説明

未分画ヘパリンの酸化方法及びヘパリン及びヘパリン製品中のグリコセリンの有無の検出

【課題】未分画ヘパリンを酸化して得られた、、グリコセリン含量を減少させたヘパリン及びヘパリン製品中のグリコセリンの有無の検出方法を提供する。
【解決手段】試料を少なくとも1種のヘパリナーゼで脱重合し、クロマトグラフィー法を使用して前記試料を分析することを含む、ヘパリン又はヘパリン製品の試料のグリコセリンを測定する方法であって、前記クロマトグラフィー法が陰イオンクロマトグラフィーを含み、アセチル化された基を検出する、方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の1実施形態は、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム及び過マンガン酸4級アンモニウムから選択される少なくとも1種の過マンガン酸塩を使用した粗ヘパリン調製物の酸化方法に関する。得られたヘパリン調製物は、グリコセリン残基が比較的少なく、たとえば、グリコセリン残基が比較的少ない低分子量ヘパリン(LMWH)及び超低分子量ヘパリン(ULMWH)の調製に有用である。本発明の他の実施形態は、ヘパリンの、及び断片化ヘパリンの調製におけるグリコセリン及びグリコセリン誘導体の存在の検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘパリンは、グルコサミノグリカンファミリーの生体活性構成要素であり、たとえば、ウシ及びブタ原料から抽出することができる。ヘパリンは、抗凝血特性及び抗血栓症特性を有し、動脈血栓症及び静脈血栓症などの血栓症の治療に有用となっている。単離されると、天然のヘパリン分子は高い抗凝血活性を有し、出血を引き起こし得る。さらに、ヘパリン分子は、特定の血清因子に敏感であり、したがって、抗血栓症の利点を得るには大量に投与しなければならず、出血の危険性が非常に高くなる。
【0003】
LMWHは様々なヘパリン処理、溶媒による分画(FR2440376、米国特許第4692435号)、陰イオン樹脂による分画(FR2453875)、ゲル濾過(Barrowcliffe、Thromb.Res.12、27〜36(1977))、アフィニティークロマトグラフィ(米国特許第4401758号)、限定はしないが亜硝酸を含めた化学物質(EP14184、EP37319、EP76279、EP623629、FR2503714、米国特許第4804652号、WO813276)、ヘパリンエステルからのベータ脱離(EP 40144、米国特許第5389618号)、過ヨウ素酸(EP287477)、水素化ホウ素ナトリウム(EP347588、EP380943)、アスコルビン酸(米国特許第4533549号)、過酸化水素(米国特許第4629699号、米国特許第4791195号)、ヘパリンの4級アンモニウムからの水酸化4級アンモニウム(米国特許第4981955号)、水酸化アルカリ金属(EP380943、EP347588)、酵素的経路(EP64452、米国特許第4396762号、EP244235、EP244236、米国特許第4826827号、米国特許第3766167号)又は照射による(EP269981)制御脱重合によって調製することができる。米国特許第4303651号及び米国特許第4757057号も参照のこと。得られたLMWH混合物は、抗第Xa因子(aXa)が高く、抗第IIa因子(aIIa)が低いので、分画ヘパリンよりも高い抗血栓症活性を示すことが報告されており、血栓症の治療が必要な患者に投与するためにより望ましい混合物であることが多い。
【0004】
承認された製品のLMWH製造者はそれぞれ、異なる脱重合法を利用している。2製造者が同様の方法を使用しない限り、この方法の違いによってLMWH構造の違いが生じ、したがって、薬理学的活性が異なり、臨床使用で承認される適用が異なってくる。
【0005】
したがって、LMWHは、製造に使用した脱重合工程によって構造的に異なる(R.J.Linhardt他、Seminars in Thombosis and Hemostatis 1999;25(補足3):5〜16)。結果として、LMWHはヘパリンよりも不均一である。それぞれの異なる方法によって、多糖鎖に特有で非常に複雑な構造の変化が生じる。これらの変化には、鎖長及び鎖配列並びに構造指紋の違いが含まれる。結果として、異なる市販のLMWHはそれぞれ薬理学的特性が異なり、承認された適用が異なる。
【0006】
米国においてLovenox(登録商標)、及びその他の国々でClexane(登録商標)の商標名で販売されているエノキサパリンナトリウムの純粋なヘパリンからの調製方法において、水相アルカリ性脱重合法によって、オリゴ糖鎖の還元末端のグルコサミンの、部分的ではあるが特徴的な変換が生じる。
【0007】
この変換の第1段階は、グルコサミン←→マンノサミン異性化(T.Toida他、J.Carbohydrate Chemistry、15(3)、351〜360(1996))から成り、第2段階は、グルコサミンの6−O−脱硫酸で、「1,6無水」と呼ばれる誘導体の形成がもたらされる(国際特許出願WO01/29055)。
【0008】
【化1】

【0009】
この種の誘導体は、末端グルコサミンが6−O−硫酸化されているオリゴ糖鎖のために得られる。
【0010】
末端が1,6−無水結合で修飾されたオリゴ糖鎖の割合は、Lovenox(登録商標)エノキサパリンナトリウムのオリゴ糖混合物の構造的特徴である。現在の知識では、Lovenox(登録商標)(エノキサパリンナトリウム)の15%から25%がその鎖の還元末端に1,6−無水構造を有する。
【0011】
最近、強塩基の存在下で脱重合を使用するヘパリン断片を調製するための新規方法は、たとえば、本明細書に参照により明確に組み込む米国特許出願第2002−0055621A1において記載されたように、約1500ダルトンから約3000ダルトン(ULMWH)の範囲の重量平均分子量を有する超低分子量ヘパリンを生じた。
【0012】
LMWH及びULMWH断片の組成は不均一で、長さ及び分子量が様々な個々のヘパリン断片を含有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】FR2440376
【特許文献2】米国特許第4692435号明細書
【特許文献3】FR2453875
【特許文献4】米国特許第4401758号明細書
【特許文献5】EP14184
【特許文献6】EP37319
【特許文献7】EP76279
【特許文献8】EP623629
【特許文献9】FR2503714
【特許文献10】米国特許第4804652号明細書
【特許文献11】WO813276
【特許文献12】EP 40144
【特許文献13】米国特許第5389618号明細書
【特許文献14】EP287477
【特許文献15】EP347588
【特許文献16】EP380943
【特許文献17】米国特許第4533549号明細書
【特許文献18】米国特許第4629699号明細書
【特許文献19】米国特許第4791195号明細書
【特許文献20】米国特許第4981955号明細書
【特許文献21】EP64452
【特許文献22】米国特許第4396762号明細書
【特許文献23】EP244235
【特許文献24】EP244236
【特許文献25】米国特許第4826827号明細書
【特許文献26】米国特許第3766167号明細書
【特許文献27】EP269981
【特許文献28】米国特許第4303651号明細書
【特許文献29】米国特許第4757057号明細書
【特許文献30】WO01/29055
【特許文献31】米国特許出願公開第2002−0055621号明細書
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】Barrowcliffe、Thromb.Res.12、27〜36(1977)
【非特許文献2】R.J.Linhardt他、Seminars in Thombosis and Hemostatis 1999;25(補足3):5〜16
【非特許文献3】T.Toida他、J.Carbohydrate Chemistry、15(3)、351〜360(1996)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ヘパリン自体及びヘパリン断片混合物はいずれも、保存中に着色するので、少なくとも部分的に貯蔵寿命が制限されている。一旦色がつくと、これらの組成物は患者に注射するために商用的に望ましくないであろう。したがって、着色に耐性のあるヘパリンを生成する方法は、商用的理由のために強く望まれている。もちろん、このような着色耐性ヘパリンは、当業界で公知の方法によって着色耐性LMWH及び/又はULMWHを調製するために使用され得る。さらに、着色に対するヘパリン調製物の可能性を評価する方法は、ヘパリン、LMWH及びULMWHの製造に有用であろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
したがって、着色に耐性のあるヘパリンを調製するための方法を提供することが本発明の1実施形態である。得られたヘパリンはその後、LMWH及びULMWHの混合物、特に商用に有用な混合物、たとえば、着色に耐性であるフラキシパリン(fraxiparin)、フラグミン(fragmin)、インノヘップ(innohep)(またはロギパリン(logiparin))、ノルミフロ(normiflo)、エムボレックス(embollex)(またはサンドパリン(sandoparin))、フラクサム(fluxum)(またはミニダルトン(minidalton))、クリバリン(clivarin)及びヒボール(hibor)を生成するために使用することができる。本明細書で明らかなように、本発明のある実施形態は、合衆国でLovenox(登録商標)(エノキサパリンナトリウム)及びいくつかのその他の国々でClexane(登録商標(エノキサパリンナトリウム)として市販されているエノキサパリン(enoxoparin)を利用することができる。エノキサパリンは、Aventis Pharma S.A.及びAventis Pharmaceuticalsから市販されている。その他の実施形態では、エノキサパリンは利用しない。本発明の他の実施形態は、ヘパリン及びヘパリン断片の混合物の着色傾向をモニターする方法を提供する。
【0017】
本発明の1実施形態は、グリコセリンを含まないヘパリン組成物を製造するためのヘパリンの酸化方法において、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム及び過マンガン酸4級アンモニウムから選択される少なくとも1種の過マンガン酸塩、たとえば、過マンガン酸カリウムを使用してヘパリンを調製する新規方法を提供する。この方法を以下に説明する。この出願人は、これらの過マンガン酸塩の少なくとも1種、たとえば、過マンガン酸カリウムを酸化段階で使用すると、グリコセリンを含まない、又は低グリコセリンのヘパリンが得られることを発見した。グリコセリン残基及び/又はグリコセリン誘導体をヘパリンから除去すると、商用特性の改善された製品をもたらすことができることもまた、発見された。このようなグリコセリン低下製品は無色又はほとんど無色で、過マンガン酸カリウムの存在下で酸化されなかったヘパリンで製造された製品に対して着色の傾向が減少していることが示されている。
【0018】
さらに、本発明の少なくとも1種の実施形態は、ヘパリン組成物中でグリコセリン残基(又はそれらの欠如)を検出するための方法を含む。この方法は、1種又は複数のヘパリナーゼでヘパリンを予備処理し、クロマトグラフィーを使用してアセチル化された基を検出することを含む。本発明のさらに詳細な説明を以下に示す。
【0019】
本発明では、ヘパリンからグリコセリン残基及びグリコセリン誘導体、たとえば、酸化グリコセリンの化学選択的除去を可能にする条件を提供する。
【0020】
本発明の1実施形態では、低グリコセリンヘパリン又はグリコセリンを含まないヘパリンを得るために、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム及び過マンガン酸4級アンモニウムから選択される少なくとも1種の過マンガン酸塩、たとえば、過マンガン酸カリウムをヘパリンの酸化方法で使用し、前記少なくとも1種の過マンガン酸塩の、ヘパリンに対して約4重量%から約10重量%により酸化することを含む。得られた低グリコセリンヘパリン又は無グリコセリンヘパリンは、当業界で公知の方法を使用して脱重合され、低グリコセリン又は無グリコセリンのLMWH又はULMWH、たとえば、フラキシパリン、フラグミン、インノヘップ(ロギパリン)、ノルミフロ、エムボレックス(サンドパリン)、フラクサム(ミニダルトン)、クリバリン及びヒボールを得ることができるが、エノキサパリンナトリウムは得ることはできない。
【0021】
しかし、これらの市販製品を製造するための商用方法は、譲受人である、Aventis SAの子会社Aventis Pharmaceuticals Inc.を代表して提出された、2003年2月19日付け市民請願書及び市民誓願書補足(03P−0064/CP1)(米国食品医薬品局(USFDA)から公式に入手可能)に記載されているように、少なくともエノキサパリンの場合、最終製品の生物学的特徴に影響を及ぼし得る専有情報を含有すると考えられる。
【0022】
したがって、本発明の実施形態は、
a)過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム及び過マンガン酸4級アンモニウムから選択される少なくとも1種の過マンガン酸塩の、ヘパリンに対して約4重量%から約10重量%により酸化することによってヘパリンを精製し、酸化は約35℃から約90℃の範囲の温度で起こること、及び
b)前記ヘパリン製品を得るための方法に従って、前記酸化ヘパリンの製造者により脱重合することを含む、フラキシパリン、フラグミン、インノヘップ(ロギパリン)、ノルミフロ、エムボレックス(サンドパリン)、フラクサム(ミニダルトン)、クリバリン及びヒボールから選択される脱色ヘパリン製品の少なくとも1種の調製方法に関する。
【0023】
或いは、該製造者はヘパリンに対して約4重量%から約10重量%の、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム及び過マンガン酸4級アンモニウムから選択される少なくとも1種の過マンガン酸塩により酸化されたヘパリンを脱重合することができ、酸化は前記ヘパリン製品を得るための方法に従って約35℃から約90℃の範囲の温度で起こる。
【0024】
実施可能性に関し、本発明の態様で引用した市販の製品の1種の製造者は、本発明のこれらの実施形態を実施することができ得る。
【0025】
一般に、商用方法に限る必要はないが、脱重合に適した方法は、たとえば、FR2440376、米国特許第4692435号、FR2453875、Barrowcliffe、Thromb.Res.12、27〜36(1977)、米国特許第4401758号、EP14184、EP37319、EP76279、EP623629、FR2503714、米国特許第4804652号、WO813276、EP40144、米国特許第5389618号、EP287477、EP347588、EP380943、米国特許第4533549号、米国特許第4629699号、米国特許第4791195号、米国特許第4981955号、EP380943、EP347588、EP64452、米国特許第4396762号、EP244235、EP244236、米国特許第4826827号、米国特許第3766167号、EP269981、米国特許第4303651号、米国特許第4757057号及び米国特許出願公開第2002−0055621号A1に開示されている(これらのすべてがこのような方法の開示について本明細書に組み込まれるが、但し、米国特許第5389618号は共存する再発行手続において補正されたときのみ組み込まれる。)。
【0026】
本発明の他の主題は、脱色されたヘパリンを得るための、前述したヘパリン酸化方法における過マンガン酸カリウムなどの過マンガン酸塩の少なくとも1種の使用、すなわち、前記少なくとも1種の過マンガン酸塩の、ヘパリンに対して約4重量%から約10重量%による酸化である。前記の商用方法についての説明に従って、得られた脱色ヘパリンを脱重合するならば、フラキシパリン、フラグミン、インノヘップ(ロギパリン)、ノルミフロ、エムボレックス(サンドパリン)、フラクサム(ミニダルトン)、クリバリン及びヒボールなどのLMWH又はULMWHを含む脱色ヘパリン製品が得られるであろう。
【0027】
本発明の他の主題は、低グリコセリン又は無グリコセリンのヘパリンを得るための、前述したヘパリンの酸化方法における過マンガン酸カリウムの使用である。得られた低グリコセリン又は無グリコセリンの脱色されたヘパリンを脱重合するならば、前記で説明したように、フラキシパリン、フラグミン、インノヘップ(ロギパリン)、ノルミフロ、エムボレックス(サンドパリン)、フラクサム(ミニダルトン)、クリバリン及びヒボールなどのLMWH又はULMWHを含む脱色ヘパリン製品が得られる。
【0028】
本発明において、「ヘパリン」という表現は、限定はしないが、粗ヘパリン、改良ヘパリン及び精製ヘパリンを含む、ヘパリン製品以外のヘパリンの形態全てを意味する。
【0029】
本発明において、「改良ヘパリン」という表現は、改良前の開始へパリンと比較して抗Xa活性が高まったヘパリンを意味する。たとえば、限定はしないが、開始ヘパリンの抗Xa活性が140IU/mgの場合、改良ヘパリンの抗Xa活性は150IU/mg又は200IU/mgであってよい。
【0030】
本発明において、「低分子量ヘパリン」又は「LMWH」という表現は、約3,000ダルトンを上回り約10,000ダルトン未満の重量平均分子量を有する、ヘパリンから得られた多糖類の混合物を意味する。
【0031】
本発明において、「超低分子量ヘパリン」又は「ULMWH」という表現は、約1,500ダルトンから約3,000ダルトンまでの範囲の重量平均分子量を有する、ヘパリンから得られた多糖類の混合物を意味する。
【0032】
本発明において、「脱重合」(及び脱重合する、又は脱重合することなどのそれらの変形)の表現は、限定はしないが、断片化、化学的及び酵素的脱重合を含む全種類の脱重合並びに、限定はしないが、分画を含むヘパリン断片を調製するその他方法を含む。
【0033】
本発明において、「低グリコセリン」という表現は、試料中の二糖残基全体の0.3%に等しいまたは未満の(たとえば、以下の段落59で例示したような)百分率のグリコセリンが結合しているグリコセリンを意味する。
【0034】
本発明において、「グリコセリンを含まない」という表現は、試料中の二糖残基全体の0.1%に等しいまたは未満の(たとえば、以下の段落59で例示したような)百分率のグリコセリンが結合しているグリセリンを意味する。
【0035】
本発明において、「比較的グリコセリンを含まない」という表現は、試料中の二糖残基全体の0.3%に等しいまたは未満の(たとえば、以下の段落59で例示したような)百分率のグリコセリンが結合しているグリコセリンを意味する。
【0036】
本発明において、「脱色された」という表現は、以下の見出し「比色分析用試料の調製」で説明したものなどの安定性増強試験において、吸収単位が0.2に等しいことまたは未満であることを意味する。
【0037】
図1は、エノキサパリンナトリウムの安定性増強試験の結果を示す。
【0038】
本発明において、「着色」という表現は、以下の見出し「比色分析用試料の調製」で説明したものなどの安定性増強試験において吸収単位が0.2に等しいまたは0.2を上回ることを意味する。
【0039】
図1は、エノキサパリンナトリウムの安定性増強試験の結果を示す。
【0040】
本発明において、「着色耐性」という表現は、以下の見出し「比色分析用試料の調製」で説明したものなどの安定性増強試験において吸収単位が0.2に等しいことまたは未満であることを意味する。図1は、エノキサパリンナトリウムの安定性増強試験の結果を示す。
【0041】
本発明において、「ヘパリン製品」という表現はLMWH及びULMWHを意味する。
【0042】
本発明の方法の1実施形態において、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム及び過マンガン酸4級アンモニウムから選択される少なくとも1種の過マンガン酸塩、たとえば、過マンガン酸カリウムの、ヘパリンに対して4重量%から10重量%が、酸化によって精製されたヘパリンの調製のために使用される。関連する実施形態において、過マンガン酸カリウムのヘパリンに対して約8重量%が、酸化によって精製したヘパリンの調製方法において使用される。
【0043】
本発明の他の実施形態において、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム及び過マンガン酸4級アンモニウムから選択される少なくとも1種の過マンガン酸塩、たとえば、過マンガン酸カリウムで酸化することによって精製されたヘパリンを調製する方法は、約35℃から約90℃の範囲の温度で実施する。関連する実施形態において、過マンガン酸カリウムで酸化することによって精製したヘパリンを調製するための方法は、約40℃から約80℃の範囲の温度で実施する。
【0044】
本発明の他の主題は、以下の段階
a)過マンガン酸ナトリウム及び過マンガン酸4級アンモニウムから選択される少なくとも1種の過マンガン酸塩、たとえば過マンガン酸カリウムの、ヘパリンに対して約4重量%から約10重量%の作用によってヘパリンを精製し、酸化が約35℃から約90℃の範囲の温度で起こる段階、
b)該ヘパリンを脱重合する段階、及び
c)場合によって、少なくとも1種の組成物を精製する段階を含む方法によって得ることができる、本出願の出願日現在USFDAによって承認されている製品を除く、低グリコセリン、グリコセリンを含まない、並びに脱色されたLMWH及びULMWHから選択される少なくとも1種の組成物である。
【0045】
本発明の他の主題は、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム、過マンガン酸4級アンモニウムから選択される少なくとも1種の過マンガン酸塩の、ヘパリンに対して4重量%から10重量%の作用によって酸化されたヘパリンを脱重合することを含み、酸化が約35℃から約90℃の範囲の温度で起こる方法によって得ることができる、本出願の出願日現在USFDAによって承認されている製品を除く、低グリコセリン、グリコセリンを含まない、並びに脱色されたLMWH及びULMWHから選択される少なくとも1種の組成物である。
【0046】
本発明の他の主題は、
a)ヘパリン及びヘパリン製品から選択される試料を処理すること、及び
b)その後、試料中のグリコセリン残基の存在を決定するためにクロマトグラフィー法を使用することを含む、限定はしないがLMWH及びULMWH及びそれらの市販の形態を含む、ヘパリン又はヘパリン製品の試料のグリコセリン含量を測定する方法である。
【0047】
本発明の1実施形態において、ヘパリン及びヘパリン製品から選択される試料は、クロマトグラフィー法によって分析する前にヘパリナーゼの作用によって脱重合処理する。他の実施形態において、ヘパリン及びヘパリン製品から選択される試料は、ヘパリナーゼ混合物の作用によって脱重合する。たとえば、ヘパリナーゼ混合物は、ヘパリナーゼ1(EC4.2.2.7.)、ヘパリナーゼ2(ヘパリンリアーゼII)及びヘパリナーゼ3(EC4.2.2.8.)を含むことができる。
【0048】
本発明の他の実施形態において、陰イオン交換クロマトグラフィー(SAX−強陰イオン交換)が、試料処理後の試料中のグリコセリンの存在(又は非存在)の測定に使用される。本発明の関連する実施形態において、陰イオン交換クロマトグラフィー用の固定相は、たとえば、−NMe3+を含む4級アンモニウム誘導体がグラフトされている。本明細書では、「強陰イオン交換クロマトグラフィー」(SAX)という用語は、一定の正味正電荷がpH約2〜12の範囲に維持されている任意の樹脂で実施される陰イオン交換クロマトグラフィーを包含する。本発明のある実施形態において、強陰イオン交換クロマトグラフィーは、4級アンモニウム交換基で機能化された固相支持体を使用する。たとえば、粒子の大きさが約5μm、カラムの長さが約25cm、カラムの直径が約1mmと約4.6mmとの間であるSpherisorb(登録商標)SAX(Waters Corp、Milford MA)などのカラムを使用することができる。他の実施形態において、同日にUSPTOに出願され、CTA−SAXクロマトグラフィーの参照だけのために本明細書に組み込んだ「Method for Determining Specific Groups Constituting Heparins or Low Molecular Weight Heparins」という表題の米国特許出願に記載されたように、CTA−SAXクロマトグラフィーを使用することができる。CTA−SAXクロマトグラフィーは、前記出願において、一定の正味正電荷がpH約2からpH約12の範囲に維持されている逆相シリカカラムに、力学的に被覆された4級アンモニウム塩で実施される陰イオン交換クロマトグラフィーとして定義されている。
【0049】
したがって、本発明の1実施形態は、ヘパリン又はヘパリン製品の試料のグリコセリン含量を分析することによって、該試料のグリコセリン含量を定量する方法を提供する。1実施形態において、試料の分析は試料を酵素的消化すること及び消化した試料中のグリコセリン残基含量をHPLCなどのクロマトグラフィー法による定量することを含む。関連する実施形態において、CTA−SAX又はSAXをグリコセリン残基含量の定量のために使用することができる。たとえば、限定はしないが、該試料のグリコセリン含量は試料の2.0%未満、試料の0.3%未満、又は試料の0.1%未満に低下させることができる。試料のグリコセリン含量はまた、0.0%(すなわち、検出不能)であることが可能である。
【0050】
ヘパリン又はヘパリン製品の試料のグリコセリン含量を測定するための方法の1実施形態において、クロマトグラフィー段階の移動相は約200nmから約400nmの範囲の紫外線(UV)透過性である。該移動相は、たとえば、過塩素酸ナトリウム、メタンスルホン酸塩又はリン酸塩を含むことができる。
【0051】
ヘパリン及びヘパリン製品から選択される試料の処理後グリコセリン含量を測定するための方法の1実施形態では、多糖類はクロマトグラフィー後のUV吸収によって検出される。多糖類のUV吸収は、非アセチル化多糖類の吸収シグナルを消すために、クロマトグラフィー後に、たとえば、202nm及び240nmの2波長で測定することができる。
【0052】
該方法の他の実施形態は、
a)試料からグリコセリン及び/又は酸化グリコセリン残基を除去し、及び/又は減少させること、及び
b)該試料中のグリコセリン及び/又は酸化グリコセリン残基の有無を検出するためにクロマトグラフィー法を使用して該試料を分析することを含む、ヘパリン又はヘパリン製品の試料のグリコセリン含量をモニターする方法を提供する。
【0053】
関連する実施形態は、グリコセリン及び/又は酸化グリコセリン残基の除去及び/又は減少は、
a)過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム及び過マンガン酸4級アンモニウムから選択される少なくとも1種の過マンガン酸塩の、ヘパリンに対して約4重量%から約10重量%により酸化することによってヘパリンを精製し、酸化は約35℃から約90℃の範囲の温度で起こること、及び
b)前記酸化ヘパリンを脱重合することを含む。
【0054】
本発明の他の実施形態において、ヘパリン及びヘパリン製品から選択される試料のグリコセリン含量は、たとえば、外部較正又は内部較正のいずれかによって定量することができる。内部較正は、2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸などの内部標準物質の使用を含むことができる。他の関連する実施形態において、測定すべき溶液は2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸約0.15g/lを含有することが可能である。
【0055】
この方法の他の実施形態は、ヘパリン又はヘパリン製品のグリコセリン含量を測定することを含む、前記ヘパリン又はヘパリン製品の着色傾向を予測する方法を提供する。関連する実施形態では、グリコセリン含量は外部較正又は内部較正によって定量される。内部較正は、内部標準を含有することができる。関連する実施形態において、該内部標準は2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸又は2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸約0.15g/lである。
【0056】
本発明の1実施形態において、クロマトグラフィー段階はヘパリン分子のグリコセリン結合ドメインの四糖を検出する。ヘパリンのグリコセリン結合ドメインの四糖は、
【0057】
【化2】

である。
【0058】
当業者であれば、この方法及び本明細書で説明した態様は、当業界で公知のLMWH及びULMWH並びに市販のもののグリコセリン含量を測定するために使用することができることを理解するだろう。本発明の他の利点は、以下の説明にある程度は説明されており、ある程度は説明から明らかであるか、又は本発明を実施する当業者には認識できるであろう。本発明の利点は、添付した特許請求の範囲で特に指摘した要素及び組み合わせによって実現し、達成されるだろう。
【0059】
前述の一般説明及び以下の詳細な説明の両方は例示し、説明するのみであって、本発明を特許請求の範囲のように限定するのではないことを理解されたい。
【0060】
同様に、この明細書に組み込まれ、この明細書の一部を構成する添付図面は、本発明のいくつかの実施形態を例示しており、説明と共に本発明の原理を説明するために役立つ。
【0061】
図1は、前述したように市販の非過マンガン酸塩処理及び過マンガン酸塩処理エノキサパリンナトリウムの安定性増強試験を示す図である。
【0062】
図2は、脱重合ヘパリン物質の代表的なクロマトグラムである。
【0063】
図3は、アセチル化糖の選択的検出方法を例示するUVスペクトルである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】市販の過マンガン酸塩無処理及び過マンガン酸塩処理エノキサパリンナトリウムの安定性増強試験を示す図である。
【図2】脱重合ヘパリン物質の代表的なクロマトグラムである。
【図3】アセチル化糖の選択的検出方法を例示するUVスペクトルである。
【0065】
四糖GlcA−Gal−Gal−Xyl−Ser(ピーク番号1)のNMRは、DO、500MHz(σ、ppm)で以下のようなスペクトルを示す。3.30(1H、t、7Hz)、3.34(1H、t、8Hz)、3.55(1H、t、7Hz)、3.60(1H、t、7Hz)、3.63と3.85との間(10H、未分割ピーク)、3.91(2H、未分割ピーク)3.96(1H、dd、7Hz及び2Hz)、4.02と4.10の間(3H、未分割ピーク)、4.12(1H、d、2Hz)、4.18(1H、未分割ピーク)、4.40(1H、d、6Hz)、4.46(1H、d、6Hz)、4.61(1H、d、6Hz)、5.29(1H、d、3Hz)、5.85(1H、d、3Hz)。
【0066】
添付した図面で示した本発明の例示的実施形態を詳細にここで記載する。
【0067】
ヘパリンの調製物、LMWH及びULMWHにおけるグリコセリン残基の存在は、製品の商用価値を低下させる品質的及び安定性の問題の原因と成り得る。たとえば、エノキサパリン安定性試験では、グリコセリン残基は着色速度を増加させ、承認された製造計画にはない製品バッチを導く可能性がある。図1参照。ヘパリンにおいてグリコセリンの量を制御すると、LMWH及びULMWHを含めた、生じる市販製品をよりよく標準化することが可能である。その結果、販売できない製造製品バッチの危険性を減少させることができる。
【0068】
過マンガン酸カリウムなどの本明細書で記載した過マンガン酸塩の少なくとも1種の作用によって、ヘパリン鎖中のグリコセリン残基の選択的切断が可能であることが示された。さらに、過マンガン酸塩の作用部位、過マンガン酸塩の作用機構及び過マンガン酸作用から得られる構造が特徴付けられた。
【0069】
その結果として、本発明の主題は、以下の段階、
a)前述したような方法に従って、ヘパリンの重量に対して約4%から約10%の、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム及び過マンガン酸4級アンモニウムから選択される少なくとも1種の過マンガン酸塩、たとえば過マンガン酸カリウムにより、約35℃から約90℃の範囲の温度でヘパリンを処理する段階、及び
b)グリコセリンを含まない、脱色ヘパリンを精製する段階を含む、グリコセリンを含まない脱色ヘパリン及びグリコセリンを含まない脱色ヘパリンの調製方法である。
【0070】
1実施形態では、温度は約40℃から約80℃の範囲である。この範囲内で、ヘパリンの重量に対して8%の過マンガン酸塩により処理すると、グリコセリン残基の除去におけるその効果が維持される。ヘパリンの重量に対して4%以上の過マンガン酸塩の過マンガン酸塩濃度により、約80℃の温度で本発明にしたがって処理すると、検出可能なグリコセリン残基を実質的に除去される。ヘパリンの重量に対して8%未満の過マンガン酸塩により処理すると、グリコセリン残基の除去はもはや十分ではあり得ない(以下の実施例9を参照のこと)。実際に、酸化段階で使用した過マンガン酸カリウムの濃度は、グリコセリン残基の減少又は除去における温度よりも重要である。
【0071】
本発明によって調製されたヘパリンは、次にその他のグリコセリンを含まない脱色ヘパリン製品、たとえば、フラキシパリン、フラグミン、インノヘップ(ロギパリン)、ノルミフロ、エムボレックス(サンドパリン)、フラクサム(ミニダルトン)、クリバリン及びヒボールの調製に使用することができる。
【0072】
本発明の他の実施形態は、
a)過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム及び過マンガン酸4級アンモニウムから選択される少なくとも1種の過マンガン酸塩の、ヘパリンに対して約4重量%から約10重量%により酸化することによってヘパリンを精製し、酸化は約35℃から約90℃の範囲の温度で起こること、及び
b)Aventis Pharma SA、その完全子会社、及びその承継人及び譲渡人、及びAventis Pharma SAの代理人、その完全子会社及びその承継人及び譲渡人から選択される製造者以外の製造者によって、前記エノキサパリンを得るための方法に従って酸化ヘパリンを脱重合することを含む、ヘパリンからの脱色エノキサパリンの調製法を目的とする。
【0073】
さらに、本発明の他の実施形態は、前記エノキサパリンを得るために、Aventis Pharma SA、その完全子会社、及びその承継人及び譲渡人、及びAventis Pharma SAの代理人、その完全子会社及びその承継人及び譲渡人から選択される製造者以外の製造者による方法に従って、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム及び過マンガン酸4級アンモニウムから選択される少なくとも1種の過マンガン酸塩の、ヘパリンに対して約4重量%から約10重量%によって酸化されたヘパリンを脱重合し、酸化が約35℃から約90℃の範囲の温度で起こることを含む、脱色エノキサパリンの調製法を目的とする。
【0074】
さらに、本発明によって調製されたヘパリンは、次にグリコセリンを含まない、脱色ULMWHを調製するために使用することができる。LMWH及びULMWHの調製方法は、たとえば、FR2440376、米国特許第4692435号、FR2453875、Barrowcliffe、Thromb.Res.12、27〜36(1977)、米国特許第4401758号、EP14184、EP37319、EP76279、EP623629、FR2503714、米国特許第4804652号、WO813276、EP40144、米国特許第5389618号、EP287477、EP347588、EP380943、米国特許第4533549号、米国特許第4629699号、米国特許第4791195号、米国特許第4981955号、EP380943、EP347588、EP64452、米国特許第4396762号、EP244235、EP244236、米国特許第4826827号、米国特許第3766167号)、EP269981、米国特許第4303651号、米国特許第4757057号及び米国特許出願公開第2002−0055621 A1に開示されている。(いずれもこのような方法の開示について本明細書に組み込まれるが、但し、米国特許第5389618号は共存する再発行手続の結果として補正されたときのみ組み込まれる。)。
【0075】
したがって、本発明の他の主題は、この出願の出願日現在でUSFDAによって承認されている入手可能なLMWHを除いた、グリコセリンを含まない脱色LMWH及び、以下の段階、
a)前述したような方法に従って、ヘパリンの重量に対して約4%から約10%の、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム及び過マンガン酸4級アンモニウムから選択される少なくとも1種の過マンガン酸塩、たとえば過マンガン酸カリウムにより、約35℃から約90℃の範囲の温度でヘパリンを処理する段階、
b)グリコセリンを含まない脱色ヘパリンを精製する段階、及び
c)前記グリコセリンを含まない脱色LMWHを製造するために、グリコセリンを含まない脱色ヘパリンを脱重合する段階を含む、グリコセリンを含まない脱色LMWHの調製方法である。
【0076】
以下の構造は、ヘパリン中の過マンガン酸塩切断点を示しており、ヘパリン分子の酸化中の過マンガン酸カリウムの作用機構を示す。
【0077】
【化3】

【0078】
理論付けられてはないが、ヘパリンが本発明の方法に従って処理されるとき、過マンガン酸塩はグルクロン酸の近接したジオールに作用し、セリン残基の選択的除去を可能にすると考えられる。過マンガン酸カリウムは非常に選択的であるが、過ヨウ素酸ナトリウムはまた、これらの部位でヘパリンを切断する(H.E.Conrad、Heparin−Binding Proteins、130、Academic Press(1998)を参照のこと。)。しかし、過マンガン酸による反応とは対照的に、過ヨウ素酸ナトリウムのヘパリンとの反応はATIII部位を分解し、抗凝固活性の所望しない損失が生じる。同著。
【0079】
本発明による過マンガン酸カリウムによる処理はまた、グリコセリンアミノ酸を酸に分解し、それによってヘパリン着色反応(メイラード反応)に必要な成分のもとを除去する。本発明の方法によるヘパリンに対する過マンガン酸塩の作用は、以下の反応によって例示することができるが、これらは網羅的なものではない。
【0080】
【化4】


【0081】
切断点を同定するための一般的な方法は、たとえば、本発明によって過マンガン酸カリウムで処理されたヘパリンにヘパリナーゼIIIを作用させる方法である。この酵素は、ヘパリンの非硫酸化領域に対して特異性が高い。2−O−硫酸を含まないウロン酸を含有する二糖単位及び蛋白質(ヘパリン鎖を有する蛋白質はセリン−グリシン鎖である)に対してヘパリンが結合するドメインを選択的に脱重合する。ΔIVa−Gal−Gal−Xyl−Ser成分又はその任意の酸化誘導体のΔIVa、ΔIVs二糖の形成は、すなわち、IVa二糖を有する結合領域は、主にヘパリナーゼIIIによる消化後に認められる。この酵素は、ヘパリン鎖の残りの部分に影響を及ぼさない。したがって、脱重合された物質は、ヘパリンオリゴ糖(二糖から四糖)及びその他の多糖の混合物を含有する。この混合物は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって分析できるようにする前に、ヘパリン鎖を除去するために前処理する必要がある。当業者であれば、ミリポア膜(5kDa)による超遠心又はメタノール沈殿とその後の遠心を含めたいくつかのヘパリン鎖除去方法に精通しているであろう。したがって、調製された溶液はその後HPLCによって分析することができる。以下の断片は、HPLC(多孔質黒鉛)/質量分析連結(「MM」は分子量を意味する)によって同定することができる。
【0082】
【化5】

【0083】
四糖MM=690及び三糖MM=588の構造は、各磁気共鳴(NMR)によって確認した。
【0084】
これらの断片は、本発明による過マンガン酸カリウムによる処理は蛋白質結合領域に選択的に作用し、セリン残基を除去することを示している。化合物MM=690は、反応1とそれに続く酵素消化の結果である。化合物MM=511は、反応2とそれに続く酵素消化の結果である。化合物MM=588は、反応3とそれに続く酵素消化の結果である。
【0085】
前記の化合物MM=511、MM=588及びMM=690は、実質的に純粋な形態で単離され、得ることができる。本明細書では、「実質的に純粋」とは、質量分析又はNMRによって化合物を同定するために十分純粋であることを意味する。1実施形態において、実質的に純粋な化合物は少なくとも80%純粋な化合物である。他の実施形態において、実質的に純粋な化合物は少なくとも90%純粋な化合物である。本発明の一態様において、試料を脱重合して、MM=511、MM=588及びMM=690から選択されるオリゴ糖を検出するためにクロマトグラフィー法を使用して試料を分析することを含む、ヘパリン又はヘパリン製品の試料のオリゴ糖含量を決定する方法を提供する。関連する実施形態において、オリゴ糖含量は外部較正又は内部較正によって定量される。他の実施形態において、該内部較正は内部標準を含む。関連する実施形態において、該内部標準は、MM=511、MM=588及びMM=690から選択される実質的に純粋な化合物である。
【0086】
構造確認のために、HPLCを使用して、結合関連ドメイン(グリコセリン)に特徴的な四糖を単離して、NMRで同定する(たとえば、粗ヘパリンはヘパリナーゼIIIの作用によって選択的に脱重合できる。)。
【0087】
【化6】

【0088】
Yamada他は、Yamada他、J.Biol.Chem.270(39):22914(1995);J.Biol.Chem.267(3):1528(1992);Biochemistry、38:838(1999)において、ヘパリナーゼによるヘパリン脱重合の研究によってこの断片を特徴付けた。
【0089】
着色の問題は、ヘパリン、LMWH及びLMWH調製物の貯蔵寿命に影響を与える可能性があるので、製造工程中の品質管理が必要であり、本発明の他の主題は、グリコセリン及びその酸化誘導体の存在を検出し、及び/又は定量するための、このような調製物の分析方法である。該方法の1実施形態は、以下の段階、
a)試料の脱重合段階、
b)該試料がヘパリン又はヘパリン製品いずれであるにせよ、得られたオリゴ糖をHPLCで分離する段階、及び
c)グリコセリン及び/又はその酸化誘導体を含有するオリゴ糖を検出する段階を含む。
【0090】
本発明の1実施形態において、試料の脱重合は、たとえば、Grampiam Enzymesから入手したヘパリナーゼ1(EC4.2.2.7.)、ヘパリナーゼ2(ヘパリンリアーゼII)及びヘパリナーゼ3(EC4.2.2.8.)を含むヘパリナーゼ混合物の作用によって実施することができる。酵素的脱重合は、当業者によって決定できる一定の時間、当業者によってまた決定できる適切な温度で実施することができる。たとえば、酵素的脱重合は、測定すべきヘパリン20mg/mlを含有する水性溶液20μl並びに酢酸カルシウム2mM及びBSA2mg/mlを含有する100mM酢酸/NaOH溶液、pH7.0、100μlをヘパリナーゼ1、2及び3それぞれを0.5単位/mlを含むヘパリナーゼ1、ヘパリナーゼ2及びヘパリナーゼ3の混合物を含む保存溶液20μlと混合することによって、周囲温度で48時間実施することができる。当業者は、これらの実験条件を基質及び酵素の様々な量に容易に適応させることができる。
【0091】
本発明の方法において、脱重合された試料中に存在する様々な多糖及びオリゴ糖は、当業者に公知の方法を使用して分離し定量する。たとえば、グリコセリン及びその酸化誘導体を含む多糖及びオリゴ糖は、たとえば、−NMeなどの4級アンモニウム誘導体がグラフトされた固定相を備えた陰イオン交換クロマトグラフィーを使用して、HPLCによって分離することができる。該クロマトグラフィー用カラムには様々な使用可能な樹脂のいずれか、たとえば、粒子の大きさがたとえば5μmから10μmの範囲のSpherisorb SAX種を充填することができる。
【0092】
使用した装置は、溶出勾配の形成が可能でUV検出器を利用できる任意のクロマトグラフであってよい。本発明の1実施形態では、UV検出器は、少なくとも2種類の異なる波長で要素のUVスペクトルを測定でき、これらの異なる波長の吸収の間の違いから得られる信号を記録できるダイオードアレイであってよい。これによって、アセチル化オリゴ糖の特異的検出が可能である。この種の検出を可能にするために、200nmまでのUV光を通過させる移動相が好ましい。移動相の例は、過塩素酸塩、メタンスルホン酸塩又はリン酸塩をベースとしてよい。また、分離用の移動相のpHは、約2.0から約6.5であることが可能である。特定の1実施形態では、移動相のpHは約3である。非アセチル化多糖類は全て、所与のpHで、よく似たUVスペクトルを示すので、非アセチル化糖類の吸収率を相殺するように選択された2種類の波長での吸収の違いをシグナルとして取得することよって、選択的にアセチル化糖類を検出することが可能である。
【0093】
グリコセリン及びその酸化誘導体を含む多糖類及びオリゴ糖類の定量は、外部較正又は内部較正の方法を使用して実施できる。本発明の1実施形態において、使用した内部標準は、2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸である。この実施形態において、測定すべきヘパリンの水性溶液は、2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸約0.15g/lを含有する。脱重合化された試料は、本明細書に参考により組み込む2002年9月22日に出願された特許FR0211724に記載された方法に従ってクロマトグラフィーによって測定することができ、グリコセリン含量の測定法についてその特定の適用を以下に例示した。
【0094】
例として、本発明によるクロマトグラフィー分離の可能な条件を以下に挙げる。
【0095】
−5μm spherisorb SAXカラム、長さ25cm、内径2.1mm。
【0096】
−溶媒A:HPOを添加してpH2.9にしたNaHPO 2.5mM。
【0097】
−溶媒B:HPOを添加してpH3.0にした1N NaClO−MaHPO 2.5mM。
【0098】
溶出勾配は以下の通りであってよい。
【0099】
−T=0分:%B=3
−T=40分:%B=60、及び
−T=60分:%B=80。
【0100】
これらの条件例によって脱重合ヘパリン物質を分析した結果を表したクロマトグラムを図2に示す。特に、本発明の主題は、結合ドメイン(グリコセリン)に特徴的な四糖の存在を追究する、前記で定義した様な分析方法である。この四糖は、
【0101】
【化7】

である。
【0102】
本発明の他の態様は、クロマトグラフィー分離中に利用される検出方法である。特に、UV検出の特異性を高めるために、方法を開発した。図3に示したように、202nm及び240nmを検出及び参照波長として選択し、202〜240nm信号を記録する。この技法に適切な検出器は、Agilent Technologies社のDAD1100検出器である。この場合、2重検出、すなわち、最初に234nm、次に202〜240nmの検出を実施する。
【0103】
本発明の主題はまた、陰イオン交換クロマトグラフィーによる分離を使用した前記で定義した分析法であり、該検出方法はアセチル化糖の選択的検出を可能にする。本発明の主題はまた、交換クロマトグラフィーによる分離を使用した、前記で定義した分析方法であり、非アセチル化糖類の吸収率を相殺するように選択された2種類の波長の吸収の違いを信号として取得することよって、アセチル化糖の選択的な検出を実施する。
【0104】
試料の比色分析の準備
濃度が100mg/mlに調節されるように水溶液を調製することが可能であり、得られた溶液を次に多孔率0.22μmの膜フィルターで濾過する。次に、400nmにおける吸収の値を測定する。この測定値は試験開始値に対応する。該溶液を瓶当たり約5mlの割合で7本の瓶に分配する。次に、該試料を45℃のオーブン内に設置する。毎週、オーブンから瓶を1本取り出し、400nmの吸収の値を20℃で測定する。6週間後、試料の適合性を測定することができる。
【0105】
糖類及び図2のクロマトグラフによるピークに関する用語:
IdoA:α−L−ヨードピラノシルウロン酸、
GlcA:β−D−グルコピラノシルウロン酸、
ΔGlcA:4,5−不飽和酸:4−デオキシ−α−L−トレオ−ヘクス−4−エンピラノシルウロン酸、
Gal:D−ガラクトース、
Xyl:キシロース、
GlcNAc:2−デオキシ−2−アセトアミド−α−D−グルコピラノース、
GlcNS:2−デオキシ−2−スルファミド−α−D−グルコピラノース、
2S:2−O−硫酸、
3S:3−O−硫酸、
6S:6−O−硫酸、
1:ΔGlcAβ1−3Galβ1−3Galβ1−4Xylβ1−O−Ser
2:(4−デオキシ−α−L−トレオ−ヘキセンピラノシルウロン酸)−(1→4)−2−デオキシ−2−アセトアミド−α−D−グルコピラノース、ナトリウム塩、
5:(4−デオキシ−α−L−トレオ−ヘキセンピラノシルウロン酸)−(1→4)−2−デオキシ−2−スルファミド−α−D−グルコピラノース、2ナトリウム塩、
6:(4−デオキシ−α−L−トレオ−ヘキセンピラノシルウロン酸)−(1→4)−2−デオキシ−2−アセトアミド−6−O−スルホ−α−D−グルコピラノース、2ナトリウム塩、
9:(4−デオキシ−2−O−スルホ−α−L−トレオ−ヘキセンピラノシルウロン酸)−(1→4)−2−デオキシ−2−アセトアミド−α−D−グルコピラノース、2ナトリウム塩、
11:(4−デオキシ−α−L−トレオ−ヘキセンピラノシルウロン酸)−(1→4)−2−デオキシ−2−スルファミド−6−O−スルホ−α−D−グルコピラノース、3ナトリウム塩、
12:(4−デオキシ−2−O−スルホ−α−L−トレオ−ヘキセンピラノシルウロン酸)−(1→4)−2−デオキシ−2−スルファミド−α−D−グルコピラノース、3ナトリウム塩、
14:(4−デオキシ−2−O−スルホ−α−L−トレオ−ヘキセンピラノシルウロン酸)−(1→4)−2−デオキシ−2−アセトアミド−6−O−スルホ−α−D−グルコピラノース、3ナトリウム塩、
15:(4−デオキシ−α−L−トレオ−ヘキセンピラノシルウロン酸)−(1→4)−2−デオキシ−2−アセトアミド−6−O−スルホ−α−D−グルコピラノシル−(1→4)−(β−D−グルコピラノシルウロン酸)−(1→4)−2−デオキシ−2−スルファミド−3−O−スルホ−α−D−グルコピラノース、5ナトリウム塩、
16:(4−デオキシ−2−O−スルホ−α−L−トレオ−ヘキセンピラノシルウロン酸)−(1→4)−2−デオキシ−2−スルファミド−6−O−スルホ−α−D−グルコピラノース、4ナトリウム塩、
17:(4−デオキシ−α−L−トレオ−ヘキセンピラノシルウロン酸)−(1→4)−2−デオキシ−2−アセトアミド−6−O−スルホ−α−D−グルコピラノシル−(1→4)−(β−D−グルコピラノシルウロン酸)−(1→4)−2−デオキシ−2−スルファミド−3,6−ジ−O−スルホ−α−D−グルコピラノース、6ナトリウム塩。
【0106】
したがって、本発明の方法は、分析前の試料の予備処理方法及び結合ドメインに特徴的な四糖の有無を決定するために使用したクロマトグラフィー法を含む。
【0107】
(実施例)
以下の実施例において、略語「NI」は内部較正の意味である。実施例6〜11は、ヘパリンのグリコセリン残基の除去に対する温度及び過マンガン酸カリウム濃度の影響を示す。
【実施例1】
【0108】
「改良型」ヘパリンの調製
この方法は、粗ヘパリン調製物の抗Xa活性を高めるもので、グリコセリン残基を除去する方法によりヘパリン調製物を使用する前に使用することができる。この実施例で調製された「改良型」ヘパリンは、実施例2〜10で使用された。また、この実施例で使用した粗ヘパリン調製物の最初の抗Xa活性は150IU/mgである。
【0109】
水520ミリリットル及びNaCl112.5g(20%w/v)を2Lの容器に入れた。溶解後、粗ヘパリン60.0gを該溶液に添加した。30分間機械的に撹拌した後、懸濁液中の沈殿物を、clarcel33.9gを充填した3番焼結ガラス濾過器で濾過した。次に、該焼結ガラスフィルターをNaCl20%(w/v)溶液120mlで濯いだ。得られた濾液(704ml)を2Lの反応容器に添加し、機械的攪拌機の存在下でメタノール(388ml)を迅速に注いだ。温度約20℃で約2時間撹拌した後、懸濁液を一晩沈殿させた。上清(804ml)を取り出し、廃棄して、沈殿した沈殿物をNaCl20%溶液(水368ml中NaCl73.5g)に溶解した。30分間撹拌した後、メタノール385mlを迅速に添加した。温度約20℃で約1時間撹拌した後、懸濁液を約12時間沈殿させた。次に上清(840ml)を取り出し、廃棄して、メタノール(400ml)を沈殿した沈殿物に添加した。再度、約1時間撹拌した後、該懸濁液を約12時間沈殿させ、上清(430ml)を取り除いて廃棄した。メタノール(400ml)を沈殿した沈殿物に添加した。約1時間この溶液を撹拌した後、懸濁液を約12時間沈殿させた。沈殿後、懸濁した沈殿物を3番焼結ガラス濾過器で濾過した。得られたケーキをメタノール400mlで2回洗浄した。湿った固形物をフィルター乾燥して、次に減圧下(6kPa)で約40℃の温度で乾燥させた。乾燥後、「改良型」ヘパリン43.7gが得られた。収率は73%だった。
【0110】
グリコセリン残基はこれらの処理によって影響を受けず、試料中のグリコセリンの割合(NI%)は2.4であった。
【実施例2】
【0111】
過マンガン酸カリウムで酸化し、脱重合した「改良型」ヘパリン
実施例1で説明したように得られた「改良型」ヘパリン12グラム及び蒸留水120mlを250mlエルレンマイヤーフラスコに入れた。磁石で撹拌して該混合物の温度を40℃に調節した。1N水酸化ナトリウムを添加することによって、該混合物のpHを8.7±0.3に調節した。反応媒体を80℃まで加熱して、固形KMnO0.96gを添加した。15分間撹拌した後、該混合物を80℃で1時間凝集させた。次に、clarcel(1.2g)を添加した。15分間撹拌した後、clarcel15gを充填した3番焼結ガラス濾過器で濾過することよって沈殿物を収集した。該沈殿物を60℃の水25ml、次いで20℃の水25mlで洗浄した。次に、濾液(180ml)を250mlエルレンマイヤーフラスコに入れて、1%溶液を得るためにNaCl1.8gを濾液に添加した。1N水酸化ナトリウムを添加することによって、pHを約11.2±0.3に調節した。該反応媒体を45℃で2時間加熱して、次に約20℃で約12時間ゆっくり撹拌した。この溶液を3番焼結ガラス濾過器で濾過して、該漏斗を20%(w/v)NaCl溶液15mlで洗浄した。濾液を250mlエルレンマイヤーフラスコに入れて、30%過ヨウ素酸水素水溶液1.2mlを添加した。該反応媒体を20℃で約12時間ゆっくり撹拌した。6N HCl溶液を添加することによってpHを6.2±0.3に調節して、NaCl濃度を3%に調節した。この溶液を多孔率1μmの膜で濾過して、該膜を水5mlで洗浄した。この濾過から集めた濾液(204ml)を500mlエルレンマイヤーフラスコに入れて、磁石撹拌機の存在下でメタノール(163ml)を迅速に添加した。30分間激しく撹拌した後、懸濁液を約12時間沈殿させた。次に上清(295ml)を取り出し、廃棄して、メタノール(70ml)を沈殿した沈殿物に添加した。約30分間撹拌した後、懸濁液を約3時間沈殿させた。次に上清(80ml)を取り出し、廃棄して、メタノール(60ml)を沈殿した沈殿物に添加した。約30分間撹拌した後、懸濁液を約12時間沈殿させた。懸濁液中の沈殿物を3番焼結ガラス濾過器で濾過した。濾過によって得られたケーキをメタノール25mlで2回洗浄した。湿った固形物をフィルター乾燥して、次に減圧下(6kPa)で約40℃の温度で乾燥させた。乾燥後、「精製」ヘパリン10.33gが得られた。得られた収率は86.1%だった。
【0112】
得られた組成物は以下の特徴を有した。
【0113】
N%グリコセリン=0
抗Xa活性=203.5IU/mg
【実施例3】
【0114】
酸化せずに発熱性物質を除去した「改良型」ヘパリン
実施例1で説明したように得られた「改良型」ヘパリン12グラム及び蒸留水120mlを250mlエルレンマイヤーフラスコに入れた。1%溶液を得るために、NaCl(1.21g)を添加した。1N水酸化ナトリウムを添加することによって、pHを約11.2±0.3に調節した。該反応媒体を45℃で2時間加熱して、次に約20℃の温度で約12時間ゆっくり撹拌した。この溶液を3番焼結ガラス濾過器で濾過して、該漏斗を20%(w/v)NaCl溶液10mlで洗浄した。得られた濾液を250mlエルレンマイヤーフラスコに入れて、30%過ヨウ素酸水素水溶液1.2mlを添加した。該反応媒体を約20℃の温度で12時間ゆっくり撹拌した。6N HCl溶液を添加することによって、pHを6.2±0.3に調節して、NaCl濃度を3%に調節した。この溶液を多孔率1μmの膜で濾過した。濾液(138ml)を250mlエルレンマイヤーフラスコに入れて、磁石撹拌機の存在下でメタノール(110ml)を迅速に添加した。30分間撹拌した後、懸濁液を約12時間沈殿させた。次に上清(195ml)を取り出し、廃棄して、メタノール(55ml)を沈殿した沈殿物に添加した。約30分間撹拌した後、懸濁液を約1時間沈殿させた。上清(57ml)を再度取り出して、廃棄した。メタノール(55ml)を沈殿した沈殿物に添加した。30分間撹拌した後、懸濁液を約12時間沈殿させた。次に、この沈殿物を3番焼結ガラス濾過器で濾過することによって収集し、得られたケーキをメタノール25mlで2回洗浄した。湿った固形物をフィルター乾燥して、次に減圧下(6kPa)で約40℃の温度で乾燥させた。乾燥後、「精製」ヘパリン11.12gが得られた。得られた収率は92.7%だった。
【0115】
得られた組成物は以下の特徴を有した。
【0116】
NI% グリコセリン=2.4
抗Xa活性=203.5IU/mg
【実施例4】
【0117】
酸化も発熱性物質除去もしていない「改良型」ヘパリン
実施例1で説明したように得られた「改良型」ヘパリン12グラム及び蒸留水120mlを250mlエルレンマイヤーフラスコに入れた。1N水酸化ナトリウムを添加して、pHを約11.2±0.3にし、過ヨウ素酸水素水溶液1.2mlを添加した。該反応媒体を約20℃の領域の温度で12時間ゆっくり撹拌した。6N HCl溶液を添加することによって、pHを6.2±0.3に戻して、NaCl力価を3%に調節した。この溶液を多孔率1μmの膜で濾過して、水2mlで洗浄した。得られた濾液(133ml)を500mlエルレンマイヤーフラスコに入れて、メタノール(106ml)を磁石撹拌機の存在下で迅速に添加した。30分間撹拌した後、懸濁液を翌日まで沈殿させた。次に上清を取り出し、廃棄して(190ml)、メタノール50mlを沈殿した沈殿物に添加した。約30分間撹拌した後、懸濁液を4時間沈殿させた。再度上清を取り出し、その後廃棄して(48ml)、メタノール50mlを沈殿した沈殿物に添加した。30分間撹拌した後、懸濁液を約12時間沈殿させた。沈殿後、懸濁液中の沈殿物を3番焼結ガラス濾過器で濾過した。次に、得られたケーキをメタノール25mlで2回洗浄した。湿った固形物をフィルター乾燥して、次に減圧下(6kPa)で約40℃の領域の温度で乾燥させた。乾燥後、「精製」ヘパリン10.48gが得られた。得られた収率は87.35%だった。
【0118】
得られた組成物は以下の特徴を有した。
【0119】
NI%グリコセリン=2.4
抗Xa活性=209.5IU/mg
【実施例5】
【0120】
酸化して発熱性物質を除去しなかった「改良型」ヘパリン
実施例1によって得られた「改良型」ヘパリン12グラム及び蒸留水120mlを250mlエルレンマイヤーフラスコに入れた。該混合物を磁石撹拌機の存在下で40℃にした。1N水酸化ナトリウムを添加することによってpHを8.7±0.3にした。反応媒体を約80℃まで加熱して、固形KMnO0.96gを該反応媒体に添加した。15分間撹拌した後、該混合物を80℃で1時間凝集させた。次に、carcel1.2gを添加した。15分間撹拌した後、懸濁液中の沈殿物を、clarcel15gを充填した3番焼結ガラス濾過器で濾過した。これを60℃の水25ml、次いで20℃の水25mlで連続的に洗浄した。濾液(178ml)を250mlエルレンマイヤーフラスコに入れて、30%過ヨウ素酸水素水溶液1.2mlを添加した。該反応混合物を約20℃の領域の温度で12時間ゆっくり撹拌した。6N HCl溶液を添加することによって、pHを6.2±0.3に戻して、NaCl力価を3%に調節した。次に、この溶液を多孔率1μmの膜で濾過して、水2mlで洗浄した。得られた濾液(192ml)を500mlエルレンマイヤーフラスコに入れて、メタノール154mlを磁石撹拌機の存在下で迅速に添加した。30分間撹拌した後、懸濁液を翌日まで沈殿させた。次に上清を取り出し、廃棄して(283ml)、メタノール60mlを沈殿した沈殿物に添加した。約30分間撹拌した後、懸濁液を4時間沈殿させた。再度上清を取り出し、廃棄して(58ml)、メタノール60mlを沈殿した沈殿物に添加した。30分間撹拌した後、懸濁液を約12時間沈殿させた。懸濁液中の沈殿物を3番焼結ガラス濾過器で濾過した。次に、得られたケーキをメタノール25mlで2回洗浄した。湿った固形物をフィルター乾燥して、次に減圧下(6kPa)で約40℃の領域の温度で乾燥させた。乾燥後、「精製」ヘパリン10.31gが得られた。得られた収率は85.9%だった。
【0121】
得られた組成物は以下の特徴を有した。
【0122】
NI%グリコセリン=0
抗Xa活性=210.3IU/mg
【実施例6】
【0123】
8%KMnO中で80℃で酸化した「改良型」ヘパリン
実施例1によって得られた「改良型」ヘパリン10グラム及び蒸留水100mlを250mlエルレンマイヤーフラスコに入れた。該混合物を磁石撹拌機の存在下で40℃にした。1N水酸化ナトリウムを添加することによって、pHを8.7±0.3にした。反応媒体を80℃まで加熱して、固形KMnO0.80gを添加した。15分間撹拌した後、該混合物を80℃で1時間凝集させた。次に、carcel1.0gを添加した。15分間撹拌した後、懸濁液中の沈殿物を、clarcel15gを充填した3番焼結ガラス濾過器で濾過した。これを60℃の水25ml、次いで20℃の水25mlで連続的に洗浄した。得られた濾液(152ml)を250mlエルレンマイヤーフラスコに入れて、1%溶液を得るためにNaCl1.5gを添加した。1N水酸化ナトリウムを添加することによって、pHを約11±0.3にした。該反応媒体を約45℃で2時間加熱して、次に約20℃の領域の温度で12時間ゆっくり撹拌した。該溶液を3番焼結ガラス濾過器で濾過した。得られた濾液を250mlエルレンマイヤーフラスコに入れて、30%過ヨウ素酸水素水溶液1.0mlを添加した。該反応媒体を約20℃の領域の温度で12時間ゆっくり撹拌した。6N HCl溶液でpHを6.2±0.3に戻して、NaCl力価を3%に調節した。該溶液を多孔率1μmの膜で濾過して、濾液の半分(70ml)を250mlエルレンマイヤーフラスコに入れて、メタノール56mlを磁石撹拌機の存在下で迅速に添加した。30分間撹拌した後、該混合物を沈殿させた。上清を取り出し、その後廃棄して(118ml)、メタノール60mlを沈殿した沈殿物に添加した。30分間撹拌した後、懸濁液を約12時間沈殿させた。次に上清を取り出し、廃棄して(54ml)、メタノール50mlを沈殿した沈殿物に添加した。約30分間撹拌した後、懸濁液を約12時間沈殿させた。懸濁液中の沈殿物を3番焼結ガラス濾過器で濾過した。次に、得られたケーキをメタノール25mlで2回洗浄した。湿った固形物をフィルター乾燥して、次に減圧下(6kPa)で約40℃の領域の温度で乾燥させた。乾燥後、「精製」ヘパリン2.80gが得られた。得られた収率は63.3%だった。
【0124】
得られた組成物は以下の特徴を有した。
【0125】
NI%グリコセリン=0.0
【実施例7】
【0126】
4%KMnO中で80℃で酸化した「改良型」ヘパリン
実施例1によって得られた「改良型」ヘパリン10グラム及び蒸留水100mlを250mlエルレンマイヤーフラスコに入れた。該混合物を磁石撹拌機の存在下で40℃にした。1N水酸化ナトリウムを添加することによってpHを8.7±0.3にした。反応媒体を80℃まで加熱して、固形KMnO0.40gを添加した。15分間撹拌した後、該混合物を80℃で1時間凝集させた。carcel1.0gを添加した。15分間撹拌した後、懸濁液中の沈殿物を、clarcel15gを充填した3番焼結ガラス濾過器で濾過した。これを60℃の水25ml、次いで20℃の水25mlで連続的に洗浄した。得られた濾液(158ml)を250mlエルレンマイヤーフラスコに入れて、1%溶液を得るためにNaCl1.6gを添加した。1N水酸化ナトリウムを添加することによってpHを約11±0.3にした。該反応媒体を45℃で2時間加熱して、次に約20℃の領域の温度で12時間ゆっくり撹拌した。該溶液を3番焼結ガラス濾過器で濾過した。濾液を再度250mlエルレンマイヤーフラスコに入れて、30%過ヨウ素酸水素水溶液1.0mlを添加した。該反応媒体を20℃の領域の温度で12時間ゆっくり撹拌した。6N HCl溶液でpHを6.2±0.3に戻して、NaCl力価を3%に調節した。この溶液を多孔率1μmの膜で濾過した。濾液(152ml)を500mlエルレンマイヤーフラスコに入れて、メタノール122mlを磁石撹拌機の存在下で迅速に添加した。上清を取り出し、廃棄して(251ml)、メタノール100mlを沈殿した沈殿物に添加した。30分間撹拌した後、懸濁液を約12時間沈殿させた。次に上清を取り出し、廃棄して(97ml)、メタノール100mlを沈殿した沈殿物に添加した。約30分間撹拌した後、懸濁液を約12時間沈殿させた。懸濁液中の沈殿物を3番焼結ガラス濾過器で濾過した。次に、得られたケーキをメタノール30mlで2回洗浄した。湿った固形物をフィルター乾燥して、次に減圧下(6kPa)で40℃の領域の温度で乾燥した。乾燥後、「精製」ヘパリン6.4gが得られた。得られた収率は71%だった。
【0127】
得られた組成物は以下の特徴を有した。
【0128】
NI%グリコセリン=0.0
【実施例8】
【0129】
8%KMnO中で40℃で酸化した「改良型」ヘパリン
実施例1によって得られた「改良型」ヘパリン10グラム及び蒸留水100mlを250mlエルレンマイヤーフラスコに入れた。該混合物を磁石撹拌機の存在下で40℃にした。1N水酸化ナトリウムを添加することによって、pHを8.7±0.3にした。次に、反応媒体を40℃まで加熱して、固形KMnO0.80gを添加した。15分間撹拌した後、該混合物を80℃で1時間凝集させた。carcel1.0gを添加した。15分間撹拌した後、懸濁液中の沈殿物を、clarcel15gを充填した3番焼結ガラス濾過器で濾過した。これを60℃の水25ml、次いで20℃の水25mlで連続的に洗浄した。得られた濾液(142ml)を250mlエルレンマイヤーフラスコに入れて、1%溶液を得るためにNaCl1.42gを添加した。1N水酸化ナトリウムを添加することによって、pHを約11±0.3にした。該反応媒体を45℃で2時間加熱して、次に20℃の領域の温度で12時間ゆっくり撹拌した。次に、該溶液を3番焼結ガラス濾過器で濾過した。濾液を再度250mlエルレンマイヤーフラスコに入れて、30%過ヨウ素酸水素水溶液1.0mlを添加した。該反応媒体を20℃の領域の温度で12時間ゆっくり撹拌した。6N HCl溶液でpHを6.2±0.3に戻して、NaCl力価を3%に調節した。この溶液を多孔率1μmの膜で濾過して、濾液の半分(80ml)を250mlエルレンマイヤーフラスコに入れた。磁石撹拌機の存在下でメタノール64mlを迅速に添加した。約30分間撹拌した後、懸濁液を沈殿させた。上清を取り出し、その後廃棄して(131ml)、メタノール60mlを沈殿した沈殿物に添加した。約30分間撹拌した後、懸濁液を約12時間沈殿させた。次に上清を取り出し、廃棄して(52ml)、メタノール50mlを沈殿した沈殿物に添加した。該懸濁液を3番焼結ガラス濾過器で濾過した。次に、得られたケーキをメタノール25mlで2回洗浄した。湿った固形物をフィルター乾燥して、次に減圧下(6kPa)で40℃の領域の温度で乾燥させた。乾燥後、「精製」ヘパリン2.3gが得られた。得られた収率は54%だった。
【0130】
得られた組成物は以下の特徴を有した。
NI%グリコセリン=0.0
【実施例9】
【0131】
8%KMnOで、60℃で酸化した「改良型」ヘパリン
実施例1によって得られた「改良型」ヘパリン10グラム及び蒸留水100mlを250mlエルレンマイヤーフラスコに入れた。該混合物を磁石で撹拌しながら40℃にした。1N水酸化ナトリウムを添加することによって、pHを8.7±0.3にした。反応媒体を60℃まで加熱して、固形KMnO0.80gを添加した。15分間撹拌した後、該混合物を80℃で1時間凝集させた。次に、carcel1.0gを添加した。15分間撹拌した後、懸濁液中の沈殿物を、clarcel15gを充填した焼結ガラス濾過器3で濾過した。次に、これを60℃の水25ml、次いで20℃の水25mlで洗浄した。得られた濾液(150ml)を250mlエルレンマイヤーフラスコに入れた。1%溶液を得るために、NaCl1.5gを添加した。1N水酸化ナトリウムを添加することによって、pHを約11±0.3にした。該反応媒体を45℃で2時間加熱して、次に約20℃の領域の温度で12時間ゆっくり撹拌した。該溶液を3番焼結ガラス濾過器で濾過した。濾液を再度250mlエルレンマイヤーフラスコに入れて、30%過酸化酸素水溶液1.0mlを添加した。該反応媒体を約20℃の領域の温度で12時間ゆっくり撹拌した。6N HCl溶液でpHを6.2±0.3に戻して、NaCl力価を3%に調節した。この溶液を多孔率1μmの膜で濾過して、濾液の半分(70ml)を250mlエルレンマイヤーフラスコに入れた。磁石撹拌機の存在下でメタノール56mlを迅速に添加した。次に上清を取り出し、廃棄して(118ml)、メタノール60mlを沈殿した沈殿物に添加した。約30分間撹拌した後、該混合物を約12時間沈殿させた。次に上清を取り出し、廃棄して(54ml)、メタノール50mlを沈殿した沈殿物に添加した。該懸濁液を3番焼結ガラス濾過器で濾過した。次に、得られたケーキをメタノール25mlで2回洗浄した。湿った固形物をフィルター乾燥して、次に減圧下(6kPa)で約40℃の領域の温度で乾燥した。乾燥後、「精製」ヘパリン3.12gが得られた。得られた収率は68%だった。
【0132】
得られた組成物は以下の特徴を有した。
【0133】
NI%グリコセリン=0.0
【実施例10】
【0134】
2%KMnOで80℃で酸化した「改良型」ヘパリン
前述のように得られた「改良型」ヘパリン10グラム及び蒸留水100mlを250mlエルレンマイヤーフラスコに入れた。該混合物を磁石撹拌機の存在下で40℃にした。1N水酸化ナトリウムを添加することによって、pHを8.7±0.3にした。反応媒体を80℃まで加熱して、固形KMnO0.16gを添加した。15分間撹拌した後、該混合物を80℃で1時間凝集させた。次に、carcel1.0gを添加した。15分間撹拌した後、懸濁液中の沈殿物を、clarcel15gを充填した3番焼結ガラス濾過器で濾過した。次に、これを40℃の水25ml、次いで20℃の水25mlで洗浄した。濾液(114ml)を250mlエルレンマイヤーフラスコに入れた。1%溶液を得るために、NaCl1.14gを添加した。1N水酸化ナトリウムを添加することによって、pHを約11±0.3にした。該反応媒体を45℃で2時間加熱して、次に約20℃の領域の温度で12時間ゆっくり撹拌した。該溶液を3番焼結ガラス濾過器で濾過した。濾液を再度250mlエルレンマイヤーフラスコに入れて、30%過ヨウ素酸水素水溶液0.8mlを添加した。該反応媒体を約20℃の領域の温度で12時間ゆっくり撹拌した。6N HCl溶液でpHを6.2±0.3に戻して、NaCl力価を3%に調節した。この溶液を多孔率1μmの膜で濾過して、濾液の半分(75ml)を250mlエルレンマイヤーフラスコに入れた。磁石撹拌機の存在下でメタノール60mlを迅速に添加した。約30分間撹拌した後、混合物を沈殿させた。上清を取り出し、その後廃棄して(120ml)、メタノール50mlを沈殿した沈殿物に添加した。約30分間撹拌した後、混合物を沈殿させた。次に上清を取り出し、廃棄して(38ml)、メタノール40mlを沈殿した沈殿物に添加した。約30分間撹拌した後、懸濁液を沈殿させた。次に、上清を取り出し、廃棄して(27ml)、メタノール30mlを沈殿した沈殿物に添加した。該懸濁液を3番焼結ガラス濾過器で濾過した。次に、得られたケーキをメタノール25mlで2回洗浄した。湿った固形物をフィルター乾燥して、次に減圧下(6kPa)で約40℃の領域の温度で乾燥させた。乾燥後、「精製」ヘパリン2.61gが得られた。得られた収率は72%だった。
【0135】
得られた組成物は以下の特徴を有した。
NI%グリコセリン=0.8
【実施例11】
【0136】
2%KMnOで60℃で酸化した「改良型」ヘパリン
実施例1によって得られた「改良型」ヘパリン10グラム及び蒸留水100mlを250mlエルレンマイヤーフラスコに入れた。該混合物を磁石撹拌機の存在下で40℃にした。1N水酸化ナトリウムを添加することによって、pHを8.7±0.3にした。反応媒体を60℃まで加熱して、固形KMnO0.16gを添加した。15分間撹拌した後、該混合物を60℃で1時間凝集させた。次に、carcel1.0gを添加した。15分間撹拌した後、懸濁液中の沈殿物を、clarcel15gを充填した3番焼結ガラス濾過器で濾過した。次に、これを40℃の水20mlで2回洗浄した。濾液(129ml)を250mlエルレンマイヤーフラスコに入れた。1%溶液を得るために、NaCl1.29gを添加した。1N水酸化ナトリウムを添加することによって、pHを約11±0.3にした。該反応媒体を45℃で2時間加熱して、次に約20℃の領域の温度で12時間ゆっくり撹拌した。該溶液を3番焼結ガラス濾過器で濾過した。濾液を再度250mlエルレンマイヤーフラスコに入れて、30%過ヨウ素酸水素水溶液0.8mlを添加した。該反応媒体を約20℃の領域の温度で12時間ゆっくり撹拌した。6N HCl溶液でpHを6.2±0.3に戻して、NaCl力価を3%に調節した。この溶液を多孔率1μmの膜で濾過して、濾液の半分(75ml)を250mlエルレンマイヤーフラスコに入れた。磁石撹拌機の存在下でメタノール60mlを迅速に添加した。上清を取り出し、その後廃棄して(120ml)、メタノール50mlを沈殿した沈殿物に添加した。約30分間撹拌した後、混合物を沈殿させた。次に、上清を取り出し、その後廃棄して(32ml)、メタノール30mlを沈殿した沈殿物に添加した。約30分間撹拌した後、混合物を沈殿させた。次に、上清を取り出し、廃棄して(26ml)、メタノール30mlを沈殿した沈殿物に添加した。該懸濁液を3番焼結ガラス濾過器で濾過した。次に、得られたケーキをメタノール25mlで2回洗浄した。湿った固形物をフィルター乾燥して、次に減圧下(6kPa)で約40℃の領域の温度で乾燥させた。乾燥後、「精製」ヘパリン2.24gが得られた。得られた収率は62%だった。
【0137】
得られた組成物は以下の特徴を有した。
NI%グリコセリン=0.9
【0138】
【表1】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム及び過マンガン酸4級アンモニウムから選択される少なくとも1種の過マンガン酸塩の、ヘパリンに対して約4重量%から約10重量%により酸化することによってヘパリンを精製し、酸化が約35℃から約90℃の範囲の温度で起こること、及び
b)少なくとも1種の脱色ヘパリン製品を得るために前記酸化ヘパリンを脱重合することを含む、本出願の出願日現在USFDAによって承認されている市販のLMWH以外の、少なくとも1種の脱色ヘパリン製品をヘパリンから調製する方法。
【請求項2】
前記ヘパリン製品が脱重合後精製される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも1種の過マンガン酸塩の濃度が約8%である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1種の過マンガン酸塩が過マンガン酸カリウムである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ヘパリン製品が、エノキサパリン又はエノキサパリンナトリウムではない低分子量ヘパリンである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ヘパリン製品が超低分子量ヘパリンである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
酸化が約40℃から約80℃の範囲の温度で起こる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記少なくとも1種のヘパリン製品がグリコセリンを含まない、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1種のヘパリン製品が低下されたグリコセリン含量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
a)試料を処理すること、及び
b)前記試料中のグリコセリン及び/又は酸化グリコセリン残基の存在又は非存在を検出するためにクロマトグラフィー法を使用して前記試料を分析することを含む、ヘパリン又はヘパリン製品の試料のグリコセリン含量を測定する方法。
【請求項11】
前記試料の処理が前記試料の脱重合を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記試料が少なくとも1種のヘパリナーゼで脱重合される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1種のヘパリナーゼが、ヘパリナーゼ1、ヘパリナーゼ2及びヘパリナーゼ3から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記試料が、ヘパリナーゼ1、ヘパリナーゼ2及びヘパリナーゼ3を含むヘパリナーゼの混合物で脱重合される、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記クロマトグラフィー法がアセチル化された基を検出する、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記クロマトグラフィー法が陰イオン交換クロマトグラフィーを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記クロマトグラフィー法が強陰イオン交換クロマトグラフィー(SAX)を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記強陰イオン交換クロマトグラフィーが4級アンモニウム交換基で官能化された固相支持体を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
固定相が−NMe3+を含む4級アンモニウム誘導体がグラフトされている、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記クロマトグラフィー法がCTA−SAXクロマトグラフィーを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項21】
陰イオン交換クロマトグラフィー用の移動相が、波長約200nmから約400nmまでの紫外線(UV)光を透過する、請求項16に記載の方法。
【請求項22】
前記移動相が、過塩素酸ナトリウム、メタンスルホン酸塩又はリン酸塩を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記クロマトグラフィー法に続いて多糖類を検出する方法をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項24】
前記多糖類がUV吸収によって検出される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記UV吸収が、非アセチル化多糖類の吸収信号が相殺されるように選択された少なくとも2種類の波長で測定される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記少なくとも2種類の波長が202nm及び240nmを含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
グリコセリン含量が外部又は内部較正によって定量される、請求項10に記載の方法。
【請求項28】
前記内部較正が内部標準の使用を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記内部標準が2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記内部標準が2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸約0.15g/lである、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記クロマトグラフィー法が、以下の構造
【化1】

を有するヘパリンのグリコセリン結合ドメインの四糖を検出することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項32】
前記移動相のpHの範囲が約2.0から約6.5である、請求項21に記載の方法。
【請求項33】
前記移動相のpHが約3である請求項32に記載の方法。
【請求項34】
a)試料を脱重合すること、
b)高速液体クロマトグラフィーによって前記試料中のオリゴ糖を分離すること、
c)グリコセリン及び/又はグリコセリンの酸化誘導体を含有するオリゴ糖を検出し、及び/又は定量することを含む、前記試料中のグリコセリン及び/又はグリコセリンの酸化誘導体を検出し、及び/又は定量するために、ヘパリン製品の試料を分析する方法。
【請求項35】
前記試料が少なくとも1種のヘパリナーゼの作用で脱重合される、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記少なくとも1種のヘパリナーゼが、ヘパリナーゼ1、ヘパリナーゼ2及びヘパリナーゼ3から選択される、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記試料がヘパリナーゼの混合物の作用によって脱重合される、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
ヘパリナーゼの前記混合物が、ヘパリナーゼ1、ヘパリナーゼ2及びヘパリナーゼ3を含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
下式
【化2】

を有する実質的に純粋な化合物。
下式
【化3】

を有する実質的に純粋な化合物。
【請求項40】
下式
【化4】

を有する実質的に純粋な化合物。
【請求項41】
a)過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム及び過マンガン酸4級アンモニウムから選択される少なくとも1種の過マンガン酸塩の、ヘパリンに対して約4重量%から約10重量%により酸化することによってヘパリンを精製し、酸化が約35℃から約90℃の範囲の温度で起こること、及び
b)脱色ヘパリン製品を得るための方法に従って、前記酸化ヘパリンの製造者によって脱重合すること、を含む、フラキシパリン(fraxiparin)、フラグミン(fragmin)、インノヘップ(innohep)(ロギパリン(logiparin))、ノルミフロ(normiflo)、エムボレックス(embollex)(サンドパリン(sandoparin))、フラクサム(fluxum)(ミニダルトン(minidalton))、クリバリン(clivarin)及びヒボール(hibor)から選択される少なくとも1種の脱色ヘパリン製品を、ヘパリンから調製する方法。
【請求項42】
前記脱色ヘパリン製品を得るための方法に従って、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム及び過マンガン酸4級アンモニウムから選択される少なくとも1種の過マンガン酸塩の、ヘパリンに対して約4重量%から約10重量%により酸化されたヘパリンを脱重合し、酸化が約35℃から約90℃の範囲の温度で起こることを含む、フラキシパリン(fraxiparin)、フラグミン(fragmin)、インノヘップ(innohep)(ロギパリン(logiparin))、ノルミフロ(normiflo)、エムボレックス(embollex)(サンドパリン(sandoparin))、フラクサム(fluxum)(ミニダルトン(minidalton))、クリバリン(clivarin)及びヒボール(hibor)から選択される少なくとも1種の脱色ヘパリン製品を調製する方法。
【請求項43】
a)過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム及び過マンガン酸4級アンモニウムから選択される少なくとも1種の過マンガン酸塩の、ヘパリンに対して4重量%から10重量%の作用によってヘパリンを精製し、酸化が約35℃から約90℃の範囲の温度で起こること、
b)前記少なくとも1種の組成物を得るためにヘパリンを脱重合すること、及び
c)場合によって、前記少なくとも1種の組成物を精製することを含む方法に従って得られた、本出願の出願日現在でUSFDAによって承認されているLMWH及びULMWH製品を除く、低グリコセリン及び無グリコセリンの、脱色されたLMWH及びULMWHから選択される少なくとも1種の組成物。
【請求項44】
過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム及び過マンガン酸4級アンモニウムから選択される少なくとも1種の過マンガン酸塩の、ヘパリンに対して4重量%から10重量%の作用によって酸化されたヘパリンを脱重合し、酸化が約35℃から約90℃の範囲の温度で起こることを含む方法に従って得られた、本出願の出願日現在でUSFDAによって承認されているLMWH及びULMWH製品を除く、低グリコセリン及び無グリコセリンの、脱色LMWH及びULMWHから選択される少なくとも1種の組成物。
【請求項45】
a)過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム及び過マンガン酸4級アンモニウムから選択される少なくとも1種の過マンガン酸塩の、ヘパリンに対して約4重量%から約10重量%により酸化することによってヘパリンを精製し、酸化が約35℃から約90℃の範囲の温度で起こること、及び
b)Aventis Pharma SA、その完全子会社、及びその承継人及び譲渡人、並びにAventis Pharma SAの代理人、その完全子会社及びその承継人及び譲渡人から選択される製造者以外の製造者によって、エノキサパリンを得るための方法に従って酸化ヘパリンを脱重合することを含む、ヘパリンからの脱色エノキサパリンを調製する方法。
【請求項46】
前記エノキサパリンを得るために、Aventis Pharma SA、その完全子会社、及びその承継人及び譲渡人、並びにAventis Pharma SAの代理人、その完全子会社及びその承継人及び譲渡人から選択される製造者以外の製造者によって、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム及び過マンガン酸4級アンモニウムから選択される少なくとも1種の過マンガン酸塩の、ヘパリンに対して約4重量%から約10重量%により酸化されたヘパリンを脱重合し、酸化が約35℃から約90℃の範囲の温度で起こることを含む、脱色エノキサパリンを調製する方法。
【請求項47】
a)グリコセリン及び/又は酸化グリコセリン残基を試料から除去すること、及び/又は減少させること、及び
b)前記試料中のグリコセリン及び/又は酸化グリコセリン残基の存在又は非存在を検出するためにクロマトグラフィー法を使用して前記試料を分析することを含む、ヘパリン又はヘパリン製品の試料のグリコセリン含量をモニターする方法。
【請求項48】
グリコセリン及び/又は酸化グリコセリン残基の除去及び/又は減少が、
a)過マンガン酸カリウム、過マンガン酸ナトリウム及び過マンガン酸4級アンモニウムから選択される少なくとも1種の過マンガン酸塩の、ヘパリンに対して約4重量%から約10重量%により酸化することによってヘパリンを精製し、酸化が約35℃から約90℃の範囲の温度で起こること、及び
b)前記酸化ヘパリンを脱重合することを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項49】
前記ヘパリン又はヘパリン製品が脱重合後に精製される、請求項49に記載の方法。
【請求項50】
少なくとも1種の過マンガン酸塩の濃度が約8%である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記少なくとも1種の過マンガン酸塩が過マンガン酸カリウムである、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記クロマトグラフィー法がアセチル化された基を検出する、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
前記クロマトグラフィー法が陰イオン交換クロマトグラフィーを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項54】
前記クロマトグラフィー法が強陰イオン交換(SAX)を含む、請求項48に記載の方法。
【請求項55】
前記クロマトグラフィー法がCTA−SAXクロマトグラフィーを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項56】
前記ヘパリン又はヘパリン製品のグリコセリン含量を測定することを含む、ヘパリン又はヘパリン製品の着色傾向を予測する方法。
【請求項57】
前記グリコセリン含量が外部較正又は内部較正によって定量される、請求項57に記載の方法。
【請求項58】
前記内部較正が内部標準の使用を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項59】
前記内部標準が2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸である、請求項59に記載の方法。
【請求項60】
前記内部標準が2−ナフトール−3,6−ジスルホン酸約0.15g/lである、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
a)試料を脱重合すること、及び
b)前記試料中のMM=511、MM=588及びMM=690から選択される少なくとも1種のオリゴ糖を検出するためにクロマトグラフィー法を使用して前記試料を分析することを含む、ヘパリン又はヘパリン製品の試料のオリゴ糖含量を測定する方法。
【請求項62】
前記オリゴ糖含量が外部較正又は内部較正によって定量される、請求項62に記載の方法。
【請求項63】
前記内部較正が内部標準を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項64】
前記内部標準が、MM=511、MM=588及びMM=690から選択される実質的に純粋な化合物である、請求項64に記載の方法。
【請求項65】
試料を酵素的に消化すること、及び消化された試料中のグリコセリン残基の含量をクロマトグラフィー法によって定量することを含む、ヘパリン又はヘパリン製品の試料のグリコセリン含量を定量する方法。
【請求項66】
前記クロマトグラフィー法がHPLCである、請求項66に記載の方法。
【請求項67】
前記クロマトグラフィー法がCTA−SAXである、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
前記クロマトグラフィー法がSAXである、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
前記グリコセリン含量が前記試料の2%未満に減少される、請求項66に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−103263(P2012−103263A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−285227(P2011−285227)
【出願日】平成23年12月27日(2011.12.27)
【分割の表示】特願2007−504379(P2007−504379)の分割
【原出願日】平成17年3月22日(2005.3.22)
【出願人】(500152119)アバンテイス・フアルマ・エス・アー (65)
【Fターム(参考)】