木材の乾燥方法
【課題】内部割れを抑制しつつ効率的に木材の乾燥を行うことのできる木材の乾燥方法を提供すること。
【解決手段】本発明の木材の乾燥方法は、木材の木口面10aを部分的に遮蔽物で覆った状態で、該木材を人工乾燥する木材の乾燥方法であり、前記木口面10aを、相対向する辺の中点同士を結ぶ2本の中央線L1,L2によって4領域に区分し、該領域それぞれについて、隣り合う2辺の何れにも達しない最外周年輪Na〜Ndを見たときに、該最外周年輪Na〜Ndにおける木口面の辺に最も近づく箇所の内側付近Pa〜Pdを前記遮蔽物で覆う一方、該最外周年輪における前記木口面の対角線L3,L4が交差する箇所の内側付近Ta〜Tdは前記遮蔽物で覆わないで、木材の人工乾燥を行う。
【解決手段】本発明の木材の乾燥方法は、木材の木口面10aを部分的に遮蔽物で覆った状態で、該木材を人工乾燥する木材の乾燥方法であり、前記木口面10aを、相対向する辺の中点同士を結ぶ2本の中央線L1,L2によって4領域に区分し、該領域それぞれについて、隣り合う2辺の何れにも達しない最外周年輪Na〜Ndを見たときに、該最外周年輪Na〜Ndにおける木口面の辺に最も近づく箇所の内側付近Pa〜Pdを前記遮蔽物で覆う一方、該最外周年輪における前記木口面の対角線L3,L4が交差する箇所の内側付近Ta〜Tdは前記遮蔽物で覆わないで、木材の人工乾燥を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材の乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
柱材等の住宅構造用材として、国産材のスギ、ヒノキ等の芯持ち角材の背割り材が使用されてきたが、住宅構造用材の仕様の変化により背割りのない芯持ち角材が使用されることが多くなった。しかし、このような芯持ち角材は、乾燥中に材面割れが生じ易く、背割り材と同様に、施工や旛工後の寸法安定性が悪く、不具合を起こす要因ともなる。そのため、寸法安定性に優れた集成材の使用も増加している。
近年、スギ、ヒノキ芯持ち角材の乾燥中に生じる材面割れを低城する高温乾燥法が開発され普及してきた。この高温乾燥法は、乾燥初期に乾球温度120℃の乾燥により、表層にドライングセットを形成することで、材面割れが少なくなるといわれている。高温乾燥法によれば、材面割れが比較的減少するが、十分ではないのが実情である。
【0003】
また、高温乾燥法は、内部割れが発生しやすいという問題がある。高温乾燥法における内部割れは、材表層が引張りの状態でドライングセットされ、このために材内部が自由に収縮できなくなり、引張り応力が大きくなることにより発生すると考えられている。
また、材面割れは高温乾燥初期において、乾球温度120℃の持続時間が十分ではない場合、いわゆるドライングセット形成の層が浅く、まだ引張応力が表層に存在している状態で発生すると考えられている。
そして、材面割れを防ぐため、過剰に乾球温度120℃の持続時間を長くすると、ドライングセット形成の層は深くなるが、乾燥速度が速いため、表層のドライングセット層の内側の部分が120℃の乾球温度のため、急速に内層の一部に収縮が始まり、この内層の部分が表層のドライングセットに強く拘束され、そのため引張応力が増大して内部割れが起こるといわれている。
【0004】
このような材面割れや内部割れを軽減する乾燥スケジュールの制御手法として、木材内の温度及び含水率を計測しながら乾燥を進めていく手法(特許文献1参照)が知られている。また、本出願人は、木材の内部に固定した歪み検知手段から得られるデータに基づき乾燥条件を制御しながら乾燥を進めていく手法(特許文献2参照)、及び角材の相隣接する2側面に一対の変位計固定用治具を固定し、一対の前記変位計固定用治具間に固定した変位計により、乾燥中に生じる変位を計測しながら乾燥を進めていく手法(特許文献3参照)等を提案した。
【0005】
また、物理的に材面割れ及び/又は内部割れを軽減する人工乾燥方法として、木材の外周を水分透過性の収縮拘束手段で拘束しながら乾燥させる手法(特許文献4参照)や、木材の木口部に穴をあける手法(特許文献5,6参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−287206号公報
【特許文献2】特開2004−190957号公報
【特許文献3】特開2007−120902号公報
【特許文献4】特開平02−050072号公報
【特許文献5】特開平02−155605号公報
【特許文献6】特開2007−196507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1〜3の手法によれば、歪み検知手段や、温度及び含水率センサ、変位計等を取り付けた木材については、内部割れや材面割れを効果的に防止することができるが、複数本の木材を乾燥機内に入れて同時に乾燥させる場合には、木材の含水率にばらつきがあることが多く、含水率が異なる複数本の木材のそれぞれについて適切な乾燥制御を行うことは難しく、同時に乾燥する複数本の木材(乾燥材ロット)全体を管理することが困難であった。
【0008】
また、特許文献4〜6の手法は、ある程度の割れ防止効果は認められるものの、被乾燥木材の外周を取り囲むように収縮拘束手段を装着する作業が煩雑であったり、穴をあける等の処理に追加の専用機械を導入する必要がある等、労力的ないし費用的な負担が大きい。
【0009】
従って、本発明の目的は、内部割れを抑制可能な乾燥条件を見出すことのできる木材の乾燥方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、内部割れを抑制しつつ効率的に木材の乾燥を行うことのできる木材の乾燥方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、木材の木口面を部分的に遮蔽物で覆った状態で、該木材を人工乾燥する木材の乾燥方法であって、前記木口面を、相対向する辺の中点同士を結ぶ2本の中央線によって4領域に区分し、該領域それぞれについて、隣り合う2辺の何れにも達しない最外周年輪を見たときに、該最外周年輪における木口面の辺に最も近づく箇所の内側付近を前記遮蔽物で覆う一方、該最外周年輪における前記木口面の対角線が交差する箇所の内側付近は前記遮蔽物で覆わないで、木材の人工乾燥を行う木材の乾燥方法を提供することにより、上記の目的を達成したものである(以下、第1発明というときはこの発明をいう)。
【0011】
本発明は、木材の木口面を部分的に遮蔽物で覆った状態で、該木材を人工乾燥する木材の乾燥方法であって、前記木口面を、該木口面の各辺の中点近傍を前記遮蔽物で覆う一方、該遮蔽物に覆われた一又は複数の年輪を該木口面の対角線上では覆わない状態で、木材の人工乾燥を行う木材の乾燥方法を提供することにより、上記の目的を達成したものである(以下、第2発明というときはこの発明をいう)。
【0012】
本発明は、木材の木口面を部分的に遮蔽物で覆った状態で、該木材を人工乾燥する木材の乾燥方法であって、前記木口面を、各辺を3等分して正方形状の9領域に区分したときに、該木口面の四隅に位置する角領域における、前記遮蔽物で覆う面積の割合が、隣り合う2つの角領域間に位置する外周中央部領域における、前記遮蔽物で覆う面積の割合よりも小さくなるようにして、木材の人工乾燥を行う木材の乾燥方法を提供することにより、上記の目的を達成したものである(以下、第3発明というときはこの発明をいう)。
【0013】
本発明は、木材の木口面を部分的に覆った状態で、該木材を人工乾燥するのに用いる木口面遮蔽具であって、中央部に開孔を有する板状の遮蔽部と、木口面遮蔽具を、該遮蔽部が木材の木口部に当接した状態に固定する固定手段とを備えており、前記遮蔽部に正方形状の開孔が形成されており、その開孔の面積が、前記木口面の面積の30〜50%である木口面遮蔽具を提供するものである(以下、第4発明というときはこの発明をいう)。
【発明の効果】
【0014】
本発明の木材の乾燥方法によれば、内部割れを抑制可能な乾燥条件を見出すことのできる木材の乾燥方法を提供することにある。
また、本発明の木材の乾燥方法によれば、内部割れを抑制しつつ効率的に木材の乾燥を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施に用い得る木材の乾燥装置の一例を示す模式図である。
【図2】木口面遮蔽具の一例を示す斜視図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】図2の木口面遮蔽具を木材の木口部に取り付ける様子を示す斜視図である。
【図5】木口面遮蔽具の他の例を示す図であり、(a)斜視図、(b)断面図である。
【図6】図5の木口面遮蔽具を木材の木口部に取り付ける様子を示す斜視図である。
【図7】木口面遮蔽具の更に他の例を示す斜視図である。
【図8】本発明の好ましい木口面の遮蔽態様を説明するための説明図である。
【図9】本発明の他の好ましい木口面の遮蔽態様を説明するための説明図である。
【図10】本発明の更に他の好ましい木口面の遮蔽態様を説明するための説明図である。
【図11】木口面の遮蔽部(黒塗り部)の配置態様を示す図である。
【図12】乾燥スケジュールを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて説明する。
本発明の木材の乾燥方法の実施には、温度及び湿度を制御可能な乾燥室を備えた乾燥装置を用いることが好ましい。
図1は、斯かる乾燥装置の一例を示すもので、温度及び湿度を制御可能な乾燥室1を備え、該乾燥室1内に収容した木材10を、該乾燥室1内の温度及び湿度の制御下に乾燥可能である。
【0017】
より具体的に説明すると、図1の木材の乾燥装置は、乾燥すべき木材10を収容する乾燥室1と、乾燥室1内に蒸気を噴射する蒸射機構2と、乾燥室1内の空気を加熱する加熱機構3と、乾燥室内1に外気を導入する給気機構4と、乾燥室内1の空気を外部に排気する排気機構5とを具備している。
【0018】
蒸射機構2は、蒸気発生装置(ボイラー等)21において発生させた蒸気を、乾燥室1に接続された蒸気導入管22を介して乾燥室1内に導入するように構成されており、蒸気導入管22に設けた電磁弁、電動弁等の制御弁23の開閉等により、乾燥室内への蒸射を制御可能である。加熱機構3は、乾燥室1内に配管した加熱管31内に熱媒(蒸気)を流通させることにより乾燥室1内の空気を加熱するように構成されており、該熱媒の流通、流量、温度等の制御により、加熱の制御が可能である。給気機構4及び排気機構5は、それぞれ、乾燥室1の内外を連通するダクト41,51と該ダクト内に空気流を生じさせるファン(図示せず)とを主体として構成されており、それぞれ、ファンの回転やダクトに設けたダンパー42,52の開閉を制御することにより、乾燥室1の吸排気を制御可能である。
【0019】
そして、蒸射機構2による蒸射、加熱機構3による加熱、給気機構4による給気、及び排気機構5による排気を、適宜に制御することにより、乾燥室1内の温度及び湿度を所望の温度及び湿度に制御することができるようになっている。
乾燥装置は、乾燥中における木材内部の温度を測定可能な温度測定手段6及び乾燥中における木材内部の含水率を測定可能な含水率測定手段7を具備していても良い。また、温度測定手段6及び含水率測定手段7は、それぞれ木材内部の温度又は含水率を、木材表面からの深さが異なる二箇所以上の部位において測定可能になされていても良い。温度測定手段及び含水率測定手段としては、例えば、特許文献1に記載のもの等を用いることができる。
また、乾燥装置は、木材(角材)10の相隣接する2側面に一対の変位計固定用治具を固定し、その一対の変位計固定用治具間に固定した変位計により、乾燥中の角材に生じる変位を計測する、変位測定手段を備えていても良い。このような変位測定手段の例は、例えば、特許文献3に記載のもの等を用いることができる。
【0020】
図1に示す乾燥装置は、乾燥室1内に設置された温度及び湿度計(図示せず)に電気的に接続された制御演算部8を備えている。制御演算部8は、パーソナルコンピューターを主体として構成されている。また、演算部8には、温度測定手段6、含水率測定手段7及び図示しない変位測定手段等も電気的に接続されており、該制御演算部8において、所定の演算がなされ、木材内部の温度、含水率及び木材内部に生じた変位量が算出され、それらが、連続的又は所定の間隔で、表示手段9及び/又はプリンター11’上に出力されるようになっている。制御演算部8は、入力手段12’から入力された所定の制御スケジュールに従い、乾燥室1内の温度及び湿度を経時的に変化させるようになされており、また、乾燥中に、そのスケジュールに適宜の変更を加えることも可能である。
【0021】
本発明の木材の乾燥方法においては、乾燥すべき木材(被乾燥木材)10の木口面を部分的に遮蔽物で覆い、その状態で、木材の人工乾燥を行う。
人工乾燥は、図1に示す乾燥装置の乾燥室1内のように、少なくとも温度、好ましくは温度又は湿度の両者を制御可能な空間内で、温度又は温度及び湿度の制御下に行う乾燥であるか、又は減圧乾燥である。人工乾燥は、(乾球)温度100℃超140℃以下の高温乾燥工程を有することが好ましく、(乾球)温度110〜130℃の高温乾燥工程を具備することがより好ましい。人工乾燥は、木材を100℃以下の温度(例えば50〜100℃)に加熱して乾燥する中温乾燥や、加熱を伴う減圧乾燥若しくは加熱を伴わない減圧乾燥等であっても良い。
【0022】
被乾燥木材の木口面を覆う遮蔽物は、木材の木口面を部分的に覆うことによりその部分からの水分の蒸発を軽減し得るものである。軽減には、水分の蒸発速度を遅らせるものも含まれる。
【0023】
好ましい遮蔽物の一つは、木材の木口面を覆うように、該木材の木口部に取り付け可能な木口面遮蔽具である。
図2及び図3に示す木口面遮蔽具11は、そのような木口面遮蔽具の一例である。
木口面遮蔽具11は、図4に示すように、木材10の木口部10bに脱着自在に取り付け可能であり、該木口部10bに取り付けた状態において、平板状の遮蔽部12の片面が、該木材10の木口面10aに当接し、該木口面10aを部分的に覆うように構成されている。
木材10の木口部10bとは、木材10の長手方向(軸方向)において、木口面10a及びその近傍に位置する部分(例えば木口面10aからの距離が10cm以内の部分)である。
【0024】
図2及び図3に示すように、木口面遮蔽具11における遮蔽部12は、略正方形状をなしており、中央部に正方形状の開孔Kを有している。遮蔽部12の周囲には、4つの突出片13,13,14,15が設けられている。より具体的には、一対の第1突出片13,13が、遮蔽部12の相対向する2辺に該遮蔽部12から立ち上がるように設けられており、2つの第2突出片14,15が、遮蔽部12の相対向する他の2辺に該遮蔽部12から立ち上がるように設けられている。
一対の第1突出片13,13は、図3に示すように、その突出方向(遮蔽部12に垂直な方向)の中央部付近に、両者間の距離Wが最も狭くなる部位13a,13aを有し、その部位における両者間の距離W1が、木口面遮蔽具11を装着する木材10の互い平行な2側面10c,10c間の距離W4(図4参照)より小さくなっている。他方、第1突出片13,13の突出方向の先端部における両者間の距離W3は、前記距離W4より大きく、第1突出片13,13の突出方向の基端部(遮蔽部12に隣接する部位)における両者間の距離W2は、前記距離W4と同一又はそれより大きくなっている。
【0025】
木口面遮蔽具11は、図4に示すように、一対の第1突出片13,13間に木材10の木口部10bが入り込んだ状態となるように、木材10の木口部10bに嵌めることにより、該木口部10bに容易に取り付けることができる。このとき、木口面10aを遮蔽部12に突き当てて密着させる。これにより、木口面10aの遮蔽部12(開孔K以外の部分)により覆われた部分は、乾燥中における水分の蒸発が軽減される。
木口面遮蔽具11を木材10を木口部10bに取り付ける際には、一対の第1突出片13,13間が押し拡げられる。第1突出片13,13は、元の状態に戻ろうとする弾性復元力によって木材10をその両側から押圧するため、木材10が乾燥により収縮して前記距離W4が多少減少しても、その取り付け状態が安定に維持される。
木口面遮蔽具11においては、一対の第1突出片13,13が、木口面遮蔽具を木材の木口部に固定する固定手段である。
【0026】
他方、乾燥後には、木口面遮蔽具11を引っ張るだけで、該木口面遮蔽具11を木材10から容易に取り外すことができる。木口面遮蔽具11は、耐熱性を有し、繰り返して使用することができることが好ましい。また、木口面遮蔽具11は、一枚の金属製の板を折り曲げて形成したものであることが好ましいが、一枚の金属板からなる遮蔽部12に別の金属板を結合させて形成したものであっても良い。
金属板は、安価で、且つ高温高湿下で錆等の腐食が生じにくい、何度でも使用できるステンレス製が好ましいが、これに限定されるものではない。
また、木口面遮蔽具11は、金属以外の材質、例えば耐熱温度の比較的高い樹脂(例えばフェノール樹脂やエポキシ樹脂)や、セラミック等から形成されていても良い。
【0027】
遮蔽部12の大きさは、過乾燥を防止する目的から、木口面10aの面積以上で、木口面10aの全体を覆うことができることが好ましい。例えば、90mm×90mmの乾燥角材を得る場合には、90mm×90mm以上の大きさを有することが好ましく、105mm×105mの乾燥角材を得る場合には、105mm×105mm以上の大きさを有することが好ましい。
木口面遮蔽具11を金属板で形成する場合の該金属板の厚さは、木材の収縮や木材からの蒸気による変形を生じさせない、密着できる厚みを有することが好ましく、例えば0.5mm以上であることが好ましい。
【0028】
木口面遮蔽具11の第2突出片14,15は、木口面遮蔽具11の木口部10bからの脱落防止の観点、及び木口面からの水分の抜けをより効果的に軽減する観点から設けられている。
第2突出片14,15は、遮蔽部12からの突出長さL14(遮蔽部12に垂直な方向に測定した突出量,図3参照)が、第1突出片13,13の同突出長さL13(図3参照)よりも短くなっている。これにより、桟木等を介在させ、木材を多段に積み上げて同時に乾燥する場合における、第2突出片14,15と桟木等との干渉を防止することができる。
第1突出片13,13の同突出長さL13は、例えば、20〜80mmとすることが好ましく、30〜50mmとすることがより好ましい。
第2突出片14,15の突出長さL15は、例えば、2〜20mmとすることが好ましく、3〜10mmとすることがより好ましい。
【0029】
図5及び図6に示す木口面遮蔽具11Aは、好ましい木口面遮蔽具の他の例である。
木口面遮蔽具11Aは、図5に示すように、中央部に正方形状の開孔Kを有する板状の遮蔽部12と、該遮蔽部12の片面から突出して木材の木口面10aに差し込まれる針16とを備えている。木口面遮蔽具11Aは、図5に示すように、遮蔽部12における開孔Kの周囲に、針挿通用の貫通孔12aが形成されており、該貫通孔12aに、頭部と針とを有する金属製の固定具16Aの針16を挿通することで、遮蔽部12の片面から針16が突出する。固定具16Aの頭部は、貫通孔12aの開口部より大きい寸法を有し、貫通孔12aを介しての水分の蒸発も抑制することができる。
木口面遮蔽具11Aは、図6に示すように、木材10の木口面10aに遮蔽部12を当接させ、その状態で、固定具16Aの針16を貫通孔12aに挿入して押し込むことで、木口面10aに固定することができる。木口面遮蔽具11Aにおいては、固定具16Aが、木口面遮蔽具11Aを、遮蔽部12が木材の木口部10aに当接した状態に固定する固定手段である。
【0030】
図7に示す木口面遮蔽具11Bは、好ましい木口面遮蔽具の更に他の例である。木口面遮蔽具11Bにおいては、金属製の針16が、金属板からなる遮蔽部12に溶接等の適宜の手段により固定されている。
【0031】
図5〜図7に示すように、木口面遮蔽具11A,11Bにおける遮蔽部12も略正方形状の平板状をなしている。また、開孔Kも略正方形状をなしている。木口面遮蔽具11A,11Bにおける遮蔽部12の好ましい大きさや厚み、材質等は、上述した木口面遮蔽具11と同様である。木口面遮蔽具11Aは、固定具16Aの頭部を手で押すことにより、木口面遮蔽具11Bは、遮蔽部12を手で押すことにより、該遮蔽部12を木口面10aに当接させ得ることが好ましいが、固定具16Aや遮蔽部12を木槌等でたたくことにより、遮蔽部12を木口面10aに当接させ得るものであっても良い。
【0032】
針16は、その根元(遮蔽部12の木口面10a側の面に隣接する部位)における直径が0.3〜3.0mm、特に0.5〜1.5mmであることが好ましく、その長さが1.0〜10.0mm、特に2.0〜5.0mmであることが好ましい。
また、図5に示す木口面遮蔽具11Aにおいては、貫通孔12aが、正方形状の遮蔽部12の4辺それぞれの中央部の近傍に設けられており、図7に示す木口面遮蔽具11Bにおいては、遮蔽部12の4隅部の近傍に針16が設けられているが、貫通孔12aや針16を設ける部位や設ける個数は適宜に変更できる。
【0033】
通常、天然乾燥を行う場合は、乾燥条件が人工乾燥より厳しい場合があり、損傷は予想以上に多く発生しがちになる。このため、材には、初めに材面や木口面に干割れが生じ、それが伸びて表面割れや材の裂けに発展することが多い。
一方、人工乾燥の場合、温度や、温度及び湿度を任意の条件に設定できるため、天然乾燥に比べて材面割れ、内部割れの発生が少なくなる。そのため、通常は、無垢材の状態で乾燥を開始する。
しかし、人工乾燥と言えども、高温乾燥を用いた場合、材には材面割れや内部割れが多く発生することが度々ある。乾燥材の割れ状況を観察した結果、割れが発生する場合には、両者とも殆どの場合、木口部より割れが開始し、ア)割れが途中で消滅しているケース、イ)割れが大きい場合、割れが材の長手方向の中央部まで伸びているケースなどがあることが判った。
木材の性質として、木材の長手方向(軸方向)が最も水分通導性が大きいことが知られている。人工乾燥の場合、天然乾燥に比べて乾燥温度が高いため、材の両端木口部から先に乾燥し、次第に中央部に向かって乾燥していく。実際に、人工乾燥材の長手方向(軸方向)の含水率分布を調べると、両端木口部が含水率が低く、材中央に向かって含水率が高くなっている。このことから、材の収縮も両端木口部から始まることが予想され、中央部側の材との収縮量差が大きくなったときに、材面や内部に割れが発生すると推定された。
このため、材の長さ方向の含水率傾斜を小さくする手法として、急速な乾燥となる、材の両端部を部分的に遮蔽することによって、長さ方向(軸方向)の含水率傾斜、即ち寸法変化傾斜を軽減することにした。
【0034】
また、発生した内部割れは、ア)乾燥初期に髄(芯)より放射方向に発生するケース、イ)乾燥中期以降に髄と表層の間に発生するケースがある。イ)乾燥中期以降に発生する割れの大部分は、柱材の場合、髄と柱四隅部を結ぶ線上に発生し、不適切な乾燥を行った場合、内部割れが隅近くから髄近くまで幅広く発生する。
また、本発明者が、内部割れ初期の柱材を観察した結果、イ)の内部割れが最初に発生する場所は、最外周年輪が柱材辺に最も近づく箇所(年輪域)より内側であって、且つ髄と柱四隅部を結ぶ線上部位、更に同線上部位であって、心材と辺材の境界に存在する移行材近くの心材部側に多く発生することが認められた。
一旦小さい割れが発生すれば、乾燥条件によっては大きい割れに進展していくことが予想され、イ)の内部割れを抑制する方法は、小さい割れも発生しないようにすることである。
【0035】
本発明者は、木口部を部分的に遮蔽する種々の態様を検討した結果、イ)の内部割れが初期に発生する部位、即ち柱材の場合、髄と柱四隅部を結ぶ帯域(実用的には柱中心部から柱四隅部を結ぶ帯域)を意図的に遮蔽せず、割れの発生が予想される帯域以外の同年輪部を遮蔽することで、内部割れを大幅に抑制できることを知見した。
【0036】
本発明は、そのような態様で木材の木口面を部分的に遮蔽して木材の乾燥を行うものである。
第1発明においては、図8に示すように、木口面10aを、相対向する辺の中点M同士を結ぶ2本の中央線L1,L2によって4領域A〜Dに区分し、該領域それぞれについて、隣り合う2辺の何れにも達しない最外周年輪Na〜Ndを見たときに、該最外周年輪Na〜Ndにおける木口面の辺101〜104に最も近づく箇所の内側付近Pa〜Pdを遮蔽物で覆う一方、該最外周年輪Na〜Ndにおける木口面の対角線L3,L4が交差する箇所の内側付近Ta〜Tdは遮蔽物で覆わないで木材の人工乾燥を行う。
【0037】
図8の左上の領域Aを例にして説明すると、該領域Aについての最外周年輪Naは、隣り合う2辺101及び104の何れにも達しない年輪であって、直径方向の最も外側に位置する年輪Naである。また、その最外周年輪Naについて、木口面の辺に最も近づく箇所は、辺101の中点付近及び辺104の中点付近であり、該箇所の内側付近は図8にPaで示す部分である。図8に示す木口面のように、領域Aの最外周年輪Naと領域Bの最外周年輪Nbとで、辺101に最も近づく箇所の位置が木材の直径方向にずれている場合、最外周年輪Naの内側付近Pa及び最外周年輪Nbの内側付近Pbを共に覆う必要がある。
【0038】
また、領域Aについて、最外周年輪Naと木口面10aの対角線L4とが交差する箇所の内側付近は、概ね図8にTaで示す部分である。最外周年輪Na〜Ndにおける木口面の辺101〜104に最も近づく箇所の内側付近Pa〜Pdを被覆する遮蔽物は、領域Ta〜Tdで遮蔽物に覆われていない年輪と同一の年輪を被覆していることが好ましい。
図8には、Pa〜Pdとして、短軸の長さが、木口面10aの一辺の長さ(中心線L1,L2の長さに同じ)の1/8の長さであり、長軸の長さがその短軸の長さの1.5〜2倍程度の楕円形の領域を、該短軸を境にして2分割した領域を示してあり、また、Ta〜Tdとして、直径が、木口面10aの一辺の長さ(中心線L1,L2の長さに同じ)の1/8の長さである円形の領域を示してある。
【0039】
第1発明において、最外周年輪の内側に移行材がある場合、最外周年輪における木口面の辺に最も近づく箇所の内側付近を覆う遮蔽物は、木材の心材部の内側域に達する範囲を覆うことが好ましく、最外周年輪における対角線が交差する箇所の内側付近は、心材部の内側域に至るまでの範囲を覆わないことが好ましい。
【0040】
最外周年輪に対角線L3,L4が交差する箇所の内側付近Ta〜Tdは、遮蔽物で遮蔽しない非遮蔽部18とする部分であるが、該非遮蔽部18は、角部Ca〜Cdから中央部Cpに向かって延びる、ある程度の幅La(図11参照)を有する帯状の形態を有することが好ましい。
【0041】
柱材木口面において、隅(角部)から中心部への帯域で、柱中心から隅までの長さLc(図11参照)を1とすると、隅から0.29以上内側部を非遮蔽部18として残すことが好ましい。隅から中心部Cpまでを非遮蔽部18として残しても構わないが、隅部の急速な乾燥による収縮応力を緩和するためには隅部を遮蔽部17とすることが好ましい。
【0042】
また、最外周年輪と木口面の対角線L3(又はL4)とが交差する箇所の内側付近に設けられる非遮蔽部18は、木口面の中心点(中央線L1,L2同士の交点)Cpからの距離が、該中心点Cpから中点Mまでの距離(一辺の長さの半分)と等しくなる、対角線L3(又はL4)上の点を含むことが好ましい。また、最外周年輪と木口面の対角線L3(又はL4)とが交差する箇所の内側付近に設けられる非遮蔽部18は、対角線L3(又はL4)上に位置する長さLs(図11参照)が、該対角線L3(又はL4)の長さの12.5〜50%であることが好ましく、より好ましくは15〜45%であり、更に好ましくは17.5〜35%である。
この非遮蔽部18についての記述は、第2発明において、「一又は複数の年輪Na’〜Nd’を木口面の対角線L3,L4上では覆わない」ために形成される非遮蔽部についても同様のことが言える。
【0043】
また、柱材の外周に辺材部が多く存在するときは、心材部が表れる部位から中心に向けて非遮蔽部としても良い。また隅から中心部へ向けた非遮蔽部は連続的であることが好ましい。隅から中心部への放射方向帯域に断続的な非遮蔽部が存在すると、乾燥後期に遮蔽した部分に割れが発生する危険性が大きくなる。
【0044】
また、柱材木口面において、隣り合う2辺の中点M,Mを結ぶ直線の長さLb(図11参照)を1とした場合、隅から中心部線を中央として、非遮蔽部の幅La(図11参照)は、0.1〜0.75であることが好ましく、より好ましくは0.2〜0.65(例えば一辺115mmの角柱材の場合16〜52mm)である。非遮蔽部の幅Laが大き過ぎると早めに収縮する幅域が大きくなり収縮応力が増大し、割れが生じる危険性が高まる。また、非遮蔽部の幅Laが小さいと割れる部位から外れる危険性が生じる。
【0045】
第2発明においては、図9に示すように、木口面10aを、該木口面の各辺の中点M近傍Pmを前記遮蔽物で覆う一方、該遮蔽物に覆われた一又は複数の年輪Na’〜Nd’を該木口面の対角線L3,L4上では覆わない状態で、木材の人工乾燥を行う。
各辺の中点M近傍Pmを覆う遮蔽部17は、各中点Mについて、該中点Mを通る中心線L2又はL1に沿って測定した長さLm(図11参照)が、木口面10aの一辺の長さL(中心線L1,L2の長さに同じ)の10〜50%であることが好ましく、より好ましくは15〜45%であり、更に好ましくは18〜40%である。この遮蔽部17についての記述は、第1発明における、最外周年輪における木口面の辺に最も近づく箇所の内側付近を覆うための遮蔽部17の、L1,L2に沿って測定した幅についても同様のことが言える。図9には、Pmとして、中点Mを中心とする、直径が木口面10aの一辺の長さ(中心線L1,L2の長さに同じ)の1/4の長さの円形の領域を示してある。
【0046】
第3発明においては、図10に示すように、木口面10aを、各辺を3等分して正方形状の9領域R1〜R9に区分したときに、該木口面の四隅に位置する角領域R1R3,R7,R9における遮蔽物で覆う面積の割合が、隣り合う2つの角領域間に位置する外周中央部領域R2,R4,R6,R8における遮蔽物で覆う面積の割合よりも小さくなるようにして、木材の人工乾燥を行う。隣り合う2つの角領域間に位置する外周中央部領域とは、角領域R1,R3については外周中央部領域R2であり、角領域R3,R9については外周中央部領域R6であり、角領域R9,R7については外周中央部領域R8であり、角領域R7,R1については外周中央部領域R4である。
【0047】
角領域は、それぞれの領域の面積に対する遮蔽部分(遮蔽部17)の面積の割合が5〜100%であることが好ましく、より好ましくは7〜75%であり、更に好ましくは8〜60%である。他方、外周中央部領域は、角領域よりも遮蔽部分の割合が多いことを前提として、それぞれの領域の面積に対する遮蔽部分(遮蔽部17)の面積の割合が30%以上であることが好ましく、より好ましくは40%以上であり、更に好ましくは50%以上である。
【0048】
図11は、第1〜第3発明の遮蔽を実現するために好ましい遮蔽物の配置態様を示す図である。図11においては、遮蔽部を黒の塗り潰し部として示してある。
図11(a)は、木口面の周辺部をロ字状に遮蔽する実施形態、図11(b)及び図11(c)は、木口面をその中央部に非遮蔽部を設けて十字状に遮蔽する実施形態、図11(d)は、木口面を十字状に遮蔽する実施形態、図11(e)は、木口面に角部に達する×印状の非遮蔽部を設けてそれ以外の部分を遮蔽する実施形態、図11(f)は、木口面に角部に達しない×印状の非遮蔽部を設けてそれ以外の部分を遮蔽する実施形態である。
【0049】
図11(a)に示す実施形態において、中央部の非遮蔽部の面積は、木口面の面積の30〜50%であることが、乾燥する木材の年輪の具体的な配置によらずに、第1〜第3発明の態様で木口面を遮蔽できる木材の割合が高まる観点から好ましく、より好ましくは35〜45%である。また、図11(b)〜図11(d)に示す実施形態において、各辺の中点M付近を覆う遮蔽部の幅Ldは、該辺の長さLの25〜80%、特に35〜70%であることが好ましい。
また、木材の元口の木口面の非遮蔽部の面積割合を、木材の末口の木口面の非遮蔽部の面積割合より大きくすることも好ましい。
【0050】
上述した態様で木材10の木口面10aを部分的に覆う一方、内部割れに発展する可能性のある部位を非遮蔽部18とすることにより、乾燥過程で生じる当該部位の収縮応力を小さくすることができ、また、木口面近傍に生じる初期段階の内部割れを効果的に防止できる。それにより、乾燥中に、該木材10に内部割れが生じることを効果的に抑制することができる。乾燥手法は、中温乾燥、高温乾燥どちらでも構わないが、高温処理時に木材が軟化による収縮応力が小さくなると考えられるため高温乾燥の方が好ましい。木口面の非遮蔽部が大きくなる程、非遮蔽部で乾燥が進むため、木口部全面を遮蔽する場合に比して、乾燥時間が短縮される利点もある。
【0051】
本発明における遮蔽物の他の好ましい例として、木口割れ止め剤、目止め剤又は塗料である木材表面コーティング剤、あるいはシリコーン樹脂等を挙げることができる。
木口割れ止め剤は、従来、天然乾燥において干割れを防止するために用いられているものであるが、人工的に温度や温度及び湿度を制御できる人工乾燥においては、木口割れ止め剤が用いられることはなかった。木口割れ止め剤としては、従来、天然乾燥に用いていたもの等を用いることができる。
木材表面コーティング剤は、通常液状物であり、塗布方法としては、刷毛、スプレー等を使用した一般的なコーティング方法を用いることができる。表面コーティング剤の種類としては、ペイントと一般に称される油性塗料、セルロース系、アルキド、ウレタン、フッ素系に代表される溶剤系、アクリル系エマルジョン、アクリルウレタン系に代表される水系、その他、漆、カシュー樹脂等が挙げられるが、これに限定されるものではない。コーティング量は50〜500g/m2が好ましく、100〜300g/m2がより好ましい。
【0052】
シリコーン樹脂としては、通常、シリコーンシーラントと称される、シリコーン系シーリング材が好ましい。シリコーン系シーリング材は、乾燥中の木材変形に追随できるため好適で、その他に耐水性、撥水性、接着性、耐熱性、耐寒性、耐候性、作業性も季節を問わず安定している。シリコーン系シーリング材としては、一般的なシリコーンシーリング材やシリコーンコーティング材が挙げられる。シリコーン樹脂は、1成分形、2成分形、3成分形の何れであっても良く、硬化方式は、オキシム型、アルコール型、アセトン型、酢酸型、アミノキシ型のいずれでも良く、またこれらに限定されるものでもない。
シリコーン樹脂のコーティング量は200〜800g/m2が好ましく、300〜600g/m2がより好ましい。
【0053】
本発明(第1〜第3発明)の木材の乾燥方法は、個々の木材の具体的な年輪の形状を考慮し、それぞれの木材に適した態様の遮蔽部を設けて実施することができる。このような実施態様は、例えば、1本又は少数のサンプル材を用いて実施し、より規模の大きい後の乾燥で用いる遮蔽部の形成態様を決定するのに行われる。
また、本発明(第1〜第3発明)の木材の乾燥方法は、同時に同一条件で乾燥を行う複数本(例えば10〜200本)の木材に対して、一律に同様の態様(例えば、図11に示す態様)で遮蔽物を設けて実施することができる。この場合、個々の木材の年輪の具体的形状に個体差があること等に起因して、複数の木材の中に、第1〜第3発明の条件を満たさない木材が含まれる可能性もあるが、内部割れが防止(軽減)された木材の割合が高まるという効果が得られる。木材の元口と末口とで、それぞれ遮蔽物の形成態様を統一することもできる。
【0054】
また、本発明の第1〜第3発明における遮蔽物(木口面遮蔽具等)は、正方形状の木口面であって、辺の中点Mを結ぶ中心線L1,L2同士の交点Cpを中心とする真円状の年輪を同心円状に3mm間隔で多数有する仮想標準木口面を想定したときに、第1〜第3発明を満たす態様で、遮蔽部及び非遮蔽部を形成し得るものであることが好ましい。
芯持角材の両木口面を遮蔽物で部分的に遮蔽して人工乾燥する際の遮蔽の態様が、該芯持角材の木口面が前記仮想標準木口面であると仮定したときに、第1〜第3発明に規定される条件を満たす態様である場合、その状態で人工乾燥することは、第1〜第3発明の実施に該当する。この場合、実際の木材を乾燥した場合には、木材の個体差等に起因して、第1〜第3発明の条件を満たさない木材が含まれる可能性もあるが、第1〜第3発明の条件を満たし内部割れが防止(軽減)された木材の割合が高まるという効果が得られる。
また、第1〜第3発明における遮蔽物及び第4発明の木口面遮蔽具は、前記仮想標準木口面を有する木材を想定したときに、第1〜第4発明の各構成要件や上述したより好ましい条件等を満たすことが好ましい。
【0055】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、各発明は、上記の実施形態に制限されず適宜に変更可能である。
例えば、木口面遮蔽具11,11Aの遮蔽部12の形状は、正方形状に代えて、長方形状や円形等とすることもできる。図11(b)に示す実施形態における、木口面の中央部に設ける非遮蔽部の形状は、正方形に代えて、円形や三角形、五角形等とすることもできる。
また、上述した木口面遮蔽具11においては、遮蔽部12の周囲に合計4つの突出片が設けられていたが、これに代えて、遮蔽部12の周囲に一つの突出片のみを設けたり、一対の第1突出片13,13のみを設けることもできる。また、第2突出片14,15を、第1突出片13,13と同様に木材をその両側から押圧可能な一対の突出片とすることもできる。
また、突出長さの等しい3つの突出片や4つの突出片を設けることもできる。また、隣接する突出片同士が連結し、遮蔽部12を底とする有底筒状の木口面遮蔽具とすることもできる。
【0056】
また、木口面に差し込み可能な突起として、木口面遮蔽具11Aの断面円形の針16に代えて、断面形状が非円形の突起を設けることもできる。また、木口面遮蔽具は、嵌めたり、突起を木口面に差し込んだりする以外の方法により木口部に装着するものであっても良い。
また、第1〜第4発明の内の一の発明の構成要件やより好ましい要件は、それぞれ他の発明に適宜適用することができ、また、2以上の発明の構成要件や好ましい条件を組み合わせて他の発明の要件とすることもできる。
また、上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
【実施例】
【0057】
以下、実施例及び比較例により、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は、かかる実施例によって何ら限定されるものではない。
【0058】
〔乾燥試験〕
図1に示す構成の乾燥装置を用い、被乾燥材として栃木産のスギから製材した製材直後の芯持柱材(芯持角材、背割りなし、断面寸法11.5cm×11.5cm、長さ300cmの正角材)85本(乾燥前含水率40〜120%)について、以下に示す乾燥スケジュールにて4回の乾燥を行った。
〔乾燥スケジュール〕
初期蒸煮工程(96℃,12時間)→第1乾燥工程(乾球温度120℃,湿球温度90℃)→第2乾燥工程(乾球温度110℃,湿球温度90℃)→第3乾燥工程(乾球温度100℃,湿球温度80℃)→第4乾燥工程(乾球温度90℃,湿球温度60℃)
各工程の時間は含水率を監視しながら適宜に変更した。図12に各工程の典型例を示した。
乾燥は、平均含水率15%を目標として行い、含水率計によりモニタリングしている柱材の含水率が15%以下になった時点で終了した。そのため、各乾燥材ロットで乾燥時間は異なり、140〜190時間の間で調整した。
【0059】
〔実施例1〕
未乾燥の柱材45本の両木口面を、図5に示す形態の木口面遮蔽具で部分的に遮蔽した。木口面遮蔽具の遮蔽部12は、ステンレス(SUS304)製で、厚み1.0mm、木口接地面(遮蔽部)の寸法115mm×115mm、差し込み針16の長さ4mmであった。木口面遮蔽具は、遮蔽部12の開孔Kの開孔率が異なる5種類を用意した。その後、上記の乾燥試験に供した。開孔K及び遮蔽部12は何れも正方形状とし、開孔率(%)は、下記式(1)により求めた。
開孔率(%)=開孔Kの面積/木口面の面積 ×100 ・・(1)
【0060】
〔実施例2〕
未乾燥の柱材30本の両木口面に、シリコーン樹脂(商品名シリコーンシーラント、セメダイン800、セメダイン(株))をへらにて塗布し、図11に示す各態様の遮蔽部を設けた。塗布量は450g/m2とした。塗布後の柱材を、硬化のために1昼夜気乾放置した後、上記の乾燥試験に供した。
表2中の遮蔽部の形成態様は下記の通りである。
十字(菱形抜き)塗り : 図11(b)に示す遮蔽部の形成態様、Ldは38mm、中央の非遮蔽部は38×38mmの正方形状とした。
十字(四角抜き)塗り : 図11(c)に示す遮蔽部の形成態様、Ldは38mm、中央の非遮蔽部は38×38mmの正方形状とした。
十字塗り : 図11(d)に示す遮蔽部の形成態様、Ldは38mmとした。
×(全面)残し : 図11(e)に示す遮蔽部の形成態様、Laは27mmとした。
×(中央太)残し : 図11(f)に示す遮蔽部の形成態様、Laは38mmとした。
×(中央細)残し : 図11(f)に示す遮蔽部の形成態様、Laは27mmとした。
【0061】
〔比較例1〕
実施例1の試験ロット内に、両木口面を全く遮蔽しない未乾燥の柱材5本を投入し、上記の乾燥試験に供した。
〔比較例2〕
実施例2の試験ロット内に、両木口面を全く遮蔽しない未乾燥の柱材10本を投入し、上記の乾燥試験に供した。
【0062】
〔評価〕
実施例及び比較例の方法により乾燥を行った芯持柱材(合計85本)について、含水率及び内部割れを、それぞれ以下に示す方法により評価し、含水率20%以下のサンプルを抽出して、その結果を表1及び表2に示した。
【0063】
〔含水率〕
乾燥後の含水率;乾燥後の各柱材の両端から10cmの2箇所の部位を50mm巾にカットしてサンプルとし、該サンプルの重量W1を測定した。そして、サンプル片を、JIS Z2201.木材の試験方法 含水率の測定方法に準じて、乾燥機中で105℃に放置し、該サンプルが恒量に達した後の重量W2を測定し、下記式(2)により乾燥後の含水率を求めた。
乾燥後の含水率(%)=(W1−W2)/W2 ×100 ・・・(2)
【0064】
〔内部割れ〕
乾燥後の各柱材の両端から10cmの位置の2箇所の切断面を観察し、各断面において観察される内部割れの程度を下記評価基準で判定し、内部割れ評価とした。また、評価が次の「なし」又は「小」のものを内部割れ合格とした。個々の柱材から元口側及び末口側の2個のサンプルを得、含水率20%以下のサンプルについて、サンプルの総数に対する合格したサンプルの個数の割合を求めた。
【0065】
〔評価基準〕
なし:割れが認められない。
小:割れ面の最大巾が1mm以内で長さが20mm以内の割れが存在する。
中:小の割れに該当しない割れであって、割れ面の最大巾が2mm以内で長さが50mm以内の割れが存在する。
大:最大巾が2mm超又は長さが50mm超の割れが存在する。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
表1,表2に示す結果から、本発明の方法によれば、比較例1,2(従来の方法)に比べて、被乾燥材の内部割れを顕著に低減することができることが判る。なお、本発明の木材の乾燥方法は、乾燥後の柱材の含水率が20%以下、特に15%以下となるまで乾燥する場合に特に有効である。
【0069】
〔実施例3〕
また、実施例1で用いたものと同様の柱材11本の木口面10aに、実施例2と同じシリコーン樹脂をへらにて塗布し、図10に示す9領域R1〜R9の内、角領域R1,R3,R7,R9を非遮蔽部、残りの全領域を遮蔽部とした柱材(以下、十字塗りの柱材という)5本を得た。
〔比較例3〕
実施例1で用いたものと同様の柱材15本の木口面10aに、実施例2と同じシリコーン樹脂をへらにて塗布し、図10に示す9領域R1〜R9の内、中央の領域R5を非遮蔽部、残りの全領域を遮蔽部とした柱材(以下、周囲塗りの柱材という)5本、図10に示す9領域R1〜R9の内、中央の領域R5のみを遮蔽部、残りの全領域を非遮蔽部とした柱材(以下、中心塗りの柱材という)5本と、図10に示す9領域R1〜R9の内、角領域R1,R3,R7,R9を遮蔽部、残りの全領域を非遮蔽部とした柱材(以下、四隅塗りの柱材という)5本を得た。
【0070】
実施例3及び比較例3で得た各柱材について、実施例1と同様に乾燥した後、同様にして内部割れを評価したところ、十字塗りの柱材については、サンプル4体中2体が合格であった。これに対して、周囲塗りの柱材については、7体中3体が合格であり、中心塗りの柱材は10体中10体が不合格であり、四隅塗りの柱材も9体中9体が不合格であった。
【符号の説明】
【0071】
10 被乾燥木材(木材)
10a 木口面
11,11A,11B 木口面遮蔽具
Na〜Nd 最外周年輪
Pa〜Pd 最外周年輪における木口面の辺に最も近づく箇所の内側付近
Ta〜Td 最外周年輪における木口面の対角線が交差する箇所の内側付近
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材の乾燥方法に関する。
【背景技術】
【0002】
柱材等の住宅構造用材として、国産材のスギ、ヒノキ等の芯持ち角材の背割り材が使用されてきたが、住宅構造用材の仕様の変化により背割りのない芯持ち角材が使用されることが多くなった。しかし、このような芯持ち角材は、乾燥中に材面割れが生じ易く、背割り材と同様に、施工や旛工後の寸法安定性が悪く、不具合を起こす要因ともなる。そのため、寸法安定性に優れた集成材の使用も増加している。
近年、スギ、ヒノキ芯持ち角材の乾燥中に生じる材面割れを低城する高温乾燥法が開発され普及してきた。この高温乾燥法は、乾燥初期に乾球温度120℃の乾燥により、表層にドライングセットを形成することで、材面割れが少なくなるといわれている。高温乾燥法によれば、材面割れが比較的減少するが、十分ではないのが実情である。
【0003】
また、高温乾燥法は、内部割れが発生しやすいという問題がある。高温乾燥法における内部割れは、材表層が引張りの状態でドライングセットされ、このために材内部が自由に収縮できなくなり、引張り応力が大きくなることにより発生すると考えられている。
また、材面割れは高温乾燥初期において、乾球温度120℃の持続時間が十分ではない場合、いわゆるドライングセット形成の層が浅く、まだ引張応力が表層に存在している状態で発生すると考えられている。
そして、材面割れを防ぐため、過剰に乾球温度120℃の持続時間を長くすると、ドライングセット形成の層は深くなるが、乾燥速度が速いため、表層のドライングセット層の内側の部分が120℃の乾球温度のため、急速に内層の一部に収縮が始まり、この内層の部分が表層のドライングセットに強く拘束され、そのため引張応力が増大して内部割れが起こるといわれている。
【0004】
このような材面割れや内部割れを軽減する乾燥スケジュールの制御手法として、木材内の温度及び含水率を計測しながら乾燥を進めていく手法(特許文献1参照)が知られている。また、本出願人は、木材の内部に固定した歪み検知手段から得られるデータに基づき乾燥条件を制御しながら乾燥を進めていく手法(特許文献2参照)、及び角材の相隣接する2側面に一対の変位計固定用治具を固定し、一対の前記変位計固定用治具間に固定した変位計により、乾燥中に生じる変位を計測しながら乾燥を進めていく手法(特許文献3参照)等を提案した。
【0005】
また、物理的に材面割れ及び/又は内部割れを軽減する人工乾燥方法として、木材の外周を水分透過性の収縮拘束手段で拘束しながら乾燥させる手法(特許文献4参照)や、木材の木口部に穴をあける手法(特許文献5,6参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−287206号公報
【特許文献2】特開2004−190957号公報
【特許文献3】特開2007−120902号公報
【特許文献4】特開平02−050072号公報
【特許文献5】特開平02−155605号公報
【特許文献6】特開2007−196507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1〜3の手法によれば、歪み検知手段や、温度及び含水率センサ、変位計等を取り付けた木材については、内部割れや材面割れを効果的に防止することができるが、複数本の木材を乾燥機内に入れて同時に乾燥させる場合には、木材の含水率にばらつきがあることが多く、含水率が異なる複数本の木材のそれぞれについて適切な乾燥制御を行うことは難しく、同時に乾燥する複数本の木材(乾燥材ロット)全体を管理することが困難であった。
【0008】
また、特許文献4〜6の手法は、ある程度の割れ防止効果は認められるものの、被乾燥木材の外周を取り囲むように収縮拘束手段を装着する作業が煩雑であったり、穴をあける等の処理に追加の専用機械を導入する必要がある等、労力的ないし費用的な負担が大きい。
【0009】
従って、本発明の目的は、内部割れを抑制可能な乾燥条件を見出すことのできる木材の乾燥方法を提供することにある。
また、本発明の目的は、内部割れを抑制しつつ効率的に木材の乾燥を行うことのできる木材の乾燥方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、木材の木口面を部分的に遮蔽物で覆った状態で、該木材を人工乾燥する木材の乾燥方法であって、前記木口面を、相対向する辺の中点同士を結ぶ2本の中央線によって4領域に区分し、該領域それぞれについて、隣り合う2辺の何れにも達しない最外周年輪を見たときに、該最外周年輪における木口面の辺に最も近づく箇所の内側付近を前記遮蔽物で覆う一方、該最外周年輪における前記木口面の対角線が交差する箇所の内側付近は前記遮蔽物で覆わないで、木材の人工乾燥を行う木材の乾燥方法を提供することにより、上記の目的を達成したものである(以下、第1発明というときはこの発明をいう)。
【0011】
本発明は、木材の木口面を部分的に遮蔽物で覆った状態で、該木材を人工乾燥する木材の乾燥方法であって、前記木口面を、該木口面の各辺の中点近傍を前記遮蔽物で覆う一方、該遮蔽物に覆われた一又は複数の年輪を該木口面の対角線上では覆わない状態で、木材の人工乾燥を行う木材の乾燥方法を提供することにより、上記の目的を達成したものである(以下、第2発明というときはこの発明をいう)。
【0012】
本発明は、木材の木口面を部分的に遮蔽物で覆った状態で、該木材を人工乾燥する木材の乾燥方法であって、前記木口面を、各辺を3等分して正方形状の9領域に区分したときに、該木口面の四隅に位置する角領域における、前記遮蔽物で覆う面積の割合が、隣り合う2つの角領域間に位置する外周中央部領域における、前記遮蔽物で覆う面積の割合よりも小さくなるようにして、木材の人工乾燥を行う木材の乾燥方法を提供することにより、上記の目的を達成したものである(以下、第3発明というときはこの発明をいう)。
【0013】
本発明は、木材の木口面を部分的に覆った状態で、該木材を人工乾燥するのに用いる木口面遮蔽具であって、中央部に開孔を有する板状の遮蔽部と、木口面遮蔽具を、該遮蔽部が木材の木口部に当接した状態に固定する固定手段とを備えており、前記遮蔽部に正方形状の開孔が形成されており、その開孔の面積が、前記木口面の面積の30〜50%である木口面遮蔽具を提供するものである(以下、第4発明というときはこの発明をいう)。
【発明の効果】
【0014】
本発明の木材の乾燥方法によれば、内部割れを抑制可能な乾燥条件を見出すことのできる木材の乾燥方法を提供することにある。
また、本発明の木材の乾燥方法によれば、内部割れを抑制しつつ効率的に木材の乾燥を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施に用い得る木材の乾燥装置の一例を示す模式図である。
【図2】木口面遮蔽具の一例を示す斜視図である。
【図3】図2のIII−III線断面図である。
【図4】図2の木口面遮蔽具を木材の木口部に取り付ける様子を示す斜視図である。
【図5】木口面遮蔽具の他の例を示す図であり、(a)斜視図、(b)断面図である。
【図6】図5の木口面遮蔽具を木材の木口部に取り付ける様子を示す斜視図である。
【図7】木口面遮蔽具の更に他の例を示す斜視図である。
【図8】本発明の好ましい木口面の遮蔽態様を説明するための説明図である。
【図9】本発明の他の好ましい木口面の遮蔽態様を説明するための説明図である。
【図10】本発明の更に他の好ましい木口面の遮蔽態様を説明するための説明図である。
【図11】木口面の遮蔽部(黒塗り部)の配置態様を示す図である。
【図12】乾燥スケジュールを示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて説明する。
本発明の木材の乾燥方法の実施には、温度及び湿度を制御可能な乾燥室を備えた乾燥装置を用いることが好ましい。
図1は、斯かる乾燥装置の一例を示すもので、温度及び湿度を制御可能な乾燥室1を備え、該乾燥室1内に収容した木材10を、該乾燥室1内の温度及び湿度の制御下に乾燥可能である。
【0017】
より具体的に説明すると、図1の木材の乾燥装置は、乾燥すべき木材10を収容する乾燥室1と、乾燥室1内に蒸気を噴射する蒸射機構2と、乾燥室1内の空気を加熱する加熱機構3と、乾燥室内1に外気を導入する給気機構4と、乾燥室内1の空気を外部に排気する排気機構5とを具備している。
【0018】
蒸射機構2は、蒸気発生装置(ボイラー等)21において発生させた蒸気を、乾燥室1に接続された蒸気導入管22を介して乾燥室1内に導入するように構成されており、蒸気導入管22に設けた電磁弁、電動弁等の制御弁23の開閉等により、乾燥室内への蒸射を制御可能である。加熱機構3は、乾燥室1内に配管した加熱管31内に熱媒(蒸気)を流通させることにより乾燥室1内の空気を加熱するように構成されており、該熱媒の流通、流量、温度等の制御により、加熱の制御が可能である。給気機構4及び排気機構5は、それぞれ、乾燥室1の内外を連通するダクト41,51と該ダクト内に空気流を生じさせるファン(図示せず)とを主体として構成されており、それぞれ、ファンの回転やダクトに設けたダンパー42,52の開閉を制御することにより、乾燥室1の吸排気を制御可能である。
【0019】
そして、蒸射機構2による蒸射、加熱機構3による加熱、給気機構4による給気、及び排気機構5による排気を、適宜に制御することにより、乾燥室1内の温度及び湿度を所望の温度及び湿度に制御することができるようになっている。
乾燥装置は、乾燥中における木材内部の温度を測定可能な温度測定手段6及び乾燥中における木材内部の含水率を測定可能な含水率測定手段7を具備していても良い。また、温度測定手段6及び含水率測定手段7は、それぞれ木材内部の温度又は含水率を、木材表面からの深さが異なる二箇所以上の部位において測定可能になされていても良い。温度測定手段及び含水率測定手段としては、例えば、特許文献1に記載のもの等を用いることができる。
また、乾燥装置は、木材(角材)10の相隣接する2側面に一対の変位計固定用治具を固定し、その一対の変位計固定用治具間に固定した変位計により、乾燥中の角材に生じる変位を計測する、変位測定手段を備えていても良い。このような変位測定手段の例は、例えば、特許文献3に記載のもの等を用いることができる。
【0020】
図1に示す乾燥装置は、乾燥室1内に設置された温度及び湿度計(図示せず)に電気的に接続された制御演算部8を備えている。制御演算部8は、パーソナルコンピューターを主体として構成されている。また、演算部8には、温度測定手段6、含水率測定手段7及び図示しない変位測定手段等も電気的に接続されており、該制御演算部8において、所定の演算がなされ、木材内部の温度、含水率及び木材内部に生じた変位量が算出され、それらが、連続的又は所定の間隔で、表示手段9及び/又はプリンター11’上に出力されるようになっている。制御演算部8は、入力手段12’から入力された所定の制御スケジュールに従い、乾燥室1内の温度及び湿度を経時的に変化させるようになされており、また、乾燥中に、そのスケジュールに適宜の変更を加えることも可能である。
【0021】
本発明の木材の乾燥方法においては、乾燥すべき木材(被乾燥木材)10の木口面を部分的に遮蔽物で覆い、その状態で、木材の人工乾燥を行う。
人工乾燥は、図1に示す乾燥装置の乾燥室1内のように、少なくとも温度、好ましくは温度又は湿度の両者を制御可能な空間内で、温度又は温度及び湿度の制御下に行う乾燥であるか、又は減圧乾燥である。人工乾燥は、(乾球)温度100℃超140℃以下の高温乾燥工程を有することが好ましく、(乾球)温度110〜130℃の高温乾燥工程を具備することがより好ましい。人工乾燥は、木材を100℃以下の温度(例えば50〜100℃)に加熱して乾燥する中温乾燥や、加熱を伴う減圧乾燥若しくは加熱を伴わない減圧乾燥等であっても良い。
【0022】
被乾燥木材の木口面を覆う遮蔽物は、木材の木口面を部分的に覆うことによりその部分からの水分の蒸発を軽減し得るものである。軽減には、水分の蒸発速度を遅らせるものも含まれる。
【0023】
好ましい遮蔽物の一つは、木材の木口面を覆うように、該木材の木口部に取り付け可能な木口面遮蔽具である。
図2及び図3に示す木口面遮蔽具11は、そのような木口面遮蔽具の一例である。
木口面遮蔽具11は、図4に示すように、木材10の木口部10bに脱着自在に取り付け可能であり、該木口部10bに取り付けた状態において、平板状の遮蔽部12の片面が、該木材10の木口面10aに当接し、該木口面10aを部分的に覆うように構成されている。
木材10の木口部10bとは、木材10の長手方向(軸方向)において、木口面10a及びその近傍に位置する部分(例えば木口面10aからの距離が10cm以内の部分)である。
【0024】
図2及び図3に示すように、木口面遮蔽具11における遮蔽部12は、略正方形状をなしており、中央部に正方形状の開孔Kを有している。遮蔽部12の周囲には、4つの突出片13,13,14,15が設けられている。より具体的には、一対の第1突出片13,13が、遮蔽部12の相対向する2辺に該遮蔽部12から立ち上がるように設けられており、2つの第2突出片14,15が、遮蔽部12の相対向する他の2辺に該遮蔽部12から立ち上がるように設けられている。
一対の第1突出片13,13は、図3に示すように、その突出方向(遮蔽部12に垂直な方向)の中央部付近に、両者間の距離Wが最も狭くなる部位13a,13aを有し、その部位における両者間の距離W1が、木口面遮蔽具11を装着する木材10の互い平行な2側面10c,10c間の距離W4(図4参照)より小さくなっている。他方、第1突出片13,13の突出方向の先端部における両者間の距離W3は、前記距離W4より大きく、第1突出片13,13の突出方向の基端部(遮蔽部12に隣接する部位)における両者間の距離W2は、前記距離W4と同一又はそれより大きくなっている。
【0025】
木口面遮蔽具11は、図4に示すように、一対の第1突出片13,13間に木材10の木口部10bが入り込んだ状態となるように、木材10の木口部10bに嵌めることにより、該木口部10bに容易に取り付けることができる。このとき、木口面10aを遮蔽部12に突き当てて密着させる。これにより、木口面10aの遮蔽部12(開孔K以外の部分)により覆われた部分は、乾燥中における水分の蒸発が軽減される。
木口面遮蔽具11を木材10を木口部10bに取り付ける際には、一対の第1突出片13,13間が押し拡げられる。第1突出片13,13は、元の状態に戻ろうとする弾性復元力によって木材10をその両側から押圧するため、木材10が乾燥により収縮して前記距離W4が多少減少しても、その取り付け状態が安定に維持される。
木口面遮蔽具11においては、一対の第1突出片13,13が、木口面遮蔽具を木材の木口部に固定する固定手段である。
【0026】
他方、乾燥後には、木口面遮蔽具11を引っ張るだけで、該木口面遮蔽具11を木材10から容易に取り外すことができる。木口面遮蔽具11は、耐熱性を有し、繰り返して使用することができることが好ましい。また、木口面遮蔽具11は、一枚の金属製の板を折り曲げて形成したものであることが好ましいが、一枚の金属板からなる遮蔽部12に別の金属板を結合させて形成したものであっても良い。
金属板は、安価で、且つ高温高湿下で錆等の腐食が生じにくい、何度でも使用できるステンレス製が好ましいが、これに限定されるものではない。
また、木口面遮蔽具11は、金属以外の材質、例えば耐熱温度の比較的高い樹脂(例えばフェノール樹脂やエポキシ樹脂)や、セラミック等から形成されていても良い。
【0027】
遮蔽部12の大きさは、過乾燥を防止する目的から、木口面10aの面積以上で、木口面10aの全体を覆うことができることが好ましい。例えば、90mm×90mmの乾燥角材を得る場合には、90mm×90mm以上の大きさを有することが好ましく、105mm×105mの乾燥角材を得る場合には、105mm×105mm以上の大きさを有することが好ましい。
木口面遮蔽具11を金属板で形成する場合の該金属板の厚さは、木材の収縮や木材からの蒸気による変形を生じさせない、密着できる厚みを有することが好ましく、例えば0.5mm以上であることが好ましい。
【0028】
木口面遮蔽具11の第2突出片14,15は、木口面遮蔽具11の木口部10bからの脱落防止の観点、及び木口面からの水分の抜けをより効果的に軽減する観点から設けられている。
第2突出片14,15は、遮蔽部12からの突出長さL14(遮蔽部12に垂直な方向に測定した突出量,図3参照)が、第1突出片13,13の同突出長さL13(図3参照)よりも短くなっている。これにより、桟木等を介在させ、木材を多段に積み上げて同時に乾燥する場合における、第2突出片14,15と桟木等との干渉を防止することができる。
第1突出片13,13の同突出長さL13は、例えば、20〜80mmとすることが好ましく、30〜50mmとすることがより好ましい。
第2突出片14,15の突出長さL15は、例えば、2〜20mmとすることが好ましく、3〜10mmとすることがより好ましい。
【0029】
図5及び図6に示す木口面遮蔽具11Aは、好ましい木口面遮蔽具の他の例である。
木口面遮蔽具11Aは、図5に示すように、中央部に正方形状の開孔Kを有する板状の遮蔽部12と、該遮蔽部12の片面から突出して木材の木口面10aに差し込まれる針16とを備えている。木口面遮蔽具11Aは、図5に示すように、遮蔽部12における開孔Kの周囲に、針挿通用の貫通孔12aが形成されており、該貫通孔12aに、頭部と針とを有する金属製の固定具16Aの針16を挿通することで、遮蔽部12の片面から針16が突出する。固定具16Aの頭部は、貫通孔12aの開口部より大きい寸法を有し、貫通孔12aを介しての水分の蒸発も抑制することができる。
木口面遮蔽具11Aは、図6に示すように、木材10の木口面10aに遮蔽部12を当接させ、その状態で、固定具16Aの針16を貫通孔12aに挿入して押し込むことで、木口面10aに固定することができる。木口面遮蔽具11Aにおいては、固定具16Aが、木口面遮蔽具11Aを、遮蔽部12が木材の木口部10aに当接した状態に固定する固定手段である。
【0030】
図7に示す木口面遮蔽具11Bは、好ましい木口面遮蔽具の更に他の例である。木口面遮蔽具11Bにおいては、金属製の針16が、金属板からなる遮蔽部12に溶接等の適宜の手段により固定されている。
【0031】
図5〜図7に示すように、木口面遮蔽具11A,11Bにおける遮蔽部12も略正方形状の平板状をなしている。また、開孔Kも略正方形状をなしている。木口面遮蔽具11A,11Bにおける遮蔽部12の好ましい大きさや厚み、材質等は、上述した木口面遮蔽具11と同様である。木口面遮蔽具11Aは、固定具16Aの頭部を手で押すことにより、木口面遮蔽具11Bは、遮蔽部12を手で押すことにより、該遮蔽部12を木口面10aに当接させ得ることが好ましいが、固定具16Aや遮蔽部12を木槌等でたたくことにより、遮蔽部12を木口面10aに当接させ得るものであっても良い。
【0032】
針16は、その根元(遮蔽部12の木口面10a側の面に隣接する部位)における直径が0.3〜3.0mm、特に0.5〜1.5mmであることが好ましく、その長さが1.0〜10.0mm、特に2.0〜5.0mmであることが好ましい。
また、図5に示す木口面遮蔽具11Aにおいては、貫通孔12aが、正方形状の遮蔽部12の4辺それぞれの中央部の近傍に設けられており、図7に示す木口面遮蔽具11Bにおいては、遮蔽部12の4隅部の近傍に針16が設けられているが、貫通孔12aや針16を設ける部位や設ける個数は適宜に変更できる。
【0033】
通常、天然乾燥を行う場合は、乾燥条件が人工乾燥より厳しい場合があり、損傷は予想以上に多く発生しがちになる。このため、材には、初めに材面や木口面に干割れが生じ、それが伸びて表面割れや材の裂けに発展することが多い。
一方、人工乾燥の場合、温度や、温度及び湿度を任意の条件に設定できるため、天然乾燥に比べて材面割れ、内部割れの発生が少なくなる。そのため、通常は、無垢材の状態で乾燥を開始する。
しかし、人工乾燥と言えども、高温乾燥を用いた場合、材には材面割れや内部割れが多く発生することが度々ある。乾燥材の割れ状況を観察した結果、割れが発生する場合には、両者とも殆どの場合、木口部より割れが開始し、ア)割れが途中で消滅しているケース、イ)割れが大きい場合、割れが材の長手方向の中央部まで伸びているケースなどがあることが判った。
木材の性質として、木材の長手方向(軸方向)が最も水分通導性が大きいことが知られている。人工乾燥の場合、天然乾燥に比べて乾燥温度が高いため、材の両端木口部から先に乾燥し、次第に中央部に向かって乾燥していく。実際に、人工乾燥材の長手方向(軸方向)の含水率分布を調べると、両端木口部が含水率が低く、材中央に向かって含水率が高くなっている。このことから、材の収縮も両端木口部から始まることが予想され、中央部側の材との収縮量差が大きくなったときに、材面や内部に割れが発生すると推定された。
このため、材の長さ方向の含水率傾斜を小さくする手法として、急速な乾燥となる、材の両端部を部分的に遮蔽することによって、長さ方向(軸方向)の含水率傾斜、即ち寸法変化傾斜を軽減することにした。
【0034】
また、発生した内部割れは、ア)乾燥初期に髄(芯)より放射方向に発生するケース、イ)乾燥中期以降に髄と表層の間に発生するケースがある。イ)乾燥中期以降に発生する割れの大部分は、柱材の場合、髄と柱四隅部を結ぶ線上に発生し、不適切な乾燥を行った場合、内部割れが隅近くから髄近くまで幅広く発生する。
また、本発明者が、内部割れ初期の柱材を観察した結果、イ)の内部割れが最初に発生する場所は、最外周年輪が柱材辺に最も近づく箇所(年輪域)より内側であって、且つ髄と柱四隅部を結ぶ線上部位、更に同線上部位であって、心材と辺材の境界に存在する移行材近くの心材部側に多く発生することが認められた。
一旦小さい割れが発生すれば、乾燥条件によっては大きい割れに進展していくことが予想され、イ)の内部割れを抑制する方法は、小さい割れも発生しないようにすることである。
【0035】
本発明者は、木口部を部分的に遮蔽する種々の態様を検討した結果、イ)の内部割れが初期に発生する部位、即ち柱材の場合、髄と柱四隅部を結ぶ帯域(実用的には柱中心部から柱四隅部を結ぶ帯域)を意図的に遮蔽せず、割れの発生が予想される帯域以外の同年輪部を遮蔽することで、内部割れを大幅に抑制できることを知見した。
【0036】
本発明は、そのような態様で木材の木口面を部分的に遮蔽して木材の乾燥を行うものである。
第1発明においては、図8に示すように、木口面10aを、相対向する辺の中点M同士を結ぶ2本の中央線L1,L2によって4領域A〜Dに区分し、該領域それぞれについて、隣り合う2辺の何れにも達しない最外周年輪Na〜Ndを見たときに、該最外周年輪Na〜Ndにおける木口面の辺101〜104に最も近づく箇所の内側付近Pa〜Pdを遮蔽物で覆う一方、該最外周年輪Na〜Ndにおける木口面の対角線L3,L4が交差する箇所の内側付近Ta〜Tdは遮蔽物で覆わないで木材の人工乾燥を行う。
【0037】
図8の左上の領域Aを例にして説明すると、該領域Aについての最外周年輪Naは、隣り合う2辺101及び104の何れにも達しない年輪であって、直径方向の最も外側に位置する年輪Naである。また、その最外周年輪Naについて、木口面の辺に最も近づく箇所は、辺101の中点付近及び辺104の中点付近であり、該箇所の内側付近は図8にPaで示す部分である。図8に示す木口面のように、領域Aの最外周年輪Naと領域Bの最外周年輪Nbとで、辺101に最も近づく箇所の位置が木材の直径方向にずれている場合、最外周年輪Naの内側付近Pa及び最外周年輪Nbの内側付近Pbを共に覆う必要がある。
【0038】
また、領域Aについて、最外周年輪Naと木口面10aの対角線L4とが交差する箇所の内側付近は、概ね図8にTaで示す部分である。最外周年輪Na〜Ndにおける木口面の辺101〜104に最も近づく箇所の内側付近Pa〜Pdを被覆する遮蔽物は、領域Ta〜Tdで遮蔽物に覆われていない年輪と同一の年輪を被覆していることが好ましい。
図8には、Pa〜Pdとして、短軸の長さが、木口面10aの一辺の長さ(中心線L1,L2の長さに同じ)の1/8の長さであり、長軸の長さがその短軸の長さの1.5〜2倍程度の楕円形の領域を、該短軸を境にして2分割した領域を示してあり、また、Ta〜Tdとして、直径が、木口面10aの一辺の長さ(中心線L1,L2の長さに同じ)の1/8の長さである円形の領域を示してある。
【0039】
第1発明において、最外周年輪の内側に移行材がある場合、最外周年輪における木口面の辺に最も近づく箇所の内側付近を覆う遮蔽物は、木材の心材部の内側域に達する範囲を覆うことが好ましく、最外周年輪における対角線が交差する箇所の内側付近は、心材部の内側域に至るまでの範囲を覆わないことが好ましい。
【0040】
最外周年輪に対角線L3,L4が交差する箇所の内側付近Ta〜Tdは、遮蔽物で遮蔽しない非遮蔽部18とする部分であるが、該非遮蔽部18は、角部Ca〜Cdから中央部Cpに向かって延びる、ある程度の幅La(図11参照)を有する帯状の形態を有することが好ましい。
【0041】
柱材木口面において、隅(角部)から中心部への帯域で、柱中心から隅までの長さLc(図11参照)を1とすると、隅から0.29以上内側部を非遮蔽部18として残すことが好ましい。隅から中心部Cpまでを非遮蔽部18として残しても構わないが、隅部の急速な乾燥による収縮応力を緩和するためには隅部を遮蔽部17とすることが好ましい。
【0042】
また、最外周年輪と木口面の対角線L3(又はL4)とが交差する箇所の内側付近に設けられる非遮蔽部18は、木口面の中心点(中央線L1,L2同士の交点)Cpからの距離が、該中心点Cpから中点Mまでの距離(一辺の長さの半分)と等しくなる、対角線L3(又はL4)上の点を含むことが好ましい。また、最外周年輪と木口面の対角線L3(又はL4)とが交差する箇所の内側付近に設けられる非遮蔽部18は、対角線L3(又はL4)上に位置する長さLs(図11参照)が、該対角線L3(又はL4)の長さの12.5〜50%であることが好ましく、より好ましくは15〜45%であり、更に好ましくは17.5〜35%である。
この非遮蔽部18についての記述は、第2発明において、「一又は複数の年輪Na’〜Nd’を木口面の対角線L3,L4上では覆わない」ために形成される非遮蔽部についても同様のことが言える。
【0043】
また、柱材の外周に辺材部が多く存在するときは、心材部が表れる部位から中心に向けて非遮蔽部としても良い。また隅から中心部へ向けた非遮蔽部は連続的であることが好ましい。隅から中心部への放射方向帯域に断続的な非遮蔽部が存在すると、乾燥後期に遮蔽した部分に割れが発生する危険性が大きくなる。
【0044】
また、柱材木口面において、隣り合う2辺の中点M,Mを結ぶ直線の長さLb(図11参照)を1とした場合、隅から中心部線を中央として、非遮蔽部の幅La(図11参照)は、0.1〜0.75であることが好ましく、より好ましくは0.2〜0.65(例えば一辺115mmの角柱材の場合16〜52mm)である。非遮蔽部の幅Laが大き過ぎると早めに収縮する幅域が大きくなり収縮応力が増大し、割れが生じる危険性が高まる。また、非遮蔽部の幅Laが小さいと割れる部位から外れる危険性が生じる。
【0045】
第2発明においては、図9に示すように、木口面10aを、該木口面の各辺の中点M近傍Pmを前記遮蔽物で覆う一方、該遮蔽物に覆われた一又は複数の年輪Na’〜Nd’を該木口面の対角線L3,L4上では覆わない状態で、木材の人工乾燥を行う。
各辺の中点M近傍Pmを覆う遮蔽部17は、各中点Mについて、該中点Mを通る中心線L2又はL1に沿って測定した長さLm(図11参照)が、木口面10aの一辺の長さL(中心線L1,L2の長さに同じ)の10〜50%であることが好ましく、より好ましくは15〜45%であり、更に好ましくは18〜40%である。この遮蔽部17についての記述は、第1発明における、最外周年輪における木口面の辺に最も近づく箇所の内側付近を覆うための遮蔽部17の、L1,L2に沿って測定した幅についても同様のことが言える。図9には、Pmとして、中点Mを中心とする、直径が木口面10aの一辺の長さ(中心線L1,L2の長さに同じ)の1/4の長さの円形の領域を示してある。
【0046】
第3発明においては、図10に示すように、木口面10aを、各辺を3等分して正方形状の9領域R1〜R9に区分したときに、該木口面の四隅に位置する角領域R1R3,R7,R9における遮蔽物で覆う面積の割合が、隣り合う2つの角領域間に位置する外周中央部領域R2,R4,R6,R8における遮蔽物で覆う面積の割合よりも小さくなるようにして、木材の人工乾燥を行う。隣り合う2つの角領域間に位置する外周中央部領域とは、角領域R1,R3については外周中央部領域R2であり、角領域R3,R9については外周中央部領域R6であり、角領域R9,R7については外周中央部領域R8であり、角領域R7,R1については外周中央部領域R4である。
【0047】
角領域は、それぞれの領域の面積に対する遮蔽部分(遮蔽部17)の面積の割合が5〜100%であることが好ましく、より好ましくは7〜75%であり、更に好ましくは8〜60%である。他方、外周中央部領域は、角領域よりも遮蔽部分の割合が多いことを前提として、それぞれの領域の面積に対する遮蔽部分(遮蔽部17)の面積の割合が30%以上であることが好ましく、より好ましくは40%以上であり、更に好ましくは50%以上である。
【0048】
図11は、第1〜第3発明の遮蔽を実現するために好ましい遮蔽物の配置態様を示す図である。図11においては、遮蔽部を黒の塗り潰し部として示してある。
図11(a)は、木口面の周辺部をロ字状に遮蔽する実施形態、図11(b)及び図11(c)は、木口面をその中央部に非遮蔽部を設けて十字状に遮蔽する実施形態、図11(d)は、木口面を十字状に遮蔽する実施形態、図11(e)は、木口面に角部に達する×印状の非遮蔽部を設けてそれ以外の部分を遮蔽する実施形態、図11(f)は、木口面に角部に達しない×印状の非遮蔽部を設けてそれ以外の部分を遮蔽する実施形態である。
【0049】
図11(a)に示す実施形態において、中央部の非遮蔽部の面積は、木口面の面積の30〜50%であることが、乾燥する木材の年輪の具体的な配置によらずに、第1〜第3発明の態様で木口面を遮蔽できる木材の割合が高まる観点から好ましく、より好ましくは35〜45%である。また、図11(b)〜図11(d)に示す実施形態において、各辺の中点M付近を覆う遮蔽部の幅Ldは、該辺の長さLの25〜80%、特に35〜70%であることが好ましい。
また、木材の元口の木口面の非遮蔽部の面積割合を、木材の末口の木口面の非遮蔽部の面積割合より大きくすることも好ましい。
【0050】
上述した態様で木材10の木口面10aを部分的に覆う一方、内部割れに発展する可能性のある部位を非遮蔽部18とすることにより、乾燥過程で生じる当該部位の収縮応力を小さくすることができ、また、木口面近傍に生じる初期段階の内部割れを効果的に防止できる。それにより、乾燥中に、該木材10に内部割れが生じることを効果的に抑制することができる。乾燥手法は、中温乾燥、高温乾燥どちらでも構わないが、高温処理時に木材が軟化による収縮応力が小さくなると考えられるため高温乾燥の方が好ましい。木口面の非遮蔽部が大きくなる程、非遮蔽部で乾燥が進むため、木口部全面を遮蔽する場合に比して、乾燥時間が短縮される利点もある。
【0051】
本発明における遮蔽物の他の好ましい例として、木口割れ止め剤、目止め剤又は塗料である木材表面コーティング剤、あるいはシリコーン樹脂等を挙げることができる。
木口割れ止め剤は、従来、天然乾燥において干割れを防止するために用いられているものであるが、人工的に温度や温度及び湿度を制御できる人工乾燥においては、木口割れ止め剤が用いられることはなかった。木口割れ止め剤としては、従来、天然乾燥に用いていたもの等を用いることができる。
木材表面コーティング剤は、通常液状物であり、塗布方法としては、刷毛、スプレー等を使用した一般的なコーティング方法を用いることができる。表面コーティング剤の種類としては、ペイントと一般に称される油性塗料、セルロース系、アルキド、ウレタン、フッ素系に代表される溶剤系、アクリル系エマルジョン、アクリルウレタン系に代表される水系、その他、漆、カシュー樹脂等が挙げられるが、これに限定されるものではない。コーティング量は50〜500g/m2が好ましく、100〜300g/m2がより好ましい。
【0052】
シリコーン樹脂としては、通常、シリコーンシーラントと称される、シリコーン系シーリング材が好ましい。シリコーン系シーリング材は、乾燥中の木材変形に追随できるため好適で、その他に耐水性、撥水性、接着性、耐熱性、耐寒性、耐候性、作業性も季節を問わず安定している。シリコーン系シーリング材としては、一般的なシリコーンシーリング材やシリコーンコーティング材が挙げられる。シリコーン樹脂は、1成分形、2成分形、3成分形の何れであっても良く、硬化方式は、オキシム型、アルコール型、アセトン型、酢酸型、アミノキシ型のいずれでも良く、またこれらに限定されるものでもない。
シリコーン樹脂のコーティング量は200〜800g/m2が好ましく、300〜600g/m2がより好ましい。
【0053】
本発明(第1〜第3発明)の木材の乾燥方法は、個々の木材の具体的な年輪の形状を考慮し、それぞれの木材に適した態様の遮蔽部を設けて実施することができる。このような実施態様は、例えば、1本又は少数のサンプル材を用いて実施し、より規模の大きい後の乾燥で用いる遮蔽部の形成態様を決定するのに行われる。
また、本発明(第1〜第3発明)の木材の乾燥方法は、同時に同一条件で乾燥を行う複数本(例えば10〜200本)の木材に対して、一律に同様の態様(例えば、図11に示す態様)で遮蔽物を設けて実施することができる。この場合、個々の木材の年輪の具体的形状に個体差があること等に起因して、複数の木材の中に、第1〜第3発明の条件を満たさない木材が含まれる可能性もあるが、内部割れが防止(軽減)された木材の割合が高まるという効果が得られる。木材の元口と末口とで、それぞれ遮蔽物の形成態様を統一することもできる。
【0054】
また、本発明の第1〜第3発明における遮蔽物(木口面遮蔽具等)は、正方形状の木口面であって、辺の中点Mを結ぶ中心線L1,L2同士の交点Cpを中心とする真円状の年輪を同心円状に3mm間隔で多数有する仮想標準木口面を想定したときに、第1〜第3発明を満たす態様で、遮蔽部及び非遮蔽部を形成し得るものであることが好ましい。
芯持角材の両木口面を遮蔽物で部分的に遮蔽して人工乾燥する際の遮蔽の態様が、該芯持角材の木口面が前記仮想標準木口面であると仮定したときに、第1〜第3発明に規定される条件を満たす態様である場合、その状態で人工乾燥することは、第1〜第3発明の実施に該当する。この場合、実際の木材を乾燥した場合には、木材の個体差等に起因して、第1〜第3発明の条件を満たさない木材が含まれる可能性もあるが、第1〜第3発明の条件を満たし内部割れが防止(軽減)された木材の割合が高まるという効果が得られる。
また、第1〜第3発明における遮蔽物及び第4発明の木口面遮蔽具は、前記仮想標準木口面を有する木材を想定したときに、第1〜第4発明の各構成要件や上述したより好ましい条件等を満たすことが好ましい。
【0055】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、各発明は、上記の実施形態に制限されず適宜に変更可能である。
例えば、木口面遮蔽具11,11Aの遮蔽部12の形状は、正方形状に代えて、長方形状や円形等とすることもできる。図11(b)に示す実施形態における、木口面の中央部に設ける非遮蔽部の形状は、正方形に代えて、円形や三角形、五角形等とすることもできる。
また、上述した木口面遮蔽具11においては、遮蔽部12の周囲に合計4つの突出片が設けられていたが、これに代えて、遮蔽部12の周囲に一つの突出片のみを設けたり、一対の第1突出片13,13のみを設けることもできる。また、第2突出片14,15を、第1突出片13,13と同様に木材をその両側から押圧可能な一対の突出片とすることもできる。
また、突出長さの等しい3つの突出片や4つの突出片を設けることもできる。また、隣接する突出片同士が連結し、遮蔽部12を底とする有底筒状の木口面遮蔽具とすることもできる。
【0056】
また、木口面に差し込み可能な突起として、木口面遮蔽具11Aの断面円形の針16に代えて、断面形状が非円形の突起を設けることもできる。また、木口面遮蔽具は、嵌めたり、突起を木口面に差し込んだりする以外の方法により木口部に装着するものであっても良い。
また、第1〜第4発明の内の一の発明の構成要件やより好ましい要件は、それぞれ他の発明に適宜適用することができ、また、2以上の発明の構成要件や好ましい条件を組み合わせて他の発明の要件とすることもできる。
また、上述した一の実施形態における説明省略部分及び一の実施形態のみが有する要件は、それぞれ他の実施形態に適宜適用することができ、また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。また、各実施形態における要件は、適宜、実施形態間で相互に置換可能である。
【実施例】
【0057】
以下、実施例及び比較例により、本発明をより具体的に説明する。但し、本発明は、かかる実施例によって何ら限定されるものではない。
【0058】
〔乾燥試験〕
図1に示す構成の乾燥装置を用い、被乾燥材として栃木産のスギから製材した製材直後の芯持柱材(芯持角材、背割りなし、断面寸法11.5cm×11.5cm、長さ300cmの正角材)85本(乾燥前含水率40〜120%)について、以下に示す乾燥スケジュールにて4回の乾燥を行った。
〔乾燥スケジュール〕
初期蒸煮工程(96℃,12時間)→第1乾燥工程(乾球温度120℃,湿球温度90℃)→第2乾燥工程(乾球温度110℃,湿球温度90℃)→第3乾燥工程(乾球温度100℃,湿球温度80℃)→第4乾燥工程(乾球温度90℃,湿球温度60℃)
各工程の時間は含水率を監視しながら適宜に変更した。図12に各工程の典型例を示した。
乾燥は、平均含水率15%を目標として行い、含水率計によりモニタリングしている柱材の含水率が15%以下になった時点で終了した。そのため、各乾燥材ロットで乾燥時間は異なり、140〜190時間の間で調整した。
【0059】
〔実施例1〕
未乾燥の柱材45本の両木口面を、図5に示す形態の木口面遮蔽具で部分的に遮蔽した。木口面遮蔽具の遮蔽部12は、ステンレス(SUS304)製で、厚み1.0mm、木口接地面(遮蔽部)の寸法115mm×115mm、差し込み針16の長さ4mmであった。木口面遮蔽具は、遮蔽部12の開孔Kの開孔率が異なる5種類を用意した。その後、上記の乾燥試験に供した。開孔K及び遮蔽部12は何れも正方形状とし、開孔率(%)は、下記式(1)により求めた。
開孔率(%)=開孔Kの面積/木口面の面積 ×100 ・・(1)
【0060】
〔実施例2〕
未乾燥の柱材30本の両木口面に、シリコーン樹脂(商品名シリコーンシーラント、セメダイン800、セメダイン(株))をへらにて塗布し、図11に示す各態様の遮蔽部を設けた。塗布量は450g/m2とした。塗布後の柱材を、硬化のために1昼夜気乾放置した後、上記の乾燥試験に供した。
表2中の遮蔽部の形成態様は下記の通りである。
十字(菱形抜き)塗り : 図11(b)に示す遮蔽部の形成態様、Ldは38mm、中央の非遮蔽部は38×38mmの正方形状とした。
十字(四角抜き)塗り : 図11(c)に示す遮蔽部の形成態様、Ldは38mm、中央の非遮蔽部は38×38mmの正方形状とした。
十字塗り : 図11(d)に示す遮蔽部の形成態様、Ldは38mmとした。
×(全面)残し : 図11(e)に示す遮蔽部の形成態様、Laは27mmとした。
×(中央太)残し : 図11(f)に示す遮蔽部の形成態様、Laは38mmとした。
×(中央細)残し : 図11(f)に示す遮蔽部の形成態様、Laは27mmとした。
【0061】
〔比較例1〕
実施例1の試験ロット内に、両木口面を全く遮蔽しない未乾燥の柱材5本を投入し、上記の乾燥試験に供した。
〔比較例2〕
実施例2の試験ロット内に、両木口面を全く遮蔽しない未乾燥の柱材10本を投入し、上記の乾燥試験に供した。
【0062】
〔評価〕
実施例及び比較例の方法により乾燥を行った芯持柱材(合計85本)について、含水率及び内部割れを、それぞれ以下に示す方法により評価し、含水率20%以下のサンプルを抽出して、その結果を表1及び表2に示した。
【0063】
〔含水率〕
乾燥後の含水率;乾燥後の各柱材の両端から10cmの2箇所の部位を50mm巾にカットしてサンプルとし、該サンプルの重量W1を測定した。そして、サンプル片を、JIS Z2201.木材の試験方法 含水率の測定方法に準じて、乾燥機中で105℃に放置し、該サンプルが恒量に達した後の重量W2を測定し、下記式(2)により乾燥後の含水率を求めた。
乾燥後の含水率(%)=(W1−W2)/W2 ×100 ・・・(2)
【0064】
〔内部割れ〕
乾燥後の各柱材の両端から10cmの位置の2箇所の切断面を観察し、各断面において観察される内部割れの程度を下記評価基準で判定し、内部割れ評価とした。また、評価が次の「なし」又は「小」のものを内部割れ合格とした。個々の柱材から元口側及び末口側の2個のサンプルを得、含水率20%以下のサンプルについて、サンプルの総数に対する合格したサンプルの個数の割合を求めた。
【0065】
〔評価基準〕
なし:割れが認められない。
小:割れ面の最大巾が1mm以内で長さが20mm以内の割れが存在する。
中:小の割れに該当しない割れであって、割れ面の最大巾が2mm以内で長さが50mm以内の割れが存在する。
大:最大巾が2mm超又は長さが50mm超の割れが存在する。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
表1,表2に示す結果から、本発明の方法によれば、比較例1,2(従来の方法)に比べて、被乾燥材の内部割れを顕著に低減することができることが判る。なお、本発明の木材の乾燥方法は、乾燥後の柱材の含水率が20%以下、特に15%以下となるまで乾燥する場合に特に有効である。
【0069】
〔実施例3〕
また、実施例1で用いたものと同様の柱材11本の木口面10aに、実施例2と同じシリコーン樹脂をへらにて塗布し、図10に示す9領域R1〜R9の内、角領域R1,R3,R7,R9を非遮蔽部、残りの全領域を遮蔽部とした柱材(以下、十字塗りの柱材という)5本を得た。
〔比較例3〕
実施例1で用いたものと同様の柱材15本の木口面10aに、実施例2と同じシリコーン樹脂をへらにて塗布し、図10に示す9領域R1〜R9の内、中央の領域R5を非遮蔽部、残りの全領域を遮蔽部とした柱材(以下、周囲塗りの柱材という)5本、図10に示す9領域R1〜R9の内、中央の領域R5のみを遮蔽部、残りの全領域を非遮蔽部とした柱材(以下、中心塗りの柱材という)5本と、図10に示す9領域R1〜R9の内、角領域R1,R3,R7,R9を遮蔽部、残りの全領域を非遮蔽部とした柱材(以下、四隅塗りの柱材という)5本を得た。
【0070】
実施例3及び比較例3で得た各柱材について、実施例1と同様に乾燥した後、同様にして内部割れを評価したところ、十字塗りの柱材については、サンプル4体中2体が合格であった。これに対して、周囲塗りの柱材については、7体中3体が合格であり、中心塗りの柱材は10体中10体が不合格であり、四隅塗りの柱材も9体中9体が不合格であった。
【符号の説明】
【0071】
10 被乾燥木材(木材)
10a 木口面
11,11A,11B 木口面遮蔽具
Na〜Nd 最外周年輪
Pa〜Pd 最外周年輪における木口面の辺に最も近づく箇所の内側付近
Ta〜Td 最外周年輪における木口面の対角線が交差する箇所の内側付近
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材の木口面を部分的に遮蔽物で覆った状態で、該木材を人工乾燥する木材の乾燥方法であって、
前記木口面を、相対向する辺の中点同士を結ぶ2本の中央線によって4領域に区分し、該領域それぞれについて、隣り合う2辺の何れにも達しない最外周年輪を見たときに、該最外周年輪における木口面の辺に最も近づく箇所の内側付近を前記遮蔽物で覆う一方、該最外周年輪における前記木口面の対角線が交差する箇所の内側付近は前記遮蔽物で覆わないで、木材の人工乾燥を行う木材の乾燥方法。
【請求項2】
前記最外周年輪の内側に移行材がある場合、
前記最外周年輪における木口面の辺に最も近づく箇所の内側付近を覆う前記遮蔽物は、前記木材の心材部の内側域に達する範囲を覆い、前記最外周年輪における前記対角線が交差する箇所の内側付近は、前記心材部の内側域に至るまでの範囲を覆わない、請求項1記載の木材の乾燥方法。
【請求項3】
木材の木口面を部分的に遮蔽物で覆った状態で、該木材を人工乾燥する木材の乾燥方法であって、
前記木口面を、該木口面の各辺の中点近傍を前記遮蔽物で覆う一方、該遮蔽物に覆われた一又は複数の年輪を該木口面の対角線上では覆わない状態で、木材の人工乾燥を行う木材の乾燥方法。
【請求項4】
木材の木口面を部分的に遮蔽物で覆った状態で、該木材を人工乾燥する木材の乾燥方法であって、
前記木口面を、各辺を3等分して正方形状の9領域に区分したときに、該木口面の四隅に位置する角領域における、前記遮蔽物で覆う面積の割合が、隣り合う2つの角領域間に位置する外周中央部領域における、前記遮蔽物で覆う面積の割合よりも小さくなるようにして、木材の人工乾燥を行う木材の乾燥方法。
【請求項5】
前記遮蔽物が、木材の木口面を部分的に覆うように、該木材の木口部に取り付け可能な木口面遮蔽具である、請求項1〜4の何れかに記載の木材の乾燥方法。
【請求項6】
前記木口面遮蔽具は、中央部に開孔を有する板状の遮蔽部と、該遮蔽部の片面から突出して木材の木口面に差し込まれる針とを備えている、請求項5に記載の木材の乾燥方法。
【請求項7】
前記遮蔽物が、木口割れ止め剤、目止め剤又は塗料である木材用表面コーティング剤である、請求項1〜4の何れかに記載の木材の乾燥方法。
【請求項8】
前記遮蔽物が、シリコーン樹脂である、請求項1〜4の何れかに記載の木材の乾燥方法。
【請求項9】
木材の木口面を部分的に覆った状態で、該木材を人工乾燥するのに用いる木口面遮蔽具であって、
中央部に開孔を有する板状の遮蔽部と、木口面遮蔽具を、該遮蔽部が木材の木口部に当接した状態に固定する固定手段とを備えており、
前記遮蔽部に正方形状の開孔が形成されており、その開孔の面積が、前記木口面の面積の30〜50%である木口面遮蔽具。
【請求項1】
木材の木口面を部分的に遮蔽物で覆った状態で、該木材を人工乾燥する木材の乾燥方法であって、
前記木口面を、相対向する辺の中点同士を結ぶ2本の中央線によって4領域に区分し、該領域それぞれについて、隣り合う2辺の何れにも達しない最外周年輪を見たときに、該最外周年輪における木口面の辺に最も近づく箇所の内側付近を前記遮蔽物で覆う一方、該最外周年輪における前記木口面の対角線が交差する箇所の内側付近は前記遮蔽物で覆わないで、木材の人工乾燥を行う木材の乾燥方法。
【請求項2】
前記最外周年輪の内側に移行材がある場合、
前記最外周年輪における木口面の辺に最も近づく箇所の内側付近を覆う前記遮蔽物は、前記木材の心材部の内側域に達する範囲を覆い、前記最外周年輪における前記対角線が交差する箇所の内側付近は、前記心材部の内側域に至るまでの範囲を覆わない、請求項1記載の木材の乾燥方法。
【請求項3】
木材の木口面を部分的に遮蔽物で覆った状態で、該木材を人工乾燥する木材の乾燥方法であって、
前記木口面を、該木口面の各辺の中点近傍を前記遮蔽物で覆う一方、該遮蔽物に覆われた一又は複数の年輪を該木口面の対角線上では覆わない状態で、木材の人工乾燥を行う木材の乾燥方法。
【請求項4】
木材の木口面を部分的に遮蔽物で覆った状態で、該木材を人工乾燥する木材の乾燥方法であって、
前記木口面を、各辺を3等分して正方形状の9領域に区分したときに、該木口面の四隅に位置する角領域における、前記遮蔽物で覆う面積の割合が、隣り合う2つの角領域間に位置する外周中央部領域における、前記遮蔽物で覆う面積の割合よりも小さくなるようにして、木材の人工乾燥を行う木材の乾燥方法。
【請求項5】
前記遮蔽物が、木材の木口面を部分的に覆うように、該木材の木口部に取り付け可能な木口面遮蔽具である、請求項1〜4の何れかに記載の木材の乾燥方法。
【請求項6】
前記木口面遮蔽具は、中央部に開孔を有する板状の遮蔽部と、該遮蔽部の片面から突出して木材の木口面に差し込まれる針とを備えている、請求項5に記載の木材の乾燥方法。
【請求項7】
前記遮蔽物が、木口割れ止め剤、目止め剤又は塗料である木材用表面コーティング剤である、請求項1〜4の何れかに記載の木材の乾燥方法。
【請求項8】
前記遮蔽物が、シリコーン樹脂である、請求項1〜4の何れかに記載の木材の乾燥方法。
【請求項9】
木材の木口面を部分的に覆った状態で、該木材を人工乾燥するのに用いる木口面遮蔽具であって、
中央部に開孔を有する板状の遮蔽部と、木口面遮蔽具を、該遮蔽部が木材の木口部に当接した状態に固定する固定手段とを備えており、
前記遮蔽部に正方形状の開孔が形成されており、その開孔の面積が、前記木口面の面積の30〜50%である木口面遮蔽具。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−25015(P2012−25015A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165059(P2010−165059)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(000183428)住友林業株式会社 (540)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]