有機EL表示装置
【課題】多色画像を表示可能とする表示装置であって、青色の色純度を向上し、駆動電圧の高電圧化の回避及び有機EL素子の長寿命化が可能な有機EL表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 画素電極PEと対向電極CEとの間に赤色に発光する第1発光層EM1及びホールブロッキング層として機能する第3発光層EM3を有する第1有機層ORGを備えた第1有機EL素子OLED1と、画素電極PEと対向電極CEとの間に緑色に発光する第2発光層EM2を有する第2有機層ORGを備え第1有機EL素子よりも薄い第2有機EL素子OLED2と、画素電極PEと対向電極CEとの間に青色に発光する第3発光層EM3を有する第3有機層ORGを備え第1有機EL素子よりも厚い第3有機EL素子OLED3と、を具備することを特徴とする有機EL表示装置。
【解決手段】 画素電極PEと対向電極CEとの間に赤色に発光する第1発光層EM1及びホールブロッキング層として機能する第3発光層EM3を有する第1有機層ORGを備えた第1有機EL素子OLED1と、画素電極PEと対向電極CEとの間に緑色に発光する第2発光層EM2を有する第2有機層ORGを備え第1有機EL素子よりも薄い第2有機EL素子OLED2と、画素電極PEと対向電極CEとの間に青色に発光する第3発光層EM3を有する第3有機層ORGを備え第1有機EL素子よりも厚い第3有機EL素子OLED3と、を具備することを特徴とする有機EL表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自発光型で、高速応答、広視野角、高コントラストの特徴を有し、かつ、更に薄型軽量化が可能な有機エレクトロルミネセンス(EL)素子を用いた表示装置の開発が盛んに行われている。
【0003】
この有機EL素子は、正孔注入電極(陽極)から正孔を注入するとともに、電子注入電極(陰極)から電子を注入し、発光層で正孔と電子とを再結合させて発光を得るものである。フルカラー表示を得るためには、赤(R)、緑(G)、青(B)にそれぞれ発光する画素を構成する必要がある。赤、緑、青の各画素を構成する有機EL素子の発光層には、赤色、緑色、青色といったそれぞれ異なる発光スペクトルで発光する発光材料を塗り分ける必要がある。このような発光材料を塗り分ける方法として、真空蒸着法がある。このような真空蒸着法によって低分子系の有機EL材料を成膜する場合、各色の画素毎に開口した金属性のファインマスクを用いてそれぞれ独立にマスク蒸着する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
有機EL素子において、青色に発光する有機EL素子については、色純度の向上が要望されている。すなわち、フルカラー表示を実現するにあたり、赤色及び緑色については比較的高い色純度が得られるのに対して、材料の特性などにより青色の色純度が比較的低い場合、所望の色を表示する際に青味が不足しがちとなる。例えば、白を表示する際、青味が不足すると、黄色味を呈する。したがって、所望のホワイトバランスを実現するためには、青味の不足を補うために、青色に発光する有機EL素子に大電流を供給して高輝度化する必要がある。
【0005】
これは、有機EL素子を駆動するのに必要な駆動電圧の高電圧化を招くだけでなく、特に、青色に発光する有機EL素子の寿命を縮めてしまうおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−157973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、多色画像を表示可能とする表示装置であって、青色の色純度を向上し、駆動電圧の高電圧化の回避及び有機EL素子の長寿命化が可能な有機EL表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、
陽極と陰極との間に、赤色に発光する第1発光層及びホールブロッキング層を有する第1有機層を備えた第1有機EL素子と、
陽極と陰極との間に、緑色に発光する第2発光層を有する第2有機層を備え、前記第1有機EL素子よりも薄い第2有機EL素子と、
陽極と陰極との間に、青色に発光する第3発光層を有する第3有機層を備え、前記第1有機EL素子よりも厚い第3有機EL素子と、
を具備することを特徴とする有機EL表示装置が提供される。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、
反射層を含む陽極と半透過層を含む陰極との間に、赤色に発光する第1発光層を有する第1有機層を備えた第1有機EL素子と、
反射層を含む陽極と半透過層を含む陰極との間に、緑色に発光する第2発光層を有する第2有機層を備えるとともに前記反射層と前記半透過層との間の厚さが第1有機EL素子よりも薄い第2有機EL素子と、
反射層を含む陽極と半透過層を含む陰極との間に、青色に発光する第3発光層を有する第3有機層を備えるとともに前記反射層と前記半透過層との間の厚さが第1有機EL素子よりも厚い第3有機EL素子と、
を具備したことを特徴とする有機EL表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、多色画像を表示可能とする表示装置であって、青色の色純度を向上し、駆動電圧の高電圧化の回避及び有機EL素子の長寿命化が可能な有機EL表示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の一実施形態における有機EL表示装置の構成を概略的に示す平面図である。
【図2】図2は、図1に示した有機EL表示装置に採用可能な構造の一例を概略的に示す断面図である。
【図3】図3は、図2に示した有機EL表示装置で採用可能な画素の配置の一例を概略的に示す平面図である。
【図4】図4は、図2に示した有機EL表示装置が有する第1乃至第3有機EL素子に採用可能な構成の一例を概略的に示す図である。
【図5】図5は、図4に示した第1乃至第3有機EL素子の主要構造の平面図である。
【図6】図6は、図4に示した第1乃至第3有機EL素子を備えた表示パネルの断面図である。
【図7】図7は、図2に示した有機EL表示装置が有する第1乃至第3有機EL素子に採用可能な他の構成の一例を概略的に示す図である。
【図8】図8は、図7に示した第1乃至第3有機EL素子の主要構造の平面図である。
【図9】図9は、図7に示した第1乃至第3有機EL素子を備えた表示パネルの断面図である。
【図10】図10は、図2に示した有機EL表示装置が有する第1乃至第3有機EL素子に採用可能な他の構成の一例を概略的に示す図である。
【図11】図11は、図10に示した第1乃至第3有機EL素子の主要構造の平面図である。
【図12】図12は、図10に示した第1乃至第3有機EL素子を備えた表示パネルの断面図である。
【図13】図13は、図2に示した有機EL表示装置が有する第1乃至第3有機EL素子に採用可能な他の構成の一例を概略的に示す図である。
【図14】図14は、図13に示した第1乃至第3有機EL素子を備えた表示パネルの断面図である。
【図15】図15は、図2に示した有機EL表示装置が有する第1乃至第3有機EL素子に採用可能な他の構成の一例を概略的に示す図である。
【図16】図16は、図15に示した第1乃至第3有機EL素子の主要構造の平面図である。
【図17】図17は、図15に示した第1乃至第3有機EL素子を備えた表示パネルの断面図である。
【図18】図18は、図2に示した有機EL表示装置が有する第1乃至第3有機EL素子に採用可能な他の構成の一例を概略的に示す図である。
【図19】図19は、図18に示した第1乃至第3有機EL素子の主要構造の平面図である。
【図20】図20は、図18に示した第1乃至第3有機EL素子を備えた表示パネルの断面図である。
【図21】図21は、図2に示した有機EL表示装置が有する第1乃至第3有機EL素子に採用可能な他の構成の一例を概略的に示す図である。
【図22】図22は、図21に示した第1乃至第3有機EL素子の主要構造の平面図である。
【図23】図23は、図21に示した第1乃至第3有機EL素子を備えた表示パネルの断面図である。
【図24】図24は、発光の発光スペクトルと吸収スペクトルとの関係の一例を示す図である。
【図25】図25は、図2に示した有機EL表示装置が有する第1乃至第3有機EL素子に採用可能な他の構成の一例を概略的に示す図である。
【図26】図26は、図25に示した第1乃至第3有機EL素子の主要構造の平面図である。
【図27】図27は、図25に示した第1乃至第3有機EL素子を備えた表示パネルの断面図である。
【図28】図28は、図2に示した有機EL表示装置が有する第1乃至第3有機EL素子に採用可能な他の構成の一例を概略的に示す図である。
【図29】図29は、図28に示した第1乃至第3有機EL素子の主要構造の平面図である。
【図30】図30は、図28に示した第1乃至第3有機EL素子を備えた表示パネルの断面図である。
【図31】図31は、図2に示した有機EL表示装置が有する第1乃至第3有機EL素子に採用可能な他の構成の一例を概略的に示す図である。
【図32】図32は、図31に示した第1乃至第3有機EL素子の主要構造の平面図である。
【図33】図33は、図31に示した第1乃至第3有機EL素子を備えた表示パネルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
本実施形態では、有機EL表示装置の一例として、アクティブマトリクス駆動方式を採用した上面発光型の有機EL表示装置について説明する。
【0014】
図1に示すように、この有機EL表示装置は、表示パネルDPを有している。表示パネルDPは、例えば、ガラス基板などの絶縁性の基板SUBを備えている。
【0015】
画素PX1乃至3は、この順にX方向に並んでおり、表示画素の最小単位であるトリプレット(単位画素)を構成している。表示領域内では、このトリプレットがX方向とY方向とに配列されている。すなわち、表示領域内では、画素PX1をY方向に並べてなる画素列と、画素PX2をY方向に並べてなる画素列と、画素PX3をY方向に並べてなる画素列とがこの順にX方向に並べられ、さらに、これら3つの画素列がX方向に繰り返し並べられている。
【0016】
走査信号線SL1及びSL2は、各々がX方向に延在しており、Y方向に交互に配列している。映像信号線DLは、各々がY方向に延在しており、X方向に配列している。
【0017】
画素PX1乃至3の各々は、駆動トランジスタDRと、スイッチングトランジスタSWa乃至SWcと、有機EL素子OLEDと、キャパシタCとを有している。この例では、駆動トランジスタDR及びスイッチングトランジスタSWa乃至SWcはpチャネル薄膜トランジスタである。
【0018】
駆動トランジスタDRとスイッチングトランジスタSWaと有機EL素子OLEDとは、第1電源端子ND1と第2電源端子ND2との間で、この順に直列に接続されている。この例では、電源端子ND1は高電位電源端子であり、電源端子ND2は低電位電源端子である。電源端子ND1は、電源線PSLに接続されている。
【0019】
スイッチングトランジスタSWaのゲートは、走査信号線SL1に接続されている。スイッチングトランジスタSWbは映像信号線DLと駆動トランジスタDRのドレインとの間に接続されており、そのゲートは走査信号線SL2に接続されている。スイッチングトランジスタSWcは駆動トランジスタDRのドレインとゲートとの間に接続されており、そのゲートは走査信号線SL2に接続されている。キャパシタCは、駆動トランジスタDRのゲートと定電位端子ND1’との間に接続されている。この例では、定電位端子ND1’は、電源端子ND1に接続されている。
【0020】
映像信号線ドライバXDR及び走査信号線ドライバYDRは、例えば、基板SUBの上に配置されている。すなわち、映像信号線ドライバXDR及び走査信号線ドライバYDRは、チップ・オン・グラス(COG)実装されている。なお、映像信号線ドライバXDR及び走査信号線ドライバYDRは、COG実装する代わりに、テープ・キャリア・パッケージ(TCP)実装してもよい。或いは、映像信号線ドライバXDR及び走査信号線ドライバYDRは、基板SUBの上に直接形成されてもよい。
【0021】
映像信号線ドライバXDRには、映像信号線DLが接続されている。映像信号線ドライバXDRは、映像信号線DLに映像信号として電流信号を出力する。
【0022】
走査信号線ドライバYDRには、走査信号線SL1及びSL2が接続されている。走査信号線ドライバYDRは、走査信号線SL1及びSL2にそれぞれ第1及び第2走査信号としての電圧信号を出力する。
【0023】
この有機EL表示装置で画像を表示する場合、例えば、走査信号線SL2を順次走査する。すなわち、画素PX1乃至3を行毎に選択する。或る行を選択している選択期間では、その行に含まれる画素PX1乃至3に対して書込動作を行う。そして、その行を選択していない非選択期間では、その行に含まれる画素PX1乃至3で表示動作を行う。
【0024】
或る行の画素PX1乃至3を選択する選択期間では、走査信号線ドライバYDRは、先の画素PX1乃至3が接続された走査信号線SL1にスイッチングトランジスタSWaを開く(非導通状態とする)走査信号を電圧信号として出力し、続いて、先の画素PX1乃至3が接続された走査信号線SL2にスイッチングトランジスタSWb及びSWcを閉じる(導通状態とする)走査信号を電圧信号として出力する。この状態で、映像信号線ドライバXDRは、映像信号線DLに映像信号を電流信号(書込電流)Isigとして出力し、駆動トランジスタDRのゲート−ソース間電圧Vgsを、先の映像信号Isigに対応した大きさに設定する。
【0025】
その後、走査信号線ドライバYDRは、先の画素PX1乃至3が接続された走査信号線SL2にスイッチングトランジスタSWb及びSWcを開く走査信号を電圧信号として出力し、続いて、先の画素PX1乃至3が接続された走査信号線SL1にスイッチングトランジスタSWaを閉じる走査信号を電圧信号として出力する。これにより、選択期間を終了する。
【0026】
選択期間に続く非選択期間では、スイッチングトランジスタSWaは閉じたままとし、スイッチングトランジスタSWb及びSWcは開いたままとする。非選択期間では、有機EL素子OLEDには、駆動トランジスタDRのゲート−ソース間電圧Vgsに対応した大きさの駆動電流Idrvが流れる。有機EL素子OLEDは、駆動電流Idrvの大きさに対応した輝度で発光する。ここで、Idrv≒Isigとなり、各画素で、電流信号(書込電流)Isigに対応した発光を得ることができる。
【0027】
尚、上記した例は、有機EL素子OLEDを駆動するための画素回路として、映像信号として電流信号を書き込む構成を採用したものであるが、画素回路に映像信号として電圧信号を書き込む構成を採用することも可能であり、特に上記の例に限定したものではない。また、本態様では、pチャネル薄膜トランジスタを使用したが、nチャネル薄膜トランジスタを使用しても、本発明の本質を変えるものではない。また、画素回路は、上記した例に限らず、種々の形態を適用可能である。
【0028】
図2には、スイッチングトランジスタSWa及び有機EL素子OLEDを含む表示パネルDPの断面構造が概略的に示されている。
【0029】
図2に示すように、基板SUB上には、スイッチングトランジスタSWaの半導体層SCが配置されている。この半導体層SCは、例えばポリシリコンによって形成されている。この半導体層SCには、チャネル領域SCCを挟んでソース領域SCS及びドレイン領域SCDが形成されている。
【0030】
半導体層SCは、ゲート絶縁膜GIによって被覆されている。ゲート絶縁膜GIは、例えばtetraethyl orthosilicate(TEOS)などを用いて形成されている。ゲート絶縁膜GIの上には、チャネル領域SCCの直上にスイッチングトランジスタSWaのゲートGが配置されている。このゲートGは、走査信号線SL1の一部であり、上述した走査信号線SL2とともに同一材料を用いて同一の工程で形成することができる。このゲートGは、例えばモリブデン・タングステン(MoW)によって形成されている。
【0031】
この例では、スイッチングトランジスタSWaは、トップゲート型のpチャネル薄膜トランジスタであり、上述した駆動トランジスタDR及び他のスイッチングトランジスタSWb及びSWcと同一構造である。
【0032】
ゲート絶縁膜GI及びゲートGは、走査信号線SL1及びSL2などとともに層間絶縁膜IIによって被覆されている。層間絶縁膜IIは、例えばプラズマ化学蒸着(CVD)法により堆積させたシリコン酸化物(SiOx)などを用いて形成されている。
【0033】
層間絶縁膜IIの上には、スイッチングトランジスタSWaのソースSE及びドレインDEが配置されている。ソースSEは、層間絶縁膜II及びゲート絶縁膜GIに形成されたコンタクトホールを介して半導体層SCのソース領域SCSに接続されている。ドレインDEは、層間絶縁膜II及びゲート絶縁膜GIに形成されたコンタクトホールを介して半導体層SCのドレイン領域SCDに接続されている。
【0034】
これらのソースSE及びドレインDEは、例えば、モリブデン(Mo)/アルミニウム(Al)/モリブデン(Mo)の三層を積層した構造を有しており、同一の工程で形成することができる。これらのソースSE及びドレインDEとは、パッシベーション膜PSによって被覆されている。パッシベーション膜PSは、例えばシリコン窒化物(SiNx)などを用いて形成されている。
【0035】
画素電極PEは、パッシベーション膜PSの上において、画素PX1乃至3に対応してそれぞれ配置されている。各画素電極PEは、パッシベーション膜PSに形成されたコンタクトホールを介してスイッチングトランジスタSWaのドレインDEに接続されている。この画素電極PEは、この例では陽極に相当する。
【0036】
パッシベーション膜PSの上には、隔壁PIが配置されている。隔壁PIは、画素電極PEの全周を囲むように格子状に配置されている。なお、この隔壁PIは、画素電極PEの間のY方向に延びたストライプ状に配置されても良い。このような隔壁PIは、例えば、有機絶縁層である。隔壁PIは、例えば、フォトリソグラフィ技術を用いて形成することができる。
【0037】
各画素電極PEの上には、有機層ORGが配置されている。有機層ORGは、全ての画素PX1乃至3を含む表示領域に亘って延在した連続膜を少なくとも1層含んでいる。すなわち、有機層ORGは、画素電極PE及び隔壁PIを被覆している。詳細については後述する。
【0038】
有機層ORGは、対向電極CEによって被覆されている。この例では、対向電極CEは、陰極に相当する。この対向電極CEは、全ての画素PX1乃至3を含む表示領域に亘って延在した連続膜である。つまり、対向電極CEは、画素PX1乃至3で共用する共通電極である。
【0039】
画素電極PEと有機層ORGと対向電極CEとは、各画素PXに対応して配置された有機EL素子OLEDを形成している。
【0040】
すなわち、画素PX1は第1有機EL素子OLED1を備え、画素PX2は第2有機EL素子OLED2を備え、画素PX3は第3有機EL素子OLED3を備えている。なお、図2においては、画素PX1の第1有機EL素子OLED1、画素PX2の第2有機EL素子OLED2、画素PX3の第3有機EL素子OLED3がそれぞれ1つずつ図示されているが、X方向にこれらが繰り返し配置されている。つまり、図中の右側の第3有機EL素子OLED3に隣接して第1有機EL素子OLED1が配置されている。同様に、図中の左側の第1有機EL素子OLED1に隣接して第3有機EL素子OLED3が配置されている。
【0041】
隔壁PIは、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間に配置され、両者を分離している。また、この隔壁PIは、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間に配置され、両者を分離している。また、この隔壁PIは、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間に配置され、両者を分離している。
【0042】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の封止は、乾燥剤を付けた封止ガラス基板SUB2を表示領域の周辺に塗布したシール材で貼り合わせて実施しても良いし、封止ガラス基板SUB2をフリットガラスで貼り合わせて実施(フリット封止)しても良いし、さらに、封止ガラス基板SUB2と有機EL素子OLEDとの間に有機樹脂層を充填して実施(固体封止)しても良い。フリット封止の場合、乾燥剤を不要とすることができる。固体封止の場合、有機樹脂層に加えて対向電極CEとの間に無機系材料からなる絶縁膜が介在していても良い。
【0043】
本実施の形態においては、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の発光色は、互いに異なるように構成されている。ここに示した例では、第1有機EL素子OLED1は赤色に発光し、第2有機EL素子OLED2は緑色に発光し、第3有機EL素子OLED3は青色に発光する。
【0044】
なお、波長が400nm乃至435nmの範囲内にある光の色を紫、波長が435nm乃至480nmの範囲内にある光の色を青、波長が480nm乃至490nmの範囲内にある光の色を緑青、波長が490nm乃至500nmの範囲内にある光の色を青緑、波長が500nm乃至560nmの範囲内にある光の色を緑、波長が560nm乃至580nmの範囲内にある光の色を黄緑、波長が580nm乃至595nmの範囲内にある光の色を黄、波長が595nm乃至610nmの範囲内にある光の色を橙、波長が610nm乃至750nmの範囲内にある光の色を赤、波長が750nm乃至800nmの範囲内にある光の色を赤紫と定義するのが一般的であるが、ここでは、主波長が400nm乃至490nmの範囲内にある色を青色、主波長が490nmより長く且つ595nmよりも短い範囲内にある色を緑色、主波長が595nm乃至800nmの範囲内にある色を赤色と定義する。
【0045】
図3には、トリプレットTの構成例を示している。トリプレットTは、X方向及びY方向の長さが略同等となる正方形状に形成されている。トリプレットTは、画素PX1、画素PX2、及び、画素PX3によって構成されている。画素PX1は、第1有機EL素子OLED1を備え、赤色を表示する赤色画素PXRとなる。画素PX2は、第2有機EL素子OLED2を備え、緑色を表示する緑色画素PXGとなる。画素PX3は、第3有機EL素子OLED3を備え、青色を表示する青色画素PXBとなる。
【0046】
第1有機EL素子OLED1の発光部EA1、第2有機EL素子OLED2の発光部EA2、及び、第3有機EL素子OLED3の発光部EA3は、それぞれY方向に延びた長方形状に形成されている。
【0047】
発光部EA1乃至3の各々の面積の大小関係は、以下の通りである。
【0048】
発光部EA1の面積<発光部EA2の面積<発光部EA3の面積
一例として、発光部EA1乃至3の各々の面積比は、以下の通りである。
【0049】
EA1:EA2:EA3=1:1.3:2.7
ここでは、発光部EA1乃至3のY方向の長さは略同等であるため、上記した面積比は、発光部EA1乃至3のX方向の長さによって設定している。
【0050】
このように、青色に発光する発光部EA3は、他の色に発光する発光部EA1及びEA2よりも大きな面積になるように形成されている。このため、発光部EA3に供給されるキャリアが増えるので、十分な青味成分を提供するのに必要な駆動電圧の高電圧化を回避できる。このため、青色を表示する第3有機EL素子OLED3の長寿命化が可能となる。
【0051】
なお、発光部EA1乃至3の各々の面積については、所望の特性が得られるように種々変更可能である。発光部EA1乃至3の各々の面積の大小関係は、図3に示した例に限らず、互いに略等しくしても良い。
【0052】
(実施例1)
図4には、実施例1における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の構造が模式的に示されている。この図4に示すように、画素PX1の第1有機EL素子OLED1、画素PX2の第2有機EL素子OLED2、及び、画素PX3の第3有機EL素子OLED3は、それぞれパッシベーション膜PSの上に配置されている。第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々は、画素電極PEと、この画素電極PEと向き合った対向電極CEと、画素電極PEと対向電極CEとの間に介在した有機層ORGと、を有している。
【0053】
第1有機EL素子OLED1は、以下のように構成されている。すなわち、第1有機EL素子OLED1の画素電極PEは、パッシベーション膜PSの上に配置された反射層PER及び反射層の上に配置された透過層PETを有している。第1有機EL素子OLED1の有機層(第1有機層)ORGは、画素電極PEの上に配置されている。この有機層ORGは、透過層PETの上に配置された第1ホール輸送層HTL1、第1ホール輸送層HTL1の上に配置された第1発光層EM1、第1発光層EM1の上に配置された電子輸送層ETLを有している。第1有機EL素子OLED1の対向電極CEは、有機層ORGの電子輸送層ETLの上に配置されている。
【0054】
第2有機EL素子OLED2は、以下のように構成されている。すなわち、第2有機EL素子OLED2の画素電極PEは、パッシベーション膜PSの上に配置された反射層PER及び反射層の上に配置された透過層PETを有している。第2有機EL素子OLED2の有機層(第2有機層)ORGは、画素電極PEの上に配置されている。この有機層ORGは、透過層PETの上に配置された第1ホール輸送層HTL1、第1ホール輸送層HTL1の上に配置された第2発光層EM2、第2発光層EM2の上に配置された電子輸送層ETLを有している。第2有機EL素子OLED2の対向電極CEは、有機層ORGの電子輸送層ETLの上に配置されている。
【0055】
第3有機EL素子OLED3は、以下のように構成されている。すなわち、第3有機EL素子OLED3の画素電極PEは、パッシベーション膜PSの上に配置された反射層PER及び反射層の上に配置された透過層PETを有している。第3有機EL素子OLED3の有機層(第3有機層)ORGは、画素電極PEの上に配置されている。この有機層ORGは、透過層PETの上に配置された第2ホール輸送層HTL2、第2ホール輸送層HTL2の上に配置された第1ホール輸送層HTL1、第1ホール輸送層HTL1の上に配置された第3発光層EM3、第3発光層EM3の上に配置された電子輸送層ETLを有している。第3有機EL素子OLED3の対向電極CEは、有機層ORGの電子輸送層ETLの上に配置されている。
【0056】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の画素電極PEは、同一構造であり、反射層PERの上に透過層PETが積層された2層構造である。パッシベーション膜PSと透過層PETとの間に配置された反射層PERは、例えば、銀(Ag)によって形成されているが、アルミニウム(Al)などの光反射性を有する他の導電材料によって形成されても良い。反射層PERと有機層ORGとの間に配置された透過層PETは、例えば、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)によって形成されているが、インジウム・ジンク・オキサイド(IZO)などの光透過性を有する他の導電材料によって形成されても良い。このような第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の画素電極PEは、実質的に同一の厚さを有している。
【0057】
第1ホール輸送層HTL1は、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(1−ナフチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)によって形成されているが、他の材料によって形成されても良い。このような第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の第1ホール輸送層HTL1は、実質的に同一の厚さを有している。
【0058】
第3有機EL素子OLED1乃至3の第2ホール輸送層HTL2は、第1ホール輸送層HTL1と同一材料によって形成可能であるが、他の材料によって形成されても良い。
【0059】
電子輸送層ETLは、例えば、Alq3によって形成されているが、他の材料によって形成されても良い。このような第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の電子輸送層ETLは、実質的に同一の厚さを有している。
【0060】
第1乃至第3発光層EM1乃至3は、いずれもホスト材料を含んでいる。ホスト材料としては、たとえば、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニル−エテン−1−イル)−ジフェニル(略称;BPVBI)が使用可能であるが、他の材料でも良い。
【0061】
第1発光層EM1は、赤色波長に発光中心を有するルミネセンス性有機化合物又は組成物からなる第1発光材料(ドーパント材料)を含んでいる。この第1発光材料としては、例えば、4−(Dicyanomethylene)−2−methyl−6−(julolidin−4−yl−vinyl)−4H−pyran(略称;DCM2)が使用可能であるが、他の材料でも良い。
【0062】
第2発光層EM2は、緑色波長に発光中心を有するルミネセンス性有機化合物又は組成物からなる第2発光材料(ドーパント材料)を含んでいる。この第2発光材料としては、例えば、トリス(8−ヒドロキシキノラート)アルミニウム(略称;Alq3)が使用可能であるが、他の材料でも良い。
【0063】
第3発光層EM3は、青色波長に発光中心を有するルミネセンス性有機化合物又は組成物からなる第3発光材料(ドーパント材料)を含んでいる。この第3発光材料としては、例えば、bis[(4,6−difluorophenyl)−pyridinato−N,C2’](picorinate)iridium(III)(略称;FIrpic)が使用可能であるが、他の材料でも良い。
【0064】
これらの第1発光材料、第2発光材料、及び、第3発光材料は、蛍光材料であっても良いし、燐光材料であっても良い。
【0065】
対向電極CEは、半透過層によって構成された単層構造である。この対向電極CEは、例えば、マグネシウム・銀によって形成されているが、他の導電材料によって形成されても良い。このような第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の対向電極CEは、実質的に同一の厚さを有している。
【0066】
本実施形態においては、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3は、発光した光を対向電極側から取り出す上面発光型を採用している。しかも、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3は、画素電極PEの反射層PERと、半透過層によって構成された対向電極CEとにより、マイクロキャビティ構造を採用している。なお、有機層ORGを挟持する陰極または陽極が透明電極のみによって構成されている場合には、マイクロキャビティ構造が得られない。
【0067】
このような本実施形態において、第2有機EL素子OLED2は、第1有機EL素子OLED1よりも薄く形成されている。第3有機EL素子OLED3は、第1有機EL素子OLED1より厚く形成されている。ここでの厚さ(あるいは膜厚)とは、パッシベーション膜PSの法線方向つまりZ方向に沿った距離に相当する。第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の厚さとは、各画素電極PEと対向電極CEとの間のパッシベーション膜PSのZ方向に沿った距離に相当する。
【0068】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の厚さの大小関係は、以下の通りである。
【0069】
第2有機EL素子OLED2<第1有機EL素子OLED1<第3有機EL素子OLED3
また、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の反射層PERと半透過層である各対向電極CEとの間の厚さの大小関係は、以下の通りである。
【0070】
第2有機EL素子における厚さ<第1有機EL素子における厚さ<第3有機EL素子における厚さ
このような構成において、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2は、同次数の干渉効果を利用した素子構成を採用しても良い。ここでは、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2は、例えば0次干渉効果を利用した素子構成を採用することができる。
【0071】
第3有機EL素子OLED3は、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2よりも高次の干渉効果を利用した素子構成を採用しても良い。ここでは、第3有機EL素子OLED3は、例えば1次干渉効果を利用した素子構成を採用することができる。
【0072】
このような第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3における厚さの差は、第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、及び、第2ホール輸送層HTL2の膜厚によって形成される。
【0073】
図4に示した例では、第1発光層EM1は、第2発光層EM2よりも厚い膜厚を有しており、第1有機EL素子OLED1が第2有機EL素子OLED2よりも厚く形成される。また、第2ホール輸送層HTL2及び第3発光層EM3は、第3有機EL素子OLED3が第1有機EL素子OLED1よりも厚く形成されるような膜厚を有している。
【0074】
図5には、実施例1におけるトリプレットTに配置された第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、及び、第2ホール輸送層HTL2が模式的に示されている。
【0075】
この図5に示すように、第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1の発光部EA1と同等以上の面積に亘って配置されている。第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2の発光部EA2と同等以上の面積に亘って配置されている。第3発光層EM3及び第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の発光部EA3と同等以上の面積に亘って配置されている。
【0076】
図6には、実施例1における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を含む表示パネルDPの断面構造が概略的に示されている。なお、この図6では、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の構造を明確とするために、図5とX方向の寸法が異なっている。
【0077】
この図6に示すように、基板SUBと第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各反射層PERとの間には、ゲート絶縁膜GI、層間絶縁膜II、及び、パッシベーション膜PSが介在している。各反射層PERは、パッシベーション膜PSの上に配置されている。第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各透過層PETは、各反射層PERの上に配置されている。
【0078】
第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の透過層PETの上に配置されている。また、第2ホール輸送層HTL2の一部は、第3有機EL素子OLED3を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0079】
第1ホール輸送層HTL1は、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2の各々の透過層PETの上、及び、第3有機EL素子OLED3の第2ホール輸送層HTL2の上にそれぞれ配置されている。このような第1ホール輸送層HTL1は、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在している。
【0080】
つまり、この第1ホール輸送層HTL1は、表示領域に亘って広がった連続膜であって、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に共通に配置されている。また、第1ホール輸送層HTL1は、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上に配置されている。
【0081】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1の第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。また、第1発光層EM1の一部は、第1有機EL素子OLED1を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0082】
第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2の第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。また、第2発光層EM2の一部は、第2有機EL素子OLED2を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0083】
第3発光層EM3は、第3有機EL素子OLED3の第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。また、第3発光層EM3の一部は、第3有機EL素子OLED3を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0084】
電子輸送層ETLは、第1有機EL素子OLED1の第1発光層EM1の上、第2有機EL素子OLED2の第2発光層EM2の上、及び、第3有機EL素子OLED3の第3発光層EM3の上にそれぞれ配置されている。このような電子輸送層ETLは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在している。
【0085】
つまり、この電子輸送層ETLは、表示領域に亘って広がった連続膜であって、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に共通に配置されている。また、電子輸送層ETLは、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。
【0086】
対向電極CEは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の電子輸送層ETLの上に配置されている。このような対向電極CEは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在している。
【0087】
つまり、この対向電極CEは、表示領域に亘って広がった連続膜であって、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に共通に配置されている。また、対向電極CEは、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、電子輸送層ETLの上に配置されている。
【0088】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3は、封止ガラス基板SUB2を用いて封止されている。
【0089】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の厚さの一例を以下に示す。第1有機EL素子OLED1では、反射層PERと対向電極CEとの間の総膜厚は120nmである。第2有機EL素子OLED2では、反射層PERと対向電極CEとの間の総膜厚は95nmである。第3有機EL素子OLED3では、反射層PERと対向電極CEとの間の総膜厚は192nmである。
【0090】
ただし、本実施形態では、干渉構成による制約のため、発光した光の色純度を確保するためには、第1有機EL素子OLED1における反射層PERと対向電極CEとの間の総膜厚は110nm〜130nmの範囲が好ましい。同様に、第2有機EL素子OLED2における反射層PERと対向電極CEとの間の総膜厚は85nm〜105nmの範囲が好ましく、また、第3有機EL素子OLED3における反射層PERと対向電極CEとの間の総膜厚は、182nm〜202nmの範囲が好ましい。
【0091】
これにより、本実施形態では、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2は0次干渉構成を採用している。また、第3有機EL素子OLED3は1次干渉構成を採用している。
【0092】
このように、青色に発光する第3有機EL素子OLED3は、青色よりも長波長の色に発光する有機EL素子、すなわち赤色に発光する第1有機EL素子OLED1や緑色に発光する第2有機EL素子OLED2よりも厚く形成されている。このため、第3有機EL素子OLED3は、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2よりも高次の干渉効果を利用した素子構成を適用可能となるため、発光する青色の色純度を向上することができる。
【0093】
したがって、第3有機EL素子OLED3は、低輝度で発光させても所望の色を表示することが可能となる。これにより、第3有機EL素子OLED3の十分な青味成分を提供するのに必要な駆動電圧の高電圧化を回避できる。このため、第3有機EL素子OLED3の長寿命化が可能となる。
【0094】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3において、同次数の干渉効果を利用した素子構成を採用した場合、第3有機EL素子OLED3は最も短い波長の光を発光するため、最も薄く形成される。この場合、第3有機EL素子OLED3においては、第3発光層EM3と対向電極CEとの距離が比較的短く、励起子が対向電極CEに引き寄せられて発光に寄与しなくなる消光により、発光効率の低下が顕著となる。第3発光層EM3と対向電極CEとの距離を十分に確保しようとすると、同次数の干渉効果を利用するためには、素子全体の厚さが決まっているため、第3発光層EM3の画素電極側の厚さが薄くなる。この場合、ホール輸送層HTLの厚さが薄くなり、キャリアバランスが劣化する。
【0095】
本実施形態によれば、第3有機EL素子OLED3は、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2よりも高次の干渉効果を利用した素子構成が可能となる。このため、このような構成の第3有機EL素子OLED3においては、第3発光層EM3と対向電極CEとの距離を第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2と同等に十分に確保して、対向電極CEでの消光を抑制することが可能となる。加えて、第3有機EL素子OLED3においては、第3発光層EM3と画素電極PEとの間のホール輸送層HTL1及びHTL2の厚さも十分に確保して、キャリアバランスを改善することが可能となる。したがって、第3有機EL素子OLED3における発光効率を向上することができる。
【0096】
また、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2については、より低次の干渉効果を利用した素子構成を適用可能であるため、素子全体の厚さが薄くなり、駆動電圧の高電圧化を回避できる。したがって、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の全てにおいて、低消費電力化が可能となる。
【0097】
このような本実施形態によれば、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の全てにおいて、高い色純度を得られることが確認された。また、白を表示した際の色味付きがなく、また、所望の色の多色画像を表示できることが確認された。
【0098】
また、本実施形態によれば、第1ホール輸送層HTL1、電子輸送層ETL、及び、対向電極CEは、共通層であって、表示領域に亘って広がった連続膜である。このため、これらを蒸着法によって形成する際に、発光部EA1乃至3の各々に対応した微細な開口を形成したファインマスクが不要であり、マスクの製造コストを低減できる。また、これらの第1ホール輸送層HTL1、電子輸送層ETL、及び、対向電極CEを形成する際にマスクに堆積する材料が減少し、これらを形成する材料の利用効率を向上できる。
【0099】
さらに、本実施形態によれば、上面発光型を採用している。すなわち、発光した光を基板SUB側から取り出す構造とは異なり、基板SUBの上に配置される各種薄膜トランジスタや各種配線による開口率の制限を受けることなく、発光した光を基板SUBとは反対側から取り出すことができる。したがって、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の発光部EA1乃至3の面積を十分に確保でき、高精細化に有利である。
【0100】
なお、本実施形態において、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の採り得る素子バリエーションの一例を以下に説明する。
【0101】
例えば、各々の有機層ORGは、画素電極PEと第1ホール輸送層HTL1との間にホール注入機能を有する薄膜、すなわちホール注入層を有していても良い。このようなホール注入層は、例えば銅フタロシアニンによって形成可能である。
【0102】
また、対向電極CEは、少なくとも半透過層を含んでいれば良く、上述したような半透過層のみの単層構造に限らず、さらに、透過層を積層した構造であっても良い。
【0103】
また、対向電極CEの上には、必要に応じて、光透過性を有する絶縁膜、例えばシリコン酸窒化物(SiON)を配置しても良い。このような絶縁膜は、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を保護する保護膜、あるいは、光学干渉を最適化するための光路長調整用に利用可能である。
【0104】
また、有機層ORGの各々は、対向電極CEと電子輸送層ETLとの間に電子注入機能を有する薄膜、すなわち電子注入層を有していても良い。このような電子注入層は、例えばフッ化リチウム(LiF)によって形成可能である。
【0105】
また、電子輸送層ETLは、上述したような単層構造に限らず、2層以上の積層体であっても良い。同様に、第1ホール輸送層HTL1及び第2ホール輸送層HTL2の各々は、上述したような単層構造に限らず、それぞれ2層以上の積層体であっても良い。
【0106】
また、第3有機EL素子OLED3において、第2ホール輸送層HTL2は、第1ホール輸送層HTL1よりも画素電極側に配置されたが、第1ホール輸送層HTL1よりも対向電極側に配置されても良い。
【0107】
なお、第3有機EL素子OLED3のみに配置された第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3が一次干渉を利用した素子構成を実現するための素子全体の厚さ調整に利用可能である。このため、第2ホール輸送層HTL2の膜厚が第1ホール輸送層HTL1の膜厚より厚い場合がある。この場合、第2ホール輸送層HTL2を形成する材料は、第1ホール輸送層HTL1を形成する材料よりも安価な材料を適用することが望ましい。
【0108】
また、本実施形態のように、第2ホール輸送層HTL2が第1ホール輸送層HTL1よりも画素電極側に配置された構成においては、第1ホール輸送層HTL1と第2ホール輸送層HTL2とでは異なる特性が要求される。すなわち、厚さ調整用の第2ホール輸送層HTL2が第1ホール輸送層HTL1より厚く形成される場合には、駆動電圧の高電圧化を招かないように、第2ホール輸送層HTL2を形成する材料は、相対的にホール移動度が高い特性を有する材料を適用することが望ましい。特に、第2ホール輸送層HTL2の上に第1ホール輸送層HTL1が積層される構成においては、第2ホール輸送層HTL2は、そのホール移動度が第1ホール輸送層HTL1のホール移動度より高い材料を選択して形成されることが望ましい。一方で、第3発光層EM3に接する第1ホール輸送層HTL1は、経時変化の小さい特性、つまり高い安定性を有する材料を選択して形成されることが望ましい。
【0109】
次に、本実施形態の他の実施例について説明する。なお、以下に説明する実施例2乃至7においては、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2は0次干渉効果を利用した素子構成とし、第3有機EL素子OLED3は一次干渉効果を利用した素子構成としている。第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の反射層と対向電極との間の総膜厚は、実施例1と同等である。
【0110】
(実施例2)
図7には、実施例2における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の構造が模式的に示されている。この図7に示した実施例2は、図4に示した実施例1と比較して、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGにおいて、第1発光層EM1と電子輸送層ETLとの間に第3発光層EM3を追加した点で異なる。この第1有機EL素子OLED1の有機層ORGにおいては、第3発光層EM3は、ホールブロッキング層であり、発光しない。
【0111】
画素PX1の第1有機EL素子OLED1、画素PX2の第2有機EL素子OLED2、及び、画素PX3の第3有機EL素子OLED3は、それぞれパッシベーション膜PSの上に配置されている。
【0112】
第1有機EL素子OLED1では、反射層PERと半透過層である対向電極CEとの間に、透過層PET、第1ホール輸送層HTL1、第1発光層EM1、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第2有機EL素子OLED2では、反射層PERと半透過層である対向電極CEとの間に、透過層PET、第1ホール輸送層HTL1、第2発光層EM2、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第3有機EL素子OLED3では、反射層PERと半透過層である対向電極CEとの間に、透過層PET、第2ホール輸送層HTL2、第1ホール輸送層HTL1、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。
【0113】
図8には、実施例2におけるトリプレットTに配置された第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、及び、第2ホール輸送層HTL2が模式的に示されている。この図8に示した実施例2は、図5に示した実施例1と比較して、第3発光層EM3がX方向に隣接する第1有機EL素子OLED1の発光部EA1及び第3有機EL素子OLED3の発光部EA3に亘って配置された点で異なる。
【0114】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1の発光部EA1と同等以上の面積に亘って配置されている。第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2の発光部EA2と同等以上の面積に亘って配置されている。第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の発光部EA3と同等以上の面積に亘って配置されている。
【0115】
図9には、実施例2における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を含む表示パネルDPの断面構造が概略的に示されている。なお、この図9では、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の構造を明確とするために、図8とX方向の寸法が異なっている。
【0116】
この図9に示した実施例2は、図6に示した実施例1と比較して、第3発光層EM3が第3有機EL素子OLED3のみならず、第1有機EL素子OLED1に延在している点で異なる。
【0117】
基板SUBと各反射層PERとの間には、ゲート絶縁膜GI、層間絶縁膜II、及び、パッシベーション膜PSが介在している。パッシベーション膜PSの上には、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の反射層PER及び透過層PETが積層されている。
【0118】
第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の透過層PETの上に配置され、また、その一部が第3有機EL素子OLED3を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0119】
第1ホール輸送層HTL1は、実施例1と同様に、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在している。また、第1ホール輸送層HTL1は、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上に配置されている。
【0120】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1の第1ホール輸送層HTL1の上に配置され、また、その一部が第1有機EL素子OLED1を囲む隔壁PIの上まで延在している。第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2の第1ホール輸送層HTL1の上に配置され、また、その一部が第2有機EL素子OLED2を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0121】
第3発光層EM3は、第3有機EL素子OLED3に配置されるとともに、X方向において、第3有機EL素子OLED3に隣接する第1有機EL素子OLED1に延在している。すなわち、第3発光層EM3は、第1有機EL素子OLED1の第1発光層EM1の上、及び、第3有機EL素子OLED3の第1ホール輸送層HTL1の上にそれぞれ配置されている。また、第3発光層EM3は、第1有機EL素子OLED1と第3有機EL素子OLED3との間の隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3の各々の第3発光層EM3は、同一材料を用いて同一工程で形成され、実質的な膜厚は同一である。
【0122】
電子輸送層ETLは、実施例1と同様に、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在している。また、電子輸送層ETLは、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、及び、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。また、電子輸送層ETLは、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間に配置された隔壁PIの上において、第3発光層EM3の上に配置されている。
【0123】
対向電極CEは、実施例1と同様に、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、電子輸送層ETLの上に配置されている。
【0124】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3は、封止ガラス基板SUB2を用いて封止されている。
【0125】
反射層PER、透過層PET、第1ホール輸送層HTL1、第2ホール輸送層HTL2、第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、電子輸送層ETL、及び、対向電極CEは、実施例1と同一材料によって形成可能である。
【0126】
このような実施例2においても、実施例1と同様の効果が得られる。
【0127】
加えて、第3発光層EM3は、隣接する第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3に亘って延在した連続膜である。このため、第3発光層EM3を蒸着法によって形成する際に、発光部EA3に対応した微細な開口を形成したファインマスクを適用する代わりに、隣接する発光部EA1及び発光部EA3を繋ぐ開口を形成したマスクが適用される。つまり、マスクの開口寸法を拡大することができ、マスクの製造コストを低減できる。また、第3発光層EM3を形成する際にマスクに堆積する材料が減少し、第3発光層EM3を形成するための材料の利用効率を向上できる。
【0128】
さらに、第1有機EL素子OLED1に配置された第3発光層EM3は、光路長調整用に利用可能であるため、第3発光層EM3の膜厚分だけ第1発光層EM1の膜厚を低減できる。このため、第1発光層EM1を形成するための材料の使用量を低減できるとともに、材料費を低減できる。
【0129】
また、この実施例2によれば、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGにおいて、第3発光層EM3は、第1発光層EM1と電子輸送層ETLとの間に配置されている。このように、第1有機EL素子OLED1において、第1発光層EM1の第1発光材料よりも広いバンドギャップを有する第3発光材料を含む第3発光層EM3は、第1発光層EM1よりも対向電極側においてホールブロッキング層として機能する。このため、第1有機EL素子OLED1におけるキャリアバランスが改善し、発光効率を改善できる。
【0130】
第1有機EL素子OLED1において、第1発光材料を含む第1発光層EM1と第3発光材料を含む第3発光層EM3とが積層されているが、励起エネルギーの最も低い第1発光材料が励起状態から最も発光しやすい。このため、第1有機EL素子OLED1においては、第1発光層EM1から赤色が発光する。
【0131】
なお、第2発光材料も第1発光材料よりも広いバンドギャップを有している。このため、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGは、第1発光層EM1と電子輸送層ETLとの間に、ホールブロッキング層として、第2発光材料を含む第2発光層EM2を有していても良い。この場合、第2発光層EM2は、X方向において、隣接する第2有機EL素子OLED2及び第3有機EL素子OLED3に亘って延在し、これらの第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間に配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上にも配置される。
【0132】
また、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGは、第1発光層EM1と電子輸送層ETLとの間に、ホールブロッキング層として、第2発光層EM2及び第3発光層EM3を有していてもよい。
【0133】
つまり、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGは、第1発光層EM1と電子輸送層ETLとの間において、第2発光層EM2及び第3発光層EM3の少なくとも1つの発光層を有していれば良い。この場合、第2発光層EM2及び第3発光層EM3の少なくとも1つの発光層は、第1有機EL素子OLEDにおいてホールブロッキング層として機能する。
【0134】
但し、第3発光材料と第1発光材料とのバンドギャップの差は、第2発光材料と第1発光材料とのバンドギャップの差よりも大きい。このため、第1発光層EM1に積層される発光層としては、第3発光材料を含む第3発光層EM3の方が、第2発光材料を含む第2発光層EM2よりもホールブロッキング効果が高い。したがって、第1有機EL素子OLEDにおいては、第1発光層EM1に第3発光層EM3を積層することが望ましい。
【0135】
この実施例2は、上述した実施例1で説明した素子バリエーションのいずれも採用できる。
【0136】
(実施例3)
図10には、実施例3における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の構造が模式的に示されている。この図10に示した実施例3は、図7に示した実施例2と比較して、第2有機EL素子OLED2の有機層ORGにおいて、第2発光層EM2と電子輸送層ETLとの間に第3発光層EM3を追加した点で異なる。第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2の各々の有機層ORGにおいては、第3発光層EM3は発光しない。
【0137】
画素PX1の第1有機EL素子OLED1、画素PX2の第2有機EL素子OLED2、及び、画素PX3の第3有機EL素子OLED3は、それぞれパッシベーション膜PSの上に配置されている。
【0138】
第1有機EL素子OLED1では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、第1ホール輸送層HTL1、第1発光層EM1、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第2有機EL素子OLED2では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、第1ホール輸送層HTL1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第3有機EL素子OLED3では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、第2ホール輸送層HTL2、第1ホール輸送層HTL1、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。
【0139】
図11には、実施例3におけるトリプレットTに配置された第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、及び、第2ホール輸送層HTL2が模式的に示されている。この図11に示した実施例3は、図8に示した実施例2と比較して、第3発光層EM3がX方向に隣接する第1有機EL素子OLED1の発光部EA1、第2有機EL素子OLED2の発光部EA2、及び、第3有機EL素子OLED3の発光部EA3に亘って配置された点で異なる。
【0140】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1の発光部EA1と同等以上の面積に亘って配置されている。第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2の発光部EA2と同等以上の面積に亘って配置されている。第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の発光部EA3と同等以上の面積に亘って配置されている。
【0141】
図12には、実施例3における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を含む表示パネルDPの断面構造が概略的に示されている。なお、この図12では、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の構造を明確とするために、図11とX方向の寸法が異なっている。
【0142】
この図12に示した実施例3は、図9に示した実施例2と比較して、第3発光層EM3が第3有機EL素子OLED3のみならず、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2に延在している点で異なる。
【0143】
基板SUBと各反射層PERとの間には、ゲート絶縁膜GI、層間絶縁膜II、及び、パッシベーション膜PSが介在している。パッシベーション膜PSの上には、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の反射層PER及び透過層PETが積層されている。
【0144】
第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の透過層PETの上に配置され、また、その一部が第3有機EL素子OLED3を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0145】
第1ホール輸送層HTL1は、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上に配置されている。
【0146】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1の第1ホール輸送層HTL1の上に配置され、また、その一部が第1有機EL素子OLED1を囲む隔壁PIの上まで延在している。第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2の第1ホール輸送層HTL1の上に配置され、また、その一部が第2有機EL素子OLED2を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0147】
第3発光層EM3は、X方向に並んだ第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在している。すなわち、第3発光層EM3は、第1有機EL素子OLED1の第1発光層EM1の上、第2有機EL素子OLED2の第2発光層EM2の上、及び、第3有機EL素子OLED3の第1ホール輸送層HTL1の上にそれぞれ配置されている。また、この第3発光層EM3は、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の第3発光層EM3は、同一材料を用いて同一工程で形成され、実質的な膜厚は同一である。
【0148】
電子輸送層ETLは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、第3発光層EM3の上に配置されている。
【0149】
対向電極CEは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、電子輸送層ETLの上に配置されている。
【0150】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3は、封止ガラス基板SUB2を用いて封止されている。
【0151】
反射層PER、透過層PET、第1ホール輸送層HTL1、第2ホール輸送層HTL2、第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、電子輸送層ETL、及び、対向電極CEは、実施例1と同一材料によって形成可能である。
【0152】
このような実施例3においても、実施例2と同様の効果が得られる。
【0153】
加えて、第3発光層EM3は、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在した連続膜である。このため、第3発光層EM3を蒸着法によって形成する際に、発光部EA3に対応した微細な開口を形成したファインマスクを適用する代わりに、発光部EA1乃至3を繋ぐ開口を形成したマスクが適用される。つまり、マスクの開口寸法を実施例2よりもさらに拡大することができ、マスクの製造コストを低減できる。また、第3発光層EM3を形成する際にマスクに堆積する材料が実施例2よりもさらに減少し、第3発光層EM3を形成するための材料の利用効率を向上できる。
【0154】
さらに、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2に配置された第3発光層EM3は、光路長調整用に利用可能である。このため、第1有機EL素子OLED1において、第3発光層EM3の膜厚分だけ第1発光層EM1の膜厚を低減できる。同様に、第2有機EL素子OLED2において、第3発光層EM3の膜厚分だけ第2発光層EM2の膜厚を低減できる。このため、第1発光層EM1及び第2発光層EM2を形成するための材料の使用量を低減できるとともに、材料費を低減できる。
【0155】
この実施例3は、上述した実施例1で説明した素子バリエーションのいずれも採用できる。
【0156】
(実施例4)
図13には、実施例4における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の構造が模式的に示されている。この図13に示した実施例4は、図7に示した実施例2と比較して、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2の各々の有機層ORGにおいて画素電極PEと第1ホール輸送層HTL1との間にバッファ層BUFを追加した点、及び、第3有機EL素子OLED3の有機層ORGにおいて、画素電極PEと第2ホール輸送層HTL2との間にバッファ層BUFを追加した点で異なる。なお、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGにおいては、第3発光層EM3は発光しない。
【0157】
画素PX1の第1有機EL素子OLED1、画素PX2の第2有機EL素子OLED2、及び、画素PX3の第3有機EL素子OLED3は、それぞれパッシベーション膜PSの上に配置されている。
【0158】
第1有機EL素子OLED1では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第1発光層EM1、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第2有機EL素子OLED2では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第2発光層EM2、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第3有機EL素子OLED3では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第2ホール輸送層HTL2、第1ホール輸送層HTL1、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。
【0159】
この実施例4におけるトリプレットTに配置された第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、及び、第2ホール輸送層HTL2のレイアウトは、実施例2における図8に示したレイアウトと同一であるため、図示を省略する。
【0160】
図14には、実施例4における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を含む表示パネルDPの断面構造が概略的に示されている。この図14に示した実施例4は、図9に示した実施例2と比較して、バッファ層BUFが第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在している点で異なる。なお、その他の構成については、図9に示した実施例2と同一である。
【0161】
この実施例4に示した第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3は以下のような手順にて製造可能である。
【0162】
すなわち、基板SUBの上に、順次、ゲート絶縁膜GI、層間絶縁膜II、及び、パッシベーション膜PSを形成する。そして、パッシベーション膜PSの上に、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の反射層PER及び透過層PETを形成する。その後、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の透過層PETを囲む隔壁PIを形成する。
【0163】
そして、ラフマスクを用いて第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘ってバッファ層BUFを形成する。このバッファ層BUFは、少なくともホール注入機能を有し、各透過層PET及び隔壁PIの上に成膜された後にリフローイング処理される。
【0164】
その後、第3有機EL素子OLED3に対応した開口を有するファインマスクを用いて、第3有機EL素子OLED3におけるバッファ層BUFの上に第2ホール輸送層HTL2を形成する。
【0165】
その後、ラフマスクを用いて第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って第1ホール輸送層HTL1を形成する。
【0166】
その後、第1有機EL素子OLED1に対応した開口を有するファインマスクを用いて、第1有機EL素子OLED1における第1ホール輸送層HTL1の上に第1発光層EM1を形成する。そして、第2有機EL素子OLED2に対応した開口を有するファインマスクを用いて、第2有機EL素子OLED2における第1ホール輸送層HTL1の上に第2発光層EM2を形成する。
【0167】
そして、X方向に隣接する第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3を繋いだ開口を有するマスクを用いて、第1有機EL素子OLED1における第1発光層EM1の上及び第3有機EL素子OLED3における第1ホール輸送層HTL1の上に第3発光層EM3を形成する。
【0168】
その後、ラフマスクを用いて第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って電子輸送層ETLを形成した後に、ラフマスクを用いて第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って対向電極CEを形成する。
【0169】
このようにして形成された第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3は、封止ガラス基板SUB2を用いて封止されている。
【0170】
反射層PER、透過層PET、第1ホール輸送層HTL1、第2ホール輸送層HTL2、第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、電子輸送層ETL、及び、対向電極CEは、実施例1と同一材料によって形成可能である。
【0171】
このような実施例4においても、実施例2と同様の効果が得られる。
【0172】
加えて、バッファ層BUFは、リフローイング処理により画素電極PEの表面の異物の影響を緩和する機能を有している。これにより、電極間ショートや膜欠陥の発生を抑制できる。
【0173】
また、バッファ層BUFは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在した連続膜である。このため、バッファ層BUFを蒸着法によって形成する際に、発光部EA1乃至3を繋いだ開口を形成したマスクが適用される。つまり、バッファ層BUFを形成するためのファインマスクが不要である。
【0174】
さらに、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に配置されたバッファ層BUFは、光路長調整用に利用可能である。このため、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2において、バッファ層BUFの膜厚分だけ第1ホール輸送層HTL1の膜厚を低減できる。同様に、第3有機EL素子OLED3において、バッファ層BUFの膜厚分だけ第1ホール輸送層HTL1及び第2ホール輸送層HTL2の膜厚を低減できる。このため、第1ホール輸送層HTL1及び第2ホール輸送層HTL2を形成するための材料の使用量を低減できるとともに、材料費を低減できる。
【0175】
この実施例4は、上述した実施例1で説明した素子バリエーションのいずれも採用できる。
【0176】
(実施例5)
図15には、実施例5における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の構造が模式的に示されている。この図15に示した実施例5は、図13に示した実施例4と比較して、第3有機EL素子OLED3の有機層ORGにおいて、第2発光層EM2を追加した点及び第2発光層EM2と第3発光層EM3との間に第2ホール輸送層HTL2を配置した点で異なる。なお、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGにおいては、第3発光層EM3は発光しない。また、第3有機EL素子OLED3の有機層ORGにおいては、第2発光層EM2は発光しない。
【0177】
画素PX1の第1有機EL素子OLED1、画素PX2の第2有機EL素子OLED2、及び、画素PX3の第3有機EL素子OLED3は、それぞれパッシベーション膜PSの上に配置されている。
【0178】
第1有機EL素子OLED1では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第1発光層EM1、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第2有機EL素子OLED2では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第2発光層EM2、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第3有機EL素子OLED3では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第2発光層EM2、第2ホール輸送層HTL2、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。
【0179】
図16には、実施例5におけるトリプレットTに配置された第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、及び、第2ホール輸送層HTL2が模式的に示されている。この図16に示した実施例5は、実施例4と比較して、第2発光層EM2がX方向に隣接する第2有機EL素子OLED2の発光部EA2及び第3有機EL素子OLED3の発光部EA3に亘って配置された点で異なる。
【0180】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1の発光部EA1と同等以上の面積に亘って配置されている。第3発光層EM3は、X方向に隣接する第3有機EL素子OLED3の発光部EA3及び第1有機EL素子OLED1の発光部EA1に亘って配置されている。第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の発光部EA3と同等以上の面積に亘って配置されている。
【0181】
図17には、実施例5における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を含む表示パネルDPの断面構造が概略的に示されている。なお、この図17では、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の構造を明確とするために、図16とX方向の寸法が異なっている。
【0182】
この図17に示した実施例5は、図14に示した実施例4と比較して、第2発光層EM2が第2有機EL素子OLED2のみならず、第3有機EL素子OLED3に延在している点で異なる。
【0183】
基板SUBと各反射層PERとの間には、ゲート絶縁膜GI、層間絶縁膜II、及び、パッシベーション膜PSが介在している。パッシベーション膜PSの上には、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の反射層PER及び透過層PETが積層されている。
【0184】
バッファ層BUFは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上に配置されている。
【0185】
第1ホール輸送層HTL1は、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、バッファ層BUFの上に配置されている。
【0186】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1の第1ホール輸送層HTL1の上に配置され、また、その一部が第1有機EL素子OLED1を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0187】
第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2に配置されるとともに、X方向において、第2有機EL素子OLED2に隣接する第3有機EL素子OLED3に延在している。すなわち、第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2及び第3有機EL素子OLED3の第1ホール輸送層HTL1の上にそれぞれ配置されている。また、この第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間に配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。第2有機EL素子OLED2及び第3有機EL素子OLED3の各々の第2発光層EM2は、同一材料を用いて同一工程で形成され、実質的な膜厚は同一である。
【0188】
第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の第2発光層EM2の上に配置され、また、その一部が第3有機EL素子OLED3を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0189】
第3発光層EM3は、X方向に並んだ第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3に亘って延在している。すなわち、第3発光層EM3は、第1有機EL素子OLED1の第1発光層EM1の上、及び、第3有機EL素子OLED3の第2ホール輸送層HTL2の上にそれぞれ配置されている。また、この第3発光層EM3は、第1有機EL素子OLED1と第3有機EL素子OLED3との間に配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3の各々の第3発光層EM3は、同一材料を用いて同一工程で形成され、実質的な膜厚は同一である。
【0190】
電子輸送層ETLは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間に配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。また、電子輸送層ETLは、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間に配置された隔壁PIの上において、第2発光層EM2の上に配置されている。また、電子輸送層ETLは、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間に配置された隔壁PIの上において、第3発光層EM3の上に配置されている。
【0191】
対向電極CEは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、電子輸送層ETLの上に配置されている。
【0192】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3は、封止ガラス基板SUB2を用いて封止されている。
【0193】
このような実施例5においても、実施例4と同様の効果が得られる。
【0194】
加えて、第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2及び第3有機EL素子OLED3に亘って延在した連続膜である。このため、第2発光層EM2を蒸着法によって形成する際に、発光部EA2に対応した微細な開口を形成したファインマスクを適用する代わりに、発光部EA2及び発光部EA3を繋ぐ開口を形成したマスクが適用される。つまり、マスクの開口寸法を拡大することができ、マスクの製造コストを低減できる。また、第2発光層EM2を形成する際にマスクに堆積する材料が減少し、第2発光層EM2を形成するための材料の利用効率を向上できる。
【0195】
さらに、第3有機EL素子OLED3に配置された第2発光層EM2は、光路長調整用に利用可能であるため、第2発光層EM2の膜厚分だけ第2ホール輸送層HTL2の膜厚を低減できる。このため、第2ホール輸送層HTL2を形成するための材料の使用量を低減できるとともに、材料費を低減できる。
【0196】
また、第3有機EL素子OLED3の有機層ORGは、第3発光層EM3の画素電極側に第2発光層EM2を有している。この第2発光層EM2は、第1ホール輸送層HTL1と第2ホール輸送層HTL2との間に配置されているため、ホール輸送性を有する材料によって形成されている。つまり、この実施例5において、緑色に発光する第2発光材料を含む第2発光層EM2は、第3ホール輸送層として機能する。このように第2発光層EM2を形成する材料として、ホール輸送性を有する材料を選択することにより、画素電極PEから第3発光層EM3へのホール輸送が阻害されず、第3有機EL素子OLED3での駆動電圧の高電圧化や発光効率の低下を回避できる。
【0197】
この実施例5は、上述した実施例1で説明した素子バリエーションのいずれも採用できる。
【0198】
(実施例6)
図18には、実施例6における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の構造が模式的に示されている。この図18に示した実施例6は、図13に示した実施例4と比較して、第3有機EL素子OLED3の有機層ORGにおいて、第1発光層EM1を追加した点及び第1発光層EM1と第3発光層EM3との間に第2ホール輸送層HTL2を配置した点で異なる。なお、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGにおいては、第3発光層EM3は発光しない。また、第3有機EL素子OLED3の有機層ORGにおいては、第1発光層EM1は発光しない。
【0199】
画素PX1の第1有機EL素子OLED1、画素PX2の第2有機EL素子OLED2、及び、画素PX3の第3有機EL素子OLED3は、それぞれパッシベーション膜PSの上に配置されている。
【0200】
第1有機EL素子OLED1では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第1発光層EM1、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第2有機EL素子OLED2では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第2発光層EM2、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第3有機EL素子OLED3では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第1発光層EM1、第2ホール輸送層HTL2、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。
【0201】
図19には、実施例6におけるトリプレットTに配置された第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、及び、第2ホール輸送層HTL2が模式的に示されている。この図19に示した実施例6は、実施例4と比較して、第1発光層EM1がX方向に隣接する第1有機EL素子OLED1の発光部EA1及び第3有機EL素子OLED3の発光部EA3に亘って配置された点で異なる。
【0202】
第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2の発光部EA2と同等以上の面積に亘って配置されている。第3発光層EM3は、X方向に隣接する第3有機EL素子OLED3の発光部EA3及び第1有機EL素子OLED1の発光部EA1に亘って配置されている。第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の発光部EA3と同等以上の面積に亘って配置されている。
【0203】
図20には、実施例6における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を含む表示パネルDPの断面構造が概略的に示されている。なお、この図20では、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の構造を明確とするために、図19とX方向の寸法が異なっている。
【0204】
この図20に示した実施例6は、図14に示した実施例4と比較して、第1発光層EM1が第1有機EL素子OLED1のみならず、第3有機EL素子OLED3に延在している点で異なる。
【0205】
基板SUBと各反射層PERとの間には、ゲート絶縁膜GI、層間絶縁膜II、及び、パッシベーション膜PSが介在している。パッシベーション膜PSの上には、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の反射層PER及び透過層PETが積層されている。
【0206】
バッファ層BUFは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上に配置されている。
【0207】
第1ホール輸送層HTL1は、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、バッファ層BUFの上に配置されている。
【0208】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1に配置されるとともに、X方向において、第1有機EL素子OLED1に隣接する第3有機EL素子OLED3に延在している。すなわち、第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3の第1ホール輸送層HTL1の上にそれぞれ配置されている。また、この第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1と第3有機EL素子OLED3との間に配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3の各々の第1発光層EM1は、同一材料を用いて同一工程で形成され、実質的な膜厚は同一である。
【0209】
第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2の第1ホール輸送層HTL1の上に配置され、また、その一部が第2有機EL素子OLED2を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0210】
第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の第1発光層EM1の上に配置され、また、その一部が第3有機EL素子OLED3を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0211】
第3発光層EM3は、X方向に並んだ第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3に亘って延在している。すなわち、第3発光層EM3は、第1有機EL素子OLED1の第1発光層EM1の上、及び、第3有機EL素子OLED3の第2ホール輸送層HTL2の上にそれぞれ配置されている。また、この第3発光層EM3は、第1有機EL素子OLED1と第3有機EL素子OLED3との間に配置された隔壁PIの上において、第1発光層EM1の上に配置されている。第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3の各々の第3発光層EM3は、同一材料を用いて同一工程で形成され、実質的な膜厚は同一である。
【0212】
電子輸送層ETLは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、及び、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。また、電子輸送層ETLは、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間に配置された隔壁PIの上において、第3発光層EM3の上に配置されている。
【0213】
対向電極CEは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、電子輸送層ETLの上に配置されている。
【0214】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3は、封止ガラス基板SUB2を用いて封止されている。
【0215】
このような実施例6においても、実施例4と同様の効果が得られる。
【0216】
加えて、第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3に亘って延在した連続膜である。このため、第1発光層EM1を蒸着法によって形成する際に、発光部EA1に対応した微細な開口を形成したファインマスクを適用する代わりに、発光部EA1及び発光部EA3を繋ぐ開口を形成したマスクが適用される。つまり、マスクの開口寸法を拡大することができ、マスクの製造コストを低減できる。また、第1発光層EM1を形成する際にマスクに堆積する材料が減少し、第1発光層EM1を形成するための材料の利用効率を向上できる。
【0217】
また、この実施例6において、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を形成するのに必要なファインマスクの最小開口寸法は、発光部EA2と略同等の寸法になる。すなわち、蒸着法によって形成される有機層ORGを構成する各層のうち、第2発光層EM2及び第2ホール輸送層HTL2以外の層は、2以上の有機EL素子に亘って延在している。一方で、第2発光層EM2は発光部EA2と略同等の面積に亘って形成され、第2ホール輸送層HTL2は発光部EA3と略同等の面積に亘って形成される。上述したように、発光部EA3の面積は発光部EA2の面積よりも大きく、発光部EA2の面積は発光部EA1の面積よりも大きい。このため、実施例6で適用されるファインマスクの最小開口寸法は発光部EA2の面積と略同等となり、他の実施例と比較して、最小開口寸法を拡大できる。したがって、この実施例6の構成は、高精細化に有利である。
【0218】
さらに、第3有機EL素子OLED3に配置された第1発光層EM1は、光路長調整用に利用可能であるため、第1発光層EM1の膜厚分だけ第2ホール輸送層HTL2の膜厚を低減できる。このため、第2ホール輸送層HTL2を形成するための材料の使用量を低減できるとともに、材料費を低減できる。
【0219】
また、第3有機EL素子OLED3の有機層ORGは、第3発光層EM3の画素電極側に第1発光層EM1を有している。この第1発光層EM1は、第1ホール輸送層HTL1と第2ホール輸送層HTL2との間に配置されているため、ホール輸送性を有する材料によって形成されている。つまり、この実施例6において、赤色に発光する第1発光材料を含む第1発光層EM1は、第3ホール輸送層として機能する。このように第1発光層EM1を形成する材料として、ホール輸送性を有する材料を選択することにより、画素電極PEから第3発光層EM3へのホール輸送が阻害されず、第3有機EL素子OLED3での駆動電圧の高電圧化や発光効率の低下を抑制できる。
【0220】
この実施例6は、上述した実施例1で説明した素子バリエーションのいずれも採用できる。
【0221】
(実施例7)
図21には、実施例7における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の構造が模式的に示されている。この図21に示した実施例7は、図18に示した実施例6と比較して、第3有機EL素子OLED3の有機層ORGにおいて、第1発光層EM1と第2ホール輸送層HTL2との間に第2発光層EM2を追加した点で異なる。なお、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGにおいては、第3発光層EM3は発光しない。また、第3有機EL素子OLED3の有機層ORGにおいては、第1発光層EM1及び第2発光層EM2は発光しない。
【0222】
画素PX1の第1有機EL素子OLED1、画素PX2の第2有機EL素子OLED2、及び、画素PX3の第3有機EL素子OLED3は、それぞれパッシベーション膜PSの上に配置されている。
【0223】
第1有機EL素子OLED1では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第1発光層EM1、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第2有機EL素子OLED2では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第2発光層EM2、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第3有機EL素子OLED3では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第1発光層EM1、第2発光層EM2、第2ホール輸送層HTL2、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。
【0224】
図22には、実施例7におけるトリプレットTに配置された第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、及び、第2ホール輸送層HTL2が模式的に示されている。この図22に示した実施例7は、図19に示した実施例6と比較して、第2発光層EM2がX方向に隣接する第2有機EL素子OLED2の発光部EA2及び第3有機EL素子OLED3の発光部EA3に亘って配置された点で異なる。
【0225】
第1発光層EM1及び第3発光層EM3は、X方向に隣接する第3有機EL素子OLED3の発光部EA3及び第1有機EL素子OLED1の発光部EA1に亘って配置されている。第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の発光部EA3と同等以上の面積に亘って配置されている。
【0226】
図23には、実施例7における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を含む表示パネルDPの断面構造が概略的に示されている。なお、この図23では、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の構造を明確とするために、図22とX方向の寸法が異なっている。
【0227】
この図23に示した実施例7は、図20に示した実施例6と比較して、第2発光層EM2が第2有機EL素子OLED2のみならず、第3有機EL素子OLED3に延在している点で異なる。
【0228】
基板SUBと各反射層PERとの間には、ゲート絶縁膜GI、層間絶縁膜II、及び、パッシベーション膜PSが介在している。パッシベーション膜PSの上には、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の反射層PER及び透過層PETが積層されている。
【0229】
バッファ層BUFは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上に配置されている。
【0230】
第1ホール輸送層HTL1は、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、バッファ層BUFの上に配置されている。
【0231】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1に配置されるとともに、X方向において、第1有機EL素子OLED1に隣接する第3有機EL素子OLED3に延在している。すなわち、第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3の第1ホール輸送層HTL1の上にそれぞれ配置されている。また、この第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1と第3有機EL素子OLED3との間に配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3の各々の第1発光層EM1は、同一材料を用いて同一工程で形成され、実質的な膜厚は同一である。
【0232】
第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2に配置されるとともに、X方向において、第2有機EL素子OLED2に隣接する第3有機EL素子OLED3に延在している。すなわち、第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2の第1ホール輸送層HTL1の上、及び、第3有機EL素子OLED3の第1発光層EM1の上にそれぞれ配置されている。また、この第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間に配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。第2有機EL素子OLED2及び第3有機EL素子OLED3の各々の第2発光層EM2は、同一材料を用いて同一工程で形成され、実質的な膜厚は同一である。
【0233】
第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の第2発光層EM2の上に配置され、また、その一部が第3有機EL素子OLED3を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0234】
第3発光層EM3は、X方向に並んだ第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3に亘って延在している。すなわち、第3発光層EM3は、第1有機EL素子OLED1の第1発光層EM1の上、及び、第3有機EL素子OLED3の第2ホール輸送層HTL2の上にそれぞれ配置されている。また、この第3発光層EM3は、第1有機EL素子OLED1と第3有機EL素子OLED3との間に配置された隔壁PIの上において、第1発光層EM1の上に配置されている。第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3の各々の第3発光層EM3は、同一材料を用いて同一工程で形成され、実質的な膜厚は同一である。
【0235】
電子輸送層ETLは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間に配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。また、電子輸送層ETLは、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間に配置された隔壁PIの上において、第2発光層EM2の上に配置されている。また、電子輸送層ETLは、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間に配置された隔壁PIの上において、第3発光層EM3の上に配置されている。
【0236】
対向電極CEは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、電子輸送層ETLの上に配置されている。
【0237】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3は、封止ガラス基板SUB2を用いて封止されている。
【0238】
このような実施例7においては、実施例5及び6の双方と同様の効果が得られる。
【0239】
加えて、この実施例7において、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を形成するのに必要なファインマスクの最小開口寸法は、発光部EA3と略同等の寸法になる。すなわち、蒸着法によって形成される有機層ORGを構成する各層のうち、第2ホール輸送層HTL2以外の層は、2以上の有機EL素子に亘って延在している。一方で、第2ホール輸送層HTL2は発光部EA3と略同等の面積に亘って形成される。上述したように、発光部EA3の面積は発光部EA1及びEA2の面積よりも大きい。このため、実施例7で適用されるファインマスクの最小開口寸法は発光部EA3の面積と略同等となり、実施例6と比較して、最小開口寸法をさらに拡大できる。したがって、この実施例7の構成は、高精細化に極めて有利である。
【0240】
また、第3有機EL素子OLED3の有機層ORGは、第3発光層EM3の画素電極側に第1発光層EM1及び第2発光層EM2を有している。これらの第1発光層EM1及び第2発光層EM2は、第1ホール輸送層HTL1と第2ホール輸送層HTL2との間に配置されているため、ホール輸送性を有する材料によって形成されている。つまり、この実施例7において、赤色に発光する第1発光材料を含む第1発光層EM1及び緑色に発光する第2発光材料を含む第2発光層EM2は、それぞれ第3ホール輸送層及び第4ホール輸送層として機能する。このように第1発光層EM1及び第2発光層EM2を形成する材料として、ホール輸送性を有する材料を選択することにより、画素電極PEから第3発光層EM3へのホール輸送が阻害されず、第3有機EL素子OLED3での駆動電圧の高電圧化や発光効率の低下を抑制できる。
【0241】
さらに、図24にイメージとして示すように、第3発光層EM3の発光スペクトルと、第1発光層EM1及び第2発光層EM2の吸収スペクトルとが重複しないことが望ましい。このような材料を選択することにより、第3有機EL素子OLED3において、第3発光層EM3で発光した光の第1発光層EM1及び第2発光層EM2での吸収が抑制され、発光効率の低下が抑制できる。
【0242】
この実施例7は、上述した実施例1で説明した素子バリエーションのいずれも採用できる。
【0243】
(実施例8)
図25には、実施例8における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の構造が模式的に示されている。この図25に示した実施例8は、図13に示した実施例4と比較して、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGにおいて、第1発光層EM1と電子輸送層ETLとの間の第3発光層EM3に代えて第2発光層EM2を配置した点、及び、第3有機EL素子OLED3の有機層ORGにおいて、第3発光層EM3と電子輸送層ETLとの間に第2発光層EM2を配置した点で異なる。なお、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGにおいては、第2発光層EM2は発光せず、ホールブロッキング層として機能する。また、第3有機EL素子OLED3の有機層ORGにおいては、第2発光層EM2は発光しない。
【0244】
画素PX1の第1有機EL素子OLED1、画素PX2の第2有機EL素子OLED2、及び、画素PX3の第3有機EL素子OLED3は、それぞれパッシベーション膜PSの上に配置されている。
【0245】
第1有機EL素子OLED1では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第1発光層EM1、第2発光層EM2、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第2有機EL素子OLED2では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第2発光層EM2、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第3有機EL素子OLED3では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第2ホール輸送層HTL2、第1ホール輸送層HTL1、第3発光層EM3、第2発光層EM2、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。
【0246】
図26には、実施例8におけるトリプレットTに配置された第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、及び、第2ホール輸送層HTL2が模式的に示されている。この図26に示した実施例8は、実施例4と比較して、第2発光層EM2がX方向に隣接する第1有機EL素子OLED1の発光部EA1、第2有機EL素子OLED2の発光部EA2、及び、第3有機EL素子OLED3の発光部EA3に亘って配置された点で異なる。
【0247】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1の発光部EA1と同等以上の面積に亘って配置されている。第3発光層EM3及び第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の発光部EA3と同等以上の面積に配置されている。
【0248】
図27には、実施例8における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を含む表示パネルDPの断面構造が概略的に示されている。なお、この図27では、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の構造を明確とするために、図26とX方向の寸法が異なっている。
【0249】
この図27に示した実施例8は、図14に示した実施例4と比較して、第2発光層EM2が第2有機EL素子OLED2のみならず、第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3に延在している点で異なる。
【0250】
基板SUBと各反射層PERとの間には、ゲート絶縁膜GI、層間絶縁膜II、及び、パッシベーション膜PSが介在している。パッシベーション膜PSの上には、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の反射層PER及び透過層PETが積層されている。
【0251】
バッファ層BUFは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上に配置されている。
【0252】
第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3のバッファ層BUFの上に配置され、また、その一部が第3有機EL素子OLED3を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0253】
第1ホール輸送層HTL1は、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在している。すなわち、第1ホール輸送層HTL1は、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2においては、バッファ層BUFの上に配置されている。また、第1ホール輸送層HTL1は、第3有機EL素子OLED3においては、第2ホール輸送層HTL2の上に配置されている。さらに、この第1ホール輸送層HTL1は、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、バッファ層BUFの上に配置されている。
【0254】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1の第1ホール輸送層HTL1の上に配置され、また、その一部が第1有機EL素子OLED1を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0255】
第3発光層EM3は、第3有機EL素子OLED3の第1ホール輸送層HTL1の上に配置され、また、その一部が第3有機EL素子OLED3を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0256】
第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2に配置されるとともに、X方向において、第2有機EL素子OLED2に隣接する第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3に延在している。すなわち、第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2の第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。また、この第2発光層EM2は、第1有機EL素子OLED1の第1発光層EM1の上、及び、第3有機EL素子OLED3の第3発光層EM3の上にそれぞれ配置されている。さらに、この第2発光層EM2は、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。
【0257】
電子輸送層ETLは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3のそれぞれにおいて第2発光層EM2の上に配置されている。また、この電子輸送層ETLは、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、第2発光層EM2の上に配置されている。
【0258】
対向電極CEは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3のそれぞれにおいて電子輸送層ETLの上に配置されている。また、この対向電極CEは、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、電子輸送層ETLの上に配置されている。
【0259】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3は、封止ガラス基板SUB2を用いて封止されている。
【0260】
このような実施例8においても、実施例4と同様の効果が得られる。
【0261】
加えて、第2発光層EM2は、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在した連続膜である。このため、第2発光層EM2を蒸着法によって形成する際に、発光部EA1乃至3を繋いだ開口を形成したマスクが適用される。実施例4においては、第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、及び、第2ホール輸送層HTL2を形成する際にファインマスクが必要であるが、この実施例8においては、第2発光層EM2を形成するためのファインマスクが不要であり、マスクの製造コストを低減できる。また、第2発光層EM2を形成する際にマスクに堆積する材料が減少し、第2発光層EM2を形成するための材料の利用効率を向上できる。
【0262】
さらに、第3有機EL素子OLED3に配置された第2発光層EM2は、光路長調整用に利用可能であるため、第2発光層EM2の膜厚分だけ第2ホール輸送層HTL2の膜厚を低減できる。このため、第2ホール輸送層HTL2を形成するための材料の使用量を低減できるとともに、材料費を低減できる。
【0263】
この実施例8は、上述した実施例1で説明した素子バリエーションのいずれも採用できる。
【0264】
(実施例9)
図28には、実施例9における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の構造が模式的に示されている。この図28に示した実施例9は、図13に示した実施例4と比較して、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGにおいて、第1発光層EM1と電子輸送層ETLとの間の第3発光層EM3に代えて第2発光層EM2を配置した点で異なる。なお、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGにおいては、第2発光層EM2は発光せず、ホールブロッキング層として機能する。
【0265】
画素PX1の第1有機EL素子OLED1、画素PX2の第2有機EL素子OLED2、及び、画素PX3の第3有機EL素子OLED3は、それぞれパッシベーション膜PSの上に配置されている。
【0266】
第1有機EL素子OLED1では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第1発光層EM1、第2発光層EM2、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第2有機EL素子OLED2では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第2発光層EM2、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第3有機EL素子OLED3では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第2ホール輸送層HTL2、第1ホール輸送層HTL1、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。
【0267】
図29には、実施例9におけるトリプレットTに配置された第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、及び、第2ホール輸送層HTL2が模式的に示されている。この図29に示した実施例9は、実施例4と比較して、第2発光層EM2がX方向に隣接する第1有機EL素子OLED1の発光部EA1、及び、第2有機EL素子OLED2の発光部EA2に亘って配置された点で異なる。
【0268】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1の発光部EA1と同等以上の面積に亘って配置されている。第3発光層EM3及び第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の発光部EA3と同等以上の面積に配置されている。
【0269】
図30には、実施例9における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を含む表示パネルDPの断面構造が概略的に示されている。なお、この図30では、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の構造を明確とするために、図29とX方向の寸法が異なっている。
【0270】
この図30に示した実施例9は、図14に示した実施例4と比較して、第2発光層EM2が第2有機EL素子OLED2のみならず、第1有機EL素子OLED1に延在している点で異なる。
【0271】
基板SUBと各反射層PERとの間には、ゲート絶縁膜GI、層間絶縁膜II、及び、パッシベーション膜PSが介在している。パッシベーション膜PSの上には、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の反射層PER及び透過層PETが積層されている。
【0272】
バッファ層BUFは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上に配置されている。
【0273】
第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3のバッファ層BUFの上に配置され、また、その一部が第3有機EL素子OLED3を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0274】
第1ホール輸送層HTL1は、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在している。すなわち、第1ホール輸送層HTL1は、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2においては、バッファ層BUFの上に配置されている。また、第1ホール輸送層HTL1は、第3有機EL素子OLED3においては、第2ホール輸送層HTL2の上に配置されている。さらに、この第1ホール輸送層HTL1は、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、バッファ層BUFの上に配置されている。
【0275】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1の第1ホール輸送層HTL1の上に配置され、また、その一部が第1有機EL素子OLED1を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0276】
第3発光層EM3は、第3有機EL素子OLED3の第1ホール輸送層HTL1の上に配置され、また、その一部が第3有機EL素子OLED3を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0277】
第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2に配置されるとともに、X方向において、第2有機EL素子OLED2に隣接する第1有機EL素子OLED1に延在している。すなわち、第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2の第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。また、この第2発光層EM2は、第1有機EL素子OLED1の第1発光層EM1の上に配置されている。さらに、この第2発光層EM2は、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間に配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。
【0278】
電子輸送層ETLは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在している。すなわち、電子輸送層ETLは、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2のそれぞれにおいて第2発光層EM2の上に配置され、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間に配置された隔壁PIの上において、第2発光層EM2の上に配置されている。また、この電子輸送層ETLは、第3有機EL素子OLED3において第3発光層EM3の上に配置されている。さらに、電子輸送層ETLは、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。
【0279】
対向電極CEは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3のそれぞれにおいて電子輸送層ETLの上に配置されている。また、この対向電極CEは、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、電子輸送層ETLの上に配置されている。
【0280】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3は、封止ガラス基板SUB2を用いて封止されている。
【0281】
このような実施例9においても、実施例4と同様の効果が得られる。
【0282】
加えて、第2発光層EM2は、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2に亘って延在した連続膜である。このため、第2発光層EM2を蒸着法によって形成する際に、発光部EA1及びEA2を繋いだ開口を形成したマスクが適用される。つまり、マスクの開口寸法を拡大することができ、マスクの製造コストを低減できる。また、第2発光層EM2を形成する際にマスクに堆積する材料が減少し、第2発光層EM2を形成するための材料の利用効率を向上できる。
【0283】
この実施例9は、上述した実施例1で説明した素子バリエーションのいずれも採用できる。
【0284】
(実施例10)
図31には、実施例10における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の構造が模式的に示されている。この図31に示した実施例10は、図13に示した実施例4と比較して、第3有機EL素子OLED3の有機層ORGにおいて、第3発光層EM3と電子輸送層ETLとの間に第2発光層EM2を配置した点で異なる。なお、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGにおいては、第3発光層EM3は発光せず、ホールブロッキング層として機能する。また、第3有機EL素子OLED3の有機層ORGにおいては、第2発光層EM2は発光しない。
【0285】
画素PX1の第1有機EL素子OLED1、画素PX2の第2有機EL素子OLED2、及び、画素PX3の第3有機EL素子OLED3は、それぞれパッシベーション膜PSの上に配置されている。
【0286】
第1有機EL素子OLED1では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第1発光層EM1、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第2有機EL素子OLED2では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第2発光層EM2、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第3有機EL素子OLED3では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第2ホール輸送層HTL2、第1ホール輸送層HTL1、第3発光層EM3、第2発光層EM2、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。
【0287】
図32には、実施例10におけるトリプレットTに配置された第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、及び、第2ホール輸送層HTL2が模式的に示されている。この図32に示した実施例10は、実施例4と比較して、第2発光層EM2がX方向に隣接する第2有機EL素子OLED2の発光部EA2、及び、第3有機EL素子OLED3の発光部EA3に亘って配置された点で異なる。
【0288】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1の発光部EA1と同等以上の面積に亘って配置されている。第3発光層EM3は、X方向に隣接する第3有機EL素子OLED3の発光部EA3及び第1有機EL素子OLED1の発光部EA1に亘って配置されている。第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の発光部EA3と同等以上の面積に亘って配置されている。
【0289】
図33には、実施例10における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を含む表示パネルDPの断面構造が概略的に示されている。なお、この図33では、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の構造を明確とするために、図32とX方向の寸法が異なっている。
【0290】
この図33に示した実施例10は、図14に示した実施例4と比較して、第2発光層EM2が第2有機EL素子OLED2のみならず、第3有機EL素子OLED3に延在している点で異なる。
【0291】
基板SUBと各反射層PERとの間には、ゲート絶縁膜GI、層間絶縁膜II、及び、パッシベーション膜PSが介在している。パッシベーション膜PSの上には、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の反射層PER及び透過層PETが積層されている。
【0292】
バッファ層BUFは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上に配置されている。
【0293】
第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3のバッファ層BUFの上に配置され、また、その一部が第3有機EL素子OLED3を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0294】
第1ホール輸送層HTL1は、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在している。すなわち、第1ホール輸送層HTL1は、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2においては、バッファ層BUFの上に配置されている。また、第1ホール輸送層HTL1は、第3有機EL素子OLED3においては、第2ホール輸送層HTL2の上に配置されている。さらに、この第1ホール輸送層HTL1は、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、バッファ層BUFの上に配置されている。
【0295】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1の第1ホール輸送層HTL1の上に配置され、また、その一部が第1有機EL素子OLED1を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0296】
第3発光層EM3は、第3有機EL素子OLED3に配置されるとともに、X方向において、第3有機EL素子OLED3に隣接する第1有機EL素子OLED1に延在している。すなわち、第3発光層EM3は、第1有機EL素子OLED1の第1発光層EM1の上、及び、第3有機EL素子OLED3の第1ホール輸送層HTL1の上にそれぞれ配置されている。また、この第3発光層EM3は、第1有機EL素子OLED1と第3有機EL素子OLED3との間に配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。
【0297】
第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2に配置されるとともに、X方向において、第2有機EL素子OLED2に隣接する第3有機EL素子OLED3に延在している。すなわち、第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2の第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。また、この第2発光層EM2は、第3有機EL素子OLED3の第3発光層EM3の上に配置されている。さらに、この第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間に配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。
【0298】
電子輸送層ETLは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在している。すなわち、電子輸送層ETLは、第2有機EL素子OLED2及び第3有機EL素子OLED3のそれぞれにおいて第2発光層EM2の上に配置され、また、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間に配置された隔壁PIの上において、第2発光層EM2の上に配置されている。また、この電子輸送層ETLは、第1有機EL素子OLED1において第3発光層EM3の上に配置されている。さらに、電子輸送層ETLは、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間に配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。また、電子輸送層ETLは、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間に配置された隔壁PIの上において、第3発光層EM3の上に配置されている。
【0299】
対向電極CEは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3のそれぞれにおいて電子輸送層ETLの上に配置されている。また、この対向電極CEは、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、電子輸送層ETLの上に配置されている。
【0300】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3は、封止ガラス基板SUB2を用いて封止されている。
【0301】
このような実施例10においても、実施例4と同様の効果が得られる。
【0302】
加えて、第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2及び第3有機EL素子OLED3に亘って延在した連続膜である。このため、第2発光層EM2を蒸着法によって形成する際に、発光部EA2及びEA3を繋いだ開口を形成したマスクが適用される。つまり、マスクの開口寸法を拡大することができ、マスクの製造コストを低減できる。また、第2発光層EM2を形成する際にマスクに堆積する材料が減少し、第2発光層EM2を形成するための材料の利用効率を向上できる。
【0303】
また、第3発光層EM3は、第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3に亘って延在した連続膜である。このため、第3発光層EM3を蒸着法によって形成する際に、発光部EA1及びEA3を繋いだ開口を形成したマスクが適用される。つまり、マスクの開口寸法を拡大することができ、マスクの製造コストを低減できる。また、第3発光層EM3を形成する際にマスクに堆積する材料が減少し、第3発光層EM3を形成するための材料の利用効率を向上できる。
【0304】
さらに、第3有機EL素子OLED3に配置された第2発光層EM2は、光路長調整用に利用可能であるため、第2発光層EM2の膜厚分だけ第2ホール輸送層HTL2の膜厚を低減できる。このため、第2ホール輸送層HTL2を形成するための材料の使用量を低減できるとともに、材料費を低減できる。
【0305】
この実施例10は、上述した実施例1で説明した素子バリエーションのいずれも採用できる。
【0306】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0307】
上記の実施形態では、有機EL表示装置は、発光色が異なる3種の有機EL素子つまり第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を備えている。有機EL表示装置は、有機EL素子として、発光色が異なる2種の有機EL素子のみを備えていてもよく、発光色が異なる4種以上の有機EL素子を備えていてもよい。
【0308】
上記の実施形態では、第1乃至第3発光材料は、それら全てが蛍光材料であっても良いし、燐光材料であっても良い。また、それらの一部が蛍光材料であり、その他が燐光材料であっても良い。
【0309】
上記の各実施形態において、電子注入層もしくは正孔注入層、又は、その両方を含んでいてもよい。
【0310】
上記の実施例1乃至4、実施例8乃至10では、第3有機EL素子OLED3において、第2ホール輸送層HTL2の上に第1ホール輸送層HTL1を配置したが、第1ホール輸送層HTL1の上に第2ホール輸送層HTL2を配置しても良い。
【0311】
上記の実施例5乃至7では、第3有機EL素子OLED3において、第1ホール輸送層HTL1の上に第2ホール輸送層HTL2を配置したが、第2ホール輸送層HTL2の上に第1ホール輸送層HTL1を配置しても良い。
【符号の説明】
【0312】
DP…表示パネル SUB…基板
OLED1…第1有機EL素子 OLED2…第2有機EL素子 OLED3…第3有機EL素子
PE…画素電極(PER…反射層 PET…透過層)
ORG…有機層(ETL…電子輸送層 BUF…バッファ層 HTL1…第1ホール輸送層 HTL2…第2ホール輸送層 EM1…第1発光層 EM2…第2発光層 EM3…第3発光層)
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自発光型で、高速応答、広視野角、高コントラストの特徴を有し、かつ、更に薄型軽量化が可能な有機エレクトロルミネセンス(EL)素子を用いた表示装置の開発が盛んに行われている。
【0003】
この有機EL素子は、正孔注入電極(陽極)から正孔を注入するとともに、電子注入電極(陰極)から電子を注入し、発光層で正孔と電子とを再結合させて発光を得るものである。フルカラー表示を得るためには、赤(R)、緑(G)、青(B)にそれぞれ発光する画素を構成する必要がある。赤、緑、青の各画素を構成する有機EL素子の発光層には、赤色、緑色、青色といったそれぞれ異なる発光スペクトルで発光する発光材料を塗り分ける必要がある。このような発光材料を塗り分ける方法として、真空蒸着法がある。このような真空蒸着法によって低分子系の有機EL材料を成膜する場合、各色の画素毎に開口した金属性のファインマスクを用いてそれぞれ独立にマスク蒸着する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
有機EL素子において、青色に発光する有機EL素子については、色純度の向上が要望されている。すなわち、フルカラー表示を実現するにあたり、赤色及び緑色については比較的高い色純度が得られるのに対して、材料の特性などにより青色の色純度が比較的低い場合、所望の色を表示する際に青味が不足しがちとなる。例えば、白を表示する際、青味が不足すると、黄色味を呈する。したがって、所望のホワイトバランスを実現するためには、青味の不足を補うために、青色に発光する有機EL素子に大電流を供給して高輝度化する必要がある。
【0005】
これは、有機EL素子を駆動するのに必要な駆動電圧の高電圧化を招くだけでなく、特に、青色に発光する有機EL素子の寿命を縮めてしまうおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−157973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、多色画像を表示可能とする表示装置であって、青色の色純度を向上し、駆動電圧の高電圧化の回避及び有機EL素子の長寿命化が可能な有機EL表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、
陽極と陰極との間に、赤色に発光する第1発光層及びホールブロッキング層を有する第1有機層を備えた第1有機EL素子と、
陽極と陰極との間に、緑色に発光する第2発光層を有する第2有機層を備え、前記第1有機EL素子よりも薄い第2有機EL素子と、
陽極と陰極との間に、青色に発光する第3発光層を有する第3有機層を備え、前記第1有機EL素子よりも厚い第3有機EL素子と、
を具備することを特徴とする有機EL表示装置が提供される。
【0009】
また、本発明の一態様によれば、
反射層を含む陽極と半透過層を含む陰極との間に、赤色に発光する第1発光層を有する第1有機層を備えた第1有機EL素子と、
反射層を含む陽極と半透過層を含む陰極との間に、緑色に発光する第2発光層を有する第2有機層を備えるとともに前記反射層と前記半透過層との間の厚さが第1有機EL素子よりも薄い第2有機EL素子と、
反射層を含む陽極と半透過層を含む陰極との間に、青色に発光する第3発光層を有する第3有機層を備えるとともに前記反射層と前記半透過層との間の厚さが第1有機EL素子よりも厚い第3有機EL素子と、
を具備したことを特徴とする有機EL表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、多色画像を表示可能とする表示装置であって、青色の色純度を向上し、駆動電圧の高電圧化の回避及び有機EL素子の長寿命化が可能な有機EL表示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、本発明の一実施形態における有機EL表示装置の構成を概略的に示す平面図である。
【図2】図2は、図1に示した有機EL表示装置に採用可能な構造の一例を概略的に示す断面図である。
【図3】図3は、図2に示した有機EL表示装置で採用可能な画素の配置の一例を概略的に示す平面図である。
【図4】図4は、図2に示した有機EL表示装置が有する第1乃至第3有機EL素子に採用可能な構成の一例を概略的に示す図である。
【図5】図5は、図4に示した第1乃至第3有機EL素子の主要構造の平面図である。
【図6】図6は、図4に示した第1乃至第3有機EL素子を備えた表示パネルの断面図である。
【図7】図7は、図2に示した有機EL表示装置が有する第1乃至第3有機EL素子に採用可能な他の構成の一例を概略的に示す図である。
【図8】図8は、図7に示した第1乃至第3有機EL素子の主要構造の平面図である。
【図9】図9は、図7に示した第1乃至第3有機EL素子を備えた表示パネルの断面図である。
【図10】図10は、図2に示した有機EL表示装置が有する第1乃至第3有機EL素子に採用可能な他の構成の一例を概略的に示す図である。
【図11】図11は、図10に示した第1乃至第3有機EL素子の主要構造の平面図である。
【図12】図12は、図10に示した第1乃至第3有機EL素子を備えた表示パネルの断面図である。
【図13】図13は、図2に示した有機EL表示装置が有する第1乃至第3有機EL素子に採用可能な他の構成の一例を概略的に示す図である。
【図14】図14は、図13に示した第1乃至第3有機EL素子を備えた表示パネルの断面図である。
【図15】図15は、図2に示した有機EL表示装置が有する第1乃至第3有機EL素子に採用可能な他の構成の一例を概略的に示す図である。
【図16】図16は、図15に示した第1乃至第3有機EL素子の主要構造の平面図である。
【図17】図17は、図15に示した第1乃至第3有機EL素子を備えた表示パネルの断面図である。
【図18】図18は、図2に示した有機EL表示装置が有する第1乃至第3有機EL素子に採用可能な他の構成の一例を概略的に示す図である。
【図19】図19は、図18に示した第1乃至第3有機EL素子の主要構造の平面図である。
【図20】図20は、図18に示した第1乃至第3有機EL素子を備えた表示パネルの断面図である。
【図21】図21は、図2に示した有機EL表示装置が有する第1乃至第3有機EL素子に採用可能な他の構成の一例を概略的に示す図である。
【図22】図22は、図21に示した第1乃至第3有機EL素子の主要構造の平面図である。
【図23】図23は、図21に示した第1乃至第3有機EL素子を備えた表示パネルの断面図である。
【図24】図24は、発光の発光スペクトルと吸収スペクトルとの関係の一例を示す図である。
【図25】図25は、図2に示した有機EL表示装置が有する第1乃至第3有機EL素子に採用可能な他の構成の一例を概略的に示す図である。
【図26】図26は、図25に示した第1乃至第3有機EL素子の主要構造の平面図である。
【図27】図27は、図25に示した第1乃至第3有機EL素子を備えた表示パネルの断面図である。
【図28】図28は、図2に示した有機EL表示装置が有する第1乃至第3有機EL素子に採用可能な他の構成の一例を概略的に示す図である。
【図29】図29は、図28に示した第1乃至第3有機EL素子の主要構造の平面図である。
【図30】図30は、図28に示した第1乃至第3有機EL素子を備えた表示パネルの断面図である。
【図31】図31は、図2に示した有機EL表示装置が有する第1乃至第3有機EL素子に採用可能な他の構成の一例を概略的に示す図である。
【図32】図32は、図31に示した第1乃至第3有機EL素子の主要構造の平面図である。
【図33】図33は、図31に示した第1乃至第3有機EL素子を備えた表示パネルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0013】
本実施形態では、有機EL表示装置の一例として、アクティブマトリクス駆動方式を採用した上面発光型の有機EL表示装置について説明する。
【0014】
図1に示すように、この有機EL表示装置は、表示パネルDPを有している。表示パネルDPは、例えば、ガラス基板などの絶縁性の基板SUBを備えている。
【0015】
画素PX1乃至3は、この順にX方向に並んでおり、表示画素の最小単位であるトリプレット(単位画素)を構成している。表示領域内では、このトリプレットがX方向とY方向とに配列されている。すなわち、表示領域内では、画素PX1をY方向に並べてなる画素列と、画素PX2をY方向に並べてなる画素列と、画素PX3をY方向に並べてなる画素列とがこの順にX方向に並べられ、さらに、これら3つの画素列がX方向に繰り返し並べられている。
【0016】
走査信号線SL1及びSL2は、各々がX方向に延在しており、Y方向に交互に配列している。映像信号線DLは、各々がY方向に延在しており、X方向に配列している。
【0017】
画素PX1乃至3の各々は、駆動トランジスタDRと、スイッチングトランジスタSWa乃至SWcと、有機EL素子OLEDと、キャパシタCとを有している。この例では、駆動トランジスタDR及びスイッチングトランジスタSWa乃至SWcはpチャネル薄膜トランジスタである。
【0018】
駆動トランジスタDRとスイッチングトランジスタSWaと有機EL素子OLEDとは、第1電源端子ND1と第2電源端子ND2との間で、この順に直列に接続されている。この例では、電源端子ND1は高電位電源端子であり、電源端子ND2は低電位電源端子である。電源端子ND1は、電源線PSLに接続されている。
【0019】
スイッチングトランジスタSWaのゲートは、走査信号線SL1に接続されている。スイッチングトランジスタSWbは映像信号線DLと駆動トランジスタDRのドレインとの間に接続されており、そのゲートは走査信号線SL2に接続されている。スイッチングトランジスタSWcは駆動トランジスタDRのドレインとゲートとの間に接続されており、そのゲートは走査信号線SL2に接続されている。キャパシタCは、駆動トランジスタDRのゲートと定電位端子ND1’との間に接続されている。この例では、定電位端子ND1’は、電源端子ND1に接続されている。
【0020】
映像信号線ドライバXDR及び走査信号線ドライバYDRは、例えば、基板SUBの上に配置されている。すなわち、映像信号線ドライバXDR及び走査信号線ドライバYDRは、チップ・オン・グラス(COG)実装されている。なお、映像信号線ドライバXDR及び走査信号線ドライバYDRは、COG実装する代わりに、テープ・キャリア・パッケージ(TCP)実装してもよい。或いは、映像信号線ドライバXDR及び走査信号線ドライバYDRは、基板SUBの上に直接形成されてもよい。
【0021】
映像信号線ドライバXDRには、映像信号線DLが接続されている。映像信号線ドライバXDRは、映像信号線DLに映像信号として電流信号を出力する。
【0022】
走査信号線ドライバYDRには、走査信号線SL1及びSL2が接続されている。走査信号線ドライバYDRは、走査信号線SL1及びSL2にそれぞれ第1及び第2走査信号としての電圧信号を出力する。
【0023】
この有機EL表示装置で画像を表示する場合、例えば、走査信号線SL2を順次走査する。すなわち、画素PX1乃至3を行毎に選択する。或る行を選択している選択期間では、その行に含まれる画素PX1乃至3に対して書込動作を行う。そして、その行を選択していない非選択期間では、その行に含まれる画素PX1乃至3で表示動作を行う。
【0024】
或る行の画素PX1乃至3を選択する選択期間では、走査信号線ドライバYDRは、先の画素PX1乃至3が接続された走査信号線SL1にスイッチングトランジスタSWaを開く(非導通状態とする)走査信号を電圧信号として出力し、続いて、先の画素PX1乃至3が接続された走査信号線SL2にスイッチングトランジスタSWb及びSWcを閉じる(導通状態とする)走査信号を電圧信号として出力する。この状態で、映像信号線ドライバXDRは、映像信号線DLに映像信号を電流信号(書込電流)Isigとして出力し、駆動トランジスタDRのゲート−ソース間電圧Vgsを、先の映像信号Isigに対応した大きさに設定する。
【0025】
その後、走査信号線ドライバYDRは、先の画素PX1乃至3が接続された走査信号線SL2にスイッチングトランジスタSWb及びSWcを開く走査信号を電圧信号として出力し、続いて、先の画素PX1乃至3が接続された走査信号線SL1にスイッチングトランジスタSWaを閉じる走査信号を電圧信号として出力する。これにより、選択期間を終了する。
【0026】
選択期間に続く非選択期間では、スイッチングトランジスタSWaは閉じたままとし、スイッチングトランジスタSWb及びSWcは開いたままとする。非選択期間では、有機EL素子OLEDには、駆動トランジスタDRのゲート−ソース間電圧Vgsに対応した大きさの駆動電流Idrvが流れる。有機EL素子OLEDは、駆動電流Idrvの大きさに対応した輝度で発光する。ここで、Idrv≒Isigとなり、各画素で、電流信号(書込電流)Isigに対応した発光を得ることができる。
【0027】
尚、上記した例は、有機EL素子OLEDを駆動するための画素回路として、映像信号として電流信号を書き込む構成を採用したものであるが、画素回路に映像信号として電圧信号を書き込む構成を採用することも可能であり、特に上記の例に限定したものではない。また、本態様では、pチャネル薄膜トランジスタを使用したが、nチャネル薄膜トランジスタを使用しても、本発明の本質を変えるものではない。また、画素回路は、上記した例に限らず、種々の形態を適用可能である。
【0028】
図2には、スイッチングトランジスタSWa及び有機EL素子OLEDを含む表示パネルDPの断面構造が概略的に示されている。
【0029】
図2に示すように、基板SUB上には、スイッチングトランジスタSWaの半導体層SCが配置されている。この半導体層SCは、例えばポリシリコンによって形成されている。この半導体層SCには、チャネル領域SCCを挟んでソース領域SCS及びドレイン領域SCDが形成されている。
【0030】
半導体層SCは、ゲート絶縁膜GIによって被覆されている。ゲート絶縁膜GIは、例えばtetraethyl orthosilicate(TEOS)などを用いて形成されている。ゲート絶縁膜GIの上には、チャネル領域SCCの直上にスイッチングトランジスタSWaのゲートGが配置されている。このゲートGは、走査信号線SL1の一部であり、上述した走査信号線SL2とともに同一材料を用いて同一の工程で形成することができる。このゲートGは、例えばモリブデン・タングステン(MoW)によって形成されている。
【0031】
この例では、スイッチングトランジスタSWaは、トップゲート型のpチャネル薄膜トランジスタであり、上述した駆動トランジスタDR及び他のスイッチングトランジスタSWb及びSWcと同一構造である。
【0032】
ゲート絶縁膜GI及びゲートGは、走査信号線SL1及びSL2などとともに層間絶縁膜IIによって被覆されている。層間絶縁膜IIは、例えばプラズマ化学蒸着(CVD)法により堆積させたシリコン酸化物(SiOx)などを用いて形成されている。
【0033】
層間絶縁膜IIの上には、スイッチングトランジスタSWaのソースSE及びドレインDEが配置されている。ソースSEは、層間絶縁膜II及びゲート絶縁膜GIに形成されたコンタクトホールを介して半導体層SCのソース領域SCSに接続されている。ドレインDEは、層間絶縁膜II及びゲート絶縁膜GIに形成されたコンタクトホールを介して半導体層SCのドレイン領域SCDに接続されている。
【0034】
これらのソースSE及びドレインDEは、例えば、モリブデン(Mo)/アルミニウム(Al)/モリブデン(Mo)の三層を積層した構造を有しており、同一の工程で形成することができる。これらのソースSE及びドレインDEとは、パッシベーション膜PSによって被覆されている。パッシベーション膜PSは、例えばシリコン窒化物(SiNx)などを用いて形成されている。
【0035】
画素電極PEは、パッシベーション膜PSの上において、画素PX1乃至3に対応してそれぞれ配置されている。各画素電極PEは、パッシベーション膜PSに形成されたコンタクトホールを介してスイッチングトランジスタSWaのドレインDEに接続されている。この画素電極PEは、この例では陽極に相当する。
【0036】
パッシベーション膜PSの上には、隔壁PIが配置されている。隔壁PIは、画素電極PEの全周を囲むように格子状に配置されている。なお、この隔壁PIは、画素電極PEの間のY方向に延びたストライプ状に配置されても良い。このような隔壁PIは、例えば、有機絶縁層である。隔壁PIは、例えば、フォトリソグラフィ技術を用いて形成することができる。
【0037】
各画素電極PEの上には、有機層ORGが配置されている。有機層ORGは、全ての画素PX1乃至3を含む表示領域に亘って延在した連続膜を少なくとも1層含んでいる。すなわち、有機層ORGは、画素電極PE及び隔壁PIを被覆している。詳細については後述する。
【0038】
有機層ORGは、対向電極CEによって被覆されている。この例では、対向電極CEは、陰極に相当する。この対向電極CEは、全ての画素PX1乃至3を含む表示領域に亘って延在した連続膜である。つまり、対向電極CEは、画素PX1乃至3で共用する共通電極である。
【0039】
画素電極PEと有機層ORGと対向電極CEとは、各画素PXに対応して配置された有機EL素子OLEDを形成している。
【0040】
すなわち、画素PX1は第1有機EL素子OLED1を備え、画素PX2は第2有機EL素子OLED2を備え、画素PX3は第3有機EL素子OLED3を備えている。なお、図2においては、画素PX1の第1有機EL素子OLED1、画素PX2の第2有機EL素子OLED2、画素PX3の第3有機EL素子OLED3がそれぞれ1つずつ図示されているが、X方向にこれらが繰り返し配置されている。つまり、図中の右側の第3有機EL素子OLED3に隣接して第1有機EL素子OLED1が配置されている。同様に、図中の左側の第1有機EL素子OLED1に隣接して第3有機EL素子OLED3が配置されている。
【0041】
隔壁PIは、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間に配置され、両者を分離している。また、この隔壁PIは、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間に配置され、両者を分離している。また、この隔壁PIは、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間に配置され、両者を分離している。
【0042】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の封止は、乾燥剤を付けた封止ガラス基板SUB2を表示領域の周辺に塗布したシール材で貼り合わせて実施しても良いし、封止ガラス基板SUB2をフリットガラスで貼り合わせて実施(フリット封止)しても良いし、さらに、封止ガラス基板SUB2と有機EL素子OLEDとの間に有機樹脂層を充填して実施(固体封止)しても良い。フリット封止の場合、乾燥剤を不要とすることができる。固体封止の場合、有機樹脂層に加えて対向電極CEとの間に無機系材料からなる絶縁膜が介在していても良い。
【0043】
本実施の形態においては、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の発光色は、互いに異なるように構成されている。ここに示した例では、第1有機EL素子OLED1は赤色に発光し、第2有機EL素子OLED2は緑色に発光し、第3有機EL素子OLED3は青色に発光する。
【0044】
なお、波長が400nm乃至435nmの範囲内にある光の色を紫、波長が435nm乃至480nmの範囲内にある光の色を青、波長が480nm乃至490nmの範囲内にある光の色を緑青、波長が490nm乃至500nmの範囲内にある光の色を青緑、波長が500nm乃至560nmの範囲内にある光の色を緑、波長が560nm乃至580nmの範囲内にある光の色を黄緑、波長が580nm乃至595nmの範囲内にある光の色を黄、波長が595nm乃至610nmの範囲内にある光の色を橙、波長が610nm乃至750nmの範囲内にある光の色を赤、波長が750nm乃至800nmの範囲内にある光の色を赤紫と定義するのが一般的であるが、ここでは、主波長が400nm乃至490nmの範囲内にある色を青色、主波長が490nmより長く且つ595nmよりも短い範囲内にある色を緑色、主波長が595nm乃至800nmの範囲内にある色を赤色と定義する。
【0045】
図3には、トリプレットTの構成例を示している。トリプレットTは、X方向及びY方向の長さが略同等となる正方形状に形成されている。トリプレットTは、画素PX1、画素PX2、及び、画素PX3によって構成されている。画素PX1は、第1有機EL素子OLED1を備え、赤色を表示する赤色画素PXRとなる。画素PX2は、第2有機EL素子OLED2を備え、緑色を表示する緑色画素PXGとなる。画素PX3は、第3有機EL素子OLED3を備え、青色を表示する青色画素PXBとなる。
【0046】
第1有機EL素子OLED1の発光部EA1、第2有機EL素子OLED2の発光部EA2、及び、第3有機EL素子OLED3の発光部EA3は、それぞれY方向に延びた長方形状に形成されている。
【0047】
発光部EA1乃至3の各々の面積の大小関係は、以下の通りである。
【0048】
発光部EA1の面積<発光部EA2の面積<発光部EA3の面積
一例として、発光部EA1乃至3の各々の面積比は、以下の通りである。
【0049】
EA1:EA2:EA3=1:1.3:2.7
ここでは、発光部EA1乃至3のY方向の長さは略同等であるため、上記した面積比は、発光部EA1乃至3のX方向の長さによって設定している。
【0050】
このように、青色に発光する発光部EA3は、他の色に発光する発光部EA1及びEA2よりも大きな面積になるように形成されている。このため、発光部EA3に供給されるキャリアが増えるので、十分な青味成分を提供するのに必要な駆動電圧の高電圧化を回避できる。このため、青色を表示する第3有機EL素子OLED3の長寿命化が可能となる。
【0051】
なお、発光部EA1乃至3の各々の面積については、所望の特性が得られるように種々変更可能である。発光部EA1乃至3の各々の面積の大小関係は、図3に示した例に限らず、互いに略等しくしても良い。
【0052】
(実施例1)
図4には、実施例1における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の構造が模式的に示されている。この図4に示すように、画素PX1の第1有機EL素子OLED1、画素PX2の第2有機EL素子OLED2、及び、画素PX3の第3有機EL素子OLED3は、それぞれパッシベーション膜PSの上に配置されている。第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々は、画素電極PEと、この画素電極PEと向き合った対向電極CEと、画素電極PEと対向電極CEとの間に介在した有機層ORGと、を有している。
【0053】
第1有機EL素子OLED1は、以下のように構成されている。すなわち、第1有機EL素子OLED1の画素電極PEは、パッシベーション膜PSの上に配置された反射層PER及び反射層の上に配置された透過層PETを有している。第1有機EL素子OLED1の有機層(第1有機層)ORGは、画素電極PEの上に配置されている。この有機層ORGは、透過層PETの上に配置された第1ホール輸送層HTL1、第1ホール輸送層HTL1の上に配置された第1発光層EM1、第1発光層EM1の上に配置された電子輸送層ETLを有している。第1有機EL素子OLED1の対向電極CEは、有機層ORGの電子輸送層ETLの上に配置されている。
【0054】
第2有機EL素子OLED2は、以下のように構成されている。すなわち、第2有機EL素子OLED2の画素電極PEは、パッシベーション膜PSの上に配置された反射層PER及び反射層の上に配置された透過層PETを有している。第2有機EL素子OLED2の有機層(第2有機層)ORGは、画素電極PEの上に配置されている。この有機層ORGは、透過層PETの上に配置された第1ホール輸送層HTL1、第1ホール輸送層HTL1の上に配置された第2発光層EM2、第2発光層EM2の上に配置された電子輸送層ETLを有している。第2有機EL素子OLED2の対向電極CEは、有機層ORGの電子輸送層ETLの上に配置されている。
【0055】
第3有機EL素子OLED3は、以下のように構成されている。すなわち、第3有機EL素子OLED3の画素電極PEは、パッシベーション膜PSの上に配置された反射層PER及び反射層の上に配置された透過層PETを有している。第3有機EL素子OLED3の有機層(第3有機層)ORGは、画素電極PEの上に配置されている。この有機層ORGは、透過層PETの上に配置された第2ホール輸送層HTL2、第2ホール輸送層HTL2の上に配置された第1ホール輸送層HTL1、第1ホール輸送層HTL1の上に配置された第3発光層EM3、第3発光層EM3の上に配置された電子輸送層ETLを有している。第3有機EL素子OLED3の対向電極CEは、有機層ORGの電子輸送層ETLの上に配置されている。
【0056】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の画素電極PEは、同一構造であり、反射層PERの上に透過層PETが積層された2層構造である。パッシベーション膜PSと透過層PETとの間に配置された反射層PERは、例えば、銀(Ag)によって形成されているが、アルミニウム(Al)などの光反射性を有する他の導電材料によって形成されても良い。反射層PERと有機層ORGとの間に配置された透過層PETは、例えば、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)によって形成されているが、インジウム・ジンク・オキサイド(IZO)などの光透過性を有する他の導電材料によって形成されても良い。このような第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の画素電極PEは、実質的に同一の厚さを有している。
【0057】
第1ホール輸送層HTL1は、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(1−ナフチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)によって形成されているが、他の材料によって形成されても良い。このような第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の第1ホール輸送層HTL1は、実質的に同一の厚さを有している。
【0058】
第3有機EL素子OLED1乃至3の第2ホール輸送層HTL2は、第1ホール輸送層HTL1と同一材料によって形成可能であるが、他の材料によって形成されても良い。
【0059】
電子輸送層ETLは、例えば、Alq3によって形成されているが、他の材料によって形成されても良い。このような第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の電子輸送層ETLは、実質的に同一の厚さを有している。
【0060】
第1乃至第3発光層EM1乃至3は、いずれもホスト材料を含んでいる。ホスト材料としては、たとえば、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニル−エテン−1−イル)−ジフェニル(略称;BPVBI)が使用可能であるが、他の材料でも良い。
【0061】
第1発光層EM1は、赤色波長に発光中心を有するルミネセンス性有機化合物又は組成物からなる第1発光材料(ドーパント材料)を含んでいる。この第1発光材料としては、例えば、4−(Dicyanomethylene)−2−methyl−6−(julolidin−4−yl−vinyl)−4H−pyran(略称;DCM2)が使用可能であるが、他の材料でも良い。
【0062】
第2発光層EM2は、緑色波長に発光中心を有するルミネセンス性有機化合物又は組成物からなる第2発光材料(ドーパント材料)を含んでいる。この第2発光材料としては、例えば、トリス(8−ヒドロキシキノラート)アルミニウム(略称;Alq3)が使用可能であるが、他の材料でも良い。
【0063】
第3発光層EM3は、青色波長に発光中心を有するルミネセンス性有機化合物又は組成物からなる第3発光材料(ドーパント材料)を含んでいる。この第3発光材料としては、例えば、bis[(4,6−difluorophenyl)−pyridinato−N,C2’](picorinate)iridium(III)(略称;FIrpic)が使用可能であるが、他の材料でも良い。
【0064】
これらの第1発光材料、第2発光材料、及び、第3発光材料は、蛍光材料であっても良いし、燐光材料であっても良い。
【0065】
対向電極CEは、半透過層によって構成された単層構造である。この対向電極CEは、例えば、マグネシウム・銀によって形成されているが、他の導電材料によって形成されても良い。このような第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の対向電極CEは、実質的に同一の厚さを有している。
【0066】
本実施形態においては、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3は、発光した光を対向電極側から取り出す上面発光型を採用している。しかも、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3は、画素電極PEの反射層PERと、半透過層によって構成された対向電極CEとにより、マイクロキャビティ構造を採用している。なお、有機層ORGを挟持する陰極または陽極が透明電極のみによって構成されている場合には、マイクロキャビティ構造が得られない。
【0067】
このような本実施形態において、第2有機EL素子OLED2は、第1有機EL素子OLED1よりも薄く形成されている。第3有機EL素子OLED3は、第1有機EL素子OLED1より厚く形成されている。ここでの厚さ(あるいは膜厚)とは、パッシベーション膜PSの法線方向つまりZ方向に沿った距離に相当する。第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の厚さとは、各画素電極PEと対向電極CEとの間のパッシベーション膜PSのZ方向に沿った距離に相当する。
【0068】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の厚さの大小関係は、以下の通りである。
【0069】
第2有機EL素子OLED2<第1有機EL素子OLED1<第3有機EL素子OLED3
また、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の反射層PERと半透過層である各対向電極CEとの間の厚さの大小関係は、以下の通りである。
【0070】
第2有機EL素子における厚さ<第1有機EL素子における厚さ<第3有機EL素子における厚さ
このような構成において、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2は、同次数の干渉効果を利用した素子構成を採用しても良い。ここでは、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2は、例えば0次干渉効果を利用した素子構成を採用することができる。
【0071】
第3有機EL素子OLED3は、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2よりも高次の干渉効果を利用した素子構成を採用しても良い。ここでは、第3有機EL素子OLED3は、例えば1次干渉効果を利用した素子構成を採用することができる。
【0072】
このような第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3における厚さの差は、第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、及び、第2ホール輸送層HTL2の膜厚によって形成される。
【0073】
図4に示した例では、第1発光層EM1は、第2発光層EM2よりも厚い膜厚を有しており、第1有機EL素子OLED1が第2有機EL素子OLED2よりも厚く形成される。また、第2ホール輸送層HTL2及び第3発光層EM3は、第3有機EL素子OLED3が第1有機EL素子OLED1よりも厚く形成されるような膜厚を有している。
【0074】
図5には、実施例1におけるトリプレットTに配置された第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、及び、第2ホール輸送層HTL2が模式的に示されている。
【0075】
この図5に示すように、第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1の発光部EA1と同等以上の面積に亘って配置されている。第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2の発光部EA2と同等以上の面積に亘って配置されている。第3発光層EM3及び第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の発光部EA3と同等以上の面積に亘って配置されている。
【0076】
図6には、実施例1における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を含む表示パネルDPの断面構造が概略的に示されている。なお、この図6では、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の構造を明確とするために、図5とX方向の寸法が異なっている。
【0077】
この図6に示すように、基板SUBと第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各反射層PERとの間には、ゲート絶縁膜GI、層間絶縁膜II、及び、パッシベーション膜PSが介在している。各反射層PERは、パッシベーション膜PSの上に配置されている。第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各透過層PETは、各反射層PERの上に配置されている。
【0078】
第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の透過層PETの上に配置されている。また、第2ホール輸送層HTL2の一部は、第3有機EL素子OLED3を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0079】
第1ホール輸送層HTL1は、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2の各々の透過層PETの上、及び、第3有機EL素子OLED3の第2ホール輸送層HTL2の上にそれぞれ配置されている。このような第1ホール輸送層HTL1は、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在している。
【0080】
つまり、この第1ホール輸送層HTL1は、表示領域に亘って広がった連続膜であって、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に共通に配置されている。また、第1ホール輸送層HTL1は、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上に配置されている。
【0081】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1の第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。また、第1発光層EM1の一部は、第1有機EL素子OLED1を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0082】
第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2の第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。また、第2発光層EM2の一部は、第2有機EL素子OLED2を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0083】
第3発光層EM3は、第3有機EL素子OLED3の第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。また、第3発光層EM3の一部は、第3有機EL素子OLED3を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0084】
電子輸送層ETLは、第1有機EL素子OLED1の第1発光層EM1の上、第2有機EL素子OLED2の第2発光層EM2の上、及び、第3有機EL素子OLED3の第3発光層EM3の上にそれぞれ配置されている。このような電子輸送層ETLは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在している。
【0085】
つまり、この電子輸送層ETLは、表示領域に亘って広がった連続膜であって、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に共通に配置されている。また、電子輸送層ETLは、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。
【0086】
対向電極CEは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の電子輸送層ETLの上に配置されている。このような対向電極CEは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在している。
【0087】
つまり、この対向電極CEは、表示領域に亘って広がった連続膜であって、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に共通に配置されている。また、対向電極CEは、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、電子輸送層ETLの上に配置されている。
【0088】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3は、封止ガラス基板SUB2を用いて封止されている。
【0089】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の厚さの一例を以下に示す。第1有機EL素子OLED1では、反射層PERと対向電極CEとの間の総膜厚は120nmである。第2有機EL素子OLED2では、反射層PERと対向電極CEとの間の総膜厚は95nmである。第3有機EL素子OLED3では、反射層PERと対向電極CEとの間の総膜厚は192nmである。
【0090】
ただし、本実施形態では、干渉構成による制約のため、発光した光の色純度を確保するためには、第1有機EL素子OLED1における反射層PERと対向電極CEとの間の総膜厚は110nm〜130nmの範囲が好ましい。同様に、第2有機EL素子OLED2における反射層PERと対向電極CEとの間の総膜厚は85nm〜105nmの範囲が好ましく、また、第3有機EL素子OLED3における反射層PERと対向電極CEとの間の総膜厚は、182nm〜202nmの範囲が好ましい。
【0091】
これにより、本実施形態では、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2は0次干渉構成を採用している。また、第3有機EL素子OLED3は1次干渉構成を採用している。
【0092】
このように、青色に発光する第3有機EL素子OLED3は、青色よりも長波長の色に発光する有機EL素子、すなわち赤色に発光する第1有機EL素子OLED1や緑色に発光する第2有機EL素子OLED2よりも厚く形成されている。このため、第3有機EL素子OLED3は、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2よりも高次の干渉効果を利用した素子構成を適用可能となるため、発光する青色の色純度を向上することができる。
【0093】
したがって、第3有機EL素子OLED3は、低輝度で発光させても所望の色を表示することが可能となる。これにより、第3有機EL素子OLED3の十分な青味成分を提供するのに必要な駆動電圧の高電圧化を回避できる。このため、第3有機EL素子OLED3の長寿命化が可能となる。
【0094】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3において、同次数の干渉効果を利用した素子構成を採用した場合、第3有機EL素子OLED3は最も短い波長の光を発光するため、最も薄く形成される。この場合、第3有機EL素子OLED3においては、第3発光層EM3と対向電極CEとの距離が比較的短く、励起子が対向電極CEに引き寄せられて発光に寄与しなくなる消光により、発光効率の低下が顕著となる。第3発光層EM3と対向電極CEとの距離を十分に確保しようとすると、同次数の干渉効果を利用するためには、素子全体の厚さが決まっているため、第3発光層EM3の画素電極側の厚さが薄くなる。この場合、ホール輸送層HTLの厚さが薄くなり、キャリアバランスが劣化する。
【0095】
本実施形態によれば、第3有機EL素子OLED3は、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2よりも高次の干渉効果を利用した素子構成が可能となる。このため、このような構成の第3有機EL素子OLED3においては、第3発光層EM3と対向電極CEとの距離を第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2と同等に十分に確保して、対向電極CEでの消光を抑制することが可能となる。加えて、第3有機EL素子OLED3においては、第3発光層EM3と画素電極PEとの間のホール輸送層HTL1及びHTL2の厚さも十分に確保して、キャリアバランスを改善することが可能となる。したがって、第3有機EL素子OLED3における発光効率を向上することができる。
【0096】
また、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2については、より低次の干渉効果を利用した素子構成を適用可能であるため、素子全体の厚さが薄くなり、駆動電圧の高電圧化を回避できる。したがって、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の全てにおいて、低消費電力化が可能となる。
【0097】
このような本実施形態によれば、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の全てにおいて、高い色純度を得られることが確認された。また、白を表示した際の色味付きがなく、また、所望の色の多色画像を表示できることが確認された。
【0098】
また、本実施形態によれば、第1ホール輸送層HTL1、電子輸送層ETL、及び、対向電極CEは、共通層であって、表示領域に亘って広がった連続膜である。このため、これらを蒸着法によって形成する際に、発光部EA1乃至3の各々に対応した微細な開口を形成したファインマスクが不要であり、マスクの製造コストを低減できる。また、これらの第1ホール輸送層HTL1、電子輸送層ETL、及び、対向電極CEを形成する際にマスクに堆積する材料が減少し、これらを形成する材料の利用効率を向上できる。
【0099】
さらに、本実施形態によれば、上面発光型を採用している。すなわち、発光した光を基板SUB側から取り出す構造とは異なり、基板SUBの上に配置される各種薄膜トランジスタや各種配線による開口率の制限を受けることなく、発光した光を基板SUBとは反対側から取り出すことができる。したがって、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の発光部EA1乃至3の面積を十分に確保でき、高精細化に有利である。
【0100】
なお、本実施形態において、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の採り得る素子バリエーションの一例を以下に説明する。
【0101】
例えば、各々の有機層ORGは、画素電極PEと第1ホール輸送層HTL1との間にホール注入機能を有する薄膜、すなわちホール注入層を有していても良い。このようなホール注入層は、例えば銅フタロシアニンによって形成可能である。
【0102】
また、対向電極CEは、少なくとも半透過層を含んでいれば良く、上述したような半透過層のみの単層構造に限らず、さらに、透過層を積層した構造であっても良い。
【0103】
また、対向電極CEの上には、必要に応じて、光透過性を有する絶縁膜、例えばシリコン酸窒化物(SiON)を配置しても良い。このような絶縁膜は、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を保護する保護膜、あるいは、光学干渉を最適化するための光路長調整用に利用可能である。
【0104】
また、有機層ORGの各々は、対向電極CEと電子輸送層ETLとの間に電子注入機能を有する薄膜、すなわち電子注入層を有していても良い。このような電子注入層は、例えばフッ化リチウム(LiF)によって形成可能である。
【0105】
また、電子輸送層ETLは、上述したような単層構造に限らず、2層以上の積層体であっても良い。同様に、第1ホール輸送層HTL1及び第2ホール輸送層HTL2の各々は、上述したような単層構造に限らず、それぞれ2層以上の積層体であっても良い。
【0106】
また、第3有機EL素子OLED3において、第2ホール輸送層HTL2は、第1ホール輸送層HTL1よりも画素電極側に配置されたが、第1ホール輸送層HTL1よりも対向電極側に配置されても良い。
【0107】
なお、第3有機EL素子OLED3のみに配置された第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3が一次干渉を利用した素子構成を実現するための素子全体の厚さ調整に利用可能である。このため、第2ホール輸送層HTL2の膜厚が第1ホール輸送層HTL1の膜厚より厚い場合がある。この場合、第2ホール輸送層HTL2を形成する材料は、第1ホール輸送層HTL1を形成する材料よりも安価な材料を適用することが望ましい。
【0108】
また、本実施形態のように、第2ホール輸送層HTL2が第1ホール輸送層HTL1よりも画素電極側に配置された構成においては、第1ホール輸送層HTL1と第2ホール輸送層HTL2とでは異なる特性が要求される。すなわち、厚さ調整用の第2ホール輸送層HTL2が第1ホール輸送層HTL1より厚く形成される場合には、駆動電圧の高電圧化を招かないように、第2ホール輸送層HTL2を形成する材料は、相対的にホール移動度が高い特性を有する材料を適用することが望ましい。特に、第2ホール輸送層HTL2の上に第1ホール輸送層HTL1が積層される構成においては、第2ホール輸送層HTL2は、そのホール移動度が第1ホール輸送層HTL1のホール移動度より高い材料を選択して形成されることが望ましい。一方で、第3発光層EM3に接する第1ホール輸送層HTL1は、経時変化の小さい特性、つまり高い安定性を有する材料を選択して形成されることが望ましい。
【0109】
次に、本実施形態の他の実施例について説明する。なお、以下に説明する実施例2乃至7においては、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2は0次干渉効果を利用した素子構成とし、第3有機EL素子OLED3は一次干渉効果を利用した素子構成としている。第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の反射層と対向電極との間の総膜厚は、実施例1と同等である。
【0110】
(実施例2)
図7には、実施例2における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の構造が模式的に示されている。この図7に示した実施例2は、図4に示した実施例1と比較して、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGにおいて、第1発光層EM1と電子輸送層ETLとの間に第3発光層EM3を追加した点で異なる。この第1有機EL素子OLED1の有機層ORGにおいては、第3発光層EM3は、ホールブロッキング層であり、発光しない。
【0111】
画素PX1の第1有機EL素子OLED1、画素PX2の第2有機EL素子OLED2、及び、画素PX3の第3有機EL素子OLED3は、それぞれパッシベーション膜PSの上に配置されている。
【0112】
第1有機EL素子OLED1では、反射層PERと半透過層である対向電極CEとの間に、透過層PET、第1ホール輸送層HTL1、第1発光層EM1、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第2有機EL素子OLED2では、反射層PERと半透過層である対向電極CEとの間に、透過層PET、第1ホール輸送層HTL1、第2発光層EM2、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第3有機EL素子OLED3では、反射層PERと半透過層である対向電極CEとの間に、透過層PET、第2ホール輸送層HTL2、第1ホール輸送層HTL1、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。
【0113】
図8には、実施例2におけるトリプレットTに配置された第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、及び、第2ホール輸送層HTL2が模式的に示されている。この図8に示した実施例2は、図5に示した実施例1と比較して、第3発光層EM3がX方向に隣接する第1有機EL素子OLED1の発光部EA1及び第3有機EL素子OLED3の発光部EA3に亘って配置された点で異なる。
【0114】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1の発光部EA1と同等以上の面積に亘って配置されている。第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2の発光部EA2と同等以上の面積に亘って配置されている。第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の発光部EA3と同等以上の面積に亘って配置されている。
【0115】
図9には、実施例2における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を含む表示パネルDPの断面構造が概略的に示されている。なお、この図9では、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の構造を明確とするために、図8とX方向の寸法が異なっている。
【0116】
この図9に示した実施例2は、図6に示した実施例1と比較して、第3発光層EM3が第3有機EL素子OLED3のみならず、第1有機EL素子OLED1に延在している点で異なる。
【0117】
基板SUBと各反射層PERとの間には、ゲート絶縁膜GI、層間絶縁膜II、及び、パッシベーション膜PSが介在している。パッシベーション膜PSの上には、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の反射層PER及び透過層PETが積層されている。
【0118】
第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の透過層PETの上に配置され、また、その一部が第3有機EL素子OLED3を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0119】
第1ホール輸送層HTL1は、実施例1と同様に、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在している。また、第1ホール輸送層HTL1は、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上に配置されている。
【0120】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1の第1ホール輸送層HTL1の上に配置され、また、その一部が第1有機EL素子OLED1を囲む隔壁PIの上まで延在している。第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2の第1ホール輸送層HTL1の上に配置され、また、その一部が第2有機EL素子OLED2を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0121】
第3発光層EM3は、第3有機EL素子OLED3に配置されるとともに、X方向において、第3有機EL素子OLED3に隣接する第1有機EL素子OLED1に延在している。すなわち、第3発光層EM3は、第1有機EL素子OLED1の第1発光層EM1の上、及び、第3有機EL素子OLED3の第1ホール輸送層HTL1の上にそれぞれ配置されている。また、第3発光層EM3は、第1有機EL素子OLED1と第3有機EL素子OLED3との間の隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3の各々の第3発光層EM3は、同一材料を用いて同一工程で形成され、実質的な膜厚は同一である。
【0122】
電子輸送層ETLは、実施例1と同様に、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在している。また、電子輸送層ETLは、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、及び、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。また、電子輸送層ETLは、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間に配置された隔壁PIの上において、第3発光層EM3の上に配置されている。
【0123】
対向電極CEは、実施例1と同様に、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、電子輸送層ETLの上に配置されている。
【0124】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3は、封止ガラス基板SUB2を用いて封止されている。
【0125】
反射層PER、透過層PET、第1ホール輸送層HTL1、第2ホール輸送層HTL2、第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、電子輸送層ETL、及び、対向電極CEは、実施例1と同一材料によって形成可能である。
【0126】
このような実施例2においても、実施例1と同様の効果が得られる。
【0127】
加えて、第3発光層EM3は、隣接する第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3に亘って延在した連続膜である。このため、第3発光層EM3を蒸着法によって形成する際に、発光部EA3に対応した微細な開口を形成したファインマスクを適用する代わりに、隣接する発光部EA1及び発光部EA3を繋ぐ開口を形成したマスクが適用される。つまり、マスクの開口寸法を拡大することができ、マスクの製造コストを低減できる。また、第3発光層EM3を形成する際にマスクに堆積する材料が減少し、第3発光層EM3を形成するための材料の利用効率を向上できる。
【0128】
さらに、第1有機EL素子OLED1に配置された第3発光層EM3は、光路長調整用に利用可能であるため、第3発光層EM3の膜厚分だけ第1発光層EM1の膜厚を低減できる。このため、第1発光層EM1を形成するための材料の使用量を低減できるとともに、材料費を低減できる。
【0129】
また、この実施例2によれば、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGにおいて、第3発光層EM3は、第1発光層EM1と電子輸送層ETLとの間に配置されている。このように、第1有機EL素子OLED1において、第1発光層EM1の第1発光材料よりも広いバンドギャップを有する第3発光材料を含む第3発光層EM3は、第1発光層EM1よりも対向電極側においてホールブロッキング層として機能する。このため、第1有機EL素子OLED1におけるキャリアバランスが改善し、発光効率を改善できる。
【0130】
第1有機EL素子OLED1において、第1発光材料を含む第1発光層EM1と第3発光材料を含む第3発光層EM3とが積層されているが、励起エネルギーの最も低い第1発光材料が励起状態から最も発光しやすい。このため、第1有機EL素子OLED1においては、第1発光層EM1から赤色が発光する。
【0131】
なお、第2発光材料も第1発光材料よりも広いバンドギャップを有している。このため、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGは、第1発光層EM1と電子輸送層ETLとの間に、ホールブロッキング層として、第2発光材料を含む第2発光層EM2を有していても良い。この場合、第2発光層EM2は、X方向において、隣接する第2有機EL素子OLED2及び第3有機EL素子OLED3に亘って延在し、これらの第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間に配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上にも配置される。
【0132】
また、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGは、第1発光層EM1と電子輸送層ETLとの間に、ホールブロッキング層として、第2発光層EM2及び第3発光層EM3を有していてもよい。
【0133】
つまり、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGは、第1発光層EM1と電子輸送層ETLとの間において、第2発光層EM2及び第3発光層EM3の少なくとも1つの発光層を有していれば良い。この場合、第2発光層EM2及び第3発光層EM3の少なくとも1つの発光層は、第1有機EL素子OLEDにおいてホールブロッキング層として機能する。
【0134】
但し、第3発光材料と第1発光材料とのバンドギャップの差は、第2発光材料と第1発光材料とのバンドギャップの差よりも大きい。このため、第1発光層EM1に積層される発光層としては、第3発光材料を含む第3発光層EM3の方が、第2発光材料を含む第2発光層EM2よりもホールブロッキング効果が高い。したがって、第1有機EL素子OLEDにおいては、第1発光層EM1に第3発光層EM3を積層することが望ましい。
【0135】
この実施例2は、上述した実施例1で説明した素子バリエーションのいずれも採用できる。
【0136】
(実施例3)
図10には、実施例3における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の構造が模式的に示されている。この図10に示した実施例3は、図7に示した実施例2と比較して、第2有機EL素子OLED2の有機層ORGにおいて、第2発光層EM2と電子輸送層ETLとの間に第3発光層EM3を追加した点で異なる。第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2の各々の有機層ORGにおいては、第3発光層EM3は発光しない。
【0137】
画素PX1の第1有機EL素子OLED1、画素PX2の第2有機EL素子OLED2、及び、画素PX3の第3有機EL素子OLED3は、それぞれパッシベーション膜PSの上に配置されている。
【0138】
第1有機EL素子OLED1では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、第1ホール輸送層HTL1、第1発光層EM1、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第2有機EL素子OLED2では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、第1ホール輸送層HTL1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第3有機EL素子OLED3では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、第2ホール輸送層HTL2、第1ホール輸送層HTL1、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。
【0139】
図11には、実施例3におけるトリプレットTに配置された第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、及び、第2ホール輸送層HTL2が模式的に示されている。この図11に示した実施例3は、図8に示した実施例2と比較して、第3発光層EM3がX方向に隣接する第1有機EL素子OLED1の発光部EA1、第2有機EL素子OLED2の発光部EA2、及び、第3有機EL素子OLED3の発光部EA3に亘って配置された点で異なる。
【0140】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1の発光部EA1と同等以上の面積に亘って配置されている。第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2の発光部EA2と同等以上の面積に亘って配置されている。第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の発光部EA3と同等以上の面積に亘って配置されている。
【0141】
図12には、実施例3における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を含む表示パネルDPの断面構造が概略的に示されている。なお、この図12では、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の構造を明確とするために、図11とX方向の寸法が異なっている。
【0142】
この図12に示した実施例3は、図9に示した実施例2と比較して、第3発光層EM3が第3有機EL素子OLED3のみならず、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2に延在している点で異なる。
【0143】
基板SUBと各反射層PERとの間には、ゲート絶縁膜GI、層間絶縁膜II、及び、パッシベーション膜PSが介在している。パッシベーション膜PSの上には、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の反射層PER及び透過層PETが積層されている。
【0144】
第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の透過層PETの上に配置され、また、その一部が第3有機EL素子OLED3を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0145】
第1ホール輸送層HTL1は、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上に配置されている。
【0146】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1の第1ホール輸送層HTL1の上に配置され、また、その一部が第1有機EL素子OLED1を囲む隔壁PIの上まで延在している。第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2の第1ホール輸送層HTL1の上に配置され、また、その一部が第2有機EL素子OLED2を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0147】
第3発光層EM3は、X方向に並んだ第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在している。すなわち、第3発光層EM3は、第1有機EL素子OLED1の第1発光層EM1の上、第2有機EL素子OLED2の第2発光層EM2の上、及び、第3有機EL素子OLED3の第1ホール輸送層HTL1の上にそれぞれ配置されている。また、この第3発光層EM3は、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の第3発光層EM3は、同一材料を用いて同一工程で形成され、実質的な膜厚は同一である。
【0148】
電子輸送層ETLは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、第3発光層EM3の上に配置されている。
【0149】
対向電極CEは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、電子輸送層ETLの上に配置されている。
【0150】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3は、封止ガラス基板SUB2を用いて封止されている。
【0151】
反射層PER、透過層PET、第1ホール輸送層HTL1、第2ホール輸送層HTL2、第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、電子輸送層ETL、及び、対向電極CEは、実施例1と同一材料によって形成可能である。
【0152】
このような実施例3においても、実施例2と同様の効果が得られる。
【0153】
加えて、第3発光層EM3は、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在した連続膜である。このため、第3発光層EM3を蒸着法によって形成する際に、発光部EA3に対応した微細な開口を形成したファインマスクを適用する代わりに、発光部EA1乃至3を繋ぐ開口を形成したマスクが適用される。つまり、マスクの開口寸法を実施例2よりもさらに拡大することができ、マスクの製造コストを低減できる。また、第3発光層EM3を形成する際にマスクに堆積する材料が実施例2よりもさらに減少し、第3発光層EM3を形成するための材料の利用効率を向上できる。
【0154】
さらに、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2に配置された第3発光層EM3は、光路長調整用に利用可能である。このため、第1有機EL素子OLED1において、第3発光層EM3の膜厚分だけ第1発光層EM1の膜厚を低減できる。同様に、第2有機EL素子OLED2において、第3発光層EM3の膜厚分だけ第2発光層EM2の膜厚を低減できる。このため、第1発光層EM1及び第2発光層EM2を形成するための材料の使用量を低減できるとともに、材料費を低減できる。
【0155】
この実施例3は、上述した実施例1で説明した素子バリエーションのいずれも採用できる。
【0156】
(実施例4)
図13には、実施例4における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の構造が模式的に示されている。この図13に示した実施例4は、図7に示した実施例2と比較して、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2の各々の有機層ORGにおいて画素電極PEと第1ホール輸送層HTL1との間にバッファ層BUFを追加した点、及び、第3有機EL素子OLED3の有機層ORGにおいて、画素電極PEと第2ホール輸送層HTL2との間にバッファ層BUFを追加した点で異なる。なお、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGにおいては、第3発光層EM3は発光しない。
【0157】
画素PX1の第1有機EL素子OLED1、画素PX2の第2有機EL素子OLED2、及び、画素PX3の第3有機EL素子OLED3は、それぞれパッシベーション膜PSの上に配置されている。
【0158】
第1有機EL素子OLED1では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第1発光層EM1、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第2有機EL素子OLED2では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第2発光層EM2、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第3有機EL素子OLED3では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第2ホール輸送層HTL2、第1ホール輸送層HTL1、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。
【0159】
この実施例4におけるトリプレットTに配置された第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、及び、第2ホール輸送層HTL2のレイアウトは、実施例2における図8に示したレイアウトと同一であるため、図示を省略する。
【0160】
図14には、実施例4における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を含む表示パネルDPの断面構造が概略的に示されている。この図14に示した実施例4は、図9に示した実施例2と比較して、バッファ層BUFが第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在している点で異なる。なお、その他の構成については、図9に示した実施例2と同一である。
【0161】
この実施例4に示した第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3は以下のような手順にて製造可能である。
【0162】
すなわち、基板SUBの上に、順次、ゲート絶縁膜GI、層間絶縁膜II、及び、パッシベーション膜PSを形成する。そして、パッシベーション膜PSの上に、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の反射層PER及び透過層PETを形成する。その後、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の透過層PETを囲む隔壁PIを形成する。
【0163】
そして、ラフマスクを用いて第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘ってバッファ層BUFを形成する。このバッファ層BUFは、少なくともホール注入機能を有し、各透過層PET及び隔壁PIの上に成膜された後にリフローイング処理される。
【0164】
その後、第3有機EL素子OLED3に対応した開口を有するファインマスクを用いて、第3有機EL素子OLED3におけるバッファ層BUFの上に第2ホール輸送層HTL2を形成する。
【0165】
その後、ラフマスクを用いて第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って第1ホール輸送層HTL1を形成する。
【0166】
その後、第1有機EL素子OLED1に対応した開口を有するファインマスクを用いて、第1有機EL素子OLED1における第1ホール輸送層HTL1の上に第1発光層EM1を形成する。そして、第2有機EL素子OLED2に対応した開口を有するファインマスクを用いて、第2有機EL素子OLED2における第1ホール輸送層HTL1の上に第2発光層EM2を形成する。
【0167】
そして、X方向に隣接する第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3を繋いだ開口を有するマスクを用いて、第1有機EL素子OLED1における第1発光層EM1の上及び第3有機EL素子OLED3における第1ホール輸送層HTL1の上に第3発光層EM3を形成する。
【0168】
その後、ラフマスクを用いて第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って電子輸送層ETLを形成した後に、ラフマスクを用いて第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って対向電極CEを形成する。
【0169】
このようにして形成された第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3は、封止ガラス基板SUB2を用いて封止されている。
【0170】
反射層PER、透過層PET、第1ホール輸送層HTL1、第2ホール輸送層HTL2、第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、電子輸送層ETL、及び、対向電極CEは、実施例1と同一材料によって形成可能である。
【0171】
このような実施例4においても、実施例2と同様の効果が得られる。
【0172】
加えて、バッファ層BUFは、リフローイング処理により画素電極PEの表面の異物の影響を緩和する機能を有している。これにより、電極間ショートや膜欠陥の発生を抑制できる。
【0173】
また、バッファ層BUFは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在した連続膜である。このため、バッファ層BUFを蒸着法によって形成する際に、発光部EA1乃至3を繋いだ開口を形成したマスクが適用される。つまり、バッファ層BUFを形成するためのファインマスクが不要である。
【0174】
さらに、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に配置されたバッファ層BUFは、光路長調整用に利用可能である。このため、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2において、バッファ層BUFの膜厚分だけ第1ホール輸送層HTL1の膜厚を低減できる。同様に、第3有機EL素子OLED3において、バッファ層BUFの膜厚分だけ第1ホール輸送層HTL1及び第2ホール輸送層HTL2の膜厚を低減できる。このため、第1ホール輸送層HTL1及び第2ホール輸送層HTL2を形成するための材料の使用量を低減できるとともに、材料費を低減できる。
【0175】
この実施例4は、上述した実施例1で説明した素子バリエーションのいずれも採用できる。
【0176】
(実施例5)
図15には、実施例5における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の構造が模式的に示されている。この図15に示した実施例5は、図13に示した実施例4と比較して、第3有機EL素子OLED3の有機層ORGにおいて、第2発光層EM2を追加した点及び第2発光層EM2と第3発光層EM3との間に第2ホール輸送層HTL2を配置した点で異なる。なお、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGにおいては、第3発光層EM3は発光しない。また、第3有機EL素子OLED3の有機層ORGにおいては、第2発光層EM2は発光しない。
【0177】
画素PX1の第1有機EL素子OLED1、画素PX2の第2有機EL素子OLED2、及び、画素PX3の第3有機EL素子OLED3は、それぞれパッシベーション膜PSの上に配置されている。
【0178】
第1有機EL素子OLED1では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第1発光層EM1、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第2有機EL素子OLED2では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第2発光層EM2、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第3有機EL素子OLED3では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第2発光層EM2、第2ホール輸送層HTL2、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。
【0179】
図16には、実施例5におけるトリプレットTに配置された第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、及び、第2ホール輸送層HTL2が模式的に示されている。この図16に示した実施例5は、実施例4と比較して、第2発光層EM2がX方向に隣接する第2有機EL素子OLED2の発光部EA2及び第3有機EL素子OLED3の発光部EA3に亘って配置された点で異なる。
【0180】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1の発光部EA1と同等以上の面積に亘って配置されている。第3発光層EM3は、X方向に隣接する第3有機EL素子OLED3の発光部EA3及び第1有機EL素子OLED1の発光部EA1に亘って配置されている。第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の発光部EA3と同等以上の面積に亘って配置されている。
【0181】
図17には、実施例5における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を含む表示パネルDPの断面構造が概略的に示されている。なお、この図17では、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の構造を明確とするために、図16とX方向の寸法が異なっている。
【0182】
この図17に示した実施例5は、図14に示した実施例4と比較して、第2発光層EM2が第2有機EL素子OLED2のみならず、第3有機EL素子OLED3に延在している点で異なる。
【0183】
基板SUBと各反射層PERとの間には、ゲート絶縁膜GI、層間絶縁膜II、及び、パッシベーション膜PSが介在している。パッシベーション膜PSの上には、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の反射層PER及び透過層PETが積層されている。
【0184】
バッファ層BUFは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上に配置されている。
【0185】
第1ホール輸送層HTL1は、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、バッファ層BUFの上に配置されている。
【0186】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1の第1ホール輸送層HTL1の上に配置され、また、その一部が第1有機EL素子OLED1を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0187】
第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2に配置されるとともに、X方向において、第2有機EL素子OLED2に隣接する第3有機EL素子OLED3に延在している。すなわち、第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2及び第3有機EL素子OLED3の第1ホール輸送層HTL1の上にそれぞれ配置されている。また、この第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間に配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。第2有機EL素子OLED2及び第3有機EL素子OLED3の各々の第2発光層EM2は、同一材料を用いて同一工程で形成され、実質的な膜厚は同一である。
【0188】
第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の第2発光層EM2の上に配置され、また、その一部が第3有機EL素子OLED3を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0189】
第3発光層EM3は、X方向に並んだ第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3に亘って延在している。すなわち、第3発光層EM3は、第1有機EL素子OLED1の第1発光層EM1の上、及び、第3有機EL素子OLED3の第2ホール輸送層HTL2の上にそれぞれ配置されている。また、この第3発光層EM3は、第1有機EL素子OLED1と第3有機EL素子OLED3との間に配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3の各々の第3発光層EM3は、同一材料を用いて同一工程で形成され、実質的な膜厚は同一である。
【0190】
電子輸送層ETLは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間に配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。また、電子輸送層ETLは、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間に配置された隔壁PIの上において、第2発光層EM2の上に配置されている。また、電子輸送層ETLは、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間に配置された隔壁PIの上において、第3発光層EM3の上に配置されている。
【0191】
対向電極CEは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、電子輸送層ETLの上に配置されている。
【0192】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3は、封止ガラス基板SUB2を用いて封止されている。
【0193】
このような実施例5においても、実施例4と同様の効果が得られる。
【0194】
加えて、第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2及び第3有機EL素子OLED3に亘って延在した連続膜である。このため、第2発光層EM2を蒸着法によって形成する際に、発光部EA2に対応した微細な開口を形成したファインマスクを適用する代わりに、発光部EA2及び発光部EA3を繋ぐ開口を形成したマスクが適用される。つまり、マスクの開口寸法を拡大することができ、マスクの製造コストを低減できる。また、第2発光層EM2を形成する際にマスクに堆積する材料が減少し、第2発光層EM2を形成するための材料の利用効率を向上できる。
【0195】
さらに、第3有機EL素子OLED3に配置された第2発光層EM2は、光路長調整用に利用可能であるため、第2発光層EM2の膜厚分だけ第2ホール輸送層HTL2の膜厚を低減できる。このため、第2ホール輸送層HTL2を形成するための材料の使用量を低減できるとともに、材料費を低減できる。
【0196】
また、第3有機EL素子OLED3の有機層ORGは、第3発光層EM3の画素電極側に第2発光層EM2を有している。この第2発光層EM2は、第1ホール輸送層HTL1と第2ホール輸送層HTL2との間に配置されているため、ホール輸送性を有する材料によって形成されている。つまり、この実施例5において、緑色に発光する第2発光材料を含む第2発光層EM2は、第3ホール輸送層として機能する。このように第2発光層EM2を形成する材料として、ホール輸送性を有する材料を選択することにより、画素電極PEから第3発光層EM3へのホール輸送が阻害されず、第3有機EL素子OLED3での駆動電圧の高電圧化や発光効率の低下を回避できる。
【0197】
この実施例5は、上述した実施例1で説明した素子バリエーションのいずれも採用できる。
【0198】
(実施例6)
図18には、実施例6における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の構造が模式的に示されている。この図18に示した実施例6は、図13に示した実施例4と比較して、第3有機EL素子OLED3の有機層ORGにおいて、第1発光層EM1を追加した点及び第1発光層EM1と第3発光層EM3との間に第2ホール輸送層HTL2を配置した点で異なる。なお、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGにおいては、第3発光層EM3は発光しない。また、第3有機EL素子OLED3の有機層ORGにおいては、第1発光層EM1は発光しない。
【0199】
画素PX1の第1有機EL素子OLED1、画素PX2の第2有機EL素子OLED2、及び、画素PX3の第3有機EL素子OLED3は、それぞれパッシベーション膜PSの上に配置されている。
【0200】
第1有機EL素子OLED1では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第1発光層EM1、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第2有機EL素子OLED2では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第2発光層EM2、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第3有機EL素子OLED3では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第1発光層EM1、第2ホール輸送層HTL2、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。
【0201】
図19には、実施例6におけるトリプレットTに配置された第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、及び、第2ホール輸送層HTL2が模式的に示されている。この図19に示した実施例6は、実施例4と比較して、第1発光層EM1がX方向に隣接する第1有機EL素子OLED1の発光部EA1及び第3有機EL素子OLED3の発光部EA3に亘って配置された点で異なる。
【0202】
第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2の発光部EA2と同等以上の面積に亘って配置されている。第3発光層EM3は、X方向に隣接する第3有機EL素子OLED3の発光部EA3及び第1有機EL素子OLED1の発光部EA1に亘って配置されている。第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の発光部EA3と同等以上の面積に亘って配置されている。
【0203】
図20には、実施例6における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を含む表示パネルDPの断面構造が概略的に示されている。なお、この図20では、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の構造を明確とするために、図19とX方向の寸法が異なっている。
【0204】
この図20に示した実施例6は、図14に示した実施例4と比較して、第1発光層EM1が第1有機EL素子OLED1のみならず、第3有機EL素子OLED3に延在している点で異なる。
【0205】
基板SUBと各反射層PERとの間には、ゲート絶縁膜GI、層間絶縁膜II、及び、パッシベーション膜PSが介在している。パッシベーション膜PSの上には、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の反射層PER及び透過層PETが積層されている。
【0206】
バッファ層BUFは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上に配置されている。
【0207】
第1ホール輸送層HTL1は、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、バッファ層BUFの上に配置されている。
【0208】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1に配置されるとともに、X方向において、第1有機EL素子OLED1に隣接する第3有機EL素子OLED3に延在している。すなわち、第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3の第1ホール輸送層HTL1の上にそれぞれ配置されている。また、この第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1と第3有機EL素子OLED3との間に配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3の各々の第1発光層EM1は、同一材料を用いて同一工程で形成され、実質的な膜厚は同一である。
【0209】
第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2の第1ホール輸送層HTL1の上に配置され、また、その一部が第2有機EL素子OLED2を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0210】
第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の第1発光層EM1の上に配置され、また、その一部が第3有機EL素子OLED3を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0211】
第3発光層EM3は、X方向に並んだ第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3に亘って延在している。すなわち、第3発光層EM3は、第1有機EL素子OLED1の第1発光層EM1の上、及び、第3有機EL素子OLED3の第2ホール輸送層HTL2の上にそれぞれ配置されている。また、この第3発光層EM3は、第1有機EL素子OLED1と第3有機EL素子OLED3との間に配置された隔壁PIの上において、第1発光層EM1の上に配置されている。第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3の各々の第3発光層EM3は、同一材料を用いて同一工程で形成され、実質的な膜厚は同一である。
【0212】
電子輸送層ETLは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、及び、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。また、電子輸送層ETLは、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間に配置された隔壁PIの上において、第3発光層EM3の上に配置されている。
【0213】
対向電極CEは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、電子輸送層ETLの上に配置されている。
【0214】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3は、封止ガラス基板SUB2を用いて封止されている。
【0215】
このような実施例6においても、実施例4と同様の効果が得られる。
【0216】
加えて、第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3に亘って延在した連続膜である。このため、第1発光層EM1を蒸着法によって形成する際に、発光部EA1に対応した微細な開口を形成したファインマスクを適用する代わりに、発光部EA1及び発光部EA3を繋ぐ開口を形成したマスクが適用される。つまり、マスクの開口寸法を拡大することができ、マスクの製造コストを低減できる。また、第1発光層EM1を形成する際にマスクに堆積する材料が減少し、第1発光層EM1を形成するための材料の利用効率を向上できる。
【0217】
また、この実施例6において、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を形成するのに必要なファインマスクの最小開口寸法は、発光部EA2と略同等の寸法になる。すなわち、蒸着法によって形成される有機層ORGを構成する各層のうち、第2発光層EM2及び第2ホール輸送層HTL2以外の層は、2以上の有機EL素子に亘って延在している。一方で、第2発光層EM2は発光部EA2と略同等の面積に亘って形成され、第2ホール輸送層HTL2は発光部EA3と略同等の面積に亘って形成される。上述したように、発光部EA3の面積は発光部EA2の面積よりも大きく、発光部EA2の面積は発光部EA1の面積よりも大きい。このため、実施例6で適用されるファインマスクの最小開口寸法は発光部EA2の面積と略同等となり、他の実施例と比較して、最小開口寸法を拡大できる。したがって、この実施例6の構成は、高精細化に有利である。
【0218】
さらに、第3有機EL素子OLED3に配置された第1発光層EM1は、光路長調整用に利用可能であるため、第1発光層EM1の膜厚分だけ第2ホール輸送層HTL2の膜厚を低減できる。このため、第2ホール輸送層HTL2を形成するための材料の使用量を低減できるとともに、材料費を低減できる。
【0219】
また、第3有機EL素子OLED3の有機層ORGは、第3発光層EM3の画素電極側に第1発光層EM1を有している。この第1発光層EM1は、第1ホール輸送層HTL1と第2ホール輸送層HTL2との間に配置されているため、ホール輸送性を有する材料によって形成されている。つまり、この実施例6において、赤色に発光する第1発光材料を含む第1発光層EM1は、第3ホール輸送層として機能する。このように第1発光層EM1を形成する材料として、ホール輸送性を有する材料を選択することにより、画素電極PEから第3発光層EM3へのホール輸送が阻害されず、第3有機EL素子OLED3での駆動電圧の高電圧化や発光効率の低下を抑制できる。
【0220】
この実施例6は、上述した実施例1で説明した素子バリエーションのいずれも採用できる。
【0221】
(実施例7)
図21には、実施例7における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の構造が模式的に示されている。この図21に示した実施例7は、図18に示した実施例6と比較して、第3有機EL素子OLED3の有機層ORGにおいて、第1発光層EM1と第2ホール輸送層HTL2との間に第2発光層EM2を追加した点で異なる。なお、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGにおいては、第3発光層EM3は発光しない。また、第3有機EL素子OLED3の有機層ORGにおいては、第1発光層EM1及び第2発光層EM2は発光しない。
【0222】
画素PX1の第1有機EL素子OLED1、画素PX2の第2有機EL素子OLED2、及び、画素PX3の第3有機EL素子OLED3は、それぞれパッシベーション膜PSの上に配置されている。
【0223】
第1有機EL素子OLED1では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第1発光層EM1、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第2有機EL素子OLED2では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第2発光層EM2、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第3有機EL素子OLED3では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第1発光層EM1、第2発光層EM2、第2ホール輸送層HTL2、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。
【0224】
図22には、実施例7におけるトリプレットTに配置された第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、及び、第2ホール輸送層HTL2が模式的に示されている。この図22に示した実施例7は、図19に示した実施例6と比較して、第2発光層EM2がX方向に隣接する第2有機EL素子OLED2の発光部EA2及び第3有機EL素子OLED3の発光部EA3に亘って配置された点で異なる。
【0225】
第1発光層EM1及び第3発光層EM3は、X方向に隣接する第3有機EL素子OLED3の発光部EA3及び第1有機EL素子OLED1の発光部EA1に亘って配置されている。第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の発光部EA3と同等以上の面積に亘って配置されている。
【0226】
図23には、実施例7における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を含む表示パネルDPの断面構造が概略的に示されている。なお、この図23では、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の構造を明確とするために、図22とX方向の寸法が異なっている。
【0227】
この図23に示した実施例7は、図20に示した実施例6と比較して、第2発光層EM2が第2有機EL素子OLED2のみならず、第3有機EL素子OLED3に延在している点で異なる。
【0228】
基板SUBと各反射層PERとの間には、ゲート絶縁膜GI、層間絶縁膜II、及び、パッシベーション膜PSが介在している。パッシベーション膜PSの上には、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の反射層PER及び透過層PETが積層されている。
【0229】
バッファ層BUFは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上に配置されている。
【0230】
第1ホール輸送層HTL1は、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、バッファ層BUFの上に配置されている。
【0231】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1に配置されるとともに、X方向において、第1有機EL素子OLED1に隣接する第3有機EL素子OLED3に延在している。すなわち、第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3の第1ホール輸送層HTL1の上にそれぞれ配置されている。また、この第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1と第3有機EL素子OLED3との間に配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3の各々の第1発光層EM1は、同一材料を用いて同一工程で形成され、実質的な膜厚は同一である。
【0232】
第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2に配置されるとともに、X方向において、第2有機EL素子OLED2に隣接する第3有機EL素子OLED3に延在している。すなわち、第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2の第1ホール輸送層HTL1の上、及び、第3有機EL素子OLED3の第1発光層EM1の上にそれぞれ配置されている。また、この第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間に配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。第2有機EL素子OLED2及び第3有機EL素子OLED3の各々の第2発光層EM2は、同一材料を用いて同一工程で形成され、実質的な膜厚は同一である。
【0233】
第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の第2発光層EM2の上に配置され、また、その一部が第3有機EL素子OLED3を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0234】
第3発光層EM3は、X方向に並んだ第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3に亘って延在している。すなわち、第3発光層EM3は、第1有機EL素子OLED1の第1発光層EM1の上、及び、第3有機EL素子OLED3の第2ホール輸送層HTL2の上にそれぞれ配置されている。また、この第3発光層EM3は、第1有機EL素子OLED1と第3有機EL素子OLED3との間に配置された隔壁PIの上において、第1発光層EM1の上に配置されている。第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3の各々の第3発光層EM3は、同一材料を用いて同一工程で形成され、実質的な膜厚は同一である。
【0235】
電子輸送層ETLは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間に配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。また、電子輸送層ETLは、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間に配置された隔壁PIの上において、第2発光層EM2の上に配置されている。また、電子輸送層ETLは、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間に配置された隔壁PIの上において、第3発光層EM3の上に配置されている。
【0236】
対向電極CEは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、電子輸送層ETLの上に配置されている。
【0237】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3は、封止ガラス基板SUB2を用いて封止されている。
【0238】
このような実施例7においては、実施例5及び6の双方と同様の効果が得られる。
【0239】
加えて、この実施例7において、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を形成するのに必要なファインマスクの最小開口寸法は、発光部EA3と略同等の寸法になる。すなわち、蒸着法によって形成される有機層ORGを構成する各層のうち、第2ホール輸送層HTL2以外の層は、2以上の有機EL素子に亘って延在している。一方で、第2ホール輸送層HTL2は発光部EA3と略同等の面積に亘って形成される。上述したように、発光部EA3の面積は発光部EA1及びEA2の面積よりも大きい。このため、実施例7で適用されるファインマスクの最小開口寸法は発光部EA3の面積と略同等となり、実施例6と比較して、最小開口寸法をさらに拡大できる。したがって、この実施例7の構成は、高精細化に極めて有利である。
【0240】
また、第3有機EL素子OLED3の有機層ORGは、第3発光層EM3の画素電極側に第1発光層EM1及び第2発光層EM2を有している。これらの第1発光層EM1及び第2発光層EM2は、第1ホール輸送層HTL1と第2ホール輸送層HTL2との間に配置されているため、ホール輸送性を有する材料によって形成されている。つまり、この実施例7において、赤色に発光する第1発光材料を含む第1発光層EM1及び緑色に発光する第2発光材料を含む第2発光層EM2は、それぞれ第3ホール輸送層及び第4ホール輸送層として機能する。このように第1発光層EM1及び第2発光層EM2を形成する材料として、ホール輸送性を有する材料を選択することにより、画素電極PEから第3発光層EM3へのホール輸送が阻害されず、第3有機EL素子OLED3での駆動電圧の高電圧化や発光効率の低下を抑制できる。
【0241】
さらに、図24にイメージとして示すように、第3発光層EM3の発光スペクトルと、第1発光層EM1及び第2発光層EM2の吸収スペクトルとが重複しないことが望ましい。このような材料を選択することにより、第3有機EL素子OLED3において、第3発光層EM3で発光した光の第1発光層EM1及び第2発光層EM2での吸収が抑制され、発光効率の低下が抑制できる。
【0242】
この実施例7は、上述した実施例1で説明した素子バリエーションのいずれも採用できる。
【0243】
(実施例8)
図25には、実施例8における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の構造が模式的に示されている。この図25に示した実施例8は、図13に示した実施例4と比較して、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGにおいて、第1発光層EM1と電子輸送層ETLとの間の第3発光層EM3に代えて第2発光層EM2を配置した点、及び、第3有機EL素子OLED3の有機層ORGにおいて、第3発光層EM3と電子輸送層ETLとの間に第2発光層EM2を配置した点で異なる。なお、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGにおいては、第2発光層EM2は発光せず、ホールブロッキング層として機能する。また、第3有機EL素子OLED3の有機層ORGにおいては、第2発光層EM2は発光しない。
【0244】
画素PX1の第1有機EL素子OLED1、画素PX2の第2有機EL素子OLED2、及び、画素PX3の第3有機EL素子OLED3は、それぞれパッシベーション膜PSの上に配置されている。
【0245】
第1有機EL素子OLED1では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第1発光層EM1、第2発光層EM2、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第2有機EL素子OLED2では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第2発光層EM2、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第3有機EL素子OLED3では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第2ホール輸送層HTL2、第1ホール輸送層HTL1、第3発光層EM3、第2発光層EM2、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。
【0246】
図26には、実施例8におけるトリプレットTに配置された第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、及び、第2ホール輸送層HTL2が模式的に示されている。この図26に示した実施例8は、実施例4と比較して、第2発光層EM2がX方向に隣接する第1有機EL素子OLED1の発光部EA1、第2有機EL素子OLED2の発光部EA2、及び、第3有機EL素子OLED3の発光部EA3に亘って配置された点で異なる。
【0247】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1の発光部EA1と同等以上の面積に亘って配置されている。第3発光層EM3及び第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の発光部EA3と同等以上の面積に配置されている。
【0248】
図27には、実施例8における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を含む表示パネルDPの断面構造が概略的に示されている。なお、この図27では、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の構造を明確とするために、図26とX方向の寸法が異なっている。
【0249】
この図27に示した実施例8は、図14に示した実施例4と比較して、第2発光層EM2が第2有機EL素子OLED2のみならず、第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3に延在している点で異なる。
【0250】
基板SUBと各反射層PERとの間には、ゲート絶縁膜GI、層間絶縁膜II、及び、パッシベーション膜PSが介在している。パッシベーション膜PSの上には、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の反射層PER及び透過層PETが積層されている。
【0251】
バッファ層BUFは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上に配置されている。
【0252】
第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3のバッファ層BUFの上に配置され、また、その一部が第3有機EL素子OLED3を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0253】
第1ホール輸送層HTL1は、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在している。すなわち、第1ホール輸送層HTL1は、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2においては、バッファ層BUFの上に配置されている。また、第1ホール輸送層HTL1は、第3有機EL素子OLED3においては、第2ホール輸送層HTL2の上に配置されている。さらに、この第1ホール輸送層HTL1は、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、バッファ層BUFの上に配置されている。
【0254】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1の第1ホール輸送層HTL1の上に配置され、また、その一部が第1有機EL素子OLED1を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0255】
第3発光層EM3は、第3有機EL素子OLED3の第1ホール輸送層HTL1の上に配置され、また、その一部が第3有機EL素子OLED3を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0256】
第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2に配置されるとともに、X方向において、第2有機EL素子OLED2に隣接する第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3に延在している。すなわち、第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2の第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。また、この第2発光層EM2は、第1有機EL素子OLED1の第1発光層EM1の上、及び、第3有機EL素子OLED3の第3発光層EM3の上にそれぞれ配置されている。さらに、この第2発光層EM2は、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。
【0257】
電子輸送層ETLは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3のそれぞれにおいて第2発光層EM2の上に配置されている。また、この電子輸送層ETLは、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、第2発光層EM2の上に配置されている。
【0258】
対向電極CEは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3のそれぞれにおいて電子輸送層ETLの上に配置されている。また、この対向電極CEは、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、電子輸送層ETLの上に配置されている。
【0259】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3は、封止ガラス基板SUB2を用いて封止されている。
【0260】
このような実施例8においても、実施例4と同様の効果が得られる。
【0261】
加えて、第2発光層EM2は、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在した連続膜である。このため、第2発光層EM2を蒸着法によって形成する際に、発光部EA1乃至3を繋いだ開口を形成したマスクが適用される。実施例4においては、第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、及び、第2ホール輸送層HTL2を形成する際にファインマスクが必要であるが、この実施例8においては、第2発光層EM2を形成するためのファインマスクが不要であり、マスクの製造コストを低減できる。また、第2発光層EM2を形成する際にマスクに堆積する材料が減少し、第2発光層EM2を形成するための材料の利用効率を向上できる。
【0262】
さらに、第3有機EL素子OLED3に配置された第2発光層EM2は、光路長調整用に利用可能であるため、第2発光層EM2の膜厚分だけ第2ホール輸送層HTL2の膜厚を低減できる。このため、第2ホール輸送層HTL2を形成するための材料の使用量を低減できるとともに、材料費を低減できる。
【0263】
この実施例8は、上述した実施例1で説明した素子バリエーションのいずれも採用できる。
【0264】
(実施例9)
図28には、実施例9における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の構造が模式的に示されている。この図28に示した実施例9は、図13に示した実施例4と比較して、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGにおいて、第1発光層EM1と電子輸送層ETLとの間の第3発光層EM3に代えて第2発光層EM2を配置した点で異なる。なお、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGにおいては、第2発光層EM2は発光せず、ホールブロッキング層として機能する。
【0265】
画素PX1の第1有機EL素子OLED1、画素PX2の第2有機EL素子OLED2、及び、画素PX3の第3有機EL素子OLED3は、それぞれパッシベーション膜PSの上に配置されている。
【0266】
第1有機EL素子OLED1では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第1発光層EM1、第2発光層EM2、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第2有機EL素子OLED2では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第2発光層EM2、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第3有機EL素子OLED3では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第2ホール輸送層HTL2、第1ホール輸送層HTL1、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。
【0267】
図29には、実施例9におけるトリプレットTに配置された第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、及び、第2ホール輸送層HTL2が模式的に示されている。この図29に示した実施例9は、実施例4と比較して、第2発光層EM2がX方向に隣接する第1有機EL素子OLED1の発光部EA1、及び、第2有機EL素子OLED2の発光部EA2に亘って配置された点で異なる。
【0268】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1の発光部EA1と同等以上の面積に亘って配置されている。第3発光層EM3及び第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の発光部EA3と同等以上の面積に配置されている。
【0269】
図30には、実施例9における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を含む表示パネルDPの断面構造が概略的に示されている。なお、この図30では、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の構造を明確とするために、図29とX方向の寸法が異なっている。
【0270】
この図30に示した実施例9は、図14に示した実施例4と比較して、第2発光層EM2が第2有機EL素子OLED2のみならず、第1有機EL素子OLED1に延在している点で異なる。
【0271】
基板SUBと各反射層PERとの間には、ゲート絶縁膜GI、層間絶縁膜II、及び、パッシベーション膜PSが介在している。パッシベーション膜PSの上には、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の反射層PER及び透過層PETが積層されている。
【0272】
バッファ層BUFは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上に配置されている。
【0273】
第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3のバッファ層BUFの上に配置され、また、その一部が第3有機EL素子OLED3を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0274】
第1ホール輸送層HTL1は、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在している。すなわち、第1ホール輸送層HTL1は、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2においては、バッファ層BUFの上に配置されている。また、第1ホール輸送層HTL1は、第3有機EL素子OLED3においては、第2ホール輸送層HTL2の上に配置されている。さらに、この第1ホール輸送層HTL1は、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、バッファ層BUFの上に配置されている。
【0275】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1の第1ホール輸送層HTL1の上に配置され、また、その一部が第1有機EL素子OLED1を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0276】
第3発光層EM3は、第3有機EL素子OLED3の第1ホール輸送層HTL1の上に配置され、また、その一部が第3有機EL素子OLED3を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0277】
第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2に配置されるとともに、X方向において、第2有機EL素子OLED2に隣接する第1有機EL素子OLED1に延在している。すなわち、第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2の第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。また、この第2発光層EM2は、第1有機EL素子OLED1の第1発光層EM1の上に配置されている。さらに、この第2発光層EM2は、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間に配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。
【0278】
電子輸送層ETLは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在している。すなわち、電子輸送層ETLは、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2のそれぞれにおいて第2発光層EM2の上に配置され、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間に配置された隔壁PIの上において、第2発光層EM2の上に配置されている。また、この電子輸送層ETLは、第3有機EL素子OLED3において第3発光層EM3の上に配置されている。さらに、電子輸送層ETLは、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。
【0279】
対向電極CEは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3のそれぞれにおいて電子輸送層ETLの上に配置されている。また、この対向電極CEは、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、電子輸送層ETLの上に配置されている。
【0280】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3は、封止ガラス基板SUB2を用いて封止されている。
【0281】
このような実施例9においても、実施例4と同様の効果が得られる。
【0282】
加えて、第2発光層EM2は、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2に亘って延在した連続膜である。このため、第2発光層EM2を蒸着法によって形成する際に、発光部EA1及びEA2を繋いだ開口を形成したマスクが適用される。つまり、マスクの開口寸法を拡大することができ、マスクの製造コストを低減できる。また、第2発光層EM2を形成する際にマスクに堆積する材料が減少し、第2発光層EM2を形成するための材料の利用効率を向上できる。
【0283】
この実施例9は、上述した実施例1で説明した素子バリエーションのいずれも採用できる。
【0284】
(実施例10)
図31には、実施例10における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の構造が模式的に示されている。この図31に示した実施例10は、図13に示した実施例4と比較して、第3有機EL素子OLED3の有機層ORGにおいて、第3発光層EM3と電子輸送層ETLとの間に第2発光層EM2を配置した点で異なる。なお、第1有機EL素子OLED1の有機層ORGにおいては、第3発光層EM3は発光せず、ホールブロッキング層として機能する。また、第3有機EL素子OLED3の有機層ORGにおいては、第2発光層EM2は発光しない。
【0285】
画素PX1の第1有機EL素子OLED1、画素PX2の第2有機EL素子OLED2、及び、画素PX3の第3有機EL素子OLED3は、それぞれパッシベーション膜PSの上に配置されている。
【0286】
第1有機EL素子OLED1では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第1発光層EM1、第3発光層EM3、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第2有機EL素子OLED2では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第2発光層EM2、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。第3有機EL素子OLED3では、反射層PERと対向電極CEとの間に、透過層PET、バッファ層BUF、第2ホール輸送層HTL2、第1ホール輸送層HTL1、第3発光層EM3、第2発光層EM2、及び、電子輸送層ETLがこの順に積層されている。
【0287】
図32には、実施例10におけるトリプレットTに配置された第1発光層EM1、第2発光層EM2、第3発光層EM3、及び、第2ホール輸送層HTL2が模式的に示されている。この図32に示した実施例10は、実施例4と比較して、第2発光層EM2がX方向に隣接する第2有機EL素子OLED2の発光部EA2、及び、第3有機EL素子OLED3の発光部EA3に亘って配置された点で異なる。
【0288】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1の発光部EA1と同等以上の面積に亘って配置されている。第3発光層EM3は、X方向に隣接する第3有機EL素子OLED3の発光部EA3及び第1有機EL素子OLED1の発光部EA1に亘って配置されている。第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の発光部EA3と同等以上の面積に亘って配置されている。
【0289】
図33には、実施例10における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を含む表示パネルDPの断面構造が概略的に示されている。なお、この図33では、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の構造を明確とするために、図32とX方向の寸法が異なっている。
【0290】
この図33に示した実施例10は、図14に示した実施例4と比較して、第2発光層EM2が第2有機EL素子OLED2のみならず、第3有機EL素子OLED3に延在している点で異なる。
【0291】
基板SUBと各反射層PERとの間には、ゲート絶縁膜GI、層間絶縁膜II、及び、パッシベーション膜PSが介在している。パッシベーション膜PSの上には、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の反射層PER及び透過層PETが積層されている。
【0292】
バッファ層BUFは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、また、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上に配置されている。
【0293】
第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3のバッファ層BUFの上に配置され、また、その一部が第3有機EL素子OLED3を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0294】
第1ホール輸送層HTL1は、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在している。すなわち、第1ホール輸送層HTL1は、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2においては、バッファ層BUFの上に配置されている。また、第1ホール輸送層HTL1は、第3有機EL素子OLED3においては、第2ホール輸送層HTL2の上に配置されている。さらに、この第1ホール輸送層HTL1は、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、バッファ層BUFの上に配置されている。
【0295】
第1発光層EM1は、第1有機EL素子OLED1の第1ホール輸送層HTL1の上に配置され、また、その一部が第1有機EL素子OLED1を囲む隔壁PIの上まで延在している。
【0296】
第3発光層EM3は、第3有機EL素子OLED3に配置されるとともに、X方向において、第3有機EL素子OLED3に隣接する第1有機EL素子OLED1に延在している。すなわち、第3発光層EM3は、第1有機EL素子OLED1の第1発光層EM1の上、及び、第3有機EL素子OLED3の第1ホール輸送層HTL1の上にそれぞれ配置されている。また、この第3発光層EM3は、第1有機EL素子OLED1と第3有機EL素子OLED3との間に配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。
【0297】
第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2に配置されるとともに、X方向において、第2有機EL素子OLED2に隣接する第3有機EL素子OLED3に延在している。すなわち、第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2の第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。また、この第2発光層EM2は、第3有機EL素子OLED3の第3発光層EM3の上に配置されている。さらに、この第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間に配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。
【0298】
電子輸送層ETLは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在している。すなわち、電子輸送層ETLは、第2有機EL素子OLED2及び第3有機EL素子OLED3のそれぞれにおいて第2発光層EM2の上に配置され、また、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間に配置された隔壁PIの上において、第2発光層EM2の上に配置されている。また、この電子輸送層ETLは、第1有機EL素子OLED1において第3発光層EM3の上に配置されている。さらに、電子輸送層ETLは、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間に配置された隔壁PIの上において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。また、電子輸送層ETLは、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間に配置された隔壁PIの上において、第3発光層EM3の上に配置されている。
【0299】
対向電極CEは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3のそれぞれにおいて電子輸送層ETLの上に配置されている。また、この対向電極CEは、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上において、電子輸送層ETLの上に配置されている。
【0300】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3は、封止ガラス基板SUB2を用いて封止されている。
【0301】
このような実施例10においても、実施例4と同様の効果が得られる。
【0302】
加えて、第2発光層EM2は、第2有機EL素子OLED2及び第3有機EL素子OLED3に亘って延在した連続膜である。このため、第2発光層EM2を蒸着法によって形成する際に、発光部EA2及びEA3を繋いだ開口を形成したマスクが適用される。つまり、マスクの開口寸法を拡大することができ、マスクの製造コストを低減できる。また、第2発光層EM2を形成する際にマスクに堆積する材料が減少し、第2発光層EM2を形成するための材料の利用効率を向上できる。
【0303】
また、第3発光層EM3は、第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3に亘って延在した連続膜である。このため、第3発光層EM3を蒸着法によって形成する際に、発光部EA1及びEA3を繋いだ開口を形成したマスクが適用される。つまり、マスクの開口寸法を拡大することができ、マスクの製造コストを低減できる。また、第3発光層EM3を形成する際にマスクに堆積する材料が減少し、第3発光層EM3を形成するための材料の利用効率を向上できる。
【0304】
さらに、第3有機EL素子OLED3に配置された第2発光層EM2は、光路長調整用に利用可能であるため、第2発光層EM2の膜厚分だけ第2ホール輸送層HTL2の膜厚を低減できる。このため、第2ホール輸送層HTL2を形成するための材料の使用量を低減できるとともに、材料費を低減できる。
【0305】
この実施例10は、上述した実施例1で説明した素子バリエーションのいずれも採用できる。
【0306】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0307】
上記の実施形態では、有機EL表示装置は、発光色が異なる3種の有機EL素子つまり第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を備えている。有機EL表示装置は、有機EL素子として、発光色が異なる2種の有機EL素子のみを備えていてもよく、発光色が異なる4種以上の有機EL素子を備えていてもよい。
【0308】
上記の実施形態では、第1乃至第3発光材料は、それら全てが蛍光材料であっても良いし、燐光材料であっても良い。また、それらの一部が蛍光材料であり、その他が燐光材料であっても良い。
【0309】
上記の各実施形態において、電子注入層もしくは正孔注入層、又は、その両方を含んでいてもよい。
【0310】
上記の実施例1乃至4、実施例8乃至10では、第3有機EL素子OLED3において、第2ホール輸送層HTL2の上に第1ホール輸送層HTL1を配置したが、第1ホール輸送層HTL1の上に第2ホール輸送層HTL2を配置しても良い。
【0311】
上記の実施例5乃至7では、第3有機EL素子OLED3において、第1ホール輸送層HTL1の上に第2ホール輸送層HTL2を配置したが、第2ホール輸送層HTL2の上に第1ホール輸送層HTL1を配置しても良い。
【符号の説明】
【0312】
DP…表示パネル SUB…基板
OLED1…第1有機EL素子 OLED2…第2有機EL素子 OLED3…第3有機EL素子
PE…画素電極(PER…反射層 PET…透過層)
ORG…有機層(ETL…電子輸送層 BUF…バッファ層 HTL1…第1ホール輸送層 HTL2…第2ホール輸送層 EM1…第1発光層 EM2…第2発光層 EM3…第3発光層)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と陰極との間に、赤色に発光する第1発光層及びホールブロッキング層を有する第1有機層を備えた第1有機EL素子と、
陽極と陰極との間に、緑色に発光する第2発光層を有する第2有機層を備え、前記第1有機EL素子よりも薄い第2有機EL素子と、
陽極と陰極との間に、青色に発光する第3発光層を有する第3有機層を備え、前記第1有機EL素子よりも厚い第3有機EL素子と、
を具備することを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項2】
前記陽極は反射層を含み、前記陰極は半透過層を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項3】
反射層を含む陽極と半透過層を含む陰極との間に、赤色に発光する第1発光層を有する第1有機層を備えた第1有機EL素子と、
反射層を含む陽極と半透過層を含む陰極との間に、緑色に発光する第2発光層を有する第2有機層を備えるとともに前記反射層と前記半透過層との間の厚さが第1有機EL素子よりも薄い第2有機EL素子と、
反射層を含む陽極と半透過層を含む陰極との間に、青色に発光する第3発光層を有する第3有機層を備えるとともに前記反射層と前記半透過層との間の厚さが第1有機EL素子よりも厚い第3有機EL素子と、
を具備したことを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項4】
前記第1有機EL素子の前記反射層と前記半透過層との間の総膜厚は110nm〜130nmの範囲であり、前記第2有機EL素子の前記反射層と前記半透過層との間の総膜厚は85nm〜105nmの範囲であり、前記第3有機EL素子の前記反射層と前記半透過層との間の総膜厚は182nm〜202nmの範囲であることを特徴とする請求項3に記載の有機EL表示装置。
【請求項5】
前記第1有機EL素子の前記第1有機層は、ホールブロッキング層を有することを特徴とする請求項3に記載の有機EL表示装置。
【請求項6】
前記ホールブロッキング層は、前記第2有機EL素子から延在した前記第2発光層または前記第3有機EL素子から延在した前記第3発光層であることを特徴とする請求項1または5に記載の有機EL表示装置。
【請求項7】
前記第1有機EL素子と前記第2有機EL素子との間に配置された隔壁の上に、前記第2発光層が延在したことを特徴とする請求項6に記載の有機EL表示装置。
【請求項8】
前記第1有機EL素子と前記第3有機EL素子との間に配置された隔壁の上に、前記第3発光層が延在したことを特徴とする請求項6に記載の有機EL表示装置。
【請求項9】
前記第1有機EL素子の前記第1有機層は、前記陽極と前記第1発光層との間に配置された第1ホール輸送層と、前記ホールブロッキング層と前記陰極との間に配置された電子輸送層と、を有し、
前記第2有機EL素子の前記第2有機層は、前記陽極と前記第2発光層との間に配置され前記第1有機EL素子から延在した第1ホール輸送層と、前記第2発光層と前記陰極との間に配置され前記第1有機EL素子から延在した電子輸送層と、を有し、
前記第3有機EL素子の前記第3有機層は、前記陽極と前記第3発光層との間に配置され前記第1有機EL素子及び前記第2有機EL素子から延在した第1ホール輸送層と、前記第3発光層と前記陰極との間に配置され前記第1有機EL素子及び前記第2有機EL素子から延在した電子輸送層と、前記陽極と前記第3発光層との間に配置された第2ホール輸送層と、を有することを特徴とする請求項1または5に記載の有機EL表示装置。
【請求項10】
前記ホールブロッキング層は、前記第3有機EL素子から延在した前記第3発光層であり、
前記第2有機EL素子の前記第2有機層は、前記第2発光層と前記電子輸送層との間に配置され前記第1有機EL素子及び前記第3有機EL素子から延在した前記第3発光層を有することを特徴とする請求項9に記載の有機EL表示装置。
【請求項11】
前記第1有機EL素子の前記第1有機層は、前記陽極と前記第1ホール輸送層との間に配置されたバッファ層を有し、
前記第2有機EL素子の前記第2有機層は、前記陽極と前記第1ホール輸送層との間に配置され前記第1有機EL素子から延在したバッファ層を有し、
前記第3有機EL素子の前記第3有機層は、前記陽極と前記第2ホール輸送層との間に配置され前記第1有機EL素子及び前記第2有機EL素子から延在したバッファ層を有することを特徴とする請求項9に記載の有機EL表示装置。
【請求項12】
前記第3有機EL素子の前記第3有機層は、前記第1ホール輸送層と前記第2ホール輸送層との間に配置され前記第2有機EL素子から延在した第2発光層を有することを特徴とする請求項9に記載の有機EL表示装置。
【請求項13】
前記第2有機EL素子と前記第3有機EL素子との間に配置された隔壁の上に、前記第2発光層が延在したことを特徴とする請求項12に記載の有機EL表示装置。
【請求項14】
前記第3有機EL素子の前記第3有機層は、前記第1ホール輸送層と前記第2ホール輸送層との間に配置され前記第1有機EL素子から延在した第1発光層を有することを特徴とする請求項9に記載の有機EL表示装置。
【請求項15】
前記第1有機EL素子と前記第3有機EL素子との間に配置された隔壁の上に、前記第1発光層が延在したことを特徴とする請求項14に記載の有機EL表示装置。
【請求項16】
前記第3有機EL素子の前記第3有機層は、前記第1有機EL素子から延在した前記第1発光層と、前記第2有機EL素子から延在した前記第2発光層と、を有することを特徴とする請求項9に記載の有機EL表示装置。
【請求項17】
前記第2有機EL素子と前記第3有機EL素子との間に配置された隔壁の上に、前記第2発光層が延在するとともに、前記第1有機EL素子と前記第3有機EL素子との間に配置された隔壁の上に、前記第1発光層が延在したことを特徴とする請求項16に記載の有機EL表示装置。
【請求項18】
反射層を含む陽極と、
前記陽極の上に配置された第1ホール輸送層と、
前記第1ホール輸送層の上に配置された第2ホール輸送層と、
前記第1ホール輸送層と前記第2ホール輸送層との間に配置され、赤色または緑色に発光する発光材料を含む第3ホール輸送層と、
前記第2ホール輸送層の上に配置され、青色に発光する発光材料を含む発光層と、
前記発光層の上に配置された電子輸送層と、
前記電子輸送層の上に配置された半透過層を含む陰極と、
を備えた有機EL素子を具備することを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項19】
反射層を含む陽極と、
前記陽極の上に配置された第1ホール輸送層と、
前記第1ホール輸送層の上に配置された第2ホール輸送層と、
前記第1ホール輸送層と前記第2ホール輸送層との間に配置され、赤色に発光する発光材料を含む第3ホール輸送層及び緑色に発光する発光材料を含む第4ホール輸送層と、
前記第2ホール輸送層の上に配置され、青色に発光する発光材料を含む発光層と、
前記発光層の上に配置された電子輸送層と、
前記電子輸送層の上に配置された半透過層を含む陰極と、
を備えた有機EL素子を具備することを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項20】
前記陰極側から発光した光を取り出す上面発光型であることを特徴とする請求項1、3、18及び19のいずれか1項に記載の有機EL表示装置。
【請求項21】
前記第1乃至第3有機EL素子の各々が発光する発光部の面積の大小関係は、
第1有機EL素子の発光部の面積<第2有機EL素子の発光部の面積<第3有機EL素子の発光部の面積
であることを特徴とする請求項1、3、18及び19のいずれか1項に記載の有機EL表示装置。
【請求項22】
前記ホールブロッキング層は、前記第2有機EL素子から延在した前記第2発光層であることを特徴とする請求項9に記載の有機EL表示装置。
【請求項23】
前記ホールブロッキング層は、前記第2有機EL素子から延在した前記第2発光層であり、
前記第3有機EL素子の前記第3有機層は、前記第3発光層と前記電子輸送層との間に配置され前記第1有機EL素子及び前記第2有機EL素子から延在した前記第2発光層を有することを特徴とする請求項9に記載の有機EL表示装置。
【請求項24】
前記ホールブロッキング層は、前記第3有機EL素子から延在した前記第3発光層であり、
前記第3有機EL素子の前記第3有機層は、前記第3発光層と前記電子輸送層との間に配置され前記第2有機EL素子から延在した前記第2発光層を有することを特徴とする請求項9に記載の有機EL表示装置。
【請求項25】
前記第1発光層、前記第2発光層、及び、前記第3発光層の少なくとも1つは、燐光材料によって形成された発光材料を含むことを特徴とする請求項1または3に記載の有機EL表示装置。
【請求項1】
陽極と陰極との間に、赤色に発光する第1発光層及びホールブロッキング層を有する第1有機層を備えた第1有機EL素子と、
陽極と陰極との間に、緑色に発光する第2発光層を有する第2有機層を備え、前記第1有機EL素子よりも薄い第2有機EL素子と、
陽極と陰極との間に、青色に発光する第3発光層を有する第3有機層を備え、前記第1有機EL素子よりも厚い第3有機EL素子と、
を具備することを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項2】
前記陽極は反射層を含み、前記陰極は半透過層を含むことを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項3】
反射層を含む陽極と半透過層を含む陰極との間に、赤色に発光する第1発光層を有する第1有機層を備えた第1有機EL素子と、
反射層を含む陽極と半透過層を含む陰極との間に、緑色に発光する第2発光層を有する第2有機層を備えるとともに前記反射層と前記半透過層との間の厚さが第1有機EL素子よりも薄い第2有機EL素子と、
反射層を含む陽極と半透過層を含む陰極との間に、青色に発光する第3発光層を有する第3有機層を備えるとともに前記反射層と前記半透過層との間の厚さが第1有機EL素子よりも厚い第3有機EL素子と、
を具備したことを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項4】
前記第1有機EL素子の前記反射層と前記半透過層との間の総膜厚は110nm〜130nmの範囲であり、前記第2有機EL素子の前記反射層と前記半透過層との間の総膜厚は85nm〜105nmの範囲であり、前記第3有機EL素子の前記反射層と前記半透過層との間の総膜厚は182nm〜202nmの範囲であることを特徴とする請求項3に記載の有機EL表示装置。
【請求項5】
前記第1有機EL素子の前記第1有機層は、ホールブロッキング層を有することを特徴とする請求項3に記載の有機EL表示装置。
【請求項6】
前記ホールブロッキング層は、前記第2有機EL素子から延在した前記第2発光層または前記第3有機EL素子から延在した前記第3発光層であることを特徴とする請求項1または5に記載の有機EL表示装置。
【請求項7】
前記第1有機EL素子と前記第2有機EL素子との間に配置された隔壁の上に、前記第2発光層が延在したことを特徴とする請求項6に記載の有機EL表示装置。
【請求項8】
前記第1有機EL素子と前記第3有機EL素子との間に配置された隔壁の上に、前記第3発光層が延在したことを特徴とする請求項6に記載の有機EL表示装置。
【請求項9】
前記第1有機EL素子の前記第1有機層は、前記陽極と前記第1発光層との間に配置された第1ホール輸送層と、前記ホールブロッキング層と前記陰極との間に配置された電子輸送層と、を有し、
前記第2有機EL素子の前記第2有機層は、前記陽極と前記第2発光層との間に配置され前記第1有機EL素子から延在した第1ホール輸送層と、前記第2発光層と前記陰極との間に配置され前記第1有機EL素子から延在した電子輸送層と、を有し、
前記第3有機EL素子の前記第3有機層は、前記陽極と前記第3発光層との間に配置され前記第1有機EL素子及び前記第2有機EL素子から延在した第1ホール輸送層と、前記第3発光層と前記陰極との間に配置され前記第1有機EL素子及び前記第2有機EL素子から延在した電子輸送層と、前記陽極と前記第3発光層との間に配置された第2ホール輸送層と、を有することを特徴とする請求項1または5に記載の有機EL表示装置。
【請求項10】
前記ホールブロッキング層は、前記第3有機EL素子から延在した前記第3発光層であり、
前記第2有機EL素子の前記第2有機層は、前記第2発光層と前記電子輸送層との間に配置され前記第1有機EL素子及び前記第3有機EL素子から延在した前記第3発光層を有することを特徴とする請求項9に記載の有機EL表示装置。
【請求項11】
前記第1有機EL素子の前記第1有機層は、前記陽極と前記第1ホール輸送層との間に配置されたバッファ層を有し、
前記第2有機EL素子の前記第2有機層は、前記陽極と前記第1ホール輸送層との間に配置され前記第1有機EL素子から延在したバッファ層を有し、
前記第3有機EL素子の前記第3有機層は、前記陽極と前記第2ホール輸送層との間に配置され前記第1有機EL素子及び前記第2有機EL素子から延在したバッファ層を有することを特徴とする請求項9に記載の有機EL表示装置。
【請求項12】
前記第3有機EL素子の前記第3有機層は、前記第1ホール輸送層と前記第2ホール輸送層との間に配置され前記第2有機EL素子から延在した第2発光層を有することを特徴とする請求項9に記載の有機EL表示装置。
【請求項13】
前記第2有機EL素子と前記第3有機EL素子との間に配置された隔壁の上に、前記第2発光層が延在したことを特徴とする請求項12に記載の有機EL表示装置。
【請求項14】
前記第3有機EL素子の前記第3有機層は、前記第1ホール輸送層と前記第2ホール輸送層との間に配置され前記第1有機EL素子から延在した第1発光層を有することを特徴とする請求項9に記載の有機EL表示装置。
【請求項15】
前記第1有機EL素子と前記第3有機EL素子との間に配置された隔壁の上に、前記第1発光層が延在したことを特徴とする請求項14に記載の有機EL表示装置。
【請求項16】
前記第3有機EL素子の前記第3有機層は、前記第1有機EL素子から延在した前記第1発光層と、前記第2有機EL素子から延在した前記第2発光層と、を有することを特徴とする請求項9に記載の有機EL表示装置。
【請求項17】
前記第2有機EL素子と前記第3有機EL素子との間に配置された隔壁の上に、前記第2発光層が延在するとともに、前記第1有機EL素子と前記第3有機EL素子との間に配置された隔壁の上に、前記第1発光層が延在したことを特徴とする請求項16に記載の有機EL表示装置。
【請求項18】
反射層を含む陽極と、
前記陽極の上に配置された第1ホール輸送層と、
前記第1ホール輸送層の上に配置された第2ホール輸送層と、
前記第1ホール輸送層と前記第2ホール輸送層との間に配置され、赤色または緑色に発光する発光材料を含む第3ホール輸送層と、
前記第2ホール輸送層の上に配置され、青色に発光する発光材料を含む発光層と、
前記発光層の上に配置された電子輸送層と、
前記電子輸送層の上に配置された半透過層を含む陰極と、
を備えた有機EL素子を具備することを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項19】
反射層を含む陽極と、
前記陽極の上に配置された第1ホール輸送層と、
前記第1ホール輸送層の上に配置された第2ホール輸送層と、
前記第1ホール輸送層と前記第2ホール輸送層との間に配置され、赤色に発光する発光材料を含む第3ホール輸送層及び緑色に発光する発光材料を含む第4ホール輸送層と、
前記第2ホール輸送層の上に配置され、青色に発光する発光材料を含む発光層と、
前記発光層の上に配置された電子輸送層と、
前記電子輸送層の上に配置された半透過層を含む陰極と、
を備えた有機EL素子を具備することを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項20】
前記陰極側から発光した光を取り出す上面発光型であることを特徴とする請求項1、3、18及び19のいずれか1項に記載の有機EL表示装置。
【請求項21】
前記第1乃至第3有機EL素子の各々が発光する発光部の面積の大小関係は、
第1有機EL素子の発光部の面積<第2有機EL素子の発光部の面積<第3有機EL素子の発光部の面積
であることを特徴とする請求項1、3、18及び19のいずれか1項に記載の有機EL表示装置。
【請求項22】
前記ホールブロッキング層は、前記第2有機EL素子から延在した前記第2発光層であることを特徴とする請求項9に記載の有機EL表示装置。
【請求項23】
前記ホールブロッキング層は、前記第2有機EL素子から延在した前記第2発光層であり、
前記第3有機EL素子の前記第3有機層は、前記第3発光層と前記電子輸送層との間に配置され前記第1有機EL素子及び前記第2有機EL素子から延在した前記第2発光層を有することを特徴とする請求項9に記載の有機EL表示装置。
【請求項24】
前記ホールブロッキング層は、前記第3有機EL素子から延在した前記第3発光層であり、
前記第3有機EL素子の前記第3有機層は、前記第3発光層と前記電子輸送層との間に配置され前記第2有機EL素子から延在した前記第2発光層を有することを特徴とする請求項9に記載の有機EL表示装置。
【請求項25】
前記第1発光層、前記第2発光層、及び、前記第3発光層の少なくとも1つは、燐光材料によって形成された発光材料を含むことを特徴とする請求項1または3に記載の有機EL表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【公開番号】特開2010−182422(P2010−182422A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−17759(P2009−17759)
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(302020207)東芝モバイルディスプレイ株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【出願人】(302020207)東芝モバイルディスプレイ株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】
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