説明

木材の外観検査装置、木材の外観検査方法

【課題】モノクロの濃淡画像に対する画像処理のみで欠陥を正確に抽出することを可能にした木材の外観検査装置を提供する。
【解決手段】ラインセンサカメラにより撮像された濃淡画像が、画像処理装置4に入力される。一次候補抽出部11は、複数の検査対象領域に区画されている木材の表面をラインセンサカメラにより撮像した濃淡画像を2値化し、一次欠陥候補領域を抽出する。二次候補抽出部12は、着目する検査対象領域について木目と欠陥とを分離するように設定した第2のしきい値により濃淡画像を2値化し、二次欠陥候補領域を抽出する。欠陥抽出部13は、二次欠陥候補領域を含む検査対象領域において二次欠陥候補領域に含まれる画素の濃淡値と二次欠陥候補領域の周辺の画素の濃淡値との差分を用いて欠陥を判別する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材の表面を撮像した画像を用いて木材の表面における節、割れ、変色などの各種の欠陥を検査する木材の外観検査装置、木材の外観検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、木材の表面の欠陥(節、割れ、変色など)を抽出するために、木材の表面を撮像した画像を用いる技術が提案されている。たとえば、特許文献1では、検査対象である木材のカラー画像を撮像して画像内の色分布を求め、正常な木材の色分布と比較することにより、検査対象である木材の欠陥を検出する技術が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、木材の表面の反射光による画像と、木材の裏面からの透過光による画像との2画像を用い、2画像による検査を統合することによって、各種の欠陥を抽出する技術が記載されている。
【0004】
さらに、特許文献3では、木材の表面のカラー画像を撮像し、カラー画像を2値化した2値化画像から特徴パラメータを抽出することにより欠陥部位を検出する技術が記載されている。欠陥部位は、あらかじめ設定した判定値と特徴パラメータとを対比することにより検出している。
【特許文献1】特開2007−147442号公報
【特許文献2】特開2007−40913号公報
【特許文献3】特開平9−210785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1、3に記載された技術はカラー画像を用いているから、モノクロの画像処理に比較するとデータ量が多く処理負荷が大きくなり、データの転送時間や処理時間が長くなるという問題を有している。すなわち、木材を搬送している場合のように欠陥の検出のための画像処理に用いることができる時間が短くなる用途では高性能のハードウェア資源(プロセッサ、メモリ)が要求され、カラー画像を撮像する工業用の撮像装置とともにシステムが高額になる要因になっている。
【0006】
また、特許文献2に記載された技術では、反射光による画像と透過光による画像との2画像を統合するために、2画像を記憶するためのハードウェア資源が必要になって高額になる上に、これらの2画像では欠陥の部位の輪郭が異なる場合があるから、欠陥の輪郭を正確に検出することができず、欠陥の大きさを精度よく見積もることができない場合がある。
【0007】
特許文献3に記載された技術では、カラー画像を用いるから、特許文献1と同様にシステムが高額になるという問題があり、しかも、欠陥部位を判定するための判定値を特徴パラメータと比較するから、欠陥の種類ごとに特徴パラメータを設定しなければならず、あらかじめ特徴パラメータが設定されていない新規の欠陥では、欠陥を見逃す場合がある。
【0008】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、モノクロの濃淡画像に対する画像処理のみで欠陥を正確に抽出することを可能にした木材の外観検査装置を提供し、加えて木材の外観検査方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、木材の外観検査装置であって、複数の検査対象領域に区画されている木材の表面を撮像する撮像手段と、撮像手段により撮像された複数の検査対象領域を含む濃淡画像を第1のしきい値により2値化した2値画像から一次欠陥候補領域を抽出する一次候補抽出部と、一次欠陥候補領域が抽出された着目する検査対象領域について前記濃淡画像を木目と欠陥とを分離するように設定した第2のしきい値により2値化した2値画像から二次欠陥候補領域を抽出する二次候補抽出部と、二次欠陥候補領域を含む検査対象領域において二次欠陥候補領域に含まれる画素の濃淡値と二次欠陥候補領域の周辺の画素の濃淡値との差分を用いて欠陥を判別する欠陥抽出部とを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、前記木材は目地溝により区画された複数のピースを表面に配列した板材であって、前記二次候補抽出部は、各ピースを前記検査対象領域とし各ピースの濃淡値の平均値を第2のしきい値に用いて二次欠陥候補領域を抽出することを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明において、前記二次候補抽出部は、前記濃淡画像に含まれる前記検査対象領域ごとに前記第2のしきい値を設定することを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明では、請求項1〜3のいずれかの発明において、前記欠陥抽出部は、前記二次欠陥候補領域の外接矩形を囲む判定領域を設定し、判定領域内において二次欠陥候補領域の画素と二次欠陥候補領域を除く範囲の画素との濃淡値を用いて領域拡張しきい値を設定し、領域拡張しきい値により判定領域内の画素の濃淡値を二値化することにより、欠陥候補となる領域を抽出し、当該領域について欠陥を判別することを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明では、請求項1〜3のいずれかの発明において、前記欠陥抽出部は、前記二次欠陥候補領域の慣性主軸を求め、慣性主軸に沿う方向に並ぶ画素の濃淡値の変化と、慣性主軸に直交する方向に並ぶ画素の濃淡値の変化とを用いて二次欠陥候補領域から欠陥候補となる領域を抽出し、当該領域について欠陥を判別することを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明では、請求項1〜5のいずれかの発明において、前記欠陥抽出部は、前記二次欠陥候補領域を囲む判定領域を設定し、判定領域内において二次欠陥候補領域の画素と二次欠陥候補領域を除く範囲の画素との濃淡値の差分を求め、判定領域内の二次欠陥候補領域を除く範囲の画素の濃淡値に対して設定されている判定用のしきい値と前記差分とを比較することにより、欠陥を判別することを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明では、請求項1〜7のいずれかの発明において、前記欠陥抽出部は、前記二次欠陥候補領域の形状に応じて、周辺の画素との濃淡値の差が大きくなるように規定した規則で判定領域を設定し、判定領域において二次欠陥候補領域を除く範囲の画素を周辺の画素に用いることを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明では、請求項1〜7のいずれかの発明において、前記欠陥抽出部は、前記二次欠陥候補領域を囲む判定領域を設定し、判定領域に含まれる画素のうち濃淡値が下位である規定の割合の画素に関する濃淡値の代表値と、判定領域に含まれる画素のうち濃淡値が上位である規定の割合の画素についての濃淡値の代表値との差を用いて欠陥を判別することを特徴とする。
【0017】
請求項9の発明は、木材の外観検査方法であって、複数の検査対象領域に区画されている木材の表面を撮像手段により撮像した濃淡画像を用い、複数の検査対象領域を含む濃淡画像を第1のしきい値により2値化した2値画像から一次欠陥候補領域を抽出し、次に、着目する検査対象領域について前記濃淡画像を木目と欠陥とを分離するように設定した第2のしきい値により2値化した2値画像から二次欠陥候補領域を抽出した後、二次欠陥候補領域を含む検査対象領域において二次欠陥候補領域に含まれる画素の濃淡値と二次欠陥候補領域の周辺の画素の濃淡値との差分を用いて欠陥を判別することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1、請求項9の発明の構成によれば、撮像手段により撮像された画像の濃淡値のみを用いて欠陥の判別を行うから、モノクロ画像により欠陥の判別が可能であって、カラー画像を扱う場合よりも処理負荷が比較的小さく、またハードウェア資源もカラー画像を扱う場合よりも少なくなる。すなわち、比較的安価で単純なシステム構成で、木材の表面に存在する欠陥を検出することが可能である。また、木材の表面の全体から一次欠陥候補領域を抽出し、さらに、一次欠陥候補領域が抽出された検査対象領域から二次候補抽出部を抽出し、二次欠陥候補領域について欠陥を判別するから、欠陥を判別する範囲を絞り込むことにより、木目と欠陥とを識別して欠陥を正確に判別することが可能になる。
【0019】
請求項2の発明の構成によれば、目地溝により区画されている木材について、目地溝により仕切られているピースごとに第2のしきい値を設定するから、二次欠陥候補領域を抽出するにあたってピースごとに第2のしきい値を適正化することができ、二次欠陥候補領域を的確に抽出することが可能になる。
【0020】
請求項3の発明の構成によれば、検査対象領域ごとに第2のしきい値を設定するから、二次欠陥候補領域を抽出するための第2のしきい値を検査対象領域ごとに適正化することができ、検査対象である木材の場所ごとの濃淡値の相違を反映させた正確な欠陥検出が可能になる。
【0021】
請求項4の発明の構成によれば、二次欠陥候補領域の外接矩形を囲んで設定した判定領域において領域拡張しきい値を設定し、領域拡張しきい値により判定領域内の画素の濃淡値を二値化して欠陥候補となる領域を抽出するから、二次欠陥候補領域に基づいてさらに精度よく欠陥候補の領域を抽出することができ、結果的に欠陥の判別を正確に行うことが可能になる。とくに、欠陥候補となる領域と周辺との濃淡差が大きいときには、二次欠陥候補領域が実際の欠陥とは異なるサイズで抽出されることがあるが、二次欠陥候補領域の周囲の近傍の画素のみで欠陥候補を抽出するから、欠陥候補を正確に抽出することができる。
【0022】
請求項5の発明の構成によれば、二次欠陥候補領域の慣性主軸の方向の濃淡値の変化と慣性主軸に直交する方向の濃淡値の変化とを用いて欠陥候補となる領域を抽出するから、欠陥候補と周辺との境界を正確に抽出することができることにより、欠陥候補となる領域の周辺におけるノイズの影響が軽減され、木目などによるノイズを低減して欠陥候補の領域を正確に抽出することができる
請求項6の発明の構成によれば、判定領域において二次欠陥候補領域と二次欠陥候補領域を除く範囲との濃淡値の差分を、あらかじめ定められた判定用のしきい値と比較することにより欠陥を判別するものであり、判定用のしきい値として判定領域内の二次欠陥候補領域を除く範囲の画素の濃淡値に対して設定されている値を用いるから、欠陥の判別を目視に近い状態で正確に行うことが可能になる。
【0023】
請求項7の発明の構成によれば、二次欠陥候補領域の形状に応じて、周辺の画素との濃淡値の差が大きくなるように規定した規則で判定領域を設定するから、欠陥の形状に適した判定領域の設定により欠陥の判別を正確に行うことができる
請求項8の発明の構成によれば、判定領域に含まれる画素のうち濃淡値が下位である規定の割合の画素に関する濃淡値の代表値と、判定領域に含まれる画素のうち濃淡値が上位である規定の割合の画素についての濃淡値の代表値との差を用いて欠陥を判別するから、欠陥候補となる領域と、周辺となる領域との濃淡値の差が大きくなり、欠陥の判別が容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
(実施形態1)
以下に説明する実施形態において、検査対象となる木材としては、合板の表面に貼り合わせるために用いる単板であって薄厚でシート状に形成された単板(突き板など)や、この単板を貼り合わせた合板を想定する。ここでは、木材3が床材や壁材として用いられる建築用板であり、図3に示すように、目地溝31により区画された複数個のピース32が表面に配列されているものとする。この種の木材3は定尺(たとえば、1800mm×300mm)の矩形状に形成されていることが多く、以下の説明では図2に示すように、搬送されている間に外観検査を行うものとする。
【0025】
なお、木材3は上述の形状であることは必須ではなく、木材3の表面が複数の領域に区画されていれば本発明の技術思想を適用することができる。したがって、木材3の表面にピース32が配列されていることは必須ではない。木材3の表面を区画している各領域はそれぞれ検査対象領域であって、以下の実施形態ではピース32を検査対象領域として扱う。
【0026】
図2に示すように、木材3は、コンベア21により一方向(図2(a)の矢印A方向)に搬送される。搬送方向は、木材3の短手方向に一致する。したがって、図2(b)に示すように、木材3の長手方向において複数台(図示例は4台)のコンベア21が並べられる。コンベア21の上方には撮像装置としてのラインセンサカメラ1が配置される。ラインセンサカメラ1は、木材3の全長に亘る領域を撮像することができるように、コンベア21を並べた方向(木材3の長手方向)に離間して複数台(図示例では3台)が並べられる。また、ラインセンサカメラ1は、光軸が木材3の表面に略直交するように配置されている。
【0027】
さらに、木材3の表面をラインセンサカメラ1により撮像する際の照明として、発光ダイオードを用いた照明装置2をコンベア21の上方に配置してある。照明装置2は、木材3の長手方向の全長に亘って均一な照度で照明を行うことができるように、多数個の発光ダイオードを直線上に配列するとともに、光取出面に拡散板を配置した構成を有する。また、照明装置2は、ラインセンサカメラ1に対して木材3が搬送される向きの下流側に配置される。照明装置2からの光は木材3の表面に対して所定角度θ(たとえば、60度)をなす方向から照射され、木材3に対して斜方照明を行う。したがって、ラインセンサカメラ1には木材3の表面からの拡散反射光が入射する。
【0028】
ラインセンサカメラ1により撮像される画像はモノクロの濃淡画像であって、画像処理装置4において以下に説明する画像処理が施されることにより木材3の欠陥が検出される。
【0029】
画像処理装置4は、図1に示すように、一次候補抽出部11と二次候補抽出部12と欠陥抽出部13とを主要な構成要素としている。一次候補抽出部11および二次候補抽出部12は、ラインセンサカメラ1により撮像された濃淡画像を2値化した2値画像から欠陥候補領域を抽出する。一次候補抽出部11では木材3の表面の全面を検査対象とし、二次候補抽出部12では木材3の表面のうち一次候補抽出部11で抽出された一次欠陥候補領域を含むピース32の範囲を検査領域とする。また、欠陥検出部13では、二次候補抽出部12で抽出された二次欠陥候補領域について、欠陥か否かを判定する。
【0030】
画像処理装置4の構成をさらに詳しく説明する。なお、画像処理装置4は、パーソナルコンピュータや画像処理専用のプロセッサを備えるコンピュータを用いて以下の動作を行うプログラムを実行することにより実現される。画像処理装置4は、ラインセンサカメラ1からの濃淡画像を取り込むためのインターフェイスや、モニタ装置に画像を出力するためのインターフェイスなどを備えるが、これらの構成は周知のものを用いればよいから説明を省略する。また、画像処理装置4には、ラインセンサカメラ1からの濃淡画像を格納するとともに、画像処理の過程で生じる画像データを格納する作業記憶となる画像メモリ14が設けられる。
【0031】
以下の説明では、ラインセンサカメラ1により撮像した濃淡画像から、木材3の表面に相当する領域の画素のみを背景から分離して画像メモリ14に格納しているものとする。木材3の表面に相当する画素を抽出するには、ラインセンサカメラ1により撮像した濃淡画像の2値化を行い、この2値画像を用いて背景の領域を分離すればよい。
【0032】
一次候補抽出部11は、画像メモリ14に格納された木材3の表面の全体に関する濃淡画像を第1のしきい値により2値化する第1の2値化処理部11aと、第1の2値化処理部11aにより得られた2値画像を用いて一次欠陥候補領域を抽出する第1の候補領域抽出部11bとを備える。ここで、一次欠陥候補領域を抽出するにあたっては、抽出しようとする欠陥の種別に応じて設定したしきい値を用いる。つまり、第1のしきい値は、1種類ではなく複数種類が設定される。本実施形態では、欠陥の種別として、穴、節、入皮(若木の段階で皮が入り込み壊死した欠陥)、カナスジ(若木の段階で付いた傷が壊死した欠陥)を想定しており、これらの欠陥を抽出することができるように、第1のしきい値を複数段階(たとえば、4段階)に設定する第1のしきい値設定部11cが設けられる。
【0033】
二次候補抽出部12は、一次候補抽出部11により抽出された一次欠陥候補領域に着目し、一次欠陥候補領域を含むピース32ごとに第2のしきい値により2値化する第2の2値化処理部12aと、第2の2値化処理部12aにより得られた2値画像を用いて二次欠陥候補領域を抽出する第2の候補領域抽出部12bとを備える。また、第1のしきい値と同様に、第2のしきい値についても複数種類の欠陥を抽出することができるように複数段階に設定される。第2のしきい値を設定する第2のしきい値設定部12cは、一次候補抽出部11において用いた第1のしきい値と同数個の第2のしきい値を設定する。
【0034】
第2のしきい値Th2は、第1のしきい値Th1に対して補正値ΔThを加算または減算することにより設定する。つまり、Th2=Th1±ΔThになる。濃淡画像の各画素の濃淡値が8ビットの階調を有している(つまり、濃淡値は0〜255の範囲になる)場合、着目しているピース32内の濃淡値の平均値が128未満であるときには補正値ΔTh=−10とし、ピース32内の濃淡値の平均値が128以上であるときにはΔTh=10とする。すなわち、ピース32内の濃淡値の平均値に応じてピース32ごとに補正値ΔThを定める。なお、補正値ΔThは、10以外の適宜の値に設定することが可能であり、また補正値ΔThを各ピースごとに設定することも可能である。
【0035】
第2のしきい値を第1のしきい値に基づいて設定していることにより、第1のしきい値において抽出しようとする欠陥の種類を第2のしきい値においても引き継ぐことができ、あらためて欠陥の種類ごとに第2のしきい値を設定する手間を省くことができる。たとえば、濃淡値が60〜70と他の欠陥に比較して明るい入皮やカナスジのような欠陥についても、あらためて第2のしきい値を設定しなおす必要がなく、第2のしきい値を第1のしきい値に基づいて他の欠陥と区別できるように設定することができる。
【0036】
上述したように、一次候補抽出部11において抽出された一次欠陥候補領域を含むピース32についてのみ、二次候補抽出部12において第2のしきい値を設定して二次欠陥候補領域を再度抽出するから、一次候補抽出部11で抽出された一次欠陥候補領域に近いピース32の範囲内で、欠陥を抽出するために適正化された第2のしきい値を設定することができ、欠陥の範囲を一次欠陥候補領域から二次欠陥候補領域に絞り込むことができる。
【0037】
欠陥抽出部13は、二次欠陥候補領域を抽出した各ピース32の範囲内の画素において、それぞれ二次欠陥候補領域に含まれる画素の濃淡値を求める内側値算出部13aと、二次欠陥候補領域の周辺の濃淡値を求める外側値算出部13bと、内側値算出部13aで求めた濃淡値と外側値算出部13bで求めた濃淡値との差分を求めるとともに当該差分を用いて着目する二次欠陥候補領域が欠陥か否かを判定する判定部13cとを備える。内側値算出部13aおよび外側値算出部13bにより求める濃淡値としては代表値を用いる。この種の代表値には平均値を用いることが多いが、中央値や最頻値を用いることも可能である。
【0038】
判定部13cでは、濃淡値の差分が規定の基準値(たとえば、20)以上であり、かつ二次欠陥候補領域の面積が規定の基準値(たとえば、20mm)以上であるときに、当該二次欠陥候補領域を欠陥と判定する。面積に対して設定する基準値は、二次欠陥候補領域を抽出する際に用いた第2のしきい値に応じて設定される(第2のしきい値に応じて欠陥の種類が異なるから、欠陥の種類ごとに面積の基準値を設定する)。なお、判定部13cでは、一次欠陥候補として抽出されたものの二次欠陥候補としては抽出されなかった領域であっても、二次欠陥候補を抽出する際に用いた第2のしきい値に応じて設定された面積を有する場合には、欠陥と判定する。
【0039】
上述した動作をまとめて図4に示す。ステップS1〜S3が一次候補抽出部11に相当する処理であり、まず第1のしきい値による2値化を行って2値画像を生成し(S1)、この2値画像から一次欠陥候補領域を抽出する(S2)。ステップS1,S2はすべての一次欠陥候補領域の抽出が完了するまで繰り返す(S3)。ここで、第1のしきい値が複数種類の欠陥に対して設定されているときには、すべての第1のしきい値に対してステップS1,S2を繰り返す。
【0040】
図4のステップS4〜S8は二次候補抽出部12に相当する処理であり、まず、一次欠陥候補領域が抽出されたピース32ごとに上述した手順で補正値を設定する(S4)。次に、第1のしきい値と補正値とを用いて第2のしきい値を設定した後(S5)、第2のしきい値による2値化を行って2値画像を生成し(S6)、この2値画像から二次欠陥候補領域を抽出する(S7)。ステップS5〜S7はすべての二次欠陥候補領域の抽出が完了するまで繰り返す(S8)。
【0041】
図4のステップS9〜S13は欠陥抽出部13に相当する処理であり、まず、一次欠陥候補領域の中から二次欠陥候補領域を抽出した後(S9)、二次欠陥候補領域の内側と外側との濃淡値を算出する(S10)。ここで、濃淡値には代表値を用いる。濃淡値を求めた後には濃度差を求め(S11)、濃度差と画素数との評価により欠陥か否かを判定する(S12)。なお、ステップS9において一次欠陥候補領域のうち二次欠陥候補領域ではないと判定された領域については、ステップS11において画素数を評価して欠陥か否かを判定する。ステップS9〜S12はすべての一次欠陥候補領域および二次欠陥候補領域の判定が終了するまで繰り返す(S13)。
【0042】
ところで、木目を有する木材3では、一次欠陥候補領域から二次欠陥候補領域を抽出する際に用いる第2のしきい値は、各ピース32において木目と欠陥とを区別できるように設定することが要求される。
【0043】
いま、一次欠陥候補領域を除くピース32内の濃淡値の平均値に対して木目および欠陥(1mm以上の領域)の濃淡値をプロットをとると、図5のような結果が得られる。図5において四角形は木目であり、菱形は欠陥である。この関係によれば、木目と欠陥とを分離することができる濃淡値は、図5に示す直線Ltにほぼ沿っていることがわかる。
【0044】
図5に示す直線Ltの式で表される濃淡値Vbを例とし、ピース32において一次欠陥候補領域を除いた周辺の濃淡値の平均値をAvとすれば、Vb=0.4・Av+8.0と表すことができるから、一次欠陥候補領域から二次欠陥候補領域を抽出する際の第2のしきい値Th2を決定するにあたって、各ピース32ごとに一次欠陥候補領域を除く周辺の濃淡値の平均値Avを求め、この平均値Avを上式に当てはめて求めた濃淡値Vbを、第2のしきい値Th2として用いるようにすれば、第2のしきい値Th2により木目と欠陥とをほぼ分離することが可能になる。
【0045】
なお、上述の例では一次候補領域を含むピース32についてのみ、第2のしきい値Th2を設定しているが、すべてのピース32について第2のしきい値Th2を設定することも可能である。ただし、この場合には第1のしきい値Th1はピース32の分離のみに用いられることになる。
【0046】
ところで、上述の例では、判定部13cにおいて二次欠陥候補領域が欠陥か否かを判定するために、内側値算出部13aでは二次欠陥候補領域に含まれる画素の濃淡値を求め、外側値算出部13bでは二次欠陥候補領域の周辺の画素の濃淡値を求めている。周辺の画素の濃淡値は、ピース32の全体とすることが可能であるが、外側値算出部13bで濃淡値を求める領域内に木目が含まれることから、内側値算出部13aにより求めた濃淡値との差分を十分に大きくとることができない場合がある。
【0047】
そこで、ラインセンサカメラ1により図6(a)のような濃淡画像P1が撮像され、図6(b)のような二次欠陥候補領域D2が抽出されたときに、二次欠陥候補領域D2の外接矩形となる判定領域Drを設定し、判定領域Drの範囲内において、二次欠陥候補領域D2の内側と外側との濃淡値を比較するのが望ましい。
【0048】
このように外接矩形の判定領域Drを設定することにより、二次欠陥候補領域D2の周辺とする範囲を狭めることができ、二次欠陥候補領域D2から離れた場所の木目などが判定結果に影響するのを防止することができる。また、ピース32内に複数個の二次欠陥候補領域D2が存在する場合に、それぞれの二次欠陥候補領域D2を個別に評価することが可能になる。
【0049】
判定領域Drを規定する外接矩形の設定には、画像処理の分野における周知技術を用いればよく、二次欠陥候補領域D2に対して幾何学的な外接矩形である必要はない。この種の外接矩形を求めるには、二次欠陥候補領域Drに含まれる画素の慣性主軸を抽出し、慣性主軸の方向を矩形の一辺の方向に用い、当該方向に直交する方向を矩形の他辺の方向に用いればよい。また、二次欠陥候補領域D2を連結領域(隣接画素が同じ画素値を持つ画素の集合)の範囲のみとするか、1〜5画素程度の隙間がある複数の二次欠陥候補領域D2を1個の二次欠陥候補領域D2とみなすかは適宜に選択すればよい。
【0050】
さらに、判定領域Drを二次欠陥候補領域D2の輪郭に接するように設定するか、二次欠陥候補領域D2の輪郭から外側に数画素離して設定するかは適宜に選択すればい。また、判定領域Drは二次欠陥候補領域D2の周辺の画素を含んでいればよいから、外接矩形ではない他の形状を選択することも可能である。もっとも、判定領域Drとして外接矩形を選択しておけば、判定領域Drの設定が容易であり、しかも二次欠陥候補領域D2の周辺の画素を略均等に反映する情報が得られることになる。
【0051】
上述のように判定領域Drを設定して欠陥の有無を判定する場合に、図4におけるステップS9とステップS10との間に図7に示す手順を挿入してもよい。ここでは、判定領域Drはすでに設定されているものとする。欠陥の判定のためには、まず第2のしきい値Th2を設定する(S1)。次に、判定領域Drについて、二次欠陥候補領域D2と二次欠陥候補領域D2と除く範囲との濃淡値の平均値Av1,Av2を内側値算出部13aおよび外側値算出部13bを用いて算出する(S2)。
【0052】
ここで、内側値算出部13aで求めた値Av1と外側値算出部13bで求めた値Av2との平均値を領域拡張しきい値(=(Av1+Av2)/2)として求め(S3)、求めた領域拡張しきい値を用いて着目しているピース32(望ましくは、判定領域Drの内部)をあらためて2値化する(S4)。領域拡張しきい値を用いて2値化するのは、二次欠陥候補領域D2として抽出される範囲が実寸とは異なっている可能性があるからであって、二次欠陥候補領域D2の周辺の画素の濃淡値を用いることで、欠陥候補となる領域をより精度よく抽出することができる(S5)。この処理は、すべての二次欠陥候補領域D2について行う(S6)。
【0053】
なお、上述したように、判定領域Drは外接矩形である必要はないから、領域拡張しきい値を求める際の判定領域Drについて、二次欠陥候補領域D2の外接矩形の縦横比を維持した矩形や楕円形の領域を二次欠陥候補領域D2の外側に判定領域Drとして設定してもよい。
【0054】
上述の例では、欠陥の判定を行う際に二次欠陥候補領域D2を用いるのではなく、欠陥の判定には二次欠陥候補領域D2を用いて再抽出した欠陥候補の領域を用いている。このように、二次欠陥候補領域D2の周辺において欠陥か否かを判定する範囲を調整すれば、欠陥の有無に関する判定精度を高めることができる。
【0055】
また、図6(b)のように二次欠陥候補領域D2について慣性主軸Axを求め、慣性主軸Axの上の画素について濃淡値の分布を評価するとともに、慣性主軸Axに直交する方向の画素について濃淡値の分布を評価することによって、欠陥候補の領域を調整してもよい。
【0056】
ここでは、慣性主軸Axの上の画素について濃淡値の微分値(慣性主軸Axの上で隣接する画素の濃淡値の差分でもよい)を求めており、図8に示すように、欠陥の周囲では欠陥よりも明るくなるから(濃淡値は明るいほうが大きいものとする)、二次欠陥候補領域D2の内側から慣性主軸Axの上の画素を追跡し、微分値が増加した後に低下するか変化しなくなった(つまり、微分値が規定値以下になった)部位を欠陥候補の外側の領域と判断すればよい。図8では左端が重心の画素であり、右端が欠陥候補の外側の画素に相当する。
【0057】
また、慣性主軸Axに直交する方向についても同様であり、たとえば、二次欠陥候補領域D2における重心Gを通り慣性主軸Axに直交する方向の直線上で、慣性主軸Axの上の画素と同様にして濃淡値の分布を評価する。
【0058】
慣性主軸Axあるいは慣性主軸Axに直交する方向の直線上の上の画素について欠陥候補となる領域の境界位置を求める手順を図9に示す(以下では、慣性主軸Axに着目して記載するが、慣性主軸Axに直交する方向も同様)。図9では最初の起点の位置として二次欠陥候補領域D2の重心Gの位置を用いている。これは慣性主軸Axが重心Gを通り、かつ重心Gは二次欠陥候補領域D2の内側に存在しており、重心Gの位置を起点の初期位置に用いると、欠陥候補になる領域の境界を内側から外側に向かって検出することができるからである。
【0059】
したがって、まず初期状態では、起点位置として重心位置を用いる(S1)。起点が決まると、起点の濃淡値を求めるとともに(S2)、慣性主軸Axの上で起点から所定画素(たとえば、5画素)だけ離れた画素の濃淡値を求める(S3)。ここで、濃淡値を求めるには画像メモリ14に格納された濃淡画像を読み出せばよい。
【0060】
次に、両濃淡値の差分を求め(S4)、差分値が規定値(図示例では、10)を超えていると欠陥領域の境界付近の画素とみなし、欠陥候補となる領域の外側の画素を探索するためのフラグ(探索フラグ)を設定する(S5)。また、差分が規定値以下のときには、慣性主軸Axの上で次の画素を起点にし(S7)、上述したステップS2〜S5の処理を繰り返す。
【0061】
一方、ステップS5において探索フラグが設定されており、かつ上記差分が規定値(図示例では5)より小さくなれば(S6)、欠陥候補となる領域の外側の画素であると判断し、探索を停止する(S8)。つまり、起点位置の画素から所定画素だけ離れた位置の画素の位置を、欠陥候補となる領域の境界線に隣接し、かつ欠陥候補となる領域の外側の画素の位置であるとみなす。
【0062】
起点の画素と濃淡値の差分を求める画素との間の画素数をどの程度に設定するかは適宜に設定することができ、小さく設定すれば精度は高くなるが処理負荷が増加し、大きく設定すれば精度はやや低下するが処理負荷を低減することができる。
【0063】
また、起点の画素と濃淡値の差分を求める画素との間の画素数が、判定領域Drの範囲を超えている場合には、複数画素の間隔とせずに1画素ずつの間隔で濃淡値の差分を求める。起点になる画素からの画素数が判定領域Drの範囲を超えるのは、判定領域Drの寸法が当該画素数よりも小さい場合と、起点が判定領域Drの境界付近まで移動した場合とがある。前者の場合は、欠陥候補となる領域の境界の探索を開始した時点から起点の移動を1画素単位とし、後者の場合は、起点が判定領域Drの境界付近まで移動したときに起点の移動が1画素単位になる。
【0064】
上述の例では、欠陥候補の領域の境界を探索することにより求められる画素の濃淡値の差は常に正になることが予想されるが、ノイズによって濃淡値が変動した場合などは、濃淡値の差が負になることがある。このような場合は、ノイズにより探索が誤停止した可能性があるから、探索フラグの設定を解除し、重心の位置からの探索をやり直すのが望ましい。
【0065】
なお、上述の例では慣性主軸Axの上の画素と、重心を通り慣性主軸Axに直交する直線の上の画素とにのみ着目しており、2本の直線上の画素にのみ着目しており、欠陥候補となる領域の範囲を2本の直線上でのみ調整することができるが(あるいは、判定領域Drを調整することができるが)、各直線に平行な複数本の直線を規定して同様の判定を行えば、欠陥候補となる領域をより精度よく確定することができる。また、欠陥候補の領域の境界は形状が複雑であるから、平滑化を行った後に上述の処理を行うことで、境界の形状による検出結果のばらつきを抑制することができる。
【0066】
図4のステップS12においては、以下の判定を行うことにより欠陥候補の領域について欠陥の有無を判定すればよい。すなわち、判定領域Drにおいて、欠陥候補の領域を除く範囲の濃淡値の平均値をパラメータとして、欠陥候補の領域とそれ以外の領域との濃淡値の差分との関係を求めると、カバ材では、図10に示すように、木目(菱形で示す値)と欠陥(正方形で示す値)との境界値が直線Lsにほぼ沿っていることがわかる。
【0067】
図10に示す直線Lsの式で表される濃淡値の差分ΔCを例とし、判定領域Drにおいて欠陥候補の領域を除く範囲の濃淡値の平均値をAwとすれば、ΔC=0.75・Aw−20.0という関係式で表すことができる。したがって、判定領域Drのうち欠陥候補の領域を除く範囲の濃淡値の平均値Awを求め、差分ΔCを判定用のしきい値に用いて木目と欠陥とを判別する。
【0068】
すなわち、判定領域Drのうち欠陥候補の領域の画素の濃淡値の代表値(平均値、最頻値など)と、判定領域Drのうち欠陥候補の領域以外の画素の濃淡値の代表値(平均値、最頻値など)との差分を求め、上述した関係式から求めた判定用のしきい値との比較により、木目と欠陥とを判別するのである。図示例によれば、周辺の濃淡値(判定領域Drのうち欠陥候補の領域以外の画素の濃淡値の代表値)から上記関係式により求められる判定用のしきい値(差分ΔC)に対して、欠陥候補の領域の画素の濃淡値の代表値と欠陥候補の領域以外の画素の濃淡値の代表値との差分が大きいときに、欠陥候補の領域が欠陥として判別されることになる。
【0069】
ところで、判定領域Drを設定するにあたっては、欠陥の種類に応じて異なる規則を適用してもよい。たとえば、図11(a)のような丸形の欠陥(以下では、丸形欠陥という)Df1と、図11(b)のような筋状の欠陥(以下では、スジ欠陥という)Df2とでは、判定領域Drの設定規則を変えるのである。ここでは、外接矩形を設定したときに縦寸法Hと横寸法Wとの関係が1/2<H/W<2という条件を満たすときに丸形欠陥Df1と呼び、当該条件を満たさないときにスジ欠陥Df2と呼ぶ。
【0070】
丸形欠陥Df1は方向性がほとんどないから、縦寸法Hと横寸法Wとをそれぞれ2倍にした判定領域Drを設定する。つまり、目視検査を行ったときに丸形の欠陥候補の領域は周囲全体との濃度差があるときに欠陥と認識されやすいから、欠陥候補の領域の周囲を全体に拡張した判定領域Drを設定する。一方、スジ欠陥Df2には方向性を有しているから、縦寸法Hと横寸法Wとのうち小さいほうのみを2倍にした判定領域Drを設定する。これは、目視検査を行ったときに筋状の欠陥候補の領域は幅方向において濃度差があるときに欠陥と認識されやすいから、欠陥候補の領域の周囲を幅方向に拡張した判定領域Drを設定するのである。いずれの場合でも判定領域Drの中心は外接矩形の中心と一致させる。
【0071】
欠陥候補の領域について欠陥か否かを判定する例を図12に示す。いま、周囲よりも濃淡値が小さい(暗い)領域が図12(a)のような形で存在しているものとし、判定領域Drが図のように設定された場合を想定する。
【0072】
ここで、判定領域Drにおける画素の濃淡値に関してヒストグラムを生成すると、図12(b)のようになる。図12(b)では、判定領域Drにおいて、欠陥候補を除く領域における濃淡値の度数を正方形で示し、欠陥候補の領域における濃淡値の度数を菱形で示している。図12(b)を見ればわかるように、欠陥候補の領域と欠陥候補を除く領域とでは濃淡値の分布が異なっている。欠陥と非欠陥とを分離するには、各領域について濃淡値の差ができるだけ大きくなるように選択した代表値について比較するのが望ましい。つまり、各領域の全体について濃淡値の平均値を比較するよりも、各領域において数の多い濃淡値から代表値を選択するのが望ましい。
【0073】
欠陥候補の領域では濃淡値が小さいほうに偏在しているから、濃淡値の下位側の一定割合を占める画素について濃淡値の平均値を求めて代表値とし、欠陥候補を除く領域では濃淡値が大きいほうに偏在しているから、濃淡値の上位側の一定割合を占める画素について濃淡値の平均値を求めて代表値とする。たとえば、欠陥候補の領域の全画素のうち濃淡値が下位である30%の画素について濃淡値の平均値V1を求めるとともに、欠陥候補を除いた領域の全画素のうち濃淡値が上位である30%の画素について濃淡値の平均値V2を求め、両平均値V1,V2の差ΔV(=V2−V1)を評価するのである。
【0074】
各領域の代表値として採用する画素数の割合は適宜に設定することができ、30%とすることは必須ではない。たとえば、検査対象や判定しようとする欠陥の種類に応じて値を変えてもよい。また、各領域の代表値としては最頻値を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】実施形態を示すブロック図である。
【図2】(a)は同上の側面図、(b)は同上の斜視図である。
【図3】(a)は同上に用いる木材を示す概略平面図、(b)は同上に用いる木材を示す平面図である。
【図4】同上の動作説明図である。
【図5】同上における木目と欠陥とを分離する原理を説明する図である。
【図6】(a)は同上に用いる濃淡画像を示す図、(b)は同図(a)を二値化した画像を示す図である。
【図7】同上の要部の動作説明図である。
【図8】同上において欠陥候補の領域を抽出する原理を説明する図である。
【図9】同上の要部の動作説明図である。
【図10】同上において木目と欠陥とを分離する原理を説明する図である。
【図11】(a)は丸形欠陥に対して設定する判定領域を説明する図、(b)はスジ欠陥に対して設定する判定領域を説明する図である。
【図12】(a)は同上に用いる濃淡画像を示す図、(b)は同図(a)から求めた濃淡値の度数分布を示す図である。
【符号の説明】
【0076】
1 ラインセンサカメラ(撮像手段)
2 照明装置
3 木材
4 画像処理装置
11 一次候補抽出部
12 二次候補抽出部
13 欠陥抽出部
14 画像メモリ
21 コンベア
31 目地溝
32 ピース
Ax 慣性主軸
Dr 判定領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の検査対象領域に区画されている木材の表面を撮像する撮像手段と、撮像手段により撮像された複数の検査対象領域を含む濃淡画像を第1のしきい値により2値化した2値画像から一次欠陥候補領域を抽出する一次候補抽出部と、一次欠陥候補領域が抽出された着目する検査対象領域について前記濃淡画像を木目と欠陥とを分離するように設定した第2のしきい値により2値化した2値画像から二次欠陥候補領域を抽出する二次候補抽出部と、二次欠陥候補領域を含む検査対象領域において二次欠陥候補領域に含まれる画素の濃淡値と二次欠陥候補領域の周辺の画素の濃淡値との差分を用いて欠陥を判別する欠陥抽出部とを備えることを特徴とする木材の外観検査装置。
【請求項2】
前記木材は目地溝により区画された複数のピースを表面に配列した板材であって、前記二次候補抽出部は、各ピースを前記検査対象領域とし各ピースの濃淡値の平均値を第2のしきい値に用いて二次欠陥候補領域を抽出することを特徴とする請求項1記載の木材の外観検査装置。
【請求項3】
前記二次候補抽出部は、前記濃淡画像に含まれる前記検査対象領域ごとに前記第2のしきい値を設定することを特徴とする請求項1又は2記載の木材の外観検査装置。
【請求項4】
前記欠陥抽出部は、前記二次欠陥候補領域の外接矩形を囲む判定領域を設定し、判定領域内において二次欠陥候補領域の画素と二次欠陥候補領域を除く範囲の画素との濃淡値を用いて領域拡張しきい値を設定し、領域拡張しきい値により判定領域内の画素の濃淡値を二値化することにより、欠陥候補となる領域を抽出し、当該領域について欠陥を判別することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の木材の外観検査装置。
【請求項5】
前記欠陥抽出部は、前記二次欠陥候補領域の慣性主軸を求め、慣性主軸に沿う方向に並ぶ画素の濃淡値の変化と、慣性主軸に直交する方向に並ぶ画素の濃淡値の変化とを用いて二次欠陥候補領域から欠陥候補となる領域を抽出し、当該領域について欠陥を判別することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の木材の外観検査装置。
【請求項6】
前記欠陥抽出部は、前記二次欠陥候補領域を囲む判定領域を設定し、判定領域内において二次欠陥候補領域の画素と二次欠陥候補領域を除く範囲の画素との濃淡値の差分を求め、判定領域内の二次欠陥候補領域を除く範囲の画素の濃淡値に対して設定されている判定用のしきい値と前記差分とを比較することにより、欠陥を判別することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の木材の外観検査装置。
【請求項7】
前記欠陥抽出部は、前記二次欠陥候補領域の形状に応じて、周辺の画素との濃淡値の差が大きくなるように規定した規則で判定領域を設定し、判定領域において二次欠陥候補領域を除く範囲の画素を周辺の画素に用いることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の木材の外観検査装置。
【請求項8】
前記欠陥抽出部は、前記二次欠陥候補領域を囲む判定領域を設定し、判定領域に含まれる画素のうち濃淡値が下位である規定の割合の画素に関する濃淡値の代表値と、判定領域に含まれる画素のうち濃淡値が上位である規定の割合の画素についての濃淡値の代表値との差を用いて欠陥を判別することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の木材の外観検査装置。
【請求項9】
複数の検査対象領域に区画されている木材の表面を撮像手段により撮像した濃淡画像を用い、複数の検査対象領域を含む濃淡画像を第1のしきい値により2値化した2値画像から一次欠陥候補領域を抽出し、次に、着目する検査対象領域について前記濃淡画像を木目と欠陥とを分離するように設定した第2のしきい値により2値化した2値画像から二次欠陥候補領域を抽出した後、二次欠陥候補領域を含む検査対象領域において二次欠陥候補領域に含まれる画素の濃淡値と二次欠陥候補領域の周辺の画素の濃淡値との差分を用いて欠陥を判別することを特徴とする木材の外観検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図7】
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【図9】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−112802(P2010−112802A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−284649(P2008−284649)
【出願日】平成20年11月5日(2008.11.5)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】