机
【課題】人に心理的抵抗を与えることなく容易に配線できる机を提供する。
【解決手段】机は強度メンバーとしてのリアビーム6を有する。リアビーム6に設けた係合溝22,23に、コネクタサポート11とトレー10とが取り付けられている。トレー10はコネクタサポート11より手前に突出している。コネクタサポート11とトレー10との上方には、天板1を切欠いて形成されて配線口7が空いている。プラグ31の抜き差しは、一々机の内部に潜ることなく、配線口7から手を差し入れることで行える。従って、作業は簡単であると共に心理的な負担もない。アダプタA付きのケーブルCをコンセント29に接続する場合は、まず、アダプタAをトレー10に落とし込み、それからプラグ31を差し込んだらよい。
【解決手段】机は強度メンバーとしてのリアビーム6を有する。リアビーム6に設けた係合溝22,23に、コネクタサポート11とトレー10とが取り付けられている。トレー10はコネクタサポート11より手前に突出している。コネクタサポート11とトレー10との上方には、天板1を切欠いて形成されて配線口7が空いている。プラグ31の抜き差しは、一々机の内部に潜ることなく、配線口7から手を差し入れることで行える。従って、作業は簡単であると共に心理的な負担もない。アダプタA付きのケーブルCをコンセント29に接続する場合は、まず、アダプタAをトレー10に落とし込み、それからプラグ31を差し込んだらよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ケーブル類の処理機能を有する机に関するものである。
【背景技術】
【0002】
机では、パソコンや携帯端末を初めとした各種の電気・電子機器が使用される。そこで、これら電気・電子機器に接続されたケーブル類を処理する機能を机に持たせることが行われている。ケーブル類の処理機能の1つとして、電源用タップ(コンセント)や通信線用接続具を天板の下方の空間に配置できるようにすることがある。
【0003】
その例として特許文献1には、天板の後部下方に左右長手の配線ダクトを配置した構成において、配線ダクトの上部に前向き開口の蟻溝を形成し、この蟻溝の開口縁に、コンセントを抱持したコンセントホルダーを左右スライド自在に装着することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−289923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、ノートパソコンや携帯端末などの小型電子機器を初めとした多くの電子機器では、変圧用等のアダプタを中途部に設けた電源ケーブルが多用されており、このアダプタ付き電源ケーブルを使用する場合、アダプタの置き場所が問題になる。
【0006】
この点、特許文献1ではアダプタを配線ダクトに載置できるが、コンセントホルダーも配線ダクトも天板の下方に完全に隠れているため、電源ケーブルの接続や抜き外しに際しては、人は一々机の内部に潜り込んで作業をせねばならず、これが厄介であった。特に、女性の場合は、接続や抜き取りの作業を簡単に行えるとは言い難い。
【0007】
本願発明はこのような現状に鑑み成されたものであり、ケーブルの処理を簡単に行えるようにすることを目的とするものである。また、本願は改良された発明を多く含んでおり、これらを提供することも目的たり得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は請求項1〜3で特定されている。このうち請求項1の発明は、天板の後端部の下方に、電源用プラグ又は他のケーブル接続具を取付け可能なコネクタサポートと、その下方に位置してケーブル類やアダプタ類を載置できるトレーとが配置されており、前記トレーは、平面視で前記コネクタサポートの手前側又は左側若しくは右側のうち少なくとも1つの側に張り出しており、かつ、前記コネクタサポート及びトレーの上方に、それらコネクタサポート及びトレーに向けて人が手を差し入れ可能な配線口が空いている、という構成になっている。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、前記コネクタサポート及びトレーは、前記天板を支える左右脚の後端部に連結された左右横長のリアビームに取り付けられている。また、請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記配線口は、天板の後端を後ろ向き開口するように切欠くことによって形成されており、この配線口に着脱式又は開閉式のカバー(蓋)を装着しており、前記配線口に、前記カバーを取り付けた状態でケーブル類の挿通路が残るように設定している。
【発明の効果】
【0010】
本願発明では、人は机の上方から配線口を介してコネクタサポート及びトレーに手を差し入れることができるため、一々机の内部に潜り込むことなくコンセント等の接続具の抜き差し行える。従って、配線作業を簡単かつ迅速に行えると共に、人の身体的負担を軽減できると共に心理的な負担を無くすこともできる。従って、女性にとっては特に朗報であると言える。
【0011】
また、コネクタサポートの下方に配置されたトレーは平面視でコネクタサポートの外側に張り出しているため、例えばケーブルにアダプタが取り付いている電源ケーブルの場合、先にアダプタをトレーに落とし込むようにして載せてから、プラグをコンセントに差し込むことができるため、アダプタ付きの電源ケーブルであっても接続作業をごく簡単に行える。電源ケーブルを取り外す場合は、プラグをコネクタサポートから抜いて電源ケーブルを上に引っ張るとアダプタも引き上げられる。従って、取り外しも簡単である。
【0012】
ケーブルの余長部分も、コネクタサポートの外側からトレーに落とし込むことで簡単に処理できる。また、余長部分がトレーの外側に垂れ落ちても、配線口に挿入した手で引き寄せる等してトレーに簡単に載せ直すことができる。
【0013】
コネクタサポートやトレーは、天板の下面にブラケット類を介して取り付けることも可能であるが、請求項2のようにリアビームに取り付けると、天板の加工に要する手間を軽減できると共に、コネクタサポートやトレーを取り付けるための加工によって天板の強度が低下することを防止できる利点がある。
【0014】
配線口は天板の後ろの全体に設けることも可能であるが、この場合は、机の奥行きを変えないとすると机上面の有効面積が配線口の分だけ全体に狭くなる問題や、机上においた小物が配線口に落ち易くなる問題がある。
【0015】
これに対して請求項3のように天板の後端部を部分的に切欠いて配線口を形成すると、机の奥行きを変えることなく机上面の有効面積の低下を抑制できると共に、小物が落下することも防止又は抑制できる。また、配線口が切欠かれた状態であると、その下方にコネクタサポートとトレーとが配置されていることを人は自動的に把握できるため、コネクタサポートやトレーの位置を探すような手間を無くせる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態に係る机の外観を示す図で、(A)は正面方向からの斜視図、(B)は分離斜視図である。
【図2】(A)は後ろから見た斜視図、(B)は後ろからの分離斜視図である。
【図3】(A)は机を内部から見た斜視図、(B)は側面図、(C)はケーブル受けを下方から見た斜視図である。
【図4】(A)はカバーを下向き開口させた状態での机の後部の斜視図、(B)は同じく分離斜視図である。
【図5】(A)はカバーを上向き開口させた状態での机の後部の斜視図、(B)は同じく分離斜視図である。
【図6】(A)はカバーを上向き開口させた状態での机の後部の斜視図、(B)は同じく分離斜視図である。
【図7】要部の一部破断分離斜視図である。
【図8】要部の分離斜視図である。
【図9】図6(A)のIX-IX 視断面図である。
【図10】図6(A)の X-X視断面図である。
【図11】ショートワゴンと脚との関係を示す平面図である。
【図12】図11の XII-XII視断面図である。
【図13】ケーブルフックを示す図で、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明で方向を特定するため「前後」「左右」の文言を使用するが、これは、机を普通の姿勢で使用する人の向きを基準にしている。従って、机の間口方向が左右方向であり、奥行き方向が前後方向である。前と後ろについては、使用者に近い側を前として、使用者から遠い背面の箇所を後ろとして使用している。
【0018】
(1).机の概略
図1〜3に示すように、机は平面視四角形(長方形)の天板1とこれを左右両側部において支持する左右の脚2とを有する。天板1は木質系であるが、スチール製のものを使用することも可能である。脚2は、棒状の前後脚支柱3,3′をその上端において水平状の上フレーム4で連結した門型になっており、上フレーム4に前後一対のスペーサ5をボルトで固定し、このスペーサ5に天板1をボルトで固定している。従って、天板1と上フレーム4との間にはケーブル類を挿通できる程度の間隔が空いている。
【0019】
脚支柱3,3′及び上フレーム4は中空で概ね四角形になっており、両者に嵌入する側面視L形の連結ブラケットを介して一体に連結されている。また、左右脚2における後部脚支柱3の上部間にはリアビーム6が配置されており、リアビーム6と左右の後部脚支柱3とがボルトで固定されている。なお、リアビーム6は帯状で中空に近い形態になっており、固定手段としては、後部脚支柱3の内側面に、リアビーム6の端部に嵌入する連結用ブラケット突起(図示せず)を固定し、この連結用ブラケット突起にリアビーム6をボルトで固定している。
【0020】
天板1の後端部のうち左右中間部には、後ろ向きに開口した平面視四角形の配線口7を形成している。そして、配線口7にはこれを塞ぐカバー(蓋)8を装着している。カバー8は着脱自在である。天板1の後部は、配線口7を形成したことで強度が弱くなるおそれがある。そこで、天板1のうち配線口7を挟んだ左右両側の部位は、リアビーム6に取り付けた天板支持ブラケット9で下方から支持されている。
【0021】
また、リアビーム6の下部には、ケーブル等を受けるトレー10とその上方に位置したコネクタサポート11とが取り付けられている。トレー10は、リアビーム6に左右スライド自在に取り付けられている。トレー10は、平面視でコネクタサポート11の手前に張り出している。リアビーム6に複数のトレー10を装着することも可能である。
【0022】
図4,5に示すように、カバー8は浅いトレー状に形成されており、内部には仕切り12を設けている。配線口7の内周にはカバー受け13を固定しており、カバー受け13の左右側部には、カバー8の左右側部を支持する支持片14が形成されている。また、カバー受け13のうち手前に位置した基部には、ケーブルCを捌くための突起15を設けている。このため、カバー8を取り付けた状態で当該カバーの手前には配線通路が空いている。
【0023】
カバー8の左右両側面には前後一対ずつの円形の係合凹部16が形成されている一方、カバー受け13の左右両側部には、前後一対の係合凹部16が選択的に嵌まる係合凸部17が形成されている。前後の係合凹部16に係合凸部17が選択的に嵌まることでカバー8の前後位置を2段階に変更できる。また、係合凸部17は左右方向に撓み変形する舌片18(図5参照)の先端に形成されており、このため、舌片18を変形させることにより、カバー8の着脱と前後位置変更とが行われる。
【0024】
(2).コネクタサポート等の説明
次に、リアビーム6、天板支持ブラケット9、トレー10,コネクタサポート11を、主として図7〜10に基づいて説明する。図3(A)に示すように、リアビーム6は、後部脚支柱3の上端部でかつ略後半部に連結されている。そして、図7に明瞭に示すように、リアビーム6は、手前に突出した上下の水平片20a,20bを有するチャンネル状の基板20を有しており、基板20の前面に側面視凸形の補強板21を溶接で固着している。従って、背面には基板20だけが露出している。
【0025】
基板20の上下水平片20a,20bは袋状(中空状)に形成されており、その先端には、それぞれ後ろ向きの折り返し片20c,20dが形成されている。また、補強板21は前向き凸部21aを有しており、そこで、リアビーム6の内部には、補強板21は前向き凸部21aを挟んだ上下両側に、蟻溝形式の上係合溝22と下係合溝23とが形成されている。
【0026】
リアビーム6は板金製品であるが、基板20は上下の折り返し部20a,20bを有することに加えて、前向き突部21aを有する補強板21が固着されているため、上下方向及び前後方向の曲げに対して高い強度を有する。
【0027】
図7,8に示すように、天板支持ブラケット9は、リアビーム6の上係合溝22に嵌まる嵌合部9aと、天板1の下面にビス(ボルト)24で固定される受け部9bと、これらを繋ぐ傾斜状のアーム部9cとを有している。受け部9bは平面視で半分が配線口7に露出しており、従って、平面視で略半分の部位が天板1に固定され、平面視で略半分の部位はカバー受け13に下方から重なっている。受け部9bには、ビス24が貫通する穴が左右一対ずつ空いているが、実際に使用されるのは片側のみである。ビス挿通穴が左右一対ずつ空いているのは、1種類のものを配線口7の左右いずれの側にも使用できるようにするためである。
【0028】
天板支持ブラケット9における嵌合部9aの背面は、側面視で後ろ向きに膨れた円弧状に形成されている。従って、天板支持ブラケット9をその前部が高くなるように側面視で傾けた姿勢にすることにより、嵌合部9aを手前側から上蟻溝22に嵌め込むことができる。また、天板支持ブラケット9の嵌合部9aはアーム部9cの左右両側に突出した張り出し部9dを有する。従って、嵌合部9aとアーム部9cとでT型の形態を成している(このため、天板1の支持強度に優れている。)。そして、嵌合部9aの張り出し部9dには、リアリアビーム6における基板40の上折り返し片20cに下方から嵌合する係合段部25が形成されており、このため、天板支持ブラケット9は下向き倒れ不能に保持されている。
【0029】
図8に明示するように、天板支持ブラケット9における係合段部25の左右中間部には位置決めリブ26を設けている一方、リアビーム6の上折り返し片20cには位置決めリブ26が嵌まる切欠き27を形成しており、このため、天板支持ブラケット9は左右動不能に保持されている。また、天板支持ブラケット9の嵌合部9aのうちアーム部9cの後ろに位置した部分は補強板21の前向き凸部21aに上から重なっているが、アーム部9cから左右にはみ出た部分の下面は、補強板21における前向き凸部21aの上面との間に若干の隙間が空くような段盗み部28になっている。
【0030】
コネクタサポート11は板金製品であり(樹脂製でもよい)、左右天板支持ブラケット9のアーム部9cの間に配置されている。コネクタサポート11は、コンセント29を固定できる本体部11aを有しており、本体部11aの上端に、リアビーム6の上係合溝22に嵌まる左右一対の係合片11bを一体に形成している。係合片11bは、その後端に下向きのストッパー片11cを有する側面視下向き開口コの字形になっており、リアビーム6を構成する補強板21の前向き凸部21aに、ストッパー片11cが嵌まるストッパー穴30を形成している。このため、コネクタサポート11は左右動不能に保持されている。
【0031】
そして、コネクタサポート11の係合片11bに、天板支持ブラケット9における嵌合部9aの張り出し部9dが上から重なっている。すなわち、天板支持ブラケット9における嵌合部9aの段盗み部28が、コネクタサポート11の係合片11aに上から重なっている。従って、図10から容易に理解できるように、コネクタサポート11は上向きに起こし不能に保持されている。
【0032】
コネクタサポート11の本体部11aは、手前に行くに従って低くなるように傾斜している。また、コネクタサポート11の下端部には、コンセント(テーブルタップ)を取り付けるための長穴32が空いている。また、コネクタサポート11の下端は上向きに曲げている(上向き片を符号11dで示す。)。この上向き片11dの存在により、コネクタサポート11の剛性が高くなっていると共に、トレー10から引き出されたケーブルCが擦れて傷付くことも防止されている。
【0033】
トレー10は上向きに開口して浅い箱状になっており、その後端には、リアビーム6の下係合溝23に嵌まる嵌合部10aを設けている。図3(B)及び図9(A)に示すように、嵌合部10aの下面には、リアビーム6の下折り返し片20dに後ろから引っ掛かる係合爪33を設けている。このため、トレー10はリアビーム6に抜け不能に保持される。なお、トレー10には、ケーブルの他にコネクタやアダプタA等の各種の部材を載置できる。
【0034】
トレー10の係合爪33は、上下に撓み変形可能な後ろ向きの舌状片34の後端に設けており、トレー10をリアビーム6に向けて強く押し当てると、舌状片34が弾性変形することで、係合爪33が下折り返し片21dに係合する。舌状片34の付け根はリアビーム6の手前に位置しており、このため、舌状片34を指又はドライバ等で上向きに押し上げることで、係合爪33を下折り返し片21dから離脱させることができる。
【0035】
(3).まとめ
以上の構成において、机上で使用する電気・電子機器の電源ケーブルCのプラグ31は、配線口7から手を差し込んでコンセント29に接続できる。この場合、コネクタサポート11は天板支持ブラケット9の張り出し部9dで上から押さえ保持されているため、上向きに回動させることができない。このため、プラグ31をコンセント29に抜き差しするに際して、片手でプラグ31をコンセント29に抜き差しできる。
【0036】
配線口7がコネクタサポート11及びトレー10の上に位置しているため、プラグ31の抜き差しは、カバー8を取り外して配線口7に手を差し込むことで、上から行える。この場合、人は机の手前に立って身体を前に倒して抜き差し作業を行うことになり、従って、人の視線は天板の手前から後ろに斜め下方に向かう状態になり、このため、コネクタサポート11が水平であるとコンセント29の穴が少し視認できにくい場合である。換言すると、身体を天板の後部に大きく倒さないとコンセント29を視認しにくい場合である(特に、身長が低いと視認しにくい。)。
【0037】
これに対して本実施形態のようにコネクタサポート11を前倒し状に傾斜させると、コンセント29の穴が人の顔と相対向する状態になるため、身体を大きく倒さなくてもプラグ31の抜き差しを簡単に行える。また、机の下方に潜ってプラグ31を抜き差しする場合も、コンセント29の穴を容易に視認できるため、作業を行いやすい。本実施形態のように、天板支持ブラケット9の一部をコネクタサポート11の姿勢保持手段に兼用させると、それだけ構造が簡単になる。
【0038】
図7や図6(B)に示すように、ケーブルCの途中にアダプタAを設けている場合があるが、この場合は、アダプタAをトレー10に落とし込むことにより、プラグ31の接続を簡単に行える。また、トレー10はコネクタサポート11の手前に張り出しているため、アダプタAはコネクタサポートの手側で下方に落とすことにより、トレーに自動的に載せることができる。ケーブルCのうちプラグ31と反対側には機器に接続するジャックBを設けている。
【0039】
敢えて述べるまでもないが、トレー10には、ケーブルCや、各種の機器・器具類を載置できる。また、コネクタサポート11には、コンセント29の他に、通信用コネクタやハブ、ルータ等の各種のコネクタ類・中継機類を固定することもできる。ハブ、ルータ等の器具・装置類をトレー10に載せることも可能である。トレー10はケーブルCや部材を指示する機能があれば足りる。従って、例えば、板状やカゴ状であってもよい。
【0040】
配線口7は実施形態のように天板1の左右中間部に設けることに限らず、天板1のうち左に寄った部位や右に寄った部位など、任意に位置に形成できる。1つの机に複数の配線口7を設けて、その下方にそれぞれコネクタサポート11とトレー10とを配置することも可能である。
【0041】
(4).ショートワゴンとトレーとの関係
机は、ワゴンをセットで使用することが多い(例えば、特開2010−22620号公報)。この机用のワゴンは奥行きが大きいものや小さいものがあり、奥行きが大きいワゴンの場合は、机の内部に一杯に押し込むと、ワゴンの後面が机の幕板等に当たって、ワゴンの前面は天板の前面と略同じに揃うように設定されていることが多い。他方、机の脚として、上記した実施形態のように、前後に配置された棒状の前後脚支柱を上水平フレームで連結した「門型脚」と呼ばれるタイプがある。
【0042】
しかるに、図11に一点鎖線で示すように、奥行きが小さいショートタイプのワゴン35を門型脚の机とセットで使用すると、前後の脚支柱の3,3′の間からワゴン35が外側に部分的にはみ出ることがある。
【0043】
この点について、本実施形態では、図11及び図12に実線で示すように、トレー10をストッパーに兼用させて、ワゴン35の後端をトレー10に当てることにより、ワゴン35の前端部が前部脚3′の内側面に当接し得るように設定している。トレー10は左右方向にある程度の長さを持っているので、ワゴン35をトレー10の前面に当てると、ワゴン35はトレー10と前部脚支柱3′とで姿勢を規制される。その結果、ワゴン35は平面視で旋回不能に保持される。また、ワゴン35の前部は前部脚支柱3′の内側面に当たっているので、ワゴン35が前後脚3,3′の間から外にはみ出ることはない。
【0044】
ワゴン35がトレー10の前面に当たった状態で、平面視でワゴン35の前面が天板1の前端面と揃うように設定したり、ワゴン35の前面が前部脚支柱3′の前面と揃うように設定することも可能であり、このように設定すると、ワゴン35と机との統一性を確保して美観を向上できる。このトレー10とワゴン35との関係は、独立した発明たり得る。
【0045】
一般に、配線処理の容易性の点から配線口7の下方には常にトレー10を配置することになるが、ワゴン35は一般に机の左側又は右側の寄せた状態で配置することが多い。従って、配線口7を机の右側又は左側に寄せて配置している場合には、配線口7の下方に配置したトレー10をワゴン35のストッパーとして機能させることができるが、本図の実施形態のように配線口7を天板1の左右中間部に配置している場合は、ワゴン35のストッパーとしても機能するトレー10は、配線口7の下方に配置したトレー10とは別に設けることになる。
【0046】
この場合、トレー10は1種類だけとして、配線口7の下方に配置するトレー10とワゴン35の後ろに配置するトレー10との前後長さを同じとしても良いし、前後長さが相違する2種類のトレー10を用意して、ワゴン35のストッパーとして機能させるものは前後長さが短いものを使用しても良い。このように2種類を使い分けると、配線口7の下方に配置するトレー10は十分な前後長さを確保して、アダプタA等の支持機能を的確に発揮できる利点がある。
【0047】
(5).ケーブルフック(ケーブル保持具)の改良
本願は、改良されたケーブルフック36も含んでいる。このケーブルフック36は、図12,13に示すように、内部にケーブルC類が嵌まるようにリアビーム6に向いて開口した側面視略C字状の本体部37を有しており、本体部36の開口端に、係合溝22,23に入り込む上下の足片38,39を設けている。基部37の上下最大幅はリアビーム6における係合溝22,23の溝幅寸法よりも大きい寸法であり、従って、開口部は窄んだ状態になっている。
【0048】
そして、一方の足片38には係合溝22,23に引っ掛かり係合する爪部40を形成し、他方の足片39には、上向きのリブ41を設けている。フック36の足片37,38の間には空間が空いており、足片37,38の間隔が広がるように弾性に抗して変形させることにより、ケーブルC類は束ねた状態のままでも押し込むことができる。
【0049】
また、足片37,38の間隔が狭まるように弾性変形させることにより、当該足片37,38をリアビーム6の係合溝22,23に押し込んで、爪部40を係合溝22,23に引っ掛け係合させることができる。取り外す場合は、本体部37を上下から摘んで上下足片38,39の間隔を狭めたら良い。リブ41の奥端部は傾斜部41aになっており、このため、他方の足片39をリブ41で補強しつつ、ケーブルCの抜き差しがスムースに行われる。
【0050】
ケーブルC類はケーブルフック36で抱くように保持されているが、ケーブルフック36はその上下の部位がリアビーム6に当接しているため、ワゴン42が手前から衝突してもケーブルフック36が潰れ変形することはなく、このため、ケーブルCを損傷させることもない。また、ケーブルフック36はその一部が開口しているため、ケーブルC類の嵌め入れ・抜き外しはごく簡単に行える。ケーブルフック36には、ケーブルCを丸く巻いた状態で吊り掛けることもできる。ケーブルを紐類で縛って、この紐類をケーブルフック36に吊り掛けることも可能である。
【0051】
本実施形態のケーブルフック36の本体部37は、略平行に配置された上板部と下板部、及び、上板部と下板部とを結ぶ前板部を有しており、更に、上板部と下板部との後端にリアビーム6に当接するリップ部が形成されており、全体的には側面視で角張った外観を呈しているが、側面視円弧状や三角形状、台形状等の様々の形態を採用できる。
【0052】
さて、机の配線ダクトに装着するケーブルフックは上向き鉤状の形態であることが多いが、この形態では、ワゴンが手前から衝突すると簡単に変形してしまうおそれがある。また、例えば人が足でケーブル上に蹴り上げると簡単に外れてしまうことがある。
【0053】
他方、部材に設けた穴に差し込む方式のケーブルフックとして、特開平9−189376号公報に開示されているように、穴に嵌まり込む一対の爪部がぴったり重なったタイプがある。
【0054】
この特開平9−189376号公報のフック(ケーブル保持具)は、ケーブルを脱落不能に保持できる利点はあるが、一対の爪部は当初から互いに密着しているため、いわゆる嵌め殺し方式になっており、いったん部材に取り付けると取り外しできないという問題がある。このため、配線のし直しをすることが多い家具類には適用し難い。また、一対の爪部は当初から互いに密着しているため、ケーブルを嵌め込むには一対の爪部をこじ開けるようにして広げねばならず、この作業が面倒である。
【0055】
これに対して本実施形態のケーブルフック36は、本体部37は開口部を有していてしかも上下の足片38,39が係合溝22,23に嵌まっているため、上向き開口のケーブルフックに比べて、前からの力に対して高い強度を有すると共に、ケーブルフック36をリアビーム6から取り外さないとケーブルCを抜き取ることはできないため、強度とケーブル保持機能とに優れている。
【0056】
また、上下の足片38,39の間には間隔が空いているため、ケーブルフック36は変形させることなくケーブルC類をそのまま嵌め込んだり、軽く広げるだけで嵌め込んだりすることができ、このため、特開平9−189376号公報に比べて、ケーブルC類の嵌め込みが簡単であると共に、本体部37を上下から摘んで足片38,39の間隔を狭めることで係合溝22,23から簡単に抜き外すことができて、配線し直しも頗る簡単である。
【0057】
上下の足片38,39の両方に爪部40を設けることも可能であるが、本例のように片方だけに爪部40を設けると、係合溝22,23からの取り外しを簡単に行える利点がある(ケーブルフック36には大きな荷重が掛かるわけではないので、抜け防止機能は片方に爪部40を設けるだけで係止機能は確保できる。)。本例のケーブルフックは机やテーブル、間仕切り、カウンター等の家具に広く適用できる。敢えて述べるまでもないが、このケーブルフックも、独立した発明たり得る。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本願発明は実際に机に具体化できる。従って、産業上、利用できる。
【符号の説明】
【0059】
1 天板
2 支持体の一例としての脚
3 後部脚支柱
6 リアビーム
7 配線口
8 カバー
9 天板支持ブラケット
10 トレー
11 コネクタサポート
31 プラグ
C ケーブル
A アダプタ
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ケーブル類の処理機能を有する机に関するものである。
【背景技術】
【0002】
机では、パソコンや携帯端末を初めとした各種の電気・電子機器が使用される。そこで、これら電気・電子機器に接続されたケーブル類を処理する機能を机に持たせることが行われている。ケーブル類の処理機能の1つとして、電源用タップ(コンセント)や通信線用接続具を天板の下方の空間に配置できるようにすることがある。
【0003】
その例として特許文献1には、天板の後部下方に左右長手の配線ダクトを配置した構成において、配線ダクトの上部に前向き開口の蟻溝を形成し、この蟻溝の開口縁に、コンセントを抱持したコンセントホルダーを左右スライド自在に装着することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平09−289923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、ノートパソコンや携帯端末などの小型電子機器を初めとした多くの電子機器では、変圧用等のアダプタを中途部に設けた電源ケーブルが多用されており、このアダプタ付き電源ケーブルを使用する場合、アダプタの置き場所が問題になる。
【0006】
この点、特許文献1ではアダプタを配線ダクトに載置できるが、コンセントホルダーも配線ダクトも天板の下方に完全に隠れているため、電源ケーブルの接続や抜き外しに際しては、人は一々机の内部に潜り込んで作業をせねばならず、これが厄介であった。特に、女性の場合は、接続や抜き取りの作業を簡単に行えるとは言い難い。
【0007】
本願発明はこのような現状に鑑み成されたものであり、ケーブルの処理を簡単に行えるようにすることを目的とするものである。また、本願は改良された発明を多く含んでおり、これらを提供することも目的たり得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願発明は請求項1〜3で特定されている。このうち請求項1の発明は、天板の後端部の下方に、電源用プラグ又は他のケーブル接続具を取付け可能なコネクタサポートと、その下方に位置してケーブル類やアダプタ類を載置できるトレーとが配置されており、前記トレーは、平面視で前記コネクタサポートの手前側又は左側若しくは右側のうち少なくとも1つの側に張り出しており、かつ、前記コネクタサポート及びトレーの上方に、それらコネクタサポート及びトレーに向けて人が手を差し入れ可能な配線口が空いている、という構成になっている。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、前記コネクタサポート及びトレーは、前記天板を支える左右脚の後端部に連結された左右横長のリアビームに取り付けられている。また、請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記配線口は、天板の後端を後ろ向き開口するように切欠くことによって形成されており、この配線口に着脱式又は開閉式のカバー(蓋)を装着しており、前記配線口に、前記カバーを取り付けた状態でケーブル類の挿通路が残るように設定している。
【発明の効果】
【0010】
本願発明では、人は机の上方から配線口を介してコネクタサポート及びトレーに手を差し入れることができるため、一々机の内部に潜り込むことなくコンセント等の接続具の抜き差し行える。従って、配線作業を簡単かつ迅速に行えると共に、人の身体的負担を軽減できると共に心理的な負担を無くすこともできる。従って、女性にとっては特に朗報であると言える。
【0011】
また、コネクタサポートの下方に配置されたトレーは平面視でコネクタサポートの外側に張り出しているため、例えばケーブルにアダプタが取り付いている電源ケーブルの場合、先にアダプタをトレーに落とし込むようにして載せてから、プラグをコンセントに差し込むことができるため、アダプタ付きの電源ケーブルであっても接続作業をごく簡単に行える。電源ケーブルを取り外す場合は、プラグをコネクタサポートから抜いて電源ケーブルを上に引っ張るとアダプタも引き上げられる。従って、取り外しも簡単である。
【0012】
ケーブルの余長部分も、コネクタサポートの外側からトレーに落とし込むことで簡単に処理できる。また、余長部分がトレーの外側に垂れ落ちても、配線口に挿入した手で引き寄せる等してトレーに簡単に載せ直すことができる。
【0013】
コネクタサポートやトレーは、天板の下面にブラケット類を介して取り付けることも可能であるが、請求項2のようにリアビームに取り付けると、天板の加工に要する手間を軽減できると共に、コネクタサポートやトレーを取り付けるための加工によって天板の強度が低下することを防止できる利点がある。
【0014】
配線口は天板の後ろの全体に設けることも可能であるが、この場合は、机の奥行きを変えないとすると机上面の有効面積が配線口の分だけ全体に狭くなる問題や、机上においた小物が配線口に落ち易くなる問題がある。
【0015】
これに対して請求項3のように天板の後端部を部分的に切欠いて配線口を形成すると、机の奥行きを変えることなく机上面の有効面積の低下を抑制できると共に、小物が落下することも防止又は抑制できる。また、配線口が切欠かれた状態であると、その下方にコネクタサポートとトレーとが配置されていることを人は自動的に把握できるため、コネクタサポートやトレーの位置を探すような手間を無くせる利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】実施形態に係る机の外観を示す図で、(A)は正面方向からの斜視図、(B)は分離斜視図である。
【図2】(A)は後ろから見た斜視図、(B)は後ろからの分離斜視図である。
【図3】(A)は机を内部から見た斜視図、(B)は側面図、(C)はケーブル受けを下方から見た斜視図である。
【図4】(A)はカバーを下向き開口させた状態での机の後部の斜視図、(B)は同じく分離斜視図である。
【図5】(A)はカバーを上向き開口させた状態での机の後部の斜視図、(B)は同じく分離斜視図である。
【図6】(A)はカバーを上向き開口させた状態での机の後部の斜視図、(B)は同じく分離斜視図である。
【図7】要部の一部破断分離斜視図である。
【図8】要部の分離斜視図である。
【図9】図6(A)のIX-IX 視断面図である。
【図10】図6(A)の X-X視断面図である。
【図11】ショートワゴンと脚との関係を示す平面図である。
【図12】図11の XII-XII視断面図である。
【図13】ケーブルフックを示す図で、(A)は正面図、(B)は側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下の説明で方向を特定するため「前後」「左右」の文言を使用するが、これは、机を普通の姿勢で使用する人の向きを基準にしている。従って、机の間口方向が左右方向であり、奥行き方向が前後方向である。前と後ろについては、使用者に近い側を前として、使用者から遠い背面の箇所を後ろとして使用している。
【0018】
(1).机の概略
図1〜3に示すように、机は平面視四角形(長方形)の天板1とこれを左右両側部において支持する左右の脚2とを有する。天板1は木質系であるが、スチール製のものを使用することも可能である。脚2は、棒状の前後脚支柱3,3′をその上端において水平状の上フレーム4で連結した門型になっており、上フレーム4に前後一対のスペーサ5をボルトで固定し、このスペーサ5に天板1をボルトで固定している。従って、天板1と上フレーム4との間にはケーブル類を挿通できる程度の間隔が空いている。
【0019】
脚支柱3,3′及び上フレーム4は中空で概ね四角形になっており、両者に嵌入する側面視L形の連結ブラケットを介して一体に連結されている。また、左右脚2における後部脚支柱3の上部間にはリアビーム6が配置されており、リアビーム6と左右の後部脚支柱3とがボルトで固定されている。なお、リアビーム6は帯状で中空に近い形態になっており、固定手段としては、後部脚支柱3の内側面に、リアビーム6の端部に嵌入する連結用ブラケット突起(図示せず)を固定し、この連結用ブラケット突起にリアビーム6をボルトで固定している。
【0020】
天板1の後端部のうち左右中間部には、後ろ向きに開口した平面視四角形の配線口7を形成している。そして、配線口7にはこれを塞ぐカバー(蓋)8を装着している。カバー8は着脱自在である。天板1の後部は、配線口7を形成したことで強度が弱くなるおそれがある。そこで、天板1のうち配線口7を挟んだ左右両側の部位は、リアビーム6に取り付けた天板支持ブラケット9で下方から支持されている。
【0021】
また、リアビーム6の下部には、ケーブル等を受けるトレー10とその上方に位置したコネクタサポート11とが取り付けられている。トレー10は、リアビーム6に左右スライド自在に取り付けられている。トレー10は、平面視でコネクタサポート11の手前に張り出している。リアビーム6に複数のトレー10を装着することも可能である。
【0022】
図4,5に示すように、カバー8は浅いトレー状に形成されており、内部には仕切り12を設けている。配線口7の内周にはカバー受け13を固定しており、カバー受け13の左右側部には、カバー8の左右側部を支持する支持片14が形成されている。また、カバー受け13のうち手前に位置した基部には、ケーブルCを捌くための突起15を設けている。このため、カバー8を取り付けた状態で当該カバーの手前には配線通路が空いている。
【0023】
カバー8の左右両側面には前後一対ずつの円形の係合凹部16が形成されている一方、カバー受け13の左右両側部には、前後一対の係合凹部16が選択的に嵌まる係合凸部17が形成されている。前後の係合凹部16に係合凸部17が選択的に嵌まることでカバー8の前後位置を2段階に変更できる。また、係合凸部17は左右方向に撓み変形する舌片18(図5参照)の先端に形成されており、このため、舌片18を変形させることにより、カバー8の着脱と前後位置変更とが行われる。
【0024】
(2).コネクタサポート等の説明
次に、リアビーム6、天板支持ブラケット9、トレー10,コネクタサポート11を、主として図7〜10に基づいて説明する。図3(A)に示すように、リアビーム6は、後部脚支柱3の上端部でかつ略後半部に連結されている。そして、図7に明瞭に示すように、リアビーム6は、手前に突出した上下の水平片20a,20bを有するチャンネル状の基板20を有しており、基板20の前面に側面視凸形の補強板21を溶接で固着している。従って、背面には基板20だけが露出している。
【0025】
基板20の上下水平片20a,20bは袋状(中空状)に形成されており、その先端には、それぞれ後ろ向きの折り返し片20c,20dが形成されている。また、補強板21は前向き凸部21aを有しており、そこで、リアビーム6の内部には、補強板21は前向き凸部21aを挟んだ上下両側に、蟻溝形式の上係合溝22と下係合溝23とが形成されている。
【0026】
リアビーム6は板金製品であるが、基板20は上下の折り返し部20a,20bを有することに加えて、前向き突部21aを有する補強板21が固着されているため、上下方向及び前後方向の曲げに対して高い強度を有する。
【0027】
図7,8に示すように、天板支持ブラケット9は、リアビーム6の上係合溝22に嵌まる嵌合部9aと、天板1の下面にビス(ボルト)24で固定される受け部9bと、これらを繋ぐ傾斜状のアーム部9cとを有している。受け部9bは平面視で半分が配線口7に露出しており、従って、平面視で略半分の部位が天板1に固定され、平面視で略半分の部位はカバー受け13に下方から重なっている。受け部9bには、ビス24が貫通する穴が左右一対ずつ空いているが、実際に使用されるのは片側のみである。ビス挿通穴が左右一対ずつ空いているのは、1種類のものを配線口7の左右いずれの側にも使用できるようにするためである。
【0028】
天板支持ブラケット9における嵌合部9aの背面は、側面視で後ろ向きに膨れた円弧状に形成されている。従って、天板支持ブラケット9をその前部が高くなるように側面視で傾けた姿勢にすることにより、嵌合部9aを手前側から上蟻溝22に嵌め込むことができる。また、天板支持ブラケット9の嵌合部9aはアーム部9cの左右両側に突出した張り出し部9dを有する。従って、嵌合部9aとアーム部9cとでT型の形態を成している(このため、天板1の支持強度に優れている。)。そして、嵌合部9aの張り出し部9dには、リアリアビーム6における基板40の上折り返し片20cに下方から嵌合する係合段部25が形成されており、このため、天板支持ブラケット9は下向き倒れ不能に保持されている。
【0029】
図8に明示するように、天板支持ブラケット9における係合段部25の左右中間部には位置決めリブ26を設けている一方、リアビーム6の上折り返し片20cには位置決めリブ26が嵌まる切欠き27を形成しており、このため、天板支持ブラケット9は左右動不能に保持されている。また、天板支持ブラケット9の嵌合部9aのうちアーム部9cの後ろに位置した部分は補強板21の前向き凸部21aに上から重なっているが、アーム部9cから左右にはみ出た部分の下面は、補強板21における前向き凸部21aの上面との間に若干の隙間が空くような段盗み部28になっている。
【0030】
コネクタサポート11は板金製品であり(樹脂製でもよい)、左右天板支持ブラケット9のアーム部9cの間に配置されている。コネクタサポート11は、コンセント29を固定できる本体部11aを有しており、本体部11aの上端に、リアビーム6の上係合溝22に嵌まる左右一対の係合片11bを一体に形成している。係合片11bは、その後端に下向きのストッパー片11cを有する側面視下向き開口コの字形になっており、リアビーム6を構成する補強板21の前向き凸部21aに、ストッパー片11cが嵌まるストッパー穴30を形成している。このため、コネクタサポート11は左右動不能に保持されている。
【0031】
そして、コネクタサポート11の係合片11bに、天板支持ブラケット9における嵌合部9aの張り出し部9dが上から重なっている。すなわち、天板支持ブラケット9における嵌合部9aの段盗み部28が、コネクタサポート11の係合片11aに上から重なっている。従って、図10から容易に理解できるように、コネクタサポート11は上向きに起こし不能に保持されている。
【0032】
コネクタサポート11の本体部11aは、手前に行くに従って低くなるように傾斜している。また、コネクタサポート11の下端部には、コンセント(テーブルタップ)を取り付けるための長穴32が空いている。また、コネクタサポート11の下端は上向きに曲げている(上向き片を符号11dで示す。)。この上向き片11dの存在により、コネクタサポート11の剛性が高くなっていると共に、トレー10から引き出されたケーブルCが擦れて傷付くことも防止されている。
【0033】
トレー10は上向きに開口して浅い箱状になっており、その後端には、リアビーム6の下係合溝23に嵌まる嵌合部10aを設けている。図3(B)及び図9(A)に示すように、嵌合部10aの下面には、リアビーム6の下折り返し片20dに後ろから引っ掛かる係合爪33を設けている。このため、トレー10はリアビーム6に抜け不能に保持される。なお、トレー10には、ケーブルの他にコネクタやアダプタA等の各種の部材を載置できる。
【0034】
トレー10の係合爪33は、上下に撓み変形可能な後ろ向きの舌状片34の後端に設けており、トレー10をリアビーム6に向けて強く押し当てると、舌状片34が弾性変形することで、係合爪33が下折り返し片21dに係合する。舌状片34の付け根はリアビーム6の手前に位置しており、このため、舌状片34を指又はドライバ等で上向きに押し上げることで、係合爪33を下折り返し片21dから離脱させることができる。
【0035】
(3).まとめ
以上の構成において、机上で使用する電気・電子機器の電源ケーブルCのプラグ31は、配線口7から手を差し込んでコンセント29に接続できる。この場合、コネクタサポート11は天板支持ブラケット9の張り出し部9dで上から押さえ保持されているため、上向きに回動させることができない。このため、プラグ31をコンセント29に抜き差しするに際して、片手でプラグ31をコンセント29に抜き差しできる。
【0036】
配線口7がコネクタサポート11及びトレー10の上に位置しているため、プラグ31の抜き差しは、カバー8を取り外して配線口7に手を差し込むことで、上から行える。この場合、人は机の手前に立って身体を前に倒して抜き差し作業を行うことになり、従って、人の視線は天板の手前から後ろに斜め下方に向かう状態になり、このため、コネクタサポート11が水平であるとコンセント29の穴が少し視認できにくい場合である。換言すると、身体を天板の後部に大きく倒さないとコンセント29を視認しにくい場合である(特に、身長が低いと視認しにくい。)。
【0037】
これに対して本実施形態のようにコネクタサポート11を前倒し状に傾斜させると、コンセント29の穴が人の顔と相対向する状態になるため、身体を大きく倒さなくてもプラグ31の抜き差しを簡単に行える。また、机の下方に潜ってプラグ31を抜き差しする場合も、コンセント29の穴を容易に視認できるため、作業を行いやすい。本実施形態のように、天板支持ブラケット9の一部をコネクタサポート11の姿勢保持手段に兼用させると、それだけ構造が簡単になる。
【0038】
図7や図6(B)に示すように、ケーブルCの途中にアダプタAを設けている場合があるが、この場合は、アダプタAをトレー10に落とし込むことにより、プラグ31の接続を簡単に行える。また、トレー10はコネクタサポート11の手前に張り出しているため、アダプタAはコネクタサポートの手側で下方に落とすことにより、トレーに自動的に載せることができる。ケーブルCのうちプラグ31と反対側には機器に接続するジャックBを設けている。
【0039】
敢えて述べるまでもないが、トレー10には、ケーブルCや、各種の機器・器具類を載置できる。また、コネクタサポート11には、コンセント29の他に、通信用コネクタやハブ、ルータ等の各種のコネクタ類・中継機類を固定することもできる。ハブ、ルータ等の器具・装置類をトレー10に載せることも可能である。トレー10はケーブルCや部材を指示する機能があれば足りる。従って、例えば、板状やカゴ状であってもよい。
【0040】
配線口7は実施形態のように天板1の左右中間部に設けることに限らず、天板1のうち左に寄った部位や右に寄った部位など、任意に位置に形成できる。1つの机に複数の配線口7を設けて、その下方にそれぞれコネクタサポート11とトレー10とを配置することも可能である。
【0041】
(4).ショートワゴンとトレーとの関係
机は、ワゴンをセットで使用することが多い(例えば、特開2010−22620号公報)。この机用のワゴンは奥行きが大きいものや小さいものがあり、奥行きが大きいワゴンの場合は、机の内部に一杯に押し込むと、ワゴンの後面が机の幕板等に当たって、ワゴンの前面は天板の前面と略同じに揃うように設定されていることが多い。他方、机の脚として、上記した実施形態のように、前後に配置された棒状の前後脚支柱を上水平フレームで連結した「門型脚」と呼ばれるタイプがある。
【0042】
しかるに、図11に一点鎖線で示すように、奥行きが小さいショートタイプのワゴン35を門型脚の机とセットで使用すると、前後の脚支柱の3,3′の間からワゴン35が外側に部分的にはみ出ることがある。
【0043】
この点について、本実施形態では、図11及び図12に実線で示すように、トレー10をストッパーに兼用させて、ワゴン35の後端をトレー10に当てることにより、ワゴン35の前端部が前部脚3′の内側面に当接し得るように設定している。トレー10は左右方向にある程度の長さを持っているので、ワゴン35をトレー10の前面に当てると、ワゴン35はトレー10と前部脚支柱3′とで姿勢を規制される。その結果、ワゴン35は平面視で旋回不能に保持される。また、ワゴン35の前部は前部脚支柱3′の内側面に当たっているので、ワゴン35が前後脚3,3′の間から外にはみ出ることはない。
【0044】
ワゴン35がトレー10の前面に当たった状態で、平面視でワゴン35の前面が天板1の前端面と揃うように設定したり、ワゴン35の前面が前部脚支柱3′の前面と揃うように設定することも可能であり、このように設定すると、ワゴン35と机との統一性を確保して美観を向上できる。このトレー10とワゴン35との関係は、独立した発明たり得る。
【0045】
一般に、配線処理の容易性の点から配線口7の下方には常にトレー10を配置することになるが、ワゴン35は一般に机の左側又は右側の寄せた状態で配置することが多い。従って、配線口7を机の右側又は左側に寄せて配置している場合には、配線口7の下方に配置したトレー10をワゴン35のストッパーとして機能させることができるが、本図の実施形態のように配線口7を天板1の左右中間部に配置している場合は、ワゴン35のストッパーとしても機能するトレー10は、配線口7の下方に配置したトレー10とは別に設けることになる。
【0046】
この場合、トレー10は1種類だけとして、配線口7の下方に配置するトレー10とワゴン35の後ろに配置するトレー10との前後長さを同じとしても良いし、前後長さが相違する2種類のトレー10を用意して、ワゴン35のストッパーとして機能させるものは前後長さが短いものを使用しても良い。このように2種類を使い分けると、配線口7の下方に配置するトレー10は十分な前後長さを確保して、アダプタA等の支持機能を的確に発揮できる利点がある。
【0047】
(5).ケーブルフック(ケーブル保持具)の改良
本願は、改良されたケーブルフック36も含んでいる。このケーブルフック36は、図12,13に示すように、内部にケーブルC類が嵌まるようにリアビーム6に向いて開口した側面視略C字状の本体部37を有しており、本体部36の開口端に、係合溝22,23に入り込む上下の足片38,39を設けている。基部37の上下最大幅はリアビーム6における係合溝22,23の溝幅寸法よりも大きい寸法であり、従って、開口部は窄んだ状態になっている。
【0048】
そして、一方の足片38には係合溝22,23に引っ掛かり係合する爪部40を形成し、他方の足片39には、上向きのリブ41を設けている。フック36の足片37,38の間には空間が空いており、足片37,38の間隔が広がるように弾性に抗して変形させることにより、ケーブルC類は束ねた状態のままでも押し込むことができる。
【0049】
また、足片37,38の間隔が狭まるように弾性変形させることにより、当該足片37,38をリアビーム6の係合溝22,23に押し込んで、爪部40を係合溝22,23に引っ掛け係合させることができる。取り外す場合は、本体部37を上下から摘んで上下足片38,39の間隔を狭めたら良い。リブ41の奥端部は傾斜部41aになっており、このため、他方の足片39をリブ41で補強しつつ、ケーブルCの抜き差しがスムースに行われる。
【0050】
ケーブルC類はケーブルフック36で抱くように保持されているが、ケーブルフック36はその上下の部位がリアビーム6に当接しているため、ワゴン42が手前から衝突してもケーブルフック36が潰れ変形することはなく、このため、ケーブルCを損傷させることもない。また、ケーブルフック36はその一部が開口しているため、ケーブルC類の嵌め入れ・抜き外しはごく簡単に行える。ケーブルフック36には、ケーブルCを丸く巻いた状態で吊り掛けることもできる。ケーブルを紐類で縛って、この紐類をケーブルフック36に吊り掛けることも可能である。
【0051】
本実施形態のケーブルフック36の本体部37は、略平行に配置された上板部と下板部、及び、上板部と下板部とを結ぶ前板部を有しており、更に、上板部と下板部との後端にリアビーム6に当接するリップ部が形成されており、全体的には側面視で角張った外観を呈しているが、側面視円弧状や三角形状、台形状等の様々の形態を採用できる。
【0052】
さて、机の配線ダクトに装着するケーブルフックは上向き鉤状の形態であることが多いが、この形態では、ワゴンが手前から衝突すると簡単に変形してしまうおそれがある。また、例えば人が足でケーブル上に蹴り上げると簡単に外れてしまうことがある。
【0053】
他方、部材に設けた穴に差し込む方式のケーブルフックとして、特開平9−189376号公報に開示されているように、穴に嵌まり込む一対の爪部がぴったり重なったタイプがある。
【0054】
この特開平9−189376号公報のフック(ケーブル保持具)は、ケーブルを脱落不能に保持できる利点はあるが、一対の爪部は当初から互いに密着しているため、いわゆる嵌め殺し方式になっており、いったん部材に取り付けると取り外しできないという問題がある。このため、配線のし直しをすることが多い家具類には適用し難い。また、一対の爪部は当初から互いに密着しているため、ケーブルを嵌め込むには一対の爪部をこじ開けるようにして広げねばならず、この作業が面倒である。
【0055】
これに対して本実施形態のケーブルフック36は、本体部37は開口部を有していてしかも上下の足片38,39が係合溝22,23に嵌まっているため、上向き開口のケーブルフックに比べて、前からの力に対して高い強度を有すると共に、ケーブルフック36をリアビーム6から取り外さないとケーブルCを抜き取ることはできないため、強度とケーブル保持機能とに優れている。
【0056】
また、上下の足片38,39の間には間隔が空いているため、ケーブルフック36は変形させることなくケーブルC類をそのまま嵌め込んだり、軽く広げるだけで嵌め込んだりすることができ、このため、特開平9−189376号公報に比べて、ケーブルC類の嵌め込みが簡単であると共に、本体部37を上下から摘んで足片38,39の間隔を狭めることで係合溝22,23から簡単に抜き外すことができて、配線し直しも頗る簡単である。
【0057】
上下の足片38,39の両方に爪部40を設けることも可能であるが、本例のように片方だけに爪部40を設けると、係合溝22,23からの取り外しを簡単に行える利点がある(ケーブルフック36には大きな荷重が掛かるわけではないので、抜け防止機能は片方に爪部40を設けるだけで係止機能は確保できる。)。本例のケーブルフックは机やテーブル、間仕切り、カウンター等の家具に広く適用できる。敢えて述べるまでもないが、このケーブルフックも、独立した発明たり得る。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本願発明は実際に机に具体化できる。従って、産業上、利用できる。
【符号の説明】
【0059】
1 天板
2 支持体の一例としての脚
3 後部脚支柱
6 リアビーム
7 配線口
8 カバー
9 天板支持ブラケット
10 トレー
11 コネクタサポート
31 プラグ
C ケーブル
A アダプタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天板の後端部の下方に、電源用プラグ又は他のケーブル接続具を取付け可能なコネクタサポートと、その下方に位置してケーブル類やアダプタ類を載置できるトレーとが配置されており、前記トレーは、平面視で前記コネクタサポートの手前側又は左側若しくは右側のうち少なくとも1つの側に張り出しており、かつ、前記コネクタサポート及びトレーの上方に、それらコネクタサポート及びトレーに向けて人が手を差し入れ可能な配線口が空いている、
机。
【請求項2】
前記コネクタサポート及びトレーは、前記天板を支える左右脚の後端部に連結された左右横長のリアビームに取り付けられている、
請求項1に記載した机。
【請求項3】
前記配線口は、天板の後端を後ろ向き開口するように切欠くことによって形成されており、この配線口に着脱式又は開閉式のカバーを装着しており、前記配線口に、前記カバーを取り付けた状態でケーブル類の挿通路が残るように設定している、
請求項1又は2に記載した机。
【請求項1】
天板の後端部の下方に、電源用プラグ又は他のケーブル接続具を取付け可能なコネクタサポートと、その下方に位置してケーブル類やアダプタ類を載置できるトレーとが配置されており、前記トレーは、平面視で前記コネクタサポートの手前側又は左側若しくは右側のうち少なくとも1つの側に張り出しており、かつ、前記コネクタサポート及びトレーの上方に、それらコネクタサポート及びトレーに向けて人が手を差し入れ可能な配線口が空いている、
机。
【請求項2】
前記コネクタサポート及びトレーは、前記天板を支える左右脚の後端部に連結された左右横長のリアビームに取り付けられている、
請求項1に記載した机。
【請求項3】
前記配線口は、天板の後端を後ろ向き開口するように切欠くことによって形成されており、この配線口に着脱式又は開閉式のカバーを装着しており、前記配線口に、前記カバーを取り付けた状態でケーブル類の挿通路が残るように設定している、
請求項1又は2に記載した机。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−111371(P2013−111371A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262252(P2011−262252)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(000139780)株式会社イトーキ (833)
【Fターム(参考)】
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