説明

木材表面を処理する方法

本発明は、表面処理剤を使用して木材または木材材料の表面を処理する方法および前記方法により処理された木材または木材材料に関する。前記方法は、以下の工程:a)木材、木材材料または木材材料を製造する材料を、硬化性水性組成物で含浸させる工程、前記組成物は少なくとも1個の架橋性化合物を含有し、前記化合物は、α)少なくとも2個の式CHOR(Rは水素またはC〜C−アルキルである)のN結合基および/または2個の窒素原子に架橋した1,2−ビスヒドロキシエタン−1,2−ジイル基を有する低分子化合物V、β)化合物Vの前縮合物およびγ)化合物Vと、C〜C−アルカノール、C〜C−ポリオールおよびオリゴアルキレングリコールから選択される、少なくとも1個のアルコールの反応生成物または混合物から選択される、b)工程a)で得られた材料を高温で処理し、場合により木材材料に更に処理する工程、および
c)処理すべき木材または木材材料の少なくとも1個の表面を表面処理剤で処理し、場合により自体公知方法で表面処理剤を乾燥する工程を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表面処理剤を使用して木材または木材材料の表面を処理する方法およびこうして処理された木材または木材材料に関する。
【0002】
微粒子木材材料からなる化粧板または成形体のような木材および木材材料は装飾目的におよび機械的および気候に起因する影響から木材表面を保護するためにしばしば着色液のような表面処理剤、塗料またはその他の被膜を備える(例えばH.Nimz等、Wood−Wood based Materials、2.4章およびW.Hansemann、Wood−Surface Treatment、Ullmanns Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、Wiley−VCH−Weinheim1997参照)。
【0003】
ポリマー結合表面処理剤、すなわち透明塗料および塗料のような被覆剤系において、木材もしくは木材材料の表面への得られた被膜の付着が問題であり、湿ったおよび固体の、すなわち乾燥したもしくは硬化した状態で問題である。水ベース表面処理剤の場合は更にしばしば十分に滑らかな表面を得るために、処理の際に木材表面を粗面にし、従って後で削らなければならないという問題が生じる。この場合に表面の一部を除去し、処理工程および研削工程を一般に何回も繰り返さなければならず、これはかなりの手間がかかる。
【0004】
WO2004/033170号およびWO2004/033171号は、中実木材からなる木材成形体の長時間付着性、寸法安定性、および表面硬さを改良するための、ヒドロキシメチルまたはアルコキシメチル変性尿素誘導体、例えば1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン、アルカノール変性ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジノン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)尿素、1,3−ビス(メトキシメチル)尿素、1−ヒドロキシメチル−3−メチル尿素、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾリジン−2−オン、1,3−ジメチル−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン、またはテトラ(ヒドロキシメチル)アセチレンジ尿素をベースとする含浸剤の使用を記載する。木材または木材材料の表面処理の際の問題は記載されない。
【0005】
本発明の課題は、冒頭に記載の問題を解決する木材または木材材料を表面処理する方法を提供することである。
【0006】
意想外にも、木材または木材材料を自体公知方法で、表面処理剤で表面処理し、木材、木材材料、または木材材料の製造に使用される木材物質を、予め硬化性水性組成物で含浸し、前記組成物は少なくとも1個の架橋性化合物を含有し、前記化合物は
α)少なくとも2個の式CHOR(Rは水素またはC〜C−アルキルである)のN結合基および/または2個の窒素原子に架橋した1,2−ビスヒドロキシエタン−1,2−ジイル基を有する低分子化合物V
β)化合物Vの前縮合物および
γ)化合物Vと、C〜C−アルカノール、C〜C−ポリオールおよびオリゴアルキレングリコールから選択される、少なくとも1個のアルコールの反応生成物または混合物から選択される、
引き続きb)工程a)で得られた材料を高温で処理する場合に、この課題および他の課題が解決できることが見出された。
【0007】
従って本発明は、木材または木材材料の表面を処理する方法に関し、前記方法は、以下の工程:
a)木材、木材材料または木材材料を製造する木材物質を、硬化性水性組成物で含浸させる工程、前記組成物は少なくとも1個の架橋性化合物を含有し、前記化合物は
α)少なくとも2個の式CHOR(Rは水素またはC〜C−アルキルである)のN結合基および/または2個の窒素原子に架橋した1,2−ビスヒドロキシエタン−1,2−ジイル基を有する低分子化合物V
β)化合物Vの前縮合物および
γ)化合物Vと、C〜C−アルカノール、C〜C−ポリオールおよびオリゴアルキレングリコールから選択される、少なくとも1個のアルコールの反応生成物または混合物から選択される、
b)工程a)で得られた材料を高温で処理し、場合により木材材料に更に処理する工程、および
c)処理すべき木材または木材材料の少なくとも1個の表面を表面処理剤で処理し、場合により自体公知方法で処理した表面を乾燥する工程
を有する。
【0008】
本発明の方法は多くの利点と結びつく。ポリマー結合被覆剤系をベースとする塗料は湿ったおよび湿潤状態で改良された付着を示す。更に水ベース表面処理剤の場合に表面の粗面化の前記の問題が生じない。更にこの方法で水ベース表面処理剤で処理する際に時折発生する木材成形体のゆがみが回避される。
【0009】
本発明の方法の第1工程a)において、木材もしくは木材材料、例えば化粧板材料または削り屑のような微粒の木材材料、繊維、またはストランドから結合した木材材料または木材材料の製造に使用される木材物質、例えば化粧板、または微粒の木材物質を、硬化性化合物の水性組成物で含浸する。
【0010】
微粒の木材物質には繊維、削り屑、ストランド、チップ、切片等が含まれる。化粧板は厚さ5mm以下、特に1mm以下を有する平らな薄い木材物質である。特に工程a)において5mmより大きい、特に10mm以上の最小寸法を有する大きな寸法の部品、特に中実木材もしくは完全木材からの大きい寸法の部品を含浸する。
【0011】
原則的にすべての木材の種類、特にその乾燥含量の少なくとも30%、特に少なくとも50%の水を吸収することができる木材の種類、特に有利にDINEN350−2による含浸能力等級1および2に属する木材が適している。これには例えば針葉樹の木材、例えばマツ、トウヒ、ドーグラスモミ、カラマツ、マツ、モミ、海岸のモミ、ヒマラヤスギ、マツ、および広葉樹の木材、例えばカエデ、サトウカエデ、アカシア、エイヨン、シラカバ、ヨウナシ、ブナ、オーク、ハンノキ、ヤマナラシ、トネリコ、ナナカマド、ハシバミ、カバノキ、サクラ、クリ、シナノキ、アメリカクルミ、ポプラ、オリーブ、ハリエンジュ、ニレ、クルミ、ゴムノキ、マメモドキ、ヤナギ等が属する。本発明の利点は特に以下の木材の場合に効力を発揮する。ブナ、トウヒ、マツ、ポプラ、トネリコ、カエデ。従って本発明の有利な実施態様は木材、もしくは木材成分が前記の木材材料から選択される木材材料の表面処理に関する。
【0012】
工程a)に使用される架橋可能な化合物、すなわち化合物V、その前縮合物、および反応生成物は、使用される水性組成物に一般に完全に溶解して存在する、低分子化合物または低分子量オリゴマーである。架橋可能な化合物の分子量は一般に400ドルトン未満である。この特性により前記化合物が木材の細胞壁に浸入することができ、硬化した際に細胞壁の機械的安定性が改良し、水により生じる細胞壁の膨潤を回避することが理解される。
【0013】
架橋可能な化合物の例は以下のものであるが、これに限定されない。
3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン(DMDHEU)、
〜C−アルカノール、C〜C−ポリオール、またはオリゴエチレングリコールで変性された、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジノン(変性されたDMDHEUまたはmDMDHEU)、
1,3−ビス(ヒドロキシメチル)尿素、
3−ビス(メトキシメチル)尿素、
1−ヒドロキシメチル−3−メチル尿素、
1,3−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾリジン−2−オン(ジメチロールエチレン尿素)、
1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−1,3−ヘキサヒドロピリミジン−2−オン(ジメチロールプロピレン尿素)、
1,3−ビス(メトキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン(DMeDHEU)、
テトラ(ヒドロキシメチル)アセチレンジ尿素、
低分子メラミン−ホルムアルデヒド樹脂(MF樹脂)、例えば
少なくとも2個、例えば2,3,4,5または6個のN−ヒドロキシメチル基を有するポリ(ヒドロキシメチル)メラミン、例えば3回メチロール化したメラミン(=2,4,6−トリス(N−ヒドロキシメチルアミノ)−1,3,5−トリアジン)、および
〜C−アルカノール、C〜C−ポリオール、またはオリゴエチレングリコールで変性された低分子メラミン−ホルムアルデヒド樹脂(MF樹脂)、例えば少なくとも2個、例えば2,3,4,5または6個のN−ヒドロキシメチル基を有するポリ(ヒドロキシメチル)メラミン(変性MF樹脂)。
【0014】
化合物V、その前縮合物および反応生成物の水性組成物は、例えばWO2004/033171号、WO2004/033170号、K.Fischer等、Textile Auxiliaries−Finishing Agents、7.2.2章、Ullmanns Encyclopedia of Industrial Chemistry 第5版、Wiley−VCH、Weinheim1997およびそこに引用される文献、米国特許第2731364号、米国特許第2930715号、H.Diem等、Amino−Resins、7.2.1章および7.2.2章、Ullmanns Encyclopedia of Industrial Chemistry 第5版、Wiley−VCH、Weinheim1997およびそこに引用される文献、Houben−WeylE20/3、1811〜1890から自体公知であり、一般に織物仕上げ用架橋剤として使用される。N−メチロール化尿素化合物Vとアルコールの反応生成物、例えば変性された1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジノン−2(mDMDHEU)は例えば米国特許第4396391号およびWO98/29393号から公知である。そのほか化合物V、その反応生成物および前縮合物は販売されている。
【0015】
本発明の有利な実施態様において、架橋可能な化合物は尿素単位(N−C(O)−N)の窒素原子に、すでに記載したようなそれぞれ1個の基CHORを有する尿素化合物Vおよびこの種の尿素化合物VとC〜C−アルカノール、C〜C−ポリオール、およびオリゴアルキレングリコールの反応生成物から選択される。特に架橋可能な化合物は1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン、およびC〜C−アルカノール、C〜C−ポリオールおよび/またはポリアルキレングリコールで変性された1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オンから選択される。ポリアルキレングリコールの例は特に前記オリゴ−C〜C−アルキレングリコールおよびポリ−C〜C−アルキレングリコールから選択される。
【0016】
mDMHEUは1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジノン−2とC〜C−アルカノール、C〜C−ポリオール、オリゴエチレングリコールまたはこれらのアルコールの混合物との反応生成物である。適当なC〜C−アルカノールは例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、およびn−ペンタノールであり、有利にメタノールである。適当なポリオールはエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−および1,3−プロピレングリコール、1,2−、1,3−および1,4−ブチレングリコール、およびグリセリンである。適当なポリアルキレングリコールの例は特に以下に記載されるオリゴ−C〜C−アルキレングリコールおよびポリ−C〜C−アルキレングリコールである。mDMDHEUを製造するために、DMDHEUをアルカノール、ポリオールまたはポリアルキレングリコールと混合する。この場合に一価アルコール、ポリオールまたはオリゴもしくはポリアルキレングリコールをDMDHEUに対して一般に0.1〜2.0モル当量、特に0.2〜2のモル当量の比で使用する。DMDHEU、ポリオールまたはポリアルキレングリコールの混合物を一般に水中で有利に20〜70℃の温度および有利に1〜2.5のpH値で反応させ、その際反応後のpH値を一般に4〜8の範囲に調節する。
【0017】
本発明の他の有利な実施態様において、架橋可能な化合物は少なくとも2回、例えば2,3,4,5または6回、特に3回、メチロール化されたメラミン(ポリ(ヒドロキシメチル)メラミン)およびC〜C−アルカノール、C〜C−ポリオールおよび/またはポリアルキレングリコールで変性されたポリ(ヒドロキシメチル)メラミンから選択される。ポリアルキレングリコールの例は特に以下に記載されるオリゴおよびポリ−C〜C−アルキレングリコールである。
【0018】
本発明により使用される水性組成物は1種以上の前記アルコール、C〜C−アルカノール、C〜C−ポリオール、オリゴおよびポリアルキレングリコールまたはこれらのアルコールの混合物を含有することができる。適当なC〜C−アルカノールは例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、およびn−ペンタノールであり、有利にメタノールである。適当なポリオールはエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−および1,3−プロピレングリコール、1,2−、1,3−および1,4−ブチレングリコールおよびグリセリンである。適当なオリゴおよびポリアルキレングリコールは特にオリゴおよびポリ−C〜C−アルキレングリコール、特にエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドのホモおよびコオリゴマーであり、前記ホモおよびコオリゴマーは場合により低分子開始剤、例えば少なくとも2個のOH基を有する脂肪族または脂環式ポリオール、例えば1,3−プロパンジオール、1,3−および1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、エリスリット、ペンタエリスリット、およびペンタイト、ヘキサイト、リビット、アラビット、キシリット、ズルシット、マンニット、ソルビット、イノシット、または少なくとも2個のNH2基を有する脂肪族または脂環式ポリアミン、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、プロピレンジアミン−1,3、ジプロピレントリアミン、3−アミノ−1−エチレンアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、ジヘキサメチレントリアミン、1,6−ビス(3−アミノプロピルアミノ)ヘキサン、N−メチルジプロピレントリアミン、またはポリエチレンイミンの存在で得られ、このうちジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジ−、トリ−およびテトラプロピレングリコールおよび低分子Pluronic、BASF社、例えばPluronicPE3100、PE4300、PE4400、RPE1720、RPE1740が有利である。
【0019】
存在する場合は、水性分散液中の架橋可能な化合物の濃度は、組成物の全質量に対して1〜60質量%、しばしば10〜60質量%、特に15〜50質量%の範囲である。硬化性水性組成物が前記アルコールの1種を含有する場合は、アルコールの濃度は有利に1〜50質量%、特に5〜40質量%の範囲である。架橋可能な化合物およびアルコールの全量は一般に水性組成物の全質量の10〜60質量%、特に20〜50質量%になる。
【0020】
工程a)に使用される水性組成物は一般に化合物Vもしくはその反応生成物または前縮合物の架橋を生じる少なくとも1種の触媒Kを含有する。触媒Kとして一般に金属ハロゲン化物、金属硫酸塩、金属硝酸塩、金属燐酸塩、金属四フッ化ホウ酸塩、三フッ化ホウ素の群からの金属塩、ハロゲン化アンモニウム、硫酸アンモニウム、蓚酸アンモニウム、または燐酸二アンモニウムの群からのアンモニウム塩、有機カルボン酸、有機スルホン酸、ホウ酸、燐酸、硫酸、および塩酸が適している。
【0021】
触媒Kとして適当な金属塩の例は特に塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化亜鉛、塩化リチウム、臭化リチウム、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム、硝酸亜鉛、および四フッ化ホウ酸ナトリウムである。
【0022】
触媒Kとして適当なアンモニウム塩の例は特に塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、蓚酸アンモニウム、および燐酸二アンモニウムである。
【0023】
触媒Kとして特に水溶性有機カルボン酸、例えばマレイン酸、蟻酸、クエン酸、酒石酸、および蓚酸、更にベンゼンスルホン酸、例えばp−トルエンスルホン酸が適しており、無機酸、例えば塩酸、燐酸、硫酸、ホウ酸、およびその混合物も適している。
【0024】
有利に触媒Kは塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、およびその混合物から選択され、塩化マグネシウムが特に有利である。
【0025】
触媒Kは一般に水性懸濁液に工程a)での含浸の直前に初めて添加する。触媒は一般に水性組成物に含まれる硬化成分の全質量に対して1〜20質量%、特に2〜10質量%の量で使用する。触媒の濃度は水性分散液の全質量に対して一般に0.1〜10質量%、特に0.5〜5質量%である。
【0026】
含浸は一般的な方法で、例えば浸漬により、場合により圧縮と組み合わせて真空の使用により、または従来の被覆法、例えば塗布、噴霧等により行うことができる。それぞれ使用される含浸法は当然ながら含浸する材料の寸法に依存する。削りくずまたはストランドのような小さい寸法を有する木材物質および薄い化粧板、すなわち表面と体積の比が大きい物質は、少ない費用で、例えば浸漬または噴霧により含浸することができるが、大きい寸法を有する木材物質、特に最も小さい伸びが5mmより大きい物質、例えば中実木材、中実木材または木材材料からなる成形部品は圧縮または真空を使用して、特に圧縮と真空の組み合わせた使用により、含浸する。有利に含浸は50℃未満の温度で、例えば15〜50℃の範囲の温度で行う。
【0027】
含浸条件は一般に吸収される水性組成物の硬化成分の量が未処理物質の乾燥質量に対して少なくとも1質量%、特に少なくとも5質量%であるように選択する。吸収される硬化成分の量は未処理物質の乾燥質量に対して100質量%までであってもよく、使用される未処理の物質の乾燥質量に対してしばしば1〜60質量%、有利に5〜50質量%、特に10〜50質量%の範囲である。含浸に使用される未処理物質の水分は重要でなく、例えば100%までであってもよい。これ以後説明する水分の語はDIN52183による残留水分含量と同じ意味である。有利に残留水分含量は木材の繊維飽和度より低い。残留水分含量は1〜50%、特に5〜30%の範囲である。
【0028】
浸漬のために、木材物質を場合により予備乾燥後に水性組成物を含有する容器中に浸漬する。浸漬は有利に数秒から24時間まで、特に1分から6時間までの時間にわたり行う。温度は一般に15〜50℃の範囲である。この場合に木材物質が水性組成物を吸収し、その際水性組成物中の非水性成分(すなわち硬化成分)の濃度により、温度および処理時間により、木材物質により吸収されるこの成分を調節することができる。実際に吸収される成分の量は当業者が簡単な方法で含浸された物質の質量の増加および水性組成物中の成分の濃度により測定し、調節することができる。化粧板は例えば水性組成物中に存在するプレスローラー、いわゆるカレンダーを使用して予備圧縮することができる。減圧の際に木材に生じる真空が引き続き水性含浸組成物の吸収を促進する。
【0029】
含浸は有利に減圧および高圧の使用を組み合わせることにより行う。このために一般に1〜100%の範囲の水分を有する木材物質をまずしばしば10〜500ミリバール、特に40〜100ミリバールの範囲にある減圧下で、例えば水性組成物中に浸漬することにより水性組成物と接触させる。時間は一般に1分〜1時間の範囲である。これに高圧、例えば2〜20バール、特に4〜15バール、特に5〜12バールの範囲での段階が続く。この段階の時間は一般に1分〜12時間の範囲である。温度は一般に15〜50℃の範囲である。この場合に木材物質が水性組成物を吸収し、その際水性組成物中の非水性成分(すなわち硬化成分)の濃度により、圧力により、温度および処理時間により、木材材料により吸収されるこの成分の量を調節できる。実際に吸収される量はこの場合にも木材物質の質量の増加により計算できる。
【0030】
更に表面に液体を被覆する一般的な方法により、例えば噴霧またはロール塗装もしくは塗布により含浸を行うことができる。このために有利に50%以下、特に30%以下、例えば12〜30%の範囲の水分を有する物質を使用する。被覆は一般に15〜50℃の範囲の温度で行う。噴霧は一般的な方法で平面または微粒の物体の噴霧に適したすべての装置で、例えばノズル装置等を使用して行うことができる。塗布もしくはロール塗装の場合は所望の量の水性組成物をローラーまたは刷毛を使用して平面物質上に被覆する。
【0031】
引き続き工程b)で水性組成物の架橋可能な成分の硬化を行う。硬化は技術水準に記載される方法、例えばWO2004/033170号およびWO2004/03371号に類似して行うことができる。
【0032】
硬化は典型的に含浸された物質の80℃より高い、有利に90℃より高い、例えば90〜220℃、特に100〜200℃の範囲の温度での処理により行う。硬化に必要な時間は典型的に10分〜72時間の範囲である。化粧板および微粒の木材物質の場合は更に高い温度および短い時間を使用できる。硬化の際に硬化した含浸物質で木材の孔を充填するだけでなく、含浸物質と木材自体との膨潤架橋も生じる。
【0033】
場合により硬化の前に乾燥工程、以下に予備乾燥工程を行うことができる。この場合に尿素化合物の硬化/架橋中に反応しない、水性組成物の揮発性成分、特に水および過剰の有機溶剤を部分的にまたは完全に除去する。予備乾燥は木材または木材材料を繊維飽和点より低く乾燥することを意味し、繊維飽和点は木材の種類に応じて約30%である。この予備乾燥は亀裂形成の不安を防ぐ。小さい寸法の木材物体、例えば化粧板の場合は予備乾燥を省略できる。大きい寸法の木材物体の場合は、予備乾燥が有利である。別の予備乾燥を行う場合は、これを有利に20〜80℃の範囲の温度で行う。選択される乾燥温度に依存して組成物に含まれる硬化成分の部分的または完全な硬化/架橋を行うことができる。含浸した物質の予備乾燥/硬化の組み合わせを一般に50〜220℃、特に80〜200℃の範囲にわたる温度特性の設定により行う。
【0034】
硬化/乾燥は一般的な新鮮な空気−排気装置、例えばドラム乾燥機中で行うことができる。有利に予備乾燥を、木材または木材材料の水分含量が予備乾燥後に乾燥質量に対して30%以下、特に20%以下であるように行う。乾燥質量に対して10%未満、特に5%未満の水分含量まで乾燥/硬化を行うことが有利である。水分含量は温度、時間および予備乾燥の際に選択される圧力により簡単な方法で調節できる。
【0035】
場合により乾燥/硬化の前に付着する液体を機械的方法で除去する。
【0036】
大きい寸法の物質の場合はこれを乾燥/硬化の際に例えばホットプレスで肯定することが有利である。
【0037】
工程a)で含浸された木材物質が、すでに規格化された最終製品でない場合は、自体公知方法で更に処理し、微粒の物質の場合は、例えばOSBプレート(配向構造ボード)、木質繊維板、ウェーハボード、OSLプレート、OSL成形部品(配向ストランド材木)、PSLプレート、PSL成形部品(並行ストランド材木)、遮断プレート、中密度(MDF)および高密度(HDF)繊維プレート等のような成形体に、化粧板の場合は、化粧張りしたOSLプレートおよびPSLプレート(配向もしくは並行ストランド材木)を含む化粧張りした繊維プレート、化粧張りした指物合板、化粧張りした木質繊維板のような化粧板、遮断木材、接着木材、層状木材、化粧板層木材(例えばKerto層状木材)、多面的プレート、貼り合わせ化粧板材料(貼り合わせベニア材木LVL)、内張り、被覆および仕上げ積層パネルのような装飾的化粧板材料、および非平面的三次元に形成された構造部品、例えば層状木材成形部品、遮断木材成形部品、および他の任意の、少なくとも1個の化粧板層が被覆された成形部品にすることができる。更なる処理は工程a)での含浸に続いて直ちに、工程b)での硬化の間にまたは硬化に続いて行うことができる。含浸された化粧板の場合は、有利に硬化工程の前にまたは硬化工程と一緒に更なる処理を行う。微粒の物質からなる成形体の場合は、成形工程と硬化工程を同時に行う。
【0038】
含浸された木材材料が中実木材または規格化された木材材料である場合は、これを工程c)で処理する前に通常の方法で、例えば鋸引き、鉋削り、研磨等により処理することができる。本発明により含浸され、硬化された中実木材は、水分、特に気候の影響にさらされる物品、例えば建築用木材、角材、木材からなる建築用部品、木製バルコニー、屋根のこけら板、塀、帆柱、枕木、船舶の内部構造またはデッキ部品の製造に適している。
【0039】
本発明の方法の工程c)において、工程b)で得られた木材もしくは木材材料の少なくとも1個の表面を表面処理剤を使用して処理する。
【0040】
表面処理剤の語は、特に木材または木材材料の表面処理に使用される基本的にすべての化学組成物、すなわち着色液のようなポリマー結合していない塗料組成物および透明塗料を含む塗料、光沢塗料、絹光沢塗料、つや消し塗料、有色塗料、粉体塗料のようなポリマー結合した塗料系、更にトップコート、透明塗料、プライマーおよび下塗り、フィルムを含む。
【0041】
これ以後、表面処理剤の乾燥の語は、溶剤含有もしくは水ベース被覆剤での表面処理により得られた被覆から揮発性成分を除去することによる物理的乾燥および硬化性表面処理剤での硬化/架橋を含む。
【0042】
表面処理剤は基本的に固体、半固体、例えばペースト状、または特に液体であってもよい。液体表面処理剤は溶剤ベースおよび水ベースであってもよい。これに関して溶剤ベースは表面処理剤の液体成分が液体成分に対して実質的に、すなわち少なくとも60質量%の、反応希釈剤を含む有機溶剤を含むことである。これに関して水ベースは表面処理剤の液体成分が液体成分に対して実質的に、すなわち少なくとも60質量%、特に少なくとも80質量%の、水を含むことである。
【0043】
ポリマー結合した表面処理剤は典型的に少なくとも1種のポリマー結合剤またはプレポリマーを含有し、その際プレポリマーはUV線および/または熱の作用下でポリマー結合剤に硬化する。
【0044】
ポリマー結合剤は、
物理的に乾燥した結合剤であってもよく、すなわち乾燥の際に、ポリマー鎖の互いの顕著な架橋を開始せずに、ポリマーフィルムが形成されるか、
自己架橋結合剤であってもよく、すなわち結合剤のポリマー鎖が官能基を有し、この官能基が被膜の乾燥の際に、場合によりUV線の作用により互いにまたは架橋剤と反応して、結合を形成する、すなわち架橋するか、
UV架橋結合剤または熱硬化結合剤であってもよく、すなわち結合剤のポリマー鎖もしくはプレポリマーが官能基を有し、この官能基が高温および/またはUV線を使用して架橋剤と反応して結合を形成し、こうしてポリマーの架橋を生じる。UV光線と熱の組み合わせた使用により架橋する結合剤は二重硬化系と呼ばれる。
【0045】
木材の表面処理剤についての概要はWood−Surface Treatment Ullmanns Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、Wiley−VCH−Weinheim1997に見出される。
【0046】
本発明の第1の実施態様により工程c)に使用される表面処理剤は結合剤として熱またはUV線により架橋可能なポリマーおよび/またはプレポリマーを含む。
【0047】
UV線により架橋できるポリマーまたはプレポリマーは典型的にエチレン不飽和二重結合を有し、この二重結合が電磁線、例えばUV線または電子線の作用下にラジカル重合することができる。一般にポリマーまたはプレポリマー中のエチレン不飽和二重結合の含量は0.01〜1.0モル/100gポリマー/プレポリマー、しばしば0.05〜0.8モル/100gポリマー/プレポリマー、特に0.1〜0.6モル/100gポリマー/プレポリマーの範囲である。プレポリマーは有利に数平均分子量Mn500〜5000g/モルを有するが、ポリマーの分子量は一般に100000g/モルまでであってもよい。
【0048】
この実施態様の1つの構成において、式A
A−X−CR=CH
の基の形のエチレン不飽和二重結合が存在し、
上記式中、AはOまたはNRまたは化学結合であり、Rは水素またはC〜C−アルキルであり、Xは化学結合、カルボニル基またはCH基であり、Rは水素またはC〜C−アルキルである。特に二重結合はアクリレート基またはメタクリレート基の形で存在し、すなわちXがカルボニル基であり、Aが特に酸素であり、Rが特に水素またはメチルである。
【0049】
この実施態様の他の構成において、二重結合は長鎖アルキル基の成分である。
【0050】
この実施態様の第3の構成において、二重結合はポリマー骨格の成分である。
【0051】
本発明の特に有利な実施態様において、結合剤はUV硬化ポリマーまたはプレポリマーを有し、二重結合が式Aの二重結合の形で存在し、特にアクリレート基および/またはメタクリレート基として存在する。場合により結合剤は付加的に1種以上の反応希釈剤を有する。UV硬化(プレ)ポリマーは典型的に500〜50000ドルトンの範囲の数平均分子量を有する。
【0052】
この種の(プレ)ポリマーは例えばP.K.T.Oldring、Chemistry and Technology of UV−andEB−Formulations for Coatings and Paints、Vol.II、SITA Technology、London、1991、37〜206およびこれに引用される文献から当業者に知られ、販売されている。(プレ)ポリマーの構造に依存して、アクリレート基もしくはメタクリレート基を有する(プレ)ポリマーは例えばポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリレート変性ポリウレタン、および(メタ)アクリル酸エステルをベースとする(メタ)アクリレート変性コポリマーである。このうち特に脂肪族および芳香族ウレタン(メタ)アクリレートおよび反応希釈剤とのその混合物が有利である。
【0053】
反応希釈剤は少なくとも1個の重合可能なエチレン不飽和二重結合を有する低分子、液体化合物である。反応希釈剤についての概要は例えばJ.P.Fouassier、Radiation Curing in Polymer Science and Technology、Elsevier Science PublisherLtd、1993、Vol.1、237−240に見出される。アクリル酸もしくはメタクリル酸と脂肪族ジオールまたはポリオールのエステルをベースとする反応希釈剤が有利であり、その際ジオールまたはポリオールの少なくとも2個のOH基がアクリル酸もしくはメタクリル酸でエステル化される。適当な脂肪族ジオールまたはポリオールは一般に2〜20個の炭素原子を有し、線状、分枝状または環状炭素骨格を有することができる。前記ジオールまたはポリオールは有利に官能基を有しない。1つまたは2個のエーテル酸素を除いて前記ジオールまたはポリオールは有利にヘテロ原子を有しない。この種の反応希釈剤の例はブタンジオールジアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、オクタンジオールジアクリレート、デカンジオールジアクリレート、シクロヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリットテトラアクリレート、ジペンタエリスリットペンタ/ヘキサアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、および相当するメタクリル酸のエステルおよびLaromer(登録商標)(BASF社)の名称で販売されている製品LR8887、PO33F、LR8967、およびLR8982である。適当な反応希釈剤は更に(メタ)アクリル酸、およびそのC〜C10−アルキルエステル、マレイン酸およびそのC〜C10−アルキルエステルもしくは半エステル、酢酸ビニル、ビニルエーテル、ジビニル尿素、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、トリス(アクリロイルオキシメチル)イソシアヌレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、N−ビニルピロリドン、フェノキシエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチルアクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジメチルアクリルアミド、およびジシクロペンチルアクリレートおよび欧州特許第0250631号に記載された、分子量400〜4000、有利に600〜2500ドルトンを有する長鎖線状ジアクリレートである。更にアクリル酸2モルと、一般に36個の炭素原子を有するダイマー脂肪アルコール1モルの反応生成物が使用できる。前記モノマーの混合物も適している。
【0054】
この実施態様の他の構成により、表面処理剤は結合剤として少なくとも1種の不飽和ポリエステルを含有する。これはエチレン不飽和ジカルボン酸またはポリカルボン酸、例えばマレイン酸、フマル酸等、またはそのエステル形成誘導体と、場合により他のジカルボン酸またはポリカルボン酸と組み合わせて、ジオールまたはポリオールの縮合により得られるポリエステルである。エチレン不飽和ポリエステルは、例えばUV−and EB−Formulations for Coatings and Paints、Vol.II SITA Technology、London、1991、211〜219、およびこれに引用される文献から同様に当業者に知られ、販売されている。これには特にマレイン酸もしくは無水マレイン酸とジオール、たとえばエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、および1,6−ヘキサンジオール、特に1,2−プロピレングリコールとの縮合生成物、およびマレイン酸もしくは無水マレイン酸とジカルボン酸もしくはその無水物、例えば琥珀酸、無水琥珀酸、グルタル酸、無水グルタル酸、アジピン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、特に無水フタル酸と前記ジオールの共縮合生成物が属する。
【0055】
UV硬化被覆剤は一般に0.01〜5質量%、有利に0.1〜2質量%、特に0.2〜1質量%の少なくとも1種の光開始剤を含有し、光開始剤はエチレン不飽和二重結合の重合を開始することができる。これにはベンゾフェノンおよびベンゾフェノン誘導体、例えば4−フェニルベンゾフェノン、および4−クロロベンゾフェノン、ミヒラーケトン、アントロン、アセトフェノン誘導体、例えば1−ベンゾイルシクロヘキサン−1−オール、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルアセトフェノン、および2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、ベンゾイン、およびベンゾインエーテル、例えばメチル−、エチル−、およびブチルベンゾインエーテル、ベンジルケタール、たとえばベンジルジメチルケタール、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1−オン、アントラキノン、およびその誘導体、例えばβ−メチルアントラキノン、およびt−ブチルアントラキノン、アシルホスフィンオキシド、例えば2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネートおよびビスアシルホスフィンオキシドが属する。この種の開始剤は例えばIrgacure(登録商標)184、Darocure(登録商標)1173(Ciba Geigy社)、Genocure(登録商標)(Rahn社)またはLucirin(登録商標)TPO(BASF社)の名称で販売されている製品である。
【0056】
UV硬化性表面処理剤は非水性または水性に形成されていてもよい。非水性の構成の場合は表面処理剤は典型的に適当な処理粘度を調節するために1種以上の有機溶剤および/または1種以上の反応希釈剤を含有する。水性組成物の場合はUV硬化性結合剤(プレ)ポリマーは水性分散液の形で存在する。使用目的および構成に応じてUV硬化性表面処理剤は35質量%までの通常の助剤、例えば増粘剤、流延助剤、消泡剤、UV安定剤、潤滑剤、および充填剤を含有できる。適当な助剤は塗料被覆技術から当業者に十分に知られている。適当な充填剤は珪酸塩、例えば四塩化珪素の加水分解により得られる珪酸塩、例えばAerosilR(Degussa社)、珪藻土、タルク、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、炭酸カルシウム等を含む。適当な安定剤は典型的なUV吸収剤、例えばオキサニリド、トリアジン、およびベンゾトリアゾール(Ciba−SpezialitaetenchemieのTinuvin(登録商標)として入手できる)およびベンゾフェノンを含む。これらは単独でまたは適当なラジカル捕捉剤、例えば立体障害アミン、例えば2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、2,6−ジ−t−ブチルピペリジン、またはその誘導体、例えばビス−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバシネートと一緒に使用できる。安定剤は一般に被覆剤に対して0.1〜5.0質量%、および有利に0.5〜3.5質量%の量で使用する。
【0057】
本発明の他の実施態様により、表面処理剤は結合剤としていわゆる熱硬化性ポリマーまたはプレポリマーを有するポリマー結合した表面処理剤である。この種の熱硬化性系は一般に反応性基、例えば場合により可逆的にブロックされたイソシアネート基、特にグリシジル基の形のエポキシ基、アルコールOH基、第一級および第二級アミノ基、カルボキシル基、無水物基、酸クロリド基、カルボニル基、例えばアルデヒド基またはケト基、N−ヒドロキシメチル基等を有する少なくとも1種の反応性ポリマーおよびポリマーの反応性基に対して少なくとも2個の相補的反応性基を有する少なくとも1種の架橋剤を含有する。互いに相補的反応性を有する1組の反応性基の例はイソシアネート/ヒドロキシル、イソシアネート/アミノ、無水物/ヒドロキシル、無水物/アミノ、カルボニル/アミノ、カルボニル、ヒドラジド、または半カルバジド、アルデヒド/尿素、カルボン酸クロリド/ヒドロキシル、グリシジル/ヒドロキシル、グリシジル/アミノ、ヒドロキシル/N−ヒドロキシメチル、グリシジル/カルボキシル、アジリジン/カルボキシル、ヒドロキシル/カルボジイミド、アジリジン/ヒドロキシル等である。特に反応性ポリマーはヒドロキシル基を有する樹脂、例えばヒドロキシル基を有するポリウレタン、アルキル(メタ)アクリレートをベースとするヒドロキシル基を有するポリマー(アクリレート樹脂、Roempp−Lexikon、Lacke und Druckfarben、Georg−Thieme−Verlag、Stuttgart、1998、11頁以降参照)であり、架橋剤はイソシアネート基を有する架橋剤、例えば2〜4個のイソシアネート基を有するポリイソシアネート、例えば脂肪族または芳香族ジイソシアネートのアロファネート、ビウレットまたはシアヌレートである。ヒドロキシル基を有する樹脂、特にアクリレート樹脂と、N−ヒドロキシメチル基を有する架橋剤の組み合わせ、例えばメラミン−ホルムアルデヒド樹脂も適している。二成分塗料は一般に溶剤ベースであるが、少ない割合、一般に25質量%まで、特に10質量%までの有機溶剤を有する水性塗料として調製することができる。構成に応じて、結合剤としていわゆる二成分系を有する表面処理剤は通常の助剤、例えば増粘剤、流延助剤、消泡剤、UV安定剤、潤滑剤および充填剤をこのために典型的な量で含有することができる。表面処理剤はしばしば架橋反応を促進する触媒、例えば酸またはイソシアネートベース系の場合は有機錫化合物を含有する。
【0058】
熱硬化性系にはポリマー鎖内部で硬化性ポリマーまたはプレポリマーに対して互いに相補的な反応性基を有する樹脂が属する。
【0059】
熱硬化性系には更にエチレン不飽和二重結合を有する前記ポリマーおよびプレポリマーが属する。この場合に被覆剤はUV開始剤の代わりに、高温の作用でこれらの基の重合を生じ、ラジカル架橋を生じる、重合開始剤を含有する。
【0060】
本発明の他の実施態様により、表面処理剤はニトロ塗料またはニトロコンビ塗料(アクリレート樹脂、Roempp−Lexikon、Lacke und Druckfarben、Georg−Thieme−Verlag、Stuttgart、1998、11頁以降参照)である。これは溶剤をベースとした、ポリマー結合した、物理的に乾燥した表面処理剤であり、結合剤としてニトロセルロースを、場合により1種以上の合成尿素樹脂と組み合わせて含有し、場合により可塑剤を有機溶剤または溶剤混合物中に含有する。典型的な可塑剤はジアルキルアジペート、ジアルキルフタレート、可塑樹脂、例えばアルキド樹脂等を含む。適当な合成樹脂は特に前記アクリレート樹脂およびケトン樹脂を含む。ニトロ(コンビネーション)塗料の典型的な溶剤は芳香族溶剤、例えばキシレン、脂肪族カルボン酸とC〜C10−アルカノールのエステル、特に酢酸のエステル、例えば酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチルまたはアミルアセテート、エーテル、例えばジプロピレングリコール、ジブチルグリコール、C〜C10−アルカノール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等、特に高沸点溶剤と低沸点溶剤および場合により中程度の温度範囲で沸騰する溶剤の組み合わせである。この種の塗料はこのために一般的な添加剤、助剤および充填剤、例えばつや消し剤等を含有することができる。
【0061】
本発明の他の実施態様により表面処理剤は結合剤が少なくとも1種のアルキド樹脂を含む被覆剤である。この種の表面処理剤はアルキド塗料またはアルキド樹脂と呼ばれ、溶剤ベースまたは水ベースであってもよい。適当なアルキド樹脂およびアルキド樹脂をベースとする塗料は当業者に知られている(Roempp−Lexikon、Lacke und Druckfarben、Georg−Thieme−Verlag、Stuttgart、1998、20〜22およびF.N.Jones、Alkyd−Resins、Ullmanns Encyclopedia of Industrial Chemistry、第5版、Wiley−VCH−Weinheim1997参照)。アルキド樹脂は周知のように少なくとも3個、しばしば3または4個のOH基を有するポリオール、例えばグリセリン、ペンタエリスリット、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等と、多価カルボン酸またはその無水物、例えばフタル酸、その無水物、イソフタル酸、トリメリット酸、その無水物、マレイン酸、その無水物、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸等との重縮合生成物であり、その際OH基の一部が脂肪酸とエステル化されていてもよく、脂肪酸は典型的に製造の際に油または脂肪、すなわちトリグリセリドの形で使用され、従って油成分と呼ばれる。油成分の例は乾燥油、例えば亜麻仁油、オイチシカ油、桐油、半乾燥油、例えば大豆油、脱水ヒマシ油、トール油、ベニバナ油、非乾燥油、例えばヒマシ油およびヤシ油である。脂肪酸成分はベルサチック(Versatic)(登録商標)と呼ばれるコッホ酸である。相当するアルキド樹脂はCardura樹脂の名称で入手できる。アルキド樹脂をベースとした被覆剤においてアルキド樹脂は他の成分、例えば油、天然樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アクリレート樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、イソシアネート、およびポリウレタンで変性されていてもよい(変性アルキド樹脂)。脂肪酸および変性成分に応じてアルキド樹脂は公知方法で物理的に乾燥する被覆剤としておよび架橋する被覆剤として(風紀または炉で乾燥)形成されていてもよい。
【0062】
本発明の有利な実施態様において、水ベース表面処理剤から選択される表面処理剤を使用する。溶剤ベース表面処理剤と相違して水ベース表面処理剤は溶剤もしくは希釈剤として大部分水および少ない量、一般に表面処理剤の全質量に対して20質量%以下、特に10質量%以下の有機溶剤を有する。
【0063】
有利な実施態様はポリマー結合した、水ベース表面処理剤に関する。この種の表面処理剤は少なくとも1種の水性ポリマー分散液の形のポリマー結合剤を含む。水性ポリマー分散液のポリマーは一次分散液、すなわちラジカル水性乳化重合により製造したポリマー分散液、または二次分散液、すなわちまず有機溶剤中で重合により分散したポリマーを製造し、引き続き有機溶剤を水と交換したポリマー分散液であってもよい。水性ポリマー分散液はすでに記載したように物理的に乾燥する分散液、自己架橋分散液、UV硬化分散液、熱硬化分散液、架橋剤の添加により架橋する分散液(二成分分散液)または二重硬化系であってもよい。
【0064】
第1の実施態様によりポリマー結合した水をベースとした表面処理剤は結合剤として物理的に乾燥するポリマー分散液を含有する表面処理剤である。この種の分散液は例えばD.Distler、Waessrige Polymerdispersionen、Wiley−VCH Weinheim 1999、6.5章、M.Schwartz、R.Baumstark、Waterbased Acrylates for Decorative Coatings、CurtR.Vincentz−Verlag Hannover2001、191−212およびこれに引用される文献、およびEP−A184091、EP−A376096、EP−A379892、EP−A522789、EP−A609793、EP−A439207、EP−A609756、EP−A623659、EP−A710680、WO95/16720、DE1220613、DE−A3418524、US3454516、US5263193、US5185387、およびUS5021469から当業者に十分に知られている。
【0065】
物理的に乾燥する分散液はエチレン不飽和モノマーの乳化重合により得られる水性ポリマー分散液であり、前記分散液は、25℃で一般に30g/l以下の限られた水溶解性を有し、全モノマー量に対して典型的に少なくとも80質量%、例えば80〜100質量%、特に90〜99質量%の少なくとも1種のモノエチレン不飽和モノマーが共重合されている(モノマーM1)。モノマー(M1)の例はビニル芳香族化合物、例えばスチレン、脂肪族カルボン酸のビニルエステル、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等、モノエチレン不飽和C〜C−モノカルボン酸およびC〜C−ジカルボン酸とC〜C10−アルカノールのエステル、特にアクリル酸およびメタクリル酸とC〜C10−アルカノールのエステル、例えばエチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、更にブタジエンおよびC〜C−オレフィン、例えばエチレン、またはプロペンである。これは有利にポリマー中にモノマーM1としてC〜C10−アルキルアクリレートおよび/またはC〜C10−アルキルメタクリレートを、場合によりビニル芳香族化合物、例えばスチレンと組み合わせて共重合して含有するポリマー分散液である。
【0066】
そのほか水性分散液のポリマーを形成するモノマーは20質量%まで、例えば0.1〜20質量%、特に1〜10質量%のモノマーM1と異なるモノマーを共重合して含有する。
【0067】
これには一般に2〜10個の炭素原子を有するモノエチレン不飽和酸(モノマーM2)、例えばモノカルボン酸およびジカルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、スルホン酸、例えばビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等、一般に25℃で少なくとも50g/l、特に少なくとも80g/lの高い水溶性を有する中性モノエチレン不飽和モノマー、例えば前記モノエチレン不飽和カルボン酸のアミド、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、前記モノエチレン不飽和モノカルボン酸のヒドロキシ−C〜C−アルキルエステル、例えば2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−および3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−および3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、および有利に2〜200の範囲のオリゴマー化度を有するオリゴアルキレンオキシド鎖、有利にポリエチレンオキシド鎖を有するモノエチレン不飽和モノマー、例えばオリゴエチレングリコールのモノビニルエーテルおよびモノアルキルエーテル、およびアクリル酸、マレイン酸またはメタクリル酸とオリゴエチレングリコールのエステルが属する。モノマーM3には特にモノエチレン不飽和、尿素基含有モノマー、例えばN−ビニル尿素およびN−アリルおよびイミダゾリジン−2−オンの誘導体、例えばN−ビニルイミダゾリジン−2−オンおよびN−アリルイミダゾリジン−2−オン、N−ビニルオキシエチルイミダゾリジン−2−オン、N−アリルオキシエチルイミダゾリジン−2−オン、N−(2−アクリルアミドエチル)イミダゾリジン−2−オン、N−(2−アクリルオキシエチル)イミダゾリジン−2−オン、N−(2−メタクリルアミドエチル)イミダゾリジン−2−オン、N−(2−メタクリルオキシエチル)イミダゾリジン−2−オン(=ウレイドメタクリレート)、N−[2−(アクリルオキシアセトアミド)エチル]イミダゾリジン−2−オン、N−[2−(2−アクリルオキシアセトアミド)エチル]イミダゾリジン−2−オン、およびN−[2−(2−メタクリルオキシアセトアミド)エチル]イミダゾリジン−2−オン(モノマーM3a)が属する。モノマーM2は一般に全モノマー量に対して10質量%まで、特に5質量%まで、例えば0.1〜5質量%になる。モノマーM3の全量は一般に10質量%、特に9質量%を上回らない。所望の場合は、モノマーM3aは全部のモノマー量に対して0.1〜10質量%、特に0.5〜5質量%になる。
【0068】
物理的に乾燥する分散液は特にポリマー粒子が高いガラス転移温度T1を有する少なくとも1個のポリマー相および低いガラス転移温度T2を有するポリマー分散液であり、T1とT2の差は有利に少なくとも20K、特に少なくとも30K、殊に少なくとも40K、例えば40K〜150Kである。T2は特に−60〜+40℃の範囲であり、殊に−20〜+30℃の範囲である。T1は有利に50〜130℃の範囲であり、特に60〜120℃の範囲である。
【0069】
更に水性ポリマー分散液のポリマー粒子が50〜1000nmの範囲の質量平均ポリマー粒子直径を有する(超遠心機または光子相関スペクトル分析により測定した、超遠心機を使用する粒度測定については、例えばW.Maechtle、Makromolekulare Chemie 1984、185、1025−1039、W.Maechtle、Angew.Makromolekulare Chemie、1988、162、35−42)場合が有利であることが示された。例えば結合剤分散液の全質量に対して50質量%より大きい高い固形物含量を有する結合剤分散液においては、粘度の理由から分散液中のポリマー粒子の質量平均粒子直径が150nm以上である場合が有利である。平均粒子直径は一般に1000nm、有利に600nmを上回らない。更にポリマー粒子の個々の粒子直径が単一でなく、大きい直径範囲にわたり分布している場合が有利である。
【0070】
更に物理的に乾燥するポリマー分散液はポリマー分散液を安定化するために、少なくとも1個の表面活性剤を含有する。この目的のために、ラジカル水性乳化重合を実施するために一般に使用される保護コロイドおよび乳化剤が該当する。表面活性剤は重合するモノマーの全量に対して一般に0.1〜10質量%、有利に0.5〜5質量%の量で使用する。
【0071】
適当な保護コロイドは例えばポリビニルアルコール、澱粉誘導体およびセルロース誘導体またはビニルピロリドンを含有するコポリマーである。他に適当な保護コロイドの詳しい説明はHouben−Weyl、Methoden der organischen Cjemie、XIV/1、Makromolekularen Stoff、Georg−Thieme−Verlag、Stuttgart1961、411−420に見出される。
【0072】
有利な表面活性剤は相対的分子量が保護コロイドと異なり一般に2000未満である乳化剤である。乳化剤はアニオン性、カチオン性、非イオン性であってもよく、アニオン性乳化剤およびアニオン性乳化剤と非イオン性乳化剤の組み合わせが有利である。アニオン性乳化剤にはアルキルスルフェート(アルキル基:C〜C12)、エトキシル化アルカノール(EO度2〜50、アルキル基C12〜C18)およびエトキシル化アルキルフェノール(EO度3〜50、アルキル基C〜C)の硫酸半エステル、アルキルスルホン酸(アルキル基C12〜C18)、アルキルアリールスルホン酸(アルキル基C〜C18)およびモノ−およびジアルキルジフェニルエーテルスルホネートのアルカリ金属塩およびアンモニウム塩が含まれ、例えば米国特許第4269749号に記載されている。
【0073】
適当な非イオン性乳化剤は脂肪族または脂環式非イオン性乳化剤、例えばエトキシル化モノ−、ジ−およびトリアルキルフェノール(EO度3〜50、アルキル基C〜C)、長鎖アルコールのエトキシレート(EO度3〜50、アルキル基C〜C36)およびポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドブロックコポリマーである。長鎖アルコールのエトキシレート(アルキル基C10〜C22、平均エトキシル化度3〜50)が有利であり、このうち線状または分枝状C12〜C18−アルキル基およびエトキシル化度8〜50を有するオキソアルコールおよび天然アルコールをベースとするものが特に有利である。
【0074】
本発明により使用される物理的に乾燥するポリマー分散液をベースとする表面処理剤は更に通常の添加剤、例えば充填剤、顔料、顔料/充填剤の分散助剤、凍結防止剤、可塑剤、増粘剤、殺生物剤等をこのために一般的な量で含有することができる。表面処理剤は顔料着色されてなく、すなわち透明塗料として、25%未満の顔料体積濃度を有して、低く顔料着色されて、透明塗料、光沢塗料および絹光沢塗料として、25%より多い高い顔料体積濃度を有して絹光沢およびつや消し塗料として形成されていてもよい。
【0075】
物理的に乾燥するポリマー分散液の代わりにまたは一緒に、本発明による適当なポリマー結合した水性表面処理剤は自己架橋結合剤ポリマー、UV硬化結合剤ポリマーまたは熱硬化結合剤ポリマーの水性分散液を含有することができる。物理的に乾燥するポリマー分散液は水分散アルキド樹脂および/またはワックスとの組成物として使用することができる。
【0076】
自己架橋ポリマー分散液の場合は公知のようにポリマーが反応性基を有し、反応性基が互いにまたはこれに含まれる架橋剤と反応して結合を形成する、すなわちポリマーがポリマー鎖内部で互いに異なる相補的反応性基を有するかまたはポリマーおよび架橋剤が互いに相補的な反応性基を有する、水性ポリマー分散液を使用する。互いに相補的な反応性を有する基の組の例は熱硬化系に関してすでに記載した官能基の組である。特にポリマー成分は自己架橋系において官能基として、
多価カチオンの塩、例えば亜鉛塩またはカルシウム塩の添加によりまたはポリアミンまたはポリオールの添加により架橋する、カルボキシル基および/または無水物基、または
互いに反応する、OH基とカルボキシル基の組み合わせ、または
架橋剤としてポリオールまたはポリアミンと反応するイソシアネート基、または
ポリアジリジン、ポリカルボジイミド、水分散ポリイソシアネートおよびポリエポキシド、例えばエポキシシランから選択される架橋剤と反応するOH基、または
場合により適当な保護基により可逆的にブロックされるイソシアネート基とOH基の組み合わせ、または
ポリアミン、半カルバジドまたはポリヒドラジドの添加により架橋するケト基、または
ポリアルデヒド、例えばグリオキサールの添加により架橋する尿素基
を有する。
【0077】
自己架橋分散液のポリマーはすでに物理的乾燥分散液に関して記載したように、エチレン不飽和モノマーをベースとするポリマーであり、相当する官能性モノマーを共重合して含有する。相当するモノマーの組み込みによりおよび/またはポリウレタンを形成するモノマーの化学量論の選択により所望の官能基を有するポリウレタンベース分散液も適している。
【0078】
熱硬化ポリマー分散液の場合は周知のようにすでに記載されるように、熱硬化ポリマーまたはプレポリマーの水性分散液を使用する。特にこの種のポリマー分散液はポリウレタンをベースとするかまたはエチレン不飽和モノマーのエマルジョンポリマーをベースとする少なくとも1個のポリマー成分を含み、前記ポリマー成分がヒドロキシル基、ケト基、尿素基、エポキシ基および/またはカルボキシル基を有し、およびすでに記載したように少なくとも2個の反応性基を有する少なくとも1個の低分子またはポリマー架橋剤を含む。
【0079】
自己架橋および架橋ポリマー分散液をベースとする表面処理剤は物理的乾燥分散液をベースとする表面処理剤の際に記載した添加剤を含有することができる。表面処理剤はしばしば架橋反応を促進する触媒、例えば酸またはイソシアネートベース系の場合は有機錫化合物を含有する。表面処理剤は同様に顔料着色されてなく、すなわち透明塗料として、低く顔料着色されて、透明塗料、光沢塗料および絹光沢塗料として、および高い顔料体積濃度を有して、絹光沢塗料およびつや消し塗料として形成されていてもよい。この種の表面処理剤を製造するための自己架橋および架橋ポリマーの水性分散液は公知であり、例えばLuhydran、A848S、A875S、LR8950(BASF社)の名称で販売されている。
【0080】
本発明の他の実施態様により、表面処理剤は水ベースUV硬化性被覆剤である。これは公知のように結合剤成分として少なくとも1個の水に分散した結合剤ポリマーまたはプレポリマーを含有する水ベース被覆剤であり、前記ポリマーまたはプレポリマーがエチレン不飽和二重結合を有し、前記二重結合が電磁線、例えばUV線または電子線の作用下にラジカル重合する。ポリマー中のエチレン不飽和二重結合の含量および二重結合の種類に関してすでに記載したことが該当する。特に二重結合は前記式Aの二重結合であり、特にアクリレート基またはメタクリレート基である。この種のポリマーは(メタ)アクリレート変性ポリマーと呼ばれている。特に水に分散したUV硬化結合剤ポリマーは(メタ)アクリレート変性ポリウレタンまたは(メタ)アクリル酸アルキルエステルをベースとする(メタ)アクリレート変性コポリマーである。光開始剤、反応希釈剤およびその他の形成成分に関してすでに記載したことが該当する。この種の表面処理剤を製造するためのUV硬化結合剤ポリマーの水性分散液は、例えばUV被覆剤に関してすでに記載した文献から公知であり、例えばBASF社のLaromerの名称で、例えばLaromerLR8949として販売されている。
【0081】
本発明の他の実施態様において、表面処理剤は水ベース二重硬化被覆剤である。これは1種以上の水に分散したポリマーまたはオリゴマーの結合剤成分を含有する水ベース被覆剤であり、結合剤成分がUV線によりまたは熱により硬化することができ、従ってエネルギーの多い放射線の作用下に重合する官能基を有するか加熱の際に互いに反応して結合を形成する官能基を有する。一般にこの結合剤系は少なくとも1個の水に分散した結合剤ポリマーまたはプレポリマーAを有し、このポリマーまたはプレポリマーが電磁線の作用下にラジカル重合するエチレン不飽和二重結合および官能基を有し、前記官能基は互いにまたは相補的な反応性の官能基および場合によりUV硬化性二重結合を有する他の低分子、オリゴマー、またはポリマーの結合剤成分Bと一緒に反応して結合を形成する。Aの例はエチレン不飽和二重結合を有する不飽和ヒドロキシル基含有ポリマー、例えばポリエステルポリオールである。Bの例はアクリレート基もしくはメタクリレート基含有ポリイソシアネートであり、イソシアネート基が可逆的にブロックされていてもよい。Aの例は更に付加的に遊離または可逆的にブロックされたイソシアネート基を有する(メタ)アクリレート基を有するポリマーまたはプレポリマーであり、その際成分Bとしてこの場合にポリヒドロキシ化合物および/またはポリアミンを使用する。二重硬化結合剤系は以下の結合剤成分を含有する。反応性官能基を有するオリゴマーまたはポリマー結合剤成分A´、例えばポリイソシアネート、これに相補的な反応性基を有する他の飽和結合剤成分B´、例えばOH基含有ポリマー、例えばOH基を有するポリアクリレート、およびA´またはB´に相補的な反応性基、例えば付加的にエチレン不飽和二重結合を有するOH基を有する低分子、オリゴマー、またはポリマー化合物。ポリマーまたはオリゴマー中のエチレン不飽和二重結合の含量および二重結合の種類に関してすでに記載したことが該当する。特に二重硬化系中の二重結合は前記式Aの二重結合であり、特にアクリレート基またはメタクリレート基である。1つの実施態様により水に分散した二重硬化結合剤は遊離OH基および/または可逆的にブロックされたイソシアネート基を有する少なくとも1個の(メタ)アクリレート変性ポリウレタンまたは(メタ)アクリル酸アルキルエステルをベースとする遊離OH基を有する(メタ)アクリレート変性コポリマーおよび架橋剤を有する。他の実施態様により水に分散した二重硬化結合剤は(メタ)アクリル基を有する可逆的にブロックされたイソシアネートおよび不飽和ポリエステルポリオールを有する。他の実施態様により水に分散した二重硬化結合剤は(メタ)アクリル基を有する可逆的にブロックされたイソシアネート、実質的に飽和ポリマーポリオール成分、例えばOH基を有するポリアクリレートおよびポリイソシアネート成分を有し、前記成分のイソシアネート基は可逆的にブロックされていてもよい。前記二重硬化系は溶剤ベースであってもよく、同様に本発明の方法の工程c)に適している。そのほか反応性官能基の種類および架橋剤の種類に関してすでに熱硬化系に関して記載したことが該当する。光開始剤、反応希釈剤、触媒およびその他の形成成分に関してはすでに記載したことが該当する。
【0082】
この種の表面処理剤を製造するための水性および非水性二重硬化系は、例えばW.Fischer等、Dual Cure、Combination of Superior Properties、Radtech Report、2001年11月/12月、DE19818735、EP−A928800、WO2002/26853およびこれに引用される文献、D.B.Poureau、Acrylic Urethane Dual Cure Clearcoats、5:UV and EB Technology Expo and Conference 2004年5月3〜5日、Charlotte NC S.Peeters Radiation Curing in Polymer Science and Technology、Vol3(J.P.Fouassier、J.F.Rabeck編集)Elsevier1993、177頁、R.Koeniger、Farbe und Lack、1999、105(4)233頁、K.Maag等、Prog.Org.Coat.2000、40、93頁、W.Fischer等、Farbe und Lack、2001、107(3)120頁、C.Decker等、Makromol.Mater.Eng.288(2003)17頁から知られ、例えばDynaSeal(登録商標)およびLaromer(登録商標)の名称でBASF社から、例えばLaromerLR9000として販売されている。
【0083】
本発明に適した水性被覆剤には更に水ベースもしくは水で希釈可能なアルキド樹脂塗料および自己架橋、架橋または物理的乾燥されていてもよい水性ポリマー分散液をベースとする水ベース被覆剤とのその混合物が含まれる。
【0084】
本発明の他の実施態様は水性着色液に関する。これは公知のように少なくとも1種の顔料を溶解した形で含有する水性顔料溶液である。着色液は溶解助剤として水のほかに水と混合可能な有機溶剤を含んでもよい。その割合は典型的に組成物の全質量に対して50体積%未満、例えば1〜50体積%の範囲である。有機同時溶剤として特にアルコール、詳しくはエタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール、グリコール、プロパンジオール、ブチルグリコール、更にエーテルアルコール、例えばジエチレングリコール、ブチルジグリコール、メトキシプロパノール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコール、およびケトン、例えばアセトンが該当する。顔料として例えばDE−A10245209に記載される顔料およびカラーインデックスにより分散顔料と呼ばれる化合物および溶剤塗料と呼ばれ、分散顔料とも呼ばれる化合物、特に金属錯体顔料が該当する。適当な分散顔料の組成は例えばUllmanns Enzyklopaedie der Technischen Chemie、第4版、10巻、155〜165(7巻、585頁以降、Anthrachinonfarbstoffe、8巻、244頁以降、Azofarbstoffe、9巻、313頁以降、Chinophthalonfarbstoffe参照)。これらの文献およびそこに記載された化合物は本発明に参照される。本発明により適当な分散顔料および溶剤顔料は種々の発色団を有する種々の種類の顔料、例えばアントラキノン顔料、モノアゾおよびジスアゾ顔料、キノフタロン、メチン顔料およびアザメチン顔料、ナフタルイミド顔料、ナフトキノン顔料、およびニトロ顔料を含む。本発明により適当な分散顔料の例は以下のカラーインデックスリストの分散顔料である。C.I.ディスパースイエロー1−228、C.I.ディスパースオレンジ1−148、C.I.ディスパースレッド1−349、C.I.ディスパースバイオレット1−97、C.I.ディスパースブルー1−349、C.I.ディスパースグリーン1−9、C.I.ディスパースブラウン1−21、C.I.ディスパースブラック3−50。着色液に適した顔料は更にナフタリン、アントラセン、ペリーレン、テリーレン、クアテリーレンの誘導体およびジケトピロロピロール顔料、ペリノン顔料、クマリン顔料、イソインドリン顔料およびイソインドリノン顔料、ポルフィリン顔料、フタロシアニン顔料およびナフタロシアニン顔料である。着色液中の顔料の濃度は市販の着色液の全質量に対して1〜10質量%の範囲であり、その際場合により着色液を使用する前に水で最初の体積の1.5〜10倍に希釈する。水性着色液の例はBASF社の商標名BasantolおよびBasantolUとして販売されている製品である。
【0085】
表面処理剤の塗装は公知方法で、例えばロール塗布、塗布、刷毛塗り、噴霧により行われ、塗装法は公知の方法で表面処理剤の種類、処理される木材/木材材料の種類および技術的状態に合わせる。
【0086】
表面処理剤の塗装は1つの工程でまたは多くの工程で、例えば1工程、2工程または3工程で行うことができる。更に連続して2個以上の表面処理剤、特に被覆剤を、1種以上の上塗りと組み合わせて、1種以上のプライマーまたは下塗りを被覆することができ、多層、例えば2層、3層、4層または5層の層構造が得られる。個々の被覆工程の間に乾燥工程および/または硬化工程を行うことができる。表面処理剤の種類および所望の被覆に応じて表面処理剤をウェットオンウェットで塗装できる。
【0087】
表面処理剤の被覆量は公知の方法で処理される表面の所望の特性に依存し、典型的に表面処理剤の非揮発成分として計算して1〜500g/mの範囲である。多層構造の場合は表面処理剤の量は典型的に層当たり1〜200g/mである。
【0088】
一般に表面処理剤の塗装は乾燥工程を含む。この場合に、場合により存在する表面処理剤の揮発成分を除去しおよび/または表面処理剤に含まれる硬化成分の硬化を行う。それにより乾燥条件を公知方法で表面処理剤の種類に合わせる。物理的に乾燥する被覆剤の場合は乾燥温度は典型的に20〜80℃の範囲であり、乾燥時間は10分〜24時間の範囲である。熱架橋系の場合は乾燥時間および温度は自体公知方法で官能基の反応性および選択される系の種類に依存し、基本的に20〜220℃の範囲の温度が適している。UV硬化系の硬化はUV線または電子線のような放射線の使用により行う。二重硬化系において一般にまずUV硬化、引き続き熱硬化を行う。
【0089】
表面処理剤は熱可塑性樹脂、例えばアクリロニトリル/スチレン−アクリレートフィルムであってもよく、前記フィルムを真空を使用しておよび場合により接着剤を使用して木材または木材材料の表面に積層する。この種の物質およびこれに必要な方法は等業者に知られ、BASF社のLuranskin(登録商標)およびPermaSkin(登録商標)として販売されている。
表面処理剤は、木材の表面処理にしばしば使用されるように、液体疎水化剤、例えば液体ワックス、または油、例えば植物油、例えば菜種油、亜麻仁油、液体パラフィン油、例えばホワイトオイル等、またはシリコーン油であってもよい。この場合に全体として改良された気候安定性および木材の孔への液体疎水化剤の改良された侵入が達成され、処理された表面の気候および水分に対する安定性が改良する。
【0090】
以下の実施例により本発明を説明するが、本発明を限定するものでない。
【0091】
木材物質の含浸
製造例1
ジエチレングリコールおよびメタノールで変性されたDMDHEU(mDMDHEU)を水で30質量%に希釈し、MgCl・6HO1.5質量%と混合した。約12%の木材水分に乾燥した、150×10×2.5cmの寸法を有するマツ木材片を含浸装置に導入した。含浸装置中で40ミリバール(絶対圧力)の真空を30分設定した。引き続き含浸装置に含浸物質を流した。絶対圧力50ミリバールの真空を一定に保った。引き続き10バールの圧力を2時間設定した。圧縮段階を終了し、残留液を除去した。木材片をすぐに温度および空気湿度が調節できる乾燥室に保存し、ゆがみが起こらないように固定した。乾燥室を120℃および相対的大氣湿度約95%にした。この湿った条件を木材成形体の内部に少なくとも120℃の温度が達成されるまで48時間保持した。
【0092】
引き続く木材石英体の乾燥を良好に換気した木材積層体に行った。引き続き木材片を30×10×2.5cmの寸法を有する試料片に切断した。
【0093】
表面処理
例1:非水性UV硬化性被覆剤
製造例1により製造したマツ木材片に、まずスプレーガンを使用して25g/mでプライマーを被覆し、引き続きIST被覆装置中で2本のUV線(それぞれ120W/cm)を使用して、搬送ベルト運転速度5m/分で硬化した。引き続きこうして得られた被膜に再びプライマーを25g/mで被覆し、IST被覆装置中で搬送ベルト運転速度5m/分で二回硬化し、研磨した。こうして得られた被膜にトップコートを10g/mの量で被覆し、こうして得られた被膜をIST被覆装置中で搬送ベルト運転速度5m/分で二回硬化した。
【0094】
プライマーおよびトップコートの組成を表1に示す。
【0095】
【表1】

樹脂A:Laromer(登録商標)UP35D:ジプロピレングリコールジアクリレート中の不飽和ポリエステルの55質量%溶液
反応希釈剤:Laromer(登録商標)DPGDA、BASF社:ジプロピレングリコールジアクリレート
SyloidED80:高分散珪酸
MicrotalcAT1:タルク粉末
Irgacure500:Ciba Spezialitaetenchemieの製品(ベンゾフェノンと1−ベンゾイル−1−ヒドロキシシクロヘキサンの質量比1:1の混合物)
Irgacure184:Ciba Spezialitaetenchemieの光開始剤
Byk361:流延剤。
【0096】
比較例1
比較目的のために、処理されていないマツ木材片を例1に示された方法で被覆した。
【0097】
例2:自己架橋被覆剤
製造例1により製造したマツ木材片に、まずスプレーガンを使用して組成R2による自己架橋被覆組成物を湿潤層厚20μmで被覆し、乾燥し、再び組成R2による被覆組成物を湿潤層厚27μmで被覆した。引き続き室温で硬化し、その際被膜が約2日後にその最終強度に達した。
【0098】
比較目的のために、同様に処理されていないマツ木材片を被覆した。
【0099】
こうして被覆したマツ木材片を2.5日後および7日後にDINISOEN2409による格子切り込み試験にかけた。比較目的のために製造したマツ木材片は等級2を得たが、これに対して例2により得られたマツ木材片は等級2〜3を得たが、比較例と相違して表面に木材がはがれた。
【0100】
こうして被覆したマツ木材片を室温で乾燥後、UV耐候試験を行った。本発明による木材片は比較例のマツ木材片より少ない色の変化を示した。
【0101】
組成R2:
ブチルグリコール 50質量部
プロピレングリコールブチルエーテル 20質量部
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル 20質量部
大豆レシチン(SojalecithinW250) 5質量部
消泡剤(Agitan232、Muenzig Chemie) 4質量部
高分散珪酸(SyloidWD30) 15質量部
水 36質量部
ブチルメタクリレートをベースとする45質量%アニオン性自己架橋水性ポリ(メタ)アクリレート分散液(BASF社) 780質量部
PolygenWE1。ポリオキシデートワックスの水性ワックス分散液(ポリエチレンワックスをベースとするワックスオキシデート) 70質量部。
【0102】
例3:水性二重硬化被覆剤
製造例1により製造したマツ木材片に、スプレーガンを使用して組成R3もしくは組成R3aによる二重硬化被覆組成物を被覆し、例1と同様にUV硬化し、引き続き熱硬化した。
【0103】
比較目的のために同様の方法で処理されていないマツ木材片を被覆した。
【0104】
製造例1によるマツ木材片上で、被覆剤R3および被覆剤R3aは処理されないマツ木材片より明らかに改良された湿潤付着を示した。
組成R3:LaromerLR9000、100質量部およびIrgacure500、3質量部。
組成R3a:LaromerLR9000、100質量部、Irgacure500、3質量部および酢酸ブチル中のジブチル錫ジラウレートの1質量%溶液10質量部。
LaromerLR9000;イソシアネート官能化アロファネート−ポリウレタンアクリレート。
【0105】
例4
例3と同様に処理されていないマツ木材片および製造例1によるマツ木材片に水性、アクリレート基変性ポリウレタン分散液(LaromerLR8949、BASF社)を被覆し、UV硬化した。
LaromerLR8949(BASF社):40%水性ポリウレタン分散液、Mn約1000、アクリレート基0.17モル/樹脂100g。
【0106】
例5:水性顔料着色液
以下の市販された顔料着色液を水:エタノール1:1で固形分3質量%に希釈した。製造例1からのマツ木材片および処理されていないマツ木材片を潤滑油ゲル紙を使用してそれぞれ半分に滑らかに磨いた。引き続き希釈した着色液を被覆し、木材片を50℃で乾燥した。
【0107】
すべての場合に製造例1からのマツ木材片は急速な乾燥特性を示し、研磨した部分および研磨しない部分で明らかに滑らかな表面を示した。処理されない木材片はゆがみを示したが、製造例1からの木材片はゆがみを示さなかった。
【0108】
試験した着色液
BasantolUイエロー145液体
BasantolUイエロー155液体
BasantolUオレンジ255液体
BasantolUレッド345液体
BasantolUブルー745液体
BasantolUブラックX84液体
Basantolイエロー099液体
Basantolイエロー215液体
Basantolブラウン269液体
Basantolオレンジ273液体
Basantolレッド311液体
Basantol Bordeau415液体
Basantolブルー762液体
BasantolブラックX82液体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材または木材材料の表面を処理する方法であり、以下の工程:
a)木材、木材材料または木材材料を製造する木材物質を、硬化性水性組成物で含浸させる工程、前記組成物は少なくとも1個の架橋性化合物を含有し、前記化合物は
α)少なくとも2個の式CHOR(Rは水素またはC〜C−アルキルである)のN結合基および/または2個の窒素原子に架橋した1,2−ビスヒドロキシエタン−1,2−ジイル基を有する低分子化合物V
β)化合物Vの前縮合物および
γ)化合物Vと、C〜C−アルカノール、C〜C−ポリオールおよびオリゴアルキレングリコールから選択される、少なくとも1個のアルコールとの反応生成物または混合物から選択される、
b)工程a)で得られた材料を高温で処理し、場合により木材材料に更に処理する工程、および
c)処理すべき木材または木材材料の少なくとも1個の表面を表面処理剤で処理し、場合により自体公知方法で表面処理剤を乾燥する工程
を有する、木材または木材材料の表面を処理する方法。
【請求項2】
表面処理剤がポリマー結合剤および/またはポリマー結合剤に硬化するプレポリマーを含有する請求項1記載の方法。
【請求項3】
表面処理剤が熱およびUV線により架橋可能なポリマーおよび/またはプレポリマーを含有する請求項2記載の方法。
【請求項4】
結合剤がアクリレート基および/またはメタクリレート基を有するポリマーまたはプレポリマーである請求項3記載の方法。
【請求項5】
結合剤が不飽和ポリエステルを含む請求項3記載の方法。
【請求項6】
結合剤が熱硬化性二成分系である請求項3記載の方法。
【請求項7】
表面処理剤がニトロセルロース塗料である請求項2記載の方法。
【請求項8】
表面処理剤が結合剤として少なくとも1種のアルキド樹脂を含む請求項2記載の方法。
【請求項9】
表面処理剤が水ベース表面処理剤から選択される請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
表面処理剤が水性ポリマー分散液の形のポリマー結合剤を含む請求項9記載の方法。
【請求項11】
水性ポリマー分散液が物理的に乾燥する分散液である請求項10記載の方法。
【請求項12】
水性ポリマー分散液が自己架橋性分散液である請求項10記載の方法。
【請求項13】
水性ポリマー分散液がアクリレート基および/またはメタクリレート基を有する請求項10記載の方法。
【請求項14】
表面処理剤が水ベースアルキド樹脂塗料である請求項9記載の方法。
【請求項15】
表面処理剤が水性着色液である請求項9記載の方法。
【請求項16】
硬化性組成物の架橋可能な化合物が、
1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン、
〜C−アルカノール、C〜C−ポリオールまたはオリゴアルキレングリコールで変性される1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジノン、
1,3−ビス(ヒドロキシメチル)尿素、
1,3−ビス(メトキシメチル)尿素、
1−ヒドロキシメチル−3−メチル尿素、
1,3−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾリジン−2−オン(ジメチロールエチレン尿素)、
1,3−ビス(ヒドロキシメチル)−1,3−ヘキサヒドロピリミジン−2−オン(ジメチロールプロピレン尿素)、
1,3−ビス(メトキシメチル)−4,5−ジヒドロキシイミダゾリジン−2−オン(DMeDHEU)、
テトラ(ヒドロキシメチル)アセチレンジ尿素
低分子メラミン−ホルムアルデヒド樹脂および
〜C−アルカノール、C〜C−ポリオールまたはオリゴアルキレングリコールで変性される低分子メラミン−ホルムアルデヒド樹脂(変性MF樹脂)
から選択される請求項1から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
水性硬化性組成物中の架橋可能な化合物の濃度が組成物の全質量に対して1〜60質量%の範囲である請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。
【請求項18】
水性組成物が付加的に架橋可能な化合物の硬化を生じる触媒Kを含有する請求項1から17までのいずれか1項記載の方法。
【請求項19】
触媒Kが金属ハロゲン化物、金属硫酸塩、金属硝酸塩、金属燐酸塩、金属四フッ化ホウ酸塩、三フッ化ホウ素の群からの金属塩、ハロゲン化アンモニウム、硫酸アンモニウム、蓚酸アンモニウム、および燐酸二アンモニウムからのアンモニウム塩、有機カルボン酸、有機スルホン酸、ホウ酸、燐酸、硫酸および塩酸から選択される請求項18記載の方法。
【請求項20】
請求項1から19までのいずれか1項記載の方法により得られる表面処理された木材または木材材料。

【公表番号】特表2008−540160(P2008−540160A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−509352(P2008−509352)
【出願日】平成18年4月28日(2006.4.28)
【国際出願番号】PCT/EP2006/004020
【国際公開番号】WO2006/117163
【国際公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】