杭又は壁体の打設装置及び打設方法並びにバイブロハンマ
【課題】複数のバイブロハンマを連係させた大型の杭又は壁体用の打設装置を提供する。
【解決手段】ベース部材と、杭又は壁体を把持する把持装置と、複数の多軸バイブロハンマ2と、を備えた杭又は壁体の打設装置において、多軸バイブロハンマ2は、回転駆動手段による回転力を一端に伝達される駆動軸14と、従動軸15と、駆動軸14及び従動軸15の各々に装着された一対の固定偏心重錘11及び可動偏心重錘12と、駆動軸14の一端に伝達された回転力を伝達するための複数のギア13と、固定偏心重錘11に対する可動偏心重錘12の位相差を変更又は保持するために従動軸15の一端に装着された振幅可変器17と、隣り合う多軸バイブロハンマ2の間に設けられかつ双方の多軸バイブロハンマ2における駆動軸14同士を連係させる連係手段5と、を有する。
【解決手段】ベース部材と、杭又は壁体を把持する把持装置と、複数の多軸バイブロハンマ2と、を備えた杭又は壁体の打設装置において、多軸バイブロハンマ2は、回転駆動手段による回転力を一端に伝達される駆動軸14と、従動軸15と、駆動軸14及び従動軸15の各々に装着された一対の固定偏心重錘11及び可動偏心重錘12と、駆動軸14の一端に伝達された回転力を伝達するための複数のギア13と、固定偏心重錘11に対する可動偏心重錘12の位相差を変更又は保持するために従動軸15の一端に装着された振幅可変器17と、隣り合う多軸バイブロハンマ2の間に設けられかつ双方の多軸バイブロハンマ2における駆動軸14同士を連係させる連係手段5と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型の杭又は壁体を打設するための打設装置に関し、特に、複数のバイブロハンマを連係させた打設装置及びこれを用いた打設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大口径の杭又は長尺の壁体、例えば鋼板セル等を打設する場合、単体のバイブロハンマにより行うと、巨大な駆動源及び大質量が必要であるために製作・搬送に支障があった。従って、杭又は壁体に複数(多数)のバイブロハンマを取付け、それらを連係させて同調運転することにより1つの打設装置を構成し、打設を行っている。例えば、特許文献1〜3に記載されている。
【0003】
図6(a)は、鋼板セル200に取り付けた従来の打設装置100を模式的に示した平面図であり、(b)は概略正面図(点線囲み内を省略)である。この打設装置100は、鋼板セル200の上縁に沿った形状である環状のベース部材8と、ベース部材8の下面に取り付けられ鋼板セル200の上縁を把持するための把持装置9と、ベース部材8の上面に環状に配置固定された12個のバイブロハンマ20とを備えている。隣り合う2つのバイブロハンマ20は、互いの軸同士をユニバーサルジョイント5により連係されている。各バイブロハンマ20は、駆動軸に装着されたプーリ16を介して適宜の駆動手段(図示しない)によりそれぞれ同調運転される。ここで「同調運転」とは、互いに連係された複数のバイブロハンマの各々の振動位相が一致していることをいう。
【0004】
ここで、例えば、杭径が4mを超えるモノパイルや、セル径が18mを超える鋼板セルの打設においては、往々にしてバイブロハンマの強制振動数と、周囲の地盤若しくは構築物等又はベース部材の固有振動数とが共振現象を生じる結果、地盤振動による振動公害又はベース部材の破壊現象(部材の亀裂)を引き起こすという問題がある。図6及び特許文献1〜3の従来技術では、各バイブロハンマの偏心モーメントを自動的に制御できないため、共振を防止するために剛性の高い、質量の大きいベース部材を必要とし、不経済であった。
【0005】
図7(a)は、図6に示した二軸バイブロハンマ20の主要部を示す斜視図であり、図7(b)は、図6の打設装置100において同様に使用可能な四軸バイブロハンマ40の主要部を示す斜視図である。二軸バイブロハンマ20及び四軸バイブロハンマ40は、偏心モーメントを自動的に制御するための振幅可変器(後述する)を備えていないタイプである。
【0006】
図7(a)に示す二軸バイブロハンマ20は、駆動軸14と従動軸15(便宜上、幾何学上の軸のみを図示)の2つの軸を備える。駆動軸14にはプーリ16が装着され、図示しない回転駆動手段により回転力が伝達され、回転駆動される。駆動軸14及び従動軸15にはそれぞれ、軸と共に回転するように固定された固定偏心重錘11と、軸に固定されない可動偏心重錘12とが装着されている。さらに、駆動軸14に伝達された回転力を他の全ての軸に伝達するための4つのギア13が設けられている。
【0007】
固定偏心重錘11と可動偏心重錘12は、互いに一定の位相差を保持して同期回転する。よって、1つの軸についての偏心モーメントは、固定偏心重錘11と可動偏心重錘12の各偏心モーメントを加算したものとなり、さらに、二軸バイブロハンマ20の総合的な偏心モーメントは、2つの軸の各々の偏心モーメントを加算したものとなる。
【0008】
図7(b)に示す四軸バイブロハンマ40は、上段に1つの駆動軸14と1つの従動軸15を、下段に2つの従動軸15を備えている。各軸14、15には、それぞれ固定偏心重錘11と、軸に固定されない可動偏心重錘12とが装着されている。さらに、駆動軸14に伝達された回転力を他の全ての軸に伝達するための8つのギア13が設けられている。
【0009】
図8は、図7(a)に示した二軸バイブロハンマ20を、複数連係させた打設装置の一部を示す概略的な平面図である。隣り合う二軸バイブロハンマ20の互いの従動軸15を、連係手段5を介して連係させている。連係手段5は、一般的には、ユニバーサルジョイント又はタイヤカップリングである。2台のみを連係させる場合は、タイヤカップリングが有利である。振幅可変器を備えていないタイプの二軸バイブロハンマ20は、従動軸の両端に何も装着されていないため、従動軸のいずれの端部も連係に利用することができる。
【0010】
図9は、図7(b)に示した四軸バイブロハンマ40を、複数連係させた打設装置の一部を示す概略的な平面図である(便宜上、四軸バイブロハンマ40の上段と下段を分離して図示)。上段においては、隣り合う四軸バイブロハンマ40の互いの従動軸15を、連係手段5を介して連係させている。下段においては、2つの従動軸15のうち一方を、連係手段5を介して連係させている。この場合も、両端部に何も装着されていない軸を利用して連係させている。
【0011】
図6〜図9に示した従来のバイブロハンマ20、40は、台数の制限無く直列に連係させることが可能である。しかしながら、これらの従来のバイブロハンマにおいて偏心モーメントを増減しようとする場合には、バイブロハンマを停止させた状態で各軸に装着された固定偏心重錘と可動偏心重錘(以下、まとめて「固定・可動偏心重錘」と称する場合がある)の回転位相差を変更する操作を行う必要がある。従って、バイブロハンマ20、40は、駆動状態で偏心モーメントを自動的に制御することはできない。
【0012】
そこで、バイブロハンマが駆動状態にあっても、その偏心モーメントを自動的に制御(例えば油圧制御)するために、バイブロハンマに装着する振幅可変器が提示された。この振幅可変器は、外部からの制御により固定・可動偏心重錘の回転位相差を変更しかつ所定の回転位相差に保持することができる。回転位相差を変化させることにより、単体のバイブロハンマの偏心モーメントをゼロから最大まで調整することが可能となった(特許文献4〜6等)。
【0013】
図10(a1)(a2)は振幅可変器を装着した二軸バイブロハンマ21の、そして(b1)(b2)は振幅可変器を装着した四軸バイブロハンマ41の、総合的な偏心モーメントの制御方法を説明するための模式図である。いずれも軸方向から見た側面図である。二軸バイブロハンマ21の振幅可変器17は、従動軸15の一端に1つだけ設けられる。四軸バイブロハンマ41の振幅可変器17は、上段の従動軸15と下段のいずれか一方の従動軸15の一端にそれぞれ設けられる。振幅可変器17は、プーリ16と同じ側の端部に設けられる。各バイブロハンマに設けられた複数のギア13は、振幅可変器17による位相差変更を、全ての可動偏心重錘12に伝達する役割も果たす。
【0014】
図10(a1)は、二軸バイブロハンマ21の各軸上の固定偏心重錘11と可動偏心重錘12が互いに対向する位相差(180°)にある。この位相差で回転させても総合的な偏心モーメントはゼロであり、すなわち振幅はゼロである。この偏心モーメントゼロの状態にてバイブロハンマを起動させ、共振を生じる振動数よりも高い所定の振動数まで上昇させる。(a2)は、所定の振動数に達した後に、可動偏心重錘12の位相差を変更し、偏心モーメントを最大とした状態を示す。これにより、所定の振幅を発生させ、打設を行う。打設完了後は、再び振幅をゼロに調整した後、制動機構により振動数を減少させ、停止させる。
図10(b1)は、四軸バイブロハンマ41の場合の偏心モーメントがゼロの状態であり、(b2)は、偏心モーメントが最大の状態である。
【0015】
特許文献5及び6には、固定・可動偏心重錘の位相差を、運転を停止することなく連続的に変更させる自動制御可能な振幅可変器を具備するバイブロハンマが記載されている。特許文献4では、二軸バイブロハンマが、特許文献5では、四軸バイブロハンマが、それぞれ記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特公昭58−36126号公報
【特許文献2】特開昭59−41523号公報
【特許文献3】特公昭61−22692号公報
【特許文献4】特許第3731169号公報
【特許文献5】特開平9−3891号公報
【特許文献6】特開2002−66458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述した、偏心モーメントを自動制御可能な従来の二軸バイブロハンマ又は四軸バイブロハンマは、複数台、特に3台以上を連係させる場合に、以下のような問題がある。
【0018】
図11は、振幅可変器17を装着した従来の二軸バイブロハンマ21を、2台連係させた形態を示す概略的な平面図である。図12は、振幅可変器17を装着した従来の四軸バイブロハンマ41を、2台連係させた形態を示す概略的な平面図である(便宜上、上段と下段を分離して図示)。
【0019】
図11に示すように、二軸バイブロハンマ21には、駆動軸14及び従動軸15に対し、同じ側の端部にプーリ16と振幅可変器17がそれぞれ設けられている。従って、2台連係させる場合、一方を右配置(平面視にてプーリが向かって右側にある配置)としたならば、他方は左配置(平面視にてプーリが向かって左側にある配置)として、一方の駆動軸14と他方の従動軸15を適宜の連係手段5により連係させる。なお、右配置と左配置は、同じ構成の二軸バイブロハンマ21を水平面内で互いに180°回転した位置関係にある。このように駆動軸14と従動軸15を連係させることは、連係手段5がユニバーサルジョイントの場合に、回転伝達の進み遅れや角度誤差の影響を最小とする効果がある。しかしながら、2台連係までしか適用できない。
【0020】
同様に、図12に示すように、四軸バイブロハンマ41には、上段の駆動軸14及び従動軸15に対し、同じ側の端部にプーリ16と振幅可変器17がそれぞれ設けられている。従って、2台連係させる場合、一方を右配置としたならば、他方は左配置として、一方の上段の駆動軸14と他方の上段の従動軸15を適宜の連係手段5により連係させる。この場合も、右配置と左配置は、水平面内で互いに180°回転対称の位置関係にある。なお、下段については、2つの従動軸15のうちいずれか1つを連係手段5により連係させる。
【0021】
このように、振幅可変器17を装着した場合、二軸バイブロハンマ21及び四軸バイブロハンマ41のいずれも、2台連係は可能である。しかしながら、これら2台のバイブロハンマの右側又は左側にさらに別の二軸バイブロハンマ又は四軸バイブロハンマを連結しようとすると、連係軸上にプーリ16又は振幅可変器17が取り付けられているために、連係させることができない。従って、振幅を自動制御可能な従来の二軸バイブロハンマ21又は四軸バイブロハンマ41は、例えば、図6に示した環状形態のように3台以上を直列に連係させることはできない。
【0022】
加えて、図11及び図12の連係方法には、別の問題もある。駆動軸14及び従動軸15の各端部は、いずれもベアリングにより支持されている。これらのベアリングのうち、振幅可変器17を装着した端部を支持するベアリングは、他の端部を支持するベアリングとは、その特性が大きく異なっている。他の端部を支持するベアリングは、軸のたわみに対して所定の許容度をもつ自動調心機能を有するのに対し、振幅可変器17をもつ端部を支持するベアリングは、そのような許容度をほとんど有していない。このために、図11及び図12に示したように、振幅可変器17をもつ軸を他のバイブロハンマの軸と連係させると、回転力の伝達遅れを生じたり、軸に対して好ましくない負荷がかかったりするという不都合が生じる。この結果、良好な駆動状態が得られなかったり、バイブロハンマの寿命が短くなったりする。
【0023】
以上の問題点は、二軸バイブロハンマ及び四軸バイブロハンマを含む多軸バイブロハンマにおいて共通していえることである。
【0024】
斯かる現状に鑑み、本発明の第一の目的は、振幅を自動制御可能な二軸バイブロハンマ、四軸バイブロハンマ又は多軸バイブロハンマを、台数の制限なく連係させて構成した杭又は壁体の打設装置及び打設方法、並びに、これを可能とする単体のバイブロハンマを提供することである。本発明の第二の目的は、振幅可変器を装着した軸を連係させることなく、複数の二軸バイブロハンマ、四軸バイブロハンマ又は多軸バイブロハンマを連係可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記の目的を達成するために、以下の構成を有する。括弧内の数字は、後述する図面中の符号であり、参照のために付する。
【0026】
本発明による杭又は壁体の打設装置の第1の形態は、ベース部材(8)と、杭又は壁体を把持するために前記ベース部材(8)の下面に取り付けた把持装置(9)と、前記ベース部材(8)の上面に配置固定した複数の二軸バイブロハンマ(2)と、前記複数の二軸バイブロハンマ(2)を同調運転させるべく回転駆動する回転駆動手段と、を備えた杭又は壁体の打設装置において、前記二軸バイブロハンマ(2)は、前記回転駆動手段による回転力を一端に伝達される駆動軸(14)と、従動軸(15)と、前記駆動軸(14)及び前記従動軸(15)の各々に装着された一対の固定偏心重錘(11)及び可動偏心重錘(12)と、前記駆動軸(14)の一端に伝達された回転力を全ての前記固定偏心重錘(11)及び前記可動偏心重錘(12)に伝達するための複数のギア(13)と、前記固定偏心重錘(11)に対する前記可動偏心重錘(12)の位相差を変更又は保持するために前記従動軸(15)の一端に装着された振幅可変器(17)と、を有し、かつ、隣り合う前記二軸バイブロハンマ(2)の間に設けられかつ双方の前記二軸バイブロハンマ(2)における前記駆動軸(14)同士を連係させる連係手段(5)を備えたことを特徴とする。
【0027】
本発明による杭又は壁体の打設装置の第2の形態は、ベース部材(8)と、杭又は壁体を把持するために前記ベース部材(8)の下面に取り付けた把持装置(9)と、前記ベース部材(8)の上面に配置固定した複数の四軸バイブロハンマ(4)と、前記複数の四軸バイブロハンマ(4)の各々を同調運転させるべく回転駆動する回転駆動手段と、を備えた杭又は壁体の打設装置において、前記四軸バイブロハンマ(4)は、上下方向に配置された第1の段と第2の段とから構成されるとともに、前記第1の段に設けられかつ前記回転駆動手段による回転力を一端に伝達される駆動軸(14)と、前記第1の段に設けられた1つの従動軸(15)と、前記第2の段に設けられた2つの従動軸(15)と、前記駆動軸(14)並びに全ての前記従動軸(15)の各々に装着された一対の固定偏心重錘(11)及び可動偏心重錘(12)と、前記駆動軸(14)の一端に伝達された回転力を全ての前記固定偏心重錘(11)及び前記可動偏心重錘(12)に伝達するための複数のギア(13)と、前記第1及び第2の段の各々において前記固定偏心重錘(11)に対する前記可動偏心重錘(12)の位相差を変更又は保持するために各段における1つの前記従動軸(15)の一端にそれぞれ装着された振幅可変器(17)と、を有し、かつ、隣り合う2つの前記四軸バイブロハンマ(4)の間に設けられかつ双方の前記四軸バイブロハンマ(4)における前記駆動軸(14)同士、及び、前記第2の段における前記振幅可変器(17)を装着していない前記従動軸(15)同士をそれぞれ連係させる連係手段(5)を備えたことを特徴とする。
【0028】
本発明による杭又は壁体の打設装置の第3の形態は、ベース部材(8)と、杭又は壁体を把持するために前記ベース部材(8)の下面に取り付けた把持装置(9)と、前記ベース部材(8)の上面に配置固定した複数の多軸バイブロハンマ(V1,V2)と、前記複数の多軸バイブロハンマ(V1,V2)の各々を同調運転させるべく回転駆動する回転駆動手段と、を備えた杭又は壁体の打設装置において、前記多軸バイブロハンマ(V1,V2)は、上下方向に配置された複数の段から構成されるとともに、前記複数の段のうち1つの段に設けられかつ前記回転駆動手段による回転力を一端に伝達される1つの駆動軸(14)と、前記駆動軸(14)を具備する段に設けられた1つの従動軸(15)と、前記駆動軸(14)を具備しない段に設けられた複数の従動軸(15)と、前記駆動軸(14)及び全ての前記従動軸(15)の各々に装着された一対の固定偏心重錘(11)及び可動偏心重錘(12)と、前記駆動軸(14)の一端に伝達された回転力を全ての前記固定偏心重錘(11)及び前記可動偏心重錘(12)に伝達するための複数のギア(13)と、前記複数の段の各々において前記固定偏心重錘(11)に対する前記可動偏心重錘(12)の位相差を変更又は保持するために各段における1つの前記従動軸(15)の一端にそれぞれ装着された振幅可変器(17)と、を有し、かつ、隣り合う2つの前記多軸バイブロハンマ(V1,V2)の間に設けられかつ双方の前記多軸バイブロハンマ(V1,V2)における前記駆動軸(14)同士、及び、前記駆動軸(14)を具備しない段における前記振幅可変器(17)を装着していない1つの前記従動軸(15)同士をそれぞれ連係させる連係手段(5)を備えたことを特徴とする。
【0029】
上記いずれかの形態の杭又は壁体の打設装置において、複数の前記バイブロハンマを環状に配置固定しかつ隣り合うバイブロハンマ同士を連係させた場合に、始端に位置するバイブロハンマと終端に位置するバイブロハンマとを互いに連係させないことが、好適である。
【0030】
また、上記いずれかの形態の杭又は壁体の打設装置において、前記バイブロハンマの各々における前記駆動軸(14)の両端に、前記連係手段(5)を接続するための接続部をそれぞれ形成することが、好適である。
【0031】
本発明による二軸バイブロハンマの形態は、回転駆動手段による回転力を一端に伝達される駆動軸(14)と、従動軸(15)と、前記駆動軸(14)及び前記従動軸(15)の各々に装着された一対の固定偏心重錘(11)及び可動偏心重錘(12)と、前記駆動軸(14)の一端に伝達された回転力を全ての前記固定偏心重錘(11)及び前記可動偏心重錘(12)に伝達するための複数のギア(13)と、固定偏心重錘(11)に対する前記可動偏心重錘(12)の位相差を変更又は保持するために前記従動軸(15)の一端に装着された振幅可変器(17)と、を有し、かつ、隣り合う別の二軸バイブロハンマ(2)と連係させる連係手段(5)を接続するための接続部を、前記駆動軸(14)の両端にそれぞれ形成したことを特徴とする。
【0032】
本発明による四軸バイブロハンマの形態は、上下方向に配置された第1の段と第2の段とから構成されるとともに、前記第1の段に設けられかつ回転駆動手段による回転力を一端に伝達される駆動軸(14)と、前記第1の段に設けられた1つの従動軸(15)と、前記第2の段に設けられた2つの従動軸(15)と、前記駆動軸(14)並びに全ての前記従動軸(15)の各々に装着された一対の固定偏心重錘(11)及び可動偏心重錘(12)と、前記駆動軸(14)の一端に伝達された回転力を全ての前記固定偏心重錘(11)及び前記可動偏心重錘(12)に伝達するための複数のギア(13)と、前記第1及び第2の段の各々において前記固定偏心重錘(11)に対する前記可動偏心重錘(12)の位相差を変更又は保持するために各段における1つの前記従動軸(15)の一端にそれぞれ装着された振幅可変器(17)と、を有し、かつ、隣り合う別の四軸バイブロハンマ(4)と連係させる連係手段(5)を接続するための接続部を、前記駆動軸(14)の両端にそれぞれ形成したことを特徴とする。
【0033】
本発明による多軸バイブロハンマの形態は、上下方向に配置された複数の段から構成されるとともに、前記複数の段のうち1つの段に設けられかつ回転駆動手段による回転力を一端に伝達される1つの駆動軸(14)と、前記駆動軸(14)を具備する段に設けられた1つの従動軸(15)と、前記駆動軸(14)を具備しない段に設けられた複数の従動軸(15)と、前記駆動軸(14)及び全ての前記従動軸(15)の各々に装着された一対の固定偏心重錘(11)及び可動偏心重錘(12)と、前記駆動軸(14)の一端に伝達された回転力を全ての前記固定偏心重錘(11)及び前記可動偏心重錘(12)に伝達するための複数のギア(13)と、前記複数の段の各々において前記固定偏心重錘(11)に対する前記可動偏心重錘(12)の位相差を変更又は保持するために各段における1つの前記従動軸(15)の一端にそれぞれ装着された振幅可変器(17)と、を有し、かつ、隣り合う別の多軸バイブロハンマ(V1,V2)と連係させる連係手段(5)を接続するための接続部を、前記駆動軸(14)の両端にそれぞれ形成したことを特徴とする。
【0034】
本発明による杭又は壁体の打設方法の形態は、上記のいずれかの打設装置を用いた杭又は壁体の打設方法において、前記振幅可変器(17)により、各対の固定偏心重錘(11)と可動偏心重錘(12)の位相差を各バイブロハンマの振幅がゼロとなるように設定した後、前記回転駆動手段により各バイブロハンマの回転駆動を開始する工程と、前記打設装置のベース部材又は周辺地盤との共振を生じる振動数の領域を通過するまで、各バイブロハンマの振幅をゼロの状態に保持しつつ、各バイブロハンマの振動数を上昇させる工程と、前記共振を生じる振動数の領域より高い所定の振動数に達した後、前記振幅可変器(17)により、前記各対の固定偏心重錘(11)と可動偏心重錘(12)の位相差を各バイブロハンマの振幅が打設に適切な振幅となるように変更し、杭又は壁体の打設を行う工程と、打設を完了した後、前記振幅可変器(17)により、前記各対の固定偏心重錘(11)と可動偏心重錘(12)の位相差を各バイブロハンマの振幅が再びゼロとなるように変更した後、各バイブロハンマの振動数を減少させ停止させる工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
本発明においては、振幅可変器を備えた複数のバイブロハンマを直列に連係させて打設装置を構成する場合に、各バイブロハンマの駆動軸によりこれらを連係させる。従来のバイブロハンマにおいては、プーリが装着された駆動軸の一端を連係に用いるという発想は、なかった。本発明においては、駆動軸の両端に連係手段を接続するための接続部を形成している。これにより本発明は、振幅をゼロから最大まで自動制御可能なバイブロハンマを、台数の制限なく連係させることを可能とした。この結果、大型の杭等に好適な打設装置を実現できる。
【0036】
本発明の利点は、全く同じ構成をもつ単体のバイブロハンマを、台数の制限なく連係できることである。従って、3台以上を連係するために異なる構成のバイブロハンマを用意する必要がない。加えて、連係を解除すれば、いずれも単体のバイブロハンマとしてそのまま使用できる。さらに別の利点として、全てのバイブロハンマを同じ向きで配置できるので、設置作業が容易であると云える。
【0037】
本発明の打設装置が、複数の二軸バイブロハンマにより構成される場合、単体の二軸バイブロハンマは、駆動軸の一端に回転駆動手段からの回転力を伝達される。すなわち、駆動軸の一端に、例えばプーリが装着されている。このプーリを装着した駆動軸の一端と、隣の二軸バイブロハンマの駆動軸の他端(何も装着されていない)とを連係手段を介して連係させる。水平面内において、駆動軸と平行に並んだ従動軸においては、駆動軸のプーリと同じ側の一端に、振幅可変器が装着されている。そして、振幅可変器を装着した従動軸は、連係のためには用いられない。
【0038】
四軸バイブロハンマのような多段バイブロハンマにおいては、その駆動軸を有する段は、上記の二軸バイブロハンマと同様の構成となる。駆動軸を具備しない段には、複数の従動軸が設けられる。それら複数の従動軸のうちいずれか1つの従動軸の一端に振幅可変器が装着されている。そして、振幅可変器を装着した従動軸は、やはり連係のためには用いない。振幅可変器を装着していない別の1つの従動軸を用いて、隣の多段バイブロハンマと連係させる。多段バイブロハンマは、各段毎に、連係のための1つの従動軸を有することとなる。
【0039】
振幅可変器を装着した従動軸の両端には何も接続されないため、この従動軸が他のバイブロハンマから直接影響を受けることはない。これにより、振幅可変器を装着した従動軸を連係させることにより生じる上述の不都合を回避できる。
【0040】
上記の打設装置を用いた本発明による杭又は壁体の打設方法では、振幅可変器によりバイブロハンマの振幅をゼロとして回転駆動を開始し、ベース部材及び周辺地盤の固有振動数の領域を超えてから振幅可変器を調節し、打設に必要な振幅を発生させる。これにより、共振現象による打設装置の破損及び周辺構築物に対する振動公害を発生させることなく、大型杭等の打設施工が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明による、複数の二軸バイブロハンマを連係させて構成した杭又は壁体の打設装置の実施例の一部を概略的に示す平面図である。
【図2】本発明による、複数の四軸バイブロハンマを連係させて構成した杭又は壁体の打設装置の実施例の一部を概略的に示す平面図である。
【図3】本発明による、複数の二軸n段バイブロハンマを連係させて構成した杭又は壁体の打設装置の実施例を示す平面図である。
【図4】本発明による、複数のn軸n段バイブロハンマを連係させて構成した杭又は壁体の打設装置の実施例を示す平面図である。
【図5】(a)は、鋼板セルに取り付けた本発明の打設装置を模式的に示した平面図であり、(b)は概略正面図(点線囲み内を省略)である。
【図6】(a)は、鋼板セルに取り付けた従来の打設装置を模式的に示した平面図であり、(b)は概略正面図(点線囲み内を省略)である。
【図7】(a)は、図6に示した二軸バイブロハンマの主要部を示す斜視図であり、図7(b)は、図6の打設装置において同様に使用可能な四軸バイブロハンマの主要部を示す斜視図である。
【図8】図7(a)に示した二軸バイブロハンマを、複数台連係させた打設装置の一部を示す概略的な平面図である。
【図9】図7(b)に示した四軸バイブロハンマを、複数台連係させた打設装置の一部を示す概略的な平面図である。
【図10】(a1)(a2)は振幅可変器を装着した二軸バイブロハンマの、そして(b1)(b2)は振幅可変器を装着した四軸バイブロハンマの、総合的な偏心モーメントの制御方法を説明するための模式図である。
【図11】振幅可変器を装着した従来の二軸バイブロハンマを、2台連係させた形態を示す概略的な平面図である。
【図12】振幅可変器を装着した従来の四軸バイブロハンマを、2台連係させた形態を示す概略的な平面図である(便宜上、上段と下段を分離して図示)。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、実施例を示す図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、複数の二軸バイブロハンマ2を連係させて構成した杭又は壁体の打設装置の実施例の一部を概略的に示す平面図である。図示しないが、図示された部分の右方向及び左方向にもさらに同じ構成の二軸バイブロハンマ2が連係されている。
二軸バイブロハンマ2では、ケース19内において水平方向に離間した互いに平行な駆動軸14と従動軸15とがそれぞれ架設されている。各軸の両端部は、ケース19に取り付けられた適宜のベアリングによりそれぞれ軸支されている。
【0043】
後方(便宜上、図の下方を前方、図の上方を後方とする)の駆動軸14には、一対の固定偏心重錘11及び可動偏心重錘12が装着されている。固定偏心重錘11は、駆動軸14と一体的に回転するように駆動軸14に固着されている。可動偏心重錘12は、駆動軸14に対して回転自在であるようにベアリングを介して軸着されている。
【0044】
駆動軸14の一端は、ケース19の外部に突出し、外部突出部分にはプーリ16が取り付けられ、図示しないモータ等の回転駆動手段の回転力がプーリ16を介して伝達され、回転駆動される。この駆動軸14の一端には、連係手段5が接続されている。駆動軸14の振動数はモータ等により制御される。駆動軸14の他端は、ケース19の外部に突出し、別の連係手段5が接続されている。
【0045】
なお、本明細書では、駆動軸14に対し回転力が伝達される側(すなわちプーリ16が装着される側)を「一端」とし、反対側を「他端」と称することとする。
【0046】
前方の従動軸15には、別の一対の固定偏心重錘11及び可動偏心重錘12が、同様に装着されている。従動軸15の一端は、ケース19の外部に突出し、外部突出部分には振幅可変器17が取り付けられている。振幅可変器17は、固定偏心重錘11と可動偏心重錘12との回転位相差を変更し、一定の位相差に保持する機能を有する。振幅可変器17は、ケース外部から例えば油圧制御されることにより、可動偏心重錘12を固定偏心重錘11に対して相対的に回動させ、又は、相対的に停止した状態に保持する。従動軸15の他端には、何も装着されない。
【0047】
このために、振幅可変器17は、ベアリングを介した可変器軸と可変器ケースとを具備する。可変器軸は、同軸上の駆動軸14と連結され一体的に回動可能である。一方、可変器ケースは、駆動軸14上の可動偏心重錘12と連結され一体的に回動可能である。よって、可変器ケースを可変器軸に対して相対的に回動させると、可動偏心重錘12を固定偏心重錘11に対して相対的に回動させることになる。また、振幅可変器17は、可変器軸と可変器ケースの相対的な回動を阻止するストッパも具備する。ストッパを機能させることにより、可動偏心重錘12を固定偏心重錘11に対して所定の回転位相差に保持し、相対的に停止させることができる。
【0048】
このような振幅可変器17の具体的構成は、例えば、特許文献4〜6に開示されており公知である。振幅可変器17を制御する位相差制御手段は、例えば、油圧モータを用いた回動駆動機構である。振幅可変器17は、固定偏心重錘と可動偏心重錘の回転中にも、これらの間の位相差を変更することが可能である。位相差は180°未満の範囲で連続的に可変である。位相差によるバイブロハンマの振幅(振動エネルギー)の変化は、図10において前述した通りである。位相差が180°のとき、バイブロハンマの振幅はゼロとなり、位相差が最小のとき、振幅が最大となる。
【0049】
2対の固定偏心重錘及び可動偏心重錘の全てを同期回転させるための4つのギア13が設けられている。プーリ16を介して駆動軸14に伝達された回転力は、駆動軸14上のギア13から従動軸15上の可動偏心重錘12上のギア13へ伝達される。一方、駆動軸14に伝達された回転力はまた、振幅可変器17を介して駆動軸14上の可動偏心重錘12へ伝達され、駆動軸14上の可動偏心重錘12のギア13から従動軸15上のギア13へ伝達され、従動軸15上の固定偏心重錘11に伝達される。
【0050】
複数の二軸バイブロハンマ2は、各々の駆動軸14を連係軸として、連係手段5を介して連係されている。従って、駆動軸14の両端には、連係手段5を接続するための接続部が形成されている。接続部は、連係手段5の種類に応じて適宜形成される。接続部は、例えば、連係手段5の端部を受ける座ぐり穴や固定用ボルト孔等の周知の手段による。連係手段5としては、例えばユニバーサルジョイント又はタイヤカップリングが用いられる。3台以上を連係させる場合は、通常、ユニバーサルジョイントが用いられる。
【0051】
図2は、本発明による、複数の四軸バイブロハンマを連係させて構成した杭又は壁体の打設装置の実施例の一部を概略的に示す平面図である。図示しないが、図示された部分の右方向及び左方向にもさらに同じ構成の四軸バイブロハンマ4が連係されている。
【0052】
四軸バイブロハンマ4では、ケース19内の上段においては、水平方向に離間した互いに平行な駆動軸14と従動軸15とがそれぞれ架設され、下段においては、水平方向に離間した互いに平行な2つの従動軸15がそれぞれ架設されている。各軸の両端部は、ケース19に取り付けられたベアリングによりそれぞれ軸支されている。図示の便宜上、上段と下段を別々に示しているが、実際は上段と下段は、鉛直方向に重なるように配置され、上段と下段の対応する位置にある互いのギア13がそれぞれ噛合している。
【0053】
8つのギア13は、4対の固定偏心重錘及び可動偏心重錘の全てを同期回転させるために設けられている。プーリ16を介して上段の駆動軸14に伝達された回転力は、これらのギア13及び振幅可変器17を介して、各固定偏心重錘11及び各可動偏心重錘12に伝達される。
【0054】
上段の駆動軸14及び従動軸15は、前述の図1の二軸バイブロハンマとほぼ同様に構成されている。駆動軸14の一端は、ケース19の外部に突出し、外部突出部分にはプーリ16が取り付けられ、図示しないモータ等の回転駆動手段によりプーリ16を介して回転駆動される。この駆動軸14の一端には、連係手段5が接続される。駆動軸14の他端は、ケース19の外部に突出し、別の連係手段5が接続される。従動軸15の一端には、振幅可変器17が装着される。従動軸15の他端には、何も装着されない。
【0055】
下段においては、2つの従動軸15のうちいずれか一方の一端に振幅可変器17が装着される。振幅可変器17を装着した従動軸15の他端には、何も装着されない。他方の従動軸15の両端には、それぞれ連係手段5が接続される。
【0056】
複数の四軸バイブロハンマ4は、上段については、各々の駆動軸14を連係軸として連係手段5を介して連係される。従って、駆動軸14の両端には、連係手段5を接続するための接続部が形成されている。連係手段5及び接続部については、前述の図1の二軸バイブロハンマと同様である。下段については、振幅可変器17を装着されていない方の従動軸15を連係軸として連係手段5を介して連係される。
【0057】
なお、図2の四軸バイブロハンマでは、上段に駆動軸を設けた形態を例として示したが、下段に駆動軸と従動軸を設け、上段に2つの従動軸を設けた形態、すなわち図2の四軸バイブロハンマの上段と下段を入れ替えた形態でもよい。
【0058】
図3及び図4はそれぞれ、本発明による杭又は壁体の打設装置の一般的な形態の実施例を概略的かつ模式的に示した平面図である。固定・可動偏心重錘の図示を省略している。これらの実施例では、複数の多軸バイブロハンマV1、V2を連係させている。
【0059】
多軸バイブロハンマは、1段又は上下方向に複数(n個)の段を重ねた構成である(図示の便宜上、各段の平面図を縦に並べて図示している)。1段二軸の場合は、上述の二軸バイブロハンマに相当し、2段二軸の場合は上述の四軸バイブロハンマに相当する。
【0060】
図3の多軸バイブロハンマV1では、上下方向にn個の段を有し、各段に二軸を設けたバイブロハンマである。すなわち、3段の場合は六軸バイブロハンマであり、4段の場合は八軸バイブロハンマである。図4の多軸バイブロハンマV2では、上下方向にn個の段を有し、第n段以外の各段には二軸を設け、第n段には四軸を設けている。
【0061】
図3及び図4以外にも多軸バイブロハンマの多様な変形例が存在し得る。多軸バイブロハンマに共通する構成は、以下の通りである。
【0062】
複数の段を有する場合、それらのうち1つの段が駆動軸14を具備する段であり、1つの駆動軸14と1つの従動軸15が設けられる。駆動軸14を具備しない段には、複数の従動軸15が設けられる。駆動軸14及び全ての従動軸15の各々に固定偏心重錘11及び可動偏心重錘12が装着され、駆動軸14に与えられる回転力はギヤにより全ての固定偏心重錘11及び可動偏心重錘12に伝達される。
【0063】
さらに、駆動軸14を具備する段においては、駆動軸14の一端にプーリ16を装着され、従動軸15の一端に振幅可変器17を装着されている。一方、駆動軸14を具備しない段においては、複数の従動軸15のうちいずれか1つの従動軸15の一端に振幅可変器17を装着されている。
【0064】
またさらに、駆動軸14を具備する段においては、駆動軸14の両端に、連係手段5を接続可能な接続部が形成されている。駆動軸14を具備しない段においては、振幅可変器7を装着されていないいずれか1つの従動軸15の両端に、連係手段5を接続可能な接続部が形成されている。
【0065】
よって、複数の多軸バイブロハンマは、駆動軸14を具備する段については、駆動軸14を連係軸として連係手段5を介して連係される。そして、駆動軸14を具備しない段については、振幅可変器7を装着されていないいずれか1つの従動軸15を連係軸として連係手段5を介して連係される。
【0066】
図5(a)は、複数の二軸、四軸又は多軸バイブロハンマ2、4、V1、V2を連係させて構成した本発明の打設装置10を、鋼板セル200に取り付けた状態を模式的に示した平面図であり、(b)は概略正面図(点線囲み内を省略)である。この打設装置10は、鋼板セル200の上縁に沿った形状である環状のベース部材8と、ベース部材8の下面に取り付けられ鋼板セル200の上縁を把持するための把持装置9と、ベース部材8の上面に環状に配置固定された12個のバイブロハンマとを備えている。
【0067】
図5における連係手段5は、ユニバーサルジョイントである。多数のバイブロハンマを多数のユニバーサルジョイントを介して直列に連係させる場合、個々の連結における回転伝達の進み遅れや角度誤差が蓄積されるという問題がある。特に、多数のバイブロハンマを環状に配置した場合、図6に示した従来技術のように、始端に位置するバイブロハンマと終端に位置するバイブロハンマとを連係させると同調運転に悪影響を及ぼす。そこで、この問題を低減するために、多数のバイブロハンマを環状に配置した場合には、始端に位置するバイブロハンマと終端に位置するバイブロハンマとを、互いに連係させないことが好適である。すなわち、多数のバイブロハンマを連係させた環を完全に閉じるのではなく、環の一箇所を切り離し、解放しておくことが、有効である。
【0068】
本発明により、直列に連係された複数のバイブロハンマを、自動制御により同調運転することが可能となる。振動数を一致させる制御は、ケース外部の回転駆動手段により行われ、各プーリを介して対応する各駆動軸に対して行われる。固定・可動偏心重錘の各組における位相差の制御は、ケース外部の位相差制御手段により各振幅可変器に対して行われる。
【0069】
本発明の杭又は壁体の打設装置は、大径の環状又は円弧状の杭、長尺の直線状又は長方形状の壁体等に好適に適用可能である。ベースは、適用される杭又は壁体の上縁に沿った形状とされ、複数のバイブロハンマは、ベースの上面に所定の間隔で配置固定される。
【符号の説明】
【0070】
2:二軸バイブロハンマ
4:四軸バイブロハンマ
5:連係手段
8:ベース部材
9:把持装置
11:固定偏心重錘
12:可動偏心重錘
13:ギア
14:駆動軸
15:従動軸
16:プーリ
17:振幅可変器
19:ケース
10:打設装置
20、21:二軸バイブロハンマ(従来)
40、41:四軸バイブロハンマ(従来)
100:打設装置(従来)
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型の杭又は壁体を打設するための打設装置に関し、特に、複数のバイブロハンマを連係させた打設装置及びこれを用いた打設方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大口径の杭又は長尺の壁体、例えば鋼板セル等を打設する場合、単体のバイブロハンマにより行うと、巨大な駆動源及び大質量が必要であるために製作・搬送に支障があった。従って、杭又は壁体に複数(多数)のバイブロハンマを取付け、それらを連係させて同調運転することにより1つの打設装置を構成し、打設を行っている。例えば、特許文献1〜3に記載されている。
【0003】
図6(a)は、鋼板セル200に取り付けた従来の打設装置100を模式的に示した平面図であり、(b)は概略正面図(点線囲み内を省略)である。この打設装置100は、鋼板セル200の上縁に沿った形状である環状のベース部材8と、ベース部材8の下面に取り付けられ鋼板セル200の上縁を把持するための把持装置9と、ベース部材8の上面に環状に配置固定された12個のバイブロハンマ20とを備えている。隣り合う2つのバイブロハンマ20は、互いの軸同士をユニバーサルジョイント5により連係されている。各バイブロハンマ20は、駆動軸に装着されたプーリ16を介して適宜の駆動手段(図示しない)によりそれぞれ同調運転される。ここで「同調運転」とは、互いに連係された複数のバイブロハンマの各々の振動位相が一致していることをいう。
【0004】
ここで、例えば、杭径が4mを超えるモノパイルや、セル径が18mを超える鋼板セルの打設においては、往々にしてバイブロハンマの強制振動数と、周囲の地盤若しくは構築物等又はベース部材の固有振動数とが共振現象を生じる結果、地盤振動による振動公害又はベース部材の破壊現象(部材の亀裂)を引き起こすという問題がある。図6及び特許文献1〜3の従来技術では、各バイブロハンマの偏心モーメントを自動的に制御できないため、共振を防止するために剛性の高い、質量の大きいベース部材を必要とし、不経済であった。
【0005】
図7(a)は、図6に示した二軸バイブロハンマ20の主要部を示す斜視図であり、図7(b)は、図6の打設装置100において同様に使用可能な四軸バイブロハンマ40の主要部を示す斜視図である。二軸バイブロハンマ20及び四軸バイブロハンマ40は、偏心モーメントを自動的に制御するための振幅可変器(後述する)を備えていないタイプである。
【0006】
図7(a)に示す二軸バイブロハンマ20は、駆動軸14と従動軸15(便宜上、幾何学上の軸のみを図示)の2つの軸を備える。駆動軸14にはプーリ16が装着され、図示しない回転駆動手段により回転力が伝達され、回転駆動される。駆動軸14及び従動軸15にはそれぞれ、軸と共に回転するように固定された固定偏心重錘11と、軸に固定されない可動偏心重錘12とが装着されている。さらに、駆動軸14に伝達された回転力を他の全ての軸に伝達するための4つのギア13が設けられている。
【0007】
固定偏心重錘11と可動偏心重錘12は、互いに一定の位相差を保持して同期回転する。よって、1つの軸についての偏心モーメントは、固定偏心重錘11と可動偏心重錘12の各偏心モーメントを加算したものとなり、さらに、二軸バイブロハンマ20の総合的な偏心モーメントは、2つの軸の各々の偏心モーメントを加算したものとなる。
【0008】
図7(b)に示す四軸バイブロハンマ40は、上段に1つの駆動軸14と1つの従動軸15を、下段に2つの従動軸15を備えている。各軸14、15には、それぞれ固定偏心重錘11と、軸に固定されない可動偏心重錘12とが装着されている。さらに、駆動軸14に伝達された回転力を他の全ての軸に伝達するための8つのギア13が設けられている。
【0009】
図8は、図7(a)に示した二軸バイブロハンマ20を、複数連係させた打設装置の一部を示す概略的な平面図である。隣り合う二軸バイブロハンマ20の互いの従動軸15を、連係手段5を介して連係させている。連係手段5は、一般的には、ユニバーサルジョイント又はタイヤカップリングである。2台のみを連係させる場合は、タイヤカップリングが有利である。振幅可変器を備えていないタイプの二軸バイブロハンマ20は、従動軸の両端に何も装着されていないため、従動軸のいずれの端部も連係に利用することができる。
【0010】
図9は、図7(b)に示した四軸バイブロハンマ40を、複数連係させた打設装置の一部を示す概略的な平面図である(便宜上、四軸バイブロハンマ40の上段と下段を分離して図示)。上段においては、隣り合う四軸バイブロハンマ40の互いの従動軸15を、連係手段5を介して連係させている。下段においては、2つの従動軸15のうち一方を、連係手段5を介して連係させている。この場合も、両端部に何も装着されていない軸を利用して連係させている。
【0011】
図6〜図9に示した従来のバイブロハンマ20、40は、台数の制限無く直列に連係させることが可能である。しかしながら、これらの従来のバイブロハンマにおいて偏心モーメントを増減しようとする場合には、バイブロハンマを停止させた状態で各軸に装着された固定偏心重錘と可動偏心重錘(以下、まとめて「固定・可動偏心重錘」と称する場合がある)の回転位相差を変更する操作を行う必要がある。従って、バイブロハンマ20、40は、駆動状態で偏心モーメントを自動的に制御することはできない。
【0012】
そこで、バイブロハンマが駆動状態にあっても、その偏心モーメントを自動的に制御(例えば油圧制御)するために、バイブロハンマに装着する振幅可変器が提示された。この振幅可変器は、外部からの制御により固定・可動偏心重錘の回転位相差を変更しかつ所定の回転位相差に保持することができる。回転位相差を変化させることにより、単体のバイブロハンマの偏心モーメントをゼロから最大まで調整することが可能となった(特許文献4〜6等)。
【0013】
図10(a1)(a2)は振幅可変器を装着した二軸バイブロハンマ21の、そして(b1)(b2)は振幅可変器を装着した四軸バイブロハンマ41の、総合的な偏心モーメントの制御方法を説明するための模式図である。いずれも軸方向から見た側面図である。二軸バイブロハンマ21の振幅可変器17は、従動軸15の一端に1つだけ設けられる。四軸バイブロハンマ41の振幅可変器17は、上段の従動軸15と下段のいずれか一方の従動軸15の一端にそれぞれ設けられる。振幅可変器17は、プーリ16と同じ側の端部に設けられる。各バイブロハンマに設けられた複数のギア13は、振幅可変器17による位相差変更を、全ての可動偏心重錘12に伝達する役割も果たす。
【0014】
図10(a1)は、二軸バイブロハンマ21の各軸上の固定偏心重錘11と可動偏心重錘12が互いに対向する位相差(180°)にある。この位相差で回転させても総合的な偏心モーメントはゼロであり、すなわち振幅はゼロである。この偏心モーメントゼロの状態にてバイブロハンマを起動させ、共振を生じる振動数よりも高い所定の振動数まで上昇させる。(a2)は、所定の振動数に達した後に、可動偏心重錘12の位相差を変更し、偏心モーメントを最大とした状態を示す。これにより、所定の振幅を発生させ、打設を行う。打設完了後は、再び振幅をゼロに調整した後、制動機構により振動数を減少させ、停止させる。
図10(b1)は、四軸バイブロハンマ41の場合の偏心モーメントがゼロの状態であり、(b2)は、偏心モーメントが最大の状態である。
【0015】
特許文献5及び6には、固定・可動偏心重錘の位相差を、運転を停止することなく連続的に変更させる自動制御可能な振幅可変器を具備するバイブロハンマが記載されている。特許文献4では、二軸バイブロハンマが、特許文献5では、四軸バイブロハンマが、それぞれ記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特公昭58−36126号公報
【特許文献2】特開昭59−41523号公報
【特許文献3】特公昭61−22692号公報
【特許文献4】特許第3731169号公報
【特許文献5】特開平9−3891号公報
【特許文献6】特開2002−66458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上述した、偏心モーメントを自動制御可能な従来の二軸バイブロハンマ又は四軸バイブロハンマは、複数台、特に3台以上を連係させる場合に、以下のような問題がある。
【0018】
図11は、振幅可変器17を装着した従来の二軸バイブロハンマ21を、2台連係させた形態を示す概略的な平面図である。図12は、振幅可変器17を装着した従来の四軸バイブロハンマ41を、2台連係させた形態を示す概略的な平面図である(便宜上、上段と下段を分離して図示)。
【0019】
図11に示すように、二軸バイブロハンマ21には、駆動軸14及び従動軸15に対し、同じ側の端部にプーリ16と振幅可変器17がそれぞれ設けられている。従って、2台連係させる場合、一方を右配置(平面視にてプーリが向かって右側にある配置)としたならば、他方は左配置(平面視にてプーリが向かって左側にある配置)として、一方の駆動軸14と他方の従動軸15を適宜の連係手段5により連係させる。なお、右配置と左配置は、同じ構成の二軸バイブロハンマ21を水平面内で互いに180°回転した位置関係にある。このように駆動軸14と従動軸15を連係させることは、連係手段5がユニバーサルジョイントの場合に、回転伝達の進み遅れや角度誤差の影響を最小とする効果がある。しかしながら、2台連係までしか適用できない。
【0020】
同様に、図12に示すように、四軸バイブロハンマ41には、上段の駆動軸14及び従動軸15に対し、同じ側の端部にプーリ16と振幅可変器17がそれぞれ設けられている。従って、2台連係させる場合、一方を右配置としたならば、他方は左配置として、一方の上段の駆動軸14と他方の上段の従動軸15を適宜の連係手段5により連係させる。この場合も、右配置と左配置は、水平面内で互いに180°回転対称の位置関係にある。なお、下段については、2つの従動軸15のうちいずれか1つを連係手段5により連係させる。
【0021】
このように、振幅可変器17を装着した場合、二軸バイブロハンマ21及び四軸バイブロハンマ41のいずれも、2台連係は可能である。しかしながら、これら2台のバイブロハンマの右側又は左側にさらに別の二軸バイブロハンマ又は四軸バイブロハンマを連結しようとすると、連係軸上にプーリ16又は振幅可変器17が取り付けられているために、連係させることができない。従って、振幅を自動制御可能な従来の二軸バイブロハンマ21又は四軸バイブロハンマ41は、例えば、図6に示した環状形態のように3台以上を直列に連係させることはできない。
【0022】
加えて、図11及び図12の連係方法には、別の問題もある。駆動軸14及び従動軸15の各端部は、いずれもベアリングにより支持されている。これらのベアリングのうち、振幅可変器17を装着した端部を支持するベアリングは、他の端部を支持するベアリングとは、その特性が大きく異なっている。他の端部を支持するベアリングは、軸のたわみに対して所定の許容度をもつ自動調心機能を有するのに対し、振幅可変器17をもつ端部を支持するベアリングは、そのような許容度をほとんど有していない。このために、図11及び図12に示したように、振幅可変器17をもつ軸を他のバイブロハンマの軸と連係させると、回転力の伝達遅れを生じたり、軸に対して好ましくない負荷がかかったりするという不都合が生じる。この結果、良好な駆動状態が得られなかったり、バイブロハンマの寿命が短くなったりする。
【0023】
以上の問題点は、二軸バイブロハンマ及び四軸バイブロハンマを含む多軸バイブロハンマにおいて共通していえることである。
【0024】
斯かる現状に鑑み、本発明の第一の目的は、振幅を自動制御可能な二軸バイブロハンマ、四軸バイブロハンマ又は多軸バイブロハンマを、台数の制限なく連係させて構成した杭又は壁体の打設装置及び打設方法、並びに、これを可能とする単体のバイブロハンマを提供することである。本発明の第二の目的は、振幅可変器を装着した軸を連係させることなく、複数の二軸バイブロハンマ、四軸バイブロハンマ又は多軸バイブロハンマを連係可能とすることである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記の目的を達成するために、以下の構成を有する。括弧内の数字は、後述する図面中の符号であり、参照のために付する。
【0026】
本発明による杭又は壁体の打設装置の第1の形態は、ベース部材(8)と、杭又は壁体を把持するために前記ベース部材(8)の下面に取り付けた把持装置(9)と、前記ベース部材(8)の上面に配置固定した複数の二軸バイブロハンマ(2)と、前記複数の二軸バイブロハンマ(2)を同調運転させるべく回転駆動する回転駆動手段と、を備えた杭又は壁体の打設装置において、前記二軸バイブロハンマ(2)は、前記回転駆動手段による回転力を一端に伝達される駆動軸(14)と、従動軸(15)と、前記駆動軸(14)及び前記従動軸(15)の各々に装着された一対の固定偏心重錘(11)及び可動偏心重錘(12)と、前記駆動軸(14)の一端に伝達された回転力を全ての前記固定偏心重錘(11)及び前記可動偏心重錘(12)に伝達するための複数のギア(13)と、前記固定偏心重錘(11)に対する前記可動偏心重錘(12)の位相差を変更又は保持するために前記従動軸(15)の一端に装着された振幅可変器(17)と、を有し、かつ、隣り合う前記二軸バイブロハンマ(2)の間に設けられかつ双方の前記二軸バイブロハンマ(2)における前記駆動軸(14)同士を連係させる連係手段(5)を備えたことを特徴とする。
【0027】
本発明による杭又は壁体の打設装置の第2の形態は、ベース部材(8)と、杭又は壁体を把持するために前記ベース部材(8)の下面に取り付けた把持装置(9)と、前記ベース部材(8)の上面に配置固定した複数の四軸バイブロハンマ(4)と、前記複数の四軸バイブロハンマ(4)の各々を同調運転させるべく回転駆動する回転駆動手段と、を備えた杭又は壁体の打設装置において、前記四軸バイブロハンマ(4)は、上下方向に配置された第1の段と第2の段とから構成されるとともに、前記第1の段に設けられかつ前記回転駆動手段による回転力を一端に伝達される駆動軸(14)と、前記第1の段に設けられた1つの従動軸(15)と、前記第2の段に設けられた2つの従動軸(15)と、前記駆動軸(14)並びに全ての前記従動軸(15)の各々に装着された一対の固定偏心重錘(11)及び可動偏心重錘(12)と、前記駆動軸(14)の一端に伝達された回転力を全ての前記固定偏心重錘(11)及び前記可動偏心重錘(12)に伝達するための複数のギア(13)と、前記第1及び第2の段の各々において前記固定偏心重錘(11)に対する前記可動偏心重錘(12)の位相差を変更又は保持するために各段における1つの前記従動軸(15)の一端にそれぞれ装着された振幅可変器(17)と、を有し、かつ、隣り合う2つの前記四軸バイブロハンマ(4)の間に設けられかつ双方の前記四軸バイブロハンマ(4)における前記駆動軸(14)同士、及び、前記第2の段における前記振幅可変器(17)を装着していない前記従動軸(15)同士をそれぞれ連係させる連係手段(5)を備えたことを特徴とする。
【0028】
本発明による杭又は壁体の打設装置の第3の形態は、ベース部材(8)と、杭又は壁体を把持するために前記ベース部材(8)の下面に取り付けた把持装置(9)と、前記ベース部材(8)の上面に配置固定した複数の多軸バイブロハンマ(V1,V2)と、前記複数の多軸バイブロハンマ(V1,V2)の各々を同調運転させるべく回転駆動する回転駆動手段と、を備えた杭又は壁体の打設装置において、前記多軸バイブロハンマ(V1,V2)は、上下方向に配置された複数の段から構成されるとともに、前記複数の段のうち1つの段に設けられかつ前記回転駆動手段による回転力を一端に伝達される1つの駆動軸(14)と、前記駆動軸(14)を具備する段に設けられた1つの従動軸(15)と、前記駆動軸(14)を具備しない段に設けられた複数の従動軸(15)と、前記駆動軸(14)及び全ての前記従動軸(15)の各々に装着された一対の固定偏心重錘(11)及び可動偏心重錘(12)と、前記駆動軸(14)の一端に伝達された回転力を全ての前記固定偏心重錘(11)及び前記可動偏心重錘(12)に伝達するための複数のギア(13)と、前記複数の段の各々において前記固定偏心重錘(11)に対する前記可動偏心重錘(12)の位相差を変更又は保持するために各段における1つの前記従動軸(15)の一端にそれぞれ装着された振幅可変器(17)と、を有し、かつ、隣り合う2つの前記多軸バイブロハンマ(V1,V2)の間に設けられかつ双方の前記多軸バイブロハンマ(V1,V2)における前記駆動軸(14)同士、及び、前記駆動軸(14)を具備しない段における前記振幅可変器(17)を装着していない1つの前記従動軸(15)同士をそれぞれ連係させる連係手段(5)を備えたことを特徴とする。
【0029】
上記いずれかの形態の杭又は壁体の打設装置において、複数の前記バイブロハンマを環状に配置固定しかつ隣り合うバイブロハンマ同士を連係させた場合に、始端に位置するバイブロハンマと終端に位置するバイブロハンマとを互いに連係させないことが、好適である。
【0030】
また、上記いずれかの形態の杭又は壁体の打設装置において、前記バイブロハンマの各々における前記駆動軸(14)の両端に、前記連係手段(5)を接続するための接続部をそれぞれ形成することが、好適である。
【0031】
本発明による二軸バイブロハンマの形態は、回転駆動手段による回転力を一端に伝達される駆動軸(14)と、従動軸(15)と、前記駆動軸(14)及び前記従動軸(15)の各々に装着された一対の固定偏心重錘(11)及び可動偏心重錘(12)と、前記駆動軸(14)の一端に伝達された回転力を全ての前記固定偏心重錘(11)及び前記可動偏心重錘(12)に伝達するための複数のギア(13)と、固定偏心重錘(11)に対する前記可動偏心重錘(12)の位相差を変更又は保持するために前記従動軸(15)の一端に装着された振幅可変器(17)と、を有し、かつ、隣り合う別の二軸バイブロハンマ(2)と連係させる連係手段(5)を接続するための接続部を、前記駆動軸(14)の両端にそれぞれ形成したことを特徴とする。
【0032】
本発明による四軸バイブロハンマの形態は、上下方向に配置された第1の段と第2の段とから構成されるとともに、前記第1の段に設けられかつ回転駆動手段による回転力を一端に伝達される駆動軸(14)と、前記第1の段に設けられた1つの従動軸(15)と、前記第2の段に設けられた2つの従動軸(15)と、前記駆動軸(14)並びに全ての前記従動軸(15)の各々に装着された一対の固定偏心重錘(11)及び可動偏心重錘(12)と、前記駆動軸(14)の一端に伝達された回転力を全ての前記固定偏心重錘(11)及び前記可動偏心重錘(12)に伝達するための複数のギア(13)と、前記第1及び第2の段の各々において前記固定偏心重錘(11)に対する前記可動偏心重錘(12)の位相差を変更又は保持するために各段における1つの前記従動軸(15)の一端にそれぞれ装着された振幅可変器(17)と、を有し、かつ、隣り合う別の四軸バイブロハンマ(4)と連係させる連係手段(5)を接続するための接続部を、前記駆動軸(14)の両端にそれぞれ形成したことを特徴とする。
【0033】
本発明による多軸バイブロハンマの形態は、上下方向に配置された複数の段から構成されるとともに、前記複数の段のうち1つの段に設けられかつ回転駆動手段による回転力を一端に伝達される1つの駆動軸(14)と、前記駆動軸(14)を具備する段に設けられた1つの従動軸(15)と、前記駆動軸(14)を具備しない段に設けられた複数の従動軸(15)と、前記駆動軸(14)及び全ての前記従動軸(15)の各々に装着された一対の固定偏心重錘(11)及び可動偏心重錘(12)と、前記駆動軸(14)の一端に伝達された回転力を全ての前記固定偏心重錘(11)及び前記可動偏心重錘(12)に伝達するための複数のギア(13)と、前記複数の段の各々において前記固定偏心重錘(11)に対する前記可動偏心重錘(12)の位相差を変更又は保持するために各段における1つの前記従動軸(15)の一端にそれぞれ装着された振幅可変器(17)と、を有し、かつ、隣り合う別の多軸バイブロハンマ(V1,V2)と連係させる連係手段(5)を接続するための接続部を、前記駆動軸(14)の両端にそれぞれ形成したことを特徴とする。
【0034】
本発明による杭又は壁体の打設方法の形態は、上記のいずれかの打設装置を用いた杭又は壁体の打設方法において、前記振幅可変器(17)により、各対の固定偏心重錘(11)と可動偏心重錘(12)の位相差を各バイブロハンマの振幅がゼロとなるように設定した後、前記回転駆動手段により各バイブロハンマの回転駆動を開始する工程と、前記打設装置のベース部材又は周辺地盤との共振を生じる振動数の領域を通過するまで、各バイブロハンマの振幅をゼロの状態に保持しつつ、各バイブロハンマの振動数を上昇させる工程と、前記共振を生じる振動数の領域より高い所定の振動数に達した後、前記振幅可変器(17)により、前記各対の固定偏心重錘(11)と可動偏心重錘(12)の位相差を各バイブロハンマの振幅が打設に適切な振幅となるように変更し、杭又は壁体の打設を行う工程と、打設を完了した後、前記振幅可変器(17)により、前記各対の固定偏心重錘(11)と可動偏心重錘(12)の位相差を各バイブロハンマの振幅が再びゼロとなるように変更した後、各バイブロハンマの振動数を減少させ停止させる工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0035】
本発明においては、振幅可変器を備えた複数のバイブロハンマを直列に連係させて打設装置を構成する場合に、各バイブロハンマの駆動軸によりこれらを連係させる。従来のバイブロハンマにおいては、プーリが装着された駆動軸の一端を連係に用いるという発想は、なかった。本発明においては、駆動軸の両端に連係手段を接続するための接続部を形成している。これにより本発明は、振幅をゼロから最大まで自動制御可能なバイブロハンマを、台数の制限なく連係させることを可能とした。この結果、大型の杭等に好適な打設装置を実現できる。
【0036】
本発明の利点は、全く同じ構成をもつ単体のバイブロハンマを、台数の制限なく連係できることである。従って、3台以上を連係するために異なる構成のバイブロハンマを用意する必要がない。加えて、連係を解除すれば、いずれも単体のバイブロハンマとしてそのまま使用できる。さらに別の利点として、全てのバイブロハンマを同じ向きで配置できるので、設置作業が容易であると云える。
【0037】
本発明の打設装置が、複数の二軸バイブロハンマにより構成される場合、単体の二軸バイブロハンマは、駆動軸の一端に回転駆動手段からの回転力を伝達される。すなわち、駆動軸の一端に、例えばプーリが装着されている。このプーリを装着した駆動軸の一端と、隣の二軸バイブロハンマの駆動軸の他端(何も装着されていない)とを連係手段を介して連係させる。水平面内において、駆動軸と平行に並んだ従動軸においては、駆動軸のプーリと同じ側の一端に、振幅可変器が装着されている。そして、振幅可変器を装着した従動軸は、連係のためには用いられない。
【0038】
四軸バイブロハンマのような多段バイブロハンマにおいては、その駆動軸を有する段は、上記の二軸バイブロハンマと同様の構成となる。駆動軸を具備しない段には、複数の従動軸が設けられる。それら複数の従動軸のうちいずれか1つの従動軸の一端に振幅可変器が装着されている。そして、振幅可変器を装着した従動軸は、やはり連係のためには用いない。振幅可変器を装着していない別の1つの従動軸を用いて、隣の多段バイブロハンマと連係させる。多段バイブロハンマは、各段毎に、連係のための1つの従動軸を有することとなる。
【0039】
振幅可変器を装着した従動軸の両端には何も接続されないため、この従動軸が他のバイブロハンマから直接影響を受けることはない。これにより、振幅可変器を装着した従動軸を連係させることにより生じる上述の不都合を回避できる。
【0040】
上記の打設装置を用いた本発明による杭又は壁体の打設方法では、振幅可変器によりバイブロハンマの振幅をゼロとして回転駆動を開始し、ベース部材及び周辺地盤の固有振動数の領域を超えてから振幅可変器を調節し、打設に必要な振幅を発生させる。これにより、共振現象による打設装置の破損及び周辺構築物に対する振動公害を発生させることなく、大型杭等の打設施工が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明による、複数の二軸バイブロハンマを連係させて構成した杭又は壁体の打設装置の実施例の一部を概略的に示す平面図である。
【図2】本発明による、複数の四軸バイブロハンマを連係させて構成した杭又は壁体の打設装置の実施例の一部を概略的に示す平面図である。
【図3】本発明による、複数の二軸n段バイブロハンマを連係させて構成した杭又は壁体の打設装置の実施例を示す平面図である。
【図4】本発明による、複数のn軸n段バイブロハンマを連係させて構成した杭又は壁体の打設装置の実施例を示す平面図である。
【図5】(a)は、鋼板セルに取り付けた本発明の打設装置を模式的に示した平面図であり、(b)は概略正面図(点線囲み内を省略)である。
【図6】(a)は、鋼板セルに取り付けた従来の打設装置を模式的に示した平面図であり、(b)は概略正面図(点線囲み内を省略)である。
【図7】(a)は、図6に示した二軸バイブロハンマの主要部を示す斜視図であり、図7(b)は、図6の打設装置において同様に使用可能な四軸バイブロハンマの主要部を示す斜視図である。
【図8】図7(a)に示した二軸バイブロハンマを、複数台連係させた打設装置の一部を示す概略的な平面図である。
【図9】図7(b)に示した四軸バイブロハンマを、複数台連係させた打設装置の一部を示す概略的な平面図である。
【図10】(a1)(a2)は振幅可変器を装着した二軸バイブロハンマの、そして(b1)(b2)は振幅可変器を装着した四軸バイブロハンマの、総合的な偏心モーメントの制御方法を説明するための模式図である。
【図11】振幅可変器を装着した従来の二軸バイブロハンマを、2台連係させた形態を示す概略的な平面図である。
【図12】振幅可変器を装着した従来の四軸バイブロハンマを、2台連係させた形態を示す概略的な平面図である(便宜上、上段と下段を分離して図示)。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、実施例を示す図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、複数の二軸バイブロハンマ2を連係させて構成した杭又は壁体の打設装置の実施例の一部を概略的に示す平面図である。図示しないが、図示された部分の右方向及び左方向にもさらに同じ構成の二軸バイブロハンマ2が連係されている。
二軸バイブロハンマ2では、ケース19内において水平方向に離間した互いに平行な駆動軸14と従動軸15とがそれぞれ架設されている。各軸の両端部は、ケース19に取り付けられた適宜のベアリングによりそれぞれ軸支されている。
【0043】
後方(便宜上、図の下方を前方、図の上方を後方とする)の駆動軸14には、一対の固定偏心重錘11及び可動偏心重錘12が装着されている。固定偏心重錘11は、駆動軸14と一体的に回転するように駆動軸14に固着されている。可動偏心重錘12は、駆動軸14に対して回転自在であるようにベアリングを介して軸着されている。
【0044】
駆動軸14の一端は、ケース19の外部に突出し、外部突出部分にはプーリ16が取り付けられ、図示しないモータ等の回転駆動手段の回転力がプーリ16を介して伝達され、回転駆動される。この駆動軸14の一端には、連係手段5が接続されている。駆動軸14の振動数はモータ等により制御される。駆動軸14の他端は、ケース19の外部に突出し、別の連係手段5が接続されている。
【0045】
なお、本明細書では、駆動軸14に対し回転力が伝達される側(すなわちプーリ16が装着される側)を「一端」とし、反対側を「他端」と称することとする。
【0046】
前方の従動軸15には、別の一対の固定偏心重錘11及び可動偏心重錘12が、同様に装着されている。従動軸15の一端は、ケース19の外部に突出し、外部突出部分には振幅可変器17が取り付けられている。振幅可変器17は、固定偏心重錘11と可動偏心重錘12との回転位相差を変更し、一定の位相差に保持する機能を有する。振幅可変器17は、ケース外部から例えば油圧制御されることにより、可動偏心重錘12を固定偏心重錘11に対して相対的に回動させ、又は、相対的に停止した状態に保持する。従動軸15の他端には、何も装着されない。
【0047】
このために、振幅可変器17は、ベアリングを介した可変器軸と可変器ケースとを具備する。可変器軸は、同軸上の駆動軸14と連結され一体的に回動可能である。一方、可変器ケースは、駆動軸14上の可動偏心重錘12と連結され一体的に回動可能である。よって、可変器ケースを可変器軸に対して相対的に回動させると、可動偏心重錘12を固定偏心重錘11に対して相対的に回動させることになる。また、振幅可変器17は、可変器軸と可変器ケースの相対的な回動を阻止するストッパも具備する。ストッパを機能させることにより、可動偏心重錘12を固定偏心重錘11に対して所定の回転位相差に保持し、相対的に停止させることができる。
【0048】
このような振幅可変器17の具体的構成は、例えば、特許文献4〜6に開示されており公知である。振幅可変器17を制御する位相差制御手段は、例えば、油圧モータを用いた回動駆動機構である。振幅可変器17は、固定偏心重錘と可動偏心重錘の回転中にも、これらの間の位相差を変更することが可能である。位相差は180°未満の範囲で連続的に可変である。位相差によるバイブロハンマの振幅(振動エネルギー)の変化は、図10において前述した通りである。位相差が180°のとき、バイブロハンマの振幅はゼロとなり、位相差が最小のとき、振幅が最大となる。
【0049】
2対の固定偏心重錘及び可動偏心重錘の全てを同期回転させるための4つのギア13が設けられている。プーリ16を介して駆動軸14に伝達された回転力は、駆動軸14上のギア13から従動軸15上の可動偏心重錘12上のギア13へ伝達される。一方、駆動軸14に伝達された回転力はまた、振幅可変器17を介して駆動軸14上の可動偏心重錘12へ伝達され、駆動軸14上の可動偏心重錘12のギア13から従動軸15上のギア13へ伝達され、従動軸15上の固定偏心重錘11に伝達される。
【0050】
複数の二軸バイブロハンマ2は、各々の駆動軸14を連係軸として、連係手段5を介して連係されている。従って、駆動軸14の両端には、連係手段5を接続するための接続部が形成されている。接続部は、連係手段5の種類に応じて適宜形成される。接続部は、例えば、連係手段5の端部を受ける座ぐり穴や固定用ボルト孔等の周知の手段による。連係手段5としては、例えばユニバーサルジョイント又はタイヤカップリングが用いられる。3台以上を連係させる場合は、通常、ユニバーサルジョイントが用いられる。
【0051】
図2は、本発明による、複数の四軸バイブロハンマを連係させて構成した杭又は壁体の打設装置の実施例の一部を概略的に示す平面図である。図示しないが、図示された部分の右方向及び左方向にもさらに同じ構成の四軸バイブロハンマ4が連係されている。
【0052】
四軸バイブロハンマ4では、ケース19内の上段においては、水平方向に離間した互いに平行な駆動軸14と従動軸15とがそれぞれ架設され、下段においては、水平方向に離間した互いに平行な2つの従動軸15がそれぞれ架設されている。各軸の両端部は、ケース19に取り付けられたベアリングによりそれぞれ軸支されている。図示の便宜上、上段と下段を別々に示しているが、実際は上段と下段は、鉛直方向に重なるように配置され、上段と下段の対応する位置にある互いのギア13がそれぞれ噛合している。
【0053】
8つのギア13は、4対の固定偏心重錘及び可動偏心重錘の全てを同期回転させるために設けられている。プーリ16を介して上段の駆動軸14に伝達された回転力は、これらのギア13及び振幅可変器17を介して、各固定偏心重錘11及び各可動偏心重錘12に伝達される。
【0054】
上段の駆動軸14及び従動軸15は、前述の図1の二軸バイブロハンマとほぼ同様に構成されている。駆動軸14の一端は、ケース19の外部に突出し、外部突出部分にはプーリ16が取り付けられ、図示しないモータ等の回転駆動手段によりプーリ16を介して回転駆動される。この駆動軸14の一端には、連係手段5が接続される。駆動軸14の他端は、ケース19の外部に突出し、別の連係手段5が接続される。従動軸15の一端には、振幅可変器17が装着される。従動軸15の他端には、何も装着されない。
【0055】
下段においては、2つの従動軸15のうちいずれか一方の一端に振幅可変器17が装着される。振幅可変器17を装着した従動軸15の他端には、何も装着されない。他方の従動軸15の両端には、それぞれ連係手段5が接続される。
【0056】
複数の四軸バイブロハンマ4は、上段については、各々の駆動軸14を連係軸として連係手段5を介して連係される。従って、駆動軸14の両端には、連係手段5を接続するための接続部が形成されている。連係手段5及び接続部については、前述の図1の二軸バイブロハンマと同様である。下段については、振幅可変器17を装着されていない方の従動軸15を連係軸として連係手段5を介して連係される。
【0057】
なお、図2の四軸バイブロハンマでは、上段に駆動軸を設けた形態を例として示したが、下段に駆動軸と従動軸を設け、上段に2つの従動軸を設けた形態、すなわち図2の四軸バイブロハンマの上段と下段を入れ替えた形態でもよい。
【0058】
図3及び図4はそれぞれ、本発明による杭又は壁体の打設装置の一般的な形態の実施例を概略的かつ模式的に示した平面図である。固定・可動偏心重錘の図示を省略している。これらの実施例では、複数の多軸バイブロハンマV1、V2を連係させている。
【0059】
多軸バイブロハンマは、1段又は上下方向に複数(n個)の段を重ねた構成である(図示の便宜上、各段の平面図を縦に並べて図示している)。1段二軸の場合は、上述の二軸バイブロハンマに相当し、2段二軸の場合は上述の四軸バイブロハンマに相当する。
【0060】
図3の多軸バイブロハンマV1では、上下方向にn個の段を有し、各段に二軸を設けたバイブロハンマである。すなわち、3段の場合は六軸バイブロハンマであり、4段の場合は八軸バイブロハンマである。図4の多軸バイブロハンマV2では、上下方向にn個の段を有し、第n段以外の各段には二軸を設け、第n段には四軸を設けている。
【0061】
図3及び図4以外にも多軸バイブロハンマの多様な変形例が存在し得る。多軸バイブロハンマに共通する構成は、以下の通りである。
【0062】
複数の段を有する場合、それらのうち1つの段が駆動軸14を具備する段であり、1つの駆動軸14と1つの従動軸15が設けられる。駆動軸14を具備しない段には、複数の従動軸15が設けられる。駆動軸14及び全ての従動軸15の各々に固定偏心重錘11及び可動偏心重錘12が装着され、駆動軸14に与えられる回転力はギヤにより全ての固定偏心重錘11及び可動偏心重錘12に伝達される。
【0063】
さらに、駆動軸14を具備する段においては、駆動軸14の一端にプーリ16を装着され、従動軸15の一端に振幅可変器17を装着されている。一方、駆動軸14を具備しない段においては、複数の従動軸15のうちいずれか1つの従動軸15の一端に振幅可変器17を装着されている。
【0064】
またさらに、駆動軸14を具備する段においては、駆動軸14の両端に、連係手段5を接続可能な接続部が形成されている。駆動軸14を具備しない段においては、振幅可変器7を装着されていないいずれか1つの従動軸15の両端に、連係手段5を接続可能な接続部が形成されている。
【0065】
よって、複数の多軸バイブロハンマは、駆動軸14を具備する段については、駆動軸14を連係軸として連係手段5を介して連係される。そして、駆動軸14を具備しない段については、振幅可変器7を装着されていないいずれか1つの従動軸15を連係軸として連係手段5を介して連係される。
【0066】
図5(a)は、複数の二軸、四軸又は多軸バイブロハンマ2、4、V1、V2を連係させて構成した本発明の打設装置10を、鋼板セル200に取り付けた状態を模式的に示した平面図であり、(b)は概略正面図(点線囲み内を省略)である。この打設装置10は、鋼板セル200の上縁に沿った形状である環状のベース部材8と、ベース部材8の下面に取り付けられ鋼板セル200の上縁を把持するための把持装置9と、ベース部材8の上面に環状に配置固定された12個のバイブロハンマとを備えている。
【0067】
図5における連係手段5は、ユニバーサルジョイントである。多数のバイブロハンマを多数のユニバーサルジョイントを介して直列に連係させる場合、個々の連結における回転伝達の進み遅れや角度誤差が蓄積されるという問題がある。特に、多数のバイブロハンマを環状に配置した場合、図6に示した従来技術のように、始端に位置するバイブロハンマと終端に位置するバイブロハンマとを連係させると同調運転に悪影響を及ぼす。そこで、この問題を低減するために、多数のバイブロハンマを環状に配置した場合には、始端に位置するバイブロハンマと終端に位置するバイブロハンマとを、互いに連係させないことが好適である。すなわち、多数のバイブロハンマを連係させた環を完全に閉じるのではなく、環の一箇所を切り離し、解放しておくことが、有効である。
【0068】
本発明により、直列に連係された複数のバイブロハンマを、自動制御により同調運転することが可能となる。振動数を一致させる制御は、ケース外部の回転駆動手段により行われ、各プーリを介して対応する各駆動軸に対して行われる。固定・可動偏心重錘の各組における位相差の制御は、ケース外部の位相差制御手段により各振幅可変器に対して行われる。
【0069】
本発明の杭又は壁体の打設装置は、大径の環状又は円弧状の杭、長尺の直線状又は長方形状の壁体等に好適に適用可能である。ベースは、適用される杭又は壁体の上縁に沿った形状とされ、複数のバイブロハンマは、ベースの上面に所定の間隔で配置固定される。
【符号の説明】
【0070】
2:二軸バイブロハンマ
4:四軸バイブロハンマ
5:連係手段
8:ベース部材
9:把持装置
11:固定偏心重錘
12:可動偏心重錘
13:ギア
14:駆動軸
15:従動軸
16:プーリ
17:振幅可変器
19:ケース
10:打設装置
20、21:二軸バイブロハンマ(従来)
40、41:四軸バイブロハンマ(従来)
100:打設装置(従来)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部材(8)と、杭又は壁体を把持するために前記ベース部材(8)の下面に取り付けた把持装置(9)と、前記ベース部材(8)の上面に配置固定した複数の二軸バイブロハンマ(2)と、前記複数の二軸バイブロハンマ(2)を同調運転させるべく回転駆動する回転駆動手段と、を備えた杭又は壁体の打設装置において、
前記二軸バイブロハンマ(2)は、
前記回転駆動手段による回転力を一端に伝達される駆動軸(14)と、
従動軸(15)と、
前記駆動軸(14)及び前記従動軸(15)の各々に装着された一対の固定偏心重錘(11)及び可動偏心重錘(12)と、
前記駆動軸(14)の一端に伝達された回転力を全ての前記固定偏心重錘(11)及び前記可動偏心重錘(12)に伝達するための複数のギア(13)と、
前記固定偏心重錘(11)に対する前記可動偏心重錘(12)の位相差を変更又は保持するために前記従動軸(15)の一端に装着された振幅可変器(17)と、を有し、かつ、
隣り合う前記二軸バイブロハンマ(2)の間に設けられかつ双方の前記二軸バイブロハンマ(2)における前記駆動軸(14)同士を連係させる連係手段(5)を備えたことを特徴とする
杭又は壁体の打設装置。
【請求項2】
ベース部材(8)と、杭又は壁体を把持するために前記ベース部材(8)の下面に取り付けた把持装置(9)と、前記ベース部材(8)の上面に配置固定した複数の四軸バイブロハンマ(4)と、前記複数の四軸バイブロハンマ(4)の各々を同調運転させるべく回転駆動する回転駆動手段と、を備えた杭又は壁体の打設装置において、
前記四軸バイブロハンマ(4)は、上下方向に配置された第1の段と第2の段とから構成されるとともに、
前記第1の段に設けられかつ前記回転駆動手段による回転力を一端に伝達される駆動軸(14)と、
前記第1の段に設けられた1つの従動軸(15)と、
前記第2の段に設けられた2つの従動軸(15)と、
前記駆動軸(14)並びに全ての前記従動軸(15)の各々に装着された一対の固定偏心重錘(11)及び可動偏心重錘(12)と、
前記駆動軸(14)の一端に伝達された回転力を全ての前記固定偏心重錘(11)及び前記可動偏心重錘(12)に伝達するための複数のギア(13)と、
前記第1及び第2の段の各々において前記固定偏心重錘(11)に対する前記可動偏心重錘(12)の位相差を変更又は保持するために各段における1つの前記従動軸(15)の一端にそれぞれ装着された振幅可変器(17)と、を有し、かつ、
隣り合う2つの前記四軸バイブロハンマ(4)の間に設けられかつ双方の前記四軸バイブロハンマ(4)における前記駆動軸(14)同士、及び、前記第2の段における前記振幅可変器(17)を装着していない前記従動軸(15)同士をそれぞれ連係させる連係手段(5)を備えたことを特徴とする
杭又は壁体の打設装置。
【請求項3】
ベース部材(8)と、杭又は壁体を把持するために前記ベース部材(8)の下面に取り付けた把持装置(9)と、前記ベース部材(8)の上面に配置固定した複数の多軸バイブロハンマ(V1,V2)と、前記複数の多軸バイブロハンマ(V1,V2)の各々を同調運転させるべく回転駆動する回転駆動手段と、を備えた杭又は壁体の打設装置において、
前記多軸バイブロハンマ(V1,V2)は、上下方向に配置された複数の段から構成されるとともに、
前記複数の段のうち1つの段に設けられかつ前記回転駆動手段による回転力を一端に伝達される1つの駆動軸(14)と、
前記駆動軸(14)を具備する段と同じ段に設けられた1つの従動軸(15)と、
前記駆動軸(14)を具備しない段に設けられた複数の従動軸(15)と、
前記駆動軸(14)及び全ての前記従動軸(15)の各々に装着された一対の固定偏心重錘(11)及び可動偏心重錘(12)と、
前記駆動軸(14)の一端に伝達された回転力を全ての前記固定偏心重錘(11)及び前記可動偏心重錘(12)に伝達するための複数のギア(13)と、
前記複数の段の各々において前記固定偏心重錘(11)に対する前記可動偏心重錘(12)の位相差を変更又は保持するために各段における1つの前記従動軸(15)の一端にそれぞれ装着された振幅可変器(17)と、を有し、かつ、
隣り合う2つの前記多軸バイブロハンマ(V1,V2)の間に設けられかつ双方の前記多軸バイブロハンマ(V1,V2)における前記駆動軸(14)同士、及び、前記駆動軸(14)を具備しない段における前記振幅可変器(17)を装着していない1つの前記従動軸(15)同士をそれぞれ連係させる連係手段(5)を備えたことを特徴とする
杭又は壁体の打設装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の杭又は壁体の打設装置において、複数の前記バイブロハンマを環状に配置固定しかつ隣り合うバイブロハンマ同士を連係させた場合に、始端に位置するバイブロハンマと終端に位置するバイブロハンマとを互いに連係させないことを特徴とする杭又は壁体の打設装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の杭又は壁体の打設装置において、前記バイブロハンマの各々における前記駆動軸(14)の両端に、前記連係手段(5)を接続するための接続部をそれぞれ形成したことを特徴とする杭又は壁体の打設装置。
【請求項6】
二軸バイブロハンマ(2)において、
回転駆動手段による回転力を一端に伝達される駆動軸(14)と、
従動軸(15)と、
前記駆動軸(14)及び前記従動軸(15)の各々に装着された一対の固定偏心重錘(11)及び可動偏心重錘(12)と、
前記駆動軸(14)の一端に伝達された回転力を全ての前記固定偏心重錘(11)及び前記可動偏心重錘(12)に伝達するための複数のギア(13)と、
固定偏心重錘(11)に対する前記可動偏心重錘(12)の位相差を変更又は保持するために前記従動軸(15)の一端に装着された振幅可変器(17)と、を有し、かつ、
隣り合う別の二軸バイブロハンマ(2)と連係させる連係手段(5)を接続するための接続部を、前記駆動軸(14)の両端にそれぞれ形成したことを特徴とする二軸バイブロハンマ。
【請求項7】
上下方向に配置された第1の段と第2の段とから構成された四軸バイブロハンマ(4)において、
前記第1の段に設けられかつ回転駆動手段による回転力を一端に伝達される駆動軸(14)と、
前記第1の段に設けられた1つの従動軸(15)と、
前記第2の段に設けられた2つの従動軸(15)と、
前記駆動軸(14)並びに全ての前記従動軸(15)の各々に装着された一対の固定偏心重錘(11)及び可動偏心重錘(12)と、
前記駆動軸(14)の一端に伝達された回転力を全ての前記固定偏心重錘(11)及び前記可動偏心重錘(12)に伝達するための複数のギア(13)と、
前記第1及び第2の段の各々において前記固定偏心重錘(11)に対する前記可動偏心重錘(12)の位相差を変更又は保持するために各段における1つの前記従動軸(15)の一端にそれぞれ装着された振幅可変器(17)と、を有し、かつ、
隣り合う別の四軸バイブロハンマ(4)と連係させる連係手段(5)を接続するための接続部を、前記駆動軸(14)の両端にそれぞれ形成したことを特徴とする四軸バイブロハンマ。
【請求項8】
上下方向に配置された複数の段から構成された多軸バイブロハンマ(V1,V2)において、
前記複数の段のうち1つの段に設けられかつ回転駆動手段による回転力を一端に伝達される1つの駆動軸(14)と、
前記駆動軸(14)を具備する段に設けられた1つの従動軸(15)と、
前記駆動軸(14)を具備しない段に設けられた複数の従動軸(15)と、
前記駆動軸(14)及び全ての前記従動軸(15)の各々に装着された一対の固定偏心重錘(11)及び可動偏心重錘(12)と、
前記駆動軸(14)の一端に伝達された回転力を全ての前記固定偏心重錘(11)及び前記可動偏心重錘(12)に伝達するための複数のギア(13)と、
前記複数の段の各々において前記固定偏心重錘(11)に対する前記可動偏心重錘(12)の位相差を変更又は保持するために各段における1つの前記従動軸(15)の一端にそれぞれ装着された振幅可変器(17)と、を有し、かつ、
隣り合う別の多軸バイブロハンマ(V1,V2)と連係させる連係手段(5)を接続するための接続部を、前記駆動軸(14)の両端にそれぞれ形成したことを特徴とする多軸バイブロハンマ。
【請求項9】
請求項1〜3のいずれかに記載の杭又は壁体の打設装置を用いた杭又は壁体の打設方法において、
前記振幅可変器(17)により、各対の固定偏心重錘(11)と可動偏心重錘(12)の位相差を各バイブロハンマの振幅がゼロとなるように設定した後、前記回転駆動手段により各バイブロハンマの回転駆動を開始する工程と、
前記打設装置のベース部材又は周辺地盤との共振を生じる振動数の領域を通過するまで、各バイブロハンマの振幅をゼロの状態に保持しつつ、各バイブロハンマの振動数を上昇させる工程と、
前記共振を生じる振動数の領域より高い所定の振動数に達した後、前記振幅可変器(17)により、前記各対の固定偏心重錘(11)と可動偏心重錘(12)の位相差を各バイブロハンマの振幅が打設に適切な振幅となるように変更し、杭又は壁体の打設を行う工程と、
打設を完了した後、前記振幅可変器(17)により、前記各対の固定偏心重錘(11)と可動偏心重錘(12)の位相差を各バイブロハンマの振幅が再びゼロとなるように変更した後、各バイブロハンマの振動数を減少させ停止させる工程と、を有することを特徴とする
杭又は壁体の打設方法。
【請求項1】
ベース部材(8)と、杭又は壁体を把持するために前記ベース部材(8)の下面に取り付けた把持装置(9)と、前記ベース部材(8)の上面に配置固定した複数の二軸バイブロハンマ(2)と、前記複数の二軸バイブロハンマ(2)を同調運転させるべく回転駆動する回転駆動手段と、を備えた杭又は壁体の打設装置において、
前記二軸バイブロハンマ(2)は、
前記回転駆動手段による回転力を一端に伝達される駆動軸(14)と、
従動軸(15)と、
前記駆動軸(14)及び前記従動軸(15)の各々に装着された一対の固定偏心重錘(11)及び可動偏心重錘(12)と、
前記駆動軸(14)の一端に伝達された回転力を全ての前記固定偏心重錘(11)及び前記可動偏心重錘(12)に伝達するための複数のギア(13)と、
前記固定偏心重錘(11)に対する前記可動偏心重錘(12)の位相差を変更又は保持するために前記従動軸(15)の一端に装着された振幅可変器(17)と、を有し、かつ、
隣り合う前記二軸バイブロハンマ(2)の間に設けられかつ双方の前記二軸バイブロハンマ(2)における前記駆動軸(14)同士を連係させる連係手段(5)を備えたことを特徴とする
杭又は壁体の打設装置。
【請求項2】
ベース部材(8)と、杭又は壁体を把持するために前記ベース部材(8)の下面に取り付けた把持装置(9)と、前記ベース部材(8)の上面に配置固定した複数の四軸バイブロハンマ(4)と、前記複数の四軸バイブロハンマ(4)の各々を同調運転させるべく回転駆動する回転駆動手段と、を備えた杭又は壁体の打設装置において、
前記四軸バイブロハンマ(4)は、上下方向に配置された第1の段と第2の段とから構成されるとともに、
前記第1の段に設けられかつ前記回転駆動手段による回転力を一端に伝達される駆動軸(14)と、
前記第1の段に設けられた1つの従動軸(15)と、
前記第2の段に設けられた2つの従動軸(15)と、
前記駆動軸(14)並びに全ての前記従動軸(15)の各々に装着された一対の固定偏心重錘(11)及び可動偏心重錘(12)と、
前記駆動軸(14)の一端に伝達された回転力を全ての前記固定偏心重錘(11)及び前記可動偏心重錘(12)に伝達するための複数のギア(13)と、
前記第1及び第2の段の各々において前記固定偏心重錘(11)に対する前記可動偏心重錘(12)の位相差を変更又は保持するために各段における1つの前記従動軸(15)の一端にそれぞれ装着された振幅可変器(17)と、を有し、かつ、
隣り合う2つの前記四軸バイブロハンマ(4)の間に設けられかつ双方の前記四軸バイブロハンマ(4)における前記駆動軸(14)同士、及び、前記第2の段における前記振幅可変器(17)を装着していない前記従動軸(15)同士をそれぞれ連係させる連係手段(5)を備えたことを特徴とする
杭又は壁体の打設装置。
【請求項3】
ベース部材(8)と、杭又は壁体を把持するために前記ベース部材(8)の下面に取り付けた把持装置(9)と、前記ベース部材(8)の上面に配置固定した複数の多軸バイブロハンマ(V1,V2)と、前記複数の多軸バイブロハンマ(V1,V2)の各々を同調運転させるべく回転駆動する回転駆動手段と、を備えた杭又は壁体の打設装置において、
前記多軸バイブロハンマ(V1,V2)は、上下方向に配置された複数の段から構成されるとともに、
前記複数の段のうち1つの段に設けられかつ前記回転駆動手段による回転力を一端に伝達される1つの駆動軸(14)と、
前記駆動軸(14)を具備する段と同じ段に設けられた1つの従動軸(15)と、
前記駆動軸(14)を具備しない段に設けられた複数の従動軸(15)と、
前記駆動軸(14)及び全ての前記従動軸(15)の各々に装着された一対の固定偏心重錘(11)及び可動偏心重錘(12)と、
前記駆動軸(14)の一端に伝達された回転力を全ての前記固定偏心重錘(11)及び前記可動偏心重錘(12)に伝達するための複数のギア(13)と、
前記複数の段の各々において前記固定偏心重錘(11)に対する前記可動偏心重錘(12)の位相差を変更又は保持するために各段における1つの前記従動軸(15)の一端にそれぞれ装着された振幅可変器(17)と、を有し、かつ、
隣り合う2つの前記多軸バイブロハンマ(V1,V2)の間に設けられかつ双方の前記多軸バイブロハンマ(V1,V2)における前記駆動軸(14)同士、及び、前記駆動軸(14)を具備しない段における前記振幅可変器(17)を装着していない1つの前記従動軸(15)同士をそれぞれ連係させる連係手段(5)を備えたことを特徴とする
杭又は壁体の打設装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の杭又は壁体の打設装置において、複数の前記バイブロハンマを環状に配置固定しかつ隣り合うバイブロハンマ同士を連係させた場合に、始端に位置するバイブロハンマと終端に位置するバイブロハンマとを互いに連係させないことを特徴とする杭又は壁体の打設装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の杭又は壁体の打設装置において、前記バイブロハンマの各々における前記駆動軸(14)の両端に、前記連係手段(5)を接続するための接続部をそれぞれ形成したことを特徴とする杭又は壁体の打設装置。
【請求項6】
二軸バイブロハンマ(2)において、
回転駆動手段による回転力を一端に伝達される駆動軸(14)と、
従動軸(15)と、
前記駆動軸(14)及び前記従動軸(15)の各々に装着された一対の固定偏心重錘(11)及び可動偏心重錘(12)と、
前記駆動軸(14)の一端に伝達された回転力を全ての前記固定偏心重錘(11)及び前記可動偏心重錘(12)に伝達するための複数のギア(13)と、
固定偏心重錘(11)に対する前記可動偏心重錘(12)の位相差を変更又は保持するために前記従動軸(15)の一端に装着された振幅可変器(17)と、を有し、かつ、
隣り合う別の二軸バイブロハンマ(2)と連係させる連係手段(5)を接続するための接続部を、前記駆動軸(14)の両端にそれぞれ形成したことを特徴とする二軸バイブロハンマ。
【請求項7】
上下方向に配置された第1の段と第2の段とから構成された四軸バイブロハンマ(4)において、
前記第1の段に設けられかつ回転駆動手段による回転力を一端に伝達される駆動軸(14)と、
前記第1の段に設けられた1つの従動軸(15)と、
前記第2の段に設けられた2つの従動軸(15)と、
前記駆動軸(14)並びに全ての前記従動軸(15)の各々に装着された一対の固定偏心重錘(11)及び可動偏心重錘(12)と、
前記駆動軸(14)の一端に伝達された回転力を全ての前記固定偏心重錘(11)及び前記可動偏心重錘(12)に伝達するための複数のギア(13)と、
前記第1及び第2の段の各々において前記固定偏心重錘(11)に対する前記可動偏心重錘(12)の位相差を変更又は保持するために各段における1つの前記従動軸(15)の一端にそれぞれ装着された振幅可変器(17)と、を有し、かつ、
隣り合う別の四軸バイブロハンマ(4)と連係させる連係手段(5)を接続するための接続部を、前記駆動軸(14)の両端にそれぞれ形成したことを特徴とする四軸バイブロハンマ。
【請求項8】
上下方向に配置された複数の段から構成された多軸バイブロハンマ(V1,V2)において、
前記複数の段のうち1つの段に設けられかつ回転駆動手段による回転力を一端に伝達される1つの駆動軸(14)と、
前記駆動軸(14)を具備する段に設けられた1つの従動軸(15)と、
前記駆動軸(14)を具備しない段に設けられた複数の従動軸(15)と、
前記駆動軸(14)及び全ての前記従動軸(15)の各々に装着された一対の固定偏心重錘(11)及び可動偏心重錘(12)と、
前記駆動軸(14)の一端に伝達された回転力を全ての前記固定偏心重錘(11)及び前記可動偏心重錘(12)に伝達するための複数のギア(13)と、
前記複数の段の各々において前記固定偏心重錘(11)に対する前記可動偏心重錘(12)の位相差を変更又は保持するために各段における1つの前記従動軸(15)の一端にそれぞれ装着された振幅可変器(17)と、を有し、かつ、
隣り合う別の多軸バイブロハンマ(V1,V2)と連係させる連係手段(5)を接続するための接続部を、前記駆動軸(14)の両端にそれぞれ形成したことを特徴とする多軸バイブロハンマ。
【請求項9】
請求項1〜3のいずれかに記載の杭又は壁体の打設装置を用いた杭又は壁体の打設方法において、
前記振幅可変器(17)により、各対の固定偏心重錘(11)と可動偏心重錘(12)の位相差を各バイブロハンマの振幅がゼロとなるように設定した後、前記回転駆動手段により各バイブロハンマの回転駆動を開始する工程と、
前記打設装置のベース部材又は周辺地盤との共振を生じる振動数の領域を通過するまで、各バイブロハンマの振幅をゼロの状態に保持しつつ、各バイブロハンマの振動数を上昇させる工程と、
前記共振を生じる振動数の領域より高い所定の振動数に達した後、前記振幅可変器(17)により、前記各対の固定偏心重錘(11)と可動偏心重錘(12)の位相差を各バイブロハンマの振幅が打設に適切な振幅となるように変更し、杭又は壁体の打設を行う工程と、
打設を完了した後、前記振幅可変器(17)により、前記各対の固定偏心重錘(11)と可動偏心重錘(12)の位相差を各バイブロハンマの振幅が再びゼロとなるように変更した後、各バイブロハンマの振動数を減少させ停止させる工程と、を有することを特徴とする
杭又は壁体の打設方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−52363(P2012−52363A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−196431(P2010−196431)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(391002122)調和工業株式会社 (43)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【出願人】(391002122)調和工業株式会社 (43)
【Fターム(参考)】
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