説明

材料試験方法

【課題】材料試験において、試験片の弾性限界点を確実に精度よく検出する。
【解決手段】試験片Hに対し材料試験を行う材料試験機1が実行する材料試験方法であって、試験片Hに荷重を順次負荷して応力−歪み曲線上の測定点を検出するステップS5と、測定開始点近傍となる低荷重領域の範囲を決定するステップS10と、複数の測定点に関し、グラフ上において測定開始点(原点)と各測定点とを含む測定点直線の傾き値を、線形近似によりそれぞれ算出するステップS305と、低荷重領域以外の各測定点での傾き値の最大値である最大傾き値変数Emaxが、低荷重領域の各測定点での傾き値の最大値である低荷重領域最大値Eよりも大きいかどうかを判定するステップS40と、判定が満たされた場合に、最大傾き値変数Emaxを与える測定点を弾性限界点として決定するステップS45と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引張試験又は圧縮試験などの試験結果に基づいて試験片の弾性限界点を決定する材料試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、冶金、材料工学の発達に伴い、金属・非金属に係わらず多様な材料素材の開発が進んでいる。新しい材料を機械要素や構造部材として工学的に用いるに当たっては、予めその材料の機械的特性を評価する必要がある。代表的な評価方法の一つとして、引張・圧縮試験等の測定結果から得られる応力−歪み曲線での特性評価がある。この応力−歪み曲線を用いた特性評価では、材料力学上又は構造力学上で重要とされる当該材料の弾性限界点、弾性率、及び降伏点等を評価することができる。特に、弾性変形と塑性変形の境界となる弾性限界点を高い精度で把握することは、材料設計指標を確立する上で極めて重要である。
【0003】
上記の特性評価を行うための従来技術として、例えば特許文献1記載の材料試験機が公知である。この従来技術では、試験片に負荷した試験力とそれによる変位とがそれぞれ応力と歪みに変換され、オペレーションパネル上に当該試験片の応力−歪み曲線として表示される。そして、材料試験実行者が、その応力−歪み曲線上の一点あるいは数点を、指、マウスあるいはポインティングデバイスにより指定することにより、その点に対応する応力及び歪みの値を取得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−214095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、応力−歪み曲線上における弾性限界点を、材料試験実行者が目視と手作業により指定するので、再現性が低い。この結果、任意判断による人為的なバラツキが生じやすく、高い精度で弾性限界点を求めるのは困難である。また、材料によっては応力−歪み曲線上に明確な曲点や起伏がない場合も多く、そのような場合には、特にバラツキが生じやすくなる。
【0006】
本発明の目的は、材料試験において、試験片の弾性限界点を確実に精度よく検出できる材料試験方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明は、試験片に対し材料試験を行う材料試験機が実行する材料試験方法であって、前記試験片に対し、引張荷重若しくは圧縮荷重を順次負荷して試験片を変形させて、各荷重から得られる試験力に対応する変位量をそれぞれ取得する測定手順と、前記測定手順での取得結果に基づき、変位量から歪みを、試験力から応力をそれぞれ算出した後、横軸に歪みをとり縦軸に応力をとったグラフ上に複数の測定点を位置づける測定点収集手順と、前記複数の測定点のうち、前記グラフ上で前記測定開始点近傍となる低荷重領域の範囲を決定する低荷重条件を取得する低荷重領域取得手順と、前記測定点収集手順で位置づけられた前記複数の測定点に関し、前記グラフ上において測定開始点と各測定点とを含む直線の傾き値を、線形近似によりそれぞれ算出する第1傾き取得手順と、前記第1傾き取得手順において、前記グラフ上の前記低荷重領域に含まれる各測定点に関して取得された複数の傾き値のうちの最大値である第1低荷重領域最大値と、前記グラフ上の前記低荷重領域以外の通常荷重領域に含まれる各測定点に関して取得された複数の傾き値のうちの最大値である第1通常荷重領域最大値と、を比較し、前記第1通常荷重領域最大値が前記第1低荷重領域最大値よりも大きいかどうかを判定する第1傾き判定手順と、前記第1傾き判定手順による判定が満たされた場合に、前記第1通常荷重領域最大値を与える前記測定点を弾性限界点として決定する第1決定手順と、を有することを特徴とする。
【0008】
一般に、試験片に材料試験を実行し、横軸に歪みをとり縦軸に応力をとったグラフ上に複数の測定点をプロットすると、それらを結ぶように描いた特性線において、歪みの増大と共に応力が増大する弾性変形領域と、歪みが増大しても応力がほとんど増大しない塑性変形領域とが現れる。弾性変形領域では、測定開始点からほぼ右上がりの傾きの直線状の特性となり、塑性変形領域では、弾性変形領域より右側において傾きの少ない特性となる。また、弾性変形領域のうち、特に測定開始直後の測定開始点近傍には、荷重が不安定で歪みのみが増大する低荷重領域があり、この低荷重領域では弾性変形領域の他の部分よりも傾きが緩やかな特性となる。
【0009】
上記弾性変形領域と塑性変形領域との境界が当該試験片の弾性限界点となる。本願第1発明では、弾性限界点を明確に見つけ出すために、グラフ上において測定開始点(例えばグラフ上の原点又はその近傍の点)から各測定点までを結ぶ直線の傾きに着目する。
【0010】
すなわち、上述のように、弾性変形領域では歪みの増大と共に右上がりの直線状の特性となるが、測定開始直後には傾きが緩やかな上記低荷重領域が介在することから、測定開始点から弾性変形領域(低荷重領域を除く)に属する各測定点までの上記直線の傾きは、歪みの増大側(グラフ上の右側)に属する測定点ほど大きくなる挙動となる。一方、弾性変形領域を過ぎて塑性変形領域となると、上記のように歪みが増大しても応力がほとんど増大しないことから、測定開始点から塑性変形領域に属する各測定点までの上記直線の傾きは、弾性変形領域よりも小さくなる。つまり、測定開始後から、低荷重領域→低荷重領域以外の弾性変形領域→塑性変形領域の順で測定が進む際、上記直線の傾きは、増大→ピーク値→減少という挙動をたどることとなる。したがって、増大から減少へと転じるピーク値、すなわち直線の傾きが最大値をとる測定点が、弾性変形領域から塑性変形領域へ転じる境界点、すなわち弾性限界点とみなすことができるのである。
【0011】
本願第1発明においては、上記に鑑み、測定点収集手順でプロットした複数の測定点のそれぞれについて、第1傾き取得手順で、上記測定開始点からの直線の傾き値を算出する。上記のように、弾性限界点の検出のためには、上記直線の傾きが最大値となる測定点を見つけ出せばよいが、前述したようにその際には低荷重領域を除外して処理する必要がある。そこで、第1傾き判定手順で、低荷重領域での最大値である第1低荷重領域最大値と、それ以外の通常荷重領域(低荷重領域以外の弾性変形領域と塑性変形領域とに相当する)の最大値である第1通常荷重領域最大値とが、比較される。そして、第1通常荷重領域最大値が大きかった場合には、低荷重領域を除外した処理が実行できた(言い換えれば低荷重領域を明確に識別することができた)とみなされて、第1決定手順で、当該第1通常荷重領域最大値を与える測定点が弾性限界点として決定される。
【0012】
以上のようにして、本願第1発明においては、材料試験において、試験片の弾性限界点を確実に精度よく検出することができる。その際、測定開始点から測定点までの直線の傾きの値を検出基準としているので、従来手法のように、材料試験実行者の任意判断による人為的なばらつきが生じることがない。
【0013】
第2発明は、上記第1発明において、前記第1傾き判定手順による判定が満たされなかった場合に、前記測定点収集手順で前記グラフ上に位置づけられた前記複数の測定点に対し、所定の一次平滑化処理を適用する一次平滑化手順と、前記一次平滑化手順により前記一次平滑化処理が行われた前記複数の測定点に関し、前記グラフ上において前記測定開始点と各測定点とを含む直線の傾き値を、線形近似によりそれぞれ算出する第2傾き取得手順と、前記第2傾き取得手順において、前記グラフ上の前記低荷重領域に含まれる各測定点に関して取得された複数の傾き値のうちの最大値である第2低荷重領域最大値と、前記グラフ上の前記低荷重領域以外の通常荷重領域に含まれる各測定点に関して取得された複数の傾き値のうちの最大値である第2通常荷重領域最大値と、を比較し、前記第2通常荷重領域最大値が前記第2低荷重領域最大値よりも大きいかどうかを判定する第2傾き判定手順と、前記第2傾き判定手順による判定が満たされた場合に、前記第2通常荷重領域最大値を与える前記測定点を弾性限界点として決定する第2決定手順と、を有することを特徴とする。
【0014】
第1傾き判定手順で、低荷重領域の第1低荷重領域最大値が通常荷重領域の第1通常荷重領域最大値より大きく判定が満たされなかった場合には、その時点でのグラフ上の測定点の態様では、グラフ上に明確な変曲点がなかったり測定ノイズの影響が大きかったりして低荷重領域が明確に識別できなかったことを意味する。そこで、本願第2発明においては、第1傾き判定手順での判定が満たされなかった場合には、一次平滑化手順で、各測定点のデータに対し、所定の一次平滑化処理を実行する。そして、その一次平滑化処理がなされた測定点に対し、第1傾き取得手順と同等の第2傾き取得手順、第1傾き判定手順と同等の第2傾き判定手順、及び、第1決定手順と同等の第2傾き決定手順、を順次実行することで、低荷重領域をより識別できるようにし、当該識別した低荷重領域を処理対象から除外して、弾性限界点をより高い確率で求めることができる。
【0015】
第3発明は、上記第2発明において、前記一次平滑化手順では、前記複数の測定点に関し、前記一次平滑化処理として、移動平均算出処理、高速フーリエ変換処理、及びフィルタリング処理のうち少なくとも1つの処理を実行することを特徴とする。
【0016】
一次平滑化処理として、移動平均算出処理、高速フーリエ変換処理、フィルタリング処理等を用いることで、公知の手法によって容易により確実に弾性限界点を見つけ出すことができる。
【0017】
第4発明は、上記第2又は第3発明において、前記第2傾き判定手順による判定が満たされなかった場合に、前記一次平滑化手順により前記一次平滑化処理が行われた前記複数の測定点に対し、所定の二次平滑化処理を適用する二次平滑化手順と、前記二次平滑化手順により前記二次平滑化処理が行われた前記複数の測定点に関し、前記グラフ上において前記測定開始点と各測定点とを含む直線の傾き値を、線形近似によりそれぞれ算出する第3傾き取得手順と、前記第3傾き取得手順において、前記グラフ上の前記低荷重領域に含まれる各測定点に関して取得された複数の傾き値のうちの最大値である第3低荷重領域最大値と、前記グラフ上の前記低荷重領域以外の通常荷重領域に含まれる各測定点に関して取得された複数の傾き値のうちの最大値である第3通常荷重領域最大値と、を比較し、前記第3通常荷重領域最大値が前記第3低荷重領域最大値よりも大きいかどうかを判定する第3傾き判定手順と、前記第3傾き判定手順による判定が満たされた場合に、前記第3通常荷重領域最大値を与える前記測定点を弾性限界点として決定する第3決定手順と、を有することを特徴とする。
【0018】
第2傾き判定手順で、低荷重領域の第2低荷重領域最大値が通常荷重領域の第2通常荷重領域最大値より大きく判定が満たされなかった場合には、一次平滑化処理を行った後でも、依然として低荷重領域が明確に識別できなかったことを意味する。そこで、本願第4発明においては、二次平滑化手順で、各測定点のデータに対し、さらに所定の二次平滑化処理を実行する。そして、その二次平滑化処理がなされた測定点に対し、第1及び第2傾き取得手順と同等の第3傾き取得手順、第1及び第2傾き判定手順と同等の第3傾き判定手順、及び、第1及び第2決定手順と同等の第3傾き決定手順、を順次実行することで、低荷重領域を確実に識別できるようにして処理対象から除外し、弾性限界点を確実に求めることができる。
【0019】
第5発明は、上記第4発明において、前記二次平滑化手順では、前記複数の測定点に関し、前記二次平滑化処理として、移動平均算出処理、高速フーリエ変換処理、及びフィルタリング処理のうち少なくとも1つの処理を実行することを特徴とする。
【0020】
二次平滑化処理として、移動平均算出処理、高速フーリエ変換処理、フィルタリング処理等を用いることで、公知の手法によって容易にさらに確実に弾性限界点を見つけ出すことができる。
【0021】
第6発明は、上記第5発明において、前記一次平滑化手順では、前記複数の測定点に関し、前記一次平滑化処理として、移動平均算出処理を実行し、前記二次平滑化手順では、前記複数の測定点に関し、前記二次平滑化処理として、高速フーリエ変換処理及びフィルタリング処理を実行することを特徴とする。
【0022】
一次平滑化処理として移動平均算出処理を用い、二次平滑化処理として高速フーリエ変換処理及びフィルタリング処理を用いることで、公知の手法を順次適用し容易かつ確実に弾性限界点を見つけ出すことができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、材料試験において、試験片の弾性限界点を確実に精度よく検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態に係る材料試験方法を実現する材料試験機の一構成例を概略的に示した図である。
【図2】材料試験機のシステム構成例を示すブロック図である。
【図3】応力−歪み曲線の各種例を示す図である。
【図4】実際の材料試験により得られる応力−歪み曲線の測定開始点近傍を拡大して示した図である。
【図5】実際の材料試験におけるつかみ具の把持の変化を示す図である。
【図6】本実施形態の解析方法を説明する図である。
【図7】弾性限界点を誤判定する原因について説明する図である。
【図8】検出したままの測定データで弾性限界点を検出するために、計測制御装置のCPUによって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図9】移動平均算出処理された測定データで弾性限界点を検出するために、計測制御装置のCPUによって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図10】高速フーリエ変換処理及びフィルタリング処理された測定データで弾性限界点を検出するために、計測制御装置のCPUによって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図11】高速フーリエ変換処理及びフィルタリング処理された測定データで弾性限界点を検出するために、計測制御装置のCPUによって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図12】図8、図9、図11中のステップS300において実行される最大傾き値抽出処理の詳細手順を表すフローチャートである。
【図13】測定データが比較的安定している場合の弾性限界点の判定例を示す図である。
【図14】測定データに測定ノイズが入っている場合の弾性限界点の判定例を示す図である。
【図15】測定データに固有振動が入っている場合の弾性限界点の判定例を示す図である。
【図16】従来の解析方法と本発明による解析方法とを比較して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0026】
図1は、本実施形態の材料試験方法を実現する材料試験機の一構成例を概略的に示した図である。なお、この材料試験機は、試験片に対して引張荷重を負荷することで、当該試験片に生じる応力と歪みの関係を測定する引張試験機として構成した場合の例を示している。
【0027】
図示する材料試験機1は、固定台2と、モータ3と、3つの歯車4,5,6と、一対の送りネジ7,8と、クロスヘッド9と、一対のつかみ具10,11と、荷重センサ12と、変位センサ13と、計測制御装置14と、操作端末15とを有している。
【0028】
固定台2は、全体が十分な剛性を有する基台であり、この例ではその内部に上記モータ3が設置されている。モータ3は、試験片Hに対して負荷する引張荷重の動力源であり、その出力軸に一つの上記歯車4が固定されている。
【0029】
一対の送りネジ7,8は、互いに平行に配置されて上記固定台2の上面を貫通している。これら一対の送りネジ7,8には同じ方向にネジ歯が形成されている。そして、固定台2の内部における各下端部に、互いに同じ歯数の2つの歯車5,6が固定されている。それら2つの歯車5,6が、上記モータ3の出力軸に固定された歯車4に噛合していることで、当該モータ3の駆動により一対の送りネジ7,8が同じ回転方向、同じ回転速度で回転する。
【0030】
クロスヘッド9は、上記一対の送りネジ7,8の両方に螺合されており、上記モータ3の回転駆動により昇降移動可能となっている。
【0031】
一対のつかみ具10,11は、それぞれ試験片Hの端部を把持して固定することができる。一方のつかみ具10が固定台2の上面に固定され、他方のつかみ具11がクロスヘッド9の下面に固定されて、互いに対向するよう配置されている。
【0032】
荷重センサ12は、クロスヘッド9に設けられており、当該クロスヘッド9側に固定されたつかみ具11に負荷されている荷重を検出する。
【0033】
変位センサ13は、例えばロータリエンコーダなどで構成されている。そして、変位センサ13は、一方の送りネジ8の回転量を検出することで、クロスヘッド9及びそれに固定されたつかみ具11の移動量を検出する。
【0034】
計測制御装置14は、上記モータ3に対する駆動制御や、上記荷重センサ12及び上記変位センサ13の検出値の計測を行うことで、試験片Hの引張特性を解析する。操作端末15は、この計測制御装置14の操作と計測・解析結果の出力を行う。
【0035】
以上の構成の材料試験機1において、対向配置された一対のつかみ具10,11でそれぞれ試験片Hの両端部を把持固定し、操作端末15の操作により計測制御装置14がモータ3の駆動制御を行う。これにより、クロスヘッド9を上昇移動させることで、試験片Hに引張荷重の試験力を負荷することができる。そして、計測制御装置14は、クロスヘッド9が上昇移動している間の荷重センサ12の検出値から引張荷重の試験力を計測するとともに、同じ時刻に対応する変位センサ13の検出値から試験片Hの変位量を計測できる。そして計測制御装置14は、それら対応する引張荷重と変位量とをそれぞれ試験片Hにおける応力と歪みに変換して、後述する応力−歪み曲線の取得と解析を行い、それらの結果を操作端末15に出力する。
【0036】
図2は、本実施形態の材料試験機1のシステム構成例を示すブロック図である。
【0037】
この図2において、材料試験機1は、上述したように、システム構成上では、計測制御装置14、モータ3、荷重センサ12、変位センサ13、及び操作端末15を有している。
【0038】
計測制御装置14は、CPU21、ROM22、RAM23、及び入出力インターフェース24を有している。
【0039】
CPU21は、いわゆるマイクロコンピュータであり、RAM23の一時記憶機能を利用しつつROM22に予め記憶されたプログラムに従って各種の演算を行う。そして、CPU21は、他の各部との間で情報の交換や各種の制御指示を出力することで、材料試験機1全体を制御する。
【0040】
ROM22は、後述する各種の処理プログラムやその他必要な情報が予め書き込まれた情報記憶媒体である。RAM23は、上記各種のプログラムを実行する上で必要な情報の書き込み及び読み出しが行われる情報記憶媒体である。
【0041】
入出力インターフェース24は、CPU21と、計測制御装置14の外部機器である荷重センサ12、変位センサ13、モータ3、及び操作端末15との間の信号の送受を行う。
【0042】
なお、本実施形態の例では、計測制御装置14と操作端末15とをそれぞれ別体で設けたが、本発明はこれに限られず、例えば一体のパーソナルコンピュータで構成してもよい。
【0043】
次に、応力−歪み曲線を用いた一般的な材料特性の評価方法について説明する。図3(a)は理想的な応力−歪み曲線の例を示す図であり、図3(b)は明確な弾性限界点が無い応力−歪み曲線の例を示す図であり、図3(c)は測定ノイズが顕著な場合の応力−歪み曲線の例を示す図である。
【0044】
上記材料試験機1を用いて試験片Hに材料試験を実行し、横軸に歪みをとり縦軸に応力をとったグラフ上に複数の測定点をプロットしてそれらを結ぶと、図示するような応力−歪み曲線が得られる。そのうち、例えば一般的な鋼材料などの試験片では、図3(a)のように明確な起伏や曲点を有する理想的な応力−歪み曲線が得られる。
【0045】
この理想的な応力−歪み曲線において、まず最初に、歪みと応力がともに0である測定開始点(図中のグラフの原点)から歪みを増加させて図中のA点に至るまでの間は、応力もほぼ線形的に比例して増加させることができる(この点の実際的かつ正確な特徴については後に詳述する)。そしてこの測定開始点とA点の間では、応力を減少させても歪みと応力の比例関係が維持され、試験片Hへ負荷する試験力を完全に除去して応力を0とした際には歪みも0となって当該試験片Hの長さを可逆的に元の長さに戻すことができる。このことから、測定開始点からA点までの間の領域を特に弾性変形領域という。このように、弾性変形領域においては歪みと応力の線形的な比例関係が維持されることから、応力−歪み曲線の傾きはほぼ一定の弾性率として算出される。
【0046】
そして、上記A点からさらに歪みを増加させると、応力−歪み曲線の傾きが減少して歪みと応力の比例関係が損なわれる。さらに歪みの増加を進めると、B点を頂点として応力が減少した後、C点の通過後に再度応力が増加する。このC点の通過後には、上記弾性率と比較して緩やかに応力を増加させ、D点を頂点として再び応力が緩やかに減少した後、E点で試験片Hが破断する。なお、一度でもA点より歪みを増加させた場合には、試験片Hが塑性変形してしまい、その後に当該試験片Hへ負荷する試験力を完全に除去して応力を0としても歪みが残留して元の長さに戻らない。このことから、A点から歪みを増加させた領域を特に塑性変形領域という。
【0047】
一般に、弾性変形領域と塑性変形領域との境界である上記A点を弾性限界点といい、上記B点を上降伏点、上記C点を下降伏点、上記D点を最大点、上記E点を破断点とそれぞれいう。このうち、当該試験片Hの材料を工学部品に用いる上で、その形状や弾性を維持できるよう設計するために、上記弾性限界点を高い精度で検出することが特に重要である。
【0048】
しかし、上記図3(a)に示したような理想的な応力−歪み曲線を示す材料は少なく、ほとんどの材料では図3(b)に示すように明確な曲点や起伏がない応力−歪み曲線を示す場合が多い。図3(b)に示す例では、歪みの増大と共に応力が増大する上記弾性変形領域と、歪みが増大しても応力がほとんど増大しない上記塑性変形領域とが現れる。弾性変形領域では、測定開始点からほぼ右上がりの傾きの直線状の特性となり(この点の実際的かつ正確な特徴については後に詳述する)、塑性変形領域では、弾性変形領域より右側において傾きの少ない特性となる。しかし、これら弾性変形領域と塑性変形領域との境界が明確でないため、材料試験実行者が目視によって明確に弾性限界点を特定することが難しい。
【0049】
また、実際の測定では各センサ12,13の検出値にノイズや固有振動が入る場合が多く、そのため図3(c)に示すように応力−歪み曲線に局部的なゆがみが生じてしまうことから、弾性限界点を誤判定する可能性が高い(後の図7参照)。
【0050】
本実施形態の材料試験機1では、上述したように応力−歪み曲線に明確な曲点や起伏がない場合や、測定ノイズが入っている場合であっても、材料試験実行者の人為的なバラツキがなく定量的に精度の高い弾性限界点を検出する。
【0051】
ここで、実際の応力−歪み曲線に発生する低荷重領域について説明する。
【0052】
図4は、実際の材料試験により得られる応力−歪み曲線における、測定開始点近傍を示した図である。この図4において、実際の材料試験により得られる応力−歪み曲線では、その弾性変形領域のうち、特に測定開始直後の測定開始点近傍には、荷重が不安定で歪みのみが増大する低荷重領域が存在する。この低荷重領域では、弾性変形領域の他の部分よりも傾きが緩やかな特性となる(拡大部分参照)。
【0053】
この低荷重領域の発生は、材料試験機1のつかみ具10,11における試験片Hの機械的な把持構成に起因するものである。例えば本実施形態の材料試験機1のように引張荷重試験を行う場合、図5(a)に示すように、一対のつかみ具31,32が試験片H2の両端を把持固定した状態で、一方のつかみ具32(図示する例の右側のつかみ具;上記図1の場合は上方のつかみ具11)を移動させる。その際、初期的に当該一方のつかみ具32が把持している試験片H2の表面に剪断力が生じてわずかな位置ズレF1が発生してしまい、その間は引張荷重が正確に負荷されない。しかし、その後すぐに当該一方のつかみ具32による試験片H2の把持が安定し、引張荷重が正確に負荷される。このようにしてつかみ具32と試験片H2との間に初期的な位置ズレF1が生じることで、応力−歪み曲線の測定開始点近傍には上記低荷重領域が短く発生する。
【0054】
また、本実施形態の材料試験機1が行う引張試験とは異なるが、図5(b)に示すように、試験片H3の両端部と中央部とをそれぞれの支持点33,34,35で対向するよう支持し、中央部の支持点35に荷重を負荷して行う圧縮試験もある。この場合も、得られる応力−歪み曲線に上記低荷重領域が発生する。すなわち、どのような試験片H3でも完全な直線形状に形成されることはあり得ず、わずかな撓みを潜在的に形成している。このため、中央部の支持点35を移動させた際には、初期的にその試験片H3の潜在的な撓みF2を補正する方向で当該支持点35が移動するだけで荷重が正確に負荷されない。しかし、その後すぐに潜在的な撓みがなくなり、荷重が正確に負荷される。このようにして支持点33,34,35と試験片H3との間に初期的な撓み補正が行われることで、応力−歪み曲線の測定開始点近傍には上記低荷重領域が短く発生する。
【0055】
これら低荷重領域の発生は、材料試験機1において試験対象の試験片を着脱して交換可能とする機械的構成を取る限り、必然的に生じるものである。したがって、上記図示したもの以外のどのような把持構成(支持構成)であっても、領域幅の程度の差はあれ低荷重領域自体の発生は不可避である。
【0056】
本実施形態の材料試験機1は、このようにして発生する低荷重領域を利用して応力−歪み曲線の解析を行い、上記弾性限界点の検出を行う。その解析方法の基本原理としては、図6に示すように、弾性限界点を明確に見つけ出すために、グラフ上において測定開始点(例えばグラフ上の原点又はその近傍の点)から、応力−歪み曲線上の各測定点までを結ぶ直線(以下、測定点直線という)の傾きに着目する。
【0057】
すなわち、応力−歪み曲線は、上述のように、弾性変形領域では歪みの増大と共に右上がりの直線状の特性となる。しかしながら、測定開始直後には傾きが緩やかな上記低荷重領域が介在することから、測定開始点から、低荷重領域を除く上記弾性変形領域に属する各測定点までの、上記測定点直線の傾きは、歪みの増大側(グラフ上の右側)に属する測定点ほど大きくなる挙動となる。一方、弾性変形領域を過ぎて塑性変形領域となると、応力−歪み曲線上では上記のように歪みが増大しても応力がほとんど増大しないことから、測定開始点から塑性変形領域に属する各測定点までの上記測定点直線の傾きは、弾性変形領域よりも小さくなる。
【0058】
つまり、測定開始後から、低荷重領域→低荷重領域以外の弾性変形領域→塑性変形領域、の順で測定が進む際、上記測定点直線の傾きは、増大→ピーク値→減少という挙動をたどることとなる。したがって、増大から減少へと転じるピーク値、すなわち測定点直線の傾きが最大値をとる測定点が、弾性変形領域から塑性変形領域へ転じる境界点、すなわち弾性限界点とみなすことができる。
【0059】
ここで、例えば、図7(a)に示すように、低荷重領域も含めた弾性変形領域の全体において、応力−歪み曲線上で歪みの増加に伴い応力が単調増加する場合には、上述した解析方法だけで正しく弾性限界点を検出できる。ところが、上記図3(c)で説明したように、応力−歪み曲線に測定ノイズや固有振動が入っている場合がある。但し、この場合でも、図7(b)に示すように、低荷重領域も含めた弾性変形領域において、応力−歪み曲線上にノイズによる極大点が存在している場合には、それより歪みを増大させた際にその極大点よりも応力が急激に増加するので、上述した解析方法だけで正しく弾性限界点を検出できる。
【0060】
しかしながら、例えば、図7(c)に示すように、弾性変形領域の中の特に測定開始点の近傍において、応力−歪み曲線上に極大点が存在している場合には、当該極大点がグラフの横軸方向(歪みの方向)で測定開始点と近接している。ことから、当該極大点での応力がさほど大きくなくとも対応する測定点直線の傾きが非常に大きくなってしまう。これと比較して、弾性限界点はグラフの横軸方向で測定開始点から離間していることから、弾性限界点での測定点直線の傾きが上記極大点での測定点直線の傾きよりも小さくなってしまう場合がある。この場合、上述した解析方法だけでは、上記極大点を弾性限界点として誤判定する可能性がある。
【0061】
そこで本実施形態では、このような測定ノイズや固有振動による誤判定に対処する方法として、上記測定点直線の傾きの値を最小二乗法による近似直線から算出することを基本とする。そして、必要に応じて、移動平均算出処理による測定ノイズの平滑化と、高速フーリエ変換処理及びフィルタリング処理による測定ノイズ及び固有振動の除去とのうち、少なくとも一つを、測定データに対して実行する。
【0062】
詳細には、まず最初に各センサ12,13から検出したそのままの各測定データに対して、それぞれ最小二乗法による線形近似で測定点直線の傾き値を算出する。その後、それら傾き値をそのまま利用した場合に、弾性限界点を誤判定する可能性があるか否か、つまり、上記図7(c)に示したように測定開始点の近傍で過大な極大点があるか否か、を判定する。それら算出した傾き値に弾性限界点を誤判定する可能性がないと判定した場合には、そのまま傾き値の最大値を求めて対応する弾性限界点を検出する。
【0063】
一方、上記傾き値に誤判定の可能性があると判定した場合には、次に、元の各測定データに対して移動平均算出処理(一次平滑化処理)による測定ノイズの平滑化を行う。その後、それぞれ最小二乗法による線形近似で測定点直線の傾き値を算出し、再び誤判定の可能性を判定する。誤判定の可能性がないと判定した場合には、傾き値の最大値を求めて対応する弾性限界点を検出する。
【0064】
上記傾き値に誤判定の可能性があると再び判定した場合には、次に、上記移動平均算出処理による平滑化を行った各測定データに対して、さらに高速フーリエ変換処理(二次平滑化処理)及びフィルタリング処理(二次平滑化処理)による測定ノイズ及び固有振動の除去を行う。その後に、それぞれ最小二乗法による線形近似で測定点直線の傾き値を算出し、再び誤判定の可能性を判定する。誤判定の可能性がないと判定した場合には傾き値の最大値を求めて対応する弾性限界点を検出する。上記傾き値に誤判定の可能性があるとさらに判定した場合には、測定ノイズ及び固有振動の除去は困難であるとして、当該測定データに対する解析を断念する。
【0065】
図8〜図12に示すフローチャートは、以上説明した内容の解析処理を実行するために、計測制御装置14のCPU21によって実行される制御手順を表したものである。
【0066】
図8は、検出したままの測定データで弾性限界点を検出するために、計測制御装置14のCPU21によって実行される制御手順を表すフローチャートである。例えば、予め所定の試験片Hをつかみ具10,11に把持固定させて材料試験の準備が整った状態で、操作端末15に材料試験の実行を開始するよう所定の操作が行われた際にこのフローが開始される。
【0067】
まず、ステップS5で、CPU21は、材料試験を開始して、変位センサ13から検出される歪み値(α、α、・・・αn−1)、及び荷重センサ12から検出される応力値(β、β、・・・βn−1)を、それぞれ測定順で各測定点の横軸座標(X、X、・・・Xn−1)及び縦軸座標(Y、Y、・・・Yn−1)に入力する。つまり、各測定データの歪み値と応力値を、それぞれ歪み−応力グラフ上の座標データとして設定する。
【0068】
その後、ステップS10へ移り、CPU21は、低荷重領域範囲設定値jに、この場合の低荷重条件値aを入力設定する。なお、この低荷重条件値aは、本実施形態の材料試験機1における試験方法(引張・圧縮)、つかみ具10,11の機械構成、及びサンプリング周波数又はサンプリング幅などの仕様を考慮して、予め適宜の値で設定された値である。
【0069】
そして、ステップS15へ移り、CPU21は、最大傾き値変数Emaxを0にリセットする。
【0070】
その後、ステップS20へ移り、CPU21は、カウンタkに2を代入する。
【0071】
そして、ステップS300へ移り、CPU21は、最初の測定点(X、Y)からカウンタkに対応する測定点(Xk-1、Yk-1)までの間で最大の測定点直線の傾き値を求める最大傾き値抽出処理を実行する(後述の図12参照)。なお後述するが、このステップS300の手順を行う度に、その手順内でカウンタkの値が1ずつカウントアップされる。
【0072】
その後、ステップS25へ移り、CPU21は、カウンタkの値が低荷重領域範囲設定値jと同じであるか否かを判定する。言い換えると、上記ステップS300でカウントアップされたカウンタkの値が低荷重領域範囲設定値jに達して、上記低荷重条件値aで設定された低荷重領域の範囲における測定点直線の傾き値の最大値(最大傾き値変数Emax)が算出されたか否かを判定する。k=jでない場合、判定は満たされず、上記ステップS300に戻って同様の手順を繰り返す。一方、k=jである場合、判定が満たされ、ステップS30へ移る。
【0073】
そして、ステップS30で、CPU21は、この時点での最大傾き値変数Emaxの値を、低荷重領域最大値E(第1低荷重領域最大値)として設定する。
【0074】
そして、ステップS30の後のステップS300へ移り、CPU21は、再び最大傾き値抽出処理を実行する。このときカウンタkの値は継続してカウントアップされる。
【0075】
そして、ステップS35へ移り、CPU21は、カウンタkの値がnと同じであるか否かを判定する。言い換えると、上記ステップS300でカウントアップされたカウンタkの値が最終値nに達して、全ての測定データにおける測定点直線の傾き値の最大値(最大傾き値変数Emax)が算出されたか否かを判定する。k=nでない場合、判定は満たされず、上記ステップS300(上記ステップS30の直後)に戻って同様の手順を繰り返す。一方、k=nである場合、判定が満たされ、ステップS40へ移る。
【0076】
ステップS40では、CPU21は、この時点での最大傾き値変数Emax(第1通常荷重領域最大値)が低荷重領域最大値Eより大きいか否かを判定する。言い換えると、低荷重領域以外での傾き値の最大値が、低荷重領域での傾き値の最大値より大きいために、上記図7(c)に示したような弾性限界点を誤判定する可能性がないか否かを判定する。最大傾き値変数Emaxが低荷重領域最大値E以下である場合、判定は満たされず、測定データに移動平均算出処理を行うべく図9のステップS50へ移る。一方、最大傾き値変数Emaxが低荷重領域最大値Eより大きい場合、判定が満たされ、ステップS45へ移る。
【0077】
ステップS45では、CPU21は、この時点の最大傾き値変数Emaxを、真の弾性限界点に相当する測定点での測定点直線の傾き値Elimitとして設定し、このフローを終了する。特に図示、説明しないが、この傾き値Elimitに対応する測定点が弾性限界点として検出される。
【0078】
図9は、上記ステップS40の判定が満たされなかったときに、計測制御装置14のCPU21によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【0079】
まず、ステップS50で、CPU21は、カウンタpの初期値として、移動平均での参照点数bを入力設定する。
【0080】
その後、ステップS55へ移り、CPU21は、その時点のカウンタp−1に対応する測定点において、それより直近過去のb点分の応力値の平均を当該測定点の移動平均値として算出し、上書き更新する。つまり、移動平均算出処理を行う。
【0081】
そして、ステップS60へ移り、CPU21は、カウンタpの値を1つカウントアップする。
【0082】
その後、ステップS65へ移り、CPU21は、カウンタpの値がnと同じであるか否かを判定する。言い換えると、全ての測定データに対して移動平均算出処理が実行されたか否かを判定する。p=nでない場合、判定は満たされず、上記ステップS55へ戻って同様の手順を繰り返す。一方、p=nである場合、判定が満たされ、ステップS70へ移る。
【0083】
ステップS70、ステップS75、ステップS80、ステップS300、ステップS85、及びステップS90の手順は、上記図8のフローにおけるステップS10、ステップS15、ステップS20、ステップS300、ステップS25、及びステップS30の手順の内容と同等である。つまり、ステップS70〜ステップS90の手順により、低荷重条件値aで設定された低荷重領域の範囲における測定点直線の傾き値の最大値である低荷重領域最大値E(第2低荷重領域最大値)を求める。そして、ステップS90の後のステップS300とステップS95の手順により、全ての測定データにおける測定点直線の傾き値の最大値(最大傾き値変数Emax)を求める。
【0084】
そして、ステップS100の手順で、上記ステップS40と同様、CPU21は、低荷重領域最大値Eと最大傾き値変数Emax(第2通常荷重領域最大値)とを比較する。最大傾き値変数Emaxが低荷重領域最大値E以下である場合、ステップS100の判定は満たされず、この時点の測定データに高速フーリエ変換処理及びフィルタリング処理(詳細は後述)を行うべく図10のステップS110へ移る。一方、最大傾き値変数Emaxが低荷重領域最大値Eより大きい場合、判定が満たされ、ステップS105へ移る。
【0085】
ステップS105では、CPU21は、この時点の最大傾き値変数Emaxを、真の弾性限界点に相当する測定点での測定点直線の傾き値Elimitとして設定し、このフローを終了する。
【0086】
図10及び図11は、上記ステップS100の判定が満たされなかったときに、計測制御装置14のCPU21によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【0087】
まず、ステップS110で、CPU21は、サンプリング時間間隔tに所定値cを入力設定する。
【0088】
その後、ステップS115へ移り、CPU21は、フィルタリング下限周波数fcutに所定値dを入力設定する。
【0089】
そして、ステップS120へ移り、CPU21は、FFTの回転子Wを定義する(図中の式参照)。
【0090】
その後、ステップS125へ移り、CPU21は、カウンタqの値を0にリセットする。
【0091】
そして、ステップS130へ移り、CPU21は、高速フーリエ変換処理を行う(図中の式参照)。この際、カウンタqの値が周波数軸座標に対応し、カウンタrの値が時間軸座標に対応する。またこのとき、カウンタqに対応する変換対象の周波数fも算出する。
【0092】
その後、ステップS135へ移り、CPU21は、この時点の変換対象の周波数fがフィルタリング下限周波数fcutより大きいか否かを判定する。この時点の変換対象の周波数fがフィルタリング下限周波数fcut以下である場合、判定は満たされず、そのままステップS145へ移る。一方、この時点の変換対象の周波数fがフィルタリング下限周波数fcutより大きい場合、判定が満たされ、ステップS140へ移る。
【0093】
そして、ステップS140で、CPU21は、この時点の変換対象の周波数fはフィルタリングする対象の周波数であるとして、当該周波数fでのスペクトラム値を0にすることでフィルタリング処理を行い、ステップS145へ移る。
【0094】
その後、ステップS145では、CPU21は、カウンタqの値を1つカウントアップする。
【0095】
そして、ステップS150へ移り、CPU21は、カウンタqの値が(n−1)と同じであるか否かを判定する。言い換えると、時間軸上の全ての測定データに対して高速フーリエ変換処理及びフィルタリング処理が実行されたか否かを判定する。q=n−1でない場合、判定は満たされず、上記ステップS130へ戻って同様の手順を繰り返す。一方、q=n−1である場合、判定が満たされ、ステップS155へ移る。
【0096】
ステップS155では、CPU21は、カウンタrの値を0にリセットする。
【0097】
その後、ステップS160へ移り、CPU21は、逆フーリエ変換処理を行う(図中の式参照)。この際においても、カウンタqの値が周波数軸座標に対応し、カウンタrの値が時間軸座標に対応する。
【0098】
そして、ステップS165へ移り、カウンタrの値を1つカウントアップする。
【0099】
その後、ステップS170へ移り、CPU21は、カウンタrの値が(n−1)と同じであるか否かを判定する。言い換えると、周波数軸上の全ての測定データに対して逆フーリエ変換処理が実行されたか否かを判定する。r=n−1でない場合、判定は満たされず、上記ステップS160へ戻って同様の手順を繰り返す。一方、r=n−1である場合、判定が満たされ、図11のステップS175へ移る。
【0100】
そして図11に示すステップS175、ステップS180、ステップS185、ステップS300、ステップS190、及びステップS195の手順は、上記図8のフローにおけるステップS10、ステップS15、ステップS20、ステップS300、ステップS25、及びステップS30の手順の内容と同等である。つまり、ステップS175〜ステップS195の手順により、低荷重条件値aで設定された低荷重領域の範囲における測定点直線の傾き値の最大値である低荷重領域最大値E(第3低荷重領域最大値)を求める。そして、ステップS195の後のステップS300とステップS200の手順により、全ての測定データにおける測定点直線の傾き値の最大値(最大傾き値変数Emax)を求める。
【0101】
ステップS200の後、ステップS205の手順で、低荷重領域最大値Eと最大傾き値変数Emax(第3通常荷重領域最大値)とを比較する。最大傾き値変数Emaxが低荷重領域最大値E以下である場合、ステップS205の判定は満たされず、ステップS215へ移る。
【0102】
ステップS215では、測定ノイズ及び固有振動の除去は困難であるとしてエラー処理を行い、このフローを終了する。
【0103】
一方、上記ステップS205の判定において、最大傾き値変数Emaxが低荷重領域最大値Eより大きい場合、判定が満たされ、ステップS210へ移る。
【0104】
ステップS210では、この時点の最大傾き値変数Emaxが、真の弾性限界点に相当する測定点での測定点直線の傾き値Elimitとして設定し、このフローを終了する。
【0105】
図12は、上記図8、図9、図11中のステップS300において実行される最大傾き値抽出処理の詳細手順を表すフローチャートである。
【0106】
まず、ステップS305で、CPU21は、その時点のカウンタkの値に対応する測定点において最小二乗法による線形近似で測定点直線の傾き値Eを算出する。なお、このときの算出式は、

となる。
【0107】
その後、ステップS310へ移り、CPU21は、上記ステップS305で算出した傾き値Eがその時点の最大傾き値変数Emaxより大きいか否かを判定する。傾き値Eがその時点の最大傾き値変数Emax以下である場合、判定は満たされず、そのままステップS320へ移る。一方、傾き値Eがその時点の最大傾き値変数Emaxより大きい場合、ステップS310の判定が満たされ、ステップS315へ移る。
【0108】
ステップS315では、CPU21は、最大傾き値変数Emaxに傾き値Eを代入し、ステップS320へ移る。
【0109】
ステップS320では、CPU21は、カウンタkの値を1つカウントアップして、このフローを終了する。
【0110】
以上のようにして実行される本実施形態の解析方法の具体例を、図面を用いて説明する。
【0111】
図13は、測定データが比較的安定している場合の例を示している。このように、測定データに目立った測定ノイズや固有振動がほとんど入っていない場合には、そのまま最小二乗法による線形近似での測定点直線の傾き値を求めて、その最大値から対応する弾性限界点(図中では弾性限界点の歪み値L)をすぐに検出できる。
【0112】
図14は、測定データに測定ノイズが入っている場合の例を示している。このように、測定データに測定ノイズが入っている場合には、図示するように低荷重領域での傾き値の最大値が過大となって誤判定の可能性が判定されやすい。この場合、測定データに対する移動平均算出処理を行った後に、最小二乗法による線形近似での測定点直線の傾き値を求めることで、図示するように測定ノイズが平滑化されて傾き値における測定ノイズの影響を除去できる。この傾き値の最大値から、対応する弾性限界点を正確に検出できる。
【0113】
図15は、測定データに固有振動が入っている場合の例を示している。このように、測定データに固有振動が入っている場合には、上記の移動平均算出処理でも平滑化できない。この場合、移動平均算出処理を行った測定データに対して、さらに高速フーリエ変換処理及びフィルタリング処理を行った後に、最小二乗法による線形近似での測定点直線の傾き値を求めることで、図示するように測定ノイズの平滑化とともに固有振動が周波数成分で除去されて、傾き値を安定化できる。この傾き値の最大値から、対応する弾性限界点を正確に検出できる。
【0114】
ここで、以上のようにして実行される本実施形態の解析方法の有効性について、従来の解析方法と比較しながら説明する。
【0115】
従来行われていた弾性限界点の判定方法としては、主にJIS規格に基づく方法と、微分値に基づく判定方法と、既存の公式に基づく判定方法とがあった。
【0116】
まず、JIS規格Z2241「金属材料引張試験方法」では、グラフ上で試験初期の直線部分に平行線を引いて交点を算出するといった手作業と目視による任意判断で弾性限界点を判定するとの記載しかなく、その他に定量的かつ具体的な弾性限界点の算出基準については明記されていない。
【0117】
また微分値に基づく判定方法としては、応力−歪み曲線上の微小データ区間で傾き値を算出し、その変化から弾性限界値を判定していた。具体的には、各測定点の座標を(X、Y)としたとき、局所弾性率としての傾きE=(Y−Yi−1)/(X−Xi−1)を算出し、その変化から弾性限界点を判定する。しかし、この局所弾性率を実際の測定データに適用した場合には、図16に示すように、測定バラツキが大きくかつ測定ノイズの影響が顕著であるため実用的ではない。
【0118】
また既存の公式に基づく判定方法としては、例えば圧縮試験である3点曲げ試験の場合、試験力をF、曲げ撓み量をΔl、試験片厚をT、試験片幅をW、支点間距離をLとして、
=(6T/L)・Δl
=(3/2)・(LF/WT
=(Y−Y)/(X−X)=(L/4WT)・(F/Δl
で傾きEを求める。この傾きEは、原点(X、Y)と任意の測定点(X、Y)の間の平均弾性率に相当するものであり、この平均弾性率の変化から弾性限界点を判定する。しかし、この平均弾性率の算出式では低荷重領域がない場合を想定しているため、図16に示すように、実測値では低荷重領域の影響を受けて弾性限界点の判定に大きな誤差が生じる。
【0119】
以上の3つの解析方法に対し、本実施形態の解析方法では、前提として最小二乗法による線形近似で測定点直線の傾き値を求めているため、図16に示すように、測定バラツキ及び低荷重領域による影響を受けることなく最も正確に弾性限界点を判定できる。
【0120】
以上において、図8のフローにおけるステップS5が、各請求項記載の測定手順及び測定点収集手順に相当し、ステップS10が低荷重領域取得手順に相当し、ステップS300が第1傾き取得手順に相当する。また、ステップS40が第1傾き判定手順に相当し、ステップS45が第1決定手順に相当する。
【0121】
また、図9のステップS70が低荷重領域取得手順に相当し、ステップS55が一次平滑化手順に相当し、ステップS300が第2傾き取得手順に相当し、ステップS100が第2傾き判定手順に相当し、ステップS105が第2決定手順に相当する。
【0122】
また、図10のステップS130、ステップS140、及びステップS160が二次平滑化手順に相当し、図11のステップS175が低荷重領域取得手順に相当し、ステップS300が第3傾き取得手順に相当し、ステップS205が第3傾き判定手順に相当し、ステップS210が第3決定手順に相当する。
【0123】
以上説明したように、本実施形態においては、ステップS5でプロットした複数の測定点のそれぞれについて、ステップS305で上記測定点直線の傾き値を算出する。上記のように、弾性限界点の検出のためには、上記測定点直線の傾き値が最大値となる測定点を見つけ出せばよいが、前述したようにその際には低荷重領域を除外して処理する必要がある。そこで、ステップS40で、低荷重領域での最大値である低荷重領域最大値Eと、低荷重領域以外の弾性変形領域と塑性変形領域の最大値であるその時点での最大傾き値変数Emaxとが、比較される。そして、最大傾き値変数Emaxが大きかった場合には、低荷重領域を除外した処理が実行できた(言い換えれば低荷重領域を明確に識別することができた)とみなされて、ステップS45で、当該最大傾き値変数Emaxを与える測定点が弾性限界点として決定される。
【0124】
以上のようにして、本実施形態においては、材料試験において、試験片Hの弾性限界点を確実に精度よく検出することができる。その際、測定開始点から測定点までの測定点直線の傾き値を検出基準としているので、従来手法のように、材料試験実行者の任意判断による人為的なばらつきが生じることがない。
【0125】
一方、ステップS40で、低荷重領域の低荷重領域最大値Eが、低荷重領域以外の弾性変形領域と塑性変形領域の最大傾き値変数Emax以上で判定が満たされなかった場合には、その時点でのグラフ上の測定点の態様では、グラフ上に明確な変曲点がなかったり測定ノイズの影響が大きかったりして低荷重領域が明確に識別できなかったことを意味する。そこで、本実施形態においては特に、ステップS40での判定が満たされなかった場合には、ステップS55で、各測定点のデータに対し、所定の一次平滑化処理(この例では移動平均算出処理、高速フーリエ変換処理、フィルタリング処理等)を実行する。そして、その一次平滑化処理がなされた測定点に対し、ステップS305の手順、ステップS100の手順、及び、ステップS105の手順、を順次実行することで、低荷重領域をより識別できるようにし、当該識別した低荷重領域を処理対象から除外して、弾性限界点をより高い確率で求めることができる。
【0126】
また一方、ステップS100で、低荷重領域の低荷重領域最大値Eが、低荷重領域以外の弾性変形領域と塑性変形領域の最大傾き値変数Emax以上で判定が満たされなかった場合には、一次平滑化処理を行った後でも、依然として低荷重領域が明確に識別できなかったことを意味する。そこで、本実施形態では特に、ステップS130、ステップS140、及びステップS160で、各測定点のデータに対し、さらに所定の二次平滑化処理(この例では移動平均算出処理、高速フーリエ変換処理、フィルタリング処理等)を実行する。そして、その二次平滑化処理がなされた測定点に対し、ステップS305、ステップS205、及び、ステップS210の手順、を順次実行することで、低荷重領域を確実に識別できるようにして処理対象から除外し、弾性限界点を確実に求めることができる。
【0127】
なお、以上において、図1、図2等の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0128】
また、図8、図9、図10、図11、図12等に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0129】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0130】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0131】
1 材料試験機
10,11 つかみ具
12 荷重センサ
13 変位センサ
14 計測制御装置
21 CPU
H,H2,H3 試験片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験片に対し材料試験を行う材料試験機が実行する材料試験方法であって、
前記試験片に対し、引張荷重若しくは圧縮荷重を順次負荷して試験片を変形させて、各荷重から得られる試験力に対応する変位量をそれぞれ取得する測定手順と、
前記測定手順での取得結果に基づき、変位量から歪みを、試験力から応力をそれぞれ算出した後、横軸に歪みをとり縦軸に応力をとったグラフ上に複数の測定点を位置づける測定点収集手順と、
前記複数の測定点のうち、前記グラフ上で前記測定開始点近傍となる低荷重領域の範囲を決定する低荷重条件を取得する低荷重領域取得手順と、
前記測定点収集手順で位置づけられた前記複数の測定点に関し、前記グラフ上において測定開始点と各測定点とを含む直線の傾き値を、線形近似によりそれぞれ算出する第1傾き取得手順と、
前記第1傾き取得手順において、前記グラフ上の前記低荷重領域に含まれる各測定点に関して取得された複数の傾き値のうちの最大値である第1低荷重領域最大値と、前記グラフ上の前記低荷重領域以外の通常荷重領域に含まれる各測定点に関して取得された複数の傾き値のうちの最大値である第1通常荷重領域最大値と、を比較し、前記第1通常荷重領域最大値が前記第1低荷重領域最大値よりも大きいかどうかを判定する第1傾き判定手順と、
前記第1傾き判定手順による判定が満たされた場合に、前記第1通常荷重領域最大値を与える前記測定点を弾性限界点として決定する第1決定手順と、
を有することを特徴とする材料試験方法。
【請求項2】
請求項1記載の材料試験方法において、
前記第1傾き判定手順による判定が満たされなかった場合に、前記測定点収集手順で前記グラフ上に位置づけられた前記複数の測定点に対し、所定の一次平滑化処理を適用する一次平滑化手順と、
前記一次平滑化手順により前記一次平滑化処理が行われた前記複数の測定点に関し、前記グラフ上において前記測定開始点と各測定点とを含む直線の傾き値を、線形近似によりそれぞれ算出する第2傾き取得手順と、
前記第2傾き取得手順において、前記グラフ上の前記低荷重領域に含まれる各測定点に関して取得された複数の傾き値のうちの最大値である第2低荷重領域最大値と、前記グラフ上の前記低荷重領域以外の通常荷重領域に含まれる各測定点に関して取得された複数の傾き値のうちの最大値である第2通常荷重領域最大値と、を比較し、前記第2通常荷重領域最大値が前記第2低荷重領域最大値よりも大きいかどうかを判定する第2傾き判定手順と、
前記第2傾き判定手順による判定が満たされた場合に、前記第2通常荷重領域最大値を与える前記測定点を弾性限界点として決定する第2決定手順と、
を有することを特徴とする材料試験方法。
【請求項3】
請求項2記載の材料試験方法において、
前記一次平滑化手順では、
前記複数の測定点に関し、前記一次平滑化処理として、移動平均算出処理、高速フーリエ変換処理、及びフィルタリング処理のうち少なくとも1つの処理を実行する
ことを特徴とする材料試験方法。
【請求項4】
請求項2又は請求項3記載の材料試験方法において、
前記第2傾き判定手順による判定が満たされなかった場合に、前記一次平滑化手順により前記一次平滑化処理が行われた前記複数の測定点に対し、所定の二次平滑化処理を適用する二次平滑化手順と、
前記二次平滑化手順により前記二次平滑化処理が行われた前記複数の測定点に関し、前記グラフ上において前記測定開始点と各測定点とを含む直線の傾き値を、線形近似によりそれぞれ算出する第3傾き取得手順と、
前記第3傾き取得手順において、前記グラフ上の前記低荷重領域に含まれる各測定点に関して取得された複数の傾き値のうちの最大値である第3低荷重領域最大値と、前記グラフ上の前記低荷重領域以外の通常荷重領域に含まれる各測定点に関して取得された複数の傾き値のうちの最大値である第3通常荷重領域最大値と、を比較し、前記第3通常荷重領域最大値が前記第3低荷重領域最大値よりも大きいかどうかを判定する第3傾き判定手順と、
前記第3傾き判定手順による判定が満たされた場合に、前記第3通常荷重領域最大値を与える前記測定点を弾性限界点として決定する第3決定手順と、
を有することを特徴とする材料試験方法。
【請求項5】
請求項4記載の材料試験方法において、
前記二次平滑化手順では、
前記複数の測定点に関し、前記二次平滑化処理として、移動平均算出処理、高速フーリエ変換処理、及びフィルタリング処理のうち少なくとも1つの処理を実行する
ことを特徴とする材料試験方法。
【請求項6】
請求項5記載の材料試験方法において、
前記一次平滑化手順では、
前記複数の測定点に関し、前記一次平滑化処理として、移動平均算出処理を実行し、
前記二次平滑化手順では、
前記複数の測定点に関し、前記二次平滑化処理として、高速フーリエ変換処理及びフィルタリング処理を実行する
ことを特徴とする材料試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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