説明

有機EL表示装置及び電子機器

【課題】画素のレイアウト面積を抑えつつ、必要な容量素子の形成を可能にした有機EL表示装置、及び、当該有機EL表示装置を有する電子機器を提供する。
【解決手段】アノード電極211とカソード電極213との間に有機層212を挟んで成る有機EL素子21Aを画素毎に有する有機EL表示装置において、有機EL素子21Aの発光に寄与しない領域のアノード電極211とカソード電極213との間に容量Csubを形成する。そして、発光に寄与しない領域に形成した容量Csubを、有機EL素子の駆動回路を構成する容量素子、例えば、有機EL素子の等価容量Coledの容量不足分を補う容量素子として用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL表示装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
平面型(フラットパネル型)の表示装置の一つとして、デバイスに流れる電流値に応じて発光輝度が変化する、所謂、電流駆動型の電気光学素子を画素の発光部(発光素子)として用いた表示装置がある。電流駆動型の電気光学素子としては、有機材料のエレクトロルミネッセンス(EL;Electroluminescence)を利用し、有機薄膜に電界をかけると発光する現象を用いた有機EL素子が知られている。
【0003】
画素の発光部として有機EL素子を用いた有機EL表示装置は次のような特長を持っている。すなわち、有機EL素子は、10V以下の印加電圧で駆動できるために低消費電力である。有機EL素子は自発光素子であるために、液晶表示装置に比べて、画像の視認性が高く、しかも、バックライト等の照明部材を必要としないために軽量化及び薄型化が容易である。更に、有機EL素子は、応答速度が数μsec程度と非常に高速であるために動画表示時の残像が発生しない。
【0004】
有機EL表示装置では、液晶表示装置と同様に、その駆動方式として単純(パッシブ)マトリクス方式とアクティブマトリクス方式とを採ることができる。アクティブマトリクス方式の表示装置は、電気光学素子が1表示フレームの期間に亘って発光を持続するために、単純マトリクス方式の表示装置に比べて、大型でかつ高精細な表示装置の実現が容易である。
【0005】
アクティブマトリクス方式の有機EL表示装置は、有機EL素子に流れる電流を、当該有機EL素子と同じ画素内に設けた能動素子、例えば絶縁ゲート型電界効果トランジスタによって制御する。絶縁ゲート型電界効果トランジスタとしては、典型的には、薄膜トランジスタ(TFT;Thin Film Transistor)が用いられる。すなわち、画素毎に設けられる有機EL素子の駆動回路(画素回路)は、薄膜トランジスタを用いて構成される。
【0006】
具体的には、画素の駆動回路は、映像信号の信号電圧を書き込む書込みトランジスタ、当該書込みトランジスタによって書き込まれた信号電圧を保持する保持容量、及び、当該保持容量の保持電圧に応じて有機EL素子を駆動する駆動トランジスタを有する構成となっている(例えば、特許文献1参照)。また、必要に応じて、有機EL素子の容量成分の不足分を補うために、画素毎に補助容量を設ける構成が採られる場合もある(例えば、特許文献2参照)。更に、画素回路の構成によっては、トランジスタや容量素子が更に増える場合がある(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−310311号公報
【特許文献2】特開2009−047764号公報
【特許文献3】特開2006−133542号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、有機EL表示装置にあっては、最低限1個の容量素子(保持容量)、場合によっては2個以上の容量素子を画素毎に有することになる。周知のように、容量素子はその形成に当たっては、ある程度の大きさのレイアウト面積を確保する必要がある。従って、画素の駆動回路を構成する容量素子の全てを、当該駆動回路を形成する基板(所謂、TFT基板)上に形成すると、画素個々のレイアウト面積が大きくなるために高精細化の妨げとなる。
【0009】
そこで、本発明は、画素のレイアウト面積を抑えつつ、必要な容量素子の形成を可能にした有機EL表示装置、及び、当該有機EL表示装置を有する電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明は、
2つの電極間に有機層を挟んで成る有機EL素子を画素毎に有する有機EL表示装置において、
前記有機EL素子の発光に寄与しない領域の2つの電極間に容量を形成し、当該容量を前記有機EL素子の駆動回路を構成する容量素子として用いる
構成を採っている。
【0011】
上記構成の有機EL表示装置において、周知の通り、有機EL素子は、発光層を含む有機層を2つの電極間に挟んだ構成となっている。この有機EL素子において、2つの電極間に直流電圧を印加することで、2つの電極から正孔と電子が発光層内に注入され、発光層内の蛍光分子が励起状態となり、この励起分子の緩和過程で発光が得られる。そして、光が取り出される部分が有機EL素子の発光部となり、有機EL素子には、発光に寄与する領域(発光部)と、発光に寄与しない領域とが存在する。
【0012】
発光に寄与する領域では、当然のことながら、2つの電極は有機層を挟んで対向しているため、当該2つの電極間に容量成分が存在する。この容量成分は有機EL素子の等価容量となる。また、発光に寄与しない領域でも、2つの電極を対向させることで、両電極間に容量を形成することができる。このときの容量の大きさ(容量値)は、2つの電極の対向面積、2つの電極間の距離、及び、2つの電極間に介在する誘電体の誘電率によって決まる。そして、発光に寄与しない領域の2つの電極間に形成される容量を有機EL素子の駆動回路を構成する容量素子として用いることで、当該容量素子を形成する面積分が不用になるため、画素のレイアウト面積を抑えることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、発光に寄与しない領域の2つの電極間に形成される容量を有機EL素子の駆動回路を構成する容量素子として用いることで、画素のレイアウト面積を抑えることができるため、更なる高精細化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明が適用されるアクティブマトリクス型有機EL表示装置の構成の概略を示すシステム構成図である。
【図2】画素(画素回路)の具体的な回路構成の一例を示す回路図である。
【図3】本発明が適用される有機EL表示装置の基本的な回路動作の説明に供するタイミング波形図である。
【図4】本発明が適用される有機EL表示装置の基本的な回路動作の動作説明図(その1)である。
【図5】本発明が適用される有機EL表示装置の基本的な回路動作の動作説明図(その2)である。
【図6】駆動トランジスタの閾値電圧Vthのばらつきに起因する課題の説明(A)、及び、駆動トランジスタの移動度μのばらつきに起因する課題の説明(B)に供する特性図である。
【図7】典型的な有機EL素子の構造を示す概略平面図である。
【図8】図7のO−O´線に沿った矢視断面図である。
【図9】実施例1に係る有機EL素子の構造を示す概略平面図である。
【図10】図9のP−P´線に沿った矢視断面図である。
【図11】発光に寄与しない領域に形成する容量を、有機EL素子の駆動回路を構成する容量素子として用いたときの等価回路を示す回路図である。
【図12】実施例2に係る有機EL素子の構造を示す概略平面図である。
【図13】図11のQ−Q´線に沿った矢視断面図である。
【図14】実施例3に係る有機EL素子の構造を示す概略平面図である。
【図15】図13のR−R´線に沿った矢視断面図である。
【図16】実施例4に係る有機EL素子の構造を示す概略平面図である。
【図17】図15のS−S´線に沿った矢視断面図である。
【図18】本発明が適用されるテレビジョンセットの外観を示す斜視図である。
【図19】本発明が適用されるデジタルカメラの外観を示す斜視図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。
【図20】本発明が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を示す斜視図である。
【図21】本発明が適用されるビデオカメラの外観を示す斜視図である。
【図22】本発明が適用される携帯電話機を示す外観図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と記述する)について図面を用いて詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.本発明が適用される有機EL表示装置
1−1.システム構成
1−2.基本的な回路動作
1−3.画素を構成する容量素子に伴う不具合
2.実施形態の説明
2−1.典型的な有機EL素子の構造
2−2.実施例1に係る有機EL素子の構造
2−3.実施例2に係る有機EL素子の構造
2−4.実施例3に係る有機EL素子の構造
2−5.実施例3に係る有機EL素子の構造
3.変形例
4.適用例(電子機器)
【0016】
<1.本発明が適用される有機EL表示装置>
[1−1.システム構成]
図1は、本発明が適用されるアクティブマトリクス型有機EL表示装置の構成の概略を示すシステム構成図である。
【0017】
アクティブマトリクス型有機EL表示装置は、電流駆動型の電気光学素子である有機EL素子に流れる電流を、当該有機EL素子と同じ画素内に設けた能動素子、例えば絶縁ゲート型電界効果トランジスタにより制御する表示装置である。絶縁ゲート型電界効果トランジスタとしては、典型的には、TFT(薄膜トランジスタ)が用いられる。
【0018】
図1に示すように、本適用例に係る有機EL表示装置10は、有機EL素子を含む複数の画素20と、当該画素20が行列状に2次元配置されてなる画素アレイ部30と、当該画素アレイ部30の周辺に配置される駆動回路部とを有する構成となっている。駆動回路部は、書込み走査回路40、電源供給走査回路50及び信号出力回路60等からなり、画素アレイ部30の各画素20を駆動する。
【0019】
ここで、有機EL表示装置10がカラー表示対応の場合は、カラー画像を形成する単位となる1つの画素(単位画素)は複数の副画素(サブピクセル)から構成され、この副画素の各々が図1の画素20に相当することになる。より具体的には、カラー表示対応の表示装置では、1つの画素は、例えば、赤色(Red;R)光を発光する副画素、緑色(Green;G)光を発光する副画素、青色(Blue;B)光を発光する副画素の3つの副画素から構成される。
【0020】
但し、1つの画素としては、RGBの3原色の副画素の組み合わせに限られるものではなく、3原色の副画素に更に1色あるいは複数色の副画素を加えて1つの画素を構成することも可能である。より具体的には、例えば、輝度向上のために白色(White;W)光を発光する副画素を加えて1つの画素を構成したり、色再現範囲を拡大するために補色光を発光する少なくとも1つの副画素を加えて1つの画素を構成したりすることも可能である。
【0021】
画素アレイ部30には、m行n列の画素20の配列に対して、行方向(画素行の画素の配列方向)に沿って走査線311〜31mと電源供給線321〜32mとが画素行毎に配線されている。更に、m行n列の画素20の配列に対して、列方向(画素列の画素の配列方向)に沿って信号線331〜33nが画素列毎に配線されている。
【0022】
走査線311〜31mは、書込み走査回路40の対応する行の出力端にそれぞれ接続されている。電源供給線321〜32mは、電源供給走査回路50の対応する行の出力端にそれぞれ接続されている。信号線331〜33nは、信号出力回路60の対応する列の出力端にそれぞれ接続されている。
【0023】
画素アレイ部30は、通常、ガラス基板などの透明絶縁基板上に形成されている。これにより、有機EL表示装置10は、平面型(フラット型)のパネル構造となっている。画素アレイ部30の各画素20の駆動回路は、アモルファスシリコンTFTまたは低温ポリシリコンTFTを用いて形成することができる。低温ポリシリコンTFTを用いる場合には、図1に示すように、書込み走査回路40、電源供給走査回路50、及び、信号出力回路60についても、画素アレイ部30を形成する表示パネル(基板)70上に実装することができる。
【0024】
書込み走査回路40は、クロックパルスckに同期してスタートパルスspを順にシフト(転送)するシフトレジスタ回路等によって構成されている。この書込み走査回路40は、画素アレイ部30の各画素20への映像信号の信号電圧書込みに際して、走査線31(311〜31m)に対して書込み走査信号WS(WS1〜WS m)を順次供給することによって画素アレイ部30の各画素20を行単位で順番に走査(線順次走査)する。
【0025】
電源供給走査回路50は、クロックパルスckに同期してスタートパルスspを順にシフトするシフトレジスタ回路等によって構成されている。この電源供給走査回路50は、書込み走査回路40による線順次走査に同期して、第1電源電位Vccpと当該第1電源電位Vccpよりも低い第2電源電位Viniとで切り替わることが可能な電源電位DS(DS1〜DSm)を電源供給線32(321〜32m)に供給する。後述するように、電源電位DSのVccp/Viniの切替えにより、画素20の発光/非発光の制御が行なわれる。
【0026】
信号出力回路60は、信号供給源(図示せず)から供給される輝度情報に応じた映像信号の信号電圧(以下、単に「信号電圧」と記述する場合もある)Vsigと基準電圧Vofsとを選択的に出力する。ここで、基準電圧Vofsは、映像信号の信号電圧Vsigの基準となる電位(例えば、映像信号の黒レベルに相当する電位)であり、後述する閾値補正処理の際に用いられる。
【0027】
信号出力回路60から出力される信号電圧Vsig/基準電圧Vofsは、信号線33(331〜33n)を介して画素アレイ部30の各画素20に対して、書込み走査回路40による走査によって選択された画素行の単位で書き込まれる。すなわち、信号出力回路60は、信号電圧Vsigを行(ライン)単位で書き込む線順次書込みの駆動形態を採っている。
【0028】
(画素回路)
図2は、画素(画素回路)20の具体的な回路構成の一例を示す回路図である。画素20の発光部は、デバイスに流れる電流値に応じて発光輝度が変化する電流駆動型の電気光学素子である有機EL素子21から成る。
【0029】
図2に示すように、画素20は、有機EL素子21と、有機EL素子21に電流を流すことによって当該有機EL素子21を駆動する駆動回路とによって構成されている。有機EL素子21は、全ての画素20に対して共通に配線(所謂、ベタ配線)された共通電源供給線34にカソード電極が接続されている。
【0030】
有機EL素子21を駆動する駆動回路は、駆動トランジスタ22、書込みトランジスタ23、保持容量24、及び、補助容量25を有する構成となっている。駆動トランジスタ22及び書込みトランジスタ23としてNチャネル型のTFTを用いることができる。但し、ここで示した、駆動トランジスタ22及び書込みトランジスタ23の導電型の組み合わせは一例に過ぎず、これらの組み合わせに限られるものではない。
【0031】
駆動トランジスタ22は、一方の電極(ソース/ドレイン電極)が有機EL素子21のアノード電極に接続され、他方の電極(ドレイン/ソース電極)が電源供給線32(321〜32m)に接続されている。
【0032】
書込みトランジスタ23は、一方の電極(ソース/ドレイン電極)が信号線33(331〜33n)に接続され、他方の電極(ドレイン/ソース電極)が駆動トランジスタ22のゲート電極に接続されている。また、書込みトランジスタ23のゲート電極は、走査線31(311〜31m)に接続されている。
【0033】
駆動トランジスタ22及び書込みトランジスタ23において、一方の電極とは、ソース/ドレイン領域に電気的に接続された金属配線を言い、他方の電極とは、ドレイン/ソース領域に電気的に接続された金属配線を言う。また、一方の電極と他方の電極との電位関係によって一方の電極がソース電極ともなればドレイン電極ともなり、他方の電極がドレイン電極ともなればソース電極ともなる。
【0034】
保持容量24は、一方の電極が駆動トランジスタ22のゲート電極に接続され、他方の電極が駆動トランジスタ22の他方の電極、及び、有機EL素子21のアノード電極に接続されている。
【0035】
補助容量25は、一方の電極が有機EL素子21のアノード電極に、他方の電極が共通電源供給線34にそれぞれ接続されている。この補助容量25は、有機EL素子21の容量不足分を補い、保持容量24に対する映像信号の書込みゲインを高めるために、必要に応じて設けられるものである。すなわち、補助容量25は必須の構成要素ではなく、有機EL素子21の等価容量が十分に大きい場合は省略可能である。
【0036】
ここでは、補助容量25の他方の電極を共通電源供給線34に接続するとしているが、他方の電極の接続先としては、共通電源供給線34に限られるものではなく、固定電位のノードであればよい。補助容量25の他方の電極を固定電位のノードに接続することで、有機EL素子21の容量不足分を補い、保持容量24に対する映像信号の書込みゲインを高めるという所期の目的を達成することができる。
【0037】
上記構成の画素20において、書込みトランジスタ23は、書込み走査回路40から走査線31を通してゲート電極に印加されるHighアクティブの書込み走査信号WSに応答して導通状態となる。これにより、書込みトランジスタ23は、信号線33を通して信号出力回路60から供給される、輝度情報に応じた映像信号の信号電圧Vsigまたは基準電圧Vofsをサンプリングして画素20内に書き込む。この書き込まれた信号電圧Vsigまたは基準電圧Vofsは、駆動トランジスタ22のゲート電極に印加されるとともに保持容量24に保持される。
【0038】
駆動トランジスタ22は、電源供給線32(321〜32m)の電源電位DSが第1電源電位Vccpにあるときには、一方の電極がドレイン電極、他方の電極がソース電極となって飽和領域で動作する。これにより、駆動トランジスタ22は、電源供給線32から電流の供給を受けて有機EL素子21を電流駆動にて発光駆動する。より具体的には、駆動トランジスタ22は、飽和領域で動作することにより、保持容量24に保持された信号電圧Vsigの電圧値に応じた電流値の駆動電流を有機EL素子21に供給し、当該有機EL素子21を電流駆動することによって発光させる。
【0039】
駆動トランジスタ22は更に、電源電位DSが第1電源電位Vccpから第2電源電位Viniに切り替わったときには、一方の電極がソース電極、他方の電極がドレイン電極となってスイッチングトランジスタとして動作する。これにより、駆動トランジスタ22は、有機EL素子21への駆動電流の供給を停止し、有機EL素子21を非発光状態にする。すなわち、駆動トランジスタ22は、有機EL素子21の発光/非発光を制御するトランジスタとしての機能をも併せ持っている。
【0040】
この駆動トランジスタ22のスイッチング動作により、有機EL素子21が非発光状態となる期間(非発光期間)を設け、有機EL素子21の発光期間と非発光期間の割合(デューティ)を制御することができる。このデューティ制御により、1表示フレーム期間に亘って画素が発光することに伴う残像ボケを低減できるために、特に動画の画品位をより優れたものとすることができる。
【0041】
電源供給走査回路50から電源供給線32を通して選択的に供給される第1,第2電源電位Vccp,Viniのうち、第1電源電位Vccpは有機EL素子21を発光駆動する駆動電流を駆動トランジスタ22に供給するための電源電位である。また、第2電源電位Viniは、有機EL素子21に対して逆バイアスを掛けるための電源電位である。この第2電源電位Viniは、基準電圧Vofsよりも低い電位、例えば、駆動トランジスタ22の閾値電圧をVthとするときVofs−Vthよりも低い電位、好ましくは、Vofs−Vthよりも十分に低い電位に設定される。
【0042】
[1−2.基本的な回路動作]
続いて、上記構成の有機EL表示装置10の基本的な回路動作について、図3のタイミング波形図を基に図4及び図5の動作説明図を用いて説明する。尚、図4及び図5の動作説明図では、図面の簡略化のために、書込みトランジスタ23をスイッチのシンボルで図示している。また、有機EL素子21の等価容量25についても図示している。
【0043】
図3のタイミング波形図には、走査線31の電位(書込み走査信号)WS、電源供給線32の電位(電源電位)DS、信号線33の電位(Vsig/Vofs)、駆動トランジスタ22のゲート電位Vg及びソース電位Vsのそれぞれの変化を示している。
【0044】
(前表示フレームの発光期間)
図3のタイミング波形図において、時刻t11以前は、前の表示フレームにおける有機EL素子21の発光期間となる。この前表示フレームの発光期間では、電源供給線32の電位DSが第1電源電位(以下、「高電位」と記述する)Vccpにあり、また、書込みトランジスタ23が非導通状態にある。
【0045】
このとき、駆動トランジスタ22は飽和領域で動作するように設計されている。これにより、図4(A)に示すように、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧Vgsに応じた駆動電流(ドレイン−ソース間電流)Idsが、電源供給線32から駆動トランジスタ22を通して有機EL素子21に供給される。従って、有機EL素子21が駆動電流Idsの電流値に応じた輝度で発光する。
【0046】
(閾値補正準備期間)
時刻t11になると、線順次走査の新しい表示フレーム(現表示フレーム)に入る。そして、図4(B)に示すように、電源供給線32の電位DSが高電位Vccpから、信号線33の基準電圧Vofsに対してVofs−Vthよりも十分に低い第2電源電位(以下、「低電位」と記述する)Viniに切り替わる。
【0047】
ここで、有機EL素子21の閾値電圧をVthel、共通電源供給線34の電位(カソード電位)をVcathとする。このとき、低電位ViniをVini<Vthel+Vcathとすると、駆動トランジスタ22のソース電位Vsが低電位Viniにほぼ等しくなるために、有機EL素子21は逆バイアス状態となって消光する。
【0048】
次に、時刻t12で走査線31の電位WSが低電位側から高電位側に遷移することで、、図4(C)に示すように、書込みトランジスタ23が導通状態となる。このとき信号出力回路60から信号線33に対して基準電圧Vofsが供給された状態にあるために、駆動トランジスタ22のゲート電位Vgが基準電圧Vofsになる。また、駆動トランジスタ22のソース電位Vsは、基準電圧Vofsよりも十分に低い電位、即ち、低電位Viniにある。
【0049】
このとき、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧VgsはVofs−Viniとなる。ここで、Vofs−Viniが駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthよりも大きくないと、後述する閾値補正処理を行うことができないために、Vofs−Vini>Vthなる電位関係に設定する必要がある。
【0050】
このように、駆動トランジスタ22のゲート電位Vgを基準電圧Vofsに固定し、かつ、ソース電位Vsを低電位Viniに固定して(確定させて)初期化する処理が、後述する閾値補正処理(閾値補正動作)を行う前の準備(閾値補正準備)の処理である。従って、基準電圧Vofs及び低電位Viniが、駆動トランジスタ22のゲート電位Vg及びソース電位Vsの各初期化電位となる。
【0051】
(閾値補正期間)
次に、時刻t13で、図4(D)に示すように、電源供給線32の電位DSが低電位Viniから高電位Vccpに切り替わると、駆動トランジスタ22のゲート電位Vgが基準電圧Vofsに保たれた状態で閾値補正処理が開始される。すなわち、ゲート電位Vgから駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthを減じた電位に向けて駆動トランジスタ22のソース電位Vsが上昇を開始する。
【0052】
ここでは、便宜上、駆動トランジスタ22のゲート電位Vgの初期化電位Vofsを基準とし、当該初期化電位Vofsから駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthを減じた電位に向けてソース電位Vsを変化させる処理を閾値補正処理と呼んでいる。この閾値補正処理が進むと、やがて、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧Vgsが駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthに収束する。この閾値電圧Vthに相当する電圧は保持容量24に保持される。
【0053】
尚、閾値補正処理を行う期間(閾値補正期間)において、電流が専ら保持容量24側に流れ、有機EL素子21側には流れないようにするために、有機EL素子21がカットオフ状態となるように共通電源供給線34の電位Vcathを設定しておくこととする。
【0054】
次に、時刻t14で、走査線31の電位WSが低電位側に遷移することで、図5(A)に示すように、書込みトランジスタ23が非導通状態となる。このとき、駆動トランジスタ22のゲート電極が信号線33から電気的に切り離されることによってフローティング状態になる。しかし、ゲート−ソース間電圧Vgsが駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthに等しいために、当該駆動トランジスタ22はカットオフ状態にある。従って、駆動トランジスタ22にドレイン−ソース間電流Idsは流れない。
【0055】
(信号書込み&移動度補正期間)
次に、時刻t15で、図5(B)に示すように、信号線33の電位が基準電圧Vofsから映像信号の信号電圧Vsigに切り替わる。続いて、時刻t16で、走査線31の電位WSが高電位側に遷移することで、図5(C)に示すように、書込みトランジスタ23が導通状態になって映像信号の信号電圧Vsigをサンプリングして画素20内に書き込む。
【0056】
この書込みトランジスタ23による信号電圧Vsigの書込みにより、駆動トランジスタ22のゲート電位Vgが信号電圧Vsigになる。そして、映像信号の信号電圧Vsigによる駆動トランジスタ22の駆動の際に、当該駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthが保持容量24に保持された閾値電圧Vthに相当する電圧と相殺される。この閾値キャンセルの原理の詳細については後述する。
【0057】
このとき、有機EL素子21は、カットオフ状態(ハイインピーダンス状態)にある。従って、映像信号の信号電圧Vsigに応じて電源供給線32から駆動トランジスタ22に流れる電流(ドレイン−ソース間電流Ids)は、有機EL素子21の等価容量及び補助容量25に流れ込む。これにより、有機EL素子21の等価容量及び補助容量25の充電が開始される。
【0058】
有機EL素子21の等価容量及び補助容量25が充電されることにより、駆動トランジスタ22のソース電位Vsが時間の経過と共に上昇していく。このとき既に、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthの画素毎のばらつきがキャンセルされており、駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電流Idsは当該駆動トランジスタ22の移動度μに依存したものとなる。尚、駆動トランジスタ22の移動度μは、当該駆動トランジスタ22のチャネルを構成する半導体薄膜の移動度である。
【0059】
ここで、映像信号の信号電圧Vsigに対する保持容量24の保持電圧Vgsの比率、即ち、書込みゲインGが1(理想値)であると仮定する。すると、駆動トランジスタ22のソース電位VsがVofs−Vth+ΔVの電位まで上昇することで、駆動トランジスタ22のゲート‐ソース間電圧VgsはVsig−Vofs+Vth−ΔVとなる。
【0060】
すなわち、駆動トランジスタ22のソース電位Vsの上昇分ΔVは、保持容量24に保持された電圧(Vsig−Vofs+Vth)から差し引かれるように、換言すれば、保持容量24の充電電荷を放電するように作用する。換言すれば、ソース電位Vsの上昇分ΔVは、保持容量24に対して負帰還がかけられたことになる。従って、ソース電位Vsの上昇分ΔVは負帰還の帰還量となる。
【0061】
このように、駆動トランジスタ22に流れるドレイン−ソース間電流Idsに応じた帰還量ΔVでゲート‐ソース間電圧Vgsに負帰還をかけることで、駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電流Idsの移動度μに対する依存性を打ち消すことができる。この打ち消す処理が、駆動トランジスタ22の移動度μの画素毎のばらつきを補正する移動度補正処理である。
【0062】
より具体的には、駆動トランジスタ22のゲート電極に書き込まれる映像信号の信号振幅Vin(=Vsig−Vofs)が高い程ドレイン−ソース間電流Idsが大きくなるため、負帰還の帰還量ΔVの絶対値も大きくなる。従って、発光輝度レベルに応じた移動度補正処理が行われる。
【0063】
また、映像信号の信号振幅Vinを一定とした場合、駆動トランジスタ22の移動度μが大きいほど負帰還の帰還量ΔVの絶対値も大きくなるため、画素毎の移動度μのばらつきを取り除くことができる。従って、負帰還の帰還量ΔVは、移動度補正処理の補正量とも言える。移動度補正の原理の詳細については後述する。
【0064】
(発光期間)
次に、時刻t17で、走査線31の電位WSが低電位側に遷移することで、図5(D)に示すように、書込みトランジスタ23が非導通状態となる。これにより、駆動トランジスタ22のゲート電極は、信号線33から電気的に切り離されるためにフローティング状態になる。
【0065】
ここで、駆動トランジスタ22のゲート電極がフローティング状態にあるときは、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間に保持容量24が接続されていることにより、駆動トランジスタ22のソース電位Vsの変動に連動してゲート電位Vgも変動する。このように、駆動トランジスタ22のゲート電位Vgがソース電位Vsの変動に連動して変動する動作が、保持容量24によるブートストラップ動作である。
【0066】
駆動トランジスタ22のゲート電極がフローティング状態になり、それと同時に、駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電流Idsが有機EL素子21に流れ始めることにより、当該電流Idsに応じて有機EL素子21のアノード電位が上昇する。
【0067】
そして、有機EL素子21のアノード電位がVthel+Vcathを越えると、有機EL素子21に駆動電流が流れ始めるため有機EL素子21が発光を開始する。また、有機EL素子21のアノード電位の上昇は、即ち、駆動トランジスタ22のソース電位Vsの上昇に他ならない。そして、駆動トランジスタ22のソース電位Vsが上昇すると、保持容量24のブートストラップ動作により、駆動トランジスタ22のゲート電位Vgも連動して上昇する。
【0068】
このとき、ブートストラップゲインが1(理想値)であると仮定した場合、ゲート電位Vgの上昇量はソース電位Vsの上昇量に等しくなる。故に、発光期間中、駆動トランジスタ22のゲート‐ソース間電圧Vgsは、Vsig−Vofs+Vth−ΔVで一定に保持される。そして、時刻t18で信号線33の電位が映像信号の信号電圧Vsigから基準電圧Vofsに切り替わる。
【0069】
以上説明した一連の回路動作において、閾値補正準備、閾値補正、信号電圧Vsigの書込み(信号書込み)、及び、移動度補正の各処理動作は、1水平走査期間(1H)において実行される。また、信号書込み及び移動度補正の各処理動作は、時刻t16−t17の期間において並行して実行される。
【0070】
〔分割閾値補正〕
尚、ここでは、閾値補正処理を1回だけ実行する駆動法を採る場合を例に挙げて説明したが、この駆動法は一例に過ぎず、この駆動法に限られるものではない。例えば、閾値補正処理を移動度補正及び信号書込み処理と共に行う1H期間に加えて、当該1H期間に先行する複数の水平走査期間に亘って分割して閾値補正処理を複数回実行する、所謂、分割閾値補正を行う駆動法を採ることも可能である。
【0071】
この分割閾値補正の駆動法によれば、高精細化に伴う多画素化によって1水平走査期間として割り当てられる時間が短くなったとしても、閾値補正期間として複数の水平走査期間に亘って十分な時間を確保することができる。従って、1水平走査期間として割り当てられる時間が短くなっても、閾値補正期間として十分な時間を確保できるため、閾値補正処理を確実に実行できることになる。
【0072】
〔閾値キャンセルの原理〕
ここで、駆動トランジスタ22の閾値キャンセル(即ち、閾値補正)の原理について説明する。駆動トランジスタ22は、飽和領域で動作するように設計されているために定電流源として動作する。これにより、有機EL素子21には駆動トランジスタ22から、次式(1)で与えられる一定のドレイン−ソース間電流(駆動電流)Idsが供給される。
ds=(1/2)・μ(W/L)Cox(Vgs−Vth2 ……(1)
ここで、Wは駆動トランジスタ22のチャネル幅、Lはチャネル長、Coxは単位面積当たりのゲート容量である。
【0073】
図6(A)に、駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電流Ids対ゲート−ソース間電圧Vgsの特性を示す。図6(A)の特性図に示すように、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthの画素毎のばらつきに対するキャンセル処理(補正処理)を行わないと、閾値電圧VthがVth1のときに、ゲート−ソース間電圧Vgsに対応するドレイン−ソース間電流IdsがIds1になる。
【0074】
これに対して、閾値電圧VthがVth2(Vth2>Vth1)のとき、同じゲート−ソース間電圧Vgsに対応するドレイン−ソース間電流IdsがIds2(Ids2<Ids1)になる。すなわち、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthが変動すると、ゲート−ソース間電圧Vgsが一定であってもドレイン−ソース間電流Idsが変動する。
【0075】
一方、上記構成の画素(画素回路)20では、先述したように、発光時の駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧VgsはVsig−Vofs+Vth−ΔVである。従って、これを式(1)に代入すると、ドレイン−ソース間電流Idsは、次式(2)で表される。
ds=(1/2)・μ(W/L)Cox(Vsig−Vofs−ΔV)2 ……(2)
【0076】
すなわち、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthの項がキャンセルされており、駆動トランジスタ22から有機EL素子21に供給されるドレイン−ソース間電流Idsは、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthに依存しない。その結果、駆動トランジスタ22の製造プロセスのばらつきや経時変化等により、駆動トランジスタ22の閾値電圧Vthが画素毎に変動したとしても、ドレイン−ソース間電流Idsが変動しないために、有機EL素子21の発光輝度を一定に保つことができる。
【0077】
〔移動度補正の原理〕
次に、駆動トランジスタ22の移動度補正の原理について説明する。図6(B)に、駆動トランジスタ22の移動度μが相対的に大きい画素Aと、駆動トランジスタ22の移動度μが相対的に小さい画素Bとを比較した状態で特性カーブを示す。駆動トランジスタ22をポリシリコン薄膜トランジスタなどで構成した場合、画素Aや画素Bのように、画素間で移動度μがばらつくことは避けられない。
【0078】
画素Aと画素Bで移動度μにばらつきがある状態で、駆動トランジスタ22のゲート電極に対して、例えば両画素A,Bに同レベルの信号振幅Vin(=Vsig−Vofs)を書き込んだ場合を考える。この場合、何ら移動度μの補正を行わないと、移動度μの大きい画素Aに流れるドレイン−ソース間電流Ids1′と移動度μの小さい画素Bに流れるドレイン−ソース間電流Ids2′との間には大きな差が生じてしまう。このように、移動度μの画素毎のばらつきに起因してドレイン−ソース間電流Idsに画素間で大きな差が生じると、画面のユニフォーミティ(一様性)が損なわれる。
【0079】
ここで、先述した式(1)のトランジスタ特性式から明らかなように、移動度μが大きいとドレイン−ソース間電流Idsが大きくなる。従って、負帰還における帰還量ΔVは移動度μが大きくなるほど大きくなる。図6(B)に示すように、移動度μの大きな画素Aの帰還量ΔV1は、移動度の小さな画素Bの帰還量ΔV2に比べて大きい。
【0080】
そこで、移動度補正処理によって駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電流Idsに応じた帰還量ΔVでゲート−ソース間電圧Vgsに負帰還をかけることにより、移動度μが大きいほど負帰還が大きくかかることになる。その結果、移動度μの画素毎のばらつきを抑制することができる。
【0081】
具体的には、移動度μの大きな画素Aで帰還量ΔV1の補正をかけると、ドレイン−ソース間電流IdsはIds1′からIds1まで大きく下降する。一方、移動度μの小さな画素Bの帰還量ΔV2は小さいために、ドレイン−ソース間電流IdsはIds2′からIds2までの下降となり、それ程大きく下降しない。結果的に、画素Aのドレイン−ソース間電流Ids1と画素Bのドレイン−ソース間電流Ids2とはほぼ等しくなるために、移動度μの画素毎のばらつきが補正される。
【0082】
以上をまとめると、移動度μの異なる画素Aと画素Bがあった場合、移動度μの大きい画素Aの帰還量ΔV1は移動度μの小さい画素Bの帰還量ΔV2に比べて大きくなる。つまり、移動度μが大きい画素ほど帰還量ΔVが大きく、ドレイン−ソース間電流Idsの減少量が大きくなる。
【0083】
従って、駆動トランジスタ22のドレイン−ソース間電流Idsに応じた帰還量ΔVで、ゲート−ソース間電圧Vgsに負帰還をかけることで、移動度μの異なる画素のドレイン−ソース間電流Idsの電流値が均一化される。その結果、移動度μの画素毎のばらつきを補正することができる。すなわち、駆動トランジスタ22に流れる電流(ドレイン−ソース間電流Ids)に応じた帰還量(補正量)ΔVで、駆動トランジスタ22のゲート−ソース間電圧Vgsに対して、即ち、保持容量24に対して負帰還をかける処理が移動度補正処理となる。
【0084】
[1−3.画素を構成する容量素子に伴う不具合]
以上説明した、本発明が適用される有機EL表示装置10にあっては、有機EL素子21の駆動回路(画素回路)は、駆動トランジスタ22、書込みトランジスタ23、保持容量24、及び、補助容量25を有する回路構成となっている。すなわち、当該駆動回路は画素毎に、保持容量24及び補助容量25の2つの容量素子を有している。
【0085】
前にも述べたように、容量素子はその形成に当たっては、ある程度の大きさのレイアウト面積を確保する必要がある。従って、画素の駆動回路を構成する容量素子の全て、本適用例にあっては、保持容量24及び補助容量25を、画素の駆動回路を形成するTFT基板上に形成すると、画素個々のレイアウト面積が大きくなるために表示装置の高精細化の妨げとなる。
【0086】
<2.実施形態の説明>
周知の通り、有機EL素子21は、発光層を含む有機層を、アノード電極及びカソード電極の2つの電極間に挟んだ構造となっている(その詳細については後述する)。この有機EL素子21において、2つの電極間に直流電圧を印加することで、正孔がアノード電極から、電子がカソード電極からそれぞれ発光層内に注入され、発光層内の蛍光分子が励起状態となり、この励起分子の緩和過程で発光が得られる。そして、光が取り出される部分が有機EL素子21の発光部となる。すなわち、有機EL素子21には、発光に寄与する領域(発光部)と、発光に寄与しない領域とが存在する。
【0087】
発光に寄与する領域では、当然のことながら、2つの電極は有機層を挟んで対向している。従って、2つの電極間には、有機層を誘電体として容量成分が形成される。この容量成分は有機EL素子21の等価容量となる。また、発光に寄与しない領域でも、2つの電極を対向させることで、両電極間に容量を形成することができる。このときの容量の大きさ(容量値)は、2つの電極の対向面積、2つの電極間の距離、及び、2つの電極間に介在する誘電体の誘電率によって決まる。
【0088】
そして、発光に寄与しない領域の2つの電極間に形成される容量を、有機EL素子21の駆動回路を構成する容量素子として用いることで、当該容量素子を形成するレイアウト面積分が不用になる。換言すれば、画素20個々のレイアウト面積を抑えつつ、必要な容量素子を形成することができる。
【0089】
このように、発光に寄与しない領域の2つの電極間に形成される容量を、有機EL素子21の駆動回路を構成する容量素子として用いることで、画素20個々のレイアウト面積を抑えることができるために、有機EL表示装置10の更なる高精細化を図ることができる。以下に、発光に寄与しない領域の2つの電極間に容量を形成する具体的な実施例について説明する。
【0090】
[2−1.典型的な有機EL素子の構造]
先ず、典型的な有機EL素子21Xの構造について、図7及び図8を用いて説明する。図7は、典型的な有機EL素子21Xの構造を示す、カソード電極及び有機層を除いた概略平面図である。図8には、図7のO−O´線に沿った矢視断面を示す。
【0091】
図8において、透明絶縁基板、例えばガラス基板71上には、有機EL素子21Xの駆動回路(図示せず)が形成されている。TFTを含む駆動回路が形成されたガラス基板71は、一般的に、TFT基板と呼称されている。TFT基板71の上には、絶縁平坦化膜72が形成されて当該TFT基板71の平坦化が図られている。
【0092】
絶縁平坦化膜72の上には、有機EL素子21Xのアノード電極211が画素単位で形成されている。アノード電極211は、絶縁平坦化膜72に形成されたコンタクトホール73を介してTFT基板71上の駆動回路、具体的には、図2の駆動トランジスタ22のソース電極と電気的に接続される。
【0093】
絶縁平坦化膜72の上にはウインド絶縁膜74が積層されている。そして、ウインド絶縁膜74の凹部74Aに有機EL素子21Xが設けられている。有機EL素子21Xは、ウインド絶縁膜74の凹部74Aの底部に位置するアノード電極211と、当該アノード電極211上に形成された有機層212と、当該有機層212上に全画素共通に形成されたカソード電極213とから構成されている。
【0094】
有機層212は、周知の通り、アノード電極211上にホール輸送層/ホール注入層、発光層、電子輸送層、及び、電子注入層(図示せず)が順次堆積されることによって形成される。そして、図2の駆動トランジスタ22による電流駆動の下に、駆動トランジスタ22からアノード電極211を通して有機層212に電流が流れることで、当該有機層212内の発光層において電子と正孔が再結合する際に発光が得られる。
【0095】
この有機EL素子21Xにおいて、有機層212をアノード電極211とカソード電極213とで直接挟んでいる領域が、発光に寄与する領域、即ち、発光部となる。そして、アノード電極211は、発光部の領域及びコンタクトホール73を含む領域に形成されており、発光に寄与しない領域には形成されていない。
【0096】
[2−2.実施例1に係る有機EL素子の構造]
続いて、実施例1に係る有機EL素子21Aの構造について、図9及び図10を用いて説明する。図9は、実施例1に係る有機EL素子21Aの構造を示す、カソード電極及び有機層を除いた概略平面図である。また、図10には、図9のP−P´線に沿った矢視断面を示す。図9及び図10において、図7及び図8と同等部位には同一符号を付して示している。
【0097】
図9及び図10において、実施例1に係る有機EL素子21Aは、基本的な構造については、上述した典型的な有機EL素子21Xと同じである。すなわち、実施例1に係る有機EL素子21Aは、ウインド絶縁膜74の凹部74Aの底部に位置するアノード電極211と、当該アノード電極211上に形成された有機層212と、当該有機層212上に全画素共通に形成されたカソード電極213とから構成されている。
【0098】
ここで、本適用例に係る有機EL表示装置10にあっては、有機EL素子21Aとして白色を発光する白色有機EL素子を用い、図示せぬカラーフィルタによって例えばRGBの各副画素の発光色を得るようにしている。白色有機EL素子としては、例えば、RGBの各有機EL素子を多段化した、より具体的には、RGBの各発光層を、接続層を介して積層したタンデム構造の有機EL素子を用いることができる。
【0099】
この有機EL素子21Aにおいて、有機層212をアノード電極211とカソード電極213とで直接挟んでいる領域が、発光に寄与する領域、即ち、発光部となる。そして、アノード電極211は、発光部の領域及びコンタクトホール73を含む領域に加えて、発光に寄与しない領域にも形成されている。以下、この発光に寄与しない領域に形成されるアノード電極211の部分をアノード電極211Aと記す。
【0100】
ここで、発光部の有機層212を挟んで対向するアノード電極211とカソード電極213との間には、有機層212を誘電体として容量が形成される。このときの容量の大きさ(容量値)は、発光部におけるアノード電極211とカソード電極213との対向面積、アノード電極211とカソード電極213との間の距離、及び、誘電体としての有機層212の誘電率によって決まる。そして、この発光部に形成される容量は、有機EL素子21Aの等価容量Coledとなる。
【0101】
また、実施例1に係る有機EL素子21Aでは、特に図10から明らかなように、発光に寄与しない領域に形成されたアノード電極211Aが、有機層212及びウインド絶縁膜74を挟んでカソード電極213と対向している。このように、アノード電極211Aとカソード電極213とが、有機層212及びウインド絶縁膜74を挟んで対向することで、両電極211A,213間には有機層212及びウインド絶縁膜74を誘電体として容量Csubが形成される。
【0102】
このときの容量Csubの大きさ(容量値)は、アノード電極211Aとカソード電極213との対向面積、アノード電極211Aとカソード電極213との間の距離、及び、誘電体としての有機層212及びウインド絶縁膜74の誘電率によって決まる。ここで、カソード電極213は画素全体に亘って形成されている。また、アノード電極211Aは、発光部のアノード電極211と一体的に形成されている。
【0103】
上記の構成によれば、発光部に形成される容量、即ち、有機EL素子21Aの等価容量Coledと、発光に寄与しない領域に形成される容量Csubとは電気的に並列に接続されることになる。すなわち、図11(A)の等価回路に示すように、発光に寄与しない領域に形成される容量Csubは、有機EL素子21Aの等価容量Coled及び補助容量25に対して並列に接続されることになる。
【0104】
これにより、発光に寄与しない領域に形成される容量Csubを、有機EL素子21Aの等価容量Coledの容量不足分を補う容量素子として、補助容量25の代わりに用いることができる。その結果、補助容量25を画素20内に形成する必要がなくなる、換言すれば、画素20内に補助容量25を形成するレイアウト面積分が不用になるため、画素20個々のレイアウト面積を抑えつつ、必要な容量素子(本例では、補助容量の代わりとなる容量Csub)を画素20内に形成することができる。
【0105】
また、発光に寄与しない領域に形成される容量Csubを補助容量25として完全に代替できない場合であっても、当該容量Csubを補助容量25の補助の容量素子として用いることができる。この場合は、補助容量25を形成する必要はあるものの、容量Csubが存在する分だけ補助容量25の大きさを小さくすることができる。従って、この場合でも、補助容量25を形成するレイアウト面積を縮小できる分だけ、画素20個々のレイアウト面積を縮小できる。
【0106】
このように、発光に寄与しない領域に形成される容量Csubを単独で、あるいは、補助容量25との併用で、有機EL素子21Aの等価容量Coledの容量不足分を補う容量素子として用いることで、画素20個々のレイアウト面積を縮小できる。その結果、画素20個々のサイズを、容量Csubを利用しない場合に比べて微細化できるため、有機EL表示装置10の更なる高精細化を図ることができる。
【0107】
[2−3.実施例2に係る有機EL素子の構造]
次に、実施例2に係る有機EL素子21Bの構造について、図12及び図13を用いて説明する。図12は、実施例2に係る有機EL素子21Bの構造を示す、カソード電極及び有機層を除いた概略平面図である。図13には、図12のQ−Q´線に沿った矢視断面を示す。図12及び図13において、図9及び図10と同等部位には同一符号を付して示している。
【0108】
実施例2に係る有機EL素子21Bは、基本的に、実施例1に係る有機EL素子21Aと同じ構造となっている。実施例1に係る有機EL素子21Aと異なるのは、有機EL素子21Bの発光に寄与しない領域におけるウインド絶縁膜74に、当該ウインド絶縁膜74を僅かに残した状態で凹部74Bを形成し、この凹部74Bの部位に容量Csubを形成する構成を採っている点である。
【0109】
ウインド絶縁膜74に凹部74Bを形成するに当たっては、ハーフトーンマスク等を用いるようにする。ハーフトーンマスク等を用いて凹部74Bを形成することにより、容量Csubを形成する部位のウインド絶縁膜74の膜厚を薄くすることができる。すなわち、容量Csubの形成に寄与する領域のウインド絶縁膜74の膜厚は、容量Csubの形成に寄与しない領域のウインド絶縁膜74の膜厚よりも薄くなっている。
【0110】
実施例1で述べたように、容量Csubの大きさ(容量値)は、アノード電極211Aとカソード電極213との対向面積、アノード電極211Aとカソード電極213との間の距離、及び、有機層212及びウインド絶縁膜74の誘電率によって決まる。従って、容量Csubを形成する部位のウインド絶縁膜74の膜厚が薄くなることで、アノード電極211Aとカソード電極213との間の距離が近く(短く)なる。
【0111】
これにより、容量Csubとして、実施例1の場合と比較して大きな容量を形成することができるために、補助容量25と完全に代替可能な大きさの容量Csubの形成が可能となる。その結果、画素20内に補助容量25を形成するレイアウト面積分が不用になるため、画素20個々のレイアウト面積を縮小することができる。
【0112】
[2−4.実施例3に係る有機EL素子の構造]
次に、実施例3に係る有機EL素子21Cの構造について、図14及び図15を用いて説明する。図14は、実施例3に係る有機EL素子21Cの構造を示す、カソード電極及び有機層を除いた概略平面図である。図15には、図14のR−R´線に沿った矢視断面を示す。図14及び図15において、図12及び図13と同等部位には同一符号を付して示している。
【0113】
実施例3に係る有機EL素子21Cは、基本的に、実施例2に係る有機EL素子21Bと同じ構造となっている。実施例2に係る有機EL素子21Bと異なるのは、有機EL素子21Cの発光に寄与しない領域において、カソード電極213を発光部の領域部分と電気的に分離した構成を採っている点である。以下、この発光に寄与しない領域において、発光部の領域部分と電気的に分離されたカソード電極213の部分をカソード電極213Aと記す。
【0114】
ここで、発光に寄与しない領域のアノード電極211Aは、発光部のアノード電極211と一体的に形成されている。これに対して、発光に寄与しない領域のカソード電極213Aは、発光に寄与する領域、即ち、発光部のカソード電極213と電気的に分離されている。これにより、発光に寄与しない領域に形成される容量Csubは、一方の電極が有機EL素子21のアノード電極(駆動トランジスタ22のソース電極)に対して電気的に接続されているのに対して、他方の電極がオープン状態となる。
【0115】
そして、図11(B)の等価回路に示すように、容量Csubの他方の電極を駆動トランジスタ22のゲート電極に電気的に接続することで、当該容量Csubを保持容量24の補助容量として用いることができる。これにより、容量Csubの大きさ(容量値)分だけ保持容量24の大きさを小さくできるため、保持容量24を形成するレイアウト面積を縮小できる分だけ、画素20個々のレイアウト面積を縮小できる。
【0116】
尚、発光に寄与しない領域に形成される容量Csubを、保持容量24と同程度の容量値に形成できる場合は、当該容量Csubを保持容量24の代わりに用いるようにすることもできる。この場合は、保持容量24を形成するレイアウト面積を全く確保する必要がなくなるため、保持容量24の補助容量として用いる場合に比べて、画素20個々のレイアウト面積を更に縮小できる。
【0117】
また、容量Csubの他方の電極に対して有機EL素子21のカソード電位Vcathと同電位を印加する構成を採ることで、実施例1の場合と同様に、当該容量Csubを単独で、あるいは、補助容量25との併用で、有機EL素子21Aの等価容量Coledの容量不足分を補う容量素子として用いることもできる。この場合にも、画素20個々のレイアウト面積を縮小できる。
【0118】
[2−5.実施例4に係る有機EL素子の構造]
次に、実施例4に係る有機EL素子21Dの構造について、図16及び図17を用いて説明する。図16は、実施例4に係る有機EL素子21Dの構造を示す、カソード電極及び有機層を除いた概略平面図である。図16には、図15のS−S´線に沿った矢視断面を示す。図16及び図17において、図14及び図15と同等部位には同一符号を付して示している。
【0119】
実施例3に係る有機EL素子21Cは、発光に寄与しない領域のカソード電極213Aが、発光に寄与する領域、即ち、発光部のカソード電極213と電気的に分離された構成となっている。これに対して、実施例4に係る有機EL素子21Dは、カソード電極213Aに加えて、発光に寄与しない領域のアノード電極212Aも、発光に寄与する領域、即ち、発光部のアノード電極212と電気的に分離された構成となっている。
【0120】
すなわち、発光に寄与しない領域に形成される容量Csubは、その両方の電極がオープン状態となっている。これにより、発光に寄与しない領域に形成される容量Csubを、図11(A)に示す接続関係にすることで、実施例1の場合と同様に、当該容量Csubを単独で、あるいは、補助容量25との併用で、有機EL素子21Aの等価容量Coledの容量不足分を補う容量素子として用いることができる。
【0121】
また、図11(B)に示す接続関係にすることで、実施例3の場合と同様に、発光に寄与しない領域に形成される容量Csubを、保持容量24の補助容量として、あるいは、保持容量24の代替の容量素子として用いることができる。更に、有機EL素子21の駆動回路が、図2に示す回路構成素子に加えて、更に容量素子を持つ回路構成の場合には、当該容量素子として、発光に寄与しない領域に形成される容量Csubを用いることもできる。
【0122】
<3.適用例>
上記実施形態では、有機EL素子21を駆動する駆動回路(画素回路)が、保持容量24と補助容量25との2つの容量素子を有する回路構成の場合を例に挙げて説明したが、駆動回路としてはこの回路構成のものに限られるものではない。
【0123】
すなわち、本発明は、駆動回路が保持容量24の1つの容量素子を有する回路構成や、保持容量24や補助容量25以外に更に容量素子を有する回路構成など、容量素子を少なくとも1個有する回路構成の有機EL表示装置全般に対して適用可能である。更に、駆動回路を構成するトランジスタについても、駆動トランジスタ22や書込みトランジスタ23以外に更にトランジスタを有する回路構成の有機EL表示装置に対しても適用可能である。
【0124】
<4.電子機器>
以上説明した本発明による有機EL表示装置は、電子機器に入力された映像信号、若しくは、電子機器内で生成した映像信号を、画像若しくは映像として表示するあらゆる分野の電子機器の表示部(表示装置)に適用できる。一例として、図18〜図22に示す様々な電子機器、例えば、デジタルカメラ、ノート型パーソナルコンピュータ、携帯電話等の携帯端末装置、ビデオカメラなどの表示部に適用することが可能である。
【0125】
このように、あらゆる分野の電子機器の表示部として本発明による有機EL表示装置を用いることにより、各種の電子機器の表示品位を高めることができる。すなわち、先述した実施形態の説明から明らかなように、本発明による有機EL表示装置は、画素内に必要な容量素子を形成するに当たって、画素のレイアウト面積を抑えることができるために高精細化を図ることができ、その結果、各種の電子機器において、品位の高い、良好な表示画像をことができる。
【0126】
本発明による表示装置は、封止された構成のモジュール形状のものをも含む。一例として、画素アレイ部に透明なガラス等の対向部が貼り付けられて形成された表示モジュールが該当する。尚、表示モジュールには、外部から画素アレイ部への信号等を入出力するための回路部やFPC(フレキシブルプリントサーキット)等が設けられていてもよい。
【0127】
以下に、本発明が適用される電子機器の具体例について説明する。
【0128】
図18は、本発明が適用されるテレビジョンセットの外観を示す斜視図である。本適用例に係るテレビジョンセットは、フロントパネル102やフィルターガラス103等から構成される映像表示画面部101を含み、その映像表示画面部101として本発明による有機EL表示装置を用いることにより作製される。
【0129】
図19は、本発明が適用されるデジタルカメラの外観を示す斜視図であり、(A)は表側から見た斜視図、(B)は裏側から見た斜視図である。本適用例に係るデジタルカメラは、フラッシュ用の発光部111、表示部112、メニュースイッチ113、シャッターボタン114等を含み、その表示部112として本発明による表示装置を用いることにより作製される。
【0130】
図20は、本発明が適用されるノート型パーソナルコンピュータの外観を示す斜視図である。本適用例に係るノート型パーソナルコンピュータは、本体121に、文字等を入力するとき操作されるキーボード122、画像を表示する表示部123等を含み、その表示部123として本発明による有機EL表示装置を用いることにより作製される。
【0131】
図21は、本発明が適用されるビデオカメラの外観を示す斜視図である。本適用例に係るビデオカメラは、本体部131、前方を向いた側面に被写体撮影用のレンズ132、撮影時のスタート/ストップスイッチ133、表示部134等を含み、その表示部134として本発明による有機EL表示装置を用いることにより作製される。
【0132】
図22は、本発明が適用される携帯端末装置、例えば携帯電話機を示す外観図であり、(A)は開いた状態での正面図、(B)はその側面図、(C)は閉じた状態での正面図、(D)は左側面図、(E)は右側面図、(F)は上面図、(G)は下面図である。本適用例に係る携帯電話機は、上側筐体141、下側筐体142、連結部(ここではヒンジ部)143、ディスプレイ144、サブディスプレイ145、ピクチャーライト146、カメラ147等を含んでいる。そして、ディスプレイ144やサブディスプレイ145として本発明による有機EL表示装置を用いることにより、本適用例に係る携帯電話機が作製される。
【符号の説明】
【0133】
10…有機EL表示装置、20…画素(画素回路)、21,21A〜21D,21X…有機EL素子、22…駆動トランジスタ、23…書込みトランジスタ、24…保持容量、25…補助容量、30…画素アレイ部、31(311〜31m)…走査線、32(321〜32m)…電源供給線、33(331〜33n)…信号線、34…共通電源供給線、40…書込み走査回路、50…電源供給走査回路、60…信号出力回路、70…表示パネル、71…ガラス基板(TFT基板)、72…絶縁平坦化膜、74…ウインド絶縁膜、211,211A…アノード電極、212…有機層、213,213A…カソード電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの電極間に有機層を挟んで成る有機EL素子を画素毎に有し、
前記有機EL素子の発光に寄与しない領域の2つの電極間に容量を形成し、当該容量を前記有機EL素子の駆動回路を構成する容量素子として用いる
有機EL表示装置。
【請求項2】
前記2つの電極の一方の電極は、前記有機EL素子の発光に寄与しない領域の電極部分が、前記有機EL素子の発光に寄与する領域の電極部分と電気的に分離されている
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項3】
前記一方の電極は、カソード電極である
請求項2に記載の有機EL表示装置。
【請求項4】
前記2つの電極の他方の電極は、アノード電極であり、前記有機EL素子の発光に寄与しない領域の電極部分が、前記有機EL素子の発光に寄与する領域の電極部分と電気的に分離されている
請求項3に記載の有機EL表示装置。
【請求項5】
前記有機EL素子の発光に寄与しない領域において、前記容量の形成に寄与する領域の2つの電極間に存在する絶縁膜の膜厚は、前記容量の形成に寄与しない領域の2つの電極間に存在する絶縁膜の膜厚よりも薄い
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項6】
前記容量の形成に寄与する領域の2つの電極間に存在する絶縁膜を、ハーフトーンマスクを用いて薄くする
請求項5に記載の有機EL表示装置。
【請求項7】
前記容量は、前記有機EL素子に対して並列に接続されて当該有機EL素子の等価容量の補助として用いられる
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項8】
前記駆動回路は、
映像信号の信号電圧を画素内に書き込む書込みトランジスタと、
前記書込みトランジスタによって書き込まれた信号電圧を保持する保持容量と、
前記保持容量の保持電圧に応じて前記有機EL素子を駆動する駆動トランジスタと
を有する
請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項9】
前記容量は、前記保持容量に対して並列に接続されて当該保持容量の補助として用いられる
請求項8に記載の有機EL表示装置。
【請求項10】
前記容量は、前記駆動トランジスタのゲート電極と一方のソース/ドレイン電極との間に接続されて前記保持容量として用いられる
請求項8に記載の有機EL表示装置。
【請求項11】
前記駆動回路は、
前記有機EL素子の等価容量の容量不足分を補う補助容量を更に有し、
前記容量は、前記補助容量に対して並列に接続されて当該補助容量の補助として用いられる
請求項8に記載の有機EL表示装置。
【請求項12】
前記容量は、前記有機EL素子に対して並列に接続されて前記補助容量として用いられる
請求項8に記載の有機EL表示装置。
【請求項13】
2つの電極間に有機層を挟んで成る有機EL素子を画素毎に有し、
前記有機EL素子の発光に寄与しない領域の2つの電極間に容量を形成し、当該容量を前記有機EL素子の駆動回路を構成する容量素子として用いる
有機EL表示装置を有する表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−141526(P2012−141526A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−942(P2011−942)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】