説明

末端に官能基を有するリビングラジカルポリマーの製造方法

【課題】 ポリマー中に極性官能基を持つ場合でも末端に官能基を有するリビングラジカルポリマーを製造することができる方法を提供する。
【解決手段】 工程(1)〜(3)を含む末端に官能基を有するリビングラジカルポリマーの製造方法。
工程(1)ビニルモノマーをリビングラジカル重合によりリビングラジカルポリマーを得る工程;
工程(2)該リビングラジカルポリマーと、金属アート錯体を反応させ、リビングラジカルポリマーの末端にアート錯体を導入する工程;
工程(3)工程(2)で得られた化合物と、求電子化合物を反応させ、リビングラジカルポリマーの末端に官能基を導入する工程

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、末端に官能基を有するリビングラジカルポリマーの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リビングラジカル重合は、ラジカル重合の簡便性と汎用性を保ちつつ分子構造の精密制御を可能にする重合法で、新しい高分子材料の合成に大きな威力を発揮している。本発明者は、リビングラジカル重合の例として、有機テルル化合物を開始剤として用いたリビングラジカル重合を報告している(例えば、特許文献1参照)。また、有機アンチモン化合物を開始剤として用いたリビングラジカル重合も報告している(例えば、特許文献2参照)。そして、有機ビスマス化合物を開始剤として用いたリビングラジカル重合も報告している(例えば、特許文献3参照)。これらリビングラジカル重合で得られる重合体は、その末端に、重合方法によりそれぞれテルル、アンチモンおよびビスマス置換基を有する。したがって、この置換基をさらに他の官能基へと変換することができれば、重合体に新たに付加価値を賦与することが可能となる。
【特許文献1】WO 2004/14848
【特許文献2】WO 2006/01496
【特許文献3】WO 2006/62255
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
我々は有機テルル化合物を用いるリビングラジカル重合反応において、生成したポリスチレンにおけるテルル末端をリチウム試薬へと変換し、それを利用した選択的な重合末端の変換法を報告している(例えば、特許文献1参照)。しかし、この場合、塩基性と求核性の高いリチウム試薬を用いているため、ポリマー中に極性官能基を持つ場合にはこれと反応してしまうため不適である。
本発明の課題は、ポリマー中に極性官能基を持つ場合でも末端に官能基を有するリビングラジカルポリマーを製造することができる方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は以下の発明に係る。
工程(1)〜(3)を含む末端に官能基を有するリビングラジカルポリマーの製造方法。
工程(1)ビニルモノマーをリビングラジカル重合法によりリビングラジカルポリマーを得る工程;
工程(2)該リビングラジカルポリマーと、金属アート錯体を反応させ、リビングラジカルポリマーの末端に金属アート錯体を導入する工程;
工程(3)工程(2)で得られた化合物と、求電子化合物を反応させ、リビングラジカルポリマーの末端に官能基を導入する工程
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、ポリマー中に極性官能基を持つ場合でも末端に官能基を有するリビングラジカルポリマーを製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、工程(1)〜(3)を含む末端に官能基を有するリビングラジカルポリマーの製造方法である。
工程(1)ビニルモノマーをリビングラジカル重合によりリビングラジカルポリマーを得る工程;
工程(2)該リビングラジカルポリマーと、アート錯体を反応させ、リビングラジカルポリマーの末端にアート錯体を導入する工程;
工程(3)工程(2)で得られた化合物と、求電子化合物を反応させ、リビングラジカルポリマーの末端に官能基が導入する工程
【0007】
本発明の工程(1)は、ビニルモノマーをリビングラジカル重合法によりリビングラジカルポリマーを得る工程である。
【0008】
リビングラジカル重合で使用する重合制御剤としては、リビングラジカル重合で一般に使用される重合制御剤を使用することができる。例えば、有機テルル化合物、有機アンチモン化合物、有機ビスマス化合物等を挙げることができる。
【0009】
本発明で使用する有機テルル化合物は、例えば、式(1a)で表される。
【0010】
【化1】

(式中、Rは、C〜Cのアルキル基、アリール基、置換アリール基又は芳香族ヘテロ環基を示す。R及びRは、水素原子又はC〜Cのアルキル基を示す。Rは、アリール基、置換アリール基、芳香族ヘテロ環基、アシル基、アミド基、オキシカルボニル基又はシアノ基を示す。)
【0011】
で示される基は、具体的には次の通りである。
〜Cのアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等の炭素数1〜8の直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基を挙げることができる。
好ましいアルキル基としては、炭素数1〜4の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が良い。より好ましくは、メチル基、エチル基又はn−ブチル基が良い。
【0012】
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等を挙げることができる。好ましいアリール基としては、フェニル基が良い。置換アリールの置換基としては、例えばC〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、−CORaで示されるカルボニル含有基(Ra=C〜Cのアルキル基、C〜Cのアルコキシ基、アリール基、アリーロキシ基)、スルホニル基、トリフルオロメチル基等を挙げることができる。
好ましい置換アリール基としては、トリフルオロメチル置換フェニル基が良い。
また、これら置換基は、1個又は2個置換しているのが良く、パラ位若しくはオルト位が好ましい。
芳香族へテロ環基としては、ピリジル基、ピロール基、フリル基、チエニル基等を挙げることができる。
【0013】
及びRで示される各基は、具体的には次の通りである。
〜Cのアルキル基としては、上記Rで示したアルキル基と同様のものを挙げることができる。
【0014】
で示される各基は、具体的には次の通りである。
アリール基、置換アリール基、芳香族へテロ環基としては上記Rで示した基と同様のものを挙げることができる。
アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基等を挙げることができる。
アミド基としては、アセトアミド、マロンアミド、スクシンアミド、マレアミド、ベンズアミド、2−フルアミド等のカルボン酸アミド、チオアセトアミド、ヘキサンジチオアミド、チオベンズアミド、メタンチオスルホンアミド等のチオアミド、セレノアセトアミド、ヘキサンジセレノアミド、セレノベンズアミド、メタンセレノスルホンアミド等のセレノアミド、N−メチルアセトアミド、ベンズアニリド、シクロヘキサンカルボキサニリド、2,4'−ジクロロアセトアニリド等のN−置換アミド等を挙げることができる。
オキシカルボニル基としては、−COOR(R=H、C〜Cのアルキル基、アリール基)で示される基を挙げることができる。
具体的には、カルボキシル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、ter−ブトキシカルボニル基、n−ペントキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基等を挙げることができる。好ましいオキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基が良い。
【0015】
好ましいRで示される各基としては、アリール基、置換アリール基、オキシカルボニル基又はシアノ基が良い。
好ましいアリール基としては、フェニル基が良い。
好ましい置換アリール基としては、ハロゲン原子置換フェニル基、トリフルオロメチル置換フェニル基が良い。
また、これらの置換基は、ハロゲン原子の場合は、1〜5個置換しているのが良い。アルコキシ基やトリフルオロメチル基の場合は、1個又は2個置換しているのが良く、1個置換の場合は、パラ位若しくはオルト位が好ましく、2個置換の場合は、メタ位が好ましい。
【0016】
好ましい(1a)で示される有機テルル化合物としては、Rが、C〜Cのアルキル基を示し、R及びRが、水素原子又はC〜Cのアルキル基を示し、Rが、アリール基、置換アリール基、オキシカルボニル基で示される化合物が良い。
特に好ましくは、Rが、C〜Cのアルキル基を示し、R及びRが、水素原子又はC〜Cのアルキル基を示し、Rが、フェニル基、置換フェニル基、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基が良い。
【0017】
式(1a)で示される有機テルル化合物は、具体的な代表例は次の通りである。
(メチルテラニルメチル)ベンゼン、(1−メチルテラニルエチル)ベンゼン、1−クロロ−4−(1−メチルテラニルエチル)ベンゼン、1−トリフルオロメチル−4−(1−メチルテラニルエチル)ベンゼン、3,5−ビス−トリフルオロメチル−1−(1−メチルテラニルエチル)ベンゼン、1,2,3,4,5−ペンタフルオロ−6−(1−メチルテラニルエチル)ベンゼン、2−メチルテラニルプロピオニトリル、(2−メチルテラニルプロピル)ベンゼン、メチル 2−メチルテラニル−2−メチル−プロピオネート、エチル 2−メチルテラニル−2−メチル−プロピオネート、2−メチルテラニル−2−メチル−プロピオニトリル等を挙げることができる。また、上記において、メチルテラニルの部分がエチルテラニル、n−ブチルテラニル、n−オクチルテラニル等と変更した化合物も全て含まれる。その他WO2004/014962に記載された有機テルル化合物の全てを例示することができる。
【0018】
本発明で使用する有機アンチモン化合物は、例えば、式(1b)で表される。
【0019】
【化2】

(式中、R及びRは、C〜Cのアルキル基、アリール基、置換アリール基又は芳香族ヘテロ環基を示す。R及びRは、水素原子又はC〜Cのアルキル基を示す。Rは、アリール基、置換アリール基、芳香族ヘテロ環基、アシル基、アミド基、オキシカルボニル基又はシアノ基を示す。)
【0020】
及びR〜Rで示される基は、上記と同様である。
で示される基は、Rと同様である。
【0021】
式(1b)で示される有機アンチモン化合物の具体的な代表例は次の通りである。
(ジメチルスチバニル−メチル)ベンゼン、(1−ジメチルスチバニル−エチル)ベンゼン、1−クロロ−4−(1−ジメチルスチバニル−エチル)ベンゼン、1−トリフルオロメチル−4−(1−ジメチルスチバニル−エチル)ベンゼン、3,5−ビス−トリフルオロメチル−1−(1−ジメチルスチバニル−エチル)ベンゼン、1,2,3,4,5−ペンタフルオロ−6−(1−ジメチルスチバニル−エチル)ベンゼン、2−ジメチルスチバニル−プロピオニトリル、(2−ジメチルスチバニル−プロピル)ベンゼン、メチル 2−ジメチルスチバニル−2−メチル−プロピオネート、エチル 2−ジメチルスチバニル−2−メチル−プロピオネート、2−ジメチルスチバニル−2−メチル−プロピオニトリル等を挙げることができる。また、上記において、ジメチルスチバニル−の部分がジエチルスチバニル−、ジn−ブチルスチバニル、ジn−オクチルスチバニル等と変更した化合物も全て含まれる。その他WO2006/01496に記載された有機アンチモン化合物の全てを例示することができる。
【0022】
本発明で使用する有機ビスマス化合物は、例えば、式(1c)で表される。
【0023】
【化3】

【0024】
(式中、R及びRは、C〜Cのアルキル基、アリール基、置換アリール基又は芳香族ヘテロ環基を示す。R及びRは、水素原子又はC〜Cのアルキル基を示す。Rは、アリール基、置換アリール基、芳香族ヘテロ環基、アシル基、アミド基、オキシカルボニル基又はシアノ基を示す。)
【0025】
〜Rで示される基は、上記と同様である。
【0026】
式(1c)で示される有機ビスマス化合物は、具体的な代表例は、上記、式(1b)で示される有機アンチモン化合物の、スチバニルの部分がビスムタニルと変更した化合物を挙げることができる。その他WO2006/062255に記載された有機ビスマス化合物の全てを例示することができる。
【0027】
本発明では、有機テルル化合物、有機アンチモン化合物、有機ビスマス化合物を開始剤として使用する場合、式(2a)、式(2b)、式(2c)を併用してもよい。
本発明で使用する式(2a)で表される化合物は、次の通りである。
【0028】
【化4】

(式中、Rは、上記と同じ。)
【0029】
で示される基は、上記に示した通りである。
式(2a)で示される化合物は、具体的には、ジメチルジテルリド、ジエチルジテルリド、ジ−n−プロピルジテルリド、ジイソプロピルジテルリド、ジシクロプロピルジテルリド、ジ−n−ブチルジテルリド、ジ−sec−ブチルジテルリド、ジ−tert−ブチルジテルリド、ジシクロブチルジテルリド、ジフェニルジテルリド、ビス−(p−メトキシフェニル)ジテルリド、ビス−(p−アミノフェニル)ジテルリド、ビス−(p−ニトロフェニル)ジテルリド、ビス−(p−シアノフェニル)ジテルリド、ビス−(p−スルホニルフェニル)ジテルリド、ジナフチルジテルリド、ジピリジルジテルリド等が挙げられる。
好ましい式(2a)で示される化合物としては、RがC〜Cのアルキル基、フェニル基が良い。好ましくは、ジメチルジテルリド、ジエチルジテルリド、ジ−n−プロピルジテルリド、ジ−n−ブチルジテルリド、ジフェニルジテルリドが良い。特に好ましくは、ジメチルジテルリド、ジエチルジテルリド、ジ−n−プロピルジテルリド、ジ−n−ブチルジテルリドが良い。
本発明で使用する式(2b)で表される化合物は、次の通りである。
【0030】
【化5】

(式中、R及びRは、上記と同じ。)
【0031】
及びRで示される基は、上記に示した通りである。
式(2b)で示される化合物は、具体的には、テトラメチルジスチビン、テトラエチルジスチビン、テトラ−n−プロピルジスチビン、テトライソプロピルジスチビン、テトラシクロプロピルジスチビン、テトラ−n−ブチルジスチビン、テトラ−sec−ブチルジスチビン、テトラ−tert−ブチルジスチビン、テトラシクロブチルジスチビン、テトラフェニルジスチビン、テトラ−(p−メトキシフェニル)ジスチビン、テトラ−(p−アミノフェニル)ジスチビン、テトラ−(p−ニトロフェニル)ジスチビン、テトラ−(p−シアノフェニル)ジスチビン、テトラ−(p−スルホニルフェニル)ジスチビン、テトラナフチルジスチビン、テトラピリジルジスチビン等が挙げられる。
【0032】
好ましい式(2b)で示される化合物としては、R及びRがC〜Cのアルキル基、フェニル基が良い。好ましくは、テトラメチルジスチビン、テトラエチルジスチビン、テトラ−n−プロピルジスチビン、テトラ−n−ブチルジスチビン、テトラフェニルジスチビンが良い。特に好ましくは、テトラメチルジスチビン、テトラエチルジスチビン、テトラ−n−プロピルジスチビン、テトラ−n−ブチルジスチビンが良い。
本発明で使用する式(2c)で表される化合物は、次の通りである。
【0033】
【化6】

(式中、R及びRは、上記と同じ。)
【0034】
及びRで示される基は、上記に示した通りである。
式(2c)で示される化合物は、具体的には、テトラメチルジビスムチン、テトラエチルジビスムチン、テトラ−n−プロピルジビスムチン、テトライソプロピルジビスムチン、テトラシクロプロピルジビスムチン、テトラ−n−ブチルジビスムチン、テトラ−sec−ブチルジビスムチン、テトラ−tert−ブチルジビスムチン、テトラシクロブチルジビスムチン、テトラフェニルジビスムチン、テトラ−(p−メトキシフェニル)ジビスムチン、テトラ−(p−アミノフェニル)ジビスムチン、テトラ−(p−ニトロフェニル)ジビスムチン、テトラ−(p−シアノフェニル)ジビスムチン、テトラ−(p−スルホニルフェニル)ジビスムチン、テトラナフチルジビスムチン、テトラピリジルジビスムチン等が挙げられる。
【0035】
好ましい式(2c)で示される化合物としては、R及びRがC〜Cのアルキル基、フェニル基が良い。好ましくは、テトラメチルジビスムチン、テトラエチルジビスムチン、テトラ−n−プロピルジビスムチン、テトラ−n−ブチルジビスムチン、テトラフェニルジビスムチンが良い。特に好ましくは、テトラメチルジビスムチン、テトラエチルジビスムチン、テトラ−n−プロピルジビスムチン、テトラ−n−ブチルジビスムチンが良い。
【0036】
本発明では、有機テルル化合物、有機アンチモン化合物、有機ビスマス化合物を開始剤として使用する場合、通常のラジカル重合で使用するアゾ系重合開始剤を併用することができる。
【0037】
アゾ系重合開始剤としては、例えば2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(AMBN)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ADVN)、1,1'−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(ACHN)、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート(MAIB)、4,4'−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)(ACVA)、1,1'−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチルアミド)、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(2−メチルアミジノプロパン)二塩酸塩、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド、2,2'−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2'−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)等が挙げられる。
【0038】
これらのアゾ系開始剤は反応条件に応じて適宜選択するのが好ましい。例えば低温重合(40℃以下)の場合は2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(ADVN)、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、中温重合(40〜80℃)の場合は2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(AMBN)、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート(MAIB)、1,1'−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、高温重合(80℃以上)の場合は1,1'−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(ACHN)、2−シアノ−2−プロピルアゾホルムアミド、2,2'−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2'−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2'−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)を用いるのがよく、また水系溶剤を用いた反応では4,4'−アゾビス(4−シアノバレリアン酸)(ACVA)、2,2'−アゾビス(2−メチルブチルアミド)、2,2'−アゾビス(2−メチルアミジノプロパン)二塩酸塩、2,2'−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2'−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]を用いるのがよい。
【0039】
本発明で使用するビニルモノマーとしては、ラジカル重合可能なものであれば特に制限なく使用することができる。
【0040】
例えば、下記のものを挙げることができる。
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸シクロドデシル等のシクロアルキル基含有不飽和モノマー。
(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸等メチル等のカルボキシル基含有不飽和モノマー。
【0041】
N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、2−(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等の3級アミン含有不飽和モノマー。
N−2−ヒドロキシ−3−アクリロイルオキシプロピル−N,N,N−トリメチルアンモニウムクロライド、N−メタクリロイルアミノエチル−N,N,N−ジメチルベンジルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩基含有不飽和モノマー。
(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基含有不飽和モノマー。
【0042】
スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレン(p−メチルスチレン)、2−メチルスチレン(o−メチルスチレン)、3−メチルスチレン(m−メチルスチレン)、4−メトキシスチレン(p−メトキシスチレン)、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブトキシスチレン、2−ヒドロキシメチルスチレン、2−クロロスチレン(o−クロロスチレン)、4−クロロスチレン(p−クロロスチレン)、2,4−ジクロロスチレン、1−ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、p−スチレンスルホン酸又はそのアルカリ金属塩(ナトリウム塩、カリウム塩等)等の芳香族不飽和モノマー(スチレン系モノマー)。
【0043】
2−ビニルチオフェン、N−メチル−2−ビニルピロール、1−ビニル−2−ピロリドン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン等のヘテロ環含有不飽和モノマー。
N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド等のビニルアミド。
(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系モノマー。
1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン等のα−オレフィン。
ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等のジエン類。酢酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル。(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリロニトリル、メチルビニルケトン、塩化ビニル、塩化ビニリデン。
【0044】
好ましくは、極性ビニルモノマーであり、(メタ)アクリル酸エステル、3級アミン含有不飽和モノマー、ヘテロ環含有不飽和モノマー、カルボン酸ビニルエステルが良い。尚、上記の「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸」及び「メタクリル酸」の総称である。
【0045】
本発明のリビングラジカルポリマーの得る工程は、具体的には次の通りである。
不活性ガスで置換した容器で、ビニルモノマー、式(1a)で表される有機テルル化合物、式(1b)で表される有機アンチモン化合物及び式(1c)で表される有機ビスマス化合物から選ばれる少なくとも1種(リビングラジカル重合開始剤)、必要に応じて、式(2a)〜(2c)で表される化合物、アゾ系重合開始剤を混合する。
【0046】
次に、上記混合物を撹拌する。反応温度、反応時間は、適宜調節すればよいが、通常、20〜150℃で、1分〜100時間撹拌する。好ましくは、40〜100℃で、0.1〜30時間撹拌するのが良い。この時、圧力は、通常、常圧で行われるが、加圧或いは減圧しても構わない。この時、不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム等を挙げることができる。好ましくは、アルゴン、窒素が良い。特に好ましくは、窒素が良い。
【0047】
ビニルモノマーと式(1a)〜(1c)で表されるリビングラジカル重合開始剤の使用量としては、得られるリビングラジカルポリマーの分子量或いは分子量分布により適宜調節すればよいが、通常、式(1a)〜(1c)で表されるリビングラジカル重合開始剤1molに対して、ビニルモノマーを5〜10,000mol、好ましくは50〜5,000molとするのが良い。
【0048】
式(1a)〜(1c)で表されるリビングラジカル重合開始剤と式(2a)〜(2c)で表される化合物を併用する場合、その使用量としては、通常、式(1a)〜(1c)で表されるリビングラジカル重合開始剤1molに対して、式(2a)〜(2c)で表される化合物0.01〜100mol、好ましくは0.1〜10mol、特に好ましくは0.1〜5molとするのが良い。
【0049】
式(1a)〜(1c)で表されるリビングラジカル重合開始剤とアゾ系重合開始剤を併用する場合、その使用量としては、通常、式(1a)〜(1c)で表されるリビングラジカル重合開始剤1molに対して、アゾ系重合開始剤0.01〜100mol、好ましくは0.1〜10mol、特に好ましくは0.1〜5molとするのが良い。
式(1a)〜(1c)で表されるリビングラジカル重合開始剤、式(2a)〜(2c)で表される化合物、アゾ系重合開始剤を併用する場合、その使用量は上記に同じである。
【0050】
反応は、通常、無溶媒で行うが、ラジカル重合で一般に使用される有機溶媒或いは水性溶媒を使用しても構わない。使用できる有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アセトン、2−ブタノン(メチルエチルケトン)、ジオキサン、ヘキサフルオロイソプロパオール、クロロホルム、四塩化炭素、テトラヒドロフラン(THF)、酢酸エチル、トリフルオロメチルベンゼン等が挙げられる。また、水性溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。溶媒の使用量としては適宜調節すればよいが、例えば、ビニルモノマー1gに対して、溶媒を0.01〜50ml、好ましくは、0.05〜10ml、特に好ましくは、0.1〜1mlが良い。
【0051】
反応終了後、常法により使用溶媒や残存モノマーを減圧下除去して目的ポリマーを取り出したり、目的ポリマー不溶溶媒を使用して再沈澱処理により目的物を単離してもよい。反応処理については、目的物に支障がなければどのような処理方法でも行う事ができる。
【0052】
本発明のリビングラジカルポリマーを得る工程では、ビニルモノマーを複数使用することができる。例えば、2種以上のビニルモノマーを同時に反応させるとランダム共重合体を得ることができる。該ランダム共重合体は、モノマーの種類に関係なく、反応させるモノマーの比率(モル比)通りのポリマーを得ることができる。ビニルモノマーAとビニルモノマーBを同時に反応させランダム共重合体を得るとほぼ原料比(モル比)通りのものを得ることができる。また、2種のビニルモノマーを順次反応させるとブロック共重合体を得ることができる。該ブロック共重合体は、モノマーの種類に関係なく、反応させるモノマーの順番によるポリマーを得ることができる。ビニルモノマーAとビニルモノマーBを用いてブロック共重合体を得る場合、反応させる順番によりA−Bのもの、B−Aのものを得ることができる。
【0053】
本発明で得られるリビングラジカルポリマーの分子量は、反応時間及び式(1a)〜(1c)で表されるリビングラジカル重合開始剤、必要に応じて用いる、式(2a)〜(2c)で表される化合物、アゾ系重合開始剤の量により調整可能であるが、数平均分子量500〜1,000,000のリビングラジカルポリマーを得ることができる。特に数平均分子量1,000〜50,000のリビングラジカルポリマーを得るのに好適である。
本発明で得られるリビングラジカルポリマーの分子量分布(PDI=Mw/Mn)は、1.01〜1.50の間で制御される。より好ましくは1.01〜1.40、1.01〜1.30、1.01〜1.20、1.01〜1.10、1.01〜1.05である。
【0054】
本発明の工程(1)で得られるリビングラジカルポリマーの成長末端は、リビングラジカル重合開始剤由来の反応性の高い有機金属(有機テルル、有機アンチモン或いは有機ビスマス)である。
【0055】
本発明の工程(2)は、工程(1)で得られたリビングラジカルポリマーと、アート錯体を反応させ、リビングラジカルポリマーの末端にアート錯体を導入する工程である。
【0056】
金属アート錯体としては、亜鉛アート錯体、銅アート錯体などを挙げることができる。
亜鉛アート錯体としては、具体的には、RZnM、式RZnM、式RZnM等で表されるものを挙げることができる。またRZnMgX,RZn(MgX)なども用いることができる。
【0057】
銅アート錯体としては、具体的には、RCuM、RCu(CN)M、RCuMgX等で表されるものを挙げることができる。
(式中、RはC〜Cのアルキル基、アリール基又は置換アリール基からなる群から選ばれた少なくとも1種を示し、それらは互いに同一であっても異なっていてもよく、Mはアルカリ金属を示す。Mはアルカリ土類金属を示す。)アルキル基、アリール基又は置換アリール基としては、上記と同様である。
としては、LiまたはNaが好ましい。MとしてはMgが好ましい。
【0058】
具体的な亜鉛アート錯体としては、例えばMeZnLi,tert−BuZnLi、n−BuZnLi,MeZnLi、tert−BuZnLi、MeZnMgX,tert−BuZnMgX、n−BuZnMgX,MeZn(MgX)、tert−BuZn(MgX)、MeZn(MgX)[X=Cl,Br,I]等を挙げることができる。亜鉛アート錯体を活性化する目的でCuCNの様なCu化合物を触媒量添加することも可能である。
具体的な銅アート錯体としては、例えばMeCuLi、nBuCuLi、MeCu(CN)Li、MeCuMgX、nPrCuMgX、PhCuLi,等を挙げることができる。
【0059】
リビングラジカルポリマーの末端にアート錯体を導入する工程は、具体的には次の通りである。
反応容器に、工程(1)で得られたリビングラジカルポリマーとアート錯体を混合する。次に、上記混合物を撹拌する。反応温度、反応時間は、適宜調節すればよいが、通常、−90〜50℃で、0.1〜10時間撹拌する。好ましくは、−80〜20℃で、0.1〜1時間撹拌するのが良い。この時、圧力は、通常、常圧で行われるが、加圧或いは減圧しても構わない。この時、不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム等を挙げることができる。好ましくは、アルゴン、窒素が良い。特に好ましくは、窒素が良い。
【0060】
工程(1)で得られたリビングラジカルポリマーとアート錯体の使用量としては、通常、工程(1)で得られたリビングラジカルポリマー1molに対して、アート錯体を1.0〜10mol、好ましくは、1.0〜2.0molとするのが良い。
反応は、上記で示した溶媒を使用しても構わない。
【0061】
本発明の工程(3)は、工程(2)で得られた化合物と、求電子化合物を反応させ、リビングラジカルポリマーの末端に官能基を導入する工程である。
【0062】
求電子化合物としては、HO(H)、カルボニル化合物、エポキシド、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリル誘導体、ハロゲン化ベンジル誘導体、ハロゲン化トリアルキルシラン、酸ハライド、ジアルキル硫酸エステルを挙げることができる。
【0063】
カルボニル化合物としては、芳香族および脂肪族のアルデヒド、ケトンなどで特に種類を選ばないが、例えばベンズアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンゾフェノン、アセトフェノン、アセトンなどを挙げることができる。
エポキシドとしては、例えばスチレンオキシド、プロピレンオキシド、エピクロルヒドリンなどを挙げることができる。
ハロゲンとしては、例えば塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができる。
ハロゲン化アルキルとしては、例えばヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、などのヨウ化アルキルを挙げることができる。
ハロゲン化アリル誘導体としては、例えば塩化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリル、クロチルハライド、ハロゲン化シンナミル、などを挙げることができる。
【0064】
ハロゲン化ベンジル誘導体としては、例えば塩化ベンジル、臭化ベンジル、臭化パラメトキシフェニルメタンなどを挙げることができる。
ハロゲン化トリアルキルシランとしては、例えばトリエチルシリルクロライド、トリメチルシリルクロライド、トリイソプロピルシリルクロライド、tert−ブチルジメチルシリルクロライド、トリフェニルシリルクロライドさらに、それらのシリルブロミド、シリルトリフラートなどを挙げることができる。
酸ハライドとしては、例えば塩化アセチル、塩化ベンゾイル等を挙げることができる。
ジアルキル硫酸エステルとしては、例えば硫酸ジメチル等を挙げることができる。
ハロゲン化アリールは、ArX(Arはアリール基、Xはハロゲン)で示され、例えばPhI,PhBr,PhClなどを挙げることができ、ベンゼン環上に様々な置換基が入っていても良い。
ハロゲン化ビニルは、ABC=CDXで示され、A、B、Dとして水素、アルキル基、アリール基、ビニル基、カルボニル基、シアノ基、アルコキシ基が示される。
【0065】
リビングラジカルポリマーの末端に官能基を導入する工程は、具体的には次の通りである。反応容器に、工程(2)で得られた化合物と求電子化合物を混合する。次に、上記混合物を撹拌する。反応温度、反応時間は、適宜調節すればよいが、通常、−90〜50℃で、0.1〜10時間撹拌する。好ましくは、−80〜20℃で、0.1〜1時間撹拌するのが良い。この時、圧力は、通常、常圧で行われるが、加圧或いは減圧しても構わない。この時、不活性ガスとしては、窒素、アルゴン、ヘリウム等を挙げることができる。好ましくは、アルゴン、窒素が良い。特に好ましくは、窒素が良い。
【0066】
工程(2)で得られた化合物と求電子化合物の使用量としては、通常、工程(2)で得られた化合物1molに対して、求電子化合物を1.0〜50mol、好ましくは、1.0〜5.0molとするのが良い。
反応は、上記で示した溶媒を使用しても構わない。
【実施例】
【0067】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが何らこれらに限定されるものではない。また、実施例および比較例において、各種物性測定は以下の機器により測定を行った。
H−NMR:Varian VXR−300S(300MHz)
MS(GCMS):Hewlett Packard 5972
分子量及び分子量分布:
装置:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー 日本Waters GPCV2000
カラム:TSKgel GMHXL;TSKgel G3000HXL
【0068】
合成例1(MeZnLiの合成)
アルゴン雰囲気下、20mlナスフラスコにTHF0.5ml、塩化亜鉛(1.0Mエーテル溶液)0.11ml(0.11mmol)を加え、これに0℃でメチルリチウム(1.20Mエーテル溶液)0.367ml(0.44mmol)を滴下した。この溶液を0℃で1時間攪拌し、MeZnLi(1.0mmol)を得た。
【0069】
実施例1
工程(1):窒素雰囲気下、エチル 2−ジメチルビスムタニル−2−メチル−プロピオネート(大塚化学株式会社製)(0.1mmol)とメタクリル酸メチル(3.0mmol)とを100℃で3時間反応させ、末端にビスマスを有するリビングラジカルポリマーを得た。H NMRよりモノマーの転化率は100%、ポリメチルメタクリレート基準のGPCより数平均分子量Mn=3800、PDI=1.24であった。
工程(2):上記リビングラジカルポリマーと合成例1で製造したMeZnLi(0.11mmol)を−78℃で1時間反応させ、リビングラジカルポリマーの末端にアート錯体を導入した。
工程(3):末端にアート錯体を導入したリビングラジカルポリマーにベンズアルデヒド(求電子化合物、0.20mmol)を加え、室温で2.5時間反応させ、メタノール(0.30mmol)で処理した。得られた混合物に塩化アンモニウム水溶液(0.5ml)を加え、水層を酢酸エチルで抽出した。有機層を減圧下、濃縮し、得られた粗生成物をクロロホルムに溶解し、次いでヘキサン中に注入し濾過、乾燥して、88%の収率でリビングラジカルポリマーを得た。
得られたリビングラジカルポリマー(Mn=3,600、PDI=1.16)のH−NMR(in CDCN)およびMALDI−TOFMSを図1〜3に示す。これらより、重合末端に選択的に官能基が導入されていることを確認した。上記反応を下記に示す。
【0070】
【化7】

【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】実施例1で得られた末端に官能基を有するリビングラジカルポリマーのH−NMRチャートである。
【図2】実施例1で得られた末端に官能基を有するリビングラジカルポリマーのMALDI−TOFMSスペクトルである。
【図3】実施例1で得られた末端に官能基を有するリビングラジカルポリマーのMALDI−TOFMSスペクトルである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
工程(1)〜(3)を含む末端に官能基を有するリビングラジカルポリマーの製造方法。
工程(1)ビニルモノマーをリビングラジカル重合法によりリビングラジカルポリマーを得る工程;
工程(2)該リビングラジカルポリマーと、金属アート錯体を反応させ、リビングラジカルポリマーの末端に金属アート錯体を導入する工程;
工程(3)工程(2)で得られた化合物と、求電子化合物を反応させ、リビングラジカルポリマーの末端に官能基を導入する工程
【請求項2】
式(1a)で表される有機テルル化合物、式(1b)で表される有機アンチモン化合物及び式(1c)で表される有機ビスマス化合物から選ばれる少なくとも1種をリビングラジカル重合制御剤として用いる請求項1に記載の製造方法。
【化1】

【化2】

【化3】

(式中、R及びRは、C〜Cのアルキル基、アリール基、置換アリール基又は芳香族ヘテロ環基を示す。R及びRは、水素原子又はC〜Cのアルキル基を示す。Rは、アリール基、置換アリール基、芳香族ヘテロ環基、アシル基、アミド基、オキシカルボニル基又はシアノ基を示す。)
【請求項3】
式(1a)で表される有機テルル化合物、式(1b)で表される有機アンチモン化合物及び式(1c)で表される有機ビスマス化合物から選ばれる少なくとも1種、式(2a)で表される化合物、式(2b)で表される化合物及び式(2c)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種をリビングラジカル重合制御剤として用いる請求項1に記載の製造方法。
【化4】

【化5】

【化6】

(式中、R及びRは、上記と同じ。)
【請求項4】
式(1a)で表される有機テルル化合物、式(1b)で表される有機アンチモン化合物及び式(1c)で表される有機ビスマス化合物から選ばれる少なくとも1種と、アゾ系重合開始剤とを用いるリビングラジカル重合法による請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
式(1a)で表される有機テルル化合物、式(1b)で表される有機アンチモン化合物及び式(1c)で表される有機ビスマス化合物から選ばれる少なくとも1種、式(2a)で表される化合物、式(2b)で表される化合物及び式(2c)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種と、アゾ系重合開始剤とを用いるリビングラジカル重合法による請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
金属アート錯体が、亜鉛アート錯体、又は銅アート錯体である請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
求電子化合物が、HO(H)、カルボニル化合物、エポキシド、ハロゲン、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アリル誘導体、ハロゲン化ベンジル誘導体、ハロゲン化トリアルキルシラン、ハロゲン化アリール、ハロゲン化ビニル、アリールトリフルオロメタンスルホナート、ビニルトリフルオロメタンスルホナート、酸ハライド、ジアルキル硫酸エステルである請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−215472(P2009−215472A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−61884(P2008−61884)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【出願人】(302060306)大塚化学株式会社 (88)
【Fターム(参考)】