説明

有益剤含有デリバリー粒子

【課題】有益剤含有デリバリー粒子、当該粒子を含む組成物、及び前述の粒子及び組成物の製造及び使用方法を提供する。
【解決手段】組成物、例えば洗浄組成物または布地ケア組成物、に用いられると、このような粒子は、有益剤デリバリー効率を高め、その結果、用いられる有益剤の量を低減することができる。有益剤の量を低減できることに加えて、このような粒子は、広範な有益剤の使用を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、有益剤含有デリバリー粒子、このような粒子を含む組成物、およびこのような粒子および組成物の製造および使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
香料類、シリコーン類、ろう類、芳香剤類、ビタミン類および布地柔軟化剤のような有益剤は高価であるが、一般に、パーソナルケア組成物、洗浄組成物および布地ケア組成物の中に高濃度で使用される場合、あまり効果がない。結果として、かかる有益剤の効率を最大限にすることが望ましい。このような目的を達成する一つの方法は、かかる有益剤のデリバリー効率を高めることである。残念なことに、かかる剤はその物理的または化学的特性を損なう場合があるか、あるいはかかる剤が他の組成成分または処理すべき場所と不適合である場合があることから、有益剤のデリバリー効率を高めるのは困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、改善された有益剤のデリバリー効率を提供する有益剤含有デリバリー粒子が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、有益剤含有デリバリー粒子であって、前記有益剤含有デリバリー粒子が、
a.)香料、シリコーンオイル類、ろう類、炭化水素類、高級脂肪酸類、精油類、脂質類、皮膚冷却剤類、ビタミン類、日焼け止め剤類、グリセリン類、触媒類、漂白剤粒子、二酸化ケイ素粒子、悪臭軽減剤類、制汗活性物質類、陽イオン性ポリマー類およびこれらの混合物から成る群より選択される有益剤を含むコア材料、および
b.)前記コア材料の少なくとも一部を被覆する1つ以上のコーティングであって、前記の1つ以上のコーティングが少なくとも0.2ミリジュールの総付着仕事量を有し、合計溶解率が約80%未満であるもの、
を含み、当該有益剤含有デリバリー粒子の有益剤損失が約70%未満である、有益剤含有デリバリー粒子に関する。
【0005】
本発明は、また、前記粒子を含む組成物、並びにかかる粒子および組成物の製造および使用方法にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
定義
本明細書で使用するとき、用語「洗浄組成物」には、他に指示がない限り、顆粒又は粉末形態の万能又は「重質」洗浄剤、特に洗濯洗剤、液体、ゲル又はペースト形態の万能洗浄剤、特にいわゆる重質液体型、液体の高級布地用洗剤、手洗い食器洗浄剤、又は軽質食器洗浄剤、特に高起泡型のもの、種々の錠剤、顆粒、液体、並びに家庭及び企業での使用のためのリンス補助型を包含する機械食器洗浄剤、抗菌ハンドウォッシュ型、洗濯バー、うがい薬、義歯クリーナー、歯磨剤、車又はカーペット用シャンプー、浴室クリーナーを包含する液体洗浄剤及び消毒剤、ヘアシャンプー及びヘアリンス、シャワージェル及び泡バス及び金属クリーナー、並びに、漂白添加物質及び「染み用スティック」、又は前処理型のような洗浄補助剤が包含される。
【0007】
本明細書で使用するとき、用語「布地ケア組成物」には、他に指示がない限り、布地柔軟化組成物類、布地向上組成物類、布地フレッシュニング組成物類およびそれらの組み合わせが包含される。
【0008】
本明細書で使用するとき、冠詞「a」及び「an」は、特許請求の範囲で使用される時には、特許請求又は記載される1つ以上のものを意味するものと理解される。
【0009】
本出願の試験方法の項で開示する試験方法を用いて、本出願人らの発明のパラメータの各値を求めなければならない。
【0010】
特に記載のない限り、成分又は組成物の濃度はすべて、当該成分又は組成物の活性部分に関するものであり、かかる成分又は組成物の市販の供給源に存在し得る不純物、例えば残留溶媒又は副生成物は除外される。
【0011】
百分率及び比率はすべて、特に指示しない限り、重量で計算される。百分率及び比率はすべて、特に指示しない限り、組成物全体を基準にして計算される。
【0012】
本明細書全体を通じて記載されるあらゆる最大数値限定は、それより小さいあらゆる数値限定を、それらが本明細書に明確に記載されているかのように包含することを理解すべきである。本明細書全体を通じて記載されるあらゆる最小数値限定は、それより大きいあらゆる数値限定を、そのような大きい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように包含する。本明細書全体を通じて記載されるあらゆる数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に入るそれよりも狭いあらゆる数値範囲を、そのようなより狭い数値範囲が全て本明細書に明確に記載されているかのように包含する。
【0013】
引用される全ての文献は、関連部分において、参考として本明細書に組み入れられるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に関する先行技術であるという承認として解釈されるべきではない。
【0014】
有益剤含有デリバリー粒子
本出願人らは、効果的で効率の良い有益剤デリバリーを達成するという問題が、望ましい有益剤を、組成上の特性と、物理的特性と、化学的特性との組み合わせを有する1つ以上のコーティングで被覆する場合に、経済的に受入れ可能な方式で解決できることを発見した。従って、理論に束縛されるものではないが、本出願人らは、列挙された付着仕事量および溶解率が付着効率を与え、その上、適正な組成の選択が低い有益剤損失レベルをもたらすバリア特性を提供すると考えており、このことは、有益剤放出が要求されたときにより多くの有益剤が利用できるものと解釈される。
【0015】
本出願人らの有益剤含有デリバリー粒子は、有益剤を含むコア材料と、前記コア材料の少なくとも一部を被覆するコーティングとを含んでいてよい。前記コーティングは、典型的に、少なくとも0.2ミリジュールの付着仕事量、約0.3ミリジュール〜約20ミリジュールの付着仕事量、あるいは約0.5ミリジュール〜約10ミリジュールの付着仕事量と、約80%未満、約50%未満、あるいは約20%未満の溶解率とを有する。前記有益剤含有デリバリー粒子は、典型的に、約70%未満、約50%未満、あるいは約20%未満の有益剤損失を有する。結果として、このような有益剤含有デリバリー粒子は、約80%までの有益剤デリバリー効率を有し得る。
【0016】
本出願人らの発明の一態様において、本出願人らの有益剤含有デリバリー粒子は、前記の単一のコーティングと同等の複数のコーティングを含んでいてよい。前記の複数のコーティングは、少なくとも0.2ミリジュールの総付着仕事量、約0.3ミリジュール〜約20ミリジュールの総付着仕事量、あるいは約0.5ミリジュール〜約10ミリジュールの総付着仕事量と、約80%未満、約50%未満、あるいは約20%未満の合計溶解率とを有する。
【0017】
本出願人らの発明の一態様において、前記有益剤含有デリバリー粒子のコーティングの貯蔵弾性率は、約5パスカル〜約500パスカル、約20パスカル〜約500パスカル、あるいは約25パスカル〜約125パスカルであり得る。
【0018】
本出願人らの発明の一態様において、前記有益剤含有デリバリー粒子は、界面張力比が1を超えるかまたはさらに5を超えることができるように、界面張力を有していなければならない。理論に束縛されるものではないが、前記の界面張力比は、基材が、有益剤含有デリバリー粒子を含むいずれのデリバリー媒体よりも有益剤含有デリバリー粒子を選ぶ要因となると考えられる。
【0019】
本出願人らの発明の一態様において、前記有益剤含有デリバリー粒子は、少なくとも20%、少なくとも50%、あるいは少なくとも70%の付着効率を有し得る。
【0020】
本出願人らの発明の一態様において、前記有益剤含有デリバリー粒子は、少なくとも1重量%の有益剤、約5重量%〜約85重量%、あるいは約20重量%〜約70重量%の有益剤を含むことができる。
【0021】
本出願人らの発明の一態様において、前記有益剤含有デリバリー粒子の粒径は、約12ミクロン〜約2,000ミクロン、約30ミクロン〜約100ミクロン、あるいは約45ミクロン〜約75ミクロンである。
【0022】
本出願人らの発明の一態様において、前記粒子は、染料、顔料およびこれらの混合物から選択される材料を含んでいてよい。
【0023】
本出願人らの発明の一態様において、前記コア材料は、殻および/または吸着体を備えていてよく、前記殻が存在する場合には前記有益剤の少なくとも一部が前記殻でカプセル封入されており、また吸着体が存在する場合には前記有益剤の少なくとも一部が前記吸着体に吸収されている。
【0024】
本出願人らの発明の一態様において、前記有益剤含有デリバリー粒子は、本出願人らの発明の前述の態様のパラメータのいずれの組み合わせも有していても、および/または含んでいてもよい。
【0025】
有用なコア殻材料としては、1つ以上のアミン類と1つ以上のアルデヒド類との反応生成物、例えば、ホルムアルデヒドまたはグルテルアルデヒド(gluteraldehyde)と架橋した尿素、ホルムアルデヒドと架橋したメラミン、任意にグルテルアルデヒド(gluteraldehyde)と架橋したゼラチン−ポリリン酸塩コアセルベート、ゼラチン−アラビアゴムコアセルベート、架橋シリコーン流体類、ポリイソシアネートと反応したポリアミン、並びにこれらの混合物から成る群より選択される材料が挙げられる。
【0026】
有用なコア材料吸収剤としては、吸収効率および/または吸着効率の高いアルミノケイ酸塩粒子、吸収効率および/または吸着効率の高い多孔質シリカ材料、並びにこれらの混合物から成る群より選択される材料が挙げられる。有用な吸着体材料は、典型的に、約50平方メートル/g〜約650平方メートル/gの総表面積を有する。
【0027】
有用な有益剤としては、香料類、例えば、3−(4−t−ブチルフェニル)−2−メチルプロパナール、3−(4−t−ブチルフェニル)−プロパナール、3−(4−イソプロピルフェニル)−2−メチルプロパナール、3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)−2−メチルプロパナールおよび2,6−ジメチル−5−ヘプタナール、α−ダマスコーン、β−ダマスコーン、δ−ダマスコーン、β−ダマセノン、6,7−ジヒドロ−1,1,2,3,3−ペンタメチル−4(5H)−インダノン、メチル−7,3−ジヒドロ−2H−1,5−ベンゾジオキセピン−3−オン、2−[2−(4−メチル−3−シクロヘキセニル−1−イル)プロピル]シクロペンタン−2−オン、2−sec−ブチルシクロヘキサノン、およびβ−ジヒドロイオノン、リナロール、エチルリナロール、テトラヒドロリナロール、並びにジヒドロミルセノール、シリコーンオイル類、ろう類、例えば、ポリエチレンろう類、炭化水素類、例えば、ペトロラタム、精油類、例えば、魚油類、ジャスミン、カンファー、ラベンダー、皮膚冷却剤、例えば、メントール、乳酸メチル、ビタミン類、例えば、ビタミンAおよびE、日焼け止め剤類、グリセリン、触媒類、例えば、マンガン触媒または漂白剤触媒、漂白剤粒子、例えば、過ホウ酸塩類、二酸化ケイ素粒子、制汗剤活性物質類、陽イオン性ポリマー類、例えば、ジタローオイル(ditallowoyl)エタノールエステルジメチルアンモニウムクロライド、並びにこれらの混合物から成る群より選択される材料が挙げられる。適した有益剤は、ジボダン社(Givaudan Corp.)(米国ニュージャージー州マウント・オリーブ(Mount Olive))、インターナショナル・フレーバーズ・アンド・フレグランシーズ社(International Flavors & Fragrances Corp.)(米国ニュージャージー州サウス・ブランズウィック(South Brunswick))、またはクエスト社(Quest Corp.)(オランダ、ナールデン(Naarden))から入手可能である。
【0028】
指定された付着仕事量および溶解率を有しかつ本出願人らの有益剤含有デリバリー粒子の実施態様を製造するのに有用なコーティング材料の比限定的な例には、20モル%〜70モル%加水分解されたポリビニルアルコール、架橋して完全に加水分解されたポリビニルアルコールを含むゲル(平均的な重量平均分子量40,000g/モルおよび99モル%加水分解を有するポリビニルアルコール4.88重量%、塩酸0.21重量%、115〜125重量ppmのグルテルアルデヒド(gluteraldhehyde)、および残りの水、平均的な重量平均分子量155,000g/モルおよび99モル%加水分解を有するポリビニルアルコール4.88重量%、水酸化ナトリウム0.21重量%、95〜110重量ppmの四ホウ酸ナトリウム、および残りの水)、高分子量のポリビニルピロリドン(重量平均分子量1200〜2000キロダルトン)の20重量%水溶液、または重量平均分子量1200〜2000キロダルトンのポリビニルピロリドンとポリエチレングリコール400(平均分子量400ダルトン)との、ポリビニルピロリドン15重量部対ポリエチレングリコール400 85重量部の比率の混合物、あるいは、1200〜2000キロダルトンのポリビニルピロリドンとポリエチレングリコール400との、1200〜2000キロダルトンのポリビニルピロリドン25重量部対ポリエチレングリコール400 75重量部の比率の混合物、あるいは、分子量が1200〜2000キロダルトンの範囲のポリビニルピロリドンとエトキシル化アルコールとを固形物基準で1:1の比率で含む40重量%水溶液が包含される。別の方法としては、架橋多糖類材料、例えば、ジェットクックされた(jet cooked)エチレックス(Ethylex)(商標)2065(ヒドロキシエチル化デントコーンデンプン)が、アルカリ条件下でホウ酸ナトリウムを加えられて、エチレックス(Ethylex)(商標)2065 12.7重量%、ホウ酸ナトリウム0.19重量%、水酸化ナトリウム0.46重量%および残りの水から成る典型的な組成の多糖類ゲルを形成する。別の方法としては、これらの系の混合物を利用して、指定された付着仕事量、溶解率および有益剤損失を達成することができる。このような材料は、セラニーズ・ケミカルズ社(Celanese Chemicals Corp.)(米国テキサス州ダラス(Dallas))、インターナショナル・スペシャルティ・プロダクツ社(International Specialty Products Corp.)(米国ニュージャージー州ウェイン(Wayne))、ナショナル・スターチ・アンド・ケミカル社(National Starch and Chemical Corp.)(米国ニュージャージー州ブリッジウォーター(Bridgewater))、ダウ・ケミカル社(Dow Chemical Corp.)(米国ミシガン州ミッドランド(Midland))、BASF社(BASF AG)(ドイツ、ルートヴィッヒスハーフェン(Ludwigshafen))、AEステーリー社(AE Staley Corp.)(米国イリノイ州ジケーター(Decatur))、テート・アンド・ライル社(Tate & Lyle PLC)(英国ロンドン(London))、日本合成化学(Nippon Gohsei)(日本、大阪)、シェル・ケミカルズ社(Shell Chemicals Corporation)(米国テキサス州ウェスロー(Westhollow))から入手可能である。
【0029】
指定された付着仕事量および溶解率を有し、かつバリア材料と組み合わせて、本出願人らの有益剤含有デリバリー粒子の実施態様を得ることができるコーティング材料の比限定的な例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアミノアルコール類を包含するがこれらに限定されないポリアミン類、多糖類および変性多糖類、ゲル形成タンパク質類、カルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロースのような変性セルロース類、カルボン酸含有アクリルポリマー類、ポリ尿素類、ポリウレタン類、並びにこれらの混合物から成る群より選択される材料が挙げられる。このような材料は、米国テキサス州ダラス(Dallas)のセラニーズ・ケミカルズ社(Celanese Chemicals Corp.)、米国ニュージャージー州ウェイン(Wayne)のインターナショナル・スペシャルティ・プロダクツ社(International Specialty Products Corp.)、米国デラウェア州ウィルミントン(Wilmington)のハーキュレス社(Hercules Corp.)、米国ニュージャージー州ブリッジウォーター(Bridgewater)のナショナル・スターチ・アンド・ケミカル社(National Starch and Chemical Corp.)、および米国ミシガン州ミッドランド(Midland)のダウ・ケミカル社(Dow Chemical Corp.)、並びにドイツ、ルートヴィッヒスハーフェン(Ludwigshafen)のBASF社から入手可能である。
【0030】
バリア材料としての機能を果たすことができ、そして指定された付着仕事量および溶解率を有する材料と組み合わせて、本出願人らの有益剤含有デリバリー粒子の実施態様を得ることができるコーティング材料の比限定的な例としては、ポリビニルピロリドンおよびスチレン、酢酸ビニル、イミダゾール、1級および2級アミン含有モノマー類、メチルアクリレート、ポリビニルアセタール、無水マレイン酸とポリビニルピロリドンとの種々のコポリマー類、ポリビニルアルコールおよび2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホネート、1級および2級アミン含有モノマー類、イミダゾール類、メチルアクリレートとポリビニルアルコールとの種々のコポリマー類、ポリアクリルアミド類、ポリアクリル酸類、マイクロクリスタリンろう類、パラフィンろう類、変性多糖類、例えば、ろう状のトウモロコシまたはデントコーンデンプン、オクテニルコハク酸塩デンプン類、ヒドロキシエチル化もしくはヒドロキシプロピル化デンプンのような誘導体化デンプン、カラギーナン、グアーガム、ペクチン、キサンタンガム、変性セルロース、例えば、加水分解した酢酸セルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、及び同種のもの、変性タンパク質、例えば、ゼラチン、水素化および非水素化ポリアルケン類、脂肪酸類、硬化殻、例えば、ホルムアルデヒドと架橋した尿素、ゼラチン−ポリリン酸塩、メラミン−ホルムアルデヒド、四ホウ酸ナトリウムもしくはグルテルアルデヒド(gluteraldehyde)と架橋したポリビニルアルコール、スチレン−ブタジエン、エチルセルロースなどのラテックス類、並びにこれらの混合物から成る群より選択される材料が挙げられる。このような材料は、米国カリフォルニア州サンディエゴ(San Diego)のCPケルコ社(CP Kelco Corp.)、ドイツ、デュッセルドルフ(Dusseldorf)のデグッサ社(Degussa AG)、ドイツ、ルートヴィッヒスハーフェン(Ludwigshafen)のBASF社(BASF AG)、米国ニュージャージー州クランバリー(Cranbury)のローディア社(Rhodia Corp.)、米国テキサス州ヒューストン(Houston)のベイカー・ヒューズ社(Baker Hughes Corp.)、米国デラウェア州ウィルミントンのハーキュレス社(Hercules Corp.)、カナダ、アルバータ州カルガリーのアグリウム社(Agrium Inc.)、米国ニュージャージー州ウェイン(Wayne)のインターナショナル・スペシャルティ・プロダクツ社(International Specialty Products)から入手可能である。
【0031】
染料及び顔料の非限定例としては、有機及び無機顔料、水性及びその他の溶媒可溶性染料が挙げられる。こうした染料及び顔料は、米国デラウェア州ニューポート(Newport)のチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社(Ciba Specialty Chemicals Corp.)、米国ノースカロライナ州シャーロット(Charlotte)のクラリアント社(Clariant Corp.)、及び米国サウスカロライナ州スパータンバーグ(Spartanburg)のミリケン・ケミカル社(Milliken Chemical Co.)から入手可能である。
【0032】
有益剤含有デリバリー粒子の製造方法
本出願に開示される有益剤デリバリー粒子は、本明細書に開示される教示及び例によって製造されてもよい。
【0033】
典型的に、本出願に開示される有益剤デリバリー粒子は、総付着仕事量が少なくとも0.2ミリジュール、総付着仕事量が約0.3ミリジュール〜約20ミリジュール、あるいは総付着仕事量が約0.5ミリジュール〜約10ミリジュールでかつ合計溶解率が約80%未満、50%未満、あるいは20%未満である1つ以上のコーティングを、有益剤を含んでいてよいコア材料に適用して有益剤含有デリバリー粒子を形成することによって作製されてよく、前記の1つ以上のコーティングは、有益剤損失が約70%未満、約50%未満、あるいは約20%未満の前記有益剤含有デリバリー粒子を提供するのに十分な量で適用される。
【0034】
本出願人らの発明の一態様において、前記の1つ以上のコーティングは、界面張力比が1を超え、またはさらに5を超える可能性のある界面張力を有していることがある。
【0035】
本出願人らの発明の一態様において、コーティング材料のいずれの架橋も、前記のコーティング工程の前に行われる。
【0036】
本出願人らの発明の一態様では、有益剤デリバリー粒子はコアセルベーション法で作製され、その後、任意にスプレー乾燥法を行ってよい。このような方法は、有益剤またはバリア粒子内に含まれる有益剤を接着剤コーティング材料のスラリーに分散する工程を含んでいてよい。懸濁剤(例えば、カルボキシメチルセルロース)を添加した後、非溶媒(例えば、硫酸ナトリウム)を添加することで、相分離や、分散した相への接着剤コーティング材料の沈殿が引き起こされる。得られたスラリーは、そのままで使用されても、または任意に、乾燥粒子を得るためにスプレー乾燥機内に噴霧されてもよい。
【0037】
本出願人らの発明の別の態様では、有益剤含有デリバリー粒子は押出成形法で作製される。このような方法は、二軸押出成形機または同軸押出成形機(co-extruder)内で有益剤を接着剤コーティング材料と混合してスラリーを形成し、それを金型に通過させて麺状のものを生成する工程を含んでいてよい。麺状のものは、所望の粒径の粉末へ粉砕することができる。制御放出特性を改善することができるデンプン溶融物を、混合/押出成形工程時に添加することができる。
【0038】
本出願人らの発明の別の態様では、有益剤含有デリバリー粒子はアグロメレーション法または流動床コーティング法で作製される。このようなアグロメレーション法または流動床法は、(前述のようなコアセルベーション法で作製された)接着剤コーティングされた有益剤粒子のスラリーを担体粒子の流動床へ噴霧する工程を含んでいてよい。担体粒子は、噴霧スラリー中の粒子の直径の5倍あるいは9倍の直径を有していてよい。
【0039】
本出願人らの発明の別の態様では、有益剤含有デリバリー粒子の製造中にコーティング材料を直接添加する。このような方法は、有益剤のエマルションを形成する工程、その後の、有益剤の表面に壁を付着させる工程、および反応条件を調節して前記壁材料を架橋する工程を含んでいてよい。コーティング材料を、架橋反応工程中に有益剤を含有するスラリーに添加してもよい。あるいは、コーティング材料は、有益剤含有粒子の最終製造段階において、コーティング材料を有益剤含有デリバリー粒子の表面に共有結合し得る剤と共に添加されてもよい。理論に束縛されるものではないが、このような添加形態は、コーティング材料の溶解を最小限に抑えて、また粒子のデリバリー効率を達成するのに必要なコーティング材料の量をも実質的に低減すると考えられる。
【0040】
本出願人らの発明の一態様では、前記の有益剤含有デリバリー粒子は、前述のプロセス工程のいずれの組み合わせをも用いて製造されてよい。
【0041】
本明細書に開示されるプロセスで使用するのに適した装置は、パドルミキサー、プローシェア(ploughshare)ミキサー、リボンブレンダー、垂直軸造粒機及びドラムミキサー(両方ともバッチ式であり、利用可能な場合は連続プロセスの形状のもの)、スプレー乾燥機、並びに押出成形機を挙げることができる。このような装置は、ローディヒ社(Lodige GmbH)(ドイツ、パダーボーン(Paderborn))、リトルフォード・デイ社(Littleford Day, Inc.)(米国ケンタッキー州フローレンス(Florence))、フォルベルク社(Forberg AS)(ノルウェー、ラルビク(Larvik))、グラット・インゲニュールテクニーク社(Glatt Ingenieurtechnik GmbH)(ドイツ、ワイマール(Weimar))、ニロ(デンマーク、ソボー(Soeborg))、ホソカワ・ベペックス社(Hosokawa Bepex Corp.)(米国ミネソタ州ミネアポリス)から入手できる。
【0042】
有益剤含有デリバリー粒子を含む組成物
本発明の組成物は、本出願に開示される有益剤含有デリバリー粒子の実施形態を含んでいてよい。用いられる有益剤含有デリバリー粒子の正確な濃度は、前記組成物の種類および最終用途に左右されるが、本出願人らの発明の一態様では、洗浄組成物は、洗浄組成物の総重量に対して約0.01重量%〜約10重量%、約0.1重量%〜約3重量%、または約0.5重量%〜約1.5重量%の有益剤含有デリバリー粒子を含んでいてよい。本出願人らの発明の一態様では、布地処理組成物は、約0.01重量%〜約10重量%、約0.1重量%〜約3重量%、あるいは約0.5重量%〜約1.5重量%の有益剤含有デリバリー粒子を含んでいてよい。
【0043】
本明細書に開示される洗浄組成物は、通常、水性洗浄操作での使用中に、洗浄水のpHが約6.5〜約12、又は約7.5〜10.5となるように配合される。液体食器洗浄製品の配合物は、典型的には約6.8〜約9.0のpHを有する。洗浄製品は、通常、約7〜約12のpHを有するように配合される。推奨使用濃度でのpHを制御する技術には、緩衝剤、アルカリ類、酸類などの使用が挙げられ、当業者には周知である。
【0044】
補助剤物質
本発明の目的には必須でないが、以下に例示される補助剤の非限定的なリストは、当該組成物において使用するのに適しており、そして例えば、性能を補助若しくは向上させるために、洗浄されるべき基材の処理のために、又は香料、着色剤、染料などを用いる場合のように洗浄組成物の審美性を変化させるために、望ましくは本発明の特定の実施形態に組み込まれてよい。こうした補助剤は、本出願人らのデリバリー粒子を介して供給される構成成分に追加されると理解される。このような追加的成分の明確な性質、及びそれを組み込む濃度は、組成物の物理的形態及び使用されるべき洗浄作業の性質に依存する。適した補助剤物質としては、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染防止剤、分散剤、酵素、及び酵素安定剤、触媒物質、漂白活性化剤、ポリマー分散剤、粘土汚れ除去/再付着防止剤、光沢剤、泡抑制剤、染料、香料、構造弾性化剤、布地柔軟化剤、キャリア、向水性物質、加工助剤、及び/又は顔料が挙げられるが、これらに限定されない。下記の開示に加え、このようなその他の補助剤の適した例及び使用濃度は、米国特許第5,576,282号、米国特許第6,306,812B1号及び米国特許第6,326,348B1号に見出され、これらを本明細書に参考として組み込む。
【0045】
上述のように、補助剤成分は、本出願人らの洗浄及び布地ケア組成物には必須ではない。従って、本出願人らの洗浄及び布地ケア組成物の特定の実施形態は、以下の補助剤物質の1つ以上を含有しない。漂白活性化剤、界面活性剤、ビルダー、キレート化剤、移染防止剤、分散剤、酵素、及び酵素安定剤、触媒金属錯体、ポリマー分散剤、粘土および汚れ除去/再付着防止剤、光沢剤、泡抑制剤、染料、香料、構造弾性化剤、布地柔軟化剤、キャリア、向水性物質、加工助剤及び/又は顔料。しかし、1つ以上の補助剤が存在する場合、このような1つ以上の補助剤は、以下に詳細に記載されるように存在してもよい。
【0046】
界面活性剤 − 本発明による洗浄組成物および布地ケア組成物は、界面活性剤又は界面活性剤系を含むことができ、その際、前記界面活性剤は、非イオン性及び/若しくは陰イオン性及び/若しくは陽イオン性界面活性剤並びに/又は両性及び/若しくは又は双極性イオン性及び/若しくは半極性非イオン性界面活性剤から選択できる。
【0047】
界面活性剤は、典型的には洗浄組成物の約0.1重量%から、好ましくは約1重量%から、より好ましくは約5重量%から、洗浄組成物の約99.9重量%まで、好ましくは約80重量%まで、より好ましくは約35重量%まで、最も好ましくは約30重量%までの濃度で存在する。
【0048】
ビルダー − 本発明の洗浄組成物および布地ケア組成物は、1つ以上の洗剤ビルダーまたはビルダー系を含むことができる。存在する場合、組成物は典型的に、少なくとも約1重量%のビルダー、好ましくは約5重量%から、より好ましくは約10重量%から約80重量%まで、好ましくは約50重量%まで、より好ましくは約30重量%までの洗剤ビルダーを含む。
【0049】
ビルダーとしては、ポリリン酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩及びアルカノールアンモニウム塩、ケイ酸アルカリ金属塩類、炭酸アルカリ土類及びアルカリ金属塩類、アルミノケイ酸塩ビルダー類、ポリカルボキシレート化合物類、エーテルヒドロキシポリカルボキシレート類、無水マレイン酸とエチレン又はビニルメチルエーテルとのコポリマー、1,3,5−トリヒドロキシベンゼン−2,4,6−トリスルホン酸、及びカルボキシメチルオキシコハク酸、エチレンジアミン四酢酸及びニトリロ三酢酸のようなポリ酢酸類の様々なアルカリ金属塩、アンモニウム塩及び置換アンモニウム塩、およびメリト酸、コハク酸、オキシジコハク酸、ポリマレイン酸、ベンゼン1,3,5−トリカルボン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸のようなポリカルボキシレート類、並びにこれらの可溶性塩類が挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
キレート化剤 − 本明細書中の洗剤組成物及び布地ケア組成物は、任意に1つ以上の銅、鉄及び/又はマンガンキレート化剤を含有してもよい。
【0051】
利用される場合、これらのキレート化剤は、一般に、本明細書中の洗浄組成物の約0.1重量%〜約15重量%まで、より好ましくは本明細書中の洗浄組成物の約3.0重量%〜約15重量%までを構成する。
【0052】
移染防止剤 − 本発明の洗剤組成物及び布地ケア組成物は、1つ以上の移染防止剤類を包含してもよい。適した高分子移染防止剤には、ポリビニルピロリドンポリマー類、ポリアミンN−オキシドポリマー類、N−ビニルピロリドンとN−ビニルイミダゾールとのコポリマー類、ポリビニルオキサゾリドン類及びポリビニルイミダゾール類、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
本明細書の洗浄組成物中に存在する場合、移染防止剤は、前記洗浄組成物の約0.0001重量%から、より好ましくは約0.01重量%から、最も好ましくは約0.05重量%から、前記洗浄組成物の約10重量%まで、より好ましくは約2重量%まで、最も好ましくは約1重量%までの濃度で存在する。
【0054】
分散剤 − 本発明の洗剤組成物及び布地ケア組成物は、分散剤を含有することもできる。適した水溶性有機物質類は、ホモポリマー又はコポリマーの酸類又はそれらの塩類であり、それらのうちのポリカルボン酸は、互いに炭素原子2個を超えない程度に離れている少なくとも2個のカルボキシルラジカルを含み得る。
【0055】
酵素 − 洗剤組成物及び布地ケア組成物は、洗浄性能及び/又は布地ケア効果を提供する1つ以上の洗剤酵素を含むことができる。適した酵素の例としては、ヘミセルラーゼ類、ペルオキシダーゼ類、プロテアーゼ類、セルラーゼ類、キシラナーゼ類、リパーゼ類、ホスホリパーゼ類、エステラーゼ類、クチナーゼ類、ペクチナーゼ類、ケラタナーゼ類、レダクターゼ類、オキシダーゼ類、フェノールオキシダーゼ類、リポキシゲナーゼ類、リグニナーゼ類、プルラナーゼ類、タンナーゼ類、ペントサナーゼ類、マラナーゼ類、β−グルカナーゼ類、アラビノシダーゼ類、ヒアルロニダーゼ類、コンドロイチナーゼ類、ラッカーゼ類、及びアミラーゼ類、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。代表的な組み合わせは、プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ、及び/又はセルラーゼのような従来の適用可能な酵素をアミラーゼと組み合わせた混液である。
【0056】
酵素安定剤 − 種々の技法によって、洗剤で使用する酵素を安定化させることができる。本明細書に用いられる酵素は、カルシウムイオン及び/又はマグネシウムイオンを酵素に供給する、最終組成物中のカルシウム及び/又はマグネシウムイオンの水溶性供給源の存在によって安定化させることができる。
【0057】
触媒作用性金属錯体 − 本出願人らの洗浄組成物および布地ケア組成物は、触媒作用性金属錯体を包含してよい。金属含有漂白剤触媒の1つの種類は、銅、鉄、チタン、ルテニウム、タングステン、モリブデン、又はマンガンの陽イオンのような、限定された漂白剤触媒活性の遷移金属陽イオン、亜鉛又はアルミニウムの陽イオンのような、漂白剤触媒活性をほとんど又は全くもたない補助金属陽イオン、並びに触媒作用性金属および補助金属の陽イオンに対して限定された安定度定数を有する金属イオン封鎖剤、特にエチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)及びそれらの水溶性の塩類を含む触媒系である。このような触媒は、米国特許第4,430,243号(ブラッグ(Bragg)、1982年2月2日発行)に開示されている。
【0058】
所望する場合、本明細書の組成物はマンガン化合物を用いて触媒作用され得る。このような化合物及び使用濃度は当該技術分野において周知であり、例えば、米国特許第5,576,282号(ミラクル(Miracle)ら)に開示されているマンガン系触媒が挙げられる。
【0059】
本明細書で有用なコバルト漂白剤触媒は既知であり、例えば、米国特許第5,597,936号(パーキンス(Perkins)ら、1997年1月28日発行)、米国特許第5,595,967号(ミラクル(Miracle)ら、1997年1月21日発行)に記載されている。このようなコバルト触媒は、例えば米国特許第5,597,936号及び米国特許第5,595,967号に教示されているような、既知の手順によって容易に調製される。
【0060】
本明細書の組成物はまた、大多環状の剛性配位子、「MRL」と省略される、の遷移金属錯体を適切に包含してもよい。実用的な事柄として、限定する目的ではないが、本明細書の組成物及び洗浄方法は、水性洗浄媒体において少なくとも1億分の1のオーダーの有益剤MRL種を提供するように調整することができ、好ましくは、約0.005ppm〜約25ppm、より好ましくは約0.05ppm〜約10ppm、最も好ましくは約0.1ppm〜約5ppmの前記MRLを洗浄溶液中に提供する。
【0061】
当該遷移金属漂白剤触媒中の好ましい遷移金属には、マンガン、鉄、及びクロムが挙げられる。本明細書における好ましいMRLは、架橋した特定の種類の超剛性配位子、例えば、5,12−ジエチル−1,5,8,12−テトラアザビシクロ[6.6.2]ヘキサデカンである。
【0062】
適した遷移金属MRLは、例えばPCT国際公開特許WO 00/332601及び米国特許第6,225,464号に教示されているような既知の手順によって容易に調製される。
【0063】
洗浄組成物の製造及び使用方法
本発明の洗浄組成物および布地ケアは、配合者によって選択されるいずれの適した形態にも配合することができ、及び配合者によって選択されるいずれか方法によっても調製することができ、それらの非限定例は、米国特許第5,879,584号(ビアンケッティ(Bianchetti)ら、1999年3月9日発行)、米国特許第5,691,297号(ナサノ(Nassano)ら、1997年11月11日発行)、米国特許第5,574,005号(ウェルチ(Welch)ら、1996年11月12日発行)、米国特許第5,569,645号(ディニウェル(Dinniwell)ら、1996年10月29日発行)、米国特許第5,565,422号(デル・グレコ(Del Greco)ら、1996年10月15日発行)、米国特許第5,516,448号(カペシ(Capeci)ら、1996年5月14日発行)、米国特許第5,489,392号(カペシ(Capeci)ら、1996年2月6日発行)、米国特許第5,486,303号(カペシ(Capeci)ら、1996年1月23日発行)に記載されており、これらをすべて本明細書に参考として組み込む。
【0064】
使用方法
本明細書に開示する有益剤デリバリー粒子を含有する組成物は、ある場所、とりわけ表面または布地を洗浄または処理するのに使用することができる。通常、前記場所の少なくとも一部は、希釈されない形態又は希釈された液体、例えば洗浄液の、本出願人らの組成物の実施形態と接触され、そしてその後、任意に、その場所が洗浄及び/又はすすぎ洗いされてもよい。本発明の趣旨上、洗浄することは、擦ること及び機械的攪拌を包含するが、これらに限定されない。布地には、通常の消費者の使用条件で洗濯または処理することが可能なほとんどいかなる布地が含まれていてもよい。開示される洗浄組成物または布地ケア組成物を含み得る液体のpHは、約3〜約11.5までであってよい。こうした組成物は、典型的には溶液中で約500ppm〜約15,000ppmの濃度で使用される。洗浄溶媒が水である場合、水の温度は、通常約5℃〜約90℃であり、前記場所が布地を含む場合、水と布地との割合は、通常約1:1〜約30:1である。
【0065】
試験方法
本出願の試験方法の項で開示される試験方法は、本出願人らの発明が本明細書に記載および特許請求されているように本出願人らの発明のパラメータの各値を求めるために使用されるものと理解される。
【0066】
1.)付着仕事量試験:基材と接着剤コーティング材料との間の接着結合を破壊するのに要するエネルギーの測定。
a.)試験すべき材料10gを入手する。かかる材料10gは希釈されていないものであるべきである。例えば、かかる材料が溶媒を含む場合、非結合の溶媒は試験前に材料から分離されなければならない。
b.)テクスチャー・テクノロジーズ社(Texture Technologies)から入手可能なTA X2プラス・テクスチャー・アナライザ(TA X2 Plus Texture Analyzer)を用いて、以下のようにして付着仕事量を測定する:材料サンプル10gを、直径5.08cm(2インチ)の4オンス円筒形ガラスジャーに入れる。次いで、前記ジャーをテクスチャー・アナライザ装置の試験スタンドに配置する。試験条件は以下の通りである。
(i)プローブ:直径5mmの球形ステンレス鋼であって、濡れたポリコットン中敷(脱イオン水で1分間湿らせた綿50%およびポリエステル50%の布)で覆われたもの。
(ii)基材と接着剤との接触時間:90秒
(iii)布地で覆われたプローブの接着剤サンプル中への侵入速度:0.5mm/秒
(iv)引き上げ速度:10mm/秒
(v)適用される力:試験しようとするサンプルの少なくとも5mm内部にプローブがあるほど十分に高い適用される力であって、通常は0.02N
(vi)温度:22〜24℃
c.)力に対してプローブが移動する距離をプロットする−付着仕事量は、ミリジュールで報告され、前記の力対距離曲線より下方の面積である。
【0067】
2.)貯蔵弾性率試験
a.)試験しようとする材料10gを入手する。かかる材料10gは希釈されていないものであるべきである。例えば、かかる材料が溶媒を含む場合、非結合の溶媒は試験前に材料から分離されなければならない。
b.)貯蔵弾性率(G’)を、等温冷媒循環器(Isotemp Refrigerant Circulator)(フィッシャー・サイエンティフィック社(Fisher Scientific)、米国ペンシルバニア州ピッツバーグ(Pittsburgh))と接続したカリ・メドCSL 2−100(Carri Med CSL 2-100)レオメーター(TAインスツルメンツ社(TA Instruments)、米国デラウェア州ニューキャッスル(New Castle))を使用する振動流量計(oscillatory rheometry)を用いて以下の設定パラメータで測定する。
(i)プローブ:4センチメートル、2度の鋼製錐体構造物
(ii)サンプルとプローブとの間のギャップ 52マイクロメートル
(iii)振動数=1.0Hz、剪断応力=10パスカル
(iv)温度20℃
(v)試験時間=30秒
c.)前記機器で報告される貯蔵弾性率を記録する。
【0068】
3.)溶解率試験、有益剤損失試験
a.)有益剤含有デリバリー粒子5.0gを脱イオン水500gに添加する。
b.)前記スラリーを、コール・パーマー社(Cole Parmer Inc.)から入手される3ブレードタービン攪拌器(2.54cm(1インチ)ピッチのブレード)を用いて80RPMで20℃において30分間攪拌する。
c.)スラリーを、0.45ミクロンのテフロンシリンジフィルター(直径25mm、有効濾過面積3.9cm、作動圧力410kPa(4.1バール)、ポリプロピレンハウジング)に通過させて濾過する。
(i)液状の透過残物(liquid retentate)中での接着剤コーティング材料濃度(重量%)を±10%の精度で求める。
(ii)以下の式によって溶解%を算出する。
【数1】

【0069】
4.)有益剤損失試験。
a.)有益剤含有デリバリー粒子5.0gを脱イオン水500gに添加する。
b.)前記スラリーを、3ブレードタービン攪拌器(2.54cm(1インチ)ピッチのブレード)を用いて8.378rad/s(80RPM)で20℃において30分間攪拌する。
c.)スラリーを、0.45ミクロンのテフロンシリンジフィルター(直径25mm、有効濾過面積3.9cm、作動圧力410kPa(4.1バール)、ポリプロピレンハウジング)に通過させて濾過する。
(i)液状の透過残物(liquid retentate)中の有益剤濃度(重量%)を±10%の精度で求める。(例えば、香料が有益剤である場合、ガスクロマトグラフィー/質量分析法を用いて濃度を求めてよい。GC条件(炎イオン化検出器を有し、毛管G.C.用の分割インジェクターおよびミリポア・ミレニアム・データシステム、G.C.カラムを備えた、ヒューレット・パッカード(Hewlett Packard)5890モデルII。溶融石英、30m長×内径0.32mm、DB−5固定相 厚さ0.25マイクロメートルでコーティングされたもの)。
【表1】

d.)以下によって有益剤損失%を算出する:
【数2】

【0070】
5.)付着効率試験:この試験には3つの工程が含まれる。第1の工程は、トレーサ(例えば、利用される布地または洗浄組成物上に存在しない成分)を用いて有益剤コーティングされた粒子を調製することである。第2工程は、既知の量の有益剤含有粒子を洗浄工程に加えて洗浄試験を行った後、基材を十分に乾燥することである。第3工程は、洗浄した基材の代表サンプルを採集して、元素組成を測定することである。洗浄法は、供給される有益に基づいて異なっていてよい、しかしながら、これら工程を説明する実例の洗濯法について以下に記載する。
a.)トレーサを用いて有益剤含有デリバリー粒子の調製:UOP LLC社から供給されるゼオライト13Xを、前記粒子の10重量%の濃度で粒子調製プロセスに混入する(このゼオライト中、アルミニウム15重量%、ケイ素27重量%)。あるいは、コロイド状シリカ分散体(米国メリーランド(Maryland)のグレース・デービソン社(Grace Davison)からのルドックス(Ludox)HS−30)を前記粒子の10重量%の濃度で混入することもできる。
b.)有益剤含有デリバリー粒子2.5gを、直径が25.4cm(10インチ)および高さが21.59cm(8.5インチ)の洗濯機であって、直径3.81cm(1.5インチ)、高さ24.13cm(9.5インチ)および底面15.24cm(6インチ)の攪拌器を有する洗濯機に添加することによって、洗濯洗浄試験を行う。洗濯機は、32℃における脱イオン水7リットルと7枚の綿パイル布地(ポリコットン86%、ポリエステル14%のインド、シララ・エキスポーツ社(Silara Exports Ltd)製のユーロソフト(EuroSoft)ブランド綿パイル生地から構成される、30.48×30.48cm(12インチ×12インチ)洗浄タオル)とで満たされている。(ゼオライトを含まないこと以外は)実施例11に挙げるものと同様の組成を有する粉末洗剤を洗濯機に添加する。洗浄サイクルは以下から成る。8.378rad/s(80RPM)攪拌での洗浄12分、脱水サイクル2分、16℃での水を用いたすすぎ洗いサイクル2分、その後の脱水サイクル2分。その後、布地をタンブラー式乾燥機で45分間機械乾燥する。
c.)有益剤含有デリバリー粒子を用いて、少なくとも3回の別個の洗浄試験を行わなければならない。6つの代表的な布地材料見本(各0.50g)を採集する。布地を硝酸とフッ酸を用いて蒸解する。布地0.50gに濃硝酸10.00mLおよびフッ酸0.200mLを添加する。サンプルは、以下の4サイクルプログラムを使用するイートス・プラス・マイクロウェーブ・ラブステーション(Ethos Plus Microwave Labstation)(米国コネチカット州モンローのマイルストーン社(Milestone, Inc.)製)を用いて蒸解する。85℃において最高出力700ワットで3分、145℃において最高出力500ワットで9分、200℃において最高出力1000ワットで4分、200℃において最高出力1000ワットで14分。
d.)次いで、蒸解した布地を、脱イオン水を用いて50対1に希釈する。希釈したスラリーをパーキン・エルマー・オプティマ(Perkin Elmer Optima)4300DVスペクトロメーター(パーキン・エルマー社(Perkin Elmer)、米国イリノイ州シカゴ(Chicago))に供給して、以下の機器設定で所望の元素(ケイ素、アルミニウム)を分析する。プラズマ15リットル/分、補助装置(Auxilary)0.5リットル/分、噴霧器0.8リットル/分、出力1400ワット、観察距離15ミリメートル、軸方向プラズマ観察、蠕動ポンプからの1.50ミリリットル/分のスラリー流による湿潤エアゾール分析、洗い流し時間20秒、サンプル10個毎に品質管理チェックを行う。
e.)機器によって報告される、報告された基材1g当たりの元素(マイクログラム)は、対照布地(添加されるゼオライトの量 ゼロ)の元素組成を先ず差し引き、次に、洗濯機に添加される布地の全質量(260g)を報告された数に乗じた後、洗濯機に添加される元素の量(ゼオライト13X 1g中、アルミニウム0.15g、およびケイ素0.27g)で割り、最後に、100を乗じて、百分率としての付着効率を得ることによって、付着効率に換算する。
【0071】
6.)コア材料吸収剤(BET)表面積測定
コア材料吸収剤の表面積は、米国化学会誌(Journal of the American Chemical Society)、第60巻、1938年、309頁に見出される(BET)表面積測定実験記録に従って求める。
【0072】
7.)界面張力および界面張力比:有益剤含有デリバリー粒子と当該有益剤含有デリバリー粒子が適用される基材の接触角を別々に、クルス(Kruss)K100張力計を用いて、以下のことを除いて、ワッシュバーン法(Washburn Method)(ワッシュバーン(Washburn)E.W.、フィジカル・レヴュー(Phys. Rev.)、17巻、374項、1921年)に記載の実験記録により測定する。
a.)有益剤含有デリバリー粒子:0.45ミクロン濾紙をクルス(Kruss)のサンプルホルダーFL12の底に配置する。既知の質量の粉末をFL12に添加して、別の濾紙を前記粉末の上に乗せる。次いで、サンプルホルダーのピストンをねじって締める。ピストンスクリューの最後の回転時に抵抗があるほど十分な質量の粒子がなければならない。
b.)基材:基材を脱イオン水で飽和させた直後に、かかる基材の接触角を測定する。
【0073】
基材と有益剤含有デリバリー粒子を調製した時点で、張力計を用いて、有益剤含有デリバリー粒子および基材サンプルの3つの別個の試験流体(ヘキサン、エチレングリコールおよびジヨードメタン)に対する接触角を評価する。接触角データと、プローブ流体の表面張力の既知の極性および分散構成成分とから、フォークス方程式(フォークス(Fowkes)F.M.、工業化学および化学工学(Industrial and Engineering Chemistry)、第56巻、第12号、40頁、1964年)を用いて、基材と有益剤含有デリバリー粒子の極性および分散構成成分を計算する。グッド方程式(グッド(Good)R.J.、グリファルコ(Grifalco)L.A.、物理化学会誌(J. Phys. Chem.)、第64巻、561頁、1960年)を用いて、脱イオン水で濡らした基材の界面張力と有益剤含有デリバリー粒子の界面張力を計算する。
【0074】
界面張力比は、以下のように定義される。
基材の界面張力
有益剤含有デリバリー粒子の界面張力
【実施例】
【0075】
実施例1.接着剤コーティング材料の調製
粒状ポリビニルアルコール100gを脱イオン水900gに、最初は95℃において、ウルトラ・トゥラックス(Ultra Turrax)T−25ミキサーを1989.68rad/s(19000RPM)で10分間用いて溶解して、清澄な溶液を得ることによって、ポリビニルアルコールの10重量%溶液を作製する。前記溶液を30℃まで冷却させ、50重量%グルテルアルデヒド(gluteraldehyde)(マリンクロット・ベーカー社(Mallinkrodt Baker)、ニュージャージー州フィリップスバーグ(Phillipsburg))架橋剤1.08gを前記混合物に加え、その後、2.0M HCl 23.0gを加えて、pH3の最終溶液を生成する。前記溶液を接着剤ゲル配合のために一晩静置する。
【0076】
実施例2:有益剤含有デリバリー粒子の製造方法(有益剤+接着剤コーティング)
セルボル(Celvol)107(セラニーズ・ケミカルズ社(Celanese Chemicals)、テキサス州ダラス(Dallas))を用いて製造した実施例1の接着剤ゲル163gに、脱イオン水152gを加える。相分離した分散体をウルトラ・トゥラックス(Ultra Turrax)ミキサーを用いて混合して、均質な分散体を生成する。1重量%アクアロン(Aqualon)カルボキシメチルセルロース7M8SFPH溶液(ハーキュリーズ社(Hercules, Inc.)、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington))158gを前記スラリーに加える。香料77gを、前記混合物に攪拌しながら加えて、おおよその平均粒径が10マイクロメートルのエマルションを形成する。分散した油相へのポリビニルアルコールの沈降を開始するために、前記エマルションに20重量%硫酸ナトリウム溶液(プライア・ケミカル社(Prior Chemical Corporation)、ニューヨーク州ニューヨーク(New York))53gを滴下する。
【0077】
実施例3:有益剤含有デリバリー粒子の製造方法(有益剤+接着剤コーティング+バリアコーティング)
実施例2のスラリー化した接着剤コーティングされた有益剤粒子602gに、マルトデキストリンCR−10(アーチャー・ダニエルズ・ミッドランド(Archer Daniels Midland)、イリノイ州ジケーター(Decatur))の50重量%溶液90gを加える。前記混合物を、直径2インチの回転軸アトマイザで操作する並流ニロ(Niro)直径3フィートのスプレー乾燥機を用い、以下の操作条件でスプレー乾燥する。吸気温度200℃、出口温度95℃〜98℃、空気流量80kg/hr、ディスク速度3141.59rad/s(30,000RPM)、および乾燥機作動圧力−200mmHO。乾燥機から採集される粒子の平均粒径は、50マイクロメートルである。
【0078】
実施例4:有益剤含有デリバリー粒子の製造方法(有益剤+バリアコーティング+接着剤コーティング)
セルボル(Celvol)107(セラニーズ・ケミカルズ社(Celanese Chemicals)、テキサス州ダラス)を用いて製造した実施例1の10重量%ゲル158gに水160gを加えて、ローター−ステーター・ウルトラ・トゥラックス(Ultra Turrax)T25ミキサーを用いてゲルを均質に分散させる。1重量%カルボキシメチルセルロース7M8SFPH(ハーキュリーズ社(Hercules, Inc.)、デラウェア州ウィルミントン)158gを分散した接着剤に加えた後、PMUカプセル(アベカ社(Aveka, Inc.)、ミネソタ州ウッドベリー(Woodbury))77gを添加する。カプセルは、直径が約50マイクロメートルであり、80重量%の芳香剤油コアと20重量%の尿素−ホルムアルデヒド壁を含有する。攪拌しながら、硫酸ナトリウムの20重量%溶液(プライア・ケミカル社(Prior Chemical Corporation)、ニューヨーク州ニューヨーク(New York))53gを滴下して、PMU粒子への接着剤の相分離を引き起こす。内容物をスプレー乾燥させると、採集される粒子の平均粒径が70マイクロメートルであることが分かる。
【0079】
実施例5:有益剤粒子の製造方法
実施例2の粒子において、ルドックス(Ludox)HS−30コロイド状シリカ(グレース・デービソン社(Grace Davison)、テネシー州チャタヌーガ(Chattanooga))150gを加えることだけを変更し、スラリーは、実施例3で使用したのと同じ条件を用いてスプレー乾燥させる。
【0080】
実施例6:有益剤粒子の製造方法
実施例3の粒子において、スプレー乾燥する前にルドックス(Ludox)HS−30コロイド状シリカ(グレース・デービソン社(Grace Davison)、テネシー州チャタヌーガ(Chattanooga))150gを加えることだけを変更する。
【0081】
実施例7:有益剤粒子の製造方法
実施例4の粒子において、スプレー乾燥する前にルドックス(Ludox)HS−30コロイド状シリカ(グレース・デービソン社(Grace Davison)、テネシー州チャタヌーガ(Chattanooga))150gを加えることだけを変更する。
【0082】
実施例8:ゼオライトキャリア内にカプセル封入されて、押出成形によって接着剤でコーティングされた有益剤
芳香剤油16gをゼオライト13X(UOP LLC、イリノイ州デス・プレーンズ(Des Plaines))64gに噴霧し、この粉末を、シグマ・アルドリッチ(Sigma Aldrich)のポリビニルアルコール(31000〜50000g/モル、99モル%加水分解したもの)を用いて作製した実施例1のゲル206gに加えて、内容物を押出成形して麺状のものを生成する。前記の麺状のものを室温で一晩乾燥させる。硬化した材料をコーヒーグラインダーを用いて微粉末に粉砕する。粒子を篩い分けして、75マイクロメートル未満の画分を採集する。
【0083】
実施例9.接着剤でコーティングされ、さらにバリア材料でコーティングされたゼオライト
実施例8の75マイクロメートル未満の粒子を、HICAP 100変性デンプン(ナショナル・スターチ・アンド・ケミカル(National Starch & Chemical)、ニュージャージー州ブリッジウォーター(Bridgewater))の25重量%水溶液267gに加えて、並流ニロ(Niro)乾燥機を用いて実施例3と同じ条件下でスプレー乾燥させる。
【0084】
実施例10.洗浄組成物中に香料を混入するアグロメレーション法
スプレー乾燥させる前に実施例4のスラリー4.0gを、硫酸マグネシウム10gと、トリポリリン酸ナトリウム89gと、ポリアクリル酸ナトリウム1.0gとの混合物を含有するフードプロセッサーに滴下する。このような材料は、アルドリッチ社(Aldrich)(米国ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee))およびBASF社(BASF AG)(ドイツ、ルートヴィッヒスハーフェン(Ludwigshafen))から入手可能である。
【0085】
実施例11:有益剤含有デリバリー粒子を含有する洗浄組成物。
前述の実施例の粒子を、香料を含有しないドライ洗濯洗剤粉末に、当該洗剤粉末の0.30重量%、当該洗剤粉末の0.15重量%および当該洗剤粉末の0.075重量%の濃度で加えることで、以下の処方を有する洗浄組成物が得られる。
【表2】

【0086】
実施例12:ポリジメチルシロキサン(0.6m/s(600,000センチストークス)流体、ダウ・ケミカル社(Dow Chemical)、米国ミズーリ州ミッドランド(Midland))の70重量%エマルション64gを、7M8SFPHカルボキシメチルセルロース(ハーキュレス社(Hercules Corp.)、米国デラウェア州ウィルミントン(Wilmington))の1重量%溶液60gと、ルドックス(Ludox)HS−30コロイド状シリカ(グレース・デビソン社(Grace Davison)、テネシー州チャタヌーガ(Chattanooga))15gとを含む混合物に添加する。ポリビニルアルコールの5重量%ゲル100g(5重量%PVOH水溶液97.946g+50重量%グルテルアルデヒド(gluteraldehyde)0.054g+2.0M HCl 2.0g)を前記混合物に加え、ウルトラ・トゥラックス(Ultra Turrax)T−25ミキサー(ダイブテック社(DivTech, Inc))を用いて1361.36rad/s(13,000RPM)で激しく攪拌する。20重量%硫酸ナトリウム溶液25gを、3−ブレード攪拌器(ラボレテクニーク(Laboretechnik)IKAミキサー)を用いて115.19rad/s(1100RPM)で攪拌しながら、前記混合物に3分かけて加える。次に、ポリジメチルシロキサンスラリー2.9gを短時間の洗浄(miniwash)サイクルに加えて、綿パイル布地を分析して、布地に対するシリコーンの付着効率を求める。ポリジメチルシロキサンスラリーの蒸解は、スラリー中の2.46重量%ケイ素元素を示唆する。付着結果は、布地1グラム当たり平均247マイクログラムの布地上のケイ素、または添加されるシリコーンの89%付着を示唆する。対照試料(上述のポリジメチルシロキサンスラリーと同一であるが、ポリビニルアルコールゲルが添加されていない)は、1グラム当たり52マイクログラムの布地上のケイ素を示す。
【0087】
実施例13:ルビスコール(Luviskol)K−90ポリマー(BASF、ドイツ)10.0gを、4オンスのガラスジャー内のポリエチレングリコール400(ダウ・ケミカル(Dow Chemical)、ミズーリ州ミッドランド(Midland))40gに加える。内容物を80℃で一晩加熱して、透明な混合物を得る。前記試料の付着仕事量は、TA X2プラス・テクスチャー・アナライザー(TA X2 Plus Texture Analyzer)(テクスチャー・テクノロジーズ社(Texture Technologies)、ニューヨーク州スカーズデール(Scarsdale))を用いて測定され、決定して、付着仕事量7.6ミリジュールを得る。
【0088】
実施例14:陰イオン性に変性されたポリビニルアルコール(日本合成化学(Nippon Gohsei)、日本)50gを、ウルトラ・トゥラックス(Ultra Turrax)T−25ミキサーを用いて1989.68rad/s(19,000RPM)で攪拌しながら脱イオン水450gに60℃で加える。前記分散体を、60℃で2時間脱気させる。前記のポリビニルアルコールの溶液に、10重量%グルテルアルデヒド(gluteraldehyde)溶液1.25gを加えた後、2.0M HCl 12gを攪拌しながら添加する。この溶液を一晩放置する。別のビーカー内で、尿素7g、レゾルシノール(アルドリッチ社(Aldrich)、米国ウィスコンシン州)0.5gおよび塩化アンモニウム0.4gを脱イオン水90gに溶解する。次に、ルドックス(Ludox)HS−30シリカ(グレース・デービソン(Grace Davison)、米国メリーランド(Maryland))20gを加える。その後、β−イオノン(フィルメニヒ(Firmenich)、米国ニュージャージー(New Jersey))80gを均質な溶液に(3−ブレード、ピッチ付きタービン攪拌器IKAラボレテクニーク(Laboretechnik)、31.42rad/s(300RPM)で)攪拌しながら加えて、β−イオノンを乳化する。このスラリーのpHは、2.0M HClを用いて3.0に調節する。ビーカーを、70℃に維持された一定温度の浴槽に入れる。37重量%ホルムアルデヒド溶液18gを、31.42rad/s(300RPM)で攪拌しながらβイオノンエマルションに加える。70℃で1時間反応した後、架橋ポリビニルアルコールの9.7重量%溶液94gを反応ビーカーに加える。内容物を70℃で更に2時間反応させる。最終スラリーは、その後、並流ニロ(Niro)スプレー乾燥機(直径3フィート、入口温度200℃、出口温度95℃、空気72kg/hr、3141.59rad/s(30000RPM)で回転する直径2インチの遠心性回転軸アトマイザ)を用いてスプレー乾燥させて、38〜75マイクロメートル寸法の粒子を回収する。得られた有益剤含有デリバリー粒子を、本明細書に記載の付着試験法に従って、綿パイル布地に対する付着について試験する。得られた付着効率は47%である。
【0089】
実施例15:以下の反応を、溶媒を用いずに行う。ポリエチレンイミンであるルパゾール(Lupasol)WF 3.32gに、エポキシドデナコール(Denacol)EX141 1.96gを添加する。混合物を、ウルトラトゥラックス(Ultraturrax)ミキサーを用いて1分間攪拌し、その後、混合物の温度を約60℃で約12時間維持する。高粘稠なポリアミノアルコール材料が生成される。得られた材料は、本発明の有益剤含有デリバリー粒子のためのコーティング材料としての使用に適している。ルパゾール(Lupasol)WFは、BASF(ドイツ、ルートヴィッヒスハーフェン(Ludwigshafen))から入手し、そしてデナコール(Denacol)EX141は、ナガセ・ケミテックス社(Nagase ChemteX Corporation)(日本550−8668、大阪、西区新町1−1−17(1-1-17, Shinmachi, Nishi-ku))から入手する。
【0090】
本発明の特定の実施形態を説明及び記載してきたが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行えることが当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有益剤含有デリバリー粒子であって、
a.)香料、シリコーンオイル類、ろう類、炭化水素類、高級脂肪酸類、精油類、脂質類、皮膚冷却剤類、ビタミン類、日焼け止め剤類、グリセリン類、触媒類、漂白剤粒子、二酸化ケイ素粒子、悪臭軽減剤類、制汗活性物質類、陽イオン性ポリマー類およびこれらの混合物から成る群より選択される有益剤を含むコア材料、および
b.)前記コア材料の少なくとも一部を被覆する1つ以上のコーティングであって、前記の1つ以上のコーティングが少なくとも0.2ミリジュールの総付着仕事量と、約80%未満の合計溶解率を有するものを含み、前記有益剤含有デリバリー粒子の有益剤損失が約70%未満である、有益剤含有デリバリー粒子。
【請求項2】
前記有益剤含有デリバリー粒子のコーティングの貯蔵弾性率が約5パスカル〜約500パスカルである、請求項1に記載の有益剤含有デリバリー粒子。
【請求項3】
前記有益剤含有デリバリー粒子が、1つを超えるコーティングを含む、請求項1に記載の有益剤含有デリバリー粒子。
【請求項4】
前記の1つ以上のコーティングが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリアミン類、多糖類および変性多糖類、ゲル形成タンパク質類、変性セルロース類、カルボン酸含有アクリルポリマー類、ポリ尿素類、ポリウレタン類、ゼラチン、アラビアゴム、ホルムアルデヒドと架橋した尿素、グルテルアルデヒド(gluteraldehyde)と架橋した尿素、キチンおよびキトサン並びに変性キチンおよび変性キトサン、アルギン酸ナトリウム、ラテックス類、二酸化ケイ素、ケイ酸ナトリウム、並びにこれらの混合物から成る群より選択される材料を含む、請求項1に記載の有益剤含有デリバリー粒子。
【請求項5】
前記有益剤含有デリバリー粒子が、少なくとも1重量%の有益剤を含む、請求項1に記載の有益剤含有デリバリー粒子。
【請求項6】
前記コア材料が香料を含み、前記有益剤含有デリバリー粒子が、有益剤含有粒子の総重量に対して約20重量%〜約70重量%の香料を含む、請求項1に記載の有益剤含有デリバリー粒子。
【請求項7】
前記有益剤含有デリバリー粒子が、染料、顔料およびこれらの混合物から選択される材料を含む、請求項1に記載の有益剤含有デリバリー粒子。
【請求項8】
前記有益剤含有デリバリー粒子の粒径が約12ミクロン〜約2,000ミクロンである、請求項1に記載の有益剤含有デリバリー粒子。
【請求項9】
前記有益剤含有デリバリー粒子の付着効率が少なくとも20%である、請求項1に記載の有益剤含有デリバリー粒子。
【請求項10】
前記の1つ以上のコーティングが、約0.3ミリジュール〜約20ミリジュールの総付着仕事量および約20%未満の合計溶解率を有し、前記有益剤含有デリバリー粒子が、約20%未満の有益剤損失および少なくとも50%の付着効率を有する、請求項1に記載の有益剤含有デリバリー粒子。
【請求項11】
請求項1に記載の有益剤含有デリバリー粒子を含む、洗浄組成物。
【請求項12】
前記洗浄組成物が、洗浄組成物の総重量に対して約0.1重量%〜約3.0重量%の有益剤含有デリバリー粒子を含み、前記有益剤含有デリバリー粒子が、有益剤含有粒子の総重量に対して約20重量%〜約70重量%の香料を含む、請求項10に記載の洗浄組成物。
【請求項13】
請求項8に記載の有益剤含有デリバリー粒子を含む、洗浄組成物。
【請求項14】
請求項1に記載の有益剤含有デリバリー粒子を含む、布地ケア組成物。
【請求項15】
前記布地ケア組成物が、洗浄組成物の総重量に対して約0.1重量%〜約3.0重量%の有益剤含有デリバリー粒子を含む、請求項14に記載の布地ケア組成物。
【請求項16】
請求項10に記載の有益剤含有デリバリー粒子を含む、布地ケア洗浄組成物。
【請求項17】
請求項1に記載の有益剤含有デリバリー粒子の製造方法であって、前記方法が、少なくとも0.2ミリジュールの総付着仕事量および約80%未満の合計溶解率を有する1つ以上のコーティングをコア材料に適用して、有益剤含有デリバリー粒子を形成する工程を含み、前記の1つ以上のコーティングが、約70%未満の有益剤損失を有する前記有益剤含有デリバリー粒子を提供するのに十分な量で適用される、方法。
【請求項18】
有益剤の適用方法であって、
a.)少なくとも一部の箇所を、請求項1に記載の有益剤含有デリバリー粒子および/または請求項1に記載の有益剤含有デリバリー粒子を含む組成物と接触させること、および
b.)その後、任意に、前記箇所または前記箇所の当該部分を洗浄および/または洗い流すことを含む、方法。
【請求項19】
前記コア材料が殻および/または吸着体を備え、前記殻が存在する場合には前記有益剤の少なくとも一部が前記殻でカプセル封入されており、および吸着体が存在する場合には前記有益剤の少なくとも一部が前記吸着体に吸収されている、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
請求項1に記載の有益剤デリバリー粒子を含む基材であって、前記基材と前記有益剤含有デリバリー粒子の界面張力比が1を超える、基材。

【公開番号】特開2011−63807(P2011−63807A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−238596(P2010−238596)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【分割の表示】特願2007−527704(P2007−527704)の分割
【原出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】