説明

有糸分裂活性の測定

組織病理検体画像から有糸分裂活性を測定する方法は、最初に、有糸分裂像に対応する輝度を有する画像画素を識別し、それから、基準色を与える基準画素を選択する。基準色に類似した画素を位置特定する。背景と画像領域の輝度に対する差の閾値を満たす画素を追加することによって、位置特定された画素に画像領域を成長させる。成長領域は、面積の閾値、緻密度の閾値、幅/高さ比の閾値、背景に対する輝度比の閾値、および摂動閾値を有する成長した面積の差の閾値が設定される。領域数の閾値、面積の閾値、および輝度の閾値を設定することによって、成長領域を、有糸分裂像を示すものとしてカウントする。有糸分裂活性を測定する代替的な方法は、画像領域のプロファイルを測定し、そのプロファイルが有糸分裂像に関連づけられる強度における閾値を上回っている場合は、有糸分裂像に対応するものとして画像領域をカウントする。プロファイルが先の基準を満たさないが、それぞれの閾値の基準を満たす他の3つの値を有する場合も、有糸分裂像が示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組織検体において生ずる細胞分裂を示す有糸分裂活性(mitotic activity)を測定するための方法、装置、およびコンピュータプログラムに関する。具体的には、乳癌組織の如き潜在的癌性組織に対して測定を行うことに関する。該方法は、結腸および子宮頚癌の如き他の形態の癌にも対応する。
【背景技術】
【0002】
乳癌は、よくある女性の癌の形態であり、より少ない程度で男性にも発生する。乳癌を示す病変が検知されると、組織病理の専門家によって組織細胞が採取されかつ検査されて、診断、予後、および治療計画が確立される。しかし、組織試料の病理解析は、時間がかかり、不正確なプロセスである。組織試料の病理解析には、極めて主観的な人間の目による画像の解釈が必要となる。組織試料の病理解析は、異なる観察者が同じ試料を観察し、さらに同じ観察者が異なる時間に観察する際に、特にかなりの主観性によって特徴付けられる。例えば、同じ10の組織試料を評価する2人の異なる観察者が、3つのスライドについて異なる意見を提示することがあり、30%の誤差になる。その問題は、異質性、すなわちいくつかの組織試料の特徴の複雑性によって悪化する。
【0003】
公開された国際出願第WO02/47032 A1は、有糸分裂段階を示す細胞画像からの細胞のDNAの測定に関するものである。この出願には、他の画像解析パラメータの利用が示され、一例として、すなわち強度ばらつきの大きさが提示されているが、有糸分裂活性を示すのに、このばらつきをどのように利用できるかについての詳細は提示されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
病理医による診断および患者治療を示すための客観的な形態の有糸分裂活性の測定法を提供する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様において、本発明は、組織病理検体画像データから有糸分裂活性を測定する方法であって、
a)有糸分裂像に関連づけられる輝度を有する画像データにおける画素を識別する工程と、
b)基準色を提供するために、位置および輝度が他の識別された画素と十分に近い基準画素を、識別された画素の中から選択する工程と、
c)可能性がある有糸分裂を示すために、輝度が基準色の輝度と十分に近い画像データにおける画素を位置特定する工程と、
d)画素をそれに追加することによって、位置特定された画素からの可能性がある有糸分裂像に対応する画像領域を増加させる工程であって、画像領域に対する可能性がある増加は、それら画素の輝度がそれぞれの画像領域輝度に十分に近く、かつ画像データ背景輝度から十分に遠いか否かに応じて実施または拒絶される、画像領域を増加させる工程と、
e)画像領域面積に関する閾値、緻密度に関する閾値、および幅/高さ比に関する閾値に基づいて、成長画像領域を選択する工程と、
f)当該領域の数の閾値に基づいて、有糸分裂像を実際に示すものとして選択され成長画像領域をカウントする工程とを有することを特徴とする方法を提供する。
【0006】
本発明は、病理医の診断および患者治療を示すための有糸分裂活性の客観的な測定法を提供するという利点を与える。
【0007】
成長画像領域を選択する工程は、背景輝度に対する画像領域輝度の比に関する閾値、および複数の閾値を用いて各画像領域を成長させることによって導かれた面積間の面積差に関する閾値も含むことができる。画像領域面積に関する閾値は、355画素<面積<1700画素であり、緻密度に関する閾値は、0.17<緻密度<0.77であり、幅/高さ比に関する閾値は、幅/高さ比<2.7であり、輝度に関する閾値は、輝度百分率<44%であり、かつ面積差に関する閾値は、面積差<23面積/100でありうる。
【0008】
選択された成長画像領域をカウントする工程は、領域面積に関する閾値および輝度に関する閾値も含むことができる。画像領域に対する連続的な可能性がある増加は、個別の画素であってもよく、該個別の各画素が、既存の画像領域画素の行または列の直接隣接する画素である。工程b)は、2つの画像寸法の小さい方の2%以下の距離だけ離れた他の識別された画素に比べて、8%未満の輝度差の輝度を有する基準画素によって実施されうる。
【0009】
工程a)は、有糸分裂像に対応する輝度を有する画素を識別するのに先だって、画像データの白バランシングを行うことおよび中央値フィルタリングを行うことを含むことができる。工程c)において、画素は、
a)有糸分裂像の画像に関連づけられる強度が欠如した画素を除去するために、色画像データの閾値を定め、
b)すべての色に存在しない画素を除去し、かつ
c)小さすぎたり、大きすぎたりするため可能性がある有糸分裂像にならない画素を除去するために、画像領域面積の閾値を定めることによって、有糸分裂像を示すことに関しての受け入れまたは拒絶のために編成されうる。
【0010】
工程c)において、代替的に、画素は、
a)有糸分裂像の画像に関連づけられる強度を有する画素を識別するために分割し、
b)小さすぎたり、大きすぎたりするため可能性がある有糸分裂像にならない画素を除去するために画像領域面積の閾値を定め、
c)画素の画像領域が十分に大きいクラスタであるか否かを判断するためにクラスタ解析を行い、かつ
d)壊死性またはヘアリ(hairy)エッジフィルタリングを行うことによって、
有糸分裂像を示すことに関しての受け入れまたは拒絶のために編成されうる。
【0011】
他の態様において、本発明は、組織病理検体画像データから有糸分裂活性を測定する方法であって、
a)可能性がある有糸分裂像に対応する画像領域の強度プロファイルを測定する工程と、
b)その強度プロファイルが、有糸分裂像の画像に関連づけられる強度を有する強度プロファイル内の位置における予め設定された閾値より大きい値を有する場合に、有糸分裂像を示すものとして画像領域をカウントする工程とを有することを特徴とする方法を提供する。
【0012】
この態様は、好ましくは、その強度プロファイルが、有糸分裂像の画像に関連づけられる強度を有する強度プロファイル内の位置における予め設定された閾値を超えない第1の値と、予め設定された第2の閾値より大きい第2の値と、予め設定された第3の閾値より大きい第3の値と、予め設定された第4の閾値より小さい最小値とを有する場合に、有糸分裂像を示すものとして画像領域をカウントすることを含む。第1の値は、強度プロファイルの一端にあり、第1および第2の値は、強度プロファイル内で互いに隣接し、第3の値は、第2の値と隣接していないものとすることができる。
【0013】
画像データは、着色画像データの主成分解析(PCA)によって得られた第1の主成分を含むことができ、工程a)は、
a)画像データを重複する副画像に分解し、
b)PCAを副画像に適用して、第1の主成分画像を導き、
c)ブロブ(blob)および背景の2値画像を生成するために、第1の主成分画像の閾値を定め、
d)副画像境界に隣接または交差するブロブを拒絶し、
e)ブロブの穴を満たし、
f)小さすぎて可能性がある有糸分裂像に対応しないブロブを拒絶し、かつ
g)工程a)で先述した画像領域プロファイル測定のために、副画像を単一画像に再編成することによって、画像データを前処理することを含むことができる。
【0014】
工程g)の後に、画素は、
a)有糸分裂像の画像に関連づけられる強度が欠如した画素を除去するために、色画像データの閾値を定め、
b)すべての色に存在しない画素を除去し、かつ
c)小さすぎたり、大きすぎたりするため可能性がある有糸分裂像にならない画素を除去するために、画像領域面積の閾値を定めることによって、有糸分裂像を示すことに関しての受け入れまたは拒絶のために編成されうる。
【0015】
工程g)の後に、代替的に、画素は、
a)有糸分裂像の画像に関連づけられる強度を有する画素を識別するために分割し、
b)小さすぎたり、大きすぎたりするため可能性がある有糸分裂像にならない画素を除去するために画像領域面積の閾値を定め、
c)画素の画像領域が十分に大きいクラスタであるか否かを判断するためにクラスタ解析を行い、かつ
d)壊死性またはヘアリエッジフィルタリングを行うことによって、有糸分裂像を示すことに関しての受け入れまたは拒絶のために編成されうる。
【0016】
他の態様において、本発明は、組織病理検体画像データから有糸分裂活性を測定するためのコンピュータ装置であって、
a)有糸分裂像に関連づけられる輝度を有する画像データにおける画素を識別する工程と、
b)基準色を提供するために、位置および輝度が他の識別された画素と十分に近い基準画素を、識別された画素の中から選択する工程と、
c)可能性がある有糸分裂を示すために、輝度が基準色の輝度と十分に近い画像データにおける画素を位置特定する工程と、
d)画素をそれに追加することによって、位置特定された画素からの可能性がある有糸分裂像に対応する画像領域を増加させる工程であって、画像領域に対する可能性がある増加は、それら画素の輝度がそれぞれの画像領域輝度に十分に近く、かつ画像データ背景輝度から十分に遠いか否かに応じて、実施または拒絶される、画像領域を増加させる工程と、
e)画像領域面積に関する閾値、緻密度に関する閾値、および幅/高さ比に関する閾値に基づいて、成長画像領域を選択する工程と、
f)当該領域の数に関する閾値に基づいて、有糸分裂像を実際に示すものとして選択された画像領域をカウントする工程とを、実行するようにプログラムされることを特徴とするコンピュータ装置を提供する。
【0017】
組織病理検体画像データから有糸分裂活性を測定するためのコンピュータ装置であって、
a)可能性がある有糸分裂像に対応する画像領域の強度プロファイルを測定する工程と、
b)その強度プロファイルが、有糸分裂像の画像に関連づけられる強度を有する強度プロファイル内の位置における予め設定された閾値より大きい値を有する場合に、有糸分裂像を示すものとして画像領域をカウントする工程とを、実行するようにプログラムされることを特徴とするコンピュータ装置を提供する。
【0018】
さらに他の態様において、本発明は、組織病理検体画像データから有糸分裂活性を測定するのに使用されるコンピュータプログラムであって、
a)有糸分裂像に関連づけられる輝度を有する画像データにおける画素を識別する工程と、
b)基準色を提供するために、位置および輝度が他の識別された画素と十分に近い基準画素を、識別された画素の中から選択する工程と、
c)可能性がある有糸分裂を示すために、輝度が基準色の輝度と十分に近い画像データにおける画素を位置特定する工程と、
d)画素をそれに追加することによって、位置特定された画素からの可能性がある有糸分裂像に対応する画像領域を増加させる工程であって、画像領域に対する可能性のある増加は、それら画素の輝度がそれぞれの画像領域輝度に十分に近く、かつ画像データ背景輝度から十分に遠いか否かに応じて、実施または拒絶される、画像領域を増加させる工程と、
e)画像領域面積に関する閾値、緻密度に関する閾値、および幅/高さ比に関する閾値に基づいて、成長画像領域を選択する工程と、
f)当該領域の数に関する閾値に基づいて、有糸分裂像を実際に示すものとして選択された成長画像領域をカウントする工程とを、実施するようにコンピュータを制御するための命令を含むことを特徴とするコンピュータプログラムを提供する。
【0019】
さらなる態様において、本発明は、組織病理検体画像データから有糸分裂活性を測定するのに使用されるコンピュータプログラムであって、その命令は、
a)可能性がある有糸分裂像に対応する画像領域の強度プロファイルを測定する工程と、
b)その強度プロファイルが、有糸分裂像の画像に関連づけられる強度を有する強度プロファイル内の位置における予め設定された閾値より大きい値を有する場合に、有糸分裂像を示すものとして画像領域をカウントする工程とを、実施させることを特徴とするコンピュータプログラムを提供する。
【0020】
本発明のコンピュータ装置およびコンピュータプログラムの態様は、本発明の対応する方法の態様に相当する好ましい特徴を有することができる。
【0021】
本発明がより十分に理解されうるように、例示のみを目的とし、添付の図面を参照しながら、次にその実施形態を説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1を参照すると、可能性がある乳癌の組織病理スライドの形態の組織試料を評価するための手順10が示されている。この図面は、患者診断を評価するための基礎として病理医によって使用されるパラメータを作成するために、有糸分裂活性を測定するためのプロセスを示す。
【0023】
手順10は、後に説明する組織スライドから得られたデジタル画像データを維持するデータベース12を採用する。切片が、胸の組織試料(生検)から採取(切断)され、それぞれのスライド上に置かれる。スライドは、組織および細胞構造を描写するための一般的な着色剤である、ヘマトキシリン&エオシン(H&E)着色剤を使用して着色される。H&Eで着色された組織は、有糸分裂活性を評価するのに使用される。
【0024】
組織検体における有糸分裂活性の測定は、生じている細胞分裂の度合いについての指標を与える。組織病理スライドは、細胞分裂プロセスにおける非常に短い時間間隔を表すスナップショットであるため、当該スライドが、有糸分裂活性の特定の段階を示す可能性は極めて小さい。そのような段階がスライドに実際に存在すれば、潜在的な腫瘍がどの程度の速さで成長しているかということについての良好な指標となる。
【0025】
有糸分裂活性を記録するための従来技術の手動の手順では、臨床医が、スライドを顕微鏡下に配置し、有糸分裂の指標について、40倍の倍率でその領域(タイルと称する)を調べる。この手動手順は、病理医が、組織試料における細胞の異常な色、大きさ、形状、および境界鮮明度を、主観的かつ個別的に推定することを含む。このようにして得られた値は、病理医によって組み合わされて、診断に使用される単一の測定値が与えられる。本例において以後記載されるプロセスは、従来技術の手動手順の代わりに客観的な手順を用いる。
【0026】
本発明は、組織スライドからの画像データを使用する。本例では、画像データは、Zeiss Axioskop顕微鏡とJenoptiks Progres 3012デジタルカメラを使用して、病理医によって得られたものである。各スライドからの画像データは、40倍の線倍率(すなわち40倍)で得られたデジタル画像の集合体であり、各画像はタイルの電子相当物である。
【0027】
画像を選択するために、病理医は、スライドに対して顕微鏡を走査し、40倍の倍率で、有糸分裂活性の解析の点で最も有望に見えるスライドの領域(タイル)を選択する。次いで、それらの領域の各々は、上述の顕微鏡およびデジタルカメラを使用して撮影され、これにより、各領域について、三色、すなわち赤、緑、および青(R、G、およびB)のそれぞれのデジタル画像が生成される。画素アレイにおける各画素に対して3つの強度値が得られて、R、G、およびB画像平面の組合せとして画像が提供される。この画像データは、後の使用に備えて、12で一時的に保存される。次に28での診断報告への入力を提供する、14での有糸分裂活性の測定に10のデジタル画像が必要とされる。
【0028】
所定の試料における有糸分裂活性を測定するためのいくつかの代替的なプロセス16から24を説明する。これらは、2つの代替的な有糸分裂編成プロセス16および18と、2つの代替的な有糸分裂特徴検出プロセス20および24とを含む。有糸分裂活性の測定は、26において、病理医による使用に向けて有糸分裂カウントに変換される。
【0029】
次に図2を参照すると、第1の代替的な有糸分裂編成プロセス16が、より詳細に示されている。それが使用に向けて選択されると、上述の10のデジタル画像の各々に対して実施されるが、ここでは入力画像と称する1つのそのような画像について説明する。それは、有糸分裂細胞に対応しうる暗画像領域を編成または識別するのに使用される。
【0030】
段階30において、入力画像から、画素強度の発生頻度を示す3つのヒストグラム、すなわちR(赤)強度を表すヒストグラム、B(青)強度を表すヒストグラム、およびG(緑)強度を表すヒストグラムが形成される。例えば、画素毎に一色あたり8ビットを有する画像は、0から255の256の強度値のヒストグラム横軸と、各強度値を有する画像における画素の数のヒストグラム縦軸とを有する。各ヒストグラムは、256の要素を有するベクトルで、各ベクトルのi番目の要素(i=0から255)は、R、G、またはB画像平面における強度iを有する画素の数である。
【0031】
次の段階は、32においてR、G、またはB画像平面の範囲を定めることである。これを実施するためには、まず、画像平面における画素の全数Nをカウントする(これは、3つのすべての画像平面について同じ値になる)。次いで、各画像平面について、本発明を実施した経験から求められたそれぞれの経験的なRパラメータP、、GパラメータP、またはBパラメータPでNを割る。上述のZeiss Axioskop顕微鏡およびJenoptiks Progres3012カメラを使用して得られた250の試験画像の集合体から、パラメータ値、P=100、P=100、およびP=140が手動でかつ経験的に導かれた。異なる顕微鏡/カメラの組合せを使用して生成された画像は、異なるパラメータを必要としうる。この手順は、それぞれN/P、N/P、およびN/Pに等しい3つの閾値T、T、およびTを与える。
【0032】
次いで、各画像平面に対してヒストグラムおよび閾値T、TおよびTを用いて、その全数がT、T、またはTを超えない低強度画素を選択する。したがって、例えば、画素の全数Nが20000に等しい画像は、P=100、P=100、そしてTおよびTが200に等しい赤および緑の画像平面を有することになる。青の画像平面については、Tは、2×10/140、141または142である。0から255の値の画素強度の8ビット範囲では、赤の画像平面のヒストグラムは、0から6の画素強度値において、それぞれ3、20、50、7、20、80、および65の画素数を有することになる。0から6の画素強度値を有する画素の全数は、赤の画像平面の閾値Tの200を超える245であるが、0から5の画素強度値に対する全数は200未満であるため、これらは保持され、強度値が6から255の画素は拒絶される。その手順は、赤の画像平面のより暗い領域に対応するヒストグラムの小部分を保持する(有糸分裂細胞は暗くなる傾向がある)。この手順は、緑および青の画像平面について、それぞれの閾値を用いて繰り返される。その目的は、画像内の画素の数に恐らく比例する数の画素を各画像平面に保持することである。
【0033】
次の段階34は、空間フィルタリングである。ここでは、赤、緑、および青の保持画素が比較され、閾値設定後に3つのすべての画像平面に保持されていないあらゆる画素が拒絶される。次いで、空間フィルタリング後に残留している各画素は、それに2進値の1を割り当てることによって編成され、拒絶された画像内の他のすべての画素は2進の0に設定される。これによって、段階34から出力するための単一の組み合わされた2値画像が形成される。
【0034】
36では、段階34からの組合わされた2値画像に「接続成分標識(Connected Component Labelling)」(CCL)として知られる技術が適用される。これは、Klette R.、Zamperoniu P.、「Handbook of Image Processing Operators」、John Wiley & Sons、1996年、およびRosenfeld A.、Kak A.C.、「Digital Picture Processing」、1および2巻、Academic Press、New York、1982年によって公表されている、知られている画像処理技術(「ブロブ着色」と称する場合もある)である。CCLは、2値画像において「ブロブ」である画像領域に数値的標識を与え、ブロブは、0および1のみを含む2値画像における同じ値1の隣接または接続画素がそのグループになる。各グループまたはブロブは、他のグループと異なる番号(標識)が割り当てられて、個々のブロブを他から区別することを可能にする。CCLは、画素数の観点でブロブ面積をも提供する。
【0035】
次いで、ブロブは、それらの寸法に基づいて保持(1に設定された画素)または拒絶(0に設定された画素)される。ブロブは、ともに95から5000の画素を含み、2000画素以下の高さおよび幅を有する場合に保持される。本例では、可能な有糸分裂活性の対象になりうるあまりにも多くのブロブを拒絶するのを回避するために、95の画素の最小面積がことさら小さい値に設定される。同じ理由で、最大面積が大きい値に設定される。段階36の出力は、後述するように、有糸分裂活性に対する解析のための標識ブロブの集合体を含む2値画像である。段階36は、後の処理にさほど関係ないと見なされるブロブを除去するのに有用であるが、必須ではない。
【0036】
次に図3を参照すると、第2の有糸分裂編成プロセス18が詳細に示されている。先述の例と同様に、そのプロセス18が選択されて用いられる場合は、それは、上述の10のデジタル画像の各々に対して実施されるが、ここでは1つのそのような画像について説明する。段階40では、タイルの原色(RGB)入力画像の赤色成分に対して、「隠れマルコフ無作為フィールド分割」として知られる技術が一度繰り返される。この分割は、知られている画像処理技術である(Devijver P.A.、「Image segmentation using causal Markov Random Field models」、Pattern Recognition、J.Kittler(編集)、Lecture Notes in Computer Science 301、Springer−Verlag、1988年、およびDucksbury P.G.、「Parallel model based segmentation using a 3rd order hidden Markov model」、第4回IEE国際会議、Image Processing and its Applications、Maastricht、1992年4月7〜9日を参照)。入力画像は、4つのレベルに量子化される(すなわち、潜在的に256のグレーレベルからわずか4つのレベルに減少される)。これらレベルの第1のレベルは、入力画像の非常に暗い部分に対応し、第2および第3のレベルは、次第に暗くなくなり、第4のレベルは、明るい画像部分に対応する。入力画像のグレーレベルヒストグラムが計算され、画素値xの関数としての画素の数(Nx)の4つのガウス分布の集合体に最初に適合され、その分布は、様々な平均μおよび標準偏差σを有し、それぞれ以下の形をとる。
【数1】

【0037】
本例において、式(1)の分布は、デジタル画像における背景からのオブジェクトの分離として定められる画像分割の基礎を形成する。ガウス分布は、それぞれ1から4に番号付けされる。画像画素が、j番(j=1、2、3、または4)のガウス分布に当たる場合は、その分割標識はjになる。しかし、図4における陰影部のようにガウスの重複がある場合は、選択すべき最良の分割標識は何かということに関する確率的判断を行う上で、マルコフ分割アルゴリズムの機能が効果を発揮する。この段階40からの出力は、各画素に4つの番号の1つ(1、2、3、または4)が割り当てられたマスク画像である。(暗い画像部分に対応する)標識1を有する画素のみが、次の処理段階に使用される。標識1の画素のみが保持されても、良好な画像分割のためには、適切な数(この場合は4つ)のレベルまたは標識を使用し、画素を正確に割り当てるほうがよい。これによって標識1に対する結果が向上する。使用する分割レベルが少なすぎると、分割される領域が大きくなりすぎて、不適切な画素を含むおそれがあり、レベルが多すぎると、分割された領域が小さくなりすぎて、分裂するおそれがある。
【0038】
後の処理に最も小さい番号の画素を使用するにもかかわらず、4つのレベルへの分割は、良好な妥協点であることが見出された。段階40は、有用な分割技術であるが、代わりに他の技術を使用することも可能である。
【0039】
42では、K平均クラスタ化プロセスが実施される。これは、「A K−means clustering algorithm」、(Algorithm AS 136、Applied Statistics Journal、1979年)という題名の文献の中でJ.A.HartiganおよびM.A.Wongが記載している、知られたプロセスである。K平均は、データの集合から最適なクラスタ(ある共通の特性を共有するデータ項目のグループ)の集合を計算するための反復統計技術である。このプロセスは、40において、タイル入力の原色(RGB)入力画像の赤色成分からの生画像画素を使用する。それは、40において生成されたマスク画像における標識1の画素と同じ画像位置に配置されている赤色画素を選択する。標識1の生画像画素の値の最大値および最小値をそれぞれ「最大」および「最小」とすると、3つのクラスタが使用され、最初にK平均技術に対するクラスタセンタが、以下のように、3つの画素のダイナミックレンジ(最大−最小)に対して相対的に設定される。
【表1】

【0040】
K平均技術の結果から、2つのマスクが生成される。1つのマスクは、クラスタ1またはクラスタ2を含む部分にマーク付けする(ジョイントクラスタマスクである)のに対して、第2のマスクは、クラスタ1のみに隔離的にマーク付けする(クラスタ1マスクである)。後の処理にクラスタ1および2のみが必要とされ、第3のクラスタは、単にデータをより合理的に分離するのに使用される。
【0041】
44において、ジョイントクラスタ(クラスタ1またはクラスタ2)にマーク付けする、42で生成されたマスクに接続成分標識(先述のCCL)が適用される。また、CCLは、画素の数に関して標識付けられたブロブの面積を与える。受け入れられた面積範囲の外部にあるブロブは拒絶され、この範囲内のブロブは、以下の表に示されるように保持され、上に向かって標識1から順次番号付けされる。段階44からの出力は、標識付けられたブロブの集合体である。
【表2】

【0042】
可能性がある該当するブロブの著しい損失を回避するために、最大および最小の受け入れ可能なブロブ面積(262144画素および70画素)を十分に大きく隔たるように選択した。該当するブロブサイズについてより多くの知識が入手可能であれば、このダイナミックレンジは縮小可能である。段階44は、不必要なブロブを除去するのに有用であるが、省略することも可能である。
【0043】
46において、44で生成された各標識付けられたブロブが考慮され、そのクラスタ1/(クラスタ1+クラスタ2)のスコアのコンテクスチュアル(contextual)解析に基づいて受け入れ、または拒絶される。すなわち42の結果から、各ブロブについて、その画素の中でクラスタ1にある画素の数(NC1)と、クラスタ2にある画素の数(NC2)を確認し、次いでNC1/(NC1+NC2)比を計算し、その比が0.6以上であれば、さらなる処理のためにブロブを受け入れる。その比が0.6未満であれば、ブロブを拒絶する。その結果、ブロブの集合体が小さくなる。
【表3】

【0044】
48において、46で生成された、小さくなったブロブの集合体を採取し、「壊死性フィルタ(necrotic filter)」を使用して拒絶を行う。そのようなフィルタは、(後述する)正規化された量子化境界段階のユークリッド距離MEUと称する標準的な距離を計算する。ユークリッド距離MEUは、以下の形をとる。
【数2】

上式において、xおよびy(i=1〜n)は、それぞれ比較すべき2つの量を表すベクトルxおよびyの要素である。「壊死性フィルタ」プロセスは、以下の通りである。まず、工程44から得られた標識付けられた画像にソーベル(Sobel)エッジフィルタを適用し、生(すなわち未処理の)画像、すなわち元の(RGB)入力画像の赤色成分を段階40のタイルに入力する。標識付けられた画像は、有糸分裂像に対応しうるブロブの境界を得るために使用され、生画像は、生画像における画素の位相角を得るのに使用される。ソーベルは、Klette R.およびZamperoni P.、「Handbook of image processing operators」、John Wiley & Sons、1995年に公表されている標準的な画像処理技術である。ソーベルフィルタは、各々が画像における画素の連続的な3×3アレイと結合する、番号がSおよびSの2つの3×3アレイよりなる。
【数3】

【0045】
標識付けられた画像の左上の角に、第1の3×3の画素アレイが選択される。行iおよび列jの一般的な標識付けられた画素をCijとし、画像の左上の角は、画素C11からC13、C21からC23、およびC31からC33よりなる。次いで、Cijが3×3シアン画素アレイにあるときに、Sアレイ内に位置するSのそれぞれの数字をCijにかける。すなわち、C11からC13に、それぞれ1、2および1をかけ、C21からC23にそれぞれゼロをかけ、C31からC33に、それぞれ−1、−2および−1をかける。そのようにして形成された積を代数的に加算し、値pを与える。pの値は、C22の行の両側の第1の行と第3の行との間で緩やかに変化する画素値に対しては比較的小さく、それらの行の間で急激に変化する画素値に対しては比較的大きい。その結果、pは、それらの行にわたるエッジ鮮鋭度の指標を与える。同じ画素アレイであるが、Sの代わりにSを用いた画素アレイを使用してこの手順を繰り返し、値qを得る。qは、C22の列の両側の第1の列と第3の列との間で緩やかに変化する画素値に対しては比較的小さく、それらの列の間で急激に変化する画素値に対しては比較的大きいため、qは、それぞれの列にわたるエッジ鮮鋭度の指標を与える。次いで、「エッジ量」と定義され、変換画像において(3×3アレイの中央の画素C22を置換する)T22になる、pとqの平方の合計の平方根、すなわち
【数4】

を計算する。また、各画素におけるtan−1p/qを得て、それを「位相角」と定義する。
【0046】
変換画像における一般的な画素Tij(行i、列j)を、標識付けられた画像のCi−1、j−1からCi−1、j+1へ、Ci、j−1からCj、j+1へ、そしてCi+1、j−1からCi+1、j+1へ誘導する。式(3)におけるソーベルフィルタの中央の行列はそれぞれゼロで、他の係数は1および2であるため、Tijに対するpおよびqを以下のように計算することが可能である。
【数5】

【0047】
i=j=2から開始して、jを1だけ増加させ、行の末端に到達するまで各々の当該アレイに対して式(2)および(3)を評価することによって、連続的な3×3画素アレイに対するpおよびqを計算し、次いでjを1だけ増加させ、画像全体が変換されるまで、第2の行以降に対してその手順を繰り返す。ソーベルフィルタは、その一方または他方の側に近隣画素を有さない画像エッジの画素に対する値を計算することができない。すなわち、N行およびM列を有する画素アレイにおいて、エッジ画素は、最上行および最下行ならびに最初の列および最後の列で、変換画像においては、画素T11からT1M、TN1からTNM、T11からT1M、およびT1MからTNMである。ソーベルフィルタリングの慣行により、これらのエッジ画素はゼロに設定される。ソーベルフィルタの出力は、2つの変換画像を含み、その一方(エッジフィルタ画像)は、44で生成された標識付けられたブロブの境界を含むのに対して、他方は、生入力画像の「位相角」を含む。
【0048】
標識付けられたブロブの画素は、ソーベルエッジフィルタ画像における同様に位置特定された画素が、ゼロ以外であれば、境界画素である。境界画素毎に、ソーベル位相角画像における同様に位置特定された画素から位相角を抽出する。次いで、この位相角情報を量子化して、それを4つの方位範囲(0から44度、45から89度、90から134度、135から179度)に低減し、各方位における境界画素の数を、ブロブの周囲における画素の数で割ることによって正規化する。これにより、各ブロブに対して正規化方位または量子化段階のそれぞれの4要素ベクトルが得られる。式(2)を用いて、これらの各ベクトルのユークリッド測定値を計算し、4つのベクトル要素が等しい値を有する完全円のそれと比較する。こうして、真円度から比較的離れたブロブを探す。標識付けられたブロブのユークリッド測定値を、0.4354のユークリッド閾値と比較し、閾値より大きい場合は拒絶する。ユークリッド閾値は、試験データ集合のK平均解析から導かれたものである。残りのブロブの集合体を出力する。
【表4】

【0049】
50において、工程48の後で残留する各々のブロブを調べ、「ヘアリエッジフィルタ」処理を実施する。「ヘアリエッジフィルタ」は、ブロブ付近の部分におけるエッジ構造の量を測定するもので、これは、有糸分裂像の付近に見られることがある「ヘアリ繊維」に概ね類似するものである。これをブロブ毎に以下のように計算する。
【0050】
a)以下に示すようにサイズが5×5および13×13画素のフィルタを使用する2つの形態的拡張を適用する。
【数6】

【0051】
形態的拡張は、拡大処理である。元の2値画像(すなわち画素値1および0のみを有する)に対しては、拡大処理は、値1の各画素を位置特定し、その近傍の画素も1に設定することを含む。上記2つのアレイにおいて、中央の1は、画像における1と見なされる画素を示し、他の1は、形態的拡張を実施するために1に設定された近傍画素の相対位置を示し、0は、変化されていない画素を表す。
【0052】
形態法は、形状および幾何学構造に基づく画像処理技術である。それは、Umbaugh S.C.、「Colour vision and image processing」、Prentice Hall、1988年に公表されている標準的な画像処理手順である。形態法は、あるサイズおよび形状のフィルタを画像に適用する。各画素位置における最も単純な意味での拡張(オブジェクトの拡張(または拡大))では、拡張の出力は、入力の論理和である。使用されるフィルタは、上記のように円に対する近似を含む。2つの拡張処理を適用すると、2つの拡張結果が得られる。式(6)および(7)を参照しながら説明したように、各ブロブは2つの異なる量で拡張される。次いで、5×5フィルタによるブロブを、13×13フィルタによるブロブから引くと、ブロブの付近に境界が得られる。これを、工程48後に残留するブロブの各々に対して繰り返す。
【0053】
b)(上述した)ソーベルフィルタを適用して、生画像、すなわち40で入力されたタイルの元の(RGB)入力画像の赤色成分の勾配を得る。勾配値の合計を、a)で各ブロブの付近に確定された境界(マスク)の部分内に形成し、以下の表に示されるように、ブロブの受け入れおよび拒絶に向けてヘアリ閾値と比較するためのフィルタ測定値として使用する。
【表5】

【0054】
工程b)の出力は、後述する有糸分裂特徴検出での使用に有効であると見なされる、編成されたブロブの集合体である。段階46、48および50は、不必要なブロブを減らすのに望ましいが、有糸分裂特徴検知の結果的な処理負担が許容できるのであれば必須ではない。
【0055】
次に図5を参照すると、上記の10のデジタル化入力画像の各々に対して実施され、1つの画像に対して記載される、有糸分裂特徴検知プロセス20の流れ図が示されている。第1の段階60において、入力RGB画像を、その最も高輝度の画素を白に再マッピングすることにより白バランスするのが好ましい。この画像における各画素i(i=1から画像内の全画素数)について、以下の式を用いて、画素輝度Lを、赤色強度R、緑色強度G、および青色強度Bから計算する。
=0.299×R+0.587×G+0.114×B (8)
【0056】
次に、入力(RGB)画像のすべての画素の輝度値の中で最大の輝度値を有する画素を位置特定し、それを用いて、最大輝度画素位置に存在し、LumMaxR、LumMaxG、およびLumMaxBで表される、R、G、およびBの対応する値を記録する。次いで、3つの画像平面の各々に対する比を以下のように計算する。
RatioR=(255/LumMaxR)×1.05 (9)
RatioG=(255/LumMaxG)×1.05 (10)
RatioB=(255/LumMaxB)×1.05 (11)
【0057】
ここで、元のRGB画素値にこれら3つの比をかけて、各画素iに対して以下の値を有する3つの画像平面を有する白バランス画像を生成する。
BalancedR=R×RatioR (12)
BalancedG=G×RatioG (13)
BalancedB=B×RatioB (14)
【0058】
最終段階は、8ビット範囲(0から255)の外の画素値がなくなるように、新たな白バランス画像をクリップするものである。何らかの画素値が0より小さい場合は、それをゼロに設定し、何らかの画素値が255より大きい場合は、それを255に設定する。白バランス画像の生成は必須ではないが、画像間のばらつきを抑えるのに望ましい。
【0059】
62において、工程60からのクリップされた白バランス画像を、3×3中央値フィルタでフィルタリングして、空間ノイズを除去する(これは望ましいが、必須ではない)。フィルタは、60で計算したバランス赤色(BalancedR)、緑色(BalancedG)、および青色(BalancedB)画像平面の各々に対して個別的に適用される。中央値フィルタ処理は、(エッジ画素以外の)3つの画像平面における各画素を順次選択し、選択された画素を中心としたそれらの画素の3×3アレイを採取するものである。次いで、「クイックソート」と呼ばれるものを用いて、3×3アレイの画素を、画素値の小さい順に分類する。クイックソートは、Klette R.、Zamperoniu P.、「Handbook of Image Processing Operators」、John Wiley & Sons、1996年に公表されている、知られた技術であり、その説明は省略する。それは、必須ではないが便利である。次いで、中央値画素値(9個のうちの5番目)をフィルタ出力として採取して、選択された画素の値に代える。これを、クリップされた白バランス画像にわたって繰り返す。エッジ行列の画素は、必要な3×3アレイを有しておらず、これらに対しては、クリップされた白バランス画像画素値を中央値フィルタ画像に保持する。
【0060】
64では、中央値フィルタ画像において最も低輝度の(最も暗い)画素(同様の輝度の画素から比較的離れた遠くの画素を除く)を、選択または位置特定する「オートピックカラー」プロセスを適用する。これは、選択された画素は、それ自体の輝度と類似した輝度を有する少なくとも1つの比較的近傍の画素を有することを意味する。従来の組織スライド調製技術を用いると、有糸分裂像は比較的低輝度を有する傾向があるため、暗い画素が選択される。計算は次のように行われる。すなわち、中央値フィルタ画像における各画素位置に対して、輝度Lを以下のように計算する。
=0.2999×R+0.587×G+0.114×B (15)
【0061】
式(15)を用いた中央値フィルタリングされた画像における各画素位置に対するLの計算によって、輝度画像が得られる。輝度画像において、第1の画素値およびその位置を、現在最も暗い画素として記憶する。その画像における連続した画素を、第1の画素と比較する。いずれかの比較画素が、現在最も暗い画素より暗いL(低い輝度値)を有している場合は、その画素値およびその位置を、最も暗い画素のリストに記憶する。そのリストが10のエントリに達した後で、その中の現在最も明るい画素を除去し、後の画素が最も明るい画素より暗くなる毎に後の画素と取り替える。このプロセスは、すべての画素を比較し、適宜リストに追加するまで継続する。輝度画像全体を処理した後に、(上述の)クイックソートを用いて、最も暗い画素が最初にくるように、最も暗い画素のリストを暗い順に記憶する。その手順により、最も暗い画素の数が10未満になれば、最初の画素から最初に得られた記憶された比較輝度値を大きくし、手順を繰り返す。
【0062】
次の工程は、その最も暗い画素が、最も暗い10の画素のうちの他の画素の比較的近くに位置するという条件を満たしているか否かを判断するものである。すなわち、その条件は、これら2つの画素が、任意の方向において(対角線上に行、列に沿って、または対角線と行または列の間において)20画素未満の距離だけ離間しているということである。この条件は、1476画素×1160画素の寸法の画像に当てはまるため、最大離間距離は、より小さい画像寸法の2%である。この条件が満たされる場合は、類似した輝度の比較的近い近隣画素を有するため、外部の画素と見なされない最も暗い画素が配置されている。この最も暗い画素の輝度は、Lpicked colourで表される。この条件が満たされない場合は、現在最も暗い画素をリストから破棄し、残りの最も暗い画素を採取することによってその手順を繰り返す。条件が満たされるまで繰り返しが継続する。先述したように選択された10の画像の解析によって10のリストサイズを決定したが、それは重要ではなく、異なる数を選択することも可能である。したがって、そこからLpicked colourを採取する画素は、最も暗い画素の小さいグループ(20以下)から選択される必要がある。
【0063】
66では、20未満(すなわち0から255の8ビット強度範囲に対して8%未満)の差でLpicked colourと異なる輝度を有する中央値フィルタリングされた画像における画像画素を位置特定する「色近接強調(colour proximity highlighting)」を実施する。これは、以下のようにマスク画像を生成することによって実施される。中央値フィルタリングされた画像における各画素に対して、以下の輝度不等条件(16)が真であれば、その画素を受け入れ、マスク画像における同等位置の値255で表現する。
|(0.299×R+0.587×G+0.114×B)−(Lpicked colour)|<20 (16)
【0064】
不等条件(16)が真でなければ、現在の画素を拒絶し、マスク画像における0で表現する。編成プロセス16および18のいずれかによる結果を工程66に導入する。すなわち、プロセス16または18からの結果による有糸分裂編成画像における同じ位置に配置された対応する画素に対して、それぞれ1または0値が存在するか否かに応じて、不等条件(16)が真である画素を受け入れるか、または拒絶する。プロセス16または18を用いることは必須ではないが、処理負担を低減するのに有用である。
【0065】
68では、画素が、細胞の一部ではなく、細胞全体に対応するように受け入れられた画素を「成長」させる。輝度近接を用いて、成長が継続するかどうかを調べる。すなわち、選択された画素と試験画素の間には、L(本例ではL=75)で表される輝度差閾値と比較してあまりにも大きな輝度差が存在することを示す場合は、選択された画素による成長は継続しないことを、66で計算したマスク画像が示す。
【0066】
成長画素のプロセス68は以下の通りである。第1に、画素位置が「成長される」か「成長されていない」かを示す、「成長」と標識付けられた画像記憶物を生成し、「成長」における各エントリまたは画素を、画素がまだ「成長」していないことを示す「偽」(偽=0)に最初に設定する。「真」(真=1)は、「成長される」ことを示す。第2に、白色の画素以外のすべての画素を平均化する(すなわち、R、G、およびBをすべて最大値の255に等しくすること)ことによって、画像「成長」に対する背景色を中央値フィルタリングされた画像から計算する。この背景色の値は、記録される。ここで、成長プロセスは、以下のコンピュータプログラム工程に従って進行する。これらの工程では、ラインの右側への挿入は、そのラインと、そのラインに続く等しい挿入およびより大きい挿入のラインとを含む反復ループを示し、より小さい挿入のラインに到達するときにそのループが終わる従来の方法が用いられる。
【0067】
中央値フィルタリングされた画像における各画素に対して、
マスク画像画素が受け入れられ、同位置にある対応する「成長」の画素が0である場合は、
「成長」の画素を真(1)に設定する。
「成長」の画素の位置を「アクションリスト」という名称のリストに入力する。
アクションリストが空でなければ、
最後に追加された画素をアクションリストから除去するが、画像位置をメモリに保持し、それを「除去された画素」と呼ぶ。
除去された画素の最も近い画素である4つの「成長」の画素、すなわち、対角線上の近隣画素ではなく、同じ列または行のみで除去された画素と隣り合う画素を選択する。
まだマスク画像画素と比較されていない最も近い近隣画素の1つを選択する。
以下の3つの基準、すなわち(a)マスク画像画素と選択された最も近い近隣画素の輝度の差がL未満であること、(b)マスク画像画素と背景色の輝度の差がLより大きいこと、および(c)マスク画像画素と白色画素の輝度の差がLより大きいことが満たされる場合は(または満たされる場合のみ)、
選択された最も近い近隣画素と同じ位置に配置された「成長」の画素を偽(0)から真(1)に変更し、選択された最も近い近隣画素の位置をアクションリストに追加する。
基準(a)、(b)および(c)のいずれか1つ以上が満たされない場合は、該当する成長の「画素」を変化させず、その位置をアクションリストに追加しない。
まだマスク画像画素と比較されていない次の最も近い近隣画素についても繰り返す。
アクションリストへの次のエントリについても繰り返す。
他のすべてのマスク画像画素についても繰り返す。
【0068】
上記コンピュータプログラム工程は、成長についてさらなる画素を再評価することによって、マスク画像における元の単一画素から細胞を継続的に成長させるための機構を提供する。成長すべき「シード」マスク画像画素の最も近い近隣画素を評価する。成長に追加される(1に変更される)最も近い近隣画素の各々も、比較されていない最も近いその近隣画素を評価するためにアクションリストに追加される。したがって、成長は、成長細胞の一部ではなく隣接するすべての画素が評価され、3つの輝度基準(a)、(b)、および(c)の1つ以上を満たさなくなるまで進行する。次いで、成長は、その細胞については終了し、新たな「シード」マスク画像画素に基づいて他の細胞について再開する。
【0069】
68の結果は、有糸分裂の対象となりそうな真の細胞の位置を示すための候補であるブロブ(値1の連続画素の画像領域)の集合体を含む新たな画像「成長」である。70において、先述した接続成分標識によりブロブを処理する。これにより、以下のようなブロブ毎の測定値の集合が導かれる。
面積A(ブロブにおける画素数)
周長P(ブロブの境界上の画素数)
緻密度(4πA/P
幅(ブロブを横切る行における最大画素数)
高さ(ブロブを下がる列における最大画素数)
幅/高さ比
輝度百分率:ブロブの画素と同じ位置に配置された中央値フィルタリングされた画像画素を使用して、最も暗い中央値フィルタリングされた画像画素の輝度を、背景色の輝度で割った結果に100をかけることによって測定値を計算する
摂動差(perturbed difference)(それぞれ予め設定された増分および減分によって摂動された、Lに対応する閾値を用いて得られた成長ブロブサイズ間の差)
色相差(平均色相と入力画像からの背景色相との差の絶対値)。
【0070】
摂動差は、以下のようにして計算される。
本例では摂動係数P(P=4)を加えることによって閾値Lを調整し、
成長プロセス68を適用して、より大きい新たなブロブを得て、
摂動係数Pを減算することによって閾値Lを調整し、かつ
成長プロセス68を適用して、より小さい新たなブロブを得る。
【0071】
次いで、より大きい新たなブロブとより小さい新たなブロブとの間で排他的論理和関数を計算する。すなわち、より小さいブロブにおける各画素と、より大きいブロブにおける同位置のそれぞれの画素との排他的論理和をとる。小さいブロブに同様の位置の画素が存在しないより大きいブロブの外部画素は、異なる画素値と排他的論理和をとるものとして扱われる。排他的論理和は、異なる値の画素の対に対しては1を与え、同じ値の画素の対に対しては0を与える。その結果は、それを与えるブロブ画素と同じ位置の画素として配置される各排他的論理和値を有する排他的論理和画像を提供する。次いで、排他的論理和画像における1に等しい画素の数をカウントし、この数を摂動差とする。
【0072】
以下のようにしてブロブ毎に色相差を得る。ブロブの画素と同じ位置に配置された中央値フィルタリングされた画像画素の平均色を計算する。次いで、この平均色と、既に得られた背景画素色とを、赤/緑/青(RGB)から異なる画像空間の色相/飽和/値(HSV)に変換する。RGBからHSVへの変換については、K.Jack、「Video Demystified」、第2編、HighText Publications、 San Diego、1996年に記載されている。本例では、VおよびS成分を必要としない。以下のようにして、各ブロブの平均色および背景画素色に対してHを計算する。
M=(R、G、B)の最大値 (17)
m=(R、G、B)の最小値 (18)
このとき
newr=(M−R)/(M−m) (19)
newg=(M−G)/(M−m) (20)
newb=(M−B)/(M−m) (21)
【0073】
次に、以下の式によって色相(H)を与える。
RがMに等しい場合は、H=60(newb−newg) (22)
GがMに等しい場合は、H=60(2+newr−newb) (23)
BがMに等しい場合は、H=60(4+newg−newr) (24)
Hが360以上の場合は、H=H−360 (25)
Hが0未満の場合は、H=H+360 (26)
【0074】
次いで、ブロブにおける中央値フィルタリングされた画像画素と背景画素との平均色のH値の差をブロブ毎に計算し、それを当該ブロブに対する色相差とする。
【0075】
ブロブのパラメータが、以下の表のすべての条件を満たす場合は、さらなる処理に向けてブロブを受け入れるか、そうでなければ、そのすべての画素を0に設定することによってそのブロブを拒絶(削除)する。
【表6】

【0076】
本例では、色相差は、(上の表におけるゼロ閾値により)実質的に常に真となる。しかし、状況によっては、非ゼロ閾値を有することが望ましいこともある。輝度百分率、摂動差、および色相差は、必須ではなく、さらなる処理等を決定づける上記表における閾値から除くことが可能である。
【0077】
72では、(既に定義した)2つのクイックソートをブロブに適用して、一方がブロブ面積の小さい順にブロブを並べたブロブのリストであり、他方が中央値フィルタリングされた画像におけるブロブ輝度の低い順にブロブを並べたリストである、2つのリストにブロブを分類する。ここで、2つのリストにおけるブロブは、それらがその末端にマーク付けをするグループに従って名付けられる。すなわち、それより輝度の低いブロブ(存在する場合)とともに全ブロブ数のX%を占めることを示すブロブは、「最も暗いX%ブロブ」と称する。同様に、それより大きい面積のブロブ(存在する場合)とともに全ブロブ数のY%を占めることを示すブロブは、「最大Y%ブロブ」と称する。
【0078】
ここで、中央値面積のブロブ(面積リストの中央の「中央値ブロブ」)を識別する。面積リスト内に偶数個のブロブがある場合、2つの中央ブロブの平均面積を、中央値面積とする。また72では、以下のようにして、不必要なブロブを取り除いて、有糸分裂像に対応するものと見なされるブロブを残す。Aより多くのブロブが存在し、最大のブロブが、中央値ブロブの面積のBパーセントより大きい場合は、最も暗いDパーセントブロブの輝度以下の輝度を有する最大ブロブCの各々を保持する。あるいは、最大ブロブが、中央値ブロブの面積のBパーセント以下である場合は、最大のFパーセントブロブの面積以下の面積を有する最も暗いEブロブの各々を保持する。本例では、A、B、C、D、E、およびFの値は、A=2ブロブ、B=200パーセント、C=3ブロブ、D=30パーセント、E=2ブロブ、F=80パーセントである。プロセス72は、以下のようにして計算される。
【0079】
ブロブの数がA以下である場合は、各ブロブを有糸分裂像として受け入れる。有糸分裂像のカウントがAになり、現在の画像の処理が終了する。
【0080】
あるいは、ブロブの数がAより大きい場合は、
最大ブロブの面積を取得し、
中央値ブロブの面積を取得し、
最大ブロブの面積が、中央値ブロブ面積のBパーセントより大きい場合は、
最も暗いDパーセントのブロブの輝度を取得し、Dパーセントの位置にブロブが存在しない場合は、より暗く、かつ輝度リストにおける概念的なDパーセントのブロブの位置に最も近いブロブの輝度をとる。
最大のCブロブの各々に対して、
ブロブ輝度が、最も暗いDパーセントのブロブ以下である場合は、
検知された有糸分裂像であるとしてそのブロブを受け入れ、
有糸分裂像のカウントを1だけ増加させ、
未評価のブロブがなくなるまで最大のCのブロブの残りについて繰り返し、有糸分裂像のカウントを出力する。
【0081】
あるいは、最大ブロブ面積が、中央値ブロブ面積のBパーセント以下の場合は、
最大のFパーセントのブロブの面積を取得し、Fパーセントの位置にブロブが存在しない場合は、面積リストにおける概念的なFパーセントのブロブの位置に(面積が)最も近いブロブの面積をとる。
最も暗いEのブロブの各々に対して、
ブロブ面積が、最大のFパーセントのブロブの面積以下である場合は、
検知された有糸分裂像であるとしてそのブロブを受け入れ、
(最初は0である)有糸分裂像のカウントを1だけ増加させ、
未評価のブロブがなくなるまで最大のEのブロブの残りについて繰り返し、有糸分裂像のカウントを出力する。
【0082】
ブロブの基準数はA以下で、要望に応じて1つのみ使用してもよく、これが満たされない場合は、有糸分裂カウントをゼロとする。「別の」基準、すなわちAより多いブロブ数、およびそれに続く基準は、さらなる選択肢を提供する。
【0083】
先述したように、10の画像またはタイルのすべてに対してプロセス20を実施する。この繰り返しは、有糸分裂活性を観察する尤度を高めるものである。次いで、それら10の画像に対する有糸分裂カウントを合算して、後述する有糸分裂活性格付けに変換される合計を与える。
【0084】
次に図6を参照すると、上述の10のデジタル化画像の各々に対して実施される、代替的な有糸分裂像検知プロセス24の流れ図が示されている。全画像を使用することが可能であるが、120では、デジタル化画像(以降「入力画像」と称する)を、便宜上、128×128画素サイズの重複窓に分割する。それらの窓は、水平および垂直方向に64の画素と重なる。したがって、各窓は、その前の上または左(存在する場合)の窓の半分と重なる。各窓において、主成分解析(PCA、Karhunen−Loeve変換)を適用する。PCAは、Jollie I.T.、「Principal Component Analysis」、Springer series in statistics、Springer Verlag、1986年に記載されている標準的な数学的技術である。それは、Jackson J.E.、「A User Guide to Principal Components」、pp.1〜25、John Wiley & Sons、1991年にも記載されている。PCAは、(恐らくは相関した)変数の集合を、主成分と呼ばれるより少ない数の非相関変数に変換するための技術である。第1の主成分は、他の成分と比較すると、変数の集合におけるばらつきのできるだけ多くに対応する。このため、この段階では選択肢である、赤、緑、または青の画像平面またはその平均をとることに比べて優れているといえる。PCAは、変数の集合の共分散行列を取得し、その固有値および固有ベクトルについて解くことを含む。共分散マトリックスは、以下の式を用いて計算される。
【数7】

上式において、Ci,jは、変数iと変数jの共分散で、xおよびyは、k番目のオブジェクトのi番目およびj番目の特徴値で、μは、xのN個のすべての値の平均値で、μは、yのN個のすべての値の平均値である。共分散行列は3×3であり、PCAは3つの固有ベクトルを与える。それらの固有ベクトルは、N×3の画像行列の転置を増大させて、積行列を与えるのに使用される3×3の行列として処理される。積行列は、最も重要な成分と見なすことのできる第1の主成分であるN×1の第1の列を有する。それは最大の固有値を有する成分であり、他の成分に関連づけられる同等物と比較して最大の範囲の情報を有するグレースケール副画像(Nの画素の各々に対して1つの画素値)を提供する。PCAは、上記の重複窓の各々に対して実施され、それぞれが、128×128画素サイズのそれぞれ第1の主成分およびグレースケール副画像を提供する。
【0085】
122では、「Otsu」と称する閾値設定法を適用することによって、120から得られる各副画像を対応する2値副画像に変換する。Otsuは、Otsu N.、「A thresholding selection method from grey lebel histograms」、IEEE Trans Systems、Man & Cybernetics、第9巻、1979年、pp.62〜66に公表されている標準的な閾値設定技術である。Otsu閾値選定法は、2つのクラスについて、クラス内のばらつきに対するクラス間のばらつきの比を最小限にすることを目的とする。すなわち、クラス間のばらつきが高くなるほど、分離が良好になる。本例では、2つのクラスは、閾値を下回るクラス(画素値0)および閾値を上回るクラス(画素値1)であるため、Otsu閾値設定を適用することによって、グレースケール副画像は、ブロブの集合体を含む2値副画像に変換される。
【0086】
124では、副画像境界に接触または交差するすべてのブロブ(オブジェクト)を除去する。したがって、任意の画素においてブロブが境界と接触すると、その画素を背景画素値に設定することによってそれを除去する。当該境界は、それらに接触するブロブに、後に誤った結果をもたらしうる人工的な直線エッジを与えるからである。副画素が重なるため、1つの画像の一部に出現するブロブは、他の副画像全体に出現することができる。この工程124は、副画像を使用することによってのみ行われる。
【0087】
126では、124からの出力を反転させ、ブロブにおけるあらゆる穴を除去できるように、接続成分標識(先述したCCL)を適用する。これは、必須ではないが、結果をある程度向上させる空間フィルタリングを提供する。本発明により、CCL標識によって標識付けられた画素値1の部分は、背景画素およびブロブ内の穴になる。穴、すなわち背景画素以外のすべての標識付けられた部分は、各ブロブ内の穴の画素を、ブロブの他の画素の値に設定することによって除去(充填)される。
【0088】
128では、126からの出力をもう一度反転させ、CCLを適用する。この反転の後に、標識付けられた部分は、126において充填された副画素内のブロブになる。CCLは、後に使用するブロブ中央位置を与える。400画素の最小面積閾値より小さいあらゆるブロブを拒絶し、すなわち以下の表に従って画像背景値に設定する。これは、望ましいが必須ではない他の空間フィルタリング工程である。
【表7】

【0089】
130では、128で出力された複数の副画像を、120における分解の前の元と同じサイズの新たな2値画像に再構成する。新たな2値画像は、フィルタリングが施され、今や後の有糸分裂プロセスの対象となるブロブのみを含む。画像前処理は工程130で終了する。残留するブロブの集合体は、不必要な小ブロブおよびブロブ内の穴が排除されている。工程120から130を用いる画像前処理は、ブロブ外周の形状に大きな影響を与えないため有益であり、これは有糸分裂解析にとって重要である。有糸分裂指示プロセス16および18のいずれかを用いたことによる結果を、この工程130に導入する。すなわち、ブロブは、実質的に同じ位置にある有糸分裂指示画像にブロブが存在するか否かに応じて、受け入れられるか、または拒絶させる(これは、論理和演算を用いて実施されうる)。プロセス16または18を用いることは必須ではないが、処理負担を低減するのに有用である。
【0090】
132では、主成分解析(先述のPCA)を入力(RGB)画像全体に適用する。以前と同様に、赤、緑、または青の画像平面またはその平均を使用することが可能であるが、PCAが好ましい。PCAは、他の成分より良好な情報範囲を有するグレースケール画像である第1の成分を与える。130における前処理で識別され、グレースケール画像に出現するブロブの各々の中央を中心とした51×51画素の局所的な窓に、特徴抽出手順134を適用する。手順134は、各ブロブに対応するグレースケール画像のそれぞれの領域に対する平均断面(プロファイル)を決定する。この計算を目的として、使用される各グレースケール値を、255で割ることによって範囲0から1にくるように正規化する。そのブロブに対応し、かつブロブ中央を中心としたそれぞれのグレースケール画像領域を横切って延びる51画素長のラインを使用して、各ブロブそれぞれの一連のプロファイルを採取する。これは、プロファイル当たり51の画素値またはヒストグラム点を与え、プロファイルは、20度の間隔の9つの異なる角度方向で採取される。次いで、各ブロブの9つのプロファイルのそれぞれの平均を計算する。
【0091】
次いで、各平均プロファイルのそれぞれのヒストグラムを取得し、以下のようにちょうど5つの間隔またはビン1から5に量子化する。すなわち、(1)0≦プロファイル<0.2、(2)0.2≦プロファイル<0.4、(3)0.4≦プロファイル<0.6、(4)0.6≦プロファイル<0.8、および0.8≦プロファイル≦1.0とする。ビンは、それぞれ0.1、0.3、0.5、0.7、および0.9に中心を有する。各ビンは、それぞれの強度値を有する平均プロファイルにおける画素の数を含む。この数は、9つのプロファイルに対して平均されるため、整数である必要はない。ビン1は、画像強度値の最も暗いグループ、すなわち有糸分裂像の画像に関連づけられる種類の低グレースケール値に対応する。有糸分裂像は、従来の着色技術を用いると通常は暗いため、比較的暗い度合いのグレーレベルがより興味深い。ビン2から4は、次第に高輝度の値に対応し、ビン5は、5つの値の中で最も高輝度の値に対応する。しかし、プロファイルは全て比較的暗い画像領域からのものなので、これらは相対的なものである。およその平均プロファイルは、その各々が、9つの実測プロファイルに対して平均されたそれぞれのビンにおける強度値である5つの値によって表される。5つの値の各集合は、ここでは実際の細胞を示すものとして扱われるブロブを特徴づける。各平均プロファイルの最小値は、可変の「最小プロファイル」として記録され、これは、5つのすべてのビンの最も小さいコンテンツを有するビンのコンテンツ(9つのプロファイルに対して平均された画素の数)である。
【0092】
136では、ビン1、2、および4のコンテンツを使用して、現在のブロブに対応する現在の細胞が、有糸分裂細胞か否かを判断する。具体的には、各ブロブに対して以下の基準が適用される(ただし、「ビン(n)」は、n番目のビンのコンテンツを意味し、n=1、2、または4である)。
【0093】
ビン(1)>7.6である場合は
現在の細胞は有糸分裂細胞である。
それ以外の場合、すなわちビン(1)≦7.6である場合は、
ビン(2)>25.5、びん(4)>0、かつ最小プロフィル<0.15であれば、
現在の細胞は有糸分裂細胞であり、
それ以外の場合、ビン(2)≦25.5、かつ/またはビン(4)≦0、かつ/または最小プロフィル≧0.15であれば、
現在の細胞は有糸分裂細胞ではない。
【0094】
要望に応じて、第1の基準、すなわちビン(1)>7.6を、細胞が有糸分裂細胞であるかどうかを判断するのに使用する唯一の基準としてもよい。「それ以外の場合の」基準、すなわちビン(1)≦7.6は随意である。
【0095】
各々の代替的な有糸分裂像検知技術20および24は、10の画像から導かれる測定値を生成する。既に述べたように、各有糸分裂像検知技術を、10の画像またはタイルに適用する。有糸分裂像を各画像についてカウントし、そのカウントを合算して、10の画像に対する合計を求める。技術に対する有糸分裂像カウントは、以下の表に示すように、それが、0から5か、または6から10か、または11以上であるかに応じて、ポイント1の小、ポイント2の中、またはポイント3の大である。
【表8】

【0096】
有糸分裂の測定値を、異なる方法により多型および細管に対して得られた他の測定値と組み合わせて、医療分野では「ブルームアンドリチャードソン格付け(Bloom and Richardson grading)」と呼ばれる包括的な格付けを導くことができる。それは、臨床医により、癌の状態の測度として利用される。
【0097】
中間的な量および結果を計算するための先述の説明に提示された例は、担持媒体上に記録され、従来のコンピュータシステム上で動作する適切なコンピュータプログラムによって明確に評価されうる。プログラム工程の例を提示した。当該プログラムは、手順がよく知られているため、熟練したプログラマが、発明を必要とすることなく、容易に実施するものである。したがって当該プログラムおよびシステムについてさらに説明することはしない。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】有糸分裂編編成、特徴検知、およびカウンティングを組み込んだ、本発明の有糸分裂活性を測定する手順のブロック図である。
【図2】図1の手順における有糸分裂編成をより詳細に示す図である。
【図3】図1の手順における有糸分裂編成に対する代替的なアプローチのブロック図である。
【図4】図3の有糸分裂編成手順における隠れマルコフ無作為フィールド分割の使用法を示す図である。
【図5】図1の手順における有糸分裂特徴検知をより詳細に示す図である。
【図6】図1の手順における有糸分裂特徴検知に対する代替的なアプローチのブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組織病理検体画像データから有糸分裂活性を測定する方法であって、
a)有糸分裂像に関連づけられる輝度を有する画像データにおける画素を識別する工程と、
b)基準色を提供するために、位置および輝度が他の識別された画素と十分に近い基準画素を、識別された画素の中から選択する工程と、
c)可能性がある有糸分裂を示すために、輝度が基準色の輝度と十分に近い画像データにおける画素を位置特定する工程と、
d)画素を追加することによって、位置特定された画素からの可能性がある有糸分裂像に対応する画像領域を増加させる工程であって、画像領域に対する可能性がある増加は、前記画素の輝度がそれぞれの画像領域輝度に十分に近く、かつ画像データ背景輝度から十分に遠いか否かに応じて実施または拒絶される、画像領域を増加させる工程と、
e)画像領域面積に関する閾値、緻密度に関する閾値、および幅/高さ比に関する閾値に基づいて、成長画像領域を選択する工程と、
f)当該領域の数に関する閾値に基づいて、有糸分裂像を実際に示すものとして選択された成長画像領域をカウントする工程とを有することを特徴とする方法。
【請求項2】
成長画像領域を選択する工程が、背景輝度に対する画像領域輝度の比に関する閾値、および複数の閾値を用いて各画像領域を成長させることによって導かれた面積間の面積差に関する閾値も含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
画像領域面積に関する閾値が、355画素<面積<1700画素であり、緻密度に関する閾値が、0.17<緻密度<0.77であり、幅/高さ比に関する閾値が、幅/高さ比<2.7であり、輝度に関する閾値が、輝度百分率<44%であり、かつ面積差に関する閾値が、面積差<23面積/100であることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
有糸分裂像を実際に示すものとして選択された成長画像領域をカウントする工程が、領域面積に関する閾値および輝度に関する閾値も含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
画像領域に対する連続的な可能性がある増加が、個別の画素であり、該個別の各画素が、既存の画像領域画素の行または列の直接隣接する画素であることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程b)が、2つの画像寸法の小さい方の2%以下の距離だけ離れた他の識別された画素に比べて、8%未満の輝度差の輝度を有する基準画素によって実施されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
工程a)が、有糸分裂像に対応する輝度を有する画素を識別するのに先だって、画像データの白バランシングを行うことおよび中央値フィルタリングを行うことを含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
工程c)において、画素が、
a)有糸分裂像の画像に関連づけられる強度が欠如した画素を除去するために、色画像データの閾値を定め、
b)すべての色に存在しない画素を除去し、かつ
c)小さすぎたり、大きすぎたりするため可能性がある有糸分裂像にならない画素を除去するために画像領域面積の閾値を定めることによって、有糸分裂像を示すことに関しての受け入れまたは拒絶のために編成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
工程c)において、画素が、
a)有糸分裂像の画像に関連づけられる強度を有する画素を識別するために分割し、
b)小さすぎたり、大きすぎたりするため可能性がある有糸分裂像にならない画素を除去するために画像領域面積の閾値を定め、
c)画素の画像領域が十分に大きいクラスタであるか否かを判断するためにクラスタ解析を行い、かつ
d)壊死性およびヘアリエッジフィルタリングを行うことによって、有糸分裂像を示すことに関しての受け入れまたは拒絶のために編成されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
組織病理検体画像データから有糸分裂活性を測定する方法であって、
a)可能性がある有糸分裂像に対応する画像領域の強度プロファイルを測定する工程と、
b)強度プロファイルが、有糸分裂像の画像に関連づけられる強度を有する強度プロファイル内の位置における予め設定された閾値より大きい値を有する場合に、有糸分裂像を示すものとして画像領域をカウントする工程とを有することを特徴とする方法。
【請求項11】
強度プロファイルが、有糸分裂像の画像に関連づけられる強度を有する強度プロファイル内の位置における予め設定された閾値を超えない第1の値と、予め設定された第2の閾値より大きい第2の値と、予め設定された第3の閾値より大きい第3の値と、予め設定された第4の閾値より小さい最小値とを有する場合に、有糸分裂像を示すものとして画像領域をカウントすることを含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
第1の値が、強度プロファイルの一端にあり、第1および第2の値が、強度プロファイル内で互いに隣接し、第3の値が、第2の値と隣接していないことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
画像データが、着色画像データの主成分解析(PCA)によって得られた第1の主成分を含むことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
工程a)が、
a)画像データを重複する副画像に分解し、
b)PCAを副画像に適用して、第1の主成分画像を導き、
c)ブロブおよび背景の2値画像を生成するために第1の主成分画像の閾値を定め、
d)副画像境界に隣接または交差するブロブを拒絶し、
e)ブロブの穴を満たし、
f)小さすぎて可能性がある有糸分裂像に対応しないブロブを拒絶し、かつ
g)工程a)で先述した画像領域のプロファイル測定のために、副画像を単一画像に再構成することによって、画像データを前処理することを含むことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
工程g)の後に、画素が、
a)有糸分裂像の画像に関連づけられる強度が欠如した画素を除去するために色画像データの閾値を定め、
b)すべての色に存在しない画素を除去し、かつ
c)小さすぎたり、大きすぎたりするため可能性がある有糸分裂像にならない画素を除去するために画像領域面積の閾値を定めることによって、有糸分裂像を示すことに関しての受け入れまたは拒絶のために編成されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
工程g)の後に、画素が、
a)有糸分裂像の画像に関連づけられる強度を有する画素を識別するために分割し、
b)小さすぎたり、大きすぎたりするため可能性がある有糸分裂像にならない画素を除去するために画像領域面積の閾値を定め、
c)画素の画像領域が十分に大きいクラスタであるか否かを判断するためにクラスタ解析を行い、かつ
d)壊死性およびヘアリエッジフィルタリングを行うことによって、有糸分裂像を示すことに関しての受け入れまたは拒絶のために編成されることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
組織病理検体画像データから有糸分裂活性を測定するためのコンピュータ装置であって、
a)有糸分裂像に関連づけられる輝度を有する画像データにおける画素を識別する工程と、
b)基準色を提供するために、位置および輝度が他の識別された画素と十分に近い基準画素を、識別された画素の中から選択する工程と、
c)可能性がある有糸分裂を示すために、輝度が基準色の輝度と十分に近い画像データにおける画素を位置特定する工程と、
d)画素を追加することによって、位置特定された画素からの可能性がある有糸分裂像に対応する画像領域を増加させる工程であって、画像領域に対する可能性がある増加が、前記画素の輝度がそれぞれの画像領域輝度に十分に近く、かつ画像データ背景輝度から十分に遠いか否かに応じて実施または拒絶される、画像領域を増加させる工程と、
e)画像領域面積に関する閾値、緻密度に関する閾値、および幅/高さ比に関する閾値に基づいて、成長画像領域を選択する工程と、
f)当該領域の数に関する閾値に基づいて、有糸分裂像を実際に示すものとして選択された成長画像領域をカウントする工程とを、実行するようにプログラムされることを特徴とするコンピュータ装置。
【請求項18】
背景輝度に対する画像領域輝度の比に関する閾値、および複数の閾値を用いて各画像領域を成長させることによって導かれた面積間の面積差に関する閾値も用いることによって、成長画像領域を選択する工程を実行するようにプログラムされることを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
画像領域面積に関する閾値が、355画素<面積<1700画素であり、緻密度に関する閾値が、0.17<緻密度<0.77であり、幅/高さ比に関する閾値が、幅/高さ比<2.7であり、輝度に関する閾値が、幅/高さ比<2.7であり、かつ面積差に関する閾値が、面積差<23面積/100であることを特徴とする、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
領域面積に関する閾値および輝度に関する閾値も用いることによって、選択された成長画像領域を実際に示すものとして有糸分裂像をカウントする工程を実行するようにプログラムされることを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項21】
画像領域に対する連続的な可能性がある増加が、個別の画素であり、該個別の各画素が、既存の画像領域画素の行または列の直接隣接する画素であることを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項22】
2つの画像寸法の小さい方の2%以下の距離だけ離れた他の識別された画素に比べて、8%未満の輝度差の輝度を有する基準画素によって、工程b)を実行するようにプログラムされることを特徴とする、請求項17に記載の装置。
【請求項23】
組織病理検体画像データから有糸分裂活性を測定するためのコンピュータ装置であって、
a)可能性がある有糸分裂像に対応する画像領域の強度プロファイルを測定する工程と、
b)強度プロファイルが、有糸分裂像の画像に関連づけられる強度を有する強度プロファイル内の位置における予め設定された閾値より大きい値を有する場合に、有糸分裂像を示すものとして画像領域をカウントする工程とを、実行するようにプログラムされることを特徴とする装置。
【請求項24】
強度プロファイルが、有糸分裂像の画像に関連づけられる強度を有する強度プロファイル内の位置における予め設定された閾値を超えない第1の値と、予め設定された第2の閾値より大きい第2の値と、予め設定された第3の閾値より大きい第3の値と、予め設定された第4の閾値より小さい最小値とを有する場合に、有糸分裂像を示すものとして画像領域をカウントするようにプログラムされることを特徴とする、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
第1の値が、強度プロファイルの一端にあり、第1および第2の値は、強度プロファイル内で互いに隣接し、第3の値は、第2の値と隣接していないことを特徴とする、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
画像データが、着色画像データの主成分解析(PCA)によって得られた第1の主成分を含むことを特徴とする、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
組織病理検体画像データから有糸分裂活性を測定するのに使用されるコンピュータプログラムであって、
a)有糸分裂像に関連づけられる輝度を有する画像データにおける画素を識別する工程と、
b)基準色を提供するために、位置および輝度が他の識別された画素と十分に近い基準画素を、識別された画素の中から選択する工程と、
c)可能性がある有糸分裂を示すために、輝度が基準色の輝度と十分に近い画像データにおける画素を位置特定する工程と、
d)画素を追加することによって、位置特定された画素からの可能性がある有糸分裂像に対応する画像領域を増加させる工程であって、画像領域に対する可能性がある増加が、前記画素の輝度がそれぞれの画像領域輝度に十分に近く、かつ画像データ背景輝度から十分に遠いか否かに応じて実施または拒絶される、画像領域を増加させる工程と、
e)画像領域面積に関する閾値、緻密度に関する閾値、および幅/高さ比に関する閾値に基づいて、成長画像領域を選択する工程と、
f)当該領域の数に関する閾値に基づいて、有糸分裂像を実際に示すものとして選択された成長画像領域をカウントする工程とを、実施するようにコンピュータを制御するための命令を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項28】
命令が、背景輝度に対する画像領域輝度の比に関する閾値、および複数の閾値を用いて各画像領域を成長させることによって導かれた面積間の面積差に関する閾値も用いることによって、成長画像領域を選択する工程を実施させることを特徴とする、請求項27に記載のコンピュータプログラム。
【請求項29】
画像領域面積に関する閾値が、355画素<面積<1700画素であり、緻密度に関する閾値が、0.17<緻密度<0.77であり、幅/高さ比に関する閾値が、0.17<緻密度<0.77であり、輝度に関する閾値が、輝度百分率<44%であり、かつ面積差に関する閾値が、面積差<23面積/100であることを特徴とする、請求項28に記載のコンピュータプログラム。
【請求項30】
命令が、領域面積および輝度に関する閾値も用いて、有糸分裂像を実際に示すものとして選択された成長画像領域をカウントする工程を実施させることを特徴とする、請求項27に記載のコンピュータプログラム。
【請求項31】
組織病理検体画像データから有糸分裂活性を測定するのに使用されるコンピュータプログラムであって、命令が、
a)可能性がある有糸分裂像に対応する画像領域の強度プロファイルを測定する工程と、
b)強度プロファイルが、有糸分裂像の画像に関連づけられる強度を有する強度プロファイル内の位置における予め設定された閾値より大きい値を有する場合に、有糸分裂像を示すものとして画像領域をカウントする工程とを、実施させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項32】
命令は、強度プロファイルが、有糸分裂像の関連に対応づけられる強度を有する強度プロファイル内の位置における予め設定された閾値を超えない第1の値と、予め設定された第2の閾値より大きい第2の値と、予め設定された第3の閾値より大きい第3の値と、予め設定された第4の閾値より小さい最小値とを有する場合に、有糸分裂像を示すものとして画像領域をカウントさせることを特徴とする、請求項31に記載のコンピュータプログラム。
【請求項33】
第1の値は、強度プロファイルの一端にあり、第1および第2の値は、強度プロファイル内で互いに隣接し、第3の値は、第2の値と隣接していないことを特徴とする、請求項32に記載のコンピュータプログラム。
【請求項34】
命令が、
a)画像データを重複する副画像に分解し、
b)PCAを副画像に適用して、第1の主成分画像を導き、
c)ブロブおよび背景の2値画像を生成するために第1の主成分画像の閾値を定め、
d)副画像境界に隣接または交差するブロブを拒絶し、
e)ブロブの穴を満たし、
f)小さすぎて可能性がある有糸分裂像に対応しないブロブを拒絶し、かつ
g)工程a)で先述した画像領域プロファイル測定のために、副画像を単一画像に再編成することによって、画像データを前処理することを工程a)に含めることを特徴とする請求項32に記載のコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−506635(P2006−506635A)
【公表日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−552855(P2004−552855)
【出願日】平成15年11月13日(2003.11.13)
【国際出願番号】PCT/GB2003/004916
【国際公開番号】WO2004/047004
【国際公開日】平成16年6月3日(2004.6.3)
【出願人】(501352882)キネテイツク・リミテツド (93)
【Fターム(参考)】