説明

材料のウェブ上の欠陥の自動マーキング用装置および方法

【課題】ウェブの特徴付けのためのシステムを提供する。
【解決手段】材料のウェブ30をマーキングするシステムであって、基準マーク40をウェブに適用する基準マーカと、基準マーク40に対して識別された領域を定位する位置情報を決定する検査モジュール24と、基準マーク40から定位情報を読み取るとともに提供する基準リーダ62と、ウェブに位置特定マークを適用するウェブマーカ64と、欠陥を構成する異常のうちの少なくとも一つの位置を識別する位置特定マークをウェブに適用するようにウェブマーカを制御するウェブマーカコントローラ60と、基準マーク40の各々が、ウェブ30内の特定の位置に厳密に位置している1つ以上の基準位置特定マークと、各基準位置特定マーク用の一意の識別子を符号化するバーコードと、を含む、システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動検査システムに関し、特に移動ウェブにマーキングして欠陥の特定の箇所を識別するシステムおよび装置に関する。
【背景技術】
【0002】
移動ウェブ材料の分析用検査システムは現代の製造作業に対して限界があることが分かっている。金属製造、紙、不織布およびフィルムといった多様な産業は、製品検定およびオンライン工程監視の両方についてこれらの検査システムに依存している。システムは2つの主な分野の価値を提供する。第1はこれらのシステムを用いて製品品質をリアルタイムで測定且つ報告することにより、製造プロセスの連続的最適化を可能にする。第2にはこれらのシステムを用いて欠陥材料を識別することにより、顧客に出荷する前にその材料を隔離することができる。残念なことに欠陥領域の適正な識別は、製品変換の時間および場所と組み合わせたウェブの性質によっては非常に困難である場合がある。
【0003】
欠陥領域を識別する方法は、電子マップを用いるグレーディングロールから様々なマーキング機構まで及ぶ。ウェブのバルクスタティスティクスを判定したい場合にはグレーディングロールは適正である。しかし特定の欠陥領域を除去するためには、ロールを再検査しなければならない。マーカはウェブエッジのみをマークするために用いられる傾向にあり、多くの場合これで十分である。マークがウェブエッジ上で識別されると、通常その欠陥部分は除去される。残念なことにウェブのエッジマーキングが十分でない場合更なる状況が生じる。これには、
1)エッジマークがあっても人間が欠陥を見つけるのに非常に苦労するような後で識別するのに困難な欠陥。幅広ウェブおよび微細欠陥がこの状況を悪化させる。
2)初期ロールがより小さなロールに細く切断されて、エッジマークがその狭いロール上にはないような状況がある。
【0004】
これらの難題のほか、製品を「ジャストインタイム」生産する製造時の望ましさにより他の問題が生じる。顧客が要求したときのみ製品を製造することにより、業界に完成品の在庫を低減させることができ、これが消費者に対する節約になる。しかしこの目的を達成することは多くの場合、製造業者に様々な製品間の迅速な切り替えを可能にするシステムおよび装置を開発させる。
【発明の概要】
【0005】
ウェブ検査および欠陥マーキング分野はマーキングが検査時と異なる本発明のシステムによりさらに恩恵を受ける。これにより最終用途に対する欠陥であると考えられるそれらの欠点のみの識別が、ウェブの完成形状への最終的変換の直前にその最終用途が「ジャストインタイム」で選択されても可能になる。
【0006】
本発明はウェブ上の異常領域の識別を第1の時間および場所で行うことを可能にするとともに、実際の欠陥の定位およびマーキングを第2の時間および場所で可能にするウェブの特徴付けのためのシステムを提供する。これによりウェブの意図した最終用途に対する実際の欠陥を構成するものの選択が「ジャストインタイム」で行うことができる。特定の最終用途に対してウェブの一部分を不適格にさせる欠陥を構成するものの基準が、最も要求される最終用途用に用いられるものと同等である必要がなくなるため材料の廃棄が低減される。
【0007】
第1の態様において、本発明は、
ウェブの連続部分を撮像してデジタル情報を提供するステップと、
デジタル情報を初期アルゴリズムで処理して異常を含むウェブ上の領域を識別するステップと、
ウェブ上に基準マークを配置するステップと、
基準マークに対して識別領域を定位する位置情報を記録するステップと、
位置情報と基準マークとをガイドとして用いて、ウェブに異常のうちの少なくともいくつかの位置を識別する位置特定マークを適用するステップと、
を含む、材料のウェブの特徴を分析する方法として考えられる。
【0008】
この方法の多くの適切な実施形態において、ウェブの意図した最終用途に対して実際の欠陥と見なされる異常のみの位置が位置特定マークで識別される。この方法を実行する際、デジタル情報から識別領域を抽出するステップと、抽出した識別領域を少なくとも1つの後続アルゴリズムで分析して、どの異常がウェブの意図した最終用途に対する実際の欠陥を表わしているかを判断するステップとをさらに実行することが有利であることが多い。これらのステップは同時係属中且つ同一譲受人に譲渡された米国特許出願第10/669,197号明細書「画像情報を再処理することによる移動ウェブの自動検査装置および方法(Apparatus And Method For Automated Inspection Of Moving Webs By Reprocessing Image Information)」(代理人整理番号第58695US002号)に記載された技術を用いて適切に達成される。
【0009】
直前に記載した参考文献の指導に従うと、撮像がウェブ全体に対して行われた後格納されたまたはバッファ格納された情報が分析される程度であっても、識別領域を分析する前に識別領域の格納またはバッファ格納を行うことが有利であることが多い。この方法のユーザが、ウェブ上の異常領域の識別を第1の時間および場所で行うとともに、実際の欠陥の定位およびマーキングを第2の時間および場所で行うことが適切である場合、配置ステップと適用ステップとの間に、ウェブをロール上に巻き取るステップを行うことも通常適切である。そして巻き取ったロールを、その表面異常に関する記憶情報と一緒に適切な場所に出荷し、そこでロールは特定の最終用途に対するロールの適用に関して決定が行われるのを待機することができる。厳密な最終用途に応じて、位置特定マークを位置を識別する異常上または隣接して配置することが適切であるか、または位置特定マークを位置を識別する異常から所定の様式で離間されるように配置することが適切であり得る。
【0010】
第2の態様において本発明は材料のウェブをマーキングするシステムである。このシステムは、基準マークをウェブに適用する基準マーカと、ウェブの連続部分を撮像してデジタル情報を提供し、デジタル情報を初期アルゴリズムで処理して異常を含むウェブ上の領域を識別し、さらに基準マークに対して識別領域を定位する位置情報を記録する検査モジュールとを備える。またこのシステムは基準マークから定位情報を読み取るとともに提供する基準リーダと、ウェブに位置特定マークを適用するウェブマーカと、ウェブマーカを制御して、位置情報と定位情報とをガイドとして用いて、ウェブに異常のうちの少なくともいくつかの位置を識別する位置特定マークを適用させるウェブマーカコントローラとを備える。
【0011】
好適な実施形態において、ウェブマーカは、ウェブの意図した最終用途に対して実際の欠陥と見なされる異常のみの位置を識別する位置特定マークを適用する。このような実施形態において検査モジュールが、デジタル情報から識別領域を抽出するように構成することは有利である。そしてシステムは、抽出した識別領域を少なくとも1つの後続アルゴリズムで分析して、どの異常がウェブの意図した最終用途に対する実際の欠陥を表わしているかを判断する、ウェブマーカコントローラに関連するプロセッサをさらに備え得る。
【0012】
このシステムのユーザは、ウェブ上の異常領域の識別を第1の時間および場所で行うとともに、実際の欠陥の定位およびマーキングを第2の時間および場所で行い得る。この例において検査モジュールにプロセッサ用に、識別領域を格納またはバッファに格納させることも通常適切である。ある実施形態において基準マーカと検査モジュールとが第1のウェブ処理装置に関連し得るとともに、基準リーダとウェブマーカとウェブマーカコントローラとを第2のウェブ処理装置に関連させ得る。
【0013】
他の特徴と利点とは以下の実施形態の説明から、および特許請求の範囲から明らかになろう。
【0014】
定義
本発明の目的のため、本出願で用いる以下の用語は以下のように定義する。
「ウェブ」は一方向に一定の寸法を有するとともに、直交方向に所定または未定の長さを有する材料のシートを意味する。
「基準マーク」は特定の位置を一意に識別するのに用いられる符号または数字識別子を意味し、「特定の用途」はその意図した用途に基づいた製品要件を定義することを意味する。
「異常」はその特徴および深刻さにより、欠陥であろうとなかろうと正常製品からの逸脱を意味する。
【0015】
添付の図面のいくつかの図において、同様な部分は同様な参照番号を有する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明による例示的システムの概略図を図示する。
【図2】本発明と共に用いられる基準マークの適切な形状を図示する。
【図3】本発明と共に用いるのに適したウェブマーカの一部の斜視図を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで図1を参照すると、本発明による例示的方法20による情報および材料の流れの概略図が図示されている。本発明の実行に関連する装置および方法20は、概して2つの別個のモジュール、検査モジュール24およびマーキングモジュール26として考え得る。検査モジュール24およびマーキングモジュール26が図1に図示するように分離されていることは本発明の要件ではないが、多くの最も好適な実施形態はこのように配置されている。
【0018】
プロセスは第1の段階28で開始する。検査モジュール24は方向D1に移動する材料のウェブ30に作用するように構成されている。以下により詳細に説明するように、多様な種類のウェブ材料が本発明と共に使用するのに適した材料である。
【0019】
検査モジュール24の始端でウェブ30にステアリングを提供することが好ましい場合があり、この場合ウェブエッジセンサ32を用いてもよく、その情報が任意の適切なステアリング機構にフィードバックする。そしてウェブ30はカメラ34の下方に向けられる。カメラ34はウェブ30が照明装置36により照明された場合にウェブ30を撮像できるように位置している。図面は反射光により照明されたウェブを図示しているが、透過または半透過反射光も用い得る。
【0020】
カメラ34からのデジタル情報はプロセッサ38に送られ、プロセッサ38はデジタル情報を初期アルゴリズムにより処理して、異常を含有するウェブ30上の領域を識別する。多くの好適な実施形態では、プロセッサ38は、リアルタイムで動作可能であるとともに少なくとも異常な領域を識別可能な単純な初期アルゴリズムを用いる。そしてプロセッサ38は後で検討するためにデジタル情報から識別領域を抽出する。これらの実施形態においてこの方法は、抽出した識別領域を少なくとも1つの後続アルゴリズムで分析して、どの異常がウェブの意図した最終用途に対する実際の欠陥を表わしているかを判断することによりこの検討を行うことを含む。この分析は検査モジュール24により、またはマーキングモジュール26により、または適当な中間モジュールにより行うことができるとともに、厳密な用途に応じてこれらの可能性のいずれかから利点が生じ得る。いずれにしても分析前に識別領域を格納またはバッファに格納することが好適であることが多い。
【0021】
本発明の方法を行う際、ウェブ30上に基準マーク40を配置して、その後これらの基準マーク40に対して識別領域を定位する位置情報を記録することが必要である。基準マーク40は検査モジュール24に進入する前にウェブ30の上に配置し得るが、この場合カメラ34で撮像したときにそれらの記録を取るようにプロセッサ38をプログラムし得る。代替的に且つ図1に図示したように、基準マーク40を代替方法で基準マーカ42によってウェブ30に追加し得るとともに、プロセッサ38によって代替的に位置情報に統合し得る。基準マーク40をウェブ30上に配置するステップがウェブ30を撮像するステップの前に行われようと後に行われようと、プロセッサ38は基準マーク40に対して識別領域を定位する位置情報を記録する。
【0022】
ウェブ30のいくつかの特定な最終用途の場合、異常または識別欠陥のいずれかの場所に対応するあるマークをウェブのエッジに沿って配置することが好ましい場合がある。この場合には随意の横方向マーカ44を用いてこのようなマークを適用し得る。
【0023】
ウェブ30が検査モジュール24を通過すると、中間段階46が達成される。この時点でウェブ30は基準マーク40でマークされているとともに、少なくとも1つの電子マップ50(対応オブジェクトとして図に概念化されている)が作製されることにより、基準マーク40に対する識別領域(参照番号52で図に概念化されている)を定位する位置情報を記録している。少なくとも1つの電子マップ50、場合よっては2つ以上(集合的に50a)が存在する。初期アルゴリズムか随意の後続アルゴリズムがこのとき、ウェブの2つ以上の意図した最終用途に対してどの異常が実際の欠陥を表わしているかを判断した場合には、2つ以上の電子マップが存在し得る。
【0024】
本発明の多くの好適な実施形態において、ウェブ30がウェブ30を意図した最終用途の役立つ形への転換を達成するのに適切な場所へ出荷するために芯56に巻かれた第2の中間段階54が達成される。また電子マップ50および/または50aは、ディスケット58として定型化形状で図面に図示された転換が行われる場所に送信されるが、任意の適切な電子送信手段を用いることができる。
【0025】
随意の中間段階54が生じたかとは関係なく、ウェブ30はマーキングモジュール26内への方向D2に移動される。ウェブマーカコントローラ60には、その特定のウェブ30に対応して対応電子マップ50のうちの少なくとも1つが設けられている。ウェブマーキングコントローラ60は、電子マップ50を後続アルゴリズムで分析して、どの異常がウェブのここで意図した最終用途に対して実際の欠陥を表わしているかを判断する随意のステップに対処する。
【0026】
ウェブ30はまず、基準マーク40から定位情報を読み取ると共に提供する基準リーダ62を通過する。基準リーダ62はこの定位情報をウェブマーカコントローラ60に伝達する。ウェブマーカコントローラ60はプログラムを実行して、位置情報と定位情報とをガイドとして用いて、異常のうちの少なくともいくつかの位置を識別する位置特定マークをウェブに適用するプランを形成する。そしてウェブマーカコントローラは、一連のコマンドをウェブマーカ64に送信し、そしてウェブマーカ64は位置特定マーク66をウェブ30に適用する。上記の説明に従って本発明の多くの実施形態では、意図したウェブの最終用途に対して実際の欠陥として見なすこれらの異常のみが、位置特定マーク66で識別される。本発明の多くの好適な用途において、位置特定マーク66は、位置を識別する異常の上にあるかまたは隣接している。しかしいくつかの特別な用途において、位置特定マーク66は位置を識別する異常から所定の様式で離間されている。
【0027】
ここで図2を参照すると、本発明と一緒に用いられる基準マーク40の適切な形状が図示されている。これらのマークはウェブの長さを通して等間隔で配置されている。完全な基準マーク40は、ウェブ内の特定の位置に厳密に位置している1つ以上の基準位置特定マーク82、84と、各基準位置特定マーク82、84用の一意の識別子を適切に符号化するバーコード80とを含む。このため基準マーク82、84が位置を正確に特定するととともにバーコードがその位置を一意に識別して、マーキング動作中に電子マップが実ウェブへ再同期できるようになっている。
【0028】
図3は本発明で用いるのに適したウェブマーカ64の一例の一部分の斜視図である。ウェブマーカ64はフレーム86と、ウェブマーカコントローラ60(図示せず)を始めとする他の装置との通信用取付ケーブルコネクタ88とを含む。またフレーム86上に載置されているのは一連のインクジェットモジュール90であり、各々その上に一連のジェットノズル92を有する。インクジェットモジュール90は二列に互い違いの位置に載置されており、誤動作に対して全体の機構の分解ではなく1つの不良インクジェットモジュール90の交換によって対処できるように、幅広ウェブでもその幅にわたって網羅できるようになっている。インクジェットモジュール90の実際の動作構造は当業者により理解されるように従来のものである。
【0029】
ウェブ材料
本発明によれば連続的移動ウェブは、所定の幅と、厚さと、不定または所定の長さとを有する任意のシート状材料を含み得る。光学的に撮像され得るウェブ状に設けられた材料は本発明と共に用いるのに適している。ウェブ材料の例には金属、紙、織布、不織布、ガラス、高分子フィルムまたはそれらの組み合わせがあるがこれらに限定されない。金属は鋼鉄またはアルミニウムのような材料を含み得る。織布には概して様々な織物がある。不織布には紙、フィルタ媒体、または絶縁材料などの材料がある。フィルムには例えばラミネートおよび被覆フィルムを始めとする透明および不透明な高分子フィルムがある。
【0030】
本発明の利用による解決に特に適した検査問題の1つのタイプは光学フィルムの検査である。例えばコンピュータディスプレイの表面を対象としたフィルムでは、一度に何時間もディスプレイを見ているユーザにとって僅かな欠陥が重大なものになる恐れがある。この種のアプリケーション内のどの種類の欠陥がユーザにとって容認しがたい負担になるか、およびどの種類の欠陥が安全であるか、を厳密に規定することが非常に複雑であることがある。判断の複雑さを低減する手法を以下により詳細に提示する。
【0031】
第2のタイプの検査問題はフレキシブル回路ウェブの検査である。フレキシブル回路ウェブ上の個々の回路がフレキシブル基板上に堆積または形成された繰り返し回路パターンを有する場合、本発明は含まれる複雑さに対応するのに特に適している。ウェブは通例、各々が任意のパターンで配置された様々な小型部品を含む多数の個々の回路を有する。個々の回路は後で、例えばダイ切断によりウェブから分離されて、個別の電気的用途で用いられる。
【0032】
本発明に適した多くの用途の場合、ウェブ材料または複合材料は塗布コーティングを有することが好ましい場合がある。光学的に撮像され得るコーティングは本発明と共に用いるのに適している。コーティングは概してベースウェブ材料の露出面に塗布される。コーティングの例には接着剤、光学濃度コーティング、低接着背面コーティング、金属化コーテジング、光学活性コーティング、電気的導電または非導電性コーティング、またはそれらの組み合わせを含む。コーティングをウェブ材料の少なくとも一部分に塗布し得る、またはベースウェブ材料の表面を完全に被覆し得る。
【0033】
画像取得
画像取得は、移動ウェブの連続部分を読み取り且つデジタルデータストリームの形式で出力を提供可能な従来の撮像装置の使用により達成される。本発明の目的のため、撮像装置はデジタルデータストリームを直接提供するカメラ、または追加のアナログ−デジタル変換器を有するアナログカメラを含み得る。さらにまた例えばレーザスキャナなどの他のセンサを撮像装置として利用し得る。ウェブの連続部分はデータが一連の線により好適に取得されていることを示す。線は1列以上のセンサ要素または画素に光学的にマッピングする連続移動ウェブの領域を備える。画像を取得するのに適した装置の例には、パーキンエルマー(Perkin Elmer)(カリフォルニア州サニーベール(Sunnyvale, Calif.))製のモデル番号LD21、ダルサ(Dalsa)(カナダ、オンタリオ州のウォータールー(Waterloo, Ontario, Canada))製のピラナモデル(Piranha Models)、またはトンプソン(Thompson)−CSF(ニュージャージー州トタワ(Totawa, N.J.))製のモデル番号TH78H15などのラインスキャンカメラがある。さらなる例にはアナログ−デジタル変換器と連動するサーフェス・インスペクション・システムズ(Surface Inspection Systems)GmbH(ドイツ、ミュンヘン(Munich, Germany))製のレーザスキャナがある。
【0034】
画像は、画像の獲得を支援する光学アセンブリの利用により随意に取得し得る。アセンブリはカメラの一部でもよく、またはカメラとは別体でもよい。光学アセンブリは画像処理中に反射光、透過光、または半透過反射光を利用する。
【0035】
異常または欠陥検出
取得後、画像は従来の欠陥検出処理を用いてまたは、同時係属中且つ同一譲受人に譲渡された米国特許出願第10/669,197号明細書「画像情報を再処理することによる移動ウェブの自動検査装置および方法(Apparatus And Method For Automated Inspection Of Moving Webs By Reprocessing Image Information)」(代理人整理番号第58695US002号)に記載の技術を用いて処理される。後者の技術は一般に第1の典型的な低いアルゴリズムで予備試験を行うシステムを用いる。予備試験は異常を含むウェブの領域について画像情報を生成する。異常のいくつかは欠陥であるが、多くは「偽陽性」または欠陥ではない異常であることもある。事実、製品が特定の用途で用いられる場合にはいくつかの領域は欠陥であるが、他に用いられる場合には欠陥ではない場合がある。実際の欠陥を異常から効果的に分離するためには、元の画像情報を後で再検討して、様々なより高度な画像処理および欠陥抽出アルゴリズムのうちの少なくとも1つを行う。
【0036】
本発明で用いられる欠陥検出アルゴリズムまたは異常検出アルゴリズムには、ウェブ検査の分野で従来用いられているものがある。ウェブ検査システムを構築する技術の当業者は1つ以上のアルゴリズムを特定のウェブおよび欠陥タイプと一致させることにより、欠陥検出の所望の精度レベルを達成可能である。適当なアルゴリズムの非限定例には、近傍平均、近傍ランキング、コントラスト拡大、様々なモナディックおよびダイナミック画像操作、ラプラスフィルタ、ソベル演算子、ハイパスフィルタリングおよびローパスフィルタリングなどのデジタルフィルタリング、テクスチャ解析、フラクタル解析、フーリエ変換およびウェーブレット変換などの周波数処理、コンボリューション、形態学的処理、閾値化、連結成分解析、ブロブ処理、ブロブ分類、またはそれらの組み合わせがある。
【0037】
好適な実施形態において、異常検出を選択したアルゴリズムを用いた処理の第1段階で用いて電子マップを作製する。材料のウェブはこの処理ステップ中に最終的なロールに巻き上げられる。電子マップおよびウェブはその後所望の最終用途の観点から検査される。所望の目的に対して真に欠陥である異常は、以下にさらに説明するように位置特定マークを有するウェブ上で識別される。
【0038】
画像情報から抽出された異常または欠陥情報は、適切なデータ記憶機構に保存されて、後でマーキングプロセスにおいて転送および利用される。記憶機構の例には様々なコンピュータファイルおよびデータベースフォーマットがある。好適な方法はワシントン州レドモンドのマイクロソフト・インコーポレーション(Microsoft Inc., Redmond, WA)製のマイクロソフトSQLサーバ(Microsoft SQL Server)などのデータベースを利用する。
【0039】
基準マーキング
基準マークおよび関連バーコードは、インクマーキング、レーザプリンティング、機械的捺印装置を始めとする多様な方法または他の同様な方法を用いて、ウェブ材料上に刻印し得る。マークを生産ウェブ速度で確実に適用できること、および連続動作中にそのマークが容易に感知されると共にバーコードが容易に読み取られることが重要である。適当な印刷装置の例は、リンクス・プリンティング・テクノロジーズ(Linx Printing Technologies)(イギリス、ケンブリッジシャー(Cambridgeshire, UK))製のモデル6800インクジェットプリンタ(Ink Jet Printer)であるとともに、適当なバーコードリーダはDVTコーポレーション製(ジョージア州ダラス(Duluth, Georgia))のモデル530である。
【0040】
欠陥位置特定マーキング
初期検査および基準位置特定マークの適用後任意の時点で、検査システムによって判定されるような製品欠陥をマークすることにより容易な識別および除去を可能にすることができる。ウェブ材料および生産条件に応じて多様なマーキング機構およびマーキング構成が適当であり得る。しかしマーキングの方法が、欠陥マークをウェブ上の実際の製品欠陥の箇所に十分に近接して適用できる可能性を有することが好ましい。矢印付きマークは特に効果的であると分かっているが、位置制御マーカも適当である。フィルム製品に特に適切な方法は、ペンシルバニア州ピッツバーグのマシューズ(Mattews (Pittsburg, Pennsylvania))製のモデルMS610などの一連のインクマーカを用いている。
【0041】
マーキング動作中にウェブがシステムを通過すると、基準マークが定期的に感知されるとともに関連バーコードが読み取られる。バーコードと基準マークの組み合わせにより、ウェブの物理的な位置を電子マップ内に識別された異常または欠陥に対して正確に登録することができる。定期的な再登録は継続的な登録精度を確保する。当業者は従来の物理的座標変換技術により再登録の実行が可能である。ここで実ウェブが電子マップに登録されているため、特定の異常または欠陥の物理的位置は既知である。後で真の欠陥として識別される欠陥または異常の物理的位置がマーキングユニットの下を通過する例では、マークがウェブに適用される。マークのタイプと欠陥上または付近のマークの正確な位置とを、ウェブ材料、欠陥分類、欠陥に対処するのに必要なウェブ処理、およびウェブの意図した最終用途に基づいて選択し得る。一連のインクマーカの場合、欠陥がウェブ下方向にユニットを通過する際に、ウェブ横断位置に応じて選択的にマーカが始動される。この方法により150フィート/分を超える生産速度の高速ウェブ上で1mm未満のマーキング精度が常時達成されている。しかし1000メートル/分を超える高速ウェブは本発明の可能性内である。
【実施例】
【0042】
実施例1
モデル6800リンクス(Lynx)プリンタをウェブのエッジに沿って印刷して基準マーカとして機能するように構成するとともに、このプリンタを用いて移動高分子ウェブ上に基準マークを印刷にした。これらの基準マークの各々は概して図2に図示するようなバーコードと基準位置とを含む。高分子ウェブをミネソタ州セントポールのスリーエム・カンパニー(3M Company, St. Paul, MN)から市販されている5ミルの厚さの透明なポリエステルから形成した。
【0043】
そしてその基準マークを担持するウェブをウェブの連続部分を撮像する検査モジュールに送った。この撮像はカリフォルニア州サンノゼ(San Jose, CA)のアトメル(Atmel)から市販されているモデルAT71XM2CL4010-BA0カメラにより達成された。バージニア州アレクサンドリア(Alexandria, VA)のショット−フォステック、LLC(Schott-Fostec, LLC)から市販されている照明モジュールにより背後から照明してウェブを見た。カメラからのデジタル情報を、テキサス州ラウンドロック(Round Rock, TX)のデルコンピュータ・コーポレーション(Dell Computer Corp.)から市販されているモデルプレシジョン(Precision)530デジタルコンピュータに送信した。そこでそれを初期アルゴリズムで処理して異常を含むウェブ上の領域を識別した。またカメラは基準マークに関する情報をデジタルプロセッサに提供した。そしてデジタルプロセッサは、識別領域に関する情報を抽出するとともに基準マークに対する識別領域を定位する位置情報を記録した。位置情報を磁気媒体に格納するとともに、ウェブを後の処理のためにスプールに巻き取った。
【0044】
実施例2
実施例1のウェブをスプールから巻き取られたのとは反対方向に解いて移動させた。それをジョージア州ダラス(Duluth, Georgia)のDVTから市販されているモデルレジェンド(Legend)530カメラを始めとする基準リーダを通過するように向けた。基準リーダを通過する際のウェブにわたる位置制御を、ウイスコンシン州マディソン(Madison, WI)のアキューウェブ(Accuweb)から市販されているサーボ位置決めコントローラにより、これもアキューウェブ(Accuweb)製のモデル1.5X3U 4043-01として市販されているウェブエッジセンサからの情報に基づいて提供した。基準リーダにおけるウェブの照明は、バーモント州ロチェスター(Rochester, VT)のアドバンスト・イルミネーション(Advanced Illumination)から市販されているバックライトモジュールにより提供した。カメラの出力を、デルコンピュータ・コーポレーション(Dell Computer Corp.)から市販されているモデルプレシジョン(Precision)530デジタルコンピュータを備えるウェブマーカコントローラに送って、ウェブ上の基準マークを定位する情報を得ることができた。
【0045】
ウェブマーカコントローラ内のプロセッサには実施例1で得られた記録位置情報も提供した。ウェブマーカコントローラは記録位置情報を基準リーダからの定位情報と一体化して、ウェブ異常の位置特定電子マップを形成した。
【0046】
そしてウェブを概して図3に示したように構成されたウェブマーカの下に送った。このウェブマーカにおいて、ペンシルバニア州ピッツバーグ(Pittsburg, Pennsylvania)のマシューズ(Mattews)製のモデルMS610として市販されているインクジェットモジュールを、二列に互い違いにフレームに載置するとともにウェブマーカコントローラの制御下に置いた。ウェブ異常の電子マップによれば、異常がウェブマーカの下を通過すると、少量の黒インク噴出が適当なジェットモジュールからウェブ上に発射されて、異常の箇所を識別する。その動作中、ウェブマーカにマークをウェブエッジに隣接して異常に対して流れ方向の予想可能距離に置かせるように、ウェブマーカコントローラをプログラムした。他の実験ではこのマークを異常上に直接配置した。これらの後者の場合、長さ2000メートルまでのウェブの巻戻し中、マークの異常上への配置の位置精度誤差は1mm以下だった。
【0047】
実施例3
ウェブの部分を特定の意図した最終用途に不適切にさせる実際の欠陥を、電子マップ内の抽出情報のうちの他の異常から区別するために使用するように設計された後続アルゴリズムをウェブマーカコントローラに設けた以外は、実施例1によるウェブを移動させるとともに概して実施例2の記述に従ってマークを付した。動作中、コマンドをウェブマーカに送信して位置特定マークを後続アルゴリズムにより実際の欠陥とみなされるそれらの異常上のみに配置するように、ウェブマーカコントローラをさらにプログラムした。
【0048】
本発明の範囲と要旨とから逸脱することなく当業者には本発明の様々な変更例および代替例が明らかになるとともに、本発明は本明細書に記載した例示的実施形態に限定されるものであると理解されるべきではない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料のウェブの特徴を分析する方法であって、
ウェブの少なくとも一部分を撮像してデジタル情報を提供するステップと、
前記デジタル情報を初期アルゴリズムで処理して異常を含む前記ウェブ上の領域を識別するステップと、
前記ウェブ上に基準マークを配置するステップと、
前記基準マークに対して前記識別領域を定位する位置情報を記録するステップと、
前記位置情報と前記基準マークとをガイドとして用いて、前記ウェブに前記異常のうちの少なくともいくつかの位置を識別する位置特定マークを適用するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記ウェブの意図した最終用途に対して実際の欠陥と見なされる前記異常のみの位置が位置特定マークで識別される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記デジタル情報から識別領域を抽出するステップと、
前記抽出した識別領域を少なくとも1つの後続アルゴリズムで分析して、どの異常が前記ウェブの意図した最終用途に対する実際の欠陥を表わしているかを判断するステップと、
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
分析ステップの前に前記識別領域を格納またはバッファリングするステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記撮像ステップが前記ウェブ全体に対して行われた後で、前記格納またはバッファリングされた情報が分析される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記配置ステップと前記適用ステップとの間に、前記ウェブをロール上に巻き取るステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記位置特定マークが、位置を識別する前記異常上にあるかまたは隣接している、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記位置特定マークが、位置を識別する前記異常から所定の様式で離間されている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
材料のウェブをマーキングするシステムであって、
基準マークをウェブに適用する基準マーカと、
ウェブの少なくとも一部分を撮像してデジタル情報を提供し、前記デジタル情報を初期アルゴリズムで処理して異常を含む前記ウェブ上の領域を識別し、さらに前記基準マークに対して前記識別領域を定位する位置情報を記録する検査モジュールと、
前記基準マークから定位情報を読み取るとともに提供する基準リーダと、
前記ウェブに位置特定マークを適用するウェブマーカと、
前記ウェブマーカを制御して、前記位置情報と前記定位情報とをガイドとして用いて、前記ウェブに前記異常のうちの少なくともいくつかの位置を識別する位置特定マークを適用させるウェブマーカコントローラと、
を備えるシステム。
【請求項10】
前記ウェブマーカが、前記ウェブの意図した最終用途に対して実際の欠陥と見なされる前記異常のみの位置を識別する位置特定マークを適用する、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記検査モジュールが、前記デジタル情報から識別領域を抽出し、前記システムが、
前記抽出した識別領域を少なくとも1つの後続アルゴリズムで分析して、どの異常が前記ウェブの意図した最終用途に対する実際の欠陥を表わしているかを判断する、前記ウェブマーカコントローラに関連するプロセッサ、
をさらに備える、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記検査モジュールが前記プロセッサ用に、前記識別領域を格納またはバッファリングする、請求項11に記載のシステム。
【請求項13】
前記基準マーカと前記検査モジュールとが第1のウェブ処理装置に関連するとともに、前記基準リーダと、前記ウェブマーカと、前記ウェブマーカコントローラと、が第2のウェブ処理装置に関連している、請求項9に記載のシステム。
【請求項14】
前記ウェブマーカが、位置特定マークを、位置を識別する前記異常上にまたは隣接して配置する、請求項9に記載のシステム。
【請求項15】
前記ウェブマーカが、位置を識別する前記異常から所定の様式で離間されている位置特定マークを配置する、請求項9に記載のシステム。
【請求項16】
上に基準マークを有する材料のウェブにその基準マークに対するウェブ異常の位置情報を備えるデジタルマップを利用してマーキングするマーキング装置であって、
基準マークから定位情報を読み取るとともに提供する基準リーダと、
ウェブに位置特定マークを適用するウェブマーカと、
前記ウェブマーカを制御して、前記位置情報と前記定位情報とをガイドとして用いて、前記ウェブに前記異常のうちの少なくともいくつかの位置を識別する位置特定マークを適用させるウェブマーカコントローラと、
を備える装置。
【請求項17】
前記デジタルマップが前記ウェブ異常の性質に関する情報をさらに備えるとともに、前記ウェブマーカが前記ウェブの意図した最終用途に対して実際の欠陥と見なされる前記異常のみをマークする、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
上に基準マークと場合によってはウェブ異常とを有する材料のウェブをマーキングする方法であって、
基準マークに対する前記ウェブ異常の位置情報を備えるデジタルマップを提供するステップと、
前記位置情報と前記基準マークとをガイドとして用いて、前記ウェブに前記異常のうちの少なくともいくつかの位置を識別する位置特定マークを適用するステップと、
を含む方法。
【請求項19】
前記デジタル情報から識別領域を抽出するステップと、
前記抽出した識別領域を少なくとも1つの後続アルゴリズムで分析して、どの異常が前記ウェブの意図した最終用途に対する実際の欠陥を表わしているかを判断するステップと、
をさらに含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
分析ステップの前に前記識別領域を格納またはバッファリングするステップをさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記位置特定マークを適用するステップの前に、前記ウェブをロール上に巻き取るステップをさらに含む、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−233917(P2012−233917A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−166542(P2012−166542)
【出願日】平成24年7月27日(2012.7.27)
【分割の表示】特願2007−509479(P2007−509479)の分割
【原出願日】平成17年3月23日(2005.3.23)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】