説明

未知の金属含有量を有する、貴金属を含有する湿った後処理材料を後処理する際の均質方法および/または分析方法

【課題】未知の金属含有量を有する、貴金属を含有する湿った後処理材料を後処理する際の均質方法および/または分析方法を提供する。
【解決手段】湿気と結合する材料を所与し、貴金属を含有する湿った後処理材料を、場合によっては存在する凝集体を細分化して混合し、流動性で均質の粉体を形成する。
【効果】提供された貴金属を含有する湿った後処理材料における湿気(水分)は、適当な混合−分散ユニットによってほぼ乾燥状態で均質化できるように結合させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、未知の貴金属含有量を有する、貴金属を含有する湿った後処理材料(以下にバッチ;Chargeと記載する)を後処理する際の均質方法および/または分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
国際公開第03/038405号パンフレット(Johnson Matthey)によれば、改良された、価値のある物質を含有する廃棄物の試料採取方法および分析方法の需要が存在する。前掲文献では、廃棄物を液中で分散して、連続的に材料の一部を採取して分析することが提案されている。
【特許文献1】国際公開第03/038405号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
未知の金属含有量を有する、貴金属を含有する湿った後処理材料を後処理する際の均質方法および/または分析方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この課題を解決するための本発明の方法によれば、湿気と結合する材料を所与し、バッチを、場合によっては存在する凝集体を細分化して混合し、流動性で均質の粉体を形成する。
【発明の効果】
【0005】
湿気と結合する材料によって、提供されたバッチにおける湿気(水分)は、バッチが適当な混合−分散ユニットによってほぼ乾燥状態で均質化できるように、結合させることができる、ということが認められた。
【0006】
したがって本発明は、請求項1記載の方法に関する。
【0007】
比較的乾燥した流動性の粉体が形成される。次いで中間試料を取り出すことができ、中間試料は、乾燥プロセスのあとで個々の最終試料に分けることができる。
【0008】
分析のために、湿気と結合する材料の量は、既知であるか、または予め求められているので、分析に基づいて、提供された廃棄物における実際の価値のある物質の含有量が規定される。
【0009】
したがって本発明は、請求項2記載の均質方法および分析方法にも関する。
【0010】
さらに本発明は、別の請求項に記載の両方法の有利な形態に関する。
【0011】
有利な形態では、提供されたバッチに、既知の量または予め求められた量の、水と結合する材料、たとえば有機重合体、特に架橋ポリアクリレートまたはいわゆる高吸収体が添加される。
【0012】
有利には、約20〜80%の値を有することのできる、バッチの湿気もしくは水分は、最大限に結合させることができる。
【0013】
特に有利な形態では、本発明は、湿った状態で提供される、炭を含有する触媒残留物(以下に炭と記載する)に関する。材料は分析され、価値のある物質の含有量に関して伝達される。試料採取のために、材料はできるだけ均質でなければならない。
【0014】
したがって有利には、混合物から、撹拌過程もしくは混合過程の間、単数または複数の試料が取り出される。
【0015】
混合物は、有利にはカッティングロータ(Schneidrotor)を有する混合機で集中的に混合される。
【0016】
取り出された中間試料は、有利には乾燥され、場合によってはまとめられて、たとえば回転式細分器によって細分化される。この場合乾燥された試料は、有利には500μm、特に有利には100μmより小さな粒子サイズを有している。
【0017】
公知の方法に応じて行われる分析のあとで、取り出された、残留バッチを有する試料は、貴金属リサイクルに供給することができる。
【0018】
湿気は、水および/または有機溶剤に起因する。
【0019】
湿気と結合する材料として、有機溶剤の場合、たとえば活性炭が挙げられる。湿気が水である場合、一般的な水結合材料、たとえばゼオライトが適している。有利には水結合材料として、いわゆる高吸収体が使用される。
【0020】
高吸収体は、架橋の弱い、不溶性の重合体であり、このような重合体は、その何倍もの質量の水または水溶液を吸収することができる。この場合高吸収体は大幅に膨潤して、「Hydrogel;ヒドロゲル」が形成される。ヒドロゲルを形成するために、架橋された全ての重合体は、十分な極性基を有することができ、たとえばポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンならびに天然の重合体たとえばアミロペクチン、ゼラチンおよびセルロースなどである。したがってたとえば強−アクリロニトリル−グラフト共重合体が用いられる。イオン基を有する重合体は、特に多くの水を吸収することができる。なぜならばこのような重合体は、個々の(同一に帯電された)イオン基の間の衝突に基づいて延びた形状を占めるからである。したがって水分子は、特に良好にイオンの周りに配置することができ、その位置は、水素結合のような相互作用によって、かつ双極子の配置によって安定化させることができる。
【0021】
共重合体が、アクリル酸(プロペン酸、C342)とナトリウムアクリレート(アクリル酸のナトリウム塩、NaC332)とから成る場合、ここでは両方の単量体の相互比は変化させることができ、追加的にいわゆるコア架橋剤(Core−Cross−Linker,CXL)が単量体溶液に添加され、コア架橋剤は、形成された長鎖の重合体分子を、位置的に互いに上下に化学的な橋渡しによって結合する(架橋する)。架橋によって、重合体は、水不溶性になる。水または塩水溶液が重合体粒子に入り込むと、重合体粒子は膨潤して、分子平面上で網目構造を緊張させ、水は助成されないともはや逃避できない。
【0022】
現在の発展状況によれば、このような構成をした製品は、「ベースポリマー」と呼ばれる。なぜならば時間経過と共に高吸収体に関する要求が増加しており、別の精錬ステップが適用されるからである。最も重要なものとして、いわゆる表面後架橋(Surface−Cross−Linking,SXL)が挙げられる。この場合別の化学物質が各粒子の表面に取り付けられ、熱を加えて行われる反応によって、別の網目構造は、粒の外層にしか結合しない。このことによって、同様に生じる緊張によって、液体吸収に際して、圧力下でも、吸収された溶液の逃避が防止される。
【0023】
本発明の課題を満たすためには、第1世代の高吸収体で十分である。もちろん高吸収体を含有する製品廃棄物の使用も考えられるので、このようにして新世代の高吸収体を使用することもできる。
【0024】
高吸収体は、活性炭と混合して使用することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
次に本発明の実施の形態を図示の実施例を用いて詳しく説明する。
【0026】
図1には、本発明による均質方法および/または分析方法の1実施例を概略的に示した。未知の貴金属含有量を有する、金属を含有する使用済みの触媒(Charge;バッチ、チャージ)は、規定量の高吸収体と混合され、個々の試料が取り出される。まとめられた個々の試料は、乾燥されて、再び分けられて、分析される。乾燥された試料は、100μmより小さな粒子サイズを有している。水を吸収するための高吸収体量が予め求められて既知であることによって、試料の貴金属含有量を求めることができる。
【0027】
本発明は、未知の貴金属含有量を有する、貴金属を含有する湿った後処理材料を後処理する際の均質方法であって、湿気と結合する材料を所与し、バッチを、場合によっては存在する凝集体を細分化して混合し、流動性で均質の粉体を形成する。
【0028】
また本発明は、未知の貴金属含有量を有する、貴金属を含有する湿った後処理材料を後処理する際の均質方法および分析方法であって、先ず単数または複数の試料を取り出し、試料を乾燥し、試料を選択的に細分化し、試料を分析し、バッチの貴金属含有量をデータに基づいて求める方法において、試料採取のまえに、既知であるかまたは予め求められた量の、湿気と結合する材料を所与し、バッチを、場合によっては存在する凝集体を細分化して混合し、流動性で均質の粉体を形成する。
【0029】
湿気と結合する材料が、水結合材料である。
【0030】
水結合材料が、有機重合体である。
【0031】
有機重合体が、横方向で架橋されたポリアクリレートである。
【0032】
水結合材料が、高吸収体である。
【0033】
湿気と結合する材料が、活性炭である。
【0034】
湿気と結合する材料が、活性炭と高吸収体との混合物である。
【0035】
バッチが、貴金属を含有する使用済みの触媒から成っている。
【0036】
バッチが、20〜80質量百分率の湿度を有している。
【0037】
試料取出ステップで、バッチの大部分を取り出す。
【0038】
混合過程の間にバッチから個々の試料を取り出し、次いでまとめられた個々の試料を乾燥し、次いで混合して、別の個々の試料に細分化する。
【0039】
細分化を、回転式細分器によって行う。
【0040】
使用済みの触媒が活性炭に貴金属を含有している。
【0041】
乾燥された試料Bが、500μmより小さな粒子サイズを有する固体である。
【0042】
乾燥された試料Bが、100μmより小さな粒子サイズを有する固体である。
【0043】
混合過程および細分化過程を、カッティングロータを有する強力混合機で行う。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による方法の1実施例を概略的に示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
未知の貴金属含有量を有する、貴金属を含有する湿った後処理材料(以下にバッチと記載する)を後処理する際の均質方法において、
湿気と結合する材料を所与し、
バッチを、場合によっては存在する凝集体を細分化して混合し、流動性で均質の粉体を形成することを特徴とする、未知の貴金属含有量を有する、貴金属を含有する湿った後処理材料を後処理する際の均質方法。
【請求項2】
未知の貴金属含有量を有する、貴金属を含有する湿った後処理材料(以下にバッチと記載する)を後処理する際の均質方法および分析方法であって、
A 先ず単数または複数の試料を取り出し、
B 試料を乾燥し、
C 試料を選択的に細分化し、
D 試料を分析し、バッチの貴金属含有量をデータに基づいて求める、
方法において、
試料採取(ステップA)のまえに、既知であるかまたは予め求められた量の、湿気と結合する材料を所与し、
バッチを、場合によっては存在する凝集体を細分化して混合し、流動性で均質の粉体を形成することを特徴とする、未知の貴金属含有量を有する、貴金属を含有する湿った後処理材料を後処理する際の均質方法および分析方法。
【請求項3】
湿気と結合する材料が、水結合材料である、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
水結合材料が、有機重合体である、請求項3記載の方法。
【請求項5】
有機重合体が、横方向で架橋されたポリアクリレートである、請求項4記載の方法。
【請求項6】
水結合材料が、高吸収体である、請求項3から5までのいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
湿気と結合する材料が、活性炭である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
湿気と結合する材料が、活性炭と高吸収体との混合物である、請求項1記載の方法。
【請求項9】
バッチが、貴金属を含有する使用済みの触媒から成っている、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
バッチが、20〜80質量百分率の湿度を有している、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
【請求項11】
ステップAで、バッチの大部分を取り出す、請求項2記載の方法。
【請求項12】
混合過程の間にバッチから個々の試料を取り出し、次いでまとめられた個々の試料を乾燥し、次いで混合して、別の個々の試料に細分化する、請求項2記載の方法。
【請求項13】
細分化を、回転式細分器によって行う、請求項12記載の方法。
【請求項14】
使用済みの触媒が活性炭に貴金属を含有する、請求項9から13までのいずれか1項記載の方法。
【請求項15】
乾燥された試料Bが、500μmより小さな粒子サイズを有する固体である、請求項2から14までのいずれか1項記載の方法。
【請求項16】
乾燥された試料Bが、100μmより小さな粒子サイズを有する固体である、請求項2から15までのいずれか1項記載の方法。
【請求項17】
混合過程および細分化過程を、カッティングロータを有する強力混合機で行う、請求項1から16までのいずれか1項記載の方法。

【図1】
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【公開番号】特開2007−78686(P2007−78686A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−243354(P2006−243354)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(390023560)ヴェー ツェー ヘレーウス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (42)
【氏名又は名称原語表記】W.C.Heraeus GmbH 
【住所又は居所原語表記】Heraeusstrasse 12−14, D−63450 Hanau, Germany
【Fターム(参考)】