説明

材料必要量予測装置、材料必要量予測方法、及び材料必要量予測プログラム

【課題】 製品ごとに1以上のサイズで切り出される1以上の種類の材料の必要量を予測する材料必要量予測装置を提供する。
【解決手段】生産実績と製品及び材料寸法データとから、製品の単位数ごとに必要とされる材料の数量であって前記使用割合によって按分された数量である換算係数を算出し、算出した換算係数、及び、販売実績データ、に基づいて、過去販売された製品数だけ製品を製造するのに必要な材料の数量を算出し、前記材料の種類ごとの数量に基づいて、未来の材料の予測必要量を算出する材料必要量予測装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、将来の製品製造のために必要とされる材料の量を予測するための材料必要量予測装置、材料必要量予測方法、及び材料必要量予測プログラムに関し、特に、製品ごとに1以上のサイズで切り出される1以上の種類の材料の必要量を予測するための材料必要量予測装置、材料必要量予測方法、及び材料必要量予測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
製品を製造するためには、材料を入手する必要があるが、製品の種類、材料の種類によっては、製品受注時から出荷までに許される期間よりも、材料を入手するために必要な期間の方がかなり長い場合がある。
【0003】
例えば、印刷用のアルミ版は、アルミニウム板を巻いたロールであるアルミロールから必要サイズを切り出すことによって製造されるが、このアルミロールを入手するには、発注してから例えば2ヶ月以上もの期間が必要になる。一方、製品である印刷用のアルミ板は、受注して例えば1ヶ月ほどで出荷する必要がある。この場合、製品を受注してからアルミロールを発注したのでは、製品製造に間に合わない。
【0004】
また、アルミロールは、その幅、厚み等が異なる複数の種類のものが存在し、かつ、アルミロールは1つで1000m以上もの長さがある。このため、ある製品用にアルミロールを購入しても使い切れない場合があり、かといって、アルミロールは大きく場所を取るので、多くのアルミロールを保管することは困難であり、ある期間のうちに使い切ることも要求される。
【0005】
そのため、理想的には、製品の幅と同じ幅のアルミロールを切り出すことにより、材料の無駄なく製品製造が可能になるが、製品幅よりも大きい幅のアルミロールを使うことによって、その端を切り捨てることにより無駄が生じてしまってでも、アルミロールを使い切らなければならない場合がある。実際には、多くの種類の製品を製造するには、製品幅と異なるアルミロールを使用することの方が多くなりがちである。
【0006】
更に、アルミロールの幅によって、使用できる設備が異なるので、製品生産量、製品種類の組み合わせによっては、生産量を確保するために、つまり、設備を遊ばさないために本来の最適幅ではないアルミロールから製品を製造しなければならない場合もある。
【0007】
このように、受注する製品の種類、量によって、使用するアルミロールの幅、生産設備の組み合わせが、多く存在し、その多くの組み合わせの中から、材料の無駄が少なく、製品納期を間に合わせ、アルミロールをある期間内に使い切る等の様々なことのバランスがとれた適切な組み合わせを選択しなければならない。しかも、製品受注の例えば2ヶ月前には製品の受注量を予測してアルミロールを発注しなければならない。
【0008】
従来は、熟練した人間の経験と勘によって製品の受注量を予測し、アルミロールを発注していた。
【0009】
将来の製品需要を予測するための装置としては、例えば特許文献1に開示されたものがある。特許文献1に開示された需要予測装置は、製品販売実績格納手段と、中間部品使用実績格納手段と、製品構成情報格納手段と、入力手段と、需要予測手段と、比較手段とを備え、前記入力手段から入力された特定製品販売情報の種類に応じた符号をコンピュータメモリ上に記憶させ、前記比較手段により比較結果に差異があれば前記コンピュータメモリ上において該符号が記憶されているか否かを判別し、符号が記憶されている場合には、中間部品使用実績値を基に算出された中間部品の予測需要数量を、製品販売実績値及び特定製品販売情報を基に算出された前記中間部品の予測需要数量に基づいて修正し、それを最終結果として出力することを備えている。これにより、精度良く需要予測を行うことが可能で、中間部品の過不足を減らすことが可能であるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2002−83091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、人間がこのような生産管理において熟練するには、長い年月が必要であり、熟練していないものでも製品の受注量を予測し、しかも前記多くの組み合わせのなから適した組み合わせを選択し、その適した組み合わせのアルミロール種類と数量を発注することが可能な装置が必要とされていた。
【0012】
また、特許文献1に開示された需要予測装置は、中間部品を母材として複数のサイズを切り出すような、構成の組み合わせが限定できない場合の中間部品の予測は考慮されておらず、そういう場合の予測はできなかった。
【0013】
本発明は、かかる実情に鑑み、中間部品を母材として複数のサイズを切り出すような、すなわち、製品ごとに1以上のサイズで切り出される1以上の種類の材料の必要量を予測することができる材料必要量予測装置、材料必要量予測方法、及び材料必要量予測プログラムを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の課題は、下記の各発明によって解決することができる。
【0015】
すなわち、本発明の材料必要量予測装置は、製品ごとに1以上のサイズで切り出される1以上の種類の材料の必要量を予測する材料必要量予測装置であって、前記製品ごとに、使用した前記材料の種類と、量と、前記種類ごとの使用割合と、を表す過去の生産実績データが格納された生産実績データベースと、前記材料の寸法データ及び前記製品の寸法データが格納された寸法諸元データベースと、前記製品の過去の販売実績データが格納されている販売実績データベースと、前記生産実績データベースから過去の生産実績データを取得する生産実績収集部と、前記生産実績収集部から取得した過去の生産実績データと、前記寸法諸元データベースから取得した前記製品及び前記材料の寸法データと、に基づいて、前記製品の単位数ごとに必要とされる前記材料の数量であって前記使用割合によって按分された数量である換算係数を算出する換算係数計算部と、前記販売実績データベースから過去の販売実績データを取得する販売実績収集部と、前記換算係数計算部から取得した前記換算係数、及び、販売実績収集部24から取得した前記販売実績データ、に基づいて、過去販売された製品数だけ製品を製造するのに必要な前記材料の種類ごとの数量を算出する製品量−材料量換算部と、前記製品量−材料量換算部で算出された前記材料の種類ごとの数量に基づいて、未来の材料の予測必要量を算出する材料量需要予測部と、を備えたことを主要な特徴としている。
【0016】
これにより、従来、熟練者に頼っていた、製品ごとに1以上のサイズで切り出される1以上の種類の材料の必要量をコンピュータによって予測することが可能になった。
【0017】
また、本発明の材料必要量予測方法は、製品ごとに1以上のサイズで切り出される1以上の種類の材料の必要量を予測する材料必要量予測方法であって、コンピュータが、生産実績データベースから前記製品ごとに使用した前記材料の種類と、量と、前記種類ごとの使用割合と、を表す過去の生産実績データを取得する生産実績取得ステップと、コンピュータが、前記生産実績取得ステップで取得した過去の生産実績データと、寸法諸元データベースから取得した前記製品及び前記材料の寸法データと、に基づいて、前記製品の単位数ごとに必要とされる前記材料の数量であって前記使用割合によって按分された数量である換算係数を算出する換算係数計算ステップと、コンピュータが、販売実績データベースから過去の販売実績データを取得する販売実績取得ステップと、コンピュータが、前記換算係数計算ステップで取得した前記換算係数、及び、販売実績取得ステップで取得した前記販売実績データ、に基づいて、過去販売された製品数だけ製品を製造するのに必要な前記材料の種類ごとの数量を算出する製品量−材料量換算ステップと、前記製品量−材料量換算ステップで算出した前記材料の種類ごとの数量に基づいて、未来の材料の予測必要量を算出する材料量需要予測ステップを備えたことを主要な特徴としている。
【0018】
これにより、従来、熟練者に頼っていた、製品ごとに1以上のサイズで切り出される1以上の種類の材料の必要量をコンピュータによって予測することが可能になった。
【0019】
更に、本発明の材料必要量予測プログラムは、コンピュータに、製品ごとに1以上のサイズで切り出される1以上の種類の材料の必要量を予測させる材料必要量予測プログラムであって、コンピュータに、生産実績データベースから前記製品ごとに使用した前記材料の種類と、量と、前記種類ごとの使用割合と、を表す過去の生産実績データを取得させる生産実績取得ステップと、コンピュータに、前記生産実績取得ステップで取得した過去の生産実績データと、寸法諸元データベースから取得した前記製品及び前記材料の寸法データと、に基づいて、前記製品の単位数ごとに必要とされる前記材料の数量であって前記使用割合によって按分された数量である換算係数を算出させる換算係数計算ステップと、コンピュータに、販売実績データベースから過去の販売実績データを取得させる販売実績取得ステップと、コンピュータに、前記換算係数計算ステップで取得した前記換算係数、及び、販売実績取得ステップで取得した前記販売実績データ、に基づいて、過去販売された製品数だけ製品を製造するのに必要な前記材料の種類ごとの数量を算出させる製品量−材料量換算ステップと、前記製品量−材料量換算ステップで算出させた前記材料の種類ごとの数量に基づいて、未来の材料の予測必要量を算出させる材料量需要予測ステップと、を備えたことを主要な特徴としている。
【0020】
これにより、従来、熟練者に頼っていた、製品ごとに1以上のサイズで切り出される1以上の種類の材料の必要量をコンピュータによって予測することが可能になった。
【発明の効果】
【0021】
本発明の、材料必要量予測装置、材料必要量予測方法、及び材料必要量予測プログラムによれば、製品ごとに1以上のサイズで切り出される1以上の種類の材料の必要量をコンピュータによって予測することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の材料必要量予測装置の一実施形態を示す機能ブロック図である。
【図2】生産実績データベース10に格納されている生産実績データの例を示す表である。
【図3】寸法諸元データベース12に格納されているアルミロールの寸法データの例を示す表である。
【図4】換算係数を算出した結果を表した表である。
【図5】必要アルミロール個数を求めた結果を示す表である。
【図6】アルミロール個数の需要予測図である。
【図7】本発明の材料必要量予測方法の各ステップを表すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。本発明は、コンピュータで実現されるものであり、コンピュータを構成するハードウエア、ソフトウエアによって以下に記載する実施例の各構成要件が実現されるものである。ここで、実施例として、材料板材であるアルミのロールからアルミ板を切り出してアルミ製品を製造する場合を例にとって説明するが、本発明は、この実施例に限定されるものではなく、材料を様々な寸法に切り出して複数の製品を製造する場合一般に適用することができ、更にそれ以外においても、例えば1種類の材料から複数の製品または製品用の中間部品を製造する場合など、様々な場合において広く適用可能である。
【0024】
<装置構成>
本発明の材料必要量予測装置の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の材料必要量予測装置の一実施形態を示す機能ブロック図である。図1に示すように、本発明の材料必要量予測装置は、生産実績データベース10と、寸法諸元データベース12と、販売実績データベース14と、生産実績収集部20と、換算係数計算部22と、販売実績収集部24と、製品量−材料量換算部30と、材料量需要予測部32と、を主に含んで構成される。
【0025】
生産実績データベース10には、製品ごとに、材料である複数種類のアルミロールのうちのどれをどのくらい使用して生産したかの過去生産実績データが格納されており、寸法諸元データベース12には、各製品及びアルミロールの寸法等の諸元データが格納されており、販売実績データベース14には、過去の製品販売実績データが格納されている。生産実績収集部20は、生産実績データベース10から過去の生産実績データを取得する。換算係数計算部22は、生産実績収集部20と、寸法諸元データベース12とから取得したデータに基づいて、製品毎に1ケースあたりに必要とされるアルミロールの個数であってアルミロールの種類により使用される割合で按分された個数を表す換算係数を算出する。ここで、必ずしも1ケースあたりである必要はなく、あらかじめ定めた量あたりであって良く、任意の量を選択することが可能である。販売実績収集部24は、販売実績データベース14から過去の製品販売データを取得する。製品量-材料量換算部30は、換算係数計算部22から取得した換算係数と、販売実績収集部24から取得した販売実績データとに基づいて、過去の製品販売数をアルミロール量に換算した値を算出する。材料量需要予測部32は、製品量−材料量換算部30から取得した過去のアルミロール必要量に基づいて統計的手法により、未来のアルミロール必要量を算出する。
【0026】
<装置動作>
次に、本発明の材料必要量予測装置の動作について、例を用いて詳細に説明する。図2は、生産実績データベース10に格納されている生産実績データの例を示す表である。図3は、寸法諸元データベース12に格納されているアルミロールの寸法データの例を示す表である。
【0027】
図2を参照して、生産実績データベース10に格納されているデータは、製品名毎の、その製品製造に必要なアルミ板の幅のデータ、その幅のアルミ板を切り出すために使用したアルミロールの幅のデータ、切り出すアルミ板の長さであるカット長のデータ、1ケースあたりに必要な切り出したアルミ板の数量であるケースあたりアルミ板数量のデータ、何ケース生産したかを表す生産量のデータ、どの設備を使用したかを表す設備のデータ、である。ここで、製品毎のその製品製造に必要なアルミ板の幅のデータと、カット長のデータとは、寸法諸元データベース12に格納されていても良い。
【0028】
図3を参照して、寸法諸元データベース12に格納されているデータは、材料であるアルミロール毎の、アルミロールの幅と厚みと長さのデータである。
【0029】
図1、図2、図3を参照して、生産実績収集部20は、生産実績データベース10から図2で示されるデータを取得する。換算係数計算部22は、生産実績収集部20から取得した図2で示されるデータと、寸法諸元データベース12から取得した図3で示されるデータとから、製品毎に、1ケースあたりに必要なアルミロールの個数を求め、更に、それにアルミロールの種類別使用割合を加味した換算係数を算出する。
【0030】
1ケースあたりに必要なアルミロール個数(以下ケース換算係数と称する)の算出は、次の計算式を用いて行う。
ケース換算係数=(カット長×ケースあたりアルミ板数量/スリット数量)/アルミロール長さ
ここで、スリット数量とは、アルミ板の幅方向に2以上アルミ板が切り出せる場合において、その幅方向に切り出せるアルミ板数量のことを言う。例えば、使用するアルミロールの幅が、製品に必要なアルミ板の幅の倍の長さがあるときは、アルミロールの幅方向に2つアルミ板が切り出せる。このとき、スリット数量は2になる。
【0031】
次にケース換算係数から換算係数を求める方法は、次の通りである。
換算係数=ケース換算係数×そのアルミロール種類でのケース生産量割合(以下使用割合と称する)
具体的には、換算係数計算部22は、図2、図3のデータを基に、次のように計算を行う。
【0032】
<製品Xについて>
まず図2の生産量のデータから、使用したアルミロールの種類(アルミロールの幅)ごとのケース生産量の割合(使用割合)を求める。すると、生産量100ケース(アルミロール幅560mm)、30ケース(アルミロール幅1120mm)、200ケース(アルミロール幅1210)は、それぞれの使用割合を求めると、30.3%(アルミロール幅560mm)、9.0%(アルミロール幅1120mm)、60.6%(アルミロール幅1210mm)となる。ここで、アルミロール幅1120mmは、使用割合が10%を切っているので、使用していないと考え、それ以外のアルミロール幅560mmとアルミロール幅1210mmの使用割合を求める。すると、33%(アルミロール幅560mm)、66%(アルミロール幅1210mm)となる。
【0033】
なお、ここでは、使用割合が10%を切ったものは削除して考えたが、削除の基準となる割合は、10%に限定されるものではなく、製品毎、状況毎に様々な値をあらかじめ選択することができる。あるいは、製品、状況に応じて変動するようにしても良い。更に、ここでは、10%を切ったものは、削除して残りのアルミロールから使用割合を計算したが、削除するのではなく、例えば、幅の広いアルミロールの方に合算して使用割合を求めても良い。
【0034】
次にケース換算係数を求める。
・製品Xの1ケースあたりに必要な560mm幅のアルミロール数(ケース換算係数)
[600mm(カット長)×30(ケースあたりアルミ板数量)/1(スリット数量)]/(2000m×1000cm/m)(コイル長)=0.009
・製品Xの1ケースあたりに必要な1120mm幅のアルミロール数(ケース換算係数)
上記と同様に計算して、
(600mm×30/2)/(1000m×1000cm/m)=0.009
なお、1120mm幅のアルミロールについては、使用割合が10%以下なので、上述したように使用していないと考えるので、計算する必要はない。ここでは、参考のために計算式を記載した。
・製品Xの1ケースあたりに必要な1210mm幅のアルミロール数(ケース換算係数)
上記と同様に計算して、
(550mm×30/2)/(1000m×1000cm/m)=0.0083
次に、ケース換算係数から換算係数を求める。
・560mm幅のアルミロールの換算係数
0.009(ケース換算係数)×33%(アルミロール幅560mmの使用割合)=0.003
・1210mm幅のアルミロールの換算係数
上記と同様に計算して、
0.0083×66%=0.005
<製品Yについて>
製品Yについても、製品Xと同様にして換算係数を求める。求め方は同じなので、計算式は省略する。
【0035】
このように、製品ごと、アルミロール毎に換算係数を求めた結果を図4に示す。図4は、換算係数を算出した結果を表した表である。このようにして、換算係数計算部22は、換算係数を算出する。
【0036】
続いて、販売実績収集部24は、販売実績データベース14から過去の販売実績データを取得する。製品量−材料量換算部30は、販売実績収集部24から取得した販売実績データと、換算係数計算部22から取得した換算係数と、に基づいて製品毎に必要なアルミロールの個数をアルミロールの種類毎に算出する。
【0037】
算出は次のようにして行う。
必要アルミロール個数=販売出荷実績量×換算係数
具体的には、製品Xの販売出荷実績量が400ケースとすると、
・アルミロール幅560mm
400(販売出荷実績量)×0.003(製品X、アルミロール幅560mmの換算係数)=1.2個
・アルミロール幅1210mm
400(販売出荷実績量)×0.005(製品X、アルミロール幅1210mmの換算係数)=2個
製品Yについては、製品Xと同様の計算を行うだけなので、計算式は省略する。
【0038】
製品量−材料量換算部30は、このようにして必要アルミロール個数を求めるが、求めた結果を図5に示す。図5は、必要アルミロール個数を求めた結果を示す表である。
【0039】
材料量需要予測部32は、製品量−材料量換算部30から得られた各月毎の必要アルミロール個数に基づいて、未来の必要アルミロール個数を予測する。この予測には、市販の需要予測システム、または、ソフトを使用することができ、例えば、日立東日本ソリューションズ製ForecastProなどを好適に使用することができる。
【0040】
未来のアルミロール個数を予測した例を図6に示す。図6は、アルミロール個数の需要予測図である。この図において、横軸は、時間であり、年、月を示す。縦軸は、ある幅のアルミロール個数を示し、実線が、需要実績を表し、点線が需要予測を表す。この図では、例として、2006年9月から2008年11月までの需要実績と、2006年9月から2009年11月までの需要予測を表す。
【0041】
<材料必要量予測方法>
次に本発明の材料必要量予測方法について、図面を参照して説明する。図7は、本発明の材料必要量予測方法の各ステップを表すフロー図である。図7に示すように、生産実績収集部20は、生産実績データベース10から直近の生産実績を指定期間遡って取り込む(S1)。
【0042】
換算係数計算部22は、生産実績収集部20から取得したデータと、寸法諸元データベース12から取得したデータと、から製品品目別に使用板材、すなわち材料板材であるアルミロールのサイズとその使用量を抽出する(S2)。
【0043】
換算係数計算部22は、新しいサイズの材料板材と従来のサイズの材料板材との入れ替えがあるか否かを判断する(S3)。この判断は、オペレータからの入力情報に基づいて行っても良いし、ネットワーク通信により、他のコンピュータ等から入れ替えに関する情報を入手することによって行っても良い。判断の結果、新しいサイズの入れ替えがないと判断されたら、ステップS6から実行を行い、入れ替えがある場合は、S4のステップから実行する。
【0044】
入れ替えがあると判断されたとき、新しいサイズの材料板材を加工可能な生産設備に生産配分を行う計算を実施する(S4)。
【0045】
ステップS4にて新しいサイズの材料板材を生産配分された生産設備での新サイズの材料板材の生産可能量を算出する(S5)。
【0046】
換算係数計算部22は、取得した生産量のデータから各板材サイズの使用割合を算出する(S6)。換算係数計算部22は、算出した使用割合があらかじめ定められた規定比率以上か否かの判断を行う(S7)。
【0047】
規定比率以上の場合は、ステップS9を実行する。規定比率以上でない場合は、使用比率が規定を下回った板材サイズの使用割合については、1回り大きいサイズの板材の使用割合に合算する(S8)。ここで、1回り大きいサイズの板材の使用割合に合算するのではなく、上述したように、その板材は削除して、それ以外の板材のみで使用割合を算出し直しても良い。
【0048】
換算係数計算部22は、次に、製品1ケースあたりに必要な材料板材数であるケース換算係数を求め(S9)、そのケース換算係数から、1製品あたりの材料板材種類の使用割合を加味した換算係数を求める(S10)。
【0049】
製品量−材料量換算部30は、販売実績収集部24が販売実績データベース14から取得した販売情報と、換算係数計算部22が算出した換算係数とから、過去の製品販売実績を、過去必要とされた板材数量に変換する(S11)。
【0050】
材料量需要予測部32は、製品量−材料量換算部30が算出した過去必要とされた板材数量に統計的手法を適用して、未来の板材材料必要量を算出する。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の材料必要量予測装置及び材料必要量予測方法は、コンピュータのCPU、メモリ、記憶装置、ディスプレイ、入出力デバイス等を含むハードウエア資源上に構築されたOS、アプリケーション、データベース、プログラム等によって実現されるものであり、過去の販売実績、生産実績、製品サイズ、材料サイズ等の情報に基づいて未来の材料必要量を予測するという情報処理が上記のハードウエア資源を用いて具体的に実現されるものであるから、自然法則を利用した技術的思想に該当するものであり、生産管理等の分野ならば、どの分野においても利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
10:生産実績データベース、12:寸法諸元データベース、14:販売実績データベース、20:生産実績収集部、22:換算係数計算部、24:販売実績収集部、30:材料量換算部、32:材料量需要予測部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品ごとに1以上のサイズで切り出される1以上の種類の材料の必要量を予測する材料必要量予測装置であって、
前記製品ごとに、使用した前記材料の種類と、量と、前記種類ごとの使用割合と、を表す過去の生産実績データが格納された生産実績データベースと、
前記材料の寸法データ及び前記製品の寸法データが格納された寸法諸元データベースと、
前記製品の過去の販売実績データが格納されている販売実績データベースと、
前記生産実績データベースから過去の生産実績データを取得する生産実績収集部と、
前記生産実績収集部から取得した過去の生産実績データと、前記寸法諸元データベースから取得した前記製品及び前記材料の寸法データと、に基づいて、前記製品の単位数ごとに必要とされる前記材料の数量であって前記使用割合によって按分された数量である換算係数を算出する換算係数計算部と、
前記販売実績データベースから過去の販売実績データを取得する販売実績収集部と、
前記換算係数計算部から取得した前記換算係数、及び、販売実績収集部から取得した前記販売実績データ、に基づいて、過去販売された製品数だけ製品を製造するのに必要な前記材料の種類ごとの数量を算出する製品量−材料量換算部と、
前記製品量−材料量換算部で算出された前記材料の種類ごとの数量に基づいて、未来の材料の予測必要量を算出する材料量需要予測部と、
を備えた材料必要量予測装置。
【請求項2】
製品ごとに1以上のサイズで切り出される1以上の種類の材料の必要量を予測する材料必要量予測方法であって、
コンピュータが、生産実績データベースから前記製品ごとに使用した前記材料の種類と、量と、前記種類ごとの使用割合と、を表す過去の生産実績データを取得する生産実績取得ステップと、
コンピュータが、前記生産実績取得ステップで取得した過去の生産実績データと、寸法諸元データベースから取得した前記製品及び前記材料の寸法データと、に基づいて、前記製品の単位数ごとに必要とされる前記材料の数量であって前記使用割合によって按分された数量である換算係数を算出する換算係数計算ステップと、
コンピュータが、販売実績データベースから過去の販売実績データを取得する販売実績取得ステップと、
コンピュータが、前記換算係数計算ステップで取得した前記換算係数、及び、販売実績取得ステップで取得した前記販売実績データ、に基づいて、過去販売された製品数だけ製品を製造するのに必要な前記材料の種類ごとの数量を算出する製品量−材料量換算ステップと、
前記製品量−材料量換算ステップで算出した前記材料の種類ごとの数量に基づいて、未来の材料の予測必要量を算出する材料量需要予測ステップと、
を備えた材料必要量予測方法。
【請求項3】
コンピュータに、製品ごとに1以上のサイズで切り出される1以上の種類の材料の必要量を予測させる材料必要量予測プログラムであって、
コンピュータに、生産実績データベースから前記製品ごとに使用した前記材料の種類と、量と、前記種類ごとの使用割合と、を表す過去の生産実績データを取得させる生産実績取得ステップと、
コンピュータに、前記生産実績取得ステップで取得した過去の生産実績データと、寸法諸元データベースから取得した前記製品及び前記材料の寸法データと、に基づいて、前記製品の単位数ごとに必要とされる前記材料の数量であって前記使用割合によって按分された数量である換算係数を算出させる換算係数計算ステップと、
コンピュータに、販売実績データベースから過去の販売実績データを取得させる販売実績取得ステップと、
コンピュータに、前記換算係数計算ステップで取得した前記換算係数、及び、販売実績取得ステップで取得した前記販売実績データ、に基づいて、過去販売された製品数だけ製品を製造するのに必要な前記材料の種類ごとの数量を算出させる製品量−材料量換算ステップと、
前記製品量−材料量換算ステップで算出させた前記材料の種類ごとの数量に基づいて、未来の材料の予測必要量を算出させる材料量需要予測ステップと、
を備えた材料必要量予測プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate