有機EL照明パネル用取付け装置
【課題】本発明は、容易に、有機EL照明パネルを取り付けることができる有機EL照明パネル用取付け装置を提供する。
【解決手段】本発明では、板状の奥壁部11と、奥壁部11の両側の端縁から互いに同一方向に向けて奥壁部11に対し垂直にそれぞれ延設される一対の側壁部12−1、12−2と、一対の側壁部12−1、12−2におけるそれぞれの端縁から互いに内側に向けて側壁部12−1、12−2に対し垂直にそれぞれ延設される一対の前壁部23−1、23−2とを備える有機EL照明パネル用取付け装置1において、奥壁部11の内面11aには、一方の側壁部12−1寄りにこの一方の側壁部12−1に沿った方向に凹部16が形成される。
【解決手段】本発明では、板状の奥壁部11と、奥壁部11の両側の端縁から互いに同一方向に向けて奥壁部11に対し垂直にそれぞれ延設される一対の側壁部12−1、12−2と、一対の側壁部12−1、12−2におけるそれぞれの端縁から互いに内側に向けて側壁部12−1、12−2に対し垂直にそれぞれ延設される一対の前壁部23−1、23−2とを備える有機EL照明パネル用取付け装置1において、奥壁部11の内面11aには、一方の側壁部12−1寄りにこの一方の側壁部12−1に沿った方向に凹部16が形成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(electro luminescence)を利用した有機EL照明パネルを壁や天井等の取付け面に取り付けるための有機EL照明パネル用取付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、自己発光のために液晶素子に較べて明るく、鮮明な表示が可能であることから、比較的古くから研究開発がされてきた。特に、1987年にコダック社のC.W.Tangらが積層構造の有機EL素子を提案して以来、この素子が消費電力、輝度、応答性及び視野角の諸点で優れていることから注目を浴び、有機ELディスプレイに関する研究開発が活発化し、さらに近年では、照明用途への研究開発も活発化している。
【0003】
図7は、特許文献1に記載の表示装置の構成を示す断面図である。図8は、表示装置の組立工程を説明するための図である。
【0004】
図7において、特許文献1に記載の表示装置500は、液晶パネルやELパネル等の矩形平板状の表示パネル512と、フレキシブル配線基板516によって表示パネル512に接続され、表示パネル512を駆動するための駆動回路基板517と、表示パネル512及び駆動回路基板517を保持するフレーム521とを備えて構成される。
【0005】
フレーム521は、表示パネル512と略同形の矩形平板状に形成された基板部522を備えており、この基板部522の各周縁には、この基板部522の周縁の周方向に沿って、この基板部522における一主面側及び他主面側のそれぞれに向けて突出した保持リブ523、524が形成されている。この保持リブ523により表示パネル512が嵌め込まれる嵌込凹部525が形成され、保持リブ524により駆動回路基板517が配設される配設凹部526が形成される。
【0006】
フレーム521の各保持リブ523、524の内周面は、基板部522の面方向に対して垂直に切り立った平面状にそれぞれ形成されている。そして、嵌込凹部525の一側の保持リブ523の上端部には、内縁面が表示パネル512における表示面の面方向に対する法線方向に対して一定の角度を持って傾斜した斜面部527を有する位置決めリブ528が一体的に形成されている。
【0007】
このような構成の表示装置500を組み立てる場合、まず、フレーム521の嵌込凹部525内における基板部522の表面部の所定位置に、両面テープが貼り付けられる。次ぎに、図8(A)に示すように、フレーム521における位置決めリブ528の斜面部527に、表示パネル512の一側面を当て付けて、この表示パネル512の一側面をフレーム521の位置決めリブ528の斜面部527に面接触させる。そして、表示パネル512の一側面によるフレーム521における位置決めリブ528の斜面部527への面接触を確保しながら、この表示パネル512の一側面を位置決めリブ528の斜面部527に沿わせつつ、表示パネル512を回転させて、この表示パネル512の他側面をフレーム521の嵌込凹部525に嵌め込んで、図8(B)に示すように、この表示パネル512をフレーム521の嵌込凹部525内に両面テープにて固定する。このような工程によって、表示パネル512がフレーム521に組み付けられる。
【0008】
このような構成の表示装置500では、表示パネル512における表示面の面方向に対する法線方向であって表示パネル512からフレーム521への方向に重力が作用するように表示装置500が使用される場合には、両面テープの接着強度は、問題とならないが、表示パネル512における表示面の面方向と略平行な方向に重力が作用するように表示装置500が使用される場合や、表示パネル512における表示面の面方向に対する法線方向であってフレーム521から表示パネル512への方向に重力が作用するように表示装置500が使用される場合等では、両面テープの接着強度が問題となる。
【0009】
そのため、有機EL照明パネルは、図9に示す構造の有機EL照明パネル用取付け装置によって保持される。図9は、背景技術に係る有機EL照明パネル用取付け装置の構造を示す斜視図である。
【0010】
図9において、有機EL照明パネル用取付け装置600は、長尺板状の奥壁部601と、奥壁部601の両側の端縁から互いに同一方向に向けて奥壁部601に対し垂直にそれぞれ延設される一対の側壁部602−1、602−2と、一対の側壁部602−1、602−2におけるそれぞれの端縁から互いに内側に向けて側壁部602−1、602−1に対し垂直にそれぞれ延設される一対の前壁部603−1、603−2とを備えて構成される。そして、奥壁部601の内面には、有機EL照明パネル700に電力を供給するための給電部604が所定位置に形成されている。
【0011】
このような有機EL照明パネル用取付け装置600に有機EL照明パネル700を取り付ける場合、長手方向の一方端の開放口611から、奥壁部601と側壁部602−1、602−2と前壁部603−1、603−2とにより形成される断面形状略コ字状の一対の空間621−1、621−2に矩形平板状の有機EL照明パネル700における両側端701−1、701−2をそれぞれ嵌め込み、この一対の空間621−1、621−2を長手方向に配設位置まで有機EL照明パネル700を滑らせることによって、有機EL照明パネル700は、有機EL照明パネル用取付け装置600に取り付けられる。そして、複数の有機EL照明パネル700を有機EL照明パネル用取付け装置600に取り付ける場合では、同様の手順で複数の有機EL照明パネル700を順に送り込むことによって、複数の有機EL照明パネル700は、有機EL照明パネル用取付け装置600に取り付けられる。
【特許文献1】特開2003−157023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、図9に示すダクト構造の有機EL照明パネル用取付け装置600では、一対の空間621−1、621−2を長手方向に配設位置まで有機EL照明パネル700を滑らせることによって、有機EL照明パネル700を有機EL照明パネル用取付け装置600に取り付けているので、有機EL照明パネル700を有機EL照明パネル用取付け装置600に取り付けた後に有機EL照明パネル700が故障すると、この故障した有機EL照明パネル700を交換するために、この故障した有機EL照明パネル700と開放口611との間に存在する有機EL照明パネル700を取り外す必要がある。このため、煩雑で手間がかかるとういう不都合がある。そして、有機EL照明パネル用取付け装置600を壁や天井等の取付け面に配設した施工後において、さらに有機EL照明パネル700を増設しようとすると、長手方向の一方の開放口611から一対の空間621−1、621−2に有機EL照明パネル700を嵌め込んで滑らせるので、この開放口611の外方には、有機EL照明パネル700に相当する面積の空間が必要である。
【0013】
また、長手方向の一方の開放口611から一対の空間621−1、621−2に有機EL照明パネル700を嵌め込んで滑らせるので、奥壁部601等の内面に形成されている給電部604が有機EL照明パネル700と擦れるため、損傷してしまうという不都合もある。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みて為された発明であり、容易に有機EL照明パネルを取り付けることができる有機EL照明パネル用取付け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。即ち、本発明に係る一態様では、板状の奥壁部と、該奥壁部の両側の端縁から互いに同一方向に向けて該奥壁部に対し垂直にそれぞれ延設される一対の側壁部と、該一対の側壁部におけるそれぞれの端縁から互いに内側に向けて該側壁部に対し垂直にそれぞれ延設される一対の前壁部とを備える有機EL照明パネル用取付け装置において、前記奥壁部の内面には、一方の側壁部寄りに該一方の側壁部に沿った方向に凹部が形成されていることを特徴とする。
【0016】
そして、上述の有機EL照明パネル用取付け装置において、有機EL照明パネルに電力を供給するための給電部が他方の側壁部寄りに形成されていることを特徴とする。
【0017】
さらに、これら上述の有機EL照明パネル用取付け装置において、前記一方の側壁部の内面には、他方の側壁部の方向に付勢する弾性部材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
このような構成の有機EL照明パネル用取付け装置では、有機EL照明パネルは、背景技術に較べて容易に有機EL照明パネル用取付け装置に取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。また、本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る有機EL照明パネル用取付け装置の構成を示す図である。図1(A)は、有機EL照明パネル用取付け装置の斜視図であり、図1(B)は、給電電極を含む位置における、有機EL照明パネル用取付け装置の断面図である。図2は、有機EL照明パネル用取付け装置における各部の寸法を説明するための断面図である。
【0020】
図1において、第1の実施形態に係る有機EL照明パネル用取付け装置1は、板状の奥壁部11と、奥壁部11の両側の端縁から互いに同一方向に向けて奥壁部11に対し垂直にそれぞれ延設される一対の側壁部12(12−1、12−2)と、一対の側壁部12におけるそれぞれの端縁から互いに内側に向けて側壁部12に対し垂直にそれぞれ延設される一対の前壁部13(13−1、13−2)とを備える。そして、奥壁部11と側壁部12(12−1、12−2)と前壁部13(13−1、13−2)とによって、有機EL照明パネル100を保持するための、断面形状略コ字状の一対の保持空間15(15−1、15−2)が形成されている。奥壁部11の幅、即ち、有機EL照明パネル用取付け装置1の幅は、取り付けられる有機EL照明パネル100の幅及びその枚数等に応じて適宜決定される。本実施形態では、有機EL照明パネル用取付け装置1は、複数の有機EL照明パネル100が取付け可能に構成されることから、奥壁部11は、長尺である。
【0021】
ここで、第1に、注目すべきは、有機EL照明パネル用取付け装置1における奥壁部11の内面には、一方の側壁部12寄り(図1に示す例では図中上方の側壁部12−1寄り)に、この一方の側壁部12−1に沿った方向に凹部16が形成されていることである。図1に示す例では、凹部16は、断面略矩形で長手方向に形成されており、上記一方の側壁部12−1寄り(図1に示す例では図中上方)の側面16aは、上記一方の側壁部12−1の内面12a−1と連続している。また、図1中矢印Xで示す正面から有機EL照明パネル用取付け装置1を見た場合、凹部16は、上記一方の側壁部12−1に延設する一方の前壁部13(図1に示す例では図中上方の前壁部13−1)によって隠れることなく(遮蔽されることなく)、凹部16の一部が見えるような大きさに形成されている。
【0022】
より具体的には、図2に示すように、奥壁部11の長さをL1、一方の側壁部12−1の厚みをL3、上記一方の前壁部13−1の長さをL4、有機EL照明パネル用取付け装置1の一方側から上記一方の前壁部13−1の端部までの長さをL2、他方の側壁部12(図1及び図2に示す例では図中下方の側壁部12−2)の厚みをL7、他方の前壁部13(図1及び図2に示す例では図中下方の前壁部13−2)の長さをL6、有機EL照明パネル用取付け装置1の他方側から上記他方の前壁部13−2の端部までの長さをL5、凹部16の長さをL8、凹部16における上記一方の側壁部12−1寄りの側面16aが上記一方の側壁部12−1の内面12a−1と連続している場合、上記一方の前壁部13−1の端部から凹部16における上記側面16aに対向する側面16bの延長線までの距離をL9、有機EL照明パネル用取付け装置1の厚み(奥壁部11の外面から前壁部13の外面までの厚み)をW1、凹部16が形成されている部分の奥壁部11の厚みをW2、凹部16の深さをW5、側壁部12の高さ(保持空間15の厚み)をW6、凹部16の底面16cから上記一方の前壁部13−1の内面までの距離をW3、及び、前壁部13の厚みをW4とし、有機EL照明パネル用取付け装置1に取り付けられる有機EL照明パネル100の長さをPL、その厚みをPWとすると、後述するように、上記一方の前壁部13−1の端部と上記他方の前壁部13−2の端部とによって形成される開口部19から有機EL照明パネル100を有機EL照明パネル用取付け装置1を取付けることができるようにするために、凹部16の深さW5は、有機EL照明パネル100の厚みPWの1.5倍以上(W5≧1.5×PW)であり、上記一方の前壁部13−1の端部から凹部16における側面16bの延長線までの距離L9は、有機EL照明パネル100の厚みPWの1.5倍以上(L9≧1.5×PW)である。
【0023】
また、開口部19から有機EL照明パネル用取付け装置1に挿入された有機EL照明パネル100を保持空間15−1、15−2によって保持することができるようにするために、上記他方の前壁部13−2の長さL6は、有機EL照明パネル100の長さPLの5%以上(L6≧PL×0.05)であり、上記一方の前壁部13−1の長さL4は、上記他方の前壁部13−2の長さL6に有機EL照明パネル100の長さPLの5%以上を足した長さ(L4≧PL×0.05+L6)である。
【0024】
このため、凹部16の長さL8は、L4+L9となる。なお、このほか、L2=L3+L4、L5=L6+L7、W1=W2+W3+W4、及び、W3=W5+W6、の各関係がある。
【0025】
一具体例を挙げると、有機EL照明パネル100の長さ、幅及び厚みがそれぞれ300mm、300mm及び3mmである場合、例えば、L1=328mm、L2=34mm、L3=L7=4mm、L4=30mm、L5=19mm、L6=15mm、L8=35mm、L9=5mm、W1=18mm、W2=W4=4mm、W3=10mm、W5=6mm、W6=4mmとなる。なお、有機LE照明パネル100の長さ及び幅は、使用目的等による仕様により様々であるが、厚みは、一般に、3mm以下である。
【0026】
図1に戻って、第2に、注目すべきは、有機EL照明パネル用取付け装置1には、有機EL照明パネルに電力を供給するための給電電極14が上記他方の側壁部12−2寄りに形成されていることである。図1に示す例では、一対の給電電極14のうち一方の給電電極14−1が奥壁部11の内面11aにおける上記他方の側壁部12−2寄りに形成され、一対の給電電極14のうち他方の給電電極14−2が上記他方の側壁部の内面12a−2に形成されている。
【0027】
このような構成の有機EL照明パネル用取付け装置1に取り付けられる有機EL照明パネル100は、少なくとも一方が透光性の一対の第1及び第2電極層によって少なくとも発光層を含む有機発光層を挟んで成る有機EL層を透光性の基板上に配設し、前記基板と協同して前記有機EL層を封止する封止部材を備えている。
【0028】
このような有機EL照明パネル100の一構成例について、より具体的に説明する。図3は、有機EL照明パネルの構成を示す図である。図3(A)は、有機EL照明パネルの背面図であり、図3(B)は、図3(A)に示すAA線における断面図である。
【0029】
図3において、有機EL照明パネル100は、基板111と、基板111の一方面上に積層された第1電極層112と、第1電極層112上に積層された有機発光層113と、有機発光層113上に積層された第2電極層114と、第1及び第2封止部材115、116と、一対の受電電極117(117−1、117−2)とを備えて構成される。
【0030】
基板111は、少なくとも一方が透光性の一対の第1及び第2電極層112、114によって少なくとも発光層を含む有機発光層113を挟んで成る有機EL層を支持するための矩形の平板状の部材であり、有機発光層113で発光する光の波長に対して透明な材料、例えばガラス等で構成される。
【0031】
第1電極層112は、有機発光層113で発光する光の波長に対して透明な材料から成る導電性の薄膜であり、陽極となる。第1電極層112は、有機発光層113が可視光を発光するので、例えば、可視光を透過するITO(Indium Tin Oxide)等で形成される。
【0032】
有機発光層113は、蛍光物質の有機材料又は蛍光物質を含む有機材料から成る発光層を少なくとも含んで構成され、必要に応じて、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層等を備える。より具体的には、第1及び第2電極層112、114も記載すると、例えば以下の層構造である。
(1)(第1電極層112;陽極)/発光層/(第2電極層114;陰極)
(2)(第1電極層112;陽極)/正孔輸送層/発光層/(第2電極層114;陰極)
(3)(第1電極層112;陽極)/発光層/電子輸送層/(第2電極層114;陰極)
(4)(第1電極層112;陽極)/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/(第2電極層114;陰極)
(5)(第1電極層112;陽極)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/(第2電極層114;陰極)
第2電極層114は、導電性の薄膜であり、陰極となる。第2電極層114は、第1電極層112と同様に有機発光層113で発光する光の波長に対して透明な材料から形成してもよいが、本形態では、有機発光層113で発光する光の取り出し効率を高めるために、有機発光層113で発光する光を反射する材料から形成される。第2電極層114は、例えばアルミニウム(Al)、アルミリチウム(Al:Li)及びマグネシウム銀(Mg:Ag)等の金属や合金等で形成される。第2電極層114は、例えば、本形態では、導電率、反射率及びコスト等の観点から、例えばアルミニウムで形成される。
【0033】
ここで、第1電極層112は、その一部が第1封止部材115から露出するように形成され、その一部には、有機EL照明パネル100の一側面(図2に示す例では底面)に露出するように、電力の供給を受けるための一方の受電電極117−1が形成されている。そして、第2電極層114は、その一部が第1封止部材115から露出するように形成され、その一部には、有機EL照明パネル100の背面に露出するように、電力の供給を受けるための他方の受電電極117−2が形成されている。
【0034】
第1及び第2封止部材115、116は、基板111と協同して有機発光層113を気密に封止するための絶縁性の部材である。例えば接着性を有する樹脂製の第1封止部材115が、第1電極層112、有機発光層113及び上記一部を除く第2電極層114を覆うように塗布され、例えばガラス製の板状部材から成る第2封止部材116が、第1封止部材115を介して第2電極層114上に載せられて圧力が加えられことによって、第2封止部材116が第1封止部材115によって第2電極層114に接着されると共に、第2封止部材116の周縁部が第1封止部材115によって基板111に気密に接着して接合される。これによって第1及び第2封止部材115、116は、基板111と協同して有機発光層113を気密に封止する。
【0035】
このような構成の有機EL照明パネル100は、第1電極層112と第2電極層114との間に直流の電力を供給することによって、有機発光層113が発光する。この有機発光層113で発光した光は、一対の第1及び第2電極層112、114によって有機発光層113を挟んで成る有機EL層を配設している面、即ち、第1電極層112が形成されている一方面に対向する他方面(発光面)から、有機EL照明パネル100の出力光として射出される。
【0036】
そして、このような有機EL照明パネル100は、例えば、次の各工程によって製造される。まず、矩形のガラス製の基板111上における略中央部に矩形のITOの第1電極層112を形成する。次に、この第1電極層112のITO薄膜を形成した基板111を、アセトン、イソプロピルアルコール(共に(株)関東化学製)、セミコクリーン(フルウチ科学製)、超純水で、それぞれ超音波洗浄を行った後、イソプロピルアルコールの蒸気で洗浄し、乾燥させる。次に、大気圧プラズマ表面処理装置(松下電工(株)製)で、この第1電極層112のITO薄膜が形成された基板111の表面処理を行う。
【0037】
次に、開口部を有する有機発光層用マスクを用い、4、4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)を堆積し、Alq3にクマリンをドープした層を蒸着する。次に、Alq3を蒸着し、LiFを蒸着する。これによって有機発光層113が形成される。
【0038】
次に、開口部を有する第2電極用マスクを用いて、アルミニウムを蒸着し、アルミニウムの第2電極層114を形成する。
【0039】
次に、第1電極層112に受電電極117−1を電気的に接続し、受電電極117−2と第2電極層114とを電気的に接続するために受電電極117−2と略同形の切り欠きを有する第2封止部材116としてガラス板を第1封止部材115としてのエポキシ系接着剤で基板111に貼付することによって気密に封止する。そして、受電電極117−2を第2電極層114に電気的に接続する。これによって図1に示す有機EL照明パネル100が製造される。
【0040】
次に、有機EL照明パネル100を有機EL照明パネル用取付け装置1に取り付ける取付け方法について説明する。図4は、第1の実施形態に係る有機EL照明パネル用取付け装置に有機EL照明パネルを取り付ける取付け方法を説明するための図である。
【0041】
まず、図4(A)に示すように、有機EL照明パネル100の受電電極117が形成されている一側面(図3に示す例では底面)が、有機EL照明パネル用取付け装置1の給電電極14が形成されている上記他方の側壁部12−2に向くように、上記一側面(底面)に対向する対向側面(図3に示す例では上面)から、有機EL照明パネル100を、上記一方の前壁部13−1の端部と凹部16における上記側面16bの上端との間に形成される空間に挿入し、有機EL照明パネル100の上記対向側面(上面)における一側縁を凹部16の底面16cまたは凹部16の上記側面16aに当て付ける(ST1)。
【0042】
次に、図4(B)に示すように、有機EL照明パネル100の背面が有機EL照明パネル用取付け装置1における奥壁部11の内面に当たるように、有機EL照明パネル100を回転させ、上記一方の前壁部13−1の端部と上記他方の前壁部13−2の端部とによって形成される開口部19から有機EL照明パネル100を有機EL照明パネル用取付け装置1に挿入する(ST2)。
【0043】
これによって、有機EL照明パネル100は、有機EL照明パネル用取付け装置1内に挿入され、有機EL照明パネル100における上記対向側面(上面)側の端部が奥壁部11、上記一方の側壁部12−1及び上記一方の前壁部13−1によって形成される保持空間15−1内に配置される。ここで、仮に凹部16が形成されていない場合には、有機EL照明パネル100は、その上記対向側面(上面)側の端部が奥壁部11の内面11aや上記一方の側壁部13−1の内面12a−1によって規制されて回転することができないが、凹部16が形成されているので、有機EL照明パネル100は、その上記対向側面(上面)側の端部が奥壁部11の内面11aや上記一方の側壁部13−1の内面12a−1によって規制されることなく、回転することができる。また、給電電極14が上記他方の側壁部12−2寄りに形成されているので、この有機EL照明パネル100を回転する際に、有機EL照明パネル100による給電電極14の損傷を防止することができる。
【0044】
そして、図4(C)に示すように、有機EL照明パネル100の受電電極117が形成されている上記一側面(底面)側の端部が、奥壁部11、上記他方の側壁部12−2及び上記他方の前壁部13−2によって形成される保持空間15−2に嵌まり込むように、有機EL照明パネル100を上記他方の側壁部12−2に向けて移動させる(ST3)。これによって、有機EL照明パネル100における上記一側面(底面)側の端部が保持空間15−2に嵌まり込んで奥壁部11、上記他方の側壁部12−2及び上記他方の前壁部13−2によって保持され、有機EL照明パネル100における上記対向側面(上面)側の端部が保持空間15−1に配置されて上記一方の前壁部13−1によって保持される。そして、有機EL照明パネル100における一対の受電電極117が有機EL照明パネル用取付け装置1における一対の給電電極14に電気的に接続する。なお、奥壁部11の内面11aに形成されている給電電極14−1は、有機EL照明パネル100における受電電極117−2とより確実に電気的に接続するようにするために、奥壁部11から前壁部13の方向に付勢力が働くように弾性を有するように構成されてもよい。
【0045】
上記構成の有機EL照明パネル用取付け装置1では、上述のように、有機EL照明パネル100は、両前壁部13の端部間に形成される正面の開口部19から有機EL照明パネル用取付け装置1に挿入され取り付けられる。このため、有機EL照明パネル100を背景技術に較べて、容易に有機EL照明パネル用取付け装置1に取り付けることができ、作業性が向上する。
【0046】
そして、有機EL照明パネル100は、その配設位置に、直接、有機EL照明パネル用取付け装置1に挿入され取り付けられる。このため、有機EL照明パネル100を有機EL照明パネル用取付け装置1に取り付けた後に有機EL照明パネル100が故障したとしても、上記構成の有機EL照明パネル用取付け装置1では、当該故障した有機EL照明パネル100のみを取り外すことができるから、他の有機EL照明パネル100を取り外す必要がない。このため、上記構成の有機EL照明パネル用取付け装置1では、背景技術に較べて手間が軽減される。
【0047】
また、有機EL照明パネル用取付け装置1を壁や天井等の取付け面に配設した施工後において、さらに有機EL照明パネル100を増設しようとすると場合、上記構成の有機EL照明パネル用取付け装置1では、増設位置に、直接、増設の有機EL照明パネル100を有機EL照明パネル用取付け装置1に挿入し取り付けることができる。このため、上記構成の有機EL照明パネル用取付け装置1では、背景技術のような有機EL照明パネル用取付け装置1の一方外方に有機EL照明パネル100に相当する面積の空間を必要としない。
【0048】
さらに、有機EL照明パネル100は、その配設位置に、直接、有機EL照明パネル用取付け装置1に挿入され取り付けられる。このため、背景技術に較べて給電電極14の損傷が軽減される。
【0049】
次に、別の実施形態について説明する。
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係る有機EL照明パネル用取付け装置の構成を示す図である。図5(A)は、有機EL照明パネル用取付け装置の斜視図であり、図5(B)は、給電電極を含む位置における、有機EL照明パネル用取付け装置の断面図である。
【0050】
図5において、第2の実施形態に係る有機EL照明パネル用取付け装置2は、第1の実施形態と同様に、長尺板状の奥壁部21と、奥壁部21の両側の端縁から互いに同一方向に向けて奥壁部21に対し垂直にそれぞれ延設される一対の側壁部22(22−1、22−2)と、一対の側壁部22におけるそれぞれの端縁から互いに内側に向けて側壁部22に対し垂直にそれぞれ延設される一対の前壁部23(23−1、23−2)と、他方の側壁部22(図5に示す例では22−1)寄りに形成された、有機EL照明パネル100に電力を供給するための一対の給電電極24(24−1、24−2)とを備え、奥壁部21の内面21aには一方の側壁部22(図5に示す例では図中下方の側壁部22−2)寄りに長尺方向に断面略矩形の凹部26が形成されている。
【0051】
即ち、第1の実施形態に係る有機EL照明パネル用取付け装置1では、凹部16が図1中上方に形成され給電電極14が図1中下方に形成されたが、第2の実施形態に係る有機EL照明パネル用取付け装置2では、凹部26が図5中下方に形成され給電電極24が図5中上方に形成されている。
【0052】
そして、注目すべきは、第2の実施形態に係る有機EL照明パネル用取付け装置2では、有機EL照明パネル100を上記他方の側壁部22−1寄りに形成された給電電極24に当接させるために、上記一方の側壁部22−2の内面には、上記他方の側壁部22−1の方向に付勢する付勢機構30が設けられていることである。
【0053】
付勢機構30は、弾性部材31と、支持部材32と、ストッパ部材33とを備えて構成される。
【0054】
弾性部材31は、上記他方の側壁部22−1の方向に付勢する部材であり、例えば、板バネやつる巻きバネ等のバネである。弾性部材31は、上記一方の側壁部22−2の内面における有機EL照明パネル100の取付け位置に対応する位置に形成された配設凹部27内に配設される。
【0055】
支持部材32は、弾性部材31に固定され、有機EL照明パネル100に弾性部材31の弾性力を伝えると共に、取り付けられた有機EL照明パネル100を支持する板状の部材である。
【0056】
ストッパ部材33は、弾性部材31の圧縮状態と圧縮状態を解放した解放状態とを切り換えるための部材である。本実施形態では、ストッパ部材33は、上記一方の前壁部23−2における配設凹部27に対応する位置に形成された貫通孔28(図6(D)参照)に挿脱可能な板状部材であり、弾性部材31の圧縮状態では、弾性部材31及び支持部材32を配設凹部27内に収納する。この弾性部材31の圧縮状態において、ストッパ部材33の外面が上記一方の側壁部22−2の内面と略面一となる高さに貫通孔28が形成される。
【0057】
次に、有機EL照明パネル100を有機EL照明パネル用取付け装置2に取り付ける取付け方法について説明する。図6は、第2の実施形態に係る有機EL照明パネル用取付け装置に有機EL照明パネルを取り付ける取付け方法を説明するための図である。
【0058】
まず、図6(A)に示すように、有機EL照明パネル100の受電電極117が形成されている一側面(図3に示す例では底面)が、有機EL照明パネル用取付け装置2の給電電極24が形成されている上記他方の側壁部22−1に向くように、上記一側面(底面)に対向する対向側面(図3に示す例では上面)から、有機EL照明パネル100を、一方の前壁部23(図5に示す例では前壁部23−2)の端部と凹部26における側面26bの上端との間に形成される空間に挿入し、有機EL照明パネル100の上記対向側面(上面)における一側縁を凹部26の底面26cまたは凹部26の側面26aに当て付ける(ST11)。凹部26の側面26aは、上記一方の側壁部22−2の内面と連続している側面であり、凹部26の側面26bは、この側面26aに対向する側面である。
【0059】
次に、図6(B)に示すように、有機EL照明パネル100の背面が有機EL照明パネル用取付け装置2における奥壁部21の内面に当たるように、有機EL照明パネル100を回転させ、上記一方の前壁部23−2の端部と他方の前壁部23(図5に示す例では前壁部23−1)の端部とによって形成される開口部29から有機EL照明パネル100を有機EL照明パネル用取付け装置2に挿入する(ST12)。これによって、有機EL照明パネル100は、有機EL照明パネル用取付け装置2内に挿入され、有機EL照明パネル100における上記対向側面(上面)側の端部が奥壁部21、上記一方の側壁部22−2及び上記一方の前壁部23−2によって形成される保持空間25−2内に配置される。
【0060】
ここで、この有機EL照明パネル100を回転させる際に、弾性部材31及び支持部材32は、ストッパ部材33によって配設凹部27に収納されているので、障害とならない。
【0061】
そして、図6(C)に示すように、ストッパ部材33を貫通孔28から取り外す(ST13)。これによって、弾性部材31の圧縮が解放されて圧縮状態から解放状態に移行し、図6(D)に示すように、支持部材32を介して弾性部材31がその弾性力により有機EL照明パネル100を上記他方の側壁部22−1に向けて移動させ、有機EL照明パネル100の受電電極117が形成されている上記一側面(底面)側の端部が、奥壁部11、上記他方の側壁部22−1及び上記他方の前壁部23−1によって形成される保持空間25−1に嵌まり込む(ST14)。これによって、有機EL照明パネル100における上記一側面(底面)側の端部が保持空間25−1に嵌まり込んで奥壁部21、上記他方の側壁部22−1及び上記他方の前壁部23−1によって保持され、有機EL照明パネル100における上記対向側面(上面)側の端部が保持空間25−2に配置されて上記一方の前壁部23−2によって保持される。そして、有機EL照明パネル100における一対の受電電極117が有機EL照明パネル用取付け装置2における一対の給電電極24 に電気的に接続される。有機EL照明パネル100は、弾性部材31によって、支持部材32を介して上記一方の側壁部22−2から上記他方の側壁部22−1の方向に付勢されながら支持される。
【0062】
上記構成の有機EL照明パネル用取付け装置2は、第1の実施形態に係る有機EL照明パネル用取付け装置1と同様の作用効果を有する。さらに、有機EL照明パネル用取付け装置2に取り付けられた有機EL照明パネル100は、支持部材32を介して弾性部材31によって付勢されるので、有機EL照明パネル100における一対の受電電極117が有機EL照明パネル用取付け装置2における一対の給電電極24 に、より確実に電気的に接続される。
【0063】
なお、上述の第1及び第2の実施形態では、凹部16、26は、断面略矩形であり、上記一方の側壁部12−1、22−2寄りの側面16a、26aは、上記一方の側壁部12−1、22−2の内面と連続しているが、上記一方の側壁部12−1、22−2寄りの側面16a、26aと上記一方の側壁部12−1、22−2の内面との間に奥壁部11、21の内面が存在して不連続でもよい。
【0064】
そして、上述の第1及び第2の実施形態では、凹部16、26は、断面略矩形であるが、これに限定されない。凹部16、26は、有機EL照明パネル100の上記対向側面(上面)側の端部が奥壁部11、21の内面11a、21aや上記一方の側壁部13−1、23−2の内面によって規制されることなく回転可能な断面形状でよく、例えば、断面略半円形や半楕円形等の弧形状でもよい。
【0065】
また、上述の第1及び第2の実施形態では、一対の給電電極14、24は、奥壁部11、21の内面11a、21aにおける上記他方の側壁部13−2、23−1寄り及び上記他方の側壁部の内面に形成されたが、これに限定されるものではない。一対の給電電極14は、奥壁部11、21の内面11a、21aにおける上記他方の側壁部13−2、23−1寄りに形成されてもよく、また、一対の給電電極14は、上記他方の側壁部13−2、23−1の内面に形成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】第1の実施形態に係る有機EL照明パネル用取付け装置の構成を示す図である。
【図2】有機EL照明パネル用取付け装置における各部の寸法を説明するための断面図である。
【図3】有機EL照明パネルの構成を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係る有機EL照明パネル用取付け装置に有機EL照明パネルを取り付ける取付け方法を説明するための図である。
【図5】第2の実施形態に係る有機EL照明パネル用取付け装置の構成を示す図である。
【図6】第2の実施形態に係る有機EL照明パネル用取付け装置に有機EL照明パネルを取り付ける取付け方法を説明するための図である。
【図7】特許文献1に記載の表示装置の構成を示す断面図である。
【図8】表示装置の組立工程を説明するための図である。
【図9】背景技術に係る有機EL照明パネル用取付け装置の構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0067】
1、2 有機EL照明パネル取付け装置
11、21 奥壁部
12、22 側壁部
13、23 前壁部
14、24 給電電極
16、26 凹部
30 付勢機構
31 弾性部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(electro luminescence)を利用した有機EL照明パネルを壁や天井等の取付け面に取り付けるための有機EL照明パネル用取付け装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、自己発光のために液晶素子に較べて明るく、鮮明な表示が可能であることから、比較的古くから研究開発がされてきた。特に、1987年にコダック社のC.W.Tangらが積層構造の有機EL素子を提案して以来、この素子が消費電力、輝度、応答性及び視野角の諸点で優れていることから注目を浴び、有機ELディスプレイに関する研究開発が活発化し、さらに近年では、照明用途への研究開発も活発化している。
【0003】
図7は、特許文献1に記載の表示装置の構成を示す断面図である。図8は、表示装置の組立工程を説明するための図である。
【0004】
図7において、特許文献1に記載の表示装置500は、液晶パネルやELパネル等の矩形平板状の表示パネル512と、フレキシブル配線基板516によって表示パネル512に接続され、表示パネル512を駆動するための駆動回路基板517と、表示パネル512及び駆動回路基板517を保持するフレーム521とを備えて構成される。
【0005】
フレーム521は、表示パネル512と略同形の矩形平板状に形成された基板部522を備えており、この基板部522の各周縁には、この基板部522の周縁の周方向に沿って、この基板部522における一主面側及び他主面側のそれぞれに向けて突出した保持リブ523、524が形成されている。この保持リブ523により表示パネル512が嵌め込まれる嵌込凹部525が形成され、保持リブ524により駆動回路基板517が配設される配設凹部526が形成される。
【0006】
フレーム521の各保持リブ523、524の内周面は、基板部522の面方向に対して垂直に切り立った平面状にそれぞれ形成されている。そして、嵌込凹部525の一側の保持リブ523の上端部には、内縁面が表示パネル512における表示面の面方向に対する法線方向に対して一定の角度を持って傾斜した斜面部527を有する位置決めリブ528が一体的に形成されている。
【0007】
このような構成の表示装置500を組み立てる場合、まず、フレーム521の嵌込凹部525内における基板部522の表面部の所定位置に、両面テープが貼り付けられる。次ぎに、図8(A)に示すように、フレーム521における位置決めリブ528の斜面部527に、表示パネル512の一側面を当て付けて、この表示パネル512の一側面をフレーム521の位置決めリブ528の斜面部527に面接触させる。そして、表示パネル512の一側面によるフレーム521における位置決めリブ528の斜面部527への面接触を確保しながら、この表示パネル512の一側面を位置決めリブ528の斜面部527に沿わせつつ、表示パネル512を回転させて、この表示パネル512の他側面をフレーム521の嵌込凹部525に嵌め込んで、図8(B)に示すように、この表示パネル512をフレーム521の嵌込凹部525内に両面テープにて固定する。このような工程によって、表示パネル512がフレーム521に組み付けられる。
【0008】
このような構成の表示装置500では、表示パネル512における表示面の面方向に対する法線方向であって表示パネル512からフレーム521への方向に重力が作用するように表示装置500が使用される場合には、両面テープの接着強度は、問題とならないが、表示パネル512における表示面の面方向と略平行な方向に重力が作用するように表示装置500が使用される場合や、表示パネル512における表示面の面方向に対する法線方向であってフレーム521から表示パネル512への方向に重力が作用するように表示装置500が使用される場合等では、両面テープの接着強度が問題となる。
【0009】
そのため、有機EL照明パネルは、図9に示す構造の有機EL照明パネル用取付け装置によって保持される。図9は、背景技術に係る有機EL照明パネル用取付け装置の構造を示す斜視図である。
【0010】
図9において、有機EL照明パネル用取付け装置600は、長尺板状の奥壁部601と、奥壁部601の両側の端縁から互いに同一方向に向けて奥壁部601に対し垂直にそれぞれ延設される一対の側壁部602−1、602−2と、一対の側壁部602−1、602−2におけるそれぞれの端縁から互いに内側に向けて側壁部602−1、602−1に対し垂直にそれぞれ延設される一対の前壁部603−1、603−2とを備えて構成される。そして、奥壁部601の内面には、有機EL照明パネル700に電力を供給するための給電部604が所定位置に形成されている。
【0011】
このような有機EL照明パネル用取付け装置600に有機EL照明パネル700を取り付ける場合、長手方向の一方端の開放口611から、奥壁部601と側壁部602−1、602−2と前壁部603−1、603−2とにより形成される断面形状略コ字状の一対の空間621−1、621−2に矩形平板状の有機EL照明パネル700における両側端701−1、701−2をそれぞれ嵌め込み、この一対の空間621−1、621−2を長手方向に配設位置まで有機EL照明パネル700を滑らせることによって、有機EL照明パネル700は、有機EL照明パネル用取付け装置600に取り付けられる。そして、複数の有機EL照明パネル700を有機EL照明パネル用取付け装置600に取り付ける場合では、同様の手順で複数の有機EL照明パネル700を順に送り込むことによって、複数の有機EL照明パネル700は、有機EL照明パネル用取付け装置600に取り付けられる。
【特許文献1】特開2003−157023号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、図9に示すダクト構造の有機EL照明パネル用取付け装置600では、一対の空間621−1、621−2を長手方向に配設位置まで有機EL照明パネル700を滑らせることによって、有機EL照明パネル700を有機EL照明パネル用取付け装置600に取り付けているので、有機EL照明パネル700を有機EL照明パネル用取付け装置600に取り付けた後に有機EL照明パネル700が故障すると、この故障した有機EL照明パネル700を交換するために、この故障した有機EL照明パネル700と開放口611との間に存在する有機EL照明パネル700を取り外す必要がある。このため、煩雑で手間がかかるとういう不都合がある。そして、有機EL照明パネル用取付け装置600を壁や天井等の取付け面に配設した施工後において、さらに有機EL照明パネル700を増設しようとすると、長手方向の一方の開放口611から一対の空間621−1、621−2に有機EL照明パネル700を嵌め込んで滑らせるので、この開放口611の外方には、有機EL照明パネル700に相当する面積の空間が必要である。
【0013】
また、長手方向の一方の開放口611から一対の空間621−1、621−2に有機EL照明パネル700を嵌め込んで滑らせるので、奥壁部601等の内面に形成されている給電部604が有機EL照明パネル700と擦れるため、損傷してしまうという不都合もある。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みて為された発明であり、容易に有機EL照明パネルを取り付けることができる有機EL照明パネル用取付け装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。即ち、本発明に係る一態様では、板状の奥壁部と、該奥壁部の両側の端縁から互いに同一方向に向けて該奥壁部に対し垂直にそれぞれ延設される一対の側壁部と、該一対の側壁部におけるそれぞれの端縁から互いに内側に向けて該側壁部に対し垂直にそれぞれ延設される一対の前壁部とを備える有機EL照明パネル用取付け装置において、前記奥壁部の内面には、一方の側壁部寄りに該一方の側壁部に沿った方向に凹部が形成されていることを特徴とする。
【0016】
そして、上述の有機EL照明パネル用取付け装置において、有機EL照明パネルに電力を供給するための給電部が他方の側壁部寄りに形成されていることを特徴とする。
【0017】
さらに、これら上述の有機EL照明パネル用取付け装置において、前記一方の側壁部の内面には、他方の側壁部の方向に付勢する弾性部材が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
このような構成の有機EL照明パネル用取付け装置では、有機EL照明パネルは、背景技術に較べて容易に有機EL照明パネル用取付け装置に取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。また、本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る有機EL照明パネル用取付け装置の構成を示す図である。図1(A)は、有機EL照明パネル用取付け装置の斜視図であり、図1(B)は、給電電極を含む位置における、有機EL照明パネル用取付け装置の断面図である。図2は、有機EL照明パネル用取付け装置における各部の寸法を説明するための断面図である。
【0020】
図1において、第1の実施形態に係る有機EL照明パネル用取付け装置1は、板状の奥壁部11と、奥壁部11の両側の端縁から互いに同一方向に向けて奥壁部11に対し垂直にそれぞれ延設される一対の側壁部12(12−1、12−2)と、一対の側壁部12におけるそれぞれの端縁から互いに内側に向けて側壁部12に対し垂直にそれぞれ延設される一対の前壁部13(13−1、13−2)とを備える。そして、奥壁部11と側壁部12(12−1、12−2)と前壁部13(13−1、13−2)とによって、有機EL照明パネル100を保持するための、断面形状略コ字状の一対の保持空間15(15−1、15−2)が形成されている。奥壁部11の幅、即ち、有機EL照明パネル用取付け装置1の幅は、取り付けられる有機EL照明パネル100の幅及びその枚数等に応じて適宜決定される。本実施形態では、有機EL照明パネル用取付け装置1は、複数の有機EL照明パネル100が取付け可能に構成されることから、奥壁部11は、長尺である。
【0021】
ここで、第1に、注目すべきは、有機EL照明パネル用取付け装置1における奥壁部11の内面には、一方の側壁部12寄り(図1に示す例では図中上方の側壁部12−1寄り)に、この一方の側壁部12−1に沿った方向に凹部16が形成されていることである。図1に示す例では、凹部16は、断面略矩形で長手方向に形成されており、上記一方の側壁部12−1寄り(図1に示す例では図中上方)の側面16aは、上記一方の側壁部12−1の内面12a−1と連続している。また、図1中矢印Xで示す正面から有機EL照明パネル用取付け装置1を見た場合、凹部16は、上記一方の側壁部12−1に延設する一方の前壁部13(図1に示す例では図中上方の前壁部13−1)によって隠れることなく(遮蔽されることなく)、凹部16の一部が見えるような大きさに形成されている。
【0022】
より具体的には、図2に示すように、奥壁部11の長さをL1、一方の側壁部12−1の厚みをL3、上記一方の前壁部13−1の長さをL4、有機EL照明パネル用取付け装置1の一方側から上記一方の前壁部13−1の端部までの長さをL2、他方の側壁部12(図1及び図2に示す例では図中下方の側壁部12−2)の厚みをL7、他方の前壁部13(図1及び図2に示す例では図中下方の前壁部13−2)の長さをL6、有機EL照明パネル用取付け装置1の他方側から上記他方の前壁部13−2の端部までの長さをL5、凹部16の長さをL8、凹部16における上記一方の側壁部12−1寄りの側面16aが上記一方の側壁部12−1の内面12a−1と連続している場合、上記一方の前壁部13−1の端部から凹部16における上記側面16aに対向する側面16bの延長線までの距離をL9、有機EL照明パネル用取付け装置1の厚み(奥壁部11の外面から前壁部13の外面までの厚み)をW1、凹部16が形成されている部分の奥壁部11の厚みをW2、凹部16の深さをW5、側壁部12の高さ(保持空間15の厚み)をW6、凹部16の底面16cから上記一方の前壁部13−1の内面までの距離をW3、及び、前壁部13の厚みをW4とし、有機EL照明パネル用取付け装置1に取り付けられる有機EL照明パネル100の長さをPL、その厚みをPWとすると、後述するように、上記一方の前壁部13−1の端部と上記他方の前壁部13−2の端部とによって形成される開口部19から有機EL照明パネル100を有機EL照明パネル用取付け装置1を取付けることができるようにするために、凹部16の深さW5は、有機EL照明パネル100の厚みPWの1.5倍以上(W5≧1.5×PW)であり、上記一方の前壁部13−1の端部から凹部16における側面16bの延長線までの距離L9は、有機EL照明パネル100の厚みPWの1.5倍以上(L9≧1.5×PW)である。
【0023】
また、開口部19から有機EL照明パネル用取付け装置1に挿入された有機EL照明パネル100を保持空間15−1、15−2によって保持することができるようにするために、上記他方の前壁部13−2の長さL6は、有機EL照明パネル100の長さPLの5%以上(L6≧PL×0.05)であり、上記一方の前壁部13−1の長さL4は、上記他方の前壁部13−2の長さL6に有機EL照明パネル100の長さPLの5%以上を足した長さ(L4≧PL×0.05+L6)である。
【0024】
このため、凹部16の長さL8は、L4+L9となる。なお、このほか、L2=L3+L4、L5=L6+L7、W1=W2+W3+W4、及び、W3=W5+W6、の各関係がある。
【0025】
一具体例を挙げると、有機EL照明パネル100の長さ、幅及び厚みがそれぞれ300mm、300mm及び3mmである場合、例えば、L1=328mm、L2=34mm、L3=L7=4mm、L4=30mm、L5=19mm、L6=15mm、L8=35mm、L9=5mm、W1=18mm、W2=W4=4mm、W3=10mm、W5=6mm、W6=4mmとなる。なお、有機LE照明パネル100の長さ及び幅は、使用目的等による仕様により様々であるが、厚みは、一般に、3mm以下である。
【0026】
図1に戻って、第2に、注目すべきは、有機EL照明パネル用取付け装置1には、有機EL照明パネルに電力を供給するための給電電極14が上記他方の側壁部12−2寄りに形成されていることである。図1に示す例では、一対の給電電極14のうち一方の給電電極14−1が奥壁部11の内面11aにおける上記他方の側壁部12−2寄りに形成され、一対の給電電極14のうち他方の給電電極14−2が上記他方の側壁部の内面12a−2に形成されている。
【0027】
このような構成の有機EL照明パネル用取付け装置1に取り付けられる有機EL照明パネル100は、少なくとも一方が透光性の一対の第1及び第2電極層によって少なくとも発光層を含む有機発光層を挟んで成る有機EL層を透光性の基板上に配設し、前記基板と協同して前記有機EL層を封止する封止部材を備えている。
【0028】
このような有機EL照明パネル100の一構成例について、より具体的に説明する。図3は、有機EL照明パネルの構成を示す図である。図3(A)は、有機EL照明パネルの背面図であり、図3(B)は、図3(A)に示すAA線における断面図である。
【0029】
図3において、有機EL照明パネル100は、基板111と、基板111の一方面上に積層された第1電極層112と、第1電極層112上に積層された有機発光層113と、有機発光層113上に積層された第2電極層114と、第1及び第2封止部材115、116と、一対の受電電極117(117−1、117−2)とを備えて構成される。
【0030】
基板111は、少なくとも一方が透光性の一対の第1及び第2電極層112、114によって少なくとも発光層を含む有機発光層113を挟んで成る有機EL層を支持するための矩形の平板状の部材であり、有機発光層113で発光する光の波長に対して透明な材料、例えばガラス等で構成される。
【0031】
第1電極層112は、有機発光層113で発光する光の波長に対して透明な材料から成る導電性の薄膜であり、陽極となる。第1電極層112は、有機発光層113が可視光を発光するので、例えば、可視光を透過するITO(Indium Tin Oxide)等で形成される。
【0032】
有機発光層113は、蛍光物質の有機材料又は蛍光物質を含む有機材料から成る発光層を少なくとも含んで構成され、必要に応じて、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層及び電子注入層等を備える。より具体的には、第1及び第2電極層112、114も記載すると、例えば以下の層構造である。
(1)(第1電極層112;陽極)/発光層/(第2電極層114;陰極)
(2)(第1電極層112;陽極)/正孔輸送層/発光層/(第2電極層114;陰極)
(3)(第1電極層112;陽極)/発光層/電子輸送層/(第2電極層114;陰極)
(4)(第1電極層112;陽極)/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/(第2電極層114;陰極)
(5)(第1電極層112;陽極)/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/(第2電極層114;陰極)
第2電極層114は、導電性の薄膜であり、陰極となる。第2電極層114は、第1電極層112と同様に有機発光層113で発光する光の波長に対して透明な材料から形成してもよいが、本形態では、有機発光層113で発光する光の取り出し効率を高めるために、有機発光層113で発光する光を反射する材料から形成される。第2電極層114は、例えばアルミニウム(Al)、アルミリチウム(Al:Li)及びマグネシウム銀(Mg:Ag)等の金属や合金等で形成される。第2電極層114は、例えば、本形態では、導電率、反射率及びコスト等の観点から、例えばアルミニウムで形成される。
【0033】
ここで、第1電極層112は、その一部が第1封止部材115から露出するように形成され、その一部には、有機EL照明パネル100の一側面(図2に示す例では底面)に露出するように、電力の供給を受けるための一方の受電電極117−1が形成されている。そして、第2電極層114は、その一部が第1封止部材115から露出するように形成され、その一部には、有機EL照明パネル100の背面に露出するように、電力の供給を受けるための他方の受電電極117−2が形成されている。
【0034】
第1及び第2封止部材115、116は、基板111と協同して有機発光層113を気密に封止するための絶縁性の部材である。例えば接着性を有する樹脂製の第1封止部材115が、第1電極層112、有機発光層113及び上記一部を除く第2電極層114を覆うように塗布され、例えばガラス製の板状部材から成る第2封止部材116が、第1封止部材115を介して第2電極層114上に載せられて圧力が加えられことによって、第2封止部材116が第1封止部材115によって第2電極層114に接着されると共に、第2封止部材116の周縁部が第1封止部材115によって基板111に気密に接着して接合される。これによって第1及び第2封止部材115、116は、基板111と協同して有機発光層113を気密に封止する。
【0035】
このような構成の有機EL照明パネル100は、第1電極層112と第2電極層114との間に直流の電力を供給することによって、有機発光層113が発光する。この有機発光層113で発光した光は、一対の第1及び第2電極層112、114によって有機発光層113を挟んで成る有機EL層を配設している面、即ち、第1電極層112が形成されている一方面に対向する他方面(発光面)から、有機EL照明パネル100の出力光として射出される。
【0036】
そして、このような有機EL照明パネル100は、例えば、次の各工程によって製造される。まず、矩形のガラス製の基板111上における略中央部に矩形のITOの第1電極層112を形成する。次に、この第1電極層112のITO薄膜を形成した基板111を、アセトン、イソプロピルアルコール(共に(株)関東化学製)、セミコクリーン(フルウチ科学製)、超純水で、それぞれ超音波洗浄を行った後、イソプロピルアルコールの蒸気で洗浄し、乾燥させる。次に、大気圧プラズマ表面処理装置(松下電工(株)製)で、この第1電極層112のITO薄膜が形成された基板111の表面処理を行う。
【0037】
次に、開口部を有する有機発光層用マスクを用い、4、4’−ビス[N−(ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)を堆積し、Alq3にクマリンをドープした層を蒸着する。次に、Alq3を蒸着し、LiFを蒸着する。これによって有機発光層113が形成される。
【0038】
次に、開口部を有する第2電極用マスクを用いて、アルミニウムを蒸着し、アルミニウムの第2電極層114を形成する。
【0039】
次に、第1電極層112に受電電極117−1を電気的に接続し、受電電極117−2と第2電極層114とを電気的に接続するために受電電極117−2と略同形の切り欠きを有する第2封止部材116としてガラス板を第1封止部材115としてのエポキシ系接着剤で基板111に貼付することによって気密に封止する。そして、受電電極117−2を第2電極層114に電気的に接続する。これによって図1に示す有機EL照明パネル100が製造される。
【0040】
次に、有機EL照明パネル100を有機EL照明パネル用取付け装置1に取り付ける取付け方法について説明する。図4は、第1の実施形態に係る有機EL照明パネル用取付け装置に有機EL照明パネルを取り付ける取付け方法を説明するための図である。
【0041】
まず、図4(A)に示すように、有機EL照明パネル100の受電電極117が形成されている一側面(図3に示す例では底面)が、有機EL照明パネル用取付け装置1の給電電極14が形成されている上記他方の側壁部12−2に向くように、上記一側面(底面)に対向する対向側面(図3に示す例では上面)から、有機EL照明パネル100を、上記一方の前壁部13−1の端部と凹部16における上記側面16bの上端との間に形成される空間に挿入し、有機EL照明パネル100の上記対向側面(上面)における一側縁を凹部16の底面16cまたは凹部16の上記側面16aに当て付ける(ST1)。
【0042】
次に、図4(B)に示すように、有機EL照明パネル100の背面が有機EL照明パネル用取付け装置1における奥壁部11の内面に当たるように、有機EL照明パネル100を回転させ、上記一方の前壁部13−1の端部と上記他方の前壁部13−2の端部とによって形成される開口部19から有機EL照明パネル100を有機EL照明パネル用取付け装置1に挿入する(ST2)。
【0043】
これによって、有機EL照明パネル100は、有機EL照明パネル用取付け装置1内に挿入され、有機EL照明パネル100における上記対向側面(上面)側の端部が奥壁部11、上記一方の側壁部12−1及び上記一方の前壁部13−1によって形成される保持空間15−1内に配置される。ここで、仮に凹部16が形成されていない場合には、有機EL照明パネル100は、その上記対向側面(上面)側の端部が奥壁部11の内面11aや上記一方の側壁部13−1の内面12a−1によって規制されて回転することができないが、凹部16が形成されているので、有機EL照明パネル100は、その上記対向側面(上面)側の端部が奥壁部11の内面11aや上記一方の側壁部13−1の内面12a−1によって規制されることなく、回転することができる。また、給電電極14が上記他方の側壁部12−2寄りに形成されているので、この有機EL照明パネル100を回転する際に、有機EL照明パネル100による給電電極14の損傷を防止することができる。
【0044】
そして、図4(C)に示すように、有機EL照明パネル100の受電電極117が形成されている上記一側面(底面)側の端部が、奥壁部11、上記他方の側壁部12−2及び上記他方の前壁部13−2によって形成される保持空間15−2に嵌まり込むように、有機EL照明パネル100を上記他方の側壁部12−2に向けて移動させる(ST3)。これによって、有機EL照明パネル100における上記一側面(底面)側の端部が保持空間15−2に嵌まり込んで奥壁部11、上記他方の側壁部12−2及び上記他方の前壁部13−2によって保持され、有機EL照明パネル100における上記対向側面(上面)側の端部が保持空間15−1に配置されて上記一方の前壁部13−1によって保持される。そして、有機EL照明パネル100における一対の受電電極117が有機EL照明パネル用取付け装置1における一対の給電電極14に電気的に接続する。なお、奥壁部11の内面11aに形成されている給電電極14−1は、有機EL照明パネル100における受電電極117−2とより確実に電気的に接続するようにするために、奥壁部11から前壁部13の方向に付勢力が働くように弾性を有するように構成されてもよい。
【0045】
上記構成の有機EL照明パネル用取付け装置1では、上述のように、有機EL照明パネル100は、両前壁部13の端部間に形成される正面の開口部19から有機EL照明パネル用取付け装置1に挿入され取り付けられる。このため、有機EL照明パネル100を背景技術に較べて、容易に有機EL照明パネル用取付け装置1に取り付けることができ、作業性が向上する。
【0046】
そして、有機EL照明パネル100は、その配設位置に、直接、有機EL照明パネル用取付け装置1に挿入され取り付けられる。このため、有機EL照明パネル100を有機EL照明パネル用取付け装置1に取り付けた後に有機EL照明パネル100が故障したとしても、上記構成の有機EL照明パネル用取付け装置1では、当該故障した有機EL照明パネル100のみを取り外すことができるから、他の有機EL照明パネル100を取り外す必要がない。このため、上記構成の有機EL照明パネル用取付け装置1では、背景技術に較べて手間が軽減される。
【0047】
また、有機EL照明パネル用取付け装置1を壁や天井等の取付け面に配設した施工後において、さらに有機EL照明パネル100を増設しようとすると場合、上記構成の有機EL照明パネル用取付け装置1では、増設位置に、直接、増設の有機EL照明パネル100を有機EL照明パネル用取付け装置1に挿入し取り付けることができる。このため、上記構成の有機EL照明パネル用取付け装置1では、背景技術のような有機EL照明パネル用取付け装置1の一方外方に有機EL照明パネル100に相当する面積の空間を必要としない。
【0048】
さらに、有機EL照明パネル100は、その配設位置に、直接、有機EL照明パネル用取付け装置1に挿入され取り付けられる。このため、背景技術に較べて給電電極14の損傷が軽減される。
【0049】
次に、別の実施形態について説明する。
(第2の実施形態)
図5は、第2の実施形態に係る有機EL照明パネル用取付け装置の構成を示す図である。図5(A)は、有機EL照明パネル用取付け装置の斜視図であり、図5(B)は、給電電極を含む位置における、有機EL照明パネル用取付け装置の断面図である。
【0050】
図5において、第2の実施形態に係る有機EL照明パネル用取付け装置2は、第1の実施形態と同様に、長尺板状の奥壁部21と、奥壁部21の両側の端縁から互いに同一方向に向けて奥壁部21に対し垂直にそれぞれ延設される一対の側壁部22(22−1、22−2)と、一対の側壁部22におけるそれぞれの端縁から互いに内側に向けて側壁部22に対し垂直にそれぞれ延設される一対の前壁部23(23−1、23−2)と、他方の側壁部22(図5に示す例では22−1)寄りに形成された、有機EL照明パネル100に電力を供給するための一対の給電電極24(24−1、24−2)とを備え、奥壁部21の内面21aには一方の側壁部22(図5に示す例では図中下方の側壁部22−2)寄りに長尺方向に断面略矩形の凹部26が形成されている。
【0051】
即ち、第1の実施形態に係る有機EL照明パネル用取付け装置1では、凹部16が図1中上方に形成され給電電極14が図1中下方に形成されたが、第2の実施形態に係る有機EL照明パネル用取付け装置2では、凹部26が図5中下方に形成され給電電極24が図5中上方に形成されている。
【0052】
そして、注目すべきは、第2の実施形態に係る有機EL照明パネル用取付け装置2では、有機EL照明パネル100を上記他方の側壁部22−1寄りに形成された給電電極24に当接させるために、上記一方の側壁部22−2の内面には、上記他方の側壁部22−1の方向に付勢する付勢機構30が設けられていることである。
【0053】
付勢機構30は、弾性部材31と、支持部材32と、ストッパ部材33とを備えて構成される。
【0054】
弾性部材31は、上記他方の側壁部22−1の方向に付勢する部材であり、例えば、板バネやつる巻きバネ等のバネである。弾性部材31は、上記一方の側壁部22−2の内面における有機EL照明パネル100の取付け位置に対応する位置に形成された配設凹部27内に配設される。
【0055】
支持部材32は、弾性部材31に固定され、有機EL照明パネル100に弾性部材31の弾性力を伝えると共に、取り付けられた有機EL照明パネル100を支持する板状の部材である。
【0056】
ストッパ部材33は、弾性部材31の圧縮状態と圧縮状態を解放した解放状態とを切り換えるための部材である。本実施形態では、ストッパ部材33は、上記一方の前壁部23−2における配設凹部27に対応する位置に形成された貫通孔28(図6(D)参照)に挿脱可能な板状部材であり、弾性部材31の圧縮状態では、弾性部材31及び支持部材32を配設凹部27内に収納する。この弾性部材31の圧縮状態において、ストッパ部材33の外面が上記一方の側壁部22−2の内面と略面一となる高さに貫通孔28が形成される。
【0057】
次に、有機EL照明パネル100を有機EL照明パネル用取付け装置2に取り付ける取付け方法について説明する。図6は、第2の実施形態に係る有機EL照明パネル用取付け装置に有機EL照明パネルを取り付ける取付け方法を説明するための図である。
【0058】
まず、図6(A)に示すように、有機EL照明パネル100の受電電極117が形成されている一側面(図3に示す例では底面)が、有機EL照明パネル用取付け装置2の給電電極24が形成されている上記他方の側壁部22−1に向くように、上記一側面(底面)に対向する対向側面(図3に示す例では上面)から、有機EL照明パネル100を、一方の前壁部23(図5に示す例では前壁部23−2)の端部と凹部26における側面26bの上端との間に形成される空間に挿入し、有機EL照明パネル100の上記対向側面(上面)における一側縁を凹部26の底面26cまたは凹部26の側面26aに当て付ける(ST11)。凹部26の側面26aは、上記一方の側壁部22−2の内面と連続している側面であり、凹部26の側面26bは、この側面26aに対向する側面である。
【0059】
次に、図6(B)に示すように、有機EL照明パネル100の背面が有機EL照明パネル用取付け装置2における奥壁部21の内面に当たるように、有機EL照明パネル100を回転させ、上記一方の前壁部23−2の端部と他方の前壁部23(図5に示す例では前壁部23−1)の端部とによって形成される開口部29から有機EL照明パネル100を有機EL照明パネル用取付け装置2に挿入する(ST12)。これによって、有機EL照明パネル100は、有機EL照明パネル用取付け装置2内に挿入され、有機EL照明パネル100における上記対向側面(上面)側の端部が奥壁部21、上記一方の側壁部22−2及び上記一方の前壁部23−2によって形成される保持空間25−2内に配置される。
【0060】
ここで、この有機EL照明パネル100を回転させる際に、弾性部材31及び支持部材32は、ストッパ部材33によって配設凹部27に収納されているので、障害とならない。
【0061】
そして、図6(C)に示すように、ストッパ部材33を貫通孔28から取り外す(ST13)。これによって、弾性部材31の圧縮が解放されて圧縮状態から解放状態に移行し、図6(D)に示すように、支持部材32を介して弾性部材31がその弾性力により有機EL照明パネル100を上記他方の側壁部22−1に向けて移動させ、有機EL照明パネル100の受電電極117が形成されている上記一側面(底面)側の端部が、奥壁部11、上記他方の側壁部22−1及び上記他方の前壁部23−1によって形成される保持空間25−1に嵌まり込む(ST14)。これによって、有機EL照明パネル100における上記一側面(底面)側の端部が保持空間25−1に嵌まり込んで奥壁部21、上記他方の側壁部22−1及び上記他方の前壁部23−1によって保持され、有機EL照明パネル100における上記対向側面(上面)側の端部が保持空間25−2に配置されて上記一方の前壁部23−2によって保持される。そして、有機EL照明パネル100における一対の受電電極117が有機EL照明パネル用取付け装置2における一対の給電電極24 に電気的に接続される。有機EL照明パネル100は、弾性部材31によって、支持部材32を介して上記一方の側壁部22−2から上記他方の側壁部22−1の方向に付勢されながら支持される。
【0062】
上記構成の有機EL照明パネル用取付け装置2は、第1の実施形態に係る有機EL照明パネル用取付け装置1と同様の作用効果を有する。さらに、有機EL照明パネル用取付け装置2に取り付けられた有機EL照明パネル100は、支持部材32を介して弾性部材31によって付勢されるので、有機EL照明パネル100における一対の受電電極117が有機EL照明パネル用取付け装置2における一対の給電電極24 に、より確実に電気的に接続される。
【0063】
なお、上述の第1及び第2の実施形態では、凹部16、26は、断面略矩形であり、上記一方の側壁部12−1、22−2寄りの側面16a、26aは、上記一方の側壁部12−1、22−2の内面と連続しているが、上記一方の側壁部12−1、22−2寄りの側面16a、26aと上記一方の側壁部12−1、22−2の内面との間に奥壁部11、21の内面が存在して不連続でもよい。
【0064】
そして、上述の第1及び第2の実施形態では、凹部16、26は、断面略矩形であるが、これに限定されない。凹部16、26は、有機EL照明パネル100の上記対向側面(上面)側の端部が奥壁部11、21の内面11a、21aや上記一方の側壁部13−1、23−2の内面によって規制されることなく回転可能な断面形状でよく、例えば、断面略半円形や半楕円形等の弧形状でもよい。
【0065】
また、上述の第1及び第2の実施形態では、一対の給電電極14、24は、奥壁部11、21の内面11a、21aにおける上記他方の側壁部13−2、23−1寄り及び上記他方の側壁部の内面に形成されたが、これに限定されるものではない。一対の給電電極14は、奥壁部11、21の内面11a、21aにおける上記他方の側壁部13−2、23−1寄りに形成されてもよく、また、一対の給電電極14は、上記他方の側壁部13−2、23−1の内面に形成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】第1の実施形態に係る有機EL照明パネル用取付け装置の構成を示す図である。
【図2】有機EL照明パネル用取付け装置における各部の寸法を説明するための断面図である。
【図3】有機EL照明パネルの構成を示す図である。
【図4】第1の実施形態に係る有機EL照明パネル用取付け装置に有機EL照明パネルを取り付ける取付け方法を説明するための図である。
【図5】第2の実施形態に係る有機EL照明パネル用取付け装置の構成を示す図である。
【図6】第2の実施形態に係る有機EL照明パネル用取付け装置に有機EL照明パネルを取り付ける取付け方法を説明するための図である。
【図7】特許文献1に記載の表示装置の構成を示す断面図である。
【図8】表示装置の組立工程を説明するための図である。
【図9】背景技術に係る有機EL照明パネル用取付け装置の構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0067】
1、2 有機EL照明パネル取付け装置
11、21 奥壁部
12、22 側壁部
13、23 前壁部
14、24 給電電極
16、26 凹部
30 付勢機構
31 弾性部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の奥壁部と、該奥壁部の両側の端縁から互いに同一方向に向けて該奥壁部に対し垂直にそれぞれ延設される一対の側壁部と、該一対の側壁部におけるそれぞれの端縁から互いに内側に向けて該側壁部に対し垂直にそれぞれ延設される一対の前壁部とを備える有機EL照明パネル用取付け装置において、
前記奥壁部の内面には、一方の側壁部寄りに該一方の側壁部に沿った方向に凹部が形成されていること
を特徴とする有機EL照明パネル用取付け装置。
【請求項2】
有機EL照明パネルに電力を供給するための給電部が他方の側壁部寄りに形成されていること
を特徴とする請求項1に記載の有機EL照明パネル用取付け装置。
【請求項3】
前記一方の側壁部の内面には、他方の側壁部の方向に付勢する弾性部材が設けられていること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機EL照明パネル用取付け装置。
【請求項1】
板状の奥壁部と、該奥壁部の両側の端縁から互いに同一方向に向けて該奥壁部に対し垂直にそれぞれ延設される一対の側壁部と、該一対の側壁部におけるそれぞれの端縁から互いに内側に向けて該側壁部に対し垂直にそれぞれ延設される一対の前壁部とを備える有機EL照明パネル用取付け装置において、
前記奥壁部の内面には、一方の側壁部寄りに該一方の側壁部に沿った方向に凹部が形成されていること
を特徴とする有機EL照明パネル用取付け装置。
【請求項2】
有機EL照明パネルに電力を供給するための給電部が他方の側壁部寄りに形成されていること
を特徴とする請求項1に記載の有機EL照明パネル用取付け装置。
【請求項3】
前記一方の側壁部の内面には、他方の側壁部の方向に付勢する弾性部材が設けられていること
を特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機EL照明パネル用取付け装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2007−172918(P2007−172918A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−366312(P2005−366312)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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