説明

未使用状態のユニット及び撤去部材

【課題】互いに絡み合うことを防止できる撤去部材及び当該撤去部材を用いる未使用状態のユニットを提供する。
【解決手段】撤去部材1は互いに平行な平行部6と該平行部6の一端部同士を連結した連結部7とを有するコ字状に形成された取付部3と取付部3の一方の平行部6に一端が取り付けられたフィラメント部4とフィラメント部4の他端に取り付けられた平板状のパネル部2と取付部3の前記平行部6の他端部同士を連結した進入阻止部5を備えている。撤去部材1は未使用状態にある現像装置10のケース11とドクタローラ13との間に介在されてこれらの相対的な位置を保持するとともに、現像装置10が使用状態に移行する際にケース11とドクタローラ13との間から撤去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に用いられる現像装置などのユニットにおいて、未使用時に、ドクタローラやケースなどの部品間の相対的な位置を保持する撤去部材を有する未使用状態のユニットと撤去部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複写機、プリンタ、ファクシミリなどの画像形成装置に用いられる画像形成装置は、例えば、図6に例示されたフォトコンダクタユニット120を備えている。この種のフォトコンダクタユニット120は、梱包容器130内に収容された状態、又は画像形成装置本体に組み込まれた状態で、工場等から出荷される。この出荷時には、フォトコンダクタユニット120は、その部品としての帯電ローラ121と感光体ドラム122との間に撤去部材100の取付部110(図7に示す)が挿入されて、当該撤去部材110により帯電ローラ121と感光体ドラム122とが互いに間隔をあけて状態に保たれて、搬送等による帯電ローラ121と感光体ドラム122の各表面等が傷つくことなどを保護している。このように、撤去部材100は、帯電ローラ121と感光体ドラム122との相対的な位置が変化することを防止して、前述したユニット120を未使用状態にしている。
【0003】
そして、フォトコンダクタユニット120は、梱包容器130の開口部130aを開封した後に、又は、図示しない画像形成装置本体の開閉ドアが開封された後に、帯電ローラ121と感光体ドラム122との間に挿入されている撤去部材100の取付部110が、図6中の矢印A方向に引き抜かれることで、未使用状態から帯電ローラ121と感光体ドラム122が接触した使用状態に移行される。
【0004】
前述した撤去部材100の帯電ローラ121と感光体ドラム122の間などの複数の部品間に挿入される取付部110は、挿入される部品の形状に応じて、種々の形状に形成される。撤去部材100の取付部110は、伸縮自在な弾性部材によってドクタローラが現像ローラに当接している非磁性の一成分のトナーを用いる現像装置においては、搬送時に前記ドクタローラが移動することを防止するため、ケースとドクタローラとの間に挿入されて、これらの間の間隙を保持する。
【0005】
この種の非磁性の一成分のトナーを用いる現像装置に用いられる撤去部材100の取付部110は、図8に示すように、間隙保持部110aとコの字形状部110bとから構成されている。コの字形状部110bは、互いに平行な一対の平行部110cと、これら平行部110cの一端部同士を連結した連結部110dとを有し、連結部110dが弾性を有しており、取付け後はケースに係止して、前述した間隙を保持する。そして、撤去部材100の取付部110は、図8中の矢印B1方向へ引き抜かれて、前述した現像装置を使用状態にする。
【0006】
図7及び図8に示された従来から使用されている撤去部材100は、他の異種類の部品やユニットから見分け易く、取り扱いや使用状態にするまでの注意等を喚起する紙からなるパネル部101と、前述した部品間に挿入される取付部110と、パネル部101と取付部110とを巻き付けてつなぐフィラメント部102で構成されている。
【0007】
これらの撤去部材100は、パネル部101と取付部110とにフィラメント部102を構成する針金を人手作業によって巻き付けて、製造してきたので、製造に多くの作業時間が必要で、針金の巻き付け数もばらつき、針金が取付部110やパネル部101から外れたり、使用状態への移行の後の廃棄の際に、パネル部101を構成する紙、プラスチッ
クと、フィラメント部102を構成する針金を分別する分別作業が必要となりコスト高になっていた。
【0008】
上述問題を鑑みて、本出願人は、図8に示された前述した撤去部材100の取付部110とパネル部101とこれらを連結したフィラメント部102とを同一材料から構成することを提案している(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図8に示された撤去部材100は、複数個入りの梱包袋または箱から取り出す際に、互いに絡み合い、これを分別するという煩雑な作業が発生し、作業時間がかかっていた。特に、取付部110がコの字形状を有しているので、取付部110内に他の撤去部材100のフィラメント部102が進入しやすく、図9に示すように、取付部110内にフィラメント部102が進入した他の撤去部材100のパネル部101または取付部110が、前述したフィラメント部102に進入された撤去部材100の取付部110内に進入し易いという不具合が生じていた。
【0010】
本発明は、以上の背景に鑑みてなされたものであり、互いに絡み合うことを防止できる撤去部材を有する未使用状態のユニットと撤去部材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1に記載の未使用状態のユニットは、複数の部品間に介在してこれら部品間の相対的な位置を保持するとともに、前記部品間から撤去可能に取り付けられた撤去部材を有するユニットにおいて、前記撤去部材が、互いに平行な平行部と該平行部の一端部同士を連結した連結部とを有するコ字状に形成されて、前記部品間に挿入される取付部と、前記取付部に一端が取り付けられたフィラメント部と、前記フィラメント部の他端に取り付けられた平板状のパネル部と、前記取付部の前記平行部の他端部同士を連結した進入阻止部と、を備えていることを特徴としている。
【0012】
請求項2に記載の未使用状態のユニットは、請求項1に記載のユニットにおいて、前記パネル部が、前記取付部の内面と前記進入阻止部とで囲まれる間隙よりも大きく形成されていることを特徴としている。
【0013】
請求項3に記載の未使用状態のユニットは、請求項1又は請求項2に記載のユニットにおいて、前記進入阻止部が、伸縮自在に構成されていることを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載の未使用状態のユニットは、請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載のユニットにおいて、前記取付部と前記フィラメント部と前記パネル部とが、同一の材料で構成されていることを特徴としている。
【0015】
請求項5に記載の撤去部材は、未使用状態にあるユニットの複数の部品間に介在されて、これら部品同士の相対的な位置を保持するとともに、前記ユニットが使用状態に移行する際に前記部品間から撤去される撤去部材において、互いに平行な平行部と該平行部の一端部同士を連結した連結部とを有するコ字状に形成されて、前記部品間に挿入される取付部と、前記取付部に一端が取り付けられたフィラメント部と、前記フィラメント部の他端に取り付けられた平板状のパネル部と、前記取付部の前記平行部の他端部同士を連結した進入阻止部と、を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の未使用状態のユニットによれば、コ字状に形成された取付部の開口部内に進入阻止部が備えられているため、当該撤去部材を複数個入りの梱包袋または箱から取り出す際に、取付部に他の撤去部材のフィラメント部や取付部、パネル部が進入することを防止でき、他の撤去部材と絡み合うこと即ち撤去部材同士が絡み合うことを防止できる。したがって、互いに絡み合った撤去部材を分別するという煩雑な作業が低減し、撤去部材のユニットへの組み付け作業効率が向上する。したがって、撤去部材の取り付けに煩雑な作業を要することなく未使用状態のユニットを製作することができる。
【0017】
請求項2記載の未使用状態のユニットによれば、進入阻止部と取付部の内面とによって形成される間隙よりも、パネル部が大きいため、パネル部が進入阻止部材と取付部の内面とによって形成される間隙に進入することを防止でき、撤去部材同士が絡み合うことをより確実に防止できる。したがって、撤去部材を分別するという煩雑な作業が低減し、撤去部材のユニットへの組み付け作業効率が向上する。
【0018】
請求項3記載の未使用状態のユニットによれば、取付部の平行部の他端部同士を連結した進入阻止部が、伸縮自在であるため、撤去部材をユニットの部品間に着脱する際に必要となる取付部のたわみを損なうことなく、撤去部材のユニットへの組み付け作業効率を向上することができる。
【0019】
請求項4記載の未使用状態のユニットによれば、取付部、フィラメント部、パネル部及び進入阻止部が同一材料で形成されているので、未使用状態のユニットから撤去部材を撤去後に、その撤去部材の分別を要することなくリサイクルすることができる。
【0020】
請求項5に記載の撤去部材によれば、コ字状に形成された取付部の開口部内に進入阻止部が備えられているため、当該撤去部材を複数個入りの梱包袋または箱から取り出す際に、取付部に他の撤去部材のフィラメント部や取付部、パネル部が進入することを防止でき、他の撤去部材と絡み合うこと即ち撤去部材同士が絡み合うことを防止できる。したがって、互いに絡み合った撤去部材を分別するという煩雑な作業が低減し、撤去部材のユニットへの組み付け作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態にかかる撤去部材が用いられる現像装置の構成を側方からみた説明図である。
【図2】図1に示された撤去部材の構成を示す側面図である。
【図3】図2に示された撤去部材の取付部の側面図である。
【図4】図3に示された撤去部材の取付部の変形例を示す側面図である。
【図5】図3に示された撤去部材の取付部の他の変形例を示す側面図である。
【図6】従来の撤去部材が用いられる梱包されたフォトコンダクタユニットの要部を示す斜視図である。
【図7】図6に示された従来の撤去部材の構成を示す側面図である。
【図8】従来の他の撤去部材の構成を示す側面図である。
【図9】図8に示された撤去部材同士が絡み合った状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態を、図1ないし図3に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる撤去部材が用いられるユニットとしての現像装置の構成を側方からみた説明図である。図2は、図1に示された撤去部材の構成を示す側面図である。図3は、図2に示された撤去部材の取付部の側面図である。
【0023】
図2に示された撤去部材1は、図1に示されたユニットとしての現像装置10に用いられる。現像装置10は、非磁性の一成分のトナーを用いる、所謂、非磁性一成分現像装置である。
【0024】
図1に示された現像装置10は、複写機やファクシミリなどの画像形成装置に取り付けられる。現像装置10は、図1に示すように、ケース11と、トナーカートリッジ12と、ドクタローラ13と、ローラ支持部14と、現像ローラ15とを備えている。ケース11は、絶縁性の合成樹脂で構成されて、箱状に形成されている。ケース11には、撤去部材1の後述する取付部3を着脱自在とする切欠き16が設けられている。切欠き16は、ケース11を貫通しているとともに、現像ローラ15とドクタローラ13との近傍に配置されている。切欠き16の内面には、撤去部材1の後述する係止爪部6aが係止する凹部16aが設けられている。
【0025】
トナーカートリッジ12は、ケース11に着脱自在に設けられ、内側に前述した非磁性の一成分のトナーを収容する。トナーカートリッジ12は、現像ローラ15の外周面にトナーを供給する。
【0026】
ドクタローラ13は、円柱状に形成され、ローラ支持部14によって、その軸芯回りに回転自在に支持され、かつ、現像ローラ15に接離自在に支持されているとともに、現像ローラ15に向かって付勢されて当該現像ローラ15の外周面に当接している。ドクタローラ13は、現像ローラ15の外周面に付着したトナーの付着量を規制し、かつ当該トナーを帯電させる。
【0027】
ローラ支持部14は、支持部材17と、付勢手段としてのばね18とを備えている。支持部材17は、ドクタローラ13の軸を内径で回転自在に支持しているとともに、切欠き16内に配置されて、現像ローラ15の径方向に沿ってスライド自在に設けられている。支持部材17は、前述した径方向に移動自在に設けられることで、現像ローラ15に接離自在に設けられている。
【0028】
ばね18は、切欠き16内と支持部材17との間に配置されて、当該支持部材17即ちドクタローラ13を現像ローラ15に向かって付勢している。ばね18は、ドクタローラ13の外周面を現像ローラ15の外周面に当接させる。
【0029】
現像ローラ15は、ケース11に回転自在に設けられ、画像形成装置の感光体に近接して当該感光体に相対して設けられる。現像ローラ15は、トナーカートリッジ12から供給されて外周面に付着しかつドクタローラ13によって帯電されたトナーを感光体に受け渡す。
【0030】
前述した現像装置10のケース11とドクタローラ13は、特許請求の範囲に記載された部品をなしている。
【0031】
撤去部材1は、図2に示すように、パネル部2と、取付部3と、フィラメント部4と、進入阻止部5と、を一体に備えている。パネル部2は、薄手の平板状に形成されて、その平面形状が、角が円弧状の三角形に形成されている。パネル部2は、現像装置10に撤去部材1が取り付けられると、当該現像装置10の現像ローラ15などから見分け易く、取り扱いや使用状態になるまでの注意などを喚起する文字や印などがその表面に形成されている。
【0032】
取付部3は、厚手の平板状に形成されて、図3に示すように、コ字状部3aと間隙保持部3bとを一体に備えている。コ字状部3aは、互いに平行な一対の棒状の平行部6と、平行部6の一端部同士を連結した連結部7とを備えて、コ字状に形成されている。さらに、一方の平行部6の一端部には、他方の平行部6から離れる方向に凸の係止爪部6aが設けられている。係止爪部6aは、凹部16a内に進入して、ケース11に係止する。取付部3は、そのコ字状部3aが側方からみてコ字状に形成されているので、一方の平行部6の他端部が他方の平行部6の他端部に接離するように、主に連結部7が弾性変形自在となっている。
【0033】
間隙保持部3bは、他方の平行部6の一端部から、当該平行部6から離れる方向にこの平行部6と平行に延在している。間隙保持部3bは、切欠き16内に取付部3が挿入される際に、支持部材17の切欠き16内に突出した角17aの頂点に重なる。
【0034】
フィラメント部4は、ひも状に形成されて、一端が取付部3の一方の平行部6の他端部に取り付けられ、他端がパネル部2に取り付けられている。
【0035】
進入阻止部5は、図3に示すように、棒状に形成されて、その両端が平行部6の他端部に連なって、当該平行部6の他端部同士を連結している。進入阻止部5は、その長手方向が一対の平行部6の長手方向に対して、交差(図示例では、直交)している。
【0036】
また、前述した撤去部材1は、パネル部2が、取付部3のコ字状部3aの内面と進入阻止部5とで囲まれた間隙Kよりも十分に大きく形成されている。このため、撤去部材1は、他の撤去部材1のパネル部2が取付部3のコ字状部3a内に進入することを確実に防止できる。
【0037】
さらに、撤去部材1は、延伸自在なプラスチックで構成されており、パネル部2と取付部3とフィラメント部4と進入阻止部5とが一体に成形されて、得られる。即ち、撤去部材1は、パネル部2と取付部3とフィラメント部4と進入阻止部5とが同一の材料で構成されている。また、進入阻止部5が前述したように棒状に形成されているので、当該進入阻止部5が伸縮自在となる。このように、進入阻止部5は、伸縮自在な構成となっている。撤去部材1を構成する材料としては、特にポリアミドを用いるのが望ましく、このポリアミドを用いると、フィラメント部4に作用する引っ張り力に対して強度が向上し、耐久性にも優れて、望ましい。
【0038】
また、図示例では、進入阻止部5を外径からφ0.3mmからφ0.5mmまでの円柱状とし、進入阻止部5と取付部3のコ字状部3aの内面によって形成される間隙Kを7mm×3mmとし、パネル部12を一辺が30mmの三角板形状とした。これによって、図示例では、コ字状部3aの弾性を維持しつつ、進入阻止部5と取付部3のコ字状部3aによって形成される間隙Kに、他の撤去部材1のパネル部2が進入することを防止することができる。
【0039】
前述した撤去部材1は、現像装置10に取り付けられる際には、まず、取付部3の間隙保持部3bと連結部7とを先頭にして、切欠き16内即ちケース11とドクタローラ13との間に挿入される。すると、係止爪部6aが切欠き16の内面に当接して、一方の平行部6の他端部が他方の平行部6の他端部に近づく方向に、主に連結部7が弾性変形する。このとき、進入阻止部5が、伸縮自在となっているので、当該進入阻止部5が連結部7の弾性変形即ち取付部3の取付作業を妨げない。間隙保持部3bが支持部材17の角17aの頂点上に密に重なり、係止爪部6aが切欠き16の内面に設けられた凹部16aに係止して、当該撤去部材1は、ケース11即ち現像装置10に取り付けられる。
【0040】
すると、撤去部材1が支持部材17の角17aの頂点上に密に重なり、角17aが間隙保持部3bの表面に対して交差しれているので、支持部材17即ちドクタローラ13は、撤去部材1によって、ケース11に固定される。こうして、撤去部材1は、ドクタローラ13とケース11との間に挿入(介在)されて、ドクタローラ13をケース11に対して固定して、これらのドクタローラ13とケース11との相対的な位置を保持する。
【0041】
前述した構成の撤去部材1は、現像装置10の工場などの出荷時に、前述した切欠き16内即ちケース11とドクタローラ13との間に挿入されて、ドクタローラ13をケース11に固定して、当該現像装置10を未使用状態にする。そして、撤去部材1は、パネル部2及びフィラメント部4が図1中の矢印Bに沿って引っ張られるなどして、一方の平行部6の他端部が他方の平行部6の他端部に近づけられる方向に、主に連結部7が弾性変形されて、係止爪部6aの凹部16a内から抜け出て、係止爪部6aの凹部16a内からの係止が解除される。こうして、撤去部材1は、切欠き16内即ちケース11とドクタローラ13との間から撤去されて、現像装置10をドクタローラ13が現像ローラ15に接離自在となる使用状態とする。
【0042】
こうして、現像装置10は、工場出荷時などの未使用状態では、ケース11とドクタローラ13との間に撤去部材1が介在されて、これらのケース11とドクタローラ13との相対的な位置が保持されるとともに、撤去部材1がケース11とドクタローラ13との間から撤去されて、使用状態に移行するユニットである。
【0043】
本実施形態によれば、コ字状に形成された取付部3のコ字状部3aの平行部6の他端部間即ち開口部内に進入阻止部5が備えられているため、当該撤去部材1を複数個入りの梱包袋または箱から取り出す際に、取付部3に他の撤去部材1のフィラメント部4や取付部3、パネル部2が進入することを防止でき、他の撤去部材1と絡み合うこと即ち撤去部材1同士が絡み合うことを防止できる。したがって、互いに絡み合った撤去部材1を分別するという煩雑な作業が低減し、撤去部材1の現像装置10などのユニットへの組み付け作業効率が向上する。
【0044】
進入阻止部5と取付部3のコ字状部3aの内面とによって形成される間隙Kよりも、パネル部2が大きいため、パネル部2が進入阻止部5と取付部3のコ字状部3aの内面とによって形成される間隙Kに進入することを防止でき、撤去部材1同士が絡み合うことをより確実に防止できる。したがって、撤去部材1を分別するという煩雑な作業が低減し、撤去部材1の現像装置10などのユニットへの組み付け作業効率がより向上する。
【0045】
取付部3の平行部6の他端部同士を連結した進入阻止部5が、伸縮自在であるため、撤去部材1を現像装置10のケース11とドクタローラ13との間に着脱する際に必要となる取付部3のたわみを損なうことなく、撤去部材1の現像装置10への組み付け作業効率を向上することができる。
【0046】
さらに、取付部3と、フィラメント部4と、パネル部2及び進入阻止部5が同一材料で形成されているので、現像装置10からの撤去後、撤去部材1の分別を要することなくリサイクルすることができる。
【0047】
前述した現像装置10は、前述した構成の撤去部材1が用いられるユニットであるため、上述の通り、撤去部材1の取り付けに煩雑な作業を要することなく現像装置10を製作することができる。
【0048】
また、前述した実施形態では、進入阻止部5は取付部3に一体に形成されているが、本発明では、勿論、図4及び図5に示すように、進入阻止部5を取付部3と別体に形成しても良い。なお、図4では、進入阻止部5を円柱状に形成し、取付部3のコ字状部3aの平行部6の他端部の互いに相対する内面に、凹部19を設け、当該凹部19内に進入阻止部5を嵌合して、当該進入阻止部5を取付部3に固定している。
【0049】
図5では、一対の平行部6のうちの一方の他端部の内面にねじ孔20を設け、他方の他端部に貫通孔21を設け、進入阻止部5を一端部にねじ溝22が形成された円柱状に形成して、貫通孔21内を通された進入阻止部5の一端部のねじ溝22をねじ孔20にねじ込んで、当該進入阻止部5を取付部3に固定している。
【0050】
また、本発明の発明者は、前述した実施形態の本発明品の撤去部材1と、図8に例示された比較例の撤去部材100とを製造して、本発明の効果を実際に確認した。この実験では、100個の撤去部材1,100を梱包袋内に収容して、この梱包袋内から一つずつ撤去部材1,100を取り出して、取り出した撤去部材1,100が他の撤去部材1,100と噛み合っているか否かを確認した。
【0051】
比較例では、100回中50回以上即ち2回に1回は、取り出した撤去部材100に他の撤去部材100が絡み合っていた。この比較例に対して、本発明では、100回中10回以下即ち、10回に1回程度、取り出した撤去部材1に他の撤去部材1が絡み合っていた。このように、進入阻止部5を設けることで、撤去部材1同士が絡み合うことを防止できることが明らかとなった。
【0052】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。即ち、本発明の撤去部材1は、ケース11とドクタローラ13との間に限らず種々の部品間に挿入されてもよく、勿論、現像装置10以外の種々のユニットに用いられても良い。
【符号の説明】
【0053】
1 撤去部材
2 パネル部
3 取付部
4 フィラメント部
5 進入阻止部
6 平行部
7 連結部
10 現像装置(ユニット)
11 ケース(部品)
13 ドクタローラ(部品)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【特許文献1】特開2006−171031号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品間に介在してこれら部品間の相対的な位置を保持するとともに、前記部品間から撤去可能に取り付けられた撤去部材を有する未使用状態のユニットにおいて、
前記撤去部材が、
互いに平行な平行部と該平行部の一端部同士を連結した連結部とを有するコ字状に形成されて、前記部品間に挿入される取付部と、
前記取付部に一端が取り付けられたフィラメント部と、
前記フィラメント部の他端に取り付けられた平板状のパネル部と、
前記取付部の前記平行部の他端部同士を連結した進入阻止部と、
を備えていることを特徴とする未使用状態のユニット。
【請求項2】
前記パネル部が、前記取付部の内面と前記進入阻止部とで囲まれる間隙よりも大きく形成されていることを特徴とする請求項1記載の未使用状態のユニット。
【請求項3】
前記進入阻止部が、伸縮自在に構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の未使用状態のユニット。
【請求項4】
前記取付部と前記フィラメント部と前記パネル部とが、同一の材料で構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか一項に記載の未使用状態のユニット。
【請求項5】
未使用状態にあるユニットの複数の部品間に介在されて、これら部品同士の相対的な位置を保持するとともに、前記ユニットが使用状態に移行する際に前記部品間から撤去される撤去部材において、
互いに平行な平行部と該平行部の一端部同士を連結した連結部とを有するコ字状に形成されて、前記部品間に挿入される取付部と、
前記取付部に一端が取り付けられたフィラメント部と、
前記フィラメント部の他端に取り付けられた平板状のパネル部と、
前記取付部の前記平行部の他端部同士を連結した進入阻止部と、
を備えたことを特徴とする撤去部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−133401(P2012−133401A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−89891(P2012−89891)
【出願日】平成24年4月11日(2012.4.11)
【分割の表示】特願2007−150886(P2007−150886)の分割
【原出願日】平成19年6月6日(2007.6.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】