説明

札片を取り付けた遊技機

【課題】不要になった札片の完全な破棄や除去、あるいは無効処理を簡単に行うことのできる遊技機を提供すること。
【解決手段】基板ボックスの一側部に設けた札片取付部と、この札片取付部に組み付けた札片切断部材と、この札片切断部材を内包して前記札片取付部に取り付けた札片と、この札片を覆って前記札片取付部に取り付けたカバーとを備えた遊技機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機、「アレパチ」とも呼ばれているアレンジパチンコ機、スロットマシン、パチンコ球を使用したスロットマシン等の遊技機に関し、特に識別情報や製造番号等の各種情報を記録した札片を取り付けるようにした遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年の遊技機は、非常に精密な電子部品を組み込んだり、あるいは精緻な型成型を行った部品を使用したりしなければならず、全ての部品を一箇所で形成することは不可能になってきている。そこで、各種部品を異なる場所、言い換えればその技術が得意な部品メーカーで製造し、これを出願人のようなセットメーカーで完成品として組立てることが行われており、これによって製造コストの低減が図られるようになってきているのである。
【0003】
また、遊技機においては、当該遊技機ごと、あるいは主制御装置のようなパチンコ遊技のための回路基板ごとに、各種のID情報(識別情報)が付されており、それら各ID情報により遊技機やこれに採用されている回路基板の管理が可能となっている。各種のID情報としては、以下に述べるように、(1)〜(6)が現在採用されている。(例えば特許文献1参照)
(1)遊技盤用の証紙ラベルに記された遊技盤ID情報
遊技盤用の証紙ラベルは、例えば遊技盤に貼付され、遊技盤ID情報として遊技盤の製造メーカ名(例えば、(株)××物産)、遊技機製造番号(例えば、No.1234567)、及びそれらの各データを二次元コード化したQRコードが記されている。
(2)枠用の証紙ラベルに記された枠ID情報
枠用の証紙ラベルは、遊技盤等を開閉可能に支持する本体枠に貼付され、枠ID情報として本体枠の製造メーカ名(例えば、(株)××物産)、遊技機製造番号(例えば、No.1234567)、及びそれらの各データを二次元コード化したQRコードが記されている。
(3)識別シールに記された主基板ID情報
識別シールは、主制御装置等の回路基板を収納する基板ボックスに貼付され、(主)基板ID情報として製造メーカコード(例えば、SY−F)、製造番号(例えば、No.1234567)、及びそれらの各データを二次元コード化したQRコードが記されている。
(4)識別シールに記された遊技機ID情報
識別シールは、主制御装置等の回路基板を収納する基板ボックスに貼付され、遊技機ID情報として製造メーカ名(例えば、(株)××物産)、機種名(例えば、××物語)、機種コード(例えば、12345A)、及びそれらの各データを二次元コード化したQRコードが記されている。
(5)ICタグのタグID情報
ICタグは、主制御装置等の回路基板を収納する基板ボックス等の封印シールに組み付けられ、タグID情報として製造メーカ名(又は複数のメーカごとに付されたメーカ固有番号)、遊技機固有のID番号が格納されている。
(6)マイコンチップに格納されたチップID情報
マイコンチップは、主制御装置等の回路基板に実装され、チップID情報としてチップ固有番号等が記憶されている。
【0004】
上記(1)〜(6)の各情報は、製造メーカにおいて遊技機の製造段階ですべて遊技機ごとに付与され、ラベルや封印シール等(以下では、総称して札片という)の貼付が行われる。ただし、上記(6)のチップID情報に関しては、遊技機製造メーカでなく、チップ製造メーカにおいてチップ固有番号等の書き込みが行われる。そして遊技機の組立完了後には、遊技機が梱包され、遊技ホールなど、指定の供給先に出荷される。かかる場合において、上記(1)〜(6)の各情報は、製造メーカで遊技機ごとに対応させて遊技機管理データとして登録され、非公開データとして記憶保持される。このとき、遊技機管理データとして、遊技機ごとに出荷先、出荷日時に関する出荷データも併せて登録される。
【0005】
ホールなどにおいて、遊技機を新規に設置する場合には、当該遊技ホールの管理者などによって、製造メーカから出荷され納品された遊技機個々に各種ID情報の確認が行われる。このとき、スキャナ装置を用いて各種ID情報の読み取りが行われるとともに、その読み取った各種ID情報が前記遊技機管理データと照合され、遊技機が真正品であるか否かなどの確認(認証)が行われる。これにより、遊技機の搬送途中において当該遊技機が不正品に差し替えられたりしても、その不正品の判定が可能となる。また、遊技機の新規設置時以外にも、遊技機稼働開始後における定期又は不定期の遊技機チェック時や、主基板交換時、遊技盤交換時(板替え時)などにおいても同様に、上記ID情報の読み取り及び照合などが適宜行われる。
【0006】
ただし、上記(1)〜(6)の各情報のうち、遊技ホールの管理者などによって読み取られるID情報は(1)〜(5)の情報であり、(6)の情報に関しては、特定の遊技機認証機関(警察機関等)において読み取られる情報となっている。
【0007】
ところで、上記の回路基板については、遊技機の他の大部分はそのまま利用しながら、例えば遊技内容を少し変更するため(上記板替え)に、上述した部品メーカーやセットメーカーなどにおいて新たな回路基板に交換する場合があるが、その場合に、旧回路基板の上述したような各種のID情報や識別情報を付した旧札片を完全に破棄して、新回路基板のID情報や識別情報を付した新札片を張り直さなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−330276号公報、段落0155〜段落0158
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、札片そのものは、回路基板のID情報や識別情報を付した重要なものであるから、しっかりと取り付けられているものであるのが一般であって、旧札片の完全な破棄や除去、あるいは無効にすることは困難であることが多い。
【0010】
そこで、本発明者等は、不要になった札片の完全な破棄や除去、あるいは無効処理を簡単にすることができるようにするにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0011】
すなわち、本発明の目的とするところは、不要になった札片の完全な破棄や除去、あるいは無効処理を簡単に行うことのできる遊技機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、パチンコ遊技のための回路基板が収納されて、ボックスベースとボックスカバーとを備えた基板ボックスを、遊技盤の裏面側に組み付けた遊技機であって、前記基板ボックスの一側部に設けた札片取付部と、この札片取付部に組み付けた札片切断部材と、この札片切断部材を内包して前記札片取付部に取り付けた札片と、この札片を覆って前記札片取付部に取り付けたカバーとを備えたことである。
【0013】
この請求項1の遊技機では、パチンコ遊技のための回路基板が収納されて、ボックスベースとボックスカバーとを備えた基板ボックスの一側部に札片取付部が形成されていて、この札片取付部に札片が取り付けてある。この遊技機において使用される札片としては、「証紙ラベル」、「識別シール」、図21に示すような「I回路基板タグ」、そして「マイコンチップ」等が考えられるが、本発明で述べている札片は、基板ボックスの一側部に形成した札片取付部に取り付けられるのであれば、これらの全てを含むものである。
【0014】
この請求項1の遊技機によれば、前記基板ボックスの一側部に設けた札片取付部に取り付けた札片が前記カバーによって覆われているから、例えば、ホールに設置された当該遊技機のトラブル解消のために、札片が取り付けてある基板ボックスをホール通路側に開放してホール店員が触れたとしても、札片はカバーによって損傷が与えられないように保護される。なお、札片を覆っているカバーが透明または版透明材料によって形成されていれば、札片の状態を外部から簡単に視認し得る。
【0015】
また、この請求項1の遊技機によれば、前記基板ボックスの一側部に設けた札片取付部に組み付けられて、前記札片取付部に取り付けた札片に内包された札片切断部材を有しているのであるから、この札片切断部材を前記札片取付部から外すことによって、前記札片を破損させることができる。何故なら、前記札片は、当該札片切断部材を内包した状態で前記札片取付部に取り付けられているからである。
【0016】
この前記札片切断部材による札片の破断は、前記札片切断部材を前記札片を引き裂きながら行えるため、人の指先だけの力で行うことができて、容易に完了するものである。一般的に、この種の札片は、所謂「紙」を主体として形成したものだからである。また、前記札片が破断することによって、当該札片の引き剥がしのための「キッカケ」ができるから、この「キッカケ」を摘んで引き剥がせば、当該札片の剥離も容易に行えることになる。
【0017】
この場合、前記札片が、破損されることで無効となる封印シールのようなものであれば、この破損自体で次の新しい回路基板の交換が可能な状態になっていることが分かる。また、この札片が後述するようなアンテナ部を有するものであれば、当該札片の破損によってアンテナ部も破損するから、当該札片の無効処理が行われる。
【0018】
従って、この請求項1に係る遊技機によれば、不要になった札片の完全な破棄や除去、あるいは無効処理を簡単に行うことができるものとなっているのである。
【0019】
上記課題を解決するために、請求項2に係る手段は、前記札片を、前記札片取付部を跨いで取り付けるようにしたことである。ここで、「札片が前記札片取付部を跨ぐ」とは、前記札片取付部が単数の場合は、札片が前記札片取付部の端部を包み込んで跨ぐことを意味し、前記札片取付部が複数の場合は、札片が前記札片取付部の端部の合わせ目を跨ぐことを意味する。
【0020】
この請求項2の遊技機によれば、「札片が前記札片取付部を跨ぐ」ようにしたから、その内側になっている前記札片切断部材の動きを自由にするだけでなく、当該札片切断部材による札片の破損を、より小さな力で行えるのである。
【0021】
次に、請求項3の採った手段は、前記札片切断部材を、前記札片取付部に取り付けた前記札片に向かう刃部を有したものとしたことである。
【0022】
この請求項3の遊技機では、前記札片切断部材を前記札片の外側に向けて動かすことにより、当該札片に向かっていた前記刃部によって当該札片が簡単に切断、つまり破断される。
【0023】
また、請求項4の手段は、前記札片切断部材を、一部に指掛け部を有したものとしたことである。
【0024】
この請求項4の遊技機によれば、前記札片切断部材が一部に指掛け部を有しているから、前記札片の破断をする際に、当該指掛け部に指を掛ければ、前記札片切断部材の動かしを簡単に行えるのである。従って、前記札片切断部材による前記札片の破断をより一層簡単に行えるのである。
【0025】
その他の手段1:
前記札片取付部に対しては、前記札片切断部材の一部でのピボット回動が可能となるようにすることができる。
【0026】
この他の手段1を採用した遊技機によれば、前記札片切断部材が前記札片取付部に対してピボット回動し得るのであるから、前記札片の破断をその一端から順に行うことができて、当該札片の破断操作をよりし易くすることになる。つまり、前記札片は、一端から順に破断されることになって、小さな力でもその破断が行えるのである。
【0027】
その他の手段2:
また、前記札片取付部は、前記ボックスベース及びボックスカバーの各一側部にそれぞれ一体的に形成されて、前記回路基板を前記ボックスベースとボックスカバーとの間に収納してこれらのボックスベースとボックスカバーとを一体化したときに重なり合うものとすることができる。
【0028】
この他の手段2に係る遊技機では、前記札片取付部を、前記ボックスベース及びボックスカバーの各一側部にそれぞれ一体的に形成したから、前記札片取付部を、前記ボックスベース及びボックスカバーの製造時に同時に形成できて、前記基板ボックスの製造を容易なものにする。
【0029】
また、この他の手段2の遊技機では、前記各札片取付部を、前記ボックスベースとボックスカバーとを一体化したときに重なり合うものとしたから、前記各札片取付部における前記札片の取付箇所あるいは取付面積を小さなものとし得て、前記札片の取付けを容易にし得るのである。
【発明の効果】
【0030】
以上、説明した通り、本発明においては、
「パチンコ遊技のための回路基板が収納されて、ボックスベースとボックスカバーとを備えた基板ボックスを、遊技盤の裏面側に組み付けた遊技機であって、
前記基板ボックスの一側部に設けた札片取付部と、この札片取付部に組み付けた札片切断部材と、この札片切断部材を内包して前記札片取付部に取り付けた札片と、この札片を覆って前記札片取付部に取り付けたカバーとを備えたこと」
にその構成上の主たる特徴があり、これにより、不要になった札片の完全な破棄や除去、あるいは無効処理を簡単に行える遊技機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る遊技機の正面図である。
【図2】同遊技機の背面図である。
【図3】同遊技機の遊技盤裏面の様子を示す斜視図である。
【図4】図3の下側に示してある基板ボックスを開放したときの斜視図である。
【図5】遊技盤裏面を部分的に分解して示した分解斜視図である。
【図6】遊技盤の前方側から示した分解斜視図である。
【図7】本発明の第1実施例を示し、(a)は基板ボックスの一側部から札片切断部材、札片及びカバーを外した様子を示した分解斜視図、(b)は組み付け後の斜視図である。
【図8】同札片切断部材を、(a)〜(d)の4種類の方向から見た拡大斜視図である。
【図9】同カバーを、(a)〜(d)の4種類の方向から見た拡大斜視図である。図7とは反対側から見た部分分解斜視図である。
【図10】本発明の第1実施例であって、分解した基板ボックスの一側部から札片切断部材、札片及びカバーを外した様子を示した分解斜視図である。
【図11】図10に示したものを反対側からみた分解斜視図である。
【図12】基板ボックスの一側部からカバーを外し(a)、さらに札片を外した時(b)の斜視図である。
【図13】同札片切断部材をピボット回動したときの様子を示す部分斜視図である。
【図14】図13の場合をボックスカバーとの関連で見たもので、(a)は部分背面図、(b)は同斜視図である。
【図15】本発明の第2実施例に係る基板ボックスの一側部を示す部分斜視図である。
【図16】図15に示したものを部分的に示すもので、(a)は拡大側面図、(b)は(a)中の1−1線に沿ってみた縦断面図である。
【図17】同基板ボックスの一側部からカバーを外し、札片切断部材をピボット回動したときの様子を示す部分拡大断面図。
【図18】図17に示したものの部分斜視図である。
【図19】基板ボックスの一側部を拡大した部分分解斜視図である。
【図20】図19とは反対側から見た部分分解斜視図である。
【図21】札片として採用されるICタグを示すもので、(a)は平面図、(b)は部分拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
次に、上記各請求項に係る発明を、図面に示した実施の形態である遊技機100について説明するが、この実施形態の遊技機100は、上記各請求項に係る発明の全てを含むものである。
【0033】
特に、図1〜図6には、本発明が適用された遊技機100の基本構造が示してあり、図7〜図14には、第1実施例に係る札片切断部材47を採用した実施形態が、また、図15〜図20には、第2実施例に係る札片切断部材47を採用した実施形態が示してある。そこで、まず、遊技機100の基本構造を図1〜図6を参照して説明していき、その後に、第1実施例及び第2実施例の順に説明することとする。
【0034】
そして、図21には、札片50としてアンテナ部53を有するタイプのものの例が示してあって、この札片50を使用したのが上記第1実施例及び第2実施例であるが、本発明はこのようなアンテナ部53を有する札片50に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0035】
(基本構成)
図1には、本発明を適用した遊技機100の正面図が示してある。この遊技機100は、ホール(パチンコ店)の島を構成している土台部分に立設される外枠10を有しているものであり、この外枠10に対しては、図2に示したように、図示右側の上下に設けた枢軸12によって、本体枠11が開閉自在に取り付けてある。なお、外枠10には、図1にも示したように、ガラスを支持した前面枠13が開閉自在に取り付けられるものである。
【0036】
外枠10に対して上下の枢軸12によって連結した本体枠11には、図1及び図2に示したように、前面側にパチンコ遊技領域を形成した遊技盤20が取り付けてある。この遊技盤20の裏面には、図2及び図3に示したように、裏パックユニット30や基板ボックス40が取り付けてあり、本実施形態では、図4に示したように、基板ボックス40の下側にスペーサボックス60を配置し、このスペーサボックス60の内側に球集合板70を配置するようにしてある。
【0037】
ここで、図2に示した基板ボックス40の図示右側側部(当該遊技機100の正面側から見れば左側になる)を「一側部」と言うこととし、この一側部とは反対側、つまり、図2に示した基板ボックス40の図示左側側部を「他側部」ということとする。
【0038】
基板ボックス40は、図7及び図8に示したように、遊技盤20側に配置されるボックスベース40aと、このボックスベース40aに嵌合されるボックスカバー40bとからなり、これらのボックスベース40a及びボックスカバー40bによって形成される空間内には、図7に示したように、回路基板40cが収納されるものである。これらのボックスベース40a及びボックスカバー40bは、非磁性体材料、つまり合成樹脂によってそれぞれ一体成形したものであり、特に本実施形態のボックスカバー40bについては、当該基板ボックス40内の外部からの視認を容易にするために、透明または半透明の合成樹脂材料によって形成してある。
【0039】
また、この基板ボックス40には、図3に示したように、その図示左側側縁(他側部)に5個の第1封止部43が、また右側側縁(一側部)には、図7に示したように、2個の第2封止部44が形成してある。なお、本実施形態に係る基板ボックス40では、そのボックスカバー40bが、ボックスベース40aに対して横方向からスライド嵌合されるものであるが、これらのボックスベース40a及びボックスカバー40bの嵌合方法は、上下方向からスライド嵌合できるようにしたり、あるいは蝶番などで開閉できるように実施してもよいものである。
【0040】
そして、この基板ボックス40は、図4に示したように、その裏面の一方側に取り付けられるベース部材41を介して、球集合板70側に取り付けたヒンジ金具42により、球集合板70、従って遊技盤20に対して、図3から図4に示したような開閉が自在に行えるように連結したものである。
【0041】
ベース部材41は、図4にも示したように、枢軸12とは反対側部分になる基板ボックス40の裏面に、固定後に外すことができなくなるワンウエイネジや破断ネジによって一体的に取り付けられるものであり、図5に示したように、基板ボックス40を構成するボックスベース40aの裏面(遊技盤20側になる面)に取付けられるものである。
【0042】
すなわち、このベース部材41は、ボックスベース40aの裏面側に、挟持板とこれによってベース部材41に一体化される係止金具とを介在させた状態で取り付けられるものである。この場合、ボックスベース40aの裏面に形成してある係止突起によって、当該ベース部材41の位置決めがなされる。
【0043】
ベース部材41をボックスベース40aの裏面に取り付けるにあたって挟持された係止金具は、ヒンジ金具42の先端の抜け止めと固定を行うものであり、金属製のものである。すなわち、この係止金具は、ヒンジ金具42が差し込まれたときに、その先端を係止するものであり、これによってヒンジ金具42の基板ボックス40からの抜け止めを行うものである。
【0044】
ヒンジ金具42は、図3及び図4に示したようなものであり、球集合板70の内側に差し込まれたヒンジ取付具の先端に、例えば金属製のリベットや枢軸によって回動自在に連結されるものである。勿論、球集合板70は遊技盤20の裏面に固定されるものであるから、以上のヒンジ取付具及びヒンジ金具42によって球集合板70に連結された基板ボックス40は、遊技盤20の裏面に取り付けられることになり、図4に示したような開閉が自由に行えるものとなる。
【0045】
さて、この基板ボックス40の左右両側縁には、図3及び図7に示したように、第1封止部43及び第2封止部44がそれぞれ形成してある。これらの第1封止部43及び第2封止部44は、実際には基板ボックス40を構成しているボックスベース40a及びボックスカバー40bの左右両端縁に一体的に形成されるものであり、従って非磁性材料からなるものである。なお、これらの第1封止部43及び第2封止部44を封止したときには、回路基板40cからの配線を引き出すための穴が、ボックスベース40a及びボックスカバー40bの何れか少なくとも一方に形成される。
【0046】
これらの第1封止部43及び第2封止部44は、図に示した実施形態では、それぞれ5個及び2個形成してあり、それぞれ独立したものとしてある。勿論、これらの第1封止部43及び第2封止部44の数や大きさは、適宜選定できるものである。
【0047】
まず、第1封止部43については、ボックスベース40a及びボックスカバー40bの、ヒンジ金具42側の側部にそれぞれ一体的に形成されて、互いにボックスベース40aとボックスカバー40bとを閉じたとき重なり合うベース側封止部及びカバー側封止部と、これら重なり合ったベース側封止部及びカバー側封止部間に挿入されて、両者間の離間を阻止する封止金具とにより構成してある。
【0048】
すなわち、この実施形態の遊技機100では、その第1封止部43の構成をボックスベース40a及びボックスカバー40bのヒンジ部材側の側部に、ベース側封止部及びカバー側封止部をそれぞれ一体的に形成したものである。これらのベース側封止部及びカバー側封止部は、ボックスベース40aとボックスカバー40bとを閉じたとき、互いに重なり合うものである。
【0049】
これら重なり合ったベース側封止部及びカバー側封止部間に封止金具が挿入されたとき、この封止金具によって両者間の相対移動が阻止されることになる。そして、本実施形態では、封止金具と係合する二本の係止突起を有するストッパがベース側係止部内に収納してあり、このストッパ内に封止金具が挿入されることにより、二本の係止突起がベース側係止部内で少し開いて、このストッパがカバー側係止部側に係合するようにしてある。
【0050】
もし、この第1封止部43の封止を解いて、内部の回路基板40cの不正交換を行った場合には、この封止を解いた状況(破壊や溶融した跡)が第1封止部43のどこかに残るはずである。この跡が残っていれば、回路基板40cの不正交換が行われたことを示すものであるから、この第1封止部43の状況によって不正をチェックすることができる。
【0051】
各第1封止部43の封止において金属製の封止金具を使用したとしても、この第1封止部43は基板ボックス40の札片50とは反対側に位置しているから、これらの封止金具によって電磁波が吸収されてしまうという悪影響を、アンテナ部53を有するタイプの札片50に与えることはない。
【0052】
一方、各第2封止部44については、本実施形態の場合、ボックスベース40a及びボックスカバー40b側のそれぞれについて、図示はしていないが、スライド嵌合し合った場合に互いに係合する穴、またはこの穴に係合する爪(係合突起)が形成してある。当該係合突起を形成した第2封止部44は、合成樹脂によってボックスベース40aまたはボックスカバー40bと一体成形したものであるから、この係合突起はある程度の弾性を有したものとなっている。
【0053】
この第2封止部44には、これに形成した係合突起を外部から視認できる開口が形成してあるから、当該第2封止部44における係合突起による封止を外したい場合には、この係合突起を「キー」等を使用して押し込み、穴と爪との係合を解くようにするのである。
【0054】
さて、本実施形態の基板ボックス40は、図7及び図8に示したように、遊技盤20の裏面側に固定されるボックスベース40aと、このボックスベース40aに上述した封止部43及び44等を利用して取り付けられるボックスカバー40bとを備えているもので、これらのボックスベース40a及びボックスカバー40bの間には回路基板40cを収納できる空間が形成される。
【0055】
これらのボックスベース40a及びボックスカバー40bの各一側部、つまり、図7及び図15の図示右側部には、札片取付部45a及び札片取付部45bがそれぞれ一体的に形成してあり、これらの札片取付部45a及び札片取付部45bは、回路基板40cを収納してボックスベース40aとボックスカバー40bとを一体化したとき、互いに重なり合うものである。
【0056】
また、これらの札片取付部45a及び札片取付部45bには、図7及び図15に示したように、2個の第2封止部44の間で図示右方向に突出するものであり、それぞれ固定ネジ48用のネジ穴48aがそれぞれ形成してあって、このネジ穴48aを利用して、図7中の仮想線にて示したように、固定ネジ48が取り付けられるものであり、これにより、これらの札片取付部45a及び札片取付部45bは重なり合った状態で固定されるのである。また、これらの札片取付部45a・45bの上下端部には、後述する札片切断部材47のFが挿入される隙間が形成できるようにしてあり、これらの札片取付部45a・45bのその他の面は、後述する札片50を貼付し易くするために、平面としてある。
【0057】
札片50が跨いだ状態で貼付された札片取付部45aおよび札片取付部45bには、例えば図7に示したように、カバー46が取り付けられる。カバー46は、両札片取付部45a・45bとこれに貼付した札片50の全体を包み込みながら基板ボックス40の一側部に取り付けられるものである。
【0058】
さて、札片50であるが、本実施形態では、図21に示したような構成のものを採用している。つまり、この札片50は、図21の(a)に示したように、札片取付部45a・45bに貼付できるようにした矩形状のベースシート51と、このベースシート51の表面の対角線上に取り付けた長尺なアンテナ部53と、このアンテナ部53の中心部に設けたICチップ52とからなるものである。
【0059】
つまり、このICチップ52は、ベースシート51の点対称位置に設けたものであり、当該札片50を基板ボックス40の一側部に取り付けたとき、両札片取付部45a・45bの重ね合わせ部分に位置するようにしてある。また、この札片50を構成しているベースシート51は矩形状に形成してあって、その長辺側が縦になるように、札片取付部45a・45bに貼付されるものであり、図21の(a)に示した左右両側部分は、両札片取付部45a・45bのそれぞれに均等に貼付されるものである。
【0060】
ここで、本実施形態では、アンテナ部53と固定ネジ48との位置関係が特徴的なものとなっている。そこで、以下に係る位置関係について詳細に説明する。
【0061】
アンテナ部53はベースシート51の対角線上に設けられているから、その両端部は、図7に示すように、札片取付部45a及び45bにおいて、ネジ穴48aを避けるようにして配置されることになる。このようにアンテナ部53が配置されることにより、アンテナ部53の両端部は対応する固定ネジ48の頭部から離れることになる。つまり、札片50を札片取付部45a・45bに貼付したとき、アンテナ部53と固定ネジ48とは離間されることになる。
【0062】
また、アンテナ部53と固定ネジ48との間には両者を介在する介在部材が設けられていない。つまり、アンテナ部53と固定ネジ48との間には空間が設けられている。これにより、アンテナ部53がネジ穴48a内に向けて撓みにくくなり、アンテナ部53と固定ネジ48の頭部とを対峙させた構成において両者を確実に離間させることができる。例えば、アンテナ部53が固定ネジ48に接触すると設定された共振周波数(本実施の形態では、2.45GHz)が変化してしまい、ICチップ52に格納されたID情報がスキャナ装置によって読み取れなくなるおそれがあるが、本実施の形態における構成によればかかる不都合の発生を防止することができる。
【0063】
また、図7等に示した通り、各札片取付部45a・45bには囲み部が形成されており、ベースシート51の周縁は囲み部に近接している。したがって、ベースシート51の貼り付け作業に際しては、ベースシート51が囲み部によって囲まれた領域内からはみ出ないように貼り付けることで、アンテナ部53の両端部が、ネジ穴48aから離れ、固定ネジ48の頭部からも離れる。また、札片取付部45a・45bの囲み部によって囲まれる領域は、ベースシート51の面積よりも広くなっている。これにより、ベースシート51の貼り付け作業に際しては、貼り付け位置に所定のゆとりが生まれ、貼り付け作業の作業性が向上されている。さらに、上記のとおり札片50は矩形状のベースシート51の中心に対して点対称となるように配置されているため、ベースシート51を上下逆に貼り付けたとしても、アンテナ部53の両端部が固定ネジ48の頭部からはなれることになる。
【0064】
また、この札片50は、上記「背景技術」でも説明した通り、現在のところ、当該遊技機100ごと、あるいは主制御装置のようなパチンコ遊技のための回路基板40cごとに付された各種のID情報を有するものである。この各種のID情報としては、次の(1)〜(6)のようなものが現在採用されている。
(1)遊技盤用の証紙ラベルに記された遊技盤ID情報
遊技盤用の証紙ラベルは、例えば遊技盤に貼付され、遊技盤ID情報として遊技盤の製造メーカ名(例えば、(株)××物産)、遊技機製造番号(例えば、No.1234567)、及びそれらの各データを二次元コード化した押圧部47b取付解除部47cコードが記されている。
(2)枠用の証紙ラベルに記された枠ID情報
枠用の証紙ラベルは、遊技盤等を開閉可能に支持する本体枠に貼付され、枠ID情報として本体枠の製造メーカ名(例えば、(株)××物産)、遊技機製造番号(例えば、No.1234567)、及びそれらの各データを二次元コード化した押圧部47b取付解除部47cコードが記されている。
(3)識別シールに記された主基板ID情報
識別シールは、主制御装置等の回路基板を収納する基板ボックスに貼付され、(主)基板ID情報として製造メーカコード(例えば、札片50ネジ穴48a−ボックスベース40a)、製造番号(例えば、No.1234567)、及びそれらの各データを二次元コード化した押圧部47b取付解除部47cコードが記されている。
(4)識別シールに記された遊技機ID情報
識別シールは、主制御装置等の回路基板を収納する基板ボックスに貼付され、遊技機ID情報として製造メーカ名(例えば、(株)××物産)、機種名(例えば、××物語)、機種コード(例えば、12345A)、及びそれらの各データを二次元コード化した押圧部47b取付解除部47cコードが記されている。
(5)ICタグのタグID情報
ICタグは、主制御装置等の回路基板を収納する基板ボックス等の封印シールに組み付けられ、タグID情報として製造メーカ名(又は複数のメーカごとに付されたメーカ固有番号)、遊技機固有のID番号が格納されている。
(6)マイコンチップに格納されたチップID情報
マイコンチップは、主制御装置等の回路基板に実装され、チップID情報としてチップ固有番号等が記憶されている。
【0065】
換言すれば、基板ボックス40の一側部に貼付される札片50としては、図21に示したようなものに限らず、(1)の「遊技盤用の証紙ラベル」、(2)の「枠用の証紙ラベル」、(3)及び(4)の「識別シール」、(5)の「ICタグ」、そして、(6)の「マイコンチップ」が適用されるものである。
【0066】
そして、この実施形態の遊技機100で採用している札片50は、図21に示したようなアンテナ部53付きのICチップ52を有しているものであったから、外部のスキャナーによって電磁波を照射したとき、ICチップ52に書き込まれている当該遊技機100の識別情報や製造番号などの各種情報を、この札片50に直接接触しなくてもスキャナーに伝達することができるものである。
【0067】
上記ICチップ52が、メモリ領域としてデータ書き替え不可な不揮発性メモリ領域(アンテナ部53OM)を有し、そのメモリ領域に前記識別情報を記憶保持させたものであれば、このICチップ52においてデータ書き換え不可のメモリ領域に識別情報が記憶保持されるため、識別情報が不正に改ざんされる等の不都合が抑制できる。
【0068】
また、本実施例における遊技機100のように、基板ボックス40の一側部における分割部分(札片取付部45a・45bの間)を跨ぐようにして札片50を貼り付ければ、
基板基板40cの取り出しや、基板ボックス40内への不正な電子部品の装着などを目的として基板ボックス40を開放する場合には、札片50を一旦剥がしたり破損させなければならない。そのため、上記のとおり札片50を破損させることに伴い、その後の札片50の再使用を不可とすることができる。これにより、不正行為の発見が可能となる。
【0069】
ところで、本実施形態の遊技機100は、図4〜図7に示したように、基板ボックス40の下側にスペーサボックス60を介在させるようにしている。このスペーサボックス60は、合成樹脂製のものであり、その表面側は図4に示したように略平面的なものであるが、その裏側は、図6に示したように、多数のリブを形成することによって、遊技盤20側に向けて開口した多数の空間を有したものとしてある。これらのリブは、当該スペーサボックス60に剛性を付与するとともに、中に物(例えば不正基板など)が入れられないようにするものである。
【0070】
このスペーサボックス60は、図4に示したように、ヒンジによって後述する球集合板70に開閉自在に連結したものであり、このスペーサボックス60を閉じたときには、図4にも示したように、その上側に、ヒンジ金具によって球集合板70側に連結した基板ボックス40を配置できるようにしたものである。
【0071】
また、このスペーサボックス60の表面側には、図3に示したように、係止部が突出形成してある。この係止部は、当該スペーサボックス60の上に閉じられてきた基板ボックス40を係止するものであり、これを右方向に押すことによって基板ボックス40を開放し得るようにするものである。
【0072】
さて、球集合板70であるが、この球集合板70は、遊技盤20に形成してある入賞口から転動してきたパチンコ球を受けながら、その入賞を検知する各種スイッチを内蔵したものであり、周囲のベース板にて遊技盤20側に取り付けられるものである。
【0073】
そして、この実施形態の遊技機100では、上記球集合板70のベース板を遊技盤20の裏面に取り付けるにあたって、ベース板と一体的に形成した止め部から挿通して遊技盤20の裏面に螺着したビスの頭部をキャップで覆うようにしてある。
【0074】
一方、ワイヤハーネス80は、図3及び図4に示したように、遊技盤20の裏面側であって、上述した基板ボックス40や、その上側にある裏パックユニット30等の間に接続されるものであり、概略遊技盤20の裏面側の略中心部分に配置してある。つまり、このワイヤハーネス80は、本体枠11の回動中心である枢軸12から離れた位置に存在するものである。
【0075】
以上の結果、当該遊技機100において使用されるワイヤハーネス80が札片50に近接しないことになり、当該遊技機100を製造する際や、当該遊技機100の設置店でのトラブル解消のため等に本体枠11を開閉する際の、このワイヤハーネス80の取り外し作業や接続作業を、札片50には全く悪影響を与えずに行えるものである。
【0076】
(第1実施例)
図7〜図14には、本発明の第1実施例に係る遊技機100において採用した札片切断部材47が示してあるが、この札片切断部材47は、図7に示した基板ボックス40の一側部(図7では図示右側側部)に形成してある両札片取付部45a・45bの間に組み付けてある。そのため、この基板ボックス40には、当該札片切断部材47を収納できる空間が形成できるようになっている。
【0077】
札片切断部材47は、図7及び図8の各(a)に示したように、まず、その基部にネジ穴47cを有しており、これらのネジ穴47cには、両札片取付部45a・45bに形成してあるネジ穴48aを通されてきた固定ネジ48が通されるものである。つまり、この札片切断部材47は、両札片取付部45a・45b間に形成した空間内に収納された後、これに形成してあるネジ穴47cに通した固定ネジ48を札片取付部45aまたは札片取付部45bに螺着することにより、基板ボックス40の一側部に組み付けられるのである。
【0078】
また、この札片切断部材47の基部の一側端縁には、図8の(a)に示したように、刃部47aが形成してあるが、この刃部47aは基部の全長に亘って形成してある。換言すれば、この刃部47aは、図21に示したような札片50の長辺方向の長さよりも十分長いものであり、札片50のベースシート51全体の切断が行えるようにしたものである。勿論、この刃部47aは、札片50のベースシート51全体の切断を一気に行うこともできるものであるが、後述するように、当該刃部47aを形成した札片切断部材47を一個のピボット穴47bまたはピボット軸49を中心に揺動させることにより、ベースシート51の切断を、例えば一端から順に全体に亘って確実に行えるようにすることもできるものである。
【0079】
さて、本第1実施例の札片切断部材47の下部にはピボット穴47bが形成してあるが、このピボット穴47bは、図8の(a)〜(d)にて示したように、図示下側のネジ穴47cより下側に形成してある。このピボット穴47bには、図11及び図14に示したように、本実施例では札片取付部45bの内側に一体的に形成したピボット軸49が挿入されるのであり、これにより、当該札片切断部材47は、図11及び図14の比較から分かるように、ピボット軸49を中心に揺動することになる。勿論、この札片切断部材47側のピボット穴47bの札片取付部45b側のピボット軸49への挿通は、当該札片切断部材47を両札片取付部45a・45b間に組み付ける前になされる。
【0080】
本第1実施例に係る札片切断部材47では、12及び図13に示したように、基部の上下に案内部47dが形成してあり、この案内部47dは、両札片取付部45a・45b間への組み付けが隙間なく行えるようにしているとともに、当該札片切断部材47を両札片取付部45a・45b間から引き出す際の「取っかかり」ともなっている。
【0081】
なお、カバー46は、図7及び図9に示したように、基板ボックス40の一側部にて札片切断部材47を組み込んだ両札片取付部45a・45bの全体を包み込むような箱状のものであり、その一部は、図9の(c)及び(d)に示したように、開口させてある。また、このカバー46の上下には、図9の(a)にも示したように、溝46aが形成してあるが、この溝46a内には札片切断部材47側の案内部47dの一部が係合されることになる。
【0082】
さて、以上のように構成した札片切断部材47の作用を説明すると、この札片切断部材47が、図10、図11及び図12の(b)に示したように、両札片取付部45a・45bの間に組み付けられた後に、図12の(a)に示したように、札片50が両札片取付部45a・45bの表面に貼付され、この札片50を貼付した両札片取付部45a・45bの表面側には、図7の(b)に示したように、カバー46が嵌合されるのである。
【0083】
ここで、基板ボックス40内に収納してあった回路基板40cを交換する必要性が発生した場合、この旧回路基板40cを基板ボックス40から取り出すとともに、当該旧回路基板40cの各種情報を入れた旧札片50を破棄し、新回路基板40c及び新札片50を用意しなければならない。
【0084】
特に、旧札片50の破棄は重要で、この旧札片50の情報が残ったままであると、その後のチェック時において、入れ替えた筈の新回路基板40cの情報との食い違いが発生して、回路基板40cや札片50の入れ換えのやり直しや、再チェックをしなければならない等の不都合が発生する。一般に、入れ換え作業やチェック作業は、異なる場所や異なる人が行うのであるから、旧札片50の旧情報が残っていることは、各所に大きな混乱を招く。
【0085】
そこで、この回路基板40cの交換時において、旧札片50の破棄を旧情報が残存しないように確実にするのが、上述してきた札片切断部材47なのである。この札片切断部材47は、上述したように、両札片取付部45a・45bに貼付した札片50に内包してあったから、当該札片切断部材47の上下に設けてあった案内部47d等を利用して両札片取付部45a・45b間から強制的に引き出せば、旧札片50はこの札片切断部材47の移動に伴って破断あるいは破損される。
【0086】
特に、本第1実施例に係る札片切断部材47においては、札片50に向かう部分に刃部47aが形成してあったから、この札片50の破断または破損はこの刃部47aによって容易に行われる。つまり、この札片切断部材47は、指先の小さな力であっても、両札片取付部45a・45bの間から札片50を破断しながら抜き出すことができるのであり、札片50の破断や破損は勿論のこと、この札片50がアンテナ部53を有しているものである場合であっても、刃部47aによる札片50の破断を小さな力によって行えるのである。
【0087】
そして、本第1実施例に係る札片切断部材47では、そのピボット穴47bを札片取付部45b側に設けたピボット軸49に嵌めて、当該札片切断部材47がピボット穴47bを中心にした揺動が行えるようになっているから、例えば図13及び図14に示すように、上側の案内部47dに指か爪をかけて札片切断部材47を引き出せば、札片50の破断を軽く行いながら揺動し得ることになるのである。何故なら、札片50の破断は、札片切断部材47の揺動によって札片50の端部から刃部47aによって順に行われることになるからである。
【0088】
なお、新回路基板40cに交換した後に、上述したのとは逆の順序の作業を行って、当該札片切断部材47を両札片取付部45a・45b間に組み込み、両札片取付部45a・45bの外側に新札片50を貼付すれば、回路基板とその札片50の交換が完了することは言うまでもない。
【0089】
(第2実施例)
図15〜図20には、本発明の第2実施例に係る遊技機100の一側部が示してあり、この遊技機100は、指掛け部47eを有する札片切断部材47を採用したものである。この札片切断部材47は、上記第1実施例に係るそれと実質的に同じ構造を有するものであるが、指掛け部47eを有する他、図16に示したように、ピボット穴47bを第1実施例におけるそれより大きく形成した点が異なっているものである。これらの指掛け部47e及びピボット穴47b以外の部分は、図15〜図20中に第1実施例において使用したのと同じ符号を付して、その説明は省略する。
【0090】
この第2実施例における札片切断部材47のピボット穴47bは、図16及び図17に示したように、例えば札片取付部45a側に一体的に形成したピボット軸49に貫挿されるものであり、一方、指掛け部47eは、札片切断部材47の基部の上端に一体化されるものである。特に、指掛け部47eは、図15にも示したように、溝46aと小窓46dを通してカバー46から突出するものであり、指が掛けやすく穴を形成するか、指で摘み易くするために薄く形成したものである。
【0091】
一方、当該札片切断部材47のピボット穴47bは、例えば札片取付部45b側のピボット軸49に対して回動可能にしてあって、上記第1実施例におけるのと同様に、札片切断部材47全体の揺動を可能にするものである。つまり、この第2実施例における札片切断部材47は、図15から図18の状態にピボット穴47bを中心にした揺動が可能になっている。
【0092】
また、カバー46は、前述した溝46aと小窓46dから指掛け部47eを突出させるために、上記第1実施例におけるそれとは異なって、図19及び図20に示したように形成してある。つまり、このカバー46の前面(図19では図示右側面)には、図19の上から順に、小窓46d、溝46a、そして大窓46bが形成してあり、このカバー46の側面(図19で現れている面)には、固定ネジ48が挿通できる挿通孔46cが形成してある。
【0093】
カバー46の溝46aは、指掛け部47eを使用して引き出される札片切断部材47の基部、及びこれに形成してある案内部47dを、当該カバー46を両札片取付部45a・45bから外さないでも外部へ出せるようにするものであり、札片切断部材47が引き出されないときには、図16の(a)に示したように、札片切断部材47を内包した状態で両札片取付部45a・45b表面に貼付された札片50の一部を外部に望ませることになるものでもある。
【0094】
この溝46aの上部にて開口している小窓46dは、札片切断部材47の上端にある案内部47dを回避できるようにするものであり、溝46aの下部に開口している大窓46bは、同じく揺動時の札片切断部材47の下部を回避できるようにするものである。
【0095】
また、このカバー46の内側下部には、図20にて示したように、係止部46eが形成してあり、この係止部46eは、当該カバー46を両札片取付部45a・45bに嵌合したとき、例えば札片取付部45b側の係止部に係合させることにより、当該カバー46の両札片取付部45a・45bへの取り付けが行えるようにしてある。なお、図19及び図20に示したように、この係止部46eの上下にスリットが形成してあって、これらの両スリットによって、当該係止部46e自体がカバー46に対して弾性を有するようになっている。
【0096】
そして、このカバー46の側面(図19で現れている面)に、固定ネジ48が挿通できる挿通孔46cを形成したのは、図18にも示したように、基板ボックス40内の回路基板40cを交換する際に、外した固定ネジ48を取り出すためである。
【0097】
さて、この第2実施例においても、回路基板40cを収納した基板ボックス40の一側部においては、図15及び図16に示したように、上記カバー46が取り付けられるのであるが、その前に、札片切断部材47が組み付けられた両札片取付部45a・45bの表面に、これらの隙間を跨ぐように札片50が貼付されるのであり、結果的に、札片切断部材47は札片50に内包された状態にされる。
【0098】
この基板ボックス40内の回路基板40cの交換を行う場合には、両札片取付部45a・45bを連結している固定ネジ48を外してから、指掛け部47eを引くことによって札片50の破断を行うのである。このとき、指掛け部47eは、カバー46から外部に突出しているのであるから、これの摘みあるいは指掛けが行えて、当該指掛け部47eの引き出しが容易に行える。
【0099】
この指掛け部47eの引き出しにあたっては、本第2実施例においても札片取付部45b側のピボット軸49に貫挿されるピボット穴47bによって当該札片切断部材47全体が揺動するようになっているのであるから、この札片切断部材47の揺動の際に札片50の破断がなされるのである。
【0100】
しかも、電気が通るワイヤハーネス80が札片50から離れているから、札片50からの情報の読み出しは、ワイヤハーネス80から悪影響を受けることなく正確に行えるのである。
【符号の説明】
【0101】
100 遊技機
10 外枠
11 本体枠
12 枢軸
13 前面枠
20 遊技盤
30 裏パックユニット
31 ベース部材
40 基板ボックス
40a ボックスベース
40b ボックスカバー
40c 回路基板
41 ベース部材
42 ヒンジ金具
43 第1封止部
44 第2封止部
45a 札片取付部
45b 札片取付部
45c 係止部
45d 凹所
46 カバー
46a 溝
46b 大窓
46c 挿通孔
46d 小窓
46e 係止部
47 札片切断部材
47a 刃部
47b ピボット穴
47c ネジ穴
47d 案内部
47e 指掛け部
48 固定ネジ
48a ネジ穴
49 ピボット軸
50 札片
51 ベースシート
52 ICチップ
53 アンテナ部
60 スペーサボックス
61 ハーネス収納凹部
70 球集合板
80 ワイヤハーネス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パチンコ遊技のための回路基板が収納されて、ボックスベースとボックスカバーとを備えた基板ボックスを、遊技盤の裏面側に組み付けた遊技機であって、
前記基板ボックスの一側部に設けた札片取付部と、この札片取付部に組み付けた札片切断部材と、この札片切断部材を内包して前記札片取付部に取り付けた札片と、この札片を覆って前記札片取付部に取り付けたカバーとを備えたことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記札片は、前記札片取付部を跨いで取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記札片切断部材は、前記札片取付部に取り付けた前記札片に向かう刃部を有したものとしたことを特徴とする請求項1〜請求項2のいずれかに記載の遊技機。
【請求項4】
前記札片切断部材は、一部に指掛け部を有したものとしたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−78703(P2011−78703A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235520(P2009−235520)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
【出願人】(000144522)株式会社三洋物産 (4,662)
【Fターム(参考)】