説明

木造家屋の間仕切壁構造

【課題】間仕切壁を形成した木造家屋において、間柱を外すことなく容易に床材を交換することができる構造とすること。
【解決手段】本発明では、土台(4)の上部に床材(11)を載設するとともに、床材(11)の上部に壁受材(18)を載設し、壁受材(18)と間柱(13)に仕切壁材(21)を取付けることによって内部空間を仕切る間仕切壁(7)を形成した木造家屋(1)における間仕切壁(7)の構造において、床材(11)と壁受材(18)に挿通部(14,19)を形成するとともに、床材(11)と壁受材(18)の挿通部(14,19)に間柱(13)を挿通させた状態で間柱(13)を土台(4)に連結することにした。また、前記仕切壁材(21)の下端部を分離可能に形成することにした。さらに、前記木造家屋(1)の周壁(5)の内側を構成する内周壁材(15)の下端部も分離可能に形成することにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木造家屋の間仕切壁構造に関するものであり、土台や2階梁の上部に床材を載設するとともに、床材の上部に壁受材を載設し、壁受材と間柱に仕切壁材を取付けることによって建物内部の空間を複数の部屋に仕切る間仕切壁を形成した木造家屋における間仕切壁の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、木造家屋は、地盤に埋設した基礎の上部に土台を取付けるとともに、土台の上部に床材を取付け、床材の外周部に周壁を形成することで周壁の内側に居住空間を形成し、さらに、居住空間の内部を間仕切壁で仕切ることで居住空間の内部に複数の部屋を形成するようにしている(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
従来の木造家屋では、図7に示すように、基礎51の上部に土台52を取付け、土台52の上部に柱53と周壁用の間柱54を取付けるとともに、土台52の上部に床材55を取付け、柱53と間柱54に周壁の内側を構成する内周壁材56を取付けることで床材55の上部に居住空間を形成している。
【0004】
また、従来の木造家屋では、床材55の上部に壁受材57を載設するとともに、壁受材57の上部に間仕切壁用の間柱58を取付け、壁受材57と間柱58に間仕切壁を構成する仕切壁材59を取付けることで居住空間の内部を複数の部屋に区画している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−248605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来の木造家屋では、床材55の上部に壁受材57を取付け、壁受材57の上部に間仕切壁用の間柱58を取付け、壁受材57と間柱58に仕切壁材59を取付けた構成となっているために、長期間の使用により床材55の交換が必要となった場合には、仕切壁材59を壁受材57と間柱58から剥ぎ取った後に、間柱58を取外し、その後、壁受材57を取外すことで、床材55を交換可能な状態とすることができる。
【0007】
このように、上記従来の木造家屋の間仕切壁構造では、間柱58よりも床材55の方が比較的傷みが激しいにもかかわらず、間柱58を取り外さなければ床材55を交換することができず、床材55の交換作業が煩雑なものとなっており、床材55だけを容易に交換することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そこで、請求項1に係る本発明では、土台の上部に床材を載設するとともに、床材の上部に壁受材を載設し、壁受材と間柱に仕切壁材を取付けることによって内部空間を仕切る間仕切壁を形成した木造家屋における間仕切壁の構造において、床材と壁受材に挿通部を形成するとともに、床材と壁受材の挿通部に間柱を挿通させた状態で間柱を土台に連結することにした。
【0009】
また、請求項2に係る本発明では、前記請求項1に係る本発明において、前記仕切壁材の下端部を分離可能に形成することにした。
【0010】
また、請求項3に係る本発明では、前記請求項2に係る本発明において、前記木造家屋の周壁の内側を構成する内周壁材の下端部も分離可能に形成することにした。
【発明の効果】
【0011】
そして、本発明では、以下に記載する効果を奏する。
【0012】
すなわち、本発明では、土台の上部に床材を載設するとともに、床材の上部に壁受材を載設し、壁受材と間柱に仕切壁材を取付けることによって内部空間を仕切る間仕切壁を形成した木造家屋における間仕切壁の構造において、床材と壁受材に挿通部を形成するとともに、床材と壁受材の挿通部に間柱を挿通させた状態で間柱を土台に連結しているために、間柱を外すことなく床材を容易に交換することができる。
【0013】
特に、仕切壁材の下端部を分離可能に形成した場合には、仕切壁材の全体を剥がさなくても仕切壁材の下端部だけを分離することで床材を容易に交換することができる。
【0014】
また、木造家屋の周壁の内側を構成する内周壁材の下端部も分離可能に形成した場合には、内周壁材の全体を剥がさなくても内周壁材の下端部だけを分離することで床材を容易に交換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る木造家屋の間仕切壁構造を示す斜視図。
【図2】同断面図。
【図3】床材の交換作業を説明する斜視図。
【図4】床材の交換作業を説明する斜視図。
【図5】床材の交換作業を説明する斜視図。
【図6】床材の交換作業を説明する斜視図。
【図7】従来の木造家屋の間仕切壁構造を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明に係る木造家屋の間仕切壁構造の具体的な構成について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、本発明の重要な構成について説明し、断熱材や壁紙などの細部の構成は省略する。また、以下の説明では、木造家屋の1階部分について説明するが、本発明は、2階部分等の梁を土台として適用することもできる。
【0017】
図1及び図2に示すように、木造家屋1は、地盤2に基礎3を埋設形成し、基礎3の上端部に土台4を取付けている。土台4は、内側に居住空間を形成するための周壁5を支持する周壁用土台6と、居住空間の内部を複数の部屋に区画するための間仕切壁7を支持する間仕切壁用土台8とで構成している。
【0018】
また、木造家屋1は、周壁用土台6の上部に柱9を取付けるとともに、周壁用土台6の上部に周壁用の間柱10を柱9から所定間隔をあけて取付けている。
【0019】
また、木造家屋1は、周壁用土台6と間仕切壁用土台8の上部に板状の床材11を取付けている。床材11は、端縁に柱9や間柱10を挿入するための切欠部12を形成するとともに、端縁に後述する間仕切壁用の間柱13を挿通させるための挿通部14を形成している。なお、ここでは、床材11の端縁を切欠して挿通部14を形成しているが、貫通孔によって挿通部14を形成するようにしてもよい。
【0020】
また、木造家屋1は、柱9と間柱10に周壁5の内側を構成する板状の内周壁材15を取付けている。内周壁材15は、上部側を形成する上部側内周壁形成材16と下部側を形成する下部側内周壁形成材17とで構成しており、下端部(下部側内周壁形成材17)を分離することができるように形成している。なお、上部側内周壁形成材16は、柱9と間柱10にクギで取付け、下部側内周壁形成材17は、柱9と間柱10にネジで着脱可能に取付けている。
【0021】
また、木造家屋1は、間仕切壁用土台8の上部で床材11,11の端面同士を合わせ、その上部に板状の壁受材18を取付けている。壁受材18は、隣接する2枚の壁受材18,18の間に後述する間仕切壁用の間柱13を挿通させるための挿通部19を形成している。なお、ここでは、2枚の壁受材18,18を間隔をあけて配置することで挿通部19を形成しているが、1枚の壁受材18に切欠状又は貫通状の挿通部19を形成するようにしてもよい。
【0022】
さらに、木造家屋1は、床材11の挿通部14や壁受材18の挿通部19に対応する位置において間仕切壁用土台8にほぞ穴20を形成し、床材11の挿通部14と壁受材18の挿通部19とほぞ穴20とで形成される凹部に間仕切壁用の間柱13の下端部を挿通させることで間仕切壁用土台8の上部に間柱13を取付け、間柱13と壁受材18に間仕切壁7を構成する仕切壁材21を取付けている。仕切壁材21は、上部側を形成する上部側仕切壁形成材22と下部側を形成する下部側仕切壁形成材23とで構成しており、下端部(下部側仕切壁形成材23)を分離することができるように形成している。なお、上部側仕切壁形成材22は、間柱13にクギで取付け、下部側仕切壁形成材23は、間柱13と壁受材18にネジで着脱可能に取付けている。
【0023】
木造家屋1は、以上に説明したように構成しており、床材11の交換が必要となった場合には、以下に説明するように間柱13を取り外すことなく床材11の交換作業を行うことができる。
【0024】
まず、図3に示す完成状態から、図4に示すように内周壁材15の下端部の下部側内周壁形成材17と仕切壁材21の下端部の下部側仕切壁形成材23を取り外す。これにより、内周壁材15よりも内側の床材11の端縁が露出して、床材11を周壁用土台6から取り外すことが可能となり、また、仕切壁材21よりも内側の壁受材18が露出して、壁受材18を床材11から取り外すことが可能となる。
【0025】
次に、図5に示すように床材11から壁受材18を取り外す。このときに、間柱13を壁受材18の挿通部19に挿通させているために、間柱13を取り外すことなく壁受材18だけを取り外すことができる。これにより、仕切壁材21よりも内側の床材11の端縁が露出して、床材11を間仕切壁用土台8から取り外すことが可能となる。
【0026】
その後、図6に示すように床材11を周壁用土台6及び間仕切壁用土台8から取り外し、床材11を交換することができる。このときも、間柱13を床材11の挿通部14に挿通させているために、間柱13を取り外すことなく床材11だけを取り外すことができる。
【0027】
以上に説明したように、上記木造家屋1は、土台4の上部に床材11を載設するとともに、床材11の上部に壁受材18を載設し、壁受材18と間柱13に仕切壁材21を取付けることによって内部空間を仕切る間仕切壁7を形成している。
【0028】
そして、上記木造家屋1における間仕切壁7は、床材11と壁受材18に挿通部14,19をそれぞれ形成するとともに、床材11と壁受材18の挿通部14,19に間仕切壁用の間柱13の下端部を挿通させた状態で間柱13を土台4に連結した構造となっている。
【0029】
そのため、上記構造の間仕切壁7では、間柱13を外すことなく床材11を容易に交換することができる。
【0030】
また、上記間仕切壁7は、仕切壁材21の下端部(下部側仕切壁形成材23)を分離可能に形成した構造となっている。
【0031】
そのため、上記構造の間仕切壁7では、仕切壁材21の全体を剥がさないでも仕切壁材21の下端部(下部側仕切壁形成材23)だけを分離することで床材11を容易に交換することができる。
【0032】
さらに、上記木造家屋1は、周壁5の内側を構成する内周壁材15の下端部(下部側内周壁形成材17)も分離可能に形成した構造となっている。
【0033】
そのため、上記構造の木造家屋1では、内周壁材15の全体を剥がさなくても内周壁材15の下端部(下部側内周壁形成材17)だけを分離することで床材11を容易に交換することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 木造家屋 2 地盤
3 基礎 4 土台
5 周壁 6 周壁用土台
7 間仕切壁 8 間仕切壁用土台
9 柱 10 間柱
11 床材 12 切欠部
13 間柱 14 挿通部
15 内周壁材 16 上部側内周壁形成材
17 下部側内周壁形成材 18 壁受材
19 挿通部 20 ほぞ穴
21 仕切壁材 22 上部側仕切壁形成材
23 下部側仕切壁形成材
51 基礎 52 土台
53 柱 54 間柱
55 床材 56 内周壁材
57 壁受材 58 間柱
59 仕切壁材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
土台の上部に床材を載設するとともに、床材の上部に壁受材を載設し、壁受材と間柱に仕切壁材を取付けることによって内部空間を仕切る間仕切壁を形成した木造家屋における間仕切壁の構造において、
床材と壁受材に挿通部を形成するとともに、床材と壁受材の挿通部に間柱を挿通させた状態で間柱を土台に連結したことを特徴とする木造家屋の間仕切壁構造。
【請求項2】
前記仕切壁材の下端部を分離可能に形成したことを特徴とする請求項1に記載の木造家屋の間仕切壁構造。
【請求項3】
前記木造家屋の周壁の内側を構成する内周壁材の下端部も分離可能に形成したことを特徴とする請求項2に記載の木造家屋の間仕切壁構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−154134(P2012−154134A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16078(P2011−16078)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(509266284)日本ハウジング株式会社 (3)
【Fターム(参考)】