説明

木材ベースの製品を製造する方法

【課題】ホルムアルデヒドを放出しない木材ベース製品を製造する
【解決手段】ゲル化されていないデンプンを水性相中に含む接着剤組成物を木材ベースの1以上の材料片上に施与し、そして上記木材ベースの1以上の材料片を1以上の更なる材料片と接合することを含み、上記組成物が、アミン基またはアミド基を含む1以上のポリマー(P)を約0.1〜約50重量%の量でさらに含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材ベースの製品を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂および尿素−ホルムアルデヒド樹脂などのホルムアルデヒドに基づく樹脂は、木材ベースの製品の製造におけるバインダーとして広く使用されている。そのような木材ベースの製品の例は、例えば家具において使用される合板、積層床材製品および化粧張りされた製品(veneered product)などの、互いに接着された層を含む複合製品である。更なる例は、木材の小片および/またはファイバーがバインダーと共にプレスされて板を形成しているところの、パーティクルボード、チップボードおよびファイバーボードなどの板製品である。
【0003】
ホルムアルデヒドに基づく樹脂を硬化すると、木材ベースの製品の製造中に、また後に上記製品を使用する際にも、ホルムアルデヒドが放出され得る。屋内空気中へのホルムアルデヒドの放出は、健康上の理由から、長年来の大きな関心事である。
【0004】
十分な接着強度および全体的な最終製品の品質を与えて、ホルムアルデヒドに基づく樹脂を含む従来の接着剤に代わるものとして適するものにするところの、ホルムアルデヒドを含まない木材用接着剤の要求が高まっている。
【0005】
耐水性および接着強度は一般に、木材ベースの製品の品質を反映する重要な特性である。一般に、特定の最終製品のための確立された基準を満たすために要求される特定の品質パラメーターが存在する。例えば、パーティクルボードは、例えば内部結合、厚さの膨張および水の吸収の点においていくつかの基準を満たす必要がある。一方、積層床材製品は、例えば剥離およびファイバー引裂け(fiber tear)の点においていくつかの基準を満たす必要がある。
【0006】
ホルムアルデヒドに基づく樹脂を含む接着剤組成物に代わるものとして、例えばポリビニルアセテートのポリマー分散物に基づく接着剤が利用できる。しかし、単板の層を互いに接着し、その構造物をプレスしてある形状にすることにより圧縮成形された製品を作るとき、それが金型から外されるときに、接着された構造物のいわゆる「スプリングバック(spring back)」を最小にすることが重要である。
【0007】
また、圧縮成形された製品が、使用中、すなわち負荷をかけられたときに、その形状を実質的に保持することが重要である。この特性は、例えば家具製品に関して使用される、いわゆる「疲労試験」によって測定され得る。この試験では、圧縮成形された製品が、多数回の繰り返し負荷に付される。
【0008】
木材用接着剤組成物におけるホルムアルデヒドに基づく樹脂に代わるものとして、デンプンに基づく接着剤が提案されている。Imamらの「架橋されたポリ(ビニルアルコール)および部分的にゲル化されたデンプンからの木材用接着剤:調製および特性(Wood Adhesive from Crosslinked Poly(vinyl alcohol) and Partially Gelatinized Starch: Preparation and Properties)」、Starch/Starke 51(1999) Nr. 6, S. 225-229は、デンプンおよびポリビニルアルコールを含む接着剤組成物を開示している。上記組成物はさらに、メラミン樹脂を含む。米国特許第2,051,025号、同第2,102,937号、同第3,487,033号および同第3,355,307号は、波形をつけられたボール紙を作るために使用される、デンプンに基づく接着剤を開示している。国際公開WO03/069061A1は、ボール紙製品の製造において使用される、デンプンに基づく接着剤を開示している。
【0009】
デンプンに基づく接着剤組成物を使用して木材ベースの材料を接着する別の方法がなおも要求されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明は、優れた接着性を与える、デンプンに基づく接着剤組成物を使用することによる、木材ベースの材料を接着する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、木材ベースの製品を製造する方法において、ゲル化されていないデンプンを含む水系接着剤組成物を木材ベースの1以上の材料片上に施与し、そして上記木材ベースの1以上の材料片を1以上の更なる材料、好ましくは木材ベースの材料、と接合することを含み、上記組成物が、アミン基またはアミド基を含む1以上のポリマー(P)を約0.1〜約50重量%の量でさらに含むところの方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書において、ゲル化されていないデンプンとは、水性相中で50℃未満、適切には約45℃未満、好ましくは約40℃未満の温度に付されただけであり、したがってゲル化されていないようなデンプンを意味する。
【0013】
上記方法において使用される接着剤組成物中のデンプンとポリマー(P)との重量比は、約1:2〜約25:1、好ましくは約1:1〜約15:1、最も好ましくは約3:1〜約8:1である。
【0014】
上記方法で使用される接着剤組成物は、適切には約10〜約50重量%のデンプンを含み、好ましくは約15〜約45重量%、より好ましくは約20〜約40重量%、最も好ましくは約25〜約35重量%のデンプンを含む。
【0015】
上記方法において使用される接着剤組成物は、適切には約1〜約40重量%の上記1以上のポリマー(P)を含み、好ましくは約1.5〜約25重量、最も好ましくは約2〜約15重量%のポリマー(P)を含む。
【0016】
上記方法において使用される接着剤組成物中の固形分含量は、適切には約20〜約70重量%であり、好ましくは約35〜約60重量%、最も好ましくは約40〜約50重量%である。
【0017】
本明細書において、上記方法において使用される接着剤組成物の「固形分含量」は、上記接着剤組成物の水以外の部分を意味する。
【0018】
上記方法において使用される接着剤組成物中の適するデンプンの例は、例えば馬鈴薯、とうもろこし、小麦、米、豆類などから作られる天然デンプンおよび加工デンプン、例えば、アセチル化減成(degraded)デンプン、アルキルコハク酸加工デンプン、酸化デンプン、ヒドロキシプロピル化デンプン、カチオンデンプン、アミロペクチンデンプン、高アミロースアセチル化デンプン、タピオカデンプン、天然馬鈴薯デンプン、天然トウモロコシデンプン、天然小麦デンプン、天然米デンプンおよび天然豆デンプンである。
【0019】
上記方法において使用される接着剤組成物中の1以上のポリマー(P)は適切には、アミンまたはアミド基を含むモノマー単位を含む。適切には、1以上のポリマー(P)中の約5〜約100%の、好ましくは約25〜約100%の、より好ましくは約50〜約100%の、さらにより好ましくは約90〜約100%のモノマー単位がアミンまたはアミド基を含む。最も好ましくは、1以上のポリマー(P)中のモノマー単位の全てがアミンまたはアミド基を含む。
【0020】
上記1以上のポリマー(P)は適切には、1級アミン基またはアミド基を含む。上記1以上のポリマー(P)は好ましくは、ポリビニルアミン、ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)、ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルホルムアミド)、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミン、ポリアミドアミンおよびポリビニルホルムアミドの1以上を含む。より好ましくは、上記1以上のポリマー(P)が、ポリビニルアミンおよびポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)の1以上を含む。最も好ましくはポリマー(P)がポリビニルアミンである。
【0021】
1実施態様では、上記1以上のポリマー(P)が適切には、ビニルポリマーの群に属する。そのような場合には、1以上のポリマー(P)が好ましくは、ポリビニルアミン、ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)、ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルホルムアミド)、ポリアリルアミンおよびポリビニルホルムアミドの1以上を含む。より好ましくは、1以上のビニルポリマー(P)が1級アミン基を含む。最も好ましくは、ビニルポリマー(P)がポリビニルアミンである。
【0022】
1実施態様では、上記1以上のポリマー(P)が適切には、1級アミノ基またはペンダントアミド基を含む。1以上のポリマー(P)は好ましくは、ポリビニルアミン、ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)、ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルホルムアミド)、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミンおよびポリビニルホルムアミドの1以上を含む。最も好ましくは、ポリマー(P)がポリビニルアミンまたはポリエチレンイミンである。
【0023】
ポリビニルアミンは通常、ポリビニルホルムアミドをある程度加水分解することにより作られる。本明細書において「ポリビニルアミン」は、アミン基とホルムアミド基とのモル比が5:95〜100:0であるところのポリビニルアミンを意味する。アミン基とホルムアミド基とのモル比が5:95未満であるならば、ポリマーはポリビニルホルムアミドとして定義される。ポリビニルアミン中のアミン基とホルムアミド基とのモル比は好ましくは、約10:90〜約100:0、より好ましくは約50:50〜約100:0、最も好ましくは約80:20〜約100:0である。
【0024】
ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)は通常、酢酸ビニルおよびビニルホルムアミドを共重合した後、加水分解してビニルアルコールおよびビニルアミン単位を有するコポリマーを得ることにより作られる。また、上記コポリマー中にホルムアミド基が残っていてもよく、また、アセテート基が残っていてもよい。ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)中のアミン基とホルムアミド基とのモル比は、5:95〜100:0である。アミン基とホルムアミド基との数比が5:95未満であるならば、ポリマーはポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルホルムアミド)として定義される。上記ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)またはポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミド)中のヒドロキシル基とアセテート基とのモル比は、適切には約25:75〜100:0、好ましくは約75:25〜100:0である。上記ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルホルムアミン)またはポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルホルムアミド)中のアミン基およびホルムアミド基とヒドロキシル基およびアセテート基とのモル比は、適切には約3:97〜100:0、好ましくは約10:90〜100:0、最も好ましくは約25:75〜約100:0である。
【0025】
1以上のポリマー(P)は適切には、約1,000〜約1,000,000g/モルの重量平均分子量を有し、好ましくは約10,000〜約800,000g/モル、より好ましくは約20,000〜約600,000g/モル、最も好ましくは約50,000〜約500,000g/モルの重量平均分子量を有する。
【0026】
接着剤組成物の粘度(ブルックフィールド、12rpm、スピンドル4、20℃)は適切には、100,000mPa・s未満、好ましくは約1,000〜約50,000mPa・s、最も好ましくは約5,000〜約20,000mPa・sである。
【0027】
本発明方法において使用される接着剤組成物はまた、使用の直前に架橋剤と組み合わされ得る。適切な架橋剤は、アミノ基および/またはヒドロキシル基と反応性であるものである。架橋剤の例は、イソシアネート、アジピン酸を含むモノマーまたはポリマー、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ウレアホルムアルデヒド樹脂、メラミン塩、アルデヒド、例えばグルタルアルデヒド、グリオキサール、およびポリマー状アルデヒド、例えばジアルデヒドデンプン、および錯化剤、例えばシルコニウム塩、である。それは、接着剤組成物の上記2成分のいずれかに添加され得る。接着剤組成物の1成分中の架橋剤の量は、使用されるならば、適切には約30重量%まで、または約0.1〜約30重量%である。
【0028】
本発明方法において使用される接着剤組成物は適切には、アセトアセトキシ基を含む1以上のポリマー(P1)をさらに含む。1以上のポリマー(P)中のアセトアセトキシ基の含量は、適切には約0.05〜約15モル%、好ましくは約1〜約10モル%である。1以上のポリマー(P1)は好ましくは、アセトアセチル化ポリビニルアルコ−ル(AAPVA)を含む。
【0029】
1以上のポリマー(P1)は、適切には約1,000〜約5,000,000g/モル、好ましくは約10,000〜約2,000,000g/モルの重量平均分子量を有する。
【0030】
デンプン、ポリマー(P)およびポリマー(P1)を含む、本発明方法において使用される接着剤組成物の1以上の成分はそれぞれ、添加剤、例えば粘度調整剤およびフィラー、例えばカオリン、小麦全粒粉、大豆ミール、くるみ殻ミール、または木材用接着剤組成物における使用に適することが知られている他の添加剤をさらに含み得る。
【0031】
本発明方法において使用される接着剤組成物は、デンプンに基づく接着剤組成物を作るときに使用される1以上のポリマー(P)または(P1)の溶液に由来し得る無機または有機の塩をも含み得る。1以上のポリマー(P)および/または(P1)の一部分がイオン的に帯電されていてもよく、好ましくはカチオン的に帯電され得る。接着剤組成物中の上記塩の負の対イオンの量は、0〜約10重量%、または約0.1〜約5重量%、または約0.2〜約1重量%であり得る。
【0032】
本発明方法において使用される接着剤組成物はまた、上記1以上のポリマー(P)とは異なる、1以上のエチレン性不飽和モノマーのポリマーまたはコポリマー(P2)を含み得る。ポリマーまたはコポリマー(P2)は、適切には、アセトアセトキシ基を含まない。接着剤組成物中のポリマーまたはコポリマー(P2)の含量は、適切には約1〜約50重量%、好ましくは約3〜約40重量%、最も好ましくは約5〜約30重量%である。
【0033】
ポリマーまたはコポリマー(P2)の分散物は、デンプンおよび1以上のポリマー(P)と共に混合されて接着剤組成物を形成することの他に、接着剤組成物と組み合わせられる別個の成分として使用されて、本発明に従う接着組成物と1以上の不飽和モノマーのポリマーまたはコポリマー(P2)の分散物との組み合わせを形成することもできる。この組み合わせは次いで、本発明の方法において使用される。この組み合わせでは、接着剤組成物の量が、上記組み合わせの総重量に基づいて、適切には約25〜約99重量%、好ましくは約40〜約90重量%、最も好ましくは約50〜約85重量%である。ポリマーまたはコポリマー(P2)の分散物の量は、上記組み合わせの総重量に基づいて、適切には約1〜約75重量%、好ましくは約10〜約60重量%、最も好ましくは約20〜約50重量%である。分散物中のポリマーまたはコポリマー(P2)の含量は、適切には約10〜約90重量%、好ましくは約25〜約75重量%である。
【0034】
1以上のエチレン性不飽和モノマーの適するポリマーまたはコポリマーの例は、ビニルエステルホモポリマー、例えばポリビニルアセテート、ビニルエステルのコポリマー、例えばエチレン−酢酸ビニルコポリマー(EVA)または酢酸ビニルと1以上のアクリルモノマー、例えばメチルメタクリレートまたはブチルアクリレート、とのコポリマー、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)およびポリアクリレートである。
【0035】
一般に、上記に列挙された種類の、1以上のエチレン性不飽和モノマーのポリマーまたはコポリマーを、本発明方法において使用されるデンプンに基づく接着剤組成物中に、またはデンプンに基づく接着剤組成物と組み合わせて含めることは、接着特性、例えば化粧張りされた製品または積層製品のファイバー引裂け、を改善することができる。
【0036】
1実施態様では、本発明方法は、上記接着剤組成物を木材ベースの材料片上に施与すること、施与された接着剤組成物を有する表面を別の木材ベースの材料片の表面と接触させて、それらの片の間の接着剤接合の形成によってそれらの片を接合することを含む。
【0037】
本発明方法の1実施態様では、上記接着剤組成物が、施与の後に乾燥され、その後、水性組成物を添加することによって活性化される。
【0038】
1実施態様では、積層製品を作るとき、本発明方法は、適切には、接着剤接合部が約0.1〜約500g/mの最初に施与された量を含むであろうように接着剤組成物を表面に施与することを含む。施与される量は、製造されるべき製品に依存する。圧縮成形されたベニヤの場合には、好ましくは約50〜約200g/mであり、積層床材の場合には、好ましくは約100〜約160g/mであり、積層梁(laminated beams)の場合には、好ましくは約180〜約500g/mである。適する上限はまた、溶液が施与されるところの木材ベースの材料の種類に依存する。接着剤組成物は、互いに接合されるべき表面の一方または両方に施与され得る。両方の表面に施与されるならば、各表面に施与される量の合計が、特定された接着剤接合全体のための好ましい量に対応するであろう。
【0039】
圧縮成形されたベニヤを作るとき、本発明方法は適切には、2より多くの、好ましくは2〜15の木材ベースの材料の接合を含む。
【0040】
本明細書において、木材ベースの材料は、無垢の木材(solid wood)のほかに、木製材料、例えばファイバーボード、チップボードおよびパーティクルボードの材料、をも包含する。互いに接合されるべき表面は、同じまたは異なる種類の木材ベースの材料であり得る。
【0041】
木材ベースの材料は、任意の種類および形のものであり得、例えばチップ、ファイバー、シート、薄板、単板(veneers)、小片などであり得る。
【0042】
1実施態様では、本発明方法は、木材ベースの複数の材料片を接着することを含み、上記木材ベースの複数の材料片が木材チップである。ここで、本明細書において、「木材チップ」は、小片、削りくず、薄片、のこくず片および同様の細かく分割された木材ベースの材料を包含する。この場合には、木材ベースの製品が、チップボード、パーティクルボード、ファイバーボードまたは配向されたストランドボードなどの複合製品である。
【0043】
使用され得る木材チップの水分量は、適切には約0〜約20重量%、好ましくは約1〜約10重量%、より好ましくは約1.5〜約5重量%である。
【0044】
本発明方法において使用される木材チップと接着剤組成物との重量比は、乾燥重量で計算して、適切には約100:1〜約1:1、好ましくは約50:1〜約2:1、より好ましくは約30:1〜約2.5:1、最も好ましくは約15:1〜約3:1である。
【0045】
本発明方法において使用される木材チップおよび接着剤組成物の混合物のプレスの始めにおける水分量は、適切には約3〜約25重量%、好ましくは約5〜約20重量%、より好ましくは約6〜約18重量%、最も好ましくは約7〜約15重量%である。
【0046】
接着剤組成物の施与の後、好ましくはプレスが行われる。プレスは適切には、高められた温度で行われる。プレス温度は、製造されることが意図される木材ベースの製品に依存するが、適切には、約0〜約250℃、好ましくは約70〜約200℃であり得る。
【0047】
積層製品または化粧張りされた製品の場合には、プレス温度は、架橋剤が接着剤組成物に添加されていないとき、適切には約0℃〜約200℃、好ましくは約20〜約150℃、さらにより好ましくは約50〜約130℃、最も好ましくは約70〜約130℃である。架橋剤が接着剤組成物に添加されているときには、プレス温度は、架橋剤の効率に依存して、場合によっては低められ得る。
【0048】
パーティクルボード、チップボードおよびファイバーボード製品の場合には、プレス温度は、好ましくは約100〜約225℃、最も好ましくは約150〜約200℃である。積層製品、例えば合板、積層床製品または化粧張りされた床製品、の場合には、プレス温度は好ましくは約70〜約175℃、最も好ましくは約90〜約160℃である。
【0049】
プレス時間とプレス温度とは、プレス温度が低いほど一般的により長いプレス時間を必要とするように関連する。製造されるべき木材ベースの製品も、適するプレス温度およびプレス時間を決定する。プレス時間は適切には少なくとも10秒であり、また適切には約10秒〜約60分、好ましくは少なくとも約30秒であり、また好ましくは約30秒〜約30分、最も好ましくは少なくとも約1分であり、また好ましくは約1〜約15分である。
【0050】
1実施態様では、木材ベースの材料がシートまたは薄板である。この場合には、木材ベースの製品が適切には、積層床材、化粧張りされた床材、化粧張りされた家具材、壁パネル、屋根パネル、合板または積層梁である。
【0051】
本発明の木材ベースの製品は、適切には、積層材または化粧張りされた材、例えば積層床材、化粧張りされた床材、化粧張りされた家具材、合板、壁パネル、屋根パネル、積層梁、または複合製品、例えばパーティクルボード、ファイバーボード、チップボードまたは配向されたストランドボード、である。好ましくは、合板、化粧張りされた家具材、化粧張りされた床材、積層床材またはパーティクルボードである。
【0052】
本発明を下記の非制限的実施例によってさらに説明する。部および%は、特に断らない限り、それぞれ、重量部および重量%である。
【実施例1】
【0053】
デンプンに基づく接着剤を、約7.5重量%のポリビニルアミン(Lupamin(商品名)9095、BASF製)の水性溶液65.5g、5.7gの水および32.4gのコーンスターチ(C*Gum NC 03432、Cerestar製、10%水分量)を室温(25℃)で混合することにより作った。ポリビニルアミン中のアミン基とホルムアミド基との数比は、90:10より大きかった。ポリビニルアミンの重量平均分子量は340,000g/モルであった。組成物の粘度は20℃で12,000mPa・sであると測定された(ブルックフィールド、12rpm、スピンドル4)。
【実施例2】
【0054】
デンプンに基づく接着剤を、実施例1に従う接着剤組成物75重量部を50重量%のポリマー含量を有するアクリレート/PvAc分散物25重量部と混合することにより作った。
【実施例3】
【0055】
化粧張りされた製品を、15x15cmのパーティクルボードの一方の側に0.6mmのブナノキの表面単板を接着することにより製造した。上記ボードに、実施例1および2に従う接着剤組成物3.7gを施与し、上記単板がボード上にそれぞれ90℃および130℃で1分間、直接プレスされた。ファイバー引裂け(のみ(chisel))が試験された。
【0056】
【表1】

【0057】
上記試験が繰り返されたが、それぞれ90℃で10分のプレス時間および130℃で5分のプレス時間を使用した。結果を表2に示す。
【0058】
【表2】

【実施例4】
【0059】
2つの製品を、それぞれ実施例1および2に従う接着剤組成物を使用して互いに接着されたブナノキの13枚の単板(veneers)から、120℃で8分間の圧縮成形と組み合わせて作った。両方の製品に関して、スプリングバックが決定された。両方の製品に関して、スプリングバックは非常に低かった。
【実施例5】
【0060】
パーティクルボードが、1.7重量%の水分量を有する木材チップ864gを216gの接着剤組成物と混合することにより製造された。上記接着剤組成物は、約7.5重量%のポリビニルアミン(Lupamin(商品名)9095、BASF製)の水性溶液131g、コーンスターチ(C*Gum NC 03432、Cerestar製、10%水分量)75gおよび水10gを室温で混合することにより作られた。上記混合は、室温(22℃)で5分間行われた。チップ混合物が、30x30cmのシートに成形され、189℃で3分間プレスされて16mm厚さのボードにされた。圧力の順序は、150kg/cmで30秒間、40kg/cmで2分間および2kg/cmで最後の30秒間であった。2つの金属ブロック上に5x5cmのボード片を接着し、それらを引き剥がすことにより引張強度(内部結合、IB)を測定した。厚さの膨張(TSW)および水の吸収(ABS)も測定された。厚さの膨張は、5x5cm片が水中に浸漬された後(20℃、24時間)の膨張の程度を決定することにより測定された。水の吸収は、5x5cm片が水中に浸漬された後(20℃、24時間)の重量の増加を決定することにより測定された。IB値は690kPaであり、TSWは53%であり、ABS(24時間)は121%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材ベースの製品を製造する方法において、ゲル化されていないデンプンを水性相中に含む接着剤組成物であって、アミン基またはアミド基を含む1以上のポリマー(P)を0.1〜50重量%の量でさらに含む組成物を、木材ベースの1以上の材料片上に施与し、そして前記1以上の材料片を1以上の更なる材料片と接合した後に70〜250℃でプレスすることを含む方法。
【請求項2】
接着剤組成物中のデンプンの量が15〜40重量%である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
接着剤組成物中の1以上のポリマー(P)の量が2〜25重量%である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
1以上のポリマー(P)が、ポリビニルアミン、ポリ(ビニルアルコール−コ−ビニルアミン)、ポリアリルアミン、ポリエチレンイミンおよびポリビニルホルムアミドの群に属する、請求項1〜3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
ポリマー(P)がポリビニルアミンである、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
接着剤組成物が、アセトアセトキシ基を含む1以上のポリマー(P1)をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
接着剤組成物が、前記1以上のポリマー(P)とは異なる、1以上のエチレン性不飽和モノマーのポリマーまたはコポリマー(P2)をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
ポリマー(P2)がビニルエステルホモポリマーまたはビニルエステルコポリマーである、請求項7記載の方法。
【請求項9】
ポリマー(P2)が酢酸ビニルと1以上のアクリルモノマーとのコポリマーである、請求項7または8記載の方法。
【請求項10】
木材ベースの複数の材料片を接着することを含み、上記木材ベースの複数の材料片がシートまたは薄板である、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
木材ベースの複数の材料片を接着することを含み、上記木材ベースの複数の材料片が木材チップである、請求項1〜9のいずれか1項記載の方法。
【請求項12】
木材ベースの製品が、積層床材、化粧張りされた床材、化粧張りされた家具材、壁パネル、屋根パネル、合板または積層梁である、請求項1〜10のいずれか1項記載の方法。
【請求項13】
木材ベースの製品が、チップボード、パーティクルボード、ファイバーボードまたは配向されたストランドボードである、請求項1〜9および11のいずれか1項記載の方法。

【公開番号】特開2012−183831(P2012−183831A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−99647(P2012−99647)
【出願日】平成24年4月25日(2012.4.25)
【分割の表示】特願2009−542717(P2009−542717)の分割
【原出願日】平成19年12月7日(2007.12.7)
【出願人】(500286643)アクゾ ノーベル コーティングス インターナショナル ビー ヴィ (67)
【Fターム(参考)】