説明

木材の内部応力緩和除去及び乾燥処理方法並びにその処理装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、木材の改質処理、特に木材の内部応力の緩和除去及び乾燥処理方法並びにその処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】樹木は、風等の外力に抵抗して樹体を維持するために、外力と対抗する内部応力(成長応力)をプレストレスとして持っている。この内部応力が樹木を伐採したり、丸太を製材する際に開放され、この内部応力に基づく歪みが木材を狂わせる原因の一つとなっている。
【0003】また、前記の内部応力の発生に樹体内の水が重要な働きをしており、樹木の組織を構成する個々の細胞は細胞内に水を取り込み、膨圧によりその形態を維持しているが、この膨圧が集積されて内部応力形成の一因となっている。そのため、木材の狂いを除くために含水率を下げることが考えられる。
【0004】そこで、木材の人工乾燥が行われたが、従来、木材の人工乾燥は主として製材したものについて含水率を下げるだけの目的で行われたものがほとんどであって、木材中の水が原因となる狂いを除去することはある程度可能である。
【0005】例えば、IF方式(インターナルファン方式)と呼ばれる熱風及び加湿を組み合わせ、最初高温度の環境から除々に処理室の雰囲気を乾燥状態にすることによって、木材を乾燥する方式が一般的である。
【0006】また、人工乾燥として、特開昭60ー103281号公報には、処理すべき木材に対し、該木材の発火点以上である500°C程度の熱風を、木材を発火させることなく、照射させる一方、該木材の下方に冷風を流通させて木材からの水分を凝縮させ、前記熱風より低温の雰囲気下に適宜時間放置する木材の処理と、この処理のための装置として、図9に示すように、処理すべき木材Wを収容できる大きさで、一端に適宜の燃料を燃焼させる形式の熱源部21を備える一方、他端にはその下部に外気取入用の開口部22を有する扉23を配設した処理室24と、前記熱源部21側に熱風のみ処理室24へ通過させるためのジグザグ状の流路25を形成すると共に、該流路下方には熱源部21に連通し前記開口部22やその近傍に設けた開口部26からの外気を供給するための流路27が形成されたものが示されている。
【0007】また、特開平4ー148184号公報に記載された木材乾燥装置は、図8に示すように、密閉可能な木材収容室31と燃焼ガス発生炉32とが両者の上部に開口された燃焼ガス供給路33で連通しており、燃焼ガス発生炉32の底部には燃焼室34が形成され、木材収容室床に設けられた燃焼ガスの循環経路35の複数個のダンパー36及びファン37によって強制的に木材収容室から燃焼室へガスを循環させるようにした木材乾燥装置である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前述の従来の人工乾燥は、木材中の水が原因となる狂いを除去することはある程度できるが、内部応力を除去することができないため、乾燥処理後の木材に反り、割れ、ねじれ、波打ちあるいは落ち込みなどの現象が現れ、乾燥材の歩留りを低下させるという欠点がある。
【0009】前記のIF方式では木材の内部応力に基ずく狂いは除去できないし、前記の熱風による丸太の乾燥法である特開昭60ー103281号公報及び特開平4ー148184号公報に記載の技術も以下に述べる理由でいずれも不十分なものである。
【0010】まず、前記特開昭60ー103281号公報に記載された木材乾燥技術は、処理温度として500°Cの高温を用いるものであり、処理温度が木材の発火点をはるかに越えており、操作を誤れば処理木材が燃焼する危険を伴うだけでなく、材表面の炭化、急激な熱処理による材表面の乾燥割れを引き起し、処理材の歩留りが著しく低下するという欠点がある。
【0011】さらに、そのための処理装置は、処理室側に空気の取入口を設け、冷気を導入して水蒸気を凝縮させ、液状にして処理室下部から除去するものであるが、500°Cの熱風の存在下で処理室内の温度を水蒸気が凝固するまで急激に下げるためには大量の冷気を導入しなければならず、その結果、処理室の温度が不均一となり熱効率を下げるだけでなく、燃焼室に流入した空気によって、燃料が急激に燃え上がったり、ススが充満した処理室内では高温のため粉塵爆発が起こる可能性がきわめて大きいため、実用上きわめて危険であるという欠点がある。
【0012】次に、特開平4ー148184号公報に記載された木材乾燥装置は、循環経路に置かれたダンパー及びファンが大量のタールによって短期間で使用不能となって、循環経路が機能しないという欠陥に加え、燃焼ガスが木材処理室と燃焼室との間で均一に循環しないため、木材処理室内の温度のバラツキが大きいという欠点がある。さらに、この装置は、木材の狂いの本質的な原因となる内部応力の緩和除去に関する配慮が欠落しており、そのため、温度処理が不適切で処理材の仕上がりの認定基準を確定することは困難である。
【0013】そこで、本願発明は、木材の内部応力を緩和除去すると共に含水率を適度に調整して乾燥させ、処理後の木材に反り、割れ、ねじれ、波打ちあるいは落ち込みなどの欠陥が発生しないようにして、処理材の歩留りを向上させる処理方法及びその処理方法を効率よく且つ安全に実施できる処理装置を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】はじめに、本願発明による内部応力緩和除去の基本原理について説明する。
【0015】木材は水を含んでおり、例えば生材丸太は、その重量の半分あるいは多いものではその三分の二の水を含んでいる。常温では木材中の水は、組織の中を自由に動く自由水と組織を構成するリグニン、ヘミセルロースなどの成分と水素結合等によって結びついている結合水とに分けられるが、外部から熱が加わると熱エネルギーによって水の分子運動は次第に激しくなり、やがて結合水も動きだし、このような状態になると、これまで前記の各成分を結びつけていた水素結合が切れ、前記成分の大きな分子も動き易くなる。その結果、乾燥状態でそれぞれ134〜235°C及び167〜217°Cであったリグニン及びヘミセルロースの熱軟化点が十分な水の存在下では77〜108°C、54〜142°Cに低下し、細胞全体が動き易くなり、この動きは内部応力によって加速され、木材の細胞が連続しているために材内の歪みは全体に均一に吸収され、全体の内部応力が均一で安定した状態になるまで続いて内部応力の緩和がなされる。この過程で前記成分の一部は熱分解を起こし、低分子化し水に可溶の成分となり溶出する。水は、材温の上昇とともに木口から水蒸気となって蒸発し、やがて木材処理室内の水蒸気圧と木材中の水蒸気圧が平衡状態となり、この状態は材温が約50〜100°Cの間で約40〜200時間持続し、この間に木材内部の内部応力緩和除去がゆっくりと進行する。
【0016】そこで、本願発明は、前述の木材の熱特性を応用し、特定の温度範囲による適度の水分の存在下で木材を熱処理して内部応力を除去するとともに乾燥も行なうものである。
【0017】本願発明は、処理すべき木材を半密閉状態で該木材の発火点以下の150℃程度の温度で飽和水蒸気を含む燃焼ガスの雰囲気に、材温が100℃以下の状態で一定時間保持し、この状態下で木材の主成分であるリグニン及びヘミセルロースの熱軟化点の降下現象と内部応力による木材組織の細胞の流動を利用し、該木材の狂いの原因となる内部応力の緩和、除去を行なうと共に、材内の水分の蒸散を促し、該木材を乾燥させるものである。
【0018】また、本願発明の処理装置は、ガス流量調節可能な複数の開口部が設けられた隔壁によって分けられた木材処理室と燃焼ガスを発生させる燃焼室とからなり、木材処理室の開口部には燃焼ガスの送りダクトが連接され、木材処理室には木材搬入口付近の下部にガス流量調節可能な排煙口が設けられ、木材処理室の床下には燃焼室に連通する燃焼ガスの返りダクトが設けられ、燃焼室の底部の最下部には燃料の燃焼を調整する空気導入口が設けられていることを特徴とす
【0019】本願発明では、木材に熱を加えることにより、木材の主成分であるリグニン、ヘミセルロースの熱軟化点の降下現象および内部応力による木材組織の細胞の流動によって、該木材の狂いの原因となる内部応力の緩和、除去を行なうと共に、材内の水分の蒸散を促し、該木材を乾燥させることができる。
【0020】また、処理装置の燃焼室で木材を燃焼させると、不完全燃焼によって生じるススを含む低温の燃煙ガスが隔壁の開口を通って木材処理室へ送られ、木材が急速加熱を受けることなく緩慢に熱処理され、さらに、木材処理室では、ススが壁面に付着してスス層が形成され、このスス層と床面の炭材との黒体輻射の輻射熱により木材処理室に装入されている木材が遠赤外線で加熱され、熱効率の良い処理ができる。
【0021】
【発明の実施の形態】本願発明において、木材中には十分な水(沸点100°C)が存在することにより材温が約100°Cを越えないこと並びにリグニン及びヘミセルロースの熱軟化点が平均100°C以下の範囲にあることから、材温を前記熱軟化点の温度範囲に保持すればよく、材温が100°C以下なので、雰囲気ガスの温度は、木材の発火点より低い温度で十分であり、例えば、150°C以下で十分に内部応力除去の効果が有り、また、前述のリグニン及びヘミセルロースの熱軟化点の温度範囲の下限値を考慮して、約60°C以上あればよい。また、雰囲気ガスの温度は、前記熱軟化点の温度範囲内で段階的に昇温させることができ、例えば、第1段階で70°Cに保持し、第2段階で150°Cに保持することにより、木材の急速な昇温を避け、ゆっくりと昇温させてもよい。
【0022】また、本願発明においては、雰囲気ガスに水蒸気が含有されていることにより、木材処理室内の温度が均一に保たれ、木材がむらなく蒸される状態に保持されてゆっくりと処理が進行し、また、飽和水蒸気下では材内外が一定の蒸気圧に保たれるために、木材の大小に関係なく一定の含水率とすることができる。雰囲気ガスに含ませる水蒸気は、燃焼室の廃木材の燃焼あるいは処理する木材の加熱により供給される。
【0023】さらに、本願発明では、水の熱伝導が気乾状態の木材のそれより6〜8倍も大きいことを利用することから、木材に対する熱の伝搬が速やく、熱効率を高める状態で行なうことができるので、処理する木材は、水分を含有する通常の木材だけでなく、特に含水率が高い間伐材のような生丸太の場合には、きわめて優れた効果を奏する。
【0024】これに加えて、燃焼室の木材の燃焼により発生したススの黒体輻射によって、遠赤外線による輻射熱が有効に利用され、丸太の温度を100°C以上に上げる必要がないことから、炉内温度も150°C以下の低温に保てばよく、さらに、本願発明の方法が一定時間半密閉状態で行われるので、燃料の不完全燃焼下でゆっくり燃焼させることで燃費も節約でき、理想的な木材の内部応力除去と乾燥ができる。
【0025】なお、本願発明において、処理すべき木材を半密閉状態で150°C以下の温度に保持する時間は、木材の大小、木材の含水率、雰囲気の温度などを考慮して決定されるが、約40〜200時間である。その後、木材処理室を開放して数日から十日前後の時間をかけて冷却する。
【0026】次に、本願発明の処理方法を実施するための処理装置について図1〜図4を用いて説明する。
【0027】本願発明の処理装置は、木材処理室1と燃焼室2で構成され、両室は、ダンパのような流量を調節できる手段を有する複数の開口部3が上中下に設けられている隔壁4によって分けられており、隔壁4の上部及び中央部の開口部3は主に燃焼室2から木材処理室1への燃焼ガスの通路となり、下部の開口部3は木材処理室1から燃焼室2への空気の流入口及び燃焼ガスが木材処理室1と燃焼室2とを自然循環する際の木材処理室1から燃焼室2に燃焼ガスが戻る際の通路となる。開口部3及び排煙口7の開閉の度合を調節することによりを循環する燃焼ガスの流量を調節し、木材処理室1の雰囲気の温度を木材の発火点以下の温度、例えば60〜150°Cに調節することができる。
【0028】木材処理室1には、扉用レール5で開閉可能な扉6からなる木材搬入口の左右下部に排気流量を調節できる排煙口7を備えている。なお、仮に木材処理室1が急激な燃焼ガスの発生により高圧になった場合に、室内を減圧するための圧力調整蓋を設けてもよい。
【0029】燃焼室2の底部には、木材処理室1の底部より下に下げられ、その最下部の左右に燃料の燃焼をコントロールする調整機能を持った空気導入口8が設けられている。さらに、燃焼室2上部左右には、木材処理室1と同様に室内の減圧のために圧力調整蓋を設けてもよい。
【0030】木材処理室1は、室内の温度分布を均一にし、熱効率を上げるため、床には炭材9が敷かれると共に、壁面10は燻煙ガスに含まれるスス(カーボン)が付着してスス層が形成されており、この炭材とスス層に吸収された熱エネルギーを黒体輻射熱として再び熱源として利用して、木材処理室に装入されている木材を遠赤外線加熱し、熱効率を高める。さらに、木材処理室1における黒体輻射熱をより有効に利用するため、壁面に凹凸などの多面体を形成して内部表面積を大きくすると、より熱効率が向上する。
【0031】処理する木材の装入は、搬送レール11を走行する台車など適宜の装入手段を採用することができる。
【0032】次に、処理能力の大きな処理装置の例について図5〜図7により説明する。
【0033】図5〜図7に示す処理装置は、木材処理室に台車を複数列平行に装入できるようにし、前述の燃焼室で発生させた燃焼ガスを開口部3によって木材処理室1と燃焼室2とを自然循環させる方式に代えて、送りダクト及び返しダクトを利用して処理能力をアップしたもので、隔壁4の上部に上段、中段及び下段の3段に開口部3を複数設け、開口部3はガス流量を調節するための調整弁38を設ける。調整弁38の開閉調節は、周知の駆動装置、例えば、モートルシリンダー39の駆動で行う。木材処理室1側の開口部3の木材処理室1側は送りダクト40が連接されており、燃焼ガスを木材処理室1の温度分布が均一となるように供給するために、上段の開口部3aに連接される送りダクト40aが木材処理室1の装入口近くまで延びており、次いで中段の開口部3bに連接される送りダクト40bが木材処理室1の中間まで延びている。下段の開口部3cは、ダクトを設けていないが、木材処理室1の容量に応じて送りダクトを設けてもよい。
【0034】木材処理室1の床下には燃焼室2に通じる返しダクト41を形成する。この方式では、燃焼室内の燃焼ガスを送りダクトにより木材処理室内全体に均一に供給し返りダクトで吸い込むことによりガスの循環を効率よく行うことができるため、木材処理室内温度分布を均一に保持することができるので、熱効率の良い均質処理ができる。
【0035】
【実施例】木材処理室に処理すべき木材を装入し、木材処理室を半密閉状態にした後、燃焼室で廃木材などの木材を燃焼させ木材処理室の雰囲気ガスの温度が150°C以下となるように、隔壁の開口部を通る燃焼ガスの流量を隔壁の開口部及び排煙口の開閉により調節する。雰囲気ガスに含ませる水蒸気は、燃焼室の廃木材の燃焼あるいは処理する木材の加熱により供給される。雰囲気ガスの温度が木材の発火点よりかなり低温であるにかかわらず、処理すべき木材に含まれる大量の水により材内の熱の伝導は速く、雰囲気中の水蒸気の存在によって木材を蒸す状態となり、均一に加熱処理することができる。
【0036】半密閉状態を約40〜60時間継続後、燃焼室の燃料の消耗と共に木材処理室の雰囲気ガス温度が下がり始めた時点で木材処理室の排煙口を全開すると、木材処理室内の水蒸気、燃焼ガスが外部に排出され、木材処理室と材内の水蒸気圧の平衡が崩れる。この時、材中の水が水蒸気となって材外に再び出てくることになる。排煙口から除々に木材処理室の水蒸気及び燃焼ガス排出されることにより、木材処理室と材中の水蒸気圧に差ができるため、これを補うように材中から水蒸気が排出し、木材中の含水率は減少すると同時に木材処理室及び木材中の蒸気圧は除々に下がっていく。この間、木材中から常に水蒸気が木材処理室内に供給され緩慢な雰囲気で木材は処理され、一種の焼きなまし処理を受けることになる。
【0037】燃焼室の燃料は、緩慢な燃焼過程で炭化して炭の状態で燃焼し始めると燃焼ガスは二酸化炭素と一酸化炭素しか含まれなくなるため、木材処理室に導入される燃焼ガスは乾燥ガスとなり、木材処理室の乾燥度は高くなる。この状態では炭の燃焼に伴う遠赤外線の効果が顕著となり、さらに遠赤外線に基づく熱エネルギーを吸収したスス等の黒体輻射熱が処理材に相乗効果的に作用し、木材の乾燥が進む。やがて、燃焼室の燃料が完全に消費されると木材処理室の温度は除々に降下し、木材処理室内の温度が外部温度に近くなったところで、木材の内部応力緩和除去及び乾燥を終了する。
【0038】本願発明の処理方法によれば、熱処理によって乾燥も同時に行われ、含水率が200%以上の生木材でも40〜50%まで低下させることができる。
【0039】本願発明の実施例と従来例とを比較した結果は、表1のとおりである。なお、従来例1は、前述の従来技術で述べた人工乾燥で、熱風を強制循環させるために乾燥室内にファンを設けたインターナルファン方式の乾燥法であり、従来例2は前述の特開昭60ー103281号公報に記載された木材乾燥処理法である。
【0040】
【表1】


表1から明らかなとおり、本願発明の方法で処理した木材は、従来法で処理した木材に比べて、内部応力の除去により、木材に反り、波打ち、落ち込みが無く寸法安定性に優れ、切削性も向上し、歩留りが向上していることが分かる。
【0041】また、処理装置については、本願発明は従来の装置に比べて、製造コストが低く、炉内温度及び材内温度が安定しており、熱効率もよい。
【0042】
【発明の効果】本願発明は、次に示すとおり優れた効果を奏する。
【0043】(1) 本願発明の処理方法は、木材成分の熱的特性を利用するので、低温の雰囲気で効率よく内部応力が除去でき、また、雰囲気温度を低温に保てばよいので、燃料の不完全燃焼でゆっくり燃焼させることで燃費も節約できる。
【0044】(2) 本願発明の処理方法は、木材に含まれた水の熱伝導により、熱の伝搬が速やかに進行するので、熱効率を高める状態で行なうことができ、特に、間伐材のような水分の多い木材をきわめて効率よく処理できる。
【0045】(3) 本願発明の処理方法は、木材の発火点以下の低温の雰囲気ガスで処理するので、安全に操業できる。
【0046】(4) 本願発明の処理装置は、その構造がシンプルであるため、装置の製造コストが従来の装置に比べて大幅に低く、また、低温雰囲気を用いるので耐久性がある。
【0047】(5) 本願発明の処理装置は、燃焼ガスに含まれるスス、処理室壁面にタール分と共に付着したススにより吸収された熱エネルギーを黒体輻射熱として利用するため、熱効率を高めることができ、木材処理室におけるスス黒体輻射熱を有効に利用するため、木材処理室の壁面を多面体とし内部表面積を大きくすることにより、より熱効率を上げることができる。
【0048】(6) 本願発明は、原木のままで処理することができ、その結果、含水率が大幅に減少し木材の重量が減少して輸送コストが軽減され、処理された木材は内部応力の除去により、切削抵抗が減少して製材や加工時のエネルギーコストが軽減されるとともに、製材品に狂いが発生しにくいので製材品、加工品の歩留りも向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明による処理装置の正面図。
【図2】図3の燃焼室の断面図。
【図3】本願発明による処理装置の平面図。
【図4】図3の木材処理室の断面図。
【図5】本願発明による処理装置の正面図。
【図6】図5の燃焼室の断面図。
【図7】図5の木材処理室の断面図。
【図8】従来の処理装置の説明図。
【図9】従来の他の処理装置の説明図。
【符号の説明】
1 木材処理室、 2 燃焼室、 3,3a,3b,3c 開口部、 4 隔壁、 5 扉用レール、 6 扉、 7 排煙口、 8 空気導入口、 9 炭材、 10 壁面、 11 装入用レール、 21 熱源部、 22 開口部、23 扉、 24 処理室、 25 ジグザグ流路、 26 開口部、 27冷気流路、 31 木材収容室、 32 燃焼ガス発生炉、 33 燃焼ガス供給路、 34 燃焼室、 35 ガス回収炉、 36 ダンパー、 37 ファン、 38 調節弁、 39 モートルシリンダー、 40a,40b,40c 送りダクト、 41返しダクト

【特許請求の範囲】
【請求項1】 水蒸気を含み処理すべき木材の発火点以下の温度であって60〜150℃の水蒸気飽和雰囲気ガス中に処理すべき木材の材温を50〜100℃に一定時間密閉に近い状態で保持し、木材の主成分であるリグニン、ヘミセルロースの熱軟化点を降下させると共に内部応力により木材組織の細胞を流動させ、且つ材内の水分を蒸散させることを特徴とする木材の内部応力緩和除去及び乾燥処理方法。
【請求項2】 ガス流量調節可能な複数の開口部が設けられた隔壁によって分けられた木材処理室と燃焼ガスを発生させる燃焼室とからなり、木材処理室の開口部には燃焼ガスの送りダクトが連接され、木材処理室には木材搬入口付近の下部にガス流量調節可能な排煙口が設けられ、木材処理室の床下には燃焼室に連通する燃焼ガスの返りダクトが設けられ、燃焼室の底部の最下部には燃料の燃焼を調整する空気導入口が設けられていることを特徴とする木材の内部応力緩和除去及び乾燥処理装置
【請求項3】 前記木材処理室の底部に炭材層が形成されていることを特徴とする請求項2記載の木材の内部力緩和除去及び乾燥処理装置。
【請求項4】 前記木材処理室の壁面を多面体としたことを特徴とする請求項2又は3記載の木材の内部応力緩除去及び乾燥処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【特許番号】第2857356号
【登録日】平成10年(1998)11月27日
【発行日】平成11年(1999)2月17日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平7−260472
【出願日】平成7年(1995)10月6日
【公開番号】特開平8−267414
【公開日】平成8年(1996)10月15日
【審査請求日】平成9年(1997)10月17日
【出願人】(595017838)有限会社ウイズ (2)
【参考文献】
【文献】特開 昭59−62103(JP,A)
【文献】特開 平4−307201(JP,A)
【文献】特開 平6−213566(JP,A)
【文献】特開 平6−315910(JP,A)
【文献】特開 平7−9409(JP,A)
【文献】特開 平7−137006(JP,A)