説明

木質材料への樹脂含浸方法と樹脂含浸装置

【課題】
従来よりも、より効率的かつより均一に樹脂を含浸した木質材料を得ることのできる木質材料への樹脂含浸装置と樹脂含浸方法を提供する。
【解決手段】
被処理木質材料1を移送する移送手段11と、移送される木質材料11の外表面に吸引口20が接するようにして配置される負圧吸引手段と、負圧吸引手段の吸引口に接した状態で移送される木質材における該吸引口近傍領域の外表面に、含浸する樹脂液層による密閉層が形成されるように樹脂Rを供給する手段(12a,12b,13)とを少なくとも備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木質材料への樹脂含浸方法と樹脂含浸装置に関し、特に、木質材料に寸法安定性、強度、耐熱性などを付与するために、樹脂を木質材料に含浸するための方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような目的で木質材料に樹脂を含浸させることは知られている。例えば、樹脂が熱硬化性樹脂の場合には、樹脂を含浸した木質材料は、加熱処理のような樹脂硬化処理に付され、含浸した樹脂が硬化することにより、木質材料の物性が改善する。木質材料に樹脂を含浸させる場合、はけ、ロールなどによる塗布含浸、または含浸させる樹脂液中に木質材料をどぶ漬けする浸漬含浸などによる方法があるが、木質材料の種類、含浸させる樹脂の種類などによっては、十分に含浸できない場合がある。必要十分な量の樹脂を均一に含浸させる方法として、真空釜を利用した減圧含浸法が知られているが、処理する木質材料より大きな寸法形状、また高い真空度に耐えうる気密性の高い大がかりな装置を必要とするばかりでなく、含浸処理がバッチ式となり生産コストが嵩み、効率が悪いものとなっている。
【0003】
木質材料へ効率よく樹脂含浸処理を行うために、木質材料を移送しながら含浸処理を行う方法および装置が提案されている。特許文献1には、減圧下で木質材料の内部空気を除く脱気処理を行い、脱気処理終了直後に熱硬化性樹脂の含浸処理(減圧含浸)を行う方法および装置が記載されている。また、特許文献2には、中密度繊維板(MDF)の上面側から熱硬化性樹脂を散布すると共に、その下面側から真空度50〜760mmHg程度の負圧で、同時に吸引する方法が記載されている。
【特許文献1】特開2004−330738号公報
【特許文献2】特開平10−323809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のものは、木質材料を移動させながら、脱気と樹脂含浸とを一連の工程で行うことができ、真空釜を利用した減圧含浸法と比較して、装置も簡素化でき、また生産性も向上する。しかし、脱気と樹脂含浸とを別個の工程で行うようにしており、脱気工程から含浸工程に移る過程で、木質材料内に空気が再び入り込むのを避けられない。また、減圧含浸により樹脂の含浸は良好になるが、脱気室とは別に樹脂含浸のためのスプレーを備えた減圧室を用意する必要があり、装置が煩雑となる。
【0005】
特許文献2に記載の方法は、下面側からの吸引と上面側から熱硬化性樹脂の散布とを同時に行うようにしており、処理工程的には好ましい方法といえる。しかし、この方法は、基本的に、上面側に散布した樹脂を下面側から吸引して、木質材内部に樹脂を浸入させていく方法であり、均一な含浸を得ること、高い樹脂含浸率を確保することは容易でない。
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、従来のものよりも、より効率的かつより均一に樹脂を含浸した木質材料を得ることのできる樹脂含浸方法と樹脂含浸装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による木質材料への樹脂含浸方法は、移送される木質材料の外表面の一部に、含浸させる樹脂による密閉層が形成されるように樹脂液層を形成しておき、その状態で木質材料を移送しつつ樹脂液層の近傍から木質材料の内部空気を負圧吸引することにより、木質材料内部からの脱気と木質材料内部への樹脂含浸とを同時に進行させることを特徴とする。
【0008】
上記の方法では、移送される木質材料の内部空気が負圧により吸引されると同時に、空気が存在していた部分に樹脂液層を形成している樹脂が直ちに入り込むことができ、内部空気の脱気と樹脂の含浸とは、実質的に同時進行的に行われる。そのために、樹脂の含浸処理時間は短縮し、かつ均一な含浸が進行する。
【0009】
本発明の方法において、含浸させる樹脂による密閉層を移送される木質材料の上面および下面の一方または双方に形成し、内部空気の負圧吸引を移送される木質材料の上面または下面の一方から行うようにしてもよく、さらに、移送される木質材料の両側面(木口面)に含浸させる樹脂による密閉層を形成するようにしてもよい。
【0010】
そのように樹脂液層が形成される木質材料の外表面の領域と内部空気を負圧吸引する箇所とを適宜調整し、また、負圧吸引の強さと木質材料の送り速度を調整することによって、同じ木質材料に対して、表層部および内層部の全体に樹脂含浸させることもでき、表層部のみに樹脂含浸させることもできる。さらに、表層部のすべてでなく、その一部にのみ、例えば上面側表層部あるいは下面側表層部などに限定して樹脂含浸させることもできるようになる。
【0011】
なお、後記する装置の発明も含めて、本発明において「木質材料の外表面」とは、移送される木質材料のすべての外側の面を含む言葉として用いており、矩形状の木質材料の場合には、当該木質材の上面、下面、送り方向の両端面および両側面のすべてが含まれる。
【0012】
本発明は、また、上記の方法を実施するための装置として、木質材料を移送する移送手段と、移送される木質材料の外表面の一部に吸引口が接するようにして配置した負圧吸引手段と、負圧吸引手段の吸引口に接した状態で移送される木質材料における該吸引口近傍領域の外表面領域に、含浸させる樹脂液層による密閉層が形成されるように樹脂を供給する樹脂供給手段とを少なくとも備えることを特徴とする木質材料への樹脂含浸装置、も開示する。
【0013】
上記の装置において、負圧吸引手段の吸引口は、移送される木質材料の上面または下面のいずれかに接するように配置されていてもよく、処理すべき木質材料の寸法や種類によっては、移送される木質材料の両側面(木口面)に接するように配置されていてもよい。
【0014】
上記の装置において、樹脂供給手段は、負圧吸引手段の吸引口が配置されている側の面またはその反対側の面にのみ樹脂を供給できるよう構成されていてもよく、負圧吸引手段の吸引口が配置されている側の面およびその反対側の面の双方に樹脂を供給できるように構成されていてもよい。前者の装置は、主に、表層部のすべてでなく、その一部にのみ、例えば上面側表層部あるいは下面側表層部などに限定して樹脂を含浸させた木質材料を得るのに好適に用いられる。また、後者の装置は、主に、表層部のみに樹脂が含浸した、あるいは、表層部および内層部の全体に樹脂が含浸した木質材料を得るのに好適に用いられる。
【0015】
前記樹脂供給手段は、さらに、木質材料における両側面にも樹脂を供給できるように構成されていてもよい。
【0016】
本発明において、処理の対象となる木質材料は、負圧吸引処理により内部空隙に存在する空気が脱気されるものであればよく、無垢材、集成材、合板、あるいはPB、OSB、MDF、HDFのような木質繊維板など、任意の木質材料が含まれる。
【0017】
本発明において、含浸に用いる樹脂は、従来、木質材料の物性を安定化させるのに用いられてきた樹脂材料をすべて含んでおり、ユリア系樹脂、フェノール系樹脂、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、エポキシ系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、エチレン酢酸ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂などを挙げることかできる。また、硬化性樹脂を用いる場合には、熱、紫外線などにより硬化する任意の樹脂を用いることができる。さらに、樹脂は、水系、溶剤系、無溶剤系のいずれでもよい。
【0018】
本発明による方法および装置では、樹脂含浸処理を行おうとする木質材料は所要の速度で送られる。移動する木質材料に対して、負圧吸引手段の吸引口を接触させる。吸引口が接触する領域に特に制限はないが、均一な含浸を行うために、移動方向に直交する方向における木質材料のほぼ全幅にわたって吸引口を接触させて、全幅領域を負圧吸引領域とすることが望ましい。吸引口の木質材料の移動方向での幅は任意であり、特に制限はないが、含浸処理すべき木質材料の空隙率とその移動速度、含浸する樹脂の物性、さらには負圧吸引圧力などを考慮して、所要の樹脂含浸率が得られるように、実験的に設定すればよい。
【0019】
本発明において、移動する木質材料における前記負圧吸引口の近傍に、どの程度の面積で含浸させる樹脂液層による密閉層を形成すればよいかは、吸引口の木質材移動方向での幅と同様、含浸処理すべき木質材料の空隙率とその移動速度、含浸する樹脂の物性、さらには負圧吸引圧力などを考慮して、実験的に設定すればよい。含浸させる樹脂液層による密閉層の面積が広いほど、樹脂含浸の効率はよくなるが、そのための樹脂を供給する手段および負圧吸引手段は大きな規模のものが必要となる。一方、樹脂液層による密閉層の面積が狭いと、含浸時間が十分にとれないため、送り速度を遅くしないと十分な含浸率が得られないことが起こる。求める樹脂含浸率を考慮しながら、所要の面積の密閉層を形成すればよい。
【0020】
なお、本発明において、「含浸させる樹脂液層による密閉層」の用語は、木質材料の内部空気を負圧吸引するときの負圧によって樹脂液層に破壊(真空破壊)が生じることのない厚さを備えた層として定義される。換言すれば、吸引口からの吸引で木質材料の内部空気を負圧吸引するときに、その負圧によって含浸する樹脂の層が破壊され、外気がその破壊された部分を通って木質材料の内部に進入する、という現象が生じることのない厚さを備えた層をいうのに用いている。「含浸させる樹脂液層による密閉層」の厚さは、処理環境、特に、どの程度の負圧で吸引を行うかなどによって異なるものである。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、表層部および内層部の全体に均一に樹脂含浸した、あるいは、表層部のみに均一に樹脂含浸した、さらには、表層部のすべてでなく、例えば上面側表層部あるいは下面側表層部にのみ均一に樹脂含浸させた木質材料を木質材料を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本発明の一実施の形態を説明する。図1は本発明による木質材料への樹脂含浸方法を好適に実施することのできる樹脂含浸装置を示す模式図である。
【0023】
装置10は、移送ローラ11を有し、例えば板状のMDFである被処理木質材料1は、図で左から右に向けて、矢印方向に順次送られる。移送される被処理木質材料1を上下から液密的に挟持するようにして、下樹脂供給手段12a,12bと上樹脂供給手段13が位置している。いずれの樹脂供給手段も、その横幅(被処理木質材料1の移送方向に直交する方向の幅)は、被処理木質材料1の横幅と同じである。下樹脂供給手段12aと12bは、被処理木質材料1の移送方向に距離をおいて配置してあり、その間に隙間がないようにして負圧吸引手段の吸引口20が位置している。
【0024】
下樹脂供給手段12a,12bと上樹脂供給手段13は、被処理木質材料1に面した側を開放した箱形容器14を備え、それぞれの容器14は樹脂注入孔15を有している。樹脂注入孔15は、図示しない樹脂タンクに接続しており、送液ポンプPの作用で、各容器14内に樹脂溶液Rが送給される。各容器14の周縁であって送り込まれる被処理木質材料1の上下面に接する箇所には適宜の液密手段が施されており、被処理木質材料1の上下面に接した状態で、内部の樹脂溶液Rが外部に漏洩することはない。
【0025】
なお、図示しないが、被処理木質材料1の両側面(左右の木口面)であって、前記下樹脂供給手段12a,12bと上樹脂供給手段13に対応する領域にも、同様な構成を備えた左右の樹脂供給手段が配置されている。
【0026】
負圧吸引手段の吸引口20は、被処理木質材料1に面した側がメッシュ状の多数の開口21を備えた密閉容器であり、容器側壁の開口22を介して、内部を真空ポンプVPに接続している。吸引口20が被処理木質材料1の下面に接する周縁部分には適宜の気密手段が施してあり、真空ポンプVPによる負圧吸引が行われるときに、外気が吸引口20に吸い込まれることはない。
【0027】
移送ローラ11を作動して、下樹脂供給手段12a,12bと上樹脂供給手段13および図示しない左右の樹脂供給手段の間に被処理木質材料1を送り込む。各樹脂供給手段を構成する箱形容器14の開口面が、被処理木質材料1の上下面および両側面により閉鎖された時点で、送液ポンプPを作動して、含浸させる樹脂Rを送り込み、各容器14内を樹脂Rで充満する。それにより、吸引口20が接した状態で移送される被処理木質材料1における、前記吸引口20の近傍領域の上下面および両側面には、樹脂Rによる密閉層が形成されるようになる。
【0028】
次ぎに、真空ポンプVPを作動して吸引口20内の真空引きを行う。それにより、開口21を通して、被処理木質材料1内の空気が真空ポンプVPに引き込まれ、いわゆる脱気が進行する。脱気が進行すると同時に、その負圧は、吸引口20の近傍領域である被処理木質材料1の上下面および両側面にも発現する。発現した負圧により、箱形容器14内の樹脂R、すなわち、被処理木質材料1における吸引口20の近傍領域の上下面に形成されている密閉層を形成する樹脂Rは、被処理木質材料1の内部に含浸していく。その含浸により、脱気した空間は直ちに樹脂により埋め込まれ、内部空気と樹脂との置換が完了する。
【0029】
この現象は、被処理木質材料1の移動と共に継続して進行するので、端面同士を接した状態で送り込まれる複数枚の被処理木質材料1・・に、連続した樹脂含浸処理が施されるようになり、短時間で、均一に樹脂含浸された木質材料が得られる。
【0030】
図示しないが、十分な量の樹脂を供給することができる場合には、下樹脂供給手段12a,12bと上樹脂供給手段13を構成する前記箱形容器14内に、複数個のスプレーノズルを配置し、そこから排出される樹脂により、被処理木質材料1における吸引口20の近傍領域の表裏面に樹脂Rからなる密閉層を形成するようにしてもよい。また、前記下樹脂供給手段12a,12bと上樹脂供給手段13のすべてまたはそれらのいずれかを、被処理木質材料1の両側面側をも覆うことのできる形状として、被処理木質材料1の両側面側も樹脂溶液Rによる密閉層が形成されるようにしてもよい。
【0031】
さらに、処理すべき木質材料の両側面の面積が表裏面の面積に比べて十分に小さいものである場合、すなわち薄手の木質材料を処理する場合には、前記した左右の樹脂供給手段を配置しないでも、所望に樹脂が含浸した木質材料を得ることができる。また、下樹脂供給手段12a,12bと上樹脂供給手段13が位置する領域近傍における、被処理木質材料1の両側面(左右の木口部分)に非通気性のあて板を配置して、両側面から外気が吸い込まれるのを阻止するようにしてもよい。
【0032】
図示しないが、吸引口20を移送される木質材料1の上面側に位置させるようにしてもよく、その場合には、前記下樹脂供給手段12a,12bと上樹脂供給手段13も、移送される木質材料1に対してそれぞれ反転した位置に配置される。
【0033】
また、下樹脂供給手段12aと12bまたは上樹脂供給手段13のいずれか一方にのみ樹脂溶液Rを充填して、装置の運転を行うことにより、一方の面にのみ樹脂含浸層を形成した木質材料を得ることができる。さらに、一方の面にのみ樹脂含浸層を形成した木質材料を製造することを最初から目的とする場合には、下樹脂供給手段12aと12bまたは上樹脂供給手段13のいずれか一方を省略することもできる。
【実施例】
【0034】
以下、実施例により本発明を説明する。
[実施例1]
図1に示す装置を用い、被処理木質材料1として、中質繊維板(MDF)を試料として用いて、樹脂含浸処理を行った。試料寸法は、厚さ3.0mm、幅315mm、長さ1840mmである。含浸する樹脂には、樹脂固定分50%のアクリル系樹脂水溶液を用いた。なお、この樹脂は、木質材料に含浸させた場合、木質細胞壁内に吸着し、かさ効果による寸法安定性が得られる樹脂である。
【0035】
試料の送り速度は6m/分、樹脂供給量は20リットル/分とし、吸引口20に設けた真空ゲージの圧力が減圧度5kPaを維持するように、真空ポンプVPの吸引度を制御した。それにより、樹脂含浸率ほぼ30%の樹脂含浸MDF試料を安定的に得ることができた。なお、樹脂含浸率は次式により求めた。
樹脂含浸率(%)=[含浸後試料重量(g)−含浸前試料重量(g)]/含浸前試料重量(g)×100
【0036】
得られた樹脂含浸MDF試料の寸法変化率を測定した。その結果を表1に示す。表1に示すように、吸湿、放湿時における寸法変化率は、未処理試料と比較して小さく抑えられ、本発明による処理の効果が確認できた。
【0037】
【表1】

【0038】
近年、床板下部に温水あるいは電気ヒータを通した床暖房システムが普及し、フロア基材としては、寒暖の繰り返しによる含水率変化に伴う寸法変化の小さなものが求められており、これら床暖房用基材に適合する基準としては、吸放湿時寸法変化率の合計値が0.5%以下であることが強く望まれている。本実施例による処理を行った試料は、目標の寸法安定率0.5%以下を達成している。
【0039】
[実施例2]
実施例1で得られた樹脂含浸処理MDF試料を表面基材として合板表面に貼り付け、フロア台板を作成した。さらに、このフロア台板表面に化粧突き板を貼り付け、一般的な塗装処理を行い、住宅用フロアを作成し、性能試験を行った。その結果を表2示す。
【0040】
【表2】

【0041】
なお、表2において「MDF材破」は、接着面で剥離せずに、MDF内部で破壊が生じた現象をいっており、良好な接着が行われていることを意味している。
【0042】
表2に示すように、本処理方法による得られた樹脂含浸処理MDFは、強度、耐熱性、耐寒熱性、耐水性などの物理処理においても、木質フロアのJAS規格に適合してものとなっており、本発明による処理方法の有効性が示される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明による木質材料への樹脂含浸装置の一例を示す模式図。
【符号の説明】
【0044】
1…被処理木質材料、10…木質材料への樹脂含浸装置、11…移送ローラ、12a,12b…下樹脂供給手段、13…上樹脂供給手段、14…箱形容器、15…樹脂注入孔、20…負圧吸引手段の吸引口、21…吸引口の開口、P…送液ポンプ、VP…真空ポンプ、R…含浸する樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質材料に樹脂を吸引含浸させる方法であって、移送される木質材料の外表面の一部に、含浸させる樹脂による密閉層が形成されるように樹脂液層を形成しておき、その状態で木質材料を移送しつつ樹脂液層の近傍から木質材料の内部空気を負圧吸引することにより、木質材料内部からの脱気と木質材料内部への樹脂含浸とを同時に進行させることを特徴とする木質材料への樹脂含浸方法。
【請求項2】
含浸させる樹脂による密閉層を移送される木質材料の上面およびまたは下面に形成し、内部空気の負圧吸引を移送される木質材料の上面または下面から行うことを特徴とする請求項1に記載の木質材料への樹脂含浸方法。
【請求項3】
樹脂含浸を、木質材料の表層部および内層部の全体に対して行うことを特徴とする請求項1または2に記載の木質材料への樹脂含浸方法。
【請求項4】
樹脂含浸を、木質材料の表層部のみに対して行うことを特徴とする請求項1または2に記載の木質材料への樹脂含浸方法。
【請求項5】
樹脂含浸を、木質材料の表層部の一部に対してのみ行うことを特徴とする請求項4記載の木質材料への樹脂含浸方法。
【請求項6】
木質材料を移送する移送手段と、移送される木質材料の外表面の一部に吸引口が接するようにして配置した負圧吸引手段と、負圧吸引手段の吸引口に接した状態で移送される木質材料における該吸引口近傍領域の外表面領域に、含浸させる樹脂液層による密閉層が形成されるように樹脂を供給する樹脂供給手段とを少なくとも備えることを特徴とする木質材料への樹脂含浸装置。
【請求項7】
負圧吸引手段の吸引口は、移送される木質材料の上面または下面に接するように配置されていることを特徴とする請求項6に記載の木質材料への樹脂含浸装置。
【請求項8】
樹脂供給手段は、負圧吸引手段の吸引口が配置されている側の面またはその反対側の面にのみ樹脂を供給できるよう構成されていることを特徴とする請求項7に記載の木質材料への樹脂含浸装置。
【請求項9】
樹脂供給手段は、負圧吸引手段の吸引口が配置されている側の面およびその反対側の面の双方に樹脂を供給できるように構成されていることを特徴とする請求項7に記載の木質材料への樹脂含浸装置。
【請求項10】
前記樹脂供給手段は、木質材料における両側面にも樹脂を供給できるように構成されていることを特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の木質材料への樹脂含浸装置。

【図1】
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