説明

有機EL表示装置の駆動装置

【課題】有機EL表示装置を駆動するときの消費電力を低減させる。また、有機EL表示装置を駆動する際に発生する雑音を低減させる。
【解決手段】コモン電極ドライバは、選択行のコモン電極の電位をローレベルに設定する。セグメント電極ドライバは、発光させる画素が存在する列のセグメント電極に定電流を流す。このセグメント電極の電位はハイレベルになる。また、セグメント電極ドライバは、発光させる画素が存在しない列のセグメント電極の電位をローレベルに設定する。コモン電極ドライバは、少なくとも一本のセグメント電極がローレベルの電位に設定されるときには、選択されていない各コモン電極をハイインピーダンス状態に設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス発光素子(以下、有機EL素子という。)を用いた有機EL表示装置の駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
マトリクス電極の各画素部に有機EL素子をそれぞれ配置した構造の有機EL表示装置(有機ELパネル)が実現されている。有機ELパネルでは、例えば、ガラス基板等の基板上に、陽極に接続されるかまたは陽極そのものを形成するITO等の透明導電膜を用いた複数の陽極配線が例えば縦方向に配置され、それに直交する方向に、陰極に接続するかまたは陰極そのものを形成する金属を用いた複数の陰極配線が例えば横方向に配置される。陽極配線と陰極配線の交点が画素となり、両配線間に有機薄膜(有機EL素子)が挟持される。このように、基板上に、有機EL素子によって構成された画素がマトリクス状に平面配置される。
【0003】
有機EL素子は、半導体発光ダイオードに似た特性を有している。すなわち、陽極側を高電圧側とし、所定の電圧を両電極間に印加して有機EL素子に電流を供給すると発光する。具体的には、陽極側の電位と陰極側の電位との差が発光開始電圧以上になると、有機EL素子に電流が流れ始める。逆に、陰極側を高電位にした場合には微小な電流しか流れず発光しない。なお、この場合、有機EL素子の陰極側からは、有機EL素子が有する寄生容量を充電する微小な電流が流れる。
【0004】
有機ELパネルを単純マトリクス駆動法で駆動することができる。駆動を行う際に、有機ELパネルの陽極配線および陰極配線を、走査電極(コモン電極)またはデータ電極(セグメント電極)のいずれにも設定できる。つまり、陽極配線をコモン電極とし、陰極配線をセグメント電極とするか、または陽極配線をセグメント電極とし、陰極配線をコモン電極として使用できる。以下、陰極配線をコモン電極とし、陽極配線をセグメント電極とする場合を例にする。
【0005】
各セグメント電極は、各セグメント電極に対応する定電流回路を備えたセグメント電極ドライバに接続される。また、各コモン電極は、コモン電極ドライバに接続される。セグメント電極ドライバおよびコモン電極ドライバは、コントローラの制御に従って、有機ELパネルを駆動する。
【0006】
図7は、従来の駆動装置によってコモン電極およびセグメント電極に設定される電位の駆動波形を示す説明図である。図7に示すCOM〜COMは、それぞれ第0行から第n行までの各コモン電極の電位を示している。各コモン電極の電位は、ハイレベルまたはローレベルのいずれかに設定される。なお、図7では、ハイレベルを“H”、ローレベルを“L”と表記している。図7に示すように、各コモン電極は、順次選択され、選択されたコモン電極は、選択されている期間(選択期間)中、ローレベルに設定される。一本のコモン電極の選択期間中、他のコモン電極の電位はハイレベルに設定される。そして、図7に示すように、各コモン電極が順次選択されることにより、コモン電極の走査が行われる。このようなコモン電極の走査は、コントローラに従ってコモン電極ドライバが行う。
【0007】
また、図7に示すSEGは、複数のセグメント電極のうちの任意の一つの電位を示している。あるコモン電極が選択されているとき、その選択期間中にオン(点灯)とすべき画素が存在する列のセグメント電極には定電流回路から定電流が流され、そのセグメント電極の電位はハイレベルになる。また、あるコモン電極が選択されているとき、その選択期間中にオフ(非点灯)とすべき画素が存在する列のセグメント電極は、セグメント電極ドライバによってローレベルに設定される。
【0008】
また、中間調の色(例えば、グレー)で画素を表示する場合、その画素が存在する列の定電流回路は、その列のセグメント電極に対して、選択期間の一部においてのみ定電流を流す。この結果、選択期間の一部のみで画素が発光し、例えばグレーのような中間調の色として観察されることになる。図7に示す例では、第1行および第n行の選択期間内の一部の期間において、セグメント電極に定電流を流している場合を示している。図7に示す第1行や第n行の選択期間に示すように、この場合、セグメント電極の電位は選択期間の一部においてハイレベルとなり、その選択期間内の残りの期間ではローレベルに設定される。
【0009】
なお、コモン電極に設定されるローレベルの電位と、セグメント電極に設定されるローレベルの電位は、共通の電位であることが多く、特にローレベルの電位として接地電位(0V)が用いられることが多い。なお、コモン電極に設定されるローレベルの電位と、セグメント電極に設定されるローレベルの電位とが等電位でない場合であっても、その電位差は、セグメント電極とコモン電極との間に電流の流れが生じない範囲に収められる。
【0010】
また、コモン電極に設定されるハイレベルの電位と、定電流が流されたときのセグメント電極のハイレベルの電位とは、等電位であるとは限らない。ただし、その電位差は、セグメント電極とコモン電極との間に電流の流れが生じない範囲に収められる。
【0011】
また、図7に示す駆動波形では、選択期間と選択期間の間で、各コモン電極および各セグメント電極の電位をともにローレベルとして、等電位にしている。このように選択期間と選択期間の間で、各コモン電極および各セグメント電極を等電位とする駆動方法は、例えば、特許文献1に記載されている。
【0012】
また、ドライブライン(ドライブスイッチ)をハイインピーダンスに切り替えることがある有機EL表示装置の駆動方法が特許文献2に記載されている。
【0013】
【特許文献1】特開平9−232074号公報(段落0018−0034)
【特許文献2】特開2005−77656号公報(段落0040)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
図7に例示するような駆動波形で有機EL表示装置を駆動したときのセグメント電極とコモン電極間の電流の流れについて説明する。まず、セグメント電極と、選択されたコモン電極との間の電流の流れについて説明する。コモン電極は選択期間中ローレベルに設定され、そのコモン電極の選択期間中に発光させるべき画素が存在する列では、定電流回路が定電流を流す。そして、その定電流は、セグメント電極、有機EL素子、および選択されたコモン電極を介して、コモン電極ドライバに流される。中間調を表示すべき画素が存在する列においても、選択期間内における定電流を流す期間では、同様に定電流が流される。
【0015】
また、コモン電極が選択されているときに非点灯とすべき画素が存在する列のセグメント電極は、セグメント電極ドライバによって、ローレベルに設定される。すなわち、選択されたコモン電極と同様に、ローレベルに設定される。よって、そのセグメント電極と、選択されたコモン電極との間での電流の流れは生じない。中間調を表示すべき画素が存在する列においても、選択期間内における定電流を流さない期間では、同様に、その列のセグメント電極と選択されたコモン電極との間での電流の流れは生じない。
【0016】
次に、セグメント電極と、選択されていないコモン電極(非選択のコモン電極)との電流の流れについて説明する。非選択のコモン電極の電位は、ハイレベルに設定される。また、選択されたコモン電極の選択期間中に発光させるべき画素が存在する列では、定電流回路が定電流を流し、その列のセグメント電極はハイレベルになる。この場合、コモン電極とセグメント電極の電位は、いずれもハイレベルとなり、コモン電極とセグメント電極との間に電流は流れない。中間調を表示すべき画素が存在する列においても、選択期間内における定電流を流す期間では、同様に、その列のセグメント電極と非選択のコモン電極との間での電流の流れは生じない。
【0017】
また、選択されたコモン電極の選択期間中に非点灯とすべき画素が存在する列のセグメント電極は、ローレベルに設定される。非選択のコモン電極の電位はハイレベルなので、非選択のコモン電極の方が、非点灯とすべき画素が存在する列のセグメント電極より高電位となる。従って、非選択のコモン電極から、そのセグメント電極に電流(有機EL素子が有する寄生容量を充電する微小な電流)が流れることになる。中間調を表示すべき画素が存在する列においても、選択期間内における定電流を流さない期間では、同様に、非選択のコモン電極からその列のセグメント電極に電流が流れる。図7では、このような電流が流れる期間を期間Tとして示している。
【0018】
上記のような非選択のコモン電極からセグメント電極に流れる電流は、画像表示には寄与しない電流である。よって、このような電流が流れることにより消費電力が増加してしまうことになる。特に、非点灯とすべき画素が存在する列が多くなれば、非選択のコモン電極から流れる電流量も多くなり、消費電力もより増加してしまうことになる。
【0019】
また、電源回路の電圧出力端には、出力電圧安定化のためにコンデンサが設けられている。このコンデンサが原因となり、有機EL表示装置を駆動する際に、音(雑音)が発生してしまうという問題があった。図8は、この音の発生の原因を説明する説明図である。図8(a)は、セグメント電極ドライバからコモン電極ドライバに定電流を流している状態を示し、図8(b)は、非選択のコモン電極からセグメント電極に電流が流れている状態を示している。なお、有機ELパネルは複数の有機EL素子を有するが、図8(a),(b)では、説明を簡単にするため、有機ELパネル101が有する有機EL素子として一つの有機EL素子102のみを図示している。同様に、セグメント電極ドライバは、複数の定電流回路を備えているが、図8(a),(b)では、セグメント電極ドライバ111が備える定電流回路として、有機EL素子102が配置された列に対応する一つの定電流回路112のみを図示している。また、同様に、セグメント電極ドライバ111、コモン電極ドライバ121は、それぞれ複数のスイッチを備えているが、図8(a),(b)では、セグメント電極ドライバ111が備えるスイッチとして一つのスイッチ113のみを図示し、コモン電極ドライバ121が備えるスイッチとして一つのスイッチ122のみを図示している。
【0020】
図8(a),(b)において、コンデンサ141は、コモン電極に設定されるハイレベルの電圧(VCHとする。)の出力安定化のために、電源回路(図8において図示せず。)の電圧VCH出力端に設けられたコンデンサである。また、コンデンサ131は、定電流回路112を動作させるため(すなわち、定電流回路112に定電流を流させるため)の電圧(VCCとする。)の出力安定化のために、電源回路の電圧VCC出力端に設けられたコンデンサである。コンデンサ131,141として、積層セラミックコンデンサが用いられる。
【0021】
定電流回路112が、セグメント電極(図示せず。)、有機EL素子102、およびコモン電極(図示せず。)を介してコモン電極ドライバ121に定電流を流す場合、図8(a)に示すように、スイッチ113は、定電流回路112から有機EL素子102に定電流を流すように設定される。また、スイッチ122は、選択されたコモン電極の電位がローレベル(本例では接地電位)になるように設定される。この結果、定電流回路112から定電流が流される。このとき、電圧VCH出力端は、選択されていない各コモン電極(図示せず。)に接続され、図8(a)に示す破線の方向に流れる電流が発生し、コンデンサ141は充電される。
【0022】
一方、コモン電極を非選択にするときには、図8(a)に示すように、スイッチ122は、そのコモン電極を電圧VCHの出力端側に接続させる。また、このとき、選択行上の画素のうち非点灯とすべき画素が存在する列のセグメント電極は、スイッチ113によってローレベル(本例では接地電位)に設定される(図8(b)参照。)。この結果、充電されていたコンデンサ141から、図8(a)に示す破線の方向に電流が流される。
【0023】
図8(a)に示す状態と、図8(b)に示す状態とが繰り返されると、コンデンサ141は、極性の異なる電圧が繰り返し印加され、充電と放電とを繰り返すことになる。すると、コンデンサ141が僅かに変位(変形)することを繰り返す。その結果、コンデンサ141が実装されているプリント基板等(図示せず。)を揺らし、音(雑音)が発生することになる。
【0024】
図9は、コンデンサ131,141として用いられる積層セラミックコンデンサの説明図である。図9(a)は、積層セラミックコンデンサの斜視図である。ただし、積層セラミックコンデンサの一部を切り取り、内部の状態も示している。積層セラミックコンデンサは、図9(a)に示すように、外部電極51と、セラミック誘導体52とを備える。セラミック誘導体52は、10〜20μmの厚さのセラミックシートに内部電極53を印刷したものを積層した構成になっている。
【0025】
図9(b)は、積層セラミックコンデンサの断面図であり、図9(c)は、積層セラミックコンデンサが変位(変形)している状況を示す説明図である。セラミック誘導体52の材料は、電圧が印加されると僅かに伸縮するという圧電素子特性を有する。従って、充電と放電を繰り返すような逆極性の電圧が繰り返し印加されると、積層セラミックコンデンサは図9(c)に示すような変形を繰り返す。すると、上述のように、積層セラミックコンデンサが実装されているプリント基板等を揺らし、雑音が生じる。
【0026】
特に、中間調の表示を行うときには、図8(a)に示す状態と、図8(b)に示す状態とが繰り返されることが多いので、雑音の発生が目立つ。
【0027】
そこで、本発明は、消費電力を低減することができる有機EL表示装置の駆動装置を提供することを目的とする。また、有機EL表示装置を駆動したときに生じる雑音を低減することができる有機EL表示装置の駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明の態様1は、交差するように配置された複数のコモン電極と複数のセグメント電極とを備え、複数のコモン電極と複数のセグメント電極との間に有機薄膜が配置された有機EL表示装置の駆動装置であって、コモン電極を順次選択してコモン電極の走査を行うコモン電極ドライバを備え、コモン電極ドライバが、選択されていないコモン電極をハイインピーダンス状態にすることを特徴とする有機EL表示装置の駆動装置を提供する。
【0029】
本発明の態様2は、態様1において、コモン電極の選択期間中に、選択されたコモン電極に配置された有機薄膜のうち、発光させる有機薄膜に対応するセグメント電極に定電流を流し、発光させない有機薄膜に対応するセグメント電極の電位を所定の電位に設定するセグメント電極ドライバを備え、コモン電極ドライバが、選択したコモン電極の選択期間中であって、少なくとも一本のセグメント電極の電位が所定の電位に設定される期間中、選択されていないコモン電極をハイインピーダンス状態にする有機EL表示装置の駆動装置を提供する。
【0030】
本発明の態様3は、態様2において、コモン電極ドライバが、一のコモン電極の選択期間終了時から次のコモン電極の選択期間開始時まで、各コモン電極の電位を等電位に設定し、セグメント電極ドライバが、一のコモン電極の選択期間終了時から次のコモン電極の選択期間開始時まで、各セグメント電極の電位を、各コモン電極の電位と等電位に設定する有機EL表示装置の駆動装置を提供する。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、コモン電極ドライバが、選択されていないコモン電極をハイインピーダンス状態にするので、選択されていないコモン電極から、セグメント電極側に電流が流れるのを防止することができる。その結果、消費電力を低減することができる。また、選択されないコモン電極の電位を設定するための電圧をコモン電極ドライバに供給する電源回路の電圧出力端にコンデンサを設ける場合、そのコンデンサが充電と放電を繰り返さないようにして、コンデンサの伸縮の繰り返しを低減することができる。その結果、有機EL表示装置の駆動中に生じる雑音を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。以下の説明においても、陰極配線をコモン電極とし、陽極配線をセグメント電極とする場合を例にする。
【0033】
図1は、本発明の有機EL表示装置の駆動装置の構成例を示すブロック図である。有機EL表示装置(有機ELパネル)10は、複数のコモン電極(図示せず。)と複数のセグメント電極(図示せず。)とを備える。コモン電極とセグメント電極とは、有機薄膜(有機EL素子)を挟んで直交するように配置される。コモン電極とセグメント電極との交差部分がそれぞれ画素となる。各画素において、セグメント電極側からコモン電極側に電流が流れることにより、その画素の有機薄膜が発光する。
【0034】
有機ELパネル10を駆動する駆動装置は、コントローラ1と、ディスプレイRAM5と、デコーダ6と、コモン電極ドライバ2と、セグメント電極ドライバ4とを備える。コモン電極ドライバ2は、出力制御回路3を備える。
【0035】
ディスプレイRAM5は、有機ELパネル10に表示させる画像の画像データを記憶する記憶装置である。デコーダ6は、ディスプレイRAM5が記憶している画像データをデコードし、デコード後の画像データを出力制御回路3およびセグメント電極ドライバ4に入力する。
【0036】
コントローラ1は、コモン電極ドライバ2と、セグメント電極ドライバ4とを制御することにより、有機ELパネル10に画像を表示させる。また、コントローラ1は、ディスプレイRAM5に画像データをデコーダ6に対して出力させる(あるいは、デコーダ6に、ディスプレイRAM5に記憶された画像データを読み込ませてもよい。)。
【0037】
コントローラ1は、コモン電極ドライバ2に対して、最初の行からの走査開始を指示する制御信号(FLM:ファーストラインマーカ)や、選択期間の開始や終了を指示する制御信号(LP:ラッチパルス)を出力する。コモン電極ドライバ2は、コントローラ1からFLMが入力された場合、最初の行からの走査を開始する。すなわち、最初のコモン電極から順次コモン電極を選択していく動作を開始する。そして、コモン電極ドライバ2は、コントローラ1からLPが入力されたときには、選択するコモン電極を切り替える。
【0038】
コモン電極ドライバ2は、コントローラ1に従って、個々のコモン電極を一本ずつ順次選択してコモン電極の走査を行う。そして、コモン電極ドライバ2が備える出力制御回路3は、選択したコモン電極の電位をローレベル(例えば接地電位)に設定する。また、コモン電極ドライバ2は、選択されていない各コモン電極(非選択の各コモン電極)をハイレベルの電位に設定するか、またはハイインピーダンス状態に設定する。「ハイインピーダンス状態」は、コモン電極(ここでは非選択のコモン電極)がローレベル電圧の出力端にも、ハイレベル電圧の出力端にも接続されない状態である。選択されていない各コモン電極をハイレベルの電位に設定するか、ハイインピーダンス状態に設定するかは、出力制御回路3によって決定される。
【0039】
コモン電極ドライバ2は、個々のコモン電極に対応するスイッチ(図1において図示せず。)を各コモン電極毎に備えている。一つのスイッチは、そのスイッチに対応するコモン電極をハイレベル電圧の出力端、またはローレベル電圧の出力端に接続させる。また、この個々のスイッチはそれぞれ、後述するようにpMOS(Positive Metal Oxide Semiconductor)とnMOS(Negative Metal Oxide Semiconductor)との組み合わせによって実現される。出力制御回路3は、選択されていない各コモン電極に接続されたスイッチ(pMOSとnMOSとの組み合わせによって実現されるスイッチ)を切り替え、選択されていない各コモン電極をハイレベルの電位に設定するか、あるいは、ハイインピーダンス状態に設定する。
【0040】
出力制御回路3は、選択されていない各コモン電極をハイレベルの電位に設定するか、ハイインピーダンス状態に設定するかを、以下のようにして決定する。出力制御回路3は、選択されるコモン電極上の各有機EL素子に対応するセグメント電極のうちいずれか一つでも選択期間内でローレベルの電位に設定される場合、選択期間中であって、そのセグメント電極の電位がローレベルに設定されている間、選択されない各コモン電極を全てハイインピーダンス状態に設定する。また、出力制御回路3は、選択されるコモン電極の各有機EL素子に対応するセグメント電極が全てハイレベルになるときには、その期間中、選択されない各コモン電極の電位を全てハイレベルに設定する。選択されるコモン電極上の各有機EL素子に対応するセグメント電極のうちいずれか一つでも選択期間内でローレベルの電位に設定されるか否かの判定や、選択されるコモン電極上の各有機EL素子に対応するセグメント電極が全てハイレベルになるか否かの判定は、デコーダ6によって入力された画像データを参照して行うことができる。
【0041】
例えば、出力制御回路3は、デコーダ6によって入力された画像データを参照して、選択されるコモン電極上の各有機EL素子の中にオフ(非点灯)となる有機EL素子が存在するか否かを判定する。そして、選択されるコモン電極上の各有機EL素子の中にオフとなる有機EL素子が存在するならば、その有機EL素子に対応するセグメント電極の電位は、そのコモン電極の選択期間中、ローレベルに設定されることになる。従って、この場合、出力制御回路3は、選択されない各コモン電極を全てハイインピーダンス状態に設定する。また、選択されるコモン電極上の各有機EL素子が全てオン(点灯)となるならば、そのコモン電極上の選択期間中、全てのセグメント電極の電位はハイレベルになる。従って、この場合、出力制御回路3は、選択されない各コモン電極を全てハイレベルの電位に設定する。
【0042】
また、デコーダ6から出力制御回路3に入力された画像データの中に中間調表示を示すデータが含まれていたとする。この場合、中間調で表示される画素に対応するセグメント電極は、選択期間の一部で、定電流が流されハイレベルの電位となり、選択期間の残りの期間でローレベルの電位に設定される。出力制御回路3は、選択期間の一部の期間で少なくとも一本のセグメント電極がローレベルに設定されるならば、その一部の期間中、非選択の各コモン電極を全てハイインピーダンス状態に設定する。また、中間調で表示される画素が存在したとしても、選択期間中であって、全てのセグメント電極が定電流を流されハイレベルとなる期間中は、非選択の各コモン電極を全てハイレベルの電位に設定する。
【0043】
セグメント電極ドライバ4は、セグメント電極に定電流を流す定電流回路を、各セグメント電極毎に備える。そして、セグメント電極ドライバ4は、コントローラ1および選択行の画像データに従って、コモン電極の選択期間中、発光させるべき画素が存在する列のセグメント電極から、選択行のコモン電極に定電流を流す。すなわち、セグメント電極ドライバ4は、発光させるべき画素が存在する列のセグメント電極から、選択されているコモン電極上の有機EL素子に定電流を流す。また、セグメント電極ドライバ4は、選択期間中、発光させるべき画素が存在しない列のセグメント電極の電位をローレベル(例えば接地電位)に設定する。
【0044】
また、セグメント電極ドライバ4は、中間調で表示すべき画素が存在する場合には、選択期間の一部で、その画素が存在する列のセグメント電極から、選択されているコモン電極上の有機EL素子に定電流を流す。そして、その選択期間内の残りの期間では、そのセグメント電極の電位をローレベルに設定する。
【0045】
また、コモン電極に設定されるハイレベルの電位と、定電流が流されたときのセグメント電極のハイレベルの電位とは、等電位であるとは限らない。ただし、その電位差は、セグメント電極とコモン電極との間に電流の流れが生じない範囲に収められる。
【0046】
なお、コモン電極ドライバ2とセグメント電極ドライバ4は、選択期間と選択期間の間で、各コモン電極および各セグメント電極の電位を等電位に設定してもよい。換言すると、コモン電極ドライバ2は、一本のコモン電極の選択期間終了時から次のコモン電極の選択期間開始時まで、各コモン電極の電位を等電位に設定し、セグメント電極ドライバ4は、一本のコモン電極の選択期間終了時から次のコモン電極の選択期間開始時まで、各セグメント電極の電位を、各コモン電極の電位と等電位に設定してもよい。選択期間と選択期間の間で各コモン電極および各セグメント電極を等電位とすることで、有機EL素子に逆バイアスに蓄積された電荷を放電することができ、発光開始時に充電すべき電荷量を少なくすることができる。その結果、選択期間開始時における有機EL素子の点灯を高速化することができる。
【0047】
また、上記のような各コモン電極および各セグメント電極を等電位とする期間を設けずに、一つのコモン電極の選択期間が終了したら直ちに次のコモン電極の選択期間を開始してもよい。
【0048】
電源回路8は、コモン電極ドライバ2に対してローレベルの電圧およびハイレベルの電圧を出力する。同様に、電源回路8は、セグメント電極ドライバ4に対してローレベルの電圧、および定電流回路を動作させるための電圧(すなわち、定電流回路に定電流を出力させるための電圧)を出力する。
【0049】
図2は、セグメント電極ドライバが備える定電流回路が定電流を有機EL素子に流している状態を示す説明図である。また、図3は、セグメント電極ドライバがセグメント電極をローレベル(本例では接地電位)に設定している状態を示す説明図である。なお、有機ELパネル10(図1参照。)は複数の有機EL素子を有するが、図2および図3では、有機EL素子として一つの有機EL素子11のみを図示している。同様に、セグメント電極ドライバ4は、各セグメント電極毎に定電流回路を備えているが、図2および図3では、定電流回路として、有機EL素子11が配置されたセグメント電極に対応する一つの定電流回路41のみを示している。また、図2および図3では、セグメント電極の接続端44とスイッチ42,43との組を一組しか図示していないが、セグメント電極ドライバ4は、セグメント電極の接続端およびスイッチの組を、セグメント電極毎に備えている。なお、スイッチ42は、セグメント電極の接続端44と定電流回路41とを接続させるためのスイッチである。スイッチ43は、セグメント電極の接続端44とローレベルの電圧の出力端とを接続させるためのスイッチである。
【0050】
図2および図3において、pMOS31およびnMOS32の組み合わせは、一本のコモン電極に対応する一つのスイッチとなる。pMOS31およびnMOS32は互いに接続され、その接続点にコモン電極の接続端33が接続される。pMOS31は、電源回路8(図1参照。)のハイレベル電圧の出力端に接続される。nMOS32は、電源回路8(図1参照。)のローレベル電圧の出力端に接続される。図2および図3では、pMOS31およびnMOS32の組み合わせを一組しか図示していないが、コモン電極ドライバ2は、pMOS31およびnMOS32の組み合わせを、コモン電極毎に備えている。同様に、図2および図3では、コモン電極の接続端33を一つしか図示していないが、コモン電極ドライバはコモン電極の接続端33を、コモン電極毎に備えている。
【0051】
出力制御回路3は、各コモン電極に対応するpMOSおよびnMOSのゲートに接続されている。出力制御回路3は、pMOSおよびnMOSそれぞれのゲートへの入力を変えることによって、pMOSおよびnMOSによって実現されるスイッチの切り替えを行う。
【0052】
図2および図3において、出力制御回路3は、pMOS31およびnMOS32を組み合わせたスイッチにより、コモン電極をローレベル電圧の出力端に接続しているものとする。すなわち、図2および図3では、有機EL素子11が選択されたコモン電極に配置された有機EL素子であるものとする。
【0053】
定電流回路41が有機EL素子11に定電流を流す場合、図2に示すように、スイッチ42がセグメント電極の接続端44と定電流回路41とを接続させる。また、スイッチ43は、セグメント電極の接続端44とローレベル電圧の出力端との接続を断とする。この結果、定電流回路41から、セグメント電極、有機EL素子11、およびコモン電極に定電流が流れ、有機EL素子11は発光する。
【0054】
また、セグメント電極ドライバ4が、セグメント電極の電位をローレベルに設定する場合、図3に示すように、スイッチ42は、セグメント電極の接続端44と定電流回路41との接続を断とする。また、スイッチ43は、セグメント電極の接続端44とローレベル電圧の出力端とを接続させる。この結果、有機EL素子11が配置されたセグメント電極の電位はローレベルに設定され、有機EL素子11には電流が流れず、有機EL素子11は発光しない。
【0055】
図4は、pMOSおよびnMOSを組み合わせたスイッチの説明図である。図4(a)は、コモン電極の電位をハイレベルに設定する場合のスイッチの状態を示している。コモン電極の電位をハイレベルに設定する場合、出力制御回路3(図4において図示せず。)は、pMOS31のゲートへの入力電圧をローレベルとし、nMOS32のゲートへの入力電圧もローレベルとする。すると、pMOS31はオンとなる。すなわち、コモン電極と、電源回路8(図1参照。)のハイレベル電圧の出力端とを接続させる。また、nMOS32はオフとなる。すなわち、コモン電極と、電源回路8(図1参照。)のローレベル電圧の出力端との接続を断とする。この結果、コモン電極の電位はハイレベルに設定される。
【0056】
図4(b)は、コモン電極の電位をローレベルに設定する場合のスイッチの状態を示している。コモン電極の電位をローレベルに設定する場合、出力制御回路3(図4において図示せず。)は、pMOS31のゲートへの入力電圧をハイレベルとし、nMOS32のゲートへの入力電圧もハイレベルとする。すると、pMOS31はオフとなる。すなわち、コモン電極と、電源回路8(図1参照。)のハイレベル電圧の出力端との接続を断とする。また、nMOS32はオンとなる。すなわち、コモン電極と、電源回路8(図1参照。)のローレベル電圧の出力端とを接続させる。この結果、コモン電極の電位はローレベルに設定される。
【0057】
図4(c)は、コモン電極をハイインピーダンス状態に設定する場合のスイッチの状態を示している。コモン電極をハイインピーダンス状態に設定する場合、出力制御回路3(図4において図示せず。)は、pMOS31のゲートへの入力電圧をハイレベルとし、nMOS32のゲートへの入力電圧をローレベルとする。すると、pMOS31はオフとなる。すなわち、コモン電極と、電源回路8(図1参照。)のハイレベル電圧の出力端との接続を断とする。また、nMOS32もオフとなる。すなわち、コモン電極と、電源回路8(図1参照。)のローレベル電圧の出力端との接続を断とする。この結果、コモン電極は、ハイレベル電圧の出力端にもローレベル電圧の出力端にも接続されず、ハイインピーダンス状態に設定される。
【0058】
図5は、本発明の駆動装置によってコモン電極およびセグメント電極に設定される電位の駆動波形の例を示す説明図である。図5に示すCOM〜COMは、それぞれ第0行から第n行までの各コモン電極の電位を示している。各コモン電極は、ハイレベルの電位、ローレベルの電位、あるいはハイインピーダンス状態に設定される。図5では、ハイレベルを“H”、ローレベルを“L”と表記している。また、図5における斜線は、コモン電極がハイインピーダンス状態に設定されていることを示している。また、図5に示すSEGは、複数のセグメント電極のうちの任意の一つの電位を示している。
【0059】
なお、図5では、選択期間と選択期間の間で、コモン電極ドライバ2およびセグメント電極ドライバ4が各コモン電極および各セグメント電極の電位をいずれもローレベルとし、各コモン電極および各セグメント電極を等電位にする場合を示している。
【0060】
図5に例示する第0行コモン電極の選択期間を参照して、選択されていない各コモン電極の電位がハイレベルに設定される場合について説明する。出力制御回路3は、第0行コモン電極の選択期間中、第0行コモン電極のスイッチを図4(b)に示す状態とし、第0行コモン電極の電位をローレベルに設定する。また、デコーダ6から出力制御回路3に入力された画像データが、第0行の画素は全てオン(点灯)とされることを示していたとする。出力制御回路3は、この画像データを参照し、第0行の選択期間中、全てのセグメント電極に定電流が流され、全てのセグメント電極の電位がハイレベルになると判定する。この場合、出力制御回路3は、選択されていない各コモン電極(すなわち、第0行以外の各コモン電極)のスイッチを図4(a)に示す状態とし、選択されていない各コモン電極の電位をハイレベルに設定する。
【0061】
選択期間中に、全てのセグメント電極の電位がハイレベルになる場合には、このように出力制御回路3が、選択されていない各コモン電極の電位をハイレベルにする。
【0062】
次に、図5に例示する第2行コモン電極の選択期間を参照して、選択されていない各コモン電極がハイインピーダンス状態に設定される場合について説明する。出力制御回路3は、第2行コモン電極の選択期間中、第2行コモン電極のスイッチを図4(b)に示す状態とし、第2行コモン電極の電位をローレベルに設定する。また、デコーダ6から出力制御回路3に入力された画像データが、第2行の画素のうち、少なくとも一つオフ(非点灯)となる画素が存在することを示していたとする。出力制御回路3は、この画像データを参照し、第2行の選択期間中、少なくとも一つのセグメント電極がローレベルに設定されると判定する。本例では、SEGとして示すように、第2行選択期間中にローレベルに設定されるセグメント電極が存在する。この場合、出力制御回路3は、選択されていない各コモン電極(すなわち、第2行以外の各コモン電極)のスイッチを図4(c)に示す状態とし、選択されていない各コモン電極をハイインピーダンス状態に設定する。
【0063】
あるコモン電極の選択期間全体に渡って、ローレベルに設定されるセグメント電極が少なくとも一本存在する場合には、上述のように出力制御回路3が、選択されていない各コモン電極の電位をハイインピーダンス状態に設定する。
【0064】
次に、図5に例示する第1行コモン電極の選択期間を参照して、選択期間内の一部において、選択行以外の各コモン電極をハイインピーダンス状態に設定する場合について説明する。出力制御回路3は、第1行コモン電極の選択期間中、第1行コモン電極のスイッチを図4(b)に示す状態とし、第1行コモン電極の電位をローレベルに設定する。また、デコーダ6から出力制御回路3に入力された画像データが、第1行の画素のなかに中間調(例えば、グレー)で表示される画素が存在し、第1行選択期間のうち少なくとも一部の期間において、ローレベルの電位に設定されるセグメント電極が存在することを示していたとする。出力制御回路3は、この画像データを参照し、第1行の選択期間中、全てのセグメント電極がハイレベルになる期間と、一本あるいは複数のセグメント電極がローレベルに設定される期間を判定する。本例では、第1行の選択期間のうち、期間Tでは全てのセグメント電極がハイレベルとなり、期間TではSEGとして示すように少なくとも一つのセグメント電極がローレベルに設定されるものとする。出力制御回路3は、期間Tの間は、選択されていない各コモン電極(すなわち、第1行以外の各コモン電極)のスイッチを図4(a)に示す状態とし、選択されていない各コモン電極の電位をハイレベルに設定する。また、出力制御回路3は、期間Tの間は、選択されていない各コモン電極のスイッチを図4(c)に示す状態とし、選択されていない各コモン電極をハイインピーダンス状態に設定する。
【0065】
このように選択行の画素の中に中間調で表示される画素が存在する場合には、出力制御回路3は、選択期間中であって、全てのセグメント電極がハイレベルになる期間で、非選択の各コモン電極をハイレベルの電位に設定する。そして、選択期間中であって、少なくとも一つのセグメント電極がローレベルに設定される期間で、非選択の各コモン電極をハイインピーダンス状態に設定する。
【0066】
選択されていないコモン電極がハイインピーダンス状態になると、そのコモン電極から、オフ(非点灯)の画素が存在する列のセグメント電極(すなわち、ローレベルに設定されるセグメント電極)に電流が流れることがない。よって、画像表示に寄与しない電流の発生を防止し、消費電力を低減することができる。
【0067】
また、本発明のように、少なくとも一本のセグメント電極の電位がローレベルとなるときに、選択されていない各コモン電極をハイインピーダンス状態に設定することにより、従来問題とされていた音(雑音)を低減することができる。図6は、本発明により雑音を低減できる理由を示す説明図である。図6(a)は、セグメント電極ドライバからコモン電極ドライバに定電流を流している場合を示し、図6(b)は、コモン電極がハイインピーダンス状態に設定されている場合を示している。なお、図6では、図2および図3で示したスイッチ42,43をまとめて、スイッチ47として図示している。また、図2および図3に示すpMOS31とnMOS32との組み合わせによって実現されるスイッチを、図6では模式的にスイッチ37として図示している。
【0068】
図6(a),(b)において、コンデンサ81は、コモン電極ドライバ2に対して出力するハイレベル電圧(VCHとする。)の出力安定化のために、電源回路8(図6において図示せず。)の電圧VCH出力端に設けられたコンデンサである。また、コンデンサ71は、定電流回路41を動作させるための電圧(VCCとする。)の出力安定化のために、電源回路8の電圧VCC出力端に設けられたコンデンサである。コンデンサ71,81は、積層セラミックコンデンサである。
【0069】
定電流回路41が、セグメント電極(図示せず。)、有機EL素子11、およびコモン電極(図示せず。)を介してコモン電極ドライバ2に定電流を流す場合、図6(a)に示すように、スイッチ47は、定電流回路41から有機EL素子11に定電流を流すように設定される。また、コモン電極ドライバ2のスイッチ37は、選択されたコモン電極の電位がローレベルになるように、コモン電極とローレベルの電圧の出力端とを接続させる。この結果、定電流回路から定電流が流される。このとき、電圧VCH出力端は、選択されていない各コモン電極(図示せず。)に接続され、図6(a)に示す破線の方向に流れる電流が発生し、コンデンサ81は充電される。この状態は、図8(a)に示す状態と同様である。
【0070】
また、あるコモン電極の選択期間において、少なくとも一つのセグメント電極がローレベルに設定されたとする。すなわち、図6(b)に示すように、少なくとも一つのスイッチ47が、セグメント電極と、ローレベル電圧の出力端とを接続させたとする。この場合、選択されていない各コモン電極は、全てハイインピーダンス状態になる。すなわち、電圧VCH出力端にも、ローレベル電圧出力端にも接続されない状態となる。また、選択行のコモン電極は、ローレベル電圧出力端に接続される。従って、コンデンサ81は、いずれのコモン電極にも接続されない状態となる。この結果、コンデンサ81から、ローレベルのセグメント電極に向けて電流が流れることがない。すなわち、図8(b)に示す破線の方向に流れる電流は生じない。よって、コンデンサ81には、図6(a)示す破線の方向にのみ電流が流れ、図8(a),(b)に示すように二方向に電流が流れることはない。従って、コンデンサ81が充電と放電を繰り返してしまい、僅かな変形を繰り返すこともない。その結果、コンデンサ81が実装されるプリント基板等(図示せず。)の揺れも低減され、雑音が減少する。
【0071】
また、以上の説明では、ローレベルの電位に設定されるセグメント電極が少なくとも一本存在する場合には、選択されていない各コモン電極を全てハイインピーダンス状態に設定し、全てのセグメント電極の電位がハイレベルになるときには、選択されていない各コモン電極の電位を全てハイレベルに設定するものとして説明した。全てのセグメント電極の電位がハイレベルになる場合であっても、あるコモン電極の選択期間中に、選択されていない各コモン電極を全てハイインピーダンス状態に設定してもよい。すなわち、セグメント電極の電位によらず、あるコモン電極の選択期間中に、選択されていない各コモン電極を全てハイインピーダンス状態に設定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、有機ELディスプレイ装置の駆動に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の有機EL表示装置の駆動装置の構成例を示すブロック図。
【図2】セグメント電極ドライバが備える定電流回路が定電流を有機EL素子に流している状態を示す説明図。
【図3】セグメント電極ドライバがセグメント電極をローレベルに設定している状態を示す説明図。
【図4】pMOSおよびnMOSを組み合わせたスイッチの説明図。
【図5】本発明の駆動装置によってコモン電極およびセグメント電極に設定される電位の駆動波形の例を示す説明図。
【図6】本発明により雑音を低減できる理由を示す説明図。
【図7】従来の駆動装置によってコモン電極およびセグメント電極に設定される電位の駆動波形を示す説明図。
【図8】雑音の発生の原因を説明する説明図。
【図9】積層セラミックコンデンサの説明図。
【符号の説明】
【0074】
1 コントローラ
2 コモン電極ドライバ
3 出力制御回路
4 セグメント電極ドライバ
5 ディスプレイRAM
6 デコーダ
8 電源回路
41 定電流回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
交差するように配置された複数のコモン電極と複数のセグメント電極とを備え、前記複数のコモン電極と前記複数のセグメント電極との間に有機薄膜が配置された有機EL表示装置の駆動装置であって、
コモン電極を順次選択してコモン電極の走査を行うコモン電極ドライバを備え、
前記コモン電極ドライバは、選択されていないコモン電極をハイインピーダンス状態にする
ことを特徴とする有機EL表示装置の駆動装置。
【請求項2】
コモン電極の選択期間中に、選択されたコモン電極に配置された有機薄膜のうち、発光させる有機薄膜に対応するセグメント電極に定電流を流し、発光させない有機薄膜に対応するセグメント電極の電位を所定の電位に設定するセグメント電極ドライバを備え、
コモン電極ドライバは、選択したコモン電極の選択期間中であって、少なくとも一本のセグメント電極の電位が前記所定の電位に設定される期間中、選択されていないコモン電極をハイインピーダンス状態にする
請求項1に記載の有機EL表示装置の駆動装置。
【請求項3】
コモン電極ドライバは、一のコモン電極の選択期間終了時から次のコモン電極の選択期間開始時まで、各コモン電極の電位を等電位に設定し、
セグメント電極ドライバは、一のコモン電極の選択期間終了時から次のコモン電極の選択期間開始時まで、各セグメント電極の電位を、各コモン電極の電位と等電位に設定する
請求項2に記載の有機EL表示装置の駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−94010(P2007−94010A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−283306(P2005−283306)
【出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【Fターム(参考)】