第3電極126−3は、その内側電極に当たる第2電極126−2を囲む、輪郭が矩形の環形状であり、その一部が前記他方側に対向する一方側(図4(A)では上側)で第1封止部材15から露出するように形成されており、その一部は、陽極給電領域127−4、127−5を構成している。なお、第1電極126−1にとっては、第2電極126−2が外側電極に当たり、第2電極126−2にとっては、第3電極126−3が外側電極に当たる。
【0057】
次に、図4(B)に示す円形の有機EL照明パネル20Bについて説明する。図4(B)に示すように、この有機EL照明パネル20Bにおける第1電極層22を構成する複数の電極226は、隣接する一対の電極226では外側電極が内側電極を囲む、輪郭が円形の環形状であると共に、この隣接する一対の電極226ではその端部が互いに対向するようにその一部が第1封止部材25から露出するように形成されている。そして、この一部は、陽極給電領域227を構成している。
【0058】
図4(B)に示す例では、第1電極層22は、3個の電極226−1〜226−3から成る。最内の第1電極226−1は、円形であり、その一部が一方側(図4(B)では上側)で第1封止部材25から露出するように形成されており、その一部は、陽極給電領域227−1を構成している。第1電極226−1に隣接する第2電極226−2は、その内側電極に当たる第1電極226−1を囲む、輪郭が円形の環形状であり、その一部が前記一方側に対向する他方側(図4(B)では下側)で第1封止部材25から露出するように形成されており、その一部は、陽極給電領域227−2、227−3を構成している。第2電極226−2に隣接する第3電極226−3は、その内側電極に当たる第2電極226−2を囲む、輪郭が円形の環形状であり、その一部が前記他方側に対向する一方側(図4(B)では上側)で第1封止部材25から露出するように形成されており、その一部は、陽極給電領域227−4、227−5を構成している。なお、第1電極226−1にとっては、第2電極226−2が外側電極に当たり、第2電極226−2にとっては、第3電極226−3が外側電極に当たる。
【0059】
このような構成の有機EL照明パネル10B、20Bでは、第1電極層12、22を構成する複数の電極126、226における隣接する一対の電極126、226では、互いに対向する端部(陽極給電領域127、227)で直流電源40からの電力が供給される。
【0060】
ここで、第1電極層12、22の各電極126、226は、比較的高い抵抗を有する例えばITO等の導電性透明薄膜で構成されているので、陽極給電領域127、227の端部から遠くなる従って輝度が徐々に低下する。しかしながら、隣接する一対の電極126、226では、互いに対向する電極126、226の端部の各陽極給電領域127、227で直流電源40から電力の供給を受けているので、有機EL照明パネル10B、20Bは、一方の電極126、226における輝度低下を他方の電極126、226における輝度で補うことができる。このため、有機EL照明パネル10B、20Bの発光面112、212全体では、輝度が平均化され、輝度むらが低減され得る。従って、このような有機EL照明パネル10B、20Bを用いた有機EL照明装置も輝度むらが低減され得る。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】第1の実施形態に係る有機EL照明装置の構成を示す図である。
【図2】実施形態に係る直流電源の構成を示す回路図である。
【図3】第2の実施形態に係る有機EL照明装置の構成を示す図である。
【図4】第3の実施形態に係る有機EL照明パネルの構成を示す正面図である。
【図5】特許文献1に記載の有機ELディスプレイの構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0062】
1A、1B 有機EL照明装置
10A、10B、20A、20B 有機EL照明パネル
11、21 基板
12、22 第1電極層
13、23 有機発光層
14、24 第2電極層
15、25 第1封止部材
16、26 第2封止部材
30 駆動部
31 スイッチング素子
32 調光制御部
40 直流電源
121、126、221、226 電極
122、127、222、227 陽極給電領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が透光性の一対の第1及び第2電極層によって少なくとも発光層を含む有機発光層を挟んで成る有機EL層を透光性の基板上に配設し、前記基板と協同して前記有機EL層を封止する封止部材を備える有機EL照明パネルにおいて、
前記第1及び第2電極層のうちの一方は、複数の電極から成り、該複数の電極における隣接する一対の電極では外側電極が内側電極を囲む環形状であること
を特徴とする有機EL照明パネル。
【請求項2】
前記隣接する一対の電極では、互いに対向する端部で電源からの電力が供給されること
を特徴とする請求項1に記載の有機EL照明パネル。
【請求項3】
前記電極は、輪郭が円形であること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機EL照明パネル。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の有機EL照明パネルと、
前記複数の電極におけるそれぞれの電力供給ラインにそれぞれ介挿され、前記電源からの電力をオンオフする複数のスイッチング素子と、
前記複数のスイッチング素子におけるオンオフをそれぞれ制御する調光制御部とを備えること
を特徴とする有機EL照明装置。
【請求項1】
少なくとも一方が透光性の一対の第1及び第2電極層によって少なくとも発光層を含む有機発光層を挟んで成る有機EL層を透光性の基板上に配設し、前記基板と協同して前記有機EL層を封止する封止部材を備える有機EL照明パネルにおいて、
前記第1及び第2電極層のうちの一方は、複数の電極から成り、該複数の電極における隣接する一対の電極では外側電極が内側電極を囲む環形状であること
を特徴とする有機EL照明パネル。
【請求項2】
前記隣接する一対の電極では、互いに対向する端部で電源からの電力が供給されること
を特徴とする請求項1に記載の有機EL照明パネル。
【請求項3】
前記電極は、輪郭が円形であること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機EL照明パネル。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の有機EL照明パネルと、
前記複数の電極におけるそれぞれの電力供給ラインにそれぞれ介挿され、前記電源からの電力をオンオフする複数のスイッチング素子と、
前記複数のスイッチング素子におけるオンオフをそれぞれ制御する調光制御部とを備えること
を特徴とする有機EL照明装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【公開番号】特開2007−173520(P2007−173520A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−369157(P2005−369157)
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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