説明

材料ガス濃度制御システム

【課題】キャリアガスの流量に比べて収容室の容積が大きい場合のように、収容室の圧力が上昇又は低下しにくい場合であっても、濃度を低下又は上昇させるときの制御応答を向上できる材料ガス濃度制御システムを提供する。
【解決手段】収容室10にキャリアガスを導入する導入管20に流量制御器50を設け、材料ガス及びキャリアガスからなる混合ガスを導出する導出管30に濃度制御器40を設け、流量制御器50が、測定計46で測定した測定濃度示唆値と設定値との偏差の絶対値が所定値以下である第1状態においては、流量計51で測定した測定流量が予め定められた基準値となるように、第2調整バルブ52の開度を調整する一方、偏差の絶対値が所定値よりも大きく、測定濃度示唆値が設定値よりも大きい第2状態においては、測定流量が基準値よりも増加するように第2調整バルブ52の開度を調整する第2バルブ制御部54を具備するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば半導体製造プロセスにおいて、材料ガスを供給する材料ガス制御システムに関し、より詳しくは、液体又は固体の材料に対してキャリアガスを導入し、当該材料を気化させて材料ガスとし、前記材料ガス及び前記キャリアガスからなる混合ガスを供給する材料ガス濃度制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の材料ガス濃度制御システムには、特許文献1に示すように、前記混合ガス中の材料ガスの濃度を測定し、その測定濃度が予め定められた設定値となるように、材料を収容する収容室内の圧力を制御するようにしたものがある。
【0003】
具体的には、前記収容室から混合ガスを導出する導出管に、調整バルブを設け、材料ガスの濃度を上げる場合には、前記導出管の調整バルブを開けて、収容室から導出される混合ガスの流量を増やし、収容室の圧力を下げるようにしてある。一方、材料ガスの濃度を下げる場合には、前記導出管の調整バルブを閉じて、収容室から導出される混合ガスの流量を減らすとともに、収容室に導入されるキャリアガスを収容室に溜めて、収容室の圧力を上げるようにしてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−109305号公報
【特許文献2】特開平11−131237号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、キャリアガスの流量に比べて、収容室の容積、特に収容室の気相空間の容積が大きい場合、濃度を下げるときには、収容室にキャリアガスを溜めて、収容室の圧力を上げるまでに時間がかかってしまうため、制御応答が悪いという問題がある。同様に、収容室の圧力が下がりにくい場合に、濃度を上げるときの制御応答が悪いという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決すべく図ったものであり、キャリアガスの流量に比べて、収容室の容積が大きい場合のように、収容室の圧力が上がりにくい場合であっても、材料ガスの濃度を速く低下させることができ、濃度を下げるときの制御応答を向上できたり、収容室の圧力が下がりにくい場合であっても、材料ガスの濃度を速く上昇させることができ、濃度を上げるときの制御応答を向上できたりする材料ガス濃度制御システムを提供することをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明に係る材料ガス制御システムは、材料を収容する収容室と、前記収容室に一端が開口して、前記収容室にキャリアガスを導入する導入管と、前記収容室に一端が開口して、前記収容室から前記材料が気化した材料ガス及び前記キャリアガスからなる混合ガスを導出する導出管と、前記導出管に設けられた第1調整バルブと、前記導出管を流通する前記混合ガス中の前記材料ガスの濃度を直接的又は間接的に示す値である濃度示唆値を測定する測定計と、前記測定計で測定した測定濃度示唆値が、予め定められた設定値となるように、前記第1調整バルブの開度を調整する第1バルブ制御部と、前記導入管に設けられた第2調整バルブと、前記導入管を流通するキャリアガスの流量又は前記導出管を流通する混合ガスの流量を測定する流量計と、前記測定濃度示唆値と前記設定値との偏差の絶対値が所定値以下である第1状態においては、前記流量計で測定した測定流量が、予め定められた基準値となるように、前記第2調整バルブの開度を調整する一方、前記偏差の絶対値が所定値よりも大きく、前記測定濃度示唆値が前記設定値よりも大きい第2状態においては、前記測定流量が前記基準値よりも増加するように、前記第2調整バルブの開度を調整する第2バルブ制御部とを具備することを特徴とするものである。
【0008】
なお、基準値とは、キャリアガス又は混合ガスの流量について直接定めたものだけでなく、キャリアガス、材料ガス、又は混合ガスの設定流量を予め定めておき、その設定流量に基づいて算出したキャリアガス又は混合ガスの流量を含む。
【0009】
このようなものであれば、第2バルブ制御部が、前記測定濃度示唆値と前記設定値との偏差の絶対値が所定値以下である第1状態においては、前記流量計で測定した測定流量が、予め定められた基準値となるように、前記第2調整バルブの開度を調整する一方、前記偏差の絶対値が所定値よりも大きく、前記測定濃度示唆値が前記設定値よりも大きい第2状態においては、前記測定流量が前記基準値よりも増加するように、前記第2調整バルブの開度を調整するので、第1状態において収容室に導入されるキャリアガスの流量よりも、第2状態において収容室に導入されるキャリアガスの流量を増やすことができ、材料ガスの濃度を下げたい場合に、前記収容室の圧力を速く上げて、材料ガスの濃度を速く下げることができ、濃度を下げるときの制御応答を向上させることができる。さらに、材料ガスの濃度が低下して設定濃度に達すれば、第2バルブ制御部が第1状態であると判断して、前記キャリアガスの流量を基準値に戻すことができ、材料ガスの流量や混合ガスの流量を所望の流量に保つことも可能である。
【0010】
材料ガスの濃度を上げるときの制御応答を向上させるものとしては、材料を収容する収容室と、前記収容室に一端が開口して、前記収容室にキャリアガスを導入する導入管と、前記収容室に一端が開口して、前記収容室から前記材料が気化した材料ガス及び前記キャリアガスからなる混合ガスを導出する導出管と、前記導出管に設けられた第1調整バルブと、前記導出管を流通する前記混合ガス中の前記材料ガスの濃度を直接的又は間接的に示す値である濃度示唆値を測定する測定計と、前記測定計で測定した測定濃度示唆値が、予め定められた設定値となるように、前記第1調整バルブの開度を調整する第1バルブ制御部と、前記導入管に設けられた第2調整バルブと、前記導入管を流通するキャリアガスの流量又は前記導出管を流通する混合ガスの流量を測定する流量計と、前記測定濃度示唆値と前記設定値との偏差の絶対値が所定値以下である第1状態においては、前記流量計で測定した測定流量が、予め定められた基準値となるように、前記第2調整バルブの開度を調整する一方、前記偏差の絶対値が所定値よりも大きく、前記測定濃度示唆値が前記設定値よりも小さい第3状態においては、前記測定流量が前記基準値よりも減少するように、前記第2調整バルブの開度を調整する第2バルブ制御部とを具備することを特徴とするものが望ましい。
【0011】
材料ガスの濃度が設定濃度よりも高い状態であるというだけでなく、圧力が上がりにくい状態である場合に、前記収容室に導入されるキャリアガスの流量を増やすためには、前記第2バルブ制御部が、前記第2状態において、例えば材料ガスの濃度や収容室の圧力といった、このシステムの状態を示し、材料ガスの濃度変化時に増減する状態量の時間変化量の絶対値が所定値以下である場合に、前記測定流量が前記基準値よりも増加するように、前記第2調整バルブの開度を調整するものが望ましい。
【0012】
増加されるキャリアガスの流量を適切に定めるためには、前記第2バルブ制御部が、前記第2状態においては、前記測定流量が前記基準値よりも大きい暫定値となるように、前記第2調整バルブの開度を調整し、前記暫定値が、前記状態量の時間変化量を用いて算出されるものが望ましい。このようなものであれば、材料ガスの濃度が下がるまでに時間が掛かりすぎたり、逆に材料ガスの濃度が低下しすぎたりすることを防止することができる。
【0013】
この材料ガス制御システムに用いられて、前記キャリアガスの流量を制御する流量制御器もまた、本発明の1つである。すなわち、本発明に係る流量制御器は、前記導入管に設けられた第2調整バルブと、前記導入管を流通するキャリアガスの流量又は前記導出管を流通する混合ガスの流量を測定する流量計と、前記測定濃度示唆値と前記設定値との偏差の絶対値が所定値以下である第1状態においては、前記流量計で測定した測定流量が、予め定められた基準値となるように、前記第2調整バルブの開度を調整する一方、前記偏差の絶対値が所定値よりも大きく、前記測定濃度示唆値が前記設定値よりも大きい第2状態においては、前記測定流量が前記基準値よりも増加するように、前記第2調整バルブの開度を調整する第2バルブ制御部とを具備することを特徴とするものである。また、前記流量制御器が、前記第1調整バルブと、前記測定計と、前記第1バルブ制御部とを具備するものであってもよい。
【0014】
また、この材料ガス濃度制御システムに用いられて、前記材料ガスの濃度を制御する濃度制御器もまた、本発明の1つである。すなわち、本発明に係る濃度制御器は、前記導出管に設けられた第1調整バルブと、前記導出管を流通する前記混合ガス中の前記材料ガスの濃度を直接的又は間接的に示す値である濃度示唆値を測定する測定計と、前記測定計で測定した測定濃度示唆値が、予め定められた設定値となるように、前記第1調整バルブの開度を調整する第1バルブ制御部と、前記測定濃度示唆値と前記設定値との偏差の絶対値が所定値以下である第1状態においては、前記流量計で測定した測定流量が、予め定められた基準値となるように、前記第2調整バルブの開度を調整する一方、前記偏差の絶対値が所定値よりも大きく、前記測定濃度示唆値が前記設定値よりも大きい第2状態においては、前記測定流量が前記基準値よりも増加するように、前記第2調整バルブの開度を調整する第2バルブ制御部とを具備することを特徴とするものである。
【0015】
この材料ガス濃度制御システムの制御方法もまた、本発明の1つである。すなわち、本発明に係る材料ガス濃度制御方法は、材料を収容する収容室と、前記収容室に一端が開口して、前記収容室にキャリアガスを導入する導入管と、前記収容室に一端が開口して、前記収容室から前記材料が気化した材料ガス及び前記キャリアガスからなる混合ガスを導出する導出管と、前記導出管に設けられた第1調整バルブと、前記導入管に設けられた第2調整バルブとを具備する材料ガス濃度制御システムの制御方法であって、前記導出管を流通する前記混合ガス中の前記材料ガスの濃度を直接的又は間接的に示す値である濃度示唆値を測定する濃度測定ステップと、前記濃度測定ステップで測定した測定濃度示唆値が、予め定められた設定値となるように、前記第1調整バルブの開度を調整する第1バルブ制御ステップと、前記導入管を流通するキャリアガスの流量又は前記導出管を流通する混合ガスの流量を測定する流量測定ステップと、前記測定濃度示唆値と前記設定値との偏差の絶対値が所定値以下である第1状態においては、前記流量測定ステップで測定した測定流量が、予め定められた基準値となるように、前記第2調整バルブの開度を調整する第1状態制御ステップと、前記偏差の絶対値が所定値よりも大きく、前記測定濃度示唆値が前記設定値よりも大きい第2状態においては、前記測定流量が前記基準値よりも増加するように、前記第2調整バルブの開度を調整する第2状態制御ステップとを具備することを特徴とするものである。
【0016】
この材料ガス濃度制御システムに用いられるプログラムもまた、本発明の1つである。すなわち、本発明に係るプログラムは、前記測定濃度示唆値と前記設定値との偏差の絶対値が所定値以下である第1状態においては、前記流量計で測定した測定流量が、予め定められた基準値となるように、前記第2調整バルブの開度を調整する一方、前記偏差の絶対値が所定値よりも大きく、前記測定濃度示唆値が前記設定値よりも大きい第2状態においては、前記測定流量が前記基準値よりも増加するように、前記第2調整バルブの開度を調整する第2バルブ制御部としての機能をコンピュータに発揮させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
従って、本発明によれば、キャリアガスの流量に比べて、収容室の容積が大きい場合のように、収容室の圧力が上がりにくい場合であっても、材料ガスの濃度を速く低下させることができ、濃度を下げるときの制御応答を向上できる。また、収容室の圧力が下がりにくい場合であっても、材料ガスの濃度を速く上昇させることができ、濃度を上げるときの制御応答を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態における材料ガス濃度制御システムの模式的機器構成図。
【図2】同実施形態における材料ガス濃度制御システムの濃度制御器の動作手順を示すフローチャート。
【図3】同実施形態における材料ガス濃度制御システムの流量制御器の動作手順を示すフローチャート。
【図4】同実施形態における材料ガス濃度制御システムの制御状態を示すグラフ。
【図5】他の実施形態における材料ガス濃度制御システムの流量制御器の動作手順を示すフローチャート。
【図6】さらに他の実施形態における材料ガス濃度制御システムの模式的機器構成図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態に係る材料ガス濃度制御システム100について、図面を参照して説明する。本実施形態に係る材料ガス濃度制御システム100は、例えば半導体製造装置の一部を構成して、ウェハ洗浄装置の乾燥処理室に材料ガスを供給するものであり、より詳しくは、液体の材料M(以下、材料液ともいう)であるIPA(イソプロピルアルコール)に対してキャリアガスであるNを導入し、当該材料液Mを気化させて材料ガスとし、前記材料ガス及び前記キャリアガスからなる混合ガスを供給するものである。
【0020】
図1に示すように、前記材料ガス濃度制御システム100は、材料液Mを収容する収容室10と、前記収容室10内の液相空間に一端が開口して、前記収容室10にキャリアガスを導入する導入管20と、前記収容室10内の気相空間に一端が開口して、前記収容室10から前記材料液Mが気化した材料ガス及び前記キャリアガスからなる混合ガスを導出する導出管30と、前記収容室10内の温度を測定する温度計60と、前記収容室10を所定温度に保つ恒温槽61とを具備している。前記導入管20の他端はキャリアガス供給機構(図示しない)に接続してあり、前記導出管30の他端は前記ウェハ洗浄装置の乾燥処理室(図示しない)に接続してある。さらに、前記導出管30には濃度制御器40が設けられ、前記導入管20には流量制御器50が設けてある。
【0021】
前記濃度制御器40は、前記収容室10から導出される混合ガス中の材料ガスの濃度を制御するものであり、ここではVCC(ガス濃度コントローラ)である。濃度制御器40は、前記導出管30を流通する材料ガスの濃度を測定する濃度計41(請求項でいう測定計に相当する)と、前記導出管30における前記濃度計41よりも下流側に設けられ、開度を調整して前記収容室10の圧力を調整し、前記収容室10から導出される混合ガスの濃度を調整する第1調整バルブ42と、前記濃度計41から測定濃度を受け付けて、前記第1調整バルブ42に開度制御信号を出力するVCC本体43とを具備する。
【0022】
前記濃度計41は、前記収容室10内の材料ガスの分圧を測定する分圧計44と、前記収容室10内の圧力(全圧)を測定する圧力計45とを具備する。前記濃度計41は前記分圧計44で測定した測定分圧と、前記圧力計45で測定した測定圧力とを用いて、材料ガスの濃度を式(1)によって算出する。
C=Pz/Pt ・・・(1)
但し、Cは材料ガスの濃度、Pzは材料ガスの分圧、Ptは収容室10の圧力である。
【0023】
VCC本体43は汎用又は専用のコンピュータであり、メモリに所定のプログラムを格納し、当該プログラムに従ってCPUやその周辺機器を協働動作させることによって、第1バルブ制御部46としての機能を発揮する。第1バルブ制御部46は、前記濃度計41で測定した測定濃度が、予め定められた設定濃度となるように、前記第1調整バルブ42の開度を調整するものである。
【0024】
前記流量制御器50は、前記収容室10に導入されるキャリアガスの流量を制御するものであり、ここではMFC(マスフローコントローラ)である。流量制御器50は、大きくは、前記導入管20を流通するキャリアガスの流量を測定する流量計51と、前記導入管20における前記流量計51よりも下流側に設けられ、開度を調整して前記収容室10に導入されるキャリアガスの流量を調整する第2調整バルブ52と、前記流量計51から測定流量を受け付けて、前記第2調整バルブ52に開度制御信号を出力するMFC本体53とを具備する。
【0025】
MFC本体53は、汎用又は専用のコンピュータであり、メモリに所定のプログラムを格納し、当該プログラムに従ってCPUやその周辺機器を協働動作させることによって、第2バルブ制御部54及び流量設定部55としての機能を発揮する。第2バルブ制御部54は、前記流量計51で測定した測定流量が、設定流量となるように、前記第2調整バルブ52の開度を調整するものである。流量設定部55は、材料ガスの濃度の制御状態を判別し、その制御状態に応じた設定流量を算出して、前記第2バルブ制御部54に出力するものである。
【0026】
次に、前記材料ガス濃度制御システム100の動作手順について説明する。まず、図2のフローチャートを参照して、濃度制御器40の動作手順について説明する。はじめに、第1バルブ制御部46は、設定濃度を受け付け(ステップS1)、一定周期で(ステップS2)、分圧計44で測定した測定分圧を受け付け、式(2)によって目標圧力を算出する(ステップS3)。
Pt=Pz/C ・・・(2)
但し、Cは材料ガスの濃度、Pzは材料ガスの分圧、Ptは収容室10の全圧である。
【0027】
次に、第1バルブ制御部46は、前記圧力計45で測定された測定圧力を受け付け、その測定圧力と前記目標圧力とを比較する(ステップS4)。測定圧力が目標圧力よりも大きければ、測定圧力及び目標圧力の偏差に応じて、前記第1調整バルブ42を更に開ける開度制御信号を出力し(ステップS5)、収容室10の圧力を上げ、材料ガスの濃度を下げる。測定圧力が目標圧力以下であれば、測定圧力及び目標圧力の偏差に応じて、前記第1調整バルブ42を更に閉める開度制御信号を出力して(ステップS6)、収容室10の圧力を下げ、材料ガスの濃度を上げる。
【0028】
なお、濃度制御開始から所定時間経過するまでの間において、第1バルブ制御部46は、温度計60で測定された測定温度を受け付け、その測定温度に基づいて材料ガスの飽和蒸気圧を算出し、その飽和蒸気圧を、ステップS3における材料ガスの測定分圧として用いるようにすることもできる。
【0029】
上述した濃度制御器40の材料ガス濃度制御フローと並行して、流量制御器50のキャリアガス流量制御フローが進行する。図3のフローチャートに示すように、まず、前記流量設定部55が、予め定められた基準値と、入力又は変更された設定濃度とを受け付け、格納する(ステップS11)。流量設定部55は、一定周期で(ステップS12)、前記濃度計41で測定した測定濃度から設定濃度を差し引いた偏差を算出する(ステップS13)。前記偏差の絶対値が所定値(ここでは濃度制御器40のフルスケールの1%)以下であれば、材料ガスの濃度が設定濃度に略一致する第1状態であると判断し(ステップS14)、前記流量設定部55が、前記基準値を、設定流量として第2バルブ制御部54に出力する(ステップS15)。なお、この実施形態においては、ステップS14において、前記偏差の絶対値が所定値よりも大きい場合であっても、前記測定濃度が設定濃度よりも小さければ、ステップS15に進むようにしてある。
【0030】
次に、第2バルブ制御部54は、前記流量計51で測定された測定流量を受け付け、その測定流量と前記設定流量とを比較する(ステップS19)。測定流量が設定流量よりも大きければ、測定流量及び設定流量の偏差に応じて、前記第2調整バルブ52を更に開ける開度制御信号を出力し(ステップS20)、前記収容室10に導入されるキャリアガスの流量を増やす。測定流量が設定流量以下であれば、測定流量及び設定流量の偏差に応じて、前記第2調整バルブ52を更に閉める開度制御信号を出力して(ステップS21)、前記収容室10に導入されるキャリアガスの流量を減らす。
【0031】
前記偏差の絶対値が所定値を超えており、測定濃度が設定濃度よりも大きければ、材料ガスの濃度が設定濃度よりも所定値以上高い第2状態であると判断し、前記測定濃度から前記測定濃度の時間変化量を算出する(ステップS16)。次に、流量設定部55は、測定濃度の時間変化量が所定値以下(ここでは−0.1以下)であれば、材料ガスの濃度が低下する速度が速いと判断し(ステップS17)、前記基準値を、設定流量として第2バルブ制御部54に出力する(ステップS15)。第2バルブ制御部54は、ステップS19〜21と同様に、前記測定流量が前記基準値となるように、前記第2調整バルブ52の開度を調整する。
【0032】
測定濃度の時間変化量が所定値よりも大きければ、材料ガスの濃度が低下する速度が遅いと判断し、基準値の所定倍(ここでは2倍)の値を、前記基準値よりも大きい値である暫定値として算出し、その暫定値を設定流量として第2バルブ制御部54に出力する(ステップS18)。従って、第2バルブ制御部54は、前記測定流量が前記暫定値となるように、前記第2調整バルブ52の開度を調整する(ステップS19〜21)。
【0033】
本実施形態に係る材料ガス濃度制御システム100を用いて材料ガス濃度を制御した一例を、図4に示す。ある時点において、設定濃度が下げられ、測定濃度が設定濃度よりも所定値以上高くなっているが、従来装置においては、キャリアガスの設定流量は一定なので、材料ガスの濃度が低下する速度が遅く、設定濃度に達するまでの時間tが長い。これに対し、本実施形態では、設定濃度を下げ、測定濃度が設定濃度よりも所定値以上高くなった場合、キャリアガスの設定流量を増やすようにしてあるので、材料ガスの濃度が設定濃度に達するまでの時間tがより短くなり、濃度を下げるときの制御応答が向上していることが分かる。
【0034】
このようなものであれば、第2バルブ制御部54が、前記測定濃度と前記設定濃度との偏差の絶対値が所定値以下である第1状態においては、測定流量が、予め定められた基準値となるように、前記第2調整バルブ52の開度を調整する一方、前記偏差の絶対値が所定値よりも大きく、前記測定濃度が前記設定濃度よりも大きい以上である第2状態においては、前記測定流量が前記基準値よりも増加するように、前記第2調整バルブ52の開度を調整するので、第1状態において収容室10に導入されるキャリアガスの流量よりも、第2状態において収容室10に導入されるキャリアガスの流量を増やすことができ、材料ガスの濃度を下げたい場合に、前記収容室10の圧力を速く上げて、材料ガスの濃度を速く下げることができ、濃度を下げるときの制御応答を向上させることができる。さらに、材料ガスの濃度が低下して設定濃度に達すれば、第2バルブ制御部54が第1状態であると判断して、前記キャリアガスの流量を基準値に戻すことができ、材料ガスの流量や混合ガスの流量を所望の流量に保つことも可能である。
【0035】
また、システム全体を交換することなく、従来の材料ガス濃度制御システム100の前記導入管20に、前記流量制御器50を取り付けるだけで、濃度を下げる制御の応答速度を向上させることができ、コストを抑えることができる。
【0036】
なお、本発明はこれらの実施形態に限られるものではない。例えば、前記第2状態において、流量算出部が、前記暫定値を、その時点での設定濃度から算出するものとしたが、前記収容室の容積、前記キャリアガスの基準値、前記材料ガスの測定濃度の時間変化量、又は測定濃度と設定濃度との偏差等を用いて、前記暫定値を算出し、設定流量として第2バルブ制御部に出力するようにしてもよい。
【0037】
前記材料ガスの測定濃度の時間変化量を用いて、暫定値を算出する一例について説明する。図5のフローチャートに示すように、まず、前記流量設定部55が、予め定められた基準値を受け付け、設定流量として第2バルブ制御部54に出力する(ステップS31)。また、前記流量設定部55は、入力又は変更された設定濃度を受け付け、格納する(ステップS32)。流量設定部55は、一定周期で(ステップS33)、前記濃度計41で測定した測定濃度から設定濃度を差し引いた偏差を算出する(ステップS34)。前記偏差の絶対値が所定値以下であれば、材料ガスの濃度が設定濃度に略一致する第1状態であると判断し(ステップS35)、前記流量設定部55が、前記基準値を設定流量として第2バルブ制御部54に出力する(ステップS36)。従って、第2バルブ制御部54は、前記測定流量が前記基準値となるように、前記第2調整バルブ52の開度を調整する(ステップS40〜42)。なお、この実施形態においては、ステップS35において、前記偏差の絶対値が所定値よりも大きい場合であっても、前記測定濃度が設定濃度よりも小さければ、ステップS36に進むようにしてある。
【0038】
前記偏差の絶対値が所定値を超えており、測定濃度が設定濃度よりも大きければ、材料ガスの濃度が設定濃度よりも所定値以上高い第2状態であると判断し、前記測定濃度から前記測定濃度の時間変化量を算出する(ステップS37)。次に、流量設定部55は、測定濃度の時間変化量が所定値以下であれば、材料ガスの濃度が低下する速度が速いと判断し(ステップS38)、設定流量を変更せず、その時点での設定流量で流量制御を行う(ステップS40〜42)。
【0039】
測定濃度の時間変化量が所定値よりも大きければ、材料ガスの濃度が低下する速度が遅いと判断し、その時点での設定流量の所定倍の値を暫定値として算出し、その暫定値を設定流量として第2バルブ制御部54に出力する(ステップS39)。従って、第2バルブ制御部54は、前記測定流量が前記暫定値となるように、前記第2調整バルブ52の開度を調整する(ステップS40〜42)。なお、ステップS41、42の後はステップS33以降のフローを再び繰り返す。
【0040】
このようなものであれば、前記流量設定部55が、前記第2状態において、前記時間変化量が所定条件を満たし続ける場合には、設定流量をその時点での設定流量の所定倍として算出する処理を繰り返し、設定流量を指数関数的に増加させ続けるとともに、前記時間変化量が所定条件を満たさなくなった場合には、その時点での設定流量を維持し、第1状態に達するまで制御を続けるので、材料ガスの濃度を低下させたいが、材料ガスの濃度が低下する速度が遅い場合には、設定流量を増やし続けることができ、材料ガスの濃度が設定濃度に達するまでの時間をより効果的に短縮することができ、応答速度を更に向上できる。また、適切な暫定値を予め算出しておく必要がなく、算出の手間を省くことができる。
【0041】
加えて言えば、前記第2状態に、前記測定流量が前記基準値よりも大きい暫定値となるように、第2バルブ制御部が前記第2調整バルブの開度を調整するのではなく、前記第2状態に、前記第2バルブ制御部が前記第2調整バルブを全開にするようにしてもよい。
【0042】
加えて言えば、本実施形態では、材料ガス濃度を直接的又は間接的に示す値である濃度示唆値、及び濃度変化時に増減する状態量として、材料ガスの濃度を用いたが、前記濃度示唆値及び前記状態量の両方又はいずれか一方に、前記収容室の圧力等を用いてもよい。前述の式(1)に示すように、材料ガスの濃度を低下させるためには、前記収容室の圧力を上げることを考慮すると、例えば測定圧力から設定値を差し引いた偏差が所定値よりも小さい場合に、材料ガスの濃度が設定濃度よりも高い第2状態であると判断すればよい。また、測定圧力から算出した時間変化量が所定値よりも小さい場合に、濃度が低下する速度が遅いと判断すればよい。
【0043】
また、材料ガスの濃度が低下する速度が速いかどうかを判断するために、前記状態量の時間変化量を用いたが、当該時間変化量の絶対値を用いるようにしてもよい。例えば、濃度変化時に増減する状態量の時間変化量の絶対値が所定値以下であれば、材料ガスの濃度が低下する速度が遅いと判断して、前記収容室に導入されるキャリアガスの流量を増やすようにすればよい。
【0044】
また、キャリアガスの基準値には、キャリアガスの流量について直接定めたものだけでなく、材料ガスの設定流量や混合ガスの設定流量を予め定めておき、それらの設定流量に基づいて算出したキャリアガスの流量を含む。従って、例えば、前記濃度制御器が材料ガスの濃度を制御するだけでなく、前記流量制御器が材料ガスの流量を制御するタイプの材料ガス濃度制御システムに対して、本発明を適用することができる。
【0045】
また、圧力計及び測定計(濃度計)は導出管に設けられるものとしたが、収容室に設けるものとしてもよい。また、キャリアガスはNであるとしたが、これに限られるものではなく、H等の不活性化ガスを用いてもよい。また、前記材料は液体としたが、前記材料を固体としてもよい。
【0046】
また、本発明は、半導体の洗浄プロセスだけではなく、半導体のCVD(化学気相成長)装置の成膜室に材料ガスを供給する成膜プロセスにおいて用いてもよいし、FPD(フラットパネルディスプレイ)、光デバイス、MEMS(微小電気機械素子)等の製造プロセスにおいて用いてもよい。
【0047】
加えて言えば、流量計は、前記導入管を流通するキャリアガスの流量を測定するものとしたが、導出管を流通する混合ガスの流量を測定するものとしてもよい。その場合、基準値を、予め定められた混合ガスの流量、又は予め定められたキャリアガスの設定流量又は材料ガスの設定流量に基づいて算出した混合ガスの流量等とすればよい。
【0048】
上記実施例では、濃度を下げるときの制御応答を向上させるものとしたが、濃度を上げるときの制御応答を向上させるためには、前記第2バルブ制御部が、前記偏差の絶対値が所定値以下である第1状態においては、前記測定流量が基準値となるように前記第2調整バルブの開度を調整する一方、前記偏差の絶対値が所定値よりも大きく、前記測定濃度示唆値が前記設定値よりも小さい第3状態においては、前記測定流量が前記基準値よりも減少するように、前記第2調整バルブの開度を調整するようにすればよい。
【0049】
測定流量が前記基準値よりも減少するようにするためには、例えば前記第2調整バルブをフルクローズにしてもよいし、前記測定流量が前記基準値よりも小さい暫定値となるように前記第2調整バルブの開度を調整してもよい。また、第2バルブ制御部が、前記第3状態において、濃度変化時に増減する状態量の時間変化量の絶対値が所定値以下である場合に、前記測定流量が前記基準値よりも減少するように、前記第2調整バルブの開度を調整するようにしてもよい。
【0050】
また、濃度を下げるとき及び上げるときの制御応答をいずれも向上させるためには、前記第2バルブ制御部が、前記偏差の絶対値が所定値以下である第1状態においては、前記測定流量が基準値となるように前記第2調整バルブの開度を調整し、前記偏差の絶対値が所定値よりも大きく、前記測定濃度示唆値が前記設定値よりも大きい第2状態においては、前記測定流量が前記基準値よりも増加するように、前記第2調整バルブの開度を調整し、前記偏差の絶対値が所定値よりも大きく、前記測定濃度示唆値が前記設定値よりも小さい第3状態においては、前記測定流量が前記基準値よりも減少するように、前記第2調整バルブの開度を調整すればよい。
【0051】
加えて言えば、図6に示すように、導出管30に、希釈ガスを供給する希釈ガスライン70を連通させ、その希釈ガスライン70に、流量制御器71(マスフローコントローラ)を設け、導入管20の流量制御器50及び導出管30の濃度制御器40に加えて、希釈ガスライン70の流量制御器71を制御して、材料ガスの濃度を制御するようにしてもよい。このようなものであれば、導入管20を流れるキャリアガスだけを用いるよりも、より多くの流量の流体を導出管30に流せるので、制御応答をさらに向上させることができる。その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0052】
100・・・材料ガス濃度制御システム
10・・・収容室
20・・・導入管
30・・・導出管
40・・・濃度制御器
41・・・濃度計(測定計)
42・・・第1調整バルブ
46・・・第1バルブ制御部
50・・・流量制御器
51・・・流量計
52・・・第2調整バルブ
54・・・第2バルブ制御部
55・・・流量設定部
M・・・材料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
材料を収容する収容室と、
前記収容室に一端が開口して、前記収容室にキャリアガスを導入する導入管と、
前記収容室に一端が開口して、前記収容室から前記材料が気化した材料ガス及び前記キャリアガスからなる混合ガスを導出する導出管と、
前記導出管に設けられた第1調整バルブと、
前記導出管を流通する前記混合ガス中の前記材料ガスの濃度を直接的又は間接的に示す値である濃度示唆値を測定する測定計と、
前記測定計で測定した測定濃度示唆値が、予め定められた設定値となるように、前記第1調整バルブの開度を調整する第1バルブ制御部と、
前記導入管に設けられた第2調整バルブと、
前記導入管を流通するキャリアガスの流量又は前記導出管を流通する混合ガスの流量を測定する流量計と、
前記測定濃度示唆値と前記設定値との偏差の絶対値が所定値以下である第1状態においては、前記流量計で測定した測定流量が、予め定められた基準値となるように、前記第2調整バルブの開度を調整する一方、
前記偏差の絶対値が所定値よりも大きく、前記測定濃度示唆値が前記設定値よりも大きい第2状態においては、前記測定流量が前記基準値よりも増加するように、前記第2調整バルブの開度を調整する第2バルブ制御部とを具備することを特徴とする材料ガス濃度制御システム。
【請求項2】
材料を収容する収容室と、
前記収容室に一端が開口して、前記収容室にキャリアガスを導入する導入管と、
前記収容室に一端が開口して、前記収容室から前記材料が気化した材料ガス及び前記キャリアガスからなる混合ガスを導出する導出管と、
前記導出管に設けられた第1調整バルブと、
前記導出管を流通する前記混合ガス中の前記材料ガスの濃度を直接的又は間接的に示す値である濃度示唆値を測定する測定計と、
前記測定計で測定した測定濃度示唆値が、予め定められた設定値となるように、前記第1調整バルブの開度を調整する第1バルブ制御部と、
前記導入管に設けられた第2調整バルブと、
前記導入管を流通するキャリアガスの流量又は前記導出管を流通する混合ガスの流量を測定する流量計と、
前記測定濃度示唆値と前記設定値との偏差の絶対値が所定値以下である第1状態においては、前記流量計で測定した測定流量が、予め定められた基準値となるように、前記第2調整バルブの開度を調整する一方、
前記偏差の絶対値が所定値よりも大きく、前記測定濃度示唆値が前記設定値よりも小さい第3状態においては、前記測定流量が前記基準値よりも減少するように、前記第2調整バルブの開度を調整する第2バルブ制御部とを具備することを特徴とする材料ガス濃度制御システム。
【請求項3】
前記第2バルブ制御部が、前記第2状態において、濃度変化時に増減する状態量の時間変化量の絶対値が所定値以下である場合に、前記測定流量が前記基準値よりも増加するように、前記第2調整バルブの開度を調整する請求項1記載の材料ガス濃度制御システム。
【請求項4】
前記第2バルブ制御部が、前記第2状態においては、前記測定流量が前記基準値よりも大きい暫定値となるように、前記第2調整バルブの開度を調整し、前記暫定値が、濃度変化時に増減する状態量の時間変化量を用いて算出される請求項1記載の材料ガス濃度制御システム。
【請求項5】
材料を収容する収容室と、
前記収容室に一端が開口して、前記収容室にキャリアガスを導入する導入管と、
前記収容室に一端が開口して、前記収容室から前記材料が気化した材料ガス及び前記キャリアガスからなる混合ガスを導出する導出管と、
前記導出管に設けられた第1調整バルブと、
前記導出管を流通する前記混合ガス中の前記材料ガスの濃度を直接的又は間接的に示す値である濃度示唆値を測定する測定計と、
前記測定計で測定した測定濃度示唆値が、予め定められた設定値となるように、前記第1調整バルブの開度を調整する第1バルブ制御部とを具備する材料ガス濃度制御システムに用いられて、前記キャリアガスの流量を制御する流量制御器であって、
前記導入管に設けられた第2調整バルブと、
前記導入管を流通するキャリアガスの流量又は前記導出管を流通する混合ガスの流量を測定する流量計と、
前記測定濃度示唆値と前記設定値との偏差の絶対値が所定値以下である第1状態においては、前記流量計で測定した測定流量が、予め定められた基準値となるように、前記第2調整バルブの開度を調整する一方、
前記偏差の絶対値が所定値よりも大きく、前記測定濃度示唆値が前記設定値よりも大きい第2状態においては、前記測定流量が前記基準値よりも増加するように、前記第2調整バルブの開度を調整する第2バルブ制御部とを具備することを特徴とする流量制御器。
【請求項6】
前記流量制御器が、前記第1調整バルブと、前記測定計と、前記第1バルブ制御部とを具備するものである請求項5記載の流量制御器。
【請求項7】
材料を収容する収容室と、
前記収容室に一端が開口して、前記収容室にキャリアガスを導入する導入管と、
前記収容室に一端が開口して、前記収容室から前記材料が気化した材料ガス及び前記キャリアガスからなる混合ガスを導出する導出管と、
前記導入管に設けられた第2調整バルブと、
前記導入管を流通するキャリアガスの流量又は前記導出管を流通する混合ガスの流量を測定する流量計とを具備する材料ガス濃度制御システムに用いられて、前記材料ガスの濃度を制御する濃度制御器であって、
前記導出管に設けられた第1調整バルブと、
前記導出管を流通する前記混合ガス中の前記材料ガスの濃度を直接的又は間接的に示す値である濃度示唆値を測定する測定計と、
前記測定計で測定した測定濃度示唆値が、予め定められた設定値となるように、前記第1調整バルブの開度を調整する第1バルブ制御部と、
前記測定濃度示唆値と前記設定値との偏差の絶対値が所定値以下である第1状態においては、前記流量計で測定した測定流量が、予め定められた基準値となるように、前記第2調整バルブの開度を調整する一方、
前記偏差の絶対値が所定値よりも大きく、前記測定濃度示唆値が前記設定値よりも大きい第2状態においては、前記測定流量が前記基準値よりも増加するように、前記第2調整バルブの開度を調整する第2バルブ制御部とを具備することを特徴とする濃度制御器。
【請求項8】
材料を収容する収容室と、
前記収容室に一端が開口して、前記収容室にキャリアガスを導入する導入管と、
前記収容室に一端が開口して、前記収容室から前記材料が気化した材料ガス及び前記キャリアガスからなる混合ガスを導出する導出管と、
前記導出管に設けられた第1調整バルブと、
前記導入管に設けられた第2調整バルブとを具備する材料ガス濃度制御システムの制御方法であって、
前記導出管を流通する前記混合ガス中の前記材料ガスの濃度を直接的又は間接的に示す値である濃度示唆値を測定する濃度測定ステップと、
前記濃度測定ステップで測定した測定濃度示唆値が、予め定められた設定値となるように、前記第1調整バルブの開度を調整する第1バルブ制御ステップと、
前記導入管を流通するキャリアガスの流量又は前記導出管を流通する混合ガスの流量を測定する流量測定ステップと、
前記測定濃度示唆値と前記設定値との偏差の絶対値が所定値以下である第1状態においては、前記流量測定ステップで測定した測定流量が、予め定められた基準値となるように、前記第2調整バルブの開度を調整する第1状態制御ステップと、
前記偏差の絶対値が所定値よりも大きく、前記測定濃度示唆値が前記設定値よりも大きい第2状態においては、前記測定流量が前記基準値よりも増加するように、前記第2調整バルブの開度を調整する第2状態制御ステップとを具備することを特徴とする材料ガス濃度制御方法。
【請求項9】
材料を収容する収容室と、
前記収容室に一端が開口して、前記収容室にキャリアガスを導入する導入管と、
前記収容室に一端が開口して、前記収容室から前記材料が気化した材料ガス及び前記キャリアガスからなる混合ガスを導出する導出管と、
前記導出管に設けられた第1調整バルブと、
前記導出管を流通する前記混合ガス中の前記材料ガスの濃度を直接的又は間接的に示す値である濃度示唆値を測定する測定計と、
前記測定計で測定した測定濃度示唆値が、予め定められた設定値となるように、前記第1調整バルブの開度を調整する第1バルブ制御部と、
前記導入管に設けられた第2調整バルブと、
前記導入管を流通するキャリアガスの流量又は前記導出管を流通する混合ガスの流量を測定する流量計とを具備する材料ガス濃度制御システムに用いられるプログラムであって、
前記測定濃度示唆値と前記設定値との偏差の絶対値が所定値以下である第1状態においては、前記流量計で測定した測定流量が、予め定められた基準値となるように、前記第2調整バルブの開度を調整する一方、
前記偏差の絶対値が所定値よりも大きく、前記測定濃度示唆値が前記設定値よりも大きい第2状態においては、前記測定流量が前記基準値よりも増加するように、前記第2調整バルブの開度を調整する第2バルブ制御部としての機能をコンピュータに発揮させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−138407(P2012−138407A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−288187(P2010−288187)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000127961)株式会社堀場エステック (88)
【Fターム(参考)】