説明

本わさび様の風味を有する、アリルイソチオシアネート含有わさび加工品

【課題】本発明は、アリルイソチオシアネートを添加して辛味が強められているわさび加工品であって、本わさび特有の香り、おろしたての本物感を感じさせることができるわさび加工品を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明に係る、わさび粉砕物を含み且つアリルイソチオシアネートが添加されているわさび加工品は、5‐ヘキセニルイソチオシアネート及び6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートが添加されており、5‐ヘキセニルイソチオシアネートが44〜194 ppm含まれており、且つ、6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートが5‐ヘキセニルイソチオシアネート100重量部に対して1.8〜27.0重量部の割合で含まれていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はおろしわさび等のわさび加工品に関わる技術分野に属する発明である。
【背景技術】
【0002】
チューブ入りや袋入りの形態で現在市販されているおろしわさびは、わさびの粉砕物の他に更に辛味成分であるアリル芥子油(アリルイソチオシアネート)が添加されて辛味が強められているのが一般的であり、一般の消費者にとっておろしわさびは「強い辛味」を有するものと認識されている。
【0003】
これに対して、天然の本わさびを摩りおろしたものは、実際にはおろしわさびほどの辛味は感じられず、むしろ青くみずみずしい香りとほのかな甘い香りがする。したがって、現在市販されているおろしわさびと、天然の本わさびを摩り下ろしたものとを実際に食べ比べると、その香り、風味は大きく異なる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Hideki Masuda et. al“Characteristic Odorants of Wasabi (Wasabiajaponica matum),Japanese Horseradish ,in Comparison with Those of Horseradish (Armoracia rusticana)”,Biotechnology for Improved Foods and Flavors,1996,p.67-78
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本わさび中に含まれる特徴的な香りに関する研究が行われており、青い香りや甘い香りに関与する香り成分が同定されている(非特許文献1)。
【0006】
本発明者らが研究を進める中で、アリルイソチオシアネートを添加して辛味を強めたおろしわさびでは、非特許文献1で同定された本わさび中に含まれる種々の香り成分を本わさびと同様の含有量となるように添加しても、本わさび特有の香りやおろしたての本物感を感じさせることはできなかった。
【0007】
他方、アリルイソチオシアネートを添加しなければ、非特許文献1で同定された本わさび中に含まれる種々の香り成分を本わさびと同様の含有量となるように添加することにより、本わさび特有の香りを感じさせることはできる。しかしながら、一般の消費者にとっておろしわさびは「強い辛味」を有するものと認識されているため、一般の消費者に広く受け入れられる商品であるためには、アリルイソチオシアネートを添加して辛味を強めたおろしわさびでなければならないと考えられる。
【0008】
そこで、本発明の目的は、アリルイソチオシアネートを添加して辛味が強められているわさび加工品において、本わさび特有の香り、おろしたての本物感を感じさせることができるわさび加工品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、わさび粉砕物を含み且つアリルイソチオシアネートが添加されているわさび加工品において、本わさび中に含まれる特定の二種類の成分(5-ヘキセニルイソチオシアネートおよび6-メチルチオヘキシルイソチオシアネート)を天然の本わさびとは異なる含有量、含有比率でバランスさせることによって、上記課題を解決できることを見出した。本発明は以下の発明を包含する。
【0010】
(1) わさび粉砕物を含み且つアリルイソチオシアネートが添加されているわさび加工品において、
(A) 5‐ヘキセニルイソチオシアネート及び6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートが添加されており、
(B) 5‐ヘキセニルイソチオシアネートが44〜194 ppm含まれており、
(C) 6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートが5‐ヘキセニルイソチオシアネート100重量部に対して1.8〜27.0重量部の割合で含まれている
ことを特徴とするわさび加工品。
(2) アリルイソチオシアネートが1000〜4200 ppm 含まれている、(1)に記載のわさび加工品。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アリルイソチオシアネートを添加して辛味が強められており、なおかつ本わさび特有の香り、おろしたての本物感を感じさせることができるわさび加工品が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
わさび加工品
本発明において「わさび加工品」とは本わさび、または、西洋わさび、あるいはその両方の粉砕物を含む加工品を指し、典型的にはおろしわさび、ねりわさび、粉わさび等のわさびの風味を有する加工食品を指す。これらの中でも、おろしわさび又はねりわさびであるのが好ましい。
【0013】
「本わさび」とは、学名がWasabia japonica matum.である植物の総称である。「西洋わさび」とは、学名がArmoracia rusticanaである植物の総称である。
【0014】
わさび粉砕物
「わさび粉砕物」は、本わさびまたは西洋わさびを粉砕処理して得られる。本わさびまたは西洋わさびとしては根茎、根、葉柄、葉の部位を用いることができる。これらの部位の表面を洗浄後、付着している水分を切り、例えばコミトロールなどによって粉砕して、わさび粉砕物を得ることができる。わさび粉砕物としては、本わさびの粉砕物を用いることが好ましい。
【0015】
わさび粉砕物の含量は特に限定されないが、例えばわさび加工品(湿重量)あたり5〜70重量%、より好ましくは10〜50重量%とすることができる。
【0016】
辛味成分及び香気成分
本発明が対象とするわさび加工品は、わさび粉砕物に加えて、辛味成分としてアリルイソチオシアネート(アリル芥子油)が添加されて辛味が増強されたわさび加工品である。わさび加工品に求められている、十分な辛味を付与するためには、アリルイソチオシアネートは、わさび加工品(湿重量)あたり、1000〜4200 ppm 含まれていることが好ましく、1500〜2400 ppm 含まれていることがより好ましい。
【0017】
本発明のアリルイソチオシアネートが添加され辛味が増強されたわさび加工品は、香気成分として更に5‐ヘキセニルイソチオシアネート及び6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートが添加されたものであり、5‐ヘキセニルイソチオシアネートがわさび加工品(湿重量)あたり44〜194 ppm、より好ましくは70〜150 ppm含まれ、6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートが5‐ヘキセニルイソチオシアネート100重量部に対して1.8〜27.0重量部の割合で含まれるように添加されていることを特徴とする。
【0018】
アリルイソチオシアネートが添加され辛味が増強されたわさび加工品に、天然の本わさびと同等量の5‐ヘキセニルイソチオシアネート及び6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートを添加しても、おろしたての本わさびに特有の香り(トップの青くみずみずしい香りと、ほのかに残る甘い香り)を感じさせることができない。ところが驚くべきことに、5‐ヘキセニルイソチオシアネートをわさび加工品(湿重量)あたり44〜194 ppmとし、なお且つ6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートを5‐ヘキセニルイソチオシアネート100重量部に対して1.8〜27.0重量部とすることにより、辛味が増強されたわさび加工品においても、トップの青くてみずみずしい香りと、ほのかに残る甘い香りが付与されることを見出した。なお、香気成分のこの濃度及び相対比は、天然の本わさびや、既存のアリルイソチオシアネート含有わさび加工品には認められない。
【0019】
アリルイソチオシアネートが添加され辛味が増強されたわさび加工品中の5‐ヘキセニルイソチオシアネートの含有量が44ppm未満の場合、トップの青くてみずみずしい香りが付与されない。5‐ヘキセニルイソチオシアネートの含有量が194 ppmを超える場合、人工的な香りが強く感じられる。6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートが、5‐ヘキセニルイソチオシアネート100重量部に対して1.8〜27.0重量部の範囲外の場合は、トップの香りと、甘い香りとのバランスが悪く、本わさびの風味が付与されない。
【0020】
本発明においてアリルイソチオシアネート、5‐ヘキセニルイソチオシアネート、及び6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートは、植物からの抽出物でも有機合成物でもよく、油脂や有機溶媒に溶解させた形態で添加することができる。
【0021】
わさび加工品に含まれるアリルイソチオシアネート、5‐ヘキセニルイソチオシアネート及び6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートは、全量が辛味成分又は香気成分として添加されたものであるとは限らず、一部分はわさび粉砕物等の他の原料に由来するものであってもよい。
【0022】
本発明において、アリルイソチオシアネート、5‐ヘキセニルイソチオシアネート、及び6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートの濃度は、それぞれ、以下に示した分析法で求められた、内部標準(プロピオン酸ベンジル)換算の濃度を指す。5‐ヘキセニルイソチオシアネートと6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートとの相対量は、この濃度に基づいて算出される。後述する実施例及び比較例においてもこの方法によりアリルイソチオシアネート、5‐ヘキセニルイソチオシアネート、及び6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートの濃度を測定した。
【0023】
分析法
アリルイソチオシアネート、5-ヘキセニルイソチオシアネートおよび6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートの量を特定するために用いた分析方法は以下の通りである。
【0024】
わさび粉砕物またはわさび粉砕物を含むわさび加工品(2.5 g)

蒸留水10mlを加え20秒間撹拌混合する

5ppmプロピオン酸ベンジルを含むヘキサン20mlを加え、1分間激しく混合する

1400 × g、10分間遠心分離する

上澄のヘキサン層をとり、疎水性メンブレンフィルター(ポアサイズ 0.45 μm)でろ過する

GC/MS(GC/MS:ガスクロマトグラフィー質量分析装置)で測定する。
(条件)
検出器:MS
カラム:DB-5
カラム昇温:40℃ 2 min→(2.5℃ /min)→210℃→(10℃ /min)→240℃ 7 min (Total 80min)
注入口:スプリットレス、200℃
注入量:1 μl

単位濃度の内部標準(プロピオン酸ベンジル)のピーク面積に対するアリルイソチオシアネート、5-ヘキセニルイソチオシアネートまたは6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートのピーク面積比から、アリルイソチオシアネート、5-ヘキセニルイソチオシアネートまたは6-メチルチオヘキシルイソチオシアネート、それぞれの濃度を換算した。
【0025】
他の成分
本発明のわさび加工品には、わさび粉砕物、アリルイソチオシアネート、5‐ヘキセニルイソチオシアネート、及び6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートに加えて、わさび加工品の形態に応じた任意の他の成分を更に配合することができる。
【0026】
他の成分としては、水分活性調節剤、呈味成分、pH調整剤、油脂、安定剤、保形剤等が挙げられ、これらのうちの1種以上を組み合わせることができる。
【0027】
水分活性調節剤としては、食塩や塩化カリウムなどの無機塩類、ショ糖、ソルビトールなどの糖類などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0028】
呈味成分としては、食塩、ショ糖などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。なお、水分活性調節剤の食塩、ショ糖などは呈味機能も有している。
【0029】
pH調整剤としては、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、乳酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、ミョウバンなどが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0030】
油脂としては、サラダ油、菜種油、コーン油 、大豆油などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0031】
安定剤としては、増粘多糖類、デンプン、セルロース、食物繊維などの多糖類が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0032】
保形剤としては、デンプン、セルロース、食物繊維などが挙げられるがこれらに限定されるものではない。なお、安定剤のデンプン、セルロース、食物繊維は保形剤としての機能も有している。
【0033】
上記のような他の成分の含量は特に限定されず、わさび粉砕物の含量との関係で適宜設定すればよい。
【0034】
製造方法
本発明のわさび加工品の製造方法は特に限定されない。わさび粉砕物、アリルイソチオシアネート、5‐ヘキセニルイソチオシアネート、6-メチルチオヘキシルイソチオシアネート、及び他の成分を適宜混合することにより本発明のわさび加工品を製造することができる。
【実施例】
【0035】
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。
【0036】
実施例 1
表1の割合で配合されたおろしわさびに対して、アリルイソチオシアネート、5-ヘキセニルイソチオシアネートおよび6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートを、アリルイソチオシアネートが1720ppm、5-ヘキセニルイソチオシアネートが102ppm、6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートが12.3ppm(5-ヘキセニルイソチオシアネート100重量部に対して12.1重量部に相当する)になるよう添加混合し、その香りを評価した。その結果、このおろしわさびは「トップの青くてみずみずしい香りとほのかに残る甘い香りのバランスが非常に良い」ことがわかった。
【0037】
【表1】

【0038】
実施例 2
表1の割合で配合されたおろしわさびに対して、アリルイソチオシアネート、5-ヘキセニルイソチオシアネートおよび6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートを、アリルイソチオシアネートが1720ppm、5-ヘキセニルイソチオシアネートが48ppm、6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートが0.9ppm(5-ヘキセニルイソチオシアネート100重量部に対して1.9重量部に相当する)になるよう添加混合し、その香りを評価した。その結果、このおろしわさびは「実施例1と比較してトップの青くてみずみずしい香りも甘い香りも弱く感じるが、本わさびの風味を想起できる許容範囲内である」ことがわかった。
【0039】
実施例 3
表1の割合で配合されたおろしわさびに対して、アリルイソチオシアネート、5-ヘキセニルイソチオシアネートおよび6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートを、アリルイソチオシアネートが1720ppm、5-ヘキセニルイソチオシアネートが102ppm、6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートが1.9ppm(5-ヘキセニルイソチオシアネート100重量部に対して1.9重量部に相当する)になるよう添加混合し、その香りを評価した。その結果、このおろしわさびは「トップの青くてみずみずしい香りに対して、甘い香りをやや弱く感じるが、バランスが良い」ことがわかった。
【0040】
実施例 4
表1の割合で配合されたおろしわさびに対して、アリルイソチオシアネート、5-ヘキセニルイソチオシアネートおよび6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートを、アリルイソチオシアネートが1720ppm、5-ヘキセニルイソチオシアネートが102ppm、6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートが24.3ppm(5-ヘキセニルイソチオシアネート100重量部に対して23.8重量部に相当する)になるよう添加混合し、その香りを評価した。その結果、このおろしわさびは「トップの青くてみずみずしい香りに対して、甘い香りをやや強く感じるが、バランスが良い」ことがわかった。
【0041】
実施例 5
表1の割合で配合されたおろしわさびに対して、アリルイソチオシアネート、5-ヘキセニルイソチオシアネートおよび6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートを、アリルイソチオシアネートが1720ppm、5-ヘキセニルイソチオシアネートが193ppm、6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートが45.9ppm(5-ヘキセニルイソチオシアネート100重量部に対して23.8重量部に相当する)になるよう添加混合し、その香りを評価した。その結果、このおろしわさびは「実施例1と比較してトップの青くてみずみずしい香りも甘い香りも強く感じるが、本わさびの風味を想起できる許容範囲内である」ことがわかった。
【0042】
比較例 1
表1の割合で配合されたおろしわさびに対して、アリルイソチオシアネート、5-ヘキセニルイソチオシアネートおよび6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートを、アリルイソチオシアネートが1720ppm、5-ヘキセニルイソチオシアネートが48ppm、6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートが0.7ppm(5-ヘキセニルイソチオシアネート100重量部に対して1.5重量部に相当する)になるよう添加混合し、その香りを評価した。その結果、このおろしわさびは「トップの青くてみずみずしい香りはわずかに感じるが、本わさびのもつ甘い香りを感じない」ことがわかった。
【0043】
比較例 2
表1の割合で配合されたおろしわさびに対して、アリルイソチオシアネート、5-ヘキセニルイソチオシアネートおよび6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートを、アリルイソチオシアネートが1720ppm、5-ヘキセニルイソチオシアネートが32ppm、6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートが3.9ppm(5-ヘキセニルイソチオシアネート100重量部に対して12.2重量部に相当する)になるよう添加混合し、その香りを評価した。その結果、このおろしわさびは「甘い香りはわずかに感じるが、本わさびのもつトップの青くてみずみずしい香りを感じない」ことがわかった。
【0044】
比較例 3
表1の割合で配合されたおろしわさびに対して、アリルイソチオシアネート、5-ヘキセニルイソチオシアネートおよび6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートを、アリルイソチオシアネートが1720ppm、5-ヘキセニルイソチオシアネートが257ppm、6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートが30.8ppm(5-ヘキセニルイソチオシアネート100重量部に対して12.0重量部に相当する)になるよう添加混合し、その香りを評価した。その結果、このおろしわさびは「人工的な香りが強く、本わさびの風味を想起できない」ことがわかった。
【0045】
比較例 4
表1の割合で配合されたおろしわさびに対して、アリルイソチオシアネート、5-ヘキセニルイソチオシアネートおよび6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートを、アリルイソチオシアネートが1720ppm、5-ヘキセニルイソチオシアネートが193ppm、6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートが55.0ppm(5-ヘキセニルイソチオシアネート100重量部に対して28.5重量部に相当する)になるよう添加混合し、その香りを評価した。その結果、このおろしわさびは「人工的な香りが強く、本わさびの風味を想起できない」ことがわかった。
【0046】
比較例 5
伊豆産の本わさびを摩り下ろしたものの辛味成分と香り成分(イソチオシアネート類)を分析したところ、アリルイソチオシアネートが552ppm、5-ヘキセニルイソチオシアネートが15ppm、6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートが4.3ppm(5-ヘキセニルイソチオシアネート100重量部に対して28.7重量部に相当する)含まれていた。この摩り下ろしたものの香りを評価した結果、おろしわさびほどの辛味は感じられず、トップの青くてみずみずしい香りとほのかに残る甘い香りのバランスが非常に良いものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
わさび粉砕物を含み且つアリルイソチオシアネートが添加されているわさび加工品において、
(A) 5‐ヘキセニルイソチオシアネート及び6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートが添加されており、
(B) 5‐ヘキセニルイソチオシアネートが44〜194 ppm含まれており、
(C) 6-メチルチオヘキシルイソチオシアネートが5‐ヘキセニルイソチオシアネート100重量部に対して1.8〜27.0重量部の割合で含まれている
ことを特徴とするわさび加工品。
【請求項2】
アリルイソチオシアネートが1000〜4200 ppm 含まれている、請求項1に記載のわさび加工品。