説明

未成熟の顆粒球成分を含む血液学の参照対照

未成熟の顆粒球成分を含む血液学の参照対照及びその作製方法が開示される。参照対照は、ヒトの未成熟顆粒球をシミュレートするための処理された血液細胞から作製される未成熟の顆粒球成分、及び未成熟の顆粒球の測定のために該成分を血液分析計に送達するのに好適な懸濁媒を含む。未成熟の顆粒球成分は、処理された鳥類、爬虫類、又は魚類の赤血球から作製されることができる。参照対照はさらに、白血球亜集団をシミュレートするための白血球小成分を含む。未成熟の顆粒球を血液分析計において測定するために参照対照を使用する方法がさらに開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未成熟の顆粒球成分を含む血液学の参照対照組成物、並びに血液分析計における血液サンプルの未成熟の顆粒球の測定のための該血液学の参照対照組成物の製造及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
末梢血中の未成熟の顆粒球(IG)の存在は、亢進された骨髄活性化の指標となる、潜在的に重要な情報である。白血病の診断のための芽球の明白な重要性のほかに、骨髄球成熟の前骨髄球、骨髄球及び後骨髄球段階が全身的な炎症性ストレス又は白血病性反応を指し示すことができる。未成熟の顆粒球の測定は、光学顕微鏡によって日常的に行われ、これは各血液サンプルスメアの手動による観察を必要とし、そしてこれは労働集約的な時間のかかる仕事である。
【0003】
最近、光学的、蛍光、及びインピーダンスの測定を利用して血液サンプルの未成熟の顆粒球の自動化測定を提供する、いくつかのハイエンド血液分析計がある。米国特許第5,958,776号(Sysmex)は、溶解試薬並びに光散乱及び蛍光測定を用いて未成熟の顆粒球を測定する方法を教示する。しかしながら、これらの機器およびそれらの検出系は高価であり、低費用分析計には適さない。したがって、自動化されかつ安価な、未成熟顆粒球の測定及び手動で観察する率を減らすことが必要とされている。
【0004】
一方、質のコントロールは、臨床血液学において長い間必要かつ日常的な手順であった。多様なタイプの血液細胞の計数における精度は、一部、適切な対照物及び該対照物の使用方法に依存する。現在利用可能な粒子計数のための多数のタイプの機器において、対照物の使用による質のコントロールは必要である。なぜなら、機器の故障の可能性は常に存在するからである。自動粒子計数装置のための質のコントロールプログラムを維持するための従来方法は、新鮮なヒト血液を全血標準として提供することから成る。しかしながら、この新鮮な血液は1日しか使用することができず、したがって、より長期の製品寿命を有する様々な対照物製品が開発された。
【0005】
対照物中で一般的に使用される粒子は、分析を受けることを意図される粒子又は細胞のタイプをシミュレートするか又は近似する。その結果、これらの粒子はしばしばアナログ粒子と呼ばれてきた。アナログ粒子は、機器において分析される粒子又は細胞の特徴に類似した一定の特徴を有するように選択されるか又は設計されなければならない。例示的な特徴及びパラメータはサイズ、体積、表面特性、粒度特性、光散乱特性及び蛍光特性における類似性を含む。
【0006】
現在、多様な商業的参照対照製品が入手可能であり、これらはヒト血液細胞のアナログとして、多様な処理された又は固定されたヒト又は動物血液細胞を使用する。米国特許第4,704,364号(Carverら)は、DCインピーダンス測定を用いる白血球の3つの亜集団への分類分析のための、固定された動物赤血球から作製された3種の白血球アナログを含む血液学の参照対照を教示する。米国特許第5,512,485号(Youngら)は、光散乱、高周波、及び一般にVCS法と呼ばれるDCインピーダンス測定を用いる、白血球の5つの亜集団への分類分析のための、処理され及び固定された動物赤血球から作られた数種類の白血球アナログを含む血液学の対照を教示する。
【0007】
しかしながら、現在、未成熟の顆粒球測定の質のコントロールを可能とする、未成熟の顆粒球組成物を提供する血液学の参照対照はない。
【0008】
以上のことから、未成熟の顆粒球の測定の質をコントロールするための未成熟の顆粒球成分を含む血液学の参照対照が必要とされている。
【発明の開示】
【0009】
発明の要約
1つの実施態様において、本発明は、未成熟の顆粒球成分を含む血液学の参照対照を提供し、これはヒト未成熟顆粒球をシミュレートするための処理された非ヒト血液細胞から作製された未成熟の顆粒球成分、及び未成熟の顆粒球の測定のために該成分を血液分析計に送達するのに好適な懸濁媒を含む。未成熟の顆粒球成分は、血液分析計で測定した場合、ヒト顆粒球のサイズ範囲の最大限のサイズよりも約2%〜約85%大きいサイズ範囲にある。未成熟の顆粒球成分は、処理されたエミュー、ダチョウ、ワニ又はサメの赤血球などの鳥類、爬虫類又は魚類の赤血球から作られることができる。
【0010】
血液学の参照対照はさらに、有核赤血球成分を含むことができる。さらに、血液学の参照対照は、白血球亜集団をシミュレートするための白血球小成分を含むことのできる、成熟した白血球成分も含むことができる。さらに、血液学の参照対照は、赤血球成分、血小板成分、及び網状赤血球成分を含むことができる。
【0011】
さらなる実施態様においては、本発明は、未成熟の顆粒球成分を含む血液学の参照対照を提供し、これは、血液分析計においてヒトの成熟した白血球をシミュレートする成熟した白血球成分;ヒト未成熟顆粒球をシミュレートするための未成熟の顆粒球成分;及び未成熟の顆粒球の測定のために、上記成分を血液分析計に送達するための好適な懸濁媒を含む。処理された鳥類、爬虫類、または魚類の赤血球に加えて、処理されたヒト未成熟顆粒球も、参照対照中の未成熟の顆粒球成分として使用されることができる。ヒト未成熟顆粒球は、株化細胞によってインビトロで増殖させられることができる。
【0012】
他の実施態様においては、本発明は、未成熟の顆粒球成分を含む血液学の参照対照を提供し、これは、リンパ球成分としての、第一の種由来の第一の処理された赤血球;骨髄球成分としての、第二の種由来の第二の処理された赤血球;未成熟の顆粒球成分としての、第三の種由来の第三の処理された赤血球;及び未成熟の顆粒球の測定のために、上記成分を血液分析計に送達するための好適な懸濁媒を含む。
【0013】
なおさらなる実施態様においては、本発明は、未成熟の顆粒球成分を含む血液学の参照対照を用いる方法を対象とする。該方法は、以下のステップ:未成熟の顆粒球成分を含む参照対照を提供し;未成熟の顆粒球の分析に適合された血液分析計を提供し;未成熟の顆粒球成分の検出のために、血液分析計に参照対照を通し;そして、参照対照中の未成熟の顆粒球成分を報告する、を含む。未成熟の顆粒球の測定は、インピーダンス測定、並びに光散乱測定及び軸方向光損失測定を含む光学測定を用いて実施されることができる。
【0014】
発明の詳細な説明
1つの実施態様において、本発明は、未成熟の顆粒球成分を含む、血液学の参照対照組成物を提供する。より具体的には、参照対照組成物は、ヒト未成熟顆粒球をシミュレートするための処理された非ヒト血液細胞から作られた未成熟の顆粒球成分、及び未成熟の顆粒球の測定のために上記成分を血液分析計に送達するための好適な懸濁媒を含む。本明細書中での未成熟の顆粒球は、骨髄球、前骨髄球、後骨髄球、骨髄芽球及び前骨髄芽球を含む。本発明の目的のためには、未成熟の顆粒球成分並びに他の細胞タイプ成分も、未成熟の顆粒球(IG)アナログなどのアナログと呼ばれる。
【0015】
ヒト未成熟顆粒球をシミュレートするために好適な非ヒト血液細胞の好適な例は、これらに限定されないが、鳥類、爬虫類及び魚類の赤血球を含む多様な動物の赤血球を含む。より具体的には、エミュー、ダチョウ、ワ二、及びサメの赤血球が使用可能である。一般に、未成熟の顆粒球は、成熟した白血球よりもサイズが大きく、より特別には、それらの平均細胞体積は、顆粒球のそれよりも大きい。アナログは、サンプル調製条件下及び白血球分析に使用される測定方法によって、ヒト未成熟顆粒球の性質をシミュレートしなければならない。一般に、未成熟の顆粒球アナログは、血液分析計で測定した場合、ヒト顆粒球のサイズ範囲の最大限のサイズよりも約2〜85%大きいサイズ範囲に作製されることができる。
【0016】
さらなる実施態様においては、未成熟の顆粒球成分は、未成熟の顆粒球細胞株によってインビトロで増殖させられた、固定されたヒト未成熟顆粒球から作られることができる。
【0017】
1つの実施態様においては、エミューの赤血球が未成熟の顆粒球アナログを作るために使用された。未成熟の顆粒球アナログを調製するために、先ず、大量のエミュー全血中のエミュー赤血球を、白血球、血小板及び血漿を含む他の血液成分から遠心分離によって分離する。エミュー赤血球は、等張の洗浄溶液で洗浄される。洗浄されたエミュー赤血球は次に、一定時間、好ましくは約8〜約28時間、ゆっくりと混合しながら処理媒体中で該細胞をインキュベートすることによって、処理媒体によって処理される。処理されたエミュー赤血球は、再度洗浄され、そして保存及び血液分析計での使用のために懸濁媒中に懸濁される。
【0018】
1つの好適な洗浄溶液は、リン酸緩衝食塩水(PBS)である。当業者に知られた他の洗浄溶液も使用されることができる。処理媒体は、血液細胞の供給源及び上記アナログに必要な性質に依存して、該処理媒体の適切なモル浸透圧濃度を提供するために、固定化及びモル浸透圧濃度調節剤を含む。モル浸透圧濃度調節剤の好適な例は、限定されないが、アルカリ金属リン酸塩、アルカリ金属塩化物及びアルカリ金属硫酸塩を含む。固定化剤の好適な例は、限定されないが、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド及びパラホルムアルデヒドを含む。固定化剤の濃度は、約0.5%〜約1.5%の範囲である。
【0019】
懸濁媒の1つの好適な例は、リン酸緩衝食塩水及び血漿物質の水溶液を含む。本明細書中で定義されるように、血漿物質の水溶液は、血清物質、血漿タンパク質と併せた血清物質、及びそれらの混合物の水溶液を含む。本明細書中でさらに定義されるように、血漿タンパク質は、血漿中に含まれる1つ以上のタンパク質を含む。好ましくは、かかる血漿タンパク質は、アルブミン、リポタンパク質、グロブリン、フィブリノーゲン及びそれらの混合物を含む。これらの媒体は、長期の安定性を与えるために、当業者に知られた他の成分を含むことができる。好適な媒体の他の例は、より完全に、米国特許第4,213,876号、同第4,299,726号、同第4,358,394号、同第3,873,467号、同第4,704,364号、同第5,320,964号、同第5,512,485号、及び同第6,569,682号に記載され、これらは参考文献としてその全体が本明細書中に援用されている。
【0020】
実施例1は、エミュー赤血球を用いて未成熟の顆粒球アナログを調製する例示的な方法を例解する。実施例2は、ワニ赤血球を用いて未成熟の顆粒球アナログを調製する例示的な方法を例解する。エミュー赤血球およびワニ赤血球から作られた未成熟の顆粒球アナログは、異なるサイズを有し、これらは異なる検出ダイナミックレンジを有する測定方法に使用されることができる。
【0021】
他の実施態様においては、未成熟の顆粒球アナログは、1つ以上のタイプの処理された血液細胞からも作られることができる。臨床サンプル中の未成熟の顆粒球は、広いサイズ分布を有し、そしてそれらは最大の顆粒球のサイズから顆粒球の約2倍のサイズまでわたることができる。かかる広いサイズ分布をシミュレートするために、サイズ分布が重複する2つの異なる処理された血液細胞の混合物が使用可能である。
【0022】
さらなる実施態様においては、白血球(WBC)及び未成熟の顆粒球の測定のために、血液学の参照対照組成物はさらに、成熟した白血球成分を含むことができる。さらに、成熟した白血球成分は、リンパ球、骨髄球(単球及び顆粒球をあわせたもの)またはさらにリンパ球、単球、好中球、好酸球、及び好塩基球などの白血球の亜集団をシミュレートするために、さらに小成分を含むことができ、これらは、白血球の分類分析のための参照対照として利用可能である。
【0023】
白血球アナログの好適な例は、本分野で知られている通り、安定化されかつ固定された哺乳動物白血球、そして、処理された及び/又は固定されたヒト及び動物赤血球を含む。1つの実施態様においては、白血球アナログは、参考文献として本明細書中に援用されている米国特許第4,704,364号に教示されるとおり、インピーダンス測定を用いる分類分析のために処理された鳥類及びヒト赤血球から作られることができる。さらなる実施態様においては、白血球アナログは、固定された哺乳動物白血球からつくられることができる。哺乳動物白血球は、白血球アナログの調製の間に全血中の赤血球を溶解する前に固定される。他の実施態様においては、白血球アナログは、参考文献として本明細書中にその全体が援用されている米国特許第5,320,964号及び同第5,512,485号に教示されたインピーダンス及び光散乱測定の組み合わせを用いる分類分析のために処理されたガチョウ及びワニ赤血球から作られることができる。
【0024】
場合により、哺乳動物白血球並びにヒト及び動物の赤血球は、白血球アナログの調製過程の間にリポタンパク質と接触させることによってさらに処理されることができる。リポタンパク質との接触は、参考文献として本明細書中にその全体が援用されている米国特許第5,320,964号、同第5,512,485号、同第6,406,915号、同第6,403,377号、同第6,399,388号、同第6,221,668号及び同第6,200,500号中に教示されるとおり、白血球または赤血球の固定の前に起こることができ、固定の後及び懸濁媒中での保存の間にも起こることができる。
【0025】
実施例3は、白血球小成分及び未成熟の顆粒球成分を含む参照対照組成物の例示的な調製方法を例解する。3つの参照対照組成物、A、B、及びCが調製された。参照対照組成物Aは、処理されたヒト赤血球から作られた30%のリンパ球アナログ及び処理されたガチョウ赤血球から作られた70%の骨髄球アナログを含んだ。リンパ球及び骨髄球のアナログの作製方法を実施例3に詳細に記載する。参照対照組成物Bは、処理されたヒト赤血球から作られた30%のリンパ球アナログ、処理されたガチョウ赤血球から作られた49%の骨髄球アナログ、及び実施例1の処理されたエミュー赤血球から作られた21%の未成熟の顆粒球アナログを含んだ。参照対照組成物Cは、処理されたヒト赤血球から作られた25%のリンパ球アナログ、実施例1の処理されたエミュー赤血球から作られた58%の骨髄球アナログ、及び実施例2の処理されたワニ赤血球から作られた17%の未成熟の顆粒球アナログを含んだ。
【0026】
処理されたエミュー赤血球から作られたアナログが2つの異なる目的、1つは参照対照組成物B中の未成熟の顆粒球アナログとして、そして他方は参照対照組成物C中の骨髄球アナログとして、のために使用されたことは注目すべきである。参照対照組成物B及びCは、異なる細胞サイズ範囲を有し、そして異なるダイナミックレンジを有する測定のために使用可能である。前者はより小さなダイナミックレンジを用いる測定のために使用可能であり、これは、測定される血液細胞のためにより高い分解能を有し、未成熟の顆粒球及び有核赤血球の同時測定により好適である。後者は、より大きなダイナミックレンジを有する測定に使用可能であり、これは極度に大きな未成熟の顆粒球の測定を可能とする。
【0027】
これらの参照対照組成物は、実施例4に示すDCインピーダンス測定を用いる、白血球及び未成熟の顆粒球の測定に利用された。測定に使用した測定方法及び機器は、参考文献として本明細書中に援用されている、「Method for Measurement of Immature granulocytes」と題された2004年2月2日に出願された同時係属の特許出願番号第10/770,193号に記載された。さらに、使用した機器及び試薬は実施例4に詳細に記載されている。
【0028】
図1は、実験用の血液分析計において分析された正常な全血サンプルのDCヒストグラムを示す。正常の血液サンプルについては、白血球は、左側にリンパ球亜集団、右側に骨髄球亜集団がある二峰性の分布を有した。骨髄球亜集団の右側には細胞集団はなかった。図2は、後骨髄球、骨髄球及び前骨髄球を含む、約12%の未成熟の顆粒球(IG)を含む臨床サンプルのDCヒストグラムを示す。示されるとおり、未成熟の顆粒球は骨髄球亜集団の右側に現れた。図2Aは、ヒストグラムの最も右側の領域に広がる大きな細胞によって示される、後骨髄球及び骨髄球含む約6%の未成熟の顆粒球を含む他の臨床サンプルのDCヒストグラムを示した。このサンプルは、100WBCあたり5のNRBCも含み、これはリンパ球集団の左側に位置した。
【0029】
図3及び4は、同じ機器上で分析した参照対照組成物A及びBのDCヒストグラムを示す。示されるとおり、参照対照組成物Aのヒストグラムは、正常血液サンプルの細胞分布に似ており、参照対照組成物Bのヒストグラムは未成熟の顆粒球を含む臨床サンプルの細胞分布に似ている。参照対照を用いて、未成熟の顆粒球の存在を決定することができ、したがって、機器及び検出方法の質の保証を提供することができる。
【0030】
図5及び6は、実験用血液分析計において分析した、正常な全血サンプル及び未成熟の顆粒球を含む臨床サンプルのDCヒストグラムであるが、測定のより大きなダイナミックレンジによるものを示す。より大きなダイナミックレンジでは、正常な白血球はおよそヒストグラムの半分にしか分布しなかった。マニュアルの参照は、後骨髄球、骨髄球及び前骨髄球を含む、約24%の未成熟の顆粒球(IG)を含む臨床サンプルを報告した。示されるとおり、未成熟の顆粒球のいくらかは非常に大きく、そして骨髄球集団の大半を構成する顆粒球の2倍のサイズに近かった。
【0031】
図7は、図5に示したものと同じダイナミックレンジの実験用血液分析計で分析した参照対照組成物CのDCヒストグラムを示す。示すとおり、参照対照組成物Cのヒストグラムは、同じ条件下で測定した、未成熟の顆粒球を含む臨床サンプルの細胞分布に似ている。
【0032】
上記の未成熟の顆粒球成分を含む参照対照は、DCインピーダンス測定によって分析されるが、高周波(RF)インピーダンス測定および光学測定のためにも使用可能であることは理解されなくてはならない。前方光散乱又は低角度光散乱測定が、細胞のサイズを反映することは知られている。さらに、光線を通りすぎる細胞の吸収及び散乱による光の損失を測定する、軸方向光損失測定も、細胞のサイズを反映している。したがって、本発明の方法を用いて調製された未成熟の顆粒球アナログも、これらの測定法とともに使用可能である。
【0033】
他の実施態様においては、先に記載の未成熟の顆粒球成分及び白血球の小成分を含む参照対照も、白血球の2つ、3つ又は5つの亜集団への分類分析に使用可能である。
【0034】
さらなる実施態様においては、参照対照組成物は、血液分析計上の血液サンプルの有核赤血球をシミュレートするための赤血球成分をさらに含むことができる。有核赤血球は、一定の臨床条件によって臨床サンプル中に存在する未成熟の赤血球であり、どちらも有核細胞であるため、通常は白血球とともに検出される。有核赤血球は、100WBCあたりのNRBC数又は絶対的な濃度のいずれかで報告される。有核赤血球アナログの作製方法は、参考文献として本明細書中に援用されている、同時係属の特許出願番号第10/689,245号及び同第60/560,236号に記載されている。
【0035】
実施例5は、未成熟の顆粒球成分、上記の2つの小成分を含む白血球成分、及び有核赤血球成分を含む参照対照組成物の調製を例解する。この参照対照は、DCインピーダンス測定を用いる、白血球、未成熟の顆粒球及び有核赤血球の測定に使用可能である。
【0036】
反応条件及び検出方法に依存して、未成熟の顆粒球成分及び有核赤血球成分の両方を含む参照対照組成物は、未成熟の顆粒球及び有核赤血球の両方の同時測定又は一つがそれぞれの細胞集団についての2つの別々の測定のいずれかのために使用可能である。後者は、血液サンプルを吸引し、そして別々のサンプル調製物のためにいくつかのアリコートにそれを分ける自動化血液分析計において一般的に使用され、そして該分析計によって分析される。
【0037】
他の実施態様においては、参照対照組成物はさらに、懸濁媒中に赤血球成分と血小板成分を含む。赤血球成分は安定化されたヒト又は動物赤血球、好ましくは安定化されたヒト赤血球であることができる。赤血球成分の作製過程は、米国特許第4,299,726号及び同第4,358,394号に詳細に記載されている。血小板成分は、安定化されたヒト又は動物血小板、或いは他の細胞タイプから作られた血小板アナログであることができる。1つの好適な例は、参考文献としてその全体が本明細書中に援用されている、米国特許第4,264,470号、同第4,389,490号及び同第4,405,719号に記載された、血小板アナログとしての処理されたヤギ赤血球である。
【0038】
血液サンプルの赤血球又は参照対照組成物中の安定化されたヒト赤血球は、白血球の測定のための血液サンプルを調製するために通常使用される溶解条件下で溶解され、そして分析計が正しく作動する場合には測定において検出されてはならない。溶解条件下での血液サンプルの血小板は、サイズが小さくなり、そして白血球又は有核赤血球の測定のための検出閾値未満であるか、或いは有核血液細胞から分離される。上記の血小板アナログは、溶解条件下での血液サンプルの血小板の応答をシミュレートする。したがって、参照対照組成物中の赤血球成分及び血小板成分はさらに、溶解試薬並びに機器上の反応条件への対照組成物の応答を反映する。したがって、赤血球及び血小板成分を含む血液学の参照対照組成物は、機器の操作条件に関連するさらなる情報を提供することができる。
【0039】
さらに、参照対照組成物は、血液分析計における血液サンプルの網状赤血球をシミュレートするための網状赤血球成分をさらに含むことができる。さらに、赤血球成分、血小板成分及び網状赤血球成分を含む血液学の参照対照組成物は、赤血球及び血小板の測定のためにも使用可能であり、これは一般に、自動化血液分析計上での白血球の測定とともに実施される。
【0040】
実施例6は、未成熟の顆粒球成分、2つの小成分、すなわちリンパ球成分及び骨髄球成分、を含む白血球成分、赤血球成分並びに血小板成分を含む、参照対照組成物の例示的な調製過程を例解する。
【0041】
以下の実施例は、本発明を例解するものであり、請求項に定義された本発明の範囲を制限するものと解してはならない。本開示にしたがって、多様な他の成分及び比率が採用されることができることは理解されるであろう。
【実施例】
【0042】
実施例1
エミュー赤血球から作られる未成熟の顆粒球成分
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
【表3】

【0046】
【表4】

【0047】
エミュー赤血球を用いて未成熟の顆粒球アナログを調製するための方法のステップ:
1.50mlのエミュー全血を抗凝固剤入りの容器に集めた。エミュー全血を遠心分離し、そして(白血球、血小板及び血漿を含む)上層を除去した。
2.圧縮されたエミュー赤血球をリン酸緩衝食塩水(PBS)で3回洗浄し、そして洗浄した圧縮細胞を残りのPBSに懸濁した。細胞の洗浄ステップは、一連の遠心分離(1000rpm/5分)、その後の上清の除去、そして圧縮細胞のPBSへの再懸濁であった。
3.1mlの圧縮されたエミュー赤血球を、49mlのアナログ処理媒体1を入れた試験管に加え、そして上下を返して混合し、細胞処理懸濁液を形成した。
4.試験管をローラー上に置き、そして室温で一夜、遅いスピードで混合した。
5.そして、ステップ(1)で記載したように、処理された細胞をPBSで3回洗浄した。
6.処理された細胞を懸濁媒1又は2に再懸濁して、血液分析計での分析のための未成熟の顆粒球参照対照を形成する。
【0048】
実施例2
ワニ赤血球から作られる未成熟の顆粒球成分
多量のワニ全血を集め、そして、ステップ3において以下に示すアナログ処理媒体2を使用した以外は、実施例1に記載したと同じ処理ステップで処理した。処理されたワニ赤血球を懸濁媒1に再懸濁して、もう1つの未成熟の顆粒球参照対照を形成した。
【0049】
【表5】

【0050】
以下の実施例3に示すように、ワニ赤血球から作られる未成熟の顆粒球アナログは、エミュー赤血球から作られるものよりもサイズが大きく、そしてより大きな測定のダイナミックレンジにおいてヒトの未成熟顆粒球をシミュレートするために使用可能である。
【0051】
実施例3
未成熟の顆粒球成分及び白血球小成分を含む血液学の参照対照組成物
1.リンパ球アナログ
リンパ球アナログを、固定されたヒト赤血球から作った。その方法は、参考文献としてその全体が本明細書に援用されている、米国特許第4,704,364号に詳細が記載されている。
【0052】
2.骨髄球アナログ
ステップ3において以下に示すアナログ処理媒体3を使用する以外は、実施例1に記載の方法を使用してガチョウ赤血球を処理することにより、骨髄球アナログを調製した。
【0053】
【表6】

【0054】
3.参照対照組成物の調製
手順:
1.所定の体積の実施例1に記載の懸濁媒1を提供する。
2.上記懸濁媒に、所定量のリンパ球アナログ及び骨髄球アナログを添加する。
3.上記懸濁媒に、所定量の未成熟の顆粒球アナログを添加する。
【0055】
3つのアナログの比率は、正常及び異常なヒト全血中の白血球亜集団及び未成熟の顆粒球に似ている。参照対照が正常なヒト血液に似ている場合、対照組成物は、未成熟の顆粒球アナログを含まない。参照対照が未成熟の顆粒球を含む臨床サンプルに似ている場合、対照組成物は一定量、例えば、全白血球の約10%〜50%、の未成熟の顆粒球アナログを含むことができる。
【0056】
以下の参照対照組成物は、上記の方法を用いて作られた:
(1)以下の:
実施例3の処理されたヒト赤血球から作られた、30%のリンパ球アナログ;及び
実施例3の処理されたガチョウ赤血球から作られた、70%の骨髄球アナログ
を含む、参照対照組成物A。
【0057】
(2)以下の:
実施例3の処理されたヒト赤血球から作られた、30%のリンパ球アナログ;
実施例3の処理されたガチョウ赤血球から作られた、49%の骨髄球アナログ;及び
実施例1の処理されたエミュー赤血球から作られた、21%の未成熟の顆粒球アナログを含む、参照対照組成物B。
【0058】
(3)以下の:
実施例3の処理されたヒト赤血球から作られた、25%のリンパ球アナログ;
実施例1の処理されたエミュー赤血球から作られた、58%の骨髄球アナログ;及び
実施例2の処理されたワニ赤血球から作られた、17%の未成熟の顆粒球アナログを含む、参照対照組成物C。
【0059】
参照対照組成物B及びCは、異なるサイズ範囲を有し、以下の実施例4に記載のとおり、異なるダイナミックレンジを有する測定のために使用可能である。組成物中に示されるとおり、処理されたエミュー赤血球から作られたアナログは、参照対照組成物B中におけるように、未成熟の顆粒球アナログとして使用可能であり、そしてまた、参照対照組成物C中におけるように、骨髄球アナログとしても使用可能である。
【0060】
実施例4
DCインピーダンス測定を使用する未成熟の顆粒球の測定のための血液分析計における血液学の参照対照の使用
実施例3に記載の参照対照組成物を、実験用の血液分析計において分析した。該分析において、28lのアリコートの参照対照又は血液サンプルを、WBC浴中で6mlのCoulter LH Series Diluent (Beckman Coulter, Inc., Miami, Florida)で希釈し、そして1mlの溶解試薬組成物と混合して、赤血球を溶解させた。溶解試薬は、25.0g/Lのテトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、15.0g/LのIgepal SS-837(RhOne-Poulencからのエトキシル化フェノール)、4.0g/Lの(BASF Corp.からの)Plurofac A38プリルサーファクタントを含み、そして6.2のpHを有した。実験用の血液分析計は、改変LH750(Miami, Florida のBeckman Coulter, Inc.の製品)であって、これは、上記のように調製したサンプル混合物を測定するための100の長さ及び80の幅の非焦点開口を備えている。サンプル混合物を定常の真空によって(平行に配置された)3つの開口の組を通して引き出した。白血球は、DCインピーダンス測定によって計数し、そしてパルスエディティング後に、血液細胞のヒストグラムも作製した(3つの開口の測定値から平均した)。
【0061】
図1は、上記のように実験用血液分析計において測定した正常な全血サンプルのDCヒストグラムを示す。正常の血液サンプルについて示すとおり、白血球は、リンパ球亜集団が左側そして骨髄球亜集団が右側の二峰性の分布を有した。図2は、上記の手順によって分析した未成熟の顆粒球を含む臨床サンプルを示す。マニュアル参照は、骨髄球亜集団の右側に示した後骨髄球、骨髄球及び前骨髄球を含む、約12%の未成熟の顆粒球(IG)を報告した。このサンプルは、7%のリンパ球しか含まず、白血球の大部分は骨髄球集団であった。図2Aは、後骨髄球及び骨髄球を含む約6%の未成熟の顆粒球を含む他の臨床サンプルのDCヒストグラムを示し、後骨髄球及び骨髄球は、ヒストグラムの最も右の領域へ広がる大きな細胞によって示される。マニュアル参照はまた、このサンプル中の100WBCあたり5NRBCも報告した。示すとおり、NRBCはリンパ球集団の左側に位置し、白血球から識別された。
【0062】
図3及び4は、上記と同じ手順で同じ機器を用いて分析した参照対照組成物A及びBのDCヒストグラムを示す。示すとおり、参照対照組成物Aのヒストグラムは、正常な血液サンプルの細胞分布に似ており、参照対照組成物Bのヒストグラムは未成熟の顆粒球を含む臨床サンプルの細胞分布に似ている。
【0063】
図5及び6は、上記と同じ実験用血液分析計において分析したが、測定のより大きなダイナミックレンジによる、正常な全血サンプル及び未成熟の顆粒球を含む臨床サンプルのDCヒストグラムを示す。より大きなダイナミックレンジを用いると、正常な白血球はヒストグラムのおよそ半分にしか分布しなかった。示すように、この実施例における未成熟の顆粒球のいくつかは非常に大きく、そしてヒストグラムの最も右まで広がった。
【0064】
図7は、図5に示すのと同じダイナミックレンジで実験用血液分析計上で分析した、参照対照組成物CのDCヒストグラムを示し、これは、未成熟の顆粒球を含む臨床サンプルの細胞分布に似ている。
【0065】
実施例5
未成熟の顆粒球成分及び有核赤血球成分を含む血液学の参照対照組成物
1.NRBCアナログ
1.赤血球の平均細胞体積範囲が約380〜約460flであるワニ全血を選択する。ワニ全血を遠心分離し、(白血球、血小板及び血漿を含む)上層を除去する。
2.圧縮されたワニ赤血球をリン酸緩衝食塩水(PBS)で3回洗浄する。
3.洗浄されたワニ赤血球を上記の懸濁媒の1つに再懸濁する。好ましくは、細胞計測数は約0.4×106〜約0.6×106の範囲にある。安定化されたワニ赤血球は、45日超の期間保存可能である。
【0066】
2.参照対照組成物の調製
手順:
1.所定の体積の実施例1に記載の懸濁媒1を提供する。
2.所定量の実施例3のリンパ球アナログ及び骨髄球アナログを懸濁媒に添加する。
3.所定量の実施例1の未成熟の顆粒球アナログを懸濁媒に添加する。
4.所定量のNRBCアナログを懸濁媒に添加する。
【0067】
白血球小成分の細胞濃度は、ヒト全血の対応する細胞濃度をシミュレートするように調製する。未成熟の顆粒球成分の細胞濃度は、あるレベルの未成熟の顆粒球、好ましくは全白血球の5%〜50%の範囲、を含む臨床サンプルをシミュレートするように調製する。NRBC成分の細胞濃度は、あるレベルのNRBC、好ましくは100WBCあたり2〜50NRBCの範囲、を含む臨床サンプルをシミュレートするように調製される。
【0068】
この参照対照組成物は、実施例4に記載したDCインピーダンス測定を用いる未成熟の顆粒球の測定方法に使用可能であり、参考文献として本明細書中にその全体が援用されている同時係属の特許出願番号第10/770,193号に記載された、同時にNRBCを測定するためにも使用可能である。
【0069】
実施例6
未成熟の顆粒球成分、成熟した白血球小成分及び赤血球及び血小板成分を含む、血液学の参照対照組成物
手順:
1.所定の体積の実施例1に記載の第一の懸濁媒を提供する。
2.所定量の安定化されたヒト赤血球を上記媒体に添加する。米国特許第4,299,726号及び同第4,358,394号に記載の手順にしたがって、安定化されたヒト赤血球を処理した。
3.所定量の血小板アナログを、安定化されたヒト赤血球を含む懸濁媒に添加する。血小板アナログは、米国特許第4,264,470号、同第4,389,490号及び同第4,405,719号に記載の手順にしたがって、固定されたヤギ赤血球から作製する。
4.所定量のリンパ球及び骨髄球アナログを、安定化されたヒト赤血球及び血小板アナログを含む懸濁媒に添加する。
5.所定量の未成熟の顆粒球アナログを、安定化されたヒト赤血球、血小板アナログ、及び白血球成分を含む懸濁媒に加えて、参照対照組成物を形成する。
6.参照対照組成物を混合する。赤血球、白血球及び血小板成分の細胞濃度を、ヒト全血サンプル中の対応する細胞濃度をシミュレートするように調製する。未成熟の顆粒球成分の細胞濃度を、あるレベルの未成熟の顆粒球、好ましくは全白血球の5%〜50%の範囲、を含む臨床サンプルをシミュレートするように調製する。
【0070】
本発明が詳細に記載され、そして添付の図面によって絵を用いて示されるが、これらは本発明の範囲を限定するものと解してはならず、その好ましい実施態様の例示として解するべきである。しかしながら、上記の明細書中に記載され、そして添付の請求項およびその法的等価物に定義された本発明の精神及び範囲内において、様々な改変及び変更が可能であることは明らかである。本明細書中に引用されたすべての特許及び他の文献は、参考文献として明示的に本明細書中に援用されている。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は、実施例4に記載の手順にしたがって分析した正常な全血サンプルのDCヒストグラムを示す。
【図2】図2は、実施例4に記載の手順にしたがって分析した未成熟の顆粒球を含む2つの臨床サンプルのDCヒストグラムを示す。
【図2A】図2Aは、実施例4に記載の手順にしたがって分析した未成熟の顆粒球を含む2つの臨床サンプルのDCヒストグラムを示す。
【図3】図3は、実施例3の参照対照組成物AのDCヒストグラムを示し、これは白血球小成分のみを含んだ。
【図4】図4は、実施例3の参照対照組成物BのDCヒストグラムを示し、これは白血球小成分及びエミュー赤血球から作られた未成熟の顆粒球成分を含んだ。
【図5】図5は、実施例4に記載の手順にしたがって分析し、そしてより大きなダイナミックレンジで測定した、正常な全血サンプルのDCヒストグラムを示す。
【図6】図6は、実施例4に記載の手順にしたがって分析し、そして図5において使用したのと同じダイナミックレンジで測定した、臨床血液サンプルのDCヒストグラムを示す。
【図7】図7は、図5において使用したのと同じダイナミックレンジで測定した、実施例3の参照対照組成物CのDCヒストグラムを示し、これは、ワニ赤血球から作製した白血球小成分及び未成熟の顆粒球成分を含んだ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未成熟の顆粒球成分を含む血液学の参照対照であって、以下の:
(a)ヒトの未成熟の顆粒球をシミュレートするための、処理された非ヒト血液細胞から作製された未成熟の顆粒球成分;及び
(b)未成熟の顆粒球の測定のために、血液分析計に前記成分を送達するのに好適な懸濁媒、
を含む、前記参照対照。
【請求項2】
血液分析計で測定した場合、前記未成熟の顆粒球成分が、ヒト顆粒球のサイズ範囲の最大限のサイズよりも約2%〜約85%大きいサイズ範囲にある、請求項1に記載の血液学の参照対照。
【請求項3】
前記未成熟の顆粒球成分が、鳥類、爬虫類又は魚類の赤血球から作製される、請求項2に記載の血液学の参照対照。
【請求項4】
前記未成熟の顆粒球成分が、ワニ、エミュー、ダチョウ、又はサメの赤血球から作製される、請求項3に記載の血液学の参照対照。
【請求項5】
成熟した白血球成分をさらに含む、請求項3に記載の血液学の参照対照。
【請求項6】
赤血球成分及び血小板成分をさらに含む、請求項5に記載の血液学の参照対照。
【請求項7】
有核赤血球成分をさらに含む、請求項5に記載の血液学の参照対照。
【請求項8】
前記未成熟の顆粒球成分が、前記2つの異なる種の赤血球の混合物である、請求項3に記載の血液学の参照対照。
【請求項9】
未成熟の顆粒球成分を含む血液学の参照対照であって、以下の:
(a)血液分析計においてヒトの成熟した白血球をシミュレートする、成熟した白血球成分;
(b)ヒトの未成熟の顆粒球をシミュレートするための、未成熟の顆粒球成分;及び
(c)未成熟の顆粒球の測定のために、前記血液分析計に前記成分を送達するのに好適な懸濁媒、
を含む、前記参照対照。
【請求項10】
血液分析計で測定した場合、前記未成熟の顆粒球成分が、ヒト顆粒球のサイズ範囲の最大限のサイズよりも約2%〜約85%大きいサイズ範囲にある、請求項9に記載の血液学の参照対照。
【請求項11】
前記未成熟の顆粒球成分が、鳥類、爬虫類又は魚類の赤血球から作製される、請求項10に記載の血液学の参照対照。
【請求項12】
前記未成熟の顆粒球成分が、ワニ、エミュー、ダチョウ、又はサメの赤血球から作製される、請求項11に記載の血液学の参照対照。
【請求項13】
前記未成熟の顆粒球成分が、前記2つの異なる種の赤血球の混合物である、請求項10に記載の血液学の参照対照。
【請求項14】
前記未成熟の顆粒球成分が、処理されたインビトロで増殖されたヒトの未成熟の顆粒球である、請求項10に記載の血液学の参照対照。
【請求項15】
有核赤血球成分をさらに含む、請求項10に記載の血液学の参照対照。
【請求項16】
赤血球成分及び血小板成分をさらに含む、請求項10に記載の血液学の参照対照。
【請求項17】
網状赤血球成分をさらに含む、請求項10に記載の血液学の参照対照。
【請求項18】
未成熟の顆粒球成分を含む血液学の参照対照であって、以下の:
(a)リンパ球成分としての、第一の種からの第一の処理された赤血球;
(b)骨髄球成分としての、第二の種からの第二の処理された赤血球;
(c)未成熟の顆粒球成分としての、第三の種からの第三の処理された赤血球;及び
(d)未成熟の顆粒球の測定のために、血液分析計に前記成分を送達するのに好適な懸濁媒、
を含む、前記参照対照。
【請求項19】
前記第一の種からの第一の処理された赤血球が、処理されたヒト赤血球である、請求項18に記載の血液学の参照対照。
【請求項20】
前記第二の種からの第二の処理された赤血球が、処理された鳥類の赤血球である、請求項18に記載の血液学の参照対照。
【請求項21】
前記第二の種からの第二の処理された赤血球が、処理されたガチョウまたはエミューの赤血球である、請求項20に記載の血液学の参照対照。
【請求項22】
前記第三の種からの第三の処理された赤血球が、処理された鳥類、爬虫類、または魚類の赤血球である、請求項18に記載の血液学の参照対照。
【請求項23】
前記第三の種からの第三の処理された赤血球が、処理されたエミュー、ダチョウ、ワニまたはサメの赤血球である、請求項22に記載の血液学の参照対照。
【請求項24】
前記未成熟の顆粒球成分が、処理されたインビトロで増殖されたヒト未成熟顆粒球から作製される、請求項18に記載の血液学の参照対照。
【請求項25】
有核赤血球成分をさらに含む、請求項18に記載の血液学の参照対照。
【請求項26】
赤血球成分及び血小板成分をさらに含む、請求項18に記載の血液学の参照対照。
【請求項27】
未成熟の顆粒球成分を含む血液学の参照対照の使用方法であって、以下のステップ:
(a)未成熟の顆粒球成分を含む参照対照を提供し;
(b)未成熟の顆粒球を分析するために適合された血液分析計を提供し;
(c)前記未成熟の顆粒球成分の検出のために、前記血液分析計に前記参照対照を通し;そして、
(d)前記参照対照中の前記未成熟の顆粒球成分を報告する、
を含む、前記方法。
【請求項28】
ステップ(b)において、前記未成熟の顆粒球の分析が、インピーダンス測定によって実施される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
ステップ(b)において、前記未成熟の顆粒球の分析が、光学測定によって実施される、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記光学測定が光散乱測定である、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記光学測定が、軸方向光損失測定である、請求項29に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−503711(P2008−503711A)
【公表日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−513205(P2007−513205)
【出願日】平成17年5月4日(2005.5.4)
【国際出願番号】PCT/US2005/015452
【国際公開番号】WO2005/113795
【国際公開日】平成17年12月1日(2005.12.1)
【出願人】(505275295)ベックマン コールター,インコーポレイティド (25)
【Fターム(参考)】