有機EL素子点灯装置およびこれを用いた照明器具
【課題】始動時においてサージ電流を低減すると共に、始動ばらつきを抑制することができる有機EL素子点灯装置および、これを用いた照明器具を提供する。
【解決手段】出力端間に1乃至複数の有機EL素子からなる光源部109を接続し、光源部109に点灯電流I101を供給する電流供給部102と、点灯電流I101を検出する電流検出部105と、点灯電流I101の目標値を設定する目標設定部104と、電流検出部105の検出値と点灯電流I101の目標値とが一致するように、電流供給部102を制御することで、点灯電流I101をフィードバック制御する制御部103とを備え、目標設定部104は、光源部109の始動時において、目標値を徐々に増加させるスイープ期間Tswを設ける。
【解決手段】出力端間に1乃至複数の有機EL素子からなる光源部109を接続し、光源部109に点灯電流I101を供給する電流供給部102と、点灯電流I101を検出する電流検出部105と、点灯電流I101の目標値を設定する目標設定部104と、電流検出部105の検出値と点灯電流I101の目標値とが一致するように、電流供給部102を制御することで、点灯電流I101をフィードバック制御する制御部103とを備え、目標設定部104は、光源部109の始動時において、目標値を徐々に増加させるスイープ期間Tswを設ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL素子点灯装置およびこれを用いた照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と略称する)を面状光源として利用されており、有機ELを点灯させる有機EL素子点灯装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−93729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有機EL素子は面状光源のため容量成分が大きく、始動時に高いサージ電流が発生しやすい。このサージ電流により、有機EL素子および有機EL素子点灯装置の短寿命化や破壊といった問題が発生する。そこで、特許文献1では、有機EL素子への電力供給経路にインダクタや抵抗を挿入することでサージ電流を低減しているが、インダクタや抵抗によって電力損失が増大するという問題が発生する。
【0005】
また、図12に示すように、有機EL素子は、順方向電圧Vfに対する順方向電流Ifの特性(以降、V−I特性と称す)は、サンプル毎や温度等の周囲環境によってばらつくおそれがある。このため、始動のタイミングや光出力上昇スピードが異なる始動ばらつきが発生しやすい。この始動ばらつきは、特に有機EL素子の始動時において、徐々に出力電圧を上昇させる場合や、フェードインする場合に目立つことになる。
【0006】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、始動時においてサージ電流を低減すると共に、始動ばらつきを抑制することができる有機EL素子点灯装置および、これを用いた照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の有機EL素子点灯装置は、出力端間に1乃至複数の有機EL素子からなる光源部を接続し、当該光源部に点灯電流を供給する電流供給部と、前記点灯電流を検出する電流検出部と、前記点灯電流の目標値を設定する目標設定部と、前記電流検出部の検出値と前記目標値とが一致するように、前記電流供給部を制御することで、前記点灯電流をフィードバック制御する制御部とを備え、前記目標設定部は、前記光源部の始動時において、前記目標値を徐々に増加させるスイープ期間を設けたことを特徴とする。
【0008】
この有機EL素子点灯装置において、前記電流検出部は、前記点灯電流の検出値を通過させるローパスフィルタを備えることが好ましい。
【0009】
この有機EL素子点灯装置において、前記電流供給部を複数備え、前記電流供給部の各々は、互いに異なる前記光源部に前記点灯電流を供給しており、前記制御部は、前記点灯電流の各々が前記目標値と一致するようにフィードバック制御しており、前記目標設定部は、前記点灯電流の各々に対して同一の目標値を設定することが好ましい。
【0010】
この有機EL素子点灯装置において、前記光源部と前記電流供給部と前記制御部とを有する点灯ユニットを複数備え、前記電流供給部は、入力電源から前記点灯電流を生成しており、前記点灯ユニットの各々は、前記入力電源に対して着脱自在に構成される電源端子と、前記目標設定部に対して着脱自在に構成される目標値入力端子とを備えることが好ましい。
【0011】
この有機EL素子点灯装置において、複数の光源部が直列接続され、前記光源部の両端間を短絡・開放する短絡開放手段を備えることが好ましい。
【0012】
この有機EL素子点灯装置において、前記目標設定部は、前記点灯電流が供給される前記有機EL素子の数が少なくなるにつれて、前記スイープ期間を短くすることが好ましい。
【0013】
この有機EL素子点灯装置において、前記目標設定部は、前記光源部の調光度が深くなるにつれて、前記スイープ期間を短くすることが好ましい。
【0014】
この有機EL素子点灯装置において、前記制御部は、前記スイープ期間の前に、前記有機EL素子の点灯開始電圧以下の電圧を前記電流供給部の出力端間に生成する期間を設けることが好ましい。
【0015】
本発明の照明器具は、出力端間に1乃至複数の有機EL素子からなる光源部を接続し、当該光源部に点灯電流を供給する電流供給部と、前記点灯電流を検出する電流検出部と、前記点灯電流の目標値を設定する目標設定部と、前記電流検出部の検出値と前記目標値とが一致するように、前記電流供給部を制御することで、前記点灯電流をフィードバック制御する制御部とを備え、前記目標設定部は、前記光源部の始動時において、前記目標値を徐々に増加させるスイープ期間を設けた有機EL素子点灯装置と、前記有機EL素子点灯装置によって点灯される1乃至複数の有機EL素子からなる光源部と、前記有機EL素子点灯装置と前記光源部とが取り付けられる器具本体とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明では、始動時においてサージ電流を低減すると共に、始動ばらつきを抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態1の有機EL素子点灯装置の回路構成図である。
【図2】コンデンサ電圧Vaの増加を示すグラフである。
【図3】(a)従来の点灯電流I101の立ち上がりを示すグラフである。(b)従来の点灯電圧V102の立ち上がりを示すグラフである。
【図4】(a)実施形態1の点灯電流I101の立ち上がりを示すグラフである。(b)実施形態1の点灯電流I101の立ち上がりを示すグラフである。
【図5】実施形態2の有機EL素子点灯装置の回路構成図である。
【図6】光源203に印加される電圧を示すグラフである。
【図7】実施形態2の多灯制御可能な有機EL素子点灯装置の概略図である。
【図8】実施形態3の有機EL素子点灯装置の回路構成図である。
【図9】実施形態4の有機EL素子点灯装置の回路構成図である。
【図10】実施形態5の有機EL素子点灯装置の回路構成図である。
【図11】実施形態6の照明器具の概略構成図である。
【図12】有機EL素子のV−I特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
(実施形態1)
本実施形態の有機EL素子点灯装置の回路構成図を図1に示す。本実施形態の有機EL素子点灯装置は、電源部101と電流供給部102と制御部103と目標設定部104と電流検出部105と電圧検出部106と短絡開放回路107とで構成されており、直列接続された複数(図示例では4つ)の光源部109を点灯する。なお、各光源部109は、同種・同サイズのものが用いられる。
【0020】
電源部101は、整流回路111と昇圧チョッパ回路112と制御用電源113とで構成されている。整流回路111は、交流電源E101の出力端間に接続されており、交流電圧を整流平滑して昇圧チョッパ回路112に出力する。昇圧チョッパ回路112は、インダクタL101とダイオードD101とコンデンサC101とスイッチング素子Q101とで構成されている。インダクタL101とダイオードD101とコンデンサC101との直列回路は、整流回路111の出力端間に接続されており、ダイオードD101とコンデンサC101との直列回路と並列に、スイッチング素子Q101が接続されている。そして、図示しないスイッチング制御部によって、スイッチング素子Q101がオン・オフ駆動されることで、整流回路111の出力電圧を昇圧した電圧V101をコンデンサC101の両端間に生成する。そして、昇圧チョッパ回路112は、電圧V101を電流供給部102および制御用電源113に出力する。制御用電源113は、電圧V101をDC−DC変換することで、制御部103の動作電源となる駆動電圧Vccを生成し、制御部103に出力する。
【0021】
電流供給部102は、スイッチング素子Q102とダイオードD102とインダクタL102とコンデンサC102とで降圧チョッパ回路を構成している。昇圧チョッパ回路112の出力端間にスイッチング素子Q102とインダクタL102とコンデンサC101との直列回路が接続され、インダクタL102とコンデンサC101と並列に回生用のダイオードD102が接続されている。そして、スイッチング素子Q102が制御部103によってオン・オフ駆動されることで、電圧V101を降圧した点灯電圧V102をコンデンサC102の両端間に生成する。
【0022】
また、コンデンサC102と並列に、直列接続された4つの光源部109が接続されている。光源部109は、1乃至複数の有機EL素子で構成されており、電流供給部102から点灯電流I101が供給されることで点灯する。
【0023】
制御部103は、点灯電流I101が目標値と一致するように、電流供給部102を制御することで、点灯電流I101のフィードバック制御を行う。
【0024】
電流検出部105は、抵抗R101で構成されており、点灯電流I101の供給経路に介挿されている。そして、抵抗R101の両端間に発生する電圧を点灯電流I101の検出値としてコンパレータ108の反転入力端子に出力する。
【0025】
目標設定部104は、点灯電流I101の目標値を設定する。目標設定部104は、抵抗R102とコンデンサC102との直列回路と、コンデンサC102に並列接続される抵抗R103とで構成されている。抵抗R102とコンデンサC102の直列回路は、一端が制御部103に接続され、他端がコンデンサC102の負極に接続されており、制御部103から制御電圧Vcが印加される。この制御電圧VcによってコンデンサC102が充電され、コンデンサC102の両端間にコンデンサ電圧Vaが生成される。抵抗R102とコンデンサC102との接続点は、コンパレータ108の非反転入力端子に接続されており、コンデンサ電圧Vaが点灯電流I101の目標値として出力される。
【0026】
そして、制御部103は、コンパレータ108の出力に基づいて、スイッチング素子Q102をオン・オフ駆動することで、点灯電流I101の検出値が目標値と一致するように点灯電流I101のフィードバック制御を行う。
【0027】
次に、本実施形態の有機EL素子点灯装置の始動時の動作について説明する。
【0028】
交流電源E101から電源供給されると、制御用電源113が駆動電圧Vccを生成して制御部103に出力する。それにより、制御部103が駆動開始し、制御電圧Vcを生成して目標設定部104に出力する。このとき、図2に示すように、コンデンサC102の両端電圧(コンデンサ電圧Va)は、抵抗R102,R103の抵抗値および、コンデンサC102の容量で決定される時定数によって、徐々に増加することとなる。すなわち、目標設定部104は、点灯電流I101の目標値を徐々に増加させるスイープ期間Tswを設けている。そして、制御部103は、点灯電流I101のフィードバック制御を行うので、光源部109に供給される点灯電流I101が徐々に増加し、光源部109が点灯する。なお、抵抗R102,R103の抵抗値および制御電圧Vcの電圧値は、充電完了後のコンデンサ電圧Vaが、定常点灯時における点灯電流I101の目標値となるように設定されている。
【0029】
すなわち、本実施形態では、始動時において光源部109を点灯させる際、点灯電流I101の目標値を徐々に増加させることで、光源部109に供給される点灯電流I101を徐々に増加させる。従来では、図3(a)に示すように、点灯電流I101の目標値を始動直後から定常点灯時の目標値に設定しているため、点灯電流I101の立ち上がりが急峻になり、サージ電流が発生する。しかし、本実施形態では、図4(a)に示すように、始動直後は点灯電流I101の目標値を低く設定し、定常点灯時の目標値まで徐々に増加させるので、点灯電流I101の立ち上がりが滑らかになり、サージ電流の発生を抑制することができる。特に、光源部109に有機EL素子のような容量成分の大きい負荷を用いる場合に効果が大きい。さらに、本実施形態では、サージ電流を抑制するために、インダクタ成分や抵抗成分を挿入しておらず、電力損失が増大するおそれもない。
【0030】
また、従来では、光源部109の直列回路に印加される点灯電圧V102も、図3(b)に示すように立ち上がりが急峻となるので、電圧の跳ね上がり(オーバーシュート)が発生するおそれがある。しかし、本実施形態では、図4(b)に示すように、点灯電圧V102の立ち上がりも滑らかになるので、電圧の跳ね上がりも抑制することができる。
【0031】
また、本実施形態では、点灯電流I101の目標値を徐々に増加させることで、光源部109に供給される点灯電流I101を徐々に増加させている。有機EL素子は、順方向電流と光出力とがほぼ比例関係にあるので、点灯電流I101を徐々に増加させることで、始動タイミングや光出力上昇スピードの始動ばらつきを抑制して、安定した出力制御を行うことができる。
【0032】
すなわち、始動時において、点灯電流I101が徐々に増加するように点灯電流I101にフィードバック制御を行うことで、サージ電流を低減すると共に、始動ばらつきを抑制することができるという効果を得ることができる。
【0033】
なお、制御部103は、制御用電源113から印加される駆動電圧Vccを、そのまま制御電圧Vcとして目標設定部104に印加してもよい。また、外部から調光信号が入力され、光源部109を調光制御する場合、制御部103は、調光信号が示す調光度に応じて制御電圧Vcを変動させる。それによって、スイープ期間Tsw後(コンデンサC102の充電完了後)のコンデンサ電圧Vaが変動するので、定常点灯時における点灯電流I101の目標値を調節することができ、光源部109を調光制御することができる。
【0034】
また、定常点灯時の調光度が深く設定されている場合、点灯電流I101が小さくなることから、点灯電圧V102も低くなるので、始動時にサージ電流が発生しにくくなる。したがって、本実施形態では、調光信号に基づいて、定常点灯時の調光度が深くなるにつれて、目標設定部104はスイープ期間Tswを短くする。これにより、始動開始から定常点灯状態に至るまでの時間を短縮化することができる。
【0035】
なお、スイープ期間Tswを短くする手段として、抵抗R102,R103を可変抵抗で構成し、調光信号に基づいて抵抗R102,R103の抵抗値を可変する方法や、制御部103からコンデンサC102に供給される電流値を制御する方法などがある。また、所定の調光度以上であれば、所定のスイープ期間Tswを設定し、所定の調光度未満であればスイープ期間Tswをゼロにする段階的なものも考えられる。なお、スイープ期間Tswをゼロにする手段として、コンデンサC102の両端間を短絡する方法などがある。なお、調光信号が示す調光度ではなく、点灯電圧V102の値に基づいて、スイープ期間Tswを決定してもよい。また、スイープ期間Tswの制御は、調光する場合に限らず、光出力調整・補正を行うときに行ってもよい。このとき、スイープ期間Tswの変化は、調整・補正信号に基づいて行う。
【0036】
次に、光源部109の間引き制御や取り外しにより、点灯させる光源部109の数を減少させる場合について説明する。
【0037】
本実施形態では、光源部109毎に接続されるスイッチ部171と、各スイッチ部171を制御する遠隔操作ユニット172と、各スイッチ部171の状態を監視する状態検出部173とからなる短絡開放回路107(短絡開放手段)を備えている。
【0038】
各スイッチ部171は、スイッチング素子Q103と、スイッチング素子Q103に接続される分圧抵抗R104,R105の直列回路と、スイッチング素子Q104と、スイッチング素子Q104に接続される分圧抵抗R106,R107の直列回路とを備える。
【0039】
スイッチング素子Q103は、PNP型のバイポーラトランジスタで構成され、光源部109にそれぞれ並列に接続される。具体的には、エミッタが光源部109の高電位側に接続され、コレクタが光源部109の低電位側に接続される。分圧抵抗R104は、一端がスイッチング素子Q103のエミッタに接続され、他端がスイッチング素子Q103のベースに接続される。
【0040】
スイッチング素子Q104は、NPN型のバイポーラトランジスタで構成される。スイッチング素子Q104は、コレクタが抵抗R105を介してスイッチング素子Q103のベースに接続され、エミッタがスイッチング素子Q106,抵抗R101を介してコンデンサC102の負極に接続される。分圧抵抗R107は、一端がスイッチング素子Q104のベースに接続され、他端がスイッチング素子Q104のエミッタに接続される。
【0041】
なお、分圧抵抗R104,R105の抵抗値は、スイッチング素子Q104がオンすると、スイッチング素子Q103もオンするような値に設定される。
【0042】
遠隔操作ユニット172は、ユーザーが操作可能な位置に設けられる。遠隔操作ユニット172は、スイッチ部171の個数(図示例では4つ)に応じた個数の操作スイッチQ105と、操作スイッチQ105の一端と制御用電源113とに両端がそれぞれ接続される4つの抵抗R108とを備える。各操作スイッチQ105の他端は、抵抗R106にそれぞれ接続される。
【0043】
操作スイッチQ105には押しボタンスイッチなどが用いられ、ユーザーによって操作される。操作スイッチQ105がオンすると、駆動電圧Vccが分圧抵抗R106,R107で分圧されてスイッチング素子Q104のベースに印加され、スイッチング素子Q104がオンする。スイッチング素子Q104がオンすると、上述したようにスイッチング素子Q103もオンし、光源部109の両端が短絡されて光源部109が消灯する。すなわち、各操作スイッチQ105をそれぞれ操作することにより、操作スイッチQ105に対応した光源部109の両端間が短絡・開放されるので、各光源部109を点灯・消灯制御することができる。なお、操作スイッチQ105は、図示しないスイッチ制御部によってオン・オフ制御されてもよい。この場合、スイッチ制御部は、外部から入力される点灯制御信号に基づいて、各操作スイッチQ105のオン・オフを行う。
【0044】
また、光源部109は有機EL素子点灯装置に対して着脱自在に構成されており、機械的な接続(着脱検出スイッチ等)で光源部109の着脱状態を検出する。そして、光源部109が取り外された場合、図示しないスイッチ制御部が、取り外された光源部109に対応する操作スイッチQ105をオンする。それによって、スイッチング素子Q103を介して、取り外されていない光源部109に点灯電流I101を供給し、点灯させることができる。
【0045】
そして、状態検出部103は、各操作スイッチQ105の一端側の電圧を検出することで、点灯させる光源部109の個数を監視している。点灯させる光源部109の数が減少するほど、サージ電流量が減るので有機EL素子点灯装置の回路ストレスが低減される。したがって、本実施形態では、点灯させる光源部109の数が少なくなるにつれて、目標設定部104はスイープ期間Tswを短くする。なお、スイープ期間Tswの制御は、上述した方法が用いられる。これにより、始動開始から定常点灯状態に至るまでの時間を短縮化することができる。
【0046】
また、全ての光源部109が消灯または取り外されて、負荷短絡状態となった場合、状態検出部173がこれを検出し、制御部103に停止信号を出力する。そして、制御部103はスイッチング素子Q102をオフ状態に維持する。それによって、点灯電流I101の供給が停止し、回路破壊を防止することができる。また、状態検出部173は、負荷短絡状態を検出した場合、スイッチング素子Q106をオフして、点灯電流I101の供給経路を遮断するように構成してもよい。この場合、電流供給部102のコンデンサC102の放電時間を考慮することなく、瞬時に保護動作を行うことができるので、信頼性・安全性を向上させることができる。また、状態検出部173の代わりに、電流検出部105の検出値を用いて負荷短絡状態を検出するように構成してもよい。この場合、電流検出部105の検出値が、所定値以上となった場合、スイッチング素子Q102またはスイッチング素子Q106をオフする。
【0047】
また、本実施形態では、点灯電流I101をフィードバック制御しているので、点灯させる光源部109の数を減少した場合であっても、光源部109に過電圧が印加されることはなく、光源部109の破壊を防止することができる。
【0048】
また、本実施形態の有機EL素子点灯装置は、点灯電圧V102を検出する電圧検出部106を備えている。電圧検出部106は、抵抗R109,R110の直列回路で構成され、コンデンサC102と並列接続されている。そして、抵抗R109,R110による点灯電圧V102の分圧値を、点灯電圧V102の検出値として制御部103に出力する。そして、制御部103は、電圧検出部106の検出値が所定の閾値以上となった場合、異常状態と判断し、スイッチング素子Q102のオン・オフ駆動を停止する保護動作を行う。
【0049】
なお、本実施形態の電流供給部102は、降圧チョッパ回路で構成されているが、これに限定するものではない。例えば、昇圧チョッパ回路,昇降圧チョッパ回路,フライバックコンバータ,フォワードコンバータ,ハーフブリッジコンバータ,フルブリッジコンバータ,プッシュプルコンバータ,他のスイッチング電源や、これらを組み合わせた構成でもよい。なお、スイッチング周波数は数十kz〜数MHz程度に設定される。
【0050】
なお、目標設定部104をマイクロコンピュータで構成し、点灯電流I101の目標値を徐々に増加するように構成してもよい。
【0051】
(実施形態2)
本実施形態の有機EL素子点灯装置の回路構成図を図5に示す。本実施形態の有機EL素子点灯装置は、定電圧ユニット201と定電流ユニット202とで構成されている。定電圧ユニット201は、交流電源E201を入力として、所定の電圧V202を生成し、定電流ユニット202に出力する。定電流ユニット202は、電圧V202を入力として光源部203に点灯電流I201を供給することで光源部203を点灯させる。
【0052】
定電圧ユニット201(入力電源)は、入力部210とローパスフィルタ211と整流回路部212と制御電源回路213と昇圧チョッパ回路214と降圧チョッパ回路215と定電圧制御部216とタイマ217と目標設定部218と出力部219とを有する。
【0053】
入力部210は、交流電源E201に接続され、ローパスフィルタ211は、入力部210からの交流電圧を正弦波状にするため、その高周波成分を除去する。整流回路部212は、ダイオードブリッジを用いてローパスフィルタ211からの交流電圧を全波整流する。制御電源回路213は、整流回路部212の出力に接続され、駆動電圧Vcc1を生成し、昇圧チョッパ回路214に供給する。
【0054】
昇圧チョッパ回路214は、チョークコイルL201とnチャネルMOSFETからなるスイッチング素子Q201と、ダイオードD201と、抵抗R201と、コンデンサC201と、スイッチング素子Q201を駆動する駆動回路214aとを有する。チョークコイルL201とダイオードD201とコンデンサC201とで直列回路を形成し、制御電源回路213の出力端間に接続されている。また、ダイオードD201とコンデンサC201の直列回路と並列に、スイッチング素子Q201と抵抗R201との直列回路が接続されている。そして、スイッチング素子Q201が駆動回路214aによってオン・オフ駆動されることで、コンデンサC201の両端に駆動電圧Vcc1を昇圧した電圧V201を生成する。
【0055】
チョークコイルL201に結合される二次側コイルL202は、一端が定電圧制御部216に接続され、他端が接地されている。そして、チョークコイルL201に発生する電圧を検出して、定電圧制御部216に制御電源電圧を供給する。また、コンデンサC201と並列に、抵抗R201,R202からなる直列回路が接続されており、抵抗R201,R202による電圧V201の分圧値を、電圧V201の検出値として定電圧制御部216に出力する。
【0056】
そして、定電圧制御部216は、電圧V201が所定値となるように、駆動回路214aを制御して、スイッチング素子Q201のスイッチング制御を行うことで、電圧V201のフィードバック制御を行っている。
【0057】
降圧チョッパ回路215は、スイッチング素子Q202とチョークコイルL203とコンデンサC202とダイオードD202と駆動回路215aとを有する。コンデンサC201の両端間に、スイッチング素子Q202とチョークコイルL203とコンデンサC202との直列回路が接続され、チョークコイルL203とコンデンサC202との直列回路と並列に回生用のダイオードD202が接続される。そして、駆動回路215aがスイッチング素子Q202をオン・オフ駆動することで、電圧V201を降圧した電圧V202がコンデンサC202の両端に生成される。
【0058】
また、コンデンサC202と並列に、抵抗R203,R204からなる直列回路が接続されており、抵抗R203,R204による電圧V202の分圧値を、電圧V202の検出値として定電圧制御部216に出力する。
【0059】
そして、定電圧制御部216は、電圧V202が所定値となるように、駆動回路215aを制御して、スイッチング素子Q202のスイッチング制御を行うことで、電圧V202のフィードバック制御を行っている。
【0060】
出力部219は、コンデンサC202の正極,負極のそれぞれに接続される電源端子を備えており、各電源端子は、定電流ユニット202の入力部220に設けられた電源端子に接続される。
【0061】
すなわち、定電圧ユニット201は、交流電源E201を入力として電圧V202を生成し、定電流ユニット202に供給する。
【0062】
次に、定電流ユニット202について説明する。定電流ユニット202は、入力部220と、制御電源回路221と、昇圧チョッパ回路222(電流供給部)と、出力部223と、定電流制御部224(制御部)と、電流検出部225と、コンパレータ226とを有する。
【0063】
入力部220は、出力部219の一対の電源端子に接続される一対の電源端子を備えており、電源端子間に電圧V202が印加される。制御電源回路221は、抵抗R205,R206の直列回路と、抵抗R206に並列接続されるツェナーダイオードZD201とで構成されており、電圧V202から定電流制御部224の駆動電源となる駆動電圧Vcc2を生成して、定電流制御部224に供給する。
【0064】
昇圧チョッパ回路222は、チョークコイルL204とスイッチング素子Q203とダイオードD203とコンデンサC203と駆動回路222aとを有する。コンデンサC202の両端間に、出力部219,入力部220を介して、チョークコイルL204とダイオードD203とコンデンサC203との直列回路が接続され、ダイオードD203とコンデンサC203との直列回路と並列にスイッチング素子Q203が接続される。そして、駆動回路222aがスイッチング素子Q203をオン・オフ駆動することで、電圧V202を昇圧した電圧V203をコンデンサC203の両端に生成する。
【0065】
出力部223は、コンデンサC203の正極,負極のそれぞれに接続される一対の出力端子を備えており、この出力端子間に1乃至複数の有機EL素子からなる光源部203が接続される。そして、昇圧チョッパ回路222から出力部223を介して光源部203に点灯電流I201が供給されることで光源部203が点灯する。
【0066】
また、点灯電流I201を検出する電流検出部225を備えている。電流検出部225は、抵抗R207で構成されており、点灯電流I201の供給経路に介挿されている。そして、抵抗R207の両端電圧を点灯電流I201の検出値としてコンパレータ226の反転入力端子に出力する。
【0067】
また、定電圧ユニット201に設けられた目標設定部218は、点灯電流I201の目標値を設定する。出力部219は、目標設定部218に接続される目標値出力端子を備え、入力部220は、コンパレータ226の非反転入力端子に接続される目標値入力端子を備えている。そして、出力部219と入力部220とが接続されることで目標出力端子と目標入力端子とが接続され、目標設定部218から点灯電流I201の目標値がコンパレータ226の非反転入力端子に出力される。
【0068】
定電流制御部224は、点灯電流I201の検出値と目標値とが一致するように、コンパレータ226の出力に基づいて駆動回路222aを制御することでスイッチング素子Q203のスイッチング制御し、点灯電流I201のフィードバック制御を行う。
【0069】
また、目標設定部218は、始動時において、点灯電流I201の目標値を徐々に増加させるように構成されている。目標設定部218が目標値の増加を開始するタイミングは、タイマ217によって決定される。
【0070】
次に、本実施形態の有機EL素子点灯装置の始動時の動作について図6を用いて説明する。時間t200において電源が投入され、制御電源回路213が駆動電圧Vcc1を出力すると、タイマ217がカウントを開始する。そして、時間t201になると、タイマ217は、定電圧制御部216に動作開始を指示する。これにより、定電圧制御部216がスイッチング素子Q201,Q202のスイッチング制御を開始し、電圧V202が生成されて定電流ユニット202に供給される。
【0071】
このとき、タイマ217は、まだ目標設定部218に動作開始の指示を出しておらず、点灯電流I201の目標値はゼロのままとなる。そのため、昇圧チョッパ回路22の動作は停止状態となる。しかし、昇圧チョッパ回路222は、入力側と出力側とが非絶縁状態であるので、昇圧チョッパ回路222を介して電圧V202が光源部203に印加される。
【0072】
このとき、定電圧制御部216は、電圧V202が光源部203の点灯開始電圧Vs以下となるようにフィードバック制御している。すなわち、光源部203を構成する有機EL素子に印加される電圧が、有機EL素子の点灯開始電圧Vf1以下となるように電圧V202がフィードバック制御される(図12参照)。したがって、このとき光源部203は消灯状態となる。
【0073】
そして、タイマ217は時間t202において、目標設定部218に動作開始を指示し、目標設定部218は、点灯電流I201の目標値の増加を開始する。目標設定部218は、点灯電流I201の目標値をゼロから定常点灯時の目標値まで徐々に増加させる(スイープ期間Tsw)。定電流制御部224は、点灯電流I201の検出値が目標値と一致するようにフィードバック制御するので、点灯電流I201が徐々に増加し、光源部203が点灯する。
【0074】
図12に示すように、有機EL素子は電流が流れ始める点灯開始電圧Vf1がある程度高い電圧値となる。このため、始動時において点灯電流I201を徐々に増加させた場合であっても、電圧が急に点灯開始電圧Vf1まで上昇することになり、有機EL素子の容量成分を充電するためのインラッシュ電流(サージ電流)が流れるおそれがある。しかし、本実施形態では、光源部203が点灯する前に、光源部203の点灯開始電圧Vs以下の電圧を光源部203に印加する期間(時間t201〜r202)を設け、有機EL素子の容量成分をある程度充電された状態にする。これにより、点灯開始時におけるインラッシュ電流(サージ電流)を低減することができる。なお、電圧V202を点灯開始電圧Vsに近づけるほどサージ低減効果が大きくなり、電圧V202が点灯開始電圧Vsとなるようにフィードバック制御することで、サージ電流を最も低減させることができる。
【0075】
また、光源部203の始動時において、点灯電流I201が徐々に上昇するように点灯電流I201のフィードバック制御を行っているので、実施形態1と同様に始動ばらつきを低減することができる。また、定常点灯時においても、点灯電流I201のフィードバック制御を行うことで、周囲温度や個体差によるV−I特性のばらつきによる光出力のばらつきも抑制することができる。
【0076】
このように、本実施形態では、始動時においてサージ電流をより低減することができると共に、始動ばらつきを抑制することができるという効果を得ることができる。
【0077】
また、本実施形態では、始動前において、定電圧ユニット201を用いて、光源部203に点灯開始電圧Vs以下の電圧を印加するように構成されている。このため、光源部203に点灯開始電圧Vs以下の電圧を印加する電源回路を別途設ける必要がなく、部品数削減および小型化を図ることができる。
【0078】
なお、点灯後は、定電流ユニット202によって点灯電流I201のフィードバック制御が行われるので、電圧V202が点灯開始電圧Vsよりも高くなるように制御してもよい。電圧V202を上昇させることで、定電圧ユニット202の出力電流が低減し、消費電力を低減させることができる。
【0079】
なお、定電圧ユニット201の降圧チョッパ回路215は、非絶縁型の降圧チョッパ回路で構成されているが、トランスを用いた絶縁型の降圧チョッパ回路で構成されていてもよい。
【0080】
なお、時間t201において、電圧V202が、図6に示すように急峻に立ち上がるように構成してもよいし、滑らかに立ち上がるように構成してもよい。電圧V202の立ち上がりを急峻にすることで、始動時間の短縮化を図ることができ、立ち上がりを滑らかにすることで、電圧V202を光源部203に印加することによるサージ電流を抑制することができる。
【0081】
また、図7に示すように、定電圧ユニット201に複数(図示例では4つ)の出力部219を設け、それぞれに定電流ユニット202を接続することで多灯制御可能な有機EL素子点灯装置を構成してもよい。この有機EL素子点灯装置では、定電流ユニット202と光源203とで点灯ユニット204を構成している。定電圧ユニット201の出力部219と、定電流ユニット202の入力部220とが着脱自在に構成されており、点灯ユニット204の取り外しや交換が可能となっている。
【0082】
また、点灯ユニット204毎で点灯電流I201のフィードバック制御が行われる。各点灯ユニット204には、定電圧ユニット201に設けられた目標設定部218から、同一の点灯電流I201の目標値が設定される。そのため、各点灯ユニット204間で光源部203の始動ばらつきを抑制することができる。
【0083】
また、1つの定電圧ユニット201を用いて各定電流ユニット202に電圧V202を出力するように、定電圧ユニット201が共通化されているので、より部品数削減および小型化を図ることができる。
【0084】
また、点灯させる光源203を選択する選択制御や取り外しなどにより、光源部203および回路素子の劣化度合い(例えば、コンデンサの容量の低減度合いなど)が点灯ユニット204毎に異なる場合がある。しかし、このような場合でも、始動時に点灯電流I201が徐々に増加するようにフィードバック制御することで、点灯ユニット204間の始動のタイミングや光出力上昇スピードなどの始動ばらつきを低減することができる。
【0085】
(実施形態3)
本実施形態の有機EL素子点灯装置の回路構成図を図8に示す。本実施形態の有機EL素子点灯装置は、電力供給ユニット301と定電圧ユニット302とで構成されている。電力供給ユニット301は、入力部310と、制御電源回路311と、降圧チョッパ回路312と、出力部313と、制御部314と、電流検出部315と、電圧検出部316と、目標電流設定部317と、目標電圧設定部318とで構成されている。
【0086】
定電圧ユニット302は、交流電源E301に接続されており、交流電源E301の交流電圧を直流電圧V301に変換して電力供給ユニット301に供給する。
【0087】
入力部310は、定電圧ユニット302に接続されており、直流電圧V301が印加される。制御電源回路311は、抵抗R301,R302の直列回路と、抵抗R302に並列接続されるツェナーダイオードZD301とで構成されており、直流電圧V301から駆動電圧Vccを生成して、制御部314,目標電流設定部317,目標電圧設定部318に供給する。
【0088】
降圧チョッパ回路312(電流供給部)は、スイッチング素子Q301とチョークコイルL301とコンデンサC301とダイオードD301と駆動回路312aとで構成されている。入力部310の端子間にスイッチング素子Q301とチョークコイルL301とコンデンサC301との直列回路が接続され、チョークコイルL301とコンデンサC301との直列回路と並列に、回生用のダイオードD301が接続される。そして、駆動回路312aがスイッチング素子Q301をオン・オフ駆動することで、直流電圧V301を降圧した点灯電圧V302がコンデンサC301の両端に生成される。
【0089】
出力部313を介して、コンデンサC301と並列に光源部303が接続されており、点灯電圧V302が生成されることで、光源部303に点灯電流I301が供給されて光源部303が点灯する。なお、光源部303は、1乃至複数の有機EL素子で構成される。
【0090】
電流検出部315は、抵抗R303で構成されており、点灯電流I301の供給経路に介挿されており、抵抗R303の両端電圧を点灯電流I301の検出値としてコンパレータ319aの反転入力端子に出力する。
【0091】
コンパレータ319aの非反転入力端子には、目標電流設定部317から点灯電流I301の目標値が入力される。目標電流設定部317(目標設定部)は、点灯電流I301の目標値を設定しており、スイッチング素子Q302と抵抗R306とコンデンサC302との直列回路と、コンデンサC302に並列接続される抵抗R307とで構成されている。スイッチング素子Q302と抵抗R306とコンデンサC302との直列回路は、一端が制御電源回路311に接続され、他端が接地されており、制御電源回路311から駆動電圧Vccが印加される。スイッチング素子Q302は、制御部314によってスイッチング制御されており、スイッチング素子Q302がオンしている場合、駆動電圧Vccによって、コンデンサC302が充電される。抵抗R306とコンデンサC302との接続点は、コンパレータ319aの非反転入力端子に接続されており、コンデンサC302の両端電圧が点灯電流I301の目標値として出力される。
【0092】
電圧検出部316は、抵抗R304,R305からなる直列回路がコンデンサC301に並列接続されることで構成されている。そして、抵抗R304,R305による点灯電圧V302の分圧値を、点灯電圧V302の検出値としてコンパレータ319bの反転入力端子に出力する。
【0093】
コンパレータ319bの非反転入力端子には、目標電圧設定部318から点灯電圧V302の目標値が入力される。目標電圧設定部318は、点灯電圧V302の目標値を設定しており、スイッチング素子Q303と抵抗R308とコンデンサC303との直列回路と、コンデンサC303に並列接続される抵抗R309とで構成されている。スイッチング素子Q303と抵抗R308とコンデンサC303との直列回路は、一端が制御電源回路311に接続され、他端が接地されており、制御電源回路311から駆動電圧Vccが印加される。スイッチング素子Q303は、制御部314によってスイッチング制御されており、スイッチング素子Q303がオンしている場合、駆動電圧Vccによって、コンデンサC303が充電される。抵抗R308とコンデンサC303との接続点は、コンパレータ319bの非反転入力端子に接続されており、コンデンサC303の両端電圧が点灯電圧V302の目標値として出力される。
【0094】
制御部314は、コンパレータ319a,319bの出力に基づいて駆動回路312aを制御することでスイッチング素子Q301のスイッチング制御を行っており、点灯電圧V302と点灯電流I301とのフィードバック制御を切替えて制御している。
【0095】
次に、本実施形態の有機EL素子点灯装置の始動時の動作について説明する。制御部314は、始動時において、まず電圧V302のフィードバック制御を行い、その後点灯電流I301のフィードバック制御に移行する。
【0096】
始動時において、制御部314は、コンパレータ319bの出力に基づいて点灯電圧V302のフィードバック制御を行う。まず、制御部314は、スイッチング素子Q303をオンする。スイッチング素子Q303がオンされることによって、コンデンサC303が充電される。このとき、コンデンサC303の両端電圧は、抵抗R308,309の抵抗値および、コンデンサC303の容量で決定される時定数によって、徐々に増加することとなる。すなわち、目標電圧設定部318は、点灯電圧V302の目標値を徐々に増加させる。これにより、光源部303に印加される点灯電圧V302が徐々に増加することとなる。
【0097】
そして、制御部314は、点灯電圧V302が光源部303の点灯開始電圧Vs以下の所定値に達すると、スイッチング素子Q302をオンし、コンパレータ319aの出力に基づいて点灯電流I301のフィードバック制御に移行する。スイッチング素子Q302がオンされることによって、コンデンサC302が充電される。このとき、コンデンサC302の両端電圧は、抵抗R306,307の抵抗値および、コンデンサC302の容量で決定される時定数によって、徐々に増加することとなる。すなわち、目標電流設定部317は、点灯電流I301の目標値を徐々に増加させるスイープ期間Tswを設けている。これにより、光源部303に供給される点灯電流I301が徐々に増加し、光源部303が点灯する。
【0098】
このように、本実施形態では、光源部303が点灯する前(スイープ期間Tswの前)に、光源部303の点灯開始電圧Vs以下の電圧を光源部303に印加する期間を設け、有機EL素子の容量成分をある程度充電された状態にする。これにより、点灯開始時におけるインラッシュ電流(サージ電流)を低減することができる。
【0099】
また、光源部303の始動時において、点灯電流I301が徐々に上昇するように点灯電流I301のフィードバック制御を行っているので、実施形態1と同様に始動ばらつきを低減することができる。
【0100】
さらに、本実施形態では、点灯電圧V302と点灯電流I301との両方のフィードバック制御を行っているので、光源部303に対してばらつきが少なく精度の高い点灯電圧V302,点灯電流I301を供給することができる。また、1つの降圧チョッパ回路312を用いて、点灯電圧V302と点灯電流I301との両方のフィードバック制御を行っているので、部品数削減および小型化を図ることができる。
【0101】
なお、点灯電圧V302のフィードバック制御から点灯電流I301のフィードバック制御への切換えは、点灯電圧V302が光源部303の点灯開始電圧Vs以上であってもよい。この場合、光源部303を構成する有機EL素子のV−I特性のばらつきに関係なく、点灯電圧V302を所望のスピードで増加させるので、始動時のサージ電流を低減することができる。
【0102】
なお、目標電流設定部317,目標電圧設定部318をマイクロコンピュータで構成し、点灯電圧V301の目標値および点灯電流I301の目標値を徐々に増加するように構成してもよい。
【0103】
(実施形態4)
本実施形態の有機EL素子点灯装置401の回路構成図を図9に示す。
【0104】
本実施形態の有機EL素子点灯装置401は、整流回路411と降圧チョッパ回路412と制御部413と電流検出部414と目標設定部415とコンパレータ416とで構成される。
【0105】
整流回路411は、交流電源E401に接続されており、交流電源E401の交流電圧を整流平滑して降圧チョッパ回路412に出力する。
【0106】
降圧チョッパ回路412(電流供給部)は、スイッチング素子Q401とインダクタL401とコンデンサC401とダイオードD401とで構成されている。整流回路411の出力端間に、スイッチング素子Q401とインダクタL401とコンデンサC401との直列回路が接続され、インダクタL401とコンデンサC401との直列回路と並列に、回生用のダイオードD401が接続されている。そして、制御部413によって、スイッチング素子Q401がスイッチング制御されることで、コンデンサC401の両端に点灯電圧V401を生成する。
【0107】
コンデンサC401の両端間には光源部402が接続され、降圧チョッパ回路412から点灯電流I401が供給されることで光源部402が点灯する。
【0108】
電流検出部414は、抵抗R401とローパスフィルタ414aとで構成されており、抵抗R401の両端電圧を点灯電流I401の検出値としてコンパレータ416に反転入力端子に出力する。
【0109】
また、コンパレータ416の非反転入力端子には目標設定部415が接続されており、目標設定部415から点灯電流I401の目標値が出力される。
【0110】
そして、制御部413は、コンパレータ416の出力に基づき、スイッチング素子Q401をスイッチング制御することで、点灯電流I401が目標値と一致するように、点灯電流I401のフィードバック制御を行っている。
【0111】
始動時において、目標設定部415は、点灯電流I401の目標値をゼロから定常点灯時の目標値まで徐々に増加させる(スイープ期間Tsw)。制御部413は、点灯電流I401の検出値が目標値と一致するようにフィードバック制御するので、点灯電流I401が徐々に増加し、光源部402が点灯する。したがって、実施形態1と同様に、サージ電流を抑制すると共に、始動ばらつきを低減することができる。
【0112】
また、本実施形態の電流検出部414は、ローパスフィルタ414aを備えている。ローパスフィルタ414aは、抵抗R402とコンデンサC402との直列回路が抵抗R401に並列接続されることで構成されており、抵抗R402とコンデンサC402の接続点がコンパレータ416の反転入力端子に接続されている。ローパスフィルタ414aは、点灯電流I401の検出値を通過させるように設定されており、サージ電流をカットする。図12に示すように、有機EL素子は電流が流れ始める点灯開始電圧Vf1がある程度高い電圧値となる。このため、始動時において点灯電流I401を徐々に増加させた場合であっても、電圧が急に点灯開始電圧Vf1まで上昇することになり、有機EL素子の容量成分を充電するためのサージ電流が流れるおそれがある。しかし、本実施形態では、サージ電流をカットするローパスフィルタ414aを備えているので、制御部413がサージ電流による誤動作を防止することができる。
【0113】
また、本実施形態の光源部402は、他の光源部402と電気接続が可能となるように構成され、光源部402を直列接続することができる。なお、光源部402を個別に識別する場合、光源部402a,402bと称し、光源部402aは有機EL素子点灯装置401に接続され、光源部402bは光源部401aに接続される。
【0114】
光源部402は、有機EL素子421と、抵抗R403と、スイッチング素子Q402と、電源側端子422と、拡張側端子423とを備える。電源側端子422は、電源端子P401とGND端子P402,P403とで構成され、拡張側端子423は、電源端子P404とゲート端子P405とGND端子P406とで構成される。
【0115】
光源部402aは、電源端子P401が、コンデンサC401の正極端子に接続され、GND端子P402,P403,P406が、抵抗R401を介してコンデンサC401の負極端子に接続される。また、電源端子P401,P404間に有機EL素子421が接続されており、有機EL素子421と並列に抵抗R404が接続されている。また、電源端子P404−GND端子P406間にスイッチング素子Q402が接続されており、スイッチング素子Q402のゲート端子は、ゲート端子P405および、抵抗R403を介して電源端子P401に接続されている。
【0116】
また、光源部402bは、電源側端子422が光源部402aの拡張側端子423に接続されている。具体的には、光源部402bの電源端子P401が光源部402aの電源端子P404に接続される。また、光源部402bのGND端子P402が光源部402aのゲート端子P405に接続される。また、光源部402bのGND端子P403が光源部402aのGND端子P406に接続される。また、光源部402bの拡張側端子423には他の光源部402が接続されていない。
【0117】
上記構成において、光源部402aのゲート端子P405は、光源部402bのGND端子P403に接続されるので、光源部402aのスイッチング素子Q402のゲート端子が接地され、スイッチング素子Q402がオフする。一方、光源部402bのスイッチング素子Q402のゲート端子には、光源部402aを介して電圧V401が印加されるので、スイッチング素子Q402がオンする。
【0118】
すなわち、拡張側端子423に他の光源部402の電源側端子422が接続されると、スイッチング素子Q402がオフし、拡張側端子423に接続された光源部402に電力を供給するように構成されている。これにより、光源部402同士を連結するだけで容易に光源部402を直列接続することができる。したがって、実施形態1のような短絡開放回路が不要となる。
【0119】
また、各光源部402に同一の点灯電流I401が供給されるので、光源部402間の始動ばらつきも低減することができる。
【0120】
(実施形態5)
本実施形態の有機EL素子点灯装置501の回路構成図を図10に示す。
【0121】
本実施形態の有機EL素子点灯装置501は、整流回路511と降圧チョッパ回路512と制御部513と電流検出部514と目標設定部515とコンパレータ516と点灯数制御部517とで構成される。
【0122】
整流回路511は、交流電源E501に接続されており、交流電源E501の交流電圧を整流平滑して降圧チョッパ回路512に出力する。
【0123】
降圧チョッパ回路512(電流供給部)は、スイッチング素子Q501とインダクタL501とコンデンサC501とダイオードD501とで構成されている。整流回路511の出力端間に、スイッチング素子Q501とインダクタL501とコンデンサC501との直列回路が接続され、インダクタL501とコンデンサC501との直列回路と並列に、回生用のダイオードD501が接続されている。そして、制御部513によって、スイッチング素子Q501がスイッチング制御されることで、コンデンサC501の両端に点灯電圧V501を生成する。
【0124】
また、抵抗R502と光源部502とスイッチング素子Q502との直列回路が、コンデンサC501に対して4つ並列接続されている。光源部502は、1乃至複数の有機EL素子で構成されており、図10では、リーク抵抗R503,直列等価抵抗R504,等価容量C502を並列に接続した等価回路で示している。なお、各光源部502は、同種・同サイズのものが用いられる。そして、降圧チョッパ回路512から供給される点灯電流I501を分流した電流が各光源部502に流れることで、各光源部502が点灯する。
【0125】
点灯数制御部517は、4つのスイッチング素子Q502とスイッチ制御部517aとで構成される。各スイッチング素子Q502は、光源部502に直列接続されており、スイッチ制御部517aは、外部から入力される点灯制御信号に基づいてスイッチング素子Q502のオン・オフを制御する。スイッチング素子Q502がオフされた場合、このスイッチング素子Q502に直列接続された光源部502は、電流経路が遮断されるので、消灯することとなる。したがって、スイッチ制御部517aが、点灯制御信号に基づいて、スイッチング素子Q502をオン・オフすることで、点灯させる光源部502の数を制御することができる。また、光源部502は着脱自在に構成されており、各光源部502は並列接続されているので、光源部502を取り外した場合でも、他の光源部502に電流を供給し点灯させることができる。
【0126】
電流検出部514は、抵抗R501で構成されており、抵抗R501の両端電圧を点灯電流I501の検出値としてコンパレータ516に反転入力端子に出力する。
【0127】
また、コンパレータ516の非反転入力端子には目標設定部515が接続されており、目標設定部515から点灯電流I501の目標値が出力される。
【0128】
そして、制御部513は、コンパレータ516の出力に基づき、スイッチング素子Q501をスイッチング制御することで、点灯電流I501が目標値と一致するように、点灯電流I501のフィードバック制御を行っている。
【0129】
始動時において、目標設定部515は、点灯電流I501の目標値をゼロから定常点灯時の目標値まで徐々に増加させる(スイープ期間Tsw)。制御部513は、点灯電流I501の検出値が目標値と一致するようにフィードバック制御するので、点灯電流I501が徐々に増加し、光源部502が点灯する。したがって、実施形態1と同様に、サージ電流を抑制すると共に、始動ばらつきを低減することができる。
【0130】
本実施形態では、各光源部502は並列接続されている。したがって、定常点灯時における点灯電圧V501が同一である場合、点灯させる光源部502の数が少ないほど、有機EL素子点灯装置501から出力されるサージ電流が低減し、回路ストレスが低減される。したがって、本実施形態では、点灯させる光源部502の数が少なくなるにつれて、目標設定部515はスイープ期間Tswを短くする。目標設定部515は、点灯制御信号や、着脱検出スイッチによる光源部502の機械的な接続状態や、点灯電圧V501,点灯電流I501の電気特性の増減等に基づいて、点灯させる光源部502の数を把握し、スイープ期間Tswを決定する。また、点灯させる光源部502の数が所定数以上であれば、所定のスイープ期間Tswを設定し、所定数未満であればスイープ期間Tswをゼロにする段階的なものも考えられる。
【0131】
このように、点灯させる光源部502の数が少なくなるにつれて、スイープ期間Tswを短くすることで、始動開始から定常点灯状態に至るまでの時間を短縮化することができる。
【0132】
(実施形態6)
本実施形態の照明器具601の概略図を図11に示す。
【0133】
本実施形態の照明器具601は、実施形態1〜5のうちいずれか1つの有機EL素子点灯装置602と、有機EL素子を有するパネル型の光源部603とを搭載したものである。
【0134】
有機EL素子点灯装置602と複数(図示例では4つ)の光源部603は、薄型の器具本体604に取り付けられている。有機EL素子点灯装置602は、器具本体604の裏面側から取り付けられ、器具本体604の表面側に取り付けられた光源部603の各々と電気的に接続されている。そして、各光源部603は、有機EL素子点灯装置602から点灯電流が供給されることで点灯する。
【0135】
また、照明器具601は、実施形態1〜5のうちいずれか1つの有機EL素子点灯装置602を備えている。したがって、実施形態1〜5と同様に、始動時においてサージ電流を低減すると共に、始動ばらつきを抑制することができるという効果を得ることができ、信頼性の高い照明器具601を提供することができる。
【0136】
また、このような照明器具601によれば、薄型化を図ることができ、例えば、屋内照明として好適なものとなる。
【0137】
また、光源部603は、各々自由に取り付け・取り外しすることができ、有機EL素子点灯装置602は、光源部603の着脱に対応すると共に光源部603を個別に点灯・消灯制御することができる。
【符号の説明】
【0138】
101 電源部
102 電流供給部
103 制御部
104 目標設定部
105 電流検出部
106 電圧検出部
107 短絡開放回路(短絡開放手段)
108 コンパレータ
109 光源部
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL素子点灯装置およびこれを用いた照明器具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と略称する)を面状光源として利用されており、有機ELを点灯させる有機EL素子点灯装置が提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−93729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有機EL素子は面状光源のため容量成分が大きく、始動時に高いサージ電流が発生しやすい。このサージ電流により、有機EL素子および有機EL素子点灯装置の短寿命化や破壊といった問題が発生する。そこで、特許文献1では、有機EL素子への電力供給経路にインダクタや抵抗を挿入することでサージ電流を低減しているが、インダクタや抵抗によって電力損失が増大するという問題が発生する。
【0005】
また、図12に示すように、有機EL素子は、順方向電圧Vfに対する順方向電流Ifの特性(以降、V−I特性と称す)は、サンプル毎や温度等の周囲環境によってばらつくおそれがある。このため、始動のタイミングや光出力上昇スピードが異なる始動ばらつきが発生しやすい。この始動ばらつきは、特に有機EL素子の始動時において、徐々に出力電圧を上昇させる場合や、フェードインする場合に目立つことになる。
【0006】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、始動時においてサージ電流を低減すると共に、始動ばらつきを抑制することができる有機EL素子点灯装置および、これを用いた照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の有機EL素子点灯装置は、出力端間に1乃至複数の有機EL素子からなる光源部を接続し、当該光源部に点灯電流を供給する電流供給部と、前記点灯電流を検出する電流検出部と、前記点灯電流の目標値を設定する目標設定部と、前記電流検出部の検出値と前記目標値とが一致するように、前記電流供給部を制御することで、前記点灯電流をフィードバック制御する制御部とを備え、前記目標設定部は、前記光源部の始動時において、前記目標値を徐々に増加させるスイープ期間を設けたことを特徴とする。
【0008】
この有機EL素子点灯装置において、前記電流検出部は、前記点灯電流の検出値を通過させるローパスフィルタを備えることが好ましい。
【0009】
この有機EL素子点灯装置において、前記電流供給部を複数備え、前記電流供給部の各々は、互いに異なる前記光源部に前記点灯電流を供給しており、前記制御部は、前記点灯電流の各々が前記目標値と一致するようにフィードバック制御しており、前記目標設定部は、前記点灯電流の各々に対して同一の目標値を設定することが好ましい。
【0010】
この有機EL素子点灯装置において、前記光源部と前記電流供給部と前記制御部とを有する点灯ユニットを複数備え、前記電流供給部は、入力電源から前記点灯電流を生成しており、前記点灯ユニットの各々は、前記入力電源に対して着脱自在に構成される電源端子と、前記目標設定部に対して着脱自在に構成される目標値入力端子とを備えることが好ましい。
【0011】
この有機EL素子点灯装置において、複数の光源部が直列接続され、前記光源部の両端間を短絡・開放する短絡開放手段を備えることが好ましい。
【0012】
この有機EL素子点灯装置において、前記目標設定部は、前記点灯電流が供給される前記有機EL素子の数が少なくなるにつれて、前記スイープ期間を短くすることが好ましい。
【0013】
この有機EL素子点灯装置において、前記目標設定部は、前記光源部の調光度が深くなるにつれて、前記スイープ期間を短くすることが好ましい。
【0014】
この有機EL素子点灯装置において、前記制御部は、前記スイープ期間の前に、前記有機EL素子の点灯開始電圧以下の電圧を前記電流供給部の出力端間に生成する期間を設けることが好ましい。
【0015】
本発明の照明器具は、出力端間に1乃至複数の有機EL素子からなる光源部を接続し、当該光源部に点灯電流を供給する電流供給部と、前記点灯電流を検出する電流検出部と、前記点灯電流の目標値を設定する目標設定部と、前記電流検出部の検出値と前記目標値とが一致するように、前記電流供給部を制御することで、前記点灯電流をフィードバック制御する制御部とを備え、前記目標設定部は、前記光源部の始動時において、前記目標値を徐々に増加させるスイープ期間を設けた有機EL素子点灯装置と、前記有機EL素子点灯装置によって点灯される1乃至複数の有機EL素子からなる光源部と、前記有機EL素子点灯装置と前記光源部とが取り付けられる器具本体とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明では、始動時においてサージ電流を低減すると共に、始動ばらつきを抑制することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態1の有機EL素子点灯装置の回路構成図である。
【図2】コンデンサ電圧Vaの増加を示すグラフである。
【図3】(a)従来の点灯電流I101の立ち上がりを示すグラフである。(b)従来の点灯電圧V102の立ち上がりを示すグラフである。
【図4】(a)実施形態1の点灯電流I101の立ち上がりを示すグラフである。(b)実施形態1の点灯電流I101の立ち上がりを示すグラフである。
【図5】実施形態2の有機EL素子点灯装置の回路構成図である。
【図6】光源203に印加される電圧を示すグラフである。
【図7】実施形態2の多灯制御可能な有機EL素子点灯装置の概略図である。
【図8】実施形態3の有機EL素子点灯装置の回路構成図である。
【図9】実施形態4の有機EL素子点灯装置の回路構成図である。
【図10】実施形態5の有機EL素子点灯装置の回路構成図である。
【図11】実施形態6の照明器具の概略構成図である。
【図12】有機EL素子のV−I特性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
(実施形態1)
本実施形態の有機EL素子点灯装置の回路構成図を図1に示す。本実施形態の有機EL素子点灯装置は、電源部101と電流供給部102と制御部103と目標設定部104と電流検出部105と電圧検出部106と短絡開放回路107とで構成されており、直列接続された複数(図示例では4つ)の光源部109を点灯する。なお、各光源部109は、同種・同サイズのものが用いられる。
【0020】
電源部101は、整流回路111と昇圧チョッパ回路112と制御用電源113とで構成されている。整流回路111は、交流電源E101の出力端間に接続されており、交流電圧を整流平滑して昇圧チョッパ回路112に出力する。昇圧チョッパ回路112は、インダクタL101とダイオードD101とコンデンサC101とスイッチング素子Q101とで構成されている。インダクタL101とダイオードD101とコンデンサC101との直列回路は、整流回路111の出力端間に接続されており、ダイオードD101とコンデンサC101との直列回路と並列に、スイッチング素子Q101が接続されている。そして、図示しないスイッチング制御部によって、スイッチング素子Q101がオン・オフ駆動されることで、整流回路111の出力電圧を昇圧した電圧V101をコンデンサC101の両端間に生成する。そして、昇圧チョッパ回路112は、電圧V101を電流供給部102および制御用電源113に出力する。制御用電源113は、電圧V101をDC−DC変換することで、制御部103の動作電源となる駆動電圧Vccを生成し、制御部103に出力する。
【0021】
電流供給部102は、スイッチング素子Q102とダイオードD102とインダクタL102とコンデンサC102とで降圧チョッパ回路を構成している。昇圧チョッパ回路112の出力端間にスイッチング素子Q102とインダクタL102とコンデンサC101との直列回路が接続され、インダクタL102とコンデンサC101と並列に回生用のダイオードD102が接続されている。そして、スイッチング素子Q102が制御部103によってオン・オフ駆動されることで、電圧V101を降圧した点灯電圧V102をコンデンサC102の両端間に生成する。
【0022】
また、コンデンサC102と並列に、直列接続された4つの光源部109が接続されている。光源部109は、1乃至複数の有機EL素子で構成されており、電流供給部102から点灯電流I101が供給されることで点灯する。
【0023】
制御部103は、点灯電流I101が目標値と一致するように、電流供給部102を制御することで、点灯電流I101のフィードバック制御を行う。
【0024】
電流検出部105は、抵抗R101で構成されており、点灯電流I101の供給経路に介挿されている。そして、抵抗R101の両端間に発生する電圧を点灯電流I101の検出値としてコンパレータ108の反転入力端子に出力する。
【0025】
目標設定部104は、点灯電流I101の目標値を設定する。目標設定部104は、抵抗R102とコンデンサC102との直列回路と、コンデンサC102に並列接続される抵抗R103とで構成されている。抵抗R102とコンデンサC102の直列回路は、一端が制御部103に接続され、他端がコンデンサC102の負極に接続されており、制御部103から制御電圧Vcが印加される。この制御電圧VcによってコンデンサC102が充電され、コンデンサC102の両端間にコンデンサ電圧Vaが生成される。抵抗R102とコンデンサC102との接続点は、コンパレータ108の非反転入力端子に接続されており、コンデンサ電圧Vaが点灯電流I101の目標値として出力される。
【0026】
そして、制御部103は、コンパレータ108の出力に基づいて、スイッチング素子Q102をオン・オフ駆動することで、点灯電流I101の検出値が目標値と一致するように点灯電流I101のフィードバック制御を行う。
【0027】
次に、本実施形態の有機EL素子点灯装置の始動時の動作について説明する。
【0028】
交流電源E101から電源供給されると、制御用電源113が駆動電圧Vccを生成して制御部103に出力する。それにより、制御部103が駆動開始し、制御電圧Vcを生成して目標設定部104に出力する。このとき、図2に示すように、コンデンサC102の両端電圧(コンデンサ電圧Va)は、抵抗R102,R103の抵抗値および、コンデンサC102の容量で決定される時定数によって、徐々に増加することとなる。すなわち、目標設定部104は、点灯電流I101の目標値を徐々に増加させるスイープ期間Tswを設けている。そして、制御部103は、点灯電流I101のフィードバック制御を行うので、光源部109に供給される点灯電流I101が徐々に増加し、光源部109が点灯する。なお、抵抗R102,R103の抵抗値および制御電圧Vcの電圧値は、充電完了後のコンデンサ電圧Vaが、定常点灯時における点灯電流I101の目標値となるように設定されている。
【0029】
すなわち、本実施形態では、始動時において光源部109を点灯させる際、点灯電流I101の目標値を徐々に増加させることで、光源部109に供給される点灯電流I101を徐々に増加させる。従来では、図3(a)に示すように、点灯電流I101の目標値を始動直後から定常点灯時の目標値に設定しているため、点灯電流I101の立ち上がりが急峻になり、サージ電流が発生する。しかし、本実施形態では、図4(a)に示すように、始動直後は点灯電流I101の目標値を低く設定し、定常点灯時の目標値まで徐々に増加させるので、点灯電流I101の立ち上がりが滑らかになり、サージ電流の発生を抑制することができる。特に、光源部109に有機EL素子のような容量成分の大きい負荷を用いる場合に効果が大きい。さらに、本実施形態では、サージ電流を抑制するために、インダクタ成分や抵抗成分を挿入しておらず、電力損失が増大するおそれもない。
【0030】
また、従来では、光源部109の直列回路に印加される点灯電圧V102も、図3(b)に示すように立ち上がりが急峻となるので、電圧の跳ね上がり(オーバーシュート)が発生するおそれがある。しかし、本実施形態では、図4(b)に示すように、点灯電圧V102の立ち上がりも滑らかになるので、電圧の跳ね上がりも抑制することができる。
【0031】
また、本実施形態では、点灯電流I101の目標値を徐々に増加させることで、光源部109に供給される点灯電流I101を徐々に増加させている。有機EL素子は、順方向電流と光出力とがほぼ比例関係にあるので、点灯電流I101を徐々に増加させることで、始動タイミングや光出力上昇スピードの始動ばらつきを抑制して、安定した出力制御を行うことができる。
【0032】
すなわち、始動時において、点灯電流I101が徐々に増加するように点灯電流I101にフィードバック制御を行うことで、サージ電流を低減すると共に、始動ばらつきを抑制することができるという効果を得ることができる。
【0033】
なお、制御部103は、制御用電源113から印加される駆動電圧Vccを、そのまま制御電圧Vcとして目標設定部104に印加してもよい。また、外部から調光信号が入力され、光源部109を調光制御する場合、制御部103は、調光信号が示す調光度に応じて制御電圧Vcを変動させる。それによって、スイープ期間Tsw後(コンデンサC102の充電完了後)のコンデンサ電圧Vaが変動するので、定常点灯時における点灯電流I101の目標値を調節することができ、光源部109を調光制御することができる。
【0034】
また、定常点灯時の調光度が深く設定されている場合、点灯電流I101が小さくなることから、点灯電圧V102も低くなるので、始動時にサージ電流が発生しにくくなる。したがって、本実施形態では、調光信号に基づいて、定常点灯時の調光度が深くなるにつれて、目標設定部104はスイープ期間Tswを短くする。これにより、始動開始から定常点灯状態に至るまでの時間を短縮化することができる。
【0035】
なお、スイープ期間Tswを短くする手段として、抵抗R102,R103を可変抵抗で構成し、調光信号に基づいて抵抗R102,R103の抵抗値を可変する方法や、制御部103からコンデンサC102に供給される電流値を制御する方法などがある。また、所定の調光度以上であれば、所定のスイープ期間Tswを設定し、所定の調光度未満であればスイープ期間Tswをゼロにする段階的なものも考えられる。なお、スイープ期間Tswをゼロにする手段として、コンデンサC102の両端間を短絡する方法などがある。なお、調光信号が示す調光度ではなく、点灯電圧V102の値に基づいて、スイープ期間Tswを決定してもよい。また、スイープ期間Tswの制御は、調光する場合に限らず、光出力調整・補正を行うときに行ってもよい。このとき、スイープ期間Tswの変化は、調整・補正信号に基づいて行う。
【0036】
次に、光源部109の間引き制御や取り外しにより、点灯させる光源部109の数を減少させる場合について説明する。
【0037】
本実施形態では、光源部109毎に接続されるスイッチ部171と、各スイッチ部171を制御する遠隔操作ユニット172と、各スイッチ部171の状態を監視する状態検出部173とからなる短絡開放回路107(短絡開放手段)を備えている。
【0038】
各スイッチ部171は、スイッチング素子Q103と、スイッチング素子Q103に接続される分圧抵抗R104,R105の直列回路と、スイッチング素子Q104と、スイッチング素子Q104に接続される分圧抵抗R106,R107の直列回路とを備える。
【0039】
スイッチング素子Q103は、PNP型のバイポーラトランジスタで構成され、光源部109にそれぞれ並列に接続される。具体的には、エミッタが光源部109の高電位側に接続され、コレクタが光源部109の低電位側に接続される。分圧抵抗R104は、一端がスイッチング素子Q103のエミッタに接続され、他端がスイッチング素子Q103のベースに接続される。
【0040】
スイッチング素子Q104は、NPN型のバイポーラトランジスタで構成される。スイッチング素子Q104は、コレクタが抵抗R105を介してスイッチング素子Q103のベースに接続され、エミッタがスイッチング素子Q106,抵抗R101を介してコンデンサC102の負極に接続される。分圧抵抗R107は、一端がスイッチング素子Q104のベースに接続され、他端がスイッチング素子Q104のエミッタに接続される。
【0041】
なお、分圧抵抗R104,R105の抵抗値は、スイッチング素子Q104がオンすると、スイッチング素子Q103もオンするような値に設定される。
【0042】
遠隔操作ユニット172は、ユーザーが操作可能な位置に設けられる。遠隔操作ユニット172は、スイッチ部171の個数(図示例では4つ)に応じた個数の操作スイッチQ105と、操作スイッチQ105の一端と制御用電源113とに両端がそれぞれ接続される4つの抵抗R108とを備える。各操作スイッチQ105の他端は、抵抗R106にそれぞれ接続される。
【0043】
操作スイッチQ105には押しボタンスイッチなどが用いられ、ユーザーによって操作される。操作スイッチQ105がオンすると、駆動電圧Vccが分圧抵抗R106,R107で分圧されてスイッチング素子Q104のベースに印加され、スイッチング素子Q104がオンする。スイッチング素子Q104がオンすると、上述したようにスイッチング素子Q103もオンし、光源部109の両端が短絡されて光源部109が消灯する。すなわち、各操作スイッチQ105をそれぞれ操作することにより、操作スイッチQ105に対応した光源部109の両端間が短絡・開放されるので、各光源部109を点灯・消灯制御することができる。なお、操作スイッチQ105は、図示しないスイッチ制御部によってオン・オフ制御されてもよい。この場合、スイッチ制御部は、外部から入力される点灯制御信号に基づいて、各操作スイッチQ105のオン・オフを行う。
【0044】
また、光源部109は有機EL素子点灯装置に対して着脱自在に構成されており、機械的な接続(着脱検出スイッチ等)で光源部109の着脱状態を検出する。そして、光源部109が取り外された場合、図示しないスイッチ制御部が、取り外された光源部109に対応する操作スイッチQ105をオンする。それによって、スイッチング素子Q103を介して、取り外されていない光源部109に点灯電流I101を供給し、点灯させることができる。
【0045】
そして、状態検出部103は、各操作スイッチQ105の一端側の電圧を検出することで、点灯させる光源部109の個数を監視している。点灯させる光源部109の数が減少するほど、サージ電流量が減るので有機EL素子点灯装置の回路ストレスが低減される。したがって、本実施形態では、点灯させる光源部109の数が少なくなるにつれて、目標設定部104はスイープ期間Tswを短くする。なお、スイープ期間Tswの制御は、上述した方法が用いられる。これにより、始動開始から定常点灯状態に至るまでの時間を短縮化することができる。
【0046】
また、全ての光源部109が消灯または取り外されて、負荷短絡状態となった場合、状態検出部173がこれを検出し、制御部103に停止信号を出力する。そして、制御部103はスイッチング素子Q102をオフ状態に維持する。それによって、点灯電流I101の供給が停止し、回路破壊を防止することができる。また、状態検出部173は、負荷短絡状態を検出した場合、スイッチング素子Q106をオフして、点灯電流I101の供給経路を遮断するように構成してもよい。この場合、電流供給部102のコンデンサC102の放電時間を考慮することなく、瞬時に保護動作を行うことができるので、信頼性・安全性を向上させることができる。また、状態検出部173の代わりに、電流検出部105の検出値を用いて負荷短絡状態を検出するように構成してもよい。この場合、電流検出部105の検出値が、所定値以上となった場合、スイッチング素子Q102またはスイッチング素子Q106をオフする。
【0047】
また、本実施形態では、点灯電流I101をフィードバック制御しているので、点灯させる光源部109の数を減少した場合であっても、光源部109に過電圧が印加されることはなく、光源部109の破壊を防止することができる。
【0048】
また、本実施形態の有機EL素子点灯装置は、点灯電圧V102を検出する電圧検出部106を備えている。電圧検出部106は、抵抗R109,R110の直列回路で構成され、コンデンサC102と並列接続されている。そして、抵抗R109,R110による点灯電圧V102の分圧値を、点灯電圧V102の検出値として制御部103に出力する。そして、制御部103は、電圧検出部106の検出値が所定の閾値以上となった場合、異常状態と判断し、スイッチング素子Q102のオン・オフ駆動を停止する保護動作を行う。
【0049】
なお、本実施形態の電流供給部102は、降圧チョッパ回路で構成されているが、これに限定するものではない。例えば、昇圧チョッパ回路,昇降圧チョッパ回路,フライバックコンバータ,フォワードコンバータ,ハーフブリッジコンバータ,フルブリッジコンバータ,プッシュプルコンバータ,他のスイッチング電源や、これらを組み合わせた構成でもよい。なお、スイッチング周波数は数十kz〜数MHz程度に設定される。
【0050】
なお、目標設定部104をマイクロコンピュータで構成し、点灯電流I101の目標値を徐々に増加するように構成してもよい。
【0051】
(実施形態2)
本実施形態の有機EL素子点灯装置の回路構成図を図5に示す。本実施形態の有機EL素子点灯装置は、定電圧ユニット201と定電流ユニット202とで構成されている。定電圧ユニット201は、交流電源E201を入力として、所定の電圧V202を生成し、定電流ユニット202に出力する。定電流ユニット202は、電圧V202を入力として光源部203に点灯電流I201を供給することで光源部203を点灯させる。
【0052】
定電圧ユニット201(入力電源)は、入力部210とローパスフィルタ211と整流回路部212と制御電源回路213と昇圧チョッパ回路214と降圧チョッパ回路215と定電圧制御部216とタイマ217と目標設定部218と出力部219とを有する。
【0053】
入力部210は、交流電源E201に接続され、ローパスフィルタ211は、入力部210からの交流電圧を正弦波状にするため、その高周波成分を除去する。整流回路部212は、ダイオードブリッジを用いてローパスフィルタ211からの交流電圧を全波整流する。制御電源回路213は、整流回路部212の出力に接続され、駆動電圧Vcc1を生成し、昇圧チョッパ回路214に供給する。
【0054】
昇圧チョッパ回路214は、チョークコイルL201とnチャネルMOSFETからなるスイッチング素子Q201と、ダイオードD201と、抵抗R201と、コンデンサC201と、スイッチング素子Q201を駆動する駆動回路214aとを有する。チョークコイルL201とダイオードD201とコンデンサC201とで直列回路を形成し、制御電源回路213の出力端間に接続されている。また、ダイオードD201とコンデンサC201の直列回路と並列に、スイッチング素子Q201と抵抗R201との直列回路が接続されている。そして、スイッチング素子Q201が駆動回路214aによってオン・オフ駆動されることで、コンデンサC201の両端に駆動電圧Vcc1を昇圧した電圧V201を生成する。
【0055】
チョークコイルL201に結合される二次側コイルL202は、一端が定電圧制御部216に接続され、他端が接地されている。そして、チョークコイルL201に発生する電圧を検出して、定電圧制御部216に制御電源電圧を供給する。また、コンデンサC201と並列に、抵抗R201,R202からなる直列回路が接続されており、抵抗R201,R202による電圧V201の分圧値を、電圧V201の検出値として定電圧制御部216に出力する。
【0056】
そして、定電圧制御部216は、電圧V201が所定値となるように、駆動回路214aを制御して、スイッチング素子Q201のスイッチング制御を行うことで、電圧V201のフィードバック制御を行っている。
【0057】
降圧チョッパ回路215は、スイッチング素子Q202とチョークコイルL203とコンデンサC202とダイオードD202と駆動回路215aとを有する。コンデンサC201の両端間に、スイッチング素子Q202とチョークコイルL203とコンデンサC202との直列回路が接続され、チョークコイルL203とコンデンサC202との直列回路と並列に回生用のダイオードD202が接続される。そして、駆動回路215aがスイッチング素子Q202をオン・オフ駆動することで、電圧V201を降圧した電圧V202がコンデンサC202の両端に生成される。
【0058】
また、コンデンサC202と並列に、抵抗R203,R204からなる直列回路が接続されており、抵抗R203,R204による電圧V202の分圧値を、電圧V202の検出値として定電圧制御部216に出力する。
【0059】
そして、定電圧制御部216は、電圧V202が所定値となるように、駆動回路215aを制御して、スイッチング素子Q202のスイッチング制御を行うことで、電圧V202のフィードバック制御を行っている。
【0060】
出力部219は、コンデンサC202の正極,負極のそれぞれに接続される電源端子を備えており、各電源端子は、定電流ユニット202の入力部220に設けられた電源端子に接続される。
【0061】
すなわち、定電圧ユニット201は、交流電源E201を入力として電圧V202を生成し、定電流ユニット202に供給する。
【0062】
次に、定電流ユニット202について説明する。定電流ユニット202は、入力部220と、制御電源回路221と、昇圧チョッパ回路222(電流供給部)と、出力部223と、定電流制御部224(制御部)と、電流検出部225と、コンパレータ226とを有する。
【0063】
入力部220は、出力部219の一対の電源端子に接続される一対の電源端子を備えており、電源端子間に電圧V202が印加される。制御電源回路221は、抵抗R205,R206の直列回路と、抵抗R206に並列接続されるツェナーダイオードZD201とで構成されており、電圧V202から定電流制御部224の駆動電源となる駆動電圧Vcc2を生成して、定電流制御部224に供給する。
【0064】
昇圧チョッパ回路222は、チョークコイルL204とスイッチング素子Q203とダイオードD203とコンデンサC203と駆動回路222aとを有する。コンデンサC202の両端間に、出力部219,入力部220を介して、チョークコイルL204とダイオードD203とコンデンサC203との直列回路が接続され、ダイオードD203とコンデンサC203との直列回路と並列にスイッチング素子Q203が接続される。そして、駆動回路222aがスイッチング素子Q203をオン・オフ駆動することで、電圧V202を昇圧した電圧V203をコンデンサC203の両端に生成する。
【0065】
出力部223は、コンデンサC203の正極,負極のそれぞれに接続される一対の出力端子を備えており、この出力端子間に1乃至複数の有機EL素子からなる光源部203が接続される。そして、昇圧チョッパ回路222から出力部223を介して光源部203に点灯電流I201が供給されることで光源部203が点灯する。
【0066】
また、点灯電流I201を検出する電流検出部225を備えている。電流検出部225は、抵抗R207で構成されており、点灯電流I201の供給経路に介挿されている。そして、抵抗R207の両端電圧を点灯電流I201の検出値としてコンパレータ226の反転入力端子に出力する。
【0067】
また、定電圧ユニット201に設けられた目標設定部218は、点灯電流I201の目標値を設定する。出力部219は、目標設定部218に接続される目標値出力端子を備え、入力部220は、コンパレータ226の非反転入力端子に接続される目標値入力端子を備えている。そして、出力部219と入力部220とが接続されることで目標出力端子と目標入力端子とが接続され、目標設定部218から点灯電流I201の目標値がコンパレータ226の非反転入力端子に出力される。
【0068】
定電流制御部224は、点灯電流I201の検出値と目標値とが一致するように、コンパレータ226の出力に基づいて駆動回路222aを制御することでスイッチング素子Q203のスイッチング制御し、点灯電流I201のフィードバック制御を行う。
【0069】
また、目標設定部218は、始動時において、点灯電流I201の目標値を徐々に増加させるように構成されている。目標設定部218が目標値の増加を開始するタイミングは、タイマ217によって決定される。
【0070】
次に、本実施形態の有機EL素子点灯装置の始動時の動作について図6を用いて説明する。時間t200において電源が投入され、制御電源回路213が駆動電圧Vcc1を出力すると、タイマ217がカウントを開始する。そして、時間t201になると、タイマ217は、定電圧制御部216に動作開始を指示する。これにより、定電圧制御部216がスイッチング素子Q201,Q202のスイッチング制御を開始し、電圧V202が生成されて定電流ユニット202に供給される。
【0071】
このとき、タイマ217は、まだ目標設定部218に動作開始の指示を出しておらず、点灯電流I201の目標値はゼロのままとなる。そのため、昇圧チョッパ回路22の動作は停止状態となる。しかし、昇圧チョッパ回路222は、入力側と出力側とが非絶縁状態であるので、昇圧チョッパ回路222を介して電圧V202が光源部203に印加される。
【0072】
このとき、定電圧制御部216は、電圧V202が光源部203の点灯開始電圧Vs以下となるようにフィードバック制御している。すなわち、光源部203を構成する有機EL素子に印加される電圧が、有機EL素子の点灯開始電圧Vf1以下となるように電圧V202がフィードバック制御される(図12参照)。したがって、このとき光源部203は消灯状態となる。
【0073】
そして、タイマ217は時間t202において、目標設定部218に動作開始を指示し、目標設定部218は、点灯電流I201の目標値の増加を開始する。目標設定部218は、点灯電流I201の目標値をゼロから定常点灯時の目標値まで徐々に増加させる(スイープ期間Tsw)。定電流制御部224は、点灯電流I201の検出値が目標値と一致するようにフィードバック制御するので、点灯電流I201が徐々に増加し、光源部203が点灯する。
【0074】
図12に示すように、有機EL素子は電流が流れ始める点灯開始電圧Vf1がある程度高い電圧値となる。このため、始動時において点灯電流I201を徐々に増加させた場合であっても、電圧が急に点灯開始電圧Vf1まで上昇することになり、有機EL素子の容量成分を充電するためのインラッシュ電流(サージ電流)が流れるおそれがある。しかし、本実施形態では、光源部203が点灯する前に、光源部203の点灯開始電圧Vs以下の電圧を光源部203に印加する期間(時間t201〜r202)を設け、有機EL素子の容量成分をある程度充電された状態にする。これにより、点灯開始時におけるインラッシュ電流(サージ電流)を低減することができる。なお、電圧V202を点灯開始電圧Vsに近づけるほどサージ低減効果が大きくなり、電圧V202が点灯開始電圧Vsとなるようにフィードバック制御することで、サージ電流を最も低減させることができる。
【0075】
また、光源部203の始動時において、点灯電流I201が徐々に上昇するように点灯電流I201のフィードバック制御を行っているので、実施形態1と同様に始動ばらつきを低減することができる。また、定常点灯時においても、点灯電流I201のフィードバック制御を行うことで、周囲温度や個体差によるV−I特性のばらつきによる光出力のばらつきも抑制することができる。
【0076】
このように、本実施形態では、始動時においてサージ電流をより低減することができると共に、始動ばらつきを抑制することができるという効果を得ることができる。
【0077】
また、本実施形態では、始動前において、定電圧ユニット201を用いて、光源部203に点灯開始電圧Vs以下の電圧を印加するように構成されている。このため、光源部203に点灯開始電圧Vs以下の電圧を印加する電源回路を別途設ける必要がなく、部品数削減および小型化を図ることができる。
【0078】
なお、点灯後は、定電流ユニット202によって点灯電流I201のフィードバック制御が行われるので、電圧V202が点灯開始電圧Vsよりも高くなるように制御してもよい。電圧V202を上昇させることで、定電圧ユニット202の出力電流が低減し、消費電力を低減させることができる。
【0079】
なお、定電圧ユニット201の降圧チョッパ回路215は、非絶縁型の降圧チョッパ回路で構成されているが、トランスを用いた絶縁型の降圧チョッパ回路で構成されていてもよい。
【0080】
なお、時間t201において、電圧V202が、図6に示すように急峻に立ち上がるように構成してもよいし、滑らかに立ち上がるように構成してもよい。電圧V202の立ち上がりを急峻にすることで、始動時間の短縮化を図ることができ、立ち上がりを滑らかにすることで、電圧V202を光源部203に印加することによるサージ電流を抑制することができる。
【0081】
また、図7に示すように、定電圧ユニット201に複数(図示例では4つ)の出力部219を設け、それぞれに定電流ユニット202を接続することで多灯制御可能な有機EL素子点灯装置を構成してもよい。この有機EL素子点灯装置では、定電流ユニット202と光源203とで点灯ユニット204を構成している。定電圧ユニット201の出力部219と、定電流ユニット202の入力部220とが着脱自在に構成されており、点灯ユニット204の取り外しや交換が可能となっている。
【0082】
また、点灯ユニット204毎で点灯電流I201のフィードバック制御が行われる。各点灯ユニット204には、定電圧ユニット201に設けられた目標設定部218から、同一の点灯電流I201の目標値が設定される。そのため、各点灯ユニット204間で光源部203の始動ばらつきを抑制することができる。
【0083】
また、1つの定電圧ユニット201を用いて各定電流ユニット202に電圧V202を出力するように、定電圧ユニット201が共通化されているので、より部品数削減および小型化を図ることができる。
【0084】
また、点灯させる光源203を選択する選択制御や取り外しなどにより、光源部203および回路素子の劣化度合い(例えば、コンデンサの容量の低減度合いなど)が点灯ユニット204毎に異なる場合がある。しかし、このような場合でも、始動時に点灯電流I201が徐々に増加するようにフィードバック制御することで、点灯ユニット204間の始動のタイミングや光出力上昇スピードなどの始動ばらつきを低減することができる。
【0085】
(実施形態3)
本実施形態の有機EL素子点灯装置の回路構成図を図8に示す。本実施形態の有機EL素子点灯装置は、電力供給ユニット301と定電圧ユニット302とで構成されている。電力供給ユニット301は、入力部310と、制御電源回路311と、降圧チョッパ回路312と、出力部313と、制御部314と、電流検出部315と、電圧検出部316と、目標電流設定部317と、目標電圧設定部318とで構成されている。
【0086】
定電圧ユニット302は、交流電源E301に接続されており、交流電源E301の交流電圧を直流電圧V301に変換して電力供給ユニット301に供給する。
【0087】
入力部310は、定電圧ユニット302に接続されており、直流電圧V301が印加される。制御電源回路311は、抵抗R301,R302の直列回路と、抵抗R302に並列接続されるツェナーダイオードZD301とで構成されており、直流電圧V301から駆動電圧Vccを生成して、制御部314,目標電流設定部317,目標電圧設定部318に供給する。
【0088】
降圧チョッパ回路312(電流供給部)は、スイッチング素子Q301とチョークコイルL301とコンデンサC301とダイオードD301と駆動回路312aとで構成されている。入力部310の端子間にスイッチング素子Q301とチョークコイルL301とコンデンサC301との直列回路が接続され、チョークコイルL301とコンデンサC301との直列回路と並列に、回生用のダイオードD301が接続される。そして、駆動回路312aがスイッチング素子Q301をオン・オフ駆動することで、直流電圧V301を降圧した点灯電圧V302がコンデンサC301の両端に生成される。
【0089】
出力部313を介して、コンデンサC301と並列に光源部303が接続されており、点灯電圧V302が生成されることで、光源部303に点灯電流I301が供給されて光源部303が点灯する。なお、光源部303は、1乃至複数の有機EL素子で構成される。
【0090】
電流検出部315は、抵抗R303で構成されており、点灯電流I301の供給経路に介挿されており、抵抗R303の両端電圧を点灯電流I301の検出値としてコンパレータ319aの反転入力端子に出力する。
【0091】
コンパレータ319aの非反転入力端子には、目標電流設定部317から点灯電流I301の目標値が入力される。目標電流設定部317(目標設定部)は、点灯電流I301の目標値を設定しており、スイッチング素子Q302と抵抗R306とコンデンサC302との直列回路と、コンデンサC302に並列接続される抵抗R307とで構成されている。スイッチング素子Q302と抵抗R306とコンデンサC302との直列回路は、一端が制御電源回路311に接続され、他端が接地されており、制御電源回路311から駆動電圧Vccが印加される。スイッチング素子Q302は、制御部314によってスイッチング制御されており、スイッチング素子Q302がオンしている場合、駆動電圧Vccによって、コンデンサC302が充電される。抵抗R306とコンデンサC302との接続点は、コンパレータ319aの非反転入力端子に接続されており、コンデンサC302の両端電圧が点灯電流I301の目標値として出力される。
【0092】
電圧検出部316は、抵抗R304,R305からなる直列回路がコンデンサC301に並列接続されることで構成されている。そして、抵抗R304,R305による点灯電圧V302の分圧値を、点灯電圧V302の検出値としてコンパレータ319bの反転入力端子に出力する。
【0093】
コンパレータ319bの非反転入力端子には、目標電圧設定部318から点灯電圧V302の目標値が入力される。目標電圧設定部318は、点灯電圧V302の目標値を設定しており、スイッチング素子Q303と抵抗R308とコンデンサC303との直列回路と、コンデンサC303に並列接続される抵抗R309とで構成されている。スイッチング素子Q303と抵抗R308とコンデンサC303との直列回路は、一端が制御電源回路311に接続され、他端が接地されており、制御電源回路311から駆動電圧Vccが印加される。スイッチング素子Q303は、制御部314によってスイッチング制御されており、スイッチング素子Q303がオンしている場合、駆動電圧Vccによって、コンデンサC303が充電される。抵抗R308とコンデンサC303との接続点は、コンパレータ319bの非反転入力端子に接続されており、コンデンサC303の両端電圧が点灯電圧V302の目標値として出力される。
【0094】
制御部314は、コンパレータ319a,319bの出力に基づいて駆動回路312aを制御することでスイッチング素子Q301のスイッチング制御を行っており、点灯電圧V302と点灯電流I301とのフィードバック制御を切替えて制御している。
【0095】
次に、本実施形態の有機EL素子点灯装置の始動時の動作について説明する。制御部314は、始動時において、まず電圧V302のフィードバック制御を行い、その後点灯電流I301のフィードバック制御に移行する。
【0096】
始動時において、制御部314は、コンパレータ319bの出力に基づいて点灯電圧V302のフィードバック制御を行う。まず、制御部314は、スイッチング素子Q303をオンする。スイッチング素子Q303がオンされることによって、コンデンサC303が充電される。このとき、コンデンサC303の両端電圧は、抵抗R308,309の抵抗値および、コンデンサC303の容量で決定される時定数によって、徐々に増加することとなる。すなわち、目標電圧設定部318は、点灯電圧V302の目標値を徐々に増加させる。これにより、光源部303に印加される点灯電圧V302が徐々に増加することとなる。
【0097】
そして、制御部314は、点灯電圧V302が光源部303の点灯開始電圧Vs以下の所定値に達すると、スイッチング素子Q302をオンし、コンパレータ319aの出力に基づいて点灯電流I301のフィードバック制御に移行する。スイッチング素子Q302がオンされることによって、コンデンサC302が充電される。このとき、コンデンサC302の両端電圧は、抵抗R306,307の抵抗値および、コンデンサC302の容量で決定される時定数によって、徐々に増加することとなる。すなわち、目標電流設定部317は、点灯電流I301の目標値を徐々に増加させるスイープ期間Tswを設けている。これにより、光源部303に供給される点灯電流I301が徐々に増加し、光源部303が点灯する。
【0098】
このように、本実施形態では、光源部303が点灯する前(スイープ期間Tswの前)に、光源部303の点灯開始電圧Vs以下の電圧を光源部303に印加する期間を設け、有機EL素子の容量成分をある程度充電された状態にする。これにより、点灯開始時におけるインラッシュ電流(サージ電流)を低減することができる。
【0099】
また、光源部303の始動時において、点灯電流I301が徐々に上昇するように点灯電流I301のフィードバック制御を行っているので、実施形態1と同様に始動ばらつきを低減することができる。
【0100】
さらに、本実施形態では、点灯電圧V302と点灯電流I301との両方のフィードバック制御を行っているので、光源部303に対してばらつきが少なく精度の高い点灯電圧V302,点灯電流I301を供給することができる。また、1つの降圧チョッパ回路312を用いて、点灯電圧V302と点灯電流I301との両方のフィードバック制御を行っているので、部品数削減および小型化を図ることができる。
【0101】
なお、点灯電圧V302のフィードバック制御から点灯電流I301のフィードバック制御への切換えは、点灯電圧V302が光源部303の点灯開始電圧Vs以上であってもよい。この場合、光源部303を構成する有機EL素子のV−I特性のばらつきに関係なく、点灯電圧V302を所望のスピードで増加させるので、始動時のサージ電流を低減することができる。
【0102】
なお、目標電流設定部317,目標電圧設定部318をマイクロコンピュータで構成し、点灯電圧V301の目標値および点灯電流I301の目標値を徐々に増加するように構成してもよい。
【0103】
(実施形態4)
本実施形態の有機EL素子点灯装置401の回路構成図を図9に示す。
【0104】
本実施形態の有機EL素子点灯装置401は、整流回路411と降圧チョッパ回路412と制御部413と電流検出部414と目標設定部415とコンパレータ416とで構成される。
【0105】
整流回路411は、交流電源E401に接続されており、交流電源E401の交流電圧を整流平滑して降圧チョッパ回路412に出力する。
【0106】
降圧チョッパ回路412(電流供給部)は、スイッチング素子Q401とインダクタL401とコンデンサC401とダイオードD401とで構成されている。整流回路411の出力端間に、スイッチング素子Q401とインダクタL401とコンデンサC401との直列回路が接続され、インダクタL401とコンデンサC401との直列回路と並列に、回生用のダイオードD401が接続されている。そして、制御部413によって、スイッチング素子Q401がスイッチング制御されることで、コンデンサC401の両端に点灯電圧V401を生成する。
【0107】
コンデンサC401の両端間には光源部402が接続され、降圧チョッパ回路412から点灯電流I401が供給されることで光源部402が点灯する。
【0108】
電流検出部414は、抵抗R401とローパスフィルタ414aとで構成されており、抵抗R401の両端電圧を点灯電流I401の検出値としてコンパレータ416に反転入力端子に出力する。
【0109】
また、コンパレータ416の非反転入力端子には目標設定部415が接続されており、目標設定部415から点灯電流I401の目標値が出力される。
【0110】
そして、制御部413は、コンパレータ416の出力に基づき、スイッチング素子Q401をスイッチング制御することで、点灯電流I401が目標値と一致するように、点灯電流I401のフィードバック制御を行っている。
【0111】
始動時において、目標設定部415は、点灯電流I401の目標値をゼロから定常点灯時の目標値まで徐々に増加させる(スイープ期間Tsw)。制御部413は、点灯電流I401の検出値が目標値と一致するようにフィードバック制御するので、点灯電流I401が徐々に増加し、光源部402が点灯する。したがって、実施形態1と同様に、サージ電流を抑制すると共に、始動ばらつきを低減することができる。
【0112】
また、本実施形態の電流検出部414は、ローパスフィルタ414aを備えている。ローパスフィルタ414aは、抵抗R402とコンデンサC402との直列回路が抵抗R401に並列接続されることで構成されており、抵抗R402とコンデンサC402の接続点がコンパレータ416の反転入力端子に接続されている。ローパスフィルタ414aは、点灯電流I401の検出値を通過させるように設定されており、サージ電流をカットする。図12に示すように、有機EL素子は電流が流れ始める点灯開始電圧Vf1がある程度高い電圧値となる。このため、始動時において点灯電流I401を徐々に増加させた場合であっても、電圧が急に点灯開始電圧Vf1まで上昇することになり、有機EL素子の容量成分を充電するためのサージ電流が流れるおそれがある。しかし、本実施形態では、サージ電流をカットするローパスフィルタ414aを備えているので、制御部413がサージ電流による誤動作を防止することができる。
【0113】
また、本実施形態の光源部402は、他の光源部402と電気接続が可能となるように構成され、光源部402を直列接続することができる。なお、光源部402を個別に識別する場合、光源部402a,402bと称し、光源部402aは有機EL素子点灯装置401に接続され、光源部402bは光源部401aに接続される。
【0114】
光源部402は、有機EL素子421と、抵抗R403と、スイッチング素子Q402と、電源側端子422と、拡張側端子423とを備える。電源側端子422は、電源端子P401とGND端子P402,P403とで構成され、拡張側端子423は、電源端子P404とゲート端子P405とGND端子P406とで構成される。
【0115】
光源部402aは、電源端子P401が、コンデンサC401の正極端子に接続され、GND端子P402,P403,P406が、抵抗R401を介してコンデンサC401の負極端子に接続される。また、電源端子P401,P404間に有機EL素子421が接続されており、有機EL素子421と並列に抵抗R404が接続されている。また、電源端子P404−GND端子P406間にスイッチング素子Q402が接続されており、スイッチング素子Q402のゲート端子は、ゲート端子P405および、抵抗R403を介して電源端子P401に接続されている。
【0116】
また、光源部402bは、電源側端子422が光源部402aの拡張側端子423に接続されている。具体的には、光源部402bの電源端子P401が光源部402aの電源端子P404に接続される。また、光源部402bのGND端子P402が光源部402aのゲート端子P405に接続される。また、光源部402bのGND端子P403が光源部402aのGND端子P406に接続される。また、光源部402bの拡張側端子423には他の光源部402が接続されていない。
【0117】
上記構成において、光源部402aのゲート端子P405は、光源部402bのGND端子P403に接続されるので、光源部402aのスイッチング素子Q402のゲート端子が接地され、スイッチング素子Q402がオフする。一方、光源部402bのスイッチング素子Q402のゲート端子には、光源部402aを介して電圧V401が印加されるので、スイッチング素子Q402がオンする。
【0118】
すなわち、拡張側端子423に他の光源部402の電源側端子422が接続されると、スイッチング素子Q402がオフし、拡張側端子423に接続された光源部402に電力を供給するように構成されている。これにより、光源部402同士を連結するだけで容易に光源部402を直列接続することができる。したがって、実施形態1のような短絡開放回路が不要となる。
【0119】
また、各光源部402に同一の点灯電流I401が供給されるので、光源部402間の始動ばらつきも低減することができる。
【0120】
(実施形態5)
本実施形態の有機EL素子点灯装置501の回路構成図を図10に示す。
【0121】
本実施形態の有機EL素子点灯装置501は、整流回路511と降圧チョッパ回路512と制御部513と電流検出部514と目標設定部515とコンパレータ516と点灯数制御部517とで構成される。
【0122】
整流回路511は、交流電源E501に接続されており、交流電源E501の交流電圧を整流平滑して降圧チョッパ回路512に出力する。
【0123】
降圧チョッパ回路512(電流供給部)は、スイッチング素子Q501とインダクタL501とコンデンサC501とダイオードD501とで構成されている。整流回路511の出力端間に、スイッチング素子Q501とインダクタL501とコンデンサC501との直列回路が接続され、インダクタL501とコンデンサC501との直列回路と並列に、回生用のダイオードD501が接続されている。そして、制御部513によって、スイッチング素子Q501がスイッチング制御されることで、コンデンサC501の両端に点灯電圧V501を生成する。
【0124】
また、抵抗R502と光源部502とスイッチング素子Q502との直列回路が、コンデンサC501に対して4つ並列接続されている。光源部502は、1乃至複数の有機EL素子で構成されており、図10では、リーク抵抗R503,直列等価抵抗R504,等価容量C502を並列に接続した等価回路で示している。なお、各光源部502は、同種・同サイズのものが用いられる。そして、降圧チョッパ回路512から供給される点灯電流I501を分流した電流が各光源部502に流れることで、各光源部502が点灯する。
【0125】
点灯数制御部517は、4つのスイッチング素子Q502とスイッチ制御部517aとで構成される。各スイッチング素子Q502は、光源部502に直列接続されており、スイッチ制御部517aは、外部から入力される点灯制御信号に基づいてスイッチング素子Q502のオン・オフを制御する。スイッチング素子Q502がオフされた場合、このスイッチング素子Q502に直列接続された光源部502は、電流経路が遮断されるので、消灯することとなる。したがって、スイッチ制御部517aが、点灯制御信号に基づいて、スイッチング素子Q502をオン・オフすることで、点灯させる光源部502の数を制御することができる。また、光源部502は着脱自在に構成されており、各光源部502は並列接続されているので、光源部502を取り外した場合でも、他の光源部502に電流を供給し点灯させることができる。
【0126】
電流検出部514は、抵抗R501で構成されており、抵抗R501の両端電圧を点灯電流I501の検出値としてコンパレータ516に反転入力端子に出力する。
【0127】
また、コンパレータ516の非反転入力端子には目標設定部515が接続されており、目標設定部515から点灯電流I501の目標値が出力される。
【0128】
そして、制御部513は、コンパレータ516の出力に基づき、スイッチング素子Q501をスイッチング制御することで、点灯電流I501が目標値と一致するように、点灯電流I501のフィードバック制御を行っている。
【0129】
始動時において、目標設定部515は、点灯電流I501の目標値をゼロから定常点灯時の目標値まで徐々に増加させる(スイープ期間Tsw)。制御部513は、点灯電流I501の検出値が目標値と一致するようにフィードバック制御するので、点灯電流I501が徐々に増加し、光源部502が点灯する。したがって、実施形態1と同様に、サージ電流を抑制すると共に、始動ばらつきを低減することができる。
【0130】
本実施形態では、各光源部502は並列接続されている。したがって、定常点灯時における点灯電圧V501が同一である場合、点灯させる光源部502の数が少ないほど、有機EL素子点灯装置501から出力されるサージ電流が低減し、回路ストレスが低減される。したがって、本実施形態では、点灯させる光源部502の数が少なくなるにつれて、目標設定部515はスイープ期間Tswを短くする。目標設定部515は、点灯制御信号や、着脱検出スイッチによる光源部502の機械的な接続状態や、点灯電圧V501,点灯電流I501の電気特性の増減等に基づいて、点灯させる光源部502の数を把握し、スイープ期間Tswを決定する。また、点灯させる光源部502の数が所定数以上であれば、所定のスイープ期間Tswを設定し、所定数未満であればスイープ期間Tswをゼロにする段階的なものも考えられる。
【0131】
このように、点灯させる光源部502の数が少なくなるにつれて、スイープ期間Tswを短くすることで、始動開始から定常点灯状態に至るまでの時間を短縮化することができる。
【0132】
(実施形態6)
本実施形態の照明器具601の概略図を図11に示す。
【0133】
本実施形態の照明器具601は、実施形態1〜5のうちいずれか1つの有機EL素子点灯装置602と、有機EL素子を有するパネル型の光源部603とを搭載したものである。
【0134】
有機EL素子点灯装置602と複数(図示例では4つ)の光源部603は、薄型の器具本体604に取り付けられている。有機EL素子点灯装置602は、器具本体604の裏面側から取り付けられ、器具本体604の表面側に取り付けられた光源部603の各々と電気的に接続されている。そして、各光源部603は、有機EL素子点灯装置602から点灯電流が供給されることで点灯する。
【0135】
また、照明器具601は、実施形態1〜5のうちいずれか1つの有機EL素子点灯装置602を備えている。したがって、実施形態1〜5と同様に、始動時においてサージ電流を低減すると共に、始動ばらつきを抑制することができるという効果を得ることができ、信頼性の高い照明器具601を提供することができる。
【0136】
また、このような照明器具601によれば、薄型化を図ることができ、例えば、屋内照明として好適なものとなる。
【0137】
また、光源部603は、各々自由に取り付け・取り外しすることができ、有機EL素子点灯装置602は、光源部603の着脱に対応すると共に光源部603を個別に点灯・消灯制御することができる。
【符号の説明】
【0138】
101 電源部
102 電流供給部
103 制御部
104 目標設定部
105 電流検出部
106 電圧検出部
107 短絡開放回路(短絡開放手段)
108 コンパレータ
109 光源部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力端間に1乃至複数の有機EL素子からなる光源部を接続し、当該光源部に点灯電流を供給する電流供給部と、
前記点灯電流を検出する電流検出部と、
前記点灯電流の目標値を設定する目標設定部と、
前記電流検出部の検出値と前記目標値とが一致するように、前記電流供給部を制御することで、前記点灯電流をフィードバック制御する制御部とを備え、
前記目標設定部は、前記光源部の始動時において、前記目標値を徐々に増加させるスイープ期間を設けたことを特徴とする有機EL素子点灯装置。
【請求項2】
前記電流検出部は、前記点灯電流の検出値を通過させるローパスフィルタを備えることを特徴とする請求項1記載の有機EL素子点灯装置。
【請求項3】
前記電流供給部を複数備え、
前記電流供給部の各々は、互いに異なる前記光源部に前記点灯電流を供給しており、
前記制御部は、前記点灯電流の各々が前記目標値と一致するようにフィードバック制御しており、
前記目標設定部は、前記点灯電流の各々に対して同一の目標値を設定することを特徴とする請求項1または2記載の有機EL素子点灯装置。
【請求項4】
前記光源部と前記電流供給部と前記制御部とを有する点灯ユニットを複数備え、
前記電流供給部は、入力電源から前記点灯電流を生成しており、
前記点灯ユニットの各々は、前記入力電源に対して着脱自在に構成される電源端子と、前記目標設定部に対して着脱自在に構成される目標値入力端子とを備えることを特徴とする請求項3記載の有機EL素子点灯装置。
【請求項5】
複数の光源部が直列接続され、
前記光源部の両端間を短絡・開放する短絡開放手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の有機EL素子点灯装置。
【請求項6】
前記目標設定部は、前記点灯電流が供給される前記有機EL素子の数が少なくなるにつれて、前記スイープ期間を短くすることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の有機EL素子点灯装置。
【請求項7】
前記目標設定部は、前記光源部の調光度が深くなるにつれて、前記スイープ期間を短くすることを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の有機EL素子点灯装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記スイープ期間の前に、前記有機EL素子の点灯開始電圧以下の電圧を前記電流供給部の出力端間に生成する期間を設けることを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載の有機EL素子点灯装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の有機EL素子点灯装置と、
前記有機EL素子点灯装置によって点灯される1乃至複数の有機EL素子からなる光源部と、
前記有機EL素子点灯装置と前記光源部とが取り付けられる器具本体とを備えることを特徴とする照明器具。
【請求項1】
出力端間に1乃至複数の有機EL素子からなる光源部を接続し、当該光源部に点灯電流を供給する電流供給部と、
前記点灯電流を検出する電流検出部と、
前記点灯電流の目標値を設定する目標設定部と、
前記電流検出部の検出値と前記目標値とが一致するように、前記電流供給部を制御することで、前記点灯電流をフィードバック制御する制御部とを備え、
前記目標設定部は、前記光源部の始動時において、前記目標値を徐々に増加させるスイープ期間を設けたことを特徴とする有機EL素子点灯装置。
【請求項2】
前記電流検出部は、前記点灯電流の検出値を通過させるローパスフィルタを備えることを特徴とする請求項1記載の有機EL素子点灯装置。
【請求項3】
前記電流供給部を複数備え、
前記電流供給部の各々は、互いに異なる前記光源部に前記点灯電流を供給しており、
前記制御部は、前記点灯電流の各々が前記目標値と一致するようにフィードバック制御しており、
前記目標設定部は、前記点灯電流の各々に対して同一の目標値を設定することを特徴とする請求項1または2記載の有機EL素子点灯装置。
【請求項4】
前記光源部と前記電流供給部と前記制御部とを有する点灯ユニットを複数備え、
前記電流供給部は、入力電源から前記点灯電流を生成しており、
前記点灯ユニットの各々は、前記入力電源に対して着脱自在に構成される電源端子と、前記目標設定部に対して着脱自在に構成される目標値入力端子とを備えることを特徴とする請求項3記載の有機EL素子点灯装置。
【請求項5】
複数の光源部が直列接続され、
前記光源部の両端間を短絡・開放する短絡開放手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の有機EL素子点灯装置。
【請求項6】
前記目標設定部は、前記点灯電流が供給される前記有機EL素子の数が少なくなるにつれて、前記スイープ期間を短くすることを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載の有機EL素子点灯装置。
【請求項7】
前記目標設定部は、前記光源部の調光度が深くなるにつれて、前記スイープ期間を短くすることを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の有機EL素子点灯装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記スイープ期間の前に、前記有機EL素子の点灯開始電圧以下の電圧を前記電流供給部の出力端間に生成する期間を設けることを特徴とする請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載の有機EL素子点灯装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちいずれか1項に記載の有機EL素子点灯装置と、
前記有機EL素子点灯装置によって点灯される1乃至複数の有機EL素子からなる光源部と、
前記有機EL素子点灯装置と前記光源部とが取り付けられる器具本体とを備えることを特徴とする照明器具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−115001(P2013−115001A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262443(P2011−262443)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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