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未加硫ゴム部材用ライナー
説明

未加硫ゴム部材用ライナー

【課題】未加硫ゴム部材のタッキネスを確保し、かつ耐久性に優れた未加硫ゴム部材用ライナーを提供する。
【解決手段】未加硫ゴム部材用ライナー10は平織物とし、緯糸14は樹脂フィルムからなる表面が平滑な繊維径1000〜1330dtexのスプリットヤーンとする。経糸12には、線形の細いマルチフィラメント糸を用いる。緯糸14に表面が平滑なスプリットヤーンを用いているので、緯糸14に接触した未加硫ゴム部材16の表面も平滑となる。また、経糸12のマルチフィラメント糸は、未加硫ゴム部材16との接触面積が最小限に抑えられる。このため、従来の平織物からなるライナーを用いた場合に比較して未加硫ゴム部材表面が全体的に平滑化され、剥離性が良好となり、かつ未加硫ゴム部材のタッキネスを良好に保持することができる。ライナー表面にコーティング等を行う必要もないので、高い耐久性が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未加硫ゴム部材と共に貼り付けられて、未加硫ゴム部材同士の密着を防止する未加硫ゴム部材用ライナーに関する。
【背景技術】
【0002】
タイヤ構成部材であるトレッドゴム、インナーライナー等の未加硫生ゴムを貯蔵するのに、押出機やカレンダロールから供給される帯状の未加硫ゴム部材を巻き取って保管する場合がある。
未加硫ゴム部材は粘着性を有するため、そのまま巻き取ると、巻き取られた未加硫ゴム部材が互いに接着し、巻き出し時には未加硫ゴム部材が変形してしまう。
【0003】
そこで巻き取る未加硫ゴム部材の部材間に巻取りライナーを介在させ、未加硫ゴム部材同士の接着を防止する方法が一般に採用されている。
このようにして巻取りライナーを介在させて巻き取り保管された未加硫ゴム部材は、巻取りライナーを剥離してタイヤ組立てに供せられる。
【0004】
ここに使用される巻取りライナーは、従来、合成繊維織物が主に使用されている。
従来の巻取りライナーとしては、全ての経糸及び緯糸に、同一径の断面が略円形のフィラメントコードを用いるのが一般的であった。
この種の未加硫ゴム部材用ライナーとしては、糸の素材として、ポリエステル、ポリプロピレン、ビニロン、ナイロン等を用いた平織物がある。汎用の平織物としては、経糸、緯糸共にビニロンスパン糸を用いたもの、経糸、緯糸共にポリエステルフィラメント糸を用いたもの等がある。
【0005】
ところで、経糸、緯糸からなる単純な平織物の場合、経糸と緯糸を通常通りに織ると、織物表面に経糸と緯糸による凹凸が多くできてしまい、未加硫ゴム部材が凹部に進入して剥離性が劣る問題がある。また、未加硫ゴム部材の表面が凹凸するとタッキネスが低下し、タイヤ等を成形する際に接着性が低下する問題がある。
そこで、織物の表面にシリコン樹脂、フッソ樹脂等からなる非粘着性外被層を被覆し、剥離性を向上させたライナーが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−234737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1のライナーでは、織物の表面に非粘着性外被層を被覆しているため、経糸、緯糸からなる単純な平織物よりも構造が複雑で製造が煩雑になる。また、引用文献1のライナーでは、長期の使用により非粘着性外被層が剥れる場合があり、非粘着性外被層の無い単純な平織物からなるライナーよりも耐久面で劣る問題がある。
【0008】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、未加硫ゴム部材のタッキネスを確保し、かつ耐久性に優れた未加硫ゴム部材用ライナーを提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであって、請求項1に記載の発明は、長手方向に沿って延びる複数本の経糸と、幅方向に沿って延びる複数本の緯糸とで織られた未加硫ゴム部材用ライナーであって、前記緯糸は、フラットヤーンで構成されている。
【0010】
次に、請求項1に記載の未加硫ゴム部材用ライナーの作用を説明する。
フラットヤーンからなる緯糸は、断面形状が扁平で、糸表面が平滑かつフラットであるため、従来の単純な平織物対比でライナー表面も平滑となる。したがって、緯糸に接触する未加硫ゴム部材の表面も平滑となり、凹凸の存在による未加硫ゴム部材との剥離性の低下を抑えることができ、また、未加硫ゴム部材のタッキネスに寄与する面が平滑となることで未加硫ゴム部材用ライナーのタッキネ保持性が高まる。さらに、ライナー表面に非粘着性外被層を被覆する必要がなくなるので、高い耐久性が得られる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の未加硫ゴム部材用ライナーにおいて、前記フラットヤーンからなる緯糸は、繊維径が1000〜1330dtexである。
【0012】
次に、請求項2に記載の未加硫ゴム部材用ライナーの作用を説明する。
緯糸の繊維径を1000〜1330dtexとすることで、剥離性の低下を好適に抑えることができ、未加硫ゴム部の高いタッキネを確保することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように本発明の未加硫ゴム部材用ライナーは上記の構成としたので、未加硫ゴム部材同士の密着を防止する基本性能を有し、未加硫ゴム部材のタッキネスを確保し、かつ耐久性に優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】(A)は未加硫ゴム部材用ライナーと未加硫ゴム部材の断面図であり、(B)は緯糸の断面図である。
【図2】(A)、(B)は、試験例1の結果を表すグラフである。
【図3】(A)、(B)は、試験例2の結果を表すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の未加硫ゴム部材用ライナーの一実施形態を図1にしたがって説明する。なお、図1(A)は、未加硫ゴム部材用ライナー10の緯糸14に沿った断面図であり、図1(B)は経糸12の長手方向直角断面図である。
本実施形態の未加硫ゴム部材用ライナー10は、ライナー長手方向に延びる複数本の経糸12と、ライナー幅方向に沿って延びる複数本の緯糸14とが互いに交差するように平織りされたものである。
【0016】
緯糸14は、断面形状で見て扁平形状な、樹脂フィルムからなる表面が平滑なフラットヤーン(スプリットヤーンとも呼ばれる。プラスチックフィルムを繊維状としたものとしてフィルムヤーンがあり、本発明では、これもフラットヤーンの範疇となる。)であり、その繊維径は1000〜1330dtexの範囲内に設定されている。なお、未加硫ゴム部材用ライナー10の面に対して、フラットヤーンの平面部分が平行となっている。
【0017】
緯糸14の素材は、未加硫ゴム部材との剥離性に優れたものが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等を用いることが好ましい。
【0018】
一方、経糸12は、本実施形態では線形の細いマルチフィラメント糸が用いられている。なお、経糸12は、未加硫ゴム部材用ライナー10を帯状の未加硫ゴム部材と共に巻き取る際に巻取テンションが作用するため、引張強度を確保した上で、未加硫ゴム部材との接触面積を小さくするため出来る限り細くすることが好ましい。マルチフィラメント糸を用いる理由は、他糸種に比較して同強度で線径が細いからである。なお、マルチフィラメント糸に匹敵する強度を有し、線径が細ければ、経糸12としてマルチフィラメント糸以外であっても良い。
【0019】
本実施形態では、経糸12の繊維径は560dtexに設定されているが、その他の繊維径であっても良い。
経糸12の素材は、引張強度が高く、未加硫ゴム部材との剥離性に優れたものが好ましく、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)等を用いることが好ましい。
また、本実施形態の経糸12の打ち込み本数は、64本/5cmであるが、その他の本数であっても良い。
【0020】
(作用)
次に、本実施形態の未加硫ゴム部材用ライナー10の作用を説明する。
例えば、未加硫ゴム部材用ライナー10を帯状の未加硫ゴム部材16と共に巻き取ると、図1に示すように、未加硫ゴム部材用ライナー10に未加硫ゴム部材16が接触する。
ここで、未加硫ゴム部材用ライナー10は、緯糸14に表面が平滑なスプリットヤーンを用いているので、緯糸14に接触した未加硫ゴム部材16の表面も平滑となる。
【0021】
また、未加硫ゴム部材用ライナー10は、経糸12に、引張強度が高く、線形の細いマルチフィラメント糸を用いているので、経糸12と未加硫ゴム部材16との接触面積が最小限に抑えられる。
【0022】
このため、本実施形態の未加硫ゴム部材用ライナー10を用いることで、スプリットヤーンを用いていない従来の平織物からなる未加硫ゴム部材用ライナーを用いた場合に比較して未加硫ゴム部材表面が全体的に平滑化され、剥離性が良好となり、かつ未加硫ゴム部材16のタッキネスを良好に保持することができる。
また、ライナー表面にコーティング等を行う必要もないので、高い耐久性が得られる。
【0023】
なお、断面が扁平で、面部分が平滑な繊維として、本実施形態ではフラットヤーンを用いているが、断面が扁平で、面部分が平滑な繊維であればフラットヤーン以外の繊維を用いても良い。扁平の程度としては、幅と厚さの比(幅/厚さ)が4.3以上であることが好ましい。
本実施形態では、経糸12にマルチフィラメント糸を用いたが、場合によってはフラットヤーン等のマルチフィラメント糸以外の糸を用いても良い。
【0024】
また、従来の巻取りライナーでは、ライナーのフィラメントコードと、未加硫ゴム部材とが接触することにより以下のような問題を生じる場合があったが、本実施形態の未加硫ゴム部材用ライナー10を用いることで、以下のような問題を解決することができる。
【0025】
(1) 高タッキネスの未加硫ゴム部材の場合、フィラメントコードと未加硫ゴム部材との密着(面積)が大きく、巻出し時、剥がす時に未加硫ゴム部材が伸ばされる。
(2) 薄肉でシート剛性が低い未加硫ゴム部材では、密着している部分に剥がす力が集中するため未加硫ゴム部材の伸びがより顕著である。
【0026】
(3) グリーンモジュラスが低い未加硫ゴム部材を巻取りした場合、巻芯部付近では、未加硫ゴム部材に作用する圧力が大きく、フィラメントコードと未加硫ゴム部材との接触面積が増加するので、より顕著に上記の問題が発生する。
(4) 硫黄多量配合の未加硫ゴム部材では、巻取りライナーとの接触面積が増える程、刺激を受けブルーム(硫黄が表面に析出する現象)を発生させる。また、複数回の巻取り、巻き出しを繰り返した場合、更に接触面積が増えることにより刺激を受け、ブルームが顕著になり、タイヤを組立てる精度を悪化させる。
【0027】
経糸12を繊維径560dtexのマルチフィラメント糸とすることで、未加硫ゴム部材用ライナー10の強度(主に巻取りテンション)を確保しつつ未加硫ゴム部材16との接触面積を小さくすることができる。
【0028】
[試験例1]
本発明の効果を確かめるために、従来構造の未加硫ゴム部材用ライナーと、本発明の適用された実施形態の未加硫ゴム部材用ライナーとを用意し、未加硫ゴム部材としてタイヤのインナーライナーの巻取りを行い、該インナーライナーと未加硫ゴム部材用ライナーとの間の剥離抗力、及びインナーライナーのタッキネスの測定を行った。
【0029】
実施例1:緯糸として、PPの1000dtexのスプリットヤーンを用いた。緯糸の打ち込み本数は、35本/5cmであった。経糸として、PETの280dtexを2本撚ったマルチフィラメントヤーンを用いた。経糸の打ち込み本数は、101本/5cmであった。
【0030】
従来例1:緯糸として、PETの280dtexを2本撚ったマルチフィラメントヤーンを用いた。緯糸の打ち込み本数は、101本/5cmであった。経糸として、PETの280dtexを2本撚ったマルチフィラメントヤーンを用いた。経糸の打ち込み本数は、101本/5cmであった。
【0031】
試験は、上記スペックの未加硫ゴム部材用ライナー(幅650mm、長さ230m)と共に未加硫のインナーライナーゴムをリールに150m巻き取って一日放置後巻き出し、ライナーとインナーライナーゴム間の剥離抗力、インナーライナーゴムのタッキネスを複数箇所にて測定した。
【0032】
剥離抗力の試験結果は、図2(A)のグラフに示す通りであり、実施例の未加硫ゴム部材用ライナーは、従来の未加硫ゴム部材用ライナーよりも剥離抗力が小さく抑えられていることが分かる。なお、図2(A)のグラフ縦軸は剥離抗力(kg)、横軸は巻き外からの位置(m)を示している。
【0033】
タッキネスの試験結果は、図2(B)のグラフに示す通りであり、実施例の未加硫ゴム部材用ライナーを用いて巻き取ったインナーライナーゴムは、従来の未加硫ゴム部材用ライナーを用いて巻き取ったインナーライナーゴムよりもタッキネスが高く、タッキネスの保持性が良好であることが分かる。なお、図2(B)のグラフにおいて、縦軸はインナーライナーゴムのタッキネス(g)、横軸は巻き外からの位置(m)を示している。
【0034】
剥離抗力の測定方法:インナーライナーゴムとライナーとを重ねて巻き取ったロールからインナーライナーを引き出し、インナーライナーの先端にクリップを挟み、クリップをプルスケール(引張応力測定機)で引っ張って、インナーライナーをライナーから剥がしている際の引張応力を剥離抗力(g)とした。
【0035】
タッキネスの測定方法:株式会社東洋精機製作所製のPICMA・タックテスタを用い、当該テスタのアルミロールをインナーライナーゴムに500gfの荷重で30秒押し当て、30m/minで引き上げ、その際の応力(インナーライナーゴムの測定位置を変え、5点計測の平均値)をタッキネス(g)とした。
【0036】
[試験例2]
実施例1、及び従来例1とは、緯糸のスペックが異なる実施例2、及び従来例2の未加硫ゴム部材用ライナーを用い、試験例1と同様の試験を行った。
【0037】
実施例2:緯糸として、PPの1330dtexのスプリットヤーンを用いた。緯糸の打ち込み本数は、35本/5cmであった。経糸として、PETの280dtexを2本撚ったマルチフィラメントヤーンを用いた。経糸の打ち込み本数は、101本/5cmであった。
【0038】
剥離抗力の試験結果は、図3(A)のグラフに示す通りであり、実施例の未加硫ゴム部材用ライナーは、従来の未加硫ゴム部材用ライナーよりも剥離抗力が小さく抑えられていることが分かる。
【0039】
また、タッキネスの試験結果は、図3(B)のグラフに示す通りであり、実施例の未加硫ゴム部材用ライナーを用いて巻き取ったインナーライナーゴムは、従来の未加硫ゴム部材用ライナーを用いて巻き取ったインナーライナーゴムよりもタッキネスが高く、タッキネスの保持性が良好であることが分かる。
【符号の説明】
【0040】
10 未加硫ゴム部材用ライナー
12 経糸
14 緯糸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って延びる複数本の経糸と、幅方向に沿って延びる複数本の緯糸とで織られた未加硫ゴム部材用ライナーであって、
前記緯糸は、フラットヤーンで構成されている、未加硫ゴム部材用ライナー。
【請求項2】
前記フラットヤーンからなる緯糸は、繊維径が1000〜1330dtexである、請求項1に記載の未加硫ゴム部材用ライナー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−163703(P2010−163703A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−5086(P2009−5086)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】