木材保存剤
【課題】木材の表面および木材の内部の両方において、優れた効力を発現することのできる木材保存剤を提供すること。
【解決手段】有効成分が木材の表面に残存する第1の製剤としての懸濁剤と、有効成分が木材の内部に浸透する第2の製剤としての液剤とを含有させる。本発明の木材保存剤は、第1の製剤の有効成分が、木材の表面に残存するとともに、第2の製剤の有効成分が木材の内部に浸透する。そのため、木材の表面および木材の内部の両方において、優れた効力を発現することができる。
【解決手段】有効成分が木材の表面に残存する第1の製剤としての懸濁剤と、有効成分が木材の内部に浸透する第2の製剤としての液剤とを含有させる。本発明の木材保存剤は、第1の製剤の有効成分が、木材の表面に残存するとともに、第2の製剤の有効成分が木材の内部に浸透する。そのため、木材の表面および木材の内部の両方において、優れた効力を発現することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材保存剤、詳しくは、木材を白蟻の食害や腐朽またはカビの害から保護するための木材保存剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、木材を、木材保存剤で処理することにより、白蟻の食害や腐朽またはカビの害から保護することが広く知られている。
このような木材保存剤は、一般的に、防腐防カビ効力の相乗的な効果を期待して、複数の有効成分を単一の製剤として製剤化するようにしている。
例えば、有効成分としてIPBC(3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート)、プロピコナゾール(1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−プロピル−1、3−ジオキソラン−2−イルメチル]−1H−1,2,4−トリアゾール)およびサイフルスリンと、溶剤としてジプロピルナフタレン(KMC−113)と、界面活性剤としてポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル(ニューカルゲンCP80)と、水とを配合することにより、乳剤として製剤化された木材保存剤が提案されており、これを木材に塗布することにより、木材へ浸透させて、防腐効力を高めることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−7502号公報(表1の実施例6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかるに、カビは、木材の表面において繁殖するものであるところ、特許文献1で提案される木材保存剤は、その有効成分の全てが乳剤に製剤化されていることから、その有効成分の全てが木材の内部に浸透して、木材の表面に残存しにくいため、木材の表面のカビの防除が不十分となる。
そこで、本発明の目的は、木材の表面および木材の内部の両方において、優れた効力を発現することのできる木材保存剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明者らは、優れた効力を発現し得る木材保存剤について鋭意検討したところ、製剤形態の異なる複数の製剤を併用することにより、木材の表面および木材の内部の両方において優れた効力を発現することができるという知見を見出し、さらに研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1) 有効成分が木材の表面に残存する第1の製剤と、
有効成分が木材の内部に浸透する第2の製剤と
を含有することを特徴とする、木材保存剤、
(2) 前記第1の製剤が懸濁剤であり、
前記第2の製剤が液剤であることを特徴とする、前記(1)に記載の木材保存剤、
(3) 前記第1の製剤が、フロアブル剤、マイクロカプセル剤および担体担持剤からなる群から選択される少なくとも1種の製剤であることを特徴とする、前記(2)に記載の木材保存剤、
(4) 前記第2の製剤が、油剤および/または乳剤であることを特徴とする、前記(2)または(3)のいずれかに記載の木材保存剤、
(5) 前記第1の製剤がフロアブル剤であり、かつ、前記第2の製剤が乳剤であることを特徴とする、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の木材保存剤、
(6) 前記第1の製剤および前記第2の製剤は、防腐防カビ剤を含有することを特徴とする、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の木材保存剤、
(7) 前記第1の製剤および前記第2の製剤のうち、少なくとも一方が、トリアゾール系化合物を含有することを特徴とする、前記(6)に記載の木材保存剤、
(8) 前記第1の製剤および前記第2の製剤のうち、少なくとも一方が、有機ヨード系化合物を含有することを特徴とする、前記(6)に記載の木材保存剤、
(9) 前記第1の製剤および前記第2の製剤のうち、一方がトリアゾール系化合物を含有し、他方が有機ヨード系化合物を含有することを特徴とする、前記(6)に記載の木材保存剤
を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明の木材保存剤によれば、第1の製剤の有効成分が、木材の表面に残存するとともに、第2の製剤の有効成分が木材の内部に浸透する。そのため、木材の表面および木材の内部の両方において、優れた効力を発現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の木材保存剤は、有効成分が木材の表面に残存する第1の製剤と、有効成分が木材の内部に浸透する第2の製剤とを含有している。
本発明において、第1の製剤は、後述する有効成分が木材の表面に残存する製剤であって、このような第1の製剤としては、例えば、懸濁剤が挙げられる。
懸濁剤は、固体の粒子状の有効成分が水および/または有機溶媒中に分散した製剤形態であって、このような懸濁剤としては、例えば、フロアブル剤、マイクロカプセル剤、担体担持剤などが挙げられる。
【0007】
フロアブル剤は、通常、水に不溶の固体の微粒子状の有効成分を、水中に分散させた水系製剤であって、このようなフロアブル剤を製剤化するには、例えば、水、有効成分、界面活性剤および増粘剤などを配合し、次いで、有効成分を、ビーズミルなどの公知の粉砕機などにより湿式粉砕しながら、分散する。また、上記の配合の前に、有効成分を微粒子状に予め粉砕(乾式粉砕)した後、これを、水、界面活性剤および増粘剤などとともに配合して混合し、分散することもできる。
【0008】
フロアブル剤において、微粒子状に粉砕された有効成分の重量平均粒子径は、例えば、0.01〜1000μm、好ましくは、0.1〜500μmである。
界面活性剤としては、例えば、石鹸類、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両イオン系界面活性剤、高分子系界面活性剤など、公知の界面活性剤が挙げられる。好ましくは、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤が挙げられる。
【0009】
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。好ましくは、ショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。
【0010】
これら界面活性剤は、そのHLBが、例えば、10〜20、好ましくは、13〜20である。HLBが、上記した範囲にあれば、分散安定性の効果がある。なお、界面活性剤がノニオン性界面活性剤である場合には、そのHLBは、次式(グリフィンの式)により算出される。
HLB=20×{1−(S/A)}
S:多価アルコールエステルのけん化価
A:脂肪酸の中和価(酸価)
アニオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸金属塩、アルキルナフタレンスルホン酸金属塩、ポリカルボン酸型界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸エステル金属塩、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩、リグニンスルホン酸金属塩などが挙げられる。また、これらの金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。
【0011】
これら界面活性剤は、単独または2種以上併用してもよい。
増粘剤は、フロアブル剤の貯蔵安定性の向上を図るためのものであって、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、アルギン酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウムなどのイオン架橋型有機酸類、例えば、アラビアガム、グアーガムおよびこれらの誘導体、ビーガム、キサンタンガム、ウェランガム、ランタンガム、ジュランガムなどのガム類、例えば、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロール(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)およびこれらの誘導体などのセルロース類などが挙げられる。好ましくは、セルロース類が挙げられる。
【0012】
また、これら増粘剤は、その20℃での2重量%水溶液の粘度が、例えば、10000mPa・s未満、好ましくは、1000mPa・s未満、通常、2mPa・s以上である。増粘剤が上記した範囲の低粘度であれば、増粘剤が有効成分の保護コロイドを形成して、優れた分散性を確保することができ、かつ、長期にわたって優れた貯蔵安定性を維持することができる。
【0013】
これら増粘剤は、単独または2種以上併用してもよい。
フロアブル剤において、各成分の配合割合は、有効成分100重量部に対して、界面活性剤が、例えば、0.1〜30重量部、好ましくは、0.2〜20重量部であり、増粘剤が、例えば、0.1〜100重量部、好ましくは、0.5〜50重量部であり、水が、例えば、100〜100000重量部、好ましくは、150〜10000重量部である。
【0014】
マイクロカプセル剤は、通常、有効成分が被膜に内包されているマイクロカプセルを、水中に分散させた水系製剤であって、このようなマイクロカプセル剤は、例えば、化学的方法、物理化学的方法、物理的および機械的方法など、公知の方法によって製剤化することができる。
化学的方法としては、例えば、界面重合法、in situ 重合法、液中硬化被膜法などが挙げられる。
【0015】
界面重合法としては、例えば、多塩基酸ハライドとポリオールとを界面重合させてポリエステルからなる膜を形成する方法、多塩基酸ハライドとポリアミンとを界面重合させてポリアミドからなる膜を形成する方法、ポリイソシアネートとポリオールとを界面重合させてポリウレタンからなる膜を形成する方法、ポリイソシアネートとポリアミンとを界面重合させてポリウレアからなる膜を形成する方法などが挙げられる。
【0016】
in situ 重合法では、例えば、スチレンとジビニルベンゼンとを共重合させてポリスチレン共重合体からなる膜を形成する方法、メチルメタクリレートとn−ブチルメタクリレートとを共重合させてポリメタクリレート共重合体からなる膜を形成する方法などが挙げられる。
液中硬化法では、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エポキシ樹脂、アルギン酸ソーダなどを液中で硬化させる方法が挙げられる。
【0017】
物理化学的方法としては、例えば、単純コアセルベーション法、複合コアセルベーション法、pHコントロール法、非溶媒添加法などの水溶液からの相分離法や、有機溶媒からの相分離法などのコアセルベーション法などが挙げられる。物理化学的方法において、膜形成成分としては、例えば、ゼラチン、セルロース、ゼラチン−アラビアゴムなどが挙げられる。また、ポリスチレンなどが用いられる界面沈降法などを挙げることもできる。
【0018】
物理的および機械的方法としては、例えば、スプレードライング法、気中懸濁被膜法、真空蒸着被膜法、静電的合体法、融解分散冷却法、無機質壁カプセル化法などが挙げられる。物理的および機械的方法において、膜形成成分としては、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0019】
好ましくは、界面重合法によって、製剤化する。このような界面重合法は、例えば、特開2004−189734号公報の記載に準拠して、製剤化することができる。
マイクロカプセル剤において、被膜の厚みは、例えば、0.5μm以下であり、好ましくは、0.01〜0.5μmであり、その被膜の重量割合は、有効成分100重量部に対して、例えば、0.01〜100重量部、好ましくは、1〜50重量部である。また、マイクロカプセルは、その体積平均粒子径が、例えば、6〜100μm、好ましくは、10〜30μmである。
【0020】
担体担持剤は、通常、有効成分を担持した、水および/または有機溶媒に不溶の固体の担体を、水および/または有機溶媒中に分散させた水および/または有機溶媒系製剤である。このような担体担持剤を製剤化するには、有効成分を、担体に予め担持させた後、これを、例えば、分散剤、必要により増粘剤などを用いて水および/または有機溶媒中に分散する。
【0021】
担体としては、担持能または吸着能を有する固形の担体であれば制限されず、例えば、層状ケイ酸塩(モンモリロナイトなど)、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、ゼオライト、活性炭、ホワイトカーボン、シクロデキストリン(例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンなど)などが挙げられる。好ましくは、シリカ、ゼオライトが挙げられる。
【0022】
また、担体は、微粉状または微粒子状のものが用いられ、その重量平均粒子径が、例えば、0.01〜1000μm、好ましくは、0.1〜500μmであり、そのBET比表面積が、例えば、0.1〜2000m2/g、好ましくは、1〜1000m2/gである。
有効成分を担体に予め担持させるには、例えば、まず、有効成分を、有機溶媒に配合して、有効成分を有機溶媒に溶解または分散させ、次いで、これに担体を配合して混合させた後、有機溶媒を、風乾や減圧乾燥などの公知の方法により除去(留去)すればよい。
【0023】
有機溶媒としては、有効成分を溶解または分散させることのできるものであれば制限されず、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソオクチル、アジピン酸ジノニル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジドデシル、アジピン酸ジテトラデシル、アジピン酸ジヘキサデシル、アジピン酸ジオクタデシル、アジピン酸デシルイソオクチル、スベリン酸ジオクチル、スベリン酸ジイソノニル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジイソノニルなどの脂肪酸エステル類、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのエチレングリコールエステル類、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、例えば、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、例えば、ヘキサノール、オクタノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコールなどのアルコール類、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルジグリコール)、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール類、例えば、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドなどの含窒素化合物類、例えば、アルキルベンゼン類、アルキルナフタレン類、アルキルフェノール類、フェニルキシリルエタンなどの石油系溶媒(より具体的には、石油留分より得られる種々の市販の有機溶媒、例えば、サートレックス48(高沸点芳香族系溶媒、蒸留範囲254〜386℃、モービル石油社製)、アルケンL(アルキルベンゼン、蒸留範囲285〜309℃、日本石油化学社製)、ソルベッソ150(アルキルベンゼン、蒸留範囲188〜209℃、エクソン化学社製)、ソルベッソ200(アルキルナフタレン、蒸留範囲226〜286℃、エクソン化学社製)、KMC−113(ジイソプロピルナフタレン、沸点300℃、呉羽化学工業社製)、SAS296(フェニルキシリルエタン、蒸留範囲290〜305℃、日本石油化学社製)など)、なたね油などの油類などが挙げられる。
【0024】
これら有機溶媒は、単独または2種以上併用してもよい。
有効成分の担体への担持において、有機溶媒の配合割合は、有効成分100重量部に対して、例えば、50〜100000重量部、好ましくは、100〜10000重量部である。
また、有効成分を分散させるための有機溶媒としては、上記した有効成分の担体への担持に用いたものと同様のものが挙げられる。
【0025】
分散剤としては、上記した界面活性剤と同様のものが挙げられる。
また、必要により配合される増粘剤としては、上記した増粘剤と同様のものが挙げられる。
担体担持剤において、各成分の重量割合は、有効成分100重量部に対して、担体が、例えば、1〜10000重量部、好ましくは、10〜1000重量部であり、分散剤が、例えば、0.01〜50重量部、好ましくは、1〜20重量部であり、必要により配合される増粘剤が、例えば、0.01〜20重量部、好ましくは、0.1〜10重量部、水が、例えば、100〜100000重量部、好ましくは、150〜10000重量部、有機溶媒が、例えば、100〜100000重量部、好ましくは、150〜10000重量部である。
【0026】
これら第1の製剤は、単独または併用することができる。
そして、第1の製剤が、フロアブル剤、マイクロカプセル剤および担体担持剤からなる群から選択される少なくとも1種の製剤である場合には、有効成分を木材の表面に効率よく残存させることができる。
本発明において、第2の製剤は、有効成分が木材の内部に浸透する製剤であって、このような第2の製剤としては、例えば、液剤が挙げられる。
【0027】
液剤は、液状の有効成分が水および/または有機溶媒中に溶解または液滴として分散した製剤形態であって、このような液剤としては、例えば、油剤、乳剤などが挙げられる。
油剤は、通常、有効成分を、有機溶媒中に溶解させた有機溶媒系製剤である。このような油剤を製剤化するには、例えば、有効成分および有機溶媒を配合し、次いで、公知の攪拌機で攪拌しながら、溶解する。
【0028】
なお、有機溶媒は、上記した第1の製剤(担体担持剤)が含有する有機溶媒を、油剤の有機溶媒として、そのまま使用することもできる。すなわち、有効成分(または有効成分を有機溶媒に溶解させた溶液)に第1の製剤(担体担持剤)の有機溶媒を第1の製剤(担体担持剤)とともに配合することにより、油剤を製剤化する。
油剤において、有機溶媒(第1の製剤の有機溶媒を含む。)の重量割合は、有効成分100重量部に対して、例えば、100〜500000重量部、好ましくは、1000〜50000重量部である。
【0029】
乳剤は、通常、有効成分または有効成分を有機溶媒に溶解させた溶液を、水中に分散させた油−水(O/W型)エマルション系製剤である。このような乳剤を製剤化するには、例えば、有効成分または有効成分を有機溶媒に溶解させた溶液に、水および乳化剤を配合し、次いで、必要により加熱しながら、ホモディスパーなどの公知の攪拌機で攪拌し、有効成分(または有効成分を有機溶媒に溶解させた溶液)を水中に液滴として乳化させる。
【0030】
有機溶媒としては、上記した有機溶媒と同様のものがそれぞれ挙げられる。
乳化剤としては、上記した界面活性剤と同様のものが挙げられる。
なお、水は、上記した第1の製剤が含有する水を、乳剤の水として、そのまま使用することもできる。すなわち、まず、有効成分(または有効成分を有機溶媒に溶解させた溶液)に、乳化剤を配合して混合(プレ製剤化)し、次いで、これに第1の製剤の水を第1の製剤とともに配合することにより、乳剤を製剤化する。
【0031】
乳剤において、各成分の重量割合は、有効成分100重量部に対して、水(第1の製剤の水を含む。)が、例えば、0.01〜5000重量部、好ましくは、0.1〜1000重量部であり、乳化剤が、例えば、0.1〜500重量部、好ましくは、1〜200重量部、有機溶媒(有効成分を有機溶媒に溶解させる場合)が、例えば、50〜10000重量部、好ましくは、60〜1000重量部である。
【0032】
これら第2の製剤は、単独または併用することができる。
そして、第2の製剤が、油剤および/または乳剤である場合には、有効成分を木材の内部に効率よく浸透させることができる。
上記した第1の製剤および第2の製剤において、これらの組合せとしては、好ましくは、第1の製剤がフロアブル剤であり、かつ、第2の製剤が乳剤の組合せである。この組合せであれば、有効成分を木材の表面により一層効率よく残存させ、かつ、有効成分を木材の内部により一層効率よく浸透させることができる。
【0033】
第1の製剤および第2の製剤は、その有効成分として、少なくとも、防腐防カビ剤を含有している。
このような防腐防カビ剤としては、防腐防カビ効力を有するものであれば制限されず、例えば、トリアゾール系化合物、有機ヨード系化合物、スルファミド系化合物、ビス四級アンモニウム塩系化合物、四級アンモニウム塩系化合物、フタロニトリル系化合物、ジチオール系化合物、チオフェン系化合物、チオカルバメート系化合物、ニトリル系化合物、フタルイミド系化合物、ハロアルキルチオ系化合物、ピリジン系化合物、ピリチオン系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、トリアジン系化合物、グアニジン系化合物、尿素系化合物、イミダゾール系化合物、イソチアゾリン系化合物、ニトロアルコール系化合物、フェニルウレア系化合物などが挙げられる。
【0034】
トリアゾール系化合物としては、例えば、1−[[2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−n−プロピル−1,3−ジオキソラン−2−イル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール(慣用名:プロピコナゾール)、α−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−α−(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール(慣用名:テブコナゾール)、α−(4−クロロフェニル)−α−(1−シクロプロピルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール(慣用名:シプロコナゾール)、1−[[2−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−ジオキソラン−2−イル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール(慣用名:アザコナゾール)などが挙げられる。
【0035】
有機ヨード系化合物としては、例えば、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート(慣用名:IPBC)、p−クロロフェニル−3−ヨードプロパルギルホルマール(商品名:IF−1000、長瀬産業社製)、1−[[(3−ヨード−2−プロピニル)オキシ]メトキシ]−4−メトキシベンゼン、3−ブロモ−2,3−ジヨード−2−プロペニルエチルカーボネート(商品名:サンプラス、三共ライフテック社製)などが挙げられる。
【0036】
スルファミド系化合物としては、例えば、N−ジクロロフルオロメチルチオ−N',N'−ジメチル−N−フェニルスルファミド(商品名:プリベントールA4/S、バイエル社製)、N−ジクロロフルオロメチルチオ−N',N'−ジメチル−N−4−トリルスルファミド(商品名:プリベントールA5、バイエル社製)などが挙げられる。
ビス四級アンモニウム塩系化合物としては、例えば、N,N'−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムブロマイド)(商品名:ダイマー38、イヌイ社製)、N,N'−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムアセテート)(商品名:ダイマー38A、イヌイ社製)、4,4'−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウムブロマイド)(商品名:ダイマー136、イヌイ社製)、4,4'−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウムアセテート)(商品名:ダイマー136A、イヌイ社製)などが挙げられる。
【0037】
四級アンモニウム塩系化合物としては、例えば、ジ−n−デシル−ジメチルアンモニウムクロライド、1−ヘキサデシルピリジニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、コータミンD10EPR(花王社製)などが挙げられる。
フタロニトリル系化合物としては、例えば、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル(商品名:ノプコサイドN−96、サンノプコ社製)などが挙げられる。
【0038】
ジチオール系化合物としては、例えば、4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−3−オンなどが挙げられる。
チオフェン系化合物としては、例えば、3,3,4−トリクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシドなどが挙げられる。
【0039】
チオカルバメート系化合物としては、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィドなどが挙げられる。
ニトリル系化合物としては、例えば、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルなどが挙げられる。
フタルイミド系化合物としては、例えば、N−1,1,2,2−テトラクロロエチルチオ−テトラヒドロフタルイミド(Captafol)、N−トリクロロメチルチオ−テトラヒドロフタルイミド(Captan)、N−ジクロロフルオロメチルチオフタルイミド(Fluorfolpet)、N−トリクロロメチルチオフタルイミド(Folpet)などが挙げられる。
【0040】
ハロアルキルチオ系化合物としては、例えば、N−ジメチルアミノスルホニル−N−トリル−ジクロロフルオロメタンスルファミド(Tolylfluanide)、N−ジメチルアミノスルホニル−N−フェニル−ジクロロフルオロメタンスルファミド(Dichlofluanide)、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−N、N'−ジメチル−N−フェニル−スルファミドなどが挙げられる。
【0041】
ピリジン系化合物としては、例えば、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジンなどが挙げられる。
ピリチオン系化合物としては、例えば、ジンクピリチオン、ナトリウムピリチオンなどが挙げられる。
ベンゾチアゾール系化合物としては、例えば、2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾールなどが挙げられる。
【0042】
トリアジン系化合物としては、例えば、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジンなどが挙げられる。
グアニジン系化合物としては、例えば、1,6−ジ−(4'−クロロフェニルジグアニド)−ヘキサン、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩などが挙げられる。
尿素系化合物としては、例えば、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレアなどが挙げられる。
【0043】
イミダゾール系化合物としては、例えば、メチル−2−ベンズイミダゾールカルバメート(慣用名:MBC)、メチル−2−ベンズイミダゾールカルバメート塩酸塩、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾールなどが挙げられる。
イソチアゾリン系化合物としては、例えば、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンツイソチアゾリン−3−オン、N−n−ブチル−1,2−ベンツイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
【0044】
ニトロアルコール系化合物としては、例えば、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロ−1−エタノールなどが挙げられる。
フェニルウレア系化合物としては、例えば、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレアなどが挙げられる。
また、防腐防カビ剤としては、上記した以外にも、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ホウ砂、ヒノキチオールまたはその塩なども挙げられる。
【0045】
これら防腐防カビ剤は、単独または併用して用いられる。
これら防腐防カビ剤のうち、好ましくは、トリアゾール系化合物、有機ヨード系化合物が挙げられ、さらに好ましくは、プロピコナゾール、テブコナゾール、IPBCが挙げられる。
また、この木材保存剤では、第1の製剤および第2の製剤のうち、例えば、少なくとも一方が、トリアゾール系化合物を含有している。このような態様として、第1の製剤のみがトリアゾール系化合物を含有する態様、第2の製剤のみがトリアゾール系化合物を含有する態様、第1の製剤および第2の製剤の両方がトリアゾール系化合物を含有する態様が挙げられる。
【0046】
また、この木材保存剤では、第1の製剤および第2の製剤のうち、例えば、少なくとも一方が、有機ヨード系化合物を含有している。このような態様として、第1の製剤のみが有機ヨード系化合物を含有する態様、第2の製剤のみが有機ヨード系化合物を含有する態様、第1の製剤および第2の製剤の両方が有機ヨード系化合物を含有する態様が挙げられる。
【0047】
好ましくは、第1の製剤および第2の製剤のうち、一方がトリアゾール系化合物を含有し、他方が有機ヨード系化合物を含有している。このような態様として、第1の製剤がトリアゾール系化合物を含有し(有機ヨード系化合物を含有しない)、かつ、第2の製剤が有機ヨード系化合物を含有する(トリアゾール系化合物を含有しない)態様、第1の製剤が有機ヨード系化合物を含有し(トリアゾール系化合物を含有しない)、かつ、第2の製剤がトリアゾール系化合物を含有する(有機ヨード系化合物を含有しない)態様、第1の製剤がトリアゾール系化合物および有機ヨード系化合物の両方を含有し、かつ、第2の製剤が有機ヨード系化合物を含有する(トリアゾール系化合物を含有しない)態様、第1の製剤がトリアゾール系化合物および有機ヨード系化合物の両方を含有し、かつ、第2の製剤がトリアゾール系化合物を含有する(有機ヨード系化合物を含有しない)態様、第1の製剤がトリアゾール系化合物を含有し(有機ヨード系化合物を含有しない)、かつ、第2の製剤がトリアゾール系化合物および有機ヨード系化合物の両方を含有する態様、第1の製剤が有機ヨード系化合物を含有し(トリアゾール系化合物を含有しない)、かつ、第2の製剤がトリアゾール系化合物および有機ヨード系化合物の両方を含有する態様、第1の製剤および第2の製剤が、ともに、トリアゾール系化合物および有機ヨード系化合物の両方を含有する態様が挙げられる。
【0048】
さらに、本発明の木材保存剤では、上記した防腐防カビ剤を含有する第1の製剤および第2の製剤以外にも、防蟻防虫剤などの有効成分を含有するその他の製剤を含有してもよい。
その他の製剤の製剤形態は、その目的および用途に応じて適宜選択され、例えば、上記した懸濁剤および液剤や、これら以外にも、ペースト剤、粉剤、粒剤など、公知の種々の製剤形態を挙げることができる。
【0049】
防蟻防虫剤としては、例えば、ネオニコチノイド系化合物、ピレスロイド系化合物、有機塩素系化合物、有機リン系化合物、カルバメート系化合物、ピロール系化合物、フェニルピラゾール系化合物、オキサダイアジン系化合物、セミカルバゾン系化合物、植物またはその処理物あるいはその誘導体などが挙げられる。
ネオニコチノイド系化合物としては、例えば、(E)−1−(2−クロロチアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン(慣用名:クロチアニジン)、N−アセチル−N−(2−クロロチアゾール−5−イル)メチル−N'−メチル−N"−ニトログアニジン、N−(2−クロロチアゾール−5−イル)メチル−N−メトキシカルボニル−N'−メチル−N"−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリン−2−イリデンアミン(慣用名:イミダクロプリド)、3−(2−クロロ−チアゾール−5−イルメチル)−5−[1,3,5]オキサジアジナン−4−イルインデン−N−ニトロアミン(慣用名:チアメトキサム)、(E)−N−[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]−N'−シアノ−N−メチルアセタミジン(慣用名:アセタミプリド)、(ES)−1−メチル−2−ニトロ−3−(テトラヒドロ−3−フリルメチル)グアニジン(慣用名:ジノテフラン)などが挙げられる。
【0050】
ピレスロイド系化合物としては、例えば、アレスリン、ペルメトリン、トラロメトリン、ビフェントリン、アクリナトリン、アルファシペルメトリン、シフルトリン、シフェノトリン、プラレトリン、エトフェンプロックス、シラフルオフェン、パーメスリン、トラロメスリン、フェンバレレートなどが挙げられる。
有機塩素系化合物としては、例えば、ケルセンなどが挙げられる。
【0051】
有機リン系化合物としては、例えば、ホキシム、ピリダフェンチオン、フェニトロチオン(MEP)、テトラクロルビンホス、ジクロフェンチオン、プロペタンホスなどが挙げられる。
カルバメート系化合物としては、例えば、カルバリル、フェノブカルブ(BPMC)、プロポクスルなどが挙げられる。
【0052】
ピロール系化合物としては、例えば、クロルフェナピルなどが挙げられる。
フェニルピラゾール系化合物としては、例えば、フィプロニルなどが挙げられる。
オキサダイアジン系化合物としては、例えば、インドキサカルブなどが挙げられる。
セミカルバゾン系化合物としては、例えば、α−(α,α,α−トリフルオロ−m−トルオイル)−p−トリニトリル4−(p−トリフルオロメトキシフェニル)セミカルバゾンなどが挙げられる。
【0053】
植物またはその処理物あるいはその誘導体としては、例えば、特開2002−3074
06号公報、特開2003−252708号公報、特開2005−74776号公報に記載されたものが挙げられる。
これら防蟻防虫剤のうち、好ましくは、ネオニコチノイド系化合物が挙げられ、さらに好ましくは、クロチアニジンが挙げられる。
【0054】
さらに、本発明の木材保存剤には、第1の製剤および第2の製剤とは別に、さらに、公知の添加剤、例えば、増粘剤、凍結防止剤、充填剤、懸濁助剤、消泡剤、酸化防止剤、光安定剤、顔料、染料などを添加することにより、木材保存剤として調製することができる。また、これらの添加剤は、第1の製剤および第2の製剤のそれぞれに予め添加してもよく、また、木材保存剤の調製時(第1の製剤と第2の製剤との配合時)に添加することもできる。
【0055】
増粘剤としては、上記した増粘剤と同様のものが挙げられる。
凍結防止剤としては、例えば、プロピレングリコールが挙げられる。
充填剤としては、例えば、ケイ酸アルミニウム(含水ケイ酸アルミニウムを含む。)、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、ゼオライトなどが挙げられる。
懸濁助剤としては、例えば、アクリル・シリコーン系樹脂(モビニールシリーズ、ニチゴーモビニール社製)などが挙げられる。
【0056】
消泡剤としては、例えば、BYK021(BYKシリーズ、ビックケミー社製)、鉱物油や疎水性シリカ、または、これらの混合物などが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)などのフェノール系酸化防止剤、例えば、アルキルジフェニルアミン、N,N’−ジ−s−ブチル−p−フェニレンジアミンなどのアミン系酸化防止剤などが挙げられる。
【0057】
光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートなどのヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられる。
これら添加剤は、単独または併用して用いられる。
また、本発明の木材保存剤において、添加剤が添加される場合には、各添加剤の配合割合は、木材保存剤100重量部に対して、増粘剤では、例えば、0.1〜50重量部、好ましくは、1〜10重量部、凍結防止剤では、例えば、0.1〜20重量部、好ましくは、1〜10重量部、充填剤では、例えば、0.1〜20重量部、好ましくは、0.2〜10重量部、懸濁助剤では、例えば、0.1〜50重量部、好ましくは、1〜25重量部、消泡剤では、0.1〜30重量部、好ましくは、0.2〜20重量部、酸化防止剤では、例えば、0.1〜10重量部、好ましくは、0.2〜5重量部、光安定剤では、例えば、0.1〜10重量部、好ましくは、0.2〜5重量部である。
【0058】
そして、本発明の木材保存剤を調製するには、例えば、第1の製剤と、第2の製剤とを別々に製剤化し、これらを、必要により添加剤とともに、配合して、混合すればよい。
また、第2の製剤が油剤である場合には、まず、第1の製剤(担体担持剤)を製剤化し、これとは別に、第2の製剤をプレ製剤化する。次いで、第2の製剤のためのプレ製剤化したものと、すでに製剤化した第1の製剤(担体担持剤)とを、必要により添加剤とともに、配合して混合する。これにより、第2の製剤を製剤化するとともに、木材保存剤を製剤化することもできる。
【0059】
また、第2の製剤が乳剤である場合には、まず、第1の製剤を製剤化し、これとは別に、第2の製剤をプレ製剤化する。次いで、第2の製剤のためのプレ製剤化したものと、すでに製剤化した第1の製剤とを、必要により添加剤とともに、配合して混合する。これにより、第2の製剤を製剤化するとともに、木材保存剤を製剤化することもできる。
本発明の木材保存剤において、第1の製剤および第2の製剤の配合割合は、木材保存剤100重量部に対して、第1の製剤(固形分の重量)が、例えば、0.01〜99.99重量部、好ましくは、1〜99重量部であり、第2の製剤(固形分の重量)が、例えば、0.01〜99.99重量部、好ましくは、1〜99重量部である。また、第1の製剤の有効成分および第2の製剤の有効成分の割合は、例えば、1:99(第1の製剤の有効成分の重量:第2の製剤の有効成分の重量。以下同じ。)〜99:1、好ましくは、10:90〜90:10、さらに好ましくは、10:90〜80:20、とりわけ好ましくは、20:80〜50:50である。
【0060】
上記のようにして得られた木材保存剤は、浸漬や塗布などの公知の処理方法により、木材に処理することができる。
なお、本発明の木材保存剤が処理される木材としては、住宅、建築物などの建材材料や家具などの一般工業材料などを挙げることができるが、その種類は制限されない。
そして、本発明の木材保存剤によれば、第1の製剤の有効成分、より具体的には、懸濁剤に製剤化される防腐防カビ剤が、木材の表面に残存するとともに、第2の製剤の有効成分、より具体的には、液剤に製剤化される防腐防カビ剤が木材の内部に浸透する。そのため、木材の表面において、優れた防カビ効果を発現するとともに、木材の内部においても、優れた防腐効果を発現することができる。
【0061】
なお、本発明の木材保存剤は、対象となる木材において、防腐防カビ剤としての有効成分の濃度が、約0.005〜30重量%、好ましくは、0.01〜2重量%程度となるように、必要により水で希釈した後、処理される。
【実施例】
【0062】
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。
<懸濁剤の製剤化>
製剤例1
(IPBCのフロアブル剤の製剤化)
IPBC(プリベントールMP−100、バイエル社製)30g、ショ糖脂肪酸エステル(DKエステルF−160、第一工業製薬社製)1.5g、メチルセルロース(メトローズ90SH−100、粘度100mPa・s(20℃、2重量%水溶液)、信越化学工業社製)2g、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム0.6g、鉱油・疎水性シリカ混合物0.2gを水65.7gに加えて攪拌して混合した後、さらにビーズミル(ダイノーミル、Typ KDL A、ガラスビーズ径0.5mm)で湿式粉砕することにより、IPBC30%のフロアブル剤を製剤化した。
【0063】
製剤例2
(IPBCのシリカ担持剤(水系製剤)の製剤化)
IPBC30gをアセトン100gに溶解させ、次いで、シリカ粉末(サイリシア310P、重量平均粒子径2.7μm、BET比表面積300m2/g、富士シリシア社製)50gを配合して混合した後、アセトンを風乾させて完全に留去させた。その後、水9.9g、ノニオン系分散剤(ニューカルゲンFS−4)0.1g、ポリアクリル酸ナトリウム(増粘剤、レオジック250H、日本純薬社製)0.5%水溶液10gを加えて攪拌して混合することにより、IPBC30%のシリカ担持剤(水系製剤)を製剤化した。
【0064】
製剤例3
(IPBCのシリカ担持剤(有機溶媒系製剤)の製剤化)
IPBC30gをアセトン100gに溶解させ、次いで、シリカ粉末(サイリシア310P、重量平均粒子径2.7μm、BET比表面積300m2/g、富士シリシア社製)50gを配合して混合した後、アセトンを風乾させて完全に留去させた。その後、アジピン酸ジイソノニル70gを加えて攪拌して混合することにより、IPBC30%のシリカ担持剤(有機溶媒系製剤)を製剤化した。
【0065】
製剤例4
(IPBCのマイクロカプセル剤の製剤化)
IPBC12gをアジピン酸ジイソノニル18gに溶解させて、IPBC40%のアジピン酸ジイソノニル溶液を得た。次いで、得られたIPBC40%のアジピン酸ジイソノニル溶液にポリイソシアネート(タケネートD−140N、三井化学ポリウレタン社製)5.3gを加え、均一に攪拌して、IPBCおよびポリイソシアネートのアジピン酸ジイソノニル溶液を得た。
【0066】
その後、得られたIPBCおよびポリイソシアネートのアジピン酸ジイソノニル溶液を、ポリビニルアルコール(クラレポバール217、クラレ社製)4gおよびナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(ニューカルゲンFS−4、竹本油脂社製)0.1gを含む水溶液40gに加えて、微少滴になるようにホモミキサー(T.K.オートホモミキサー、特殊機化工業社製)で常温下で、数分間、回転数2000rpmで攪拌した。
【0067】
次いで、この混合液を75℃の恒温槽中で3時間緩やかに攪拌させながら、ジエチレントリアミンを0.2g滴下させて、これらを界面重合させることにより、IPBCがポリウレタンおよびポリウレアからなる膜に内包されたマイクロカプセル剤を製剤化した。その後、これに水を加えて、全体の重量を80gとして、IPBCの濃度を15%に調整した。
【0068】
製剤例5
(テブコナゾールのフロアブル剤の製剤化)
製剤例1のIPBCのフロアブル剤の製剤化において、IPBCをテブコナゾールに代えた以外は、製剤例1と同様の処方および操作により、テブコナゾール30%のフロアブル剤を製剤化した。
【0069】
<乳剤(液剤)の製剤化(プレ製剤化)>
製剤例6
(プロピコナゾールの乳剤のためのプレ製剤化)
プロピコナゾール500g、ノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ナロアクティーCL100、三洋化成工業社製)500gを配合し、これらを50℃に加熱し、その後、ホモディスパー(T.K.オートホモディスパー、特殊機化工業社製)で均一に混合することにより、プロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物1000gを得た。
【0070】
製剤例7
(IPBCおよびプロピコナゾールの乳剤のためのプレ製剤化)
IPBC60g、プロピコナゾール140g、ノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ナロアクティーCL100、三洋化成工業社製)140gを配合し、これらを50℃に加熱し、その後、ホモディスパーで均一に混合することにより、IPBC、プロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物340gを得た。
【0071】
製剤例8
(IPBCの乳剤のためのプレ製剤化)
IPBC140gをアジピン酸ジイソノニル126gに溶解させた後、50℃に予め加熱したノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ナロアクティーCL100、三洋化成工業社製)140gを加えホモディスパーで均一に混合することにより、IPBCおよびノニオン性界面活性剤のアジピン酸ジイソノニル溶液406gを得た。
【0072】
<その他の製剤の製剤化>
製剤例9
(クロチアニジンのマイクロカプセル剤の製剤化)
ジイソプロピルナフタレン(KMC−113、呉羽化学工業社製)318g、アルキルベンゼン(アルケンL、日本石油化学工業社製)154g、消泡剤(BYK164、ビックケミー社製)48gを配合し、これらを均一に攪拌して混合し、これにクロチアニジン480gを加えホモディスパーで攪拌することにより、クロチアニジン48%含有スラリー液Aを得た。次いで、得られたクロチアニジン48%含有スラリー液Aをビーズミルで湿式粉砕した。次いで、湿式粉砕したスラリー液Aのうちの283gに、ポリイソシアネート(タケネートD−140N、三井化学ポリウレタン社製)213gを加え、均一に攪拌しスラリー液Bを得た。
【0073】
その後、得られたスラリー液Bのうちの248gを、ポリビニルアルコール(クラレポバール217、クラレ社製)50.4gおよびノニオン系分散剤(ニューカルゲンFS−4)3.6gを含む水溶液492gに加えて、微少滴になるようにホモミキサーで常温下で、数分間、回転数5000rpmで攪拌した。
次いで、この混合液を緩やかに攪拌しながら、水207gおよびスラリー液Bの残りの248gを投入し攪拌を継続した。その後常温下でホモミキサーで、数分間、回転数2500rpmで攪拌した。
【0074】
次いで、この混合液を75℃の恒温槽中で3時間緩やかに攪拌させながら、ジエチレントリアミンを7.6g滴下させて、これらを界面重合させることにより、クロチアジニンがポリウレタンおよびポリウレアからなる膜に内包されたマイクロカプセル剤を製剤化した。その後、これにポリアクリル酸ナトリウム(増粘剤)0.5%水溶液450g、凍結防止剤(プロピレングリコール)54g、水93.4gを加え全体の重量を1800gとして、クロチアニジンの濃度を7.5%に調整した。
【0075】
<木材保存剤の調製>
実施例1
製剤例9で製剤化したクロチアニジンのマイクロカプセル剤270gをホモディスパーで攪拌しながら、含水ケイ酸アルミニウム(クニピアF、クニミネ工業社製)1.8%水溶液66g、ポリアクリル酸ナトリウム(増粘剤、レオジック250H、日本純薬社製)0.5%水溶液60g、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤200g、製剤例6でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物280g、懸濁助剤(アクリル・シリコーン系樹脂、モビニールLDM7159、ニチゴーモビニール社製)99g、アニオン性界面活性剤(ジアルキルスルホコハク酸金属塩、サンヒビターOMA−10、三洋化成工業社製)20g、鉱油・疎水性シリカ混合物5gを順次投入し、さらにホモデイスパーで数分間攪拌した。これにより、プロピコナゾールを乳剤として製剤化するとともに、IPBCのフロアブル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0076】
比較例1
実施例1において、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤を投入せず、製剤例6でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物280gを製剤例7でプレ製剤化したIPBCおよびプロピコナゾールの混合物340gに代え、さらに、水140gを投入した以外は、実施例1と同様の処方および操作により、IPBCの乳剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0077】
比較例2
実施例1において、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤を投入せず、製剤例6でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物280gを400gに代え、さらに、水80gを投入した以外は、実施例1と同様の処方および操作により、プロピコナゾールの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0078】
比較例3
実施例1において、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤200gを333gに代え、製剤例6でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物を投入せず、さらに、水147gを投入した以外は、実施例1と同様の処方および操作により、IPBCのフロアブル剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0079】
実施例2
実施例1において、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤200gを66gに代え、製剤例6でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物280gを360gに代え、さらに、水54gを投入した以外は実施例1と同様の処方および操作により、IPBCのフロアブル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0080】
実施例3
実施例1において、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤200gを133gに代え、製剤例6でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物280gを320gに代え、さらに、水27gを投入した以外は実施例1と同様の処方および操作により、IPBCのフロアブル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0081】
実施例4
実施例1において、ポリアクリル酸ナトリウム(増粘剤、レオジック250H、日本純薬社製)0.5%水溶液60gを33gに代え、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤200gを267gに代え、製剤例6でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物280gを240gに代えた以外は実施例1と同様の処方および操作により、IPBCのフロアブル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0082】
実施例5
実施例1において、含水ケイ酸アルミニウム(クニピアF、クニミネ工業社製)1.8%水溶液66gを43gに代え、ポリアクリル酸ナトリウム(増粘剤、レオジック250H、日本純薬社製)0.5%水溶液60gを30gに代え、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤200gを333gに代え、製剤例6でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物280gを200gに代えた以外は実施例1と同様の処方および操作により、IPBCのフロアブル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0083】
実施例6
実施例1において、含水ケイ酸アルミニウム(クニピアF、クニミネ工業社製)1.8%水溶液66gを26gに代え、ポリアクリル酸ナトリウム(増粘剤、レオジック250H、日本純薬社製)0.5%水溶液60gを20gに代え、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤200gを400gに代え、製剤例6でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物280gを160gに代えた以外は実施例1と同様の処方および操作により、IPBCのフロアブル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0084】
実施例7
実施例1において、含水ケイ酸アルミニウム(クニピアF、クニミネ工業社製)1.8%水溶液66gを12gに代え、ポリアクリル酸ナトリウム(増粘剤、レオジック250H、日本純薬社製)0.5%水溶液60gを7gに代え、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤200gを467gに代え、製剤例6でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物280gを120gに代えた以外は実施例1と同様の処方および操作により、IPBCのフロアブル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0085】
実施例8
実施例1において、含水ケイ酸アルミニウム(クニピアF、クニミネ工業社製)1.8%水溶液およびポリアクリル酸ナトリウム(増粘剤、レオジック250H、日本純薬社製)0.5%水溶液を投入せず、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤200gを533gに代え、製剤例6でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物280gを80gに代え、懸濁助剤(アクリル・シリコーン系樹脂、モビニールLDM7159、ニチゴーモビニール社製)99gを92gに代えた以外は実施例1と同様の処方および操作により、IPBCのフロアブル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0086】
実施例9
実施例1において、含水ケイ酸アルミニウム(クニピアF、クニミネ工業社製)1.8%水溶液およびポリアクリル酸ナトリウム(増粘剤、レオジック250H、日本純薬社製)0.5%水溶液を投入せず、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤200gを600gに代え、製剤例6でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物280gを40gに代え、懸濁助剤(アクリル・シリコーン系樹脂、モビニールLDM7159、ニチゴーモビニール社製)99gを65gに代えた以外は実施例1と同様の処方および操作により、IPBCのフロアブル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0087】
実施例10
実施例1において、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤200gを、製剤例2で製剤化したIPBCのシリカ担持剤(水系製剤)200gに代えた以外は、実施例1と同様の処方および操作により、IPBCのシリカ担持剤(水系製剤)およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0088】
実施例11
実施例1において、含水ケイ酸アルミニウム(クニピアF、クニミネ工業社製)1.8%水溶液およびポリアクリル酸ナトリウム(増粘剤、レオジック250H、日本純薬社製)0.5%水溶液を投入せず、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤200gを製剤例4で製剤化したIPBCのマイクロカプセル剤400gに代え、懸濁助剤(アクリル・シリコーン系樹脂、モビニールLDM7159、ニチゴーモビニール社製)99gを25gに代えた以外は、実施例1と同様の処方および操作により、IPBCのマイクロカプセル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0089】
実施例12
実施例1において、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤200gを製造例4で製剤化したテブコナゾールのフロアブル剤200gに代えた以外は、実施例1と同様の処方および操作により、テブコナゾールのフロアブル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0090】
実施例13
実施例1において、含水ケイ酸アルミニウム(クニピアF、クニミネ工業社製)1.8%水溶液およびポリアクリル酸ナトリウム(増粘剤、レオジック250H、日本純薬社製)0.5%水溶液を投入せず、製剤例6でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物280gを製剤例8でプレ製剤化したIPBCおよびノニオン性界面活性剤のアジピン酸ジイソノニル溶液406gに代えた以外は、実施例1と同様の処方および操作により、IPBCのフロアブル剤およびIPBCの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0091】
実施例14
実施例1において、含水ケイ酸アルミニウム(クニピアF、クニミネ工業社製)1.8%水溶液およびポリアクリル酸ナトリウム(増粘剤、レオジック250H、日本純薬社製)0.5%水溶液を投入せず、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤200gを製造例4で製剤化したテブコナゾールのフロアブル剤200gに代え、製剤例6でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物280gを製剤例8でプレ製剤化したIPBCおよびノニオン性界面活性剤のアジピン酸ジイソノニル溶液406gに代えた以外は、実施例1と同様の処方および操作により、テブコナゾールのフロアブル剤およびIPBCの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0092】
実施例15
製剤例3で製剤化したIPBC30%のシリカ担持剤(有機溶媒系製剤)1.65g、プロピコナゾール0.5g、クロチアニジン0.1g、アジピン酸ジイソノニル67.75g、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルジグリコール)30gを配合して、攪拌して混合することにより、IPBCのシリカ担持剤(有機溶媒系製剤)およびプロピコナゾールの油剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0093】
実施例1〜15および比較例1〜3の各成分の重量部数を表1に示す。
【0094】
【表1】
【0095】
(木材保存剤の評価)
1) 防腐試験
実施例1〜14および比較例1〜3の木材保存剤を水で20倍に希釈して用いて、また、実施例15の木材保存剤をそのまま(原液)として用いて、社団法人日本木材保存協会が定める「表面処理用木材防腐剤の室内防腐効力試験方法および性能基準(JWPS−FW−S.1)」に準拠して、防腐試験を実施した。また、木材保存剤を使用しない防腐試験(コントロール)についても、比較例4として実施した。これらの防腐試験では、試験対象としての腐朽菌を、オオウズラタケおよびカワラタケとし、木材の質量減少率(%)を測定した。なお、質量減少率は、3%以下が、木材保存剤の合格の規定値とされている。その結果を、表1に示す。
2) 防カビ試験
実施例1〜14および比較例1〜3の木材保存剤を水で200倍に希釈して用いて、また、実施例15の木材保存剤をアジピン酸ジイソノニルで10倍に希釈して用いて、社団法人日本木材保存協会規格第2号に準拠して、防カビ試験を実施した。また、木材保存剤を使用しない防カビ試験(コントロール)についても、比較例4として実施した。この防カビ試験では、試験対象としてのカビを、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)およびペニシリウム フニクロサム(Penicillium funiculosum)とした。防カビ試験の評価は、下記のとおりとした。その結果を、表1に示す。
【0096】
0 試験体(木材)にカビの発育が全く認められない
1 試験体の側面のみにカビの発育が認められる
2 試験体の上面の面積の1/3未満にカビの発育が認められる
3 試験体の上面の面積の1/3以上にカビの発育が認められる
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明の木材保存剤は、各種の木材に使用することができ、とりわけ、表面にカビが繁殖し易く、かつ、内部に菌が繁殖し易い各種の木材に使用することができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材保存剤、詳しくは、木材を白蟻の食害や腐朽またはカビの害から保護するための木材保存剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、木材を、木材保存剤で処理することにより、白蟻の食害や腐朽またはカビの害から保護することが広く知られている。
このような木材保存剤は、一般的に、防腐防カビ効力の相乗的な効果を期待して、複数の有効成分を単一の製剤として製剤化するようにしている。
例えば、有効成分としてIPBC(3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート)、プロピコナゾール(1−[2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−プロピル−1、3−ジオキソラン−2−イルメチル]−1H−1,2,4−トリアゾール)およびサイフルスリンと、溶剤としてジプロピルナフタレン(KMC−113)と、界面活性剤としてポリオキシアルキレンスチリルフェニルエーテル(ニューカルゲンCP80)と、水とを配合することにより、乳剤として製剤化された木材保存剤が提案されており、これを木材に塗布することにより、木材へ浸透させて、防腐効力を高めることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平10−7502号公報(表1の実施例6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかるに、カビは、木材の表面において繁殖するものであるところ、特許文献1で提案される木材保存剤は、その有効成分の全てが乳剤に製剤化されていることから、その有効成分の全てが木材の内部に浸透して、木材の表面に残存しにくいため、木材の表面のカビの防除が不十分となる。
そこで、本発明の目的は、木材の表面および木材の内部の両方において、優れた効力を発現することのできる木材保存剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明者らは、優れた効力を発現し得る木材保存剤について鋭意検討したところ、製剤形態の異なる複数の製剤を併用することにより、木材の表面および木材の内部の両方において優れた効力を発現することができるという知見を見出し、さらに研究を進めた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1) 有効成分が木材の表面に残存する第1の製剤と、
有効成分が木材の内部に浸透する第2の製剤と
を含有することを特徴とする、木材保存剤、
(2) 前記第1の製剤が懸濁剤であり、
前記第2の製剤が液剤であることを特徴とする、前記(1)に記載の木材保存剤、
(3) 前記第1の製剤が、フロアブル剤、マイクロカプセル剤および担体担持剤からなる群から選択される少なくとも1種の製剤であることを特徴とする、前記(2)に記載の木材保存剤、
(4) 前記第2の製剤が、油剤および/または乳剤であることを特徴とする、前記(2)または(3)のいずれかに記載の木材保存剤、
(5) 前記第1の製剤がフロアブル剤であり、かつ、前記第2の製剤が乳剤であることを特徴とする、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の木材保存剤、
(6) 前記第1の製剤および前記第2の製剤は、防腐防カビ剤を含有することを特徴とする、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の木材保存剤、
(7) 前記第1の製剤および前記第2の製剤のうち、少なくとも一方が、トリアゾール系化合物を含有することを特徴とする、前記(6)に記載の木材保存剤、
(8) 前記第1の製剤および前記第2の製剤のうち、少なくとも一方が、有機ヨード系化合物を含有することを特徴とする、前記(6)に記載の木材保存剤、
(9) 前記第1の製剤および前記第2の製剤のうち、一方がトリアゾール系化合物を含有し、他方が有機ヨード系化合物を含有することを特徴とする、前記(6)に記載の木材保存剤
を提供するものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明の木材保存剤によれば、第1の製剤の有効成分が、木材の表面に残存するとともに、第2の製剤の有効成分が木材の内部に浸透する。そのため、木材の表面および木材の内部の両方において、優れた効力を発現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の木材保存剤は、有効成分が木材の表面に残存する第1の製剤と、有効成分が木材の内部に浸透する第2の製剤とを含有している。
本発明において、第1の製剤は、後述する有効成分が木材の表面に残存する製剤であって、このような第1の製剤としては、例えば、懸濁剤が挙げられる。
懸濁剤は、固体の粒子状の有効成分が水および/または有機溶媒中に分散した製剤形態であって、このような懸濁剤としては、例えば、フロアブル剤、マイクロカプセル剤、担体担持剤などが挙げられる。
【0007】
フロアブル剤は、通常、水に不溶の固体の微粒子状の有効成分を、水中に分散させた水系製剤であって、このようなフロアブル剤を製剤化するには、例えば、水、有効成分、界面活性剤および増粘剤などを配合し、次いで、有効成分を、ビーズミルなどの公知の粉砕機などにより湿式粉砕しながら、分散する。また、上記の配合の前に、有効成分を微粒子状に予め粉砕(乾式粉砕)した後、これを、水、界面活性剤および増粘剤などとともに配合して混合し、分散することもできる。
【0008】
フロアブル剤において、微粒子状に粉砕された有効成分の重量平均粒子径は、例えば、0.01〜1000μm、好ましくは、0.1〜500μmである。
界面活性剤としては、例えば、石鹸類、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両イオン系界面活性剤、高分子系界面活性剤など、公知の界面活性剤が挙げられる。好ましくは、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤が挙げられる。
【0009】
ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン誘導体、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルキルアルカノールアミド、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられる。好ましくは、ショ糖脂肪酸エステルが挙げられる。
【0010】
これら界面活性剤は、そのHLBが、例えば、10〜20、好ましくは、13〜20である。HLBが、上記した範囲にあれば、分散安定性の効果がある。なお、界面活性剤がノニオン性界面活性剤である場合には、そのHLBは、次式(グリフィンの式)により算出される。
HLB=20×{1−(S/A)}
S:多価アルコールエステルのけん化価
A:脂肪酸の中和価(酸価)
アニオン系界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸金属塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸金属塩、アルキルナフタレンスルホン酸金属塩、ポリカルボン酸型界面活性剤、ジアルキルスルホコハク酸エステル金属塩、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩、リグニンスルホン酸金属塩などが挙げられる。また、これらの金属塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩などが挙げられる。
【0011】
これら界面活性剤は、単独または2種以上併用してもよい。
増粘剤は、フロアブル剤の貯蔵安定性の向上を図るためのものであって、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリアクリル酸カリウム、アルギン酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウムなどのイオン架橋型有機酸類、例えば、アラビアガム、グアーガムおよびこれらの誘導体、ビーガム、キサンタンガム、ウェランガム、ランタンガム、ジュランガムなどのガム類、例えば、メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロール(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)およびこれらの誘導体などのセルロース類などが挙げられる。好ましくは、セルロース類が挙げられる。
【0012】
また、これら増粘剤は、その20℃での2重量%水溶液の粘度が、例えば、10000mPa・s未満、好ましくは、1000mPa・s未満、通常、2mPa・s以上である。増粘剤が上記した範囲の低粘度であれば、増粘剤が有効成分の保護コロイドを形成して、優れた分散性を確保することができ、かつ、長期にわたって優れた貯蔵安定性を維持することができる。
【0013】
これら増粘剤は、単独または2種以上併用してもよい。
フロアブル剤において、各成分の配合割合は、有効成分100重量部に対して、界面活性剤が、例えば、0.1〜30重量部、好ましくは、0.2〜20重量部であり、増粘剤が、例えば、0.1〜100重量部、好ましくは、0.5〜50重量部であり、水が、例えば、100〜100000重量部、好ましくは、150〜10000重量部である。
【0014】
マイクロカプセル剤は、通常、有効成分が被膜に内包されているマイクロカプセルを、水中に分散させた水系製剤であって、このようなマイクロカプセル剤は、例えば、化学的方法、物理化学的方法、物理的および機械的方法など、公知の方法によって製剤化することができる。
化学的方法としては、例えば、界面重合法、in situ 重合法、液中硬化被膜法などが挙げられる。
【0015】
界面重合法としては、例えば、多塩基酸ハライドとポリオールとを界面重合させてポリエステルからなる膜を形成する方法、多塩基酸ハライドとポリアミンとを界面重合させてポリアミドからなる膜を形成する方法、ポリイソシアネートとポリオールとを界面重合させてポリウレタンからなる膜を形成する方法、ポリイソシアネートとポリアミンとを界面重合させてポリウレアからなる膜を形成する方法などが挙げられる。
【0016】
in situ 重合法では、例えば、スチレンとジビニルベンゼンとを共重合させてポリスチレン共重合体からなる膜を形成する方法、メチルメタクリレートとn−ブチルメタクリレートとを共重合させてポリメタクリレート共重合体からなる膜を形成する方法などが挙げられる。
液中硬化法では、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エポキシ樹脂、アルギン酸ソーダなどを液中で硬化させる方法が挙げられる。
【0017】
物理化学的方法としては、例えば、単純コアセルベーション法、複合コアセルベーション法、pHコントロール法、非溶媒添加法などの水溶液からの相分離法や、有機溶媒からの相分離法などのコアセルベーション法などが挙げられる。物理化学的方法において、膜形成成分としては、例えば、ゼラチン、セルロース、ゼラチン−アラビアゴムなどが挙げられる。また、ポリスチレンなどが用いられる界面沈降法などを挙げることもできる。
【0018】
物理的および機械的方法としては、例えば、スプレードライング法、気中懸濁被膜法、真空蒸着被膜法、静電的合体法、融解分散冷却法、無機質壁カプセル化法などが挙げられる。物理的および機械的方法において、膜形成成分としては、例えば、ゼラチン、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。
【0019】
好ましくは、界面重合法によって、製剤化する。このような界面重合法は、例えば、特開2004−189734号公報の記載に準拠して、製剤化することができる。
マイクロカプセル剤において、被膜の厚みは、例えば、0.5μm以下であり、好ましくは、0.01〜0.5μmであり、その被膜の重量割合は、有効成分100重量部に対して、例えば、0.01〜100重量部、好ましくは、1〜50重量部である。また、マイクロカプセルは、その体積平均粒子径が、例えば、6〜100μm、好ましくは、10〜30μmである。
【0020】
担体担持剤は、通常、有効成分を担持した、水および/または有機溶媒に不溶の固体の担体を、水および/または有機溶媒中に分散させた水および/または有機溶媒系製剤である。このような担体担持剤を製剤化するには、有効成分を、担体に予め担持させた後、これを、例えば、分散剤、必要により増粘剤などを用いて水および/または有機溶媒中に分散する。
【0021】
担体としては、担持能または吸着能を有する固形の担体であれば制限されず、例えば、層状ケイ酸塩(モンモリロナイトなど)、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、ゼオライト、活性炭、ホワイトカーボン、シクロデキストリン(例えば、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンなど)などが挙げられる。好ましくは、シリカ、ゼオライトが挙げられる。
【0022】
また、担体は、微粉状または微粒子状のものが用いられ、その重量平均粒子径が、例えば、0.01〜1000μm、好ましくは、0.1〜500μmであり、そのBET比表面積が、例えば、0.1〜2000m2/g、好ましくは、1〜1000m2/gである。
有効成分を担体に予め担持させるには、例えば、まず、有効成分を、有機溶媒に配合して、有効成分を有機溶媒に溶解または分散させ、次いで、これに担体を配合して混合させた後、有機溶媒を、風乾や減圧乾燥などの公知の方法により除去(留去)すればよい。
【0023】
有機溶媒としては、有効成分を溶解または分散させることのできるものであれば制限されず、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソオクチル、アジピン酸ジノニル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジドデシル、アジピン酸ジテトラデシル、アジピン酸ジヘキサデシル、アジピン酸ジオクタデシル、アジピン酸デシルイソオクチル、スベリン酸ジオクチル、スベリン酸ジイソノニル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジイソノニルなどの脂肪酸エステル類、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテートなどのエチレングリコールエステル類、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、例えば、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、例えば、ヘキサノール、オクタノール、ベンジルアルコール、フルフリルアルコールなどのアルコール類、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルジグリコール)、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール類、例えば、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、1,1,1−トリクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、例えば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミドなどの含窒素化合物類、例えば、アルキルベンゼン類、アルキルナフタレン類、アルキルフェノール類、フェニルキシリルエタンなどの石油系溶媒(より具体的には、石油留分より得られる種々の市販の有機溶媒、例えば、サートレックス48(高沸点芳香族系溶媒、蒸留範囲254〜386℃、モービル石油社製)、アルケンL(アルキルベンゼン、蒸留範囲285〜309℃、日本石油化学社製)、ソルベッソ150(アルキルベンゼン、蒸留範囲188〜209℃、エクソン化学社製)、ソルベッソ200(アルキルナフタレン、蒸留範囲226〜286℃、エクソン化学社製)、KMC−113(ジイソプロピルナフタレン、沸点300℃、呉羽化学工業社製)、SAS296(フェニルキシリルエタン、蒸留範囲290〜305℃、日本石油化学社製)など)、なたね油などの油類などが挙げられる。
【0024】
これら有機溶媒は、単独または2種以上併用してもよい。
有効成分の担体への担持において、有機溶媒の配合割合は、有効成分100重量部に対して、例えば、50〜100000重量部、好ましくは、100〜10000重量部である。
また、有効成分を分散させるための有機溶媒としては、上記した有効成分の担体への担持に用いたものと同様のものが挙げられる。
【0025】
分散剤としては、上記した界面活性剤と同様のものが挙げられる。
また、必要により配合される増粘剤としては、上記した増粘剤と同様のものが挙げられる。
担体担持剤において、各成分の重量割合は、有効成分100重量部に対して、担体が、例えば、1〜10000重量部、好ましくは、10〜1000重量部であり、分散剤が、例えば、0.01〜50重量部、好ましくは、1〜20重量部であり、必要により配合される増粘剤が、例えば、0.01〜20重量部、好ましくは、0.1〜10重量部、水が、例えば、100〜100000重量部、好ましくは、150〜10000重量部、有機溶媒が、例えば、100〜100000重量部、好ましくは、150〜10000重量部である。
【0026】
これら第1の製剤は、単独または併用することができる。
そして、第1の製剤が、フロアブル剤、マイクロカプセル剤および担体担持剤からなる群から選択される少なくとも1種の製剤である場合には、有効成分を木材の表面に効率よく残存させることができる。
本発明において、第2の製剤は、有効成分が木材の内部に浸透する製剤であって、このような第2の製剤としては、例えば、液剤が挙げられる。
【0027】
液剤は、液状の有効成分が水および/または有機溶媒中に溶解または液滴として分散した製剤形態であって、このような液剤としては、例えば、油剤、乳剤などが挙げられる。
油剤は、通常、有効成分を、有機溶媒中に溶解させた有機溶媒系製剤である。このような油剤を製剤化するには、例えば、有効成分および有機溶媒を配合し、次いで、公知の攪拌機で攪拌しながら、溶解する。
【0028】
なお、有機溶媒は、上記した第1の製剤(担体担持剤)が含有する有機溶媒を、油剤の有機溶媒として、そのまま使用することもできる。すなわち、有効成分(または有効成分を有機溶媒に溶解させた溶液)に第1の製剤(担体担持剤)の有機溶媒を第1の製剤(担体担持剤)とともに配合することにより、油剤を製剤化する。
油剤において、有機溶媒(第1の製剤の有機溶媒を含む。)の重量割合は、有効成分100重量部に対して、例えば、100〜500000重量部、好ましくは、1000〜50000重量部である。
【0029】
乳剤は、通常、有効成分または有効成分を有機溶媒に溶解させた溶液を、水中に分散させた油−水(O/W型)エマルション系製剤である。このような乳剤を製剤化するには、例えば、有効成分または有効成分を有機溶媒に溶解させた溶液に、水および乳化剤を配合し、次いで、必要により加熱しながら、ホモディスパーなどの公知の攪拌機で攪拌し、有効成分(または有効成分を有機溶媒に溶解させた溶液)を水中に液滴として乳化させる。
【0030】
有機溶媒としては、上記した有機溶媒と同様のものがそれぞれ挙げられる。
乳化剤としては、上記した界面活性剤と同様のものが挙げられる。
なお、水は、上記した第1の製剤が含有する水を、乳剤の水として、そのまま使用することもできる。すなわち、まず、有効成分(または有効成分を有機溶媒に溶解させた溶液)に、乳化剤を配合して混合(プレ製剤化)し、次いで、これに第1の製剤の水を第1の製剤とともに配合することにより、乳剤を製剤化する。
【0031】
乳剤において、各成分の重量割合は、有効成分100重量部に対して、水(第1の製剤の水を含む。)が、例えば、0.01〜5000重量部、好ましくは、0.1〜1000重量部であり、乳化剤が、例えば、0.1〜500重量部、好ましくは、1〜200重量部、有機溶媒(有効成分を有機溶媒に溶解させる場合)が、例えば、50〜10000重量部、好ましくは、60〜1000重量部である。
【0032】
これら第2の製剤は、単独または併用することができる。
そして、第2の製剤が、油剤および/または乳剤である場合には、有効成分を木材の内部に効率よく浸透させることができる。
上記した第1の製剤および第2の製剤において、これらの組合せとしては、好ましくは、第1の製剤がフロアブル剤であり、かつ、第2の製剤が乳剤の組合せである。この組合せであれば、有効成分を木材の表面により一層効率よく残存させ、かつ、有効成分を木材の内部により一層効率よく浸透させることができる。
【0033】
第1の製剤および第2の製剤は、その有効成分として、少なくとも、防腐防カビ剤を含有している。
このような防腐防カビ剤としては、防腐防カビ効力を有するものであれば制限されず、例えば、トリアゾール系化合物、有機ヨード系化合物、スルファミド系化合物、ビス四級アンモニウム塩系化合物、四級アンモニウム塩系化合物、フタロニトリル系化合物、ジチオール系化合物、チオフェン系化合物、チオカルバメート系化合物、ニトリル系化合物、フタルイミド系化合物、ハロアルキルチオ系化合物、ピリジン系化合物、ピリチオン系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、トリアジン系化合物、グアニジン系化合物、尿素系化合物、イミダゾール系化合物、イソチアゾリン系化合物、ニトロアルコール系化合物、フェニルウレア系化合物などが挙げられる。
【0034】
トリアゾール系化合物としては、例えば、1−[[2−(2,4−ジクロロフェニル)−4−n−プロピル−1,3−ジオキソラン−2−イル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール(慣用名:プロピコナゾール)、α−[2−(4−クロロフェニル)エチル]−α−(1,1−ジメチルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール(慣用名:テブコナゾール)、α−(4−クロロフェニル)−α−(1−シクロプロピルエチル)−1H−1,2,4−トリアゾール−1−エタノール(慣用名:シプロコナゾール)、1−[[2−(2,4−ジクロロフェニル)−1,3−ジオキソラン−2−イル]メチル]−1H−1,2,4−トリアゾール(慣用名:アザコナゾール)などが挙げられる。
【0035】
有機ヨード系化合物としては、例えば、3−ヨード−2−プロピニルブチルカルバメート(慣用名:IPBC)、p−クロロフェニル−3−ヨードプロパルギルホルマール(商品名:IF−1000、長瀬産業社製)、1−[[(3−ヨード−2−プロピニル)オキシ]メトキシ]−4−メトキシベンゼン、3−ブロモ−2,3−ジヨード−2−プロペニルエチルカーボネート(商品名:サンプラス、三共ライフテック社製)などが挙げられる。
【0036】
スルファミド系化合物としては、例えば、N−ジクロロフルオロメチルチオ−N',N'−ジメチル−N−フェニルスルファミド(商品名:プリベントールA4/S、バイエル社製)、N−ジクロロフルオロメチルチオ−N',N'−ジメチル−N−4−トリルスルファミド(商品名:プリベントールA5、バイエル社製)などが挙げられる。
ビス四級アンモニウム塩系化合物としては、例えば、N,N'−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムブロマイド)(商品名:ダイマー38、イヌイ社製)、N,N'−ヘキサメチレンビス(4−カルバモイル−1−デシルピリジニウムアセテート)(商品名:ダイマー38A、イヌイ社製)、4,4'−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウムブロマイド)(商品名:ダイマー136、イヌイ社製)、4,4'−(テトラメチレンジカルボニルジアミノ)ビス(1−デシルピリジニウムアセテート)(商品名:ダイマー136A、イヌイ社製)などが挙げられる。
【0037】
四級アンモニウム塩系化合物としては、例えば、ジ−n−デシル−ジメチルアンモニウムクロライド、1−ヘキサデシルピリジニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロマイド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、コータミンD10EPR(花王社製)などが挙げられる。
フタロニトリル系化合物としては、例えば、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル(商品名:ノプコサイドN−96、サンノプコ社製)などが挙げられる。
【0038】
ジチオール系化合物としては、例えば、4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−3−オンなどが挙げられる。
チオフェン系化合物としては、例えば、3,3,4−トリクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、3,3,4,4−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシドなどが挙げられる。
【0039】
チオカルバメート系化合物としては、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィドなどが挙げられる。
ニトリル系化合物としては、例えば、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリルなどが挙げられる。
フタルイミド系化合物としては、例えば、N−1,1,2,2−テトラクロロエチルチオ−テトラヒドロフタルイミド(Captafol)、N−トリクロロメチルチオ−テトラヒドロフタルイミド(Captan)、N−ジクロロフルオロメチルチオフタルイミド(Fluorfolpet)、N−トリクロロメチルチオフタルイミド(Folpet)などが挙げられる。
【0040】
ハロアルキルチオ系化合物としては、例えば、N−ジメチルアミノスルホニル−N−トリル−ジクロロフルオロメタンスルファミド(Tolylfluanide)、N−ジメチルアミノスルホニル−N−フェニル−ジクロロフルオロメタンスルファミド(Dichlofluanide)、N−(フルオロジクロロメチルチオ)−N、N'−ジメチル−N−フェニル−スルファミドなどが挙げられる。
【0041】
ピリジン系化合物としては、例えば、2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジンなどが挙げられる。
ピリチオン系化合物としては、例えば、ジンクピリチオン、ナトリウムピリチオンなどが挙げられる。
ベンゾチアゾール系化合物としては、例えば、2−(4−チオシアノメチルチオ)ベンゾチアゾールなどが挙げられる。
【0042】
トリアジン系化合物としては、例えば、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジンなどが挙げられる。
グアニジン系化合物としては、例えば、1,6−ジ−(4'−クロロフェニルジグアニド)−ヘキサン、ポリヘキサメチレンビグアニジン塩酸塩などが挙げられる。
尿素系化合物としては、例えば、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレアなどが挙げられる。
【0043】
イミダゾール系化合物としては、例えば、メチル−2−ベンズイミダゾールカルバメート(慣用名:MBC)、メチル−2−ベンズイミダゾールカルバメート塩酸塩、2−(4−チアゾリル)−ベンズイミダゾールなどが挙げられる。
イソチアゾリン系化合物としては、例えば、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンツイソチアゾリン−3−オン、N−n−ブチル−1,2−ベンツイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられる。
【0044】
ニトロアルコール系化合物としては、例えば、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロ−1−エタノールなどが挙げられる。
フェニルウレア系化合物としては、例えば、3−(3,4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメチルウレアなどが挙げられる。
また、防腐防カビ剤としては、上記した以外にも、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ホウ砂、ヒノキチオールまたはその塩なども挙げられる。
【0045】
これら防腐防カビ剤は、単独または併用して用いられる。
これら防腐防カビ剤のうち、好ましくは、トリアゾール系化合物、有機ヨード系化合物が挙げられ、さらに好ましくは、プロピコナゾール、テブコナゾール、IPBCが挙げられる。
また、この木材保存剤では、第1の製剤および第2の製剤のうち、例えば、少なくとも一方が、トリアゾール系化合物を含有している。このような態様として、第1の製剤のみがトリアゾール系化合物を含有する態様、第2の製剤のみがトリアゾール系化合物を含有する態様、第1の製剤および第2の製剤の両方がトリアゾール系化合物を含有する態様が挙げられる。
【0046】
また、この木材保存剤では、第1の製剤および第2の製剤のうち、例えば、少なくとも一方が、有機ヨード系化合物を含有している。このような態様として、第1の製剤のみが有機ヨード系化合物を含有する態様、第2の製剤のみが有機ヨード系化合物を含有する態様、第1の製剤および第2の製剤の両方が有機ヨード系化合物を含有する態様が挙げられる。
【0047】
好ましくは、第1の製剤および第2の製剤のうち、一方がトリアゾール系化合物を含有し、他方が有機ヨード系化合物を含有している。このような態様として、第1の製剤がトリアゾール系化合物を含有し(有機ヨード系化合物を含有しない)、かつ、第2の製剤が有機ヨード系化合物を含有する(トリアゾール系化合物を含有しない)態様、第1の製剤が有機ヨード系化合物を含有し(トリアゾール系化合物を含有しない)、かつ、第2の製剤がトリアゾール系化合物を含有する(有機ヨード系化合物を含有しない)態様、第1の製剤がトリアゾール系化合物および有機ヨード系化合物の両方を含有し、かつ、第2の製剤が有機ヨード系化合物を含有する(トリアゾール系化合物を含有しない)態様、第1の製剤がトリアゾール系化合物および有機ヨード系化合物の両方を含有し、かつ、第2の製剤がトリアゾール系化合物を含有する(有機ヨード系化合物を含有しない)態様、第1の製剤がトリアゾール系化合物を含有し(有機ヨード系化合物を含有しない)、かつ、第2の製剤がトリアゾール系化合物および有機ヨード系化合物の両方を含有する態様、第1の製剤が有機ヨード系化合物を含有し(トリアゾール系化合物を含有しない)、かつ、第2の製剤がトリアゾール系化合物および有機ヨード系化合物の両方を含有する態様、第1の製剤および第2の製剤が、ともに、トリアゾール系化合物および有機ヨード系化合物の両方を含有する態様が挙げられる。
【0048】
さらに、本発明の木材保存剤では、上記した防腐防カビ剤を含有する第1の製剤および第2の製剤以外にも、防蟻防虫剤などの有効成分を含有するその他の製剤を含有してもよい。
その他の製剤の製剤形態は、その目的および用途に応じて適宜選択され、例えば、上記した懸濁剤および液剤や、これら以外にも、ペースト剤、粉剤、粒剤など、公知の種々の製剤形態を挙げることができる。
【0049】
防蟻防虫剤としては、例えば、ネオニコチノイド系化合物、ピレスロイド系化合物、有機塩素系化合物、有機リン系化合物、カルバメート系化合物、ピロール系化合物、フェニルピラゾール系化合物、オキサダイアジン系化合物、セミカルバゾン系化合物、植物またはその処理物あるいはその誘導体などが挙げられる。
ネオニコチノイド系化合物としては、例えば、(E)−1−(2−クロロチアゾール−5−イルメチル)−3−メチル−2−ニトログアニジン(慣用名:クロチアニジン)、N−アセチル−N−(2−クロロチアゾール−5−イル)メチル−N'−メチル−N"−ニトログアニジン、N−(2−クロロチアゾール−5−イル)メチル−N−メトキシカルボニル−N'−メチル−N"−ニトログアニジン、1−(6−クロロ−3−ピリジルメチル)−N−ニトロイミダゾリン−2−イリデンアミン(慣用名:イミダクロプリド)、3−(2−クロロ−チアゾール−5−イルメチル)−5−[1,3,5]オキサジアジナン−4−イルインデン−N−ニトロアミン(慣用名:チアメトキサム)、(E)−N−[(6−クロロ−3−ピリジル)メチル]−N'−シアノ−N−メチルアセタミジン(慣用名:アセタミプリド)、(ES)−1−メチル−2−ニトロ−3−(テトラヒドロ−3−フリルメチル)グアニジン(慣用名:ジノテフラン)などが挙げられる。
【0050】
ピレスロイド系化合物としては、例えば、アレスリン、ペルメトリン、トラロメトリン、ビフェントリン、アクリナトリン、アルファシペルメトリン、シフルトリン、シフェノトリン、プラレトリン、エトフェンプロックス、シラフルオフェン、パーメスリン、トラロメスリン、フェンバレレートなどが挙げられる。
有機塩素系化合物としては、例えば、ケルセンなどが挙げられる。
【0051】
有機リン系化合物としては、例えば、ホキシム、ピリダフェンチオン、フェニトロチオン(MEP)、テトラクロルビンホス、ジクロフェンチオン、プロペタンホスなどが挙げられる。
カルバメート系化合物としては、例えば、カルバリル、フェノブカルブ(BPMC)、プロポクスルなどが挙げられる。
【0052】
ピロール系化合物としては、例えば、クロルフェナピルなどが挙げられる。
フェニルピラゾール系化合物としては、例えば、フィプロニルなどが挙げられる。
オキサダイアジン系化合物としては、例えば、インドキサカルブなどが挙げられる。
セミカルバゾン系化合物としては、例えば、α−(α,α,α−トリフルオロ−m−トルオイル)−p−トリニトリル4−(p−トリフルオロメトキシフェニル)セミカルバゾンなどが挙げられる。
【0053】
植物またはその処理物あるいはその誘導体としては、例えば、特開2002−3074
06号公報、特開2003−252708号公報、特開2005−74776号公報に記載されたものが挙げられる。
これら防蟻防虫剤のうち、好ましくは、ネオニコチノイド系化合物が挙げられ、さらに好ましくは、クロチアニジンが挙げられる。
【0054】
さらに、本発明の木材保存剤には、第1の製剤および第2の製剤とは別に、さらに、公知の添加剤、例えば、増粘剤、凍結防止剤、充填剤、懸濁助剤、消泡剤、酸化防止剤、光安定剤、顔料、染料などを添加することにより、木材保存剤として調製することができる。また、これらの添加剤は、第1の製剤および第2の製剤のそれぞれに予め添加してもよく、また、木材保存剤の調製時(第1の製剤と第2の製剤との配合時)に添加することもできる。
【0055】
増粘剤としては、上記した増粘剤と同様のものが挙げられる。
凍結防止剤としては、例えば、プロピレングリコールが挙げられる。
充填剤としては、例えば、ケイ酸アルミニウム(含水ケイ酸アルミニウムを含む。)、シリカ、アルミナ、クレー、タルク、ゼオライトなどが挙げられる。
懸濁助剤としては、例えば、アクリル・シリコーン系樹脂(モビニールシリーズ、ニチゴーモビニール社製)などが挙げられる。
【0056】
消泡剤としては、例えば、BYK021(BYKシリーズ、ビックケミー社製)、鉱物油や疎水性シリカ、または、これらの混合物などが挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)などのフェノール系酸化防止剤、例えば、アルキルジフェニルアミン、N,N’−ジ−s−ブチル−p−フェニレンジアミンなどのアミン系酸化防止剤などが挙げられる。
【0057】
光安定剤としては、例えば、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケートなどのヒンダードアミン系光安定剤などが挙げられる。
これら添加剤は、単独または併用して用いられる。
また、本発明の木材保存剤において、添加剤が添加される場合には、各添加剤の配合割合は、木材保存剤100重量部に対して、増粘剤では、例えば、0.1〜50重量部、好ましくは、1〜10重量部、凍結防止剤では、例えば、0.1〜20重量部、好ましくは、1〜10重量部、充填剤では、例えば、0.1〜20重量部、好ましくは、0.2〜10重量部、懸濁助剤では、例えば、0.1〜50重量部、好ましくは、1〜25重量部、消泡剤では、0.1〜30重量部、好ましくは、0.2〜20重量部、酸化防止剤では、例えば、0.1〜10重量部、好ましくは、0.2〜5重量部、光安定剤では、例えば、0.1〜10重量部、好ましくは、0.2〜5重量部である。
【0058】
そして、本発明の木材保存剤を調製するには、例えば、第1の製剤と、第2の製剤とを別々に製剤化し、これらを、必要により添加剤とともに、配合して、混合すればよい。
また、第2の製剤が油剤である場合には、まず、第1の製剤(担体担持剤)を製剤化し、これとは別に、第2の製剤をプレ製剤化する。次いで、第2の製剤のためのプレ製剤化したものと、すでに製剤化した第1の製剤(担体担持剤)とを、必要により添加剤とともに、配合して混合する。これにより、第2の製剤を製剤化するとともに、木材保存剤を製剤化することもできる。
【0059】
また、第2の製剤が乳剤である場合には、まず、第1の製剤を製剤化し、これとは別に、第2の製剤をプレ製剤化する。次いで、第2の製剤のためのプレ製剤化したものと、すでに製剤化した第1の製剤とを、必要により添加剤とともに、配合して混合する。これにより、第2の製剤を製剤化するとともに、木材保存剤を製剤化することもできる。
本発明の木材保存剤において、第1の製剤および第2の製剤の配合割合は、木材保存剤100重量部に対して、第1の製剤(固形分の重量)が、例えば、0.01〜99.99重量部、好ましくは、1〜99重量部であり、第2の製剤(固形分の重量)が、例えば、0.01〜99.99重量部、好ましくは、1〜99重量部である。また、第1の製剤の有効成分および第2の製剤の有効成分の割合は、例えば、1:99(第1の製剤の有効成分の重量:第2の製剤の有効成分の重量。以下同じ。)〜99:1、好ましくは、10:90〜90:10、さらに好ましくは、10:90〜80:20、とりわけ好ましくは、20:80〜50:50である。
【0060】
上記のようにして得られた木材保存剤は、浸漬や塗布などの公知の処理方法により、木材に処理することができる。
なお、本発明の木材保存剤が処理される木材としては、住宅、建築物などの建材材料や家具などの一般工業材料などを挙げることができるが、その種類は制限されない。
そして、本発明の木材保存剤によれば、第1の製剤の有効成分、より具体的には、懸濁剤に製剤化される防腐防カビ剤が、木材の表面に残存するとともに、第2の製剤の有効成分、より具体的には、液剤に製剤化される防腐防カビ剤が木材の内部に浸透する。そのため、木材の表面において、優れた防カビ効果を発現するとともに、木材の内部においても、優れた防腐効果を発現することができる。
【0061】
なお、本発明の木材保存剤は、対象となる木材において、防腐防カビ剤としての有効成分の濃度が、約0.005〜30重量%、好ましくは、0.01〜2重量%程度となるように、必要により水で希釈した後、処理される。
【実施例】
【0062】
以下に実施例および比較例を挙げ、本発明をより具体的に説明する。
<懸濁剤の製剤化>
製剤例1
(IPBCのフロアブル剤の製剤化)
IPBC(プリベントールMP−100、バイエル社製)30g、ショ糖脂肪酸エステル(DKエステルF−160、第一工業製薬社製)1.5g、メチルセルロース(メトローズ90SH−100、粘度100mPa・s(20℃、2重量%水溶液)、信越化学工業社製)2g、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム0.6g、鉱油・疎水性シリカ混合物0.2gを水65.7gに加えて攪拌して混合した後、さらにビーズミル(ダイノーミル、Typ KDL A、ガラスビーズ径0.5mm)で湿式粉砕することにより、IPBC30%のフロアブル剤を製剤化した。
【0063】
製剤例2
(IPBCのシリカ担持剤(水系製剤)の製剤化)
IPBC30gをアセトン100gに溶解させ、次いで、シリカ粉末(サイリシア310P、重量平均粒子径2.7μm、BET比表面積300m2/g、富士シリシア社製)50gを配合して混合した後、アセトンを風乾させて完全に留去させた。その後、水9.9g、ノニオン系分散剤(ニューカルゲンFS−4)0.1g、ポリアクリル酸ナトリウム(増粘剤、レオジック250H、日本純薬社製)0.5%水溶液10gを加えて攪拌して混合することにより、IPBC30%のシリカ担持剤(水系製剤)を製剤化した。
【0064】
製剤例3
(IPBCのシリカ担持剤(有機溶媒系製剤)の製剤化)
IPBC30gをアセトン100gに溶解させ、次いで、シリカ粉末(サイリシア310P、重量平均粒子径2.7μm、BET比表面積300m2/g、富士シリシア社製)50gを配合して混合した後、アセトンを風乾させて完全に留去させた。その後、アジピン酸ジイソノニル70gを加えて攪拌して混合することにより、IPBC30%のシリカ担持剤(有機溶媒系製剤)を製剤化した。
【0065】
製剤例4
(IPBCのマイクロカプセル剤の製剤化)
IPBC12gをアジピン酸ジイソノニル18gに溶解させて、IPBC40%のアジピン酸ジイソノニル溶液を得た。次いで、得られたIPBC40%のアジピン酸ジイソノニル溶液にポリイソシアネート(タケネートD−140N、三井化学ポリウレタン社製)5.3gを加え、均一に攪拌して、IPBCおよびポリイソシアネートのアジピン酸ジイソノニル溶液を得た。
【0066】
その後、得られたIPBCおよびポリイソシアネートのアジピン酸ジイソノニル溶液を、ポリビニルアルコール(クラレポバール217、クラレ社製)4gおよびナフタレンスルホン酸ホルムアルデヒド縮合物(ニューカルゲンFS−4、竹本油脂社製)0.1gを含む水溶液40gに加えて、微少滴になるようにホモミキサー(T.K.オートホモミキサー、特殊機化工業社製)で常温下で、数分間、回転数2000rpmで攪拌した。
【0067】
次いで、この混合液を75℃の恒温槽中で3時間緩やかに攪拌させながら、ジエチレントリアミンを0.2g滴下させて、これらを界面重合させることにより、IPBCがポリウレタンおよびポリウレアからなる膜に内包されたマイクロカプセル剤を製剤化した。その後、これに水を加えて、全体の重量を80gとして、IPBCの濃度を15%に調整した。
【0068】
製剤例5
(テブコナゾールのフロアブル剤の製剤化)
製剤例1のIPBCのフロアブル剤の製剤化において、IPBCをテブコナゾールに代えた以外は、製剤例1と同様の処方および操作により、テブコナゾール30%のフロアブル剤を製剤化した。
【0069】
<乳剤(液剤)の製剤化(プレ製剤化)>
製剤例6
(プロピコナゾールの乳剤のためのプレ製剤化)
プロピコナゾール500g、ノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ナロアクティーCL100、三洋化成工業社製)500gを配合し、これらを50℃に加熱し、その後、ホモディスパー(T.K.オートホモディスパー、特殊機化工業社製)で均一に混合することにより、プロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物1000gを得た。
【0070】
製剤例7
(IPBCおよびプロピコナゾールの乳剤のためのプレ製剤化)
IPBC60g、プロピコナゾール140g、ノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ナロアクティーCL100、三洋化成工業社製)140gを配合し、これらを50℃に加熱し、その後、ホモディスパーで均一に混合することにより、IPBC、プロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物340gを得た。
【0071】
製剤例8
(IPBCの乳剤のためのプレ製剤化)
IPBC140gをアジピン酸ジイソノニル126gに溶解させた後、50℃に予め加熱したノニオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ナロアクティーCL100、三洋化成工業社製)140gを加えホモディスパーで均一に混合することにより、IPBCおよびノニオン性界面活性剤のアジピン酸ジイソノニル溶液406gを得た。
【0072】
<その他の製剤の製剤化>
製剤例9
(クロチアニジンのマイクロカプセル剤の製剤化)
ジイソプロピルナフタレン(KMC−113、呉羽化学工業社製)318g、アルキルベンゼン(アルケンL、日本石油化学工業社製)154g、消泡剤(BYK164、ビックケミー社製)48gを配合し、これらを均一に攪拌して混合し、これにクロチアニジン480gを加えホモディスパーで攪拌することにより、クロチアニジン48%含有スラリー液Aを得た。次いで、得られたクロチアニジン48%含有スラリー液Aをビーズミルで湿式粉砕した。次いで、湿式粉砕したスラリー液Aのうちの283gに、ポリイソシアネート(タケネートD−140N、三井化学ポリウレタン社製)213gを加え、均一に攪拌しスラリー液Bを得た。
【0073】
その後、得られたスラリー液Bのうちの248gを、ポリビニルアルコール(クラレポバール217、クラレ社製)50.4gおよびノニオン系分散剤(ニューカルゲンFS−4)3.6gを含む水溶液492gに加えて、微少滴になるようにホモミキサーで常温下で、数分間、回転数5000rpmで攪拌した。
次いで、この混合液を緩やかに攪拌しながら、水207gおよびスラリー液Bの残りの248gを投入し攪拌を継続した。その後常温下でホモミキサーで、数分間、回転数2500rpmで攪拌した。
【0074】
次いで、この混合液を75℃の恒温槽中で3時間緩やかに攪拌させながら、ジエチレントリアミンを7.6g滴下させて、これらを界面重合させることにより、クロチアジニンがポリウレタンおよびポリウレアからなる膜に内包されたマイクロカプセル剤を製剤化した。その後、これにポリアクリル酸ナトリウム(増粘剤)0.5%水溶液450g、凍結防止剤(プロピレングリコール)54g、水93.4gを加え全体の重量を1800gとして、クロチアニジンの濃度を7.5%に調整した。
【0075】
<木材保存剤の調製>
実施例1
製剤例9で製剤化したクロチアニジンのマイクロカプセル剤270gをホモディスパーで攪拌しながら、含水ケイ酸アルミニウム(クニピアF、クニミネ工業社製)1.8%水溶液66g、ポリアクリル酸ナトリウム(増粘剤、レオジック250H、日本純薬社製)0.5%水溶液60g、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤200g、製剤例6でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物280g、懸濁助剤(アクリル・シリコーン系樹脂、モビニールLDM7159、ニチゴーモビニール社製)99g、アニオン性界面活性剤(ジアルキルスルホコハク酸金属塩、サンヒビターOMA−10、三洋化成工業社製)20g、鉱油・疎水性シリカ混合物5gを順次投入し、さらにホモデイスパーで数分間攪拌した。これにより、プロピコナゾールを乳剤として製剤化するとともに、IPBCのフロアブル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0076】
比較例1
実施例1において、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤を投入せず、製剤例6でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物280gを製剤例7でプレ製剤化したIPBCおよびプロピコナゾールの混合物340gに代え、さらに、水140gを投入した以外は、実施例1と同様の処方および操作により、IPBCの乳剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0077】
比較例2
実施例1において、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤を投入せず、製剤例6でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物280gを400gに代え、さらに、水80gを投入した以外は、実施例1と同様の処方および操作により、プロピコナゾールの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0078】
比較例3
実施例1において、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤200gを333gに代え、製剤例6でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物を投入せず、さらに、水147gを投入した以外は、実施例1と同様の処方および操作により、IPBCのフロアブル剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0079】
実施例2
実施例1において、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤200gを66gに代え、製剤例6でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物280gを360gに代え、さらに、水54gを投入した以外は実施例1と同様の処方および操作により、IPBCのフロアブル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0080】
実施例3
実施例1において、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤200gを133gに代え、製剤例6でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物280gを320gに代え、さらに、水27gを投入した以外は実施例1と同様の処方および操作により、IPBCのフロアブル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0081】
実施例4
実施例1において、ポリアクリル酸ナトリウム(増粘剤、レオジック250H、日本純薬社製)0.5%水溶液60gを33gに代え、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤200gを267gに代え、製剤例6でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物280gを240gに代えた以外は実施例1と同様の処方および操作により、IPBCのフロアブル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0082】
実施例5
実施例1において、含水ケイ酸アルミニウム(クニピアF、クニミネ工業社製)1.8%水溶液66gを43gに代え、ポリアクリル酸ナトリウム(増粘剤、レオジック250H、日本純薬社製)0.5%水溶液60gを30gに代え、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤200gを333gに代え、製剤例6でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物280gを200gに代えた以外は実施例1と同様の処方および操作により、IPBCのフロアブル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0083】
実施例6
実施例1において、含水ケイ酸アルミニウム(クニピアF、クニミネ工業社製)1.8%水溶液66gを26gに代え、ポリアクリル酸ナトリウム(増粘剤、レオジック250H、日本純薬社製)0.5%水溶液60gを20gに代え、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤200gを400gに代え、製剤例6でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物280gを160gに代えた以外は実施例1と同様の処方および操作により、IPBCのフロアブル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0084】
実施例7
実施例1において、含水ケイ酸アルミニウム(クニピアF、クニミネ工業社製)1.8%水溶液66gを12gに代え、ポリアクリル酸ナトリウム(増粘剤、レオジック250H、日本純薬社製)0.5%水溶液60gを7gに代え、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤200gを467gに代え、製剤例6でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物280gを120gに代えた以外は実施例1と同様の処方および操作により、IPBCのフロアブル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0085】
実施例8
実施例1において、含水ケイ酸アルミニウム(クニピアF、クニミネ工業社製)1.8%水溶液およびポリアクリル酸ナトリウム(増粘剤、レオジック250H、日本純薬社製)0.5%水溶液を投入せず、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤200gを533gに代え、製剤例6でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物280gを80gに代え、懸濁助剤(アクリル・シリコーン系樹脂、モビニールLDM7159、ニチゴーモビニール社製)99gを92gに代えた以外は実施例1と同様の処方および操作により、IPBCのフロアブル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0086】
実施例9
実施例1において、含水ケイ酸アルミニウム(クニピアF、クニミネ工業社製)1.8%水溶液およびポリアクリル酸ナトリウム(増粘剤、レオジック250H、日本純薬社製)0.5%水溶液を投入せず、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤200gを600gに代え、製剤例6でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物280gを40gに代え、懸濁助剤(アクリル・シリコーン系樹脂、モビニールLDM7159、ニチゴーモビニール社製)99gを65gに代えた以外は実施例1と同様の処方および操作により、IPBCのフロアブル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0087】
実施例10
実施例1において、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤200gを、製剤例2で製剤化したIPBCのシリカ担持剤(水系製剤)200gに代えた以外は、実施例1と同様の処方および操作により、IPBCのシリカ担持剤(水系製剤)およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0088】
実施例11
実施例1において、含水ケイ酸アルミニウム(クニピアF、クニミネ工業社製)1.8%水溶液およびポリアクリル酸ナトリウム(増粘剤、レオジック250H、日本純薬社製)0.5%水溶液を投入せず、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤200gを製剤例4で製剤化したIPBCのマイクロカプセル剤400gに代え、懸濁助剤(アクリル・シリコーン系樹脂、モビニールLDM7159、ニチゴーモビニール社製)99gを25gに代えた以外は、実施例1と同様の処方および操作により、IPBCのマイクロカプセル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0089】
実施例12
実施例1において、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤200gを製造例4で製剤化したテブコナゾールのフロアブル剤200gに代えた以外は、実施例1と同様の処方および操作により、テブコナゾールのフロアブル剤およびプロピコナゾールの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0090】
実施例13
実施例1において、含水ケイ酸アルミニウム(クニピアF、クニミネ工業社製)1.8%水溶液およびポリアクリル酸ナトリウム(増粘剤、レオジック250H、日本純薬社製)0.5%水溶液を投入せず、製剤例6でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物280gを製剤例8でプレ製剤化したIPBCおよびノニオン性界面活性剤のアジピン酸ジイソノニル溶液406gに代えた以外は、実施例1と同様の処方および操作により、IPBCのフロアブル剤およびIPBCの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0091】
実施例14
実施例1において、含水ケイ酸アルミニウム(クニピアF、クニミネ工業社製)1.8%水溶液およびポリアクリル酸ナトリウム(増粘剤、レオジック250H、日本純薬社製)0.5%水溶液を投入せず、製剤例1で製剤化したIPBCのフロアブル剤200gを製造例4で製剤化したテブコナゾールのフロアブル剤200gに代え、製剤例6でプレ製剤化したプロピコナゾールおよびノニオン性界面活性剤の混合物280gを製剤例8でプレ製剤化したIPBCおよびノニオン性界面活性剤のアジピン酸ジイソノニル溶液406gに代えた以外は、実施例1と同様の処方および操作により、テブコナゾールのフロアブル剤およびIPBCの乳剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0092】
実施例15
製剤例3で製剤化したIPBC30%のシリカ担持剤(有機溶媒系製剤)1.65g、プロピコナゾール0.5g、クロチアニジン0.1g、アジピン酸ジイソノニル67.75g、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルジグリコール)30gを配合して、攪拌して混合することにより、IPBCのシリカ担持剤(有機溶媒系製剤)およびプロピコナゾールの油剤を含有する木材保存剤を製剤化した。
【0093】
実施例1〜15および比較例1〜3の各成分の重量部数を表1に示す。
【0094】
【表1】
【0095】
(木材保存剤の評価)
1) 防腐試験
実施例1〜14および比較例1〜3の木材保存剤を水で20倍に希釈して用いて、また、実施例15の木材保存剤をそのまま(原液)として用いて、社団法人日本木材保存協会が定める「表面処理用木材防腐剤の室内防腐効力試験方法および性能基準(JWPS−FW−S.1)」に準拠して、防腐試験を実施した。また、木材保存剤を使用しない防腐試験(コントロール)についても、比較例4として実施した。これらの防腐試験では、試験対象としての腐朽菌を、オオウズラタケおよびカワラタケとし、木材の質量減少率(%)を測定した。なお、質量減少率は、3%以下が、木材保存剤の合格の規定値とされている。その結果を、表1に示す。
2) 防カビ試験
実施例1〜14および比較例1〜3の木材保存剤を水で200倍に希釈して用いて、また、実施例15の木材保存剤をアジピン酸ジイソノニルで10倍に希釈して用いて、社団法人日本木材保存協会規格第2号に準拠して、防カビ試験を実施した。また、木材保存剤を使用しない防カビ試験(コントロール)についても、比較例4として実施した。この防カビ試験では、試験対象としてのカビを、アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger)およびペニシリウム フニクロサム(Penicillium funiculosum)とした。防カビ試験の評価は、下記のとおりとした。その結果を、表1に示す。
【0096】
0 試験体(木材)にカビの発育が全く認められない
1 試験体の側面のみにカビの発育が認められる
2 試験体の上面の面積の1/3未満にカビの発育が認められる
3 試験体の上面の面積の1/3以上にカビの発育が認められる
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明の木材保存剤は、各種の木材に使用することができ、とりわけ、表面にカビが繁殖し易く、かつ、内部に菌が繁殖し易い各種の木材に使用することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分が木材の表面に残存する第1の製剤と、
有効成分が木材の内部に浸透する第2の製剤と
を含有することを特徴とする、木材保存剤。
【請求項2】
前記第1の製剤が懸濁剤であり、
前記第2の製剤が液剤であることを特徴とする、請求項1に記載の木材保存剤。
【請求項3】
前記第1の製剤が、フロアブル剤、マイクロカプセル剤および担体担持剤からなる群から選択される少なくとも1種の製剤であることを特徴とする、請求項2に記載の木材保存剤。
【請求項4】
前記第2の製剤が、油剤および/または乳剤であることを特徴とする、請求項2または3のいずれかに記載の木材保存剤。
【請求項5】
前記第1の製剤がフロアブル剤であり、かつ、前記第2の製剤が乳剤であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の木材保存剤。
【請求項6】
前記第1の製剤および前記第2の製剤は、防腐防カビ剤を含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の木材保存剤。
【請求項7】
前記第1の製剤および前記第2の製剤のうち、少なくとも一方が、トリアゾール系化合物を含有することを特徴とする、請求項6に記載の木材保存剤。
【請求項8】
前記第1の製剤および前記第2の製剤のうち、少なくとも一方が、有機ヨード系化合物を含有することを特徴とする、請求項6に記載の木材保存剤。
【請求項9】
前記第1の製剤および前記第2の製剤のうち、一方がトリアゾール系化合物を含有し、他方が有機ヨード系化合物を含有することを特徴とする、請求項6に記載の木材保存剤。
【請求項1】
有効成分が木材の表面に残存する第1の製剤と、
有効成分が木材の内部に浸透する第2の製剤と
を含有することを特徴とする、木材保存剤。
【請求項2】
前記第1の製剤が懸濁剤であり、
前記第2の製剤が液剤であることを特徴とする、請求項1に記載の木材保存剤。
【請求項3】
前記第1の製剤が、フロアブル剤、マイクロカプセル剤および担体担持剤からなる群から選択される少なくとも1種の製剤であることを特徴とする、請求項2に記載の木材保存剤。
【請求項4】
前記第2の製剤が、油剤および/または乳剤であることを特徴とする、請求項2または3のいずれかに記載の木材保存剤。
【請求項5】
前記第1の製剤がフロアブル剤であり、かつ、前記第2の製剤が乳剤であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の木材保存剤。
【請求項6】
前記第1の製剤および前記第2の製剤は、防腐防カビ剤を含有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の木材保存剤。
【請求項7】
前記第1の製剤および前記第2の製剤のうち、少なくとも一方が、トリアゾール系化合物を含有することを特徴とする、請求項6に記載の木材保存剤。
【請求項8】
前記第1の製剤および前記第2の製剤のうち、少なくとも一方が、有機ヨード系化合物を含有することを特徴とする、請求項6に記載の木材保存剤。
【請求項9】
前記第1の製剤および前記第2の製剤のうち、一方がトリアゾール系化合物を含有し、他方が有機ヨード系化合物を含有することを特徴とする、請求項6に記載の木材保存剤。
【公開番号】特開2008−81466(P2008−81466A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−265798(P2006−265798)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(503140056)日本エンバイロケミカルズ株式会社 (95)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(503140056)日本エンバイロケミカルズ株式会社 (95)
【Fターム(参考)】
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