説明

来訪者入退管理システム

【課題】来訪者に事前送付し事後に廃棄される一時的なID情報を用いても、受入担当者が知らない間に来訪者が入場することがない来訪者入退管理システムを提供する。
【解決手段】来訪者入退管理システムにおいて、中央管理手段と、事前送付情報、入退権限レベル、レベル遷移条件及びID情報等を受入設定情報として保存する受入設定情報保存手段と、ID情報を読み取り入退ゲートの制御を行う入退ゲート端末制御手段と、を備え、レベル遷移条件は受入担当者による人的な来訪者の認証操作の結果を含み、来訪者受入情報は認証操作を行う受入担当者特定情報をさらに含み、中央管理手段は、事前にID情報を来訪者に送付するとともに、ID情報に係る受入設定情報のレベル遷移条件と受入担当者による認証操作の結果とに基づいて各入退ゲート端末制御手段の入退権限レベルを変更する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、来訪者入退管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
会社やオフィス等における、来客や請負作業者など一時的な来訪者に対する従来の入退管理方法では、まず受入担当者が電話やメールなどによって来訪者と来訪日時等を事前に打ち合わせた後、管理部門に来訪者情報や日時などを事前に申請して許可を受け、施設内の電気錠ドアやフラッパーゲート等の各入退ゲート機器に関する入退許可情報が事前設定された入退用IDカードを用意していた。
来訪者は、来訪当日に受付にて来訪者情報を記帳し、受付オペレータに申請通りの来訪であることを確認して受入担当者を呼出してもらい、受入担当者又はオペレータから入退用IDカードを受け取り、しかる後にセキュリティゲートの通過が可能となっていた。そして、退場時に来訪者が入退用IDカードを受入担当者やオペレータに返却した時点で入退管理が終了となる。
【0003】
ここで、入退用IDカードとしてよく用いられるICカードを来訪者用にも用いる場合、退場時のカード回収に手間がかかる、回収漏れや紛失によりセキュリティ低下が低下するおそれがある、オペレータの人件費がかさむ、来客が大人数の場合にはICカードの発行や設定等にコストが必要となる、発行手続き時間が長く他の来客が待たされる等という問題がある。
そこで、入退管理に必要な情報を来訪者に低コストで事前配布し回収も不要のバーコードや、RFID(Radio Frequency Identification)の情報を配布できる来訪者自身の携帯情報端末の利用などが考えられている。
【0004】
これについて、例えば、従来の来訪者入退管理システムにおいては、居室との通話を行うインタホン及びカメラを有して戸建住宅や集合住宅の玄関等の入口に設置される玄関子機と、入口に設けられる電気錠を施解錠させるための電気錠制御部と、を備え、カメラにて訪問者を特定する認識情報を読み取り、その認識情報から訪問者を認証したときに電気錠制御部を介して電気錠を解錠するように構成した電気錠施錠/解錠機能付きテレビドアホンであって、認識情報として、携帯電話機等、表示部を有する携帯情報装置の表示部に任意に表示可能としたバーコード様パターンを用い、玄関子機に、バーコード様パターンを認識情報入力として読み取る訪問者認識モードに移行するためのモード切替手段を備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、会社及び公共の施設等のセキュリティエリアに訪問者が立ち入る場合の本人確認を確実に行うことを目的としたものとして、受付端末と、内部端末群と、を接続してなる訪問者認証システムであって、内部端末で、面会担当者から訪問予定者を特定するための訪問者情報の登録及び訪問者情報に対応する暗証コードの登録を受け付け、受付端末で、訪問者から訪問者情報の少なくとも一部と暗証コードの入力を受け付け、訪問者の入力内容と予め登録している訪問者情報と暗証コードが整合した場合に訪問者の入場を許可するものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
そして、受付が無人であっても来場者へカードを発行して入退場の管理をすることを目的としたものとして、管理対象の施設への入場者の入退場を管理する入退場管理システムであって、入場者を特定するための入場者データの入力を受け付ける入場者情報入力装置と、入場者データを受信してカード発行を許可するか否かを示す指示データの入力を施設の訪問先の端末から受け付けるカード発行指示装置と、カード発行を許可する指示データを受信した場合に入退場を許可するための許可データをカードに設けられた記録媒体に書き込むカード発行装置と、カードの記録媒体に書き込まれた許可データを読み取る読み取り装置と、読み取られた許可データを参照して通過を許可するか否かの指示を出力する通過判定装置と、施設内に設けられ、指示が通過の許可である場合に入場者の通過を許可し、通過を許可しない場合に入場者の通過を規制する通過規制装置と、を備えたものが知られている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
また、施設内を通行する個人の入退室を情報の書き込み及び読み出しが可能なカードを用いて管理する入退室管理システムにおいて、施設内の関係者に対して発行されたカードの識別番号とアクセスレベル番号とを関係者毎に予め記憶する記憶手段と、施設を訪れた訪問者に対して、訪問相手の識別番号とアクセスレベル番号とを記憶手段から取得して、この取得した情報を記録したビジターカードを発行する受付手段と、読出手段によって読み出されたカードの識別番号と記憶手段に記憶された識別番号とを照合して個人認証を行う照合手段と、読出手段によって検出されたカードが訪問者のビジターカードでかつ識別番号の照合が一致した場合、このカードから読み出されたアクセスレベル番号に基づいて訪問者の通行を許可するかどうかを判定する通行許可判定手段と、通行許可判定手段による通行許可判定の結果に基づいてドアに設けられた電気錠の開閉を制御する制御手段と、を備えたものが知られている(例えば、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−090006号公報
【特許文献2】特開2007−087334号公報
【特許文献3】特開2008−021263号公報
【特許文献4】特許第4246573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に示された従来技術においては、用途が住宅向けであるため、認識情報であるバーコード様パターンの有効時間を会社での管理部門のような第三者が認可する必要も仕組みもなく、単に、居住者がいちいちモード切替手段を操作して認証モードを切り替えている期間が通行可能なだけであって、事前に許可され設定された所定の時間・期間だけ所定のドアの解錠を許可することができず、会社等のセキュリティ区画において行われる入退管理には適さないという課題がある。
【0010】
特許文献2に示された従来技術においては、受付のオペレータが不要で入退許可の有効期間等のセキュリティ向け入退管理もできる半面、受入担当者によって事前に申請・設定された暗号コードに関するバーコード等の情報の有効期間中、来訪者は受入担当者と面会せずともいつでもこのバーコード等を用いて入場できてしまうというセキュリティ上の問題がある。
このため、受入担当者は、来訪者を完全に信頼できる場合を除けば、来訪者が知らない間に入場して受入担当者と面会する前に不正な行為等を働いていないことを保証するためには、暗号コードに係るバーコード等情報に対して事前に設定された有効期間の開始時刻から来訪者の実際の到着まで、入口で待ち続けなければならないという課題がある。
【0011】
特許文献3に示された従来技術においては、受付が無人であっても、受入担当者がインタホンシステムで来訪者を直接確認してからICカードを発行することができるが、ICカードを利用するものであるため、前述のようにICカードに係る諸々の課題(例えば、事前配布できない・カード発行にコストがかかる等)がある。
特許文献4に示された従来技術においては、ICカードであるビジターカードを事前に配布すること自体は可能であるが、入場受付時に受付端末においてカード内の管理番号等の入退情報をカードライターで書き換えるため、ライター装置に係るコストがかさむという課題や紙印刷のバーコードカードやRFID無線タグのように事後書き換えできない安価なカードは使うことができないという課題がある。
【0012】
また、来訪者特有のトラブルとして、受入担当者が遠隔で入室許可操作した場合来訪者は1人であるため、建物内で迷い通行すべきドアがわからなくなる、意図的に未許可区画への入室を試すため不適切にドア解錠を試みる、退場後入退許可情報が無効になった後で忘れ物等で再び戻りたい場合などに再入場を試みる、といったものがあるが、以上の特許文献に示されたいずれにおいても、これらのトラブル発生を受入担当者はシステム側から通知されることにより初めて知る場合が多く、適切に対処することができないという課題もある。
【0013】
この発明は、このような課題を解決するためになされたもので、入退管理に必要な情報について低コストで事前配布が可能、回収不要でありながら、受入担当者が来訪者を本人確認する前においては入退権限がない又は入口ホール等セキュリティレベルの低い区画までの入場に制限することができ、本人確認された後に初めて確認されたレベルに応じて他の区画への入退が可能になるよう、入退権限を、事前申請され許可済みである設定にそって順次変更することができる来訪者入退管理システムを得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この発明に係る来訪者入退管理システムにおいては、一時入退用の来訪者用ID情報を用い、入退ゲートで来訪者が提示した前記来訪者用ID情報に基づいてセキュリティ区画への入退を管理する来訪者入退管理システムであって、中央管理手段と、来訪者確認プロフィール情報、前記来訪者用ID情報を来訪者に事前送付する手段を規定するID事前送付情報、来訪者の前記来訪者用ID情報を用いた前記セキュリティ区画の入退権限を規定する2以上の入退権限レベル、及び、前記来訪者用ID情報に係る前記入退権限レベル間の遷移条件を規定する入退権限レベル遷移条件を含む来訪者受入情報を、来訪の事前に入力し申請するための来訪者受入申請入力手段と、前記来訪者受入申請入力手段に入力された前記来訪者受入情報、及び、入力された前記来訪者受入情報に関連付けられて来訪の事前に前記中央管理手段により発行された前記来訪者用ID情報を受入設定情報として保存する受入設定情報保存手段と、来訪時に、前記入退ゲートに接近した来訪者が提示する前記来訪者用ID情報を読み取るID情報読取手段を有し、読み取った前記来訪者用ID情報を前記中央管理手段に送信するとともに、読み取った前記来訪者用ID情報と前記中央管理手段から配信された前記入退ゲートの制御情報とに基づいて前記入退ゲートの開閉を制御し、来訪者に対して前記セキュリティ区画の入退制御を実行する入退ゲート端末制御手段と、を備え、前記入退権限レベル遷移条件は、前記入退権限レベル間の遷移条件として受入担当者による人的な来訪者の認証操作の結果を含み、前記来訪者受入情報は、前記入退権限レベル遷移条件に含まれる前記認証操作を行う受入担当者を特定する受入担当者特定情報をさらに含み、前記中央管理手段は、来訪の事前に前記来訪者用ID情報を来訪者へと前記受入設定情報保存手段に保存された前記ID事前送付情報基づいて送付するとともに、前記入退ゲート端末制御手段から送信された前記来訪者用ID情報に係る前記受入設定情報を前記受入設定情報保存手段から取得し、取得した前記受入設定情報に含まれる前記入退権限レベル遷移条件と受入担当者による前記認証操作の結果とに基づいて前記来訪者用ID情報に係る入退権限レベルを変更し、この変更した入退権限レベルに対応する前記制御情報を各前記入退ゲート端末制御手段へと配信する構成とする。
【発明の効果】
【0015】
この発明に係る来訪者入退管理システムにおいては、入退管理に必要な情報について低コストで事前配布が可能、回収不要でありながら、受入担当者が来訪者を本人確認する前においては入退権限がない又は入口ホール等セキュリティレベルの低い区画までの入場に制限することができ、本人確認された後に初めて確認されたレベルに応じて他の区画への入退が可能になるよう、入退権限を、事前申請され許可済みである設定にそって順次変更することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】この発明の実施の形態1に係る来訪者入退管理システムの全体構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る入退権限レベル設定例を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る入退権限レベル間の遷移条件の設定例を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る受入担当者呼出し方法の設定例を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る来訪者入退管理システムの事前打ち合わせ時における動作を示す図である。
【図6】この発明の実施の形態1に係る来訪者入退管理システムの来訪者入場時における動作を示す図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係る来訪者入退管理システムの来訪者退場時における動作を示す図である。
【図8】この発明の実施の形態2に係る顔認証機能付き端末の構成を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態2に係る来訪者入退管理システムの来訪者顔認証時における動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明を添付の図面に従い説明する。各図を通じて同符号は同一部分又は相当部分を示しており、その重複説明は適宜に簡略化又は省略する。
【0018】
実施の形態1.
図1から図7は、この発明の実施の形態1に係るもので、図1は来訪者入退管理システムの全体構成を示す図、図2は入退権限レベル設定例を示す図、図3は入退権限レベル間の遷移条件の設定例を示す図、図4は受入担当者呼出し方法の設定例を示す図、図5は来訪者入退管理システムの事前打ち合わせ時における動作を示す図、図6は来訪者入退管理システムの来訪者入場時における動作を示す図、図7は来訪者入退管理システムの来訪者退場時における動作を示す図である。
【0019】
図において10は 会社やオフィス等における来客や請負作業者など一時的な来訪者に対する入退管理を行うため、事前発行と使用後の廃棄が可能な一時入退用の来訪者向けID情報を用い、入退ゲート制御端末で来訪者により示されたID情報を読み取って、セキュリティ区画への入退を管理する来訪者入退管理システムの動作全般の制御を司る中央管理CPUである。この中央管理CPU10には、当該来訪入退管理システムの制御に係る各種情報を格納する設定データベース11が備えられている。
なお、ここでは、ID情報として2次元バーコード(QRコード(登録商標))等のバーコード印刷物を用いた例で説明する。
【0020】
来訪者と受入担当者との間で行われる電話や電子メール等による事前打ち合わせ時20において、受入担当者は、面会相手である来訪予定者の所属や氏名等の本人確認用のプロフィール情報である来訪者確認プロフィール情報、来訪時間、並びに、来訪者向けID情報である受付ID情報22(後には入退ID情報に格上げされる)の事前送付先及び送付手段(電子メールや郵送等)を規定する情報であるID事前送付情報を入手する。
そして、受入担当者は、来訪者受入申請の入力を行うための申請入力端末21を用いて、入手した来訪者確認プロフィール情報、来訪時間及びID事前送付情報、並びに、後述する入退権限レベル情報、入退権限レベルの遷移条件及び受入担当者呼出し方法を来訪者受入情報として入力する。
【0021】
中央管理CPU10は、申請入力端末21から入力された受入設定情報を、設定データベース11内に構成された受入設定情報データベースに格納し、来訪者受入の申請状態とするとともに、当該来訪予定者に対して一意に識別可能な受付ID情報22を仮発行し、この仮発行した受付ID情報22と申請入力端末21から入力された来訪者受入情報を関連付けた上で、この関連付けたデータを改めて受入設定情報として受入設定情報データベースに格納する。この設定データベース11の受入設定情報データベースは受入設定情報保存手段を構成している。
【0022】
当該会社等の受入許可部門、すなわち、受入担当者に対する第三者、には、申請入力端末21に入力されて来訪者受入の申請状態とされている受入設定情報に対して、許可、修正又は不許可の操作を行うための許可操作端末23が設置されている。
許可操作端末23において申請状態の受入設定情報に対して許可の操作を行うと、これを受けた中央管理CPU10は当該受入設定情報を有効状態として受付ID情報22をID事前送付情報に基づき来訪予定者へと送付する。
また、許可操作端末23において申請状態の受入設定情報に対して不許可の操作を行うと、これを受けた中央管理CPU10は当該受入設定情報を削除する。あるいは、申請を記録として残しておくという運用を行う場合には当該受入設定情報を無効状態とする。
【0023】
なお、申請許可時における受付ID情報22の送付のタイミングについて、ここでは、申請が許可され受入設定情報が有効となった時点で送付されることとしたが、申請が入力された時点で即時に送付し、申請が不許可とされた場合のみ中央管理CPU10からその旨を来訪予定者に通知するようにしてもよい。このようにしても、仮に申請が許可されなかったとしても単に送付した受付ID情報22及び受入設定情報が無効とされるだけであるので問題は生じない。この場合、申請が不許可とされた際には受入担当者からも来訪予定者にその旨を連絡することが望ましいのはいうまでもない。
【0024】
設定データベース11には、来訪者がID情報を用いてセキュリティ区画の入退又は受入担当者の呼出しを行う権限のレベルを示す情報であって、受入担当者による人的な来訪者の認証操作結果に応じて遷移する2以上の入退権限レベルに関する入退権限レベル情報が格納されている。
この入退権限レベル情報の具体例を図2に示す。
まず、ここでは、当該来訪者入退管理システムが設けられた会社等の建物のセキュリティ区画は入退ゲートであるフラッパーゲートやドア等により、例えば、次のように区画されているとする。
【0025】
すなわち、当該建物の玄関に設けられたフラッパーゲートXにより当該建物の外部と区分けされた玄関待合スペース、ドアA及びドアBにより玄関待合スペースと区分けされた応接スペース、さらにドアC及びドアDにより区分けされたオフィススペース、並びに、さらにドアEにより区分けされた高セキュリティ区画である計算機サーバスペースである。
【0026】
入退権限レベルは予め定められた0から3及びカスタム設定によるC1とがある。
まず、レベル0は無効状態を示すレベルであっていずれのセキュリティ区画にも入場することができない。
レベル1は初期設定のレベルであって、来訪期間とその前後数十分程度のマージンが加えられたID情報の有効期間の間、玄関のフラッパーゲートXから玄関待合スペースへ入場し、応接スペースへつながるドアA又はドアBを制御する入口端末31にてID情報を読み取らせ、第1受入担当者を呼出す権限のみ有する「受付ID」レベルである。
このレベル1においては、ID情報の有効期間においてフラッパーゲートXを所定の回数(ここでは3回とする)だけ入場可能であり、同有効期間において入口端末31から第1受入担当者を呼出すことが可能である。ドアC、ドアD及びドアEについては1度きりの退出が可能である。
【0027】
レベル2は、来訪者が本人と認証された後にドアA又はドアBの入場と1度きりの退出が可能となる「入退ID(セキュリティレベル低)」である。
このレベル2においては、フラッパーゲートXについて同有効期間において1度退出可能、ドアA及びドアBについて同有効期間において入退出が可能かつ同有効期間の経過後には1度の退出のみが可能、ドアC、ドアD及びドアEについては同有効期間において区画内アクセス端末32から受入担当者を呼出すこと及び1度の退出が可能である。
【0028】
レベル3は、再度の受入担当者による本人認証により受入担当者のオフィスまでのドアC又はドアDまでの入退が可能となる「入退ID(セキュリティレベル中)」に設定されているとする。
このレベル3においては、フラッパーゲートXについて同有効期間において1度退出可能、ドアA及びドアB並びにドアC及びドアDについて同有効期間において入退出が可能かつ同有効期間の経過後には1度の退出のみが可能、ドアEについては同有効期間において区画内アクセス端末32から受入担当者を呼出すこと及び1度の退出が可能である。
【0029】
さらに、レベルC1はそれ以上の高セキュリティ区画のためオプションとして申請許可を得たカスタム設定で、前記第1受入担当者とともに、建物への入場を許可する権限はないが、第1受入担当者には入室権限のない計算機サーバスペースで来訪者とともに作業を行う第2受入担当者の、計2人の本人認証を要するドアEまでの入退権限レベルとする。
このレベル3においては、フラッパーゲートXについて同有効期間において1度退出可能、ドアA及びドアB並びにドアC及びドアDについて同有効期間において入退出が可能かつ同有効期間の経過後には1度の退出のみが可能、ドアEについても同有効期間において入退出が可能かつ同有効期間の経過後には1度の退出のみが可能である。
【0030】
このように、入退権限レベル情報には、入退ID情報に対して、2以上のセキュリティレベルに応じて各ゲートや各ドア等への入退権限が多段階に定義されている。
そして、受入担当者は申請入力端末21を用いた受入申請において申請入力端末21へと受入設定情報を入力する際に、当該来訪予定者に対する入退権限レベルをレベル1から3のうちから適正に選択するか、カスタム設定(C1)を行って申請する。
【0031】
設定データベース11には、来訪者の認証結果に対応してID情報に対する入退権限レベル間の遷移条件を規定する入退権限レベル遷移条件情報が格納されている。
この入退権限レベル遷移条件情報の具体例を図3に示す。
この図3に示すように、各権限レベルにおいて、どのような条件が満足されるとどのレベルへと遷移するのか、が設定されたものである。
【0032】
ここでは、条件となる事象について、第1の受入担当者が1回目の本人確認済、第1の受入担当者が2回目の本人確認済、第1の受入担当者及び第2の受入担当者の両方により本人確認済、所定の出場・終了操作がなされた、並びに、ID情報の有効期間外(時間外)である、の5つが規定されている。
【0033】
そして、この例では、レベル1において、第1の受入担当者が1回目の本人確認を行うとレベル2へと遷移し、フラッパーゲートXについて所定の回数(3回)入場した後退出するとレベル0へと遷移する。
レベル2においては、第1の受入担当者が2回目の本人確認を行うとレベル3へと遷移し、第1の受入担当者及び第2の受入担当者の両方により本人確認が行われるとレベルC1へと遷移し、ドアA及びドアBを退出するとレベル1へと遷移する。
【0034】
レベル3においては、第1の受入担当者及び第2の受入担当者の両方により本人確認が行われるとレベルC1へと遷移し、ドアA及びドアBを退出するとレベル1へと遷移する。
レベルC1においては、ドアA及びドアBを退出するとレベル1へと遷移する。
また、いずれのレベルにおいても、ID情報の有効期間外(時間外)となるとレベル0へと遷移する。
【0035】
なお、以上においては、入退権限レベル情報と入退権限レベル遷移条件情報とを別々の設定テーブルとして設定データベース11内に設定したが、両者を単一の権限テーブルとして設定データベース11内に設定するようにしてもよい。
【0036】
玄関待合スペースから応接スペースへとつながるドアA及びドアBの近傍には、入口端末31が設置されている。この入口端末31はこれらドアA及びドアBの施解錠を制御しており、すなわち、ドアA及びドアBは入口端末31によりその施解錠が制御される入口ドア31aを構成している。入口端末31は、入退ゲートであるドアA及びドアBの開閉を制御する入退ゲート端末制御手段を構成している。
【0037】
入口端末31には、映像を撮影するカメラ部及びマイク・スピーカ部を有するカメラインタホン兼バーコードリーダ33が設けられており、カメラインタホン兼バーコードリーダ33はインタホン子機機能に相当する。
このカメラインタホン兼バーコードリーダ33には、カメラインタホン兼バーコードリーダ33が有するカメラ部に来訪者が所持する受付ID情報22のバーコードパターンをかざすと、このバーコードパターンを認識して受付ID情報22を読み取るバーコード認識機能34が備えられている。
また、入口端末31には、入口ドア31aであるドアA及びドアBの施解錠を制御する制御装置35も備えられている。
【0038】
オフィススペースへとつながるドアC及びドアD、並びに、計算機サーバスペースへとつながるドアEの近傍には、区画内アクセス端末32がそれぞれ設置されている。この区画内アクセス端末32はこれらドアC及びドアD並びにドアEの施解錠を制御しており、すなわち、ドアC及びドアD並びにドアEは区画内アクセス端末32によりその施解錠が制御される区画内ドア32aを構成している。区画内アクセス端末32は、入退ゲートであるドアC、D及びEの開閉を制御する入退ゲート端末制御手段を構成している。
【0039】
区画内アクセス端末32には、映像を撮影し、かざされたバーコードパターンを認識して受付ID情報22を読み取るバーコード認識機能34を有するカメラ部と、区画内ドア32aであるドアC及びドアD並びにドアEの施解錠をそれぞれ制御する制御装置35と、が備えられている。
【0040】
受入担当者の机上に設置された机上PC端末には、TV会議システム様のカメラインタホンソフトウェア(以下、カメラインタホンS/W)がインストールされて、カメラインタホンS/W端末41が構成されている。このカメラインタホンS/W端末41は受入担当者が来訪者の認証を行うための来訪者認証手段である。
このカメラインタホンS/W端末41の操作画面には、カメラインタホン部41a、申請情報表示部42、許可ボタン43及び不許可ボタン44が表示される。
【0041】
カメラインタホン部41aは、インタホン親機機能に相当し、入口端末31のカメラインタホン兼バーコードリーダ33と接続され、受入担当者は入口端末31の前に立つ来訪者を撮影したカメラ映像を確認したり、マイク部を通じて入力された来訪者の音声を確認したりすることにより、来訪者の人的な本人確認を直接的に行うことが可能である。
なお、図1において、入口端末31のカメラインタホン兼バーコードリーダ33とカメラインタホンS/W端末41のカメラインタホン部41aとを接続する通信線については、その図示を省略している。
【0042】
申請情報表示部42は、設定データベース11内の受入設定情報データベースに格納されている申請情報(受入設定情報)を表示するものであり、例えば、入口端末31や区画内アクセス端末32のバーコード認識機能34により、来訪者がかざしたバーコードパターンから受付ID情報22が認識されると、この認識された受付ID情報22に関連付けられた受入設定情報として設定データベース11内の受入設定情報データベースから検索された受入設定情報を表示する。
【0043】
許可ボタン43及び不許可ボタン44は、受入担当者が、カメラインタホン部41aの映像や音声及び申請情報表示部42の受入設定情報を用いて本人確認を行った結果、本人確認OKであるのかNGであるのかに応じて許可及び不許可の指示を中央管理CPU10の来訪者確認手段12に与える認証操作を行うためのものである。
【0044】
設定データベース11には、入退権限レベル遷移条件に含まれる来訪者本人確認による認証操作を行う受入担当者を特定する受入担当者特定情報であるところの受入担当者呼出し方法の設定情報が格納されている。
受入担当者呼出し方法は、入退権限レベル遷移条件において来訪者の本人確認を行うこととなっている受入担当者を呼出す方法であって、換言すれば、入退権限レベル遷移条件において関連付けられた認証操作を行う人物である受入担当者を特定する方法のことである。
受入担当者呼出し方法の設定情報には呼出しの対象である担当者と呼出しの手段である呼出し端末が呼出し実行順序に関連付けられて規定されており、これらの呼出方法のいずれかが成功するまで、呼出し実行順序に従って順序の上位から下位へと順に呼出しが実行される。
【0045】
この受入担当者呼出し方法の設定情報の具体例として(A)及び(B)の2つを図4に示す。
(A)は簡潔な定型的設定の具体例である。
呼出し実行順序の1位には主担当者である第1の受入担当者の机上PCが、呼出し実行順序の2位には同じく主担当者である第1の受入担当者の構内携帯電話端末が、呼出し実行順序の3位には代理担当者である第3の受入担当者の机上PCが、呼出し実行順序の4位には万一受付担当者がすべて応対不能の場合にその旨を来訪者に伝え一般的な応対をするための総務部門一般受付担当者の机上PCが、それぞれ担当者及び呼出し端末として設定されている。
通常の場合においては、この(A)ような定型設定パターンから選択し、第1及び第3の受入担当者に実際の担当者を割り当てればよい。
【0046】
また、(B)は、受入担当者等が状況等に応じて細かく設定が可能であるカスタム設定の例を示すものである。
ここでは、図2及び図3で例示した入退権限レベル及びこの遷移条件における第2の受入担当者(受入担当者2)には初回(1回目)の来訪者本人確認の認証を行う権限がないため、第1の受入担当者による1回目の来訪者本人確認の前であるのか後であるのかによって、各呼出し実行順序における担当者及び呼出し端末を変えるようにしたものである。
【0047】
この(B)の呼出し方法設定では、第1の受入担当者による1回目の来訪者本人確認の前(第1条件)における各呼出し実行順序の担当者及び呼出し端末は、前述した(A)の場合と同様であり、その説明は省略する。
そして、第1の受入担当者による1回目の来訪者本人確認の後(第2条件)においては、呼出し実行順序の1位には第1の受入担当者又は第2の受入担当者の机上PCが、呼出し実行順序の1位には第1の受入担当者又は第2の受入担当者の内線携帯端末が、それぞれ担当者及び呼出し端末として設定されており、呼出し実行順序の3位及び4位には、特に担当者及び呼出し端末は設定されていない。
【0048】
本システムにおいては、このようにして、受入担当者毎に受入権限の制限を設けることも可能である。
また、受入担当者呼出し方法の設定は、通常、来訪者の受入申請時から来訪当日までの間に、受入担当者によって事前になされているものであるが、受入担当者が、自身の居場所に応じて各設定の有効無効や優先順位を動的に切り替えることが可能である。
【0049】
中央管理CPU10には、来訪者の本人確認に係る制御を行う来訪者確認手段12、及び、来訪者の本人確認等の条件成立に伴う入退権限レベル遷移に係る制御を行うレベル遷移手段13が備えられている。
来訪者が入口端末31のカメラインタホン兼バーコードリーダ33のカメラ部にバーコードパターンをかざし事前送付された受付ID情報22を読み取らせると、入口端末31は受入担当者を呼出すため認識した受付ID情報22を中央管理CPU10に送信し、中央管理CPU10は受付ID情報22を受け取ると、当該受付ID情報22に係る有効な受入設定情報を設定データベース11の受入設定情報管理データベースから検索する。
【0050】
来訪者確認手段12は、この検索された受付ID情報22に係る有効な受入設定情報内の受入担当者呼出し方法の設定に沿って、設定データベース11の受入担当者呼出し方法の設定情報を参照しながら受入担当者の呼出し処理を実行する。
また、受入担当者の呼出し後、来訪者確認手段12は、当該受入担当者のカメラインタホンS/W端末41の申請情報表示部42に、当該検索された受付ID情報22に係る有効な受入設定情報を表示させ、受入担当者による許可ボタン43及び不許可ボタン44を介した認証操作の結果を受け取ると、その結果をレベル遷移手段13へと出力する。
【0051】
レベル遷移手段13は、来訪者確認手段12からの来訪者本人確認の認証操作結果を受け取ると、設定データベース11内の入退権限レベル遷移条件情報を参照しながら、当該検索された受付ID情報22に係る有効な受入設定情報の入退権限レベル遷移条件が成立したか否かの判定を行い、入退権限レベル遷移条件が成立した場合には、当該成立した条件に沿って当該受付ID情報22に係る入退権限レベルを遷移させる。
そして、入退権限レベルの遷移に伴い、入口端末31及び区画内アクセス端末32の制御装置35の制御設定を遷移後のレベルに応じたものになるように更新する。
【0052】
この実施の形態にあっては、来訪者入退管理システムは、まず、事前打ち合わせ時20に、図5に示す一連のフローに従って動作する。
すなわち、まず、受入担当者は面会相手である来訪予定者の来訪者確認プロフィール情報、来訪時間及びID事前送付情報を入手し、申請入力端末21に、これらの情報とともに、来訪時のセキュリティ区画の各出入口に対する入退権限レベルの設定及び来訪者到着時における受入担当者の呼出し方法の設定に関する情報(以上を合わせて来訪者受入情報)を入力する(ステップS1)。
【0053】
次に、ステップS2において、中央管理CPU10は、申請入力端末21に入力された受入設定情報に対して一意に特定可能な受付ID情報22を仮発行し、当該受入設定情報に関連付けて設定データベース11の受入設定情報データベースに格納して、当該受入設定情報を申請状態にする。
続くステップS3において受入許可部門が許可操作端末23を用いて当該受入申請に対する受入許可操作を行うと、ステップS4においてこのステップS3の受入許可操作により当該受入申請が許可されたか否かについて判定される。
【0054】
このステップS4の判定において、当該受入申請が許可されたと判定された場合には、ステップS5へと移行して、中央管理CPU10は、当該許可された受入設定情報を有効とし、この受入設定情報のID事前送付情報に基づいて先のステップS2で発行したこの受入設定情報に関連付けられた受付ID情報22を、来訪予定者へと送付する。
そして、ステップS6へと移り、この受付ID情報22の送付を受けた来訪予定者は、受付ID情報22のバーコードパターンを、例えば紙に印刷し又は自身の携帯情報端末に転送して画面に表示できるように事前準備を行う。
【0055】
ここで、受付ID情報22を来訪予定者に送付する際に、受付ID情報22のバーコードパターンとともに来訪時の操作案内や地図等の付加情報を一緒に送付するようにしてもよい。このステップS6の事前準備において来訪予定者が紙に印刷した場合に、この付加情報も一緒に印刷して載せられ便宜である。また、携帯情報端末に表示する場合、紙印刷のコストがかからず、紙面面積に付加情報の量が制約されないという来訪者側のメリットがある。
【0056】
一方、ステップS4の確認において、当該受入申請が許可されず不許可であると判定された場合には、ステップS7へと移行して、中央管理CPU10は当該不許可となった受入設定情報を削除し又は無効とする。
そして、このステップS7又はステップS6の後、ステップS8へと至り一連の動作フローは終了する。
【0057】
また、この実施の形態にあっては、来訪者入退管理システムは、来訪当日の入場時において、図6に示す一連のフローに従って動作する。
すなわち、来訪者は、来訪するとまず玄関のフラッパーゲートXを通って玄関待合スペースへ入場し、例えば応接スペースへつながる入口ドア31aであるドアA(又はドアB)の入口端末31のカメラインタホン兼バーコードリーダ33のカメラ部に事前送付された受付ID情報22のバーコードパターンをかざす(ステップS101)。
【0058】
そして、ステップS201において、入口端末31はバーコード認識機能34によりかざされたバーコードパターンを認識して受付ID情報22を読み取り、ステップS202において、入口端末31は受入担当者を呼出すため読み取った受付ID情報22を中央管理CPU10へと送信する。
ここで、前述したように、カメラインタホン兼バーコードリーダ33はバーコード認識機能34を内蔵しカメラ部をインタホンと共用している。
【0059】
当該受付ID情報22は、前述したように、申請された来訪期間を含んだ有効期間に入るとレベル1となって、フラッパーゲートXの入場及び入口端末31から第1の受入担当者を呼出すことが可能となっているが、まだ応接スペースより内側への入退出には使えない状態である。
また、受付ID情報22を一度フラッパーゲートXの入場に用いると、退場時にも受付ID情報22をかざさない限り、同一の受付ID情報22での再入場はできないという設定もなされている。さらに、昼食時や忘れ物等による再入場を想定し、例えば最大3回のフラッパーゲートX入場が許可されており、その回数を過ぎると有効期間満了を待たずレベル0(無効状態)に格下げされる。なお、無効状態での使用が検知された場合には不正入退のアラームと記録がなされる。
【0060】
次に、ステップS301において、受付ID情報22を受け取った中央管理CPU10は、この受付ID情報22に関連付けられた有効な受入設定情報を設定データベース11の受入設定情報管理データベースから検索する。
そして、ステップS302において、中央管理CPU10の来訪者確認手段12は、この受付ID情報22に係る受入設定情報内の受入担当者呼出し方法の設定に沿って、設定データベース11の受入担当者呼出し方法の設定情報を参照しながら呼出し実行順序に従って受入担当者の呼出し処理を実行する。なお、ここでは、受入担当者呼出し方法として図4の(B)の設定がなされているとする。
【0061】
一方、入口端末31においてはステップS202の後、来訪者が入口端末31前を占有することがないよう、この呼出し処理の間も他の入退権限者によるIDカードを用いた入口ドア31a(ドアA、B)からの入退を受け付けるものとする(ステップS2000)。従って、来訪者は受付ID情報22を認識させた後一度入口端末31を離れ、入口端末31の呼出しインタホン部から再度呼出されるまで待つものとする。
【0062】
ステップS302において、来訪者確認手段12は、受入担当者呼出し方法設定の呼出し実行順序に従っていずれかの受入担当者が応答するまで呼出しを試みる。ここでは、例えば、ステップS401のカメラインタホンS/W端末41での受入担当者呼出しに対して、第1の受入担当者が応答したとする(ステップS402)。
そして、来訪者確認手段12は、受入担当者の呼出しに成功するとステップS303において来訪者呼出し処理を実行し、入口端末31のカメラインタホン兼バーコードリーダ33のスピーカ部等を用いて来訪者の呼出しを行う(ステップS203)。
【0063】
この呼出しに対してステップS102において来訪者が応答して再度入口端末31に受付ID情報22のバーコードパターンを提示し、ステップS204において入口端末31のバーコード認識機能34により受付ID情報22を読み取って確認がなされると、ステップS205に移行して、入口端末31のカメラインタホン兼バーコードリーダ33とカメラインタホンS/W端末41のカメラインタホン部41aが中央管理CPU10の来訪者確認手段12を介して接続され、来訪者と受入担当者との間で通話が可能となる。
【0064】
この状態においては、来訪者は受入担当者とインタホンを介して通話を行い(ステップS103)、受入担当者はカメラインタホン部41aを介して来訪者を撮影したカメラ映像を確認したり、マイク部を通じて入力された来訪者の音声を確認したりすることにより、申請情報表示部42に表示された受入設定情報も確認しつつ来訪者の人的な本人確認を直接的に行うことができる。
そして、ステップS403において受入担当者が許可ボタン43押下によって本人確認操作を行うと、ステップS304において入退管理CPU10のレベル遷移手段13は図3の入退権限レベル遷移条件に従って受入設定情報の「受付ID(レベル1)」をレベル2の「入退ID」に格上げして入口端末31や区画内アクセス端末32が備える制御装置35の認証制御設定を更新する。
【0065】
続くステップS206において、制御装置35の設定が更新された入口端末31では、既に再提示で確認済みの受付ID情報22(入退ID情報)によって入口ドア31a(ドアA、B)を解錠し、受入担当者が来訪を知らないという事態に陥ることなく、来訪者は入口ドア31aを通って応接スペースに入場するとともに(ステップS104)、当該受付ID情報22(入退ID情報)のバーコードパターンを区画内アクセス端末32のカメラ部に読み取らせることで他の区画内ドア32aの通過もレベル2の権限で可能となる。
【0066】
なお、以上においては、受入担当者が自分の机でカメラインタホンS/W端末41を操作して来訪者の本人確認を行ったが、カメラインタホンS/W端末41に相当するカメラインタホンS/Wがインストールされている携帯情報端末を、受入担当者が持ったまま入口に出向き直に目視の後に来訪者の本人確認操作を行ってもよい。
【0067】
また、図4の呼出し実行順序第2位にある構内携帯電話端末の音声インターフェイス(音声I/F)又はテレビ電話I/Fを来訪者確認端末として用いる仕組みとして、図1には示さないがインタホンの音声と電話音声を相互変換する音声ゲートウェイ機能又は映像も含んだテレビ電話ゲートウェイ機能と、電話端末のプッシュトーン音を許可ボタン又は不許可ボタン等の操作ボタンとして識別する機能を備えている。
この場合、来訪者が入口の内線電話から通常のダイヤル操作で受入担当者の構内携帯電話端末を呼出し通話する場合と比較して、来訪者に電話番号を開示することなく通話による本人確認が可能である、携帯電話端末のボタンがそのままシステムの確認操作のボタンとなるため携帯電話端末以外の端末の持ち歩きが不要である、等のメリットがある。
【0068】
ステップS104において来訪者がレベル2に格上げされた受付ID情報22を用いて応接スペースに入った後、来訪者は、例えば受付ID情報22のバーコードパターンとともに事前に知らされている来訪案内を見ながらさらにオフィススペース前の区画内ドア32aであるドアC又はドアDまで移動する。
ここで、もし受入担当者がまだ区画内ドア32aに居なければ、ステップS111において、先のステップS101と同様にして今度は区画内アクセス端末32のカメラ部にバーコードパターンをかざして、区画内アクセス端末32はバーコード認識機能34により、かざされたバーコードパターンから受付ID情報22を読み取る(ステップS211)。
【0069】
そして、ステップS202において、区画内アクセス端末32は受入担当者を呼出すため読み取った受付ID情報22を中央管理CPU10へと送信し、ステップS311において、受付ID情報22を受け取った中央管理CPU10は、この受付ID情報22に関連付けられた有効な受入設定情報を設定データベース11の受入設定情報管理データベースから検索する。
その後、前述したステップS401、S402、S303、S203、S102、S204、S205及びS103と同様の処理を経て、図4の担当者呼出し方法に沿ったインタホン機能の利用を通じた受入担当者の呼出し、及び、来訪者の本人確認が行われる。
【0070】
続くステップS413において、受入担当者が来訪者の区画内ドア32a(ドアC又はドアD)への到達を確認して、来訪者確認端末であるカメラインタホンS/W端末41の許可ボタン43を押下すると、ステップS314において入退管理CPU10のレベル遷移手段13は図3の入退権限レベル遷移条件に従って入退権限レベルを2から3又はC1へと変更し、入口端末31や区画内アクセス端末32が備える制御装置35の制御設定を更新する。なお、来訪者本人確認を行ったのが第1の受入担当者ならばレベル3、第2の受入担当者ならばレベルC1となる。
【0071】
そして、続くステップS216において、制御装置35の設定が更新された区画内アクセス端末32では、既に確認済みの受付ID情報22(入退ID情報)によって区画内ドア32a(ドアC、D)を解錠し、来訪者は区画内ドア32a(ドアC、D)を通ってオフィススペースに入場するとともに(ステップS114)、当該受付ID情報22(入退ID情報)のバーコードパターンの提示により、入口ドア31a(ドアA、B)及び区画内ドア32a(ドアC、D)、レベルC1の場合はさらに計算機サーバスペースへのドアEの通過が可能となる。
【0072】
なお、来訪者確認操作の手段をドア端末(入口端末31や区画内アクセス端末32)にも設けてもよく、受入担当者が前述のような来訪者確認端末であるカメラインタホンS/W端末41を使わず、オフィススペース等の前で直に来訪者と会って本人確認できる場合には、確認操作をドア端末で行うことも可能である。
このドア端末による来訪者の確認操作機能としては、例えば、来訪者が受付ID情報22をドア端末に読み取らせた直後、所定の時間内に受入担当者のIDカードを読み取らせたり、ドア端末から暗証番号をキー入力するような等の方法を採用してもよいし、従来の技術を流用してもよい。
この場合、確認操作が第1の受入担当者によってなされた場合には、その後、計算機サーバスペースへ入室する場合には第2の受入担当者の確認操作も必要となる。
【0073】
そして、この実施の形態にあっては、来訪者入退管理システムは、来訪当日の退場時において、図7に示す一連のフローに従って動作する。
まず、来訪者の退場時になり、ステップS491において、受入担当者が不許可ボタン44を押下する等の所定の終了操作を行うと、ステップS391へと移行して、管理CPU10のレベル遷移手段13は、受付ID情報22(入退ID情報)に係る入退権限レベルをレベル2、3又はC1の状態から、当該受付ID情報22の有効期間内であればレベル1に、有効期間外であればレベル0に変更し、当該受付ID情報22を「入退ID」から「受付ID」に格下げする。
【0074】
すると、ステップS291において、入口端末31及び区画内アクセス端末32に備えられた制御装置35の制御設定が更新されて各入口ドア31a及び区画内ドア32aから退出だけが可能となる。
来訪者は入口端末31の出口側端末が備えるカメラ部にバーコードパターンを提示し(ステップS191)、入口端末31の出口側端末のバーコード認識機能34が受付ID情報22を読み取り(ステップS293)、入口ドア31aが解錠されて(ステップS293)、来訪者は入口ドア31aを通過して応接スペースより外に出場する。
【0075】
来訪者が一度入口ドア31aを通過して応接スペースより外に出場すると、以後、入口端末31の入口側端末が備えるカメラ部にバーコードパターンを提示し(ステップS192)、入口端末31の入口側端末のバーコード認識機能34が受付ID情報22を読み取ると(ステップS294)、ステップS295において認証拒否となるため、来訪者は応接スペースより内には入場できなくなる。
なお、以上において、来訪者が入口ドア31aや区画内ドア32a等を実際に入退した事実(入退時間等)については、中央管理CPU10の設定データベース11に入退記録として保存される。
【0076】
ここで、この時点においても所定時間内は受付IDレベルの機能が保たれているため、仮に忘れ物等をして再度受入担当者に連絡をとりたい場合には、入口端末31からの受入担当者の呼出しだけは可能な状態となっている。
また、玄関のフラッパーゲートXからの退場後も2回までは入場権限が残っているため、来訪者にとっても便利である。完全に受付ID情報22のバーコードパターンが不要になれば来訪者はそれを廃棄する。
【0077】
なお、用いる受付ID情報22(入退ID情報)としては、バーコード等の二次元情報に限られるものではなく、例えば、RFID等の情報を携帯情報端末に直接送付し、携帯情報端末の認証機能をかわりに用いるような構成でもよい。
また、この場合、携帯情報端末に直接、受付ID情報22(入退ID情報)を送信したり、動的にその情報を変更したりすることによってセキュリティレベルをさらに上げた構成も可能である。ただし、このような携帯情報端末への直接送付を行うには電話番号や端末のメールアドレス等の来訪者の個人情報に属する情報を得る必要があり、不特定多数の来訪者に適用する際は本人の許可を得る必要がある点には留意が必要である。
さらにまた、受付ID情報22(入退ID情報)として通常のプラスチック製RFIDカードやRFIDタグ埋め込みの紙製カード等を用いることができることはいうまでもない(この場合、郵送等の手段で事前に来訪予定者に当該カードを送付しておく等の運用が必要となる)。
【0078】
以上のように構成された来訪者入退管理システムは、一時入退用の来訪者用ID情報を用い、入退ゲートで来訪者が提示した来訪者用ID情報に基づいてセキュリティ区画への入退を管理する来訪者入退管理システムであって、中央管理手段と、来訪者確認プロフィール情報、来訪者用ID情報を来訪者に事前送付する手段を規定するID事前送付情報、来訪者の来訪者用ID情報を用いたセキュリティ区画の入退権限を規定する2以上の入退権限レベル、及び、来訪者用ID情報に係る入退権限レベル間の遷移条件を規定する入退権限レベル遷移条件を含む来訪者受入情報を、来訪の事前に入力し申請するための来訪者受入申請入力手段と、来訪者受入申請入力手段に入力された来訪者受入情報、及び、入力された来訪者受入情報に関連付けられて来訪の事前に中央管理手段により発行された来訪者用ID情報を受入設定情報として保存する受入設定情報保存手段と、来訪時に、入退ゲートに接近した来訪者が提示する来訪者用ID情報を読み取るID情報読取手段を有し、読み取った来訪者用ID情報を中央管理手段に送信するとともに、読み取った来訪者用ID情報と中央管理手段から配信された入退ゲートの制御情報とに基づいて入退ゲートの開閉を制御し、来訪者に対してセキュリティ区画の入退制御を実行する入退ゲート端末制御手段と、を備え、入退権限レベル遷移条件は、入退権限レベル間の遷移条件として受入担当者による人的な来訪者の認証操作の結果を含み、来訪者受入情報は、入退権限レベル遷移条件に含まれる認証操作を行う受入担当者を特定する受入担当者特定情報をさらに含み、中央管理手段は、来訪の事前に来訪者用ID情報を来訪者へと受入設定情報保存手段に保存されたID事前送付情報基づいて送付するとともに、入退ゲート端末制御手段から送信された来訪者用ID情報に係る受入設定情報を受入設定情報保存手段から取得し、取得した受入設定情報に含まれる入退権限レベル遷移条件と受入担当者による認証操作の結果とに基づいて来訪者用ID情報に係る入退権限レベルを変更し、この変更した入退権限レベルに対応する制御情報を各入退ゲート端末制御手段へと配信するものである。
【0079】
このため、入退管理に必要な情報について低コストで事前配布が可能、回収不要でありながら、受入担当者が来訪者を本人確認する前においては入退権限がない又は入口ホール等セキュリティレベルの低い区画までの入場に制限することができ、本人確認された後に初めて確認されたレベルに応じて他の区画への入退が可能になるよう、入退権限を、事前申請され許可済みである設定にそって順次変更することができ、来訪者に事前送付し事後に廃棄される一時的なID情報を用いても、受入担当者が知らない間に来訪者が入場することなく、きめ細かな入退制御を行うことが可能である。
【0080】
また、入退権限が有効化される範囲について必ず人的なチェックを受けるため、例えば大人数の見学者受入などにおいて安価なID情報を大量に配布しても、見学者の一部が受入担当者に知られず不正に行動することを未然に防止することができる。
さらに、入退権限レベルがドア毎・権限毎・時間毎に管理されているため、不慣れな見学者が引率者からはぐれ建物内部で迷子になったような場合にも、通行権限のないドアの端末に対して図2のように呼出し機能だけは有効としておき、加えてその呼出し機能が使われた場合には引率者を呼出すように呼出し手順を設定しておけば、迷子となった見学者は通行可能なドアや引率者を呼出す電話番号等を知らずとも、周囲にあるドアの端末にID情報を読み取らせれば引率者と連絡がとれる、という使い方も可能である。
さらにまた、不正なドア通行を試みた場合にも引率者に呼出しがかかるため、不正通行の試みを知ることができる。
【0081】
そして、入退権限レベルは、受入担当者の呼出し権限をさらに規定し、入退ゲート端末制御手段は、読み取った来訪者用ID情報と制御情報とに基づいて来訪者に対する受入担当者の呼出しの制御をさらに行うものであるため、従来は来訪者が受付担当者個人を呼出すためには内線電話を用いてもらうため、社内情報である内線番号情報を来訪者に明らかにする必要があったのに対し、来訪者に受入担当者用の内線番号などの社内情報を明らかにすることなく、来訪者が受入担当者個人を呼出すことができる。
【0082】
また、入退ゲート端末制御手段により読み取られた来訪者用ID情報に係る受入設定情報を受入設定情報保存手段から取得し、取得した受入設定情報に含まれる受入担当者特定情報に基づいて受入担当者を呼出し、取得した受入設定情報に含まれる来訪者確認プロフィール情報を受入担当者に提供するとともに、受入担当者が認証操作を行うための来訪者認証手段をさらに備えたものであるため、受入担当者が来訪者呼出しに応じやすく、受入担当者が直接来訪者のいる場所に出向かなくとも、人的に来訪者本人かどうか確認することができ、便宜である。
【0083】
また、来訪者受入情報は、来訪時の受入担当者を呼出すための複数の呼出し方法からなる呼出し方法設定情報をさらに含み、来訪者認証手段は、入退ゲート端末制御手段により読み取られた来訪者用ID情報に係る受入設定情報に含まれる呼出し方法設定情報に基づいて、複数の呼出し方法を、受入担当者の呼出しに成功するまで所定の順序で行うものであるため、第1の受入担当者が不在でも代理の受入担当者の呼出しを指定することができ、不必要に来訪者を待たせてしまうことがない。
【0084】
また、入退ゲート端末制御手段は、来訪者の画像及び音声の少なくとも一方を取得するインタホン子機機能をさらに有し、来訪者認証手段は、インタホン子機機能により取得された画像及び/又は音声を受入担当者に利用させるためのインタホン親機機能をさらに有するものであるため、受入担当者による来訪者本人確認をより確実に行うことができる。
【0085】
また、来訪者受入申請入力手段に来訪者受入情報が入力されることにより行われる来訪者受入申請を、受入担当者以外の第三者が確認し、許可、修正又は不許可とする操作を行うための受入申請許可操作手段をさらに備えたものであるため、受入担当者が不正な来訪者受入を行えないようにすることができ、来訪者用ID情報は、バーコードパターン又は使い捨てのRFIDタグにより来訪者に送付されるものであるため、ID情報を安価で使い捨てが可能なものとすることができる。
【0086】
実施の形態2.
図8及び図9は、この発明の実施の形態2に係るもので、図8は顔認証機能付き端末の構成を示す図、図8は来訪者入退管理システムの来訪者顔認証時における動作を示す図である。
ここで説明する実施の形態2は、前述した実施の形態1の構成に加えて、入口端末や区画内アクセス端末の備えるカメラ部を用いて来訪者の顔を撮影し、その顔画像を入退記録や顔認証に利用するようにしたものである。
【0087】
この実施の形態においては、各セキュリティ区画の境界に設けられるドア(入口ドア31a及び区画内ドア32a)のそれぞれに対応して設置されたドア端末である入口端末31及び区画内アクセス端末32は、顔認証処理部36aをさらに有する顔認証機能付端末36により構成されている。
すなわち、この顔認証機能付端末36は、実施の形態1の入口端末31や区画内アクセス端末32と同様、映像を撮影するカメラ部及びマイク・スピーカ部を有するカメラインタホン兼バーコードリーダ33が設けられており、このカメラインタホン兼バーコードリーダ33には、カメラインタホン兼バーコードリーダ33が有するカメラ部に来訪者が所持する受付ID情報22のバーコードパターンをかざすと、このバーコードパターンを認識して受付ID情報22を読み取るバーコード認識機能34が備えられている。
【0088】
そして、さらに加えて、カメラインタホン兼バーコードリーダ33には、カメラ部が撮影した来訪者の顔24の画像から、来訪者の顔24を識別して顔認証を行う顔認証処理部36aが備えられている。
この顔認証処理部36aは、従来周知の技術を採用して構成することができる。ここでは例えば、カメラ画像から顔の画像や顔特徴点である生体特徴量を抽出する生体特徴量抽出手段、及び、この生体特徴量の照合を行う生体特徴量照合手段を有しており、この特徴量照合手段による特徴量照合の結果として、バーコードパターンの場合の受付ID情報22に相当する情報である、その人(来訪者)に固有なID情報を得ることができる。
【0089】
管理CPU10の設定データベース11において管理される受入設定情報データベースには、実施の形態1において来訪者の受入設定情報として保存されていた、来訪者確認プロフィール情報、来訪時間、ID事前送付情報、入退権限レベル情報、入退権限レベルの遷移条件及び受入担当者呼出し方法並びに受付ID情報22に加えて、さらに、来訪者の顔24の顔画像及びこの顔画像から抽出された生体特徴量を来訪者の受入設定情報として保存する。
また、設定データベース11に保存された入退記録として、さらに来訪者の顔24の顔画像を追加して保存する。
なお、他の構成は実施の形態1と同様であって、その詳細説明は省略する。
【0090】
この実施の形態にあっては、来訪者入退管理システムは、来訪当日の入場時において、図9に示す一連のフローに従って動作する。
なお、この図9において、ステップS101、S102、S201からS204、S2000、S301からS303、S401、S402については、実施の形態1の図6における同じ符号のステップの動作と同一であるため、その説明は省略する。
【0091】
そして、ステップS204において顔認証機能付端末36である入口端末31のバーコード認識機能34により受付ID情報22を読み取って確認がなされると、ステップS205に移行して、入口端末31のカメラインタホン兼バーコードリーダ33とカメラインタホンS/W端末41のカメラインタホン部41aが中央管理CPU10の来訪者確認手段12を介して接続され、来訪者と受入担当者との間で通話が可能となる。
【0092】
この状態においては、来訪者は受入担当者とインタホンを介して通話を行い(ステップS103)、受入担当者はカメラインタホン部41aを介して来訪者を撮影したカメラ映像を確認したり、マイク部を通じて入力された来訪者の音声を確認したりすることにより、申請情報表示部42に表示された受入設定情報も確認しつつ来訪者の人的な本人確認を直接的に行うことができる。
また、このステップS103において、来訪者がカメラインタホン兼バーコードリーダ33のカメラ部に正対して来訪者の顔24をカメラ部に向けることにより顔画像を撮影し、ステップS205のインタホンによる通話中に、顔認証機能付端末36(入口端末31)の顔認証処理部36aは、顔画像から来訪者の顔24を検出してこの来訪者の顔24から生体特徴量を抽出する(ステップS501)。
【0093】
そして、ステップS502において、顔認証機能付端末36(入口端末31)の顔認証処理部36aは、受付ID情報22と関連付けた状態で先のステップS501で得た来訪者の顔24の画像及び生体特徴量を中央管理CPU10へと送信し、ステップS3031において、この来訪者の顔24の画像及び生体特徴量を受信した中央管理CPU10は、送信情報である来訪者の顔24の画像及び生体特徴量を当該受付ID情報22に係る受入設定情報に追加して設定データベース11内の受入設定情報データベースに保存する。
【0094】
そして、ステップS403において、先のステップS205でのインタホンを介した来訪者本人確認に基づいて受入担当者が許可ボタン43押下して本人確認操作を行うと、ステップS3041において入退管理CPU10のレベル遷移手段13は図3の入退権限レベル遷移条件に従って受入設定情報の「受付ID(レベル1)」をレベル2の「入退ID」に格上げして入口端末31や区画内アクセス端末32が備える制御装置35の認証制御設定を更新する。また、この際、認証制御設定の更新情報とともに、先のステップS3031で保存した当該受付ID情報22に関連付けられている生体特徴量(顔特徴点)の情報も併せて顔認証機能付端末36である入口端末31及び区画内アクセス端末32へと配信される。
この認証設定更新情報及び顔特徴点情報を受信した入口端末31は、ステップS206において、制御装置35の設定が更新され、既に再提示で確認済みの受付ID情報22(入退ID情報)によって入口ドア31a(ドアA、B)を解錠し、来訪者は入口ドア31aを通って応接スペースに入場する(ステップS104)。
【0095】
こうした受入担当者による認証操作以降、来訪者は、入口端末31のカメラ部にバーコードパターンをかざすとともに、来訪者の顔24をカメラ部に向けることにより(ステップS111)、入顔認証機能付端末36である口端末31は、バーコード認識機能34によりかざされたバーコードパターンから受付ID情報22を読み取ると同時に(ステップS211)、顔認証処理部36aにより来訪者の顔24が検出され、この検出された来訪者の顔24から生体特徴量である顔特徴点が抽出される(ステップS521)。
そして、ステップS222において、受付ID情報22と生体特徴量のそれぞれについて照合がなされ、受付ID情報22が通行許可済みであり、かつ、この受付ID情報22に対応する顔特徴点(生体特徴量)も配信済み情報と一致した場合、以降、許可された入退権限レベルに応じて入口ドア31a(ドアA、B)の入退が可能となる(ステップS122)。
【0096】
なお、区画内ドア32a(ドアC〜E)についても、ほぼ同様にして区画内アクセス端末32における顔特徴点の照合を行うようにして入退レベル変更を行うことができる。具体的には、実施の形態1の図6におけるステップS211、S212での処理内容を、図9におけるステップS221、S521、S222での処理内容のように顔認証処理部36aによる顔特徴点の照合を含むように変更すればよい。
【0097】
また、ここでは、生体情報として顔特徴点を用いたが、指表面や目の撮像等により、指紋・虹彩・赤外線成分を分離し検出できるカメラを用いて静脈など他の生体パターン情報を得て、この生体情報を認証に用いることも可能である。もちろん、複数の生体情報を組み合わせて用いるようにしてもよい。この場合、顔認証処理部36aは来訪者の生体情報を取得するための生体情報取得手段に置換えられる。
さらにまた、本システムの適用目的に対して生体情報の信頼性が十分高い場合には、一度生体情報を取得した後はバーコードパターンを用いたID認証を行うことなく、生体情報のみを用いたID認証だけで通行許可するようにしてもよい。
なお、他の動作(事前打ち合わせ時や来訪当日の退場時等)については実施の形態1と同様であって、その詳細説明は省略する。
【0098】
以上のように構成された来訪者入退管理システムは、実施の形態1の構成において、入退ゲート端末制御手段は、来訪者の生体情報を取得する生体情報取得手段をさらに有し、来訪時に生体情報取得手段により生体情報を来訪者から取得して、来訪者確認プロフィール情報に追加するとともに、生体情報を来訪者の入退記録として保存するものであるため、来訪者の入場後、確実に本人特定できる情報を記録することができる。
【0099】
また、入退ゲート端末制御手段は、生体情報取得手段により来訪者から取得した生体情報を当該来訪者の本人確認に用いるものであるため、来訪者の入場後、生体認証を併用してより確実に来訪者本人を特定することができ、セキュリティ性を向上させることが可能である。
【符号の説明】
【0100】
10 中央管理CPU
11 設定データベース
12 来訪者確認手段
13 レベル遷移手段
20 事前打ち合わせ時
21 申請入力端末
22 受付ID情報
23 許可操作端末
24 来訪者の顔
30 来訪当日(来訪者)
31 入口端末
31a 入口ドア
32 区画内アクセス端末
32a 区画内ドア
33 カメラインタホン兼バーコードリーダ
34 バーコード認識機能
35 制御装置
36 顔認証機能付端末
36a 顔認証処理部
40 来訪当日(受入担当者)
41 カメラインタホンS/W端末
41a カメラインタホン部
42 申請情報表示部
43 許可ボタン
44 不許可ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一時入退用の来訪者用ID情報を用い、入退ゲートで来訪者が提示した前記来訪者用ID情報に基づいてセキュリティ区画への入退を管理する来訪者入退管理システムであって、
中央管理手段と、
来訪者確認プロフィール情報、前記来訪者用ID情報を来訪者に事前送付する手段を規定するID事前送付情報、来訪者の前記来訪者用ID情報を用いた前記セキュリティ区画の入退権限を規定する2以上の入退権限レベル、及び、前記来訪者用ID情報に係る前記入退権限レベル間の遷移条件を規定する入退権限レベル遷移条件を含む来訪者受入情報を、来訪の事前に入力し申請するための来訪者受入申請入力手段と、
前記来訪者受入申請入力手段に入力された前記来訪者受入情報、及び、入力された前記来訪者受入情報に関連付けられて来訪の事前に前記中央管理手段により発行された前記来訪者用ID情報を受入設定情報として保存する受入設定情報保存手段と、
来訪時に、前記入退ゲートに接近した来訪者が提示する前記来訪者用ID情報を読み取るID情報読取手段を有し、読み取った前記来訪者用ID情報を前記中央管理手段に送信するとともに、読み取った前記来訪者用ID情報と前記中央管理手段から配信された前記入退ゲートの制御情報とに基づいて前記入退ゲートの開閉を制御し、来訪者に対して前記セキュリティ区画の入退制御を実行する入退ゲート端末制御手段と、を備え、
前記入退権限レベル遷移条件は、前記入退権限レベル間の遷移条件として受入担当者による人的な来訪者の認証操作の結果を含み、
前記来訪者受入情報は、前記入退権限レベル遷移条件に含まれる前記認証操作を行う受入担当者を特定する受入担当者特定情報をさらに含み、
前記中央管理手段は、来訪の事前に前記来訪者用ID情報を来訪者へと前記受入設定情報保存手段に保存された前記ID事前送付情報基づいて送付するとともに、前記入退ゲート端末制御手段から送信された前記来訪者用ID情報に係る前記受入設定情報を前記受入設定情報保存手段から取得し、取得した前記受入設定情報に含まれる前記入退権限レベル遷移条件と受入担当者による前記認証操作の結果とに基づいて前記来訪者用ID情報に係る入退権限レベルを変更し、この変更した入退権限レベルに対応する前記制御情報を各前記入退ゲート端末制御手段へと配信することを特徴とする来訪者入退管理システム。
【請求項2】
前記入退権限レベルは、受入担当者の呼出し権限をさらに規定し、
前記入退ゲート端末制御手段は、読み取った前記来訪者用ID情報と前記制御情報とに基づいて来訪者に対する受入担当者の呼出しの制御をさらに行うことを特徴とする請求項1に記載の来訪者入退管理システム。
【請求項3】
前記入退ゲート端末制御手段により読み取られた前記来訪者用ID情報に係る前記受入設定情報を前記受入設定情報保存手段から取得し、取得した前記受入設定情報に含まれる受入担当者特定情報に基づいて受入担当者を呼出し、前記取得した前記受入設定情報に含まれる前記来訪者確認プロフィール情報を受入担当者に提供するとともに、受入担当者が前記認証操作を行うための来訪者認証手段をさらに備えたことを特徴とする請求項2に記載の来訪者入退管理システム。
【請求項4】
前記来訪者受入情報は、来訪時の受入担当者を呼出すための複数の呼出し方法からなる呼出し方法設定情報をさらに含み、
前記来訪者認証手段は、前記入退ゲート端末制御手段により読み取られた前記来訪者用ID情報に係る前記受入設定情報に含まれる前記呼出し方法設定情報に基づいて、前記複数の呼出し方法を、受入担当者の呼出しに成功するまで所定の順序で行うことを特徴とする請求項3に記載の来訪者入退管理システム。
【請求項5】
前記入退ゲート端末制御手段は、来訪者の画像及び音声の少なくとも一方を取得するインタホン子機機能をさらに有し、
前記来訪者認証手段は、前記インタホン子機機能により取得された前記画像及び/又は前記音声を受入担当者に利用させるためのインタホン親機機能をさらに有することを特徴とする請求項3又は請求項4のいずれかに記載の来訪者入退管理システム。
【請求項6】
前記来訪者受入申請入力手段に前記来訪者受入情報が入力されることにより行われる来訪者受入申請を、受入担当者以外の第三者が確認し、許可、修正又は不許可とする操作を行うための受入申請許可操作手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の来訪者入退管理システム。
【請求項7】
前記来訪者用ID情報は、バーコードパターン又は使い捨てのRFIDタグにより来訪者に送付されることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の来訪者入退管理システム。
【請求項8】
前記入退ゲート端末制御手段は、来訪者の生体情報を取得する生体情報取得手段をさらに有し、
来訪時に前記生体情報取得手段により前記生体情報を来訪者から取得して、前記来訪者確認プロフィール情報に追加するとともに、前記生体情報を来訪者の入退記録として保存することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の来訪者入退管理システム。
【請求項9】
前記入退ゲート端末制御手段は、前記生体情報取得手段により来訪者から取得した前記生体情報を当該来訪者の本人確認に用いることを特徴とする請求項8に記載の来訪者入退管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−164675(P2011−164675A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23121(P2010−23121)
【出願日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】