説明

有機EL表示装置

【課題】有機積層体の最適化が可能な有機EL表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】第1画素電極と、対向電極と、発光層として機能する第1有機層、第1ホール輸送層及び第1電子輸送層を有する第1有機積層体と、を備え、発光波長が第1波長帯の第1有機EL素子と、第2画素電極と、対向電極と、発光層として機能する第2有機層、第1ホール輸送層及び第1電子輸送層を有する第2有機積層体と、を備え、前記第1有機EL素子よりも薄く形成されるとともに発光波長が前記第1波長帯よりも短波長の第2波長帯の第2有機EL素子と、第3画素電極と、対向電極と、発光層として機能する第3有機層、第1ホール輸送層、第2ホール輸送層、第1電子輸送層及び第2電子輸送層を有する第3有機積層体と、を備え、第1有機EL素子よりも厚く形成されるとともに発光波長が前記第2波長帯よりも短波長の第3波長帯の第3有機EL素子と、を具備する有機EL表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自発光型で、高速応答、広視野角、高コントラストの特徴を有し、かつ、更に薄型軽量化が可能な有機エレクトロルミネセンス(EL)素子を用いた表示装置の開発が盛んに行われている。
【0003】
例えば、特許文献1によれば、赤(R)、緑(G)、青(B)の各有機EL素子に光反射性の陰極を形成した後に、3色の有機EL素子に共通の第1の電子注入層を形成し、その後、青色の有機EL素子のみに第2の電子注入層を積層し、さらに、3色の有機EL素子に共通の電子輸送層を形成し、シャドーマスクを用いて有機EL素子の各々に発光層を形成した後、3色の有機EL素子に共通のホール輸送層、ホール注入層、及び、光透過性の陽極を形成する技術が開示されている。
【0004】
このような有機EL素子においては、発光層として機能する有機層やホール輸送層などを含む有機積層体の最適化が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−157973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、有機積層体の最適化が可能な有機EL表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、
第1画素電極と、対向電極と、前記第1画素電極と前記対向電極との間に配置され発光層として機能する第1有機層、前記第1画素電極と前記第1有機層との間に配置された第1ホール輸送層、及び、前記第1有機層と前記対向電極との間に配置された第1電子輸送層を有する第1有機積層体と、を備え、発光波長が第1波長帯の第1有機EL素子と、
第2画素電極と、前記第1有機EL素子から延在した対向電極と、前記第2画素電極と前記対向電極との間に配置され発光層として機能する第2有機層、前記第1有機EL素子から延在し前記第2画素電極と前記第2有機層との間に配置された第1ホール輸送層、及び、前記第1有機EL素子から延在し前記第2有機層と前記対向電極との間に配置された第1電子輸送層を有する第2有機積層体と、を備え、前記第1有機EL素子よりも薄く形成されるとともに発光波長が前記第1波長帯よりも短波長の第2波長帯の第2有機EL素子と、
第3画素電極と、前記第2有機EL素子から延在した対向電極と、前記第3画素電極と前記対向電極との間に配置され発光層として機能する第3有機層、前記第2有機EL素子から延在し前記第3画素電極と前記第3有機層との間に配置された第1ホール輸送層、前記第3画素電極と前記第3有機層との間に配置された第2ホール輸送層、前記第2有機EL素子から延在し前記第3有機層と前記対向電極との間に配置された第1電子輸送層、及び、前記第3有機層と前記対向電極との間に配置された第2電子輸送層を有する第3有機積層体と、を備え、前記第1有機EL素子よりも厚く形成されるとともに発光波長が前記第2波長帯よりも短波長の第3波長帯の第3有機EL素子と、
を具備することを特徴とする有機EL表示装置が提供される。
【0008】
また、本発明の一態様によれば、
第1画素電極と、対向電極と、前記第1画素電極と前記対向電極との間に配置され発光層として機能する第1有機層、前記第1有機層と前記対向電極との間に配置されキャリア輸送層として機能する第2有機層、及び、前記第2有機層と前記対向電極との間に配置されキャリア輸送層として機能する第3有機層を有する第1有機積層体と、を備え、発光波長が第1波長帯の第1有機EL素子と、
第2画素電極と、前記第1有機EL素子から延在した対向電極と、前記第1有機EL素子から延在し前記第2画素電極と前記対向電極との間に配置され発光層として機能する第2有機層、及び、前記第1有機EL素子から延在し前記第2有機層と前記対向電極との間に配置されキャリア輸送層として機能する第3有機層を有する第2有機積層体と、を備え、発光波長が前記第1波長帯よりも短波長の第2波長帯の第2有機EL素子と、
第3画素電極と、前記第2有機EL素子から延在した対向電極と、前記第1有機EL素子から延在し前記第3画素電極と前記対向電極との間に配置されキャリア輸送層として機能する第1有機層、前記第2有機EL素子から延在し前記第1有機層と前記対向電極との間に配置されキャリア輸送層として機能する第2有機層、前記第2有機層と前記対向電極との間に配置されたホール輸送層、及び、前記第2有機EL素子から延在し前記ホール輸送層と前記対向電極との間に配置され発光層として機能する第3有機層を有する第3有機積層体と、を備え、発光波長が前記第2波長帯よりも短波長の第3波長帯の第3有機EL素子と、
を具備することを特徴とする有機EL表示装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、有機積層体の最適化が可能な有機EL表示装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本実施形態における有機EL表示装置に採用可能な構造の一例を概略的に示す断面図である。
【図2】図2は、図1に示した有機EL表示装置で採用可能な画素の配置の一例を概略的に示す平面図である。
【図3】図3は、図1に示した有機EL表示装置が有する第1乃至第3有機EL素子に採用可能な構成の一例を概略的に示す図である。
【図4】図4は、図3に示した第1乃至第3有機EL素子を備えた表示パネルの断面図である。
【図5】図5は、第1のシミュレーション結果を示す図である。
【図6】図6は、第2のシミュレーション結果を示す図である。
【図7】図7は、図1に示した有機EL表示装置が有する第1乃至第3有機EL素子に採用可能な他の構成の一例を概略的に示す図である。
【図8】図8は、図7に示した第1乃至第3有機EL素子を備えた表示パネルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一態様について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、同一又は類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0012】
図1には、有機EL表示装置の一例として、アクティブマトリクス駆動方式を採用した上面発光型の有機EL表示装置を示している。
【0013】
この有機EL表示装置は、スイッチングトランジスタSW及び第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を含む表示パネルDPを備えている。
【0014】
基板SUBの上には、スイッチングトランジスタSWの半導体層SCが配置されている。この半導体層SCは、例えばポリシリコンによって形成されている。この半導体層SCには、チャネル領域SCCを挟んでソース領域SCS及びドレイン領域SCDが形成されている。
【0015】
半導体層SCは、ゲート絶縁膜GIによって被覆されている。このゲート絶縁膜GIは、基板SUBの上にも配置されている。ゲート絶縁膜GIの上には、チャネル領域SCCの直上にスイッチングトランジスタSWのゲート電極Gが配置されている。この例では、スイッチングトランジスタSWは、トップゲート型のpチャネル薄膜トランジスタである。
【0016】
ゲート電極Gは、層間絶縁膜IIによって被覆されている。この層間絶縁膜IIは、ゲート絶縁膜GIの上にも配置されている。層間絶縁膜IIの上には、スイッチングトランジスタSWのソース電極SE及びドレイン電極DEが配置されている。ソース電極SEは、半導体層SCのソース領域SCSに接続されている。ドレイン電極DEは、半導体層SCのドレイン領域SCDに接続されている。これらのソース電極SE及びドレイン電極DEは、パッシベーション膜PSによって被覆されている。パッシベーション膜PSは、層間絶縁膜IIの上にも配置されている。
【0017】
パッシベーション膜PSの上には、第1有機EL素子OLED1の第1画素電極PE1、第2有機EL素子OLED2の第2画素電極PE2、及び、第3有機EL素子OLED3の第3画素電極PE3が配置されている。第1乃至第3画素電極PE1乃至3は、スイッチングトランジスタSWのドレイン電極DEに接続され、ここに示した例では陽極に相当する。
【0018】
パッシベーション膜PSの上には、さらに、隔壁PIが配置されている。隔壁PIは、第1乃至第3画素電極PE1乃至3の全周をそれぞれ囲むように格子状に配置されている。なお、この隔壁PIは、第1乃至第3画素電極PE1乃至3の間をY方向に延びたストライプ状に配置されても良い。このような隔壁PIは、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間に配置され、両者を分離している。また、この隔壁PIは、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間に配置され、両者を分離している。また、この隔壁PIは、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間に配置され、両者を分離している。
【0019】
第1乃至第3画素電極PE1乃至3の上には、有機積層体ORGが配置されている。有機積層体ORGは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を含む表示領域に亘って延在した連続膜を少なくとも1層含んでいる。有機積層体ORGの詳細については後述する。
【0020】
有機積層体ORGは、対向電極CEによって被覆されている。ここに示した例では、対向電極CEは、陰極に相当する。この対向電極CEは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を含む表示領域に亘って延在した連続膜である。
【0021】
なお、図1においては、第1有機EL素子OLED1、第2有機EL素子OLED2、第3有機EL素子OLED3がそれぞれ1つずつ図示されているが、X方向にこれらが繰り返し配置されている。つまり、図中の右側の第3有機EL素子OLED3に隣接して第1有機EL素子OLED1が配置され、同様に、図中の左側の第1有機EL素子OLED1に隣接して第3有機EL素子OLED3が配置されている。
【0022】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の封止は、乾燥剤(図示せず)を付けた封止ガラス基板SUB2を表示領域の周辺に塗布した樹脂製のシール材で貼り合わせて実施しても良いし、封止ガラス基板SUB2をフリットガラスで貼り合わせて実施(フリット封止)しても良いし、さらに、封止ガラス基板SUB2と第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3との間に樹脂層を充填して実施(固体封止)しても良い。なお、固体封止の場合、樹脂層に加えて対向電極CEとの間に無機系材料からなる保護膜が介在していても良い。
【0023】
本実施の形態においては、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の発光色は、互いに異なるように構成されている。
【0024】
ここに示した例では、第1有機EL素子OLED1の発光色は赤色であり、第2有機EL素子OLED2の発光色は緑色であり、第3有機EL素子OLED3の発光色は青色である。なお、ここでは、主波長が400nm乃至490nmの範囲内にある色を青色、主波長が490nmより長く且つ595nmよりも短い範囲内にある色を緑色、主波長が595nm乃至800nmの範囲内にある色を赤色と定義する。ここでは、主波長が595nm乃至800nmの範囲を第1波長帯とし、主波長が490nmより長く且つ595nmよりも短い範囲を第2波長帯とし、主波長が400nm乃至490nmの範囲を第3波長帯と定義する。
【0025】
図2には、トリプレットTの構成例を示している。トリプレットTは、X方向及びY方向の長さが略同等となる正方形状に形成されている。トリプレットTは、第1有機EL素子OLED1、第2有機EL素子OLED2、及び、第3有機EL素子OLED3によって構成されている。
【0026】
第1有機EL素子OLED1の発光部EA1、第2有機EL素子OLED2の発光部EA2、及び、第3有機EL素子OLED3の発光部EA3は、それぞれY方向に延びた長方形状に形成されている。発光部EA1乃至3の各々の面積の大小関係は、例えば、以下の通りである。
【0027】
発光部EA1の面積<発光部EA2の面積<発光部EA3の面積
一例として、発光部EA1乃至3の各々の面積比は、以下の通りである。
【0028】
EA1:EA2:EA3=1:1.3:2.7
ここでは、発光部EA1乃至3のY方向の長さは略同等であるため、上記した面積比は、発光部EA1乃至3のX方向の長さによって設定している。
【0029】
なお、発光部EA1乃至3の各々の面積については、所望の特性が得られるように種々変更可能である。発光部EA1乃至3の各々の面積の大小関係は、図2に示した例に限らず、互いに略等しくしても良い。
【0030】
図3には、第1実施形態における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の構造が模式的に示されている。
【0031】
第1有機EL素子OLED1は、第1画素電極PE1と対向電極CEとの間に第1有機積層体ORG1を備えている。すなわち、第1画素電極PE1は、反射層PER及びこの反射層の上に配置された透過層PETを有している。第1有機積層体ORGは、第1画素電極PE1の上に配置されている。この第1有機積層体ORG1は、透過層PETの上に配置されたバッファ層BUF、バッファ層BUFの上に配置された第1ホール輸送層HTL1、第1ホール輸送層HTL1の上に配置され発光層として機能する第1有機層EM1、第1有機層EM1の上に配置された第3有機層EM3、及び、第3有機層EM3の上に配置された第1電子輸送層ETL1を有している。対向電極CEは、第1有機積層体ORG1の第1電子輸送層ETL1の上に配置されている。
【0032】
第2有機EL素子OLED2は、第2画素電極PE2と対向電極CEとの間に第2有機積層体ORG2を備えている。すなわち、第2画素電極PE2は、反射層PER及びこの反射層の上に配置された透過層PETを有している。第2有機積層体ORG2は、第2画素電極PE2の上に配置されている。この第2有機積層体ORG2は、透過層PETの上に配置されたバッファ層BUF、バッファ層BUFの上に配置された第1ホール輸送層HTL1、第1ホール輸送層HTL1の上に配置され発光層として機能する第2有機層EM2、及び、第2有機層EM2の上に配置された第1電子輸送層ETL1を有している。対向電極CEは、第2有機積層体ORG2の第1電子輸送層ETL1の上に配置されている。
【0033】
第3有機EL素子OLED3は、第3画素電極PE3と対向電極CEとの間に第3有機積層体ORG3を備えている。すなわち、第3画素電極PE3は、反射層PER及びこの反射層の上に配置された透過層PETを有している。第3有機積層体ORG3は、第3画素電極PE3の上に配置されている。この第3有機積層体ORG3は、透過層PETの上に配置されたバッファ層BUF、バッファ層BUFの上に配置された第2ホール輸送層HTL2、第2ホール輸送層HTL2の上に配置された第1ホール輸送層HTL1、第1ホール輸送層HTL1の上に配置され発光層として機能する第3有機層EM3、第3有機層EM3の上に配置された第2電子輸送層ETL2、及び、第2電子輸送層ETL2の上に配置された第1電子輸送層ETL1を有している。対向電極CEは、第3有機積層体ORG3の第1電子輸送層ETL1の上に配置されている。
【0034】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の第1乃至第3画素電極PE1乃至3は、同一構造であり、反射層PERの上に透過層PETが積層された2層構造である。反射層PERは、例えば、銀(Ag)によって形成されているが、アルミニウム(Al)などの光反射性を有する他の導電材料によって形成されても良い。反射層PERとバッファ層BUFとの間に配置された透過層PETは、例えば、インジウム・ティン・オキサイド(ITO)によって形成されているが、インジウム・ジンク・オキサイド(IZO)などの光透過性を有する他の導電材料によって形成されても良い。このような第1乃至第3画素電極PE1乃至3は、実質的に同一の厚さを有している。
【0035】
第1ホール輸送層HTL1は、例えば、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(1−ナフチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(略称;α−NPD)によって形成されているが、他の材料によって形成されても良い。このような第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の第1ホール輸送層HTL1は、実質的に同一の厚さを有している。
【0036】
第3有機EL素子OLED3の第2ホール輸送層HTL2は、第1ホール輸送層HTL1と同一材料によって形成可能であるが、ホール移動度が異なる他の材料によって形成されても良い。
【0037】
第1電子輸送層ETL1は、例えば、8−キノリノールアルミニウム錯体(略称;Alq3)によって形成されているが、他の材料によって形成されても良い。このような第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の第1電子輸送層ETL1は、実質的に同一の厚さを有している。
【0038】
第3有機EL素子OLED3の第2電子輸送層ETL2は、第1電子輸送層ETL1と同一材料によって形成可能であるが、電子移動度が異なる他の材料によって形成されても良い。
【0039】
第1乃至第3有機層EM1乃至3は、いずれもホスト材料を含んでいる。ホスト材料としては、たとえば、4,4’−ビス(2,2’−ジフェニル−エテン−1−イル)−ジフェニル(略称;BPVBI)が使用可能であるが、他の材料でも良い。
【0040】
第1有機層EM1は、赤色波長に発光中心を有するルミネセンス性有機化合物又は組成物からなる第1発光材料(ドーパント材料)を含んでいる。この第1発光材料としては、例えば、4−(Dicyanomethylene)−2−methyl−6−(julolidin−4−yl−vinyl)−4H−pyran(略称;DCM2)が使用可能であるが、他の材料でも良い。第1有機EL素子OLED1においては、第1有機層EM1が発光層として機能するため、第1有機EL素子OLED1は発光波長が第1波長帯である赤色に発光する。
【0041】
第2有機層EM2は、緑色波長に発光中心を有するルミネセンス性有機化合物又は組成物からなる第2発光材料(ドーパント材料)を含んでいる。この第2発光材料としては、例えば、Alq3が使用可能であるが、他の材料でも良い。第2有機EL素子OLED2においては、第2有機層EM2が発光層として機能するため、第2有機EL素子OLED2は発光波長が第2波長帯である緑色に発光する。
【0042】
第3有機層EM3は、青色波長に発光中心を有するルミネセンス性有機化合物又は組成物からなる第3発光材料(ドーパント材料)を含んでいる。この第3発光材料としては、例えば、bis[(4,6−difluorophenyl)−pyridinato−N,C2’](picorinate)iridium(III)(略称;FIrpic)が使用可能であるが、他の材料でも良い。第3有機EL素子OLED3においては、第3有機層EM3が発光層として機能するため、第3有機EL素子OLED3は発光波長が第3波長帯である青色に発光する。
【0043】
これらの第1発光材料、第2発光材料、及び、第3発光材料は、蛍光材料であっても良いし、燐光材料であっても良い。
【0044】
対向電極CEは、半透過層によって構成された単層構造である。この対向電極CEは、例えば、マグネシウム・銀によって形成されているが、他の導電材料によって形成されても良い。このような第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の対向電極CEは、実質的に同一の厚さを有している。
【0045】
第1実施形態においては、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3は、発光した光を対向電極側から取り出す上面発光型を採用している。しかも、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々は、第1乃至第3画素電極PE1乃至3の各反射層PERと、半透過層によって構成された対向電極CEとにより、マイクロキャビティ構造を採用している。なお、第1乃至第3有機積層体ORG1乃至3を挟持する陰極または陽極が透明電極のみによって構成されている場合には、マイクロキャビティ構造が得られない。
【0046】
このような第1実施形態において、第2有機EL素子OLED2は、第1有機EL素子OLED1よりも薄く形成されている。第3有機EL素子OLED3は、第1有機EL素子OLED1より厚く形成されている。ここでの厚さ(あるいは膜厚)とは、法線方向つまりZ方向に沿った距離に相当する。第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の厚さとは、各第1乃至第3画素電極PE1乃至3と対向電極CEとの間のZ方向に沿った距離に相当する。
【0047】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の厚さの大小関係は、以下の通りである。
【0048】
第2有機EL素子OLED2<第1有機EL素子OLED1<第3有機EL素子OLED3
また、第1有機EL素子OLED1の反射層PERと半透過層である対向電極CEとの間の第1有機積層体ORG1及び透過層PETの厚さの総和T1、第2有機EL素子OLED2の反射層PERと半透過層である対向電極CEとの間の第2有機積層体ORG2及び透過層PETの厚さの総和T2、及び、第3有機EL素子OLED3の反射層PERと半透過層である対向電極CEとの間の第3有機積層体ORG3及び透過層PETの厚さの総和T3の大小関係は、以下の通りである。
【0049】
T2<T1<T3
このような構成において、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2は、同次数の干渉効果を利用した素子構成を採用しても良い。ここでは、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2は、例えば0次干渉効果を利用した素子構成を採用することができる。
【0050】
第3有機EL素子OLED3は、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2よりも高次の干渉効果を利用した素子構成を採用しても良い。ここでは、第3有機EL素子OLED3は、例えば1次干渉効果を利用した素子構成を採用することができる。
【0051】
このような第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3における厚さの差は、第1電子輸送層ETL1の厚さが共通であるため、第1有機層EM1、第2有機層EM2、第3有機層EM3、第2ホール輸送層HTL2、及び、第2電子輸送層ETL2の膜厚によって形成される。
【0052】
図4には、第1実施形態における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を含む表示パネルDPの断面構造が概略的に示されている。なお、この図4では、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の構造を明確とするために、図2とX方向の寸法が異なっている。また、この図4では、スイッチングトランジスタSWを含まない断面構造を図示している。
【0053】
この図4に示すように、基板SUBと第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各反射層PERとの間には、ゲート絶縁膜GI、層間絶縁膜II、及び、パッシベーション膜PSが介在している。第1乃至第3画素電極PE1乃至3の各反射層PERは、パッシベーション膜PSの上に配置されている。第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各透過層PETは、各反射層PERの上に配置されている。
【0054】
バッファ層BUFは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、第1画素電極PE1の透過層PETの上、第2画素電極PE2の透過層PETの上、及び、第3画素電極PE3の透過層PETの上にそれぞれ配置されている。また、このバッファ層BUFは、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上にも配置されている。つまり、このバッファ層BUFは、表示領域に亘って広がった連続膜であって、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に共通に配置されている。
【0055】
第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3のバッファ層BUFの上に配置されている。また、第2ホール輸送層HTL2の一部は、第3有機EL素子OLED3を囲む隔壁PIの上方まで延在している。
【0056】
第1ホール輸送層HTL1は、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2の各々のバッファ層BUFの上、及び、第3有機EL素子OLED3の第2ホール輸送層HTL2の上にそれぞれ配置されている。また、この第1ホール輸送層HTL1は、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上方において、バッファ層BUFの上に配置されている。つまり、この第1ホール輸送層HTL1は、表示領域に亘って広がった連続膜であって、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に共通に配置されている。
【0057】
第1有機層EM1は、第1有機EL素子OLED1の第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。また、この第1有機層EM1の一部は、第1有機EL素子OLED1を囲む隔壁PIの上方まで延在している。
【0058】
第2有機層EM2は、第2有機EL素子OLED2の第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。また、この第2有機層EM2の一部は、第2有機EL素子OLED2を囲む隔壁PIの上方まで延在している。
【0059】
第3有機層EM3は、第3有機EL素子OLED及びこの第3有機EL素子OLED3のX方向に隣接する第1有機EL素子OLED1に亘って延在し、第1有機EL素子OLED1の第1有機層EM1の上、及び、第3有機EL素子OLED3の第1ホール輸送層HTL1の上にそれぞれ配置されている。また、この第3有機層EM3は、第1有機EL素子OLED1と第3有機EL素子OLED3との間の隔壁PIの上方において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。
【0060】
第2電子輸送層ETL2は、第3有機EL素子OLED3の第3有機層EM3の上に配置されている。また、第2電子輸送層ETL2の一部は、第3有機EL素子OLED3を囲む隔壁PIの上方まで延在している。
【0061】
第1電子輸送層ETL1は、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、第1有機EL素子OLED1の第3有機層EM3の上、第2有機EL素子OLED2の第2有機層EM2の上、及び、第3有機EL素子OLED3の第2電子輸送層ETL2の上にそれぞれ配置されている。また、この第1電子輸送層ETL1は、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、及び、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上方において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。また、この第1電子輸送層ETL1は、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間に配置された隔壁PIの上方において、第3有機層EM3の上に配置されている。つまり、この第1電子輸送層ETL1は、表示領域に亘って広がった連続膜であって、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に共通に配置されている。
【0062】
対向電極CEは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、各々の第1電子輸送層ETL1の上に配置されている。また、この対向電極CEは、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上方において、第1電子輸送層ETL1の上に配置されている。つまり、この対向電極CEは、表示領域に亘って広がった連続膜であって、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に共通に配置されている。
【0063】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3は、封止ガラス基板SUB2を用いて封止されている。
【0064】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の厚さの一例を以下に示す。第1有機EL素子OLED1では、反射層PERと対向電極CEとの間の総膜厚は約120nmである。第2有機EL素子OLED2では、反射層PERと対向電極CEとの間の総膜厚は約95nmである。第3有機EL素子OLED3では、反射層PERと対向電極CEとの間の総膜厚は約190nmである。
【0065】
ただし、第1実施形態では、干渉構成による制約のため、発光した光の色純度を確保するためには、第1有機EL素子OLED1における反射層PERと対向電極CEとの間の総膜厚は110nm〜130nmの範囲が好ましい。同様に、第2有機EL素子OLED2における反射層PERと対向電極CEとの間の総膜厚は85nm〜105nmの範囲が好ましく、また、第3有機EL素子OLED3における反射層PERと対向電極CEとの間の総膜厚は、182nm〜202nmの範囲が好ましい。
【0066】
これにより、第1実施形態では、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2は0次干渉構成を採用している。また、第3有機EL素子OLED3は1次干渉構成を採用している。
【0067】
この第1実施形態によれば、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在した第1ホール輸送層HTL1及び第1電子輸送層ETL1に加え、第3有機EL素子OLED3に第2ホール輸送層HTL2及び第2電子輸送層ETL2を配置したことにより、第3有機EL素子OLED3は、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2よりも高次の干渉効果を利用した素子構成が可能となる。
【0068】
このため、このような構成の第3有機EL素子OLED3においては、第3有機積層体ORG3の設計自由度を向上することができる。例えば、キャリアバランスを改善して発光効率を改善することが望まれている場合に、ホール輸送層と電子輸送層との膜厚の比率を変える方法がある。第3有機EL素子OLED3に配置されている第2ホール輸送層HTL2及び第2電子輸送層ETL2について、第3有機EL素子OLED3に要求されるキャリアバランスを考慮して、これらの膜厚の比率を自在に変更することができる。このとき、第3有機EL素子OLED3のみならず、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2にも配置されている第1ホール輸送層HTL1及び第1電子輸送層ETL1については、膜厚を変更する必要はない。したがって、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2に悪影響を及ぼすことなく、第3有機EL素子OLED3におけるキャリアバランスを改善することが可能となる。このようなキャリアバランスの改善により、第3有機EL素子OLED3での発光効率を向上することが可能となる。
【0069】
また、この第1実施形態によれば、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、第1電子輸送層ETL1、及び、対向電極CEは、共通層であって、表示領域に亘って広がった連続膜である。このため、これらを蒸着法によって形成する際に、発光部EA1乃至3の各々に対応した微細な開口を形成したファインマスクが不要であり、マスクの製造コストを低減できる。また、これらのバッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、電子輸送層ETL、及び、対向電極CEを形成する際にマスクに堆積する材料が減少し、これらを形成する材料の利用効率を向上できる。
【0070】
さらに、この第1実施形態によれば、上面発光型を採用している。すなわち、発光した光を基板SUB側から取り出す構造とは異なり、基板SUBの上に配置される各種薄膜トランジスタや各種配線による開口率の制限を受けることなく、発光した光を基板SUBとは反対側から取り出すことができる。したがって、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の発光部EA1乃至3の面積を十分に確保でき、高精細化に有利である。
【0071】
なお、第1有機EL素子OLED1の有機積層体ORGにおいて、第1有機層EM1と第1電子輸送層ETL1との間に配置された第3有機層EM3は、第1有機層EM1の第1発光材料のバンドギャップよりも広いバンドギャップを有する第3発光材料を含むため、全く発光せずあるいはほとんど発光せず、ホールブロッキング層として機能する。なお、第2発光材料も第1発光材料のバンドギャップよりも広いバンドギャップを有している。このため、第1有機積層体ORG1は、第1有機層EM1と第1電子輸送層ETL1との間に、ホールブロッキング層として、第2発光材料を含む第2有機層EM2を有していても良い。また、第1有機積層体ORG1は、第1有機層EM1と第1電子輸送層ETL1との間に、ホールブロッキング層として、第2有機層EM2及び第3有機層EM3を有していてもよい。
【0072】
このようなホールブロッキング層を備えた第1有機EL素子OLED1については、キャリアバランスが改善し、発光効率を改善できる。また、第3有機EL素子OLED3及び第1有機EL素子OLED1に共通に配置された第3有機層EM3は、光路長調整用に利用可能であるため、第1有機積層体ORG1において、第3有機層EM3の膜厚分だけ第1有機層EM1の膜厚を低減できる。
【0073】
また、バッファ層BUFは、リフローイング処理により第1乃至第3画素電極PE1乃至3の表面の異物の影響を緩和する。これにより、電極間ショートや膜欠陥の発生を抑制できる。
【0074】
なお、第1実施形態において、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の採り得る素子バリエーションの一例を以下に説明する。
【0075】
例えば、第3有機積層体ORG3において、第2ホール輸送層HTL2は、第1ホール輸送層HTL1と第3有機層EM3との間に配置しても良い。また、第3有機積層体ORG3において、第2電子輸送層ETL2は、第1電子輸送層ETL1と対向電極CEとの間に配置しても良い。
【0076】
また、第1乃至第3有機積層体ORG1乃至3は、第1乃至第3画素電極PE1乃至3の直上にホール注入機能を有する薄膜、すなわちホール注入層を有していても良い。このようなホール注入層は、例えば銅フタロシアニンによって形成可能である。
【0077】
また、第1乃至第3有機積層体ORG1乃至3は、対向電極CEと第1電子輸送層ETL1との間に電子注入機能を有する薄膜、すなわち電子注入層を有していても良い。このような電子注入層は、例えばフッ化リチウム(LiF)によって形成可能である。
【0078】
また、対向電極CEは、少なくとも半透過層を含んでいれば良く、上述したような半透過層のみの単層構造に限らず、半透過層に透過層を積層した構造であっても良い。
【0079】
また、対向電極CEの上には、必要に応じて、光透過性を有する絶縁膜、例えばシリコン酸窒化物(SiON)を配置しても良い。このような絶縁膜は、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を保護する保護膜、あるいは、光学干渉を最適化するための光路長調整用に利用可能である。
【0080】
また、第1有機積層体ORG1において、ホールブロッキング層として機能する第3有機層EM3は省略しても良い。また、第1乃至第3有機積層体ORG1乃至3において、バッファ層BUFを省略しても良い。
【0081】
また、第1ホール輸送層HTL1及び第2ホール輸送層HTL2については、それぞれホール移動度が異なる材料によって形成されることが望ましい。高ホール移動度の材料と、低ホール移動度の材料とを組み合わせ、これらの膜厚比を最適化することによって、第3有機積層体ORG3におけるキャリアバランスを改善することができる。
【0082】
同様に、第1電子輸送層ETL1及び第2電子輸送層ETL2については、それぞれ電子移動度が異なる材料によって形成されることが望ましい。高電子移動度の材料と、低電子移動度の材料とを組み合わせ、これらの膜厚比を最適化することによって、第3有機積層体ORG3におけるキャリアバランスを改善することができる。
【0083】
次に、第1実施形態における他のバリエーションについて説明する。
【0084】
上述した通り、第3有機EL素子OLED3は、第3画素電極PE3と第3有機層EM3との間に、第1ホール輸送層HTL1及び第2ホール輸送層HTL2を備えている。第1ホール輸送層HTL1は、第2ホール輸送層HTL2の上に積層されている。このような第1ホール輸送層HTL1及び第2ホール輸送層HTL2については、それぞれ屈折率が異なる材料によって形成されている。
【0085】
このように、屈折率が異なる第1ホール輸送層HTL1と第2ホール輸送層HTL2との界面では、第3有機層EM3で発生した光の一部が反射する。つまり、第1ホール輸送層HTL1と第2ホール輸送層HTL2との間の界面は、反射面として機能する。このため、第3有機層EM3で発生した光うち、第3画素電極PE3の反射層PERによって反射された反射光と、第1ホール輸送層HTL1と第2ホール輸送層HTL2との界面で反射された反射光とが強め合うようにそれぞれの位相を揃えることにより、第3有機EL素子OLED3の発光効率を向上することができる。このような反射光の位相は、第1ホール輸送層HTL1及び第2ホール輸送層HTL2の屈折率と、第1ホール輸送層HTL1及び第2ホール輸送層HTL2の膜厚比と、によって調整可能である。
【0086】
ここで、第1ホール輸送層HTL1の屈折率をn1、第2ホール輸送層HTL2の屈折率をn2、第1ホール輸送層HTL1の膜厚をx、第2ホール輸送層HTL2の膜厚をyとしたとき、屈折率比n1/n2、及び、膜厚比x/yを変更した場合の第3有機EL素子OLED3の発光効率の変化についてシミュレーションを行った。
【0087】
ここでは、第3有機EL素子OLED3における第3有機層EM3の発光スペクトルの主波長が470nmである場合を想定し、光学シミュレータにて表示パネルDPの正面輝度を算出し、発光効率(cd/A)を求めた。この発光効率は、単位注入電流密度に対する発光輝度に相当する。
【0088】
第1のシミュレーションでは、n1がn2より大きい場合の膜厚比x/yに対する発光効率を求めた。図5には、屈折率比n1/n2が2.0/1.8の場合、1.85/1.8の場合、2.0/1.95の場合、1.95/1.85の場合の4通りのシミュレーション結果を図示している。
【0089】
図示した通り、第1ホール輸送層HTL1の膜厚xがゼロの場合と比較して、第2ホール輸送層HTL2の膜厚yに対する第1ホール輸送層HTL1の膜厚xの割合が増加するにしたがって発光効率が低下する。さらに、第1ホール輸送層HTL1の膜厚xの割合が増加し、第1ホール輸送層HTL1の膜厚xが第2ホール輸送層HTL2の膜厚yよりも厚くなると、発光効率が上昇に転じる。屈折率比n1/n2が上記4通りのすべてにおいて同様の傾向が確認された。また、図示していないが、n1がn2より大きい場合には、総じて同様の傾向が確認された。
【0090】
このような第1のシミュレーション結果から、n1がn2より大きい場合には、発光効率のボトムから2.5%以上の発光効率が回復する膜厚比x/yに設定することが望ましく、第1ホール輸送層HTL1及び第2ホール輸送層HTL2の総膜厚(x+y)に対する第1ホール輸送層HTL1の膜厚xの占める割合が30%以下、または、65%以上のときに比較的高い発光効率が得られることが確認された。
【0091】
第2のシミュレーションでは、n1がn2より小さい場合の膜厚比x/yに対する発光効率を求めた。図6には、屈折率比n1/n2が1.8/2.0の場合、1.8/1.85の場合、1.95/2.0の場合、1.85/1.95の場合の4通りのシミュレーション結果を図示している。
【0092】
図示した通り、第1ホール輸送層HTL1の膜厚xがゼロの場合と比較して、第2ホール輸送層HTL2の膜厚yに対する第1ホール輸送層HTL1の膜厚xの割合が増加するにしたがって発光効率が上昇する。さらに、第1ホール輸送層HTL1の膜厚xの割合が増加し、第1ホール輸送層HTL1の膜厚xが第2ホール輸送層HTL2の膜厚yよりも厚くなると、発光効率が低下に転じる。屈折率比n1/n2が上記4通りのすべてにおいて同様の傾向が確認された。また、図示していないが、n1がn2より小さい場合には、総じて同様の傾向が確認された。
【0093】
このような第2のシミュレーション結果から、n1がn2より小さい場合には、発光効率のピークから2.5%以下の発光効率の低減に抑制できる膜厚比x/yに設定することが望ましく、第1ホール輸送層HTL1及び第2ホール輸送層HTL2の総膜厚(x+y)に対する第1ホール輸送層HTL1の膜厚xの占める割合が30%以上60%以上のときに比較的高い発光効率が得られることが確認された。
【0094】
これらの範囲は、第1ホール輸送層HTL1と第2ホール輸送層HTL2との海面で反射された反射光と、他の反射光とが干渉により互いに強めあう範囲に相当する。
【0095】
次に、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、第1有機EL素子OLED1において第1有機層EM1と第3有機層EM3との間に第2有機層EM2が配置され、第2有機EL素子OLED2において第2有機層EM2と電子輸送層ETLとの間に第3有機層EM3が配置され、第3有機EL素子OLED3において第1ホール輸送層HTL1と第2ホール輸送層HTL2との間に第1有機層EM1及び第2有機層EM2が配置されるとともに第2電子輸送層を省略した点で、第1実施形態と相違している。
【0096】
図7には、第2実施形態における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各々の構造が模式的に示されている。なお、図3に示した第1実施形態と同一の構成については同一の参照符号を付して詳細な説明を省略する。
【0097】
第1有機EL素子OLED1は、第1画素電極PE1と対向電極CEとの間に第1有機積層体ORG1を備えている。すなわち、第1画素電極PE1は、反射層PER及びこの反射層の上に配置された透過層PETを有している。第1有機積層体ORGは、第1画素電極PE1の上に配置されている。この第1有機積層体ORG1は、透過層PETの上に配置されたバッファ層BUF、バッファ層BUFの上に配置された第1ホール輸送層HTL1、第1ホール輸送層HTL1の上に配置され発光層として機能する第1有機層EM1、第1有機層EM1の上に配置されキャリア輸送層として機能する第2有機層EM2、第2有機層EM2の上に配置されキャリア輸送層として機能する第3有機層EM3、及び、第3有機層EM3の上に配置された電子輸送層ETLを有している。対向電極CEは、第1有機積層体ORG1の電子輸送層ETLの上に配置されている。
【0098】
第2有機EL素子OLED2は、第2画素電極PE2と対向電極CEとの間に第2有機積層体ORG2を備えている。すなわち、第2画素電極PE2は、反射層PER及びこの反射層の上に配置された透過層PETを有している。第2有機積層体ORG2は、第2画素電極PE2の上に配置されている。この第2有機積層体ORG2は、透過層PETの上に配置されたバッファ層BUF、バッファ層BUFの上に配置された第1ホール輸送層HTL1、第1ホール輸送層HTL1の上に配置され発光層として機能する第2有機層EM2、第2有機層EM2の上に配置されキャリア輸送層として機能する第3有機層EM3、及び、第3有機層EM3の上に配置された電子輸送層ETLを有している。対向電極CEは、第2有機積層体ORG2の電子輸送層ETLの上に配置されている。
【0099】
第3有機EL素子OLED3は、第3画素電極PE3と対向電極CEとの間に第3有機積層体ORG3を備えている。すなわち、第3画素電極PE3は、反射層PER及びこの反射層の上に配置された透過層PETを有している。第3有機積層体ORG3は、第3画素電極PE3の上に配置されている。この第3有機積層体ORG3は、透過層PETの上に配置されたバッファ層BUF、バッファ層BUFの上に配置された第1ホール輸送層HTL1、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されキャリア輸送層として機能する第1有機層EM1、第1有機層EM1の上に配置されキャリア輸送層として機能する第2有機層EM2、第2有機層EM2の上に配置された第2ホール輸送層HTL2、第2ホール輸送層HTL2の上に配置され発光層として機能する第3有機層EM3、及び、第3有機層EM3の上に配置された電子輸送層ETLを有している。対向電極CEは、第3有機積層体ORG3の電子輸送層ETLの上に配置されている。
【0100】
第1乃至第3画素電極PE1乃至3、バッファ層BUF、第1乃至第3有機層EM1乃至3、第1ホール輸送層HTL1及び第2ホール輸送層HTL2、電子輸送層ETL、及び、対向電極CEを形成するための材料については、第1実施形態で説明した材料などが適用可能である。
【0101】
第1有機EL素子OLED1においては、第1有機層EM1が発光層として機能するため、第1有機EL素子OLED1は発光波長が第1波長帯である赤色に発光する。なお、この第1有機EL素子OLED1において、第2有機層EM2及び第3有機層EM3は、全く発光しないあるいはほとんど発光しない。
【0102】
第2有機EL素子OLED2においては、第2有機層EM2が発光層として機能するため、第2有機EL素子OLED2は発光波長が第2波長帯である緑色に発光する。この第2有機EL素子OLED2において、第3有機層EM3は、全く発光しないあるいはほとんど発光しない。
【0103】
第3有機EL素子OLED3においては、第3有機層EM3が発光層として機能するため、第3有機EL素子OLED3は発光波長が第3波長帯である青色に発光する。この第3有機EL素子OLED3において、第1有機層EM1及び第2有機層EM2は、全く発光しないあるいはほとんど発光しない。
【0104】
このような第2実施形態においても、第2有機EL素子OLED2は、第1有機EL素子OLED1よりも薄く形成されている。第3有機EL素子OLED3は、第1有機EL素子OLED1より厚く形成されている。このような構成において、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2は、同次数の干渉効果を利用した素子構成を採用しても良い。ここでは、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2は、例えば0次干渉効果を利用した素子構成を採用することができる。第3有機EL素子OLED3は、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2よりも高次の干渉効果を利用した素子構成を採用しても良い。ここでは、第3有機EL素子OLED3は、例えば1次干渉効果を利用した素子構成を採用することができる。
【0105】
図8には、第2実施形態における第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3を含む表示パネルDPの断面構造が概略的に示されている。なお、この図8では、スイッチングトランジスタSWを含まない断面構造を図示している。
【0106】
この図8に示すように、基板SUBと第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各反射層PERとの間には、ゲート絶縁膜GI、層間絶縁膜II、及び、パッシベーション膜PSが介在している。第1乃至第3画素電極PE1乃至3の各反射層PERは、パッシベーション膜PSの上に配置されている。第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3の各透過層PETは、各反射層PERの上に配置されている。
【0107】
バッファ層BUFは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、第1画素電極PE1の透過層PETの上、第2画素電極PE2の透過層PETの上、及び、第3画素電極PE3の透過層PETの上にそれぞれ配置されている。また、このバッファ層BUFは、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上にも配置されている。
【0108】
第1ホール輸送層HTL1は、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、各々のバッファ層BUFの上に配置されている。また、この第1ホール輸送層HTL1は、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上方において、バッファ層BUFの上に配置されている。
【0109】
第1有機層EM1は、第1有機EL素子OLED1及びこの第1有機EL素子OLED1のX方向に隣接する第3有機EL素子OLED3に亘って延在し、第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3の第1ホール輸送層HTL1の上にそれぞれ配置されている。また、この第1有機層EM1は、第1有機EL素子OLED1と第3有機EL素子OLED3との間の隔壁PIの上方において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。
【0110】
第2有機層EM2は、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、第2有機EL素子OLED2の第1ホール輸送層HTL1の上、及び、第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3の第1有機層EM1の上にそれぞれ配置されている。また、この第2有機層EM2は、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、及び、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上方において、第1ホール輸送層HTL1の上に配置されている。さらに、この第2有機層EM2は、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上方において、第1有機層EM1の上に配置されている。
【0111】
第2ホール輸送層HTL2は、第3有機EL素子OLED3の第2有機層EM2の上に配置されている。また、この第2ホール輸送層HTL2の一部は、第3有機EL素子OLED3を囲む隔壁PIの上方まで延在している。
【0112】
第3有機層EM3は、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、第3有機EL素子OLED3の第2ホール輸送層HTL2の上、及び、第1有機EL素子OLED1及び第2有機EL素子OLED2の第2有機層EM2の上にそれぞれ配置されている。また、この第3有機層EM3は、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上方において、第2有機層EM2の上に配置されている。
【0113】
電子輸送層ETLは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、各々の第3有機層EM3の上に配置されている。また、この電子輸送層ETLは、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上方において、第3有機層EM3の上に配置されている。
【0114】
対向電極CEは、第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3に亘って延在し、各々の電子輸送層ETLの上に配置されている。また、この対向電極CEは、第1有機EL素子OLED1と第2有機EL素子OLED2との間、第2有機EL素子OLED2と第3有機EL素子OLED3との間、及び、第3有機EL素子OLED3と第1有機EL素子OLED1との間にそれぞれ配置された隔壁PIの上方において、電子輸送層ETLの上に配置されている。
【0115】
第1乃至第3有機EL素子OLED1乃至3は、封止ガラス基板SUB2を用いて封止されている。
【0116】
この第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0117】
また、この第2実施形態によれば、バッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、電子輸送層ETL、対向電極CEに加えて、第2有機層EM2及び第3有機層EM3は、共通層であって、表示領域に亘って広がった連続膜である。このため、これらを蒸着法によって形成する際に、発光部EA1乃至3の各々に対応した微細な開口を形成したファインマスクが不要であり、マスクの製造コストを低減できる。この第2実施形態においては、第3有機EL素子OLED3の第2ホール輸送層HTL2、及び、第1有機EL素子OLED1及び第3有機EL素子OLED3に共通の第1有機層EM1を形成するための2枚のファインマスクを用意すれば良い。
【0118】
また、ファインマスクを必要とする場合と比較して、これらのバッファ層BUF、第1ホール輸送層HTL1、電子輸送層ETL、対向電極CE、第2有機層EM2及び第3有機層EM3を形成する際にマスクに堆積する材料が減少し、これらを形成する材料の利用効率を向上できる。
【0119】
この第2実施形態においても、第1実施形態で説明した素子バリエーションを採用可能である。
【0120】
また、第1実施形態と同様に、第3有機EL素子OLED3において、電子輸送層ETLを2層構造にしても良い。この場合、たとえば、第3有機積層体ORG3においては、第3有機層EM3と電子輸送層ETLとの間、あるいは、電子輸送層ETLと対向電極CEとの間のいずれかに第2電子輸送層ETL2を配置しても良い。このような第2電子輸送層ETL2を追加することにより、第2実施形態で説明した第2ホール輸送層HTL2の膜厚を低減できる。
【0121】
また、この第2実施形態において、第1ホール輸送層HTL1と第2ホール輸送層HTL2との間の第1有機層EM1及び第2有機層EM2は、実質的にホール輸送層として機能する。このため、第1ホール輸送層HTL1と第1有機層EM1との間、第1有機層EM1と第2有機層EM2との間、あるいは、第2有機層EM2と第2ホール輸送層HTL2との間のいずれかの界面は、第1実施形態の他のバリエーションにおいて説明したように、反射面として利用可能である。つまり、反射面となる界面を挟んだ2つの層の屈折率及び膜厚比を調整することにより、界面での反射光と、反射層PERでの反射光とが強め合うようにそれぞれの位相を揃えることができ、第3有機EL素子OLED3の発光効率を向上することができる。
【0122】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【0123】
上記の実施形態では、第1乃至第3有機層EM1乃至3のそれぞれに含まれる第1乃至第3発光材料は、それら全てが蛍光材料であっても良いし、燐光材料であっても良い。また、それらの一部が蛍光材料であり、その他が燐光材料であっても良い。
【0124】
上記の各実施形態において、電子注入層もしくはホール注入層、又は、その両方を含んでいてもよい。
【符号の説明】
【0125】
DP…表示パネル SUB…基板
OLED1…第1有機EL素子 OLED2…第2有機EL素子 OLED3…第3有機EL素子
PE…画素電極(PER…反射層 PET…透過層)
ORG…有機積層体(BUF…バッファ層 HTL1…第1ホール輸送層 HTL2…第2ホール輸送層 EM1…第1有機層 EM2…第2有機層 EM3…第3有機層 ETL1…第1電子輸送層 ETL2…第2電子輸送層)
CE…対向電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1画素電極と、対向電極と、前記第1画素電極と前記対向電極との間に配置され発光層として機能する第1有機層、前記第1画素電極と前記第1有機層との間に配置された第1ホール輸送層、及び、前記第1有機層と前記対向電極との間に配置された第1電子輸送層を有する第1有機積層体と、を備え、発光波長が第1波長帯の第1有機EL素子と、
第2画素電極と、前記第1有機EL素子から延在した対向電極と、前記第2画素電極と前記対向電極との間に配置され発光層として機能する第2有機層、前記第1有機EL素子から延在し前記第2画素電極と前記第2有機層との間に配置された第1ホール輸送層、及び、前記第1有機EL素子から延在し前記第2有機層と前記対向電極との間に配置された第1電子輸送層を有する第2有機積層体と、を備え、前記第1有機EL素子よりも薄く形成されるとともに発光波長が前記第1波長帯よりも短波長の第2波長帯の第2有機EL素子と、
第3画素電極と、前記第2有機EL素子から延在した対向電極と、前記第3画素電極と前記対向電極との間に配置され発光層として機能する第3有機層、前記第2有機EL素子から延在し前記第3画素電極と前記第3有機層との間に配置された第1ホール輸送層、前記第3画素電極と前記第3有機層との間に配置された第2ホール輸送層、前記第2有機EL素子から延在し前記第3有機層と前記対向電極との間に配置された第1電子輸送層、及び、前記第3有機層と前記対向電極との間に配置された第2電子輸送層を有する第3有機積層体と、を備え、前記第1有機EL素子よりも厚く形成されるとともに発光波長が前記第2波長帯よりも短波長の第3波長帯の第3有機EL素子と、
を具備することを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項2】
前記第1ホール輸送層のホール移動度は前記第2ホール輸送層のホール移動度とは異なるとともに、前記第1電子輸送層の電子移動度は前記第2電子輸送層の電子移動度とは異なることを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項3】
前記第1ホール輸送層の屈折率は、前記第2ホール輸送層の屈折率とは異なることを特徴とする請求項1に記載の有機EL表示装置。
【請求項4】
第1画素電極と、対向電極と、前記第1画素電極と前記対向電極との間に配置され発光層として機能する第1有機層、前記第1有機層と前記対向電極との間に配置されキャリア輸送層として機能する第2有機層、及び、前記第2有機層と前記対向電極との間に配置されキャリア輸送層として機能する第3有機層を有する第1有機積層体と、を備え、発光波長が第1波長帯の第1有機EL素子と、
第2画素電極と、前記第1有機EL素子から延在した対向電極と、前記第1有機EL素子から延在し前記第2画素電極と前記対向電極との間に配置され発光層として機能する第2有機層、及び、前記第1有機EL素子から延在し前記第2有機層と前記対向電極との間に配置されキャリア輸送層として機能する第3有機層を有する第2有機積層体と、を備え、発光波長が前記第1波長帯よりも短波長の第2波長帯の第2有機EL素子と、
第3画素電極と、前記第2有機EL素子から延在した対向電極と、前記第1有機EL素子から延在し前記第3画素電極と前記対向電極との間に配置されキャリア輸送層として機能する第1有機層、前記第2有機EL素子から延在し前記第1有機層と前記対向電極との間に配置されキャリア輸送層として機能する第2有機層、前記第2有機層と前記対向電極との間に配置されたホール輸送層、及び、前記第2有機EL素子から延在し前記ホール輸送層と前記対向電極との間に配置され発光層として機能する第3有機層を有する第3有機積層体と、を備え、発光波長が前記第2波長帯よりも短波長の第3波長帯の第3有機EL素子と、
を具備することを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項5】
前記第1画素電極は第1反射層を含み、前記第2画素電極は第2反射層を含み、前記第3画素電極は第3反射層を含み、前記対向電極は半透過層を含むことを特徴とする請求項1または4に記載の有機EL表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−263155(P2010−263155A)
【公開日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−114797(P2009−114797)
【出願日】平成21年5月11日(2009.5.11)
【出願人】(302020207)東芝モバイルディスプレイ株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】