説明

有機EL照明パネル及び有機EL照明装置

【課題】輝度むらを低減することができる有機EL照明パネル及び有機EL照明装置を提供する。
【解決手段】少なくとも一方が透光性の一対の第1電極層12と第2電極層14とによって少なくとも発光層を含む有機発光層13を挟んで成る照明用有機ELパネル2Aであって、第1電極層12と第2電極層14とは、それぞれ複数の電極121,141を備えた。そして、第1電極層12における複数の電極121と第2電極層14における複数の電極141との間に電力を供給することにより、有機発光層13を発光させる直流電源40を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(electro luminescence)を利用した有機EL照明パネルに関し、特に、輝度むらを低減することができる有機EL照明パネルに関する。そして、この有機EL照明パネルを用いた有機EL照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、自己発光のために液晶素子に較べて明るく、鮮明な表示が可能であることから、比較的古くから研究開発がされてきた。特に、1987年にコダック社のC.W.Tangらが積層構造の有機EL素子を提案して以来、この素子が消費電力、輝度、応答性及び視野角の諸点で優れていることから注目を浴び、有機ELディスプレイに関する研究開発が活発化している。
【0003】
図5は、特許文献1に記載の有機ELディスプレイの構造を示す斜視図である。図5において、典型的な有機ELディスプレイ500は、例えば特許文献1に開示されているように、ガラス基板501と、ガラス基板501上に形成された短冊状の陽極群502と、陽極群502のほぼ全面に形成された正孔輸送性の有機層503及び電子輸送性と発光機能とを有する有機層504と、有機層504上に前記陽極群502と直交する方向に形成された短冊状の陰極群505とを備えて構成される。陽極群502は、例えばITO等の導電性透明薄膜から成り、陰極群505は、例えば銀マグネシウム合金(AgMg)等の金属薄膜から成っている。
【0004】
このような構造の有機ELディスプレイ500では、それぞれ直交する電極群(陽極群502及び陰極群505)のうちの一方を走査電極として、各走査電極には、時間的に分割された走査信号が順次に供給されると共に、他方を信号電極として、各信号電極には、走査電極と交差する画素を表示すべきか否かに対応する選択信号がそれぞれ供給され、表示すべき画素が発光する。
【0005】
ここで、例えばITO等の導電性透明薄膜は、比較的高い抵抗を有するので、電極端子から遠い表示画素では大きな輝度低下が発生してしまうという不都合がある。
【特許文献1】特開2000−123980号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、短冊状の陰極群505を面状の陰極電極層に代えて有機EL照明装置を構成した場合でも、有機ELディスプレイ500と同様の不都合が生じる。即ち、電極端子から遠い発光面では大きな輝度低下が発生し、輝度むらが発生してしまうという不都合である。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みて為された発明であり、輝度むらを低減することができる有機EL照明パネル及び有機EL照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するために、本発明の第1の手段に係る有機EL照明パネルは、少なくとも一方が透光性の一対の第1及び第2電極層によって少なくとも発光層を含む有機発光層を挟んで成る有機EL照明パネルであって、前記第1及び第2電極層は、それぞれ複数の電極を備えることを特徴としている。
【0009】
また、上述の有機EL照明パネルにおいて、前記第1電極層における複数の電極は、ITOで形成され、前記第2電極層における複数の電極は、金属で形成されていることを特徴としている。
【0010】
また、上述の有機EL照明パネルにおいて、前記第1電極層における複数の電極と前記第2電極層における複数の電極とは、それぞれ互に1対1で対向するように配置されていることを特徴としている。
【0011】
また、上述の有機EL照明パネルにおいて、前記第1電極層における前記複数の電極のうち少なくとも一つの電極は、前記第2電極層における2以上の電極と対向配置されていることを特徴としている。
【0012】
また、上述の有機EL照明パネルにおいて、前記第2電極層における前記複数の電極のうち少なくとも一つの電極は、前記第1電極層における2以上の電極と対向配置されていることを特徴としている。
【0013】
そして、本発明の第2の手段に係る有機EL照明装置は、上述のいずれかに記載の有機EL照明パネルと、前記第1電極層における複数の電極と前記第2電極層における複数の電極との間に電力を供給することにより、前記発光層を発光させる電源部とを備えることを特徴としている。
【0014】
また、上述の有機EL照明装置において、前記第1電極層における複数の電極と前記第2電極層における複数の電極との間へそれぞれ前記電力を供給する複数の電力供給ラインのうち少なくとも一つに介挿され、前記電源からの電力をオンオフするスイッチ部をさらに備えることを特徴としている。
【0015】
また、上述の有機EL照明装置において、前記スイッチ部のオンオフを制御する調光制御部をさらに備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
このような構成の有機EL照明パネル及び有機EL照明装置は、背景技術に較べて輝度むらを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
【0018】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る有機EL照明装置の構成を示す図である。図1(A)は、有機EL照明パネルの正面及び駆動部を示し、図1(B)は、図1(A)のAA線における有機EL照明パネルの断面を示す。図2は、実施形態に係る直流電源の構成を示す回路図である。
【0019】
図1において、第1の実施形態に係る有機EL照明装置1Aは、基板11と、基板11の一方面111上に積層された第1電極層12と、第1電極層12上に積層された有機発光層13と、有機発光層13上に積層された第2電極層14と、第1及び第2封止部材15、16とを備える有機EL照明パネル2Aと、複数のスイッチング素子31と、調光制御部301Aとを備える駆動部30Aとを備えて構成される。
【0020】
基板11は、少なくとも一方が透光性の一対の第1及び第2電極層12,14によって少なくとも発光層を含む有機発光層13を挟んで成る有機EL層を支持するための矩形の平板状の部材であり、有機発光層13で発光する光の波長に対して透明な材料、例えばガラス等で構成される。
【0021】
有機発光層13は、蛍光物質の有機材料又は蛍光物質を含む有機材料から成る発光層を少なくとも含んで構成され、必要に応じて、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層等を備える。より具体的には、第1及び第2電極層12、14も記載すると、例えば以下の層構造である。
(1)(第1電極層12;陽極)/発光層/(第2電極層14;陰極)
(2)(第1電極層12;陽極)/正孔輸送層/発光層/(第2電極層14;陰極)
(3)(第1電極層12;陽極)/発光層/電子輸送層/(第2電極層14;陰極)
(4)(第1電極層12;陽極)/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/(第2電極層14;陰極)
(5)(第1電極層12;陽極)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/(第2電極層14;陰極)
第1電極層12は、有機発光層13で発光する光の波長に対して透明な材料から成る導電性の薄膜であり、陽極となる。第1電極層12は、有機発光層13が可視光を発光するので、例えば、可視光を透過するITO(Indium Tin Oxide)等で形成される。
【0022】
第2電極層14は、導電性の薄膜であり、陰極となる。第2電極層14は、第1電極層12と同様に有機発光層13で発光する光の波長に対して透明な材料から形成してもよいが、本実施形態では、有機発光層13で発光する光の取り出し効率を高めるために、有機発光層13で発光する光を反射する材料から形成される。第2電極層14は、例えばアルミニウム(Al)、アルミリチウム(Al:Li)及びマグネシウム銀(Mg:Ag)等の金属や合金等で形成される。第2電極層14は、例えば、本実施形態では、導電率、反射率及びコスト等の観点から、例えばアルミニウムで形成される。
【0023】
ここで、注目すべきは、第1電極層12は複数の電極121から成り、第2電極層14は複数の電極141から成り、複数の電極121と複数の電極141とがそれぞれ互に1対1で対向するように配置されていることである。図1に示す例では、第1電極層12は、矩形の4個の電極121−1〜121−4から成り、第2電極層14は、矩形の4個の電極141−1〜121−4から成る。また、図1に示す例では、第1電極層12の電極121、第2電極層14の電極141は、それぞれ4個であるが、その個数は、任意であり、例えば有機EL照明パネル2Aの大きさ及び発光量等を考慮して仕様により適宜に決定される。
【0024】
なお、本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0025】
そして、第1電極層12の電極121は、その一部が第1封止部材15から露出するように形成され、その一部は、直流電源40からの電力の供給を受けるための陽極給電領域122を構成する。図1に示す例では、電極121−1〜121−4は、一端部が第1封止部材15から露出するように形成され、それぞれ陽極給電領域122−1〜122−4を構成している。
【0026】
また、第2電極層14の電極141には、直流電源40からの電力の供給を受けるための陰極給電端子142が接続されている。図1に示す例では、電極141−1〜141−4には、それぞれ陰極給電端子142−1〜142−4が接続されている。
【0027】
第1及び第2封止部材15、16は、基板11と協同して有機発光層13を気密に封止するための絶縁性の部材である。例えば接着性を有する樹脂製の第1封止部材15が、陽極給電領域122を除く第1電極層12、有機発光層13、及び陰極給電端子142が接続された第2電極層14を覆うように塗布され、例えばガラス製の板状部材から成る第2封止部材16が、第1封止部材15を介して第2電極層14上に載せられて圧力が加えられることによって、第2封止部材16が第1封止部材15によって第2電極層14に接着されると共に、第2封止部材16の周縁部が第1封止部材15によって基板11に気密に接着して接合される。これによって第1及び第2封止部材15、16は、基板11と協同して有機発光層13を気密に封止する。
【0028】
スイッチング素子31は、第1電極層12を構成する複数の電極121におけるそれぞれの電力供給ラインにそれぞれ介挿され、直流電源40からの電力をオンオフするための素子である。図1に示す例では、複数のスイッチング素子31が直流電源40と各電極121との間にそれぞれ介挿されており、これら複数のスイッチング素子31における一方の各端子が直流電源40の陽極に共通に接続されると共に、これら複数のスイッチング素子31における他方の各端子が複数の電極121における端部の陽極給電領域122に接続されている。そして、直流電源40の陰極は、第4電極層14を構成する複数の電極141におけるそれぞれの陰極給電端子142に接続される。
【0029】
スイッチング素子31は、例えば、そのオンオフを切り換えるための制御信号が入力される制御端子付きの素子であり、より具体的には、例えば、MOSトランジスタやバイポーラトランジスタである。図1に示す例では、MOSトランジスタ31−1〜31−4が用いられている。各MOSトランジスタ31−1,31−2,31−3,31−4の各ソース電極が直流電源40の陽極に共通に接続されると共に、各MOSトランジスタ31−1,31−2,31−3,31−4の各ドレイン電極が各電極121−1,121−2,212−3,212−4における端部の陽極給電領域122−1,122−2,122−3,122−4にそれぞれ接続されている。
【0030】
なお、上述では、スイッチング素子31が第1電極層12の電極121に直接的に接続されて直流電源40からの電力が供給されるように構成されたが、直流電源40から電力の供給を受けるための例えばバンプやパッド等の複数の給電部が複数の電極121における端部に設けられてもよい。給電部にスイッチング素子31が接続されることによって、上述と同様に、直流電源40からの電力が複数の電極121の端部に供給されるように構成され得る。
【0031】
調光制御部301Aは、スイッチング素子31におけるオンオフをそれぞれ制御する回路であり、制御信号をスイッチング素子31の制御端子に出力する。図1に示す例では、調光制御部301Aは、各MOSトランジスタ31−1〜31−4の各ゲート電極にそれぞれ接続され、制御信号を各MOSトランジスタ31−1〜31−4の各ゲート電極にそれぞれ出力する。
【0032】
なお、調光制御部301Aを備えず、スイッチング素子31の代わりに手動式の開閉スイッチを用いて、ユーザが開閉スイッチを操作することにより、複数の電極121への電力供給をオンオフできるようにしてもよい。
【0033】
直流電源40は、例えば、図2に示すように、電源スイッチSWと、整流器REと、コンデンサC1、C2と、スイッチング素子Qと、ダイオードDと、コイルLと、出力制御回路41とを備えて構成される。整流器REは、電源スイッチSWを介して交流電源ACに接続される。コンデンサC1は、整流器REの出力陽極端子と出力陰極端子との間に並列に接続され、整流器REの出力電圧を平滑する。スイッチング素子Qの一方端子は、整流器REの出力陽極端子に接続され、スイッチング素子Qの他方端子は、出力制御回路41のモニタ入力、ダイオードDのカソード及びコイルLの一方端に接続される。ダイオードDのアノードは、整流器REの出力陰極端子に接続され、コイルLの他方端は、コンデンサC2を介して整流器REの出力陰極端子に接続される。スイッチング素子Qにおけるオンオフの制御端子は、出力制御回路41の制御出力に接続される。このような構成の直流電源40では、電源スイッチSWがオンされると、交流電源ACの交流は、整流器REで直流に変換され、その電圧がコンデンサC1で平滑される。コンデンサC1で電圧が平滑された直流は、スイッチング素子Q、ダイオードD、コイルL、コンデンサC2及び出力制御回路41から成るDC−DCコンバータにより降圧され、コンデンサC2の両端子から所定の電圧で出力される。
【0034】
このような構成の有機EL照明パネル2Aは、第1電極層12を構成する複数の電極121と第2電極層14との間に直流の電力を供給することによって、有機発光層13が発光する。この有機発光層13で発光した光は、一対の第1及び第2電極層12、14によって有機発光層13を挟んで成る有機EL層を配設している面、即ち、第1電極層12が形成されている一方面111に対向する他方面112(発光面)から、有機EL照明パネル2Aの出力光として射出される。
【0035】
ここで、第1電極層12は、比較的高い抵抗を有する例えばITO等の導電性透明薄膜で構成されているので、陽極給電領域122の端部から遠くなるに従って輝度が徐々に低下する。しかしながら、本実施形態の第1電極層12及び第2電極層14は、それぞれ分割されて、互いに対向する複数の電極121及び複数の電極141から構成され、互いに対向する各電極121と電極141との対毎に、直流電源40から給電されているので、第1電極層12及び第2電極層14がそれぞれ1つの電極で形成された場合に較べて電圧降下に起因する発光面位置の相違による電位差が小さくなり、輝度むらが低減され得る。特に、発光面の面積が比較的広い照明用では効果的に輝度むらが低減され得る。従って、このような有機EL照明パネル2Aを用いた有機EL照明装置1Aも輝度むらが低減され得る。
【0036】
そして、調光する場合には、各電極121の給電を駆動部30Aによってオンオフ制御することによって、発光面における発光している部分(発光部分)における輝度むらを低減しつつ有機EL照明パネル2Aの発光量を段階的に調整することができる。
【0037】
例えば、図1に示す例では、有機発光層13を間に挟んで互いに対向する電極121−1と電極141−1、電極121−2と電極141−2、電極121−3と電極141−3、及び電極121−4と電極141−4の各電極対によって、発光部が構成されているので、調光制御部301AによってオンさせるMOSトランジスタ31−1〜31−4の数を増減させることにより、発光させる発光部の数を増減させて、有機EL照明パネル2A及び有機EL照明装置1Aを調光することができる。
【0038】
有機EL照明パネル2A及び有機EL照明装置1Aは、このように制御されることにより、発光面における発光部分における輝度むらを低減しつつその発光量を段階的に調整することができる。
【0039】
なお、上述の実施形態では、第1電極層12の各電極121にスイッチング素子31を設けたが、何れか1つのスイッチング素子31を省略し、このスイッチング素子31が省略された電極121が直流電源40の電源スイッチSWのオンオフに連動してオンオフするように構成してもよい。このように構成することにより、有機EL照明装置1Aは、電源スイッチSWに連動して点消灯する。
【0040】
また、スイッチング素子31を、第1電極層12の各電極121に設ける例を示したが、第2電極層14の各電極141に設けてもよい。
【0041】
このような有機EL照明パネル2Aは、例えば、次の各工程によって製造される。まず、矩形のガラス製の基板11上における略中央部に上記形状の複数の電極121で構成されるITOの第1電極層12を形成する。次に、この第1電極層12のITO薄膜を形成した基板11を、アセトン、イソプロピルアルコール(共に(株)関東化学製)、セミコクリーン(フルウチ科学製)、超純水で、それぞれ超音波洗浄を行った後、イソプロピルアルコールの蒸気で洗浄し、乾燥させる。次に、大気圧プラズマ表面処理装置(松下電工(株)製)で、この第1電極層12のITO薄膜が形成された基板11の表面処理を行う。
【0042】
次に、開口部を有する有機発光層用マスクを用い、4、4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)を堆積し、Alq3にクマリンをドープした層を蒸着する。次に、Alq3を蒸着し、LiFを蒸着する。これによって有機発光層13が形成される。
【0043】
次に、開口部を有する第2電極用マスクを用いて、アルミニウムを蒸着し、上記形状の複数の電極141で構成されるアルミニウムの第2電極層14を形成する。
【0044】
次に、第2封止部材16としてガラス板を第1封止部材15としてのエポキシ系接着剤で基板11に貼付することによって気密に封止する。これによって図1に示す有機EL照明パネル2Aが製造される。
【0045】
次に、別の実施形態について説明する。
(第2の実施形態)
図3は、第2の実施形態に係る有機EL照明装置の構成を示す図である。図3(A)は、有機EL照明パネルの正面及び駆動部を示し、図3(B)は、図3(A)のCC線における有機EL照明パネルの断面を示す。
【0046】
図3において、第2の実施形態に係る有機EL照明装置1Cは、基板11と、基板11の一方面111上に積層された第1電極層32と、第1電極層32上に積層された有機発光層13と、有機発光層13上に積層された第2電極層34と、第1及び第2封止部材15、16とを備える有機EL照明パネル2Cと、複数のスイッチング素子31と、調光制御部301Cとを備える駆動部30Cとを備えて構成される。
【0047】
ここで、第2の実施形態に係る有機EL照明装置1Cは、第1の実施形態とは、第1電極層32及び第2電極層34の構成が異なる。また、駆動部30Cの構成が異なる。その他の点は、同様であるのでその説明を省略する。
【0048】
第1電極層32は、略正方形の電極321−1と、電極321−1の横幅が約2倍にされた長方形の電極321−2と、電極321−1の縦の辺が約2倍にされた長方形の電極321−3と、電極321−1の一辺が約2倍にされた略正方形の電極321−4とから成り、有機発光層13で発光する光の波長に対して透明な材料から成る導電性の薄膜であり、陽極となる。第1電極層32は、有機発光層13が可視光を発光するので、例えば、可視光を透過するITO等で形成される。第1電極層32の電極321は、その一部が第1封止部材15から露出するように形成され、その一部は、直流電源40からの電力の供給を受けるための陽極給電領域322を構成する。図3に示す例では、第1電極層32は、4個の電極321−1〜321−4で構成され、それらの両端部が第1封止部材15から露出するように形成されている。そして、第1封止部材15から露出する電極321−1〜321−4の一端部によって、4個の陽極給電領域322−1〜322−4を構成している。図3に示す例では、第1電極層32の電極321は、4個であるが、その個数は、任意であり、例えば有機EL照明パネル2Cの大きさ及び発光量等を考慮して仕様により適宜に決定される。
【0049】
第2電極層34は、電極321−1と略同一形状の電極341−1と、電極321−3と略同一形状の電極341−2と、電極321−2と略同一形状の電極341−3と、電極321−4と略同一形状の電極341−4とから成る導電性の薄膜であり、陰極となる。第2電極層34は、第2電極層14と同様の材料により構成されており、例えばアルミニウムで形成される。第2電極層34の電極341には、直流電源40からの電力の供給を受けるための陰極給電端子342が接続されている。図3に示す例では、第2電極層34は、4個の電極341−1〜341−4で構成され、電極341−1〜341−4の一端部に4個の陰極給電端子342−1〜342−4が接続されている。図3に示す例では、第2電極層34の電極341は、4個であるが、その個数は、任意であり、例えば有機EL照明パネル2Cの大きさ及び発光量等を考慮して仕様により適宜に決定される。
【0050】
そして、電極321−1は、電極341−4と対向配置され、電極321−2は、電極341−2,341−4と対向配置され、電極321−3は、電極341−3,341−4と対向配置され、電極321−4は、電極341−1,341−2,341−3,341−4と対向配置されている。
【0051】
スイッチング素子31は、第1電極層32を構成する複数の電極321と第2電極層34を構成する複数の電極341とにおけるそれぞれの電力供給ラインにそれぞれ介挿され、直流電源40からの電力をオンオフするための素子である。図3に示す例では、複数のスイッチング素子31−1〜31−4が直流電源40と電極321−1〜321−4との間にそれぞれ介挿されており、これら複数のスイッチング素子31−1〜31−4における一方の各端子が直流電源40の陽極に共通に接続されると共に、これら複数のスイッチング素子31−1〜31−4における他方の各端子が複数の電極321における端部の陽極給電領域322に接続されている。そして、複数のスイッチング素子31−5〜31−8が直流電源40と各電極341との間にそれぞれ介挿されており、これら複数のスイッチング素子31−5〜31−8における一方の各端子が直流電源40の陰極に共通に接続されると共に、これら複数のスイッチング素子31−5〜31−8における他方の各端子が複数の電極341における端部の陰極給電端子342に接続されている。
【0052】
調光制御部301Cは、スイッチング素子31におけるオンオフをそれぞれ制御する回路であり、制御信号をスイッチング素子31の制御端子に出力する。図3に示す例では、調光制御部301Cは、各MOSトランジスタ31−1〜31−8の各ゲート電極にそれぞれ接続され、制御信号を各MOSトランジスタ31−1〜31−8の各ゲート電極にそれぞれ出力する。
【0053】
そして、調光制御部301Cが、電極321−1〜321−4に接続されているMOSトランジスタ31−1〜31−4のうちいずれかと、電極341−1〜341−4に接続されているMOSトランジスタ31−5〜31−8のうちいずれかとをオンさせると、オンされたMOSトランジスタに接続されている、電極321と電極341とが対向する部分が発光する。
【0054】
この場合、有機EL照明パネル2Cにおいて、電極321と電極341とが対向する部分が発光部(網掛け部分)となり、図3に示す例では、電極321−2と電極341−2
とが対向する部分を発光部A、電極321−2と電極341−4とが対向する部分を発光部B、電極321−1と電極341−4とが対向する部分を発光部C、電極321−4と電極341−2とが対向する部分を発光部D、電極321−4と電極341−4とが対向する部分を発光部E、電極321−3と電極341−4とが対向する部分を発光部F、電極321−4と電極341−1とが対向する部分を発光部G、電極321−4と電極341−3とが対向する部分を発光部H、電極321−3と電極341−3とが対向する部分を発光部Iとしている。
【0055】
そして、図4に示すように、調光制御部301Cが、MOSトランジスタ31−2とMOSトランジスタ31−6とをオンさせれば発光部Aが発光し、MOSトランジスタ31−2とMOSトランジスタ31−8とをオンさせれば発光部Bが発光し、MOSトランジスタ31−1とMOSトランジスタ31−8とをオンさせれば発光部Cが発光し、MOSトランジスタ31−4とMOSトランジスタ31−6とをオンさせれば発光部Dが発光し、MOSトランジスタ31−4とMOSトランジスタ31−8とをオンさせれば発光部Eが発光し、MOSトランジスタ31−3とMOSトランジスタ31−8とをオンさせれば発光部Eが発光し、MOSトランジスタ31−3とMOSトランジスタ31−8とをオンさせれば発光部Fが発光し、MOSトランジスタ31−4とMOSトランジスタ31−5とをオンさせれば発光部Gが発光し、MOSトランジスタ31−4とMOSトランジスタ31−7とをオンさせれば発光部Hが発光し、MOSトランジスタ31−3とMOSトランジスタ31−7とをオンさせれば発光部Iが発光する。
【0056】
この場合、例えば、図1に示す有機EL照明パネル2Aのように、矩形の電極121と電極141とを1対1で対応させて発光部を構成した場合には、図3に示す有機EL照明装置1Cと同様に9つの発光部を構成し、それぞれの発光部の発光を制御するためには電極121、電極141、及びスイッチング素子31がそれぞれ9つ必要となるが、有機EL照明装置1Cでは、スイッチング素子31を8つ用いて9つの発光部の発光を制御することができるので、スイッチング素子31の数を低減することができる。
【0057】
ここで、第1電極層32及び第2電極層34は、それぞれ分割されて、互いに対向する複数の電極321及び複数の電極341から構成され、複数の電極321及び複数の電極341毎に、直流電源40から給電されているので、第1電極層32及び第2電極層34がそれぞれ1つの電極で形成された場合に較べて電圧降下に起因する発光面位置の相違による電位差が小さくなり、輝度むらが低減され得る。特に、発光面の面積が比較的広い照明用では効果的に輝度むらが低減され得る。従って、このような有機EL照明パネル2Cを用いた有機EL照明装置1Cも輝度むらが低減され得る。
【0058】
そして、調光する場合には、各電極321,341の給電を駆動部30Cによってオンオフ制御することによって、発光面における発光している部分における輝度むらを低減しつつ有機EL照明パネル2Cの発光量を段階的に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】第1の実施形態に係る有機EL照明装置の構成を示す図である。図1(A)は、有機EL照明パネルの正面及び駆動部を示し、図1(B)は、図1(A)のAA線における有機EL照明パネルの断面を示す。
【図2】実施形態に係る直流電源の構成を示す回路図である。
【図3】図3は、第2の実施形態に係る有機EL照明装置の構成を示す図である。図3(A)は、有機EL照明パネルの正面及び駆動部を示し、図3(B)は、図3(A)のCC線における有機EL照明パネルの断面を示す。
【図4】MOSトランジスタをオンさせる組み合わせと発光する発光部との関係を示す表形式の説明図である。
【図5】背景技術に係る有機ELディスプレイの構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
1A,1B,1C 有機EL照明装置
2A,2B,2C 有機EL照明パネル
11 基板
12,22,32 第1電極層
14,24,34 第2電極層
13 有機発光層
15,16 封止部材
30A,30B,30C 駆動部
31 スイッチング素子
31−1〜31−8 MOSトランジスタ
40 直流電源
121,221,321,141,241,341 電極
122,222,322 陽極給電領域
142,242,342 陰極給電端子
301A,301B,301C 調光制御部
A〜I 発光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方が透光性の一対の第1及び第2電極層によって少なくとも発光層を含む有機発光層を挟んで成る有機EL照明パネルであって、
前記第1及び第2電極層は、それぞれ複数の電極を備えること
を特徴とする有機EL照明パネル。
【請求項2】
前記第1電極層における複数の電極は、ITOで形成され、
前記第2電極層における複数の電極は、金属で形成されていること
を特徴とする請求項1記載の有機EL照明パネル。
【請求項3】
前記第1電極層における複数の電極と前記第2電極層における複数の電極とは、それぞれ互に1対1で対向するように配置されていること
を特徴とする請求項1又は2記載の有機EL照明パネル。
【請求項4】
前記第1電極層における前記複数の電極のうち少なくとも一つの電極は、前記第2電極層における2以上の電極と対向配置されていること
を特徴とする請求項1又は2記載の有機EL照明パネル。
【請求項5】
前記第2電極層における前記複数の電極のうち少なくとも一つの電極は、前記第1電極層における2以上の電極と対向配置されていること
を特徴とする請求項1又は2記載の有機EL照明パネル。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の有機EL照明パネルと、
前記第1電極層における複数の電極と前記第2電極層における複数の電極との間に電力を供給することにより、前記発光層を発光させる電源部とを備えること
を特徴とする有機EL照明装置。
【請求項7】
前記第1電極層における複数の電極と前記第2電極層における複数の電極との間へそれぞれ前記電力を供給する複数の電力供給ラインのうち少なくとも一つに介挿され、前記電源からの電力をオンオフするスイッチ部をさらに備えること
を特徴とする請求項6記載の有機EL照明装置。
【請求項8】
前記スイッチ部のオンオフを制御する調光制御部をさらに備えること
を特徴とする請求項7記載の有機EL照明装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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