説明

木綿及びテクニカルファイバーの耐磨耗性混合物をベースとする織物

2つのヤーン、いわゆるコンフォートセルロース性材料ヤーンと磨耗及び温度に対する高い抵抗性を有するテクニカルヤーンとを包含する単層織物に関し、これらの2つのヤーンは、織物の厚みにおける少なくとも2の別個の部分、大部分がテクニカルヤーンの第1の外部分及び大部分がコンフォートヤーンの第2の内部分を定めるように織られるか編まれ、これらの部分は少なくとも部分的にもつれている。連続フィラメントでできたテクニカルヤーンのコアが少なくとも部分的に天然繊維を包含するコーティングで表面の少なくとも75%が覆われていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルロース繊維、例えば木綿繊維及びテクニカルファイバーの耐磨耗性混合物をベースとする織物に関する。
【0002】
特に、本発明の主題はジーンズの外観又はより一般的にはパンツ、ボーマージャケットを含むジャケット、手袋等を製造するための木綿布の外観を有する織物である。
【背景技術】
【0003】
磨耗衝撃、例えばオートバイ乗りが落ちたときに経験する織物が受ける衝撃の際の品質を有する織物は従来技術で知られている。これらの織物は一般に最小限2つの別個の層を必要とする。即ち、肌に直に着ることができるようにコンフォートライニングが位置するか、或いは低い摩擦係数(シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等)を有する製品の被覆を抵抗性材料(アラミド等で作ったメッシュ又は織物)上に製造するかである。磨耗衝撃(abrasive impact)に対して保護するための作業手袋の場合がそうである。然しながら、後者の解決は2つの主な欠点がある。被覆による複合体の通気性の欠如による不快及び被覆が与える「工業的」外観である。更に、これらは夏にほんの僅かしか通気性がない織物であり、従ってこの季節に着用するとかなり不快である。
【0004】
従来技術で知られている他の代案の主要なものは250℃未満の温度で融解するポリイミドである。更に、後者は自己消火性でなく、このような織物で製造した衣類の着用者に明らかな追加的危険性を示す。これは、磨耗衝撃時、例えばオートバイ上でこのような材料は迅速に局部的にその融点に達し、次いで使用者の皮膚と直接接触するので、治療が困難な障害及び火傷をもたらす(火災の場合は併発症の危険が増す)。
【0005】
ポリエステルはある程度の耐摩耗性を有するが、満足できる耐火性を有しない。ポリエチレンは極めて良好な機械的性質を有するが、その融点は120℃近傍である。パラ-及びメタ-アラミドのみが機械的及び耐火性性質を有するが、その性能はUV照射の存在で劣化する。セラミックスはこれらの性質と組合せられるかもしれないが、そのコストは高すぎて経済的に実行可能な工業的実施ができない。
【0006】
いずれにしても、これらの材料はいずれも満足できる織物特性を有しない。これらは染色が困難であり、衣類の着用者に不快感を有し、皮膚にプラスティックの接触感を生じる。
【0007】
このように、一般にオートバイ乗り用の装備の世界において及び特にパンツに関し、オーバーパンツ、多層織物でできたパンツ又は皮でできたパンツのみが磨耗から保護することができる利点がある。これらの場合において、特に夏にはそれぞれ欠点がある(不快、通気性及び親水性の欠如、外観の悪さ等)。
【0008】
最終的に、米国特許第4,920,000号は、2つのヤーン、天然「コンフォート(comfort)」ヤーン及び磨耗及び温度に対する抵抗性の良好な特性を有する「テクニカル(technical)」ヤーンを包含する単層(monolayer)織物の2つのヤーンは織物の厚みにおいて少なくとも2つの別個の部分、テクニカルヤーンが優越する第1の外部分及びコンフォートヤーンが優越する第2の内部分、を定める織り方で織られており、この部分は少なくとも部分的に絡んでいる。この特許に開示された発明に用いられるテクニカルヤーンは、異なる天然及び人工材料の緊密混合物であり、それぞれは特定の技術的役割を有し、ヤーンの周辺はヤーンの中心と同一組成である。こうして得られたテクニカルヤーンは表面で極めて部分的にのみ覆われ、合成材料でできたこのヤーンの部分は高度に暴露されており、上述した人工ヤーンをベースとする織物の欠点、特に視覚的外観及び快適性に関する欠点を克服することができない。更に、着色剤はテクニカルファイバーに用いる合成材料に保持されることが極めて乏しいので、得られる織物を着色することができないし、或いは染色が良好なポリエステル又はポリアミドを用いても得られる織物の外観に関して感触及び光沢が問題を生じたり、技術的性能に関して貧弱である。
【0009】
従って、本発明の主要目的は、テクニカル織物と衣類用織物との間の性能の差を減少することを可能にする織物を提供することである。より詳しくは、本発明の目的は、従来技術で知られている織物の技術的問題を解決することを可能にして、優れた機械的特性、特に火災、高温及び磨耗に対する抵抗性を有し、天然材料、例えばセルロース(特に木綿又は亜麻)でできた織物が保持するのと少なくとも同程度の水準で適用染料を保持することを可能にし、これらの織物を着用するのと同様に快適である織物を提供することである。
【0010】
本発明の目的は、2つのヤーン、セルロース材料でできたコンフォートヤーン並びに磨耗及び温度に対する良好な抵抗性を有するテクニカルヤーンを包含する単層織物であって、これらの2つのヤーンが、織物の厚みにおける少なくとも2つの別個の部分、テクニカルヤーンが優越する第1の外部分及びコンフォートヤーンが優越する第2の内部分を定めるように織られ又は編まれており、これらの部分が少なくとも部分的に絡んでいるものによって達成される。
【0011】
本発明は、特に、テクニカルヤーンが連続的で好ましくは非加工の(nontextured)フィラメントで製造されたヤーンであり、テクニカルヤーンのコアは表面の少なくとも75%、好ましくは少なくとも85%が天然繊維を少なくとも部分的に包含する被覆で覆われていることを特徴とする。
【0012】
この織物は、優れた機械的特性及び織物特性(一方では織ることの容易性、及び他方では快適さに関して)を有し、特にオートバイ乗り又はスケートボード、ローラースケート、自転車又はスノーボードの使用者用であり、彼等に保護、快適さ及び粋な外観を与える。
【0013】
単層デザインのために、肌に直に着ることができる軽い衣類を製造することを意図し、転倒した場合に磨耗に対して優れた保護を与える。保護は、織物の外部分に優越して存在するテクニカルヤーンの磨耗に対する優れた抵抗性によって提供される。
【0014】
「耐摩耗性材料(abrasion-resistant material)」の用語は、実際の条件下での耐摩耗性試験において標準prEN13595−2によってフランスモーターサイクリング協会(Federation Francaise de Motorcyclisme)に承認された競争(competition)グレードレザーと事実上同等であるような硬さ及び摩擦係数を有する材料を意味するものである。
【0015】
織物の各種の試料で行った試験は後述する結果を示した。用いた方法は正確に標準的な方法ではないが関与する段階及び再現性においては近似している。
【0016】
面積が80mm×50mmの試料を約10kgの荷重支持体の下におき、中程度サイズグレードの乾燥道路表面と直接接触させ、37℃で試験した。荷重支持体は全ての経糸が破れるまで平行運動させた。次に示す測定は経糸が完全に破壊する前に各試料が動いた距離を示す。
【0017】
-フランスの織物(IFTHの1993の標準EN388による標準、参照LEM6)、100%木綿: 25m
-新「LEVIS 501TM」タイプのジーンズ、100%木綿: 12m
-中古の「LEVIS 501TM」タイプのジーンズ、100%木綿: 2.5m
-密接な混合物として、ポリエステル及びKevlarTMで強化された経糸及び緯糸ヤーンを包含するジーンズ: 15m
-競争グレードレザー: 62.5m
-木綿でできた経糸及び撚られた木綿/アラミドフィラメントの経糸で構成された本発明による織物: 29.5m
-木綿でできた緯糸及びブルー木綿で覆われた連続アラミドフィラメントの経糸で構成された、後述する例に記載された本発明による織物: 45m
-木綿でできた緯糸及び木綿で覆われたポリエチレンフィラメントで構成された本発明による織物: 65m
本発明により得られた織物は、100%木綿の外観を保有することができるが、ジーンズタイプの100%木綿織物よりはるかに良好な性能を示し、ある場合にはフランスモーターサイクリング協会によって競争に用いられるレザーで得られるものと実質的に同等の性能を示す。
【0018】
快適さは「経糸効果(warp effect)」タイプの特別の構成から生じる;経糸効果は使用したヤーンの番手(例えば緯糸より経糸が太い)など又は織り方自体(朱子織(satin)、綾織り(twill)、半編み(half plaits)等)によって得られ、上記品質と単層とを組合わせることを可能にして、外表面によって保護し、親水性内部表面によって肌に直に着れる織物となる。この物品は高水準の熱的特性をも有する。
【0019】
本発明の第1の好ましい態様では、緯糸を構成するコンフォートヤーンと経糸を構成するテクニカルヤーンとを織ることによって織物が得られる。
【0020】
この場合、用いられた織物は緯糸効果タイプのものであるが、4ヤーン以下の浮き糸(floats)、好ましくは3/1ツイル(twill)(3の浮き糸)又は2/1ツイル(2の浮き糸)を有する。
【0021】
実際、基礎織物のうちで、綾織り、朱子織及び布(cloth)がある。この場合、最も適していないのは布である。朱子織は、綾織りと同様に、織物の表面における正確に釣合った経糸ヤーンの可能性のために重要な可能性を提供する(所望の効果は経糸効果である)。
【0022】
綾織りは、3/1又は2/1型(version)で、デニムの基本的織り方であり;ジーンズ模倣品用の織物の外観に関して理想的な織物である。然し、どのような織物でも、後者とヤーン番手の組合せが外表面における経糸ヤーンの存在を促進し、かつ内部における緯糸の存在を促進することが期待できる。織物は緯糸伸張又は固定であり得る。
【0023】
更に、3/1又は2/1ツイルの織り方以外の場合において、織物の外部/内部の割合に加えて、浮き糸の数及び大きさを正しく調節することが必要である。これは若干の織物では織物の外側(又は「フロント」)の経糸ヤーンの高度の存在を可能にするが非常に大きい浮き糸を必要とする。このリスクは、ヤーンが外部要素に捕らえられ後者によって引かれ、織物の構造を変形することになる。この特性は、ノンスリッピングといわれる。従って、4ヤーン以下の浮き糸が受入れられると考えられる。
【0024】
本発明の第2の態様によると、織物は編むこと(knitting)によって得られる。編み物は、「フロント」ヤーン(テクニカルヤーン)と「バック」ヤーン(コンフォートヤーン)とを区別することができる限り、織物と同様の良好な支持を提供できるからである。重要なことは、ヤーンの裏側に比較して高コストによるメッシュの裏側におけるテクニカルヤーンが多すぎるようにはしない(多くとも織物の見える面の35%)ことである。一般に、これらのニット織物はダブル-ニードル-ベッドマシンで製造される。シングル-ニードル-ベッドマシンで製造されるモレトン(molleton)メッシュは性能及びコストの条件(受容できるフロントヤーン/バックヤーン割合)に容易に適合する。メッシュの場合、織物の弾性は、ニットによって与えられる構造(緊張下のヤーンがない)のために自然である。
【0025】
有利には、コンフォートヤーンは、「ストレッチヤーン」のヤーンを与えるように弾性ヤーンと組合せたセルロース材料のヤーンである。これは、磨耗衝撃の場合、織物は先ず弾性緯糸の弾性によって変形し始め、衝撃の際に織物の受けたエネルギーの部分を吸収することを可能にし、次いで道路に沿った織物の摩擦によって放出されるエネルギーの残部を経糸が吸収する。これは、それ自体で、分解しないために耐摩耗性の満足できる特性(換言すれば充分に高い圧縮強度及び充分に低い摩擦係数)を有しなければならないことになる。
【0026】
加えて、耐摩耗性テクニカルヤーンのコアは、250℃以上、好ましくは400℃以上の融点を有する材料でつくることが有利である。メタ-及びパラ-アラミドのような極めて高い融点を有する材料の使用も考えられる。温度の上昇をもたらす磨耗衝撃の際に、これらの材料は先ず機械的特性を失い、次いで融解することなく分解する。ポリエチレンのような130℃、又はある種のナイロン(ポリアミド6,6)のような260℃で融解するコアの使用も、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)のような高融点の化合物によるこれらのコアの被覆のような設計上の注意によって考えることができる。
【0027】
このような機械的及び熱的性能を達成するために、構成材料又はテクニカルコアの選択は極めて重要であり、第1ステップを構成する。好ましくは、この構成材料は、パラ-アラミド、メタ-アラミド、シリコン樹脂、ポリフルオロエチレン(PTFE)タイプの弗素化樹脂、充填剤としてガラス(又はセラミック)を含む樹脂、アルミナ、ポリエチレン-ベースの樹脂及びこれらの樹脂の組合せからなる群から選んだ材料からつくられる。他の材料、例えば、ポリアミド、ポリエステル又はポリエチレンも、本明細書に定義した耐摩耗性の満足できる特性を有する限り、用いることができる。
【0028】
第2ステップでは、テクニカルヤーンのコア用に適当な構造を選択することに注意する。これは数種の方法で得られる。第1に、ヤーンを撚ることによって、例えばヤーンの全てが連続繊維であるパラーアラミド又はガラスヤーンをPTFE又はシリコンヤーンと撚ることによって、第2に、これらの材料を連続繊維の形態に紡績又はコーミング(combing)(即ち、緊密に混合)ことによって、第3に、特にパラーアラミド繊維、又は代替物相互の組合せでできたコアの被覆又は含浸(シリコン、PTFEなど)によってである。
【0029】
この複合ヤーン(又はコア)は、次いで木綿、ウール等のような織物特性を有するヤーンで(及びジーンズの場合、予め青に染色して)覆うか、又はペースト状又は液体混合物(PTFE、シリコン等)で又は極めて短く着色した織物繊維(木綿、亜麻、ウール等)で含浸及び/又は被覆して経糸に着色と外観を与える。この操作は、コアにパラーアラミドを用いた場合UVスクリーンを形成する役割をも有する(この材料は紫外線照射に極めて鋭敏である)。
【0030】
本発明の第1の態様によると、テクニカルファイバーの被覆は螺旋状二重被覆によって木綿又はウールヤーンで覆うことによって行われる。
【0031】
本発明の第2の態様によると、テクニカルファイバーの被覆は、含浸を伴い又は伴うことなく、樹脂を極短天然繊維で飽和させた、弗素化樹脂、シリコーン、アクリレート又は同等の重合体樹脂の混合物の浴でテクニカルファイバーを被覆することによって行われる。この作業は、コアヤーンに直接適用する。その目的は次の通りである。即ち:
-滑りを与える(織るため及び例えばガラス繊維でできたテクニカルヤーンの場合に、複合「テクニカルヤーン/被覆ヤーン」の挙動に必要)、
-複合の摩擦係数の減少、
-耐火特性を与える(特にシリコン又は弗素化樹脂でポリエチレンコアを含浸した場合)、
-着色、外観及び一定の織物機能を与える、例えば、予め着色した極短繊維(木綿、亜麻、ウール等)で飽和した弗素化樹脂(又はシリコン又は類似製品等)の混合物から行った被覆の場合。この作業は2段階、ヤーンの含浸次いで複合物の周囲を繊維で飽和、によって行うこともできる。他の方法も可能である。これは繊維を追加しない浴の着色である。
【実施例】
【0032】
本発明を良く理解するために、制限するものではないが、本発明による耐磨耗性織物の特定の態様を詳細に説明する。
【0033】
本発明は、2種のヤーン、セルロース材料のコンフォートヤーン及び磨耗及び温度に対する良好な抵抗性を有するテクニカルヤーン、を包含する単層織物に関する。次にあげる説明においては、セルロース材料でできたコンフォートヤーンは、特に木綿、亜麻、ビスコース又はアセテートを組合せたセルロース材料のなかで好ましい材料である木綿ヤーンとして説明する。
【0034】
「単層」織物は、緯糸ヤーン(材料の快適さ及び弾性)が内部に優勢に存在することによる快適さ及び経糸ヤーン(材料の抵抗性及び覆いによって与えられる外観)が外側に優勢に存在することによる機械的強度の両者を提供することを可能にする単一層として製造される織物を意味すると理解される。
【0035】
これらの2種のヤーンは、織物の厚みにおいて少なくとも2つの別個の部分、テクニカルヤーンが優勢な第1の外部分及びコンフォートヤーンが優勢な第2の内部分を定め、これらの部分は少なくとも部分的に絡んでいる織り方で織られる。
【0036】
特に、本発明によるこの織物は、コンフォートヤーンを構成する緯糸及びテクニカルヤーンの経糸を織ることによって得られる。特に、用いられる織り方は3/1又は2/1ツイル(twill)である。
【0037】
ジーンズの場合のように色が白の緯糸は、本発明の織物で製造される衣類の実際に日常使用に求められる快適さに貢献するために木綿ヤーンで構成される。これらの木綿ヤーンは、織物の良好な弾性、従って良好な伸張性を得るためにエラスタン(elasthane)で補足される。
【0038】
ここで用いる緯糸はカード(carded)ヤーン(又はより大きい引張強度のためにはコーム(combed)ヤーン)であり、1/12Nm+/−100%の番手(又はより高い靭性のためには撚り2/24Nm)を有し、かつエラスタンが加えられている(仕上がり織物の1%〜8%)。
【0039】
ジーンズの場合のように色が青である経糸は、覆われたテクニカルヤーンで構成される。このテクニカルヤーンは、耐摩耗性、摩擦係数が低い特性及び耐火性を有する。これは非加工の連続フィラメントを包含するパラ-アラミド400Dtex(即ち、単一コア)である。
【0040】
本発明によれば、テクニカルヤーンは、天然繊維を少なくとも部分的に包含する被覆で85%を超える表面が覆われる。特にテクニカルコアの被覆は螺旋状二重被覆で行われ、100%木綿の外観を保持しながら、得られる織物の軽さ及び良好な汗吸収能力によって夏の間の優れた快適さを可能にする。
【0041】
この場合、この被覆は二重被覆(螺旋状にコアの周りに2ヤーン)で行われ、テクニカルヤーン(コアという)の表面の最低85%の被覆が得られる。この被覆ヤーンは極めて繊細で、即ち1/80Nm未満の番手であり、木綿又はウールの天然繊維でできている。
【0042】
ここに述べる特別の場合には、被覆材料は夏の衣服に用いられる織物用のコーム100%木綿長繊維又は冬用衣服に用いられる織物用のコーム100%ウールである。
【0043】
本発明において、被覆ヤーンは、染料粒子の受容れ、快適さ及び親水性の役割を果たすが、回りに位置し磨耗抵抗の役割に貢献するテクニカルコアを隠す役割を果たす。
【0044】
織った後は、仕上げには特別の注意は必要とされない。部分染色又は通常の表面処理(捺染、艶消し被覆等)を考えることもできる。
【0045】
オートバイから落下したとき、「磨耗衝撃」の語は、滑りによって擦りむく前に衝撃が織物を損じ及び温度が上昇するために用いられる。国際モーターサイクリスト協会では、代りに均等の「衝撃摩損(impact abrasion)」の語を用いる。
【0046】
本発明による織物の場合、衝撃のエネルギーは経糸ヤーンの被覆に対する損傷によって部分的に吸収される。
【0047】
次いで経糸ヤーンが露出され、滑りのエネルギーは経糸ヤーン(テクニカルヤーン)のコアを構成する材料の摩擦の低係数及び堅さによって防がれる。更に、このエネルギーは一定の変形を受容する織物の柔軟性によっても部分的に吸収される。緯糸方向の柔軟性は緯糸ヤーンの弾性によって与えられる。経糸方向の柔軟性は少ないけれども、コア材料の低いヤングモジュラスによって与えられる。
【0048】
これが織物の穴の外観を大いに遅らせる効果である。
【0049】
こうして得られた織物(着色織物の場合)はデニムに極めて類似する。然し、このような織物の使用はデザイナーに新規な創作性を提供し;ズボンを肌に直に着たり、ボマージャケットに裏打ちをしたり、全ての可能な色で、織物を着色したり及び部品染色したり、例えばオートバイから落ちたときに真の保護を提供する。更に、火災又は摩損が長引いたときにも融解しないし、UV照射によってもまた炭化水素によっても分解しない。
【0050】
本発明が例として上述した態様に限られるものではなく、その全ての変形を包含するものであることは明らかである。従って、コンフォートヤーンとテクニカルヤーンとを織るために用いる織り方は、後者の外側にある織物部分におけるテクニカルヤーンの存在を促進し、同時に織物の内側部分におけるコンフォートヤーンの優勢な存在を促進する限り、変更することができる。更に、この構造は流行(半編み、ヘリボン模様)に従って別の織り方をも許容する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つのヤーン、セルロース材料でできた「コンフォート」ヤーン並びに磨耗及び温度に対する抵抗性の良好な特性を有するテクニカルヤーンを包含する単層織物であって、この2つのヤーンは織物の厚みにおける少なくとも2つの別個の部分、テクニカルヤーンが優越する第1の外部分及びコンフォートヤーンが優越する第2の内部分を定めるように織られ又は編まれ、これらの部分は少なくとも部分的に絡んでいるものにおいて、テクニカルヤーンは連続フィラメントからつくられたヤ−ンであり、そのコアは表面の少なくとも75%が天然繊維を少なくとも部分的に包含する被覆で覆われていることを特徴とする織物。
【請求項2】
テクニカルヤーンのコアは、表面の少なくとも85%が天然繊維を少なくとも部分的に包含する被覆で覆われていることを特徴とする請求項1に記載の織物。
【請求項3】
テクニカルヤーンのコアを構成する連続フィラメントが非加工フィラメントである請求項1及び2のいずれかに記載の織物。
【請求項4】
緯糸を構成するコンフォートヤーン及び経糸を構成するテクニカルヤーンを織ることによって得られることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の織物。
【請求項5】
経糸効果を包含し、4ヤーン以下の浮き糸、好ましくは3/1又は2/1ツイルを有する織り方によって得られることを特徴とする請求項4に記載の織物。
【請求項6】
編むことによって得られることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の織物。
【請求項7】
セルロース材料の「コンフォート」ヤーンは「ストレッチヤーン」ヤーンを与える弾性ヤーンと組合せることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の織物。
【請求項8】
テクニカルヤーンのコアがパラ-アラミド、メタ-アラミド、シリコン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)タイプの弗素化樹脂、充填剤としてガラス又は1以上のセラミックスを包含する樹脂、アルミナ、ポリエチレン-又はポリアミド-ベースの樹脂及びこれらの材料の組合せからなる群から選ばれる材料から、相互に撚り合わせ、被覆及び/又は含浸又は緊密混合によって製造されることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の織物。
【請求項9】
テクニカルヤーンの被覆が木綿又はウールヤーンによる螺旋状二重被覆によって行われることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の織物。
【請求項10】
テクニカルヤーンの被覆が、含浸を伴い又は伴わず、弗素化樹脂、シリコーン、極短天然繊維を飽和させたアクリレート又は同等の重合体樹脂の浴内で、被覆することによって行われることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の織物。

【公表番号】特表2007−510066(P2007−510066A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536110(P2006−536110)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002522
【国際公開番号】WO2005/041704
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(506137309)
【Fターム(参考)】