木材欠陥検出装置およびその方法
【課題】欠陥内の輝度変化が大きく二値化によって分断される可能性が高い場合でも、同一の欠陥とみなせる欠陥候補領域を連結することにより欠陥を精度よく検出する。
【解決手段】モノクロのラインセンサカメラにより木材の表面を撮像した濃淡画像が画像処理装置4に入力される。濃淡画像を二値化した二値画像を用いて欠陥候補抽出手段12により欠陥候補領域が抽出される。さらに、ピース32ごとに設定されるしきい値を用いて二値化した二値画像を用いて欠陥候補再抽出手段15により欠陥候補領域が再抽出される。欠陥判定手段16は、再抽出された欠陥候補領域について欠陥を判定する。欠陥判定手段16により欠陥と判定されなかった欠陥候補領域は、連結評価手段17により連結可能か否かが評価され、連結可能である欠陥候補領域は連結され、再判定手段19により欠陥か否かが再判定される。
【解決手段】モノクロのラインセンサカメラにより木材の表面を撮像した濃淡画像が画像処理装置4に入力される。濃淡画像を二値化した二値画像を用いて欠陥候補抽出手段12により欠陥候補領域が抽出される。さらに、ピース32ごとに設定されるしきい値を用いて二値化した二値画像を用いて欠陥候補再抽出手段15により欠陥候補領域が再抽出される。欠陥判定手段16は、再抽出された欠陥候補領域について欠陥を判定する。欠陥判定手段16により欠陥と判定されなかった欠陥候補領域は、連結評価手段17により連結可能か否かが評価され、連結可能である欠陥候補領域は連結され、再判定手段19により欠陥か否かが再判定される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材の表面を撮像した画像を用いて木材の表面における節、割れ、変色などの各種の欠陥を検査する木材欠陥検出装置およびその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、木材の表面の欠陥(節、割れ、変色など)を抽出するために、木材の表面を撮像した画像を用いる技術が提案されている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、木材の節、割れ、腐れのような欠陥を検出するために、木材の表面の色の濃淡度の平均値に基づいて基準濃淡度を木材毎に求め、濃淡度が基準濃淡度を超える領域を欠陥候補とし、欠陥候補の大きさ、形状、分布状況によって欠陥か否かを判断する技術が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、検査対象である木材のカラー画像を撮像して画像内の色分布を求め、正常な木材の色分布と比較することにより、検査対象である木材の欠陥を検出する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−145914号公報
【特許文献2】特開2007−147442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の技術では、固定された基準濃淡度を用いて欠陥候補を抽出しているから、周囲との濃淡度の大きい欠陥部分が存在している場合でなければ、不良品を選別することができない。とくに、木材では種類や色むらなどによって、欠陥部分の濃淡度が変化するから、基準濃淡度を固定的に設定していると、欠陥部分が複数個の領域い分断されることがあり、分断された個々の領域では面積が小さくなるために欠陥として認識されない可能性が生じる。
【0007】
また、特許文献2に記載の技術では、カラー画像を用いているから、モノクロの画像処理に比較するとデータ量が多く処理負荷が大きくなり、データの転送時間や処理時間が長くなるという問題を有している。その結果、搬送されている木材の欠陥を検出する場合のように、画像処理に用いることができる時間が短くなる用途では、高性能のハードウェア資源が要求され、システムが高額になるという問題を有している。
【0008】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、欠陥内の輝度変化が大きく二値化を行うと分断される可能性が高い場合であっても、カラー画像を用いずに同一の欠陥とみなせる欠陥候補領域を連結することにより欠陥を精度よく検出することを可能にした木材欠陥検出装置およびその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、検査対象である木材の表面を撮像手段により撮像した濃淡画像の輝度を二値化することにより二値画像を生成する二値化手段と、二値化手段により生成された二値画像から欠陥候補領域を抽出する欠陥候補抽出手段と、欠陥候補領域を含む所定の検査領域ごとに欠陥候補領域を周囲から分離するためのしきい値を設定するしきい値設定手段と、しきい値設定手段により設定されたしきい値を用いて濃淡画像をあらためて二値化する再二値化手段と、再二値化手段により生成された二値画像から欠陥候補領域を抽出する欠陥候補再抽出手段と、欠陥候補再抽出手段により抽出された欠陥候補領域が欠陥か否かを判定する欠陥判定手段と、欠陥判定手段により欠陥と判定されなかった欠陥候補領域について同一の欠陥として連結可能か否かを評価する連結評価手段と、連結評価手段により連結可能と評価された欠陥候補領域を連結する連結処理手段と、連結処理手段による連結後の欠陥候補領域の全体について欠陥か否かを判定する再判定手段とを備えることを特徴とすることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、濃淡画像は、白色光による照明を用いて撮像手段により撮像されることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明において、連結評価手段は、同じしきい値を用いて抽出した欠陥候補領域と異なるしきい値で抽出した欠陥候補領域とから選択した各2個の欠陥候補領域について、しきい値の範囲が規定範囲内であり、かつ両欠陥候補領域の距離が規定値以内であるときに連結可能と評価することを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明では、請求項3の発明において、連結評価手段は、木材の種類に応じて異なる範囲のしきい値を設定することを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明では、請求項3又は4の発明において、連結評価手段は、評価する2個の欠陥候補領域を抽出したしきい値が同じである場合と異なる場合とで連結可能と評価する距離の規定値を異ならせることを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明では、請求項5の発明において、連結評価手段は、評価する2個の欠陥候補領域を抽出したしきい値が同じである場合に連結可能と評価する距離の規定値を、しきい値が異なる場合に連結可能と評価する距離の規定値よりも小さく設定することを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明では、請求項1〜6のいずれかの発明において、連結処理手段は連結評価手段により連結可能と評価された欠陥候補領域の面積を合算し、再判定手段は合算後の面積が規定値以上であるときに欠陥と判定することを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明は、検査対象である木材の表面を撮像手段により撮像した濃淡画像の輝度を二値化することにより二値画像を生成し、生成された二値画像から欠陥候補領域を抽出した後、欠陥候補領域を含む所定の検査領域ごとに欠陥候補領域を周囲から分離するためのしきい値を設定し、次に、設定されたしきい値を用いて濃淡画像をあらためて二値化することにより二値画像を生成し、生成された二値画像から欠陥候補領域を抽出するとともに、抽出した欠陥候補領域が欠陥か否かを判定し、さらに、欠陥と判定されなかった欠陥候補領域について同一の欠陥として連結可能か否かを評価した後、連結可能と評価された欠陥候補領域を連結し、連結後の欠陥候補領域の全体について欠陥か否かを判定することを特徴とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1、11の発明の構成によれば、二値画像から欠陥候補領域を抽出し、さらに抽出した欠陥候補領域に応じたしきい値を設定して再度生成した二値画像から欠陥候補領域を再抽出しているから、一度抽出した欠陥候補領域を絞り込むことによって、適正な欠陥候補領域を抽出することが可能になる。また、節のように欠陥内の輝度変化が大きい欠陥については、欠陥候補領域を絞り込む際に分断される可能性があるが、分断された可能性にある欠陥候補領域については、連結可能か否かを評価し、連結可能であれば連結した後に欠陥か否かを判定するから、欠陥内での輝度変化の大きい欠陥についても精度よく検出することが可能になる。
【0018】
請求項2の発明の構成によれば、検査対象である木材を白色光で照明したときの濃淡画像を用いるから、目視に近いコントラストを獲得することができ、正確に欠陥検出を行うことができる。
【0019】
請求項3の発明の構成によれば、同じしきい値を用いて抽出した欠陥候補領域だけでなく異なるしきい値を用いて抽出した欠陥候補領域についても、2個の欠陥候補領域の距離に基づいて連結可能か否かを評価しているから、特定の欠陥に対応して設定したしきい値を適用すると、面積が小さくなりしかも分断されやすい節のような欠陥であっても、異なるしきい値で抽出した欠陥候補領域との連結が可能か否かを評価することにより、欠陥に対応する欠陥候補領域として抽出されやすくなる。
【0020】
請求項4の発明の構成によれば、木材の種類に応じてしきい値の範囲を異ならせているから、異なる種類の木材を用いる場合でも欠陥を検出することが可能になる。
【0021】
請求項5の発明の構成によれば、連結可能か否かを評価する2個の欠陥候補領域について、両欠陥候補領域を抽出したしきい値の異同に応じて、連結可能と評価する距離の規定値を異ならせているから、しきい値の相違によって欠陥候補領域の距離が変化する場合に対応して、連結可能か否かを正確に評価することができる。
【0022】
請求項6の発明の構成によれば、連結可能か否かを評価する2個の欠陥候補領域について、両欠陥候補領域を抽出したしきい値が同じであるときには距離の規定値を小さくし、しきい値が異なるときには距離の規定値を大きくしているから、欠陥候補領域が分断される場合の特性に合わせて、分断された欠陥候補領域を連結できる可能性が高くなる。
【0023】
請求項7の発明の構成によれば、連結可能な欠陥候補領域の面積を合算して欠陥か否かを判定するから、ひとつの欠陥に対する欠陥候補領域が分断されている場合であっても、面積を合算することでひとつの欠陥として評価することができるから、欠陥を確実に検出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態を示すブロック図である。
【図2】同上の動作説明図である。
【図3】(a)は同上の側面図、(b)は同上の斜視図である。
【図4】(a)は同上に用いる木材を示す概略平面図、(b)は同上に用いる木材を示す平面図である。
【図5】(a)(b)は同上において異なる光色の照明を用いたときの輝度差の分布を示す図である。
【図6】同上においてしきい値の設定方法を説明する図である。
【図7】同上において欠陥と木目とを識別する方法を説明する図である。
【図8】同上における欠陥選別処理部の動作例を示す動作説明図である。
【図9】同上における欠陥選別処理部の動作例を示す動作説明図である。
【図10】同上における欠陥選別処理部の動作例を示す動作説明図である。
【図11】同上における欠陥選別処理部の動作例を示す動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に説明する実施形態において、検査対象となる木材としては、基材となる合板の表面に貼り合わせるために用いる単板であって薄厚でシート状に形成された単板(突き板など)や、この単板を合板に貼り合わせた合板を想定している。
【0026】
ここでは、木材3が床材や壁材として用いられる建築用板であり、図4に示すように、目地溝31により区画された複数個のピース32が表面に配列されているものとする。この種の木材3は定尺(たとえば、1800mm×300mm)の矩形状に形成されていることが多く、以下の説明では図3に示すように、搬送されている間に外観検査を行うものとする。
【0027】
なお、木材3は上述の形状であることは必須ではなく、木材3の表面が複数の領域に区画されていれば本発明の技術思想を適用することができる。したがって、木材3の表面にピース32が配列されていることは必須ではない。
【0028】
図3に示すように、木材3は、コンベア21により一方向(図3(a)の矢印A方向)に搬送される。搬送方向は、木材3の短手方向に一致する。したがって、図3(b)に示すように、木材3の長手方向において複数台(図示例は4台)のコンベア21が並べられる。コンベア21の上方には撮像装置としてのラインセンサカメラ1が配置される。ラインセンサカメラ1は、木材3の全長に亘る領域を撮像することができるように、コンベア21を並べた方向(木材3の長手方向)に離間して複数台(図示例では3台)が並べられる。また、ラインセンサカメラ1は、光軸が木材3の表面に略直交するように配置されている。
【0029】
ラインセンサカメラ1により撮像される画像はモノクロの濃淡画像であり、画像処理装置4において以下に説明する画像処理が施されることにより木材3の欠陥が検出される。欠陥の種別としては、たとえば、穴、節、入皮(若木の段階で皮が入り込み壊死した欠陥)、カナスジ(若木の段階で付いた傷が壊死した欠陥)を想定している。
【0030】
さらに、木材3の表面をラインセンサカメラ1により撮像する際の照明として、発光ダイオードを用いた照明装置2をコンベア21の上方に配置してある。照明装置2は、木材3の長手方向の全長に亘って均一な照度で照明を行うことができるように、多数個の発光ダイオードを直線上に配列するとともに、光取出面に拡散板を配置した構成を有する。
【0031】
また、照明装置2は、ラインセンサカメラ1に対して木材3が搬送される向きの下流側に配置される。照明装置2からの光は木材3の表面に対して所定角度θ(たとえば、40〜60度)をなす方向から照射され、木材3に対して斜方照明を行う。したがって、ラインセンサカメラ1には木材3の表面からの拡散反射光が入射する。
【0032】
図示例では、木材3の下面側(木材3を挟んでラインセンサカメラ1と反対側)にも照明装置2aを配置しており、単板を用いる場合には、下面側の照明装置2aも点灯させることにより、ラインセンサカメラ1では透過光を撮像することになり、コントラストが強調されて木目のような暗部が抽出しやすくなる。
【0033】
照明装置2,2aの光色は、青色を用いることが可能であるが白色が望ましい。白色の発光ダイオードにはRGBの各色を混色させる構成や青色光により黄色に発光する蛍光体と青色発光ダイオードとを用いる構成など種々の構成があるが、望ましくは、RGBを混色した演色性の高い白色光を得る構成を用いる。
【0034】
同一の木材3について、青色光を用いた場合のラインセンサカメラ1で撮像した画像の輝度(明度が大きいほど値が大きくなるように濃淡値として輝度を採用している)の分布の例を図5(a)に示し、白色光を用いた場合のラインセンサカメラ1で撮像した画像の輝度の分布の例を図5(b)に示す。図5は、木材3の表面においてラインセンサカメラ1の画素が並ぶ方向(以下、Y方向という)の直線上での輝度の分布を示しており、当該直線上において木目の領域A1と欠陥の領域A2とが存在する場合を例としている。
【0035】
図5(a)(b)を比較するとわかるように、欠陥の領域A2の最低輝度と、木目の領域の最適輝度A1との輝度差は、青色光を用いる場合よりも白色光を用いる場合のほうが大きくなっている。すなわち、図示例では青色光での輝度差は20、白色光での輝度差は40であって、輝度差を用いて欠陥を検出する場合には、白色光を用いるほうが青色光を用いる場合よりも木目と欠陥とを区別しやすくなることがわかる。
【0036】
図1を用いて画像処理装置4の構成をさらに詳しく説明する。なお、画像処理装置4は、パーソナルコンピュータや画像処理専用のプロセッサを備えるコンピュータを用いて以下の動作を行うプログラムを実行することにより実現される。画像処理装置4は、ラインセンサカメラ1からの濃淡画像を取り込むためのインターフェイスや、モニタ装置に画像を出力するためのインターフェイスなどを備えるが、これらの構成は周知のものを用いればよいから説明を省略する。また、画像処理装置4には、ラインセンサカメラ1からの濃淡画像を格納するとともに、画像処理の過程で生じる画像データを格納する作業記憶となる画像メモリ5が設けられる。
【0037】
以下の説明では、画像メモリ5には、木材3の表面に相当する領域の画素を背景から分離した画像が格納されているものとする。木材3の表面に相当する画素を抽出するには、ラインセンサカメラ1により撮像した濃淡画像の2値化を行い、この二値画像を用いて背景の領域を分離すればよい。
【0038】
画像処理装置4には、画像メモリ5に格納されている木材3の表面の全体に関する濃淡画像の輝度に適宜のしきい値を適用して二値画像を生成する二値化手段11と、二値画像により欠陥候補となる欠陥候補領域を抽出する欠陥候補抽出手段12とを備えた前処理部が設けられる。前処理部では、木材3の表面の全体に対するしきい値を適用するから、欠陥候補領域が抽出されやすくなるように、しきい値を設定する。また、欠陥候補領域はピース32に対応付けて抽出される。
【0039】
画像処理装置4は、前処理部で欠陥候補領域が抽出されたピース32ごとに、二値化のためのしきい値をあらためて設定するしきい値設定手段13と、しきい値設定手段13により設定されたしきい値を用いて各ピース32を、それぞれ二値化する再二値化手段14と、再二値化手段14での二値化により得られた二値画像からピース32ごとの欠陥候補領域を抽出する欠陥候補再抽出手段15とを有する再抽出処理部を備える。すなわち、本実施形態では、ピース32を検査領域の単位とし、ピース32の範囲内において欠陥候補領域を周囲から分離する。
【0040】
再抽出処理部により抽出された欠陥候補領域は、欠陥選別処理部に設けた欠陥判定手段16において欠陥か否かが判定される。すなわち、前処理部、再抽出処理部、欠陥選別処理部により構成される。
【0041】
以下では、図2に基づいて画像処理装置4の動作をさらに詳しく説明する。ラインセンサカメラ1により撮像された濃淡画像は、まず二値化手段11に入力され、二値画像が生成される(S1)。二値化手段11では、上述のような各種の欠陥の欠陥候補領域を抽出するために、欠陥の種類ごとに対応付けた複数のしきい値が設定される。しきい値は、ピース32の輝度の平均値に基づいて設定され、ピース32ごとに浮動的に設定される。すなわち、ピース32ごとに、欠陥の種類に応じてしきい値が複数個ずつ設定されることになる。
【0042】
欠陥候補抽出手段12では、二値化手段11により得られた二値画像からブロブ(連結成分)を抽出し、ブロブの画素数に着目することにより、欠陥候補領域と他の部位とに分離する(S2)。欠陥候補領域の抽出は、画像メモリ5に格納された木材3の表面の全領域について行う(S3)。
【0043】
ここに、上述のように木材3の表面は複数個のピース32を配列して形成されており、各ピース32の中では連続性があるが、それぞれのピース32は独立しているから、ピース32を単位として欠陥候補領域を抽出することは合理的である。
【0044】
前処理部においてピース32ごとの欠陥候補領域を抽出した後、再抽出処理部におけるしきい値設定手段13において、ピース32ごとに二値化のためのしきい値をあらためて設定する(S4)。すなわち、しきい値設定手段13では、ピース32の中で木目と欠陥とを区別することができるようにしきい値を再設定する。しきい値を再設定するのは、欠陥候補領域が抽出されたピース32のみとすることができるが、すべてのピース32についてしきい値を再設定してもよい。
【0045】
しきい値設定手段13では、木材3の色味や照明環境によって変化する基準値をAと設定し、基準値Aを1つのしきい値として設定し、さらに、基準値Aに複数種類の加算値をそれぞれ加算した複数個のしきい値を設定するようにしてもよい。加算値としては、たとえば25、45、85を用いる。この場合、しきい値設定手段13では、A、A+25、A+45、A+85をしきい値として設定することになる。基準値Aは、欠陥候補抽出手段12が抽出した欠陥候補領域の外接矩形、欠陥候補領域が含まれるピース32全体、あるいはピース32内で欠陥候補領域を含む所定領域のうち欠陥候補領域を除く領域の輝度の平均値に基づいて設定すればよい。
【0046】
いま、木材3の材質がカバ材である場合を例にすると、ピース32内に1mm2以上のサイズの欠陥あるいは木目(欠陥に対するノイズ)が存在する場合には、ピース32内(欠陥候補領域の外接矩形内でもよい)の輝度の平均値と欠陥および木目の輝度との関係をプロットしたときに、図6のような関係が得られている。図6において、菱形は欠陥であり、四角形は木目である。
【0047】
図6に示す関係を見ると、欠陥と木目とを分離することができる輝度は、ほぼ一直線上に並んでおり、図示例では直線Ltに沿っていると言える。すなわち、直線Ltを求めることによって、ピース32に含まれる画素に関する輝度の平均値の関数として、欠陥と木目とを分離するしきい値を設定することが可能になる。
【0048】
図示例では、しきい値=0.4×平均輝度+8.0になる。このように、木材3の材質に応じた直線Ltの式を、しきい値=a×平均輝度+bの形式で与え、定数a,bを決定すれば、ピース32の輝度の平均値からしきい値を設定することが可能になる。言い換えると、ピース32ごとにしきい値が浮動的に設定されることになる。
【0049】
次に、しきい値設定手段13で設定したしきい値を初期値に用いて、後述する技術によりしきい値を再設定する(S5)。再二値化手段14では、当該しきい値を用いて、ピース32を単位する濃淡画像の二値化をあらためて行う(S6)。一般に、入皮とカナスジとの欠陥は、他の欠陥に比較すると輝度が高く(たとえば、256段階の輝度で60〜70)、周囲の輝度との輝度差が小さいから、入皮とカナスジとが検出可能になるようにしきい値を設定することにより、欠陥の検出精度を高めることができる。
【0050】
再二値化手段14で用いるしきい値としては、たとえば、再二値化手段14での二値化の前に用いたしきい値に適宜の補正値を加算した値を用いる。補正値には、ピース32内の輝度の平均値が、輝度の階調の中央値(たとえば、輝度が255階調であって、最大値が255であるとすれば、128)よりも大きいときには、前のしきい値よりも一定値(たとえば、10)だけ大きい値を新たなしきい値に用い、輝度の階調の中央値よりも小さいときには、前のしきい値よりも一定値だけ小さい値を新たなしきい値に用いる。
【0051】
再二値化手段14で二値化を行った二値画像は、欠陥候補再抽出手段15に与えられ、再二値化手段14により得られた二値画像からブロブが抽出された後、ブロブの画素数に着目して欠陥候補領域と他の部位とに分離される(S7)。すなわち、各ピース32において、欠陥候補領域の再抽出が行われる。欠陥候補領域の抽出対象であるすべてのピース32について欠陥候補領域の再抽出が行われると(S8)、欠陥候補領域は欠陥選別処理部に与えられる。
【0052】
欠陥選別処理部における欠陥判定手段16では、まず、再抽出された欠陥候補領域か否かを判断する(S9)。次に、再抽出した欠陥候補領域であれば(S9:yes)について、欠陥判定手段16において欠陥候補領域と周囲との輝度の平均値を求め(S10)、平均値の輝度差を算出し(S11)、算出した輝度差に基づいて欠陥候補領域が欠陥か否かを判定する(S12)。ステップS9〜S12の処理は、すべての欠陥候補領域について行われる(S13)。また、ステップS9において、欠陥候補領域が再抽出されたものではないと判断されたときには、当該欠陥候補領域についてステップS12において欠陥か否かが判定される。
【0053】
ステップS12における欠陥の判定条件は、たとえば、再抽出された欠陥候補領域に対しては、欠陥候補領域と周囲との輝度の平均値の輝度差が規定値(たとえば、20)以上であり、かつ面積が規定値(たとえば、20mm2)以上であることとすればよい。再抽出された欠陥候補領域ではない場合には、輝度差は考慮せず面積が規定値以上であることとすればよい。
【0054】
欠陥の判定条件は、図6に示したしきい値の設定と同様に、周囲の輝度の平均値の関数として設定してもよい。すなわち、欠陥候補領域に対して設定した外接矩形内の輝度の平均値(欠陥候補領域の形状に応じて設定した領域内の輝度の平均値でもよい)と、欠陥候補領域と周囲との平均値の差(輝度差)との関係をプロットすると、図7に示すような関係が得られる。図中の正方形は欠陥の輝度差、菱形は木目の輝度差を表している。
【0055】
図7からわかるように、欠陥と木目との輝度差の境界は、周囲の輝度の平均値に対して直線Lsに沿って並んでいると言える。したがって、周囲の輝度の平均値に応じた直線Ls上の値をしきい値に用いることにより、欠陥と木目との分離が可能になる。図示例は木材3がカバ材である場合を示しており、直線Lsは、しきい値=0.75×平均輝度−20.0になる。すなわち、しきい値=c×平均輝度+dの形式で与え、定数c,dを適宜に決定することにより、欠陥と木目とを識別して欠陥を抽出することができる。
【0056】
ところで、欠陥判定手段16により欠陥と判定されない欠陥候補領域が残っている場合に、当該欠陥候補領域は欠陥の一部であるにもかかわらず、しきい値の設定によって分断され、欠陥と判定されていない可能性がある。以下では、この種の欠陥候補領域を、さらに精査することによって、欠陥か否かを判別する技術について説明する。すなわち、欠陥選別処理部は、欠陥判定手段16に加えて、以下に説明するように、欠陥と判定されていない欠陥候補領域(つまり、欠陥候補領域と判定されていないブロブ)について、1つの欠陥候補領域として連結可能か否かを評価する連結評価手段17と、連結可能と評価されたブロブを連結する連結処理手段18と、ブロブを連結して形成された欠陥候補領域についてあらためて欠陥か否かを判定する再判定手段19とを有している。
【0057】
すなわち、連結評価手段17は、図8に示すように、まず、ステップS4、S5において設定した各しきい値のうちの着目する1つのしきい値(以下、「第1しきい値Th1」という)により抽出したブロブを取り出す(S23)。ここに、しきい値とブロブとは対応付けて記憶されているものとする。
【0058】
次に、他のブロブとの連結の可能性を評価するために、他のブロブを抽出するためのしきい値(以下、「第2しきい値Th2」という)をTh2=Th1と規定し(S24)、第2しきい値Th2に対応する欠陥候補領域を抽出する(S26)。第2しきい値Th2が第1しきい値Th1と等しい場合には、第1しきい値Th1に対応して抽出したブロブのうち、第1しきい値Th1に対応付けていないブロブを第2しきい値Th2に対応するブロブとして抽出する。
【0059】
たとえば、各しきい値に対応するブロブを面積の降べきの順に並べておき、第2しきい値Th2が第1しきい値Th1と等しい場合には、第1しきい値Th1に対して抽出したブロブに対して降べきの順で次順になるブロブを第2しきい値Th2に対応するブロブとして抽出する。
【0060】
第1しきい値Th1と第2しきい値Th2とに対応する2個の欠陥候補領域が抽出されると、両者の隣接度を評価する(S28)。隣接度は,ブロブの中心(重心)間の距離を用いる(以下では、ブロブの中心間の距離を、単に「ブロブ間の距離」という)。具体的には、木材の搬送方向と搬送方向に直交する方向との2方向について、ブロブ間の距離を計測し、それぞれの距離が規定値(規定値は、たとえば、搬送方向に5mm、搬送方向に直交する方向に1mmなどと設定する)以下か否かを評価する。ここで、距離が規定値以下であれば、連結処理手段18において、2個のブロブを連結するとともに合算した面積を求める(S30)。面積の合算には、ブロブの面積を加算すればよい。なお、ブロブ間の距離として重心間の距離を用いているが、慣性主軸間の距離など他のを用いることも可能である。
【0061】
連結後のブロブの面積が第2しきい値Th2に対して規定されている規定値以上である場合には(S31:yes)、再判定手段19により連結後の欠陥候補領域を1つの欠陥と判定する(S32)。また、合計した面積が規定値未満であれば(S31:no)、この時点では欠陥ではないと判定される。
【0062】
上述のように、2個の欠陥候補領域の隣接度の評価(S28)と、合計した面積の評価(S31)とを、すべてのしきい値の組み合わせについて行うことにより(S21、S22、S25、S27、S33)、分割されていた欠陥候補領域を結合し欠陥と判定することが可能になる。
【0063】
なお、ステップS21,S33において、第1しきい値Th1と第2しきい値Th2とを1刻みで増加させているから、第1しきい値Th1あるいは第2しきい値Th2が、欠陥候補領域を抽出したときのしきい値に対応していない可能性がある。そこで、ステップS29では、第1しきい値Th1と第2しきい値Th2とがともに、欠陥候補領域を抽出したときのしきい値であるときのにみ(S29:yes)、欠陥候補領域を連結するか否かを判断するようにしている。
【0064】
ここに、上述したように、しきい値設定手段13において複数段階のしきい値(上述の例では、A、A+25、A+45、A+85)を設定している場合には、これらのしきい値を用いて抽出したブロブのうちの任意の2個(ブロブを抽出するしきい値は、同じ値の場合と異なる値の場合とがある)について、連結可能か否かを評価する。
【0065】
上述した手順により、欠陥であるにもかかわらず分割されていた欠陥候補領域を、あらためて連結して評価することが可能になり、欠陥を見落とすことなく検出することが可能になる。
【0066】
ところで、欠陥のうち特定の欠陥(たとえば、節)は、特定のしきい値で検出されることが多いという知見が得られている。節を例にすれば、茶色の領域であって、輝度が256階調であるとすれば、A+25とA+50との間にしきい値を設定しておけば、ほとんどの場合に検出することができる。基準値Aは、上述のように、ブロブ(欠陥候補領域)の外接矩形、ブロブが含まれるピース32の全体、あるいはピース32内でブロブを含む所定領域のうちブロブを除く領域の輝度の平均値に基づいて設定される。このように、欠陥の種類によっては、特定のしきい値を設定しておくことで抽出可能な場合がある。ただし、特定しきい値は、木材3の材質による表面色によって異なるとともに、表面含水率などの表面状態によっても異なる。
【0067】
この点を踏まえて、木材の種類に応じた特定のしきい値(以下、「特定しきい値」という)をあらかじめ設定しておき、特定しきい値により欠陥か否かを判定することが可能である。すなわち、図9に示すように、まず木材3の材質を判定し(S18)、特定の材質の場合と他の材質の場合とに応じて、特定しきい値を設定している(S19,S20)。特定しきい値の設定は、欠陥判定手段18による欠陥の判定を行った後、連結評価手段18によりブロブの連結の可能性を評価する前に行われる。つまり、特定しきい値の設定後に、図8に示したステップS21以降の処理が行われる。
【0068】
図示例では、木材3がカバ材か否かを分類しており(カバ材でない場合としては、ブナ材を想定している)、カバ材でない場合には(S18:no)、特定しきい値Th1をAと設定し、特定しきい値Th2をA+85と設定し(S19)、カバ材である場合には(S18:yes)、特定しきい値Th1をAと設定し、特定しきい値Th2の下限値をA+25とし上限値をA+50として設定する(S20)。
【0069】
図9に示す手順では、ブロブについて連結の可能性を評価し、隣接度が高いブロブを連結するまで(S21〜S30)は、ステップS29を除いた点以外について図8と同じ手順になる。ただし、図8に示した例では、連結したブロブの面積を規定値と比較するだけであるのに対し、図9に示す手順においては、連結するブロブに対応する第1しきい値Th1および第2しきい値が、ともに特定しきい値であるか否かを判定する(S34)。
【0070】
第1しきい値Th1および第2しきい値Th2がともに特定しきい値であるときには(S34:yes)、欠陥の種類が節であると判断し、節の大きさに応じた面積値か否かを評価する(S35)。ここで、節の条件を満たしているときには(S35:yes)、連結したブロブを節と判定する(S36)。
【0071】
一方、第1しきい値Th1と第2しきい値Th2との少なくとも一方が特定しきい値ではないときには(S34:no)、欠陥の種類は節ではないと判断し、図8の手順と同様に、面積を規定値と比較し(S37)、面積が規定値以上であれば(S37:yes)、欠陥と判定する(S38)。
【0072】
ここにおいて、図9のステップS28における隣接するブロブの判定を、図10に示すステップS39〜S41により行うことができる。すなわち、ブロブ間の距離を規定距離と比較することによりブロブが連結可能か否かを判定するにあたり(S40,S41)、第1しきい値Th1と第2しきい値Th2とが等しい場合と異なる場合とに分け(S39)、両者が異なる場合(S39:no)の規定距離を、両者が等しい場合(S39:yes)の規定距離よりも大きく設定している。つまり、連結可能であっても異なるしきい値で抽出されたブロブは、距離がやや大きい場合があるから、許容範囲を広く設定するのである。
【0073】
図示例では、上記規定距離について、第1しきい値Th1と第2しきい値Th2とが等しい場合は、ラインセンサカメラ1の長手方向における距離が5.0mm以内かつ木材3の搬送方向における距離が1.0mm以内であるときに連結可能と判断し、第1しきい値Th1と第2しきい値Th2とが異なる場合は、ラインセンサカメラ1の長手方向における距離が20.0mm以内かつ木材3の搬送方向における距離が2.0mm以内まで許容している。
【0074】
上述のように、ブロブを抽出したしきい値が同じか異なるかによって、ブロブ間の連結可能性を判断する距離を変化させているのは、以下の理由による。すなわち、欠陥のうち節は、全体の輝度がほぼ等しいから、1種類のしきい値で1つの欠陥のほぼ全体を抽出することができ、しかもブロブの密集度が高いから、分割されたブロブ間の距離が比較的近い場合にのみ連結可能と判断することができる。
【0075】
これに対して、欠陥のうち入皮やカナスジは、輝度のばらつきが大きいから、1つの欠陥について異なるしきい値で抽出される複数個のブロブを結合する必要があり、しきい値の大きさの差によるが、一般に異なるしきい値で抽出したブロブの距離は比較的大きいから、ブロブ間の距離が比較的遠い場合でも連結可能と判断するのである。
【0076】
図11は図10の変形例であって、ステップS30において隣接するブロブを連結し、面積を合計した後に、欠陥か否かを判断する処理を単純化したものである。すなわち、ステップS34〜S38に代えて、ステップS30で合計した面積を、節の検出に設定した規定の面積値と比較し(S42)、合計面積が規定の面積値以上であるときには(S42:yes)、ブロブの合成により形成した欠陥候補領域を欠陥と判定するのである(S43)。
【0077】
以上説明したように、本発明では、1個の欠陥が複数個のブロブに分割されて抽出された場合でも、ブロブを適切に連結することによって、1個の欠陥として扱うことを可能にし、結果的に欠陥の検出精度が高くなるのである。
【符号の説明】
【0078】
1 ラインセンサカメラ(撮像手段)
2 照明装置
3 木材
4 画像処理装置
5 画像メモリ
11 二値化手段
12 欠陥候補抽出手段
13 しきい値設定手段
14 再二値化手段
15 欠陥候補再抽出手段
16 欠陥判定手段
17 連結評価手段
18 連結処理手段
19 再判定手段
32 ピース
【技術分野】
【0001】
本発明は、木材の表面を撮像した画像を用いて木材の表面における節、割れ、変色などの各種の欠陥を検査する木材欠陥検出装置およびその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、木材の表面の欠陥(節、割れ、変色など)を抽出するために、木材の表面を撮像した画像を用いる技術が提案されている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、木材の節、割れ、腐れのような欠陥を検出するために、木材の表面の色の濃淡度の平均値に基づいて基準濃淡度を木材毎に求め、濃淡度が基準濃淡度を超える領域を欠陥候補とし、欠陥候補の大きさ、形状、分布状況によって欠陥か否かを判断する技術が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、検査対象である木材のカラー画像を撮像して画像内の色分布を求め、正常な木材の色分布と比較することにより、検査対象である木材の欠陥を検出する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−145914号公報
【特許文献2】特開2007−147442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の技術では、固定された基準濃淡度を用いて欠陥候補を抽出しているから、周囲との濃淡度の大きい欠陥部分が存在している場合でなければ、不良品を選別することができない。とくに、木材では種類や色むらなどによって、欠陥部分の濃淡度が変化するから、基準濃淡度を固定的に設定していると、欠陥部分が複数個の領域い分断されることがあり、分断された個々の領域では面積が小さくなるために欠陥として認識されない可能性が生じる。
【0007】
また、特許文献2に記載の技術では、カラー画像を用いているから、モノクロの画像処理に比較するとデータ量が多く処理負荷が大きくなり、データの転送時間や処理時間が長くなるという問題を有している。その結果、搬送されている木材の欠陥を検出する場合のように、画像処理に用いることができる時間が短くなる用途では、高性能のハードウェア資源が要求され、システムが高額になるという問題を有している。
【0008】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、欠陥内の輝度変化が大きく二値化を行うと分断される可能性が高い場合であっても、カラー画像を用いずに同一の欠陥とみなせる欠陥候補領域を連結することにより欠陥を精度よく検出することを可能にした木材欠陥検出装置およびその方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1の発明は、検査対象である木材の表面を撮像手段により撮像した濃淡画像の輝度を二値化することにより二値画像を生成する二値化手段と、二値化手段により生成された二値画像から欠陥候補領域を抽出する欠陥候補抽出手段と、欠陥候補領域を含む所定の検査領域ごとに欠陥候補領域を周囲から分離するためのしきい値を設定するしきい値設定手段と、しきい値設定手段により設定されたしきい値を用いて濃淡画像をあらためて二値化する再二値化手段と、再二値化手段により生成された二値画像から欠陥候補領域を抽出する欠陥候補再抽出手段と、欠陥候補再抽出手段により抽出された欠陥候補領域が欠陥か否かを判定する欠陥判定手段と、欠陥判定手段により欠陥と判定されなかった欠陥候補領域について同一の欠陥として連結可能か否かを評価する連結評価手段と、連結評価手段により連結可能と評価された欠陥候補領域を連結する連結処理手段と、連結処理手段による連結後の欠陥候補領域の全体について欠陥か否かを判定する再判定手段とを備えることを特徴とすることを特徴とする。
【0010】
請求項2の発明では、請求項1の発明において、濃淡画像は、白色光による照明を用いて撮像手段により撮像されることを特徴とする。
【0011】
請求項3の発明では、請求項1又は2の発明において、連結評価手段は、同じしきい値を用いて抽出した欠陥候補領域と異なるしきい値で抽出した欠陥候補領域とから選択した各2個の欠陥候補領域について、しきい値の範囲が規定範囲内であり、かつ両欠陥候補領域の距離が規定値以内であるときに連結可能と評価することを特徴とする。
【0012】
請求項4の発明では、請求項3の発明において、連結評価手段は、木材の種類に応じて異なる範囲のしきい値を設定することを特徴とする。
【0013】
請求項5の発明では、請求項3又は4の発明において、連結評価手段は、評価する2個の欠陥候補領域を抽出したしきい値が同じである場合と異なる場合とで連結可能と評価する距離の規定値を異ならせることを特徴とする。
【0014】
請求項6の発明では、請求項5の発明において、連結評価手段は、評価する2個の欠陥候補領域を抽出したしきい値が同じである場合に連結可能と評価する距離の規定値を、しきい値が異なる場合に連結可能と評価する距離の規定値よりも小さく設定することを特徴とする。
【0015】
請求項7の発明では、請求項1〜6のいずれかの発明において、連結処理手段は連結評価手段により連結可能と評価された欠陥候補領域の面積を合算し、再判定手段は合算後の面積が規定値以上であるときに欠陥と判定することを特徴とする。
【0016】
請求項8の発明は、検査対象である木材の表面を撮像手段により撮像した濃淡画像の輝度を二値化することにより二値画像を生成し、生成された二値画像から欠陥候補領域を抽出した後、欠陥候補領域を含む所定の検査領域ごとに欠陥候補領域を周囲から分離するためのしきい値を設定し、次に、設定されたしきい値を用いて濃淡画像をあらためて二値化することにより二値画像を生成し、生成された二値画像から欠陥候補領域を抽出するとともに、抽出した欠陥候補領域が欠陥か否かを判定し、さらに、欠陥と判定されなかった欠陥候補領域について同一の欠陥として連結可能か否かを評価した後、連結可能と評価された欠陥候補領域を連結し、連結後の欠陥候補領域の全体について欠陥か否かを判定することを特徴とすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1、11の発明の構成によれば、二値画像から欠陥候補領域を抽出し、さらに抽出した欠陥候補領域に応じたしきい値を設定して再度生成した二値画像から欠陥候補領域を再抽出しているから、一度抽出した欠陥候補領域を絞り込むことによって、適正な欠陥候補領域を抽出することが可能になる。また、節のように欠陥内の輝度変化が大きい欠陥については、欠陥候補領域を絞り込む際に分断される可能性があるが、分断された可能性にある欠陥候補領域については、連結可能か否かを評価し、連結可能であれば連結した後に欠陥か否かを判定するから、欠陥内での輝度変化の大きい欠陥についても精度よく検出することが可能になる。
【0018】
請求項2の発明の構成によれば、検査対象である木材を白色光で照明したときの濃淡画像を用いるから、目視に近いコントラストを獲得することができ、正確に欠陥検出を行うことができる。
【0019】
請求項3の発明の構成によれば、同じしきい値を用いて抽出した欠陥候補領域だけでなく異なるしきい値を用いて抽出した欠陥候補領域についても、2個の欠陥候補領域の距離に基づいて連結可能か否かを評価しているから、特定の欠陥に対応して設定したしきい値を適用すると、面積が小さくなりしかも分断されやすい節のような欠陥であっても、異なるしきい値で抽出した欠陥候補領域との連結が可能か否かを評価することにより、欠陥に対応する欠陥候補領域として抽出されやすくなる。
【0020】
請求項4の発明の構成によれば、木材の種類に応じてしきい値の範囲を異ならせているから、異なる種類の木材を用いる場合でも欠陥を検出することが可能になる。
【0021】
請求項5の発明の構成によれば、連結可能か否かを評価する2個の欠陥候補領域について、両欠陥候補領域を抽出したしきい値の異同に応じて、連結可能と評価する距離の規定値を異ならせているから、しきい値の相違によって欠陥候補領域の距離が変化する場合に対応して、連結可能か否かを正確に評価することができる。
【0022】
請求項6の発明の構成によれば、連結可能か否かを評価する2個の欠陥候補領域について、両欠陥候補領域を抽出したしきい値が同じであるときには距離の規定値を小さくし、しきい値が異なるときには距離の規定値を大きくしているから、欠陥候補領域が分断される場合の特性に合わせて、分断された欠陥候補領域を連結できる可能性が高くなる。
【0023】
請求項7の発明の構成によれば、連結可能な欠陥候補領域の面積を合算して欠陥か否かを判定するから、ひとつの欠陥に対する欠陥候補領域が分断されている場合であっても、面積を合算することでひとつの欠陥として評価することができるから、欠陥を確実に検出することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態を示すブロック図である。
【図2】同上の動作説明図である。
【図3】(a)は同上の側面図、(b)は同上の斜視図である。
【図4】(a)は同上に用いる木材を示す概略平面図、(b)は同上に用いる木材を示す平面図である。
【図5】(a)(b)は同上において異なる光色の照明を用いたときの輝度差の分布を示す図である。
【図6】同上においてしきい値の設定方法を説明する図である。
【図7】同上において欠陥と木目とを識別する方法を説明する図である。
【図8】同上における欠陥選別処理部の動作例を示す動作説明図である。
【図9】同上における欠陥選別処理部の動作例を示す動作説明図である。
【図10】同上における欠陥選別処理部の動作例を示す動作説明図である。
【図11】同上における欠陥選別処理部の動作例を示す動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に説明する実施形態において、検査対象となる木材としては、基材となる合板の表面に貼り合わせるために用いる単板であって薄厚でシート状に形成された単板(突き板など)や、この単板を合板に貼り合わせた合板を想定している。
【0026】
ここでは、木材3が床材や壁材として用いられる建築用板であり、図4に示すように、目地溝31により区画された複数個のピース32が表面に配列されているものとする。この種の木材3は定尺(たとえば、1800mm×300mm)の矩形状に形成されていることが多く、以下の説明では図3に示すように、搬送されている間に外観検査を行うものとする。
【0027】
なお、木材3は上述の形状であることは必須ではなく、木材3の表面が複数の領域に区画されていれば本発明の技術思想を適用することができる。したがって、木材3の表面にピース32が配列されていることは必須ではない。
【0028】
図3に示すように、木材3は、コンベア21により一方向(図3(a)の矢印A方向)に搬送される。搬送方向は、木材3の短手方向に一致する。したがって、図3(b)に示すように、木材3の長手方向において複数台(図示例は4台)のコンベア21が並べられる。コンベア21の上方には撮像装置としてのラインセンサカメラ1が配置される。ラインセンサカメラ1は、木材3の全長に亘る領域を撮像することができるように、コンベア21を並べた方向(木材3の長手方向)に離間して複数台(図示例では3台)が並べられる。また、ラインセンサカメラ1は、光軸が木材3の表面に略直交するように配置されている。
【0029】
ラインセンサカメラ1により撮像される画像はモノクロの濃淡画像であり、画像処理装置4において以下に説明する画像処理が施されることにより木材3の欠陥が検出される。欠陥の種別としては、たとえば、穴、節、入皮(若木の段階で皮が入り込み壊死した欠陥)、カナスジ(若木の段階で付いた傷が壊死した欠陥)を想定している。
【0030】
さらに、木材3の表面をラインセンサカメラ1により撮像する際の照明として、発光ダイオードを用いた照明装置2をコンベア21の上方に配置してある。照明装置2は、木材3の長手方向の全長に亘って均一な照度で照明を行うことができるように、多数個の発光ダイオードを直線上に配列するとともに、光取出面に拡散板を配置した構成を有する。
【0031】
また、照明装置2は、ラインセンサカメラ1に対して木材3が搬送される向きの下流側に配置される。照明装置2からの光は木材3の表面に対して所定角度θ(たとえば、40〜60度)をなす方向から照射され、木材3に対して斜方照明を行う。したがって、ラインセンサカメラ1には木材3の表面からの拡散反射光が入射する。
【0032】
図示例では、木材3の下面側(木材3を挟んでラインセンサカメラ1と反対側)にも照明装置2aを配置しており、単板を用いる場合には、下面側の照明装置2aも点灯させることにより、ラインセンサカメラ1では透過光を撮像することになり、コントラストが強調されて木目のような暗部が抽出しやすくなる。
【0033】
照明装置2,2aの光色は、青色を用いることが可能であるが白色が望ましい。白色の発光ダイオードにはRGBの各色を混色させる構成や青色光により黄色に発光する蛍光体と青色発光ダイオードとを用いる構成など種々の構成があるが、望ましくは、RGBを混色した演色性の高い白色光を得る構成を用いる。
【0034】
同一の木材3について、青色光を用いた場合のラインセンサカメラ1で撮像した画像の輝度(明度が大きいほど値が大きくなるように濃淡値として輝度を採用している)の分布の例を図5(a)に示し、白色光を用いた場合のラインセンサカメラ1で撮像した画像の輝度の分布の例を図5(b)に示す。図5は、木材3の表面においてラインセンサカメラ1の画素が並ぶ方向(以下、Y方向という)の直線上での輝度の分布を示しており、当該直線上において木目の領域A1と欠陥の領域A2とが存在する場合を例としている。
【0035】
図5(a)(b)を比較するとわかるように、欠陥の領域A2の最低輝度と、木目の領域の最適輝度A1との輝度差は、青色光を用いる場合よりも白色光を用いる場合のほうが大きくなっている。すなわち、図示例では青色光での輝度差は20、白色光での輝度差は40であって、輝度差を用いて欠陥を検出する場合には、白色光を用いるほうが青色光を用いる場合よりも木目と欠陥とを区別しやすくなることがわかる。
【0036】
図1を用いて画像処理装置4の構成をさらに詳しく説明する。なお、画像処理装置4は、パーソナルコンピュータや画像処理専用のプロセッサを備えるコンピュータを用いて以下の動作を行うプログラムを実行することにより実現される。画像処理装置4は、ラインセンサカメラ1からの濃淡画像を取り込むためのインターフェイスや、モニタ装置に画像を出力するためのインターフェイスなどを備えるが、これらの構成は周知のものを用いればよいから説明を省略する。また、画像処理装置4には、ラインセンサカメラ1からの濃淡画像を格納するとともに、画像処理の過程で生じる画像データを格納する作業記憶となる画像メモリ5が設けられる。
【0037】
以下の説明では、画像メモリ5には、木材3の表面に相当する領域の画素を背景から分離した画像が格納されているものとする。木材3の表面に相当する画素を抽出するには、ラインセンサカメラ1により撮像した濃淡画像の2値化を行い、この二値画像を用いて背景の領域を分離すればよい。
【0038】
画像処理装置4には、画像メモリ5に格納されている木材3の表面の全体に関する濃淡画像の輝度に適宜のしきい値を適用して二値画像を生成する二値化手段11と、二値画像により欠陥候補となる欠陥候補領域を抽出する欠陥候補抽出手段12とを備えた前処理部が設けられる。前処理部では、木材3の表面の全体に対するしきい値を適用するから、欠陥候補領域が抽出されやすくなるように、しきい値を設定する。また、欠陥候補領域はピース32に対応付けて抽出される。
【0039】
画像処理装置4は、前処理部で欠陥候補領域が抽出されたピース32ごとに、二値化のためのしきい値をあらためて設定するしきい値設定手段13と、しきい値設定手段13により設定されたしきい値を用いて各ピース32を、それぞれ二値化する再二値化手段14と、再二値化手段14での二値化により得られた二値画像からピース32ごとの欠陥候補領域を抽出する欠陥候補再抽出手段15とを有する再抽出処理部を備える。すなわち、本実施形態では、ピース32を検査領域の単位とし、ピース32の範囲内において欠陥候補領域を周囲から分離する。
【0040】
再抽出処理部により抽出された欠陥候補領域は、欠陥選別処理部に設けた欠陥判定手段16において欠陥か否かが判定される。すなわち、前処理部、再抽出処理部、欠陥選別処理部により構成される。
【0041】
以下では、図2に基づいて画像処理装置4の動作をさらに詳しく説明する。ラインセンサカメラ1により撮像された濃淡画像は、まず二値化手段11に入力され、二値画像が生成される(S1)。二値化手段11では、上述のような各種の欠陥の欠陥候補領域を抽出するために、欠陥の種類ごとに対応付けた複数のしきい値が設定される。しきい値は、ピース32の輝度の平均値に基づいて設定され、ピース32ごとに浮動的に設定される。すなわち、ピース32ごとに、欠陥の種類に応じてしきい値が複数個ずつ設定されることになる。
【0042】
欠陥候補抽出手段12では、二値化手段11により得られた二値画像からブロブ(連結成分)を抽出し、ブロブの画素数に着目することにより、欠陥候補領域と他の部位とに分離する(S2)。欠陥候補領域の抽出は、画像メモリ5に格納された木材3の表面の全領域について行う(S3)。
【0043】
ここに、上述のように木材3の表面は複数個のピース32を配列して形成されており、各ピース32の中では連続性があるが、それぞれのピース32は独立しているから、ピース32を単位として欠陥候補領域を抽出することは合理的である。
【0044】
前処理部においてピース32ごとの欠陥候補領域を抽出した後、再抽出処理部におけるしきい値設定手段13において、ピース32ごとに二値化のためのしきい値をあらためて設定する(S4)。すなわち、しきい値設定手段13では、ピース32の中で木目と欠陥とを区別することができるようにしきい値を再設定する。しきい値を再設定するのは、欠陥候補領域が抽出されたピース32のみとすることができるが、すべてのピース32についてしきい値を再設定してもよい。
【0045】
しきい値設定手段13では、木材3の色味や照明環境によって変化する基準値をAと設定し、基準値Aを1つのしきい値として設定し、さらに、基準値Aに複数種類の加算値をそれぞれ加算した複数個のしきい値を設定するようにしてもよい。加算値としては、たとえば25、45、85を用いる。この場合、しきい値設定手段13では、A、A+25、A+45、A+85をしきい値として設定することになる。基準値Aは、欠陥候補抽出手段12が抽出した欠陥候補領域の外接矩形、欠陥候補領域が含まれるピース32全体、あるいはピース32内で欠陥候補領域を含む所定領域のうち欠陥候補領域を除く領域の輝度の平均値に基づいて設定すればよい。
【0046】
いま、木材3の材質がカバ材である場合を例にすると、ピース32内に1mm2以上のサイズの欠陥あるいは木目(欠陥に対するノイズ)が存在する場合には、ピース32内(欠陥候補領域の外接矩形内でもよい)の輝度の平均値と欠陥および木目の輝度との関係をプロットしたときに、図6のような関係が得られている。図6において、菱形は欠陥であり、四角形は木目である。
【0047】
図6に示す関係を見ると、欠陥と木目とを分離することができる輝度は、ほぼ一直線上に並んでおり、図示例では直線Ltに沿っていると言える。すなわち、直線Ltを求めることによって、ピース32に含まれる画素に関する輝度の平均値の関数として、欠陥と木目とを分離するしきい値を設定することが可能になる。
【0048】
図示例では、しきい値=0.4×平均輝度+8.0になる。このように、木材3の材質に応じた直線Ltの式を、しきい値=a×平均輝度+bの形式で与え、定数a,bを決定すれば、ピース32の輝度の平均値からしきい値を設定することが可能になる。言い換えると、ピース32ごとにしきい値が浮動的に設定されることになる。
【0049】
次に、しきい値設定手段13で設定したしきい値を初期値に用いて、後述する技術によりしきい値を再設定する(S5)。再二値化手段14では、当該しきい値を用いて、ピース32を単位する濃淡画像の二値化をあらためて行う(S6)。一般に、入皮とカナスジとの欠陥は、他の欠陥に比較すると輝度が高く(たとえば、256段階の輝度で60〜70)、周囲の輝度との輝度差が小さいから、入皮とカナスジとが検出可能になるようにしきい値を設定することにより、欠陥の検出精度を高めることができる。
【0050】
再二値化手段14で用いるしきい値としては、たとえば、再二値化手段14での二値化の前に用いたしきい値に適宜の補正値を加算した値を用いる。補正値には、ピース32内の輝度の平均値が、輝度の階調の中央値(たとえば、輝度が255階調であって、最大値が255であるとすれば、128)よりも大きいときには、前のしきい値よりも一定値(たとえば、10)だけ大きい値を新たなしきい値に用い、輝度の階調の中央値よりも小さいときには、前のしきい値よりも一定値だけ小さい値を新たなしきい値に用いる。
【0051】
再二値化手段14で二値化を行った二値画像は、欠陥候補再抽出手段15に与えられ、再二値化手段14により得られた二値画像からブロブが抽出された後、ブロブの画素数に着目して欠陥候補領域と他の部位とに分離される(S7)。すなわち、各ピース32において、欠陥候補領域の再抽出が行われる。欠陥候補領域の抽出対象であるすべてのピース32について欠陥候補領域の再抽出が行われると(S8)、欠陥候補領域は欠陥選別処理部に与えられる。
【0052】
欠陥選別処理部における欠陥判定手段16では、まず、再抽出された欠陥候補領域か否かを判断する(S9)。次に、再抽出した欠陥候補領域であれば(S9:yes)について、欠陥判定手段16において欠陥候補領域と周囲との輝度の平均値を求め(S10)、平均値の輝度差を算出し(S11)、算出した輝度差に基づいて欠陥候補領域が欠陥か否かを判定する(S12)。ステップS9〜S12の処理は、すべての欠陥候補領域について行われる(S13)。また、ステップS9において、欠陥候補領域が再抽出されたものではないと判断されたときには、当該欠陥候補領域についてステップS12において欠陥か否かが判定される。
【0053】
ステップS12における欠陥の判定条件は、たとえば、再抽出された欠陥候補領域に対しては、欠陥候補領域と周囲との輝度の平均値の輝度差が規定値(たとえば、20)以上であり、かつ面積が規定値(たとえば、20mm2)以上であることとすればよい。再抽出された欠陥候補領域ではない場合には、輝度差は考慮せず面積が規定値以上であることとすればよい。
【0054】
欠陥の判定条件は、図6に示したしきい値の設定と同様に、周囲の輝度の平均値の関数として設定してもよい。すなわち、欠陥候補領域に対して設定した外接矩形内の輝度の平均値(欠陥候補領域の形状に応じて設定した領域内の輝度の平均値でもよい)と、欠陥候補領域と周囲との平均値の差(輝度差)との関係をプロットすると、図7に示すような関係が得られる。図中の正方形は欠陥の輝度差、菱形は木目の輝度差を表している。
【0055】
図7からわかるように、欠陥と木目との輝度差の境界は、周囲の輝度の平均値に対して直線Lsに沿って並んでいると言える。したがって、周囲の輝度の平均値に応じた直線Ls上の値をしきい値に用いることにより、欠陥と木目との分離が可能になる。図示例は木材3がカバ材である場合を示しており、直線Lsは、しきい値=0.75×平均輝度−20.0になる。すなわち、しきい値=c×平均輝度+dの形式で与え、定数c,dを適宜に決定することにより、欠陥と木目とを識別して欠陥を抽出することができる。
【0056】
ところで、欠陥判定手段16により欠陥と判定されない欠陥候補領域が残っている場合に、当該欠陥候補領域は欠陥の一部であるにもかかわらず、しきい値の設定によって分断され、欠陥と判定されていない可能性がある。以下では、この種の欠陥候補領域を、さらに精査することによって、欠陥か否かを判別する技術について説明する。すなわち、欠陥選別処理部は、欠陥判定手段16に加えて、以下に説明するように、欠陥と判定されていない欠陥候補領域(つまり、欠陥候補領域と判定されていないブロブ)について、1つの欠陥候補領域として連結可能か否かを評価する連結評価手段17と、連結可能と評価されたブロブを連結する連結処理手段18と、ブロブを連結して形成された欠陥候補領域についてあらためて欠陥か否かを判定する再判定手段19とを有している。
【0057】
すなわち、連結評価手段17は、図8に示すように、まず、ステップS4、S5において設定した各しきい値のうちの着目する1つのしきい値(以下、「第1しきい値Th1」という)により抽出したブロブを取り出す(S23)。ここに、しきい値とブロブとは対応付けて記憶されているものとする。
【0058】
次に、他のブロブとの連結の可能性を評価するために、他のブロブを抽出するためのしきい値(以下、「第2しきい値Th2」という)をTh2=Th1と規定し(S24)、第2しきい値Th2に対応する欠陥候補領域を抽出する(S26)。第2しきい値Th2が第1しきい値Th1と等しい場合には、第1しきい値Th1に対応して抽出したブロブのうち、第1しきい値Th1に対応付けていないブロブを第2しきい値Th2に対応するブロブとして抽出する。
【0059】
たとえば、各しきい値に対応するブロブを面積の降べきの順に並べておき、第2しきい値Th2が第1しきい値Th1と等しい場合には、第1しきい値Th1に対して抽出したブロブに対して降べきの順で次順になるブロブを第2しきい値Th2に対応するブロブとして抽出する。
【0060】
第1しきい値Th1と第2しきい値Th2とに対応する2個の欠陥候補領域が抽出されると、両者の隣接度を評価する(S28)。隣接度は,ブロブの中心(重心)間の距離を用いる(以下では、ブロブの中心間の距離を、単に「ブロブ間の距離」という)。具体的には、木材の搬送方向と搬送方向に直交する方向との2方向について、ブロブ間の距離を計測し、それぞれの距離が規定値(規定値は、たとえば、搬送方向に5mm、搬送方向に直交する方向に1mmなどと設定する)以下か否かを評価する。ここで、距離が規定値以下であれば、連結処理手段18において、2個のブロブを連結するとともに合算した面積を求める(S30)。面積の合算には、ブロブの面積を加算すればよい。なお、ブロブ間の距離として重心間の距離を用いているが、慣性主軸間の距離など他のを用いることも可能である。
【0061】
連結後のブロブの面積が第2しきい値Th2に対して規定されている規定値以上である場合には(S31:yes)、再判定手段19により連結後の欠陥候補領域を1つの欠陥と判定する(S32)。また、合計した面積が規定値未満であれば(S31:no)、この時点では欠陥ではないと判定される。
【0062】
上述のように、2個の欠陥候補領域の隣接度の評価(S28)と、合計した面積の評価(S31)とを、すべてのしきい値の組み合わせについて行うことにより(S21、S22、S25、S27、S33)、分割されていた欠陥候補領域を結合し欠陥と判定することが可能になる。
【0063】
なお、ステップS21,S33において、第1しきい値Th1と第2しきい値Th2とを1刻みで増加させているから、第1しきい値Th1あるいは第2しきい値Th2が、欠陥候補領域を抽出したときのしきい値に対応していない可能性がある。そこで、ステップS29では、第1しきい値Th1と第2しきい値Th2とがともに、欠陥候補領域を抽出したときのしきい値であるときのにみ(S29:yes)、欠陥候補領域を連結するか否かを判断するようにしている。
【0064】
ここに、上述したように、しきい値設定手段13において複数段階のしきい値(上述の例では、A、A+25、A+45、A+85)を設定している場合には、これらのしきい値を用いて抽出したブロブのうちの任意の2個(ブロブを抽出するしきい値は、同じ値の場合と異なる値の場合とがある)について、連結可能か否かを評価する。
【0065】
上述した手順により、欠陥であるにもかかわらず分割されていた欠陥候補領域を、あらためて連結して評価することが可能になり、欠陥を見落とすことなく検出することが可能になる。
【0066】
ところで、欠陥のうち特定の欠陥(たとえば、節)は、特定のしきい値で検出されることが多いという知見が得られている。節を例にすれば、茶色の領域であって、輝度が256階調であるとすれば、A+25とA+50との間にしきい値を設定しておけば、ほとんどの場合に検出することができる。基準値Aは、上述のように、ブロブ(欠陥候補領域)の外接矩形、ブロブが含まれるピース32の全体、あるいはピース32内でブロブを含む所定領域のうちブロブを除く領域の輝度の平均値に基づいて設定される。このように、欠陥の種類によっては、特定のしきい値を設定しておくことで抽出可能な場合がある。ただし、特定しきい値は、木材3の材質による表面色によって異なるとともに、表面含水率などの表面状態によっても異なる。
【0067】
この点を踏まえて、木材の種類に応じた特定のしきい値(以下、「特定しきい値」という)をあらかじめ設定しておき、特定しきい値により欠陥か否かを判定することが可能である。すなわち、図9に示すように、まず木材3の材質を判定し(S18)、特定の材質の場合と他の材質の場合とに応じて、特定しきい値を設定している(S19,S20)。特定しきい値の設定は、欠陥判定手段18による欠陥の判定を行った後、連結評価手段18によりブロブの連結の可能性を評価する前に行われる。つまり、特定しきい値の設定後に、図8に示したステップS21以降の処理が行われる。
【0068】
図示例では、木材3がカバ材か否かを分類しており(カバ材でない場合としては、ブナ材を想定している)、カバ材でない場合には(S18:no)、特定しきい値Th1をAと設定し、特定しきい値Th2をA+85と設定し(S19)、カバ材である場合には(S18:yes)、特定しきい値Th1をAと設定し、特定しきい値Th2の下限値をA+25とし上限値をA+50として設定する(S20)。
【0069】
図9に示す手順では、ブロブについて連結の可能性を評価し、隣接度が高いブロブを連結するまで(S21〜S30)は、ステップS29を除いた点以外について図8と同じ手順になる。ただし、図8に示した例では、連結したブロブの面積を規定値と比較するだけであるのに対し、図9に示す手順においては、連結するブロブに対応する第1しきい値Th1および第2しきい値が、ともに特定しきい値であるか否かを判定する(S34)。
【0070】
第1しきい値Th1および第2しきい値Th2がともに特定しきい値であるときには(S34:yes)、欠陥の種類が節であると判断し、節の大きさに応じた面積値か否かを評価する(S35)。ここで、節の条件を満たしているときには(S35:yes)、連結したブロブを節と判定する(S36)。
【0071】
一方、第1しきい値Th1と第2しきい値Th2との少なくとも一方が特定しきい値ではないときには(S34:no)、欠陥の種類は節ではないと判断し、図8の手順と同様に、面積を規定値と比較し(S37)、面積が規定値以上であれば(S37:yes)、欠陥と判定する(S38)。
【0072】
ここにおいて、図9のステップS28における隣接するブロブの判定を、図10に示すステップS39〜S41により行うことができる。すなわち、ブロブ間の距離を規定距離と比較することによりブロブが連結可能か否かを判定するにあたり(S40,S41)、第1しきい値Th1と第2しきい値Th2とが等しい場合と異なる場合とに分け(S39)、両者が異なる場合(S39:no)の規定距離を、両者が等しい場合(S39:yes)の規定距離よりも大きく設定している。つまり、連結可能であっても異なるしきい値で抽出されたブロブは、距離がやや大きい場合があるから、許容範囲を広く設定するのである。
【0073】
図示例では、上記規定距離について、第1しきい値Th1と第2しきい値Th2とが等しい場合は、ラインセンサカメラ1の長手方向における距離が5.0mm以内かつ木材3の搬送方向における距離が1.0mm以内であるときに連結可能と判断し、第1しきい値Th1と第2しきい値Th2とが異なる場合は、ラインセンサカメラ1の長手方向における距離が20.0mm以内かつ木材3の搬送方向における距離が2.0mm以内まで許容している。
【0074】
上述のように、ブロブを抽出したしきい値が同じか異なるかによって、ブロブ間の連結可能性を判断する距離を変化させているのは、以下の理由による。すなわち、欠陥のうち節は、全体の輝度がほぼ等しいから、1種類のしきい値で1つの欠陥のほぼ全体を抽出することができ、しかもブロブの密集度が高いから、分割されたブロブ間の距離が比較的近い場合にのみ連結可能と判断することができる。
【0075】
これに対して、欠陥のうち入皮やカナスジは、輝度のばらつきが大きいから、1つの欠陥について異なるしきい値で抽出される複数個のブロブを結合する必要があり、しきい値の大きさの差によるが、一般に異なるしきい値で抽出したブロブの距離は比較的大きいから、ブロブ間の距離が比較的遠い場合でも連結可能と判断するのである。
【0076】
図11は図10の変形例であって、ステップS30において隣接するブロブを連結し、面積を合計した後に、欠陥か否かを判断する処理を単純化したものである。すなわち、ステップS34〜S38に代えて、ステップS30で合計した面積を、節の検出に設定した規定の面積値と比較し(S42)、合計面積が規定の面積値以上であるときには(S42:yes)、ブロブの合成により形成した欠陥候補領域を欠陥と判定するのである(S43)。
【0077】
以上説明したように、本発明では、1個の欠陥が複数個のブロブに分割されて抽出された場合でも、ブロブを適切に連結することによって、1個の欠陥として扱うことを可能にし、結果的に欠陥の検出精度が高くなるのである。
【符号の説明】
【0078】
1 ラインセンサカメラ(撮像手段)
2 照明装置
3 木材
4 画像処理装置
5 画像メモリ
11 二値化手段
12 欠陥候補抽出手段
13 しきい値設定手段
14 再二値化手段
15 欠陥候補再抽出手段
16 欠陥判定手段
17 連結評価手段
18 連結処理手段
19 再判定手段
32 ピース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象である木材の表面を撮像手段により撮像した濃淡画像の輝度を二値化することにより二値画像を生成する二値化手段と、二値化手段により生成された二値画像から欠陥候補領域を抽出する欠陥候補抽出手段と、欠陥候補領域を含む所定の検査領域ごとに欠陥候補領域を周囲から分離するためのしきい値を設定するしきい値設定手段と、しきい値設定手段により設定されたしきい値を用いて濃淡画像をあらためて二値化する再二値化手段と、再二値化手段により生成された二値画像から欠陥候補領域を抽出する欠陥候補再抽出手段と、欠陥候補再抽出手段により抽出された欠陥候補領域が欠陥か否かを判定する欠陥判定手段と、欠陥判定手段により欠陥と判定されなかった欠陥候補領域について同一の欠陥として連結可能か否かを評価する連結評価手段と、連結評価手段により連結可能と評価された欠陥候補領域を連結する連結処理手段と、連結処理手段による連結後の欠陥候補領域の全体について欠陥か否かを判定する再判定手段とを備えることを特徴とすることを特徴とする木材欠陥検出装置。
【請求項2】
前記濃淡画像は、白色光による照明を用いて前記撮像手段により撮像されることを特徴とする請求項1記載の木材欠陥検出装置。
【請求項3】
前記連結評価手段は、同じしきい値を用いて抽出した欠陥候補領域と異なるしきい値で抽出した欠陥候補領域とから選択した各2個の欠陥候補領域について、しきい値の範囲が規定範囲内であり、かつ両欠陥候補領域の距離が規定値以内であるときに連結可能と評価することを特徴とする請求項1又は2記載の木材欠陥検出装置。
【請求項4】
前記連結評価手段は、木材の種類に応じて異なる範囲のしきい値を設定することを特徴とする請求項3記載の木材欠陥検出装置。
【請求項5】
前記連結評価手段は、評価する2個の欠陥候補領域を抽出したしきい値が同じである場合と異なる場合とで連結可能と評価する距離の規定値を異ならせることを特徴とする請求項3又は4記載の木材欠陥検出装置。
【請求項6】
前記連結評価手段は、評価する2個の欠陥候補領域を抽出したしきい値が同じである場合に連結可能と評価する距離の規定値を、しきい値が異なる場合に連結可能と評価する距離の規定値よりも小さく設定することを特徴とする請求項5記載の木材欠陥検出装置。
【請求項7】
前記連結処理手段は前記連結評価手段により連結可能と評価された欠陥候補領域の面積を合算し、前記再判定手段は合算後の面積が規定値以上であるときに欠陥と判定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の木材欠陥検出装置。
【請求項8】
検査対象である木材の表面を撮像手段により撮像した濃淡画像の輝度を二値化することにより二値画像を生成し、生成された二値画像から欠陥候補領域を抽出した後、欠陥候補領域を含む所定の検査領域ごとに欠陥候補領域を周囲から分離するためのしきい値を設定し、次に、設定されたしきい値を用いて濃淡画像をあらためて二値化することにより二値画像を生成し、生成された二値画像から欠陥候補領域を抽出するとともに、抽出した欠陥候補領域が欠陥か否かを判定し、さらに、欠陥と判定されなかった欠陥候補領域について同一の欠陥として連結可能か否かを評価した後、連結可能と評価された欠陥候補領域を連結し、連結後の欠陥候補領域の全体について欠陥か否かを判定することを特徴とすることを特徴とする木材欠陥検出方法。
【請求項1】
検査対象である木材の表面を撮像手段により撮像した濃淡画像の輝度を二値化することにより二値画像を生成する二値化手段と、二値化手段により生成された二値画像から欠陥候補領域を抽出する欠陥候補抽出手段と、欠陥候補領域を含む所定の検査領域ごとに欠陥候補領域を周囲から分離するためのしきい値を設定するしきい値設定手段と、しきい値設定手段により設定されたしきい値を用いて濃淡画像をあらためて二値化する再二値化手段と、再二値化手段により生成された二値画像から欠陥候補領域を抽出する欠陥候補再抽出手段と、欠陥候補再抽出手段により抽出された欠陥候補領域が欠陥か否かを判定する欠陥判定手段と、欠陥判定手段により欠陥と判定されなかった欠陥候補領域について同一の欠陥として連結可能か否かを評価する連結評価手段と、連結評価手段により連結可能と評価された欠陥候補領域を連結する連結処理手段と、連結処理手段による連結後の欠陥候補領域の全体について欠陥か否かを判定する再判定手段とを備えることを特徴とすることを特徴とする木材欠陥検出装置。
【請求項2】
前記濃淡画像は、白色光による照明を用いて前記撮像手段により撮像されることを特徴とする請求項1記載の木材欠陥検出装置。
【請求項3】
前記連結評価手段は、同じしきい値を用いて抽出した欠陥候補領域と異なるしきい値で抽出した欠陥候補領域とから選択した各2個の欠陥候補領域について、しきい値の範囲が規定範囲内であり、かつ両欠陥候補領域の距離が規定値以内であるときに連結可能と評価することを特徴とする請求項1又は2記載の木材欠陥検出装置。
【請求項4】
前記連結評価手段は、木材の種類に応じて異なる範囲のしきい値を設定することを特徴とする請求項3記載の木材欠陥検出装置。
【請求項5】
前記連結評価手段は、評価する2個の欠陥候補領域を抽出したしきい値が同じである場合と異なる場合とで連結可能と評価する距離の規定値を異ならせることを特徴とする請求項3又は4記載の木材欠陥検出装置。
【請求項6】
前記連結評価手段は、評価する2個の欠陥候補領域を抽出したしきい値が同じである場合に連結可能と評価する距離の規定値を、しきい値が異なる場合に連結可能と評価する距離の規定値よりも小さく設定することを特徴とする請求項5記載の木材欠陥検出装置。
【請求項7】
前記連結処理手段は前記連結評価手段により連結可能と評価された欠陥候補領域の面積を合算し、前記再判定手段は合算後の面積が規定値以上であるときに欠陥と判定することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の木材欠陥検出装置。
【請求項8】
検査対象である木材の表面を撮像手段により撮像した濃淡画像の輝度を二値化することにより二値画像を生成し、生成された二値画像から欠陥候補領域を抽出した後、欠陥候補領域を含む所定の検査領域ごとに欠陥候補領域を周囲から分離するためのしきい値を設定し、次に、設定されたしきい値を用いて濃淡画像をあらためて二値化することにより二値画像を生成し、生成された二値画像から欠陥候補領域を抽出するとともに、抽出した欠陥候補領域が欠陥か否かを判定し、さらに、欠陥と判定されなかった欠陥候補領域について同一の欠陥として連結可能か否かを評価した後、連結可能と評価された欠陥候補領域を連結し、連結後の欠陥候補領域の全体について欠陥か否かを判定することを特徴とすることを特徴とする木材欠陥検出方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図4】
【図2】
【図3】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図4】
【公開番号】特開2011−95109(P2011−95109A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−249447(P2009−249447)
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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