説明

来客予測・実績情報提供システムおよびその方法

【課題】目的地利用予定者あるいは既利用者の多角的な情報を収集することにより、経営活動に役立つ来客予測・実績データを提供することができる来客予測・実績情報提供システム等を提供すること。
【解決手段】ナビゲーションシステムで登録された経路案内情報と位置情報、時刻情報を送信する移動体送信手段と、経路案内情報の受信に伴い動向情報を生成する生成手段と、動向情報から来客予測情報を生成する生成手段と、来客予測情報を閲覧する閲覧手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、企業・団体が来客予測・実績把握を行うためのデータ提供技術に関する。
【背景技術】
【0002】
目的地利用状況の予測・実績情報収集システムの一例が、特許文献1に記載されている。
特許文献1によると、目的地利用状況の予測・実績情報収集システムはナビゲーションシステムで演算した到着予想時刻をセンタへ送信することにより、目的地利用状況の予測・実績情報を提供しようというものである。
しかしながら、このシステムでは、予想されるのが到着時刻と到着数のみであり、目的地利用者の動向を予測するには情報が乏しく、どの地域からどれほどの数が目的地を利用する意図があるかどうかの分析ができない。
【0003】
関連技術として、車両は現在位置情報をセンタに送信し、センタは車両から取得した現在位置情報をもとに各施設の混雑予想情報を求め施設に送信する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、情報センタは、車載機から目的地と位置を取得し、情報センタは、複数の目的地について、混雑率を求め、車載機に送信する技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−213968号公報
【特許文献2】特開2004−252833号公報
【特許文献3】特開2005−257342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の関連技術は、従来の企業・団体が商業活動を行うにあたって、過去の経験および蓄積データを頼りに来客予測を行っているが、キャンペーンやイベントのような特別な販売促進活動を行った際に、その効果を確認できるまでには時間と手間を要するという問題と、リアルタイムで来客を予測するのが困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、目的地利用予定者あるいは既利用者の多角的な情報を収集することにより、経営活動に役立つ来客予測・実績データを提供することができる来客予測・実績情報提供システムおよびその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の来客予測・実績情報提供システムは、ナビゲーションシステムで登録された経路案内情報と位置情報、時刻情報を送信する移動体送信手段と、
前記経路案内情報の受信に伴い動向情報を生成する生成手段と、
前記動向情報から来客予測情報を生成する生成手段と、
前記来客予測情報を閲覧する閲覧手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の来客予測・実績情報提供方法は、ナビゲーションシステムで登録された経路案内情報と位置情報、時刻情報を送信するステップと、
前記経路案内情報の受信に伴い動向情報を生成するステップと、
前記動向情報から来客予測情報を生成するステップと、
前記来客予測情報を閲覧するステップとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、目的地利用予定者あるいは既利用者の多角的な情報を収集することにより、経営活動に役立つ来客予測・実績データを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第一の実施の形態に係るシステム構成を示す図である。
【図2】本発明の第一の実施の形態に係るシステムの全体の動作を示すフローチャートである。
【図3】本発明の第一の実施の形態に係る来客予測・実績提供サーバのデータ保持例を示す図である。
【図4】本発明の第一の実施の形態に係る来客予測画面の一例を示す図である。
【図5】本発明の第一の実施の形態に係る来客予測画面の一例を示す図である。
【図6】本発明の他の実施の形態に係る位置情報に基づいた各施設の人数をランキングとして表した図である。
【図7】本発明の他の実施の形態に係る位置情報に基づいた各目的地別の到着予想人数をランキングとして表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の第一の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1に示す本実施の形態における来客予測・実績情報提供システムは、ナビゲーションシステムを備える移動体1と、移動体1から情報を受信する移動体情報収集サーバ2と、来客予測・実績提供サーバ3と、閲覧端末4から構成されている。
【0012】
移動体1は、ナビゲーションシステムを備える携帯電話11およびカーナビゲーションシステムを備える自動車12が考えられる。
【0013】
これらの手段はそれぞれ次のように動作する。
移動体1は、目的地登録機能と目的地までの経路を案内する機能を含むナビゲーションシステムを有し、前記ナビゲーションシステムの経路案内情報、現在地情報、現在時刻情報をユーザが操作することなく自動的に情報収集サーバ2に送信する機能を備えている。具体的には、ナビゲーションシステムを有する携帯電話11と通信機能を備えるカーナビゲーションを有する自動車12が挙げられる。
【0014】
移動体情報収集サーバ2は、ワークステーション・サーバ等の情報処理装置であり、前記移動体1が送信した経路案内情報、現在地情報、現在時刻情報を受信し、来客予測・実績情報を生成して来客予測・実績提供サーバ3へ送信する機能を備える。来客予測・実績情報とは企業・団体が自らの施設の来客予測あるいは実績把握を行うために活用する情報である。
【0015】
来客予測・実績提供サーバ3は地図情報データベース、施設情報データベースを持つワークステーション・サーバ等の情報処理装置であり、移動体情報収集サーバ2が送信した来客予測・実績情報を受信し、蓄積する機能を備える。
【0016】
閲覧端末4は、パーソナルコンピュータ、携帯電話等の情報処理装置であり、来客予測・実績提供サーバ3にアクセスすることで、来客予測・実績情報を閲覧する機能を備える。企業・団体はこれに基づき、来客予測・実績情報を活用することができる。また、目的地利用者が来客予測・実績情報を閲覧することで、利用者の意図により目的地を変更し、混雑回避することも可能である。
【0017】
次に、図2のフローチャート、図3、図4、図5を参照して本実施の形態の動作について詳細に説明する。
【0018】
まず、移動体1はナビゲーションシステムに目的地を登録すると(図2ステップA1)、ナビゲーションシステムが経路案内を開始する(図2ステップA2)。この直後に、移動体は経路案内情報、位置情報、経路案内開始日時を移動体情報収集サーバ2に対して送信する(図2ステップA3)。
【0019】
移動体情報収集サーバ2は、移動体1から送信された前記経路案内情報、位置情報、経路案内開始日時を蓄積し(図2ステップA4、図3表B1)、前記経路案内情報、位置情報、経路案内開始日時を来客予測・実績提供サーバ3に送信する(図2ステップA5)。
【0020】
来客予測・実績提供サーバ3は、移動体情報収集サーバ2から送信された前記経路案内情報、位置情報、経路案内開始日時を蓄積し、来客予測データとして保存する(図2ステップA6)。
【0021】
閲覧端末4は、来客予測・実績提供サーバ3にアクセスすると(図2ステップA7)、来客予測・実績提供サーバ3の前記来客予測データが閲覧端末4に送信され(図2ステップA8)、来客予測画面が表示される(図2ステップA9、図4、図5)。例えば、図4のように該当する目的地に経路案内している移動体1の現在地を地図上に表示し、さらに到着予想時間を表示することで、目的地に向う移動体利用者がどの地域にどれほどの数がいるのかを効果的に把握できる。また、図5のように検索地、検索日、時間範囲、検索種別を指定し、検索することで時間軸と移動体利用者数の相関を表した来客予想人数をグラフデータとして閲覧することもできる。
【0022】
また、移動体1のナビゲーションシステムの経路案内中は、目的地経路案内情報、位置情報を移動体情報収集サーバ2に対して送信する(図2ステップA10)。
【0023】
移動体情報収集サーバ2は、移動体1から送信された前記経路案内情報、位置情報でステップA4で蓄積した情報を更新し(図2ステップA11、図3表B2)、前記経路案内情報、位置情報を来客予測・実績提供サーバ3に送信する(図2ステップA12)。
【0024】
来客予測・実績提供サーバ3は、移動体情報収集サーバ2から送信された前記経路案内情報、位置情報、経路案内開始日時を蓄積し、来客予測データとして保存する(図2ステップA13)。
【0025】
閲覧端末4は、来客予測・実績提供サーバ3にアクセスすると(図2ステップA14)、来客予測・実績提供サーバ3の前記来客予測データが閲覧端末4に送信され(図2ステップA15)、来客予測画面が表示される(図2ステップA16)。
【0026】
移動体1は目的地に到着した、または目的地を変更した、または経路案内を中止したかの判断を行い(図2ステップA17)、前記条件を満たしていなければ移動体情報収集サーバ2に対して再び経路案内情報、位置情報を送信する(図2ステップA10)。
【0027】
そして、移動体1が目的地に到着した、または目的地を変更した、または経路案内を中止すると、ナビゲーションシステムの経路案内を終了し(図2ステップA18)、目的地到着有無情報、経路案内終了日時を移動体情報収集サーバ2に対して送信する(図2ステップA19)。
【0028】
移動体情報収集サーバ2は、移動体1から送信された目的地到着有無情報、経路案内終了日時でステップA11で蓄積した情報を更新し(図2ステップA20、図3表B3)、蓄積した経路案内情報、位置情報、経路案内開始日時と前記目的地到着有無情報、経路案内終了日時を来客予測・実績提供サーバ3に送信する(図2ステップA21)。
【0029】
来客予測・実績提供サーバ3は、移動体情報収集サーバ2から送信された前記経路案内情報、位置情報、経路案内開始日時、目的地到着有無情報、経路案内終了日時を蓄積し、来客実績データとして保存する(図2ステップA22)。
【0030】
閲覧端末4は、来客予測・実績提供サーバ3にアクセスすると(図2ステップA23)、来客予測・実績提供サーバ3の前記来客実績データが閲覧端末4に送信され(図2ステップA24)、来客実績画面が表示される(図2ステップA25)。来客実績画面は来客予測画面(図4、図5)と同様の例が挙げられる。
【0031】
なお、移動体1が目的地を変更した場合は、変更後の目的地においてナビゲーションシステムによる経路案内を開始し(図6ステップA2)、変更後の目的地により図2ステップA3以降の処理を繰り返し行う。
【0032】
最後に、本実施例では移動体1、移動体情報収集サーバ2、来客予測・実績提供サーバ3、閲覧端末4は移動体1の情報が送信されたタイミングに応じた形でそれぞれ送受信を行っているが、このタイミングは必ずしも同期している必要はなく、サーバ、ネットワークの性能等を考慮し、任意のタイミングで送受信しても良い。なぜなら、本実施例では移動体1の時刻により情報を識別しているため、送受信のタイミングがずれることによる情報の内容変更は発生しないからである。
【0033】
図3は来客予測・実績提供サーバ3のデータ保持例である。変更前の経路案内情報の目的地到着有無に「到着済」「案内中止」「目的地変更」といった情報を持つことで、目的地に到着した、あるいは案内を中止した、あるいは案内途中に目的地が変更されたことが判別できる(図3表B3)。
【0034】
以上のように、本実施の形態によれば移動体の来客予測および実績把握を行うためのデータ提供が可能であり、企業・団体の経営活動に役立てることができる。
【0035】
次に、本発明の第二の実施の形態の構成について図面を参照して説明する。
図6、図7は上記の第一の実施の形態において、移動体1を携帯電話11など個人が所有するものに限定した場合の実施例である。上記の第一の実施の形態のように移動体1の目的地を指定するのではなく、閲覧端末4の現在地を基点にし、指定した距離範囲内の移動体1に関する情報を閲覧する方法に変更している。
【0036】
図6は閲覧端末4の現在地を基点に指定した距離範囲内の移動体1の現在地を表す位置情報を地図上に表示し、位置情報に基づいた各施設の人数をランキングとして表したものである。これにより、各施設の混雑状況を把握できる。
【0037】
図7は閲覧端末4の現在地を基点に指定した距離範囲内の移動体1の目的地を表す位置情報を地図上に表示し、位置情報に基づいた各目的地別の到着予想人数をランキングとして表したものである。これにより、現在地周辺でどの施設にどれくらいの人が向かおうとしているのかを把握できる。
【0038】
図6、図7では現在地を基点にした検索方法であるが、検索基点を任意の場所にする方法も実現可能である。
【0039】
なお、上述する各実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であり、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更実施が可能である。例えば、来客予測・実績提供サーバ3等の機能を実現するためのプログラムを各装置に読込ませて実行することにより各装置の機能を実現する処理を行ってもよい。さらに、そのプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体であるCD−ROMまたは光磁気ディスクなどを介して、または伝送媒体であるインターネット、電話回線などを介して伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。また、各装置の機能が他の装置によりまとめて実現されたり、追加の装置により機能が分散されて実現される形態も本発明の範囲内である。
【0040】
本発明は、企業・団体の営業活動において、来客予測データを活用し、来客予測に応じて利用者を応対する営業スタッフの数を即座に増減させるといった経営の効率化といった用途に適用できる。また、テーマパーク等の大規模施設でこのシステムを活用することによって、大規模施設内の各施設の来客予測・実績から混雑緩和策を取るといった用途にも適用できる。さらに、目的地を登録する利用者が少ない地域において、重点的に販売促進活動を行い、目的地の来客数を増やすなどの経営戦略をとる用途にも使用できる。一方、タクシー業者においては移動体の現在地情報、目的地設定情報を活用することにより、特定エリアに重点的に配車する等の顧客獲得戦略用途にも使用できる。
【符号の説明】
【0041】
1 移動体
2 移動体情報収集サーバ
3 来客予測・実績提供サーバ
4 閲覧端末
11 携帯電話
12 自動車
31 地図情報データベース
32 施設情報データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナビゲーションシステムで登録された経路案内情報と位置情報、時刻情報を送信する移動体送信手段と、
前記経路案内情報の受信に伴い動向情報を生成する生成手段と、
前記動向情報から来客予測情報を生成する生成手段と、
前記来客予測情報を閲覧する閲覧手段とを備えることを特徴とする来客予測・実績情報提供システム。
【請求項2】
ナビゲーションシステムは、経路案内情報と位置情報をサーバに送信し、サーバはナビゲーションシステムから収集した情報をもとに来客情報を提供し、該来客情報には、所定の目的地の来客予測と、当該目的地に向かう移動体利用者の現在地と数を含むことを特徴とする来客予測・実績情報提供システム。
【請求項3】
ナビゲーションシステムは、経路案内情報と位置情報をサーバに送信し、サーバはナビゲーションシステムから収集した情報をもとに来客情報を提供し、該来客情報には、所定の距離範囲内に存在する移動体利用者の数のランキングを含むことを特徴とする来客予測・実績情報提供システム。
【請求項4】
ナビゲーションシステムは、経路案内情報と位置情報をサーバに送信し、サーバはナビゲーションシステムから収集した情報をもとに来客情報を提供し、該来客情報には、所定の距離範囲内の目的地に向かう移動体利用者の数のランキングを含むことを特徴とする来客予測・実績情報提供システム。
【請求項5】
ナビゲーションシステムで登録された経路案内情報と位置情報、時刻情報を送信するステップと、
前記経路案内情報の受信に伴い動向情報を生成するステップと、
前記動向情報から来客予測情報を生成するステップと、
前記来客予測情報を閲覧するステップとを有することを特徴とする来客予測・実績情報提供方法。
【請求項6】
ナビゲーションシステムが、経路案内情報と位置情報をサーバに送信するステップと、サーバがナビゲーションシステムから収集した情報をもとに来客情報を提供するステップとを有し、該来客情報には、所定の目的地の来客予測と、当該目的地に向かう移動体利用者の現在地と数を含むことを特徴とする来客予測・実績情報提供方法。
【請求項7】
ナビゲーションシステムが、経路案内情報と位置情報をサーバに送信するステップと、サーバがナビゲーションシステムから収集した情報をもとに来客情報を提供するステップとを有し、該来客情報には、所定の距離範囲内に存在する移動体利用者の数のランキングを含むことを特徴とする来客予測・実績情報提供方法。
【請求項8】
ナビゲーションシステムが、経路案内情報と位置情報をサーバに送信するステップと、サーバがナビゲーションシステムから収集した情報をもとに来客情報を提供するステップとを有し、該来客情報には、所定の距離範囲内の目的地に向かう移動体利用者の数のランキングを含むことを特徴とする来客予測・実績情報提供方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−191763(P2010−191763A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−36397(P2009−36397)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【出願人】(000213301)中部日本電気ソフトウェア株式会社 (56)
【Fターム(参考)】