有機EL表示装置用基板、その製造方法、および有機EL表示装置
【課題】複数の有機ELパネルに対して一括してエージング処理を施すときに、短絡画素に起因して隣接する有機ELパネル等に損傷が与えられることを防止する。
【解決手段】1つの有機ELパネル10に接続される全ての陽極引き回し配線11は、一旦、1つの陽極エージング用配線21に接続される。陽極エージング用配線21における第1の陽極エージング用共通配線22に接続される箇所(A部分)の近傍において、陽極エージング用配線21は、配線幅が狭くなっている狭部を有する。特定の有機ELパネル10において欠陥(層間短絡など)が生じている可能性が高い場合には、その有機ELパネル10に接続されている陽極エージング用配線21における狭部を切断する。
【解決手段】1つの有機ELパネル10に接続される全ての陽極引き回し配線11は、一旦、1つの陽極エージング用配線21に接続される。陽極エージング用配線21における第1の陽極エージング用共通配線22に接続される箇所(A部分)の近傍において、陽極エージング用配線21は、配線幅が狭くなっている狭部を有する。特定の有機ELパネル10において欠陥(層間短絡など)が生じている可能性が高い場合には、その有機ELパネル10に接続されている陽極エージング用配線21における狭部を切断する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エージング処理の効果を増進させることができる有機EL表示装置用基板、その製造方法、および有機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置では、陽極に接続されるか、または陽極そのものを形成する陽極配線と、陰極に接続されるか、または陰極そのものを形成する陰極配線とが、対向し、かつ、交差するように設けられる。また、陽極配線と陰極配線との間に有機薄膜(有機EL層)が配置される。そして、有機EL表示装置は、陽極配線と陰極配線との間に配置された有機薄膜に電流が供給されると自発光する電流駆動型の表示装置である。陽極配線と陰極配線との交点が画素になる。有機EL素子は、陽極配線と陰極配線、およびそれらの間に存在する有機薄膜で形成される。陽極配線側を高電圧側とし、所定の電圧を両電極配線間に印加して有機薄膜に電流を供給すると発光する。逆に、陰極配線側を高電位とした場合には電流がほとんど流れず発光しない。
【0003】
有機EL素子に定電圧を印加した際、その発光輝度は温度変化や経時変化によって大きく変動する。しかし、電流値に対する有機EL素子の発光輝度の変動は小さい。所定の表示輝度を得るために、駆動回路に定電流回路を設けて、それぞれの有機EL素子に定電流を供給する、定電流性の駆動方法を用いることが一般的である。
【0004】
有機EL表示装置の製造時に、陽極配線と陰極配線との間に配されている有機EL層にごみ等の異物が混入したり、陽極配線に突起が生じて突起が有機EL層に侵入したりすることがある。そして、有機EL表示装置の実稼働中に、異物等に電荷が集中し局所的に熱が発生すると、有機EL層における有機物の分解が進む。すると、ついには有機物が陰極配線とともに裂け、陽極配線と陰極配線との短絡(層間短絡)が生ずる。短絡が生ずると、実稼働中に、短絡が生じている画素に電荷が集中し、有機EL表示装置が発光しなくなる現象が生ずることもある。
【0005】
実稼働中にそのような現象が発生することを避けるために、あらかじめ、異物が混入している欠陥部を電気的な開放状態である絶縁状態にしたり酸化により不導体化したりする短絡エージング処理(以下、エージング処理という。)が行われる(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
特許文献1に記載された方法では、エージング処理は、陽極配線と陰極配線との間に、電流印加装置から所定時間パルス状の直流電圧を印加することによって実行される。また、エージング処理では、陽極配線と陰極配線との間に、逆バイアス電圧(陽極よりも陰極の電圧が高くなる。)が印加される。その結果、短絡が生じている異常点または短絡が生じそうな異常点(以下、それらを短絡点という。)を有する画素には電流が流れ、そうでない画素には電流が流れない。すると、短絡点に電流が集中し、短絡点が酸化されたり不導体化されたりする。
【0007】
なお、短絡点が酸化されたり不導体化されたりすることによってその短絡点近傍の領域は発光しなくなる。しかし、短絡点は、一般に微小領域であるからユーザに視認されづらく、実用上問題にならない。
【0008】
【特許文献1】特開2003−282253号公報(段落0004−0007)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
有機EL表示素子(有機ELパネル)を用いた有機EL表示装置を作製する場合、一般に、1枚の大きなガラス基板上に複数の有機ELパネルを形成する。一般的な製造工程は、1枚のガラス基板上に配線群および有機EL層を形成する有機EL素子形成工程と、有機EL層を水分などから守るために有機ELパネル毎にガラスなどの対向基板によって外気から隔離する封止工程と、ガラス基板を切断して複数の有機ELパネルに分離する切断工程と、反射防止のために円偏光板などの光学フィルムを貼り付ける光学フィルム貼付工程と、駆動回路などの周辺回路を実装して有機EL表示装置を得る実装工程とを順に実行することによって成り立っている。なお、有機EL素子形成工程または封止工程が終了した状態のガラス基板を、有機EL表示装置用基板という。
【0010】
エージング処理は、複数の有機ELパネルに分離する前に実行されることが好ましい。複数の有機ELパネルに対して一括してエージング処理を施すことができるからである。複数の有機ELパネルに対して一括してエージング処理を施す場合に、ある有機ELパネルにおいて短絡点を有する画素(以下、短絡画素という。)が存在したときには、短絡点に集中して電流が流れるので、電圧印加装置から見て下流にある他の有機ELパネルに供給される電流が少なくなる。すると、それらの有機ELパネルに対するエージング処理が不十分になるおそれがある。
【0011】
さらに、短絡点に集中して電流が流れることから、そこで大きなジュール熱が発生する。その結果、有機ELパネルにおいて短絡画素の周囲における比較的大きな領域の各画素を損傷させたり、隣接する有機ELパネルを損傷させたりする可能性がある。
【0012】
なお、特許文献1には、短絡点を不導体化することと周囲画素を破壊しないこととを両立させることが記載されているが(例えば、段落0036−0037)、短絡点におけるジュール熱の発生によって隣接する有機ELパネルを損傷させる可能性を低減できるわけではない。
【0013】
そこで、本発明は、複数の有機ELパネルに対して一括してエージング処理を施すことができる上に、各有機ELパネルに対して確実にエージング処理を施すことができ、さらには、短絡画素に起因して隣接する有機ELパネル等に損傷が与えられることを防止できる有機EL表示装置用基板、その製造方法、および有機EL表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による有機EL表示装置用基板は、陽極配線と有機EL層と陰極配線とを備える有機ELパネルが複数形成された有機EL表示装置用基板であって、それぞれの有機ELパネルに対応して設けられ、有機ELパネルにおける陽極配線に接続される陽極引き回し配線に接続される陽極エージング用配線と、それぞれの陽極エージング用配線に電気的に接続され、陽極エージング用配線をエージング装置に接続するための陽極エージング用共通配線(例えば、第1の陽極エージング用共通配線22および第2の陽極エージング用共通配線23)とを備え、陽極エージング用配線における部位であって、陽極エージング用配線に接続されている陽極引き回し配線と陽極エージング用共通配線とを電気的に分離可能な部位に線幅が狭い狭部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
陽極エージング用配線は、有機ELパネルを封止するためのシール材の設置位置を避けた経路を有し、その経路に前記狭部が設けられているように構成されていてもよい。
【0016】
本発明による他の態様の有機EL表示装置用基板は、陽極配線と有機EL層と陰極配線とを備える有機ELパネルが複数形成された有機EL表示装置用基板であって、それぞれの有機ELパネルに対応して設けられ、有機ELパネルにおける陰極配線に接続される陰極引き回し配線に接続される陰極エージング用配線と、それぞれの陰極エージング用配線に電気的に接続され、陰極エージング用配線をエージング装置に接続するための陰極エージング用共通配線(例えば、第1の陰極エージング用共通配線32および第2の陰極エージング用共通配線33)とを備え、陰極エージング用配線における部位であって、陰極エージング用配線に接続されている陰極引き回し配線と陰極エージング用共通配線とを電気的に分離可能な部位に線幅が狭い狭部が設けられていることを特徴とする。
【0017】
陰極エージング用配線は、有機ELパネルを封止するためのシール材の設置位置を避けた経路を有し、その経路に前記狭部が設けられているように構成されていてもよい。
【0018】
本発明による有機EL表示装置用基板の製造方法は、陽極配線と有機EL層と陰極配線とを備える有機ELパネルが複数形成される有機EL表示装置用基板の製造方法であって、それぞれの有機ELパネルに対応させて、有機ELパネルにおける陽極配線または陰極配線に接続される陽極引き回し配線または陰極引き回し配線に接続される陽極エージング用配線または陰極エージング用配線を配線し、それぞれの陽極エージング用配線または陰極エージング用配線に電気的に接続され、陽極エージング用配線または陰極エージング用配線をエージング装置に接続するための陽極エージング用共通配線または陰極エージング用共通配線を配線し、陽極引き回し配線または陰極引き回し配線における部位であって、陽極エージング用配線または陰極エージング用配線に接続されている陽極引き回し配線または陰極引き回し配線と陽極エージング用共通配線または陰極エージング用共通配線とを電気的に分離可能な部位に線幅が狭い狭部を設けることを特徴とする。
【0019】
本発明による有機EL表示装置は、上記の有機EL表示装置用基板を切断して得られる有機ELパネルを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複数の有機ELパネルに対して一括してエージング処理を施すときに、短絡画素等の欠陥を有する有機ELパネルをエージング処理対象から容易に除外することができるので、短絡画素に起因して隣接する有機ELパネル等に損傷が与えられることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態(実施の形態1)の有機EL表示装置用基板を示す平面図である。図1に例示する有機EL表示装置用基板100には、9つの有機ELパネル10が形成されている。それぞれの有機ELパネル10の陽極から引き出される全ての陽極引き回し配線11が、陽極エージング用配線21に接続される。図1において縦方向に並ぶ3つの有機ELパネル10の陽極引き回し配線11に接続される3つの陽極エージング用配線21は、第1の陽極エージング用共通配線22に接続される。そして、それぞれの第1の陽極エージング用共通配線22は、第2の陽極エージング用共通配線23に接続される。
【0023】
第1の陽極エージング用共通配線22の線幅は、陽極エージング用配線21の線幅よりも広い。複数の有機ELパネル10において短絡画素が存在する場合にはそれらに電流が流れるが、その場合、それぞれの陽極エージング用配線21を流れる電流よりも、第1の陽極エージング用共通配線22を流れる電流の方が多いからである。また、第2の陽極エージング用共通配線23の線幅は、第1の陽極エージング用共通配線22の線幅よりも広い。
【0024】
また、図1において縦方向に並ぶ3つの有機ELパネル10の陰極から引き出される各陰極引き回し配線13が、第1の陰極エージング用共通配線32に接続される。それぞれの第1の陰極エージング用共通配線32は、第2の陰極エージング用共通配線33に接続される。
【0025】
第2の陰極エージング用共通配線33の線幅は、第1の陰極エージング用共通配線32の線幅よりも広い。複数の有機ELパネル10(図1において縦方向に並ぶ3つの有機ELパネル10を、左グループ、中グループ、右グループと呼ぶとすると、例えば、左グループの1つと中グループの1つ)において短絡画素が存在する場合にはそれらに電流が流れるが、その場合、それぞれの第1の陰極エージング用共通配線32(例えば、左グループに対応するものと中グループに対応するもの)を流れる電流よりも、第2の陰極エージング用共通配線33を流れる電流の方が多いからである。
【0026】
なお、図1では、それぞれの有機ELパネル10について、1つの陽極引き回し配線11のみに符号が付されている。また、1つの陰極引き回し配線13のみに符号が付されている。また、図1に示す例では、有機ELパネル10に9本の陽極引き回し配線11が接続されているので9つの陽極があり、有機ELパネル10に4本の陰極引き回し配線13が接続されているので4つの陰極があることになるが、それらの数は単なる例示である。また、図1に示す例では、有機EL表示装置用基板100において9つの有機ELパネル10が形成されているが、その数も単なる例示である。
【0027】
図2は、図1においてAで示された部分(A部分)を拡大して示す部分拡大図である。図2に示すように、陽極エージング用配線21における第1の陽極エージング用共通配線22に接続される箇所の近傍において、陽極エージング用配線21は、配線幅が狭くなっている狭部211を有する。なお、図1には、1箇所のA部分が示されているが、全ての(図1に示す例では9つの)陽極エージング用配線21において狭部211が設けられている。また、本実施の形態では、第1の陽極エージング用共通配線22に接続される箇所の近傍において狭部211が形成されているが、狭部211は、陽極エージング用配線21において、最も第1の陽極エージング用共通配線22に近い箇所に設けられている陽極引き回し配線11(図1の平面図ではそれぞれの有機ELパネル10における9つの陽極引き回し配線11のうちの最も右側のもの)の接続箇所よりも第1の陽極エージング用共通配線22の側であれば、第1の陽極エージング用共通配線22に接続される箇所の近傍でなくてもよい。ただし、切断箇所としての狭部211が第1の陽極エージング用共通配線22に接続される箇所の近傍に設けられている場合には、狭部211を切断するときに、容易に切断箇所を特定することができる。
【0028】
なお、最も第1の陽極エージング用共通配線22に近い箇所に設けられている陽極引き回し配線11の接続箇所(図1においてBで示す。)と、第1の陽極エージング用共通配線22に接続される箇所(図1においてCで示す。)との間が、陽極エージング用配線21に接続されている全ての陽極引き回し配線11と第1の陽極エージング用共通配線22とを電気的に分離可能な部位である。
【0029】
図3は、本実施の形態の有機EL表示装置用基板100とそれから得られる有機ELパネル10を用いた有機EL表示装置の製造方法の一例を説明するための工程図である。図3に示す工程では、有機EL表示装置は、1枚のガラス基板上に配線群および複数の有機EL層を形成する有機EL素子形成工程(ステップS1)と、有機EL層を水分などから守るためにガラスなどの対向基板で有機EL表示装置毎に外気から隔離する封止工程(ステップS2)と、有機EL表示装置用基板100において欠陥がある有機ELパネル10に対してエージング処理がなされないようにするための欠陥パネル分離工程(ステップS3)、全ての有機ELパネル10に一括してエージングを施すエージング処理を実行するエージング工程(ステップS4)と、ガラス基板を切断して複数の有機ELパネル10に分離する切断工程(ステップS5)と、反射防止のために円偏光板などの光学フィルムを貼り付ける光学フィルム貼付工程(ステップS6)と、ドライバIC8を実装する実装工程(ステップS7)とを経て、有機EL表示装置が作製される。
【0030】
図4(A)は、陰極引き回し配線13と第1の陰極エージング用共通配線32およびその周辺を示す平面図であり、図4(B)はB−B断面を示す断面図である。
【0031】
図3に示すステップS1の有機EL素子形成工程では、ガラス基板上にITOを成膜し、ITOをエッチングして、陽極配線1を形成する。次に、Al等の金属膜を成膜し、金属膜をエッチングして、陽極引き回し配線11(図4において図示せず)、陽極エージング用配線21(図4において図示せず)、第1の陽極エージング用共通配線22(図4において図示せず)、第2の陽極エージング用共通配線23(図4において図示せず)、陰極引き回し配線13、第1の陰極エージング用共通配線32および第2の陰極エージング用共通配線33を形成する。
【0032】
金属膜で形成された部材の層の上に、感光性のポリイミド樹脂である絶縁膜8を塗布する。絶縁膜8は、その開口部が有機ELパネル10の発光領域を規定するための構造物である。そして、露光現像等を行って、有機ELパネル10において各画素の発光部となる開口部を形成するために絶縁膜穴15を形成する。有機ELパネル10において開口部を形成する際に、陰極引き回し配線13における所定部位の絶縁膜8を除去して絶縁膜穴17も形成する。
【0033】
さらに、ネガ型(露光時に光があたった部分が残る)の感光性樹脂を塗布した後、露光現像して隔壁16を形成する。形成された隔壁16によって、この後の工程で蒸着によって形成される各陰極配線2が分離される。また、隔壁16によって、陰極引き回し配線13も分離される。以上のようにして陽極配線1等が形成された基板の上に、有機EL層としての有機薄膜9を積層する。有機薄膜9として、順に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層を形成する。最後に、蒸着によって、アルミニウム等の金属で陰極配線2を形成する。陰極配線2は、絶縁膜穴17の部位で陰極引き回し配線13に電気的に接続される。なお、ここでは、それぞれの陰極配線2を分離するためにに隔壁を用いたが、陰極配線2をストライプ状にマスク蒸着することによって分離してもよい。
【0034】
有機EL素子形成工程が終了すると、ガラス基板上に形成された複数の単純マトリクス型の有機ELパネル10におけるそれぞれの陽極配線1が、ガラス基板上で、陽極引き回し配線11を介して、陽極エージング用配線21、第1の陽極エージング用共通配線22および第2の陽極エージング用共通配線23に電気的に接続され、有機ELパネル10におけるそれぞれの陰極配線2が、ガラス基板上で、陰極引き回し配線13を介して第1の陰極エージング用共通配線32および第2の陰極エージング用共通配線33に電気的に接続された構造を有する有機EL表示装置用基板100が形成される。
【0035】
次に、ステップS2の封止工程において、有機EL素子形成工程でガラス基板上に形成された有機EL層を水分から守るために、第2の基板としての他のガラス基板1枚を、ガラス基板に対して対向配置し、間隙材としてのシール材によって双方のガラス基板を接合する。そして、2枚のガラス基板とシール材とによって形成された封止空間の内部に乾燥窒素ガスを封入する。
【0036】
ステップS3の欠陥パネル分離工程を経た後、ステップS4のエージング工程においてエージング処理を実行する。陽極配線1および陰極配線2にエージングのための通電処理を行うために、第2の陽極エージング用共通配線23および第2の陰極エージング用共通配線33にエージング用の電圧印加装置(エージング装置)を接続する。エージング処理では、逆バイアス(陽極よりも陰極の電圧が高くなる。)の絶対値が実際の駆動時の電圧値(絶対値)よりも大きくなるように電圧を印加する。
【0037】
ステップS5の切断工程では、ガラス基板を切断して複数の有機ELパネル10に分離する。次いで、ステップS6の光学フィルム貼付工程で、反射防止のために円偏光板などの光学フィルムを有機ELパネル10に貼り付ける。そして、ステップS7の実装工程で、駆動回路が実装されたフィルム状基板を有機ELパネル10に接続して有機EL表示装置を得る。
【0038】
本実施の形態で特徴的なことは、封止工程の前に、欠陥パネル分離工程(ステップS3)が存在することである。絶縁膜穴15,17や隔壁16を形成するとき、および補助配線を形成するときなどにフォトマスクが用いられるが、フォトマスクに汚れが生じ、汚れが生じたことが、ステップS1の有機EL素子形成工程が完了した後に判明することがある。特に、フォトマスクの汚れによって、特定の有機ELパネル10において欠陥(層間短絡など)が生じている可能性が高いことが判明することがある。なお、補助配線は、ITOを用いて形成される陰極配線1などの抵抗値を下げるために形成されるAl等の金属膜による配線である。また、絶縁膜穴15,17を形成したときの絶縁膜8の残滓、隔壁16を形成したときの残滓、補助配線を形成したときのAl等の金属膜の残滓が、画素が形成される部分などに残ると、層間短絡などの欠陥が生ずることになる。
【0039】
特定の有機ELパネル10において欠陥が生じているのに、そのまま、その有機ELパネル10も含めて一括してエージング処理を施すと、他の有機ELパネル10に対して悪影響が及ぼされる可能性がある。例えば、特定の有機ELパネル10において短絡画素が生じている場合には、短絡画素で大きなジュール熱が発生し、隣接する有機ELパネル10を損傷させたりする。
【0040】
従って、欠陥が生じている可能性が高い特定の有機ELパネル10を、エージング処理の対象から除外することが好ましい。本実施の形態では、欠陥パネル分離工程において、欠陥が生じていることがわかっている有機ELパネル10および欠陥が生じている可能性が高い特定の有機ELパネル10に対してエージング工程において通電がなされないようにする。すなわち、特定の有機ELパネル10を、第1の陽極エージング用共通配線22から電気的に分離する。例えば、レーザ加工機からレーザビームを陽極エージング用配線21の所定部位に照射して、特定の有機ELパネル10に接続される陽極エージング用配線21を所定部位で切断する。所定部位は、その有機ELパネル10に接続される全ての陽極引き回し配線11が第1の陽極エージング用共通配線22から電気的に分離されることになる位置である。
【0041】
本実施の形態では、図2に例示したように、陽極エージング用配線21において狭部211が設けられている。よって、所定部位としての狭部211に対してレーザビームを照射して切断すれば、陽極エージング用配線21における他の箇所を切断する場合に比べて、短時間で切断作業が完了する。従って、有機EL表示装置を製造する工程時間が短縮される。
【0042】
図5は、レーザビームを照射して切断する様子を示す説明図である。図5において、4つの円形301は、レーザビームの照射箇所を示す。例えば、陽極エージング用配線21の線幅(狭部211を除く。)が2mmである場合には、切断の容易さとエージング処理における陽極エージング用配線21での電圧降下の程度とを考慮して狭部211の線幅は1mm程度であることが好ましい。その場合、レーザ加工機から照射されるレーザビームの径が250μm程度であるとすると、4回レーザビームを照射すれば、狭部211を切断することができる。
【0043】
また、本実施の形態では、1つの有機ELパネル10に接続される全ての陽極引き回し配線11は、一旦、1つの陽極エージング用配線21に接続される。換言すれば、それぞれの陽極エージング用配線21は独立して設置されている。なお、独立とは、他の陽極エージング用配線21の影響を受けないことを意味する。つまり、他の陽極エージング用配線21が切断等されても、何ら影響を受けない。そして、それぞれの陽極エージング用配線21が、第1の陽極エージング用共通配線22および第2の陽極エージング用共通配線23を介して、エージング処理時に使用される電圧印加装置に接続される。従って、陽極エージング用配線21を第1の陽極エージング用共通配線22と電気的に接続されないようにすれば、その陽極エージング用配線21に陽極引き回し配線11を介して接続される有機ELパネル10に対して、電圧印加装置から通電することができなくなる。すなわち、その有機ELパネル10を除外した状態で、他の有機ELパネル10に対して一括してエージング処理を施すことができる状態になる。
【0044】
このように、本実施の形態では、エージング処理のための配線(陽極エージング用配線21、第1の陽極エージング用共通配線22および第2の陽極エージング用共通配線23)が、陽極エージング用配線21を切断するだけで特定の有機ELパネル10に対してエージング処理が施されないように形成され、かつ、陽極エージング用配線21において狭部211が設けられている。その結果、特定の有機ELパネル10を除外した状態で、他の有機ELパネル10に対して一括してエージング処理を施すことができ、かつ、特定の有機ELパネル10を短時間で電圧印加装置から通電することができなくなる状態に設定できる。
【0045】
なお、本実施の形態では、図2に例示したように、陽極エージング用配線21の2つの長辺(幅方向と直交する辺)のうちの一辺に矩形の凹部を設けることによって狭部211を形成したが、狭部211の形状は、図2に例示したような形状に限られない。
【0046】
例えば、図6(A)〜(D)に例示するようにしてもよい。図6(A)に示す例では、陽極エージング用配線21において、幅方向に複数の配線非形成部分(図6(A)における白抜き部分)を設けることによって狭部211Aが形成されている。図6(B)に示す例では、陽極エージング用配線21の2つの長辺のそれぞれにおいて、略半円形の凹部を設けることによって狭部211Bが形成されている。図6(C)に示す例では、陽極エージング用配線21の2つの長辺のうちの一辺に楕円の一部の形状の凹部を設けることによって狭部211Cが形成されている。図6(D)に示す例では、陽極エージング用配線21において、ドーナツ状の配線非形成部分(図6(D)における白抜き部分)を設けることによって狭部211Dが形成されている。なお、図2および図6(A)〜(D)に例示された形状に限らず、幅方向に狭い部分が形成できれば、それを狭部にすることができる。
【0047】
(実施の形態2)
図7は、本発明の第2の実施の形態(実施の形態2)の有機EL表示装置用基板を示す平面図である。図1に示す有機EL表示装置用基板100では、陽極引き回し配線11が有機ELパネル10から図1における下方に引き延ばされていたのに対して、図7に示す有機EL表示装置用基板100Aでは、陽極引き回し配線11が有機ELパネル10から図7における上方に引き延ばされていることが、図1に示す有機EL表示装置用基板100とは異なっている。すなわち、図7に示す有機EL表示装置用基板100Aにおける有機ELパネル10と図1に示す有機EL表示装置用基板100における有機ELパネル10とは、陰極を基準とした陽極の位置が異なっている。また、図8は、図7に示す有機EL表示装置用基板100Aにおける1つの有機ELパネル10とその周辺を示す説明図である。第1の実施の形態の場合と同様に、A部分において、陽極エージング用配線21には、配線幅が狭くなっている狭部(図2および図6参照)が設けられている。
【0048】
図7に示す有機EL表示装置用基板100Aでも、1つの有機ELパネル10に接続される全ての陽極引き回し配線11は、一旦、1つの陽極エージング用配線21に接続される。そして、それぞれの陽極エージング用配線21が、第1の陽極エージング用共通配線22および第2の陽極エージング用共通配線23を介して、エージング処理時に使用される電圧印加装置に接続される。従って、陽極エージング用配線21を第1の陽極エージング用共通配線22から電気的に接続されないようにすれば、その陽極エージング用配線21に陽極引き回し配線11を介して接続される有機ELパネル10に対して電圧印加装置から通電することができなくなる。
【0049】
また、図3に示すステップS2の封止工程において、第2の基板としての他のガラス基板1枚が、ガラス基板に対して対向配置され、間隙材としてのシール材によって双方のガラス基板が接合されるのであるが、図7には、シール材41が塗布される箇所の一例が示されている。なお、第2の基板としての他のガラス基板は、図7には示されていない。
【0050】
図7に示す例において、シール材41は、平面図で見て、それぞれ長方形状の上部、下部、左部および右部からなる矩形の枠状に塗布される。すると、下部と右部とが接触する部分が、陽極エージング用配線21における第1の陽極エージング用共通配線22の近傍部分と重なる。エージング工程は封止工程の後にあることが好ましいのであるが(図3参照)、封止工程の後に欠陥パネル分離工程およびエージング工程がある場合には、図7に示す例では、欠陥パネル分離工程において、陽極エージング用配線21を切断することが困難になる。陽極エージング用配線21を切断しようとして、A部分に存在する狭部にレーザビームを照射すると、シール材41等に損傷を与えるおそれがある。
【0051】
また、図7に示す例では下部と右部とが接触する部分において陽極エージング用配線21における第1の陽極エージング用共通配線22の近傍部分がシール材41と重なるが、陽極エージング用配線21における第1の陽極エージング用共通配線22の近傍部分が、シール材41で囲われた部分よりも内部に入ってしまうことをあり得る。その場合には、やはり、欠陥パネル分離工程において、陽極エージング用配線21を切断することができない。
【0052】
そこで、本実施の形態では、図9に示すように、陽極エージング用配線21の形状を、シール材41と重なる部分を避け、かつ、A部分がシール材41で囲われた部分よりも内部に入らないよう形状にする。図9に示す例では、平面図で見て、陽極エージング用配線21が段差を有するような形状に形成されている。その結果、A部分において陽極エージング用配線21を切断することが可能になって、有機ELパネル10を、第1の陽極エージング用共通配線22から電気的に分離させることが可能になる。
【0053】
このように、本実施の形態では、第1の実施の形態の効果に加えて、陽極エージング用配線21を長方形状に配線したのではシール材41によって第1の陽極エージング用共通配線22から電気的に分離させることができない状況において、陽極エージング用配線21の形状に工夫を加えることによって、有機ELパネル10を、第1の陽極エージング用共通配線22から電気的に分離させることができるようになるという効果を得ることができる。
【0054】
なお、上記の各実施の形態では、陽極エージング用配線21を第1の陽極エージング用共通配線22から電気的に分離させることによって、有機ELパネル10をエージング対象から除外するようにしたが、有機ELパネル10をエージング対象から除外するための対応を、陰極配線側で行うようにしてもよい。
【0055】
(実施の形態3)
図10は、第3の実施の形態(実施の形態3)の有機EL表示装置用基板であって、陰極エージング用配線31を第1の陰極エージング用共通配線32から電気的に分離させることによって、有機ELパネル10をエージング対象から除外することができる有機EL表示装置用基板を示す平面図である。
【0056】
図7に例示する有機EL表示装置用基板100Bには、9つの有機ELパネル10が形成されている。それぞれの有機ELパネル10の陰極から引き出される全ての陰極引き回し配線13が、陰極エージング用配線31に接続される。図7において縦方向に並ぶ3つの有機ELパネル10の陰極引き回し配線13に接続される3つの陰極エージング用配線31は、第1の陰極エージング用共通配線32に接続される。そして、それぞれの第1の陰極エージング用共通配線32は、第2の陰極エージング用共通配線33に接続される。
【0057】
図10においてAで示された部分(A部分)、すなわち陰極エージング用配線31における第1の陰極エージング用共通配線32に接続される箇所の近傍において、陰極エージング用配線31は、配線幅が狭くなっている狭部を有する。なお、図10には、1箇所のA部分が示されているが、全ての(図10に示す例では9つの)陰極エージング用配線31において狭部が設けられている。また、狭部の形状は、例えば、図2や図6に例示された狭部の形状と同じである。
【0058】
また、本実施の形態では、第1の陰極エージング用共通配線32に接続される箇所の近傍において狭部が形成されているが、狭部は、陰極エージング用配線31において、最も第1の陰極エージング用共通配線32に近い箇所に設けられている陰極引き回し配線13(図10の平面図ではそれぞれの有機ELパネル10における4つの陰極引き回し配線13のうちの最も下側のもの)の接続箇所よりも第1の陰極エージング用共通配線32の側であれば、第1の陰極エージング用共通配線32に接続される箇所の近傍でなくてもよい。最も第1の陰極エージング用共通配線32に近い箇所に設けられている陰極引き回し配線13の接続箇所(図10においてBで示す。)と、第1の陰極エージング用共通配線32に接続される箇所(図10においてCで示す。)との間が、陰極エージング用配線31に接続されている全ての陰極引き回し配線13と第1の陰極エージング用共通配線32とを電気的に分離可能な部位である。
【0059】
本実施の形態では、1つの有機ELパネル10に接続される全ての陰極引き回し配線13は、一旦、1つの陰極エージング用配線31に接続される。換言すれば、それぞれの陰極エージング用配線31は独立して設置されている。なお、独立とは、他の陰極エージング用配線31の影響を受けないことを意味する。つまり、他の陰極エージング用配線31が切断等されても、何ら影響を受けない。そして、それぞれの陰極エージング用配線31が、第1の陰極エージング用共通配線32および第2の陰極エージング用共通配線33を介して、エージング処理時に使用される電圧印加装置に接続される。従って、欠陥パネル分離工程において陰極エージング用配線31を第1の陰極エージング用共通配線32と電気的に接続されないようにすれば、その陰極エージング用配線21に陰極引き回し配線13を介して接続される有機ELパネル10に対して、電圧印加装置から通電することができなくなる。すなわち、その有機ELパネル10を除外した状態で、他の有機ELパネル10に対して一括してエージング処理を施すことができる状態になる。
【0060】
本実施の形態では、エージング処理のための配線(陰極エージング用配線31、第1の陰極エージング用共通配線32および第2の陰極エージング用共通配線33)が、陰極エージング用配線31を切断するだけで特定の有機ELパネル10に対してエージング処理が施されないように形成され、かつ、陰極エージング用配線31において狭部が設けられている。その結果、特定の有機ELパネル10を除外した状態で、他の有機ELパネル10に対して一括してエージング処理を施すことができ、かつ、特定の有機ELパネル10を短時間で電圧印加装置から通電することができなくなる状態に設定できる。
【0061】
なお、図10に例示された構成では、図1に示された陽極側の配線構成と同様に、1つの有機ELパネル10に接続される全ての陽極引き回し配線11が、一旦、1つの陽極エージング用配線21に接続される構成になっているが、本実施の形態では、そのような陽極側の配線構成は必須のことではない。すなわち、例えば、全ての有機ELパネル10に接続される全ての陽極引き回し配線11が、直接、第1の陽極エージング用共通配線22に接続されるような構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、1枚のガラス基板上に多数の有機ELパネルが形成される場合であって、それらの有機ELパネルに対して一括してエージング処理を施す方法に効果的に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】第1の実施の形態の有機EL表示装置用基板を示す平面図。
【図2】図1におけるA部分を拡大して示す部分拡大図。
【図3】有機EL表示装置用基板とそれから得られる有機ELパネルを用いた有機EL表示装置の製造方法の一例を説明するための工程図。
【図4】(A)は陰極引き回し配線と第1の陰極エージング用共通配線およびその周辺を示す平面図、(B)はB−B断面を示す断面図。
【図5】陰極引き回し配線と第1の陰極エージング用共通配線およびその周辺を示す平面図であり、図4(B)はB−B断面を示す断面図。
【図6】陽極エージング用配線に設けられる狭部の他の例を示す説明図。
【図7】第2の実施の形態の有機EL表示装置用基板を示す平面図。
【図8】図7に示す有機EL表示装置用基板における1つの有機ELパネルとその周辺を示す説明図。
【図9】非直線形状の陽極エージング用配線を示す説明図。
【図10】第3の実施の形態の有機EL表示装置用基板を示す平面図。
【符号の説明】
【0064】
10 有機ELパネル
11 陽極引き回し配線
13 陰極引き回し配線
21 陽極エージング用配線
22 第1の陽極エージング用共通配線
23 第2の陽極エージング用共通配線
31 陰極エージング用配線
32 第1の陰極エージング用共通配線
33 第2の陰極エージング用共通配線
100,100A,100B 有機EL表示装置用基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、エージング処理の効果を増進させることができる有機EL表示装置用基板、その製造方法、および有機EL表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置では、陽極に接続されるか、または陽極そのものを形成する陽極配線と、陰極に接続されるか、または陰極そのものを形成する陰極配線とが、対向し、かつ、交差するように設けられる。また、陽極配線と陰極配線との間に有機薄膜(有機EL層)が配置される。そして、有機EL表示装置は、陽極配線と陰極配線との間に配置された有機薄膜に電流が供給されると自発光する電流駆動型の表示装置である。陽極配線と陰極配線との交点が画素になる。有機EL素子は、陽極配線と陰極配線、およびそれらの間に存在する有機薄膜で形成される。陽極配線側を高電圧側とし、所定の電圧を両電極配線間に印加して有機薄膜に電流を供給すると発光する。逆に、陰極配線側を高電位とした場合には電流がほとんど流れず発光しない。
【0003】
有機EL素子に定電圧を印加した際、その発光輝度は温度変化や経時変化によって大きく変動する。しかし、電流値に対する有機EL素子の発光輝度の変動は小さい。所定の表示輝度を得るために、駆動回路に定電流回路を設けて、それぞれの有機EL素子に定電流を供給する、定電流性の駆動方法を用いることが一般的である。
【0004】
有機EL表示装置の製造時に、陽極配線と陰極配線との間に配されている有機EL層にごみ等の異物が混入したり、陽極配線に突起が生じて突起が有機EL層に侵入したりすることがある。そして、有機EL表示装置の実稼働中に、異物等に電荷が集中し局所的に熱が発生すると、有機EL層における有機物の分解が進む。すると、ついには有機物が陰極配線とともに裂け、陽極配線と陰極配線との短絡(層間短絡)が生ずる。短絡が生ずると、実稼働中に、短絡が生じている画素に電荷が集中し、有機EL表示装置が発光しなくなる現象が生ずることもある。
【0005】
実稼働中にそのような現象が発生することを避けるために、あらかじめ、異物が混入している欠陥部を電気的な開放状態である絶縁状態にしたり酸化により不導体化したりする短絡エージング処理(以下、エージング処理という。)が行われる(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
特許文献1に記載された方法では、エージング処理は、陽極配線と陰極配線との間に、電流印加装置から所定時間パルス状の直流電圧を印加することによって実行される。また、エージング処理では、陽極配線と陰極配線との間に、逆バイアス電圧(陽極よりも陰極の電圧が高くなる。)が印加される。その結果、短絡が生じている異常点または短絡が生じそうな異常点(以下、それらを短絡点という。)を有する画素には電流が流れ、そうでない画素には電流が流れない。すると、短絡点に電流が集中し、短絡点が酸化されたり不導体化されたりする。
【0007】
なお、短絡点が酸化されたり不導体化されたりすることによってその短絡点近傍の領域は発光しなくなる。しかし、短絡点は、一般に微小領域であるからユーザに視認されづらく、実用上問題にならない。
【0008】
【特許文献1】特開2003−282253号公報(段落0004−0007)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
有機EL表示素子(有機ELパネル)を用いた有機EL表示装置を作製する場合、一般に、1枚の大きなガラス基板上に複数の有機ELパネルを形成する。一般的な製造工程は、1枚のガラス基板上に配線群および有機EL層を形成する有機EL素子形成工程と、有機EL層を水分などから守るために有機ELパネル毎にガラスなどの対向基板によって外気から隔離する封止工程と、ガラス基板を切断して複数の有機ELパネルに分離する切断工程と、反射防止のために円偏光板などの光学フィルムを貼り付ける光学フィルム貼付工程と、駆動回路などの周辺回路を実装して有機EL表示装置を得る実装工程とを順に実行することによって成り立っている。なお、有機EL素子形成工程または封止工程が終了した状態のガラス基板を、有機EL表示装置用基板という。
【0010】
エージング処理は、複数の有機ELパネルに分離する前に実行されることが好ましい。複数の有機ELパネルに対して一括してエージング処理を施すことができるからである。複数の有機ELパネルに対して一括してエージング処理を施す場合に、ある有機ELパネルにおいて短絡点を有する画素(以下、短絡画素という。)が存在したときには、短絡点に集中して電流が流れるので、電圧印加装置から見て下流にある他の有機ELパネルに供給される電流が少なくなる。すると、それらの有機ELパネルに対するエージング処理が不十分になるおそれがある。
【0011】
さらに、短絡点に集中して電流が流れることから、そこで大きなジュール熱が発生する。その結果、有機ELパネルにおいて短絡画素の周囲における比較的大きな領域の各画素を損傷させたり、隣接する有機ELパネルを損傷させたりする可能性がある。
【0012】
なお、特許文献1には、短絡点を不導体化することと周囲画素を破壊しないこととを両立させることが記載されているが(例えば、段落0036−0037)、短絡点におけるジュール熱の発生によって隣接する有機ELパネルを損傷させる可能性を低減できるわけではない。
【0013】
そこで、本発明は、複数の有機ELパネルに対して一括してエージング処理を施すことができる上に、各有機ELパネルに対して確実にエージング処理を施すことができ、さらには、短絡画素に起因して隣接する有機ELパネル等に損傷が与えられることを防止できる有機EL表示装置用基板、その製造方法、および有機EL表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明による有機EL表示装置用基板は、陽極配線と有機EL層と陰極配線とを備える有機ELパネルが複数形成された有機EL表示装置用基板であって、それぞれの有機ELパネルに対応して設けられ、有機ELパネルにおける陽極配線に接続される陽極引き回し配線に接続される陽極エージング用配線と、それぞれの陽極エージング用配線に電気的に接続され、陽極エージング用配線をエージング装置に接続するための陽極エージング用共通配線(例えば、第1の陽極エージング用共通配線22および第2の陽極エージング用共通配線23)とを備え、陽極エージング用配線における部位であって、陽極エージング用配線に接続されている陽極引き回し配線と陽極エージング用共通配線とを電気的に分離可能な部位に線幅が狭い狭部が設けられていることを特徴とする。
【0015】
陽極エージング用配線は、有機ELパネルを封止するためのシール材の設置位置を避けた経路を有し、その経路に前記狭部が設けられているように構成されていてもよい。
【0016】
本発明による他の態様の有機EL表示装置用基板は、陽極配線と有機EL層と陰極配線とを備える有機ELパネルが複数形成された有機EL表示装置用基板であって、それぞれの有機ELパネルに対応して設けられ、有機ELパネルにおける陰極配線に接続される陰極引き回し配線に接続される陰極エージング用配線と、それぞれの陰極エージング用配線に電気的に接続され、陰極エージング用配線をエージング装置に接続するための陰極エージング用共通配線(例えば、第1の陰極エージング用共通配線32および第2の陰極エージング用共通配線33)とを備え、陰極エージング用配線における部位であって、陰極エージング用配線に接続されている陰極引き回し配線と陰極エージング用共通配線とを電気的に分離可能な部位に線幅が狭い狭部が設けられていることを特徴とする。
【0017】
陰極エージング用配線は、有機ELパネルを封止するためのシール材の設置位置を避けた経路を有し、その経路に前記狭部が設けられているように構成されていてもよい。
【0018】
本発明による有機EL表示装置用基板の製造方法は、陽極配線と有機EL層と陰極配線とを備える有機ELパネルが複数形成される有機EL表示装置用基板の製造方法であって、それぞれの有機ELパネルに対応させて、有機ELパネルにおける陽極配線または陰極配線に接続される陽極引き回し配線または陰極引き回し配線に接続される陽極エージング用配線または陰極エージング用配線を配線し、それぞれの陽極エージング用配線または陰極エージング用配線に電気的に接続され、陽極エージング用配線または陰極エージング用配線をエージング装置に接続するための陽極エージング用共通配線または陰極エージング用共通配線を配線し、陽極引き回し配線または陰極引き回し配線における部位であって、陽極エージング用配線または陰極エージング用配線に接続されている陽極引き回し配線または陰極引き回し配線と陽極エージング用共通配線または陰極エージング用共通配線とを電気的に分離可能な部位に線幅が狭い狭部を設けることを特徴とする。
【0019】
本発明による有機EL表示装置は、上記の有機EL表示装置用基板を切断して得られる有機ELパネルを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、複数の有機ELパネルに対して一括してエージング処理を施すときに、短絡画素等の欠陥を有する有機ELパネルをエージング処理対象から容易に除外することができるので、短絡画素に起因して隣接する有機ELパネル等に損傷が与えられることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態(実施の形態1)の有機EL表示装置用基板を示す平面図である。図1に例示する有機EL表示装置用基板100には、9つの有機ELパネル10が形成されている。それぞれの有機ELパネル10の陽極から引き出される全ての陽極引き回し配線11が、陽極エージング用配線21に接続される。図1において縦方向に並ぶ3つの有機ELパネル10の陽極引き回し配線11に接続される3つの陽極エージング用配線21は、第1の陽極エージング用共通配線22に接続される。そして、それぞれの第1の陽極エージング用共通配線22は、第2の陽極エージング用共通配線23に接続される。
【0023】
第1の陽極エージング用共通配線22の線幅は、陽極エージング用配線21の線幅よりも広い。複数の有機ELパネル10において短絡画素が存在する場合にはそれらに電流が流れるが、その場合、それぞれの陽極エージング用配線21を流れる電流よりも、第1の陽極エージング用共通配線22を流れる電流の方が多いからである。また、第2の陽極エージング用共通配線23の線幅は、第1の陽極エージング用共通配線22の線幅よりも広い。
【0024】
また、図1において縦方向に並ぶ3つの有機ELパネル10の陰極から引き出される各陰極引き回し配線13が、第1の陰極エージング用共通配線32に接続される。それぞれの第1の陰極エージング用共通配線32は、第2の陰極エージング用共通配線33に接続される。
【0025】
第2の陰極エージング用共通配線33の線幅は、第1の陰極エージング用共通配線32の線幅よりも広い。複数の有機ELパネル10(図1において縦方向に並ぶ3つの有機ELパネル10を、左グループ、中グループ、右グループと呼ぶとすると、例えば、左グループの1つと中グループの1つ)において短絡画素が存在する場合にはそれらに電流が流れるが、その場合、それぞれの第1の陰極エージング用共通配線32(例えば、左グループに対応するものと中グループに対応するもの)を流れる電流よりも、第2の陰極エージング用共通配線33を流れる電流の方が多いからである。
【0026】
なお、図1では、それぞれの有機ELパネル10について、1つの陽極引き回し配線11のみに符号が付されている。また、1つの陰極引き回し配線13のみに符号が付されている。また、図1に示す例では、有機ELパネル10に9本の陽極引き回し配線11が接続されているので9つの陽極があり、有機ELパネル10に4本の陰極引き回し配線13が接続されているので4つの陰極があることになるが、それらの数は単なる例示である。また、図1に示す例では、有機EL表示装置用基板100において9つの有機ELパネル10が形成されているが、その数も単なる例示である。
【0027】
図2は、図1においてAで示された部分(A部分)を拡大して示す部分拡大図である。図2に示すように、陽極エージング用配線21における第1の陽極エージング用共通配線22に接続される箇所の近傍において、陽極エージング用配線21は、配線幅が狭くなっている狭部211を有する。なお、図1には、1箇所のA部分が示されているが、全ての(図1に示す例では9つの)陽極エージング用配線21において狭部211が設けられている。また、本実施の形態では、第1の陽極エージング用共通配線22に接続される箇所の近傍において狭部211が形成されているが、狭部211は、陽極エージング用配線21において、最も第1の陽極エージング用共通配線22に近い箇所に設けられている陽極引き回し配線11(図1の平面図ではそれぞれの有機ELパネル10における9つの陽極引き回し配線11のうちの最も右側のもの)の接続箇所よりも第1の陽極エージング用共通配線22の側であれば、第1の陽極エージング用共通配線22に接続される箇所の近傍でなくてもよい。ただし、切断箇所としての狭部211が第1の陽極エージング用共通配線22に接続される箇所の近傍に設けられている場合には、狭部211を切断するときに、容易に切断箇所を特定することができる。
【0028】
なお、最も第1の陽極エージング用共通配線22に近い箇所に設けられている陽極引き回し配線11の接続箇所(図1においてBで示す。)と、第1の陽極エージング用共通配線22に接続される箇所(図1においてCで示す。)との間が、陽極エージング用配線21に接続されている全ての陽極引き回し配線11と第1の陽極エージング用共通配線22とを電気的に分離可能な部位である。
【0029】
図3は、本実施の形態の有機EL表示装置用基板100とそれから得られる有機ELパネル10を用いた有機EL表示装置の製造方法の一例を説明するための工程図である。図3に示す工程では、有機EL表示装置は、1枚のガラス基板上に配線群および複数の有機EL層を形成する有機EL素子形成工程(ステップS1)と、有機EL層を水分などから守るためにガラスなどの対向基板で有機EL表示装置毎に外気から隔離する封止工程(ステップS2)と、有機EL表示装置用基板100において欠陥がある有機ELパネル10に対してエージング処理がなされないようにするための欠陥パネル分離工程(ステップS3)、全ての有機ELパネル10に一括してエージングを施すエージング処理を実行するエージング工程(ステップS4)と、ガラス基板を切断して複数の有機ELパネル10に分離する切断工程(ステップS5)と、反射防止のために円偏光板などの光学フィルムを貼り付ける光学フィルム貼付工程(ステップS6)と、ドライバIC8を実装する実装工程(ステップS7)とを経て、有機EL表示装置が作製される。
【0030】
図4(A)は、陰極引き回し配線13と第1の陰極エージング用共通配線32およびその周辺を示す平面図であり、図4(B)はB−B断面を示す断面図である。
【0031】
図3に示すステップS1の有機EL素子形成工程では、ガラス基板上にITOを成膜し、ITOをエッチングして、陽極配線1を形成する。次に、Al等の金属膜を成膜し、金属膜をエッチングして、陽極引き回し配線11(図4において図示せず)、陽極エージング用配線21(図4において図示せず)、第1の陽極エージング用共通配線22(図4において図示せず)、第2の陽極エージング用共通配線23(図4において図示せず)、陰極引き回し配線13、第1の陰極エージング用共通配線32および第2の陰極エージング用共通配線33を形成する。
【0032】
金属膜で形成された部材の層の上に、感光性のポリイミド樹脂である絶縁膜8を塗布する。絶縁膜8は、その開口部が有機ELパネル10の発光領域を規定するための構造物である。そして、露光現像等を行って、有機ELパネル10において各画素の発光部となる開口部を形成するために絶縁膜穴15を形成する。有機ELパネル10において開口部を形成する際に、陰極引き回し配線13における所定部位の絶縁膜8を除去して絶縁膜穴17も形成する。
【0033】
さらに、ネガ型(露光時に光があたった部分が残る)の感光性樹脂を塗布した後、露光現像して隔壁16を形成する。形成された隔壁16によって、この後の工程で蒸着によって形成される各陰極配線2が分離される。また、隔壁16によって、陰極引き回し配線13も分離される。以上のようにして陽極配線1等が形成された基板の上に、有機EL層としての有機薄膜9を積層する。有機薄膜9として、順に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層を形成する。最後に、蒸着によって、アルミニウム等の金属で陰極配線2を形成する。陰極配線2は、絶縁膜穴17の部位で陰極引き回し配線13に電気的に接続される。なお、ここでは、それぞれの陰極配線2を分離するためにに隔壁を用いたが、陰極配線2をストライプ状にマスク蒸着することによって分離してもよい。
【0034】
有機EL素子形成工程が終了すると、ガラス基板上に形成された複数の単純マトリクス型の有機ELパネル10におけるそれぞれの陽極配線1が、ガラス基板上で、陽極引き回し配線11を介して、陽極エージング用配線21、第1の陽極エージング用共通配線22および第2の陽極エージング用共通配線23に電気的に接続され、有機ELパネル10におけるそれぞれの陰極配線2が、ガラス基板上で、陰極引き回し配線13を介して第1の陰極エージング用共通配線32および第2の陰極エージング用共通配線33に電気的に接続された構造を有する有機EL表示装置用基板100が形成される。
【0035】
次に、ステップS2の封止工程において、有機EL素子形成工程でガラス基板上に形成された有機EL層を水分から守るために、第2の基板としての他のガラス基板1枚を、ガラス基板に対して対向配置し、間隙材としてのシール材によって双方のガラス基板を接合する。そして、2枚のガラス基板とシール材とによって形成された封止空間の内部に乾燥窒素ガスを封入する。
【0036】
ステップS3の欠陥パネル分離工程を経た後、ステップS4のエージング工程においてエージング処理を実行する。陽極配線1および陰極配線2にエージングのための通電処理を行うために、第2の陽極エージング用共通配線23および第2の陰極エージング用共通配線33にエージング用の電圧印加装置(エージング装置)を接続する。エージング処理では、逆バイアス(陽極よりも陰極の電圧が高くなる。)の絶対値が実際の駆動時の電圧値(絶対値)よりも大きくなるように電圧を印加する。
【0037】
ステップS5の切断工程では、ガラス基板を切断して複数の有機ELパネル10に分離する。次いで、ステップS6の光学フィルム貼付工程で、反射防止のために円偏光板などの光学フィルムを有機ELパネル10に貼り付ける。そして、ステップS7の実装工程で、駆動回路が実装されたフィルム状基板を有機ELパネル10に接続して有機EL表示装置を得る。
【0038】
本実施の形態で特徴的なことは、封止工程の前に、欠陥パネル分離工程(ステップS3)が存在することである。絶縁膜穴15,17や隔壁16を形成するとき、および補助配線を形成するときなどにフォトマスクが用いられるが、フォトマスクに汚れが生じ、汚れが生じたことが、ステップS1の有機EL素子形成工程が完了した後に判明することがある。特に、フォトマスクの汚れによって、特定の有機ELパネル10において欠陥(層間短絡など)が生じている可能性が高いことが判明することがある。なお、補助配線は、ITOを用いて形成される陰極配線1などの抵抗値を下げるために形成されるAl等の金属膜による配線である。また、絶縁膜穴15,17を形成したときの絶縁膜8の残滓、隔壁16を形成したときの残滓、補助配線を形成したときのAl等の金属膜の残滓が、画素が形成される部分などに残ると、層間短絡などの欠陥が生ずることになる。
【0039】
特定の有機ELパネル10において欠陥が生じているのに、そのまま、その有機ELパネル10も含めて一括してエージング処理を施すと、他の有機ELパネル10に対して悪影響が及ぼされる可能性がある。例えば、特定の有機ELパネル10において短絡画素が生じている場合には、短絡画素で大きなジュール熱が発生し、隣接する有機ELパネル10を損傷させたりする。
【0040】
従って、欠陥が生じている可能性が高い特定の有機ELパネル10を、エージング処理の対象から除外することが好ましい。本実施の形態では、欠陥パネル分離工程において、欠陥が生じていることがわかっている有機ELパネル10および欠陥が生じている可能性が高い特定の有機ELパネル10に対してエージング工程において通電がなされないようにする。すなわち、特定の有機ELパネル10を、第1の陽極エージング用共通配線22から電気的に分離する。例えば、レーザ加工機からレーザビームを陽極エージング用配線21の所定部位に照射して、特定の有機ELパネル10に接続される陽極エージング用配線21を所定部位で切断する。所定部位は、その有機ELパネル10に接続される全ての陽極引き回し配線11が第1の陽極エージング用共通配線22から電気的に分離されることになる位置である。
【0041】
本実施の形態では、図2に例示したように、陽極エージング用配線21において狭部211が設けられている。よって、所定部位としての狭部211に対してレーザビームを照射して切断すれば、陽極エージング用配線21における他の箇所を切断する場合に比べて、短時間で切断作業が完了する。従って、有機EL表示装置を製造する工程時間が短縮される。
【0042】
図5は、レーザビームを照射して切断する様子を示す説明図である。図5において、4つの円形301は、レーザビームの照射箇所を示す。例えば、陽極エージング用配線21の線幅(狭部211を除く。)が2mmである場合には、切断の容易さとエージング処理における陽極エージング用配線21での電圧降下の程度とを考慮して狭部211の線幅は1mm程度であることが好ましい。その場合、レーザ加工機から照射されるレーザビームの径が250μm程度であるとすると、4回レーザビームを照射すれば、狭部211を切断することができる。
【0043】
また、本実施の形態では、1つの有機ELパネル10に接続される全ての陽極引き回し配線11は、一旦、1つの陽極エージング用配線21に接続される。換言すれば、それぞれの陽極エージング用配線21は独立して設置されている。なお、独立とは、他の陽極エージング用配線21の影響を受けないことを意味する。つまり、他の陽極エージング用配線21が切断等されても、何ら影響を受けない。そして、それぞれの陽極エージング用配線21が、第1の陽極エージング用共通配線22および第2の陽極エージング用共通配線23を介して、エージング処理時に使用される電圧印加装置に接続される。従って、陽極エージング用配線21を第1の陽極エージング用共通配線22と電気的に接続されないようにすれば、その陽極エージング用配線21に陽極引き回し配線11を介して接続される有機ELパネル10に対して、電圧印加装置から通電することができなくなる。すなわち、その有機ELパネル10を除外した状態で、他の有機ELパネル10に対して一括してエージング処理を施すことができる状態になる。
【0044】
このように、本実施の形態では、エージング処理のための配線(陽極エージング用配線21、第1の陽極エージング用共通配線22および第2の陽極エージング用共通配線23)が、陽極エージング用配線21を切断するだけで特定の有機ELパネル10に対してエージング処理が施されないように形成され、かつ、陽極エージング用配線21において狭部211が設けられている。その結果、特定の有機ELパネル10を除外した状態で、他の有機ELパネル10に対して一括してエージング処理を施すことができ、かつ、特定の有機ELパネル10を短時間で電圧印加装置から通電することができなくなる状態に設定できる。
【0045】
なお、本実施の形態では、図2に例示したように、陽極エージング用配線21の2つの長辺(幅方向と直交する辺)のうちの一辺に矩形の凹部を設けることによって狭部211を形成したが、狭部211の形状は、図2に例示したような形状に限られない。
【0046】
例えば、図6(A)〜(D)に例示するようにしてもよい。図6(A)に示す例では、陽極エージング用配線21において、幅方向に複数の配線非形成部分(図6(A)における白抜き部分)を設けることによって狭部211Aが形成されている。図6(B)に示す例では、陽極エージング用配線21の2つの長辺のそれぞれにおいて、略半円形の凹部を設けることによって狭部211Bが形成されている。図6(C)に示す例では、陽極エージング用配線21の2つの長辺のうちの一辺に楕円の一部の形状の凹部を設けることによって狭部211Cが形成されている。図6(D)に示す例では、陽極エージング用配線21において、ドーナツ状の配線非形成部分(図6(D)における白抜き部分)を設けることによって狭部211Dが形成されている。なお、図2および図6(A)〜(D)に例示された形状に限らず、幅方向に狭い部分が形成できれば、それを狭部にすることができる。
【0047】
(実施の形態2)
図7は、本発明の第2の実施の形態(実施の形態2)の有機EL表示装置用基板を示す平面図である。図1に示す有機EL表示装置用基板100では、陽極引き回し配線11が有機ELパネル10から図1における下方に引き延ばされていたのに対して、図7に示す有機EL表示装置用基板100Aでは、陽極引き回し配線11が有機ELパネル10から図7における上方に引き延ばされていることが、図1に示す有機EL表示装置用基板100とは異なっている。すなわち、図7に示す有機EL表示装置用基板100Aにおける有機ELパネル10と図1に示す有機EL表示装置用基板100における有機ELパネル10とは、陰極を基準とした陽極の位置が異なっている。また、図8は、図7に示す有機EL表示装置用基板100Aにおける1つの有機ELパネル10とその周辺を示す説明図である。第1の実施の形態の場合と同様に、A部分において、陽極エージング用配線21には、配線幅が狭くなっている狭部(図2および図6参照)が設けられている。
【0048】
図7に示す有機EL表示装置用基板100Aでも、1つの有機ELパネル10に接続される全ての陽極引き回し配線11は、一旦、1つの陽極エージング用配線21に接続される。そして、それぞれの陽極エージング用配線21が、第1の陽極エージング用共通配線22および第2の陽極エージング用共通配線23を介して、エージング処理時に使用される電圧印加装置に接続される。従って、陽極エージング用配線21を第1の陽極エージング用共通配線22から電気的に接続されないようにすれば、その陽極エージング用配線21に陽極引き回し配線11を介して接続される有機ELパネル10に対して電圧印加装置から通電することができなくなる。
【0049】
また、図3に示すステップS2の封止工程において、第2の基板としての他のガラス基板1枚が、ガラス基板に対して対向配置され、間隙材としてのシール材によって双方のガラス基板が接合されるのであるが、図7には、シール材41が塗布される箇所の一例が示されている。なお、第2の基板としての他のガラス基板は、図7には示されていない。
【0050】
図7に示す例において、シール材41は、平面図で見て、それぞれ長方形状の上部、下部、左部および右部からなる矩形の枠状に塗布される。すると、下部と右部とが接触する部分が、陽極エージング用配線21における第1の陽極エージング用共通配線22の近傍部分と重なる。エージング工程は封止工程の後にあることが好ましいのであるが(図3参照)、封止工程の後に欠陥パネル分離工程およびエージング工程がある場合には、図7に示す例では、欠陥パネル分離工程において、陽極エージング用配線21を切断することが困難になる。陽極エージング用配線21を切断しようとして、A部分に存在する狭部にレーザビームを照射すると、シール材41等に損傷を与えるおそれがある。
【0051】
また、図7に示す例では下部と右部とが接触する部分において陽極エージング用配線21における第1の陽極エージング用共通配線22の近傍部分がシール材41と重なるが、陽極エージング用配線21における第1の陽極エージング用共通配線22の近傍部分が、シール材41で囲われた部分よりも内部に入ってしまうことをあり得る。その場合には、やはり、欠陥パネル分離工程において、陽極エージング用配線21を切断することができない。
【0052】
そこで、本実施の形態では、図9に示すように、陽極エージング用配線21の形状を、シール材41と重なる部分を避け、かつ、A部分がシール材41で囲われた部分よりも内部に入らないよう形状にする。図9に示す例では、平面図で見て、陽極エージング用配線21が段差を有するような形状に形成されている。その結果、A部分において陽極エージング用配線21を切断することが可能になって、有機ELパネル10を、第1の陽極エージング用共通配線22から電気的に分離させることが可能になる。
【0053】
このように、本実施の形態では、第1の実施の形態の効果に加えて、陽極エージング用配線21を長方形状に配線したのではシール材41によって第1の陽極エージング用共通配線22から電気的に分離させることができない状況において、陽極エージング用配線21の形状に工夫を加えることによって、有機ELパネル10を、第1の陽極エージング用共通配線22から電気的に分離させることができるようになるという効果を得ることができる。
【0054】
なお、上記の各実施の形態では、陽極エージング用配線21を第1の陽極エージング用共通配線22から電気的に分離させることによって、有機ELパネル10をエージング対象から除外するようにしたが、有機ELパネル10をエージング対象から除外するための対応を、陰極配線側で行うようにしてもよい。
【0055】
(実施の形態3)
図10は、第3の実施の形態(実施の形態3)の有機EL表示装置用基板であって、陰極エージング用配線31を第1の陰極エージング用共通配線32から電気的に分離させることによって、有機ELパネル10をエージング対象から除外することができる有機EL表示装置用基板を示す平面図である。
【0056】
図7に例示する有機EL表示装置用基板100Bには、9つの有機ELパネル10が形成されている。それぞれの有機ELパネル10の陰極から引き出される全ての陰極引き回し配線13が、陰極エージング用配線31に接続される。図7において縦方向に並ぶ3つの有機ELパネル10の陰極引き回し配線13に接続される3つの陰極エージング用配線31は、第1の陰極エージング用共通配線32に接続される。そして、それぞれの第1の陰極エージング用共通配線32は、第2の陰極エージング用共通配線33に接続される。
【0057】
図10においてAで示された部分(A部分)、すなわち陰極エージング用配線31における第1の陰極エージング用共通配線32に接続される箇所の近傍において、陰極エージング用配線31は、配線幅が狭くなっている狭部を有する。なお、図10には、1箇所のA部分が示されているが、全ての(図10に示す例では9つの)陰極エージング用配線31において狭部が設けられている。また、狭部の形状は、例えば、図2や図6に例示された狭部の形状と同じである。
【0058】
また、本実施の形態では、第1の陰極エージング用共通配線32に接続される箇所の近傍において狭部が形成されているが、狭部は、陰極エージング用配線31において、最も第1の陰極エージング用共通配線32に近い箇所に設けられている陰極引き回し配線13(図10の平面図ではそれぞれの有機ELパネル10における4つの陰極引き回し配線13のうちの最も下側のもの)の接続箇所よりも第1の陰極エージング用共通配線32の側であれば、第1の陰極エージング用共通配線32に接続される箇所の近傍でなくてもよい。最も第1の陰極エージング用共通配線32に近い箇所に設けられている陰極引き回し配線13の接続箇所(図10においてBで示す。)と、第1の陰極エージング用共通配線32に接続される箇所(図10においてCで示す。)との間が、陰極エージング用配線31に接続されている全ての陰極引き回し配線13と第1の陰極エージング用共通配線32とを電気的に分離可能な部位である。
【0059】
本実施の形態では、1つの有機ELパネル10に接続される全ての陰極引き回し配線13は、一旦、1つの陰極エージング用配線31に接続される。換言すれば、それぞれの陰極エージング用配線31は独立して設置されている。なお、独立とは、他の陰極エージング用配線31の影響を受けないことを意味する。つまり、他の陰極エージング用配線31が切断等されても、何ら影響を受けない。そして、それぞれの陰極エージング用配線31が、第1の陰極エージング用共通配線32および第2の陰極エージング用共通配線33を介して、エージング処理時に使用される電圧印加装置に接続される。従って、欠陥パネル分離工程において陰極エージング用配線31を第1の陰極エージング用共通配線32と電気的に接続されないようにすれば、その陰極エージング用配線21に陰極引き回し配線13を介して接続される有機ELパネル10に対して、電圧印加装置から通電することができなくなる。すなわち、その有機ELパネル10を除外した状態で、他の有機ELパネル10に対して一括してエージング処理を施すことができる状態になる。
【0060】
本実施の形態では、エージング処理のための配線(陰極エージング用配線31、第1の陰極エージング用共通配線32および第2の陰極エージング用共通配線33)が、陰極エージング用配線31を切断するだけで特定の有機ELパネル10に対してエージング処理が施されないように形成され、かつ、陰極エージング用配線31において狭部が設けられている。その結果、特定の有機ELパネル10を除外した状態で、他の有機ELパネル10に対して一括してエージング処理を施すことができ、かつ、特定の有機ELパネル10を短時間で電圧印加装置から通電することができなくなる状態に設定できる。
【0061】
なお、図10に例示された構成では、図1に示された陽極側の配線構成と同様に、1つの有機ELパネル10に接続される全ての陽極引き回し配線11が、一旦、1つの陽極エージング用配線21に接続される構成になっているが、本実施の形態では、そのような陽極側の配線構成は必須のことではない。すなわち、例えば、全ての有機ELパネル10に接続される全ての陽極引き回し配線11が、直接、第1の陽極エージング用共通配線22に接続されるような構成であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、1枚のガラス基板上に多数の有機ELパネルが形成される場合であって、それらの有機ELパネルに対して一括してエージング処理を施す方法に効果的に適用される。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】第1の実施の形態の有機EL表示装置用基板を示す平面図。
【図2】図1におけるA部分を拡大して示す部分拡大図。
【図3】有機EL表示装置用基板とそれから得られる有機ELパネルを用いた有機EL表示装置の製造方法の一例を説明するための工程図。
【図4】(A)は陰極引き回し配線と第1の陰極エージング用共通配線およびその周辺を示す平面図、(B)はB−B断面を示す断面図。
【図5】陰極引き回し配線と第1の陰極エージング用共通配線およびその周辺を示す平面図であり、図4(B)はB−B断面を示す断面図。
【図6】陽極エージング用配線に設けられる狭部の他の例を示す説明図。
【図7】第2の実施の形態の有機EL表示装置用基板を示す平面図。
【図8】図7に示す有機EL表示装置用基板における1つの有機ELパネルとその周辺を示す説明図。
【図9】非直線形状の陽極エージング用配線を示す説明図。
【図10】第3の実施の形態の有機EL表示装置用基板を示す平面図。
【符号の説明】
【0064】
10 有機ELパネル
11 陽極引き回し配線
13 陰極引き回し配線
21 陽極エージング用配線
22 第1の陽極エージング用共通配線
23 第2の陽極エージング用共通配線
31 陰極エージング用配線
32 第1の陰極エージング用共通配線
33 第2の陰極エージング用共通配線
100,100A,100B 有機EL表示装置用基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極配線と有機EL層と陰極配線とを備える有機ELパネルが複数形成された有機EL表示装置用基板において、
それぞれの有機ELパネルに対応して設けられ、有機ELパネルにおける陽極配線に接続される陽極引き回し配線に接続される陽極エージング用配線と、
それぞれの陽極エージング用配線に電気的に接続され、陽極エージング用配線をエージング装置に接続するための陽極エージング用共通配線とを備え、
陽極エージング用配線における部位であって、陽極エージング用配線に接続されている陽極引き回し配線と陽極エージング用共通配線とを電気的に分離可能な部位に線幅が狭い狭部が設けられている
ことを特徴とする有機EL表示装置用基板。
【請求項2】
有機ELパネルを封止するためのシール材が設けられ、
陽極エージング用配線は、シール材の設置位置を避けた経路を有し、
前記経路に前記狭部が設けられている
請求項1に記載の有機EL表示装置用基板。
【請求項3】
陽極配線と有機EL層と陰極配線とを備える有機ELパネルが複数形成された有機EL表示装置用基板において、
それぞれの有機ELパネルに対応して設けられ、有機ELパネルにおける陰極配線に接続される陰極引き回し配線に接続される陰極エージング用配線と、
それぞれの陰極エージング用配線に電気的に接続され、陰極エージング用配線をエージング装置に接続するための陰極エージング用共通配線とを備え、
陰極エージング用配線における部位であって、陰極エージング用配線に接続されている陰極引き回し配線と陰極エージング用共通配線とを電気的に分離可能な部位に線幅が狭い狭部が設けられている
ことを特徴とする有機EL表示装置用基板。
【請求項4】
有機ELパネルを封止するためのシール材が設けられ、
陰極エージング用配線は、シール材の設置位置を避けた経路を有し、
前記経路に前記狭部が設けられている
請求項3に記載の有機EL表示装置用基板。
【請求項5】
陽極配線と有機EL層と陰極配線とを備える有機ELパネルが複数形成される有機EL表示装置用基板の製造方法において、
それぞれの有機ELパネルに対応させて、有機ELパネルにおける陽極配線または陰極配線に接続される陽極引き回し配線または陰極引き回し配線に接続される陽極エージング用配線または陰極エージング用配線を配線し、
それぞれの陽極エージング用配線または陰極エージング用配線に電気的に接続され、陽極エージング用配線または陰極エージング用配線をエージング装置に接続するための陽極エージング用共通配線または陰極エージング用共通配線を配線し、
陽極引き回し配線または陰極引き回し配線における部位であって、陽極エージング用配線または陰極エージング用配線に接続されている陽極引き回し配線または陰極引き回し配線と陽極エージング用共通配線または陰極エージング用共通配線とを電気的に分離可能な部位に線幅が狭い狭部を設ける
ことを特徴とする有機EL表示装置用基板の製造方法。
【請求項6】
請求項1、2、3または4に記載の有機EL表示装置用基板を切断して得られる有機ELパネルを含む
ことを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項1】
陽極配線と有機EL層と陰極配線とを備える有機ELパネルが複数形成された有機EL表示装置用基板において、
それぞれの有機ELパネルに対応して設けられ、有機ELパネルにおける陽極配線に接続される陽極引き回し配線に接続される陽極エージング用配線と、
それぞれの陽極エージング用配線に電気的に接続され、陽極エージング用配線をエージング装置に接続するための陽極エージング用共通配線とを備え、
陽極エージング用配線における部位であって、陽極エージング用配線に接続されている陽極引き回し配線と陽極エージング用共通配線とを電気的に分離可能な部位に線幅が狭い狭部が設けられている
ことを特徴とする有機EL表示装置用基板。
【請求項2】
有機ELパネルを封止するためのシール材が設けられ、
陽極エージング用配線は、シール材の設置位置を避けた経路を有し、
前記経路に前記狭部が設けられている
請求項1に記載の有機EL表示装置用基板。
【請求項3】
陽極配線と有機EL層と陰極配線とを備える有機ELパネルが複数形成された有機EL表示装置用基板において、
それぞれの有機ELパネルに対応して設けられ、有機ELパネルにおける陰極配線に接続される陰極引き回し配線に接続される陰極エージング用配線と、
それぞれの陰極エージング用配線に電気的に接続され、陰極エージング用配線をエージング装置に接続するための陰極エージング用共通配線とを備え、
陰極エージング用配線における部位であって、陰極エージング用配線に接続されている陰極引き回し配線と陰極エージング用共通配線とを電気的に分離可能な部位に線幅が狭い狭部が設けられている
ことを特徴とする有機EL表示装置用基板。
【請求項4】
有機ELパネルを封止するためのシール材が設けられ、
陰極エージング用配線は、シール材の設置位置を避けた経路を有し、
前記経路に前記狭部が設けられている
請求項3に記載の有機EL表示装置用基板。
【請求項5】
陽極配線と有機EL層と陰極配線とを備える有機ELパネルが複数形成される有機EL表示装置用基板の製造方法において、
それぞれの有機ELパネルに対応させて、有機ELパネルにおける陽極配線または陰極配線に接続される陽極引き回し配線または陰極引き回し配線に接続される陽極エージング用配線または陰極エージング用配線を配線し、
それぞれの陽極エージング用配線または陰極エージング用配線に電気的に接続され、陽極エージング用配線または陰極エージング用配線をエージング装置に接続するための陽極エージング用共通配線または陰極エージング用共通配線を配線し、
陽極引き回し配線または陰極引き回し配線における部位であって、陽極エージング用配線または陰極エージング用配線に接続されている陽極引き回し配線または陰極引き回し配線と陽極エージング用共通配線または陰極エージング用共通配線とを電気的に分離可能な部位に線幅が狭い狭部を設ける
ことを特徴とする有機EL表示装置用基板の製造方法。
【請求項6】
請求項1、2、3または4に記載の有機EL表示装置用基板を切断して得られる有機ELパネルを含む
ことを特徴とする有機EL表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−149971(P2007−149971A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−342405(P2005−342405)
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年11月28日(2005.11.28)
【出願人】(000103747)オプトレックス株式会社 (843)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]