説明

服薬情報提供システム、服薬情報提供サーバ、服用者端末、並びにプログラムおよび記録媒体

【課題】服用者の体の状態に応じた服薬情報を報知する服薬情報提供システムを提供する。
【解決手段】このシステムは、服用者端末と服薬情報提供サーバを無線あるいは無線で接続している。服用者端末は、服用者の生体情報を検出する生体情報検出手段と、検出結果を前記サーバに送信し、該サーバから服用する服薬情報を受信する通信手段と、受信された服薬情報を報知する報知手段とを備える。服薬情報提供サーバは、服用者端末から生体情報を受信し、作成された服薬情報を該服用者端末へ送信する通信手段と、服用者および服用する薬に関する情報が格納された服用者情報記憶手段と、薬に関する働きや用法を格納する薬剤情報記憶手段と、受信した生体情報から服用者の状態を解析する生体情報解析手段と、服用者情報記憶手段および薬剤情報記憶手段を参照して、服用者の状態に応じた服薬情報を作成する服薬情報作成手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、服薬情報提供システム、服薬情報提供サーバ、服用者端末、並びにプログラムおよび記録媒体に関し、具体的には、服用者の体の状態に応じた服薬情報(例えば、薬の服用時刻、服用時の注意等)を提供する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、病院や薬局等で薬が処方された場合は、効能や服用方法、薬の飲み合わせに関する事項等の説明を受ける。しかしながら、それら説明は時間が経過するにつれて忘れてしまうこともある。特に、服用時間については決められた時間に服用しなくてはならないが、食事を摂る時間が一定でない場合や短時間で慌しく食事を済ませる場合などは服用を忘れがちである。
【0003】
特許文献1の技術は、患者の薬の服用スケジュールを病院側で記憶媒体に記憶させ、この記憶媒体に記憶された服用スケジュールとタイマーにより計測された時間とに基づいて、定められた薬の服用時刻となったことをスピーカあるいは液晶表示によって患者に報知するようにしている。
【0004】
また、特許文献2の技術は、薬の服用者の服用者端末と所定のネットワークを介して接続されたサーバに、服用者の服用する薬およびその薬の服用時刻を記憶しておき、薬の服用時刻を示す服用者による所定の行為、例えば、飲食店に対して料金を支払った、あるいは、家庭内の炊飯器等の電気機器を使用したことを検知して、服用者に薬を服用するように促す服薬情報を作成して、服用者端末に送信するようにした。これにより、服用者に対して適切な時刻に薬の服用を促すことができる。
【特許文献1】特開2003−230620号公報
【特許文献2】特開2005−276191号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、あらかじめ定められた服用時刻にのみ通知がなされるようになっており、薬に定められた服用時刻までに食事を摂ることができなかった場合、例えば、昼食後に服用すべき薬があったときに、昼食を省いてしまったり、大幅にずれたときなどには、薬の服用を促す通知が行われないために適切な服用ができず、薬による効果を得にくい。
【0006】
また、特許文献2の技術では、飲食店でのカードによる支払い、あるいは、家庭内電気機器からの情報等の検知によって服用タイミングを決定しているが、このような行為は実際の食事状態を検知するものでなく、必ずしも正確とはいえない。また、体の状態が良くない場合に服用する頓服薬や一定間隔で服用する薬もある。
【0007】
本発明は、上述のような実情を考慮してなされたものであって、服用者の体の状態に応じた服薬情報を提供する服薬情報提供システム、服薬情報提供サーバ、服用者端末、並びにプログラムおよび記録媒体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を達成するために、本発明は次のような構成とする。
服薬情報提供システムは、薬の服用者が所有する服用者端末と、該服用者端末を無線あるいは有線で接続した服薬情報提供サーバとを備えたものであって、それぞれ次のような構成である。
前記服用者端末は、服用者の生体情報を検出する生体情報検出手段と、前記生体情報検出手段による検出結果を前記服薬情報提供サーバに送信し、該服薬情報提供サーバから服用する薬に関する服薬情報を受信する通信手段と、前記通信手段により受信された服薬情報を報知する報知手段とを備えている。
前記服薬情報提供サーバは、前記服用者端末から送信される生体情報を受信し、作成された服薬情報を該服用者端末へ送信する通信手段と、服用者及び服用する薬に関する情報が格納された服用者情報記憶手段と、薬に関する働きや用法を格納する薬剤情報記憶手段と、前記通信手段で受信した生体情報から服用者の状態を解析する生体情報解析手段と、前記服用者情報記憶手段および前記薬剤情報記憶手段を参照して、前記生体情報解析手段により解析された服用者の状態に応じた服薬情報を作成する服薬情報作成手段と、を備えている。
【0009】
また、上述の服薬情報提供システムでは、前記生体情報検出手段を前記服用者端末と別体としてもよい。この場合、該生体情報検出手段で検出した生体情報は、該服用者端末経由であるいは直接に前記服薬情報提供サーバへ送信される。
【0010】
前記生体情報解析手段は、前記服用者の生体情報により、薬を服用したか否かを判断し、前記服薬情報作成手段は、前記判断結果を基に次回の服用タイミングを調整する。
この前記生体情報解析手段における判断は、服用した薬の効果が出ると予想される時間と服用からの時間とを考慮し、受信した生体情報に薬の効果が反映されたと判断した場合、前回送信した服薬情報の薬を服用したと判断してもよいし、薬を服用したかどうかを前記服用者に確認し、この確認を基に前回送信した服薬情報の薬を服用したか否かを判断するようにしてもよい。
【0011】
さらに、各薬に対して飲みあわせにより副作用が起きる薬、飲み合わせを注意する飲食物や嗜好品、および、服用時の注意事項を前記薬剤情報記憶手段に格納しておき、前記服薬情報作成手段は、前記薬剤情報記憶手段を参照して、前記生体情報解析手段の解析結果に応じて作成する服薬情報を変更するようにしてもよい。
【0012】
また、服用対象となった薬と同様の働きを持つ薬剤や食品に関する代替情報、あるいは、服用対象となった薬が服用できない場合の対処法を前記薬剤情報記憶手段に格納しておき、前記服薬情報作成手段は、前記薬剤情報記憶手段を参照して、前記生体情報解析手段から得られる結果を改善するために服用が必要となる薬が前回の服用時からの最低服用間隔を確保していない場合、あるいは前記生体情報解析手段から得られる結果から薬が服用できないと判断される場合には、前記代替情報あるいは前記対処法によって服薬情報を作成するようにしてもよい。
【0013】
また、服用者端末は、次のような構成によって上記の服薬情報提供サーバの機能を備えるようにしてもよい。
この場合の服用者端末は、服用者の生体情報を検出する生体情報検出手段と、服用者及び服用する薬に関する情報が格納された服用者情報記憶手段と、薬に関する働きや用法を格納する薬剤情報記憶手段と、前記生体情報検出手段による検出結果から服用者の状態を解析する生体情報解析手段と、前記服用者情報記憶手段および前記薬剤情報記憶手段を参照して、前記生体情報解析手段により解析された服用者の状態に応じた服薬情報を作成する服薬情報作成手段と、前記服薬情報作成手段で作成された服薬情報を報知する報知手段と、を備えている。
【0014】
あるいは、この服用者端末は、服用者及び服用する薬に関する情報が格納された服用者情報記憶手段と、薬に関する働きや用法を格納する薬剤情報記憶手段と、別体として備えられた生体情報検出手段から検出された服用者の生体情報を得て、その検出結果から服用者の状態を解析する生体情報解析手段と、前記服用者情報記憶手段および前記薬剤情報記憶手段を参照して、前記生体情報解析手段により解析された服用者の状態に応じた服薬情報を作成する服薬情報作成手段と、前記服薬情報作成手段で作成された服薬情報を報知する報知手段と、を備えている。
【0015】
また、上述した構成の服薬情報提供システム、服薬情報提供サーバあるいは服用者端末の機能をコンピュータで実現させるためのプログラムを作成しておき、または、そのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録しておき、このプログラムをコンピュータで実行することによっても上記課題を解決することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、服用者の生体情報(身体状況)を監視しながら服用時間を可変できるので、適切な時に服薬情報を服用者や介護者に提供することができる。
例えば、生体情報の変化による食事検知後の食後服用薬の報知や、自覚していないが体に異常がある場合などに事前の服用を報知することで深刻な状態になることを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の服薬情報提供システム、服薬情報提供サーバ、服用者端末に係る好適な実施形態について説明する。
【0018】
<実施形態1>
図1は、本発明の実施形態1に係る服薬情報提供システムの概略構成図である。同図において、服薬情報提供システムは、服薬情報提供サーバ10と任意台数の服用者端末20とから構成されている。
【0019】
服薬情報提供サーバ10は、汎用のコンピュータで構成され、記憶装置に記憶されたプログラムを実行することによって、サーバとして機能させるとともに、服用者端末20から送信される服用者の生体情報を解析し、服用者が服用する薬に関する情報を参照して、服用タイミングになったときに、服用者に対して薬の服用を報知する服薬情報を作成して服用者端末20に送信する機能を実現させる。
通信網50は、無線あるいは有線による回線接続で、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット、携帯通信網あるいは近距離無線などが使われ、服薬情報提供サーバ10と任意台数の服用者端末20とを接続し、服薬情報提供サーバ10と服用者端末20間で種々のデータを送受信するのに使われる。
【0020】
服用者端末20は、通信網50を介して服薬情報提供サーバ10と通信可能な携帯型端末であって、例えばPC(Personal Computer)、PDA(Personal Digital Assistant)、携帯電話あるいは専用機器などであって、常時服用者の生体情報を検出して、服薬情報提供サーバ10へ送信して送られてきた服薬情報をもとに服薬の時間や注意事項等を報知する。
【0021】
図2は、無線で服薬情報提供サーバ10に接続をする服用者端末20のハードウェアの概略構成図であり、同図において、服用者端末20は、主制御部101、アンテナ102、無線部103、通信制御部104、記憶部105、操作部106、表示部107、スピーカ108、発光部109、生体情報検出部110とから構成される。
【0022】
主制御部101は、記憶部105に記憶された所定の制御プログラムを実行することにより、例えば、無線通信、操作や表示の入出力制御、生体情報の取得制御等の当該服用者端末20全体の動作を制御する。
アンテナ102は、無線電波を介して服薬情報提供サーバ10と無線通信を行うときに、データなどを送受信する。
無線部103は、受信時にはアンテナ102を介して受信したデータを復調する。送信時には通信制御部104から送られてくるデータを変調して増幅し、アンテナ102を介して服薬情報提供サーバ10に送信する。
通信制御部104は、無線部103が復調したデータを所定の通信プロトコルに基づいて主制御部101に送る。また、主制御部101から送られたデータを所定の通信プロトコルに基づいて無線部103へ送る。この通信により、服用者端末20と服薬情報提供サーバ10とのデータ通信が行える。
【0023】
記憶部105は、例えば、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)などで構成され、主制御部101で実行される制御プログラム、各種アプリケーションプログラムやデータを格納したり、制御プログラムや各種アプリケーションプログラムが実行時に一時的にデータ等を格納する。
【0024】
操作部106は、各種ファンクションや文字や数字等を入力するためのボタンやスイッチを備えており、電源、各種データ入力ボタン、通信の開始や終了等を指示するためのボタン、カーソルを上下左右に移動させるスクロール、通信網との接続指示、表示された内容の決定指示等の多機能ボタン等を備えている。そして、服用者が何らかのボタンやスイッチを操作する度に、どのボタンが操作されたかが主制御部101に通知される。
【0025】
表示部107は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)、CRTディスプレイ、LED(Light Emitting Diode)あるいはFL(蛍光管)等から構成され、生体情報や、操作部106により入力された情報や処理の中間・結果・警報等を表示する。
スピーカ108は、音声や音により服用者に服薬情報の受信を報知する。
発光部109は、例えば、LED(Light Emitting Diode)から構成され、特定の発光パターン(光の強弱、色、パターン等)の組み合わせによって、服用者に服薬情報の受信を報知する。さらに、これらの服薬情報の受信は、表示部107、スピーカ108、発光部109の任意の組み合わせで報知するようにしてもよい。
【0026】
生体情報検出部110は、公知の技術を用いて構成されるもので、服用者の生体情報に関する情報(例えば、血圧、心拍数、摂取カロリー、呼吸数、血中飽和酸素濃度、体温、体動加速度(運動量)、血中酸素飽和度、血糖値等)を検出するセンサであり、例えば、発光ダイオードと受光ダイオードを備え、動脈血管での反射・透過光を解析することにより血圧を検出したり、あるいは、光波によるグリコースの吸収量を測定して血糖値を検出したり、動脈血管を含む生体組織の吸光度を測定することによって血中酸素飽和度等を検出して、検出されたすべての生体情報を主制御部101へ通知する。また、この生体情報検出部110は、検出する生体情報によってそれぞれ異なるセンサを用いてもよい。
【0027】
次に、図3は、服用者端末20と服薬情報提供サーバ10の機能構成を示すブロック図である。同図において、服薬情報提供サーバ10は、通信部11、生体情報解析部12、服薬情報作成部13、服用者情報記憶部14、薬剤情報記憶部15、生体状態決定ルール記憶部16とからなり、服用者端末20は、通信部21、生体情報検出部22、報知部23とからなっている。
【0028】
まず、服用者端末20について説明する。
生体情報検出部22は、所定の間隔で服用者の生体情報(例えば、血圧、心拍数、摂取カロリー、呼吸数、血中飽和酸素濃度、体温、体動加速度(運動量)、血中酸素飽和度、血糖値等)を取得し、取得した生体情報を通信部21へ出力するとともに、取得した生体情報を記憶部105へ記憶する。あるいは、前回の生体情報が所定の範囲内で同じならば、記憶部105へ記憶して、次回の生体情報検出時間まで待機する。また、取得した生体情報と前回に取得した生体情報とが所定の範囲で異なると判断されると、前回の生体情報と今取得した生体情報とを通信部21へ出力するとともに、取得した生体情報を記憶部105へ記憶するようにしても良い。あるいは、服用者が自身で服用者端末20を操作することによって生体情報を取得するようにしても良い。
【0029】
通信部21は、生体情報検出部22から出力された生体情報と、服用者識別子(例えば、カルテ番号や服用者端末ID等)とを服薬情報提供サーバ10に送信する。また、服薬情報提供サーバ10から送信された服薬情報を報知部23へ転送する。
【0030】
報知部23は、服薬情報提供サーバ10から送信された服薬情報を表示部107へ表示するとともに、スピーカ108によって音声や音で服用情報を受信したことを服用者へ報知したり、あるいは発光部109によってパターン(光の強弱、色、パターン等)を用いて発光させて服用情報を受信したことを服用者へ報知して、服用者へ薬の服用を促す。
【0031】
この服薬情報の表示には、服用時間、服用する薬剤ごとに、薬剤名、薬剤の色や形状、大きさ、包装形態、薬剤の画像、服用する薬の分量、および、薬の用法(飲み方)、服用時の注意事項等が含まれる。また、バーコードやタグ情報等をも表示させて、薬剤名や形等だけでなく、服用者端末20に備えられたバーコード読み取り手段、ICタグ読み取り手段、カメラによる画像認識等でマッチングできるようにしてもよい。
【0032】
次に、服薬情報提供サーバ10について説明する。
服用者情報記憶部14は、図4に例示したように、服用者ごとに、服用者に関する情報と服用する薬に関する情報とを格納する。同図によれば、「服用者に関する情報」には、次に示すようなデータ項目のデータを格納する。
【0033】
服用者識別子フィールドには、服用者の名前や服用者を一意に識別するID(例えば、カルテ番号や服用者端末ID等)や服用者の端末の識別子(電話番号や電子メールアドレス等)が格納される。
連絡先情報フィールドには、服用者へ報知するか否かの区別、服用者以外に連絡すべき連絡先(電話番号や電子メールアドレス等)を格納する。例えば、服用者が自分だけでは服用できないような場合には、服用者への報知を否とし、その服用者を介護している介護者や担当医や看護士を連絡先として電子メールで連絡する。
送信服薬情報フィールドには、服薬情報を送信したときの日時およびその服薬情報が格納される。
前回服薬情報フィールドには、前回服用した日時および服薬情報が格納される。
【0034】
図4の「服用する薬に関する情報」は、服用者が服用する薬剤ごとに次に示すようなデータ項目のデータを格納する。
【0035】
薬剤識別子フィールドには、薬剤を一意に識別する薬剤コード(例えば、薬剤に付与されたバーコードやRFIDに記憶されているIDが格納される。
服用時間フィールドには、薬剤識別子で示される薬剤の服用タイミングと服用する時間を示す「朝、食間1(朝と昼の間)、昼、食間2(昼と夕の間)、夕、就寝前、頓服」の各データ項目がある。服用タイミングは、食事に対して「食前」、「食中」、「食後」の区別を格納する。「朝、食間1、昼、食間2、夕、就寝前、頓服」の各データ項目には、その時間に服用する薬の量(例えば、1錠、1袋、3錠等)と飲んだか否かの区別がそれぞれ格納される。このうち、「飲んだか否かの区分」は、日付が変わるときに「飲んでいない」の状態に初期化される。
注意事項フィールドには、例えば、頓服の場合、「前回服用したときから6−8時間経たないと飲んではいけない」というような服用するときの注意事項が格納される。
【0036】
上記の服用者情報記憶部14は、次のいずれかによって記録される。
(1)服薬情報提供サーバ10が病院や薬局の患者のカルテを管理するサーバである場合には、病院や薬局で処方箋を発行した際に自動的に記録される。
(2)服薬情報提供サーバ10が服用者の家庭等のホームサーバである場合には、処方箋が発行されたときに、着脱可能な記録媒体(例えば、メモリカード、ICカード等)に書き込まれる、あるいは、バーコードやICタグ読み取り等により服用者端末20の記憶部に書き込まれる。ここに記録された情報をホームサーバに取り込んで服用者情報記憶部14を更新する。
また、服用者端末20に電子カルテや電子薬の手帳などの機能が入っている場合には、処方箋が発行されたときに、これらの機能によって服用者端末20の記憶部105に取り込まれる。ここに記録された情報をホームサーバに取り込んで服用者情報記憶部14を更新する。
【0037】
薬剤情報記憶部15は、図5に例示したように、薬剤ごとに、働き、用法等の情報を格納する。同図によれば、これらの情報としては、次に示すようなデータ項目のデータを格納する。
【0038】
薬剤識別子フィールドは、薬剤を一意に識別する薬剤コード(例えば、薬剤に付与されたバーコードやRFIDに記憶されているID)と、薬剤の名称、形状、色、包装形態や画像が格納される。
働きフィールドは、この薬を飲んだときの作用が格納される。
用法フィールドは、この薬の飲み方の情報が格納される。
注意事項フィールドは、この薬の副作用等の注意事項が格納される。
【0039】
この薬剤情報記憶部15は、服薬情報提供サーバ10が病院や薬局の管理するサーバである場合には、薬剤の一般情報として記録されている。しかし、ホームサーバや服用者端末に記憶される場合には、病院や薬局で処方箋を記録するときに、あわせて処方箋に記載されている薬剤の働き・用法・注意事項等の情報を着脱可能な記録媒体や服用者端末に記録し、この記録された情報をホームサーバへ格納する。
【0040】
生体状態決定ルール記憶部16は、図6に例示したように、生体情報検出部22で取得された生体情報が、服用者がどのような状態にあったかを決定するときに使われるルールを記憶している。同図によれば、生体の状態と、その状態を引き起こす原因とを対応して記憶させている。例えば、服用者が「食事をした状態」となるのは、「血糖値が前回に比べて急激な上昇を示したとき」であり、「高熱の状態」となるのは、「体温が38.5度以上になったとき」である。
この生体状態決定ルール記憶部16は、すべての人について言えるルールもあるが、一般的ではない場合も考えられるので、服用者ごとに設けるようにしてもよい。また、過去の生体情報の履歴から可変するようにしても良い。
【0041】
通信部11は、服用者端末20から送信があると、生体情報解析部12を起動して、生体情報と、服用者識別子と受信日時を転送する。また、通信部11は、服薬情報作成部13から服薬情報が送られてくると、先に受信した服用者識別子で識別される服用者端末20あるいは服用者情報記憶部14に記録されている連絡先に服薬情報を送信する。
【0042】
生体情報解析部12は、通信部11から送られた服用者識別子と生体情報を受け取り、必要に応じて前回受信した生体情報を比較を行い、生体状態決定ルール記憶部16を参照して、例えば、血糖値が上昇した、心拍数が上昇した、体温が高いというような服用者の状態を決定する。ここで、生体状態決定ルール記憶部16が服用者ごとに記録されている場合には、服用者識別子に対応するルールを選択する。
【0043】
生体情報解析部12は、決定した服用者の状態が薬を服用しなければならない状態の時には、服薬情報作成部13を起動して、服用者識別子、服用者の状態、生体情報と、生体情報の受信日時とを出力する。また、必要であれば前回の生体情報も出力する。
あるいは、決定した服用者の状態が薬を飲まなくて良い状態の場合には、「服用すべき薬がないことを示す情報」を、通信部11を介して服用者端末20へ送信する。
【0044】
例えば、生体情報のうち血糖値が前回に比べて急激な上昇を示したときには、服用者が「食事をした状態」と判断して服薬情報を作成する。
しかし、食事でもおやつのような軽食でも「血糖値」が上がることがあるので、この生体情報を測った時刻が「15時」頃の場合には、「食事をとった」と看做さず、生体情報の他の値による状態の変化を見るようにする。
あるいは、「血糖値」が上昇しても「食事をとった」と自動的に看做さず、服用者端末へ「食事しましたか?」といった質問を送信して、服用者から回答を促すようにしてもよい。
また、生体情報のうち体温が38.5度以上になったときには、服用者が「高熱の状態」となったと判断して、服薬情報を作成する。
このように単に生体情報の変化だけでなく、そのときの時間を考慮したり、服用者への問合せを行うことによって、服用者の状態をより正確に判断できる。
【0045】
また、生体情報解析部12は、服用者情報記憶部14の服用者に対する送信服薬情報から送信日時を取得して、服薬情報を送信してから一定の時間範囲に生体情報が送られてきたかを判断する。一定の時間範囲と判断した場合には、今回の生体情報が前回の生体情報と比べて薬(送信服薬情報に格納されている薬)の効果が反映されているかを判断する。効果が反映されているときには、先に報知した薬が服用されたものと判断して、薬を「服用」に設定し、服薬情報とそれを送信した日時を前回服薬情報に設定して服用者情報記憶部14を更新するが、服薬情報は作成する必要がないものとする。
【0046】
生体情報解析部12は、服用情報を送信してから一定の時間範囲を過ぎてから生体情報を受信したとき、あるいは、薬の効果が反映されているか判断できないときには、服用者端末20へ通信部11を介して「薬を服用したか否かの質問」を送信する。服薬情報が送信されている場合には、この質問には、送信した日時と送信した服薬情報も送信する。
【0047】
服用者端末20から「服用した」旨の回答を受信した場合には、服用者情報記憶部14は薬を「服用」に設定し、服薬情報とそれを送った日時を前回服薬情報に記録し、服用者端末20から次の生体情報が送信されるまで待機する。
また、服用者端末20から「服用しない」旨の回答を受信した場合には、服用しなかったとして、再度薬を服用する必要があるかを判断する。
【0048】
服用者端末20は、服薬情報提供サーバ10から「薬を服用したか否かの質問」を受信すると、「薬を服用したか否かの質問」とともに、「服用した」および「服用しない」の指示ボタンを表示部107へ表示する。また、「送信した服薬情報の日時」および「送信した服薬情報」が送信されてきた場合には、これらも併せて表示される。
この表示を見た服用者は、いずれかのボタンを押下する。服用者端末20は、押されたボタンの区別(「服用した」または「服用しない」のいずれか)と服用者識別子(例えば、カルテ番号や服用者端末ID等)を服薬情報提供サーバ10へ送信する。
【0049】
薬の服用を促したあと、上記の生体情報解析部12では、薬の効果が現れる時間頃に検出された生体情報が正常値に戻った場合(血圧が下がる、など薬の効果が見られた場合)には前回報知した薬は服用されたとしたが、必ず、服用者に薬を服用したかどうかを確認するようにしてもよい。
【0050】
服薬情報作成部13は、服用者情報記憶部14を参照して、服薬情報を作成する必要があるか否かを判定し、服薬情報を作成する必要があると判定した場合には、服用者情報記憶部14に従って服用者が服用する薬を特定し、特定した薬に関する情報を薬剤情報記憶部15から抽出して服薬情報を作成し、通信部11に出力する。通信部11では、この服薬情報とそれを送信したときの日時を服用者情報記憶部14の送信服薬情報に記憶させてから、服用者情報記憶部14に記憶されている連絡先へ服薬情報を送信する。
【0051】
次に、実施形態1に係る服薬情報提供システムの動作を説明する。
図7は、実施形態1に係る服薬情報提供システムの動作を示すフローチャートである。
服用者端末20において、生体情報検出部22によって、服用者の生体情報を検出し(ステップS1)、通信部21が服用者識別子(カルテ番号や服用者端末ID等)と検出した生体情報とを服薬情報提供サーバ10へ送信する(ステップS2)。
【0052】
服薬情報提供サーバ10において、通信部11が服用者端末20から服用者識別子(カルテ番号や服用者端末ID等)と生体情報とを受信すると、生体情報解析部12を起動して、服用者識別子(カルテ番号や服用者端末ID等)と生体情報とを転送する(ステップS11)。
【0053】
生体情報解析部12は、必要に応じて前回受信した生体情報を比較を行い、服用者識別子に対応する生体状態決定ルール記憶部16を参照して、服用者が薬を服用すべき状態であれば(ステップS12/YES)、服薬情報作成部13を起動して、服用者識別子、服用者の状態、服用者の生体情報、生体情報の受信日時とを出力する。また、必要であれば前回の生体情報も出力する。
一方、薬を服用すべき状態にないと判断した場合には(ステップS12/NO)、通信部11を介して「服用すべき薬が存在しないことを示す情報」を服用者端末20へ返信し(ステップS17)、次の服用者端末20からの受信を待機する。
【0054】
服薬情報作成部13は、まず、現在時刻が薬の服用時間として設定されているか否かを調べる(ステップS13)。これは、服用者情報記憶部14を参照して、受信した服用者識別子に該当する記録データを取得する。この記録データのうちの服用時間(朝、食間1、昼、食間2、夕、就寝前)が現在の時間と所定の範囲内にあるかを調べる。例えば、現在時刻が「12時30分」の場合には、服用時間のうち「昼」に該当すると推定されて、服用時間内であると判断する。
【0055】
服用時間内でない場合には(ステップS13/NO)、通信部11を介して「服用すべき薬が存在しないことを示す情報」を服用者端末20へ返信し(ステップS17)、次の服用者端末20からの受信を待機する。
【0056】
一方、服用時間内であれば(ステップS13/YES)、服用者に関する記録データのうち、今回の服用時間に服用する薬があるか、あるいは、既に服用しているかを調べる(ステップS14)。まず、先に確定した服用時間に薬の量が記録されている薬剤を調べる。薬の量がすべて未設定の場合には、服用する薬がないと判断する。また、薬の量が記録されていても、既に服用済みであれば、服用する薬がないと判断する。
これらのいずれでもなく、薬の量が記録されている場合には、服用する薬があると判断する。
【0057】
次に、服薬情報作成部13は、先に特定した服用すべき薬剤に関する情報を薬剤情報記憶部15から抽出して、服薬情報を作成し、通信部11に出力する(ステップS15)。
この服薬情報には、服用時間と、服用する薬ごとに、薬剤名、薬剤の形状、色、包装形態や画像、薬の量、および、薬の用法(飲み方)、注意事項等が含まれる。
通信部11では、この服薬情報とそれを送信したときの日時を服用者情報記憶部14の送信服薬情報に記憶させてから、服用者情報記憶部14に記録されている連絡先へ服薬情報を送信し(ステップS16)、次の服用者端末20からの受信を待機する。
【0058】
服用者端末20では、通信部21が服薬情報提供サーバ10から送信された服薬情報を受信すると、報知部23を起動して、服薬情報を転送する(ステップS3)。
報知部23は、服薬情報を表示部107へ表示するとともに、スピーカ108によって音声や音で服用情報を受信したことを服用者へ報知したり、あるいは発光部109によってパターン(光の強弱、色、パターン等)を用いて発光させて服用情報を受信したことを服用者へ報知して、服用者へ薬の服用を促し(ステップS4)、次の生体情報検出まで待機する。この服薬情報の表示には、服用時間、服用する薬剤ごとに、薬剤名、薬剤の色や形状、大きさ、包装形態、薬剤の画像、服用する薬の量、および、薬の用法(飲み方)、注意事項等が含まれる。また、連絡先に服薬情報が報知された場合には、連絡を受けた介護者、看護士や医者が服用者へ服用を促す。
【0059】
また、通信部21が服薬情報提供サーバ10から送信された「服用すべき薬がないことを示す情報」を受信したときには、何も報知せずに次の生体情報検出時間まで待機する(ステップS5)。
【0060】
図8は、実施形態1に係る服薬情報提供システムにおいて、服用者端末から送信された生体情報から薬を服用したか否かの確認を行なうフローチャートである。
服薬情報提供サーバ10において、通信部11が服用者端末20から服用者識別子(カルテ番号や服用者端末ID等)と生体情報とを受信すると、生体情報解析部12を起動して、服用者識別子(カルテ番号や服用者端末ID等)と生体情報とを転送する(ステップS21)。
【0061】
生体情報解析部12は、服用者情報記憶部14の服薬情報の送信日を取得して、服用者に服薬情報を送信してから所定の時間以内に生体情報が送られてきたかを調べる(ステップS22)。
服用者に服薬情報を送信してないのにも関わらず生体情報が送られてきたとき、あるいは、服用情報を送信してから所定の時間を過ぎてから生体情報が送られてきたとき(ステップS22/NO)、ステップS27へ進む。
【0062】
一方、服用者に服薬情報を送信してから一定の時間範囲に生体情報が送られてきたときには(ステップS22/YES)、服用者情報記憶部14を参照して、服用者識別子に対応する送付済の服薬情報(送信服薬情報)を抽出し(ステップS23)、服薬情報作成時に参照された生体情報と比べて今回の生体情報に報知した薬の効果が反映されていないと判断したときには(ステップS24/NO)、ステップS27へ進む。
【0063】
あるいは、薬の効果が反映されていると判断したときには(ステップS24/YES)、先に報知した薬を送信時に服用したものと判断し(ステップS25)、服用した薬を「服用」に設定し、服薬情報とそれを送信した日時を前回服薬情報に設定して服用者情報記憶部14を更新するが、服薬情報を作成する必要がないものとする(ステップS26)。
【0064】
また、服薬情報を送信していなかったとき、あるいは、薬の効果が反映されているか判断できないときには、服用者端末20へ通信部11を介して「薬を服用したか否かの質問」を送信する(ステップS27)。服薬情報が送信されている場合には、この質問には、送信した日時と送信した服薬情報も送信する。
【0065】
服用者端末20では、服薬情報提供サーバ10から「薬を服用したか否かの質問」を受信すると(ステップS41)、「薬を服用したか否かの質問」とともに、「服用した」および「服用しない」の指示ボタンを表示部107へ表示する(ステップS42)。また、「送信した服薬情報の日時」および「送信した服薬情報」が送信された場合には、これらも併せて表示される。
【0066】
この表示を見た服用者は、いずれかのボタンを押下する(ステップS43)。
服用者端末20は、押されたボタンの区別(「服用した」または「服用しない」のいずれか)と服用者識別子(例えば、カルテ番号や服用者端末ID等)を服薬情報提供サーバ10へ送信する(ステップS44)。
【0067】
服薬情報提供サーバ10では、通信部11が服用者端末20から服用状況の回答を受信して、生体情報解析部12へ回答を転送する(ステップS28)。
生体情報解析部12では、「服用した」旨の回答を受信した場合には(ステップS29/YES)、服用者情報記憶部14の薬の服用時間の該当時間に服用した区別と、服薬情報とそれを送った日時を前回服薬情報に記録し、服用者端末20から次の生体情報が受信されるまで待機する(ステップS30)。
また、服用者端末20から「服用しない」旨の回答を受信した場合には(ステップS29/NO)、図7のステップS12以降に示した生体情報の解析を行わせる。
【0068】
<実施形態2>
薬を飲んだ状態でさらに病状が悪化したり、他の病気にかかった場合には、頓服や他の薬を飲まなければならない。また、薬によって飲み合わせ、食べ合わせにより効果が減少するものもある。しかし、実施形態1では、処方箋で処方された薬の飲み忘れ防止に役立つのみである。
本実施形態2では、服用者の生体情報に応じて、服用する薬に対して、飲み合わせに注意する薬や食べ合わせに注意が必要な飲食物・嗜好物や服用時の注意を加えた服薬情報を作成し、服用者にその服薬情報を報知するようにした。
【0069】
実施形態2に係る服薬情報提供システムの機能構成は、図3と同じであるから、相違点につき説明する。
図9は、実施形態2における薬剤情報記憶部15のデータ例である。同図において、薬剤情報記憶部15は、図5に示したデータ項目に加えて、薬剤識別子ごとに、副作用のある薬、食べ合わせに注意が必要な飲食物や嗜好品および注意事項の情報が記録される。
【0070】
副作用のある薬フィールドは、飲む薬と一緒に飲むと副作用を引き起こす薬剤識別子が記録される。
食べ合わせに注意が必要な飲食物フィールドは、飲む薬と一緒に飲食すると副作用を引き起こす飲食物の名前が記録される。
食べ合わせに注意が必要な嗜好品フィールドは、飲む薬と一緒に飲食すると副作用を引き起こす嗜好品の名前が記録される。
注意事項フィールドは、引き起こされる副作用や、その副作用が起きてしまったときの対処方法あるいは飲む薬の服用間隔等が記録される。
【0071】
上記の一緒に飲食する時の副作用とは、薬の働きを増強したり、薬の効果を抑制してしまうことをいう。例えば、「グレープフルーツ」や「グレープフルーツジュース」は薬の働きを増強してしまうため、血圧を降下させる「降圧薬」と一緒に飲むと、血圧を下げすぎるという副作用がある。
【0072】
服薬情報作成部13は、服用する薬剤が決定した後、生体情報解析部12から受け取った服用者の状態が要注意範囲内であるかを調べる。ここで、要注意範囲内でなければ(正常範囲内であれば)、実施形態1で説明したように通常の服薬情報を作成する。しかし、要注意範囲内であれば、薬剤情報記憶部15を参照して、決定した薬剤の副作用に注意する薬剤、食べ合わせに注意が必要な飲食物・嗜好品、および注意事項を取得して、服用者の状態に応じて注意レベルを変えたメッセージを追加した服薬情報を作成する。
【0073】
例えば、服用する薬剤が血圧の薬である場合、図10に示すように服用者端末の表示部に、服用者の現在の血圧の高さに応じて、「血圧は高めです。○○は薬の効果を弱めることがありますので摂取は避けてください。」(図10(1)参照)、あるいは、血圧がかなり高めであれば、「血圧が要注意レベルです。○○は薬の効果を弱めるので絶対に摂取しないでください。」(図10(2)参照)と注意レベルを変えたメッセージが追加されて報知される。
【0074】
<実施形態3>
上述の実施形態1および2では、薬の飲み忘れ防止と、服用者の状態に応じた副作用のある薬や飲食物等を報知するのみであった。
本実施形態3では、同じ薬を服用すべきと判断される生体情報を最低服用間隔以内に受信した場合、代替薬剤や食品、あるいは対処法を服用者に報知するようにした。
【0075】
実施形態3に係る服薬情報提供システムの機能構成は、図3と同じであるから、相違点につき説明する。
図11は、実施形態3における薬剤情報記憶部15のデータ例である。同図において、薬剤情報記憶部15は、図5、9に示したデータ項目に加えて、薬剤識別子ごとに、代替薬剤・食品あるいは対処法の情報が記録される。
代替薬剤・食品フィールドは、飲む薬と決定された薬剤に変わって飲む薬あるいは食品が記録される。
対処法フィールドは、代替薬剤・食品がない場合の対処方法が記録される。
ここで、薬剤情報記憶部15の代替薬剤・食品フィールドと対処法フィールドは、いずれか片方あるいは両方を備えたものであっても良い。
【0076】
服薬情報作成部13は、服用する薬剤が決定した後、薬剤情報記憶部15を参照して、前回の服用時間(服用者情報記憶部14に記録されている)からの時間が最低限間隔以下の薬剤があるかを調べる。
決定したすべての薬剤がそれぞれに定められた最低限間隔を過ぎているときは、実施形態1で説明したように通常通りの服薬情報を作成する。しかし、1つでも最低限間隔を過ぎていない薬剤があるときには、薬剤情報記憶部15を参照して、最低限間隔を過ぎていない薬剤の代替薬剤・食品あるいは対処方法を取得して追加した服薬情報を作成する。
【0077】
例えば、高熱が続いているので、「最低6時間の間隔で服用する」という注意がある解熱剤を服用したが、効果が出るはずの数時間経っても良くなっていない。このように高熱が続く場合に、生体情報検出部22で6時間以内に測定された生体情報(体温)が服薬情報提供サーバ10へ送られる。
服薬情報作成部13では、また解熱剤を服用するように決定したが、「最低6時間の間隔で服用」という注意があり、服用はできないので、高熱に対処する方法「わきの下や腿の付け根を冷やす」という対処法を取得し服薬情報を作成して、連絡先の端末へ送る。
連絡先の端末では、この服薬情報を受信し、服用者にこの対処方法が報知される。
【0078】
<その他の実施形態>
上記実施形態1,2,3では、服用者の生体情報を検出する生体情報検出部を服用者端末に備えていたが、この生体情報検出部と服用者端末とを別体とするようにしても良い。
例えば、服用者端末を携帯電話とし、それとは別体の生体情報検出装置を服用者が常時装着するようにしておく。生体情報検出装置では、服用者の生体情報を検出し服用者の所持する服用者端末へ送信し、この服用者端末から服薬情報提供サーバへ検出した服用者の生体情報を送信して服薬情報を取得するように構成してもよい。あるいは、生体情報検出装置から、服用者端末を経ないで直接に検出した服用者の生体情報を服薬情報提供サーバへ送信して服薬情報を服用者端末や連絡先の端末で受信するように構成してもよい。服用者端末への生体情報の送信タイミングは、前回の生体情報と異なる場合のみ今回の生体情報を送信する、あるいは前回と今回の生体情報を送信するようにしても良い。
【0079】
また、服用者が自力で薬を服用できない場合、上記実施形態のように服用者の服用者端末に服薬情報を通知するだけでなく、家族や看護士や介護者の所持する連絡先端末に服薬情報を報知した方が良い。
このような実施形態としては、図12に示したように、上記実施形態で説明した服用者端末20と服薬情報提供サーバ10に加えて、服用者(患者)が常時装着する生体情報検出装置30とこの患者の服薬情報を受信する連絡先端末(介護者の端末)40を通信網50で接続するようにする。ここで、複数人の患者を扱う看護士の場合には、患者の生体情報検出装置30と看護士の持つ連絡先端末40とは1対1に対応しなくても良い。
この連絡先端末40は、通信網50を介して服薬情報提供サーバ10から被介護者である患者への服薬情報を受信できる機器であればよい。
【0080】
さらに、図13に示すように、上記実施形態で説明した服薬情報提供サーバの機能を服用者端末自身が備えるようにしてもかまわない。
この場合、病院や薬局などで処方された処方箋の情報を着脱可能な記録媒体に記録させてもらい、この記録媒体を服用者端末に装着して、服用者情報記憶部14に記録させるようにしても良い。または、直接、処方箋の情報をバーコード読み取り、ICタグ読み取り手段等で服用者端末の服用者情報記憶部14に記録させるようにしても良い。ここで、服用者情報記憶部14に記録させる情報は、この端末の所有者である服用者に関する情報だけである。
薬剤情報に関しても、処方箋をもらうときに病院や薬局から取得しても良いし、インターネットを介して得た薬剤情報を服用者自ら記録させるようにしても良い。
【0081】
図13に示したような服薬情報提供サーバの機能を服用者端末では、病院や薬局による処方箋の代わりに、市販薬に関しても、服用者自身が処方箋情報や薬剤情報を設定しておけば、服薬情報を提供してもらうことができる。
【0082】
また、服薬情報提供サーバに、予め食事をする時刻を設定しておけば、服用者端末から生体情報を定期的に送らなくても、服薬情報提供サーバの方から生体情報を要求して、このときの服用者の生体情報を基に服薬情報を提供できる。例えば、「そろそろ昼食を取る頃であるから」または「昼食をとったはずだから」生体情報を送ってくれるように要求するようにすれば、服用者端末および生体情報検出部はそのときにのみ動作するので、服用者端末および生体情報検出部の消費電力を低減させることができる。
【0083】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されたものではない。上述した実施形態の服薬情報提供システム、服薬情報提供サーバおよび服用者端末を構成する各機能をそれぞれプログラム化して、予め記録媒体に書き込んでおき、この記録媒体に記録されたこれらのプログラムを当該装置に備えられたメモリあるいは記憶装置に格納し、そのプログラムを実行することによって、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。この場合、記録媒体から読み出されたプログラム自体が上述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体も本発明を構成することになる。
また、上記プログラムは、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することによって上述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
【0084】
なお、上述した実施形態の機能を実現するプログラムは、ディスク系(例えば、磁気ディスク、光ディスク等)、カード系(例えば、メモリカード、光カード等)、半導体メモリ系(例えば、ROM、不揮発性メモリ等)、テープ系(例えば、磁気テープ、カセットテープ等)等のいずれの形態の記録媒体で提供されてもよい。あるいは、ネットワークを介して記憶装置に格納された上記プログラムをサーバコンピュータから直接供給を受けるようにしてもよい。この場合、このサーバコンピュータの記憶装置も本発明の記録媒体に含まれる。
このように、上述した実施形態の機能をプログラム化して流通させることによって、コストの低廉化、および可搬性や汎用性を向上させることができる。
【0085】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で各種の変形、修正が可能であるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の服薬情報提供システムの概略構成図である。
【図2】服用者端末のハードウェアの概略構成図である。
【図3】服薬情報提供システム(服用端末と服薬情報提供サーバ)の機能構成を示すブロック図である。
【図4】服用者情報記憶部のデータ構造例である。
【図5】薬剤情報記憶部のデータ構造例である。
【図6】生体状態決定ルール記憶部のデータ構造例である。
【図7】服薬情報提供システムの動作を示すフローチャートである。
【図8】服用者端末から送信された生体情報から薬を服用したか否かの確認を行なう動作を示すフローチャートである。
【図9】薬剤情報記憶部に副作用をもつ薬剤、飲食物・嗜好品、注意事項を追加した例である。
【図10】服用者端末での服薬情報の報知例である。
【図11】薬剤情報記憶部に代替薬剤・食品あるいは対処法を追加した例である。
【図12】服用者の装着する生体情報検出装置、連絡先端末、服薬情報提供サーバから構成される服薬情報提供システムの構成例である。
【図13】服薬情報提供機能を備えた服用者端末の機能構成図である。
【符号の説明】
【0087】
10…服薬情報提供サーバ、11…通信部、12…生体情報解析部、13…服薬情報作成部、14…服用者情報記憶部、15…薬剤情報記憶部、16…生体状態決定ルール記憶部、20…服用者端末、21…通信部、22…生体情報検出部、23…報知部、101…主制御部、102…アンテナ、103…無線部、104…通信制御部、105…記憶部、106…操作部、107…表示部、108…スピーカ、109…発光部、110…生体情報検出部、30…生体情報検出装置、40…連絡先端末、50…通信網。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬の服用者が所有する服用者端末と、前記服用者端末を無線あるいは有線で接続した服薬情報提供サーバとを備え、
前記服用者端末は、服用者の生体情報を検出する生体情報検出手段と、前記生体情報検出手段による検出結果を前記服薬情報提供サーバに送信し、該服薬情報提供サーバから服用する薬に関する服薬情報を受信する通信手段と、前記通信手段により受信された服薬情報を報知する報知手段とを備え、
前記服薬情報提供サーバは、前記服用者端末から送信される生体情報を受信し、作成された服薬情報を該服用者端末へ送信する通信手段と、服用者および服用する薬に関する情報が格納された服用者情報記憶手段と、薬に関する働きや用法を格納する薬剤情報記憶手段と、前記通信手段で受信した生体情報から服用者の状態を解析する生体情報解析手段と、前記服用者情報記憶手段および前記薬剤情報記憶手段を参照して、前記生体情報解析手段により解析された服用者の状態に応じた服薬情報を作成する服薬情報作成手段と、
を備えることを特徴とする服薬情報提供システム。
【請求項2】
請求項1に記載の服薬情報提供システムにおいて、前記生体情報検出手段を前記服用者端末と別体とし、該生体情報検出手段で検出した生体情報を該服用者端末経由で前記服薬情報提供サーバへ送信することを特徴とする服薬情報提供システム。
【請求項3】
請求項1に記載の服薬情報提供システムにおいて、前記生体情報検出手段を前記服用者端末と別体とし、該生体情報検出手段で検出した生体情報を前記服薬情報提供サーバへ直接送信することを特徴とする服薬情報提供システム。
【請求項4】
請求項1、2または3に記載の服薬情報提供システムにおいて、前記生体情報解析手段は、服用者の生体情報により、薬を服用したか否かを判断し、前記服薬情報作成手段は、前記判断結果を基に次回の服用タイミングを調整することを特徴とする服薬情報提供システム。
【請求項5】
請求項4に記載の服薬情報提供システムにおいて、前記生体情報解析手段は、受信した生体情報に薬の効果が反映された場合、前回送信した服薬情報の薬を服用したと判断することを特徴とする服薬情報提供システム。
【請求項6】
請求項4に記載の服薬情報提供システムにおいて、前記生体情報解析手段は、薬を服用したかどうかを服用者に確認し、この確認を基に前回送信した服薬情報の薬を服用したか否かを判断することを特徴とする服薬情報提供システム。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の服薬情報提供システムにおいて、前記薬剤情報記憶手段は、さらに、各薬に対して飲みあわせにより副作用が起きる薬、飲み合わせを注意する飲食物や嗜好品、および、服用時の注意事項を格納し、前記服薬情報作成手段は、前記薬剤情報記憶手段を参照して、前記生体情報解析手段の解析結果に応じて作成する服薬情報を変更することを特徴とする服薬情報提供システム。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の服薬情報提供システムにおいて、前記薬剤情報記憶手段は、さらに、服用対象となった薬と同様の働きを持つ薬剤や食品に関する代替情報、あるいは、服用対象となった薬が服用できない場合の対処法を格納し、前記服薬情報作成手段は、前記薬剤情報記憶手段を参照して、前記生体情報解析手段から得られる結果を改善するために服用が必要となる薬が前回の服用時からの最低服用間隔を確保していない場合、あるいは前記生体情報解析手段から得られる結果から薬が服用できないと判断される場合には、前記代替情報あるいは前記対処法によって服薬情報を作成することを特徴とする服薬情報提供システム。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の服薬情報提供システムにおいて、前記服薬情報提供サーバの機能を前記服用者端末に備えることを特徴とする服薬情報提供システム。
【請求項10】
無線あるいは有線で接続された服用者端末から送信される生体情報を受信し、作成された服薬情報を該服用者端末へ送信する通信手段と、服用者および服用する薬に関する情報が格納された服用者情報記憶手段と、薬に関する働きや用法を格納する薬剤情報記憶手段と、前記通信手段で受信した生体情報から服用者の状態を解析する生体情報解析手段と、前記服用者情報記憶手段および前記薬剤情報記憶手段を参照して、前記生体情報解析手段により解析された服用者の状態に応じた服薬情報を作成する服薬情報作成手段と、を備えることを特徴とする服薬情報提供サーバ。
【請求項11】
薬の服用者が装着し、無線あるいは有線で接続された生体情報検出装置から送信される生体情報を受信し、作成された服薬情報を該服用者の連絡先端末へ送信する通信手段と、服用者および服用する薬に関する情報が格納された服用者情報記憶手段と、薬に関する働きや用法を格納する薬剤情報記憶手段と、前記通信手段で受信した生体情報から服用者の状態を解析する生体情報解析手段と、前記服用者情報記憶手段および前記薬剤情報記憶手段を参照して、前記生体情報解析手段により解析された服用者の状態に応じた服薬情報を作成する服薬情報作成手段と、を備えることを特徴とする服薬情報提供サーバ。
【請求項12】
服用者の生体情報を検出する生体情報検出手段と、前記生体情報検出手段による検出結果を無線あるいは有線で接続した服薬情報提供サーバに送信し、該服薬情報提供サーバから服用する薬に関する服薬情報を受信する通信手段と、前記通信手段により受信された服薬情報を報知する報知手段とを備えることを特徴とする服用者端末。
【請求項13】
服用者の生体情報を検出する生体情報検出手段と、服用者および服用する薬に関する情報が格納された服用者情報記憶手段と、薬に関する働きや用法を格納する薬剤情報記憶手段と、前記生体情報検出手段による検出結果から服用者の状態を解析する生体情報解析手段と、前記服用者情報記憶手段および前記薬剤情報記憶手段を参照して、前記生体情報解析手段により解析された服用者の状態に応じた服薬情報を作成する服薬情報作成手段と、前記服薬情報作成手段で作成された服薬情報を報知する報知手段と、を備えることを特徴とする服用者端末。
【請求項14】
薬の服用者が装着し、無線あるいは有線で接続された生体情報検出装置から送信される生体情報を受信し、服用者及び服用する薬に関する情報が格納された服用者情報記憶手段と、薬に関する働きや用法を格納する薬剤情報記憶手段と、服用者の生体情報を検出する生体情報検出装置の検出結果から服用者の状態を解析する生体情報解析手段と、前記服用者情報記憶手段および前記薬剤情報記憶手段を参照して、前記生体情報解析手段により解析された服用者の状態に応じた服薬情報を作成する服薬情報作成手段と、前記服薬情報作成手段で作成された服薬情報を報知する報知手段と、を備えることを特徴とする服用者端末。
【請求項15】
請求項12、13または14に記載の服用者端末において、請求項10または11に記載の服薬情報提供サーバの機能を備えることを特徴とする服用者端末。
【請求項16】
コンピュータに、請求項1乃至9のいずれかに記載の服薬情報提供システムの機能、または、請求項10または11に記載の服薬情報提供サーバの機能、または、請求項12乃至15のいずれかに記載の服用者端末の機能を実現させるプログラム。
【請求項17】
コンピュータが読み取り可能な記録媒体であって、請求項16に記載のプログラムを記録したことを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−188149(P2007−188149A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−3578(P2006−3578)
【出願日】平成18年1月11日(2006.1.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】