説明

材料分析

材料分析装置(2)は、外側レセプタクル(6)内において、下端にフィルタ(5)を組み込んだ内側レセプタクル(4)を備える。ガス入口/出口ポート(8,10)は、フィルタ(5)を介して溶媒をレセプタクル(4,6)間で移動させることが可能な手段を提供するように構成される。レセプタクル(4,6)内の溶媒は、加熱されて、その温度が測定される。一実施態様における使用時には、分析される溶質材料が外側レセプタクル(6)に注入され、溶媒が内側レセプタクル(4)内に注入される。溶媒は、溶質の飽和溶液が内側レセプタクル(4)内に存在するまで、フィルタ(5)を介してレセプタクル(4,6)間を往復させられる。この飽和溶液を取り出して分析を行うことができる。説明した方法を一定の温度範囲内で行うことにより、溶質の溶解度プロファイルを判定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は材料分析に関し、より詳細には、これに限定されるものではないが、材料分析装置及び材料分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
正確な溶解度、及び溶解度と結晶多形を有する組成物との関連性の判定は、材料科学産業及び特に製薬産業にとって益々大きな重要性を持つものとなっている。結晶多形を変化させることにより、溶解度、生物学的利用能、色素の色等のバルク特性を変化させうることが認識されている。さらに、予想外の特性を有する原薬の新規な結晶多形は、商業上非常に重要である。胃や腸での生体内溶解を模倣して製剤原料等の物質の溶解速度を測定するための装置が市販されている。これらの装置は一般的に身体の構成部分の大きさを模倣するものであるが、新規な物質についてのデータを同様の尺度で得るためには、大量の材料を必要とするとともに、データ入手が困難であることや、費やされる時間が多いこと、許容できないほどの費用がかかることが判明するであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、材料分析に関する問題に対処することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様においては、第1のレセプタクルと、第2のレセプタクルであって、前記第1及び第2のレセプタクルは連通するように構成されていることと、前記第1及び第2のレセプタクル間を通過する流体をろ過するように構成されたろ過手段と、材料分析装置内の流体を加熱するための加熱手段と、材料分析装置内の流体の温度を測定するための温度測定手段とを備える材料分析装置が提供される。
【0005】
第1のレセプタクルは好ましくは長尺状をなし、その内部の長さに対する平均内径の比率は、好ましくは0.5未満であり、より好ましくは0.3未満であり、さらに好ましくは0.1未満である。前記比率は0.01以上とすることができる。第1のレセプタクルは、好ましくはその長さに沿ってほぼ一定の断面を有する。第1のレセプタクルは、好ましくはほぼ円形の断面を有する。第1のレセプタクルは、好ましくはほぼ円筒形をなす。
【0006】
第1のレセプタクルは、好ましくは第1のガスポートを備えており、ガスは、該第1のガスポートに注入可能、かつ/又は、該第1のガスポートから回収可能である。レセプタクルが長尺状をなしている場合、第1のガスポートは、好ましくはレセプタクルの長手方向の軸線を横切って延びる。第1のガスポートは、好ましくはレセプタクルの第1の端部近傍に設けられている。好ましくは、レセプタクルの第2の端部(第2の端部とはレセプタクルの反対側の端部であり、第1及び第2の端部は、レセプタクルの長手方向の軸線方向において好適に互いに離間するように設けられている)から第1のガスポートまでの距離に対するレセプタクルの第1の端部から第1のガスポートまでの距離の比率は0.5未満であり、より好ましくは0.2未満である。前記比率は好ましくは0.01以上である。
【0007】
前記装置は好ましくは、第1のレセプタクルが装置の一部として作動位置にあるときに、流体を第1のレセプタクルに注入可能、かつ/又は、流体を該第1のレセプタクルから回収可能に構成される第1の流体入口を備える。好ましくは、第1の流体入口はシール手段を備えており、該シール手段は、流体の注入/回収後に該入口をシールし、使用時に装置に注入されて流体に第1及び第2のレセプタクル間を通過させるガスの漏出をほぼ防止する。
【0008】
第1のレセプタクルには、好ましくはろ過手段が組み込まれている。ろ過手段は、第1のレセプタクルに着脱可能に固定することができる。好ましくは、ろ過手段は、第1のレセプタクルに着脱可能に固定されるのではなく、第1のレセプタクルの一部として一体的に形成される。一実施形態では、ろ過手段は、第1のレセプタクルの他の部品に固定された金属フィルタ要素で構成することができる。別の実施形態では、ろ過手段は、第1のレセプタクルに固定された焼結材料で構成することができる。レセプタクルが上述したように第1及び第2の端部を備える場合、好ましくは、ろ過手段は第2の端部又はその近傍に設けられる。ろ過手段は、好ましくは第1のレセプタクルの外壁の一部を形成する。また、好ましくは、ろ過手段は、レセプタクルの第2の端部を形成する。好ましくは、第1のレセプタクルは第2の端部に出口を有しており、好適には、該出口をろ過手段がほぼ塞ぐ。好ましくは、ろ過手段は、第1のレセプタクルの断面の範囲内に全体が位置している。このため、ろ過手段の最大直径は、使用時に該ろ過手段を通って流体が流れる方向を横切る方向において測定した場合、好ましくは、ろ過手段が配置されている領域における第1のレセプタクルの直径と同じかそれより小さくなる。
【0009】
本発明の装置が上述したように第1及び第2の端部を備える場合、第1及び第2の端部は、好ましくは装置の上端及び下端をそれぞれ形成する。ろ過手段は、好ましくは第1のレセプタクルの下壁を形成する。
【0010】
ろ過手段と第2のレセプタクルとは間隔を置いて配置されていることが望ましい。ろ過手段は、好ましくは第2のレセプタクルの内部に配置され、さらには第2のレセプタクルに対して完全な非接触状態にあることが望ましい。
【0011】
第1のレセプタクルは、好ましくは第2のレセプタクルの内部に配置されている。第2のレセプタクルは、好ましくはその内壁間で内部容積を形成し、第1のレセプタクルは、好ましくは外部容積を形成する。この場合、第1のレセプタクルの外部容積の好適には少なくとも10%、好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも40%、最も好ましくは少なくとも60%が第2のレセプタクルの内部容積に含まれる。第2のレセプタクルは、好ましくは離間して配置される第1及び第2の端部を備える。第2のレセプタクルの第2の端部とろ過手段との距離は、好ましくは第2のレセプタクルの第1の端部とろ過手段との距離よりも短い。第1のレセプタクルが第1及び第2の端部を備える場合、第1及び第2のレセプタクルの第1の端部同士は、好適には、一方の第1の端部から他方の第2の端部までの距離よりも互いに近接して配置される。第2のレセプタクルの第1及び第2の端部は、好ましくはろ過手段から離間して配置される。第1及び第2の端部を形成する各壁部は、好ましくはろ過手段から離間して配置される。
【0012】
第2のレセプタクルは、好ましくは第2のガスポートを備える。該第2のガスポートは、好ましくは、第2のレセプタクルの第2の端部に対してよりも、第2のレセプタクルの第1の端部に対してより近接して配置される。第1のレセプタクルが長手方向の軸線を有する場合、第2のガスポートは、好ましくはこの軸線を横切って延びる。好ましくは、第2のレセプタクルは長尺状をなし、好ましくは、その長手方向の軸線は、第1のレセプタクルの長手方向の軸線とほぼ平行に延びる。
【0013】
第1のシール手段は、好ましくは、第1のレセプタクルと装置の近接する部分との間に設けられる。第1のシール手段は、好ましくは第1のレセプタクルの周囲を延び、好ましくはOリング等の切れ目のないシール手段を形成する。第1のシール手段は、好ましくは第1のレセプタクルに弾性的に取り付けられる。第1及び第2のレセプタクルがそれぞれ第1及び第2のガスポートを備える場合、第1のシール手段は、好ましくは第1及び第2のガスポートの間に配置され、使用時にガスが一方のポートから他方のポートへ直接流れることを防止する。第1のシール手段は、好ましくは、第1のレセプタクル上において第1のガスポートとろ過手段との間に設けられる。
【0014】
前記装置が第1及び第2のガスポートを備える場合、ガスの移動経路は、好ましくは第1のガスポートから第1のレセプタクル、第2のレセプタクルを介して、第2のガスポートまで形成される。第1及び第2のガスポートは、好ましくは、両ガスポート内でガスの流れを制御できるように構成され、ろ過手段を介した第1及び第2のレセプタクル間での流体の流れを制御する。
【0015】
第2のレセプタクルは、好ましくは、該第2のレセプタクルを装置の第1のハウジング部に固定するための(好適には着脱可能に装置の第1のハウジング部に固定するための)第1の固定手段を備える。装置が第1及び第2のガスポートを備える場合、前記第1のハウジング部は、第1及び第2のポートと連通する開口部を備えることが好ましい。第2のシール手段は、好ましくは第2のレセプタクルと第1のハウジング部との間に配置される。第1のハウジング部は、第1のレセプタクルの流体入口に位置合わせされた流体入口/出口ポートを備えることができる。第1のハウジング部は、第1のハウジング部を好適に包囲する第2のハウジング部に着脱可能に固定でき、第1及び第2のガスポートと連通する開口部を備えることができる。第1及び第2のレセプタクル(好ましくは第2のハウジング部)のうち一つ以上が、加熱手段及び温度測定手段の一方、好ましくはその両方を収容するハウジング部(以下、「第3のハウジング部」とする)に対して、着脱可能に固定できることが好ましい。
【0016】
加熱手段は、好ましくは第1及び/又は第2のレセプタクル内の流体を加熱するように構成される。加熱手段は、好ましくは、第2のレセプタクルと直接的に熱接触している加熱可能な本体を備える。加熱可能な本体は、好ましくは熱源(例えば電気加熱要素)に対して熱伝導可能に連結されている。加熱可能な本体は、金属で形成することができる。第2のレセプタクルは、好適にはその壁部(好適にはその長尺状をなす壁部)が加熱された本体の壁部と接触した状態にて、加熱可能な本体に嵌入されることが好ましい。
【0017】
加熱手段は、好ましくはサーモスタット制御される。
前記装置は、環境条件下で起こりうる冷却の速度よりも速い速度で第1及び/又は第2のレセプタクル内の流体の温度を低下させるための冷却手段を備えることができる。冷却手段は、第1及び/又は第2のレセプタクルの表面を流れる気流を起こすための手段を備えていてもよく、ファンを備えていてもよい。これに代えて、又はこれに加えて、冷却手段は、ヒートシンク又は冷却源を備える。
【0018】
温度測定手段は、好ましくは、第1及び/又は第2のレセプタクル内の流体の温度を測定するように構成される。好ましくは、温度測定手段は、第1のレセプタクルよりも第2のレセプタクルに近接して配置される。装置が加熱可能な本体を備える場合、温度測定手段は、第1及び/又は第2のレセプタクルに近接する領域における加熱可能な本体の温度を測定するように構成することができる。平衡状態にあっては、加熱された本体の温度ならびに第1及び第2のレセプタクル内の流体の温度は、ほぼ同じとなることは理解されるであろう。
【0019】
温度測定手段は、好ましくは温度計であり、例えば白金抵抗温度計である。
本発明の装置は、好ましくは、温度測定手段によって測定された温度に従って加熱手段の作動を制御するように構成された制御手段を備える。
前記装置は、好ましくは、ろ過手段を介して第1及び第2のレセプタクル間で流体を往復させるための手段を備える。
【0020】
本発明の第2の態様においては、第1の態様による装置を備えたアセンブリが提供され、第1及び/又は第2のレセプタクルは、分析される材料と、好ましくは前記材料の少なくとも一部が溶解可能な流体(特に液体)とを収容する。
【0021】
前記装置は、好ましくは第1の態様による上述の第1及び第2のガスポートを備えており、好ましくは第1及び第2のポートは、ガス供給源に接続され、第1の状態においては液体が第1のレセプタクルからろ過手段を介して第2のレセプタクルへ流れ、第2の状態においては液体が第2のレセプタクルからろ過手段を介して第1のレセプタクルへ流れるように構成される。前記装置は、好適には1分あたり少なくとも5回、好ましくは少なくとも10乃至20回、より好ましくは少なくとも30乃至60回の往復頻度にて、第1及び第2のレセプタクルの間で液体を往復させるように構成されていることが好ましい。
【0022】
前記アセンブリは、好ましくは温度測定手段によって測定された温度に従って加熱手段の作動を制御するための制御装置、例えばコンピュータを備える。前記アセンブリは、装置作動中の温度及び時間に関するデータを保存するための手段、例えば前記コンピュータを備えることができる。コンピュータは、好ましくは第1及び第2のレセプタクル間の液体の往復を制御する。アセンブリは、液体(例えば溶媒)を装置へ搬送するための、かつ/又は、これを装置から回収するためのロボットを備えることができる。
【0023】
アセンブリは、装置から取り出されたサンプルを受け取るためのサンプルレセプタクルを備えていてもよい。サンプルレセプタクルは、希釈液体を含んでいてもよい。
本発明の第3の態様においては、コンピュータによって制御され、好ましくは第2の態様に従って上述したように構成される、第1の態様による装置を複数基(例えば5乃至20基の装置)を備えるアセンブリが提供される。
【0024】
本発明の第4の態様においては、材料を分析する方法が提供され、この方法は、前記材料を含む流体を、第1及び第2のレセプタクル間でろ過手段を介して往復させる工程と、前記第1及び/又は第2のレセプタクル内の流体を加熱する工程と、前記第1及び/又は第2のレセプタクルの流体の温度を測定する工程と、前記第1及び/又は第2のレセプタクルからサンプルを回収する工程とを含む。
【0025】
第4の態様の方法は、第1、第2、及び/又は第3の態様の装置及び/又はアセンブリを使用することができる。
第1の実施形態では、本方法は、溶媒中の材料の溶解度を測定するためのものである。好ましくは、本方法は、材料の溶解度と温度との関係のプロファイルを作成するためのものである。本方法は、好ましくは、流体を材料に接触させた状態にて、該流体を第1の温度まで加熱する工程と、好適には平衡化後に流体の第1のサンプルを採取する工程とを含む。第1のサンプルは、好適には第1の温度における溶媒中の材料の飽和溶液である。第1のサンプルを分析することにより、サンプル中に溶解している材料の量を測定することができる。第1のサンプルは、分析前の結晶化を回避するために、希釈してもよい。
【0026】
好ましくは、本方法においては、最初に第1の材料が第1又は第2のレセプタクルのいずれか一方に注入される。第1のサンプル(及び好ましくは後続の各サンプル)は、好適には他方のレセプタクルから採取される。好ましい実施形態においては、分析される材料は、まず第2のレセプタクルに注入され、続いてサンプル(好適には飽和溶液)が第1のレセプタクルから採取される。好ましくは、第1及び第2のレセプタクル内の溶媒の総量よりも過剰に材料を注入し、当該過剰量が飽和溶液と平衡状態となる。
【0027】
溶解度と温度との関係のプロファイルを作成する際に、本方法は、加熱手段を作動させて、第1のサンプルの採取後に第1及び/又は第2のレセプタクル内の流体を第2の温度まで加熱する工程を含むことが好ましい。好ましくは、装置は第2の温度にて平衡状態とされて、第2のサンプルが採取される。好ましくは、温度は少なくとも1回、好ましくは少なくとも3回、より好ましくは少なくとも5回、最も好ましくは少なくとも10回、さらに上昇させられて、2番目から11番目の一連のサンプルが採取されて分析される。
【0028】
好ましくは、新たなサンプルを採取する前であって、かつ加熱が行われている間に、流体は、上述のように第1及び第2のレセプタクル間で往復させられて、材料及び流体の平衡化を行いやすくする。好ましくは、加熱手段が作動しているほぼ全時間にわたって、上述のように流体を往復させる。
本方法では、ろ過手段を介して正及び負の圧力を交互に発生させることにより、上述のように流体を往復させる。
【0029】
第2の実施形態では、本方法は、材料の結晶多形の存在を調査するためのものであってもよい。このような方法では、溶媒中の既知の濃度の材料に対して所定の加熱/冷却処理を行うことができる。処理後、固体材料(結晶性であってもよい)を分析することができる。第2の実施形態は、第1の実施形態によって溶解度と温度との関係のプロファイルが作成された後に行われてもよい。このプロファイルを得た上で、温度が一定で装置を平衡状態にすることが可能な状態で、材料及び溶媒を装置へ注入することができる。本方法は、この後に、飽和溶液にフィルタを通過させて第1又は第2のレセプタクルに適切に流れ込ませる(すなわち、溶液が未溶解材料から分離される)工程を含む。温度が判明しているため、飽和溶液中の材料の濃度を計算することができる。従って、装置内の温度を変動させることにより、本方法を用いて、レセプタクルの一つにおいて、溶媒中の材料の濃度を広範囲にわたって各種の濃度に迅速かつ容易に調製できる。調製された溶液は、同溶液が調製されたレセプタクル内に保持され、その後、所定の温度条件下において、特定の結晶多形の形成を促進することができる。そして、異なる結晶多形を調製する目的のために、(最初の飽和溶液の調製に適切な温度を選択することによって調製された)溶媒中の濃度が異なる材料を使用して、かつ/又は、材料を異なる所定の温度条件下におくことによって、かつ/又は、溶解度を低下させるように設計された極性のより低い溶媒をさらに添加して溶液の極性を制御することにより、かつ/又は、代替の溶媒中の材料の飽和溶液を用いて調査を行うことにより、本方法を繰り返すことができる。
【0030】
好適には、第2の実施形態の方法により、該材料を調製が行われるレセプタクルから移動させることなく、所定の温度条件下におかれた材料を分析することができる。例えば、調製が行われたレセプタクルは、分析装置(例えばX線回折装置)に直接挿入可能に構成することができるため、本方法は、装置から第1又は第2のレセプタクルを取り出す工程と、その適切なレセプタクルを分析装置へ挿入する工程とを含んでもよい。
【0031】
本発明は、説明した装置及び/又は方法を用いて、材料について溶解度と温度との関係のプロファイルを作成する方法を含む。
本発明は、説明した装置及び/又は方法を用いて、材料の結晶多形を調査する方法を含む。
【0032】
本願で説明する任意の発明又は実施形態の態様のいずれの特徴も、本発明で説明する他の発明又は実施形態の態様のいずれの特徴とも必要な変更を加えて組み合わせることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の具体的な実施形態を、添付の図面を参照しながら例を挙げて説明する。
図1を参照すると、材料分析装置2は、下端にフィルタ5が組み込まれた内側レセプタクル4を外側レセプタクル6内に備えている。ガス入口ポート8/出口ポート10は、溶媒にフィルタ5を介してレセプタクル4、6間を通過させることのできる手段となるように構成されている。レセプタクル4,6内の溶媒は加熱され、その温度が測定される。一実施形態での使用においては、分析される溶質材料が外側レセプタクル6に注入され、溶媒が内側レセプタクル4に注入される。溶媒は、内側レセプタクル4に溶質の飽和溶液が存在するまで、フィルタ5を介してレセプタクル4,6間を往復させられる。飽和溶液を取り出して、分析を行うことができる。説明中のプロセスを所定の温度範囲で行うことにより、溶質についての溶解度プロファイルを判定することができる。
【0034】
本発明の装置の特徴及び使用方法を以下に詳細に説明する。
内側レセプタクル4は、長さ約45〜50mm、外径5mmのステンレス鋼製薄壁円筒管12からなる。管の下端は、適切な多孔性及び寸法を有する焼結ステンレス鋼からなるフリット14によって閉鎖されており、該フリット14がフィルタ5を形成する。一般的にフィルタは、平均的な孔の寸法を5〜20μmの範囲とすることができる。管は、上端近傍にOリング17及び開口部15を備えており、該開口部15は、ポート8を介して管12にガスを注入可能に構成されている。管は、上端16において開放されている。
【0035】
管12は、図2及び図3に示されるように外側レセプタクル6内に配置される。管12とレセプタクル6のネック部20との間には環状をなす空隙18が形成されており、ガスは該空隙を介して流れることができる。レセプタクル6は、好適には、ねじきり部22を有する標準的なクロマトグラフ管とすることができる。
【0036】
図2及び図3に示されるアセンブリは、図1及び図4に示すように、ねじきり部22を介して上側モジュール本体24と螺合される。本体24は、レセプタクル4の開口部15及びポート8と整合する非対称形の第1の横断チャネル26を備えており、ガスは、ポート8を通って、チャネル26及び開口部15を介してレセプタクル4内へ流れ込むことができる。本体24は、ポート10と整合するとともに内側レセプタクル4及び外側レセプタクル6の間に形成された空隙18と連通する非対称形の第2の横断チャネル27を備える。本体24はまた取付部28も形成しており、該取付部28は、密封状態を構成するようにOリング17と係合して、ガスがレセプタクル4を通過せずに直接ポート8及び10間を流れることを防止する。
【0037】
本体24は、溶媒をレセプタクル4へ送達するためのアクセスポート29を上端に備える。このポートは、自己シール型の穿孔可能なニードルシール129を備えるスクリューキャップ31によって上端が閉鎖されている。
【0038】
外側スリーブ32は本体にプレス嵌めされている。スリーブ32は、本体24に取り付けられたOリング30によって互いに隔離されているポート8及び10を備える。
スリーブ32は、その下端の領域34において外面がねじ切りされており、下側本体36に対して取り外し可能に固定される。下側本体36には、レセプタクル6内の溶媒を加熱できるように、金属ハウジング部品40,42を介してレセプタクル6と熱伝導可能に連結される加熱要素が組み込まれる。白金抵抗温度計44は、平衡状態でのレセプタクル6内の溶媒の温度を判定するために、レセプタクル6近傍の温度を測定するように構成される。
【0039】
下側本体36は、下端にファン(全体が符号46にて示される)を備えており、ファン46は、装置内での溶媒の冷却を促進する。下側本体36には、通口48も設けられている。加えて、下側本体にヒートシンク又は冷却源を組み込んで、溶媒をより冷却しやすくしてもよい。
【0040】
ポート8,10は駆動ガス供給源と接続されるように構成される。それぞれのポートを介した装置2内へのガスの供給は、一対の遠隔的かつ電気的に駆動されるソレノイド操作バルブ(又はその均等物)(図示せず)によって制御される。周期的にバルブを交互に開閉させて、フィルタ5を介して溶媒を往復させる。これにより、ポート8へのガスの流れを制御するバルブが駆動ガス供給源に対して開放され、ポート10へのガスの流れを制御するバルブの排気動作が行なわれると、レセプタクル4内のいかなる溶媒もフィルタ5を通じてレセプタクル6へと移動させられる。次いで、流体がレセプタクル6からポート10を介して装置外へ排出される前に、ポート8へのガスの流れを制御するバルブが排気動作のために開放され、ポート10へのガスの流れを制御するバルブが駆動ガス供給源に対して開放されることにより、溶媒がフィルタ5を介してレセプタクル6からレセプタクル4へ戻される。従って、説明したようにバルブを順次、適切な頻度(例えば、1分あたり30〜60回の範囲で往復させる)で開閉することにより、溶媒は一定のサイクルで周期的にフィルタ5を通過することができる。
【0041】
以下のように、装置2を用いて、選択された溶媒の試験溶質の溶解度を測定することができる。まず、乾燥した清浄なレセプタクル6(好適には、上述したように標準的なクロマトグラフ管とすることができる)を選択し、試験溶質の一部を計量せずにその中に入れる。分析される溶質及び溶媒の組み合わせ内容により、溶質のおよその使用量が決定されることは明らかであるが、この範囲内であれば計量せずともよい。
【0042】
次に、試験溶質を収容したレセプタクル6内にレセプタクル4を取り付けた状態で、図1に示すように装置が組み立てられる。
溶解度の測定を行う温度(「温度設定点」と呼ぶ)は、手動で、又は使用される溶媒の沸点情報を用いてコンピュータにより判定される。いずれの場合であっても、これらに関するデータは、ロボット等の装置の作動を制御するコンピュータに保存される。
【0043】
ロボット制御されるニードルは、所定の溶媒トレーから所定量の選択された溶媒を採り、ポート29の中央へと移動し、穿孔可能なニードルシール129を介してレセプタクル4内へ進入し、溶媒をレセプタクル4内へ射出する。ソレノイドバルブは、溶媒が周期的に往復するように作動させられ、その結果、溶媒がフィルタ5を通ってレセプタクル6内へ流れ込み、試験溶質と接触する。
【0044】
次いで、コンピュータによって制御された加熱サイクルが開始される。該加熱サイクルにおいては、加熱要素38が、予め設定されたサイクルに従って作動させられ、熱が加熱要素38から伝えられて、レセプタクル6内の溶媒が加熱される。開始時の温度は、周囲温度よりも約10℃高い温度に設定される。次に、抵抗温度計44にて温度を測定し、測定された温度と第1の温度設定点とを比較する。そして、加熱要素38又は冷却ファン46(又は他の(単数又は複数の)冷却装置)を適切に作動させて、第1の温度設定点に到達するまで溶媒を加熱/冷却する。装置が定常状態許容温度(steady state acceptable temperature) に到達する(温度計44によって判定される)と、駆動ガス供給源及びソレノイドバルブが作動させられて、フィルタ5を介して溶媒(及びその中に溶解した任意の溶質)を往復させる。これは、溶媒と溶質とを混合して、溶媒中の溶質の飽和溶液を形成する効果がある。平衡状態となった後、ポート8,10を介してガスの供給を制御するバルブが作動させられ、飽和溶液がレセプタクル4へ流入する。溶解されなかった溶質がフィルタ5によってレセプタクル4への進入を妨げられることは、理解されるであろう。一定かつ既知の少量の溶液が、ポート29を介してレセプタクル4に挿入されたニードルを用いて、ロボット制御された吸引によりレセプタクル4から採取される。サンプルは、既知の量の(サンプルが非常に溶解しやすい)希釈溶媒が充填されている一連のサンプル瓶の一つへ搬送されて、直ちに、又は後に分析される。希釈溶媒を使用することにより、サンプルが希釈されなかった場合に起こりうるサンプルの結晶化が回避される。分析により、第1の温度設定点における溶媒中の溶質の溶解度を判定することができる。
【0045】
上述した一連の工程は、装置内に残留する溶媒/溶質に対し2番目の(及びそれ以降の)温度設定点について繰り返される。装置内の溶媒/溶質に対して行われる典型的な加熱サイクルの一部を、図10において概略的に示す。各サイクルは、溶媒/溶質がそれぞれ第1温度設定点A、第2温度設定点B、(及びそれ以降の温度設定点ETC.)にて平衡状態のときにサンプリングする前に、加熱工程及び平衡化工程を含む。
【0046】
装置から回収されたサンプルの分析は、蒸発光散乱法(els)、紫外線分光法、赤外線分光法、核磁気共鳴分光法、高速液体クロマトグラフィー(hplc)、ガス液体クロマトグラフィー(glc)、炎イオン化法、又は他の好適な任意の分析技術等、任意の好適な方法を用いて行うことができるが、好ましくは蒸発光散乱法を用いる。
【0047】
分析を適切に行って、サンプル瓶内の溶質の量を判定する。希釈溶媒の量が分かっているため、装置から採取されたサンプル中の溶質の量を算出することができる。これは、溶質が容易に溶解可能な溶媒(例えば、MeOH、CHCl/MeOH又はMeCN)に標準的な濃度で溶質が含まれる溶液と比較することにより計算することができる。
【0048】
一連の溶解度測定値の分析により得られたデータは、図11に概略的に示されるように、結ぶと曲線が描ける点の集合となる。単に適切な温度を選択して温度をこの選択された温度へ到達するように制御することにより、所定濃度の溶質を含む溶液を調製可能であることは、理解されるであろう。
【0049】
上述した事項から、説明した装置を用いることにより、溶質/溶媒の各組み合わせにおける溶解度曲線を最小の労力で迅速に作成できることは理解されるであろう。さらに、分析は、非常に少量の溶質サンプルで効果的に行うことができる。
【0050】
以下に説明するように、本発明の装置は、材料の結晶多形の調製を目的とする実験に使用することができる。
第1の実施形態では、溶媒における材料の溶解度を、上述したように装置2を用いて判定することができる。所定の溶媒中の溶質の濃度は、異なる結晶多形の調製に必要な条件を決定する重要な要因であることが知られている。既知の温度においては、溶媒に溶解する溶質材料の濃度は一定であり、前もって作成された溶解度曲線から判定できることが分かっている。従って、装置2を作動させるために既知の温度を選択することにより、レセプタクル4で調製できる溶液の濃度が決定されうる。従って、装置内の溶媒及び溶質材料と温度とを決定し、装置を作動させて、材料/溶媒の組み合わせを選択された温度にて平衡化させる。
【0051】
次に、ポート8,10を介してガスの供給を制御するバルブを作動させて、形成された溶液をフィルタ5に通すことにより、既知の一定濃度のろ過された溶液がレセプタクル4に存在することになる。次いで、溶液に対して、適切に異なる結晶多形の形成及び分析を行うことが可能な量、又はこれらを導くことが分かっている量の加熱/冷却/均衡化サイクルを行う。好適には、ロボット制御を用いることにより、ユーザーの介入なしに、異なる条件下にて数百回の実験を行うことができる。
【0052】
第2の実施形態では、第1の実施形態の手順を変更して、外側レセプタクル6内の結晶多形の判定を行うための分析を行うことができる。この目的を達成するために、分析する材料をまず内側レセプタクル4に入れる。溶媒は、前述したように注入され、前述したように材料と混合される。しかしながら、本実施形態においては、所望の濃度の材料を含んだ溶液を形成するために必要な温度にて材料/溶媒を平衡化した後に、ポート8,10を介してガスの供給を制御するバルブを作動させて、溶液を外側レセプタクル6内へ移動させる。次いで、一定濃度の溶液を、レセプタクル6での結晶多形の調製に好ましい実験条件下におくことができる。
【0053】
説明した第1及び第2の実施形態で使用されるレセプタクル4又は6は、装置2から取り外して、異なる結晶多形の分析に使用される装置(例えばX線回折装置)に直接挿入できるように構成されていてもよい。この構成により、分析のためにレセプタクル4/6から材料を回収する必要がなくなる。
【0054】
好適には、X線回折装置に直接挿入可能な寸法のレセプタクル4を使用することができる。例えば、レセプタクル4は、フィルタを形成するために、焼結材料を含む微細ガラス毛細管を下端に備えていてもよい。
【0055】
一般的には、レセプタクル4は金属、プラスチック、セラミック又はガラスといった任意の好適な材料で形成することができる。フィルタは、レセプタクルの残りの部分の材料と同一の材料で形成してもよく、これとは異なる材料で形成してもよい。例えば、フィルタは、紙又は焼結材料から形成することができる。フィルタは、任意の好適な寸法又は形状を有するように形成することができ、レセプタクルの残りの部分から簡単に取り外して廃棄できるものであってもよい。一実施形態では、フィルタは、射出成形されたプラスチックで形成され、レセプタクルの残りの部分に対して取り外し可能に固定される。
【0056】
ポート8,10を介して供給されるガスは、好ましくは窒素又はアルゴン等の不活性ガスである。
本発明の装置の長さは、最大15cmとすることができ、好ましくは11cm以下である。また、幅は、最大5cmとすることができ、好ましくは4cm以下である。本発明の装置においては、0.5〜1.5cmの溶媒を用いることができる。しかしながら、より大量の材料の分析が求められる場合には、より大型の装置を製造することができる。
【0057】
本発明の装置は、200℃までの温度で作動するように構成してもよい。
説明した本発明の装置及び方法は、溶解度を判定し、有効成分(原薬)の結晶多形を調べるために、製薬産業において使用することができる。この場合、薬学的に許容される溶媒であれば、任意の好適な溶媒を使用することができる。
【0058】
単一の溶媒中の材料の溶解度の測定及び結晶多形の調査について本発明の装置の説明をしてきたが、本装置は混合溶媒とともに使用してもよい。これは、特に結晶多形の調査に関係してくる場合がある。
【0059】
材料分析の速度を上げるために、複数の装置2(例えば8基の装置)を組み付けて、各装置が、単一のコンピュータによって好適に制御される複数のニードルロボットシステムを用いて、単一のニードルにより処理されてもよい。
【0060】
本願に関連して本明細書と同時に又は本明細書よりも前に提出され、かつ、本明細書とともに公衆の閲覧可能な状態にあるすべての書類及び文書は、その内容が本明細書において開示されたものとする。
【0061】
本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書、及び図面を含む)に開示されるすべての特徴及び/又は方法もしくはプロセスのすべての工程は、少なくともかかる特徴及び/又は工程の組み合わせが互いに相容れない場合を除き、任意の組み合わせにて組み合わせることができる。
【0062】
本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書、及び図面を含む)に開示される各特徴は、明示されない限りにおいて、同一の、同等の、又は類似の目的を果たす代替の特徴に置き換えることができる。従って、特に明示されない限りは、開示される各特徴は一連の同等又は類似の特徴の中の一例にすぎない。
【0063】
本発明は、上述の実施形態の詳細に制限されるものではない。本発明は、本明細書(添付の特許請求の範囲、要約書、及び図面を含む)に開示される新規な任意の一特徴又は新規な任意の特徴の組み合わせや、同様に開示される任意の方法又はプロセスの工程の新規な任意の一工程又は新規な任意の工程の組み合わせにも範囲が及ぶものである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】材料分析装置の断面図。
【図2】レセプタクルアセンブリの斜視図。
【図3】図2のレセプタクルアセンブリの断面図。
【図4】上側モジュール内側本体に固定された図2及び図3のアセンブリからなるアセンブリの断面図。
【図5】下側本体に固定された図4のアセンブリの斜視図。
【図6】図5のアセンブリの側面図。
【図7】外側スリーブが組み込まれ、アセンブリの冷却ファンの一部が示されている、図6のアセンブリの斜視図。
【図8】完成した装置の斜視図。
【図9】完成した装置の側面図。
【図10】本発明の装置において溶媒/溶質に対して行われる典型的な加熱サイクルを示すための、温度と時間の関係を表したグラフ。
【図11】本発明の装置を用いて得られる溶解度と温度の関係の典型的なプロファイル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のレセプタクルと、
第2のレセプタクルであって、前記第1及び第2のレセプタクルは連通することと、
前記第1及び第2のレセプタクル間を通過する流体をろ過するろ過手段と、
材料分析装置内の流体を加熱する加熱手段と、
材料分析装置内の流体の温度を測定する温度測定手段と
を備える材料分析装置。
【請求項2】
前記第1のレセプタクルは、長尺状をなすとともに第1のガスポートを備え、ガスが該第1のガスポートに対して注入される、且つ/又は第1のガスポートから回収されることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1のレセプタクルには前記ろ過手段が組み込まれていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記ろ過手段は、第1のレセプタクルの外壁の一部を形成しており、第1のレセプタクルの断面の範囲内に全体が配置されることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記ろ過手段は前記第1のレセプタクルの下壁を形成することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記ろ過手段と前記第2のレセプタクルとの間に間隔が設けられていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記ろ過手段は、第2のレセプタクル内において、第2のレセプタクルに対して完全な非接触状態にて配置されることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記第1のレセプタクルは第2のレセプタクル内に配置されることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記第2のレセプタクルは第2のガスポートを備えていることを特徴とする、請求項1乃至8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
前記第1及び第2のレセプタクルがそれぞれ第1及び第2のガスポートを備え、ガスの移動経路が、前記第1のガスポートから前記第1のレセプタクル及び前記第2のレセプタクルを介して前記第2のガスポートまで形成されていることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記第2のレセプタクルは、該第2のレセプタクルを前記装置の第1のハウジング部に固定するための第1の固定手段を備え、前記第1のハウジング部は、前記第1のハウジング部を包囲する第2のハウジング部に対して脱着可能に固定可能であるとともに、前記第1及び第2のレセプタクルの第1及び第2のガスポートにそれぞれ連通する開口部を備えることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記第1及び第2のレセプタクルを備えるアセンブリは、前記加熱手段及び前記温度測定手段のうちの少なくとも一方を収容するハウジング部に対して脱着可能に固定可能であることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記加熱手段は、第1及び第2のレセプタクル内の流体を加熱するように構成されており、前記第2のレセプタクルと直接的に熱接触している加熱可能な本体を備えることを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記装置は、環境条件下で起こりうる冷却の速度よりも速い速度で前記第1及び第2のレセプタクル内の流体の温度を低下させるための冷却手段を備えることを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記温度測定手段は、第1及び第2のレセプタクルのうち少なくとも一方の内部の流体の温度を測定するように構成されるとともに、第1のレセプタクルに対してよりも第2のレセプタクルに対してより近接して配置されていることを特徴とする、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記第1及び/又は第2のレセプタクルは、分析する材料と、該材料の少なくとも一部が溶解可能である流体とを収容することを特徴とする、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の装置を備えるアセンブリ。
【請求項17】
前記装置は、ガス供給源に接続される第1及び第2のガスポートを備え、該第1及び第2のガスポートは、第1の状態においては液体を前記第1のレセプタクルから前記ろ過手段を介して前記第2のレセプタクルへ流し、第2の状態においては液体を前記第2のレセプタクルから前記ろ過手段を介して前記第1のレセプタクルへと流すように構成されていることを特徴とする、請求項16に記載のアセンブリ。
【請求項18】
前記温度測定手段によって測定された温度に従って加熱手段の作動を制御するための制御手段を備えるとともに、前記装置の作動中の温度及び時間に関するデータを保存するためのコンピュータを備え、該コンピュータは第1及び第2のレセプタクル間の液体の往復も制御することを特徴とする、請求項16又は17に記載のアセンブリ。
【請求項19】
前記アセンブリは液体を前記装置へ搬送することと、液体を前記装置から回収することとのうち少なくともいずれか一方を行うロボットを備えることを特徴とする、請求項16乃至18のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項20】
前記アセンブリは装置から取り出されたサンプルを受け取るためのサンプルレセプタクルを備え、前記サンプルレセプタクルは希釈液体を含むことを特徴とする、請求項16乃至19のいずれか一項に記載のアセンブリ。
【請求項21】
コンピュータによって制御され、請求項16乃至20のいずれか一項に記載されるように構成される、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の装置を複数基備えるアセンブリ。
【請求項22】
材料を分析する方法であって、
前記材料を含む流体を、第1及び第2のレセプタクル間でろ過手段を介して往復させる工程と、
前記第1及び第2のレセプタクルのうち少なくとも一方の内部の流体を加熱する工程と、
前記第1及び第2のレセプタクルのうち少なくとも一方の内部の流体の温度を測定する工程と、
前記第1及び第2のレセプタクルのうち少なくとも一方からサンプルを回収して材料を分析する工程と
を含む方法。
【請求項23】
請求項1乃至15のいずれか一項に記載の装置、又は請求項16乃至21のいずれか一項に記載のアセンブリを使用することを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記方法は、少なくとも5つの異なる温度にて溶媒中の材料の溶解度を測定することによって、材料の溶解度と温度との関係のプロファイルを作成することを特徴とする、請求項22又は23に記載の方法。
【請求項25】
第1の温度にて第1のサンプルが採取された後、加熱手段を作動させて第1及び第2のレセプタクルのうちの少なくとも一方の内部の流体を第2の温度まで加熱する工程と、
第2の温度にて前記装置を平衡状態にし、第2のサンプルを採取する工程と、
温度を少なくともさらに3回上昇させて、各温度にて平衡化後サンプルを採取する工程と
を含むことを特徴とする、請求項22乃至24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記方法は材料の結晶多形の存在を調査するためのものであって、溶媒中に既知の濃度の材料を含む流体に対して所定の加熱/冷却処理を行うことを特徴とする、請求項21乃至23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記結晶多形の調査は、請求項24又は25に従って溶解度と温度との関係のプロファイルを作成した後に行うことを特徴とする、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記第1又は第2のレセプタクルを装置から取り出し、材料の結晶多形について分析するために選択されたレセプタクルを分析装置へ挿入する工程を含むことを特徴とする、請求項22乃至27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
請求項1乃至25、及び28のいずれか一項に記載の装置及び/又は方法を用いて、材料についての溶解度と温度との関係のプロファイルを作成する方法。
【請求項30】
請求項1乃至29のいずれか一項に記載の装置及び/又は方法を用いて材料の結晶多形を調査する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−502977(P2007−502977A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523681(P2006−523681)
【出願日】平成16年8月16日(2004.8.16)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003538
【国際公開番号】WO2005/019814
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(506059126)ウィッケン テクノロジー リミテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】WICKEN TECHNOLOGY LIMITED
【Fターム(参考)】