説明

有機EL表示装置、有機EL表示装置の製造方法および電子機器

【課題】表示画像の視認性を低下せることなく、小型化および高精細化を実現可能な有機EL表示装置を提供する。
【解決手段】有機EL表示装置は、駆動基板上の表示領域に設けられた第1電極が、第1導電膜(反射膜)の下層に、これよりも低反射率の第2導電膜を有する積層膜からなる。周辺領域には、第2電極に接続される電極パッドが設けられ、この電極パッドが、第1電極を構成する積層膜のうちの少なくとも第2導電膜と同一材料よりなる導電膜を含む。第1電極では、積層膜のうちの反射膜としての第1導電膜の機能が発揮され、電極パッドでは、低反射率の第2導電膜と同一材料よりなる導電膜により、外光反射が抑えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、有機材料の電界発光(EL;Electro Luminescence)現象を利用して画像表示を行う有機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上面発光型(トップエミッション型)の有機EL表示装置は、反射電極として機能する下部電極(例えばアノード電極)と、上部電極(例えばカソード電極)との間に有機電界発光層を挟み込んだ素子構造を有し、上部電極側から光取り出しを行うものである(例えば、特許文献1)。このような有機EL表示装置では、シリコンウェーハ上に素子構造を形成することで、画素間ピッチを数μm程度にまで小型高精細化することが可能である。ところが、このように画素間ピッチが微細化すると、赤(R),緑(G),青(B)の各画素の発光層を、蒸着マスクを用いた蒸着法により形成する(塗り分ける)場合、マスクの位置合わせ精度が不足し易い。このため、例えば上記3色の発光層を全画素にわたって積層して白色の発光を取り出す、いわゆるRGB−White方式が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−252406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記RGB−White方式では、発光領域(表示領域)内の全域にわたって発光層が蒸着されるため、上部電極(カソード電極)を取り出す(カソード電極に配線接続を行う)ためのパッド等を発光領域内に形成することができない。従って、発光領域外にカソード接続用のパッド(以下、電極パッドという)を設ける必要がある。
【0005】
この電極パッドは、発光素子よりも下層に配置される薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)等の配線層と同層に(同一工程において)形成できるが、この場合には、電極パッドとカソード電極との間に多数の層が介在することになる。従って、電極パッドとカソード電極との間の段差が大きくなり、カソード電極が局所的に薄くなったり、途切れ易くなる。尚、この段差による影響は、カソード電極の厚みを大きくすることで緩和されるが、厚みを大きくすると、カソード電極における光吸収により光取り出し効率が低下してしまう。これにより、表示画像において視認性が低下するという問題がある。
【0006】
本開示はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、表示画像の視認性を低下せることなく、小型化および高精細化を実現可能な有機EL表示装置、有機EL表示装置の製造方法および電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の有機EL表示装置は、駆動基板上の表示領域に設けられると共に、それぞれが、2層以上からなる積層膜を有する複数の第1電極と、複数の第1電極上に表示領域の全域にわたって設けられ、発光層を含む有機層と、駆動基板上の表示領域の周辺領域に設けられた電極パッドと、有機層上から電極パッド上にわたって設けられた第2電極とを備えたものである。積層膜は、反射膜として機能する第1導電膜と、第1導電膜の下層に設けられて第1導電膜よりも低反射率を有する第2導電膜とを有し、電極パッドは、その積層膜の一部に対応すると共に、第2導電膜と同一材料よりなる導電膜を含んで構成されている。
【0008】
本開示の有機EL表示装置では、駆動基板上の表示領域に設けられた第1電極が、第1導電膜(反射膜)の下層にこれよりも低反射率の第2導電膜を有する積層膜からなり、周辺領域において第2電極に接続される電極パッドが、そのような積層膜のうちの少なくとも第2導電膜と同一材料よりなる導電膜を含む。第1電極では、積層膜のうちの反射膜としての第1導電膜の機能が発揮され、電極パッドでは、低反射率の第2導電膜と同一材料よりなる導電膜により、外光反射が抑えられる。
【0009】
本開示の有機EL表示装置の製造方法は、駆動基板上の表示領域に、それぞれが、2層以上からなる積層膜を有する複数の第1電極を形成する工程と、複数の第1電極上に表示領域の全域にわたって、発光層を含む有機層を形成する工程と、駆動基板上の表示領域の周辺領域に電極パッドを形成する工程と、有機層上から電極パッド上にわたって第2電極を形成する工程とを含む。複数の第1の電極を形成する工程では、積層膜として、反射電極として機能する第1導電膜と、第1導電膜の下層において第1導電膜よりも低反射率を有する第2導電膜とを形成する。電極パッドを形成する工程では、電極パッドとして、上記積層膜の一部に対応すると共に、第2導電膜と同一材料よりなる導電膜を形成する。
【0010】
本開示の有機EL表示装置の製造方法では、駆動基板上の表示領域に、第1電極として、第1導電膜(反射膜)の下層にこれよりも低反射率の第2導電膜を有する積層膜を形成する。周辺領域では、電極パッドを、そのような積層膜のうちの少なくとも第2導電膜を含んで形成する。第1電極と電極パッドとを同一工程において成膜しつつも、第1電極では、反射膜としての機能を発揮させる一方、電極パッドでは、外光反射を抑えることができる。
【0011】
本開示の電子機器は、上記本開示の有機EL表示装置を備えたものである。
【発明の効果】
【0012】
本開示の有機EL表示装置、有機EL表示装置の製造方法および電子機器によれば、駆動基板上の表示領域に設けられた第1電極が、第1導電膜(反射膜)の下層にこれよりも低反射率の第2導電膜を有する積層膜からなり、周辺領域において第2電極に接続される電極パッドが、そのような積層膜のうちの少なくとも第2導電膜を含んで構成される。これにより、第1電極では反射機能を発揮させる一方、電極パッドでは外光反射を抑えることができる。よって、表示画像の視認性を低下せることなく、小型化および高精細化を実現可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本開示の第1の実施の形態に係る有機EL表示装置の断面構成を表す図である。
【図2】図1に示した有機EL表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図3】図2に続く工程を表す断面図である。
【図4】図3に続く工程を表す断面図である。
【図5】図4に続く工程を表す断面図である。
【図6】図5に続く工程を表す断面図である。
【図7】図6に続く工程を表す断面図である。
【図8】図7に続く工程を表す断面図である。
【図9】図8に続く工程を表す断面図である。
【図10】図9に続く工程を表す断面図である。
【図11】本開示の第2の実施の形態に係る有機EL表示装置の断面構成を表す図である。
【図12】図11に示した有機EL表示装置の製造方法を説明するための断面図である。
【図13】コンタクト層形成工程を説明するための拡大断面図である。
【図14】コンタクト層の拡大断面図である。
【図15】図12に続く工程を表す断面図である。
【図16】図15に続く工程を表す断面図である。
【図17】図16に続く工程を表す断面図である。
【図18】図17に続く工程を表す断面図である。
【図19】図18に続く工程を表す断面図である。
【図20】図19に続く工程を表す断面図である。
【図21】図20に続く工程を表す断面図である。
【図22】図21に続く工程を表す断面図である。
【図23】実施の形態等に係る表示装置の周辺回路を含む全体構成を表す図である。
【図24】図23に示した画素の回路構成を表す図である。
【図25】図23に示した表示装置を含むモジュールの概略構成を表す平面図である。
【図26】実施の形態等の表示装置の適用例1の外観を表す斜視図である。
【図27】(A)は適用例2の表側から見た外観を表す斜視図であり、(B)は裏側から見た外観を表す斜視図である。
【図28】適用例3の外観を表す斜視図である。
【図29】適用例4の外観を表す斜視図である。
【図30】(A)は適用例5の開いた状態の正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態の正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示における実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。尚、説明は以下の順序で行う。

1.第1の実施の形態(第1電極を構成する積層膜のうち、第1導電膜(高反射膜)をほぼ全域にわたって除去したものを電極パッドとして形成した例)
2.第2の実施の形態(第1電極を構成する積層膜のうち、第1導電膜(高反射膜)を部分的な領域において除去したものを電極パッドとして形成した例)
3.適用例(電子機器への適用例)
【0015】
<第1の実施の形態>
[構成]
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る有機EL表示装置(有機EL表示装置1)の断面構成を表すものである。有機EL表示装置1は、例えばいわゆるトップエミッション方式(上面発光方式)により発光を生じるものであり、例えば、駆動基板10上の表示領域S1に、複数の有機EL素子(EL素子部13A)が例えばマトリクス状に配置されたものである。尚、図1には、1つのEL素子部13Aと、後述の電極パッド14P(表示領域S1と周辺領域S2との境界付近)について図示している。各EL素子部13Aは、例えば赤(R),緑(G),青(B)の3つのサブピクセルのいずれかを構成しており、これらの3つのサブピクセルが1つのピクセルとして機能するようになっている。
【0016】
(駆動基板10)
駆動基板10は、例えばアモルファスシリコン(非晶質シリコン)よりなる基板10a上に、TFT11を含む駆動回路(後述の画素回路40等)が配設されたものである。但し、基板10aは、アモルファスシリコンに限定されず、ポリシリコン(多結晶シリコン)、石英、ガラス、金属箔、シリコンまたはプラスチック等からなるものであってもよい。
【0017】
TFT11は、例えば後述の画素回路40におけるサンプリング用トランジスタ3Aまたは書き込み用トランジスタ3Bに相当するものであり、その構成は例えば逆スタガ構造(いわゆるボトムゲート型)でもよいしスタガ構造(トップゲート型)であってもよい。基板10a上には、このTFT11を覆って第1絶縁膜110が設けられており、第1絶縁膜110上には、容量素子等を形成するための配線層111が設けられている。この配線層111を覆うように、基板全面にわたって第2絶縁膜112が形成されている。第1絶縁膜110は、例えば酸窒化シリコン(SiON)または一酸化シリコン(SiO)からなることが望ましく、第2絶縁膜112は、例えば二酸化シリコン(SiO2)からなることが望ましい。これらの第1絶縁膜110および第2絶縁膜112には、EL素子部13Aに対応する領域にコンタクト層113A、電極パッド14Pに対応する領域にコンタクト層113Bがそれぞれ埋設されている。尚、図1では、コンタクト層113Aは1本、コンタクト層113Bは、複数本(ここでは5本)、それぞれ設けているが、これらのコンタクト層113A,113Bの本数や径等は図示したものに特に限定されない。
【0018】
コンタクト層113A,113Bは、例えば、第1絶縁膜110および第2絶縁膜112を貫通するコンタクトホールに、導電性材料が埋め込まれて形成されたものである。導電性材料としては、例えばタングステン(W)が挙げられる。コンタクト層113Aは、EL素子部13Aの下部電極(第1電極14)と、TFT11の電極(例えばソースまたはドレイン)とを電気的に接続させるものである。コンタクト層113Bは、電極パッド14Pの導電膜(低反射導電膜14b)と、配線層11aとを電気的に接続させるものである。配線層11aは、基板10a上において、TFT11と同層に形成されている。
【0019】
(EL素子部13A)
EL素子部13Aは、例えばトップエミッション方式により発光を生じるものであり、駆動基板10の第2絶縁膜112上に、例えば第1電極14、有機層16および第2電極17を備えている。また、第1電極14上には、基板全面にわたって画素間絶縁膜15が形成されており、この画素間絶縁膜15は、第1電極14に対向して開口H1、電極パッド14Pに対向して開口H2をそれぞれ有している。この画素間絶縁膜15の開口H1に対向する領域が各EL素子部13Aにおける発光領域となる。
【0020】
画素間絶縁膜15は、各EL素子部13Aを電気的に分離する(画素開口を区画する)機能を有するものであり、例えば酸化シリコン(SiO2)等の無機絶縁膜により構成されている。この画素間絶縁膜15の厚みは、例えば10nm〜200nmである。
【0021】
第1電極14は、画素毎に設けられ、例えばアノードとして機能すると共に、反射電極として機能するものである。本実施の形態では、この第1電極14が、反射膜としての高反射導電膜14aを有しており、これよりも下層に、低反射導電膜14bを有している。即ち、第1電極14は、駆動基板10側から順に低反射導電膜14bと高反射導電膜14aとを有する積層膜となっている。
【0022】
高反射導電膜14aとしては、例えばアルミニウム(Al)またはアルミニウムを含む合金(例えばアルミニウムとネオジウム(Nd)との合金)が好適である。但し、この他にも、例えば銀(Ag)の単体または合金(例えばマグネシウム(Mg)と銀との合金)が用いられてもよい。高反射導電膜14aの厚みは、例えば20nm〜600nmである。
【0023】
低反射導電膜14bは、高反射導電膜14aよりも反射率の低い導電膜材料からなり、例えば、チタン(Ti)または窒化チタン(TiN)、あるいはチタンを含む合金よりなることが望ましい。第1電極14は、前述のようにコンタクト層113Aを介してTFT11の電極と電気的に接続されるが、コンタクト層113Aにタングステンを用いた場合、このタングステンがアルミニウム(高反射導電膜14a)に直に接すると反応が生じる。このため、これらの間に、チタンまたは窒化チタンよりなる低反射導電膜14bを有することにより、バリアメタルとして機能し、上記反応を抑制することができる。この低反射導電膜14bの厚みは、例えば5nm〜100nmである。
【0024】
有機層16は、例えば白色光を発する有機電界発光層(以下、白色発光層という)含むものであり、第1電極14および第2電極17を通じて電界をかけることにより電子と正孔との再結合を生じて、白色光を発生するようになっている。
【0025】
白色発光層は、詳細には、例えば、赤色光を発する赤色発光層、緑色光を発する緑色発光層および青色光を発する青色発光層を積層した構造(タンデム構造)を有している。赤色発光層は、例えば赤色発光材料,正孔輸送性材料および電子輸送性材料のうち少なくとも1種を含み、例えば4,4−ビス(2,2−ジフェニルビニン)ビフェニル(DPVBi)に2,6−ビス[(4'−メトキシジフェニルアミノ)スチリル]−1,5−ジシアノナフタレン(BSN)を混合したものから構成されている。緑色発光層は、例えば、緑色発光材料,正孔輸送性材料および電子輸送性材料のうち少なくとも1種を含み、例えば、ADNやDPVBiにクマリン6を混合したものから構成されている。青色発光層は、例えば、青色発光材料,正孔輸送性材料および電子輸送性材料のうち少なくとも1種を含み、例えば、DPVBiに4,4'−ビス[2−{4−(N,N−ジフェニルアミノ)フェニル}ビニル]ビフェニル(DPAVBi)を混合したものから構成されている。
【0026】
この有機層16は、上記のような発光層の他にも、例えば正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層などを含んでいてもよい。具体的には、第1電極14がアノードとして機能する場合には、第1電極14側から順に、正孔注入層、正孔輸送層、白色発光層および電子輸送層を積層した構造であってもよい。また、このような積層構造を有する有機層16は、駆動基板10上の全てのEL素子部13Aに共通して形成されていてもよいが、一部の層がEL素子部13A毎に設けられ、その他の層が全EL素子部13Aに共通して設けられていてもよい。また、有機層16と第2電極17との間には、更に、例えばLiFよりなる電子注入層が設けられていてもよい。
【0027】
尚、ここでは、白色発光層として、赤色発光層、緑色発光層および青色発光層を積層したものを例示したが、白色発光層の構成はこれに限定されず、混色により白色光を生成可能な構造であればよい。例えば、青色発光層と黄色発光層とを積層した構造、または青色発光層と橙色発光層とを積層した構造であってもよい。
【0028】
第2電極17は、例えば駆動基板10上の全てのEL素子部13Aに共通して設けられ、例えばカソードとして機能するものである。この第2電極17は、例えば酸化インジウムの化合物(例えば酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO))またはマグネシウム(Mg)および銀の共蒸着膜(MgAg共蒸着膜)により構成されている。この第2電極17は、後述の画素間絶縁膜15の開口H2において電極パッド14Pと電気的に接続されている。
【0029】
(電極パッド14P)
本実施の形態では、上記のようなEL素子部13Aを含む表示領域S1の周辺領域S2(額縁領域)に、第2電極17の配線接続用のパッドとして、上記第1電極14を構成する積層膜の一部に対応する電極パッド14Pが設けられている。具体的には、電極パッド14Pは、第1電極14の積層膜のうちの少なくとも低反射導電膜14bを含む構造を有している。例えば、電極パッド14Pでは、低反射導電膜14bを有すると共に、低反射導電膜14b上の端部にのみ高反射導電膜14aが設けられている。このような電極パッド14Pは、詳細は後述するが、第1電極14と同一工程において高反射導電膜14aおよび低反射導電膜14bからなる積層膜を成膜した後、高反射導電膜14aに対応する一部分を選択的に除去することで形成される。尚、電極パッド14Pでは、高反射導電膜14aの全部が除去されていてもよい。
【0030】
このような電極パッド14Pは、上述のように画素間絶縁膜15の開口H2において第2電極17と接触しており、これにより第2電極17との電気的接続が確保されている。ここで、本実施の形態では、有機層16が、表示領域S1から周辺領域S2の電極パッド14Pの一部を覆うように延在して形成されており、その端部16eが電極パッド14Pに向かってなだらかに傾斜している。第2電極17は、そのような有機層16の傾斜面に沿うように、基板全面にわたって形成されている。
【0031】
第2電極17上には、保護層18が設けられている。保護層18は、例えば厚みが2〜5μmであり、絶縁性材料または導電性材料のいずれにより構成されていてもよい。絶縁性材料としては、無機アモルファス性の絶縁性材料、例えばアモルファスシリコン(a−Si),アモルファス炭化シリコン(a−SiC),アモルファス窒化シリコン(a−Si1-xx)、アモルファスカーボン(a−C)等が好ましい。このような無機アモルファス性の絶縁性材料は、グレインを構成しないため透水性が低く、良好な保護膜となる。保護層18上には、図示しない接着層により封止基板20が貼り合わせられている。
【0032】
封止基板20は、保護層18と共に、各EL素子部13Aを封止するものであり、例えばR,G,Bの各色光に対して透明なガラスなどの材料により構成されている。この封止基板20には、図示しないカラーフィルタが設けられていてもよい。カラーフィルタは、例えば赤色,緑色または青色のフィルタを有し、例えば顔料や染料を混入した樹脂より構成されている。このようなカラーフィルタを設けることにより、各EL素子部13Aで発生した光(ここでは白色光)をR,G,Bの色光に変換して取り出すことができる。
【0033】
[製造方法]
上記のような有機EL表示装置1は、例えば次のようにして製造することができる。
【0034】
(駆動基板形成工程)
まず、駆動基板10を用意する。具体的には、上述した材料よりなる基板10a上に、所定の薄膜プロセスを経てTFT11を含む駆動回路を形成した後、基板10aの全面にわたって、上述した材料よりなる第1絶縁膜110を、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により成膜する。続いて、成膜した第1絶縁膜110上に配線層111をパターン形成した後、基板10aの全面にわたって、上述した材料よりなる第2絶縁膜112を例えばCVD法により成膜する。
【0035】
続いて、図2(A)に示したように、基板10a上の第1絶縁膜110および第2絶縁膜112にコンタクト層113A,113B用のコンタクトホールHa1,Ha2を形成する。具体的には、フォトリソグラフィ法を用いたドライエッチングにより、第1絶縁膜110および第2絶縁膜112の選択的な領域を、TFT11の表面または配線層11aの表面まで貫通するように除去する。
【0036】
この後、図2(B)に示したように、形成したコンタクトホールHa1,Ha2に、例えばタングステン等の導電性材料を、例えばスパッタ法により埋め込む。このようにして、コンタクト層113A,113Bを有する駆動基板10を形成する。
【0037】
(第1電極,電極パッドの形成工程)
次いで、図3(A)に示したように、駆動基板10上に、上述した材料よりなる低反射導電膜14bおよび高反射導電膜14aをこの順に、例えばスパッタ法により基板全面にわたって成膜する。この後、図3(B)に示したように、例えばフォトリソグラフィ法を用いたドライエッチングによりパターニングする。これにより、表示領域S1に、低反射導電膜14bおよび高反射導電膜14aからなる第1電極14を形成すると共に、周辺領域S2にも、同様の構成を有する積層膜14P1を形成する。また、第1電極14は、コンタクト層113Aを介してTFT11に電気的に接続され、周辺領域では、積層膜14P1のうちの低反射導電膜14b(電極パッド14Pに相当する部分)がコンタクト層113bを介して配線層11aに電気的に接続される。
【0038】
続いて、図4に示したように、基板全面にわたって、上述した材料よりなる画素間絶縁膜15を、例えばプラズマCVD(plasma-enhanced chemical vapor deposition)法により成膜する。
【0039】
この後、図5に示したように、例えばフォトリソグラフィ法を用いたドライエッチングにより、画素間絶縁膜15のうち、第1電極14に対向する領域と、積層膜14P1に対向する領域とを選択的に除去し、開口H1,H2を形成する。
【0040】
次いで、周辺領域S2に形成された積層膜14P1のうち高反射導電膜14aを選択的に除去する。具体的には、まず、図6に示したように、積層膜14P1に対向して(開口H2に対向して)開口120aを有するフォトレジスト膜120を形成する。この後、図7に示したように、例えばドライエッチングまたはウェットエッチングを施すことにより、積層膜14P1のうちの高反射導電膜14aのみを選択的に除去する。但し、詳細には、画素間絶縁膜15およびフォトレジスト膜120が、積層膜14P1の端部にオーバーラップして形成されるため、高反射導電膜14aのうちの端部分(14a1)については除去されずに、低反射導電膜14b上に残存する。この後、図8に示したように、フォトレジスト膜120を剥離することにより、低反射導電膜14bよりなる(詳細には、端部分14a1を含む)電極パッド14Pが形成される。
【0041】
(有機層形成工程)
次いで、図9に示したように、少なくとも表示領域の全域にわたって、上述した積層構造および材料等よりなる有機層16を形成する。この際、有機層16を、例えば真空蒸着法により成膜する。例えば、白色発光層としてR,G,Bの各色の発光層を積層させる場合には、各色の発光材料をそれぞれ真空蒸着法により、例えば基板全面に渡って順に堆積させる。また、周辺領域S2では、有機層16の端部16eが、電極パッド14Pの低反射導電膜14bの一部を覆うように延在して形成されるようにする。但し、電極パッド14Pの低反射導電膜14bの表面の一部は露出させておく。
【0042】
(第2電極形成工程)
この後、図10に示したように、基板全面にわたって、上述した材料よりなる第2電極17を例えばスパッタ法により成膜する。これにより、電極パッド14Pの低反射導電膜14bの有機層16から露出した部分と、第2電極17が接触して、これらが電気的に接続される。
【0043】
次いで、図示はしないが、形成した第2電極17上の全面を覆って、上述した材料よりなる上述した材料よりなる保護層18を形成した後、接着層を用いて駆動基板10と封止基板20とを貼り合わせる。以上により、図1に示した有機EL表示装置1を完成する。
【0044】
[作用・効果]
有機EL表示装置1では、各サブピクセル(EL素子部13A)に対し、映像信号に基づく駆動電流が第1電極14および第2電極17を通じて供給されると、各EL素子部13Aでは、有機層16(白色発光層)において、正孔と電子との再結合により発光が起こる。このようにして生じた白色光のうち、第1電極14側(下方)へ放たれた光は、第1電極14等によって反射された後、封止基板20の上方より出射する。一方、第2電極17側(上方)へ放たれた光は、そのまま第2電極17を透過した後、封止基板20の上方より出射する。封止基板20を出射する際には、図示しないカラーフィルタを透過することにより、R,G,Bの色光が表示光として取り出される。このようにして、トップエミッション方式によるフルカラーの映像表示がなされる。
【0045】
本実施の形態では、上述のように、駆動基板10上において、表示領域S1に反射電極としての第1電極14が設けられ、周辺領域S2には、第2電極17を取り出すための電極パッド14Pが設けられている。第1電極14が高反射導電膜14aの下層にこれよりも低反射率の低反射導電膜14bを有する積層膜からなり、電極パッド14Pが、そのような積層膜の一部に対応する膜構造を有する(低反射導電膜14bと同一材料よりなる導電膜を含む)。このような第1電極14および電極パッド14Pは、互いに同一工程において成膜された後、電極パッド14Pにおいては積層膜の一部が選択的に除去されることにより形成される。
【0046】
(比較例)
ここで、第1電極と電極パッドとを上記のように同一工程を経て形成する場合、それらを同一の導電膜材料を用いて形成することになるため、電極パッド部分も第1電極と同様の高反射材料が用いられる。このため、電極パッドにおいて高反射となり、外光反射が発生し易くなる。特に、基板10aとしてシリコン基板を用いた有機EL表示装置1においては、小型化および高精細化を実現するために、額縁(周辺領域S2)の幅を大きく確保できないことから、周辺領域S2における遮光性能に乏しい。尚、逆に、第1電極と電極パッドに使用する導電膜材料として、低反射材料を用いるようにすれば、周辺領域での外光反射は抑制できるものの、この場合には、反射率の低下により表示領域内での光取り出し効率が低下してしまう。
【0047】
これに対し、本実施の形態では、第1電極14と電極パッド14Pとがそれぞれ上記構成を有していることにより、これらを同一工程において成膜しつつも、第1電極14では、高反射導電膜14aの機能、電極パッド14Pでは、低反射導電膜14bの機能をそれぞれ発揮させることができる。従って、表示領域S1では、高反射導電膜14aによって高い光取り出し効率を確保しつつ、周辺領域S2では、低反射導電膜14bによって外光反射を抑制することができる。尚、電極パッド14Pには、低反射導電膜14b上の端部に高反射導電膜14aの一部が残存するが、これは、ほとんど外光反射に影響を与えない。
【0048】
また、低反射導電膜14bが例えばチタンまたは窒化チタン、あるいはチタンを含む合金により構成されていることにより、例えば、第2電極17として酸化インジウム系あるいはMgAg共蒸着膜等を用いた場合、第2電極17と電極パッド14Pとの良好なオーミック接続を確保することができる。ここで、アルミニウムは、通常、酸化インジウム系あるいはMgAg共蒸着膜に対するオーミック性が良くないので、本実施の形態のような積層構造を採用することにより、電極パッド部分にアルミニウムを用いる場合に比べ、第2電極17の材料の選択性が向上する。
【0049】
更に、このような電極パッド14Pの一部を覆うように有機層16を延在形成することにより、第2電極17がその有機層16の表面形状に倣ってなだらかに形成され、電極パッド13B上の領域まで、途切れたり(分断されたり)、局所的に薄くなったりしにくくなる。これにより、生産歩留まりが向上する。
【0050】
以上のように本実施の形態では、駆動基板10上において、表示領域S1に反射電極としての第1電極14、周辺領域S2に電極パッド14Pをそれぞれ設け、第1電極14が低反射導電膜14b上に高反射導電膜14aを積層した積層膜からなり、電極パッド14Pが、そのような積層膜のうちの低反射導電膜14bを含む構造を有する。これにより、第1電極14では高反射機能を発揮させる一方、電極パッドでは外光反射を抑えることができる。よって、表示画像の視認性を低下せることなく、小型化および高精細化を実現可能となる。
【0051】
<第2の実施の形態>
[構成]
図11は、本開示の第2の実施の形態に係る有機EL表示装置(有機EL表示装置2)の断面構成を表すものである。有機EL表示装置2は、上記実施の形態の有機EL表示装置1と同様、例えばトップエミッション方式により発光を生じるものであり、駆動基板10上に、複数のEL素子部13Aが例えばマトリクス状に配置されたものである。尚、上記実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0052】
駆動基板10は、上記第1の実施の形態と同様、基板10a上に、TFT11を含む駆動回路が配設されたものである。また、基板10a上には、TFT11を覆って第1絶縁膜110、配線層111および第2絶縁膜112が設けられ、これらの第1絶縁膜110および第2絶縁膜112には、EL素子部13Aに対応する領域にコンタクト層114A、電極パッド14Pに対応する領域にコンタクト層114Bがそれぞれ埋設されている。
【0053】
コンタクト層114A,114Bは、上記第1の実施の形態と同様、第1絶縁膜110および第2絶縁膜112を貫通するコンタクトホールに、導電性材料(例えばタングステン)が埋め込まれて形成されたものである。また、コンタクト層114Aは、EL素子部13Aの第1電極14とTFT11の電極とを電気的に接続させ、コンタクト層114Bは、電極パッド14Pの導電膜(低反射導電膜14b)と配線層11aとを電気的に接続させるようになっている。但し、本実施の形態では、詳細は後述するが、このコンタクト層114A,114Bの各表面(第1電極14および電極パッド14Pとの対向面)の形状が、上記第1の実施の形態のコンタクト層113A,113Bと異なり、突形状を有している。
【0054】
EL素子部13Aは、上記第1の実施の形態において説明したように、例えばトップエミッション方式により発光を生じるものであり、駆動基板10の第2絶縁膜112上に、例えば第1電極14、有機層16および第2電極17を備えている。また、第1電極14上には、基板全面にわたって画素間絶縁膜15が形成されており、この画素間絶縁膜15は、第1電極14に対向して開口H3、電極パッド14Pに対向して開口H2をそれぞれ有している。
【0055】
但し、本実施の形態では、開口H3の形成領域が、上記第1の実施の形態における開口H1の形成領域と異なっており、具体的には、開口H3がコンタクト層114Aに非対向な領域に形成されている。換言すると、画素間絶縁膜15が、コンタクト層114Aに対向する領域を覆って形成されている。
【0056】
(電極パッド21P)
本実施の形態では、表示領域S1の周辺領域S2に、第2電極17の配線接続用のパッドとして、上記第1の実施の形態と同様、第1電極14を構成する積層膜の一部に対応する電極パッド21Pが設けられている。具体的には、電極パッド21Pは、第1電極14の積層膜のうちの少なくとも低反射導電膜14bを有すると共に、低反射導電膜14b上の選択的な部分(コンタクト層114Bに非対向の部分:高反射部14a2)にのみ高反射導電膜14aが設けられている。換言すると、電極パッド21Pでは、低反射導電膜14b上のコンタクト層114Bに対向する部分の高反射導電膜14aが選択的に除去されている。このような電極パッド21Pは、詳細は後述するが、第1電極14と同一工程において高反射導電膜14aおよび低反射導電膜14bからなる積層膜を成膜した後、上記第1の実施の形態とは異なる手法を用いて、高反射導電膜14aの一部を選択的に除去することで形成される。
【0057】
この電極パッド21Pは、画素間絶縁膜15の開口H2において第2電極17と接触しており、これにより第2電極17との電気的接続が確保されている。ここで、本実施の形態においても、有機層16が、表示領域S1から周辺領域S2の電極パッド21Pの一部を覆うように延在して形成されており、その端部16eが電極パッド14Pに向かってなだらかに傾斜している。第2電極17は、そのような有機層16の傾斜面に沿うように、基板全面にわたって形成され、電極パッド21P上の有機層16から露出した領域では、高反射部14a2と低反射導電膜14bとを覆って形成されている。これにより、電極パッド21Pと第2電極17との電気的接続が確保されている。
【0058】
第2電極17上には、上記第1の実施の形態と同様、保護層18が形成されると共に、封止基板20が貼り合わせられている。
【0059】
[製造方法]
上記のような有機EL表示装置1は、例えば次のようにして製造することができる。
【0060】
(駆動基板形成工程)
まず、上記第1の実施の形態と同様にして、上述した材料(例えばアモルファスシリコン)よりなる基板10a上に、所定の薄膜プロセスを経てTFT11を含む駆動回路を形成した後、第1絶縁膜110、配線層111および第2絶縁膜112を形成する。この後、図12に示したように、コンタクト層114A,114Bを形成する。以下、図13(A)〜(C)および図14を参照して、コンタクト層114A,114Bの具体的な形成手順について説明する。尚、図13(A)〜(C)および図14には、コンタクト層114Bに対応する部分のみを拡大して示している。
【0061】
具体的には、まず、上記第1の実施の形態と同様にして、第1絶縁膜110および第2絶縁膜112にコンタクトホール(Ha1,Ha2)を形成する。続いて、図13(A)に示したように、これらのコンタクトホール(Ha1,Ha2)を、例えばタングステン等の導電膜114により埋め込む。尚、第2絶縁膜112の表面には、詳細には、例えばチタンまたは窒化チタンよりなるバリアメタル112aが形成されている。
【0062】
次いで、図13(B)に示したように、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて、導電膜114のうちの第2絶縁膜112上に成膜された余剰部分(114e)を除去する。
【0063】
この後、図13(C)に示したように、第2絶縁膜112およびコンタクト層114Bの表面側の領域Aを加工し、コンタクト層114Bの表面に、図14に示したような所定の突形状Bを形成する。具体的には、例えば2種類のスラリーC1,C2を用いたCMP法により、領域Aのうち選択的な部分のみをエッチングする。突形状Bは、第2絶縁膜112上に突出した部分の厚みd1が、例えば、10nm〜50nmであることが望ましい。
【0064】
スラリーC1としては、一般的なタングステン膜研磨用スラリー(シリカ砥粒を含み、硝酸鉄やマロン酸が添加された溶液)を用いる。尚、必要に応じて純水に希釈し(純水との混合比が例えば1:1)、過酸化水素水を1〜3(体積%)加えて使用する。スラリーC2としては、主要成分にコロイダルシリカを4〜6%(メジアン砥粒径60〜90nm)含み、pH1〜3の溶液を使用する。このようなスラリーC1,C2を1:3〜1:6くらいまでの比率で(もしくはスラリーC2が更に多くなるような比率で)混ぜることにより、コンタクト層114Bの表面に、上記のような突形状Bを形成することができる。尚、スラリーC1,C2の混合比を調整することで、突形状Bの形状(厚みd1)を調整可能である。
【0065】
このようにして、駆動基板10では、コンタクト層114A,114Bの各表面に突形状Bが形成される。
【0066】
(第1電極,電極パッドの形成工程)
次いで、図15に示したように、駆動基板10上に、上記第1の実施の形態と同様にして、低反射導電膜14bおよび高反射導電膜14aからなる第1電極14を形成すると共に、周辺領域S2にも、同様の構成を有する積層膜14P1を形成する。
【0067】
続いて、基板全面にわたって、画素間絶縁膜15を成膜後、フォトリソグラフィ法を用いて、その画素間絶縁膜15のうち、第1電極14に対向する領域と、積層膜14P1に対向する領域とを選択的に除去し、開口H3,H2を形成する。具体的には、まず、図16に示したように、画素間絶縁膜15およびフォトレジスト膜121をこの順に成膜する。
【0068】
この後、図17に示したように、フォトレジスト膜121の選択的な領域を露光し、第1電極14に対向する領域と、積層膜14P1に対向する領域とに、開口121a,121bをそれぞれ形成する。この際、開口121aは、コンタクト層114Aに非対向な領域に形成し、開口121bは、コンタクト層114Bに対向する領域に形成する。
【0069】
次いで、図18に示したように、フォトレジスト膜121をマスクとしてドライエッチングを行うことにより、開口H3,H2を所定の領域に形成する。この際、開口H3の端部からコンタクト層114Aまでの距離d2は、コンタクト層114Aの径と、上記フォトレジスト膜121の露光時における合わせずれとを考慮して設定されることが望ましく、これにより、コンタクト層114A上の領域は、画素間絶縁膜15により覆われるように開口H3を設けることができる。
【0070】
続いて、図19に示したように、例えば酸素ガスを用いたプラズマアッシングを施すことにより、フォトレジスト膜121を除去する。この際、プラズマアッシングを、高温(例えば200℃〜400℃、望ましくは200℃〜300℃)雰囲気下において行う。これにより、いわゆるサーマルマイグレーションの効果によって、高反射導電膜14aのうちのコンタクト層114Bに対向する領域のみが選択的に除去され、低反射導電膜14bと、この上に残存した高反射部14a2とよりなる電極パッド21Pが形成される。尚、第1電極14では、コンタクト層114Aが、画素間絶縁膜15およびフォトレジスト膜121によって覆われているために、上記作用が生じず、高反射導電膜14aが除去されることはない。
【0071】
この後、図20に示したように、フォトレジスト膜121を剥離する。尚、この剥離工程において電解質の薬液に浸すことで、電池効果により高反射部14a2(高反射導電膜14aの残存部分)をより小さくすることも可能である。
【0072】
次いで、図21に示したように、上記第1の実施の形態と同様にして、有機層16を形成する。この際、上記第1の実施の形態と同様、周辺領域S2では、有機層16の端部16eが、電極パッド21Pの一部を覆うように延在して形成されるようにし、低反射導電膜14bの表面の一部は露出させておく。
【0073】
この後、図22に示したように、上記第1の実施の形態と同様にして、第2電極17を成膜する。これにより、電極パッド21Pの低反射導電膜14bの有機層16から露出した部分と、第2電極17が接触して、これらが電気的に接続される。
【0074】
次いで、図示はしないが、形成した第2電極17上の全面を覆って、上述した材料よりなる上述した材料よりなる保護層18を形成した後、接着層を用いて駆動基板10と封止基板20とを貼り合わせる。以上により、図11に示した有機EL表示装置2を完成する。
【0075】
[作用・効果]
上記のような有機EL表示装置2においても、上記第1の実施の形態の有機EL表示装置1と同様、各サブピクセル(EL素子部13A)に対し、映像信号に基づく駆動電流が供給されると、有機層16(白色発光層)において発光が起こる。このようにして生じた白色光が第1電極14等によって反射された後、あるいはそのまま封止基板20の上方より出射することで、トップエミッション方式によるフルカラーの映像表示がなされる。
【0076】
また、駆動基板10上において、表示領域S1に反射電極としての第1電極14が設けられ、周辺領域S2には、第2電極17を取り出すための電極パッド21Pが設けられている。第1電極14が高反射導電膜14aおよび低反射導電膜14bを有する積層膜からなり、電極パッド21Pが、そのような積層膜の一部に対応する膜構造を有する(低反射導電膜14bと同一材料よりなる導電膜を含む)。このような第1電極14および電極パッド21Pは、互いに同一工程において成膜された後、電極パッド21Pにおいては積層膜の一部が選択的に除去されることにより形成される。
【0077】
従って、本実施の形態においても、第1電極14と電極パッド21Pとを同一工程において成膜しつつも、第1電極14では、高反射導電膜14aの機能、電極パッド21Pでは、低反射導電膜14bの機能をそれぞれ発揮させることができる。従って、上記第1の実施の形態とほぼ同等の効果を得ることができる。
【0078】
[有機EL表示装置の全体構成、画素回路構成]
次に、上記実施の形態等に係る有機EL表示装置(有機EL表示装置1,2)の全体
構成および画素回路構成について説明する。図23は、有機ELディスプレイとして用
いられる表示装置の周辺回路を含む全体構成を表すものである。このように、例えば駆
動基板10上には、有機EL素子を含む複数の画素PXLC(サブピクセル)がマトリ
クス状に配置されてなる表示領域S1が形成され、この表示領域S1の周辺に、信号線
駆動回路としての水平セレクタ(HSEL)31と、走査線駆動回路としてのライトス
キャナ(WSCN)32と、電源線駆動回路としての電源スキャナ(DSCN)33と
が設けられている。
【0079】
表示領域S1において、列方向には複数(整数n個)の信号線DTL1〜DTLnが
配置され、行方向には、複数(整数m個)の走査線WSL1〜WSLmおよび電源線D
SL1〜DSLmがそれぞれ配置されている。また、各信号線DTLと各走査線WSL
との交差点に、各画素PXLC(R、G、Bに対応する画素のいずれか1つ)が設けら
れている。各信号線DTLは水平セレクタ31に接続され、この水平セレクタ31から
各信号線DTLへ映像信号が供給されるようになっている。各走査線WSLはライトス
キャナ32に接続され、このライトスキャナ32から各走査線WSLへ走査信号(選択
パルス)が供給されるようになっている。各電源線DSLは電源スキャナ33に接続さ
れ、この電源スキャナ33から各電源線DSLへ電源信号(制御パルス)が供給される
ようになっている。
【0080】
図24は、画素PXLCにおける具体的な回路構成例を表したものである。各画素P
XLCは、有機EL素子3D(上記EL素子部13Aに相当)を含む画素回路40を有
している。この画素回路40は、サンプリング用トランジスタ3Aおよび駆動用トラン
ジスタ3Bと、保持容量素子3Cと、有機EL素子3Dとを有するアクティブ型の駆動
回路である。
【0081】
サンプリング用トランジスタ3Aは、そのゲートが対応する走査線WSLに接続され
、そのソースおよびドレインのうちの一方が対応する信号線DTLに接続され、他方が
駆動用トランジスタ3Bのゲートに接続されている。駆動用トランジスタ3Bは、その
ドレインが対応する電源線DSLに接続され、ソースが有機EL素子3Dのアノードに
接続されている。また、この有機EL素子3Dのカソードは、接地配線3Hに接続され
ている。なお、この接地配線3Hは、全ての画素PXLCに対して共通に配線されてい
る。保持容量素子3Cは、駆動用トランジスタ3Bのソースとゲートとの間に配置され
ている。
【0082】
サンプリング用トランジスタ3Aは、走査線WSLから供給される走査信号(選択パ
ルス)に応じて導通することにより、信号線DTLから供給される映像信号の信号電位
をサンプリングし、保持容量素子3Cに保持するものである。駆動用トランジスタ3B
は、所定の第1電位(図示せず)に設定された電源線DSLから電流の供給を受け、保
持容量素子3Cに保持された信号電位に応じて、駆動電流を有機EL素子3Dへ供給す
るものである。有機EL素子3Dは、この駆動用トランジスタ3Bから供給された駆動
電流により、映像信号の信号電位に応じた輝度で発光するようになっている。
【0083】
このような回路構成では、走査線WSLから供給される走査信号(選択パルス)に応
じてサンプリング用トランジスタ3Aが導通することにより、信号線DTLから供給さ
れた映像信号の信号電位がサンプリングされ、保持容量素子3Cに保持される。また、
上記第1電位に設定された電源線DSLから駆動用トランジスタ3Bへ電流が供給され
、保持容量素子3Cに保持された信号電位に応じて、駆動電流が有機EL素子3Dへ供
給される。そして、各有機EL素子3Dは、供給された駆動電流により、映像信号の信
号電位に応じた輝度で発光する。これにより、有機EL表示装置において、映像信号に
基づく映像表示がなされる。
【0084】
<適用例>
以下、上記のような有機EL表示装置1等の電子機器への適用例について説明する。
有機EL表示装置1等は、テレビジョン装置,デジタルカメラ,ノート型パーソナルコ
ンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置あるいはビデオカメラなどのあらゆる分野の電
子機器に適用することが可能である。言い換えると、有機EL表示装置1等は、外部か
ら入力された映像信号あるいは内部で生成した映像信号を、画像あるいは映像として表
示するあらゆる分野の電子機器に適用することが可能である。
【0085】
(モジュール)
上記有機EL表示装置1等は、例えば図25に示したようなモジュールとして、後述
の適用例1〜5などの種々の電子機器に組み込まれる。このモジュールは、例えば、駆
動基板10の一辺に、封止基板20から露出した領域210を設け、この露出した領域
210に、水平セレクタ31、ライトスキャナ32および電源スキャナ33の配線を延
長して外部接続端子(図示せず)を形成したものである。この外部接続端子には、信号
の入出力のためのフレキシブルプリント配線基板(FPC;Flexible Printed Circuit)
220が設けられていてもよい。
【0086】
(適用例1)
図26は、テレビジョン装置の外観を表したものである。このテレビジョン装置は、
例えば、フロントパネル310およびフィルターガラス320を含む映像表示画面部3
00を有しており、この映像表示画面部300が有機EL表示装置1等に相当する。
【0087】
(適用例2)
図27は、デジタルカメラの外観を表したものである。このデジタルカメラは、例え
ば、フラッシュ用の発光部410、表示部420、メニュースイッチ430およびシャ
ッターボタン440を有しており、この表示部420が有機EL表示装置1等に相当す
る。
【0088】
(適用例3)
図28は、ノート型パーソナルコンピュータの外観を表したものである。このノート
型パーソナルコンピュータは、例えば、本体510,文字等の入力操作のためのキーボ
ード520および画像を表示する表示部530を有しており、この表示部530が有機
EL表示装置1等に相当する。
【0089】
(適用例4)
図29は、ビデオカメラの外観を表したものである。このビデオカメラは、例えば、
本体部610,この本体部610の前方側面に設けられた被写体撮影用のレンズ620
,撮影時のスタート/ストップスイッチ630および表示部640を有している。この
表示部640が有機EL表示装置1等に相当する。
【0090】
(適用例5)
図30は、携帯電話機の外観を表したものである。この携帯電話機は、例えば上側筐
体710と下側筐体720とを連結部(ヒンジ部)730で連結したものであり、ディ
スプレイ740,サブディスプレイ750,ピクチャーライト760およびカメラ77
0を有している。そして、これらのうちのディスプレイ740またはサブディスプレイ
750が、有機EL表示装置1等に相当する。
【0091】
以上、実施の形態、変形例および適用例を挙げて説明したが、本開示内容はこれらの
実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。例えば、上記実施の形態等にお
いて説明した各層の材料および厚み、または成膜方法および成膜条件などは限定される
ものではなく、他の材料および厚みとしてもよく、または他の成膜方法および成膜条件
としてもよい。
【0092】
また、上記実施の形態等では、アクティブマトリクス型の有機EL表示装置の場合に
ついて説明したが、本開示はパッシブマトリクス型の有機EL表示装置への適用も可能
である。更にまた、アクティブマトリクス駆動のための画素駆動回路の構成は、上記実
施の形態で説明したものに限られず、必要に応じて容量素子やトランジスタを追加して
もよい。
【0093】
尚、本開示内容は、以下の(1)〜(18)に記載したような構成であってもよい。
(1)駆動基板上の表示領域に設けられると共に、それぞれが、2層以上からなる積層膜を有する複数の第1電極と、前記複数の第1電極上に前記表示領域の全域にわたって設けられ、発光層を含む有機層と、前記駆動基板上の前記表示領域の周辺領域に設けられた電極パッドと、前記有機層上から前記電極パッド上にわたって設けられた第2電極とを備え、前記積層膜は、反射膜として機能する第1導電膜と、前記第1導電膜の下層に設けられて前記第1導電膜よりも低反射率を有する第2導電膜とを有し、前記電極パッドは、前記積層膜の一部に対応すると共に、前記第2導電膜と同一材料よりなる導電膜を含む有機EL表示装置。
(2)前記有機層は、前記表示領域から前記周辺領域の前記電極パッド上にまで延在して設けられている上記(1)に記載の有機EL表示装置。
(3)前記駆動基板は、薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタを覆う絶縁膜と、前記絶縁膜に埋設され、前記薄膜トランジスタと前記第1電極とを電気的に接続する第1のコンタクト層と、前記絶縁膜に埋設され、前記薄膜トランジスタと同層に設けられた配線層と、前記電極パッドとを電気的に接続する第2のコンタクト層とを有する上記(1)または(2)に記載の有機EL表示装置。
(4)前記駆動基板は、シリコン基板を含む上記(1)〜(3)のいずれかに記載の有機EL表示装置。
(5)前記電極パッドは、前記積層膜において、前記第2導電膜上の全域または端部を除く全域の前記第1導電膜が除去されたものである上記(1)〜(4)のいずれかに記載の有機EL表示装置。
(6)前記電極パッドは、前記積層膜において、前記第2導電膜上の前記第2のコンタクト層に対向する領域の前記第1導電膜が選択的に除去されたものである上記(3)または(4)に記載の有機EL表示装置。
(7)前記複数の第1電極と前記有機層との間に前記基板の全面にわたって設けられると共に、各第1電極に対向して第1開口、前記電極パッドに対向して第2開口をそれぞれ有する画素間絶縁膜を備え、前記第1開口は、前記第1のコンタクト層に非対向の領域に形成され、前記第2開口は、前記第2のコンタクト層に対向する領域に形成されている上記(6)に記載の有機EL表示装置。
(8)前記第1導電膜は、アルミニウム(Al)またはアルミニウムを含む合金からなり、前記第2導電膜は、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)またはチタンを含む合金を含むからなる上記(1)〜(7)のいずれかに記載の有機EL表示装置。
(9)前記第2電極は、酸化インジウムの化合物、またはマグネシウムと銀との共蒸着膜よりなる透明導電膜である上記(1)〜(8)のいずれかに記載の有機EL表示装置。
(10)前記有機層は、白色発光層を含む上記(1)〜(9)のいずれかに記載の有機EL表示装置。
(11)駆動基板上の表示領域に、それぞれが、2層以上からなる積層膜を有する複数の第1電極を形成する工程と、前記複数の第1電極上に前記表示領域の全域にわたって、発光層を含む有機層を形成する工程と、前記駆動基板上の前記表示領域の周辺領域に電極パッドを形成する工程と、前記有機層上から前記電極パッド上にわたって第2電極を形成する工程とを含み、前記複数の第1の電極を形成する工程では、前記積層膜として、反射電極として機能する第1導電膜と、前記第1導電膜の下層において前記第1導電膜よりも低反射率を有する第2導電膜とを形成し、前記電極パッドを形成する工程では、前記電極パッドとして、前記積層膜の一部に対応すると共に、前記第2導電膜と同一材料よりなる導電膜を形成する有機EL表示装置の製造方法。
(12)前記有機層を形成する工程では、前記有機層を、前記表示領域から前記周辺領域の前記電極パッド上まで延在して形成する上記(11)に記載の有機EL表示装置の製造方法。
(13)前記駆動基板は、薄膜トランジスタと、前記薄膜トランジスタを覆う絶縁膜と、前記絶縁膜に埋設され、前記薄膜トランジスタと前記第1電極とを電気的に接続する第1のコンタクト層と、前記絶縁膜に埋設され、前記薄膜トランジスタと同層に設けられた配線層と、前記電極パッドとを電気的に接続する第2のコンタクト層とを有する上記(11)または(12)に記載の有機EL表示装置の製造方法。
(14)前記駆動基板として、シリコン基板を用いる上記(11)〜(13)のいずれかに記載の有機EL表示装置の製造方法。
(15)前記第1電極を形成する工程において、前記積層膜を、前記表示領域と前記周辺領域の一部とに成膜し、前記電極パッドを形成する工程では、前記周辺領域に成膜された積層膜において、前記第2導電膜上の全域または端部を除く全域の前記第1導電膜をエッチングにより除去し、前記電極パッドを形成する上記(11)〜(14)のいずれかに記載の有機EL表示装置の製造方法。
(16)前記第1電極を形成する工程において、前記積層膜を、前記表示領域と前記周辺領域の一部とに成膜し、前記電極パッドを形成する工程では、前記周辺領域に成膜された積層膜において、前記第2導電膜上の前記第2のコンタクト層に対向する領域の前記第1導電膜を、酸素ガスを用いたプラズマアッシングの際の高温処理によって選択的に除去し、前記電極パッドを形成する上記(13)または(14)に記載の有機EL表示装置の製造方法。
(17)前記駆動基板において、前記第1および第2のコンタクト層を、前記絶縁膜の最表面から突き出た突形状に加工する工程と、前記複数の第1電極を形成した後、前記有機層を形成する前に、前記基板の全面にわたって、各第1電極に対向して第1開口、前記電極パッドに対向して第2開口をそれぞれ有する画素間絶縁膜を形成する工程とを更に含み、前記画素間絶縁膜を形成する工程では、前記第1開口を、前記第1のコンタクト層に非対向の領域に形成し、前記第2開口を、前記第2のコンタクト層に対向する領域に形成する上記(16)に記載の有機EL表示装置の製造方法。
(18)駆動基板上の表示領域に設けられると共に、それぞれが、2層以上からなる積層膜を有する複数の第1電極と、前記複数の第1電極上に前記表示領域の全域にわたって設けられ、発光層を含む有機層と、前記駆動基板上の前記表示領域の周辺領域に設けられた電極パッドと、前記有機層上から前記電極パッド上にわたって設けられた第2電極とを備え、前記積層膜は、反射膜として機能する第1導電膜と、前記第1導電膜の下層に設けられて前記第1導電膜よりも低反射率を有する第2導電膜とを有し、前記電極パッドは、前記積層膜の一部に対応すると共に、前記第2導電膜と同一材料よりなる導電膜を含む有機EL表示装置を備えた電子機器。
【符号の説明】
【0094】
1,2…有機EL表示装置、13A…EL素子部、10…駆動基板、11…TFT、14…第1電極、14a…高反射導電膜、14b…低反射導電膜、14P,21P…電極パッド、15…画素間絶縁膜、16…有機層、17…第2電極、18…保護層、20…封止基板、113A,113B,114A,114B…コンタクト層、H1〜H3…開口、S1…表示領域、S2…周辺領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動基板上の表示領域に設けられると共に、それぞれが、2層以上からなる積層膜を有する複数の第1電極と、
前記複数の第1電極上に前記表示領域の全域にわたって設けられ、発光層を含む有機層と、
前記駆動基板上の前記表示領域の周辺領域に設けられた電極パッドと、
前記有機層上から前記電極パッド上にわたって設けられた第2電極とを備え、
前記積層膜は、
反射膜として機能する第1導電膜と、
前記第1導電膜の下層に設けられて前記第1導電膜よりも低反射率を有する第2導電膜とを有し、
前記電極パッドは、前記積層膜の一部に対応すると共に、前記第2導電膜と同一材料よりなる導電膜を含む
有機EL表示装置。
【請求項2】
前記有機層は、前記表示領域から前記周辺領域の前記電極パッド上にまで延在して設けられている
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項3】
前記駆動基板は、
薄膜トランジスタと、
前記薄膜トランジスタを覆う絶縁膜と、
前記絶縁膜に埋設され、前記薄膜トランジスタと前記第1電極とを電気的に接続する第1のコンタクト層と、
前記絶縁膜に埋設され、前記薄膜トランジスタと同層に設けられた配線層と、前記電極パッドとを電気的に接続する第2のコンタクト層とを有する
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項4】
前記駆動基板は、シリコン基板を含む
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項5】
前記電極パッドは、前記積層膜において、前記第2導電膜上の全域または端部を除く全域の前記第1導電膜が除去されたものである
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項6】
前記電極パッドは、前記積層膜において、前記第2導電膜上の前記第2のコンタクト層に対向する領域の前記第1導電膜が選択的に除去されたものである
請求項3に記載の有機EL表示装置。
【請求項7】
前記複数の第1電極と前記有機層との間に前記基板の全面にわたって設けられると共に、各第1電極に対向して第1開口、前記電極パッドに対向して第2開口をそれぞれ有する画素間絶縁膜を備え、
前記第1開口は、前記第1のコンタクト層に非対向の領域に形成され、
前記第2開口は、前記第2のコンタクト層に対向する領域に形成されている
請求項6に記載の有機EL表示装置。
【請求項8】
前記第1導電膜は、アルミニウム(Al)またはアルミニウムを含む合金からなり、 前記第2導電膜は、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)またはチタンを含む合金を含むからなる
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項9】
前記第2電極は、酸化インジウムの化合物、またはマグネシウムと銀との共蒸着膜よりなる透明導電膜である
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項10】
前記有機層は、白色発光層を含む
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項11】
駆動基板上の表示領域に、それぞれが、2層以上からなる積層膜を有する複数の第1電極を形成する工程と、
前記複数の第1電極上に前記表示領域の全域にわたって、発光層を含む有機層を形成する工程と、
前記駆動基板上の前記表示領域の周辺領域に電極パッドを形成する工程と、
前記有機層上から前記電極パッド上にわたって第2電極を形成する工程とを含み、
前記複数の第1の電極を形成する工程では、
前記積層膜として、反射電極として機能する第1導電膜と、前記第1導電膜の下層において前記第1導電膜よりも低反射率を有する第2導電膜とを形成し、
前記電極パッドを形成する工程では、
前記電極パッドとして、前記積層膜の一部に対応すると共に、前記第2導電膜と同一材料よりなる導電膜を形成する
有機EL表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記有機層を形成する工程では、前記有機層を、前記表示領域から前記周辺領域の前記電極パッド上まで延在して形成する
請求項11に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記駆動基板は、
薄膜トランジスタと、
前記薄膜トランジスタを覆う絶縁膜と、
前記絶縁膜に埋設され、前記薄膜トランジスタと前記第1電極とを電気的に接続する第1のコンタクト層と、
前記絶縁膜に埋設され、前記薄膜トランジスタと同層に設けられた配線層と、前記電極パッドとを電気的に接続する第2のコンタクト層とを有する
請求項11に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記駆動基板として、シリコン基板を用いる
請求項11に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記第1電極を形成する工程において、前記積層膜を、前記表示領域と前記周辺領域の一部とに成膜し、
前記電極パッドを形成する工程では、前記周辺領域に成膜された積層膜において、前記第2導電膜上の全域または端部を除く全域の前記第1導電膜をエッチングにより除去し、前記電極パッドを形成する
請求項11に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記第1電極を形成する工程において、前記積層膜を、前記表示領域と前記周辺領域の一部とに成膜し、
前記電極パッドを形成する工程では、前記周辺領域に成膜された積層膜において、前記第2導電膜上の前記第2のコンタクト層に対向する領域の前記第1導電膜を、酸素ガスを用いたプラズマアッシングの際の高温処理によって選択的に除去し、前記電極パッドを形成する
請求項13に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記駆動基板において、前記第1および第2のコンタクト層を、前記絶縁膜の最表面から突き出た突形状に加工する工程と、
前記複数の第1電極を形成した後、前記有機層を形成する前に、前記基板の全面にわたって、各第1電極に対向して第1開口、前記電極パッドに対向して第2開口をそれぞれ有する画素間絶縁膜を形成する工程とを更に含み、
前記画素間絶縁膜を形成する工程では、
前記第1開口を、前記第1のコンタクト層に非対向の領域に形成し、
前記第2開口を、前記第2のコンタクト層に対向する領域に形成する
請求項16に記載の有機EL表示装置の製造方法。
【請求項18】
駆動基板上の表示領域に設けられると共に、それぞれが、2層以上からなる積層膜を有する複数の第1電極と、
前記複数の第1電極上に前記表示領域の全域にわたって設けられ、発光層を含む有機層と、
前記駆動基板上の前記表示領域の周辺領域に設けられた電極パッドと、
前記有機層上から前記電極パッド上にわたって設けられた第2電極とを備え、
前記積層膜は、
反射膜として機能する第1導電膜と、
前記第1導電膜の下層に設けられて前記第1導電膜よりも低反射率を有する第2導電膜とを有し、
前記電極パッドは、前記積層膜の一部に対応すると共に、前記第2導電膜と同一材料よりなる導電膜を含む
有機EL表示装置を備えた電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2013−54863(P2013−54863A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191035(P2011−191035)
【出願日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】