説明

来訪者セキュリティ管理システム

【課題】
利便性に優れ、セキュリティの高い来訪者セキュリティ管理システムを提供する。
【解決手段】
ビル・工場・マンションなどの施設で、来訪者を応接する者(応接者)は、来訪者予約装置104に予め「来訪者識別番号」・「時間範囲」・「指定エリア」等をデータベース101に登録する。「来訪者識別番号」を記録したカードを持つ来訪者は、施設内への入場、更には施設内の指定エリアに向けて通行する際に、通路に沿って配置された認証装置106にカード107を翳し、認証が得られない場合にはゲート105が施錠され、進行が禁止される。この認証の条件として、来訪者の行く指定エリアに応接者が存在するか否か、更には予定した「時間範囲」内であるか否か等を入れることで、応接者をも考慮したセキュリティ管理を実現する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビル・工場・マンション等(以下、施設と総称する)における来訪者のセキュリティ管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、施設内のセキュリティが重視され、施設の玄関や居室等への入退室管理のために、認証カードや電気錠を用いた認証による入退室管理が強化される傾向にある。
【0003】
特許文献1では、応接者が予約来客の識別番号、来訪日時、訪問先等の予約情報を予め登録し、来訪者が来訪の際に前記予約情報と照合する情報を入力して、来訪者が持つカード状記憶媒体に通行権限を与える無人受付システムが提案されている。しかし、特許文献1は、あくまで予め付与された通行権限により認証が許可されれば、施設内の通行は無条件に可能となる。
【0004】
また、特許文献2には、来訪者が来訪した際に、来訪者は訪問者の情報を明示し、訪問者情報に基づいて入域可能情報を発生させることで、訪問者の入域の可否を決定する技術が記載されている。訪問者情報に基づいて訪問先までのエリアに限定した入退室を可能としている点において、特許文献1に比べて厳格なセキュリティが期待できるものとなっている。
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2のいずの場合も、応接者の状況、例えば応接者が来訪者を迎え入れられる状況にあるか否か等については考慮されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平11−259712号公報
【特許文献2】特開2004−197535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このようにセキュリティの厳格化が望まれる一方で、認証カードの貸与や警備員による受付、管理台帳への記帳など、煩雑な手続きを簡略化する要求も強い。
【0008】
通常、来訪者管理の簡略化を目的として、常連の来訪者などに予め期間やアクセス許可エリア等を記憶させた期限付き認証カード等を貸与することで、建物等への自由な入退室を許可する運用では、応接者の急な外出や離席の際にセキュリティレベルの低下を招くおそれがある。つまり、施設内を通行する来訪者を招き入れた者が誰かは判別できても、その後の来訪者の自由な行動には、応接者の目も届かず、セキュリティの面で課題が残る。
【0009】
本発明は、このようなセキュリティの厳格化と手続きの簡略化という互いに相反する課題に鑑み、その目的とするところは、利便性に優れ、且つ高いセキュリティを期待できる来訪者セキュリティ管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は来訪者が訪れる指定エリアおよび応接者を予め登録する来訪者予約装置を備えた来訪者セキュリティ管理システムにおいて、その特徴とするところは、前記指定エリアに向かう通路を遮蔽するゲートと、該ゲートに対応して設置された来訪者の認証装置と、来訪者を前記認証装置で認識し、前記指定エリアに応接者が存在するときに前記ゲートを解錠する施解錠制御装置とを備えることにより、応接者の観点からセキュリティ機能を高めたところにある。
【0011】
本発明は、上記特徴の他、来訪者予約装置で管理される施設内の通路に前記ゲート及び認証装置を多数配置すること、更には来訪者予約及び認証の内容を工夫することで一層の利便性、セキュリティの向上を期しているが、その内容は以下の実施の形態の中で明らかにする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、利便性が優れ、且つ高いセキュリティレベルが期待できる来訪者セキュリティ管理システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明を適用した来訪者管理システムの一実施例ブロック図
【図2】図1の来訪者予約装置の概観図
【図3】図1の来訪者予約装置に表示されるメニュー画面図
【図4】図1の来訪者予約装置に表示される来訪者の登録画面図
【図5】図1の来訪者管理システムにおけるデータベースの構成図
【図6】図1のシステムの動作処理フロー図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図示する一実施例を参照して説明する。尚、本発明を適用する施設はビル・工場・マンション等、いずれの施設でも良く、以下の説明では発明の特徴を成すセキュリティ管理システム部分の構成及び動作を中心に説明する。
【0015】
図1は本発明による来訪者管理システムの一実施例であり、例えばTCP/IP通信インターフェイス等の制御通信インターフェイス及び管理システムに係るデータベース101を備え、来訪者管理システム全体を統括的に制御するサーバ102と来訪者予約装置104及びゲート施解錠制御装置108とは、LAN(Local Area Network)等の通信ネットワーク103を介して接続される。
【0016】
来訪者予約装置104は、サーバ102との通信により来訪者予約の登録及び閲覧を行うと共に、施解錠制御のためのゲート施解錠制御装置108と接続されている。このゲート施解錠制御装置108は、施設内の通路に設置されて通路を遮蔽するゲート105及び来訪者の特定を行うためにカード107の情報を読み込む認証装置106と、RS485等の通信109を介して接続され、サーバ102の情報とも照合してゲート105の施錠及び解錠を制御する。
【0017】
尚、図1では、同一名称のブロックを多数図示しているが、代表のブロックにのみ符号を付して、その他の同一のブロックの符号を省略した。説明を簡潔にするためで、以下の説明でもこの代表ブロックの符号のみ引用して説明するが、他のブロックの動作等も同様である。また、ゲート105は通路を遮蔽して人の通行を禁止するためのもので、ロック付きのドア、遮蔽板又はバー等、周知のゲート機構であり、施設内の通路の各所に認証装置106とセットで配置されている。
【0018】
以下、各ブロックの構成及び動作について、順次に説明する。
【0019】
<サーバ102>
サーバ102は、入出力、アクセス、通信制御等の各種サービスを提供する側のコンピュータであり、演算装置であるCPU(Central Processing Unit)、記憶装置である主記憶装置およびHDD(Hard Disk Drive)等の補助記憶装置を有している。
【0020】
補助記憶装置には、本システムの制御プログラムが格納されており、CPUが該入退域管理システムプログラムを主記憶装置にロードし実行することにより、来訪者管理システムが具現化される。この来訪者管理システムの来訪者管理に係るデータベースは、図5に示すように、3つのテーブルにより構成することが可能である。
【0021】
<データベース101>
来訪者と応接者の関係はN対Nを実現する。そのため来訪者情報を管理する「101-1 応接者情報テーブル」は、レコードの追加により一人の応接者が複数の来訪者の来訪予約について設定すること、及び複数の応接者が一人の来訪者の来訪予約についてそれぞれ設定することを可能とする。例えば、同一の来訪者Aに対して応接者B及びCがそれぞれ別々に来訪予約を設定することができる。その場合などにおいて、重複する時間範囲における来訪者Aの通行可能なエリア範囲は応接者B及びCの設定したエリア範囲の両方を適用することにより、複数の応接者を持つ来訪者が困惑することなく、また応接者間においても特定の来訪者に対する他の応接者による予約を意識することなく運用することが可能である。
【0022】
<来訪者予約装置104>
来訪者予約装置104の概観、メニュー画面、来訪者登録画面を図2〜図4に示す。本実施例でいう来訪者識別番号・時間範囲・エリア識別番号・応接者の所在を示すエリアの設定等を行う例を示している。図2に示すように、来訪者予約装置104には、キーボード001、カード読込部002、液晶画面003が設けられており、キーボード001は各種情報の入力に使用し、カード読込部002は本予約装置を使用するためのログイン認証に使用する。液晶画面003では各種必要情報の表示を行う。
【0023】
なお、運用の形態によっては来訪者の氏名・会社・連絡先などの諸情報を設定できるものであってよい。また、来訪者予約装置104から入力されるデータは図5のデータベースに登録される。例えば応接者識別番号は「101-1 応接者情報テーブル」及び「101-2 来訪者情報テーブル」の[HOS T_NO]に登録され、応接者の所在を示すエリアは、「101-1 応接者情報テーブル」の[REGISTER_AREA]に登録され、来訪者識別番号、エリア識別番号、来訪可能開始時刻、来訪可能終了時刻は、「101-2 来訪者情報テーブル」の[GUEST_NO][AREA_NO]、[START_TIME]、[END_TIME]にそれぞれ登録される。
【0024】
来訪者予約装置104の実施例として、専用端末を利用した例を記述しているが、情報入力及び情報表示が可能で同等の効果を持つものであれば、汎用Webブラウザを用いてWebサーバにアクセスし、Webサーバから提供されるアプリケーションや、汎用パソコンにインストールして実行する専用アプリを利用した実施形態でもよく、その実現方法に限定されない。
【0025】
応接者の特定エリアにおける在/不在を判定する手段には、任意の部屋の入側及び出側に設置されたカードリーダ等の認証装置による認証を入退室履歴として管理することのできるシステムであれば、入退室履歴により特定の人物が特定の部屋内にいるか否かの判定を容易に行うことができる。
【0026】
これに代わる技術として、特定エリア内にいる人物を顔認証などにより特定を行うことのできるカメラシステムによる判定や、特定エリア内におけるPCのログイン履歴による判定、重役室等の決まった人物のみしか在室する可能性のない場所においては、人などが近づいたことを検知するパッシブセンサによる判定、入退室管理システムにおける2人認証機能(通常の個人による単独認証の追加機能として、更なるセキュリティ向上のため、指定されたドアの解錠に、通行権限のあるICカードを持つ2人が連続的に認証することを条件とする入退制御の機能)の応用として、来訪者が認証装置で認証を行う際に、応接者の所在を示すエリア内にいる応接者が、専用端末等により指定された時間内に連続的にICカードの認証を行うことにより方法等がある。
【0027】
このように、応接者の特定エリアにおける在/不在を判定する手段としては様々な技術があり、これらを単独或いは組合せて適用することも可能である。
【0028】
応接者が来訪者予約装置104により入力した来訪者識別番号・時間範囲・エリア範囲・応接者の所在を示すエリアなどの情報は、通信ネットワーク103を介してサーバ102の制御によりデータベース101に登録され、登録処理終了後にサーバ102の指示により、ゲート施解錠制御装置108の保持する記憶領域に登録される。また、当該処理における登録方法はこの限りではなく、来訪者予約装置104からゲート施解錠制御装置108に登録を行うにあたってサーバ102を介さず、来訪者予約装置104からゲート施解錠制御装置108の保持する記憶領域に設定内容を直接登録することも可能である。
【0029】
次に、本実施例の動作及び処理フローについて、図6に示す一実施例を用いて説明する。本動作は、建物等に対する来訪者が、認証装置106に対して、カード107を翳すことで来訪者識別番号を入力し(図6の左欄)、サーバ102が認証装置106から入力信号を受け取った時点を起点として、以下の手順を順次実行(図6の右欄のフローチャート)する。
【0030】
(1) 認証装置106に翳されたカード107を保持する来訪者識別番号が、「101-2 来訪者情報テーブル」の[HOST_NO]フィールドに存在するか否かを判定する(ステップS1)。存在する場合は(2)の処理へ、存在しない場合は処理を終了する。
【0031】
(2) カード107を翳された認証装置106を示す「101-3 エリア端末情報テーブル」の[READER_NO]が属する[AREA_NO]が、「101-2 来訪者情報テーブル」の[AREA_NO]フィールドに存在するか否かを照合することで、通行するエリアが予約情報に含まれるか否か判定する(ステップS2)。存在する場合は(3)の処理へ、存在しない場合は処理を終了する(ここで、[READER_NO]は認証装置106(カードリーダ等)の識別番号を示し、[AREA_NO]の意味するエリアとは、複数の認証装置によって囲われた場所(職務室、居室等)を示している。
【0032】
(3) 入力信号を受け取った時刻が、「101-2 来訪者情報テーブル」の[START_TIME]と[END_TIME]の範囲内であるか否かを判定する(ステップS3)。範囲内である場合は(4)の処理へ、範囲内でない場合は処理を終了する。
【0033】
(4) 入力信号を受け取った時点における「101-2 来訪者情報テーブル」の[HOST_NO]により特定される応接者の現在所在エリア(「101-1 応接者情報テーブル」の[PRESENT_AREA]フィールドの値)が、応接者が予め応接者の所在を指定するエリアとして登録した指定所在エリア(「101-1 応接者情報テーブル」の[REGISTER_AREA]フィールドの値)と一致するか否かを判定する(ステップS4)。一致する場合は(5)の処理へ、一致しない場合は「通行が行えない旨を来訪者に通知して(ステップS6)、処理を終了する。
【0034】
(5)対応するゲート105に対して解錠信号を出力する(ステップS5)。これにより来訪者はゲートを通過することが出来、指定されたエリアに向けて通行することが出来る。
【0035】
以上述べたように、ゲート105及び認証装置106を施設内の通路に沿って多数配置しておくことで、来訪者は、指定エリアに到着するまでに何度も確認を受け、条件が外れる場合には通行が禁止される。特に本実施例では来訪者の通過時刻、エリアだけでなく、応接者の存在を条件に通行の可否が判断されるので、応接者の対応による大幅なセキュリティ改善が期待できる。
【0036】
また、以上述べた実施例では、来訪者がカード7を携帯する例について説明したが、これに限らず、認証装置106として静脈又は指紋等の認証技術を用いることで高度な個人認証を行いつつ、カード7等の携帯を不要にする等、本発明の技術的範囲内で最近の技術を適宜応用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0037】
101・・・データベース
102・・・サーバ
103,109・・・通信ライン
104・・・来訪者予約装置
105・・・ゲート
106・・・認証装置
107・・・カード
108・・・ゲート施解錠制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
来訪者が訪れる指定エリアおよび応接者を予め登録する来訪者予約装置を備えた来訪者セキュリティ管理システムにおいて、前記指定エリアに向かう通路を遮蔽するゲートと、該ゲートに対応して設置された来訪者の認証装置と、来訪者を前記認証装置で認識し、前記指定エリアに応接者が存在するときに前記ゲートを解錠する施解錠制御装置とを備えたことを特徴とする来訪者セキュリティ管理システム。
【請求項2】
請求項1において、前記施解錠制御装置は、前記応接者が指定エリアに不在のとき、対応する前記ゲートを施錠又は施錠状態を維持することを特徴とする来訪者セキュリティ管理システム。
【請求項3】
請求項1または2において、前記来訪者予約装置で管理される施設内の通路に前記ゲート及び認証装置を複数組配置し、前記施解錠制御装置は、前記認証装置からの信号及び前記指定エリアにおける応接者の存否を条件に、対応する前記ゲートを施錠又は解錠することを特徴とする来訪者セキュリティ管理システム。
【請求項4】
請求項3において、前記施解錠制御装置は、前記認証装置による来訪者の通過時刻を条件に前記ゲートを施錠又は解錠することを特徴とする来訪者セキュリティ管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−63825(P2012−63825A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205318(P2010−205318)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】