説明

有機EL表示装置

【課題】中間電極層における光の吸収によって減衰する発光光を補償することを可能にする有機EL表示装置を提供する。
【解決手段】基板10と、下部反射電極21と、第一発光層を含む第一有機EL層31と、第一中間電極層22と、第二発光層を含む第二有機EL層32と、第二中間電極層23と、第三発光層を含む第三有機EL層33と、第三中間電極層24と、補助発光層を含む補助EL層34と、上部電極25と、から構成され、第一中間電極層22が光透過性と光反射性とを有し、第一発光層と補助発光層との発光色が同じであり、第一有機EL層31において、下記式〔1〕及び〔2〕で示される干渉条件式を満たすことを特徴とする、有機EL表示装置1。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL(エレクトロルミネッセンス)表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電場発光素子の中でも、有機化合物を発光体とする有機EL素子を用いた有機EL表示装置が注目されている。ここで有機EL表示装置に求められる特性として、素子寿命及び高効率化がある。素子寿命を向上させる方法として、例えば、特許文献1にて開示されている電極層と発光層を有する有機EL層とが交互に積層されている多色発光表示装置が提案されている。電極層と有機EL層とが交互に積層されていることで実質的な発光面積が増えるので素子寿命を向上させる効果がある。また高効率化を向上させる方法として、例えば、特許文献2にて開示されている有機EL表示装置が備える有機EL素子内の光の干渉を利用することで発光効率を高める技術が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特表平10−503878号公報
【特許文献2】特開2003−109775号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている構成、即ち、電極層と発光層を有する有機EL層とが交互に積層されている構成であったとしても、単に積層させるだけでは発光効率の調整等はなされない。
【0005】
一方、特許文献2にて開示されている技術を電極層と有機EL層とが交互に積層されている構成においてそのまま適用したとしても、干渉により強めあった光は、複数の中間電極層を通過する中で当該中間電極層を構成する電極材料によって吸収され減衰する。これにより、所望の発光輝度が得られないという問題があった。
【0006】
本発明は上記課題を解決するため成されたものである。その目的は、中間電極層における光の吸収によって減衰する発光光を補償することを可能にする有機EL表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の有機EL表示装置は、基板と、
該基板上に設けられる下部反射電極と、
該下部反射電極上に設けられ第一発光層を含む第一有機EL層と、
該第一有機EL層上に設けられる第一中間電極層と、
該第一中間電極層上に設けられ第二発光層を含む第二有機EL層と、
該第二有機EL層上に設けられる第二中間電極層と、
該第二中間電極層上に設けられ第三発光層を含む第三有機EL層と、
該第三有機EL層上に設けられる第三中間電極層と、
該第三中間電極層上に設けられ補助発光層を含む補助EL層と、
該補助EL層上に設けられる上部電極と、から構成され、
該第一中間電極層が光透過性と光反射性とを有し、
該第一発光層と該補助発光層との発光色が同じであり、
該第一有機EL層において、下記式〔1〕及び〔2〕で示される干渉条件式を満たすことを特徴とする。
【0008】
【数1】



(式〔1〕において、L0は、第一有機EL層の発光面と下部反射電極の反射面との間の光路長を表す。λは、第一発光層から取り出される光のピーク波長を表す。δは、下部反射電極で反射する際に生じる位相シフト量を表す。mは、自然数を表す。式〔2〕において、Lは、下部反射電極の反射面と第一中間電極層の反射面との光路長を表す。Φは、第一中間電極層で反射する際に生じる位相シフト量を表す。m’は、自然数を表す。)
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、中間電極層における光の吸収によって減衰する発光光を補償することを可能にする有機EL表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[実施形態1]
本発明の有機EL表示装置における第一の実施形態について以下に説明する。ここで言う第一の実施形態とは、基板と、下部反射電極と、第一有機EL層と、第一中間電極層と、第二有機EL層と、第二中間電極層と、第三有機EL層と、第三中間電極層と、補助EL層と、上部電極と、から構成される有機EL表示装置である。
【0011】
第一の実施形態にかかる有機EL表示装置において、下部反射電極は、基板上に設けられる光反射性の電極層である。第一有機EL層は、下部反射電極上に設けられ第一発光層を含む有機EL層である。第一中間電極層は、第一有機EL層上に設けられ光透過性と光反射性とを有する電極層である。第二有機EL層は、第一中間電極層上に設けられ第二発光層を含む有機EL層である。第二中間電極層は、第二有機EL層上に設けられる電極層である。第三有機EL層は、第二中間電極層上に設けられ第三発光層を含む有機EL層である。第三中間電極層は、第三有機EL層上に設けられる電極層である。補助EL層は、第三中間電極層上に設けられ補助発光層を含む有機EL層である。尚、第一有機EL層に含まれる第一発光層と、補助EL層に含まれる補助発光層との発光色が同じである。上部電極は、補助EL層上に設けられる電極層である。
【0012】
また上述した第一有機EL層においては、下記式〔1〕及び〔2〕で示される干渉条件式を満たしている。
【0013】
【数2】



【0014】
式〔1〕において、L0は、第一有機EL層の発光面と下部反射電極の反射面との間の光路長を表す。
【0015】
式〔1〕において、λは、第一発光層から取り出される光のピーク波長を表す。
【0016】
式〔1〕において、δは、下部反射電極で反射する際に生じる位相シフト量を表す。
【0017】
式〔1〕において、mは、自然数を表す。
【0018】
式〔2〕において、Lは、下部反射電極の反射面と第一中間電極層の反射面との光路長を表す。
【0019】
式〔2〕において、Φは、第一中間電極層で反射する際に生じる位相シフト量を表す。
【0020】
式〔2〕において、m’は、自然数を表す。
【0021】
尚、式〔2〕において、λは、式〔1〕中のλと同様である。
【0022】
次に、図面を参照しながら本実施形態の有機EL表示装置を詳細に説明する。
【0023】
図1は、本発明の有機EL表示装置における第一の実施形態を示す断面模式図である。図1の有機EL装置1は、基板10上に、下部反射電極21、第一有機EL層31、第一中間電極層22、第二有機EL層32、第二中間電極層23、第三有機EL層33、第三中間電極層24、補助EL層34及び上部電極25がこの順に積層されている。
【0024】
基板10は、絶縁性基材101と、絶縁性基材101上に設けられている回路素子部102を、回路素子部102上に形成されている平坦化層103と、からなる部材である。ここで回路素子部102には、図示していないが、スイッチング用薄膜トランジスタ及び駆動用薄膜トランジスタ、並びに走査信号線、情報信号線及び電源供給線からなる配線構造が設けられている。
【0025】
有機EL層(第一有機EL層31、第二有機EL層32、第三有機EL層33、補助EL層34)は、層構成中に発光層が含まれていれば、その層構成については特に限定されるものではない。発光層の他に、例えば、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、電子注入層等を含んでいてもよい。
【0026】
各有機EL層は、当該有機EL層を挟持する電極層から電圧を印加することで、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子とが、発光層において再結合することにより発光が起こる。
【0027】
各有機EL層の構成材料としては、公知の材料を使用することができる。尚、補助EL層に含まれる補助発光層の構成材料は、第一有機EL層に含まれる第一発光層の構成材料と同じ材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。また、各有機EL層を成膜するときは公知の方法を適用して成膜することができる。
【0028】
また本発明の有機EL表示装置は、表示装置として機能できるように、四種類の発光層(第一発光層、第二発光層、第三発光層、補助発光層)の発光色は、赤、青、緑のいずれかであるがその組み合わせについては特に限定されない。ただし、第一発光層の発光色と、補助発光層の発光色とは同じ発光色である。
【0029】
四種類の発光層の発光色の組み合わせとして、好ましくは、第一発光層及び補助発光層の発光色を青色とし、第二発光層の発光色を緑色とし、第三発光層の発光色を赤色とする組み合わせである。これにより、緑色や赤色に比べ発光効率の劣る青色発光を、下部反射電極21と第一中間電極層22の間で形成される共振器構造により強めあうことができる。またこの共振器構造により強めあった青色発光が中間電極層(第二中間電極層、第三中間電極層)を通過するときに減衰したとしても、補助発光層からの発光により補填することができる。
【0030】
本発明において、第一発光層から取り出される光のピーク波長、及び補助発光層から取り出される光のピーク波長の大小関係については特に限定されない。
【0031】
下部反射電極21は、光反射性の部材であることが好ましく、例えばCr、Al、Ag、Au、Pt等の金属材料を使用することができる。下部反射電極21の構成材料を光反射性の部材とすることで、光取り出し効率を向上させることができる。ただし、下部反射電極は、上記の光反射性の部材からなる一層構造に限定されるものではない。例えば、下部反射電極21が、光反射機能を有する金属材料等からなる反射層と、電極機能を有するITO膜等からなる透明導電層とからなる積層構成としてもよい。この場合、下部反射電極21の反射面は上述した反射層の表面となる。
【0032】
第一中間電極層22は、光透過性と光反射性とを有する電極層であるが、構成材料としては、半透明性の部材であることが好ましい。例えば、Ag等の金属材料を膜厚10nm〜20nmに成膜した金属薄膜を使用することができる。また当該金属薄膜と、ITO、IZOといった透明導電膜とを積層した積層薄膜を使用してもよい。ここで第一中間電極層22に半透明性の部材を使用すると共に、式〔1〕及び〔2〕に示される干渉条件式を満たすように第一有機EL層31の膜厚を調整する。こうすることにより、下部反射電極21と第一中間電極層22との間で、第一有機EL層31に含まれる第一発光層から発せられる光を共振させるための共振器構造を形成することができる。
【0033】
第二中間電極層23、第三中間電極層24及び上部電極25の構成材料は、下部電極21と第一中間電極層22とで形成した共振器構造により強め合った第一有機EL層31からの発光光を減衰させないように、光透過率が高いことが望ましい。これらの電極層として、具体的には、ITO、IZOといった透明導電膜、AgやAlの金属材料を実質的に透明と考えられる薄い膜厚で成膜した金属薄膜が挙げられる。またこれらの電極層として、上記透明導電膜と上記金属薄膜とを積層した積層薄膜を使用してもよい。
【0034】
尚、上述した各電極層の成膜手法としては、公知の方法を適用することができる。一方、第一中間電極層22、第二中間電極層23及び第三中間電極層24は、単一の層にしてもよいし、導電層/絶縁層/導電層といった構成にして、隣接する2つの有機EL層を独立して駆動できるようにしてもよい。
【0035】
次に、下部反射電極と第一中間電極層との間に形成される共振器構造について、図面を参照しながら説明する。
【0036】
図1の有機EL表示装置において、第一有機EL層31に含まれる第一発光層からEL発光が生じた場合、この発光は、有機EL表示装置を構成する各層の屈折率及び吸光係数の違いにより、反射、屈折、透過、吸収等を繰り返して外部に取り出される。ここで取り出される光において、様々な経路を通ってきた光が互いに干渉し、強め合うことによりその光量が増大する。
【0037】
図1に示されるように、第一有機EL層31の発光領域から発せられる光は、主に、以下に示す経路A、経路B及び経路Cのいずれかを通って外部に放出される。
(経路A)第一中間電極層22を透過し直接取り出し方向へ向かう経路
(経路B)下部反射電極21の反射面で反射した後取り出し方向へ向かう経路
(経路C)下部反射電極21と第一中間電極層22との間で多重反射した後取り出し方向へ向かう経路
【0038】
実際には、上述していないその他の各層間においてもある割合で第一有機EL層31の発光領域から発せられる光は反射されるが、ここでは影響が大きいと考えられる上述の経路A、経路B及び経路Cの光について言及する。
【0039】
ここで、第一有機EL層31の発光領域から下部反射電極21の反射面までの光路長をL0とする。また、下部反射電極21の反射面から第一中間電極層22の下側界面までの光路長をLとする。尚、光路長とは材料の屈折率に膜厚を掛けたものである。また光路長を求める際に使用する屈折率は分光エリプソメトリー等の光学測定器を用いて測定することができる。
【0040】
ここで上述した光路長L0及びLを適宜調節することにより、下部反射電極21と第一中間電極層22との間で第一発光層から発せられる光を共振させることが可能となり、第一発光層から発せられる光を強め合うことができる。ここで光路長の調節方法として、具体的には、有機EL層の膜厚を調整することが挙げられる。
【0041】
次に、光の干渉による強めあいの条件について説明する。
【0042】
図1に示される経路Aを進行する光と、経路Bを進行する光とが干渉して強め合うための条件は、下記式〔1〕の干渉条件式によって求められる。
【0043】
【数3】

【0044】
式〔1〕で示される干渉条件式を満足すれば、経路Aを進行する光及び経路Bを進行する光をそれぞれ外部へ取り出す時の位相が揃う。このため双方の光は干渉により強め合うことになる。尚、取り出される光のピーク波長は、多重干渉の結果取り出される光のピーク波長に相当し、干渉によって強度を強めたい波長を示す。従って、干渉によって強度を強めたい光の波長とPLスペクトルのピーク波長とが異なっていてもよい。
【0045】
一方、図1に示される経路Aを進行する光と、経路Cを進行する光とが干渉して強め合うための条件は、下記式〔2〕の干渉条件式によって求められる。
【0046】
【数4】

【0047】
尚、干渉条件式〔1〕及び〔2〕は、Deppe J.Modern.Optics Vol.41,No2,p325(1994)における、共振器構造でのEL発光スペクトルの干渉の強め合いの条件より導出されている。また位相シフト量δ、Φについては、各電極のn(屈折率)、k(吸収係数)及びこの電極に接している有機EL層の屈折率nを用いて計算することができる。(例えば、「光学の原理」、Priciples of Optics,Max Born and Emil Wolf等参照)
ところで下部反射電極21及び第一中間電極層22が金属薄膜からなる場合、金属反射での位相シフト量δ、Φは、ほぼπラジアンと考えてよい。このためこの場合、式〔1〕は下記式〔3〕に近似され、式〔2〕は下記式〔4〕に近似される。
【0048】
【数5】



【0049】
従って、発光領域から下部反射電極21の反射面までの光路長L0がλ/4の奇数倍であって、かつ下部反射電極21の反射面から第一中間電極層22の反射面までの光路長Lがλ/2の整数倍のとき、光が共振により強め合うことになる。
【0050】
以上を考慮して、第一有機EL層における光路長L0及びL、並びに第一発光層から取り出される光のピーク波長λを下記表1のように設定する。
【0051】
【表1】

【0052】
このように光路長及び取り出される光のピーク波長を調節することにより、下部反射電極21と第一中間電極層22との間で第一発光層からの青色発光を共振させる共振器構造を形成している。このため、当該青色発光を強め合うことができる。
【0053】
ただし第一発光層から発せられる青色発光は、光取り出し電極である上部電極25まで進行する間に中間電極層(第二中間電極層23、第三中間電極層24)を通過する。このとき、中間電極層を構成する電極材料の吸収により当該青色発光は減衰する。しかし、本実施形態では、青色発光を発する補助発光層を有する補助EL層34を中間電極層よりも上方に備えている。ここで補助発光層から発せられる青色発光は、第一発光層から発せられる青色発光と異なり中間電極層による減衰を受けずに取り出すことができる。従って、本実施形態では、第一発光層からの発光が中間電極層を通過するときに減衰したとしても減衰した分を補助発光層からの発光によって補填することができる。
【0054】
以上のように、本実施形態では、第一発光層及び補助発光層34から発せられる青色発光を利用できる。このため、表示に必要な輝度を達成するために要する有機EL層一層当たりの電流密度を下げることができるため、従来の有機EL表示装置に対して駆動電圧を低減することができる。
【0055】
次に、本実施形態の有機EL装置の具体的な駆動方法について図面を参照しながら説明する。
【0056】
図2は、本発明の有機EL表示装置における第一の実施形態の配線接続形態の一例を示す該略図であり、(a)は有機EL表示装置の断面図であり、(b)は(a)の等価回路を示す回路図である。図2において、図2(a)にて示される各有機EL層(31、32、33、34)は、それぞれ図2(b)にて示される各有機EL素子部(第一有機EL素子部310、第二有機EL素子部320、第三有機EL素子部330、補助EL素子部340)に対応する。尚、図2(a)にて示される有機EL表示装置は、その基本構成が図1の有機EL表示装置と同一であるが、第三中間電極層24の層構成が、下部導電層241と、中間部絶縁層242と、上部導電層243とがこの順に積層してなる3層構成となっている。
【0057】
本発明の有機EL表示装置において、第一有機EL素子部310及び補助EL素子部340の駆動形式は特に限定されるものではない。図2(b)に示すように、同一の駆動トランジスタ602bで駆動してもよいし、別々の駆動トランジスタで駆動してもよい。尚、第一有機EL素子部310及び補助EL素子部340を別々の駆動トランジスタで駆動する形式については後述する。
【0058】
図2(b)に示すように、同一の駆動トランジスタで駆動する場合は、回路素子部のトランジスタの個数を低減することができる。また、駆動トランジスタ602bのドレイン電極と、有機EL層を挟持する電極層の接続に必要なコンタクトホールを第一有機EL層と補助EL層とで共通に用いることができる。このためコンタクトホールの個数を低減することができる。これにより、発光領域として利用できる面積を増大させることができる。
【0059】
次に、図2(b)に示される等価回路について説明する。
【0060】
各画素は、図2(b)に示されるように、2組の駆動回路A及びBに電気接続されている。ここで駆動回路Aは、スイッチング用TFT601aと、駆動用TFT602aと、コンデンサー603aとで構成されている。一方、駆動回路Bは、スイッチング用TFT601bと、駆動用TFT602bと、コンデンサー603bとで構成されている。
【0061】
また図2(b)に示される等価回路において、スイッチング用TFT601a及び601bのゲート電極はゲート信号線511に電気接続されている。スイッチング用TFT601aのソース領域はソース信号線512aに、ドレイン領域は駆動用TFT602aのゲート電極にそれぞれ電気接続されている。スイッチング用TFT601bのソース領域はソース信号線512bに、ドレイン領域は駆動用TFT602bのゲート電極にそれぞれ電気接続されている。
【0062】
一方、駆動用TFT602aのソース領域は電源供給線513に、ドレイン領域は第二中間電極層23にそれぞれ電気接続されている。また、駆動用TFT602bのソース領域は電源供給線513に、ドレイン領域は下部反射電極21及び上部導電層243にそれぞれ電気接続されている。尚、第一中間電極層22及び下部導電層241は上部電極25と電気接続されている。他方、コンデンサー603aは、駆動用TFT602aゲート電極とGNDとに電気接続され、コンデンサー603bは、駆動用TFT602bのゲート電極とGNDとに電気接続されている。このように、駆動用TFT602a,602bと発光素子とは直列に接続されている。また、各有機EL素子部に流れる電流をソース信号線512a,512bから供給されるデータ信号に応じて駆動用TFT602a,602bで制御することにより各有機EL素子部の発光が制御される。
【0063】
次に、本実施例の有機EL表示装置の駆動方法について図面を参照しながら説明する。図3は、実施形態1の有機EL表示装置を駆動したときの主要部材の電圧及び電流の制御の一例を示す図である。
【0064】
まず時間t1において、ゲート信号線511の電位をVgに設定する。そうすると、スイッチングTFT601aがONの状態となる。これにより、ソース信号線512aの電位Vsig_a1がスイッチングTFT601aを介してコンデンサー603a及び駆動TFT602aのゲート容量にそれぞれ充電される。また、ゲート信号線511の電位をVgに設定する際に、スイッチングTFT601bもONの状態になる。これにより、ソース信号線512bの電位Vsig_b1がスイッチングTFT601bを介してコンデンサー603b及び駆動TFT602bのゲート容量にそれぞれ充電される。
【0065】
次に、時間t2において、ゲート信号線511の電位が0Vに設定される。そうすると、スイッチングTFT601a及び601bがそれぞれOFFの状態となり、コンデンサー603a及び603bにそれぞれ充電された電圧が保持される。
【0066】
次に、時間t3において、第一中間電極層22、下部導電層241及び上部電極25の電位がそれぞれVcに設定される。このとき、電源供給線513の電位は0Vのままなので、各有機EL素子部、並びに駆動TFT602a及び602bのソース−ドレイン間に電位差が生じる。これにより、第二有機EL素子部320には第一中間電極層22から正孔が注入されるとともに、第二中間電極層23から電子が注入されるため、第二有機EL素子部320から発光が得られる。尚、このとき、第一有機EL素子部310、第三有機EL素子部330、補助EL素子部340には逆方向電圧が印加されるため発光しない。ここで第二有機EL素子部320に流れる電流は、駆動用TFT602a及び602bで制御され、コンデンサー603a、603bにそれぞれ充電された電圧に応じて、駆動用TFT602aのソース−ドレイン間に電流I_a1が流れる。この状態は、時間t4まで維持される。
【0067】
次に、時間t4において、第一中間電極層22、下部導電層241及び上部電極25の電位が0Vに設定される。そうすると、各有機EL素子部、並びに駆動TFT602a及び602bのソース−ドレイン間に電位差が無くなるので、第二有機EL素子部320は発光しなくなる。続いて、第三有機EL素子部330を発光させるための信号Vsig_a2がソース信号線512aに設定される。一方、第一有機EL素子部及び補助EL素子部を発光させるための信号Vsig_b2がソース信号線512bに設定される。
【0068】
次に、時間t5において、ゲート信号線511の電位をVgに設定すると、スイッチングTFT601a及び601bがそれぞれONの状態となる。これにより、ソース信号線512aに設定された電位Vsig_a2が、スイッチングTFT601aを介してコンデンサー603a及び駆動TFT602aのゲート容量に充電される。同時に、ソース信号線512bに設定された電位Vsig_b2が、スイッチングTFT601bを介してコンデンサー603b及び駆動TFT602bのゲート容量に充電される。
【0069】
次に、時間t6において、ゲート信号線511の電位が0Vに設定される。そうすると、スイッチングTFT601a及び601bがOFFの状態となる。これにより、コンデンサー603a及び603bに充電された電圧が保持される。
【0070】
次に、時間t7において、電源供給線513の電位がVcに設定される。このとき、第一中間電極層22、下部導電層241及び上部電極25の電位が0Vなので、各有機EL素子部、並びに駆動TFT602a及び602bのソース−ドレイン間に電位差が生じる。これにより、第三有機EL素子部330には、第二中間電極層23から正孔が、下部導電層241から電子がそれぞれ注入される。一方、第一有機EL素子部310には、下部反射電極21から正孔が、第一中間電極層22から電子が注入される。他方、補助EL素子部340には、上部導電層243から正孔が、上部電極25から電子がそれぞれ注入される。これにより、第三有機EL素子部330、第一有機EL素子部310及び補助EL素子部340がそれぞれ発光する。尚、このとき第二有機EL素子部320には逆方向電圧が印加されるため発光しない。また発光層に流れる電流は駆動用TFT602a及び602bで制御される。さらにコンデンサー603aに充電された電圧に応じて、駆動用TFT602aのソース−ドレイン間に電流I_a2が流れると共に、コンデンサー603bに充電された電圧に応じて、駆動用TFT602bのソース−ドレイン間に電流I_b2が流れる。この状態は、時間t8まで維持される。
【0071】
次に、時間t8において、電源供給線513の電位が0Vに設定される。そうすると、各有機EL素子部、並びに駆動TFT602a及び602bのソース−ドレイン間に電位差が無くなるので、第三有機EL素子部330、第一有機EL素子部310及び補助EL素子部340は発光しなくなる。
【0072】
以上の一連の動作を繰り返すことで、各有機EL素子部(310、320、330、340)を時分割で発光させることができる。具体的には、電源手段5は、人間が識別できない程度、例えば60Hz程度あるいはそれ以上高い周期で駆動する。こうすることにより、第二有機EL素子部320の発光色と、第一有機EL素子部310、第三有機EL素子部330又は補助EL素子部340との発光色との任意の混合色の光を表現することができる。
【0073】
[比較形態1]
図4は、第一の実施形態の比較形態となる有機EL表示装置を示す断面模式図である。以下、本形態を比較形態1とする。図4の有機EL装置1001は、図1の有機EL表示装置1において、第三中間電極層24及び補助EL層34が省かれていることを除けば、図1の有機EL表示装置と同じである。図4の有機EL装置1001では、表1のように光路長L0及びLを調整することによって下部反射電極21と第一中間電極層22との間で第一発光層から発せられる青色発光を共振させることで、当該青色発光を強め合うことができる。しかし、強め合った光は中間電極層(第一中間電極層22、第二中間電極層23)において減衰してしまう。また上述した実施形態1のように、減衰された青色発光を補償する手段がない。
【0074】
[実施形態2]
次に、本発明の有機EL表示装置における第二の実施形態(以下、実施形態2ということがある。)について図面を参照しながら説明する。
【0075】
図5は、本発明の有機EL表示装置における第二の実施形態の等価回路を示す回路図である。実施形態2の有機EL表示装置2は、第一有機EL素子部310と補助EL素子部340とが異なる駆動トランジスタで駆動されることを除けば、実施形態1と同様の構成である。
【0076】
図5に示すように回路接続することで、第一有機EL素子部310と補助EL素子部340とを別々に駆動することができる。本発明の有機EL表示装置は、装置自体の駆動方法は特に限定されるものではないが、駆動方法として好ましくは、画像信号を表示する際には第一有機EL素子部310からの発光を用い、白色を表示する際には補助EL素子部340からの発光を用いる。このようにすることで、共振器構造による干渉効果を利用することができる第一有機EL素子部310を発光させる期間を画像信号表示時のみにすることができるため、第一有機EL素子部310の使用寿命を延ばすことができる。
【0077】
[実施形態3]
本発明の有機EL表示装置における第三の実施形態について以下に説明する。ここで言う第三の実施形態とは、基板と、この基板上に並列して設けられる第一副画素及び第二副画素と、から構成される有機EL表示装置である。
【0078】
ここで第一副画素は、下部反射電極と、第一有機EL層と、第一中間電極層と、第二有機EL層と、第二中間電極層と、補助EL層と、上部電極と、を備える。
【0079】
この第一副画素において、下部反射電極は基板上に設けられる電極層である。第一有機EL層は、下部反射電極上に設けられ第一発光層を含む有機EL層である。第一中間電極層は、第一有機EL層上に設けられ光透過性と光反射性とを有する電極層である。第二有機EL層は、第一中間電極層上に設けられ第二発光層を含む有機EL層である。第二中間電極層は、第二有機EL層上に設けられる電極層である。補助EL層は、第二中間電極層上に設けられ補助発光層を含む有機EL層である。上部電極は、補助EL層上に設けられる電極層である。
【0080】
一方、第二副画素は、下部反射電極と、第一有機EL層と、第一中間電極層と、第三有機EL層と、第二中間電極層と、補助EL層と、上部電極と、を備える。尚、第二副画素の構成部材のうち、下部反射電極、第一有機EL層、第一中間電極層、第二中間電極層、補助EL層及び上部電極は、機能面においては第一副画素と同様である。
【0081】
この第二副画素において、第三有機EL層は、第一中間電極層上に設けられ第三発光層を含む有機EL層である。
【0082】
尚、本実施形態において、第一有機EL層に含まれる第一発光層と、補助EL層に含まれる補助発光層との発光色は同じである。
【0083】
また第一有機EL層においては、下記式〔1〕及び〔2〕で示される干渉条件式を満たしている。
【0084】
【数6】



【0085】
式〔1〕において、L0は、第一有機EL層の発光面と下部反射電極の反射面との間の光路長を表す。尚、L0は、第一副画素及び第二副画素にそれぞれ個別に与えられるパラメータであり、以下、L0a、L0bと表記することがある。
【0086】
式〔1〕において、λは、第一発光層から取り出される光のピーク波長を表す。
【0087】
式〔1〕において、δは、下部反射電極で反射する際に生じる位相シフト量を表す。
【0088】
式〔1〕において、mは、自然数を表す。
【0089】
式〔2〕において、Lは、下部反射電極の反射面と第一中間電極層の反射面との光路長を表す。尚、Lは、第一副画素及び第二副画素にそれぞれ個別に与えられるパラメータであり、以下、La、Lbと表記することがある。
【0090】
式〔2〕において、Φは、第一中間電極層で反射する際に生じる位相シフト量を表す。
【0091】
式〔2〕において、m’は、自然数を表す。
【0092】
尚、式〔2〕において、λは、式〔1〕中のλと同様である。
【0093】
次に、図面を参照しながら本実施形態の有機EL表示装置を詳細に説明する。
【0094】
図6は、本発明の有機EL表示装置における第三の実施形態を示す断面模式図である。図6の有機EL装置3は、基板10上に、第一副画素3aと第二副画素3bとが並列して配置されている。ここで並列して配置されているとは、二種類の副画素(3a、3b)が基板10に対して平面的に配置されていることをいう。
【0095】
図6の有機EL装置3を構成する第一副画素3aは、下部反射電極21a、第一有機EL層31a、第一中間電極層22a、第二有機EL層32a、第二中間電極層23a、補助EL層34a及び上部電極25aがこの順に積層されている。一方、図5の有機EL装置3を構成する第二副画素3bは、下部反射電極21b、第一有機EL層31b、第一中間電極層22b、第三有機EL層33b、第二中間電極層23b、補助EL層35b及び上部電極25bがこの順に積層されている。
【0096】
尚、図6の有機EL表示装置3には図示していないが、第一副画素3aと第二副画素3bとの間に素子分離膜を設けてもよい。また下部反射電極21a、21bは、各副画素に共通する電極層として形成してもよい。第一中間電極層22a、22b、第二中間電極層23a、23b、及び第三中間電極層24a、24bについても同様である。
【0097】
また、第一有機EL層31a、31bは、各副画素に共通する有機EL層として形成してもよい。補助EL層34a、34bについても同様である。
【0098】
図6の有機EL表示装置3を構成する各層の構成材料及び成膜手法は、基本的には実施形態1と同様である。
【0099】
図6の有機EL表示装置において、四種類であって合計六つの発光層(第一発光層、第二発光層、第三発光層、補助発光層)の発光色は、赤、青、緑のいずれかであるがその組み合わせについては特に限定されない。ただし、第一発光層の発光色と、補助発光層の発光色とは同じ発光色である。第一発光層の発光色と、補助発光層の発光色とを同じ発光色にすれば先行技術の課題を解決できる。
【0100】
本実施形態において、好ましくは、第一発光層31a及び31b、並びに補助発光層34a及び34bの発光色は、青色発光である。これにより、緑色や赤色に比べ発光効率の劣る青色発光を、下部反射電極と第一中間電極層との間で形成される共振器構造で強めあうことができる。またこの強めあった発光が中間電極層を通過する際に減衰したとしても、補助発光層からの発光により補償することができる。
【0101】
また各発光層の発光色として、例えば、第一副画素3aを構成する第一有機EL層31a、第二有機EL層32a及び補助EL層34aから発せられる光の色を、それぞれ青色、赤色、青色とする。一方、第二副画素3bを構成する第一有機EL層31b、第三有機EL層33b及び補助EL層34aから発せられる光の色を、それぞれ青色、緑色、青色とする。
【0102】
本実施形態では、第一副画素3aにおいては、下部反射電極21aと第一中間電極層22aの間で第一有機EL層31aに含まれる第一発光層から発せられる青色発光を共振させる共振器構造を形成し、発光光を強め合っている。一方、第二副画素3bにおいては、下部反射電極21bと第一中間電極層22bの間で第一有機EL層31bに含まれる第一発光層から発せられる青色発光を共振させる共振器構造を形成し、発光光を強め合っている。
【0103】
このとき第一発光層から発せられる青色発光を強めるための干渉条件は、式〔1〕及び式〔2〕に示される干渉条件式を満たせばよい。ところで下部反射電極21及び第一中間電極層22が金属薄膜からなる場合、金属反射での位相シフト量δ、Φは、ほぼπラジアンと考えてよい。このためこの場合、式〔1〕は下記式〔3〕に近似され、式〔2〕は下記式〔4〕に近似される。
【0104】
【数7】



【0105】
従って、第一副画素3aに含まれる第一有機EL層31aにおいては、下記の条件(i−a)及び(ii−a)が満たされれば発光領域から発せられた光が共振により強め合うことになる。
【0106】
(i−a)下部反射電極21aの反射面までの光路長L0aがλ/4の奇数倍であること
(ii−a)下部反射電極21aの反射面から第一中間電極層22aの反射面までの光路長Laがλ/2の整数倍であること
一方、第二副画素3bに含まれる第一有機EL層31bにおいては、下記の条件(i−b)及び(ii−b)が満たされれば発光領域から発せられた光が共振により強め合うことになる。
【0107】
(i−b)下部反射電極21bの反射面までの光路長L0bがλ/4の奇数倍であること
(ii−b)下部反射電極21bの反射面から第一中間電極層22bの反射面までの光路長Lbがλ/2の整数倍であること
以上を考慮して、光路長L0a及びLa、並びに第一有機EL層31aから取り出される光のピーク波長λを表2のようにした。
【0108】
【表2】

【0109】
同様に、光路長L0b及びLb、並びに第一有機EL層31bから取り出される光のピーク波長λを表3のようにした。
【0110】
【表3】

【0111】
このように光路長及び取り出される光のピーク波長を調節することにより、第一副画素3aにおいて、下部反射電極21aと第一中間電極層22aとの間で第一発光層からの青色発光を共振させる共振器構造を形成している。また第二副画素3bにおいて、下部反射電極21bと第一中間電極層22bとの間で第一発光層からの青色発光を共振させる共振器構造を形成している。このため、各副画素において当該青色発光を強め合うことができる。
【0112】
ただし各副画素において、第一発光層から発せられる青色発光は、光取り出し電極である上部電極25a、25bまで進行する間に中間電極層(第二中間電極層23a、23b)を通過する。このとき、中間電極層を構成する電極材料の吸収により当該青色発光は減衰する。しかし、本実施形態では、青色発光を発する補助発光層を有する補助EL層34a及び34bをそれぞれ中間電極層よりも上方に備えている。ここで補助発光層から発せられる青色発光は、第一発光層から発せられる青色発光と異なり中間電極層による減衰を受けずに取り出すことができる。従って、本実施形態も第一の実施形態と同様に、第一発光層からの発光が中間電極層を通過するときに減衰したとしても減衰した分を補助発光層からの発光によって補填することができる。
【0113】
以上のように、本実施形態も第一の実施形態と同様に、第一発光層及び補助発光層から発せられる青色発光を利用できる。このため、表示に必要な輝度を達成するために要する有機EL層一層当たりの電流密度を下げることができるため、従来の有機EL表示装置に対して駆動電圧を低減することができる。
【0114】
また本実施形態においても、各副画素に設けられている第一有機EL層31a、31b及び補助EL層34a、34bは、同一の駆動トランジスタで駆動してもよいし、異なる駆動トランジスタで駆動してもよい。
【0115】
同一の駆動トランジスタで駆動する場合は、回路素子部のトランジスタの個数を低減することができる。また、駆動トランジスタのドレイン電極とEL層を挟持する電極層とを電気接続するときに必要なコンタクトホールを第一有機EL層と補助EL層とで共通に用いることができる。このためコンタクトホールの個数を低減することができると共に、発光領域として用いる面積を増大させることができる。
【0116】
一方、異なる駆動トランジスタで駆動する場合は、例えば、画像信号を表示する際には第一有機EL層からの発光を用い、白色を表示する際には補助EL層からの発光を用いることで、以下の効果が得られる。即ち、共振器構造による干渉効果を利用することができる第一有機EL層を発光させる期間を画像信号表示時のみにすることができ、第一有機EL層の使用寿命を延ばすことができる。
【0117】
[比較形態2]
図7は、第三の実施形態の比較形態となる有機EL表示装置を示す断面模式図である。以下、本形態を比較形態2とする。図7の有機EL装置1002は、図6の有機EL表示装置3において、第二中間電極層23a、23b及び補助EL層34a、34bが省かれていることを除けば、図6の有機EL表示装置と同じである。図7の有機EL装置1002において、第一副画素1002aでは、表2のように光路長L0a及びLaを調整することによって下部反射電極21aと第一中間電極層22aとの間で第一発光層から発せられる青色発光を共振させる。こうすることで、当該青色発光を強め合うことができる。しかし強め合った光は中間電極層(第一中間電極層22a)と通過するときに減衰してしまう。また上述した実施形態3のように、減衰された青色発光を補償する手段がない。また第二副画素1002bでは、表3のように光路長L0b及びLbを調整することによって下部反射電極21bと第一中間電極層22bとの間で第一発光層から発せられる青色発光を共振させることで、当該青色発光を強め合うことができる。しかし強め合った光は中間電極層(第一中間電極層22b)を通過するときに減衰してしまう。また第一副画素1002aと同様に、減衰された青色発光を補償する手段がない。
【0118】
以上、本発明の有機EL表示装置について説明した。尚、上述した実施形態は、基板の反対側から光を取り出すトップエミッション構成に関するものであるが、基板側から光を取り出すボトムエミッション構成の有機EL表示装置にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の有機EL表示装置における第一の実施形態を示す断面模式図である。
【図2】本発明の有機EL表示装置における第一の実施形態の配線接続形態の一例を示す該略図であり、(a)は有機EL表示装置の断面図であり、(b)は(a)の等価回路を示す回路図である。
【図3】実施形態1の有機EL表示装置を駆動したときの主要部材の電圧及び電流の制御の一例を示す図である。
【図4】第一の実施形態の比較形態となる有機EL表示装置を示す断面模式図である。
【図5】本発明の有機EL表示装置における第二の実施形態の等価回路を示す回路図である。
【図6】本発明の有機EL表示装置における第三の実施形態を示す断面模式図である。
【図7】第三の実施形態の比較形態となる有機EL表示装置を示す断面模式図である。
【符号の説明】
【0120】
1,2,3 有機EL表示装置
3a 第一副画素
3b 第二副画素
5 電源手段
10 基板
101 絶縁性基材
102 回路素子部
103 平坦化層
104 コンタクトホール
21,21a,21b 下部反射電極
22,22a,22b 第一中間電極層
23,23a,23b 第二中間電極層
231 下部導電層
232 中間部絶縁層
233 上部導電層
24 第三中間電極層
25,25a,25b 上部電極
31,31a,31b 第一有機EL層
310 第一有機EL素子部
32,32a 第二有機EL層
320 第二有機EL素子部
33,33b 第三有機EL層
330 第三有機EL素子部
34,34a,34b 補助EL層
340 補助EL素子部
511 ゲート信号線
512a,512b ソース信号線
513 電源供給線
601a,601b スイッチング用TFT
602a,602b 駆動TFT
603a,603b コンデンサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
該基板上に設けられる下部反射電極と、
該下部反射電極上に設けられ第一発光層を含む第一有機EL層と、
該第一有機EL層上に設けられる第一中間電極層と、
該第一中間電極層上に設けられ第二発光層を含む第二有機EL層と、
該第二有機EL層上に設けられる第二中間電極層と、
該第二中間電極層上に設けられ第三発光層を含む第三有機EL層と、
該第三有機EL層上に設けられる第三中間電極層と、
該第三中間電極層上に設けられ補助発光層を含む補助EL層と、
該補助EL層上に設けられる上部電極と、から構成され、
該第一中間電極層が光透過性と光反射性とを有し、
該第一発光層と該補助発光層との発光色が同じであり、
該第一有機EL層において、下記式〔1〕及び〔2〕で示される干渉条件式を満たすことを特徴とする、有機EL表示装置。
【数1】



(式〔1〕において、L0は、第一有機EL層の発光面と下部反射電極の反射面との間の光路長を表す。λは、第一発光層から取り出される光のピーク波長を表す。δは、下部反射電極で反射する際に生じる位相シフト量を表す。mは、自然数を表す。式〔2〕において、Lは、下部反射電極の反射面と第一中間電極層の反射面との光路長を表す。Φは、第一中間電極層で反射する際に生じる位相シフト量を表す。m’は、自然数を表す。)
【請求項2】
基板と、該基板上に並列して設けられる第一副画素及び第二副画素と、から構成され、
該第一副画素が、該基板上に設けられる下部反射電極と、
該下部反射電極上に設けられ第一発光層を含む第一有機EL層と、
該第一有機EL層上に設けられる第一中間電極層と、
該第一中間電極層上に設けられ第二発光層を含む第二有機EL層と、
該第二有機EL層上に設けられる第二中間電極層と、
該第二中間電極層上に設けられ補助発光層を含む補助EL層と、
該補助EL層上に設けられる上部電極と、を備えており、
該第二副画素が、該基板上に設けられる下部反射電極と、
該下部反射電極上に設けられ第一発光層を含む第一有機EL層と、
該第一有機EL層上に設けられる第一中間電極層と、
該第一中間電極層上に設けられ第三発光層を含む第三有機EL層と、
該第三有機EL層上に設けられる第二中間電極層と、
該第二中間電極層上に設けられ補助発光層を含む補助EL層と、
該補助EL層上に設けられる上部電極と、を備えており、
該第一中間電極層が光透過性と光反射性とを有し、
該第一発光層と該補助発光層との発光色が同じであり、
該第一有機EL層において、下記式〔1〕及び〔2〕で示される干渉条件式を満たすことを特徴とする、有機EL表示装置。
【数2】



【請求項3】
前記第一発光層の発光色が青色であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の有機EL表示装置。
【請求項4】
前記第一有機EL層と前記補助EL層とが同一の駆動トランジスタで駆動されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機EL装置。
【請求項5】
前記第一有機EL層と前記補助EL層とが異なる駆動トランジスタで駆動されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機EL装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−160936(P2010−160936A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−1548(P2009−1548)
【出願日】平成21年1月7日(2009.1.7)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】