説明

末端変性多官能ビニル芳香族共重合体及びレジスト組成物

【課題】従来のレジスト材料を上回る現像特性、プロセス適応性を有し、露光後のパターン形状が良好であり、更に優れた耐熱パターン形状保持性を示す可溶性多官能ビニル芳香族共重合体及びネガ型レジスト組成物を得る。
【解決手段】ジビニル芳香族化合物由来の構造単位(a)及びモノビニル芳香族化合物由来の構造単位(b)を含む共重合体であって、その末端に平均して1分子あたり1個以上のカテコール系化合物由来の末端基を有し、数平均分子量が500〜10,000であり、ケトン類、芳香族炭化水素類、アルコール類等の有機溶媒に可溶であり、15%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に可溶である多官能ビニル芳香族共重合体、及びこの多官能ビニル芳香族共重合体と感光性成分を含有するネガ型レジスト組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアルカリ溶解性、耐熱性が改善された末端変性多官能ビニル芳香族共重合体及びこれを使用したレジスト組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSIの高集積化と高速度化に伴い、パターンルールのより微細化の求めに応じて遠紫外線リソグラフィーが実用化されてきた。遠紫外線リソグラフィーは0.3μm以下の加工も可能であり、光吸収の低いレジスト材料を用いた場合、基板に対して垂直に近い側壁を有したパターン形成が可能になる。
【0003】
そして、これら短波長の放射線に対応する高解像度レジストとして、例えば、酸を触媒とした化学増幅ネガ型レジスト材料は、遠紫外線の光源として高輝度なKrFエキシマレーザーを利用し、感度、解像性、ドライエッチング耐性が高く、優れた特徴を有することが知られている(特許文献1〜3)。例えば、特許文献2は、アリルフェノールをモノマー成分として得られるアルカリ可溶性のポリマーと、感放射線酸形成剤を含むネガ型レジスト組成物を開示する。
【0004】
このような化学増幅ネガ型レジスト材料は、遠紫外線リソグラフィーにおいて非常に有用なものであるが、近年、リソグラフィーパターンの微細化に伴う工程数の増加等の問題があり、LSIの生産性向上のために良好なリソグラフィーパターン形成と耐エッチング性、耐熱性等を更に向上させることが望まれている。
【0005】
一方、特許文献5にはジビニル芳香族化合物(a)及びモノビニル芳香族化合物(b)を有機溶媒中、ルイス酸触媒及び特定構造の開始剤の存在下、20〜100℃の温度で重合させることによって得られる可溶性多官能ビニル芳香族共重合体が開示されている。また、特許文献6には4級アンモニウム塩の存在下で、ルイス酸触媒及び特定構造の開始剤により、ジビニル芳香族化合物(a)を20〜100モル%含有してなる単量体成分を20〜120℃の温度でカチオン重合させることにより制御された分子量分布を有する可溶性多官能ビニル芳香族共重合体の製造方法が開示されている。これら2つの特許で開示されている技術によって得られる可溶性多官能ビニル芳香族共重合体は溶剤可溶性及び加工性に優れ、これを使用することによってガラス転移温度の高い耐熱性に優れた硬化物を得ることができる。しかし、これらの技術によって得られた可溶性多官能ビニル芳香族共重合体は金属等との接着性を与える極性基を有していないために、接着性が十分でないという問題点を有していた。
【0006】
上記問題を解決するため、特許文献4にはジビニル芳香族化合物、モノビニル芳香族化合物とフェノール化合物から得られ、末端にフェノール性水酸基を有し、かつ、ジビニル芳香族化合物に由来するペンダントビニル基を有する有機溶媒に可溶な多官能ビニル芳香族共重合体が開示されている。しかし、ここで使用されるフェノール化合物は1つだけのヒドロキシ基を有するものであるため、得られる多官能ビニル芳香族共重合体は接着性が優れ、ガラス転移温度の高い耐熱性に優れた硬化物とはなるが、アルカリ溶液への溶解性に乏しくレジスト材料として使用することはできなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平1−293339号公報
【特許文献2】特開平5−134411号公報
【特許文献3】特開2000−131843公報
【特許文献4】特開2008−189745号公報
【特許文献5】特開2004−123873号公報
【特許文献6】特開2005−213443号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、従来のレジスト材料を上回る現像特性、プロセス適応性を有し、露光後のパターン形状が良好であり、更に優れた耐熱パターン形状保持性を示すレジスト組成物、特に化学増幅ネガ型レジスト組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ジビニル芳香族化合物由来の構造単位(a)及びモノビニル芳香族化合物由来の構造単位(b)を含む共重合体であって、その末端に平均して1分子あたり1個以上の下記式(1)で表されるカテコール系化合物由来の末端基を有し、数平均分子量Mnが500〜10,000であり、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、エタノール又はイソプロパノールに可溶で、しかも15%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に可溶であることを特徴とする多官能ビニル芳香族共重合体である。
【0010】
【化1】

ここで、R1は酸素原子及び窒素原子を含んでもよい炭素数1〜18の炭化水素基であり、nは0〜3の整数を表す。
【0011】
上記多官能ビニル芳香族共重合体は、ジビニル芳香族化合物由来の構造単位(a)及びモノビニル芳香族化合物由来の構造単位(b)の存在モル分率をそれぞれa及びbとしたとき、a/(a+b)=0.05〜0.96を満足することが好ましい。
【0012】
また、上記モノビニル芳香族化合物由来の構造単位(b)を与えるモノビニル芳香族化合物としては、スチレン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、核置換ビニルナフタレン、ビニルビフェニル、核置換ビニルビフェニル、アセナフチレン、核置換アセナフチレン、ビニルアントラセン、核置換ビニルアントラセンからなる群から選ばれるモノビニル芳香族化合物が好ましい。
【0013】
また、上記多官能ビニル芳香族共重合体と感光性成分を含有したことを特徴とするネガ型レジスト組成物である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の多官能ビニル芳香族共重合体は、末端が変性されているためアルカリ可溶性を発現する。そのため、この共重合体はレジスト組成物に配合される硬化性樹脂として有用であり、露光前後のアルカリ溶解性のコントラストに優れ、さらに耐熱性に優れたレジスト組成物が得られる。特に、超LSI製造用及びフォトマスクの微細パターン形成材料として好適なネガ型レジスト組成物として優れる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の多官能ビニル芳香族共重合体は、ジビニル芳香族化合物、モノビニル芳香族化合物及びカテコール系化合物を反応して得られる共重合体であり、上記式(1)で表される末端基を有する。そして、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、エタノール及びイソプロパノールから選ばれる少なくとも1種の有機溶媒に可溶である。また、アルカリ可溶性でもある。具体的には、15%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に可溶である。本発明の多官能ビニル芳香族共重合体は、上記のように末端が変性され、上記溶媒に可溶であり、しかも分子中に重合性の不飽和基を有するので、重合硬化する性質を有する。本発明の多官能ビニル芳香族共重合体は、末端が変性され、溶媒可溶性を示す多官能ビニル芳香族共重合体であるが、誤解を生じない場合は共重合体又は本発明の共重合体と略称する。
【0016】
ところで、ジビニル芳香族化合物及びモノビニル芳香族化合物を反応して得られる共重合体であって、有機溶媒に可溶である多官能ビニル芳香族共重合体は、前記特許文献4〜6等で知られている。本発明の多官能ビニル芳香族共重合体は、ジビニル芳香族化合物及びモノビニル芳香族化合物と共にカテコール系化合物を使用するものである。したがって、本発明の多官能ビニル芳香族共重合体は、前記特許文献4〜6等で知られている多官能ビニル芳香族共重合体の末端基を改良したものであるともいえる。
【0017】
本発明の共重合体は、ジビニル芳香族化合物に由来する構造単位(a)及びモノビニル芳香族化合物に由来する構造単位(b)の他、カテコール系化合物に由来する上記式(1)で表される構造単位(以下、構造単位(c)という)を有する。そして、上記式(1)で表される末端基を末端基(c)という。そして、ジビニル芳香族化合物及びモノビニル芳香族化合物は重合性官能基であるビニル基を有するので単量体であり、カテコール系化合物は、共重合体末端の不飽和基と反応するが、それ自体は重合性の不飽和基を有しないので、単量体ではなく末端変性剤である。本発明の共重合体の重合鎖(主鎖及び側鎖)は単量体から生じ、末端の一部はカテコール系化合物から生ずる。全構造単位というときは、主鎖、側鎖及び末端の全部の構造単位をいう。
【0018】
それぞれの構造単位の存在モル分率をa、b及びcとすれば、a/(a+b)は0.05〜0.96、好ましくは0.4〜0.95、より好ましくは0.50〜0.90の範囲であることがよい。なお、b/(a+b)はa/(a+b)から計算可能である。別の観点からは、構造単位(a)は、全構造単位の合計100モル%に対して、20〜60モル%であることが好ましい。全構造単位の合計100モル%に対して、構造単位(b)は5〜40モル%であることが好ましく、構造単位(c)は10〜60モル%であることが好ましい。
【0019】
ジビニル芳香族化合物に由来する構造単位(a)は、耐熱性を発現させるための架橋成分としてのビニル基を含み、一方、モノビニル芳香族化合物に由来する構造単位(b)は、硬化反応に関与するビニル基を有しないため分子の直線性すなわち溶解性が向上される。したがって、a/(a+b)が0.05未満では硬化物の耐熱性が不足し、0.96超ではアルカリ溶解性が低下する。
【0020】
共重合体中では、ジビニル芳香族化合物に由来する構造単位(a)は、一部は架橋して分岐構造を与え、一部は末端ビニル基として残存し、この末端ビニル基の一部は前記末端構造単位(c)と結合し、一部は重合鎖中に不飽和基として残る。したがって、ジビニル芳香族化合物に由来する構造単位(a)は、共重合体を分岐して末端を増やすと共に、重合硬化性を与える。しかし、ジビニル芳香族化合物の多くが架橋すると硬化して溶剤可溶性を示さなくなるので、溶剤可溶性を示すように重合させる。好ましくは、末端ビニル基が全構造単位の0.5〜20モル%、好ましくは1〜10モル%となるようにする。
【0021】
また、共重合体の末端には、上記式(1)で表される末端基(c)を有する。末端基(c)は末端構造単位(c)を与える。末端基(c)又は末端構造単位(c)は1分子あたり平均して1個以上有する。好ましくは2〜5個を有する。別の観点からは、末端構造単位(c)の存在モル分率cは、c/(a+b+c)=0.1〜0.6、より好ましくは0.2〜0.4、更に好ましくは0.2〜0.35を満足することがよい。上記式(1)において、R1は酸素原子及び窒素原子を含んでもよい炭素数1〜18の炭化水素基であるが、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。nは0〜3の整数を表すが、好ましくは0又は1である。
【0022】
本発明の共重合体の末端に末端基(c)を上記の関係を満足するように導入することによって、高い熱履歴に対しても優れた耐熱性と高接着性を有し、アルカリ溶解性に優れた樹脂組成物とすることができる。末端基(c)の量が少ないとアルカリ溶解性が低下し、多すぎるとポリマーとしての機械物性が維持できず、更に耐熱性が低下する。
【0023】
本発明の共重合体のMn(ここで、Mnはゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定される標準ポリスチレン換算の数平均分子量である)は500〜10,000であり、好ましくは700〜5,000、更に好ましくは1,000〜4,000である。Mnが500未満であると共重合体の粘度が低すぎるため、厚膜の形成が困難になるなど、加工性が低下し、また、Mnが10,000を超えると、ゲルが生成しやすくなり、薄膜を成形した場合、解像度の低下を招くとともに、末端官能基の数が低下するため、アルカリ溶解性の向上が望めない。分子量分布(Mw/Mn)の値は50.0以下、好ましくは20.0以下、より好ましくは1.5〜3.0である。Mw/Mnが50.0を超えると、共重合体の溶解特性の悪化、ゲルの発生といった問題点を生ずる。
【0024】
本発明の共重合体は、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、エタノール及びイソプロパノールから選ばれるいずれか1以上の有機溶媒に可溶であり、更に15%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に可溶であるが、有利には上記有機溶媒のいずれにも可溶である。有機溶媒及びアルカリ溶液に可溶な共重合体であるためには、ジビニル芳香族化合物のビニル基の一部は架橋せずに残存し適度な架橋度とすることにより可能である。ここで、可溶であるとは有機溶媒及びアルカリ溶液等の溶媒100mlに、25℃で、1g以上が溶解することをいう。
【0025】
本発明の共重合体は上記特許文献4〜6に示される方法に準じて得ることができる。具体的には、ジビニル芳香族化合物とモノビニル芳香族化合物と下記式(5)で表されるカテコール系化合物を使用し、共重合させて、カテコール系化合物由来の末端基を有する共重合体を得ることができる。式(5)において、R1及びnは式1のR1及びnと同じ意味である。
【0026】
【化2】

【0027】
例えば、共重合体の製造方法としては、ジビニル芳香族化合物、モノビニル芳香族化合物及びカテコール系化合物を、ルイス酸触媒、エステル化合物から選ばれる助触媒の存在下でカチオン共重合させることにより得ることができる。
【0028】
ジビニル芳香族化合物とモノビニル芳香族化合物とカテコール系化合物の使用量は、本発明の共重合体の組成を与えるように決められるが、ジビニル芳香族化合物を、好ましくは全単量体の10〜90モル%、より好ましくは40〜95モル%、更に好ましくは50〜90モル%使用する。モノビニル芳香族化合物を好ましくは全単量体の90〜10モル%、より好ましくは5〜60モル%、更に好ましくは10〜50モル%使用する。
【0029】
単量体は上記のように重合性不飽和結合を有する成分をいうが、その他の単量体を全単量体の50モル%以下、好ましくは10モル%以下、より好ましくは5モル%以下使用してもよい。その他の単量体としては、脂肪族ビニル化合物等がある。
【0030】
共重合体の製造で用いられるルイス酸触媒としては、金属イオン(酸)と配位子(塩基)からなる化合物であって、電子対を受け取ることのできるものであれば特に制限なく使用できる。分子量及び分子量分布の制御及び重合活性の観点から、三フッ化ホウ素のエーテル(ジエチルエーテル、ジメチルエーテル等)錯体が最も好ましく使用される。ルイス酸触媒はカテコール系化合物1モルに対して、0.001〜10モルの範囲内で用いるが、より好ましくは0.001〜0.01モルである。ルイス酸触媒の使用量が過大であると、重合速度が大きくなりすぎるため、分子量分布の制御が困難となるばかりでなく、フェノール性水酸基の導入量が減少する。
【0031】
助触媒としてはエステル化合物から選ばれる1種以上が挙げられる。その中で、重合速度及び共重合体の分子量分布制御の観点から炭素数4〜30のエステル化合物が好適に使用される。入手の容易さの観点から、酢酸エチル、酢酸プロピル及び酢酸ブチルが好適に使用される。助触媒はカテコール系化合物1モルに対して0.001〜10モルの範囲内で使用するが、より好ましくは0.01〜1モルである。助触媒の使用量が過大であると、重合速度が減少し、共重合体の収率が低下し、フェノール性水酸基の導入量が減少する。一方、助触媒の使用量が過少であると、重合反応の選択性が低下し、分子量分布の増大、ゲルの生成等が生じる他、重合反応の制御が困難となる。
【0032】
カテコール系化合物は重合反応時に重合活性種との間で連鎖移動反応を起こし、共重合体の末端に、アルカリ溶解性の付与を可能にするカテコール性水酸基を導入する役割を果たす化合物である。カテコール系化合物は重合性の不飽和基を有しないので、末端のみに存在する。カテコール系化合物の使用量は、全単量体1モルに対し、0.01〜10モルの範囲が好ましく、より好ましくは0.5〜5モルである。カテコール系化合物の使用量が少ないと末端基(c)の導入量が減少し、アルカリ溶解性、接着性等の機能が低下する。また、多いと共重合体中のビニル基の含有量が著しく低下するため、共重合体の硬化が困難となり、共重合体から得られる硬化物のアルカリ溶解性の低下が十分に起こらず、また耐熱性も低下する。なお、カテコール系化合物はビニル基の一部と反応して末端基を形成するものであるため、過剰のカテコール系化合物は使用する場合は未反応で残る。
【0033】
カテコール系化合物としては、カテコール、アルキルカテコール、ジアルキルカテコール、フェニルカテコール、アルキルフェニルカテコール等の炭素数6〜30のカテコール系化合物が挙げられる。これらのカテコール系化合物の内、反応性、入手の容易さの観点から、カテコールが好ましく用いられる。
【0034】
ジビニル芳香族化合物は共重合体を熱硬化する際に耐熱性を発現させるための架橋成分として重要な役割を果たす。これらの例としては、ジビニルベンゼン(m−およびp−両方の異性体)、ジビニルナフタレン(各異性体を含む)、ジビニルビフェニル(各異性体を含む)等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0035】
モノビニル芳香族化合物は、本発明の多官能ビニル芳香族共重合体の溶剤可溶性及び加工性を改善する機能を有する。使用されるモノビニル芳香族化合物の例としては、スチレン、核アルキル置換モノビニル芳香族化合物、α−アルキル置換モノビニル芳香族化合物、β−アルキル置換スチレン、アルコキシ置換スチレン等があるが、これらに制限されるものではない。重合体のゲル化を防ぎ、溶媒への溶解性、加工性の改するために、特にスチレン、エチルビニルベンゼン(m−およびp−両方の異性体)、ビニルナフタレン、核置換ビニルナフタレン、ビニルビフェニル、核置換ビニルビフェニル、アセナフチレン、核置換アセナフチレン、ビニルアントラセン、核置換ビニルアントラセンが好まれて使用される。ここで、核置換ビニルナフタレン等の核置換化合物の置換基としては炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。
【0036】
重合反応は、生成する多官能ビニル芳香族共重合体を溶解し、誘電率が2〜15である1種以上の溶媒中で行うことがよい。溶媒としては、トルエン、キシレン、n−へキサン、シクロへキサン、メチルシクロへキサン及びエチルシクロへキサンが特に好ましい。また、溶媒の使用量は、得られる重合溶液の粘度や除熱の容易さを考慮して、重合終了時において重合溶液中の共重合体の濃度が1〜80wt%、好ましくは5〜60wt%、特に好ましくは7〜50wt%となるように決定される。重合温度は20〜120℃の範囲であるが、好ましくは40〜100℃である。
【0037】
次に、本発明のレジスト組成物について説明する。
【0038】
本発明の共重合体は、感光性成分との共存でネガ型レジストとしての使用が可能である。したがって、感光性成分との組成物とした場合、感光した部分でのみアルカリ不溶化が発現するネガ型レジストとなるものである。
【0039】
本発明のレジスト組成物は、ネガ型レジスト材料として使用でき、本発明の多官能ビニル芳香族共重合体、有機溶媒及び感光性成分を主成分とする。
【0040】
ここで、有機溶媒としては、シクロヘキサノン、メチル−2−n−アミルケトンなどのケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノールなどのアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネートなどのエステル類が挙げられ、これらの一種類を単独で又は二種類以上を混合して使用することができる。これらの中では、レジスト成分中の感光性成分の溶解性が最も優れているジエチレングリコールジメチルエーテルや1−エトキシ−2−プロパノールが好ましく使用される。
【0041】
有機溶媒の使用量は、多官能ビニル芳香族共重合体100重量部に対し200〜1,000重量部、好ましくは400〜800重量部である。200部より少ないと相溶性が低下し、成膜性に劣る場合が生じ、1,000部を超えるとレジスト膜を形成した場合に薄膜になり、使用に供し得ない場合が生じる。
【0042】
感光性成分としては、放射線照射により分解しアルカリ可溶性樹脂である多官能ビニル芳香族共重合体を架橋させるか、酸性度を増大させて現像液に不溶化させる化合物である。
【0043】
このような感光性成分としては、一般的な光重合開始剤や光酸発生剤が上げられる。光重合開始剤としては、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;アセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−フェニルプロパン−1−オン、ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1−オンなどのアセトフェノン類;2−エチルアントラキノン、2−ターシャリーブチルアントラキノン、2−クロロアントラキノン、2−アミルアントラキノンなどのアントラキノン類;2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントンなどのチオキサントン類;アセトフエノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなどのケタール類;ベンゾフエノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、4,4'−ビスメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のホスフィンオキサイド類等が挙げられる。
【0044】
光酸発生剤としてはアジド基含有化合物が有用であり、例えば1−アジドピレン、p−アジドベンゾフェノン、4’−メトキシ−4−アジドジフェニルアミン、4−アジドベンザル−2’−メトキシアセトフェノン、4−アジド−4’−ニトロフェニルアゾベンゼンなどのモノアジド化合物、4,4’−ジアジドベンゾフェノン、4,4’−ジアジドベンゾメタン、4,4’−ジアジドスチルベン、2,2’−ジ(エタノールスルホンアミド)−4,4’−ジアジドスチルベン、4,4’−ジアジドカルコン、2−ジエトキシエチルスルホンアミド−4,4’−ジアジドカルコン、4,4’−ジアジドジフェニルスルホン、3,4’−ジアジドジフェニルスルホン、3,3’−ジアジドジフェニルスルホン、2,6−ジ(4’−アジドベンザル)シクロヘキサン、2,6−ジ(4’−アジドベンザル)4−メチルシクロヘキサンなどのビスアジド化合物、スルホニルアジドベンゼン、p−スルホニルアジドトルエンなどのモノスルホニルアジド化合物およびp−ビス(スルホニルアジド)ベンゼン、4,4’−ビス(スルホニルアジド)ベンゾフェノンなどのビススルホニルアジド化合物が挙げられる。
【0045】
このうちでもビスアジド化合物が好ましい感光性成分として用いられる。これらの感光性成分は単独あるいは2種以上に用いられる。感光性成分の添加量は、上記共重合体100重量部に対し、通常、0.1〜40重量部、好ましくは1〜30重量部である。感光性成分の添加量が0.1重量部未満では放射線照射部が現像液に対して不溶化し難く、40重量部を超えるとパターンが逆テーパー状になりパターン形状が悪化する。
【0046】
更に、本発明のレジスト組成物には、感度、硬化性を向上させるために他の多官能低分子モノマーとして各種(メタ)アクリレート化合物や塗布性を向上させるために界面活性剤、基板よりの乱反射の影響を少なくするために吸光性材料を配合することができる。
【0047】
本発明のネガ型レジスト組成物を使用してパターンを形成するには、公知のリソグラフィー技術を採用して行うことができ、例えばシリコーンウエハー上へスピンコーティング法によりレジストを塗布し、プリベークすることでレジスト膜を形成する。その後、遠赤外線、電子線、X線等の光エネルギー線を照射して露光後、アルカリ水溶液で現像することにより行うことができる。
【実施例】
【0048】
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらにより制限されるものではない。なお、各例中の部はいずれも重量部である。また、実施例中の軟化温度等の測定は以下に示す方法により試料調製及び測定を行った。
【0049】
1)ポリマーの分子量及び分子量分布
可溶性多官能芳香族共重合体の分子量及び分子量分布測定はGPC(東ソー製、HLC−8120GPC)を使用し、溶媒にテトラヒドロフラン、流量1.0ml/min、カラム温度38℃、単分散ポリスチレンによる検量線を用いて行った。
【0050】
2)ポリマーの構造
日本電子製JNM−LA600型核磁気共鳴分光装置を用い、13C−NMR及び1H−NMR分析により決定した。溶媒としてクロロホルム−d1を使用し、テトラメチルシランの共鳴線を内部標準として使用した。
【0051】
3)末端基の解析
末端基の算出は、上記のGPC測定より得られる数平均分子量と1H−NMR測定と元素分析の結果より得られるモノマー総量に対する末端基を導入するために使用した誘導体量とから、末端基を有する可溶性多官能ビニル芳香族共重合体1分子中に含まれる末端基数を算出した。
【0052】
4)硬化物のガラス転移温度(Tg)及び軟化温度測定の試料調製及び測定
乾燥後の厚さが20μmになるように、ガラス基板に可溶性多官能ビニル芳香族共重合体溶液を均一に塗布し、ホットプレートを用いて90分で30分間加熱し、乾燥させた。ガラス基板とともに得られた樹脂膜はTMA(熱機械分析装置)にセットし、窒素気流下、昇温速度10℃/分で220℃まで昇温し、更に220℃で20分間加熱処理することにより残存する溶媒を除去するとともに可溶性多官能ビニル芳香族共重合体を硬化した。ガラス基板を室温まで放冷した後、TMA測定装置中の試料に分析用プローブを接触させ、窒素気流下、昇温速度10℃/分で30℃から360℃までスキャン測定を行い、接線法で軟化温度を求めた。
【0053】
5)有機溶媒及びアルカリ水溶液への溶解試験
25℃の各種有機溶媒(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、エタノール及びイソプロパノール)100mlに対し、共重合体1gを加え、マグネチックスターラーを用いて30分攪拌した後に目視で溶解性を確認した。完全に溶解した場合を可溶性とした。また、アルカリ水溶液への溶解試験としては、共重合体1.0gをエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート15gに溶かして溶液とし、スピンコート法によりシリコーンウエハー上に成膜した。膜厚は乾燥後の膜厚で約1μmとなるような回転数で塗布した。80℃で20分間プリベークを行った。この共重合体薄膜に対し、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(花王株式会社製、クリーンスルーKS−5020)を用いて25秒間現像を行い、残存膜厚を測定した。残存膜厚がゼロであった場合を可溶性とし溶解性を確認した。
【0054】
実施例1
ジビニルベンゼン1.701モル(242.3mL)、エチルビニルベンゼン0.399モル(56.8mL)、アセナフチレン0.900モル(137.0g)、カテコール3.15モル(346.8g)、酢酸ブチル400.0mL、トルエン800.0mLを3.0Lの反応器内に投入し、60℃で50ミリモルの三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体を添加し、60℃で1時間、90℃で3時間反応させた。重合反応をメタノールで停止させた後、室温で反応混合液を大量のヘキサンに投入し、重合体を析出させた。得られた重合体をメタノールに溶解させ、少量の塩酸を溶解させた大量の水中に投入して共重合体を析出させた、水洗、濾別、乾燥、秤量して、共重合体A 311.12gを得た。
【0055】
得られた共重合体AのMnは906、Mwは1720、Mw/Mnは1.90であった。13C‐NMR及び1H‐NMR分析を行うことにより、共重合体Aはカテコールに由来する末端基の共鳴線が観察された。共重合体Aの元素分析結果と標準ポリスチレン換算の数平均分子量から算出される共重合体のカテコール由来の末端基の導入量(c1)は2.6(個/分子)で、全構造単位の31.6モル%であった。また、ジビニルベンゼン由来の構造単位を72.3モル%及びアセナフチレンとエチルベンゼン由来の構造単位を合計27.7モル%含有していた(末端構造単位を除く)。共重合体A中に含まれるビニル基含有量は、3.4モル%であった(末端構造単位を除く)。また全構造単位に対するジビニルベンゼン由来の構造単位は49.5%であった。なお、「末端構造単位を除く」は、ジビニル芳香族化合物の構造単位(a)及びモノビニル芳香族化合物の構造単位(b)の合計を100モル%として計算したという意味である。
共重合体Aはメタノール、エタノール、THF、アセトン、メチルエチルケトンなどの有機溶媒に可溶であった。また、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液にも可溶であり、アルカリ可溶性を有していた。ゲルの生成は認められなかった。
【0056】
実施例2
ジビニルベンゼン2.098モル(298.8mL)、エチルビニルベンゼン0.492モル(70.1mL)、スチレン0.410モル(47.0mL)、カテコール3.15モル(346.8g)、酢酸ブチル400.0mL、トルエン800.0mLを3.0Lの反応器内に投入し、50℃で50ミリモルの三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体を添加し、50℃で3時間、90℃で3時間反応させた。重合反応をメタノールで停止させた後、室温で反応混合液を大量のヘキサンに投入し、重合体を析出させた。得られた重合体をメタノールに溶解させ、少量の塩酸を溶解させた大量の水中に投入して重合体を析出させた、水洗、濾別、乾燥、秤量して、共重合体B 393.78gを得た。
【0057】
得られた共重合体BのMnは1260、Mwは2340、Mw/Mnは1.86であった。13C‐NMR及び1H‐NMR分析を行うことにより、共重合体Bはカテコールに由来する末端基の共鳴線が観察された。共重合体Bの元素分析結果と標準ポリスチレン換算の数平均分子量から算出される可溶性多官能ビニル芳香族共重合体のカテコール由来の末端基の導入量(c1)は2.8(個/分子)で、全構造単位の24.5モル%であった。また、ジビニルベンゼン由来の構造単位を73.1モル%及びスチレンとエチルベンゼン由来の構造単位を合計26.9モル%含有していた(末端構造単位を除く)。共重合体B中に含まれるビニル基含有量は、2.1モル%であった(末端構造単位を除く)。また全構造単位に対するジビニルベンゼン由来の構造単位は55.2%であった。
共重合体Bはメタノール、エタノール、THF、アセトン、メチルエチルケトンなどの有機溶媒に可溶であった。また、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液にも可溶であり、アルカリ可溶性を有していた。ゲルの生成は認められなかった。
【0058】
比較例1
ジビニルベンゼン2.098モル(298.8mL)、エチルビニルベンゼン0.492モル(70.1mL)、スチレン0.410モル(47.0mL)、フェノール3.15モル(346.8g)、酢酸ブチル400.0mL、トルエン800.0mLを3.0Lの反応器内に投入し、50℃で50ミリモルの三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯体を添加し、50℃で3時間、90℃で3時間反応させた。重合反応をメタノールで停止させた後、室温で反応混合液を大量のヘキサンに投入し、重合体を析出させた。得られた重合体をメタノールに溶解させ、少量の塩酸を溶解させた大量の水中に投入して重合体を析出させた、水洗、濾別、乾燥、秤量して、共重合体C 339.45gを得た。
【0059】
得られた共重合体CのMnは1140、Mwは2520、Mw/Mnは2.21であった。13C‐NMR及び1H‐NMR分析を行うことにより、共重合体Cはフェノールに由来する末端基の共鳴線が観察された。共重合体Cの元素分析結果と標準ポリスチレン換算の数平均分子量から算出される可溶性多官能ビニル芳香族共重合体のフェノール由来の末端の導入量(c1)は2.9(個/分子)で、全構造単位の23.9モル%であった。また、ジビニルベンゼン由来の構造単位を72.6モル%及びスチレンとエチルベンゼン由来の構造単位を合計27.4モル%含有していた(末端構造単位を除く)。共重合体C中に含まれるビニル基含有量は、1.6モル%であった(末端構造単位を除く)。また全構造単位に対するジビニルベンゼン由来の構造単位は55.2%であった。
共重合体Cはメタノール、エタノール、THF、アセトン、メチルエチルケトンといった有機溶媒に可溶であった。しかし、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いた場合、残膜率は80%であり、更に強い15.0%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を使用した場合でも30%の残膜率であり、パターン形成が可能なアルカリ可溶性は示さなかった。一方、ゲルの生成は認められなかった。
【0060】
実施例3
3,3’−ジアジドジフェニルスルホン:0.2g、実施例1で得られた共重合体A:1.0gをエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート13.7gに溶かしてネガ型レジスト組成物を得た。このネガ型レジスト組成物をスピンコート法によりシリコーンウエハー上に成膜し、80℃で20分間プリベークを行った。得られたレジスト膜の厚さは0.56μmであった。
次いで、露光機(HI−TECH Co.Ltd.製、HTE−505S)を用いて、テストマスクをウエハ上に載せ、60mJ/cm2の露光量で露光を行った。現像は2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(花王株式会社製、クリーンスルーKS−5020)を用いて25秒間現像を行い、脱イオン水に80秒間浸してリンスした。
【0061】
現像後のパターンを走査型電子顕微鏡で観察した結果、特にテーパも見られず良好なパターンを得ることができた。更に、現像後のシリコーンウエハーを130℃の高温で5分間ベークし,パターンの劣化の状態を同様に走査型電子顕微鏡により観察し、目視にて加熱前後のパターン形状の変化がないことを確認した。
【0062】
実施例4
実施例2で得られた共重合体Bを使用したこと以外は、実施例3と同様の方法によって、ネガ型レジスト組成物を得た。このネガ型レジスト組成物を使用して実施例3と同様の方法によって、レジスト膜を作成し、露光、現像及び現像後のパターン観察を行い、特にテーパも見られず良好なパターンを得ることができたことを確認した。更に、現像後のシリコーンウエハーを130℃の高温で5分間ベークし、パターンの劣化の状態を同様に走査型電子顕微鏡により観察し、目視にて加熱前後のパターン形状の変化がないことを確認した。
【0063】
比較例2
比較例1で得られた共重合体Cを使用したこと以外は、実施例3と同様の方法によって、ネガ型レジスト組成物を得て、レジスト膜を作成し、露光、現像及び現像後のパターン観察を行った結果、わずかにフォトパターンを示すテーパが観察されたのみで、パターン形成ができなかったことを確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジビニル芳香族化合物由来の構造単位(a)及びモノビニル芳香族化合物由来の構造単位(b)を含む共重合体であって、その末端に平均して1分子あたり1個以上の下記式(1)
【化1】

(ここで、R1は酸素原子及び窒素原子を含んでもよい炭素数1〜18の炭化水素基であり、nは0〜3の整数を表す)
で表されるカテコール系化合物由来の末端基を有し、数平均分子量が500〜10,000であり、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、エタノール又はイソプロパノールに可溶であり、15%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に可溶であることを特徴とする多官能ビニル芳香族共重合体。
【請求項2】
ジビニル芳香族化合物由来の構造単位(a)及びモノビニル芳香族化合物由来の構造単位(b)の存在モル分率をそれぞれa及びbとしたとき、a/(a+b)=0.05〜0.96を満足する請求項1に記載の多官能ビニル芳香族共重合体。
【請求項3】
モノビニル芳香族化合物由来の構造単位(b)を与えるモノビニル芳香族化合物が、スチレン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、核置換ビニルナフタレン、ビニルビフェニル、核置換ビニルビフェニル、アセナフチレン、核置換アセナフチレン、ビニルアントラセン、核置換ビニルアントラセンからなる群から選ばれるモノビニル芳香族化合物である請求項1又は2に記載の多官能ビニル芳香族共重合体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の多官能ビニル芳香族共重合体と感光性成分を含有したことを特徴とするネガ型レジスト組成物。

【公開番号】特開2010−229261(P2010−229261A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−77372(P2009−77372)
【出願日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【出願人】(000006644)新日鐵化学株式会社 (747)
【Fターム(参考)】