説明

有機EL装置、電子機器、及び有機EL装置の製造方法

【課題】表示品質を向上させることができる有機EL装置、電子機器、有機EL装置の製造方法を提供する。
【解決手段】陽極24と陰極25との間に発光層46を含む発光機能層26を挟持した有機EL装置11であって、発光機能層26は、正孔輸送層45と発光層46とを少なくとも含み、陽極24と正孔輸送層45との間には、有機材料からなる有機絶縁膜51がさらに設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機EL装置、電子機器、及び有機EL装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL(エレクトロルミネッセンス)装置は、陽極と陰極との間に発光層を含む発光機能層を挟持した構造を有している。具体的には、発光機能層は、陽極側から順に正孔輸送層、発光層、電子輸送層が積層された構成となっている。そして、陽極と陰極との間に電圧を印加することによって、正孔輸送層から正孔が、電子輸送層から電子が発光層に注入され、これらが再結合したときに発光が行われる。
【0003】
このような有機EL装置が高効率であればあるほど、低輝度領域における漏れ電流により不必要な発光が観測される。そして、黒表示をした際に黒色がぼやける、いわゆる黒浮きという問題が発生する。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1では、陽極と正孔注入層との間に、無機材料の緩衝層を設けてリーク電流の発生を防止する技術が開示されている。また、特許文献2では、陽極と正孔注入層との界面、陰極と電子輸送層との界面に積層絶縁層を設けることにより、陽極から注入された正孔の流れを防止する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−35667号公報
【特許文献2】特開2001−93671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、発明者等が行った実験結果によれば、これらの技術でも、ある程度リーク電流を減少させることは可能であるが、十分な効果が得られるとはいい難いものであった。換言すれば、従来の技術では、黒浮きを抑制することが困難であるという課題があった。
【0007】
また、陽極上に無機材料を形成するためには、大掛かりな製造設備を必要とするCVD(Chemical Vapor Deposition)法などを用いる必要があり、製造効率が悪くなってしまうという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0009】
[適用例1]本適用例に係る有機EL装置は、陽極と陰極との間に発光層を含む機能層を挟持した有機EL装置であって、前記機能層は、正孔輸送層と前記発光層とを少なくとも含み、前記陽極と前記正孔輸送層との間には、有機材料からなる絶縁層がさらに設けられていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、陽極と正孔輸送層との間に有機材料からなる絶縁層が設けられているので、陰極から注入された電子が、陽極に入り込むことを抑えることができる。よって、特に低輝度領域においてリーク電流の発生を抑えることが可能となり、黒表示をした際に黒色がぼやけること(いわゆる「黒浮き」)を抑えることができる。その結果、表示品質を向上させることができる。
【0011】
[適用例2]上記適用例に係る有機EL装置において、前記陽極と前記正孔輸送層との間に正孔注入層が設けられており、前記絶縁層は、前記陽極と前記正孔注入層との間に設けられていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、陽極と正孔注入層との間に有機材料からなる絶縁層が設けられているので、陰極から注入された電子が、陽極に入り込むことを抑えることができる。よって、特に低輝度領域におけるリーク電流の発生を抑えることが可能となり、黒表示をした際に黒色がぼやけることを抑えることができる。
【0013】
[適用例3]上記適用例に係る有機EL装置において、少なくとも前記絶縁層及び前記正孔輸送層は、アミン系材料で構成されていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、絶縁層上に設けられる正孔注入層や正孔輸送層を絶縁層と同じアミン系材料を用いて形成することにより、同じ生産設備を用いることが可能となり、生産効率を向上させることができる。
【0015】
[適用例4]本適用例に係る電子機器は、上記に記載した有機EL装置を備えることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、リーク電流の発生が抑えられると共に黒浮きが抑えられ、見栄えのよい電子機器を提供することができる。
【0017】
[適用例5]本適用例に係る有機EL装置の製造方法は、陽極と陰極との間に正孔輸送層及び発光層を含む機能層を挟持した有機EL装置の製造方法であって、前記陽極上に有機膜を形成する有機膜形成工程と、前記有機膜に紫外線を照射して絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、前記絶縁層上に前記正孔輸送層を形成する正孔輸送層形成工程と、を含むことを特徴とする。
【0018】
この方法によれば、有機膜に紫外線を照射することで有機膜を酸化させ、陽極と正孔輸送層との間に有機材料からなる絶縁層を形成する。これにより、陰極から注入された電子が、陽極に入り込むことを抑えることができる。よって、特に低輝度領域におけるリーク電流の発生を抑えることが可能となり、その結果、黒表示をした際に黒色がぼやけること(いわゆる「黒浮き」)が抑えられた有機EL装置を製造することができる。
【0019】
[適用例6]本適用例に係る有機EL装置の製造方法は、陽極と陰極との間に正孔注入層及び発光層を含む機能層を挟持した有機EL装置の製造方法であって、前記陽極上に有機膜を形成する有機膜形成工程と、前記有機膜に紫外線を照射して絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、前記絶縁層上に前記正孔注入層を形成する正孔注入層形成工程と、を含むことを特徴とする。
【0020】
この方法によれば、有機膜に紫外線を照射するので有機膜を酸化させることが可能となり、陽極と正孔注入層との間に有機材料からなる絶縁層を形成することができる。これにより、陰極から注入された電子が、陽極に入り込むことを抑えることができる。よって、特に低輝度領域におけるリーク電流の発生を抑えることが可能となり、その結果、黒表示をした際に黒色がぼやけることを抑えることができる。
【0021】
[適用例7]上記適用例に係る有機EL装置の製造方法において、前記有機膜形成工程と前記絶縁層形成工程との間に、前記有機膜を大気に晒す工程を含むことが好ましい。
【0022】
この方法によれば、有機膜を大気に晒すことにより、有機膜に酸素が取り入れられ、紫外線を照射した際、有機膜を容易に酸化させることが可能となり、高い絶縁性を有する有機膜が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図。
【図2】有機EL装置の構成を示す模式平面図。
【図3】有機EL装置の構造を示す模式断面図。
【図4】図3に示す有機EL装置のA部(発光機能層)を拡大して示す拡大断面図。
【図5】発光機能層の素子構成及び電流特性を示す図表。
【図6】有機EL装置の電流特性を示すグラフ。
【図7】有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図。
【図8】有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図。
【図9】有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図。
【図10】有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図。
【図11】有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図。
【図12】有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図。
【図13】有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図。
【図14】有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図。
【図15】有機EL装置を備えた電子機器の一例として携帯電話機を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
<有機EL装置の構成>
図1は、有機EL装置の電気的な構成を示す等価回路図である。以下、有機EL装置の構成を、図1を参照しながら説明する。なお、以下参照する各図面において構成をわかりやすく示すため、各構成要素の層厚や寸法の比率、角度等は適宜異ならせてある。また、本実施形態の有機EL装置は、一例としてトップエミッション構造で説明するが、ボトムエミッション構造にも適用可能である。
【0025】
図1に示すように、有機EL装置11は、複数の走査線12と、走査線12に対して交差する方向に延びる複数の信号線13と、信号線13に並行に延びる複数の電源線14とが、それぞれ格子状に配線されている。そして、走査線12と信号線13とにより区画された領域が画素領域として構成されている。信号線13は、信号線駆動回路15に接続されている。また、走査線12は、走査線駆動回路16に接続されている。
【0026】
各画素領域には、走査線12を介して走査信号がゲート電極に供給されるスイッチング用TFT(Thin Film Transistor)21と、このスイッチング用TFT21を介して信号線13から供給される画素信号を保持する保持容量22と、保持容量22によって保持された画素信号がゲート電極に供給される駆動用TFT23(以下、「TFT素子23」と称する。)とが設けられている。更に、各画素領域には、TFT素子23を介して電源線14に電気的に接続したときに、電源線14から駆動電流が流れ込む陽極24と、陰極25と、この陽極24と陰極25との間に挟持された機能層としての発光機能層26とが設けられている。
【0027】
有機EL装置11は、陽極24と陰極25と発光機能層26とにより構成される発光素子27を複数備えている。また、有機EL装置11は、複数の発光素子27で構成される表示領域を備えている。
【0028】
この構成によれば、走査線12が駆動されてスイッチング用TFT21がオン状態になると、そのときの信号線13の電位が保持容量22に保持され、保持容量22の状態に応じて、TFT素子23のオン・オフ状態が決まる。そして、TFT素子23のチャネルを介して、電源線14から陽極24に電流が流れ、更に、発光機能層26を介して陰極25に電流が流れる。発光機能層26は、ここを流れる電流量に応じた輝度で発光する。
【0029】
図2は、有機EL装置の構成を示す模式平面図である。以下、有機EL装置の構成を、図2を参照しながら説明する。
【0030】
図2に示すように、有機EL装置11は、ガラス等からなる基板としての素子基板31に表示領域32(図中一点鎖線の内側の領域)と非表示領域33(一点鎖線の外側の領域)とを有する構成になっている。表示領域32には、実表示領域32a(二点鎖線の内側の領域)とダミー領域32b(図中二点鎖線の外側の領域)とが設けられている。
【0031】
実表示領域32a内には、光が出射されるサブ画素34(発光領域)がマトリックス状に配列されている。この、サブ画素34の各々は、スイッチング用TFT21及びTFT素子23(図1参照)の動作に伴って、R(赤)、G(緑)、B(青)各色を発光する構成となっている。
【0032】
ダミー領域32bには、主として各サブ画素34を発光させるための回路が設けられている。例えば、実表示領域32aの図中左辺及び右辺に沿うように走査線駆動回路16が配置されており、実表示領域32aの図中上辺に沿うように検査回路35が配置されている。
【0033】
素子基板31の下辺には、フレキシブル基板36が設けられている。フレキシブル基板36には、各配線と接続された駆動用IC37が備えられている。
【0034】
図3は、有機EL装置の構造を示す模式断面図である。図4は、図3に示す有機EL装置のA部(発光機能層)を拡大して示す拡大断面図である。以下、有機EL装置及び発光機能層の構造を、図3及び図4を参照しながら説明する。なお、構成をわかりやすく示すため、各構成要素の層厚や寸法の比率、角度等は適宜異ならせてある。
【0035】
図3に示すように、有機EL装置11は、複数の発光素子27(27R,27G,27B)が素子基板31の面上に配列された構成となっている。なお、素子基板31上に設けられた配線や回路、それらが形成されている層などの図示は省略する。各発光素子27は、複数の色彩(赤色、緑色、青色)のいずれかに対応した波長の光を発生する要素である。本実施形態では、発光素子27Rは赤色光を出射し、発光素子27Gは緑色光を出射し、発光素子27Bは青色光を出射する。
【0036】
本実施形態の有機EL装置11は、上記したように、各発光素子27にて発生した光が素子基板31とは反対側に向かって進行するトップエミッション構造である。従って、ガラスなどの光透過性を有する板材の他、セラミックスや金属のシートなど不透明な板材を素子基板31として採用することができる。
【0037】
図3に示すように、素子基板31上には、隔壁42が形成されている。この隔壁42は、素子基板31の上方の空間を発光素子27ごとに仕切るものであり、絶縁性材料、例えばアクリル樹脂、ポリイミド樹脂などにより形成されている。
【0038】
発光素子27の各々は、陽極24と、発光機能層26と、陰極25とを有する。詳述すると、素子基板31上には、光反射層43が形成される。光反射層43の上方には、発光素子27が配置されている。光反射層43は、各発光素子27(27R,27G,27B)に対応して配置される。光反射層43は、光反射性を有する材料によって形成される。材料としては、例えば、アルミニウムや銀、又はアルミニウムや銀を主成分とする合金などが挙げられる。光反射層43の厚みは、例えば、80nmである。
【0039】
陽極24は、光反射層43上に形成されて隔壁42で包囲される。陽極24は、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)、またはZnO2のような透明酸化物導電材料から形成される。本実施形態では、陽極24はITOで形成され、その膜厚を発光素子27の発光色ごとに相違させる光共振構造が採用されている。
【0040】
なお、光反射層43と陽極24との間に透明層を挿入しても良い。また、各サブ画素34で要求される発光波長に最適な共振を生じるように光路長を最適化する場合、陽極24や透明層の厚みを最適化すればよい。
【0041】
発光機能層26は、陽極24や隔壁42を覆うように形成される。詳述すると、発光機能層26は、複数の発光素子27に亘って連続して形成されている。発光機能層26の特性は、複数の発光素子27について共通である。
【0042】
図4に示すように、発光機能層26は、陽極24上及び隔壁42上に形成された正孔注入層(以下、図示及び説明を省略する)と、正孔注入層上に形成された正孔輸送層45と、正孔輸送層45上に形成された発光層46と、発光層46上に形成された電子輸送層47と、電子輸送層47上に形成された電子注入層48とを有する。更に、本実施形態では、陽極24と正孔輸送層45との間に、有機材料からなる絶縁層としての絶縁膜が設けられている(以下、「有機絶縁膜51」と称する。)。なお、図4において、陽極24の下層に形成されている光反射層43の図示は省略する。
【0043】
有機絶縁膜51は、正孔注入を制御し、陰極25から注入される電子の流れを防止する遮断効果、言い換えれば、リーク電流の発生を防止するために設けられている。
【0044】
有機絶縁膜51の構成材料には、例えば、以下の材料を紫外線(UV)照射によって酸化させ、絶縁性を高くしたものを用いることができる。例えば、各種p型の高分子材料や、各種p型の低分子材料を単独または組み合わせて用いることができ、例えば、下記化1に示すN,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)等のテトラアリールベンジジン誘導体、テトラアリールジアミノフルオレン化合物またはその誘導体(アミン系化合物)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、下記化2に示す、フッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート(A−1)を用いるようにしてもよい。
【0045】
【化1】

【0046】
【化2】

【0047】
このような有機絶縁膜51は、リーク電流を防止しうる程度の抵抗値を有し、かつ電極から有機層への正孔(ホール)の注入性を確保しうる程度のホール注入性を有していればよい。有機絶縁膜51の厚みとしては、特に限定されないが、0.1Å(0.01nm)〜20Å(2nm)程度である。
【0048】
正孔輸送層45は、陽極24から正孔注入層を介して注入された正孔を発光層まで輸送する機能を有するものである。この正孔輸送層45の構成材料には、上記した有機絶縁膜51と同様の材料である、各種p型の高分子材料や、各種p型の低分子材料を単独または組み合わせて用いることができ、例えば、N,N’−ジ(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(α−NPD)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)等のテトラアリールベンジジン誘導体、テトラアリールジアミノフルオレン化合物またはその誘導体(アミン系化合物)等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、フッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレート(A−1)を用いるようにしてもよい。このような正孔輸送層45の平均厚さは、特に限定されないが、10nm〜150nm程度である。
【0049】
発光層46は、エレクトロルミネッセンス現象を発現する有機発光物質の層である。陽極24と陰極25との間に電圧を印加することによって、発光層46には、正孔輸送層45から正孔が、また、電子輸送層47から電子が注入され、発光層46においてこれらが再結合したときに発光が行われる。本実施形態では、白色光を発する。
【0050】
電子輸送層47は、陰極25から電子注入層48を介して注入された電子を発光層46に輸送する機能を有するものである。電子輸送層47の構成材料(電子輸送材料)としては、例えば、下記化3に示すトリス(8−キノリノラト)アルミニウム(Alq3)等の8−キノリノールないしその誘導体を配位子とする有機金属錯体などのキノリン誘導体、オキサジアゾール誘導体、ペリレン誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、キノキサリン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。電子輸送層47の平均厚さは、特に限定されないが、20nm〜100nm程度である。
【0051】
【化3】

【0052】
電子注入層48は、陰極25からの電子注入効率を向上させる機能を有するものである。この電子注入層48の構成材料(電子注入材料)としては、例えば、各種の無機絶縁材料、各種の無機半導体材料が挙げられる。
【0053】
このような無機絶縁材料としては、例えば、アルカリ金属カルコゲナイド(酸化物、硫化物、セレン化物、テルル化物)、アルカリ土類金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物およびアルカリ土類金属のハロゲン化物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらを主材料として電子注入層48を構成することにより、電子注入性をより向上させることができる。特にアルカリ金属化合物(アルカリ金属カルコゲナイド、アルカリ金属のハロゲン化物等)は仕事関数が非常に小さく、これを用いて電子注入層48を構成することにより、発光素子27は、高い輝度が得られるものとなる。
【0054】
アルカリ金属カルコゲナイドとしては、例えば、Li2O、LiO、Na2S、Na2Se、NaO等が挙げられる。アルカリ土類金属カルコゲナイドとしては、例えば、CaO、BaO、SrO、BeO、BaS、MgO、CaSe等が挙げられる。アルカリ金属のハロゲン化物としては、例えば、CsF、LiF、NaF、KF、LiCl、KCl、NaCl等が挙げられる。アルカリ土類金属のハロゲン化物としては、例えば、CaF2、BaF2、SrF2、MgF2、BeF2等が挙げられる。
【0055】
また、無機半導体材料としては、例えば、Li、Na、Ba、Ca、Sr、Yb、Al、Ga、In、Cd、Mg、Si、Ta、SbおよびZnのうちの少なくとも1つの元素を含む酸化物、窒化物または酸化窒化物等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。電子注入層48の平均厚さは、特に限定されないが、0.1nm〜1nm程度である。
【0056】
陰極25は、発光機能層26を覆うように形成される。言い換えれば、陰極25は、複数の発光素子27に亘って連続して形成されている。陰極25は、その表面に達した光の一部を透過するとともに他の一部を反射する性質(すなわち半透過反射性)を持った半透過反射層として機能する。
【0057】
また、陰極25は、マグネシウム(Mg)や銀(Ag)、又はこれらを主成分とするマグネシウム銀合金(MgAg)で形成される。本実施形態においては、マグネシウム及び銀を発光機能層26上に共蒸着させて陰極25を形成する。
【0058】
本実施形態における有機EL装置11では、光反射層43と陰極25との間で発光機能層26が発する光を共振させる共振器構造が形成される。すなわち、発光機能層26が発する光は光反射層43と陰極25との間で往復し、共振によって特定の波長の光が強められて陰極25を透過して観察側(図3における上方)に進行する(トップエミッション方式)。
【0059】
発光素子27Rでは発光機能層26で発した白色光のうち赤色が強められ、発光素子27Gでは緑色が強められ、発光素子27Bでは青色が強められるように、各発光素子27における陽極24の膜厚が調整される。より具体的には、例えば、発光素子27Rにおける陽極24の膜厚は、110nmに設定される。発光素子27Gにおける陽極24の膜厚は、70nmに設定される。発光素子27Bにおける陽極24の膜厚は、27nmに設定される。
【0060】
図3に示すように、陰極25上には、無機材料からなるパッシベーション層52が形成される。パッシベーション層52は、発光素子27に対する水や外気の浸入を防ぐための保護膜である。また、パッシベーション層52は、窒化珪素や酸窒化珪素などのガス透過率が低い無機材料から形成される。本実施形態のパッシベーション層52は、例えば、酸窒化珪素で形成され、その膜厚は400nmである。
【0061】
複数の発光素子27が形成された素子基板31上には、カラーフィルター基板61が対向配置される。カラーフィルター基板61は、ガラスなどの光透過性を有する材料で形成される。カラーフィルター基板61のうち素子基板31との対向面には、カラーフィルター62(62R,62G,62B)及び遮光膜63が形成される。
【0062】
遮光膜63は、各発光素子27に対応して開口64が形成された遮光性の膜体である。開口64内には、カラーフィルター62(62R,62G,62B)が形成される。
【0063】
発光素子27Rに対応する開口64内には、赤色光を選択的に透過させる赤色用カラーフィルター62Rが形成されている。発光素子27Gに対応する開口64内には、緑色光を選択的に透過させる緑色用カラーフィルター62Gが形成されている。発光素子27Bに対応する開口64内には、青色光を選択的に透過させる青色用カラーフィルター62Bが形成されている。
【0064】
カラーフィルター62及び遮光膜63が形成されたカラーフィルター基板61は、封止層65を介して素子基板31と貼り合わされる。封止層65は、透明の樹脂材料、例えば、エポキシ樹脂などの硬化性樹脂から形成される。以下、陽極24と正孔輸送層45との間に有機絶縁膜51を設けた場合の電流特性などについて説明する。
【0065】
図5は、発光機能層(特に、絶縁膜及び正孔輸送層)の素子構成及び電流特性を示す図表である。図6は、有機EL装置の電流特性を示すグラフである。以下、図5及び図6を参照しながら、素子構成及び電流特性について説明する。
【0066】
図5に示す図表は、陽極24と正孔輸送層45との間に設ける絶縁層の構成、及び正孔輸送層45に用いる材料の種類を、比較例1、比較例2、実施例1、実施例2の4種類で変えたときの、電流値及びリーク電流低減効果値を求めたものである。なお、絶縁膜及び正孔輸送層45以外の構成は、比較例1〜実施例2において同一とする。
【0067】
また、図6に示すグラフの横軸は、陽極24及び陰極25に印加する電圧値であり、図示右側にいくに従って電圧値が高くなることを示している。グラフの縦軸は、陽極24及び陰極25間に流れる電流(電流密度)値であり、図示上側にいくに従って流れる電流が大きくなることを示している。このような電圧値と電流値との関係を、比較例1〜実施例2の4種類で確認する。
【0068】
図5に示すように、比較例1は、陽極24と正孔輸送層45との間に絶縁膜が設けられていない場合の構成である。絶縁膜を除いた材料及びその膜厚は、次のとおりである。正孔輸送層45は、材料がアミン系のα−NPDであり、膜厚が60nmである。発光層46は、青色発光層(単色青色発光素子)であり、膜厚が40nmである。
【0069】
なお、発光層46の材料構成を、下記化4及び化5に示す。化4は、ホスト材料である、アントラセン誘導体である。化5は、発光ドーパント材料である、ジスチリルジアミン系化合物等のジスチリルアミン誘導体である。
【0070】
【化4】

【0071】
【化5】

【0072】
電子輸送層47は、材料がAlq3であり、膜厚が20nmである。電子注入層48は、材料がLiFであり、膜厚が1nmである。陰極25は、材料がアルミニウムであり、膜厚が150nmである。
【0073】
このような構成の有機EL装置の陽極と陰極との間に、2.5V(低電圧領域)の電圧を印加した場合、電流値は0.220mA/cm2となる(図5及び図6参照)。なお、この値を後述する比較例2、実施例1、実施例2と比較する基準値とする。
【0074】
比較例2は、陽極24と正孔輸送層45との間に設ける絶縁膜に無機材料であるLi2O(アルカリ金属酸化物)を用いる。膜厚は、1nm〜2nmである。また、正孔輸送層45の材料は、比較例1と同様にα−NPDである。その他の層構成及び材料は、比較例1と同様である。
【0075】
比較例1と同様に、2.5V(低電圧領域)の電圧を印加した場合、電流値は0.115mA/cm2となる。この結果、陽極24と正孔輸送層45との間に無機の絶縁層が設けられていることにより、比較例1の基準値(0.220mA/cm2)と比較して、リーク電流低減効果が48%であることがわかる。
【0076】
実施例1は、絶縁膜に、α−NPDに紫外線(UV)処理が施された有機絶縁膜51を用いる。また、正孔輸送層45の材料は、比較例1及び比較例2と同様にα−NPDである。その他の層構成及び材料は、比較例1と同様である。
【0077】
上記同様に電圧を印加した場合、電流値は0.062mA/cm2である。この結果、陽極24と正孔輸送層45との間に有機絶縁膜51が設けられていることにより、比較例1の基準値と比較して、リーク電流低減効果が72%であることがわかる。更に、図6に示すように、駆動電圧領域(3.5V〜4V以上)では、電流値が大きくなる、つまり、電荷注入性が良好となることがわかる(低駆動電圧効果)。
【0078】
実施例2は、絶縁膜に、アミン系材料であるA−1に紫外線処理が施された有機絶縁膜51を用いる。また、正孔輸送層45の材料は、絶縁膜に用いた材料と同じA−1である。その他の層構成及び材料は、比較例1と同様である。
【0079】
上記同様に電圧を印加した場合、電流値は0.065mA/cm2である。この結果、絶縁膜にA−1で構成された有機絶縁膜51を用いることにより、実施例1と用いる材料は異なるものの、リーク電流を低減することが可能となる。リーク電流低減効果は、比較例1の基準値と比較して70%であることがわかる。更に、駆動電圧領域(3.5V〜4V以上)では、電流値が実施例1よりも大きくなる、つまり、電荷注入性が実施例1よりも良好となることがわかる。
【0080】
このように、陽極24と正孔輸送層45との間に絶縁膜を設けた方が設けない場合と比較してリーク電流の効果があり、更に、絶縁膜が無機材料より有機材料の方がリーク電流に対して効果が得られる結果が得られた。また、絶縁膜を設けない場合と比較して有機絶縁膜51を設けた場合、70%程度のリーク電流低減効果が得られる。
【0081】
<有機EL装置の製造方法>
図7〜図14は、有機EL装置の製造方法を工程順に示す模式断面図である。以下、有機EL装置の製造方法を、図7〜図14を参照しながら説明する。
【0082】
有機EL装置11の製造方法は、まず、図7に示すように、素子基板31上に光反射層43を形成する。具体的には、公知の成膜技術を用いて、素子基板31上に複数の光反射層43をマトリックス状に形成する。
【0083】
次に、図8に示すように、光反射層43上に陽極24を形成する。具体的には、例えば、蒸着法によって素子基板31及び光反射層43上に、例えばインジウム・スズ酸化物(ITO)を全面成膜する。次に、フォトリソグラフィー技術及びエッチング技術により、この膜をパターンニングし、陽極24を形成する。
【0084】
次に、図9に示すように、素子基板31上の非発光領域に隔壁42を形成する。具体的には、例えば、隔壁42の材料となるアクリル樹脂またはポリイミド樹脂等の有機樹脂を溶媒に溶かし、スピンコート、ディップコート等により塗布して形成する。そして、隔壁42の材料をフォトリソグラフィー技術によりパターニングして開口を設ける。
【0085】
次に、図10に示すように、陽極24の上面及び隔壁42の上面全体に有機絶縁膜51を形成する(有機膜形成工程、絶縁層形成工程)。まず、陽極24上及び隔壁42上に有機材料であるα−NPD(有機膜)を1nm〜2nm蒸着する。次に、大気下に暴露し(晒し)、その後、波長313nmの紫外線(UV)処理を行う。これにより、有機材料が酸化され、絶縁性が高くなる。なお、有機絶縁膜51を成膜する方法として、蒸着法に限定されず、塗布法を用いるようにしてもよい。
【0086】
次に、図11に示すように、有機絶縁膜51の上面に発光機能層26を構成する正孔輸送層45を形成する(正孔輸送層形成工程)。具体的には、例えば、α−NPD等の材料を周知の蒸着法に基づいて蒸着することにより形成する。
【0087】
次に、図12に示すように、正孔輸送層45の上面に発光層46及び電子輸送層47(電子注入層48を含む)を形成する。具体的には、周知の蒸着法に基づいて蒸着することにより形成する。
【0088】
次に、図13に示すように、電子輸送層47(発光機能層26)上に陰極25を形成する。なお、図13では、電子輸送層47が発光機能層26を構成する1つであることから、発光機能層26として図示する。具体的には、電子輸送層47上に、マグネシウム(Mg)や銀(Ag)、又はこれらを主成分とするマグネシウム銀合金(MgAg)を、例えば、共蒸着させて陰極25を形成する。
【0089】
次に、図14に示すように、有機EL装置11を完成させる。まず、陰極25上に、酸素や水分の影響による発光素子27の劣化を防止するためのパッシベーション層52を形成する。具体的には、例えば、酸窒化珪素等の材料を周知の蒸着法に基づいて蒸着することにより形成する。
【0090】
次に、パッシベーション層52上の全体に亘って封止層65を形成する。封止層65は、例えば、エポキシ樹脂などの硬化性樹脂であり、CVD法で成膜する。封止層65は、水分の侵入を防ぎ、発光素子27を劣化させないよう、積層構造とすることが好ましい。
【0091】
次に、カラーフィルター基板61側を形成する。まず、公知の成膜技術を用いて、カラーフィルター62及び遮光膜63を形成する。これにより、各発光素子27(27R,27G,27B、図3参照)に対応して各カラーフィルター62(62R,62G,62B)が形成される。
【0092】
次に、素子基板31側とカラーフィルター基板61側とを貼り合わせて、有機EL装置11を完成させる。具体的には、大気を遮断した窒素雰囲気内において、封止層65を介して貼り合わせる。以上により、有機EL装置11が完成する。このように、陽極24と正孔輸送層45との間に有機絶縁膜51を形成するので、層間の密着性が向上し、電流注入効率を向上させることができる。また、黒表示における陰極25から陽極24への電子の漏れ、すなわちリーク電流を抑制することができる。
【0093】
<電子機器の構成>
図15は、上記した有機EL装置を備えた電子機器の一例として携帯電話機を示す模式図である。以下、有機EL装置を備えた携帯電話機の構成を、図15を参照しながら説明する。
【0094】
図15に示すように、携帯電話機71は、表示部72及び操作ボタン73を有している。表示部72は、内部に組み込まれた有機EL装置11によって、均一に発光することができる等、高品位な表示を行うことができる。なお、上記した有機EL装置11は、上記携帯電話機71の他、モバイルコンピューター、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、車載機器、オーディオ機器、露光装置や照明機器など各種電子機器に用いることができる。
【0095】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られる。
【0096】
(1)本実施形態によれば、陽極24と正孔輸送層45との間に有機材料からなる有機絶縁膜51が設けられているので、陰極25から注入された電子が、陽極24に入り込むことを抑えることができる。よって、特に低輝度領域においてリーク電流の発生を抑えることが可能となり、黒表示をした際に黒色がぼやける(黒浮き)ことを抑えることができる。その結果、表示品質を向上させることができる。
【0097】
(2)本実施形態によれば、有機絶縁膜51がアミン系材料から形成されるので、有機絶縁膜51上に設けられる正孔輸送層45(正孔注入層も含む)を含めて同じ材料で形成することができる。よって、無機材料のようにCVD法などを用いて形成する場合と比較して、同じ製造設備(蒸着法など)で製造することが可能となり、生産効率を向上させることができる。
【0098】
なお、実施形態は上記に限定されず、以下のような形態で実施することもできる。
【0099】
(変形例1)
上記したように、有機絶縁膜51が陽極24と正孔輸送層45とに挟持される構成に限定されず、次のような構成にしてもよい。例えば、陽極24上に正孔注入層、正孔輸送層45、発光層46が順に形成されており、陽極24と正孔注入層との間に有機絶縁膜51を設けるようにしてもよい。また、正孔注入層と正孔輸送層45との間に有機絶縁膜51を設けるようにしてもよい。
【0100】
正孔注入層は、陽極24からの正孔注入効率を向上させる機能を有するものである。この正孔注入層の構成材料(正孔注入材料)としては、特に限定されないが、例えば、銅フタロシアニンや、4,4’,4’’−トリス(N,N−フェニル−3−メチルフェニルアミノ)トリフェニルアミン(m−MTDATA)、N,N'−ビス−(4−ジフェニルアミノ−フェニル)−N,N’−ジフェニル−ビフェニル−4−4’−ジアミン等が挙げられる。このような正孔注入層の平均厚さは、特に限定されないが、20nm〜150nm程度である。
【符号の説明】
【0101】
11…有機EL装置、12…走査線、13…信号線、14…電源線、15…信号線駆動回路、16…走査線駆動回路、21…スイッチング用TFT、22…保持容量、23…TFT素子(駆動用TFT)、24…陽極、25…陰極、26…機能層としての発光機能層、27,27R,27G,27B…発光素子、31…基板としての素子基板、32…表示領域、32a…実表示領域、32b…ダミー領域、33…非表示領域、34…サブ画素、35…検査回路、36…フレキシブル基板、37…駆動用IC、42…隔壁、43…光反射層、45…正孔輸送層、46…発光層、47…電子輸送層、48…電子注入層、51…絶縁層としての有機絶縁膜、52…パッシベーション層、61…カラーフィルター基板、62…カラーフィルター、62R…赤色用カラーフィルター、62G…緑色用カラーフィルター、62B…青色用カラーフィルター、63…遮光膜、64…開口、65…封止層、71…電子機器としての携帯電話機、72…表示部、73…操作ボタン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陽極と陰極との間に発光層を含む機能層を挟持した有機EL装置であって、
前記機能層は、正孔輸送層と前記発光層とを少なくとも含み、
前記陽極と前記正孔輸送層との間には、有機材料からなる絶縁層がさらに設けられていることを特徴とする有機EL装置。
【請求項2】
請求項1に記載の有機EL装置であって、
前記陽極と前記正孔輸送層との間に正孔注入層が設けられており、
前記絶縁層は、前記陽極と前記正孔注入層との間に設けられていることを特徴とする有機EL装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の有機EL装置であって、
少なくとも前記絶縁層及び前記正孔輸送層は、アミン系材料で構成されていることを特徴とする有機EL装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の有機EL装置を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項5】
陽極と陰極との間に正孔輸送層及び発光層を含む機能層を挟持した有機EL装置の製造方法であって、
前記陽極上に有機膜を形成する有機膜形成工程と、
前記有機膜に紫外線を照射して絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、
前記絶縁層上に前記正孔輸送層を形成する正孔輸送層形成工程と、
を含むことを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【請求項6】
陽極と陰極との間に正孔注入層及び発光層を含む機能層を挟持した有機EL装置の製造方法であって、
前記陽極上に有機膜を形成する有機膜形成工程と、
前記有機膜に紫外線を照射して絶縁層を形成する絶縁層形成工程と、
前記絶縁層上に前記正孔注入層を形成する正孔注入層形成工程と、
を含むことを特徴とする有機EL装置の製造方法。
【請求項7】
請求項5又は請求項6に記載の有機EL装置の製造方法であって、
前記有機膜形成工程と前記絶縁層形成工程との間に、前記有機膜を大気に晒す工程を含むことを特徴とする有機EL装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−35286(P2011−35286A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−182189(P2009−182189)
【出願日】平成21年8月5日(2009.8.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】