有機EL素子
【課題】有機材料よりなる有機膜を上下の電極で挟んでなる発光画素を有し、この発光画素における上部電極を隔壁で分断する有機EL素子において、隔壁によって上部電極を複数領域に分割することで上部電極がもたらす応力を緩和するとともに、隔壁部分における中見え現象を適切に防止する。
【解決手段】発光画素50の領域において、有機膜30および上部電極40を分断して複数領域51、52に区画する隔壁80が下部電極20上に設けられ、隔壁80と下部電極20との間には、遮光部であって下部電極20の補助電極である金属補助電極90が設けられ、隔壁80の両側に位置する上部電極40と有機膜30との積層部まで拡がる金属補助電極90の端部が、有機膜30と下部電極20との間に入り込むことで、有機膜30を介して上部電極40と重なっている重なり領域S1が存在する。
【解決手段】発光画素50の領域において、有機膜30および上部電極40を分断して複数領域51、52に区画する隔壁80が下部電極20上に設けられ、隔壁80と下部電極20との間には、遮光部であって下部電極20の補助電極である金属補助電極90が設けられ、隔壁80の両側に位置する上部電極40と有機膜30との積層部まで拡がる金属補助電極90の端部が、有機膜30と下部電極20との間に入り込むことで、有機膜30を介して上部電極40と重なっている重なり領域S1が存在する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機材料よりなる有機膜を上下の電極で挟んでなる有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子に関し、特に、輝度ムラによる表示不良を抑制した発光安定性に優れた有機EL素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、自己発光のため、視認性に優れ、かつ数Vから数十Vの低電圧駆動が可能なため駆動回路を含めた軽量化が可能である。そこで薄膜型ディスプレイ、照明、バックライトとしての活用が期待できる。
【0003】
一般に、有機EL素子は、透明基板の一面上に、透明材料よりなる下部電極、有機材料からなる有機膜、光を通さない材料よりなる上部電極が順次積層された積層体よりなるものであって、下部電極と上部電極との間に電圧印加することにより有機膜を発光させる発光画素を備え、有機膜の発光による光を、透明基板を通して透明基板の他面側に取り出すものである。
【0004】
一方で、発光画素を隔壁によって複数の領域に分割している例として特許文献1に記載の有機EL素子が提案されている。このものは、隔壁によって発光画素を複数の小画素に分割し、さらに小画素形成用隔壁の一部を切り欠くことで、小画素内で短絡が生じた場合に、切り欠いた部分において電極を溶断し、画素全体へ影響が広がることを防止するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−319778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、従来の一般的な有機EL素子に基づいて、試作検討を行った。図9は、本発明者の第1の試作品としての有機EL素子の概略平面図であり、図10は、図9中の個々の構成要素の平面形状を示す概略平面図であり、(a)は下部電極20、(b)は絶縁膜60、(c)は有機膜30、(d)は上部電極40を示す。
【0007】
ここで、識別のために便宜上、図9では、絶縁膜60に点ハッチングを施し、図10(b)では絶縁膜60に、図10(c)では有機膜30に、図10(d)では上部電極40にそれぞれ斜線ハッチングを施してある。また、図10(c)では上部電極40の端部を一点鎖線、絶縁膜60の端部を破線で示し、図10(d)では、有機膜30の端部を一点鎖線、絶縁膜60の端部を破線で示してある。
【0008】
これら図9、図10に示されるように、ガラスなどの透明基板10の一面11上に、ITOなどの透明材料よりなる下部電極20、有機材料からなる有機膜30、金属などの光を通さない材料よりなる上部電極40が順次積層された積層体よりなる発光画素50が設けられている。
【0009】
また、透明基板10の一面11上にて、発光画素50の外側には、発光画素50を構成する積層体が連続して拡がった領域であって、下部電極20と有機膜30との間に電気絶縁性の絶縁膜60が介在する非発光領域50aが存在している。そして、発光画素50は、絶縁膜60の開口部内の領域として当該開口部の内郭として区画されたものである。つまり絶縁膜60の開口部の内郭が発光画素50の外郭に相当する。
【0010】
図9、図10では、下部電極20の平面形状は矢印形状をなしており、絶縁膜60の開口部は、下部電極20に対応した矢印形状であって下部電極20よりも一回り小さい矢印形状をなしている。そして、絶縁膜60の開口部の内郭端部は、下部電極20の外郭端部を被覆し、この絶縁膜60による下部電極20の被覆領域が非発光領域50aとされている。これにより、発光画素50は矢印形状をなしている。
【0011】
また、図9、図10(a)に示されるように、透明基板10の一面11のうちの周辺部は、外部回路等との接続が行われる引き出し領域Rとされており、この引き出し領域Rには、下部電極20と同一の透明材料により形成された引き出し電極21、22が設けられている。
【0012】
この引き出し電極21、22は、下部電極20と同時にパターニング形成されるものであり、下部電極用の引き出し電極21は、下部電極20と一体に形成されたものであり、上部電極用の引き出し電極22は、その上側の上部電極40と直接接触して導通するものである。
【0013】
また、図10(c)、図10(d)に示されるように、下部電極20上の有機膜30、その上の上部電極40は、透明基板10の一面11のうち引き出し領域Rを除く略全面に形成されている。
【0014】
ここで、引き出し領域Rにおいては、絶縁膜60の端部が最も拡がっており、この絶縁膜60の端部の内側に上部電極40の端部、さらにその上部電極40の端部の内側に有機膜30の端部が位置している。
【0015】
つまり、有機膜30の端部は上部電極40で被覆され、上部電極30の端部は絶縁膜60の端部で被覆されている。これにより、上部電極40の引き出し電極22との接続、および、絶縁膜60による絶縁および保護が適切になされるようになっている。
【0016】
このような発光画素50においては、各引き出し電極21、22に接続された外部回路を介して、下部電極20と上部電極40との間に電圧印加することにより有機膜30を発光させる。一方、非発光領域50aでは、下部電極20と有機膜30との間に絶縁膜60が介在することによって、上記電圧印加による有機膜30の発光が起こらないようになっている。
【0017】
そして、この有機膜30の発光による光を、透明基板10を通して透明基板10の一面11とは反対の他面側に取り出し、透明基板10の他面側に位置するユーザーが、その光を視認するのである。
【0018】
このような第1の試作品について検討を行ったところ、この第1の試作品のように、発光画素50の上部電極40と発光画素50以外の領域の上部電極40とが連続して形成されている場合、発光画素50の発熱が上部電極40を伝わって上部電極40全体で熱を持つようになる。
【0019】
本発明者の検討によれば、セグメントパネルなどにおいて、発光画素50が大面積になってくると、上部電極40全体の熱応力の影響が大きくなり、上部電極40と有機膜30との間で膜の剥離が起こり、発光画素50に輝度ムラが生じることがわかった。
【0020】
そこで、本発明者は、第2の試作品として、図11に示されるように、隔壁80によって上部電極40を複数領域に分割し、上部電極40がもたらす応力を緩和することで、輝度ムラを抑制することを試みた。図11は、この第2の試作品としての有機EL素子の構成を示す図であり、(a)は概略平面図、(b)は(a)中の一点鎖線A−Aに沿った概略断面図である。
【0021】
図11に示される第2の試作品は、上記図9に示される第1の試作品に対して、さらに隔壁80を付加したところが相違するものである。なお、図11においては、絶縁膜60のうち隔壁80と重なる部位には点ハッチングを施していない。
【0022】
この図11に示されるように、隔壁80は、発光画素50を横断するように設けられて発光画素50を複数領域(ここでは2個の領域)51、52に完全に分割するものである。
【0023】
具体的には、隔壁80は、電気絶縁性の光硬化性樹脂などよりなるものであり、発光画素50の領域において、下部電極20上に延びて有機膜30および上部電極40を分断して複数領域51、52に区画するものである。ここで、隔壁80を挟んで位置する複数領域51、52の上部電極40は、ともに上部電極用の引き出し電極22に接続されており、同時発光するようになっている。
【0024】
なお、隔壁80は、非発光領域50aまで延びているが、この非発光領域50aでは、下部電極20上の絶縁膜60の上に形成されている。さらに、非発光領域50aの外側の下部電極20が存在しない領域では、透明基板10の一面11に絶縁膜60が直接接して形成されているが、この絶縁膜60上に隔壁80が形成されている。
【0025】
また、この第2の試作品の下部電極20、絶縁膜60および各引き出し電極21、22の平面形状は、上記図10に示される第1の試作品と同様であるが、有機膜30および上部電極40は、上記図10の形状において更に隔壁80により分断された形状とされている。
【0026】
上部電極40が大面積化するほど上記熱応力が大きくなるが、この第2の試作品のように、隔壁80で発光画素50の上部電極40を分断してやれば、当該熱応力を低減し、上部電極40と有機膜30間の膜の剥離を抑制し、発光画素50の輝度ムラを低減することができる。
【0027】
なお、上記特許文献1のものは、隔壁によって発光画素を複数の小画素に分割しているものの、隔壁の一部を切り欠くことで、小画素内で短絡が生じた場合に、切り欠いた部分において電極を溶断するものであり、この第2の試作品の隔壁80とは目的が異なっている。また、切り欠き部において上部電極がつながっているため、切り欠き部において応力が集中してしまい、上部電極と有機膜間で膜の剥離が生じてしまうため、輝度ムラを抑制することが困難である。
【0028】
さらに、本発明者は、この第2の試作品について検討を進めた結果、隔壁80およびその近傍部にて中見え現象が発生することを見出した。次に、この中見え現象について説明する。
【0029】
図11(b)に示されるように、有機EL素子の非発光時に、透明基板10の他面12側からの外部光が、隔壁80または隔壁80と上部電極40との隙間に対して入射した場合、その入射角度によっては上部電極40による外部光の反射ができず、外部光が透過してしまう。
【0030】
すると、有機EL素子の背後に位置するケースなどの背面物質110が見えてしまうことが起こり得る。これが中見え現象である。この中見え現象が発生すると、ユーザーの誤認などが引き起こされ、好ましくない。
【0031】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、隔壁によって上部電極を複数領域に分割することで上部電極がもたらす応力を緩和するとともに、上記した中見え現象を適切に防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0032】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、透明基板(10)の一面(11)上に、透明材料よりなる下部電極(20)、有機材料からなる有機膜(30)、光を通さない材料よりなる上部電極(40)が順次積層された積層体よりなるものであって、下部電極(20)と上部電極(40)との間に電圧印加することにより有機膜(30)を発光させる発光画素(50)を備え、有機膜(30)の発光による光を、透明基板(10)を通して透明基板(10)の他面(12)側に取り出すものである有機EL素子において、以下のような特徴を有する。
【0033】
すなわち、請求項1に記載の発明では、発光画素(50)の領域において、下部電極(20)上に延びて有機膜(30)および上部電極(40)を分断して複数領域(51、52)に区画する電気絶縁性の隔壁(80)が下部電極(20)上に設けられており、
隔壁(80)を挟んで位置する複数領域(51、52)が同時発光するようになっており、
隔壁(80)とその下の下部電極(20)との間には、光を遮る遮光部であって下部電極(20)の補助電極として構成される金属補助電極(90)が設けられており、
金属補助電極(90)は、隔壁(80)から隔壁(80)を挟んで隔壁(80)の両側に位置する上部電極(40)と有機膜(30)との積層部まで拡がっており、
当該積層部に位置する金属補助電極(90)の端部が、有機膜(30)と下部電極(20)との間に入り込むことで、有機膜(30)を介して上部電極(40)と重なっている重なり領域(S1)が存在することを特徴とする。
【0034】
それによれば、ユーザー等が光取り出し側である透明基板(10)の他面(12)側から有機EL素子を見たとき、発光画素(50)の分断された領域間に位置する部位、すなわち隔壁(80)および隔壁(80)と有機膜(30)および上部電極(40)との隙間が、金属補助電極(90)により遮光された状態となるから、背後物質(110)が見えることは無くなる。
【0035】
よって、隔壁(80)によって上部電極(40)を複数領域(51、52)に分割することで上部電極(40)がもたらす応力を緩和するとともに、上記した中見え現象を適切に防止することができる。また、本発明によれば、金属補助電極(90)は下部電極(20)の補助電極として機能するから、見かけ上、下部電極(20)の配線抵抗を低減することができる。
【0036】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の有機EL素子において、上部電極(40)と金属補助電極(90)とが同一材料よりなることを特徴とする。
【0037】
それによれば、上部電極(40)と金属補助電極(90)とで反射率を実質同一にすることができるから、光取り出し側である透明基板(10)の他面(12)側からの外部光の反射光を、上部電極(40)と金属補助電極(90)とで実質同一のレベルにでき、見栄えがよくなる。
【0038】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の有機EL素子において、透明基板(10)の一面(11)上にて、発光画素(50)の外側には、発光画素(50)を構成する積層体が連続して拡がった領域であって、下部電極(20)と有機膜(30)との間に、電気絶縁性の絶縁膜(60)が介在することによって前記電圧印加による有機膜(30)の発光が起こらない非発光領域(50a)が存在しており、
発光画素(50)は、絶縁膜(60)の開口部内の領域として当該開口部の内郭として区画されたものであり、
非発光領域(50a)では、下部電極(20)と絶縁膜(60)との間に、下部電極(20)よりも低抵抗材料よりなり下部電極(20)を低抵抗化するための低抵抗補助電極(100)が設けられていることを特徴とする。
【0039】
それによれば、見かけ上、下部電極(20)の配線抵抗をさらに低減することができ、好ましい。
【0040】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施形態に係る有機EL素子の車載メータへの取り付け状態を示す概略斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る有機EL素子の構成を示す図であり、(a)は概略平面図、(b)は(a)中のB−B概略断面図である。
【図3】図2(a)中のC−C概略断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る有機EL素子の構成を示す図であり、(a)は概略平面図、(b)は(a)中のD−D概略断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る有機EL素子の概略平面図である。
【図6】図5中のE−E概略断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る有機EL素子の概略平面図である。
【図8】図7中のF−F概略断面図である。
【図9】本発明者の第1の試作品としての有機EL素子の概略平面図である。
【図10】図9中の個々の構成要素を示す概略平面図であり、(a)は下部電極、(b)は絶縁膜、(c)は有機膜、(d)は上部電極を示す
【図11】(a)は本発明者の第2の試作品としての有機EL素子の概略平面図であり、(b)は(a)中のA−A概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0043】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る有機EL素子1の車載メータへの取り付け状態を示す概略斜視図である。また、図2は、本実施形態に係る有機EL素子1の構成を示す図であり、(a)は概略平面図、(b)は(a)中の一点鎖線B−Bに沿った概略断面図である。また、図3は、図2(a)中の一点鎖線C−Cに沿った概略断面図である。
【0044】
なお、識別のために便宜上、図1では、絶縁膜60に点ハッチングを施してある。後述するように、この絶縁膜60は、隔壁80の直下にも存在するものであるが、図1では、絶縁膜60のうち隔壁80と重なる部位には点ハッチングを施していない。
【0045】
この図1〜図3に示される有機EL素子1は、実質的に上記図11に示した第2の試作品に対して、金属補助電極90(図2(a)では破線にて示す)を追加した構成をなすものであり、多少重複するところもあるが、主として補足事項、第2の試作品との相違点を中心に述べることとする。
【0046】
図1に示されるように、本実施形態の有機EL素子1は、車載メータのディスプレイなどとして、メータの文字盤110の前面に取り付けられる。文字盤110の前面側は、運転手などのユーザー側、いわゆる視認者が位置する側である。よって、この文字盤110は、有機EL素子1の背後に位置する背面物質110とされている。
【0047】
図2に示されるように、本実施形態の有機EL素子1も、透明基板10の一面11上に、透明材料よりなる下部電極20、有機材料からなる有機膜30、光を通さない材料よりなる上部電極40が順次積層された積層体よりなるものであって、下部電極20と上部電極40との間に電圧印加することにより有機膜30を発光させる発光画素50が設けられている。
【0048】
また、本実施形態においても、透明基板10の一面11上にて、発光画素50の外側には、発光画素50を構成する積層体が連続して拡がった領域であって、下部電極20と有機膜30との間に、電気絶縁性の絶縁膜60が介在することによって電圧印加による有機膜30の発光が起こらない非発光領域50aが存在している。
【0049】
そして、発光画素50は、絶縁膜60の開口部内の領域として当該開口部の内郭として区画されたものであり、絶縁膜60の開口部の内郭が発光画素50の外郭に相当するものとなっている。
【0050】
さらに、本実施形態においても、発光画素50の領域において、下部電極20上に延びて有機膜30および上部電極40を分断して複数領域51、52に区画する電気絶縁性の隔壁80が下部電極20上に設けられており、隔壁80を挟んで位置する複数領域51、52が同時発光するようになっている。
【0051】
ここで、これら透明基板10の一面11上の下部電極20、引き出し電極21、22、絶縁膜60、有機膜30、上部電極40、隔壁80、発光画素50の各平面形状は、上記第2の試作品のものと同様である。
【0052】
各部について、より詳細に述べると、透明基板10は透明なガラスや樹脂などよりなる電気絶縁性の板状のものである。下部電極20、およびこれと一体に形成された下部電極用の引き出し電極21、別体の上部電極用の引き出し電極22は、同一の透明電極材料、たとえばITO(インジウムチンオキサイド)や、インジウム亜鉛の酸化物膜等の透明導電膜などよりなる。
【0053】
下部電極20および各引き出し電極21、22は、蒸着やスパッタなどにより成膜されるもので、上記第2の試作品と同様、下部電極20の平面形状が矢印形状となるようにパターニングされている。その膜厚は、たとえば、100nmから1μm程度であり、好ましくは150nm程度である。
【0054】
また、有機膜30は、真空蒸着法にて成膜されたもので、下部電極20側から順に、たとえば、正孔注入性有機材料からなる正孔注入層、正孔輸送性有機材料からなる正孔輸送層、正孔輸送性有機材料や電子輸送性有機材料に蛍光色素をドープした有機EL材料からなる発光層、電子輸送性有機材料からなる電子輸送層が積層されてなる。
【0055】
なお、有機膜30は、有機材料からなり、下部電極20と上部電極40との間に順方向バイアス電圧を印加したときに、発光する構造であればよく、上記の積層例に限定されるものではない。この有機膜30は、上記第2の試作品と同様、隔壁80で分断されつつ、引き出し領域R以外の略全面に成膜されている。
【0056】
上部電極40は、通常の有機EL素子に採用可能な陰極材料を採用できる。たとえば、上部電極40は、厚さ100nm程度のアルミニウム膜などよりなり、スパッタや蒸着などにより成膜される。
【0057】
この上部電極40も、上記第2の試作品と同様、隔壁80で分断されつつ、引き出し領域R以外の略全面に成膜されている。また、上記同様、引き出し領域R側では、上部電極40の端部は有機膜30の端部より拡がり、有機膜30の端部を被覆している。
【0058】
また、絶縁膜60は、下部電極20が存在する非発光領域50aでは下部電極20の上に成膜され、非発光領域50aのさらに外側の下部電極20が存在しない領域では透明基板10の一面11に直接成膜されている。そして、非発光領域50aでは、下部電極20と有機膜30との間に絶縁膜60が介在し、両膜20、30は絶縁膜60で電気的に絶縁されている。
【0059】
このような絶縁膜60は、一般に感光性レジストやポリイミドなどの高分子やシリコン酸化膜などの無機物などから形成されている。そして、絶縁膜60は、フォトリソグラフやエッチングなどの技術を用いて、パターニング形成される。
【0060】
また、本実施形態においても、隔壁80は、発光画素50を横断するように設けられて発光画素50を複数領域(ここでは2個の領域)51、52に完全に分割するものである。なお、ここでも、隔壁80は、発光領域50aでは下部電極20上に形成されるが、非発光領域50aおよび非発光領域50aのさらに外側領域では絶縁膜60上に形成されて、有機膜30および上部電極40を分断している。
【0061】
ここでは、図2(b)に示されるように、隔壁80は、透明基板10の一面11側から離れる方向(図2(b)中の上方)に向かって広がる逆テーパ形状をなしている。この隔壁80はたとえばネガ型の感光性樹脂レジスト材料などからなる。
【0062】
隔壁80においてこのような逆テーパの断面形状とすることは、図2(b)に示すように、有機膜30および上部電極40の成膜工程においてこれら有機膜30および上部電極40を適切に画定するためである。
【0063】
こうして、発光領域50aすなわち絶縁膜60の開口部内においては、有機膜30および上部電極40は、隔壁80によって、つながることなく完全に2領域51、52に分断されている。
【0064】
ここで、隔壁80を挟んで位置する複数領域51、52は、ともに上部電極用の引き出し電極22に接続されており、同時発光するようになっているが、その詳細な接続構成について図3を参照して述べる。
【0065】
なお、ここでは、上部電極用の引き出し電極22は、2個の領域51、52に対応して上部電極40側の部位が2本に枝分かれしているが、各枝分かれ部分の接続構成は、ともに図3に示すとおりである。
【0066】
図3に示されるように、透明基板10の一面11上にて、上部電極用の引き出し電極22の上には、絶縁膜60が形成されているが、このうち上部電極40との接続部位では、絶縁膜60が除去されて、上部電極40と引き出し電極22とが直接接触することで導通が図られている。
【0067】
なお、この両者22、40の接触部に対して、図3中の矢印Lに示されるように、レーザLによる溶接を行い、当該両者22、40を溶け合わせるようにしてもよく、その場合には、両者22、40の接合性の向上が期待できる。
【0068】
かかる本実施形態の有機EL素子1においては、さらに、図2に示されるように、隔壁80とその下の下部電極20との間には、光を遮る遮光部であって下部電極20の補助電極として構成される金属補助電極90が設けられている。
【0069】
ここでは、金属補助電極90は下部電極20上に積層され、下部電極20と直接接触して導通することで、補助電極として機能するようになっている。この金属補助電極90は、上部電極40と同様の材料、たとえばアルミニウムなどよりなるが、それ以外にも、アルミニウム合金やクロムなどの遮光性を有する導電性材料であればよい。
【0070】
また、図2に示されるように、この金属補助電極90は、隔壁80から隔壁80を挟んで隔壁80の両側に位置する上部電極40と有機膜30との積層部まで拡がっている。つまり、金属補助電極90は、隔壁80の下部だけでなく、下部電極20の表面上をこのように拡がるものであり、隔壁80の幅よりも幅が広くされたものである。
【0071】
具体的には、金属補助電極90の配線を、隔壁80の上端幅よりも広く形成する。たとえば、隔壁80の上端幅は10μmであり、金属補助電極90の配線幅は、20μmとする。
【0072】
発光画素50からの光は透明基板10の他面12側から取り出すが、金属補助電極90が形成された箇所では光を取り出すことができず、非発光部となる。金属補助電極90による非発光部が肉眼で確認できないようにするためには、金属補助電極90の配線幅は、20μm以下であることが好ましい。
【0073】
さらに、本実施形態では、図2に示されるように、隔壁80の両側に位置する上部電極40と有機膜30との積層部に位置する金属電極90の端部を、有機膜30と下部電極20との間に入り込ませており、そうすることで、有機膜30を介して上部電極40と重なっている領域である重なり領域S1が存在している。
【0074】
かかる本実施形態の有機EL素子1は次のようにして製造される。透明基板10の一面11上に、スパッタ、蒸着、CVD、フォトリソグラフ、エッチングなどの一般的な手法を用いて成膜およびパターニングを行い、下部電極20および各引き出し電極21、22を形成する。
【0075】
その上に、一般的な手法による成膜およびパターニングを行って、金属補助電極90を形成する。次に、その上に、絶縁膜60をフォトリソグラフおよびパターニングにより形成する。続いて、その上に隔壁80をフォトリソグラフおよびパターニングにより形成する。
【0076】
その後は、有機膜30、上部電極40を成膜すれば、隔壁80によって分断された状態で有機膜30および上部電極40が形成される。こうして、本実施形態の有機EL素子ができあがる。
【0077】
そして、本実施形態の発光画素50においても、各引き出し電極21、22を介して、下部電極20と上部電極40との間に電圧印加することにより有機膜30を発光させる。具体的には、下部電極20に正電圧、上部電極40に負電圧を印加する。一方、非発光領域50aでは、下部電極20と有機膜30との間に絶縁膜60が介在することによって、上記電圧印加による有機膜30の発光が起こらないようになっている。
【0078】
そして、この有機膜30の発光による光を、透明基板10を通して透明基板10の一面11とは反対の他面12側に取り出し、透明基板10の他面12側に位置するユーザーが、その光を視認するようになっている。図示例では、表示画素50の形状に合わせて矢印形状が視認される。
【0079】
ところで、本実施形態によれば、ユーザー等が光取り出し側である透明基板10の他面12側から有機EL素子を見たとき、発光画素50の分断された領域間に位置する部位、すなわち隔壁80および隔壁80と有機膜30および上部電極40との隙間が、金属補助電極90により完全に遮光された状態となる。
【0080】
具体的には、隔壁80の下部だけでなく上部電極40との重なり領域S1を形成するように金属補助電極90を設けることで、図2(b)中の矢印のように、非発光時に外部光が隔壁80の下端部に入射した場合、金属補助電極90によって外部光の透過を抑制することができ、背面物質110が見える中見え現象を無くすことができる。
【0081】
また、隔壁80によって上部電極40を複数領域51、52に分割することで上部電極40がもたらす応力を緩和することができる。本実施形態では、上部電極40を完全に2領域に分断しているため、上部電極40による応力を約50%ずつに低減することができる。
【0082】
たとえば発光画素50の面積は約40mm2であるが、本実施形態では、上部電極40の応力を約50%に低減することで、輝度ムラを約50%から98%と問題無いレベルにすることができる。
【0083】
このように、本実施形態によれば、隔壁80によって上部電極40を複数領域51、52に分割することで上部電極40がもたらす応力を緩和するとともに、上記した中見え現象を適切に防止することができる。
【0084】
また、本実施形態では隔壁80によって上部電極40を完全に2領域51、52に分断しているが、完全に分断する領域数を増やす(たとえば、3領域、4領域以上)ことで、上部電極40による応力をより緩和することができる。つまり、分断される領域数は限定されないものであり、画素サイズが大きいほど領域数は多くした方がよく、画素サイズによって適時選択すればよい。
【0085】
また、本実施形態によれば、金属補助電極90は下部電極20の補助電極として機能するから、見かけ上、下部電極20の配線抵抗を低減することができ、発光画素50内の各領域51、52への電力供給を均一化することができる。
【0086】
また、本実施形態においては、上部電極40と金属補助電極90とが同一材料よりなることが望ましい。それによれば、上部電極40と金属補助電極90とで反射率を実質同一にすることができるから、光取り出し側である透明基板10の他面12側からの外部光の反射光を、上部電極40と金属補助電極90とで実質同一のレベルにでき、見栄えがよくなる。
【0087】
具体的に言えば、図2(b)の矢印に示されるように、隔壁80上以外の上部電極40が形成された領域にて上部電極40によって外部光が反射される場合と、金属補助電極90によって外部光が反射される場合とがあり、それぞれの場合、反射膜40、90までの外部光の通過経路が異なる。
【0088】
つまり、隔壁80上でない上部電極40が形成された領域では、外部光が有機膜30を通過する点が異なる。しかしながら、有機膜30は一般的に膜厚が約200nmと薄く、透過率が全波長域で95%以上であるため、反射光に関して有機膜30の影響は少ない。つまり、上記した反射膜までの外部光の2つの通過経路においては、上部電極40と金属補助電極90の反射率の相違が、反射光の相違の主原因となる。
【0089】
上部電極40と金属補助電極90とで反射率が大きく異なる場合、光取り出し側である透明基板10の他面12側からの外部光の反射光が、上部電極40と金属補助電極90とで異なり、この相違がユーザーに認識されやすくなるが、本実施形態によれば、そのような相違が認識されなくなり、見栄えがよくなる。
【0090】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態に係る有機EL素子の構成を示す図であり、(a)は概略平面図、(b)は(a)中の一点鎖線D−Dに沿った概略断面図である。
【0091】
本実施形態は、上記第1実施形態の有機EL素子1(上記図2等参照)に対して、さらに低抵抗補助電極100を追加した構成としたところが相違するものであり、ここでは、その相違点を中心に述べることとする。なお、図4(a)では低抵抗補助電極100の外形を一点鎖線にて示している。
【0092】
図4に示されるように、本実施形態においても、透明基板10の一面11上にて、発光画素50の外側には、上記同様の非発光領域50aが存在する。上記第1実施形態では図示しなかったが、この非発光領域50aの断面構成は、本実施形態における図4(b)に示される。
【0093】
図4(b)に示されるように、発光画素50の積層体を構成する下部電極20、有機膜30、上部電極40がそれぞれ、発光領域50aから非発光領域50aまで連続して拡がっており、さらに、非発光領域50aでは、当該積層体において、下部電極20と有機膜30との間に絶縁膜60が介在する積層構成とされている。
【0094】
それにより、発光画素50は、絶縁膜60の開口部内の領域として当該開口部の内郭として区画されたものとされ、非発光領域50aでは、上下電極20、40への電圧印加による有機膜30の発光が起こらないものとされている。
【0095】
ここにおいて、本実施形態では、図4に示されるように、非発光領域50aでは、下部電極20と絶縁膜60との間に、下部電極20よりも低抵抗材料よりなり下部電極20を低抵抗化するための低抵抗補助電極100が設けられている。
【0096】
この低抵抗補助電極100は、たとえばCrなどのITOよりも低抵抗な膜よりなり、一般的な成膜、パターニング手法により形成される。また、金属補助電極90と同一材料でもよい。具体的には、上記第1実施形態に述べた有機EL素子1の製造方法において、下部電極20の形成と絶縁膜60の形成との間に、低抵抗補助電極100を形成すればよい。
【0097】
それによれば、見かけ上、下部電極20の配線抵抗をさらに低減することができる。具体的に、この発光画素50の外側の非発光領域50aに位置する下部電極20は、外部と接続される引き出し電極21につながる部分であるが、当該部分に低抵抗補助電極100を設けることで、当該部分の配線抵抗を小さくすることができる。そして、引き出し電極21から発光画素50までの抵抗による電圧降下を小さくできる。
【0098】
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態に係る有機EL素子の概略平面図である。また、図6は、図5中の一点鎖線E−Eに沿った概略断面図である。
【0099】
上記第1実施形態では、セグメントパターンの有機EL素子について述べたが、本実施形態は、上記第1実施形態をパッシブのドットマトリックスパターンに適用したところが相違するものである。
【0100】
なお、図5において、識別のために便宜上、絶縁膜60に点ハッチングを施し、金属補助電極90は破線にて示している。また、図5においても、絶縁膜60は、隔壁80の直下にも存在するものであるが、図5では、絶縁膜60のうち隔壁80と重なる部位には点ハッチングを施していない。
【0101】
このドットマトリクスパターンは、複数本のストライプ状に配置された下部電極20と有機膜30および上部電極40との重なり部分において、絶縁膜60の開口部を設けることにより、発光画素50が格子状に配置されるものである。
【0102】
図5に示される例では、図中の上下方向に延びる2本の下部電極20が示されており、発光画素区画用の隔壁70により区画された4個の発光画素50が示されている。ここでは、各発光画素50は矩形をなしている。また、図5に示されるように、本実施形態においても、透明基板10の一面11上にて、発光画素50の外側には、上記同様の非発光領域50aが存在している。
【0103】
そして、図5、図6に示されるように、各発光画素50は、さらに、上記第1実施形態と同様の隔壁80により、2領域51、52に分割されている。ここで、発光画素区画用の隔壁70は、隔壁80と同一材料で一体にパターニング形成されたものである。
【0104】
そして、引き出し電極21、22を介して、所望の発光画素50を選択的に発光または非発光とすることにより、ドットマトリクスパターン特有の多様な情報表示が可能とされている。
【0105】
ここにおいて、本実施形態においても、図5、図6に示されるように、金属補助電極90が、発光画素50ごとに設けられている。この金属補助電極90の構成や配置については上記第1実施形態と同様である。
【0106】
それにより、本実施形態においても、ユーザー等が光取り出し側である透明基板10の他面12側から有機EL素子を見たとき、隔壁80および隔壁80と有機膜30および上部電極40との隙間が、金属補助電極90により遮光された状態となるから、背後物質110が見えることは無くなる。
【0107】
よって、本実施形態によれば、隔壁80によって上部電極40を複数領域51、52に分割することで上部電極40がもたらす応力を緩和するとともに、上記した中見え現象を適切に防止することができる。また、本実施形態においても、金属補助電極90は下部電極20の補助電極として機能するから、見かけ上、下部電極20の配線抵抗を低減することができる。
【0108】
(第4実施形態)
図7は、本発明の第4実施形態に係る有機EL素子の概略平面図である。また、図8は、図7中の一点鎖線F−Fに沿った概略断面図である。
【0109】
本実施形態は、上記第3実施形態の図5に示されるドットマトリクスパターンの有機EL素子に対して、さらに低抵抗補助電極100を追加した構成としたところが相違するものである。つまり、図7は、上記図5に対して低抵抗補助電極100を追加したものであり、図7では低抵抗補助電極100の外形を一点鎖線にて示している。
【0110】
図7、図8に示されるように、本実施形態では、非発光領域50aにおいて、下部電極20と絶縁膜60との間に、下部電極20よりも低抵抗材料よりなり下部電極20を低抵抗化するための低抵抗補助電極100が設けられている。
【0111】
この低抵抗補助電極100は、上記第2実施形態のものと同様であり、たとえばCrなどのITOよりも低抵抗な膜よりなり、一般的な成膜、パターニング手法により形成される。また、金属補助電極90と同一材料でもよい。こうして、本実施形態によれば、上記第2実施形態と同様、見かけ上、下部電極20の配線抵抗をさらに低減できるという効果が期待される。
【0112】
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態において、引き出し電極21、22は、下部電極20と同一材料のものでなくてもよく、別材料にて別途形成したものであってもよい。
【符号の説明】
【0113】
1 有機EL素子
10 透明基板
11 透明基板の一面
12 透明基板の他面
20 下部電極
30 有機膜
40 上部電極
50 発光画素
50a 非発光領域
51、52 隔壁で分割された発光画素の領域
80 隔壁
90 金属補助電極
100 低抵抗補助電極
S1 重なり領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機材料よりなる有機膜を上下の電極で挟んでなる有機EL(エレクトロルミネッセンス)素子に関し、特に、輝度ムラによる表示不良を抑制した発光安定性に優れた有機EL素子に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL素子は、自己発光のため、視認性に優れ、かつ数Vから数十Vの低電圧駆動が可能なため駆動回路を含めた軽量化が可能である。そこで薄膜型ディスプレイ、照明、バックライトとしての活用が期待できる。
【0003】
一般に、有機EL素子は、透明基板の一面上に、透明材料よりなる下部電極、有機材料からなる有機膜、光を通さない材料よりなる上部電極が順次積層された積層体よりなるものであって、下部電極と上部電極との間に電圧印加することにより有機膜を発光させる発光画素を備え、有機膜の発光による光を、透明基板を通して透明基板の他面側に取り出すものである。
【0004】
一方で、発光画素を隔壁によって複数の領域に分割している例として特許文献1に記載の有機EL素子が提案されている。このものは、隔壁によって発光画素を複数の小画素に分割し、さらに小画素形成用隔壁の一部を切り欠くことで、小画素内で短絡が生じた場合に、切り欠いた部分において電極を溶断し、画素全体へ影響が広がることを防止するようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−319778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、従来の一般的な有機EL素子に基づいて、試作検討を行った。図9は、本発明者の第1の試作品としての有機EL素子の概略平面図であり、図10は、図9中の個々の構成要素の平面形状を示す概略平面図であり、(a)は下部電極20、(b)は絶縁膜60、(c)は有機膜30、(d)は上部電極40を示す。
【0007】
ここで、識別のために便宜上、図9では、絶縁膜60に点ハッチングを施し、図10(b)では絶縁膜60に、図10(c)では有機膜30に、図10(d)では上部電極40にそれぞれ斜線ハッチングを施してある。また、図10(c)では上部電極40の端部を一点鎖線、絶縁膜60の端部を破線で示し、図10(d)では、有機膜30の端部を一点鎖線、絶縁膜60の端部を破線で示してある。
【0008】
これら図9、図10に示されるように、ガラスなどの透明基板10の一面11上に、ITOなどの透明材料よりなる下部電極20、有機材料からなる有機膜30、金属などの光を通さない材料よりなる上部電極40が順次積層された積層体よりなる発光画素50が設けられている。
【0009】
また、透明基板10の一面11上にて、発光画素50の外側には、発光画素50を構成する積層体が連続して拡がった領域であって、下部電極20と有機膜30との間に電気絶縁性の絶縁膜60が介在する非発光領域50aが存在している。そして、発光画素50は、絶縁膜60の開口部内の領域として当該開口部の内郭として区画されたものである。つまり絶縁膜60の開口部の内郭が発光画素50の外郭に相当する。
【0010】
図9、図10では、下部電極20の平面形状は矢印形状をなしており、絶縁膜60の開口部は、下部電極20に対応した矢印形状であって下部電極20よりも一回り小さい矢印形状をなしている。そして、絶縁膜60の開口部の内郭端部は、下部電極20の外郭端部を被覆し、この絶縁膜60による下部電極20の被覆領域が非発光領域50aとされている。これにより、発光画素50は矢印形状をなしている。
【0011】
また、図9、図10(a)に示されるように、透明基板10の一面11のうちの周辺部は、外部回路等との接続が行われる引き出し領域Rとされており、この引き出し領域Rには、下部電極20と同一の透明材料により形成された引き出し電極21、22が設けられている。
【0012】
この引き出し電極21、22は、下部電極20と同時にパターニング形成されるものであり、下部電極用の引き出し電極21は、下部電極20と一体に形成されたものであり、上部電極用の引き出し電極22は、その上側の上部電極40と直接接触して導通するものである。
【0013】
また、図10(c)、図10(d)に示されるように、下部電極20上の有機膜30、その上の上部電極40は、透明基板10の一面11のうち引き出し領域Rを除く略全面に形成されている。
【0014】
ここで、引き出し領域Rにおいては、絶縁膜60の端部が最も拡がっており、この絶縁膜60の端部の内側に上部電極40の端部、さらにその上部電極40の端部の内側に有機膜30の端部が位置している。
【0015】
つまり、有機膜30の端部は上部電極40で被覆され、上部電極30の端部は絶縁膜60の端部で被覆されている。これにより、上部電極40の引き出し電極22との接続、および、絶縁膜60による絶縁および保護が適切になされるようになっている。
【0016】
このような発光画素50においては、各引き出し電極21、22に接続された外部回路を介して、下部電極20と上部電極40との間に電圧印加することにより有機膜30を発光させる。一方、非発光領域50aでは、下部電極20と有機膜30との間に絶縁膜60が介在することによって、上記電圧印加による有機膜30の発光が起こらないようになっている。
【0017】
そして、この有機膜30の発光による光を、透明基板10を通して透明基板10の一面11とは反対の他面側に取り出し、透明基板10の他面側に位置するユーザーが、その光を視認するのである。
【0018】
このような第1の試作品について検討を行ったところ、この第1の試作品のように、発光画素50の上部電極40と発光画素50以外の領域の上部電極40とが連続して形成されている場合、発光画素50の発熱が上部電極40を伝わって上部電極40全体で熱を持つようになる。
【0019】
本発明者の検討によれば、セグメントパネルなどにおいて、発光画素50が大面積になってくると、上部電極40全体の熱応力の影響が大きくなり、上部電極40と有機膜30との間で膜の剥離が起こり、発光画素50に輝度ムラが生じることがわかった。
【0020】
そこで、本発明者は、第2の試作品として、図11に示されるように、隔壁80によって上部電極40を複数領域に分割し、上部電極40がもたらす応力を緩和することで、輝度ムラを抑制することを試みた。図11は、この第2の試作品としての有機EL素子の構成を示す図であり、(a)は概略平面図、(b)は(a)中の一点鎖線A−Aに沿った概略断面図である。
【0021】
図11に示される第2の試作品は、上記図9に示される第1の試作品に対して、さらに隔壁80を付加したところが相違するものである。なお、図11においては、絶縁膜60のうち隔壁80と重なる部位には点ハッチングを施していない。
【0022】
この図11に示されるように、隔壁80は、発光画素50を横断するように設けられて発光画素50を複数領域(ここでは2個の領域)51、52に完全に分割するものである。
【0023】
具体的には、隔壁80は、電気絶縁性の光硬化性樹脂などよりなるものであり、発光画素50の領域において、下部電極20上に延びて有機膜30および上部電極40を分断して複数領域51、52に区画するものである。ここで、隔壁80を挟んで位置する複数領域51、52の上部電極40は、ともに上部電極用の引き出し電極22に接続されており、同時発光するようになっている。
【0024】
なお、隔壁80は、非発光領域50aまで延びているが、この非発光領域50aでは、下部電極20上の絶縁膜60の上に形成されている。さらに、非発光領域50aの外側の下部電極20が存在しない領域では、透明基板10の一面11に絶縁膜60が直接接して形成されているが、この絶縁膜60上に隔壁80が形成されている。
【0025】
また、この第2の試作品の下部電極20、絶縁膜60および各引き出し電極21、22の平面形状は、上記図10に示される第1の試作品と同様であるが、有機膜30および上部電極40は、上記図10の形状において更に隔壁80により分断された形状とされている。
【0026】
上部電極40が大面積化するほど上記熱応力が大きくなるが、この第2の試作品のように、隔壁80で発光画素50の上部電極40を分断してやれば、当該熱応力を低減し、上部電極40と有機膜30間の膜の剥離を抑制し、発光画素50の輝度ムラを低減することができる。
【0027】
なお、上記特許文献1のものは、隔壁によって発光画素を複数の小画素に分割しているものの、隔壁の一部を切り欠くことで、小画素内で短絡が生じた場合に、切り欠いた部分において電極を溶断するものであり、この第2の試作品の隔壁80とは目的が異なっている。また、切り欠き部において上部電極がつながっているため、切り欠き部において応力が集中してしまい、上部電極と有機膜間で膜の剥離が生じてしまうため、輝度ムラを抑制することが困難である。
【0028】
さらに、本発明者は、この第2の試作品について検討を進めた結果、隔壁80およびその近傍部にて中見え現象が発生することを見出した。次に、この中見え現象について説明する。
【0029】
図11(b)に示されるように、有機EL素子の非発光時に、透明基板10の他面12側からの外部光が、隔壁80または隔壁80と上部電極40との隙間に対して入射した場合、その入射角度によっては上部電極40による外部光の反射ができず、外部光が透過してしまう。
【0030】
すると、有機EL素子の背後に位置するケースなどの背面物質110が見えてしまうことが起こり得る。これが中見え現象である。この中見え現象が発生すると、ユーザーの誤認などが引き起こされ、好ましくない。
【0031】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、隔壁によって上部電極を複数領域に分割することで上部電極がもたらす応力を緩和するとともに、上記した中見え現象を適切に防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0032】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、透明基板(10)の一面(11)上に、透明材料よりなる下部電極(20)、有機材料からなる有機膜(30)、光を通さない材料よりなる上部電極(40)が順次積層された積層体よりなるものであって、下部電極(20)と上部電極(40)との間に電圧印加することにより有機膜(30)を発光させる発光画素(50)を備え、有機膜(30)の発光による光を、透明基板(10)を通して透明基板(10)の他面(12)側に取り出すものである有機EL素子において、以下のような特徴を有する。
【0033】
すなわち、請求項1に記載の発明では、発光画素(50)の領域において、下部電極(20)上に延びて有機膜(30)および上部電極(40)を分断して複数領域(51、52)に区画する電気絶縁性の隔壁(80)が下部電極(20)上に設けられており、
隔壁(80)を挟んで位置する複数領域(51、52)が同時発光するようになっており、
隔壁(80)とその下の下部電極(20)との間には、光を遮る遮光部であって下部電極(20)の補助電極として構成される金属補助電極(90)が設けられており、
金属補助電極(90)は、隔壁(80)から隔壁(80)を挟んで隔壁(80)の両側に位置する上部電極(40)と有機膜(30)との積層部まで拡がっており、
当該積層部に位置する金属補助電極(90)の端部が、有機膜(30)と下部電極(20)との間に入り込むことで、有機膜(30)を介して上部電極(40)と重なっている重なり領域(S1)が存在することを特徴とする。
【0034】
それによれば、ユーザー等が光取り出し側である透明基板(10)の他面(12)側から有機EL素子を見たとき、発光画素(50)の分断された領域間に位置する部位、すなわち隔壁(80)および隔壁(80)と有機膜(30)および上部電極(40)との隙間が、金属補助電極(90)により遮光された状態となるから、背後物質(110)が見えることは無くなる。
【0035】
よって、隔壁(80)によって上部電極(40)を複数領域(51、52)に分割することで上部電極(40)がもたらす応力を緩和するとともに、上記した中見え現象を適切に防止することができる。また、本発明によれば、金属補助電極(90)は下部電極(20)の補助電極として機能するから、見かけ上、下部電極(20)の配線抵抗を低減することができる。
【0036】
また、請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の有機EL素子において、上部電極(40)と金属補助電極(90)とが同一材料よりなることを特徴とする。
【0037】
それによれば、上部電極(40)と金属補助電極(90)とで反射率を実質同一にすることができるから、光取り出し側である透明基板(10)の他面(12)側からの外部光の反射光を、上部電極(40)と金属補助電極(90)とで実質同一のレベルにでき、見栄えがよくなる。
【0038】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の有機EL素子において、透明基板(10)の一面(11)上にて、発光画素(50)の外側には、発光画素(50)を構成する積層体が連続して拡がった領域であって、下部電極(20)と有機膜(30)との間に、電気絶縁性の絶縁膜(60)が介在することによって前記電圧印加による有機膜(30)の発光が起こらない非発光領域(50a)が存在しており、
発光画素(50)は、絶縁膜(60)の開口部内の領域として当該開口部の内郭として区画されたものであり、
非発光領域(50a)では、下部電極(20)と絶縁膜(60)との間に、下部電極(20)よりも低抵抗材料よりなり下部電極(20)を低抵抗化するための低抵抗補助電極(100)が設けられていることを特徴とする。
【0039】
それによれば、見かけ上、下部電極(20)の配線抵抗をさらに低減することができ、好ましい。
【0040】
なお、特許請求の範囲およびこの欄で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1実施形態に係る有機EL素子の車載メータへの取り付け状態を示す概略斜視図である。
【図2】第1実施形態に係る有機EL素子の構成を示す図であり、(a)は概略平面図、(b)は(a)中のB−B概略断面図である。
【図3】図2(a)中のC−C概略断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る有機EL素子の構成を示す図であり、(a)は概略平面図、(b)は(a)中のD−D概略断面図である。
【図5】本発明の第3実施形態に係る有機EL素子の概略平面図である。
【図6】図5中のE−E概略断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態に係る有機EL素子の概略平面図である。
【図8】図7中のF−F概略断面図である。
【図9】本発明者の第1の試作品としての有機EL素子の概略平面図である。
【図10】図9中の個々の構成要素を示す概略平面図であり、(a)は下部電極、(b)は絶縁膜、(c)は有機膜、(d)は上部電極を示す
【図11】(a)は本発明者の第2の試作品としての有機EL素子の概略平面図であり、(b)は(a)中のA−A概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、説明の簡略化を図るべく、図中、同一符号を付してある。
【0043】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る有機EL素子1の車載メータへの取り付け状態を示す概略斜視図である。また、図2は、本実施形態に係る有機EL素子1の構成を示す図であり、(a)は概略平面図、(b)は(a)中の一点鎖線B−Bに沿った概略断面図である。また、図3は、図2(a)中の一点鎖線C−Cに沿った概略断面図である。
【0044】
なお、識別のために便宜上、図1では、絶縁膜60に点ハッチングを施してある。後述するように、この絶縁膜60は、隔壁80の直下にも存在するものであるが、図1では、絶縁膜60のうち隔壁80と重なる部位には点ハッチングを施していない。
【0045】
この図1〜図3に示される有機EL素子1は、実質的に上記図11に示した第2の試作品に対して、金属補助電極90(図2(a)では破線にて示す)を追加した構成をなすものであり、多少重複するところもあるが、主として補足事項、第2の試作品との相違点を中心に述べることとする。
【0046】
図1に示されるように、本実施形態の有機EL素子1は、車載メータのディスプレイなどとして、メータの文字盤110の前面に取り付けられる。文字盤110の前面側は、運転手などのユーザー側、いわゆる視認者が位置する側である。よって、この文字盤110は、有機EL素子1の背後に位置する背面物質110とされている。
【0047】
図2に示されるように、本実施形態の有機EL素子1も、透明基板10の一面11上に、透明材料よりなる下部電極20、有機材料からなる有機膜30、光を通さない材料よりなる上部電極40が順次積層された積層体よりなるものであって、下部電極20と上部電極40との間に電圧印加することにより有機膜30を発光させる発光画素50が設けられている。
【0048】
また、本実施形態においても、透明基板10の一面11上にて、発光画素50の外側には、発光画素50を構成する積層体が連続して拡がった領域であって、下部電極20と有機膜30との間に、電気絶縁性の絶縁膜60が介在することによって電圧印加による有機膜30の発光が起こらない非発光領域50aが存在している。
【0049】
そして、発光画素50は、絶縁膜60の開口部内の領域として当該開口部の内郭として区画されたものであり、絶縁膜60の開口部の内郭が発光画素50の外郭に相当するものとなっている。
【0050】
さらに、本実施形態においても、発光画素50の領域において、下部電極20上に延びて有機膜30および上部電極40を分断して複数領域51、52に区画する電気絶縁性の隔壁80が下部電極20上に設けられており、隔壁80を挟んで位置する複数領域51、52が同時発光するようになっている。
【0051】
ここで、これら透明基板10の一面11上の下部電極20、引き出し電極21、22、絶縁膜60、有機膜30、上部電極40、隔壁80、発光画素50の各平面形状は、上記第2の試作品のものと同様である。
【0052】
各部について、より詳細に述べると、透明基板10は透明なガラスや樹脂などよりなる電気絶縁性の板状のものである。下部電極20、およびこれと一体に形成された下部電極用の引き出し電極21、別体の上部電極用の引き出し電極22は、同一の透明電極材料、たとえばITO(インジウムチンオキサイド)や、インジウム亜鉛の酸化物膜等の透明導電膜などよりなる。
【0053】
下部電極20および各引き出し電極21、22は、蒸着やスパッタなどにより成膜されるもので、上記第2の試作品と同様、下部電極20の平面形状が矢印形状となるようにパターニングされている。その膜厚は、たとえば、100nmから1μm程度であり、好ましくは150nm程度である。
【0054】
また、有機膜30は、真空蒸着法にて成膜されたもので、下部電極20側から順に、たとえば、正孔注入性有機材料からなる正孔注入層、正孔輸送性有機材料からなる正孔輸送層、正孔輸送性有機材料や電子輸送性有機材料に蛍光色素をドープした有機EL材料からなる発光層、電子輸送性有機材料からなる電子輸送層が積層されてなる。
【0055】
なお、有機膜30は、有機材料からなり、下部電極20と上部電極40との間に順方向バイアス電圧を印加したときに、発光する構造であればよく、上記の積層例に限定されるものではない。この有機膜30は、上記第2の試作品と同様、隔壁80で分断されつつ、引き出し領域R以外の略全面に成膜されている。
【0056】
上部電極40は、通常の有機EL素子に採用可能な陰極材料を採用できる。たとえば、上部電極40は、厚さ100nm程度のアルミニウム膜などよりなり、スパッタや蒸着などにより成膜される。
【0057】
この上部電極40も、上記第2の試作品と同様、隔壁80で分断されつつ、引き出し領域R以外の略全面に成膜されている。また、上記同様、引き出し領域R側では、上部電極40の端部は有機膜30の端部より拡がり、有機膜30の端部を被覆している。
【0058】
また、絶縁膜60は、下部電極20が存在する非発光領域50aでは下部電極20の上に成膜され、非発光領域50aのさらに外側の下部電極20が存在しない領域では透明基板10の一面11に直接成膜されている。そして、非発光領域50aでは、下部電極20と有機膜30との間に絶縁膜60が介在し、両膜20、30は絶縁膜60で電気的に絶縁されている。
【0059】
このような絶縁膜60は、一般に感光性レジストやポリイミドなどの高分子やシリコン酸化膜などの無機物などから形成されている。そして、絶縁膜60は、フォトリソグラフやエッチングなどの技術を用いて、パターニング形成される。
【0060】
また、本実施形態においても、隔壁80は、発光画素50を横断するように設けられて発光画素50を複数領域(ここでは2個の領域)51、52に完全に分割するものである。なお、ここでも、隔壁80は、発光領域50aでは下部電極20上に形成されるが、非発光領域50aおよび非発光領域50aのさらに外側領域では絶縁膜60上に形成されて、有機膜30および上部電極40を分断している。
【0061】
ここでは、図2(b)に示されるように、隔壁80は、透明基板10の一面11側から離れる方向(図2(b)中の上方)に向かって広がる逆テーパ形状をなしている。この隔壁80はたとえばネガ型の感光性樹脂レジスト材料などからなる。
【0062】
隔壁80においてこのような逆テーパの断面形状とすることは、図2(b)に示すように、有機膜30および上部電極40の成膜工程においてこれら有機膜30および上部電極40を適切に画定するためである。
【0063】
こうして、発光領域50aすなわち絶縁膜60の開口部内においては、有機膜30および上部電極40は、隔壁80によって、つながることなく完全に2領域51、52に分断されている。
【0064】
ここで、隔壁80を挟んで位置する複数領域51、52は、ともに上部電極用の引き出し電極22に接続されており、同時発光するようになっているが、その詳細な接続構成について図3を参照して述べる。
【0065】
なお、ここでは、上部電極用の引き出し電極22は、2個の領域51、52に対応して上部電極40側の部位が2本に枝分かれしているが、各枝分かれ部分の接続構成は、ともに図3に示すとおりである。
【0066】
図3に示されるように、透明基板10の一面11上にて、上部電極用の引き出し電極22の上には、絶縁膜60が形成されているが、このうち上部電極40との接続部位では、絶縁膜60が除去されて、上部電極40と引き出し電極22とが直接接触することで導通が図られている。
【0067】
なお、この両者22、40の接触部に対して、図3中の矢印Lに示されるように、レーザLによる溶接を行い、当該両者22、40を溶け合わせるようにしてもよく、その場合には、両者22、40の接合性の向上が期待できる。
【0068】
かかる本実施形態の有機EL素子1においては、さらに、図2に示されるように、隔壁80とその下の下部電極20との間には、光を遮る遮光部であって下部電極20の補助電極として構成される金属補助電極90が設けられている。
【0069】
ここでは、金属補助電極90は下部電極20上に積層され、下部電極20と直接接触して導通することで、補助電極として機能するようになっている。この金属補助電極90は、上部電極40と同様の材料、たとえばアルミニウムなどよりなるが、それ以外にも、アルミニウム合金やクロムなどの遮光性を有する導電性材料であればよい。
【0070】
また、図2に示されるように、この金属補助電極90は、隔壁80から隔壁80を挟んで隔壁80の両側に位置する上部電極40と有機膜30との積層部まで拡がっている。つまり、金属補助電極90は、隔壁80の下部だけでなく、下部電極20の表面上をこのように拡がるものであり、隔壁80の幅よりも幅が広くされたものである。
【0071】
具体的には、金属補助電極90の配線を、隔壁80の上端幅よりも広く形成する。たとえば、隔壁80の上端幅は10μmであり、金属補助電極90の配線幅は、20μmとする。
【0072】
発光画素50からの光は透明基板10の他面12側から取り出すが、金属補助電極90が形成された箇所では光を取り出すことができず、非発光部となる。金属補助電極90による非発光部が肉眼で確認できないようにするためには、金属補助電極90の配線幅は、20μm以下であることが好ましい。
【0073】
さらに、本実施形態では、図2に示されるように、隔壁80の両側に位置する上部電極40と有機膜30との積層部に位置する金属電極90の端部を、有機膜30と下部電極20との間に入り込ませており、そうすることで、有機膜30を介して上部電極40と重なっている領域である重なり領域S1が存在している。
【0074】
かかる本実施形態の有機EL素子1は次のようにして製造される。透明基板10の一面11上に、スパッタ、蒸着、CVD、フォトリソグラフ、エッチングなどの一般的な手法を用いて成膜およびパターニングを行い、下部電極20および各引き出し電極21、22を形成する。
【0075】
その上に、一般的な手法による成膜およびパターニングを行って、金属補助電極90を形成する。次に、その上に、絶縁膜60をフォトリソグラフおよびパターニングにより形成する。続いて、その上に隔壁80をフォトリソグラフおよびパターニングにより形成する。
【0076】
その後は、有機膜30、上部電極40を成膜すれば、隔壁80によって分断された状態で有機膜30および上部電極40が形成される。こうして、本実施形態の有機EL素子ができあがる。
【0077】
そして、本実施形態の発光画素50においても、各引き出し電極21、22を介して、下部電極20と上部電極40との間に電圧印加することにより有機膜30を発光させる。具体的には、下部電極20に正電圧、上部電極40に負電圧を印加する。一方、非発光領域50aでは、下部電極20と有機膜30との間に絶縁膜60が介在することによって、上記電圧印加による有機膜30の発光が起こらないようになっている。
【0078】
そして、この有機膜30の発光による光を、透明基板10を通して透明基板10の一面11とは反対の他面12側に取り出し、透明基板10の他面12側に位置するユーザーが、その光を視認するようになっている。図示例では、表示画素50の形状に合わせて矢印形状が視認される。
【0079】
ところで、本実施形態によれば、ユーザー等が光取り出し側である透明基板10の他面12側から有機EL素子を見たとき、発光画素50の分断された領域間に位置する部位、すなわち隔壁80および隔壁80と有機膜30および上部電極40との隙間が、金属補助電極90により完全に遮光された状態となる。
【0080】
具体的には、隔壁80の下部だけでなく上部電極40との重なり領域S1を形成するように金属補助電極90を設けることで、図2(b)中の矢印のように、非発光時に外部光が隔壁80の下端部に入射した場合、金属補助電極90によって外部光の透過を抑制することができ、背面物質110が見える中見え現象を無くすことができる。
【0081】
また、隔壁80によって上部電極40を複数領域51、52に分割することで上部電極40がもたらす応力を緩和することができる。本実施形態では、上部電極40を完全に2領域に分断しているため、上部電極40による応力を約50%ずつに低減することができる。
【0082】
たとえば発光画素50の面積は約40mm2であるが、本実施形態では、上部電極40の応力を約50%に低減することで、輝度ムラを約50%から98%と問題無いレベルにすることができる。
【0083】
このように、本実施形態によれば、隔壁80によって上部電極40を複数領域51、52に分割することで上部電極40がもたらす応力を緩和するとともに、上記した中見え現象を適切に防止することができる。
【0084】
また、本実施形態では隔壁80によって上部電極40を完全に2領域51、52に分断しているが、完全に分断する領域数を増やす(たとえば、3領域、4領域以上)ことで、上部電極40による応力をより緩和することができる。つまり、分断される領域数は限定されないものであり、画素サイズが大きいほど領域数は多くした方がよく、画素サイズによって適時選択すればよい。
【0085】
また、本実施形態によれば、金属補助電極90は下部電極20の補助電極として機能するから、見かけ上、下部電極20の配線抵抗を低減することができ、発光画素50内の各領域51、52への電力供給を均一化することができる。
【0086】
また、本実施形態においては、上部電極40と金属補助電極90とが同一材料よりなることが望ましい。それによれば、上部電極40と金属補助電極90とで反射率を実質同一にすることができるから、光取り出し側である透明基板10の他面12側からの外部光の反射光を、上部電極40と金属補助電極90とで実質同一のレベルにでき、見栄えがよくなる。
【0087】
具体的に言えば、図2(b)の矢印に示されるように、隔壁80上以外の上部電極40が形成された領域にて上部電極40によって外部光が反射される場合と、金属補助電極90によって外部光が反射される場合とがあり、それぞれの場合、反射膜40、90までの外部光の通過経路が異なる。
【0088】
つまり、隔壁80上でない上部電極40が形成された領域では、外部光が有機膜30を通過する点が異なる。しかしながら、有機膜30は一般的に膜厚が約200nmと薄く、透過率が全波長域で95%以上であるため、反射光に関して有機膜30の影響は少ない。つまり、上記した反射膜までの外部光の2つの通過経路においては、上部電極40と金属補助電極90の反射率の相違が、反射光の相違の主原因となる。
【0089】
上部電極40と金属補助電極90とで反射率が大きく異なる場合、光取り出し側である透明基板10の他面12側からの外部光の反射光が、上部電極40と金属補助電極90とで異なり、この相違がユーザーに認識されやすくなるが、本実施形態によれば、そのような相違が認識されなくなり、見栄えがよくなる。
【0090】
(第2実施形態)
図4は、本発明の第2実施形態に係る有機EL素子の構成を示す図であり、(a)は概略平面図、(b)は(a)中の一点鎖線D−Dに沿った概略断面図である。
【0091】
本実施形態は、上記第1実施形態の有機EL素子1(上記図2等参照)に対して、さらに低抵抗補助電極100を追加した構成としたところが相違するものであり、ここでは、その相違点を中心に述べることとする。なお、図4(a)では低抵抗補助電極100の外形を一点鎖線にて示している。
【0092】
図4に示されるように、本実施形態においても、透明基板10の一面11上にて、発光画素50の外側には、上記同様の非発光領域50aが存在する。上記第1実施形態では図示しなかったが、この非発光領域50aの断面構成は、本実施形態における図4(b)に示される。
【0093】
図4(b)に示されるように、発光画素50の積層体を構成する下部電極20、有機膜30、上部電極40がそれぞれ、発光領域50aから非発光領域50aまで連続して拡がっており、さらに、非発光領域50aでは、当該積層体において、下部電極20と有機膜30との間に絶縁膜60が介在する積層構成とされている。
【0094】
それにより、発光画素50は、絶縁膜60の開口部内の領域として当該開口部の内郭として区画されたものとされ、非発光領域50aでは、上下電極20、40への電圧印加による有機膜30の発光が起こらないものとされている。
【0095】
ここにおいて、本実施形態では、図4に示されるように、非発光領域50aでは、下部電極20と絶縁膜60との間に、下部電極20よりも低抵抗材料よりなり下部電極20を低抵抗化するための低抵抗補助電極100が設けられている。
【0096】
この低抵抗補助電極100は、たとえばCrなどのITOよりも低抵抗な膜よりなり、一般的な成膜、パターニング手法により形成される。また、金属補助電極90と同一材料でもよい。具体的には、上記第1実施形態に述べた有機EL素子1の製造方法において、下部電極20の形成と絶縁膜60の形成との間に、低抵抗補助電極100を形成すればよい。
【0097】
それによれば、見かけ上、下部電極20の配線抵抗をさらに低減することができる。具体的に、この発光画素50の外側の非発光領域50aに位置する下部電極20は、外部と接続される引き出し電極21につながる部分であるが、当該部分に低抵抗補助電極100を設けることで、当該部分の配線抵抗を小さくすることができる。そして、引き出し電極21から発光画素50までの抵抗による電圧降下を小さくできる。
【0098】
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態に係る有機EL素子の概略平面図である。また、図6は、図5中の一点鎖線E−Eに沿った概略断面図である。
【0099】
上記第1実施形態では、セグメントパターンの有機EL素子について述べたが、本実施形態は、上記第1実施形態をパッシブのドットマトリックスパターンに適用したところが相違するものである。
【0100】
なお、図5において、識別のために便宜上、絶縁膜60に点ハッチングを施し、金属補助電極90は破線にて示している。また、図5においても、絶縁膜60は、隔壁80の直下にも存在するものであるが、図5では、絶縁膜60のうち隔壁80と重なる部位には点ハッチングを施していない。
【0101】
このドットマトリクスパターンは、複数本のストライプ状に配置された下部電極20と有機膜30および上部電極40との重なり部分において、絶縁膜60の開口部を設けることにより、発光画素50が格子状に配置されるものである。
【0102】
図5に示される例では、図中の上下方向に延びる2本の下部電極20が示されており、発光画素区画用の隔壁70により区画された4個の発光画素50が示されている。ここでは、各発光画素50は矩形をなしている。また、図5に示されるように、本実施形態においても、透明基板10の一面11上にて、発光画素50の外側には、上記同様の非発光領域50aが存在している。
【0103】
そして、図5、図6に示されるように、各発光画素50は、さらに、上記第1実施形態と同様の隔壁80により、2領域51、52に分割されている。ここで、発光画素区画用の隔壁70は、隔壁80と同一材料で一体にパターニング形成されたものである。
【0104】
そして、引き出し電極21、22を介して、所望の発光画素50を選択的に発光または非発光とすることにより、ドットマトリクスパターン特有の多様な情報表示が可能とされている。
【0105】
ここにおいて、本実施形態においても、図5、図6に示されるように、金属補助電極90が、発光画素50ごとに設けられている。この金属補助電極90の構成や配置については上記第1実施形態と同様である。
【0106】
それにより、本実施形態においても、ユーザー等が光取り出し側である透明基板10の他面12側から有機EL素子を見たとき、隔壁80および隔壁80と有機膜30および上部電極40との隙間が、金属補助電極90により遮光された状態となるから、背後物質110が見えることは無くなる。
【0107】
よって、本実施形態によれば、隔壁80によって上部電極40を複数領域51、52に分割することで上部電極40がもたらす応力を緩和するとともに、上記した中見え現象を適切に防止することができる。また、本実施形態においても、金属補助電極90は下部電極20の補助電極として機能するから、見かけ上、下部電極20の配線抵抗を低減することができる。
【0108】
(第4実施形態)
図7は、本発明の第4実施形態に係る有機EL素子の概略平面図である。また、図8は、図7中の一点鎖線F−Fに沿った概略断面図である。
【0109】
本実施形態は、上記第3実施形態の図5に示されるドットマトリクスパターンの有機EL素子に対して、さらに低抵抗補助電極100を追加した構成としたところが相違するものである。つまり、図7は、上記図5に対して低抵抗補助電極100を追加したものであり、図7では低抵抗補助電極100の外形を一点鎖線にて示している。
【0110】
図7、図8に示されるように、本実施形態では、非発光領域50aにおいて、下部電極20と絶縁膜60との間に、下部電極20よりも低抵抗材料よりなり下部電極20を低抵抗化するための低抵抗補助電極100が設けられている。
【0111】
この低抵抗補助電極100は、上記第2実施形態のものと同様であり、たとえばCrなどのITOよりも低抵抗な膜よりなり、一般的な成膜、パターニング手法により形成される。また、金属補助電極90と同一材料でもよい。こうして、本実施形態によれば、上記第2実施形態と同様、見かけ上、下部電極20の配線抵抗をさらに低減できるという効果が期待される。
【0112】
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態において、引き出し電極21、22は、下部電極20と同一材料のものでなくてもよく、別材料にて別途形成したものであってもよい。
【符号の説明】
【0113】
1 有機EL素子
10 透明基板
11 透明基板の一面
12 透明基板の他面
20 下部電極
30 有機膜
40 上部電極
50 発光画素
50a 非発光領域
51、52 隔壁で分割された発光画素の領域
80 隔壁
90 金属補助電極
100 低抵抗補助電極
S1 重なり領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板(10)の一面(11)上に、透明材料よりなる下部電極(20)、有機材料からなる有機膜(30)、光を通さない材料よりなる上部電極(40)が順次積層された積層体よりなるものであって、前記下部電極(20)と前記上部電極(40)との間に電圧印加することにより前記有機膜(30)を発光させる発光画素(50)を備え、
前記有機膜(30)の発光による光を、前記透明基板(10)を通して前記透明基板(10)の他面(12)側に取り出すものである有機EL素子において、
前記発光画素(50)の領域において、前記下部電極(20)上に延びて前記有機膜(30)および前記上部電極(40)を分断して複数領域(51、52)に区画する電気絶縁性の隔壁(80)が前記下部電極(20)上に設けられており、
前記隔壁(80)を挟んで位置する前記複数領域(51、52)が同時発光するようになっており、
前記隔壁(80)とその下の前記下部電極(20)との間には、光を遮る遮光部であって前記下部電極(20)の補助電極として構成される金属補助電極(90)が設けられており、
前記金属補助電極(90)は、前記隔壁(80)から前記隔壁(80)を挟んで前記隔壁(80)の両側に位置する前記上部電極(40)と前記有機膜(30)との積層部まで拡がっており、
当該積層部に位置する前記金属補助電極(90)の端部が、前記有機膜(30)と前記下部電極(20)との間に入り込むことで、前記有機膜(30)を介して前記上部電極(40)と重なっている重なり領域(S1)が存在することを特徴とする有機EL素子。
【請求項2】
前記上部電極(40)と前記金属補助電極(90)とが同一材料よりなることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
【請求項3】
前記透明基板(10)の一面(11)上にて、前記発光画素(50)の外側には、前記発光画素(50)を構成する前記積層体が連続して拡がった領域であって、前記下部電極(20)と前記有機膜(30)との間に、電気絶縁性の絶縁膜(60)が介在することによって前記電圧印加による前記有機膜(30)の発光が起こらない非発光領域(50a)が存在しており、
前記発光画素(50)は、前記絶縁膜(60)の開口部内の領域として当該開口部の内郭として区画されたものであり、
前記非発光領域(50a)では、前記下部電極(20)と前記絶縁膜(60)との間に、前記下部電極(20)よりも低抵抗材料よりなり前記下部電極(20)を低抵抗化するための低抵抗補助電極(100)が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL素子。
【請求項1】
透明基板(10)の一面(11)上に、透明材料よりなる下部電極(20)、有機材料からなる有機膜(30)、光を通さない材料よりなる上部電極(40)が順次積層された積層体よりなるものであって、前記下部電極(20)と前記上部電極(40)との間に電圧印加することにより前記有機膜(30)を発光させる発光画素(50)を備え、
前記有機膜(30)の発光による光を、前記透明基板(10)を通して前記透明基板(10)の他面(12)側に取り出すものである有機EL素子において、
前記発光画素(50)の領域において、前記下部電極(20)上に延びて前記有機膜(30)および前記上部電極(40)を分断して複数領域(51、52)に区画する電気絶縁性の隔壁(80)が前記下部電極(20)上に設けられており、
前記隔壁(80)を挟んで位置する前記複数領域(51、52)が同時発光するようになっており、
前記隔壁(80)とその下の前記下部電極(20)との間には、光を遮る遮光部であって前記下部電極(20)の補助電極として構成される金属補助電極(90)が設けられており、
前記金属補助電極(90)は、前記隔壁(80)から前記隔壁(80)を挟んで前記隔壁(80)の両側に位置する前記上部電極(40)と前記有機膜(30)との積層部まで拡がっており、
当該積層部に位置する前記金属補助電極(90)の端部が、前記有機膜(30)と前記下部電極(20)との間に入り込むことで、前記有機膜(30)を介して前記上部電極(40)と重なっている重なり領域(S1)が存在することを特徴とする有機EL素子。
【請求項2】
前記上部電極(40)と前記金属補助電極(90)とが同一材料よりなることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
【請求項3】
前記透明基板(10)の一面(11)上にて、前記発光画素(50)の外側には、前記発光画素(50)を構成する前記積層体が連続して拡がった領域であって、前記下部電極(20)と前記有機膜(30)との間に、電気絶縁性の絶縁膜(60)が介在することによって前記電圧印加による前記有機膜(30)の発光が起こらない非発光領域(50a)が存在しており、
前記発光画素(50)は、前記絶縁膜(60)の開口部内の領域として当該開口部の内郭として区画されたものであり、
前記非発光領域(50a)では、前記下部電極(20)と前記絶縁膜(60)との間に、前記下部電極(20)よりも低抵抗材料よりなり前記下部電極(20)を低抵抗化するための低抵抗補助電極(100)が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL素子。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
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【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−204250(P2012−204250A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69539(P2011−69539)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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