説明

材料ガス制御装置、材料ガス制御方法、材料ガス制御プログラム及び材料ガス制御システム

【課題】材料が多量に余っているにも関わらず早い時点でバルブが全開になる等して制御不能となるのを防ぐことができる材料ガス制御装置を提供する。
【解決手段】前記導出管L2に設けられた第1バルブ1と、前記混合ガスにおける材料ガスの濃度を測定する濃度測定機構CSと、前記濃度測定機構CSにより測定される材料ガスの測定濃度が、予め設定された設定濃度となるように前記第1バルブ1の開度を制御する第1バルブ制御部24と、前記導入管L1に設けられた第2バルブ32と、前記第1バルブ1の開度が全開の開度から第1所定値だけ小さい開度である閾値開度になった場合において、所定時間内に前記第2バルブ32の開度を、前記第1バルブ1の開度が閾値開度になった時点での変更前開度から第2所定値だけ大きい変更後開度となるように制御する第2バルブ制御部と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、収容体内に収容されている材料にキャリアガスを導入し、材料を気化させる材料気化装置において、その気化した材料ガスを制御する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば半導体の成膜過程においては、材料気化装置により気化された材料ガスが成膜の行われるチャンバー内へと所定の濃度又は流量で運ばれることが求められる。
【0003】
例えば、材料ガスの流量を一定に制御するための材料ガス制御装置としては、特許文献1及び図9に示されるようなキャリアガスを材量が収容された収容体に導入するための導入管に設けられたマスフローコントローラ(以下、MFCとも記載する)と、前記収容体から気化された材料ガスとキャリアガスの混合ガスを導出するための導出管に設けられた濃度モニタとを備え、前記濃度モニタで測定される測定濃度に基づいて前記キャリアガスの流量を制御するものがある。
【0004】
より具体的には、混合ガス中における材料ガスの濃度をC、材料ガスの流量をQ、キャリアガスの流量をQとすると材料ガスの濃度はC=Q/(Q+Q)という関係があることから、材料ガスの流量はQ=C・Q/(1−C)と表すことができ、測定濃度から材料ガスの実流量を算出することができる。この関係を利用して前記材料ガス制御装置は、気化された材料ガスの濃度をモニタリングして、その測定濃度から算出される材料ガスの実流量を前記MFCにフィードバックし、材料ガスの流量Qが予め定めた設定流量で略一定となるようにMFCによりキャリアガスの流量制御を行っている。
【0005】
ここで、前記材料ガスの流量Qは、材料が気化する量に依存しており、材料が気化する量はキャリアガスの流量Qにより変化する。通常、材料ガスの流量Qを増加させるには、前記キャリアガスの流量Qを増加させることにより、材料が液体であればバブリングされる量を増加させ、材料が固体であれば、材料の表面に当たるキャリアガスの量を増加させることにより材料が気化する量を増加させることができる。従って、材料ガスの流量が少なくなった場合には、MFCはより多くのキャリアガスを収容体内に導入するように動作することで、常に一定の材料ガス流量Qを保つことができる。
【0006】
しかしながら、上述したようなキャリアガスの流量Qにより材料ガスの流量Qをコントロールする材料ガス制御装置では、以下に説明するような材料が減少した際における材料ガスの気化効率の低下に起因する問題点がある。
【0007】
具体的には、液体の材料が少なくなってくると、収容体内での液位が低くなり、キャリアガスがバブリング中に材料液に接している時間が短くなるので、キャリアガスの単位流量当たりで材料が気化する量が少なくなる。すなわち、材料が減少すると材料の気化効率が低下してしまう。固体の材料であっても材量が気化され少なくなってくると、キャリアガスに接触する面積が小さくなるため、やはり気化効率が低下してしまう。
【0008】
このような気化効率が低下した状態でも、材料ガスの流量Qを設定流量で保とうとすると、さらに多くのキャリアガスを収容体内に導入する必要がある。そうすると、ますます材料とキャリアガスの接触時間が短くなり、気化効率が更に低下することになる。その結果、材料が減少した状態で材料ガスの流量Qを保とうとすると、加速度的にキャリアガスの流量Qが増加してしまい、ついにはMFC内のバルブが全開となってこれ以上キャリアガスの流量Qを増やすことができなくなる。MFC内のバルブが全開となった時点で、材料が収容体内に残っていたとしても、これ以上は材料が気化する量を増加させることはできないので、材料ガスの流量Qを設定流量に保つこともできず、材料ガス流量は制御不能状態となってしまう。言い換えると、設定流量によっては収容体内に多くの材料が余っているにもかかわらず、材料ガスを所定の流量でチャンバー内等に送ることができず、このような状態を防ぐには頻繁に材料を追加しなくてはならなくなってしまう。
【0009】
また、制御不能状態となった場合に、材料ガスの流量Qの設定値を下げて再度、濃度制御を行うことも考えられるが、その場合、半導体の成膜工程におけるプロセス時間を長く設定するなど大幅なレシピ変更が必要となるため使用しづらくなってしまう。加えて、設定値を変更したとしても前述したのと同様の現象が生じ、すぐに材料ガスの流量を一定にたもつことができなくなってしまう。
【0010】
さらに、上述したような問題は、材料ガスの流量を一定に保っている場合だけでなく、特許文献2に示されるような材料ガス濃度制御装置において、材料ガスの混合ガス中における濃度又は流量を一定に保つように制御している場合でも生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平08−153685号公報
【特許文献2】特開2010−109304号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は上述したような問題を鑑みてなされたものであり、材料が減少した際に気化効率の低下に併せてキャリアガスの流量が加速度的に増加して、材料が多量に余っているにも関わらず早い時点でバルブが全開になる等して制御不能となるのを防ぐことができる材料ガス制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
すなわち、本発明の材料ガス制御装置は、材料が収容される収容体と、前記材料を気化させるためのキャリアガスを前記収容体に導入する導入管と、前記収容体から前記キャリアガスと前記材料が気化した材料ガスの混合ガスを導出するための導出管とを少なくとも具備する材料気化装置に用いられる材料ガス制御装置であって、前記材料ガス制御装置が、前記混合ガスにおける材料ガスの濃度を測定する濃度測定機構と、前記導出管に設けられた第1バルブの開度を制御するものであり、前記濃度測定機構により測定される材料ガスの測定濃度が、設定濃度となるように前記第1バルブの開度を制御する第1バルブ制御部と、前記導入管に設けられた第2バルブの開度を制御するものであり、前記第1バルブの開度が全開の開度から第1所定値だけ小さい開度である閾値開度になった場合において、所定時間内に前記第2バルブの開度を、前記第1バルブの開度が閾値開度になった時点での変更前開度から第2所定値だけ大きい変更後開度となるように制御する第2バルブ制御部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の材料ガス制御システムは、材料が収容される収容体と、前記材料を気化させるためのキャリアガスを前記収容体に導入する導入管と、前記収容体から前記キャリアガスと前記材料が気化した材料ガスの混合ガスを導出するための導出管と、前記導出管に設けられた第1バルブと、前記混合ガスにおける材料ガスの濃度を測定する濃度測定機構と、前記濃度測定機構により測定される材料ガスの測定濃度が、予め設定された設定濃度となるように前記第1バルブの開度を制御する第1バルブ制御部と、前記導入管に設けられた第2バルブと、前記第1バルブの開度が全開の開度から第1所定値だけ小さい開度である閾値開度になった場合において、所定時間内に前記第2バルブの開度を、前記第1バルブの開度が閾値開度になった時点での変更前開度から第2所定値だけ大きい変更後開度となるように制御する第2バルブ制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
さらに、本発明の材料ガス制御方法は、材料が収容される収容体と、前記材料を気化させるためのキャリアガスを前記収容体に導入する導入管と、前記収容体から前記キャリアガスと前記材料が気化した材料ガスの混合ガスを導出するための導出管とを少なくとも具備する材料気化装置に用いられる材料ガス制御装置を用いた材料ガス制御方法であって、前記材料ガス制御装置が、少なくとも前記混合ガスにおける材料ガスの濃度を測定する濃度測定機構を具備し、前記材料ガス制御方法が、前記導出管に設けられた第1バルブの開度を制御するステップであり、前記濃度測定機構により測定される材料ガスの測定濃度が、設定濃度となるように前記第1バルブの開度を制御する第1バルブ制御ステップと、前記導入管に設けられた第2バルブの開度を制御するステップであり、前記第1バルブの開度が全開の開度から第1所定値だけ小さい開度である閾値開度になった場合において、所定時間内に前記第2バルブの開度を、前記第1バルブの開度が閾値開度になった時点での変更前開度から第2所定値だけ大きい変更後開度となるように制御する第2バルブ制御ステップと、を備えることを特徴とする。
【0016】
加えて、本発明の材料ガス制御プログラムは、材料が収容される収容体と、前記材料を気化させるためのキャリアガスを前記収容体に導入する導入管と、前記収容体から前記キャリアガスと前記材料が気化した材料ガスの混合ガスを導出するための導出管とを少なくとも具備する材料気化装置に用いられる材料ガス制御装置を制御するための材料ガス制御プログラムであって、前記材料ガス制御装置が、少なくとも前記混合ガスにおける材料ガスの濃度を測定する濃度測定機構を具備し、材料ガス制御プログラムが、前記導出管に設けられた第1バルブの開度を制御するものであり、前記濃度測定機構により測定される材料ガスの測定濃度が、設定濃度となるように前記第1バルブの開度を制御する第1バルブ制御部と、前記導入管に設けられた第2バルブの開度を制御するものであり、前記第1バルブの開度が全開の開度から第1所定値だけ小さい開度である閾値開度になった場合において、所定時間内に前記第2バルブの開度を、前記第1バルブの開度が閾値開度になった時点での変更前開度から第2所定値だけ大きい変更後開度となるように制御する第2バルブ制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0017】
このようなものであれば、前記導出管に設けられた第1バルブにより混合ガス中における材料ガスの濃度を制御しつづけ、前記収容体内の材料が減少し、材料の気化効率が低下することにより前記第1バルブが全開又は全開に近くなった時点で、前記導入管に設けられた第2バルブの開度が大きくなるように制御される。このため、第1バルブが制御限界近くになった時点で、キャリアガスの流量が増加し、材料が気化する量も増加するので、第1バルブの開度は全開又は全開近くから、可動範囲の中央側に戻ることなる。このように、前記第1バルブが全開又は全開近くである閾値開度となるごとに、キャリアガスの流量が段階的に増加するように構成されているので、崎量の気化効率の低下に伴って加速度的にキャリガスの流量が増加し、材料が多量に余っているにもかかわらず、制御不能となる事態を防ぐことができる。つまり、収容体内の材料が十分に使用されるまでの間、測定濃度を設定濃度で一定に保つことが可能となる。
【0018】
前述した効果を既存の材料気化装置の設備、例えば、前記導入管に予め設けられているバルブを第2バルブとして利用しつつ、必要最低限の新規構成を追加するだけで実現できるようにするには、材料が収容される収容体と、前記材料を気化させるためのキャリアガスを前記収容体に導入する導入管と、前記収容体から前記キャリアガスと前記材料が気化した材料ガスの混合ガスを導出するための導出管とを少なくとも具備する材料気化装置に用いられる材料ガス制御装置であって、前記材料ガス制御装置が、前記混合ガスにおける材料ガスの濃度を測定する濃度測定機構と、前記導出管に設けられた第1バルブと、前記濃度測定機構により測定される材料ガスの測定濃度が、設定濃度となるように前記第1バルブの開度を制御する第1バルブ制御部と、前記導入管に設けられた第2バルブの開度を制御するものであり、前記第1バルブの開度が全開の開度から第1所定値だけ小さい開度である閾値開度になった場合において、所定時間内に前記第2バルブの開度を、前記第1バルブの開度が閾値開度になった時点での変更前開度から第2所定値だけ大きい変更後開度となるように制御する第2バルブ制御部と、を備えることを特徴とする材料ガス制御装置であればよい。
【0019】
前記第2バルブの開度が変更されて、キャリアガスの流量の変化が急激なものとならないようにして、変化期間中も測定濃度が設定濃度で一定となるようにするには、前記第2バルブ制御部が、前記変更前開度から前記変更後開度となるまで前記第2バルブの開度が時間に対して略比例して大きくなるように制御するように構成されたものであればよい。
【0020】
材料の減少に伴う気化効率の低下量に合わせて、キャリアガスが収容体に導入される量を増加させることによって、前記第1バルブが閾値開度から十分に可動する事のできる開度へと戻るようにして、長期間材料の追加無しで濃度を一定に保つことができるようにするには、前記第2所定値が、前記第1バルブが閾値開度となった回数に応じて変更されるものであればよい。
【0021】
キャリアガスの流量により前記第2バルブの開度を設定し、より厳密に気化効率の低下に合わせた濃度制御を行うことができるようにするための具体的な構成としては、前記導入管を流れるキャリアガスの流量を測定するための流量測定センサを更に備え、前記第2バルブ制御部が、前記第2バルブを前記流量測定センサに基づいて測定されるキャリアガスの測定流量が、設定流量となるように前記第2バルブの開度を制御する開度制御部と、前記設定流量を前記開度制御部に設定する流量設定部とを具備し、前記流量設定部が、前記第1バルブの開度が前記閾値開度になった場合に、前記設定流量を、前記第1バルブの開度が閾値開度になった時点での変更前設定流量からα倍(α>1)だけ大きい変更後設定流量を前記開度制御部に設定するよう構成されたものが挙げられる。
【0022】
キャリアガスの流量を逐次制御することにより混合ガスにおける材料ガスの濃度を制御している場合において、収容体内の材料が減少し気化効率が低下したとしてもキャリアガスの流量が加速度的に多くなり、短期間で制御不能となるのを防ぐには材料が収容される収容体と、前記材料を気化させるためのキャリアガスを前記収容体に導入する導入管と、前記収容体から前記キャリアガスと前記材料が気化した材料ガスの混合ガスを導出するための導出管とを少なくとも具備する材料気化装置に用いられる材料ガス制御装置であって、材料ガス制御装置が、前記混合ガスにおける材料ガスの流量を測定する流量測定機構と、前記導入管に設けられた第2バルブの開度を制御するものであり、前記流量測定機構により測定される材料ガスの測定流量が、予め設定された設定流量となるように前記第2バルブの開度を制御する第2バルブ制御部と、前記導出管に設けられた第1バルブの開度を制御するものであり、前記第2バルブの開度が全開の開度から第1所定値だけ小さい開度である閾値開度になった場合において、所定時間内に前記第1バルブの開度を、前記第2バルブの開度が閾値開度になった時点での変更前開度から第2所定値だけ大きい変更後開度となるように制御する第1バルブ制御部と、を備えたことを特徴とする材料ガス制御装置であればよい。このようなものであれば、収容体内の材料が減少して気化効率が低下しても、それに合わせて第2バルブにより収容体内の全圧が低く設定されていき、再び第1バルブが可動範囲内へと戻るので、材料が多量に余っていても濃度制御が行えなくなる事態を防ぐことができる。
【0023】
また、前述した材料ガス制御装置の別の態様としては、材料が収容される収容体と、前記材料を気化させるためのキャリアガスを前記収容体に導入する導入管と、前記収容体から前記キャリアガスと前記材料が気化した材料ガスの混合ガスを導出するための導出管と、前記混合ガスにおける材料ガスの流量を測定する流量測定機構と、前記導入管に設けられた第2バルブの開度を制御するものであり、前記流量測定機構により測定される材料ガスの測定流量が、予め設定された設定流量となるように前記第2バルブの開度を制御する第2バルブ制御部と、を少なくとも具備する材料気化装置に用いられる材料ガス制御装置であって、材料ガス制御装置が、前記導出管に設けられた第1バルブの開度を制御するものであり、前記第2バルブの開度が全開の開度から第1所定値だけ小さい開度である閾値開度になった場合において、所定時間内に前記第1バルブの開度を、前記第2バルブの開度が閾値開度になった時点での変更前開度から第2所定値だけ大きい変更後開度となるように制御する第1バルブ制御部と、を備えたことを特徴とする材料ガス制御装置であってもよい。
【発明の効果】
【0024】
このように本発明の材料ガス制御装置によれば、収容体内の材料が減少することにより気化効率が低下したとしても、段階的に第2バルブの開度を大きく変更していくことにより、濃度制御を行っている第1バルブの開度を長期間にわたって可動範囲内に収めることができる。従って、加速度的に気化効率が低下してしまい、材料が多量に残っているに関わらず濃度制御が不能となる事態を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態に係る材料ガス制御システムの概要を示す模式図。
【図2】第1実施形態に係る材料ガス制御システムを示す模式的流体回路図及び機能ブロック図。
【図3】第1実施形態に係る材料ガス制御システムの動作を示すフローチャート。
【図4】第1実施形態に係る材料ガス制御システムにおける各バルブの開度の変化を示すグラフ。
【図5】本発明の第2実施形態に係る材料ガス制御システムの概要を示す模式図。
【図6】第2実施形態に係る材料ガス制御システムを示す模式的流体回路図及び機能ブロック図。
【図7】第3実施形態に係る材料ガス制御システムを示す模式的流体回路図及び機能ブロック図。
【図8】本発明のその他の実施形態における第2バルブの動作を示すグラフ。
【図9】従来の材料ガス制御システムの概要を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照して説明する。
【0027】
例えば、本実施形態の材料ガス制御装置100は、半導体製造装置の一種であるMOCVD成膜装置にTMIn(トリメチルインジウム)を一定の濃度そして流量で供給するために用いられるものである。より具体的には、TMInの固体材料を気化させて成膜室であるチャンバーに供給する材料気化装置200に用いられるものである。なお、TMInが請求項での材料に対応する。また、前記材料ガス制御装置100と前記材料気化装置200を組み合わせることにより材料ガス制御システム300が形成してある。
【0028】
図1の概要図に示すように前記材料気化装置200は、内部に気化させるための材料を収容するとともに周囲を恒温槽で囲まれたボトルTと、前記ボトルTにキャリアガスを導入するための導入管L1と、前記ボトルTから気化した材料ガスとキャリアガスの混合ガスを導出するための導出管L2とを備えたものである。この材料気化装置200に対して、各種構成部品及び制御機構を設けることにより前記材料ガス制御装置100を構成してある。
【0029】
より具体的には、前記材料ガス制御装置100は、図1に示すように前記導入管L1に設けたマスフローコントローラ3と、前記導出管L2に設けたピエゾバルブ1と、前記ボトルTから導出される混合ガス中の材料ガスの濃度を測定し、材料ガスの濃度を一定に保つように前記マスフローコントローラ3及び前記ピエゾバルブ1の制御を行うことにより、結果として前記材料ガスの流量を一定に保つガス濃度モニタ2とから構成してある。
【0030】
各部について説明すると、図2の詳細図に示すように前記マスフローコントローラ3は、例えばブロック状の基礎体に前記導入管L1の一部となる内部流路が形成されており、その内部流路上に前記導入管L1を流れるキャリアガスの流量を測定するための流量測定センサ31と、内部流路を通過する流体の流量を制御するための流量制御バルブ32(請求項での第2バルブに相当)と、が設けられており、さらに前記流量測定センサ31で測定されるキャリアガスの測定流量が、設定流量となるように前記流量制御バルブ32の開度を制御する流量制御バルブ開度制御部33とを備えたものである。なお、前記流量制御バルブ開度制御部33は、マスフローコントローラ3内に設けられたマイコン等によりその機能が実現されるものである。
【0031】
前記ピエゾバルブ1は、ピエゾ素子により微小な開度の調整が可能に構成されたものであり、後述するピエゾバルブ制御部24によりその開度が制御されるものである。
【0032】
前記ガス濃度モニタ2は、前記導出管L2での混合ガス中の材料ガスの濃度を測定するための濃度測定機構CSと、前記マスフローコントローラ3及び前記ピエゾバルブ1を制御して、前記材料ガスの流量を制御する流量制御部CCと、を備えたものである。
【0033】
前記濃度測定機構CSは、前記導出管L2上に設けられ、混合ガス中の材料ガスの分圧を測定する分圧センサ21と、前記ボトルT内の混合ガスの圧力である全圧を測定する圧力計22と、材料ガスの分圧Pと混合ガスの全圧Pに基づいて材料ガスの濃度を算出する濃度算出部23とから構成してある。前記分圧センサ21としては、NDIR(非分散式赤外線分析方式)に、FTIR(フーリエ変換赤外線分光方式)や、レーザ吸収分光方式などであってもかまわない。また、前記濃度算出部23は、濃度CがC=Pv/Ptの式に基づいて材料ガスの測定濃度を算出するものである。なお、前記濃度測定機構CSは、超音波式ガス濃度センサ等により単体で材料ガスの濃度を測定できるものであっても構わない。
【0034】
前記流量制御部CCは、前記濃度測定機構CSで測定される材料ガスの測定濃度が、設定濃度となるように前記ピエゾバルブ1の開度を制御するピエゾバルブ制御部24(請求項での第1バルブ制御部に相当)と、前記マスフローコントローラ3内の流量制御バルブ開度制御部33に対してキャリアガスの設定流量を設定するキャリアガス流量設定部25と、を備えたものである。なお、この流量制御部CCも例えばガス濃度モニタ2内のマイコン等によりその機能を実現されるものである。また、前記マスフローコントローラ3内の流量制御バルブ開度制御部33と流量制御部CC内の前記キャリアガス流量設定部25とが請求項での第2バルブ制御部に相当する。
【0035】
前記ピエゾバルブ制御部24は、材料ガスの測定濃度と設定濃度の偏差が小さくなる向きに前記ピエゾバルブ1の開度を制御するものである。より具体的には、C=P/Pの式から明らかなように、設定濃度が一定に設定されているとすると、材料ガスの発生量が低下して分圧Pの値が小さくなった場合、それに合わせて全圧Pの値も小さくする必要がある。すなわち、前記ピエゾバルブ制御部24は、測定濃度が設定濃度よりも低下(分圧Pが低下)した場合には、ボトルT内の全圧Pが低下するようにピエゾバルブ1の開度はより大きく制御するとともに、逆に測定濃度が設定濃度よりも上昇した場合には、ピエゾバルブ1の開度を小さくするように構成してある。また、前記設定濃度は、直接濃度設定がされてもよいが、本実施形態では、ユーザにより導出管L2内に流したい材料ガスの流量が入力されると、その材料ガス設定流量から設定濃度が換算されるようにしてある。具体的には、設定濃度をC、材料ガスの設定流量をQv0、キャリアガスの設定流量をQc0とした場合、C=Qv0/(Qc0+Qv0)から換算される。なお、後述するキャリアガス流量設定部25において、キャリアガスの設定流量が変更される度に、前記ピエゾバルブ制御部24に設定されている設定濃度Cもそれに合わせて設定しなおされるように構成されている。
【0036】
前記キャリアガス流量設定部25は、前記ピエゾバルブ1の開度が全開の開度から第1所定値だけ小さい開度である閾値開度になった場合に、前記流量制御バルブ開度制御部33の設定流量を前記ピエゾバルブ1の開度が閾値開度になった時点での変更前設定流量からα倍(α>1)だけ大きい変更後設定流量に設定するよう構成したものである。なお、第1所定値は、ゼロを含む概念であり、第1実施形態では、前記閾値開度が全開の開度である。また、前記キャリアガス流量設定部25は、前記ピエゾバルブ1の開度を、開度そのものを検出するようにしてもよいし、ピエゾバルブ1に入力されている指令値や電流値等に基づいてその開度を検出してもよい。
【0037】
このように構成された材料ガス制御装置100の材料ガスの流量制御動作について、図3のフローチャートを用いながら説明する。
【0038】
まず、前記マスフローコントローラ3に所定のキャリアガス設定流量Qv0が設定された後、キャリアガスの流量制御が開始され、キャリアガスの測定流量が設定流量に固定される。そして、前記ガス濃度モニタ2によって測定濃度が前述した一定値の設定濃度Cとなるように前記ピエゾバルブ1の開度が制御される(ステップS1)。キャリアガスの流量が一定であり、混合ガス中の材料ガスの濃度を一定とするように前記ピエゾバルブ1が制御されるので、その結果、材料ガス流量Qは濃度の関係式Q=CQ/(1−C)から明らかなように一定に制御される。ここで、初期設定時のキャリアガス設定流量Qc0は、前記流量制御バルブ32の全開の開度から十分に離れている小さな開度となるように設定してある。
【0039】
次に、ボトルT内の材料の減少に伴い、気化効率が低下するにつれて前記ピエゾバルブ1の開度が徐々に大きくなっていく(ステップS2)。前記ピエゾバルブ1の開度が閾値開度である全開の開度となった時点で(ステップS3)、前記キャリアガス流量設定部25が、前記流量制御バルブ開度制御部33に対してキャリアガスの設定流量をα倍に設定し直す(ステップS4)。ここで、キャリアガスの設定流量がα倍に設定し直されると、同時に、前記ピエゾバルブ制御部24に設定されている設定濃度C0も更新される。具体的には、材料ガス設定流量Qv0を一定に保つようにしているので、新しい設定濃度C’とすると、C’=Qv0/(Qv0+αQc0)が、キャリアガス設定流量Qc0を設定し直した後に前記ピエゾバルブ制御部24で使用される設定濃度となる。
【0040】
そして、前記キャリアガス流量設定部25は、所定時間内に測定流量が変更後の設定流量に一致した場合には(ステップS5)、前記流量制御バルブ32の開度は、結果として変更前開度から第2所定値だけ大きい変更後開度となりその状態が維持され、ステップS2へと戻る。所定時間経過しても測定流量が変更後の設定流量に一致しない場合には(ステップS5)、前記流量制御バルブ32が全開であり制御限界であると判断して、前記ガス濃度モニタ2による濃度制御を終了させる(ステップS6)。
【0041】
従って、一順の濃度制御に注目すると図4の流量制御バルブ32及びピエゾバルブ1の開度を示すグラフに示すように、混合ガス中における材料ガスの濃度を制御するピエゾバルブ1の開度は最初の全開の状態から略全閉して前記ボトルT内の全圧を上昇させ、その後気化効率の低下に合わせて全圧を低下させるために徐々に開度が大きくなり全開となる。一方、キャリアガスの流量は一定で保たれているので、前記流量制御バルブ32の開度も略一定の開度で保たれることになる。そして、前記ピエゾバルブ1の開度が全開となった時点で第2所定値だけ大きい開度になる。
【0042】
上述した動作を一周期として複数回繰り返されることになるので、図4に示されるように前記ピエゾバルブ1の開度は、概略正弦波状に変化することになり、前記流量制御バルブ32の開度は、階段状関数状に変化していくことになる。なお、後続の周期となるほど短くなっているのは、材料の残量が少なくなるほど材料の気化効率の低下量が大きくなるためである。
【0043】
このように前記ピエゾバルブ1が全開となるたびに、前記ボトルT内に流入するキャリアガスの流量が段階的に大きくなるように流量制御バルブ32が制御されているので、材料が減少し気化効率が低下したとしても加速度的にキャリアガスの流量を増加してしまうのを防ぐことができる。従って、材料が多量に余っているにも関わらず、材料ガスの濃度又は流量を所望の濃度又は流量にできないという制御不能状態にすぐに陥るのを防ぐことができ、長期間にわたって後続の工程へ設定濃度の材料ガスを供給する事が可能となる。
【0044】
次に、第2実施形態の材料ガス制御装置100について説明する。なお、第1実施形態の材料ガス制御装置100と対応する部材には同じ符号を付すこととする。
【0045】
第2実施形態の材料ガス制御装置100は、前記第1実施形態と異なり、図5の概要図に示すようにガス濃度モニタ2が、前記マスフローコントローラ3及びピエゾバルブ1の動作を制御するのではなく、別体の制御機構により一元的に制御されるようにしてある。すなわち、前記第1実施形態におけるガス濃度モニタ2は、濃度測定機構CSと、流量制御部CCの少なくとも2つの構成要素を有していたが、第2実施形態では濃度測定機構CSとしての機能のみを有し、前記流量制御部CCは制御装置4内においてその機能が実現される。
【0046】
前記制御装置4は例えば、I/O機器、CPU、メモリ、入力インターフェース等で構成される所謂コンピュータであり、少なくとも流量制御部CCとしての機能を発揮するように構成してある。
【0047】
より具体的に各部の連携について説明すると、図6の詳細図に示すように前記制御装置4は、前記マスフローコントローラ3にキャリアガスを一定の流量で流すように指令するとともに、前記ガス濃度モニタ2から混合ガス中の材料ガスの濃度である測定濃度を取得し、前記測定濃度が設定濃度となるように前記ピエゾバルブ1の開度を制御する。そして当該制御装置4は、前記ピエゾバルブ1の開度が全開になった際には、前記マスフローコントローラ3にキャリアガスの流量を所定量だけ増加させるように指令する。すると、材料が気化する量が増加するために、前記ピエゾバルブ1の開度は可動範囲内に戻り、再び濃度制御が可能な状態とすることができる。この動作を前記マスフローコントローラ3内の流量制御バルブ32の開度が全開となり、測定濃度を設定濃度に一致させることができなくなるまで繰り返す。
【0048】
このように、前記第1実施形態のように各部に制御部を設けてもよいし、第2実施形態のようにコンピュータ等により一元的に濃度及び流量制御が行われるように構成してもかまわない。
【0049】
次に第3実施形態の材料ガス制御装置100について説明する。第3実施形態についても第1実施形態の材料ガス制御装置100に対応する部材には同じ符号を付すこととする。
【0050】
第3実施形態では、材料ガス濃度のために逐次その開度を変化させていくバルブと、片方のバルブが閾値開度となるまでの間その開度が略固定されているバルブが、前記第1実施形態及び前記第2実施形態の材料ガス制御装置100とは逆になっている点が異なっている。その点以外は、マスフローコントローラ3、ガス濃度モニタ2、ピエゾバルブ1の配置は同じである。
【0051】
各部について説明すると、図7の詳細図に示すように前記マスフローコントローラ3は、前記導出管L2に設けられたガス濃度モニタ2から材料ガスの濃度の測定濃度を取得し、今流しているキャリアガスの流量と測定濃度とから材料ガスの流量を算出して、材料ガスの測定流量が予め定めた設定流量となるようにキャリガスの流量を制御するものである。より具体的には、マスフローコントローラ3は、材料ガスの測定流量が低下してくると、より多くの材料を気化させるためにキャリアガスの流量を増やすように内部の流量制御バルブ32(請求項での第2バルブに相当)の開度を大きくするように構成されている。
【0052】
前記ガス濃度モニタ2は、前記流量制御バルブ32の開度に関する情報を取得し、当該流量制御バルブ32が全開となった場合に、前記ピエゾバルブ1(請求項での第1バルブに相当)の開度を第2所定量だけ大きく変更するものである。すなわち、前記流量制御バルブ32の開度が全開となる度に、前記ピエゾバルブ1は前記ボトルT内の全圧を低下させるように動作することになる。混合ガスの全圧を低下させると、材料ガスの発生量が少なくなって材料ガスの分圧が低下したとしても、材料ガスの濃度に設定濃度に保つことができるようになるので、前記流量制御バルブ32の開度が全開から可動範囲内に戻ることになる。従って、再び材料ガスの濃度を設定濃度に保ちながら濃度制御を継続さえることができるようになり、材料が残っているにもかかわらず制御不能になる事態が早期に発生するのを防ぐことができる。また、この実施形態に関しても、既存の材料気化装置に設けられているバルブや濃度モニタ等を利用して実施しても構わない。具体的には、材料気化装置の導入管に第2バルブが設けられ、さらに、材料ガスの流量を測定する流量測定機構及び、測定された流量に基づいて前記第2バルブを制御する第2バルブ制御部が既にある場合には、新たに、導出管に第1バルブを設けるとともに、前記第2バルブの開度情報を取得して、閾値開度となった場合に、前記第1バルブの開度を所定量ずつ変更する第1バルブ制御部を設ければよい。
【0053】
その他の実施形態について説明する。前記マスフローコントローラ内の流量制御バルブの開度は、完全な階段関数状に変化するように制御される以外にも所定時間以内に、変更前開度と変更後開度との間に第2所定値だけ差が出るように制御されるものであればよい。すなわち、変更前開度と変更後開度の間において、適当な補完が行わるようにしてもよい。例えば、図8(a)に示すように前記第2バルブ制御部が、前記変更前開度から前記変更後開度となるまで前記第2バルブの開度が時間に対して略比例して大きくなるように制御するように構成されたものであればよい。また、開度の変化率を緩やかなものにして、速やかに所望の設定濃度で安定するようにするために、図8(b)に示すように各開度の間をS字補完されるようにしても構わない。
【0054】
また、前記実施形態では導出管に設けられたピエゾバルブの開度について閾値開度を全開の開度として設定し、ピエゾバルブが全開となったことをトリガーとして流量制御バルブの開度を段階的に変更していたが、閾値開度は全開の開度に限られるものではない。例えば、全開の開度から第1所定値だけ小さい開度を閾値開度として余裕を持たせても構わない。第1所定値としては、例えば、閾値開度がピエゾバルブの可動範囲における中央の開度から全開の開度の間にある開度となるように定めればよい。このようなものであれば、材料ガスがある気化効率の状態を十分に長い時間の間保ちながら濃度制御を行うことができるので、加速度的な気化効率の悪化を防ぐことができる。
【0055】
また、流量制御バルブの開度は、前記実施形態では毎回略同じ量だけ段階的に大きくなるように設定してあったが、例えば、変更前開度と変更後開度の差である前記第2所定値が、前記第1バルブが閾値開度となった回数に応じて変更されるものであっても構わない。より具体的には、図8(c)に示すように第1バルブが閾値開度と回数が多くなるほど、第2所定値が大きくなるようにしておき、気化効率の低下に合わせて十分な量の材料ガスが得られるようにしても構わない。
【0056】
また、前記第1バルブの具体的な実施の態様としてはピエゾバルブのみに限られるものではない。例えば、ソレノイドバルブ等のその他のバルブを用いても構わない。
【0057】
各実施形態の材料ガス制御装置については、前記導入管に前記マスフローコントローラではなく、単に流量制御バルブ(第2バルブ)のみが設けてあり、導出管に設けてある第1バルブの開度が全開の開度から第1所定値だけ小さい開度である閾値開度になった場合において、所定時間内に前記第2バルブの開度を、前記第1バルブの開度が閾値開度になった時点での変更前開度から第2所定値だけ大きい変更後開度となるように制御する第2バルブ制御部が前記ガス濃度モニタ、又は制御装置内に構成されていればよい。
【0058】
各実施形態の材料ガス制御装置は、材料が液体材料であっても同様の効果を奏し得る。また、本発明の材料ガス制御装置は、TMInの固体が気化した材料ガスの濃度制御に限られるものではない。例えば、CVD成膜装置等や、半導体製造プロセスに使用されるウエハ洗浄装置の乾燥処理槽内のIPA(イソプロピルアルコール)濃度を安定供給するために用いることもできる。加えて、半導体、FPD、光デバイス、MEMS等の製造プロセスに限らず、材料気化装置を用いたガス供給装置に用いることができる。
【0059】
また、既存の材料気化装置やそこに用いられているバルブ等を利用して本発明を実施しても構わない。例えば、材料気化装置に予め第2バルブが設けられている場合には、前記第1バルブ、前記濃度測定機構、前記第1バルブ制御部、前記第2バルブ制御部と、を備えた材料ガス制御装置を前記材料気化装置に追加して、材料ガス制御システムを構成しても構わない。また、濃度モニタや制御装置に対して前記第1バルブ制御部及び前記第2バルブ制御部としての機能を発揮する材料ガス制御プログラムをインストールして上述したような濃度又は流量制御が行われるようにしても構わない。また、そのようなプログラムをインストールするのは、ネットワークを介して行ってもよいし、例えば材料ガス制御プログラムを記録したCD等の記録媒体を介して行ってもよい。
【0060】
前記各実施形態では、濃度に基づいて材料ガスの流量制御を行っていたが、混合ガス中の材料ガスの濃度を測定する濃度測定機構を用いるのではなく、材料ガスの流量を直接測定する流量測定機構を用いて、材料ガス制御装置及び材料ガス制御システムを構成してもよい。例えば、前記導入管でのキャリアガス流量と、前記導出管での混合ガス流量とを測定し、それらの差分から材料ガス流量を測定するようにしても構わない。
【0061】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、様々な変形や実施形態の組み合わせを行っても構わない。
【符号の説明】
【0062】
300・・・材料ガス制御システム
200・・・材料気化装置
L1 ・・・導入管
L2 ・・・導出管
T ・・・ボトル(収容体)
100・・・材料ガス制御装置
1 ・・・ピエゾバルブ(第1バルブ)
CS ・・・濃度測定機構
24 ・・・ピエゾバルブ制御部(第1バルブ制御部又は第2バルブ制御部)
25 ・・・流量設定部
31 ・・・流量測定センサ
32 ・・・流量制御バルブ(第2バルブ)
33 ・・・開度制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料が収容される収容体と、前記材料を気化させるためのキャリアガスを前記収容体に導入する導入管と、前記収容体から前記キャリアガスと前記材料が気化した材料ガスの混合ガスを導出するための導出管とを少なくとも具備する材料気化装置に用いられる材料ガス制御装置であって、
前記材料ガス制御装置が、前記混合ガスにおける材料ガスの濃度を測定する濃度測定機構と、
前記導出管に設けられた第1バルブの開度を制御するものであり、前記濃度測定機構により測定される材料ガスの測定濃度が、設定濃度となるように前記第1バルブの開度を制御する第1バルブ制御部と、
前記導入管に設けられた第2バルブの開度を制御するものであり、前記第1バルブの開度が全開の開度から第1所定値だけ小さい開度である閾値開度になった場合において、所定時間内に前記第2バルブの開度を、前記第1バルブの開度が閾値開度になった時点での変更前開度から第2所定値だけ大きい変更後開度となるように制御する第2バルブ制御部と、を備えることを特徴とする材料ガス制御装置。
【請求項2】
前記第2バルブ制御部が、前記変更前開度から前記変更後開度となるまで前記第2バルブの開度が時間に対して略比例して大きくなるように当該第2バルブを制御するように構成された請求項1又は2記載の材料ガス制御装置。
【請求項3】
前記第2所定値が、前記第1バルブが閾値開度となった回数に応じて変更される請求項1記載の材料ガス制御装置。
【請求項4】
前記第2バルブ制御部が、前記導入管を流れるキャリアガスの流量を測定するための流量測定センサにより測定されるキャリアガスの測定流量が、設定流量となるように前記第2バルブの開度を制御する開度制御部と、前記設定流量を前記開度制御部に設定する流量設定部とを具備し、
前記流量設定部が、前記第1バルブの開度が前記閾値開度になった場合に、前記設定流量を、前記第1バルブの開度が閾値開度になった時点での変更前設定流量からα倍(α>1)だけ大きい変更後設定流量を前記開度制御部に設定するよう構成された請求項1、2又は3記載の材料ガス制御装置。
【請求項5】
材料が収容される収容体と、前記材料を気化させるためのキャリアガスを前記収容体に導入する導入管と、前記収容体から前記キャリアガスと前記材料が気化した材料ガスの混合ガスを導出するための導出管とを少なくとも具備する材料気化装置に用いられる材料ガス制御装置であって、
前記材料ガス制御装置が、前記混合ガスにおける材料ガスの濃度を測定する濃度測定機構と、
前記導出管に設けられた第1バルブと、
前記濃度測定機構により測定される材料ガスの測定濃度が、設定濃度となるように前記第1バルブの開度を制御する第1バルブ制御部と、
前記導入管に設けられた第2バルブの開度を制御するものであり、前記第1バルブの開度が全開の開度から第1所定値だけ小さい開度である閾値開度になった場合において、所定時間内に前記第2バルブの開度を、前記第1バルブの開度が閾値開度になった時点での変更前開度から第2所定値だけ大きい変更後開度となるように制御する第2バルブ制御部と、を備えることを特徴とする材料ガス制御装置。
【請求項6】
材料が収容される収容体と、前記材料を気化させるためのキャリアガスを前記収容体に導入する導入管と、前記収容体から前記キャリアガスと前記材料が気化した材料ガスの混合ガスを導出するための導出管とを少なくとも具備する材料気化装置に用いられる材料ガス制御装置を用いた材料ガス制御方法であって、
前記材料ガス制御装置が、少なくとも前記混合ガスにおける材料ガスの濃度を測定する濃度測定機構を具備し、
前記材料ガス制御方法が、前記導出管に設けられた第1バルブの開度を制御するステップであり、前記濃度測定機構により測定される材料ガスの測定濃度が、設定濃度となるように前記第1バルブの開度を制御する第1バルブ制御ステップと、
前記導入管に設けられた第2バルブの開度を制御するステップであり、前記第1バルブの開度が全開の開度から第1所定値だけ小さい開度である閾値開度になった場合において、所定時間内に前記第2バルブの開度を、前記第1バルブの開度が閾値開度になった時点での変更前開度から第2所定値だけ大きい変更後開度となるように制御する第2バルブ制御ステップと、を備えることを特徴とする材料ガス制御方法。
【請求項7】
材料が収容される収容体と、前記材料を気化させるためのキャリアガスを前記収容体に導入する導入管と、前記収容体から前記キャリアガスと前記材料が気化した材料ガスの混合ガスを導出するための導出管とを少なくとも具備する材料気化装置に用いられる材料ガス制御装置を制御するための材料ガス制御プログラムであって、
前記材料ガス制御装置が、少なくとも前記混合ガスにおける材料ガスの濃度を測定する濃度測定機構を具備し、
材料ガス制御プログラムが、前記導出管に設けられた第1バルブの開度を制御するものであり、前記濃度測定機構により測定される材料ガスの測定濃度が、設定濃度となるように前記第1バルブの開度を制御する第1バルブ制御部と、
前記導入管に設けられた第2バルブの開度を制御するものであり、前記第1バルブの開度が全開の開度から第1所定値だけ小さい開度である閾値開度になった場合において、所定時間内に前記第2バルブの開度を、前記第1バルブの開度が閾値開度になった時点での変更前開度から第2所定値だけ大きい変更後開度となるように制御する第2バルブ制御部と、を備えたことを特徴とする材料ガス制御プログラム。
【請求項8】
材料が収容される収容体と、
前記材料を気化させるためのキャリアガスを前記収容体に導入する導入管と、
前記収容体から前記キャリアガスと前記材料が気化した材料ガスの混合ガスを導出するための導出管と、
前記導出管に設けられた第1バルブと、
前記混合ガスにおける材料ガスの濃度を測定する濃度測定機構と、
前記濃度測定機構により測定される材料ガスの測定濃度が、予め設定された設定濃度となるように前記第1バルブの開度を制御する第1バルブ制御部と、
前記導入管に設けられた第2バルブと、
前記第1バルブの開度が全開の開度から第1所定値だけ小さい開度である閾値開度になった場合において、所定時間内に前記第2バルブの開度を、前記第1バルブの開度が閾値開度になった時点での変更前開度から第2所定値だけ大きい変更後開度となるように制御する第2バルブ制御部と、を備えたことを特徴とする材料ガス制御システム。
【請求項9】
材料が収容される収容体と、前記材料を気化させるためのキャリアガスを前記収容体に導入する導入管と、前記収容体から前記キャリアガスと前記材料が気化した材料ガスの混合ガスを導出するための導出管とを少なくとも具備する材料気化装置に用いられる材料ガス制御装置であって、
材料ガス制御装置が、前記混合ガスにおける材料ガスの流量を測定する流量測定機構と、
前記導入管に設けられた第2バルブの開度を制御するものであり、前記流量測定機構により測定される材料ガスの測定流量が、予め設定された設定流量となるように前記第2バルブの開度を制御する第2バルブ制御部と、
前記導出管に設けられた第1バルブの開度を制御するものであり、前記第2バルブの開度が全開の開度から第1所定値だけ小さい開度である閾値開度になった場合において、所定時間内に前記第1バルブの開度を、前記第2バルブの開度が閾値開度になった時点での変更前開度から第2所定値だけ大きい変更後開度となるように制御する第1バルブ制御部と、を備えたことを特徴とする材料ガス制御装置。
【請求項10】
材料が収容される収容体と、前記材料を気化させるためのキャリアガスを前記収容体に導入する導入管と、前記収容体から前記キャリアガスと前記材料が気化した材料ガスの混合ガスを導出するための導出管と、前記混合ガスにおける材料ガスの流量を測定する流量測定機構と、前記導入管に設けられた第2バルブの開度を制御するものであり、前記流量測定機構により測定される材料ガスの測定流量が、予め設定された設定流量となるように前記第2バルブの開度を制御する第2バルブ制御部と、を少なくとも具備する材料気化装置に用いられる材料ガス制御装置であって、
材料ガス制御装置が、前記導出管に設けられた第1バルブの開度を制御するものであり、前記第2バルブの開度が全開の開度から第1所定値だけ小さい開度である閾値開度になった場合において、所定時間内に前記第1バルブの開度を、前記第2バルブの開度が閾値開度になった時点での変更前開度から第2所定値だけ大きい変更後開度となるように制御する第1バルブ制御部と、を備えたことを特徴とする材料ガス制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−142355(P2012−142355A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−292537(P2010−292537)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000127961)株式会社堀場エステック (88)
【Fターム(参考)】