説明

木酢液より抽出したグアヤコール系成分及びシリンゴール系成分を含有する薬学的組成物

本発明は、有効成分として木酢液より抽出したグアヤコール系成分及びシリンゴール系成分を含有する薬学的組成物に関する。本発明は、急性毒性、遺伝毒性、亜急性毒性などがないため安全なだけでなく、酸化毒性の治療、血糖調節、血行改善、二日酔い解消及びアトピー皮膚炎の治療効果を有する薬学的組成物を提供する。本発明の薬学的組成物は、薬剤または健康機能食品の原料として有用に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔技術分野〕
本発明は、木酢液より抽出された成分を有効成分として含有する薬学的組成物に関する。
【0002】
〔背景技術〕
炭窯(炭を焼く窯)などの空気が少ない所に木材を積んでおいて熱を加えて炭窯の内部温度が350〜450℃になれば白色の煙が出てき、木材は炭になる。この過程において、炭窯の煙突を通じて排出される煙を集煙口で集めて冷却煙突に通過させれば結露現象により茶色の微粒子水玉が生成され、これが粗木酢液である。この粗木酢液を6ヶ月ないし1年間自然状態に静置させれば3層に分離される。最上層は軽油質層であり、中間層部分が木酢液であり、下層はタール層である。この中間層のみを分離すれば、pH 3の有効な通常の基礎木酢液を得ることができる。このような基礎木酢液は、蟻酸、酢酸、乳酸などの有機酸; フェノール、クレゾール、2,4‐及び3,5‐キシレノールなどのフェノール類成分;ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒドなどのカルボニル化合物類成分;及びメタノール、エタノールなどのアルコール類成分など約280余種の有機酸とミネラル、ゲルマニウムなどの13種の稀有元素が含有されていると知られている。
【0003】
過去の木酢液の利用目的は、木酢液の主成分である酢酸の製造であった。その後、純度の高い合成された酢酸が安い価格で売れるようになってから、木酢液の利用は殆どなくなるようになった。第2次世界大戦の前後、木酢液の利用は再開されたが、現在までその利用法は、木酢液に含有されている成分の利用ではなく、木酢液の特有な匂い、色をそのまま用いる方法であり、例えば、木酢液の煙の匂い(smoke flavours)をそのまま用いてハム、ベーコン、ソーセージなどの製造時に燻煙の代わりに用いるか、よく焼かれた魚や肉などの色を演出する食品添加物としてその利用方法が非常に単純であった。
【0004】
日本でも木酢液を用いて水虫やアトピー性皮膚炎、糖尿病、肝炎などの症状を改善しようとする試みがあったが、木酢液に含有されている有害成分(タール、メタノール、ベンゾピレン、メチルコランスレンなど)の存在により人体に対する安全性が確保できず、その研究は非常に制限的であった。
【0005】
木酢液は炭窯の煙より採取した山林資源である。木酢液は、樹木に含有されているセルロース、リグニンなどの成分を熱で分解して作られるものであって、木酢液には多様な作用をする有機成分が200余種以上も含有されている。しかし、木酢液には有効成分だけでなく有害成分が多量含有されているため、人体に対する安全性が疑われ健康に有益な成分として認められなかった。また、木酢液に含有されている有効成分が明確に究明及び分類されていないため、木酢液が有している機能性を予測・確認することができなかった。
【0006】
一方、様々な原因により体内で発生する有害酸素(free radical)は正常的な酸素に比べて体内に滞在する時間は非常に短いが、DNA損傷と体内酵素を不活性化させて代謝異常を誘発し、細胞とホルモンなどに大変大きい影響を及ぼすことによって動脈硬化のような心血管系疾患、白内障や関節炎のように神経組職の生化学的老化を誘発する筋骨格系疾患、または各種の悪性腫瘍などをもたらすだけでなく老化をも促進する。すなわち、これらの有害酸素は、癌を初め、脳卒中、パーキンソン病などの脳疾患、心臓疾患、虚血、動脈硬化、皮膚疾患、消化器疾患、炎症、リュウマチ、自家免疫疾患などの各種の疾病及び老化を引き起こすものとして知られている。また、これらの有害酸素が体内の脂質成分を過酸化させ生成される脂質過酸化物は、体内のほかの過酸化物とともに正常細胞を破壊することによって各種の機能障害を引き起こして疾病の原因となったりもする(B.Halliwell,Drugs 42:569,1991;K.Fukuzawa and Y.Takaishi,J.Act.Oxyg. Free Rad.1:55,1990;及びJ.Neuzil and J.M.Gebicki,J.Med.320: 915,1989参照)。
【0007】
したがって、人体中には体内で生成された有害酸素を除去するため、SOD(superoxide dismutase)、GPO(glutathione peroxidase)、カタラーゼ(catalase)などのような抗酸化酵素と、ビタミンCとEのような抗酸化物質が体内に存在して有害酸素の攻撃を防御している。しかし、人体は年をとるにつれて、SOD,GPO、カタラーゼなどのような抗酸化酵素の活性が低下され、ビタミンCとEのような抗酸化物質の含有量が低くなり、体内の有害酸素の攻撃を防御することができなくて、死亡する細胞の速度が新たに生成される細胞の速度に追いつかず、臓器と組職の老化が進む。また、最近、各種の公害などの環境要因により生体内の有害酸素の生成と除去の均衡が大きく崩れてきており、抗酸化成分を外部から体内へと普及することが非常に重要である。
【0008】
今まで開発された合成抗酸化物質としては、BHA(butylated hydroxy anisole)、BHT(butylated hydroxy toluene)、NDGA(nordihydro‐guaiaretic acid)などがあり、天然抗酸化物質としては、SOD、ペルオキシダーゼ(peroxidase)、カタラーゼ、GPOなどの抗酸化酵素と、トコフェロール(ビタミンE)、アスコルビン酸(ビタミンC)、カロチノイド(Carotenoid)、グルタチオン(glutathione)などの非酵素的抗酸化物質などがある。しかし、合成抗酸化物質は、肝肥大、肝のミクロソーム酵素(microsom enzyme)の活性増加を引き起こし、体内に吸収された抗酸化物質の一部が毒性あるいはアレルギーを誘発させ得、温度に弱いため一度熱を加えれば簡単に破壊される短所がある(Shahi,F. and Wanasundara,P.,Phenolic antioxidants Critical Review in Food Science and Nutrition(1992))。反面、天然抗酸化剤は、合成抗酸化剤に比べて人体に安全であるという長所があるが、その効果は弱い短所がある。したがって、抗酸化能力がより卓越であり人体に安全な新しい天然抗酸化物質の開発が切実に要求されている。
【0009】
糖尿病は高い発病率と深刻な急・慢性合病症により注目されており、臨床的にはインシュリン依存型(第1型)とインシュリン非依存型(第2型)糖尿病とに便宜上大別されている。インシュリン依存性糖尿病は、リンパ球が膵臓小島内に浸潤されることによってインシュリン分泌細胞であるβ‐細胞が破壊されて誘発される一種の自家免疫疾患であり、年齢に関係なく発病する。インシュリン非依存性糖尿病は、β‐細胞でインシュリンは分泌されるが末梢標的臓器においてのインシュリンに対する抵抗性の増加により血中のインシュリンが働かないことを意味し、ヒトにおいては主に40才以後に発生し、概して肥満症を伴う。
【0010】
インシュリン非依存性糖尿病においては、食餌療法と運動療法を並行し、このような方法で治療されない場合には、経口用血糖降下剤を用いたりする。このような経口用血糖降下剤としては、一般に肥満である患者に適用するメトホルミン(metformin)またはビグアニド(biguanide)系統の薬物と、肥満ではない患者に適用するスルホニル尿素(sulfonylurea)系統の薬物が主に用いられているが、これらの薬物はそれぞれ酷い乳酸アシドーシスと低血糖の副作用を伴う。このような副作用を除去するために最近開発された血糖降下剤として、アカルボース(acarbose)のようなα‐グルコシダーゼ(glucosidase)抑制剤が用いられている。この薬物は、小腸でα-グルコシダーゼの機能を抑制し葡萄糖の吸収を遅延させて糖尿病患者に問題とされる食後高血糖と高インシュリン血症を改善するとともに、低血糖を誘発しない長所を有していると報告されている。しかし、インシュリン非依存型糖尿病の主な問題であるインシュリン抵抗性を改善させる薬品は現在まで開発されていない実情である。
【0011】
血栓とは、血管内で血が凝固した固い塊であり、血行を阻んで心血管系に有害な影響を及ぼすと知られている。血液凝固は、正常な血止めと保護作用を維持することによって人体の正常的な機能を維持する。しかし、血漿内の血液凝固因子(coagulation factors)の過度な活性化、血小板の凝集促進、赤血球の変形能異常などは血流の恒常性を破壊して血液循環障害疾患である動脈硬化、脳卒中などのような心血管系疾患を誘発する。正常血管では血止めの機転の活性化反応とともに抑制反応が均衡を取ることによって恒常性を維持している。しかし、過度な血止め作用及び血塊の生成は血液の流れを妨害して血行異常をもたらし血栓のような病変を誘発する。
【0012】
現代人は社会活動の一環として多くの飲酒をしている。酒の主成分はアルコールであるが、摂取されたアルコールは主に肝で酸化反応を通じてアセトアルデヒド(acetaldehyde)に転換され、一部(約10%)は、呼吸、小便及び汗で排出される。アルコールの代謝過程で発生されるアセトアルデヒドの解毒作用により一般に飲酒後には、頭が重く、全身倦怠、疲労感、腹部膨満、嘔吐などの症状を惹起する二日酔い現象を起こすと知られている。また、二日酔い症状がひどい人が二日酔い症状の少ない人に比べてアセトアルデヒドの濃度は高いが、血液中エタノールの濃度の差は殆どなかったという報告があり、アルコールによる二日酔いの原因物質がアセトアルデヒドであるということに焦点が集められている。
【0013】
アトピー性皮膚炎がアレルギー疾患の一種であるということはよく知られている。アトピー性皮膚炎は、じんましん、アレルギー性鼻炎、気管支ぜん息などとともにアレルギー疾患の代表的な疾患の一つである。アトピー性皮膚炎の病理学的検査上それぞれの所見は病変の段階によって異なるが、概して慢性になれば表皮が厚くなり様々な免疫反応に関与する細胞の浸潤が観察される。特に免疫反応の第一線を担当するランゲルハンス細胞が増加されており、非正常的に増加された抗原提示能力を有する。肥満細胞は、その数が増加されており、脱顆粒状態を現わす。アトピー性皮膚炎患者の80〜90%において血清IgEが増加されており、アレルギー性鼻炎やぜん息が伴われている場合に特に血清IgEが高い。
【0014】
アトピー性皮膚炎の症状を抑制する治療薬としてステロイド剤があるが、これは副腎より分泌されるホルモンであって、炎症やアレルギー反応を抑制する作用があり、リュウマチに効果があり、臓器移植の拒絶反応を抑制する免疫抑制剤としてもよく用いられている。しかし、副作用が強く、依存性が高いという問題点がある。
【0015】
〔発明の詳細な説明〕
本発明が解決しようとする技術的課題は、人体に対する安全性が確保された、木酢液より抽出したグアヤコール系成分及びシリンゴール系成分を含有する組成物を提供することである。本発明が解決しようとするほかの技術的課題は、安全な木酢液の様々な用途を提供することである。
【0016】
本発明の一実施例において、本発明は、木酢液より抽出した下記化学式(1)で表されるグアヤコール系成分及び下記化学式(2)で表されるシリンゴール系成分を含有する組成物を提供する。
【0017】
【化1】

【0018】
【化2】

【0019】
上記化学式(1)及び(2)において、Rは、水素、アルキル、オキソアルキルまたはアルケニルである。
【0020】
本発明の望ましい一実施例において、本発明は、木酢液より抽出した上記化学式(1)のグアヤコール系成分及び上記化学式(2)のシリンゴール系成分を含有する酸化毒性の治療のための薬学的組成物を提供する。
【0021】
本発明の他の望ましい一実施例において、本発明は、木酢液より抽出した上記化学式(1)のグアヤコール系成分及び上記化学式(2)のシリンゴール系成分を含有する血糖調節のための薬学的組成物を提供する。
【0022】
本発明のさらに他の望ましい一実施例において、本発明は、木酢液より抽出した上記化学式(1)のグアヤコール系成分及び上記化学式(2)のシリンゴール系成分を含有する血行改善治療のための薬学的組成物を提供する。
【0023】
本発明のさらに他の望ましい一実施例において、本発明は、木酢液より抽出した上記化学式(1)のグアヤコール系成分及び上記化学式(2)のシリンゴール系成分を含有する二日酔い解消のための薬学的組成物を提供する。
【0024】
本発明のさらに他の望ましい一実施例において、本発明は、木酢液より抽出した上記化学式(1)のグアヤコール系成分及び上記化学式(2)のシリンゴール系成分と緑茶葉抽出物を含有した血行改善治療のための薬学的組成物を提供する。
【0025】
本発明のさらに他の望ましい一実施例において、本発明は、木酢液より抽出した上記化学式(1)のグアヤコール系成分及び上記化学式(2)のシリンゴール系成分と緑茶葉抽出物を含有した二日酔い解消のための薬学的組成物を提供する。
【0026】
本発明のさらに他の望ましい一実施例において、本発明は、木酢液より抽出した上記化学式(1)のグアヤコール系成分及び上記化学式(2)のシリンゴール系成分を含有するアトピー皮膚炎治療のための薬学的組成物を提供する。
【0027】
本発明のさらに他の望ましい一実施例において、本発明は、木酢液より抽出した上記化学式(1)のグアヤコール系成分及び上記化学式(2)のシリンゴール系成分と抗アレルギー効果を有する植物抽出物を含有したアトピー皮膚炎治療のための薬学的組成物を提供する。
【0028】
前述したように、木酢液には多様な作用をすると予想される有機成分が200余種以上含有されているが、同時に、タール、メタノール、ベンゾピレンなどのような有害な成分も多く含有されている。また、木酢液に含有されている有効成分が分類及び究明されていないため、木酢液が有している薬理的効果はいまだ明らかになっていない。したがって、本発明者は、多くの方法を用いて木酢液より有害な成分を除去する方法を開発し(韓国特許登録番号第0290986号と第0212472号参照)、このような方法により精製された木酢液の有効成分を分類して究明した。また、分類、究明された木酢液の有効成分の薬学的、生理学的効果を明らかにするために多くの研究を重ねた結果、木酢液より抽出したグアヤコール系成分及びシリンゴール系成分を含有する本発明の組成物が、抗酸化機能、血糖調節機能、血行改善機能、二日酔い解消機能及びアトピー皮膚炎の治療機能を有しており、このような用途として用いることができるということを見出した。
【0029】
また、本発明者は既存の木酢液がいろんな副作用によって用いることができなかったという問題点に勘案し、本発明の組成物に対する様々な安全性実験を施し、これらを通じて木酢液より抽出したグアヤコール系成分及びシリンゴール系成分を含有する本発明の組成物が人体に安全であるということを確認した。
【0030】
〔発明の実施のための最良の形態〕
本発明は、木酢液より抽出した下記化学式(1)で表されるグアヤコール系成分及び下記化学式(2)で表されるシリンゴール系成分を含有する機能用組成物を提供する。
【0031】
【化3】

【0032】
【化4】

【0033】
上記の化学式(1)及び(2)において、Rは、水素、アルキル、オキソアルキルまたはアルケニルである。
【0034】
グアヤコール系成分の例としては、グアヤコール、4‐メチルグアヤコール、4‐エチルグアヤコール、4‐プロピルグアヤコール、バニリン(vanillin)、4‐(2‐プロピオ)‐バニロン(4‐(2‐propio)‐vanillone)、4‐(1‐プロピオ)‐バニロン、オイゲノール(eugenol)、E‐イソオイゲノール、Z‐イソオイゲノール、アセトバニロンなどがある。この化学式をまとめて図1に示した。
【0035】
シリンゴール系成分の例としては、シリンゴール、4‐メチルシリンゴール、4‐エチルシリンゴール、4‐プロピルシリンゴール、シリンゴールアルデヒド(syringaldehyde)、4‐(2‐プロピオ)‐シリンゴーン(4‐(2‐propio)‐syringone)、4‐(1‐プロピオ)‐シリンゴーン、4‐(2‐プロペニル)‐シリンゴール(4‐(2‐propenyl)‐syringol)、 E‐4‐(1‐プロペニル)‐シリンゴール、Z‐4‐(1‐プロペニル)‐シリンゴール、アセトシリンゴーン(acetosyringone)などがある。この化学式をまとめて図2に示した。
【0036】
望ましくは、木酢液より抽出したグアヤコール系成分及びシリンゴール成分を含有する本発明の薬学的組成物は、組成物の総重量を基準としてグアヤコール系成分10−6ないし90重量%及びシリンゴール系成分10−6ないし90重量%を含む。
【0037】
通常用いられる大部分の薬学的有効成分は、熱に不安定であるため製造過程上熱を加えることができないという問題点を内包している一方、本発明のグアヤコール系化合物とシリンゴール系化合物は木酢液より抽出した化合物であり、抽出のために用いられた木酢液は樹木の熱分解を通じて得られた物質であるため熱に非常に安定しているという長所がある。
【0038】
精製された木酢液の中で有効成分を分類、究明することは薬学分野において通常用いられる方法により行われることができる。例えば、カラムを用いた分類法、有機溶媒などを用いた抽出法などを用いることができる。より具体的に、精製された木酢液の中で有効成分を分類することは、エーテルなどの有機溶媒を用いて分類されることができる。本発明の望ましい一実施例において、精製された木酢液の有効成分はエーテルなどの有機溶媒を用いた抽出液を酸及びアルカリ処理して得ることができる。精製された木酢液中の有効成分の究明はGC‐MSDを用いて行われることができる。
【0039】
精製された木酢液中の酸性分画、フェノール性分画、中性分画及び塩基性分画の中でフェノール性分画がいろいろ望ましい効能を有する。フェノール性分画の有用な有効成分としては、グアヤコール(guaiacol)系成分とシリンゴール(syringol)系成分があり、これらがフェノール性分画の有効成分としていろいろ望ましい効果を有すると考えられる。グアヤコール及びシリンゴール系成分は精製された木酢液の特有の匂いを誘発する成分であって揮発性の強いポリフェノール性化合物である。
【0040】
本発明の望ましい一実施例において、本発明は、木酢液より抽出した上記化学式(1)のグアヤコール系成分及び上記化学式(2)のシリンゴール系成分を含有する、酸化毒性を治療するための薬学的組成物を提供する。
【0041】
木酢液より抽出したグアヤコール系成分及びシリンゴール系成分を含有する本発明の薬学的組成物の抗酸化効果は通常用いられる様々な方法を用いて評価することができる。例えば、DPPH(1,1‐ジフェニル‐2‐ピクリルヒドラジン)を用いる方法が用いられ得る。DPPHは、有害酸素(free radical)であってin vitro上で天然物質の抗酸化効果を検索する方法として広く用いられている。本発明の酸化毒性の治療のための薬学的組成物の濃度が高いほど有害酸素の除去効率が高くなる。このような方法において、本発明の薬学的組成物を10重量%含有した液剤はDPPHを約93%除去することができ、5重量%含んだ液剤は約89%、1重量%含んだ液剤は約60%を除去することができる。これは、木酢液より抽出したグアヤコール系成分及びシリンゴール系成分を含有する本発明の薬学的組成物が非常に優秀な抗酸化能力を有していることを意味する。
【0042】
さらに他の方法としての抗酸化効果の評価は、マウスを用いた抗酸化酵素の測定方法により評価することができる。例えば、マウスに2週間にわたって本発明の薬学的組成物を投与した後2日にわたって12時間の間隔でブロモベンゼン(bromobenzene,BB)をマウスの腹腔に注射する。BB腹腔注射の24時間後にマウスを犠牲させて抗酸化酵素の活性を測定する。このような方法において、本発明の薬学的組成物1重量%を含有した液剤は、Glutathion‐s‐transferaseとEpoxide hydroxylaseの抗酸化酵素の活性をそれぞれ約8.4%と125%増加させることができ、有害物質であるMDA(Malondialdehyde)、AD(formaldehyde)、AH(p‐aminophnol)をそれぞれ約37%、19%、及び34%減少させることができる。
【0043】
本発明の酸化毒性を治療するための薬学的組成物は、抗酸化効果に優れたグアヤコール系成分及びシリンゴール系成分を有効成分として含有して、脳卒中、パーキンソン病などの脳疾患、心臓疾患、虚血、動脈硬化、皮膚疾患、消化器疾患、炎症、リュウマチ、自家免疫疾患などの各種の疾病及び老化を予防及び治療するのに有用に用いることができる。
【0044】
本発明の他の望ましい一実施例において、本発明は、木酢液より抽出した上記化学式(1)のグアヤコール系成分及び上記化学式(2)のシリンゴール系成分を含有する血糖調節のための薬学的組成物を提供する。
【0045】
木酢液より抽出したグアヤコール系成分及びシリンゴール系成分を含有する本発明の薬学的組成物の血糖調節効果は通常用いられる様々な方法を用いて評価することができる。例えば、糖尿動物モデルであるdb/dbマウスが用いることができる。より具体的に、本発明の組成物を6週間経口投与したとき、第2型糖尿動物モデルであるdb/dbマウスにおいて血中グルコース濃度の改善程度を通じて本発明の薬学的組成物の血糖調節効果を評価することができる。さらに詳しくは、血液中で、中性脂肪、総コレステロール、糖化ヘモグロビンを分析して木酢液より抽出したグアヤコール系成分及びシリンゴール系成分を含有する本発明の組成物の血糖調節効果を評価することができる。本発明の組成物は対照群に比べて前述した全ての評価部分において優れた血糖調節機能を有する。
【0046】
本発明のさらに他の望ましい一実施例において、本発明は、木酢液より抽出した上記化学式(1)のグアヤコール系成分及び上記化学式(2)のシリンゴール系成分を含有する血行改善治療のための薬学的組成物を提供する。さらに望ましくは、本発明の血行改善治療のための薬学的組成物は緑茶葉抽出物をさらに含む。
【0047】
緑茶葉抽出物には、エピカテキン(epicatechin,EC)、エピカテキンガラート(epicatechin gallate,ECG)、エピガロカテキン(epigallocatechin,EGC)、エピガロカテキンガラート(epigallocatechin gallate,EGCG)などのようなポリフェノール化合物が含有されており、このようなポリフェノール化合物が各種の疾病に関与する活性酸素の作用抑制、発癌物質の変異原性抑制、コレステロールの再吸収抑制、抗菌・抗ウイルスの作用など多くの効果があると知られている。
【0048】
本発明はこのような治療効果を有する緑茶葉抽出物を木酢液より抽出したグアヤコール系成分及びシリンゴール系成分と混合して用いる場合、血行改善効果がシナジー的に上昇するという驚くべき事実を提供する。
【0049】
望ましくは、木酢液より抽出したグアヤコール系成分、シリンゴール系成分及び緑茶葉抽出物を含有した本発明の組成物は、組成物の総重量を基準としてグアヤコール系成分とシリンゴール系成分を合わせて10−6ないし95重量%含有し、緑茶葉抽出物0.01ないし30重量%含有する。より望ましくは、本発明の組成物は、グアヤコール系成分10−6ないし90重量%、シリンゴール系成分10−6ないし90重量%及び緑茶葉抽出物0.01ないし30重量%を含有する。本発明の組成物は上記のような含量を有する場合において最も望ましい血行改善効果を有する。
【0050】
本発明の薬学的組成物の血行改善効果は本発明の属した分野において通常用いられる実験方法を用いて評価することができる。例えば、トロンビン、コラーゲン(collagen)などにより誘導される血小板凝集に及ぼす影響で評価するか、セロトニン(serotonin)分泌に対する影響で評価することができる。内因性血液凝固の経路においてコラーゲンなどの異物が血液内の血液凝固因子と結合して血小板を破壊すれば、血小板内に含有されたトロンボキナーゼが放出され、トロンボキナーゼとカルシウムイオンは協同作用により血漿内プロトロンビンをトロンビンに転換させる。このトロンビンは、フィブリノゲンをフィブリンに転換させ、このフィブリンが血液内の血球と結合して血餅を生成する。すなわち、トロンビンとコラーゲンを血液に添加しこれによる血小板の凝集程度を評価すれば、本発明の組成物が血行改善に及ぼす影響が分かる。また、セロトニンは血小板の小嚢に保存されており、血小板がトロンビンの刺激により活性化されれば小嚢と細胞膜との融合によって血小板の外に分泌され血小板の活性化及び血管収縮を誘発する。したがって、セロトニンの分泌程度を評価して本発明の組成物の血行改善効果を評価することができる。このような二つの方法により木酢液より抽出したグアヤコール系成分及びシリンゴール系成分を含有した本発明の薬学的組成物とグアヤコール系成分、シリンゴール系成分及び緑茶葉抽出物を含有した本発明の薬学的組成物が優れた血行改善効果を有していることを確認することができる。
【0051】
本発明のさらに他の望ましい一実施例において、本発明は、木酢液より抽出した上記化学式(1)のグアヤコール系成分及び上記化学式(2)のシリンゴール系成分を含有する二日酔い解消のための薬学的組成物を提供する。さらに望ましくは、本発明の二日酔い解消機能用組成物は緑茶葉抽出物をさらに含む。本発明は、このような治療効果を有する緑茶葉抽出物を木酢液より抽出したグアヤコール系成分及びシリンゴール系成分と混合して用いる場合、二日酔い解消の効果がシナジー的に上昇するという驚くべき事実を提供する。
【0052】
望ましくは、木酢液より抽出したグアヤコール系成分、シリンゴール系成分及び緑茶葉抽出物を含有した本発明の組成物は、組成物の総重量を基準としてグアヤコール系成分とシリンゴール系成分を合わせて10−6ないし95重量%含有し、緑茶葉抽出物0.01ないし30重量%含有する。より望ましくは、本発明の組成物は、グアヤコール系成分10−6ないし90重量%、シリンゴール系成分10−6ないし90重量%及び緑茶葉抽出物0.01ないし30重量%を含有する。本発明の組成物は、上記のような含量を有する場合において最も望ましい二日酔い解消の効果を有する。
【0053】
本発明の組成物の二日酔い除去の効果は本発明の属した分野において通常用いられる方法を用いて評価することができる。例えば、二日酔いの原因物質として考えられるアセトアルデヒドの濃度を測定して評価することができる。このような方法により木酢液より抽出したグアヤコール系成分及びシリンゴール系成分を含有した本発明の組成物と、グアヤコール系成分、シリンゴール系成分及び緑茶葉抽出物を含有した本発明の組成物が優れた二日酔い除去効果を有していることを確認することができる。
【0054】
本発明のさらに他の望ましい一実施例において、本発明は、木酢液より抽出した上記化学式(1)のグアヤコール系成分及び上記化学式(2)のシリンゴール系成分を含有するアトピー皮膚炎治療のための組成物を提供する。さらに望ましくは、本発明のアトピー皮膚炎治療のための薬学的組成物は、抗アレルギー効果のある植物抽出物をさらに含有する。
【0055】
望ましくは、木酢液より抽出したグアヤコール系成分とシリンゴール系成分を含有する本発明の組成物は、組成物の総重量を基準としてグアヤコール系成分及びシリンゴール系成分を10−6ないし90重量%含有し、抗アレルギー効果のある植物抽出物0.05ないし50重量%を含有する。より望ましくは、本発明の組成物は、グアヤコール系成分10−6ないし30重量%及びシリンゴール系成分10−6ないし40重量%及び抗アレルギー効果のある植物抽出物0.05ないし50重量%を含有する。本発明の組成物は、上記のような含量を有する場合において最も望ましいアトピー性皮膚炎の治療効果を有する。
【0056】
アトピー性皮膚炎を治療するために今まで通常用いられて来た植物抽出物の治療効果は十分ではなかった。本発明は、このような治療効果の足りない植物抽出物を木酢液より抽出したグアヤコール系成分及びシリンゴール系成分と混合して用いる場合、治療効果がシナジー的に上昇するという驚くべき事実を提供する。抗アレルギー効果のある植物抽出物としては、免疫反応を誘導する性質を有するヒスタミンの放出を抑制する当帰抽出物、かゆみ症を抑制する川きゅう抽出物などがあるが、これに限定されるのではない。抗アレルギー効果のある植物抽出物としては、例えば、白芍薬抽出物、甘草抽出物、ブクリョウ抽出物、黄ごん抽出物、五味子抽出物、生姜抽出物、白芍薬抽出物、熟地黄抽出物、丹蔘抽出物、白朮抽出物、枸杞子抽出物、霊芝抽出物、白何首烏抽出物、高麗人参抽出物などが用いることができる。
【0057】
本発明の薬学的組成物のアトピー性皮膚炎の治療効果は、本発明が属した分野において通常用いられる動物モデルを用いて評価することができる。例えば、NC/Ngaマウスが用いることができる。より具体的に、本発明の組成物を4週間経口投与する場合、アトピー動物モデルであるNC/Ngaマウスにおいて皮膚病変の減少程度で本発明の組成物の効果を評価することができる。本発明の組成物は、皮膚の肉眼的所見と病理学的所見を基礎として判断するとき、アトピー性皮膚炎の治療のために広く用いられている既存の医薬品より優れた改善効果を有する。
【0058】
一方、今まで木酢液はその安全性が問題視されて来たため用いることができなかった。したがって、木酢液より抽出したグアヤコール系成分及びシリンゴール系成分を含有する本発明の組成物の安全性は非常に重要な評価要素となる。このような安全性は薬学分野において通常用いられる安全性評価方法が用いることができる。例えば、本発明の組成物の人体安全性の評価は、急性毒性試験、遺伝毒性試験、亜急性毒性試験などの毒性評価方法を用いることができる。
【0059】
急性毒性試験において、本発明の薬学的組成物の予想1日摂取用量(100mg/体重kg)の50倍である5000mg/kgを基準として、この用量の一定の公比(0.5)で総5個の用量群と1個の対照群を雄と雌それぞれ6個の試験群(各群当たり5匹)に分けてテストした。斃死率、臨床症状、体重変化、解剖病理所見などを評価した。組成物投与の当日には投与後6時間、時間毎に観察し、投与翌日から14日までは1日1回ずつ動物の一般状態変化、中毒症状及び死亡可否を観察して評価した。このような急性毒性試験を通じて本発明の組成物は非常に安全であると評価される。急性毒性試験の結果をまとめれば、木酢液より抽出したグアヤコール系成分及びシリンゴール系成分を含有する本発明の薬学的組成物はマウスに経口投与したとき、何らの急性毒性を示さなくLD50値は5,000mg/体重kg 以上であると考えられ、この用量は本発明の組成物の予想1日摂取用量の50倍に達する用量であり、経口投与時に安全であると確認できる。
【0060】
遺伝毒性試験は、Salmonella typhimuriumを用いた復帰突然変異試験、哺乳類の培養細胞を用いた染色体異常試験、げっ歯類の骨髓細胞を用いた小核試験などを用いて評価した。本発明の組成物は、S.typhimurium TA1535、TA1537、TA98、TA100を用いた復帰突然変異試験において、試験適用濃度62〜5000ug/plateの範囲で復帰突然変異を誘発せず、哺乳類の培養細胞を用いた染色体異常試験において、試験適用濃度1.25〜5mg/mlの範囲で染色体異常を誘発しない。 また、げっ歯類を用いた小核試験において、試験適用用量1250〜5000mg/kgの範囲で小核を誘発しない。このような結果は本発明の組成物が遺伝毒性を現わさない非常に安全な物質であることを意味する。
【0061】
亜急性毒性評価は、本発明の薬学的組成物を0.5,1.0,2.5,5.0g/kg/日の用量でICR系雄と雌マウスに週6回、総28日間経口投与した後、投与期間の死亡動物、一般症状及び体重変化を観察して評価した。最終投与後、肉眼的剖検所見、臓器重さの測定、血液学的・血液生化学的検査、組職病理学的検査などを施した。本発明の組成物は、上記の全ての評価項目において全て安全であると判断され、本発明の組成物の無毒性量は5.0g/kg/日以上であると確認される。
【0062】
木酢液より抽出されたグアヤコール系成分及びシリンゴール系成分を含有する本発明の組成物は、通常用いられる、賦形剤、崩壊剤、結合剤、活沢剤、甘味剤、着色剤、着香剤などをさらに含むことができ、通常的な方法により、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、液剤または非経口投与用製剤のような単位投与型または数回投与用薬剤学的製剤として剤型化することができる。
【0063】
木酢液より抽出されたグアヤコール系成分及びシリンゴール系成分を含有する本発明の組成物は目的とする方法によって経口投与することができ、一日有効成分として本発明の組成物を体重1kg当たり0.001ないし0.5g、望ましくは0.01ないし0.2gの量を1ないし数回に分けて投与することができる。特定個体に対する投与用量の水準は、個体の体重、年齢、性別、健康状態、食餌、投与時間、投与方法、排泄率、疾患の程度によって変化することができる。
【0064】
以下、本発明を実施例を挙げてより具体的に説明する。しかし、これらの実施例は単に本発明を例示的に説明するためのものであって、本発明がこれらの実施例にのみ限定されるのではない。
【0065】
〔実施例1:精製木酢液の機能成分の分類及び究明〕
精製木酢液の機能成分の究明には、HP‐INNOWAX カラム(クロスリンクされたポリエチレングリコール、30mm×0.25mm(I.D.)×0.25um(F.T.))とHP‐5MS(クロスリンクされた5% フェニルメチルシリコーン、30mm×0.25mm(I.D.)×0.25um(F.T.))カラムを用い、使用器機としては、HP 5890 Series II Plus GCと5972 MSDを用いた。GC分析に際しては、オーブン温度は50℃で2分間維持させた後、220℃まで分当たり3℃ずつ昇温させ、以後220℃で5分間維持した。注入口の温度は200℃、検出器の温度は250℃、ヘリウムの流速は0.72ml/minとし、split ratioは10とした。
【0066】
GC‐MSD分析に際しては、オーブン温度は40℃で5分間維持させた後220℃まで分当たり3℃ずつ昇温させ、以後220℃で5分間維持した。ヘリウムの流速は1ml/minとし、split ratioは50とした。加速電圧は、70eVとし、大部分の化合物の推定及び同定には市販品との比較実験をするかmass library dataを用いた。
【0067】
精製木酢液を有機溶媒により抽出した後抽出物の成分組成を調査した。木酢液20mlを100ml用量の分液漏斗に入れエーテルで抽出した。以後、エーテル層に5% NaHCOを添加して水層からカルボニル部を分離した。分離した水層を30% HSOで中和した後エーテルで抽出してカルボニル部を得た。カルボニル部を抽出した後残りのエーテル層に2N NaOHを入れてフェノール部を水層から分離した。分離した水層はカルボニル部の抽出時と同一の方法で中和した後エーテルで抽出してフェノール部を得た。このようにカルボニル部とフェノール部を抽出し残りのエーテル層から中性部と塩基性部を得た。全てのエーテル層は減圧濃縮して重量を測定した後、これから各々の分画に対する含量を計算した。このように各々の抽出物は酸及びアルカリ処理によって、酸性分画、フェノール性分画、中性分画及び塩基性分画に区分した後、GC及びGC‐MSを用いて各分画の構成成分を分析した。その結果を下記の表1に示した。
【0068】
【表1】

【0069】
分画別では、フェノール性分画の割合(47%)が最も高く、塩基性分画の割合(2.9%)が最も低かった。フェノール性分画では、グアヤコール系成分及びシリンゴール系成分の割合が89.16%でありフェノール性分画の主な構成成分であった。グアヤコール系成分とシリンゴール系成分は木材の構成成分であるリグニン(lignin)のグアヤシルユニット(guaiacyl unit)とシリンギルユニット(syringyl unit)が熱分解され生成される化合物である。これらの化合物はまた体内で強力な抗酸化作用を行うものとして知られているフェノール酸化合物の一種である。このような結果に基づいてグアヤコール系成分とシリンゴール系成分が精製木酢液の機能性成分であると考えられる。
【0070】
各々の分画を用いて後述するDPPH消去能力を評価した結果、ほかの分画に比べてフェノール性分画の効果が遥かに優れていることを確認した。その結果をまとめて表2に示した。
【0071】
【表2】

【0072】
〔実施例2:抗酸化効果の評価〕
木酢液より抽出したグアヤコール系成分及びシリンゴール系成分を含有する本発明の薬学的組成物(実施例1のフェノール性分画)を天然抗酸化剤として用いる目的で、本発明の薬学的組成物のDPPH(1,1‐ジフェニル‐2‐ピクリルヒドラジン)の消去能力と抗酸化酵素活性度を測定した。
【0073】
<DPPH free radicalの消去能力>
試験管に0.1,0.05,0.005,0.001,0.0005及び0.0001mg/mlのメタノールで薄めた試料4mlと0.1mm DPPH メタノール溶液1mlを入れてよく混ぜた後、30分間暗所に放置した後波長520nmで吸光度を読んでBHT標準溶液と比較した。試料の還元力の大きさは、ラジカル消去活性(scavenging activity,SC50)で表すことができ、SC50はDPPHの濃度が50%減少するのに必要な試料の濃度で表す。その結果を表3に示した。
【0074】
【表3】

【0075】
表3の結果から分かるように、木酢液より抽出したグアヤコール系成分及びシリンゴール系成分を含有する本発明の組成物は抗酸化効果が卓越であることが分かる。本発明の組成物10%溶液が有する抗酸化能力は人工抗酸化剤であるBHT 500ug/mlが有する抗酸化能力と類似であった。
【0076】
<抗酸化酵素活性度測定とMDA,AD及びAHの含量測定>
マウス(SD系)を対象として2週間本発明の組成物の1重量%液剤を投与した後、2日にわたって12時間の間隔でブロモベンゼン(bromobenzene,BB)を腹腔注射した。BB腹腔注射の24時間後にマウスを犠牲させて抗酸化機転を研究した。その結果を表4に示した。本発明の組成物として実施例1のフェノール性分画を用いた。
【0077】
【表4】

【0078】
グルタチオン S‐トランスフェラーゼ(Glutathione S‐transferase)は、生成されたグルタチオンラジカル(glutathione radical)を解毒して組職を損傷から保護する役割を果たす抗酸化酵素であり、エポキシドヒドロキシラーゼ (epoxide hydroxylase)は、反応性の高いエポキシドを安定で反応性が殆どないジヒドロジオール(dihydrodiol)プロダクトに水和することを触媒する抗酸化酵素である。表4の結果から分かるように、本発明の組成物の1重量%液剤は、BBにより抗酸化活性が減少されたグルタチオン S‐トランスフェラーゼとエポキシドヒドロキシラーゼの活性をそれぞれ8.41%、125.1%増加させた。
【0079】
MDA(Malondialdehyde)は、脂質の過酸化物を総体的に示す物質であり、MDAの生成増加は有害酸素のような遊離基の増加を意味し、MDAの増加によって組職の損傷が増加するようになる。また、ホルムアルデヒド(AD)とP‐aminophnal(AH)は肝損傷誘発物質によって肝のミクロソーム(microsome)で生成される遊離基と類似の作用をする代謝産物であって肝損傷を誘発するようになる。これらの含量測定結果を表5に示した。
【0080】
【表5】

【0081】
表5の結果から分かるように、本発明の組成物の1重量%液剤は、BBにより増加したMDA、AD及びAHの含量をそれぞれ36.89%、18.52%、46.87%減少させた。これは本発明の組成物が優れた抗酸化効果を有していることを意味する。
【0082】
〔実施例3:血糖調節効果の評価〕
db/dbマウスを対象として試験試料の血糖及び血中総コレステロール、トリグリセリド、HbA1cに対する改善効果を調査した。C57BI/KsJ db/dbマウスは第2型糖尿の実験動物として広く知られており、本研究においても第2型糖尿に対する改善効果を見ようとした。
【0083】
生後7週目のC57BI/KsJ‐db/dbマウス種の雄30匹を群当たり10匹ずつ分離して実施例1のフェノール性分画と蒸溜水を6週間毎日午前10〜12時頃にゾンデ(feeding needle)を用いて経口投与した。試料採取は血液採取と脂肪採取で行われ、動物の飼育期間中、水と餌の摂取量の調査及び体重調査が行われた。血中グルコース濃度を2週、4週、6週のときにそれぞれ食前、食後30分、60分、90分、120分のグルコース濃度を測定した。試験動物の犠牲後、腹部と副睾丸組職の総脂肪重量を測定した。血中HbA1c濃度は、6週目の実験動物で測定し、心臓から血液を採取してソウル臨床病理センターに分析を依頼した。血中トリグリセリド濃度と血中総コレステロール濃度の測定は分析キットで分析を行った。全ての試料はSASパッケージを用いて統計処理し、平均±標準偏差で結果を提示した。対照群と各々の試験群間の血中グルコース、血中トリグリセリド、総コレステロール及びHbA1cの濃度はt‐testで分析した。その結果を表6、7、8、9、10及び11にそれぞれ示した。
【0084】
腹部と副睾丸から採取した脂肪の重量を表6に示した。
【0085】
【表6】

【0086】
表6から分かるように、6週間本発明の組成物を投与した全ての群の脂肪の重量は、対照群より有意義に少なかった(p<0.001)。特に、本発明の組成物25mgを投与した群は他の投与群より脂肪量が最も少なかった。
【0087】
2週間葡萄糖の経口投与のとき時間による血中葡萄糖の濃度変化を下記の表7に示した。
【0088】
【表7】

【0089】
表7から分かるように、本発明の組成物25mg、50mg及び100mgの投与2週後のグルコース濃度は、全ての実験群において対照群より低く示された。特に、本発明の組成物50mgと100mg投与群で最も低い濃度を示した。また、本発明の組成物50mgと100mg投与群で有意義な差が示された(p<0.001)。
【0090】
4週間の葡萄糖の経口投与時、時間による血中葡萄糖の濃度変化を下記の表8に示した。
【0091】
【表8】

【0092】
表8から分かるように、本発明の組成物25mg、50mg及び100mgの投与4週後のグルコース濃度は、全ての実験群において対照群より低く示された。また、全ての実験群の120分血糖は類似であった。
【0093】
6週間の葡萄糖の経口投与時、時間による血中葡萄糖の濃度変化を下記の表9に示した。
【0094】
【表9】

【0095】
表9から分かるように、本発明の組成物25mg、50mg及び100mgの投与4週後のグルコース濃度は、全ての実験群において対照群より低く示された。全ての投与群において食前、食後120分のグルコース濃度は類似であった。また、投与4週と6週のグルコース濃度は類似であった。
【0096】
血中HbA1cの濃度を表10に示した。
【0097】
【表10】

【0098】
血液のHbA1cの濃度は糖尿患者における重要な指標の一つである。本発明の組成物は対照群より統計的に有意義ではないが、対照群よりHbA1cの濃度が低かった。
【0099】
血漿の中性脂肪と総コレステロールの濃度を表11に示した。
【0100】
【表11】

【0101】
血漿の中性脂肪は、本発明の組成物の投与群が対照群より低く示され、本発明の組成物25mg投与群の場合に最も低く、有意義な差が認められた(p<0.001)。また、本発明の組成物50mgと100mg投与群においても有意義な差が認められた(p<0.05)。総コレステロールの場合に本発明の組成物50mgと100mg投与群においては対照群と類似に示されたが、本発明の組成物25mg投与群の場合に対照群より高く示された。全ての投与群において有意義な差が認められなかった。
【0102】
血糖調節機能の評価実験の結果をまとめると次のようである。全ての試験動物の飼料消費量は群間に差がなく、試験動物の体重変化量は対照群より低く示された。腹部と副睾丸の脂肪の総重量は、実験群が対照群より低く示され、2週、4週、6週後の投与によるグルコース濃度は、食前、食後30分、60分、90分、120分で実験群が対照群より低く示された。血中糖化ヘモグロビンは、実験群が対照群より低かった。血中中性脂肪は、実験群が対照群より低く示され、血中総コレステロールは実験群と対照群の差がなかった。結論的に本試験で用いた本発明の組成物は、血糖調節及び蓄積脂肪の減少効果があることを確認できる。
【0103】
〔実施例4:血行改善効果の評価〕
<トロンビンとコラーゲンにより誘導される血小板凝集程度の評価>
組成物総重量を基準として木酢液より抽出したグアヤコール系成分15.5重量%及びシリンゴール系成分25重量%を含有する本発明の組成物(試験群1)と、グアヤコール系成分15.5重量%、シリンゴール系成分25重量%及び緑茶葉抽出物0.5重量%を含有する本発明の組成物(試験群2)を用いて、トロンビンとコラーゲンにより誘導される血小板の凝集程度を評価した。血小板は損傷された血管部位で活性化と凝集を通じて過度な血栓生成を誘発することによって多くの血管系疾患において重要な役割を果たす(SiMinno and silver,1983)。
【0104】
試験群1と試験群2が血小板に及ぼす影響を調べるために血小板を製造した後、試験群1と試験群2を濃度依存的に血小板とともに培養させた。試験群1と試験群2は血小板と37℃で10分間反応させ、最大の凝集を引き起こすトロンビン(thrombin)またはコラーゲン(Collagen)の最小単位または量を加えたとき、水を用いた対照群は変化がなかったが試験群1と試験群2を血小板と反応させた実験群では濃度依存的にトロンビン及びコラーゲンによる凝集を阻害した。その結果をそれぞれ図3a、3b、4a及び4bに示した。血小板の凝集程度をlumi‐aggregometerを用いて濁度変化として測定した。血小板が全て凝集したときの光透過率は100%であり、血小板が凝集しなかったときの光透過率は0%である。
【0105】
このような結果に基づいてトロンビンの場合、IC50は試験群2の場合(N=3)0.386%であり、試験群1の場合(N=3)は 0.748%であった。コラーゲンの場合においてIC50は、試験群2の場合(N=3)0.207%であり、試験群1の場合(N=3)0.547%であった。このような結果から分かるように、本発明の組成物はトロンビンとコラーゲンを用いた血行改善機能の評価において濃度依存的に血小板凝集を阻害することを確認することができた。また、グアヤコール系成分、シリンゴール系成分及び緑茶葉抽出物を含有した試験群2が試験群1より良好な効果を示した。
【0106】
<セロトニン分泌評価>
グアヤコール系成分15.5重量%及びシリンゴール系成分25重量%を含有した本発明の組成物(試験群1)と、グアヤコール系成分15.5重量%、シリンゴール系成分25重量%、緑茶葉抽出物0.5重量%を含有した本発明の組成物(試験群2)、及び緑茶葉抽出物0.5重量%を含有した組成物(比較群1)がセロトニンの分泌に及ぼす影響を評価した。
【0107】
試験群1、試験群2及び比較群1を血小板と10分間培養した後、トロンビン(thrombin)0.1U/mlを加えた。その後3分間遊離されるセロトニンの量を定量した。対照群では蒸溜水を用いた。その結果をそれぞれ下記の表12、表13及び表14に示した。
【0108】
【表12】

【0109】
【表13】

【0110】
【表14】

【0111】
表12、表13及び表14の結果から分かるように、実験した結果、本発明の組成物である試験群1と試験群2はトロンビンによる血小板の刺激を遮断することによって濃度依存的にセロトニンの分泌を抑制した。これは本発明の組成物が血栓生成の抑制に有用であるということを意味する。また、試験群1の場合約1%の濃度でIC50を示したが、試験群2の場合約0.5%でIC50を示し、比較群1は約1.25%の濃度でIC50を示した。これはグアヤコール系成分、シリンゴール系成分及び緑茶葉抽出物を含有した本発明の組成物が血行改善効果においてさらに望ましいということと、グアヤコール系成分及びシリンゴール系成分を含有した本発明の組成物に緑茶葉抽出物をさらに含有させる場合シナジー(synergy)効果が起こるということを意味する。
【0112】
<フェニルエフリン(phenylephrine)による血管収縮抑制効果の評価>
グアヤコール系成分15.5重量%及びシリンゴール系成分25重量%を含有した本発明の組成物(試験群1)、グアヤコール系成分15.5重量%、シリンゴール系成分25重量%及び緑茶葉抽出物0.5重量%を含有した本発明の組成物(試験群2)、及び緑茶葉抽出物0.5重量%を含有した組成物(比較群1)が血管収縮に及ぼす影響を評価するためにフェニルエフリンによる血管収縮抑制効果を評価した。
【0113】
ホワイトマウスの胸部の大動脈に0.5%ないし2%の試験群1溶液、0.1ないし0.4%の試験群2溶液及び対照群として水を30分間前処理した後、フェニルエフリンを低濃度から累加的に加えた。その結果を表15、表16及び表17にそれぞれ示した。
【0114】
【表15】

【0115】
【表16】

【0116】
【表17】

【0117】
上記表15、表16及び表17において、PEはフェニルエフリン(phenylephrine)を示す。試験群1及び比較群1は、フェニルエフリンによる血管の収縮に影響を及ぼさない反面(表15及び表17参照)、グアヤコール系成分、シリンゴール系成分及び緑茶葉抽出物を含有した試験群2は、濃度依存的にフェニルエフリンにより誘発される収縮程度を減少させた(表16参照)。これは、グアヤコール系成分、シリンゴール系成分及び緑茶葉抽出物を含有した本発明の組成物が試験群1及び比較群1に比べて血行改善にさらに望ましい効果があることを意味する。
【0118】
以上の結果に基づいて木酢液より抽出したグアヤコール系成分及びシリンゴール系成分を含有した本発明の組成物と、グアヤコール系成分、シリンゴール系成分及び緑茶葉抽出物を含有した本発明の組成物が血小板凝集の抑制活性及び血管収縮の抑制効果を有するということを確認した。これは本発明の組成物が血液循環を改善するための血行改善用途として用いることができることを意味する。
【0119】
〔実施例5:本発明の組成物の二日酔い解消効果の評価〕
アルコールの摂取時に発生する代表的な二つの毒性物質であるエタノールとアセトアルデヒドの濃度を時間毎に対照群と比較しながら測定した。対照群では蒸溜水を用いた。試験群1には、グアヤコール系成分15.5重量%及びシリンゴール系成分25重量%を含む本発明の組成物を40mg/体重kg投与し、試験群2にはグアヤコール系成分15.5重量%、シリンゴール系成分25重量%及び緑茶葉抽出物0.5重量%を含有する本発明の組成物を40mg/体重kg投与し、比較群1には緑茶葉抽出物0.5重量%を含有する組成物を投与した。
【0120】
<血中エタノールの濃度変化の測定>
血中エタノールの濃度変化を表8に示した。血中エタノールの濃度は下記のような方法で測定した。試験動物を18時間絶食させた後、試験物質を適当な濃度の溶液に調剤し経口投与した。30分後にアルコールを経口投与し、投与後1時間、3時間、5時間後は眼窩から、7時間後には心臓から血液を採取する。血液を3000rpmで15分間遠心分離して血清を分離した後、エタノール測定キット(Ethanol,Roche,Swizerland)を用いて血清内エタノールの量を測定した。
【0121】
【表18】

【0122】
表18の結果から分かるように、試験群1を投与した群は血中アルコールの濃度がアルコール投与後3時間で最高に到逹し、対照群に比べて全ての時間で低く示された。対照群の血中アルコールの濃度を100%としたとき、試験群1はアルコール投与1時間後対照群の血中アルコールの濃度を基準として約76%減少して最大の減少を示し、3時間、5時間、7時間後にはそれぞれ63%、73%、43%減少した。全ての時間帯で有意義な差を示した。
【0123】
また、対照群と試験群1、試験群2及び比較群1の血中エタノールの時間‐濃度曲線下の面積(AUC,Area under the curve)を比べれば、対照群に比べて試験群1の血中エタノールの時間‐濃度曲線下の面積が58%減少して有意義(p<0.05)に低かった。このような結果からグアヤコール系成分及びシリンゴール系成分を含有する本発明の組成物はアルコール投与後上昇した血中アルコールの濃度を減少させると考えられる。
【0124】
<血中アセトアルデヒドの濃度変化の測定>
測定結果を表19にまとめて示した。血中アセトアルデヒドの濃度は下記のような方法で測定した。試験動物を18時間絶食させた後、試験物質を適当な濃度の溶液に調剤して経口投与した。30分後にアルコールを経口投与して、投与後1時間、3時間、5時間後は眼窩から、7時間後には心臓から血液を採取した。血液を3000rpmで20分間遠心分離して血清を分離した後、アセトアルデヒド測定キット(Acetaldehyde,Roche,Swizerland)を用いて血清内アセトアルデヒドの濃度を測定した.
【0125】
【表19】

【0126】
表19から分かるように、対照群の場合、血中アセトアルデヒドの濃度はアルコール投与7時間後に0.37±0.08mgであり、試験群1の場合には、アルコール投与7時間後に血中アセトアルデヒド濃度が0.15±0.01mgであって、対照群及び比較群1に比べて有意義(p<0.05)に低く示された。また、試験群2の場合には、アルコール投与7時間後に血中アセトアルデヒド濃度が0.10±0.05mgで対照群、試験群1及び比較群1に比べて有意義(p<0.05)に最も低く示された。血中アセトアルデヒドのAUCは、対照群が2.05±0.58、試験群1が1.57±0.24、試験群2が0.86±0.29(p<0.05)及び比較群1が1.85±0.29であって、血中アセトアルデヒドの濃度と同様に試験群2で最も低く示された。これはグアヤコール系成分及びシリンゴール系成分を含有した本発明の組成物が二日酔い解消に効果的であるということを意味し、緑茶葉抽出物をさらに含んだ本発明の組成物が二日酔いの除去においてシナジー効果があるためより望ましいということを意味する。
【0127】
〔実施例6:アトピー性皮膚炎治療効果の評価〕
本発明の組成物のアトピー性皮膚炎の治療効果を評価するためにアトピー性皮膚炎の治療に広く用いられているタクロリムス(Tacrolimus)軟膏(ProtopicTM、韓国藤沢薬品)と本発明の組成物とを比較評価した。本発明の組成物としては、グアヤコール系成分8.95重量%、シリンゴール系成分18.53重量%、甘草、当帰、白芍薬、ブクリョウ、黄ごん、五味子、生姜及び川きゅうを原料とする植物抽出物22.92%、及び精製水49.60%を含有した組成物を用い、陽性対照群としてはアトピー性皮膚炎の治療剤として用いられている市販のタクロリムス軟膏を用い、陰性対照群としては賦形剤である蒸溜水を用いた。
【0128】
アトピー性皮膚炎治療剤の評価のために通常用いられる動物モデルであるNC/Ngaマウスを用いた。NC/Ngaマウスは、一般の飼育環境で露出して育たれるようになれば6〜7週からヒトのアトピー性皮膚炎と類似の病変が発生するようになり、16〜18週令になれば皮膚乾燥症、かさぶたができた傷及び小さな結晶の病変が観察される動物である。陰性対照群、陽性対照群及び本発明の組成物を4週間1,000mg/体重kgの分量で蒸溜水に薄めて一日に1回経口投与した。4週後、一定部分の皮膚を切開して損傷程度を評価した。
【0129】
総合的な評価のために肉眼的剖検を施した。内部臓器の所見としては特異な異常が観察されなかったが、皮膚の外部所見において肉眼的に背中の方の皮下に小さい瘢痕様の傷がある動物が、陰性対照群では7匹、陽性対照群では4匹、本発明の組成物の試験群では2匹が観察されて有意義な差が示された。
【0130】
病理組職学的な検査をするために顕微鏡観察を施した。観察結果を皮膚病変は、皮膚潰瘍、急・慢性炎症細胞の浸潤、皮膚上皮細胞の重層化的肥厚及び傷跡(scar)残存で評価した。それぞれの結果を表20、21、22、23及び図5a、5b、5cに示した。
【0131】
【表20】

【0132】
【表21】

【0133】
【表22】

【0134】
【表23】

【0135】
3cm長さの皮膚で皮膚潰瘍は陰性対照群で50%の発生を示した反面、本発明の組成物試験群では14.3%の発生を示した。炎症は、皮下組織または潰瘍の周辺で観察され、陰性対照群は全て急性または慢性炎症細胞の浸潤が観察されたが、本発明の組成物試験群は約57%でのみ炎症所見を示した。上皮細胞の肥厚は陰性対照群では全て部分的に肥厚が観察された反面、本発明の組成物試験群は約57%が正常に観察された。傷跡(Scar)は陰性対照群で8匹のうち7匹が観察された(87.5%)反面、本発明の組成物の試験群では7匹のうち2匹にのみ観察(28.6%)された。また、肉眼所見及び病理組織的な観察結果、全例において本発明の組成物試験群は陽性対照群より良好な結果を示した。このような結果から本発明の組成物がアトピー性皮膚炎の治療に卓越な効果があることが分かる。
【0136】
本発明は、木酢液より抽出したグアヤコール系成分及びシリンゴール系成分を含有する薬学的組成物を提供する。本発明の薬学的組成物は、急性毒性、遺伝毒性、亜急性毒性などのない安全な組成物であるだけでなく、酸化毒性の治療、血糖調節、血行改善、二日酔い解消及びアトピー皮膚炎の治療効果を有する。本発明の薬学的組成物は、薬剤または健康機能食品の原料として有用に用いることができる。
【0137】
本明細書に記載された実施例と図面とに示された構成は、本発明の最も望ましい一実施例に過ぎず、本発明の技術的思想を全て代弁するものではないため、本出願時点においてこれらに代替できる多様な均等物と変形例とがあり得ることを理解すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】木酢液より抽出したグアヤコール系成分の例を示す図である。
【図2】木酢液より抽出したシリンゴール系成分の例を示す図である。
【図3a】トロンビンを用いた血小板凝集評価実験において、グアヤコール系成分及びシリンゴール系成分を含有した本発明の薬学的組成物に対する結果を示した図である。
【図3b】コラーゲンを用いた血小板凝集評価実験において、グアヤコール系成分及びシリンゴール系成分を含有した本発明の薬学的組成物に対する結果を示した図である。
【図4a】トロンビンを用いた血小板凝集評価実験において、グアヤコール系成分、シリンゴール系成分及び緑茶葉抽出物を含有した本発明の薬学的組成物に対する結果を示した図である。
【図4b】コラーゲンを用いた血小板凝集評価実験において、グアヤコール系成分、シリンゴール系成分及び緑茶葉抽出物を含有した本発明の薬学的組成物に対する結果を示した図である。
【図5a】NC/Ngaマウスを用いた効果評価実験において、賦形剤を投与した陰性対照群の顕微鏡観察結果である。
【図5b】NC/Ngaマウスを用いた効果評価実験において、タクロリムス軟膏を投与した陽性対照群の顕微鏡観察結果である。
【図5c】NC/Ngaマウスを用いた効果評価実験において、本発明の組成物を投与した試験群の顕微鏡観察結果である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
木酢液より抽出した下記化学式(1)で表されるグアヤコール系成分及び下記化学式(2)で表されるシリンゴール系成分を含有する薬学的組成物。
【化1】

【化2】

上記化学式(1)及び(2)において、Rは、水素、アルキル、オキソアルキルまたはアルケニルである。
【請求項2】
上記グアヤコール系成分及びシリンゴール系成分の含量は、組成物の総重量に対してそれぞれ10−6ないし90重量%及び10−6ないし90重量%であることを特徴とする請求項1に記載の薬学的組成物。
【請求項3】
木酢液より抽出した請求項1の化学式(1)で表されるグアヤコール系成分及び請求項1の化学式(2)で表されるシリンゴール系成分を含有する酸化毒性治療のための薬学的組成物。
【請求項4】
上記薬学的組成物は、脳卒中、パーキンソン病、心臓疾患、虚血、動脈硬化、皮膚疾患、消化器疾患、炎症、リュウマチ、自家免疫疾患または老化の予防または治療に用いられることを特徴とする請求項3に記載の薬学的組成物。
【請求項5】
木酢液より抽出した請求項1の化学式(1)で表されるグアヤコール系成分及び請求項1の化学式(2)で表されるシリンゴール系成分を含有する血糖調節のための薬学的組成物。
【請求項6】
木酢液より抽出した請求項1の化学式(1)で表されるグアヤコール系成分及び請求項1の化学式(2)で表されるシリンゴール系成分を含有する血行改善治療のための薬学的組成物。
【請求項7】
木酢液より抽出した請求項1の化学式(1)で表されるグアヤコール系成分及び請求項1の化学式(2)で表されるシリンゴール系成分を含有する二日酔い解消のための薬学的組成物。
【請求項8】
上記組成物は、緑茶葉抽出物をさらに含むことを特徴とする請求項6または請求項7に記載の薬学的組成物。
【請求項9】
上記組成物は、組成物の総重量に対してグアヤコール系成分10−6ないし90重量%、シリンゴール系成分10−6ないし90重量%、及び緑茶葉抽出物を0.01ないし30重量%を含有することを特徴とする請求項8に記載の薬学的組成物。
【請求項10】
木酢液より抽出した請求項1の化学式(1)で表されるグアヤコール系成分及び請求項1の化学式(2)で表されるシリンゴール系成分を含有するアトピー皮膚炎治療のための薬学的組成物。
【請求項11】
上記組成物は、当帰抽出物、川きゅう抽出物、甘草抽出物、ブクリョウ抽出物、黄ごん抽出物、白芍薬抽出物、五味子抽出物及び生姜抽出物からなる群より選択された何れか一つ以上の植物抽出物をさらに含有することを特徴とする請求項10に記載の薬学的組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4a】
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【図4b】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【公表番号】特表2007−510716(P2007−510716A)
【公表日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−539376(P2006−539376)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【国際出願番号】PCT/KR2004/002880
【国際公開番号】WO2005/044247
【国際公開日】平成17年5月19日(2005.5.19)
【出願人】(506153723)オーキー ナチュラル カンパニー,リミテッド (1)
【Fターム(参考)】